平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時七分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、入院給食費の患者負担の県費助成についてでございます。
健康保険法等の改悪が十月一日から始まりました。今回の改悪法では、入院給食をその療養給付から外し、健保でも国保でも老人保健でも同じ額、一日八百円、当面六百円を入院患者に負担させる食事療養費にしたものであります。
ところが厚生省は、この八百円を超える高い額の選択メニューを用意することができるとし、この場合は患者からその差額を取っても構わないとしております。つまり患者の払える金額の差によって、例えばすしの値段のように特、上、並みの食事を自由に出せるというものであります。これでは、入院給食が治療食から遠い食事になってしまう可能性があります。患者負担を赤ちゃんからお年寄りまで一律に負担させるのですから、福祉医療の原点を投げ捨てたと言わざるを得ません。しかも、この患者負担は高額療養費の対象になりませんから、丸ごと大幅負担増になります。経済活動の困難なお年寄りや障害者など弱者と言われる患者にも課したことは、憲法第二十五条の存在を実質的に否定するものでもあります。特にお年寄りの負担は、入院するなということになりはしないでしょうか。入院医療費一日七百円に加えて食費六百円ですから、一カ月で今までの二倍、三万九千円の負担になります。
私は、今回の患者負担について、三人のお医者さんに話を伺ってまいりました。
小児科の大学教授は、「乳幼児の入院食事は治療食以外の何物でもありませんよ。病気の治療という側面と、その子供の成長、発達を保障するという極めて重要な意味を持っていることを忘れてはいませんか。また専門的に言わせてもらえば、六歳以下の乳幼児の医療費は無料にすべきだと、私はずっと思ってきました。今日、あちこちの自治体が無料の年齢引き上げを行っているのですから、和歌山も考えてほしいと思います。ぜひ無料化を実現して、年齢も拡大してほしいと思うんです。給食費の患者負担は、実際困りますね」と語っておられます。
また内科の教授は、「どんな病気にも共通して言えるのは、食事療法が基本なんです。医療の三大治療法と言われていることは、一に食事、二に運動、三に薬物療法、そしてそれにあわせて外科療法やリハビリなんです。多くの患者さんは、薬を飲むことが病気を治すと思っていらっしゃるようですが、何といっても食事が基本なんですよ。だから、入院給食は治療食なんです。例えば、糖尿病の場合を考えてください。日常生活の中で、治療として食事療法がかなめになります。これには、三週間から四週間の教育入院をしていただかなくてはなりません。そして、病院給食で病状の程度によって医師の指導のもと、特別食いわゆる糖尿病食で量や味、カロリー計算に基づいた教育が行われているんです。ですから、どこに行っても食事はするというのはそのとおりだと思うんですけれども、何もかも同じという考え方はどうでしょうかね。また、成人病や慢性疾患の原因は日常生活の食事のひずみによって引き起こされる病気でありますから、その原点に立ち返ることなんです」と、病院食についてこうお話をしていらっしゃいます。
病院を経営する院長先生に伺ってみました。「経営者の立場から申しますならば、それは治療の一環ですよ。わかり切ったことです。患者負担がふえることで入院時期をおくらせ、重症化が進むのです。きょうは食事は要りませんと、食事を断る患者がこれからふえてくるかもしれませんね。病棟にある食堂で食べたら一日五十円、夕食を午後六時以後に適温給食したら一日二百円を保険から支給するとなっていますけれども、考えてみてください。老朽化した既設病院は、食堂をつくるのも困難なことです。病院の栄養士が在宅訪問して栄養指導するなんて、人員確保でとても大変なのに無理な注文だと思うんですよ」と、法改正そのものにも批判的でした。今後の病院経営の不安も語っていただいたところです。
法改正によって、病院等が患者ニーズにこたえるために、施設設備改善に対する支援はどうような具体策があるのか、お示しいただきたいと思います。
十月一日の実施を前に何らかの助成をすると決めた都道府県は、九月二十二日現在で二十一、助成する方向で検討している県が二つと、このように広がってきています。厚生省は都道府県に対し、再三、患者負担の助成は不適切とした事務次官通知を出して圧力をかけ、助成した場合はペナルティーを科すなどとした状況もありました。そういう中でも住民の要求を受け入れて、このように自治体は助成をすることを決定したんです。我が日本共産党は、国会議員が九月二十九日、厚生省の国光保険局長に対し、事務次官通知などで地方自治に干渉しないよう申し入れを行いました。「通知はいわばお願いであって、法的拘束力はありません。自治体がどういう助成制度を設けるかは地方自治体の自由権限であって、縛ることはできません。ペナルティーを科すこともできません」と、局長は明言されています。
本県でも、一九八二年、老人医療が有料化されたときに、六十七歳から六十九歳までの医療費を無料化した実績をきょうまで積み重ねてきていることは、お年寄りたちにとってはどんなにか大きな喜びであると思うんです。このことが、かけがえのない大切な命を守る自治体の本来の姿勢を示していると思うんです。現在、本県が独自に助成している一歳未満の乳幼児、母子、重度心身障害者、さきに申し上げた六十七歳から六十九歳までの老人医療費や難病で苦しんでいる社会的に弱者と言われている患者さんの負担について、福祉医療の立場から、ぜひとも本県もこの六百円を助成することを考えていただきたいと思うんです。福祉医療は、住民の福祉と健康保持を使命とする地方自治の規範でもあり、責務だと思うんです。このことについてお答えください。また、助成に必要な金額はどのくらいでしょうか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
次に、先日の下川議員の和歌山市における助成措置条例に対する県の考え方の質問に対する答弁についてお伺いをいたします。
助成をするかしないかについての権限は、独立した和歌山市にあることはご承知のことと思います。市民の願いにこたえるための積極的な市の助成提案であると思うのが、ごく一般的ではないでしょうか。別に、和歌山市が法律に違反しているわけではありません。さきにも述べたように、多くの地方自治体で助成を決定していることからも、県がとやかく言うべきではないと思います。地方自治に干渉すべきではないと思うものです、いかがでしょうか。保健環境部長のご意見をお聞かせください。
続いて、フォレストシティ計画問題についてお尋ねをいたします。
ご承知のように、フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社は、昨年九月に大阪地検特捜部の捜査を受けて以来、国土利用計画法、所得税法違反に加えて、紀陽銀行の過剰融資疑惑やフォレストシティ計画への暴力団関係者との深い関与など、数々の疑惑が生じ、目に余る札束攻勢など手段を選ばぬ開発の進め方が、県民ばかりでなく全国から厳しい批判を浴びてまいりました。今、和興開発株式会社及び前田社長を初め会社幹部らを被告とした裁判が大阪地方裁判所で進められておりますが、その中で法を無視した極めて反社会的な諸事実が改めて明らかになりつつあります。中でも重要なことは、この裁判では、同社の幹部だけでなく和興開発株式会社という法人自体が被告となり、裁かれようとしていることです。
私は、これまで本議場において、和興開発の地元住民に対する不誠実な姿勢や地権者に対する札束攻勢による無法な用地買収行為の数々を明らかにして、事業者への積極的な指導を県行政に求めてまいりましたが、その効果は皆無でありました。社会的にも、マスコミを通しての厳しい批判にもかかわらず、最近、フォレストシティ計画に反対している圓明寺の同意を取りつけるため圓明寺の本山である臨済宗・妙心寺に対し三億円の寄附を持ちかけ、本山を通して圧力をかけようとするなど、関係者から何の反省の色もないと厳しい批判が広がっているのであります。
既に裁判は、去る六月三十日以降五回を重ねているところですが、第一回の法廷において検察側の起訴事実を全面的に認めたのであります。したがって、国土利用計画法及び所得税法違反が本当に行われたことが証明されたことになります。今後、裁判において必ずや厳しい判決が下されるであろうことに確信を強く抱いた私でありました。和興開発等による数々の法違反行為は、いずれも会社ぐるみ、しかも法違反であることを十分承知の上で実行したものであって、いわば故意に行ったという、この上ない悪質犯罪と見ることができます。社会の常識としても決して許されるものではありません。私は、地元住民の一人として、また土地売買に協力された多くの地権者の気持ちを思うとき、新たな怒りを感じるのであります。このことからも、開発許可の審議に値しない、取るに足りない企業であることを再度強調しておきたいと思います。
昨年九月の検察当局の捜査から一年が経過しているところですが、計画そのものは推進しようという立場を明言している知事であります。裁判の経過等をご存じかとも思いますので、この際、これまでの所感を伺いたいと思います。裁判のいかんにかかわらず、国土法を直接所管運用する県行政の対応について伺うものです。
フォレストシティ計画に関係する土地売買の届け出は、本当に適正に行われてきたのでありましょうか。国土法では、土地売買するときはあらかじめ知事に届けることが義務づけられ、審査の後、指導勧告を行うよう規定されています。
次のような場合、行政はどのような対応をされてきたのでしょうか。一つ目に、届け出をせず売買契約を結んだ場合、二つ目に、届け出による指導勧告に従わなかった場合、三つ目に、故意に売買契約締結後に届け出をした場合、四つ目に、故意に虚偽の届け出書を作成した場合であります。そして、違反者に対する処分とその基準についてもお聞かせ願います。既に行政処分が行われたやに聞き及んでいるわけですが、処分内容等もお答え願います。
今回のような不正不法事件防止のため、届け出事後事務措置に関する契約状況報告書の提出、現状の改善はどのように進められているのでしょうか、いずれも企画部長からお答え願います。
最後に、このことについて知事に申し上げておきたいと思います。
紀陽銀行は、八月二十九日、融資先である和興開発株式会社に四名の職員を出向派遣いたしました。高橋良精氏を社長に、前田喬社長は顧問に就任、新たな役員人事で開発許可を取りつけようとしていますが、私たち住民は、たとえいかなる人が社長になろうと無謀なフォレストシティ計画には反対であります。また、地権者でもある圓明寺は今後一切和興開発株式会社との話し合いに応じる意思がないことも明らかでありますから、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。
次に、渇水被害対策についてお尋ねをいたします。
この問題につきましては、一昨日、尾崎要二議員の質問もございました。重複をしないようにお尋ねしてまいりたいと思います。
私は、主に紀の川筋の被害対策についてでございます。
昨年の冷害に続く被害は、ミカン、柿の生産農家にとっては大変厳しい、深刻な状況を招いております。
私は、去る九月九日に那賀地方に、九月二十五日に和歌山市の山東の矢田、黒岩地区の被害調査に、党国会議員調査団と一緒に参加をしてまいりました。ミカン、柿畑にお邪魔して、その被害状況の大きさ、ひどさに驚くばかりでした。昨年からことしに至る事態は気象条件に大きく左右される農業経営の難しさを見せつけられるとともに、災害に強く安心して農業が行える農政をつくることの重要さを実感した調査でもございました。
農家の皆さんや紀ノ川農協、紀の里農協の幹部の皆さんにもその被害実態や対策等についてのお話を聞き、あわせて要望も聞いてまいりましたので、県の積極的な支援策を求めたいと思います。
紀の川筋の五月から八月の降水量は平年の三割、気温も三度から四度も高いことから、干害被害が広がったとも言えます。八月末、紀の里農協が独自に行った被害状況調査は、同農協内で二十億五千万円の被害が見込まれるということであり、九月の気象状況からもさらにふえることは確実となると思われます。昭和五十三年、五十八年の被害額や面積を大幅に上回るひどい状況が出なければと大変心配をいたしているところです。現状はどうなのでありましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
ミカンの大きさはピンポン玉ほどで、このままでいけば規格外とのこと、また葉は下を向いて縮んでしまって、変色、さらに木が枯れ始めておりました。山全体を見ると、水をかけたところと不足しているところの色の違いがくっきりとわかったのです。ミカン畑一反当たりに必要な水は、一週間で三十トンだそうです。軽トラックで運べる水の量は、一生懸命頑張ったとしても一日十五回、三十数トンが限界だそうです。水のまけない畑も出るのは当然であります。手の施しようのない、高い急峻な場所だけに限りません。その上、昨年の冷夏、雨ばかりで、糖度を上げるため収穫時期をおくらせたりしてきました。そのため、木は疲れています。ことしは、芽のつきも悪かったそうです。そこに渇水が重なり、木はかなり弱って、本来六月に咲く花がかん水すると狂い咲きする木もあり、その狂い咲きした花も見てまいりました。こうして木のリズムがすっかり狂っているため、来年も心配ですよと、不安いっぱいの表情でした。
柿についても、柿の実は大きさが規格品まで届きそうにない、このまま大きくならなければ来年以降も大きくならないな、壊滅的被害になるかもしれへんなと。そのときの農家の方の表情が私の脳裏を離れないのです。
矢田、黒岩地区は川という川がないため、ため池に頼る以外水の確保の方法はなく、ただ雨の降ることを待つしか手だてがない地区であります。日常の生活水は井戸に頼っています。これを見ても、一層大変であります。こうした深刻な被害は、生産意欲を阻害するばかりでなく離農に拍車がかかるのではないかと、私は大変心配をいたしております。
紀の里農協の組合長さんは、今すぐ天災融資法を発動してほしい、支援対策を強めてほしい、ミカンは輸入自由化され大変な事態になっている、高齢化が進む中、耕作放棄地の増加や離農に拍車をかけるのではと、心配を隠し切れないようでした。
県が今回の被害に対し、実態把握の中で国へ天災融資法の発動、激甚災害特別法の適用などを含めて支援対策を求めるなどされていることについては大変ありがたいと思うわけです。しかし、農家の皆さんの要求は多岐にわたっております。営農資金対策、施設復旧対策など緊急を要する支援策について、農家の皆さんの要望を聞くなどして細かな支援策を行っていただきたいと思うわけです。特に施設復旧対策では、用水確保ための水路、井戸の掘削の助成、ため池改修等に対する地元負担金軽減対策が今以上に必要ではないでしょうか。現状に対する対策をお答えいただきたいと思います。
こうした、渇水災害時における紀の川用水の利用は考えられないものなのでしょうか。紀の川用水問題を考える上では、水利権や賦課金問題を避けて論議することができないと思うのであります。今回の場合においても土地改良区の協力のもとで支援していただいたことをお聞きしているのですが、これを機会にぜひ関係する方々と、紀の川の水が総合的に有効利用される方策を検討するための調査研究を進められることを求めたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。農林水産部長のご答弁をお願いいたします。
次に、消費税問題についてお伺いをいたします。
村山内閣の連立与党は、先月の二十二日、税制改革大綱を決定し、消費税の税率を五%に引き上げることなどを決定いたしました。私は、六月議会でもこの問題を取り上げましたが、県民に重大な影響を及ぼすものとして県議会としても見過ごすことはできませんので、再度質問をしたいと思います。
税制改革大綱によると、一つは二階建て方式で、制度減税三兆五千億円、定率減税二兆円を実施する、二つには、九七年四月から消費税率を現行の三%から五%に引き上げることなどを明記しています。今回の消費税増税は、社会党やさきがけなど、連立与党の昨年七月の総選挙の公約にも反する国民への重大な背信行為ではないでしょうか。しかも、政府与党三党は消費税率の引き上げを減税財源のためなどと言っていますが、政府の計算でも、増税が五兆円近いのに対し減税は定率減税を一時的な措置として打ち切るために三兆五千億円にとどまり、差し引き大増税となる仕組みになっています。一時的な措置として打ち切る定率減税というのは国民の反発を避けるためのものと言われるのも、当然のことと思います。また制度減税にしても、その中身は、課税最低限の引き上げによる庶民減税はわずかなものにとどめ、税率区分見直しによる減税の恩恵は年収一千万円以上に集中させるという上に厚く下に薄いものであり、圧倒的多数の国民には大増税だけが押しつけられるという、全く不公平な税制であることは明らかであります。
さらに、先月二十七日に自民党の小渕副総裁が東京都内で行った講演で、消費税導入当初から税率を一○%から一五%にしようとしていたことを明らかにされたのであります。これは、社会党の久保書記長が見直し条項でいつでも税率アップの内容を含んでいることを明らかにしたことと同様の内容であり、今回の税率アップはいずれにしても国民に大きな犠牲を強いる大増税へのレールづくりを目指したもので、許すことはできません。
この消費税のアップを国民が望んでいるわけでもありません。最近の「時事通信」の世論調査でも、消費税増税について反対は六四%で、容認の三三%を大きく上回っているのです。私は、ある病院経営者から、医療機器や薬の購入で金額が大きいだけに消費税の税率アップは非常にこたえるという話をお聞きいたしました。消費者だけでなく、中小零細業者やこういった医療関係者にも大きな影響を及ぼすことは明らかです。こうして国民から取り上げた消費税も、導入時には福祉の充実が大宣伝されたものですが、あるマスコミの報道では、高齢者対策として登場したゴールドプランなどにはわずか二%しか回っていないということも言われています。
日本共産党は、消費税を廃止しても大幅な減税は十分可能と考えています。それは、ゼネコンの浪費をなくし公共事業費を節減する、大企業に対する無秩序な補助金を廃止する、軍事費を圧縮する、国債の低利借りかえで利払い費を節減する、大企業に対する優遇税制を是正する、このようにすることで十兆円台の財源確保が十分可能なのです。「税制改革」と言うなら、こうした方向こそ政治の責任と考えますが、知事のご所見を伺うものです。
以上で、第一回の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
フォレストシティ計画の、この間の知事の所見ということでございます。
計画の事業主体である和興開発株式会社の社長並びに役員が、昨年十一月、大阪地検に所得税法及び国土法違反で逮捕され、現在公判中であると伺っておるわけでございます。開発許可申請については、現在担当部局において、関係法に照らして慎重に審査を行っているところでございます。
先般の報道によりますと、申請者である和興開発株式会社の代表者以下、役員が交代したと報じられているわけでございます。これにより、申請者の信用面について一定の改善がなされたと考えているところでございますが、このことのみをもって許可要件が満たされたとは考えておりません。引き続き関係法の審査を厳格にするとともに、申請者の対応状況をも見て、総合的に判断してまいりたいと考えておるところでございます。
一方、国土利用計画法違反に対しては行政処分を行い、法の適正な運用になお一層努力いたしてまいりたいと思っております。
また、今回の博覧会の成功によりましてリゾートに対する人々の関心の高さを再認識したところでもございまして、紀泉地域は関西国際空港に近く、都市近郊にも位置するという極めて高い優位性を持っている地域でございますので、今後とも燦黒潮リゾート構想の推進に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
次に税制改革についてでございますけれども、消費税率を五%にアップすることについての知事の所見でございます。
この税制改革は、去る九月二十二日、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立って、バランスのとれた税体系の構築を図るために、村岡議員から話ございましたように、所得課税の軽減と消費課税の充実を内容とする税制改革大綱が閣議で決定されたところでございます。
税制改革は、我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の重要な問題でございます。また、福祉社会を建設するためには財源が必要なことも事実でございます。私としては、国会で十分審議されることを期待するとともに、その動向を注意深く見守ってまいりたいと思っておるところでございます。
他の問題は、部長から答弁いたします。
○副議長(富田 豊君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡議員の入院給食費自己負担の県費助成について、社会的弱者に助成をという質問ですが、十月四日の本会議において下川議員にお答えしたとおり、本県では県単独の福祉医療として、重度心身障害児者、母子家庭、乳幼児、さらには六十七歳から六十九歳の高齢者を対象にして医療費の自己負担分について補助を行っております。しかしながら、今回の改正に伴い新たに発生する入院時の食費負担については、入院されている方の食費のみ補助を行うことは在宅で療養されている方との間で格差が生じること、ご負担いただく額は一日の給食費千九百円のうち六百円であり、また所得等に応じ二百円までの軽減措置が講じられていること、加えて近畿各府県においても制度改正の趣旨を踏まえてほぼ同様の対応を行っていること、さらに国から県単独の福祉医療の中で食費の負担を補助することは今回の改正の趣旨に沿わないものであり不適切であるとの指示があったことも踏まえ、現在、福祉医療の対象となっておられる方々に負担をお願いすることといたしました。県としては、長期的ビジョンに立って、在宅福祉、医療サービスを中心とした総合的な施策を一つ一つ着実に実施してまいりたいと存じます。
次に、助成するとすればどれだけの財源が必要かという質問ですが、現在県で行っている福祉医療制度の中では、実施主体である市町村が実施する場合に要する費用の二分の一を県が助成することとなっております。今回の入院時給食費については、同様の助成を実施した場合の試算は保険種別による負担割合や所得により負担額が異なること、また制度の対象者が重複していること等から非常に困難でありますが、県の助成額はおおむね一億六千万円程度と考えております。
続きまして、各自治体の自主的助成に干渉するなという質問でございますが、議員ご指摘のとおり、地方単独事業は地方自治体みずからが自主的に判断し決定すべきことと考えてございます。しかしながら、今回の入院時食事療養費に係る制度改正については、将来を眺め、福祉の充実を図るために行ったものでございます。それゆえ県といたしましては、先ほど申し上げた理由から助成しない方針を決定し、国からの地方単独事業により入院時の食費の患者負担を軽減、解消することは制度改正の趣旨に反するものであり不適切であるとの指示とあわせ、県内市町村に通知したところでございます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員にお答えいたします。
健康保険法等の改正による病院の施設設備改善に対する支援策についてでございます。
入院時の食事について、その質の向上等食事サービスの改善を図るため、食事療養を行う保険医療機関に対し、今回の改正に伴い、診療報酬上、患者一人一日につき加算ができることとされたところでございます。加算できるのは、一点目、適時適温等一定の要件を満たす食事を提供した場合は二百円、二点目、複数の献立による食事を提供した場合は五十円、三点目、食堂において食事を提供した場合は五十円、四点目、医療用食品として提供した場合は百八十円、五点目、疾病治療の手段として特別食を提供した場合は三百五十円でございます。なお、これは入院時食事療養費千九百円にそれぞれ加算できるものであり、一般患者の一部負担は定額の六百円に変わりございません。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 村岡議員にお答えいたします。
フォレストシティ計画の中の、国土法違反に対する行政の対応についてでございます。
今回の国土利用計画法違反事件については、同法に違反した行為であり、悪質な事件と言わざるを得ないと考えてございます。このフォレストシティ計画に係る土地取引は二百六十五件で、そのうち適正な届け出は百四十五件、無届け取引等が百二十件となってございます。
県といたしましては、同法の適正な運用を図るため、司直の処分とは別に、国土庁通達で示されている無届取引等事務処理基準に基づき、和興開発株式会社及び関係者に対し事情聴取等を初めとして各種調査を行い、行政処分を行ったところでございます。
処分の内容といたしましては、無届け取引等に該当した関係者に対し始末書の徴収百八件、そのうち予定対価の額を超えた関係者に対し注意書を交付したのは九十五件でございます。なお、届け出による価格指導に従わなかった関係者はございませんでした。また、無届け取引等の態様が特に悪質であり、無届け取引等を放置すれば法の適正な運用に重大な支障を生ずると認められた場合に行う告発については、既に検察庁から起訴されており、処分の対象外といたしたところでございます。今後、このようなことがないよう、法の適正な執行になお一層努力をいたしたいと考えてございます。
事後事務措置の改善についてでございます。
土地売買等、届け出後の国土利用計画法による事後措置については、不勧告通知書を当事者に交付する際、当該土地取引のその後の状況を把握するため、契約状況報告書の提出の協力をお願いしているところでございます。しかしながら、契約状況報告書の提出については国土利用計画法上義務づけがないため、その実効性は必ずしも十分とは言いがたい状況でございます。その実効性をさらに高める方策といたしまして、昨年より検討を加え、契約状況報告書の様式の見直し、報告書提出の督促等を行ったところでございます。
その結果、報告書の提出数が、平成四年では届け出件数千九百三十八件のうち報告書提出数四百七件で報告率二一%であったのが、平成五年では届け出件数千六百八十五件のうち報告書提出数八百二十六件で報告率四九%となり、前年に比較して二八ポイントの増加となってございます。
なお、国土利用計画法の適正な執行を図るため、国に対し、法の整備等により契約状況報告書の提出が義務づけられるよう、今後も強く要請してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員ご質問の、農作物被害状況と支援対策、ため池改修費、井戸堀りに関する助成、並びに天災融資法の発動等についてお答えいたします。
本年の干ばつの状況については、被害総額が約七十二億円と近年にない大きな被害となっており、特に紀の川流域では、柿、ミカンを中心に全体の七五%に当たる約五十四億円の被害となってございます。このため県といたしましては、先般国に対し、天災融資法等の発動や農業共済金の早期支払い、並びに揚水機やポリタンクの購入、井戸の掘削を実施した場合等の干害応急対策事業に対する助成措置について強く要望してまいったところでございます。また、干ばつ被害園の事後対策についてでございますが、国における助成措置の内容を見ながら検討してまいりたいと考えてございます。
次に、ため池の改修についてでございますが、国の補助に係るため池整備事業は、ため池を利用する農地面積十ヘクタール以上は県で、十ヘクタール未満については市町村などで実施し、小規模な局部改修については県単補助で実施してございます。過去十年間、補助事業三十九カ所、県単事業百九カ所を実施してございます。今後も、自然災害を未然に防止するためにも、計画的に事業実施を図ってまいる所存でございます。
次に、紀の川用水と紀の川の水の有効活用についてでございます。
本年のような少雨による異常渇水に対し、紀の川用水土地改良区では町や農協等の申し入れを受け、組合員の理解と協力を得ながら用水の融通を行ってきたところでございます。
議員お話しの紀の川水系の農業用水の有効活用については、現在農林水産省において水利用、施設の実態等について調査中であり、この調査の進捗を見きわめながら、関係部局、関係機関と連携し、流域の市町や農業団体の協力を得て総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁をいただきました。
入院給食の問題ですけれども、どうもやらない方向で討議をされたような感じを強く抱くものです。国の指示があったことも含めて、やらないということに決めたんだ、そしてもう一つは近畿各府県がやらないという方向を決めているので和歌山もそれに従ったんだというような答弁だと受け取るわけです。
しかし、こういう問題は、最終的にはその地方自治体が県民の切実な要求を実現させるために、地方自治が本来の精神である県民の健康や福祉について、命にかかわる問題としてどう援助するかが基本的な考えだと思うんですけれども、そういう姿が一向に見えてこないんです。
特に社会的に弱者と言われる人たちは、経済活動をしたくてもできない人たちです。特に赤ちゃん等については、その年齢に従った発育を保障するのが食事だと思うんです。それに病気が加わっているわけですから、病気を治療するという観点を貫かなければならないというところにあると思うんです。どの病気に対しても、そういう観点を貫いてほしいなと思います。今まで保険で給付されてきたことが何だったのかとなるわけです。今、国は社会保障の中の命の問題としての保険制度を一つ一つ崩していっているのが現実ではないかと思うわけです。国は、公平を欠くとか、公平な負担をしてもらうとかというようなことを言っていますけれども、保険制度から考えてみれば国が負担をすることが基本になっていると思うんです。ところが、それを全部患者が払うんだという方向へ今持っていっていると思うんです。そういう点で、もう一回、保険給付から外したことについて考えてみていただきたいと思うわけです。
今までの医療改正の状況を見てくると、この十数年間にだんだん医療保険から外されて患者負担が多くなってきているのが現実だと思うんです。一つは、老人医療が無料だったのを有料にして老人保健法をつくり、外来、入院においても患者さんに負担を強いていく。それが三回、四回にわたって値上げをされて、今お年寄りの皆さんたちが大変難儀をしている状況にあると思うんです。そして、あげくの果ては、お年寄りの皆さんたちが一定の入院をしたら出ていってもらう、診療報酬点数の中で差別の点数をつけて、六十五歳以下の人と六十歳以上の人の保険点数がそこで差別されるということが平気で行われてきているわけです。
特に負担増で言えば、差額ベッドが非常にふえてきています。最初は、二割という制限を加えていました。しかしこの四月からは、環境をよくするという理由をつけて、仕切りをつけたりカーテンをしたら五割までは差額ベッドの料金を取ってもよろしいと。これは、四人部屋でも六人部屋でも差額ベッド料金を取ってもよろしいということになります。この十月一日からは、一○○%条件が整えば差額料金を取ってもよろしいということです。病院は今非常に経営が苦しいですから、差額料金で病院経営を補わなければならない。そういう点から見れば、病院経営はもっと苦しくなるという状況が生まれてきます。一方、患者の負担はますますふえていくという現状を目の当たりに見ていかなければならないと思うわけです。
そういった点でも、医療そのものが本当に私たちの命や健康を守ってくれる、病気になったときには安心して保険医療が受けられるという制度を、今こそ充実させなければならないときだと思うんです。高齢化社会と言うけれども、その一方ではお年寄りいじめの制度をどんどんつくっていっているのが今の政治の姿ではないかと思うんです。そうした一環として今度保険給付から療養費という別建ての給付制度にしたことから考えてみると、最初から弱者に対してもお金を取る、負担をさせていくことが意図的につくられてきていると言わざるを得ないと思うんです。
今、県が医療補助をしている分について計算をしてみると、年間で一億六千万円の助成額というご答弁がありました。この一億六千万円というのは大きな金ではないと思います。あのリゾート博に、宣伝費として十億円を使いました。これをここに当てはめれば、単純計算ですが、約九年間は無料化が実現することになるわけです。
今、弱者や経済的な活動ができない人たちに行政が光を当てることが最大限に求められていると思うんです。そういう点で、今答弁は求めませんけれども、これをもう一回検討していただきたいと思うわけです。よその自治体がやっているんだからやれないことはないと思います。ただ、国がやるなと言うからやらなかったんだというような、どうもそういう答弁にしか受け取れないんです。願いは切実です。この問題については、今後とも願いの強い皆さんたちと一緒に行政に求めていきたいと思います。
それから各自治体が自主的に決めることについては、県が一言でも言えば他の自治体への圧力となってやりにくくなるという現象をつくっていると思うんです。そういう点で、自治体へやってはいけないとかと言うようなことは今後一切やめていただきたいと思います。
次に、フォレストシティ問題です。
いろいろあったわけですけれども、この行政処分がやられた後ですので結果論であります。でも、ここに至るまでの間が非常に大切なんです。告発されなければ行政がそれに対応できなかったという事態に至っていると。行政の責任は大きいと思うんです。そのためには、今後この事後処理の問題──随分、改善努力をされていると思うわけですが、ここのところをぜひとも報告義務に持ち込めるように関係当局は頑張っていただきたいと思います。和歌山で再びこのように全国に名をはせるような事件が発覚しないためにも必要だと思いますので、要望しておきたいと思います。
それから、渇水対策です。
特にため池は、県全体で五千九百二十六カ所あるそうです。大変な数だと思いますけれども、これは農業を守り発展させていくためにはどうしても必要だと思うんです。聞くところによりますと、一自治体一カ所が申請の条件になっているんだそうですね。それを基本に置いておいても、こういう事態ですから、この際それをもっと緩和していく、そして援助策を思い切ってやっていただくという方向も見出していただきたいと思います。
何よりも、天災融資法の発動を国にもっと積極的に──一回やったからいいんだというのではなしに、もっと強めていただきたい。早く発動できるものにしていただきたいと思います。
紀の川用水については、いろいろ問題があると思います。紀の川の水そのものを有効に農業に活用できるように、生活水が十分にあるようにと、そういう多岐にわたる要求に対して紀の川の水が有効に活用できるように、紀の川用水が本当に生きるような方向も含めて再検討していただくために、ぜひとも調査研究をしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
もう時間が来ましたので、終わります。要望にいたします。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。