平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第四号 平成六年十月六日(木曜日)
午前十時開議
第一 議案第八十九号から議案第百十六号まで、及び報第七号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
第一 議案第八十九号から議案第百十六号まで、及び報第七号(質疑)
第二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
1 番 小 川 武
2 番 吉 井 和 視
3 番 井 出 益 弘
4 番 和 田 正 一
5 番 町 田 亘
6 番 尾 崎 吉 弘
7 番 岡 本 保
8 番 藁 科 義 清
9 番 向 井 嘉久藏
10 番 佐 田 頴 一
11 番 阪 部 菊 雄
12 番 堀 本 隆 男
13 番 平 越 孝 哉
14 番 富 田 豊
15 番 門 三佐博
16 番 西 本 長 弘
17 番 高 瀬 勝 助
18 番 上 野 哲 弘
19 番 宇治田 栄 蔵
20 番 尾 崎 要 二
21 番 中 村 利 男
23 番 山 本 一
24 番 馬 頭 哲 弥
25 番 鶴 田 至 弘
26 番 飯 田 敬 文
27 番 村 岡 キミ子
28 番 松 本 貞 次
29 番 下 川 俊 樹
31 番 宗 正 彦
32 番 橋 本 進
33 番 浜 田 真 輔
34 番 冨 安 民 浩
35 番 上野山 親 主
36 番 中 村 裕 一
37 番 和 田 正 人
38 番 大 江 康 弘
40 番 木 下 秀 男
42 番 森 正 樹
43 番 野見山 海
44 番 新 田 和 弘
45 番 浜 本 収
46 番 森 本 明 雄
47 番 浜 口 矩 一
欠 席 議 員(一人)
39 番 中 西 雄 幸
〔備 考〕
22 番 欠 員
30 番 欠 員
41 番 欠 員
説明のため出席した者
知 事 仮 谷 志 良
副知事 西 口 勇
出納長 梅 田 善 彦
知事公室長 中 西 伸 雄
総務部長 木 村 良 樹
企画部長 宮 市 武 彦
民生部長 南 出 紀 男
保健環境部長 江 口 弘 久
商工労働部長 中 山 次 郎
農林水産部長 野 見 典 展
土木部長 山 根 一 男
企業局長 高 瀬 芳 彦
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員長
岩 崎 正 夫
教育長 西 川 時千代
以下教育次長
公安委員会委員長
西 本 貫 一
警察本部長 西 川 徹 矢
以下各部長
人事委員会委員長
水 谷 舜 介
人事委員会事務局長
代表監査委員 天 谷 一 郎
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長職務代理者
谷 口 庄 一
地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 岩 垣 孝
次 長 中 西 俊 二
議事課長 松 田 捷 穂
議事課副課長 佐 竹 欣 司
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主事 長 尾 照 雄
議事課主事 松 本 浩 典
総務課長 岡 山 哲 夫
調査課長 柏 木 衛
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時五分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百十六号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
26番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 議長のお許しをいただきましたので、順次、質問をさせていただきたいと思います。
一九八七年、国土庁により策定されました第四次全国総合開発計画いわゆる四全総は、二十一世紀に向けての国土づくりの指針を示しております。その中には、我が国の諸情勢の大きな変化に対して、人口動態、経済、国際関係などの課題を述べております。特に国際的には、東西冷戦終結を受けて、我が国が関係する中国を初めとするアジア諸国との連携を深めていくことが日本の進むべき道であると述べておるわけであります。また、東京一極集中はさまざまな問題を引き起こし、多角、多圏域型の地域構造を形成していくことが大事であるとして、圏域では東京圏、関西圏、名古屋圏と地方中核都市に分類し、各地方それぞれが広範な分野で世界の拠点となり得る複数の都市を育成することが大事だと訴えております。関西圏については大阪、神戸、京都の三極構造となっており、関西国際空港を活用した国際都市づくりを強化していくことが重要であると説いているわけであります。
ところで、四全総総合的点検調査部会報告の中で、関西圏の府県名は京都、大阪、兵庫、奈良の四府県となっており、我が和歌山県がそのほか二県となっておる事実があるわけでございますが、なぜ我が県が関西圏に入っておらないのか、大変理解しがたい記述があるわけであります。また、四全総の考え方はアジア諸国との友好を強調しておりますが、現在行われている友好姉妹都市提携を、特に関西国際空港開港を機にしてアジアを大きく視野に入れて推進していくべきであると思いますが、仮谷知事のご所見をお伺いいたしたいと思います。
また、世界は歴史的な大きな変動が起こり、過去の秩序崩壊に伴う混乱が今もなお続いております。ポスト冷戦の余波は私たち日本にも大きな波を運んでまいりました。日本は、これまで欧米諸国に対し追いつき追い越せを旗印に中央統制的な方法で国を発展させてまいったわけであります。今日、それが一定の成果を上げてきたことは確かでありますが、世界的な変革の時代にあって、さまざまな矛盾を引き起こしておるわけであります。歴史的な大転換を遂げた日本の政治も例外ではありません。約半世紀にも及ぶ自民党一党支配の崩壊から新しい連立政権が誕生し、戦後政治史を改革の波へと導いてきたわけであります。
ところで、今回の連立政権誕生への引き金となった原因は、さきに述べた世界的な秩序崩壊に伴う混乱も原因の一つではございますが、日本政治自身の原因である構造的腐敗や金権体質などの政治改革の失敗から来る政治不信であったと思うわけであります。新政権は最大課題として政治改革を掲げ、政治改革関連法案の成立に全力を注ぎ、国民に開かれた政治を訴え、法案を成立させてきたわけであり、その流れは新しい連立政権にも引き継がれ、今臨時国会で区割り法案等、仕上げがなされようとしておるところであります。
政治不信のもう一方の原因である行政に対しての不信も、きわまっております。一九九三年十月末に最終答申をまとめた臨時行政改革推進審議会は、七項目を首相に対して提出いたしました。その内容に地方分権の推進がうたわれております。しかし、多くの意見として、地方は機関委任事務に見られる法構造や補助金による中央からの財政統制などがあり、地方は中央集権体制の末端であり、自治は空洞化していると言われ、地方分権の担い手としての地方の行政力不足が不安視をされているところであります。また、東京圏への諸機能の一極集中や経済的、文化的な地域格差の拡大が国土利用の不均衡を生み、社会経済のゆとりある発展を阻害していると感じられるのは私一人でありましょうか。これらに対応するためには、集権型行政システムから脱し、地域特性に合った文化、経済を十分発揮できるような分権型行政システムが必要であります。
そのような折、全国知事会などの地方六団体の地方分権推進委員会は、一九九四年九月に地方分権推進要綱を国に具申いたしました。地方分権推進要綱案は八章から成っており、地方公共団体と国の関係、財政自主権の確立と分権の推進に伴う財源保証、分権推進計画の作成、さらに地方分権委員会の設置などで構成をされております。
地方と国の関係では、国が処理すべき事務を外交など十六項目に制限し、住民生活に直結する行政はすべて自治体が行うように定められております。なお、分権に伴う財源保証の問題では、自治体の課税自主権の強化や地方交付税制度の見直し、国庫補助負担制度の改革を実施すると決めております。
地方分権推進計画は、国の出先機関の整理統合を内容とした計画を立て、この計画の実施状況を監視する機関として国に独立した地方分権委員会を設置するように定められております。さらに、要綱は地方分権推進法を一年程度の間に策定すべきと明記しており、地方分権の要求の波は大きく広がっていると感じるわけであります。また、首相の諮問機関である第二十四次地方制度調査会も同様の報告を昨日決定し、首相に提出をいたしたところであります。
このときに当たり、仮谷知事にお伺いをいたします。
我が和歌山県が他府県に先んじて地方分権推進にかかわる積極的な取り組みを特に要望するとともに、さらに県と市町村との関係においても分権推進法は密接な関係があり、この際、県と市町村の分権のあり方等について抜本的に検討すべきときに来ていると思うわけであります。こうした地方分権に対する県当局の基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
続きまして、関西国際空港開港を機にして、この空港を中心とした国際都市づくりについてお尋ねをいたしたいと思います。
私が今日まで訴えてまいりました和歌山県、とりわけ紀北地域と大阪府泉南地域を一体とした新都市づくりを促進しなければならないと思っております。幸いにして、先ごろ、計画から二十五年、着工から七年半を費やし、関係各位のご努力のもと開港した我が国のハブ空港であります関西国際空港は、一関西圏の空港ではなく、日本の航空行政の中心的空港であります。もちろん、世界主要空港の中に参入をしようとするからには、横風用滑走路など全体構想の早期着工・完成が必要であります。国としてもアジア諸国の指導的立場をあらわすためにも、また世界の趨勢は海上から陸上へと移り、航空輸送へと移ってきておるわけであります。海上、陸上交通とあわせ、世界は一つになりつつあると思うわけであります。
このようなとき、航空行政が世界におくれることがあっては日本の将来はないと考えるわけであります。どうか、県知事におかれましては、日本の基幹空港である関西国際空港の位置づけを十分認識され、関西圏が生き残っていくためばかりではなく、日本の将来を占う重要な空港であることを十分認識されまして、国に対して強く要望されることを希望いたすものであります。また、世界に一番近い町・那賀郡として関西国際空港を核とした新都市づくりを促進し、関西空港全体構想の早期実現と相まって進めていただきたいと思うわけであります。
次に、道路整備についてお伺いをいたすわけであります。
本年二月議会においても、関西国際空港を利用し、京阪神と並ぶ経済集積を持つ大阪泉南地域と紀北地域とりわけ那賀郡との一体化を促進すべきであると提言をいたしました。その方法の一つとして、道路の早期整備が重要であるわけであります。
府県間道路泉佐野岩出線及び泉佐野打田線を和歌山側より完成させ、全体整備のイニシアチブを発揮され、和歌山を関西圏において必要不可欠な県に育てていくべきであると思うわけであります。また、高規格高速道路の京奈和自動車道路建設があわせて急務であります。
しかし、関西国際空港が開港した今、関西空港を核とした和歌山県に対する道路整備は重要でございますが、その点から見ますと、現在橋本─高野口間の事業開始がされているとはいえ、京奈和自動車道路の具体像がなかなか見えておらないわけであります。紀の川臨空都市圏整備構想の中心的道路としては余りにも遅過ぎると思わざるを得ません。京都府下、奈良県下の実施状況と比較いたしましても、両府県にはおくれをとっておるのが現状ではなかろうかと思うわけであります。
そこで、和歌山県の浮揚を考えるならば和歌山市側、那賀郡側からも同時に事業着手すべきであると考えますが、いかがでしょうか。府県間道路の空港アクセスと工事の進捗、及び京奈和自動車道路の和歌山市側、那賀郡側よりの同時着工をすべきであると提言をいたしたいと思います。県当局のご見解をお聞きしたいと思います。
次に、さきの議会でも質問させていただいた鉄道の整備についてお聞きをいたしたいと思います。
鉄道整備は、道路整備とともに、国際都市建設また人が住みよい住環境づくりを推進していく上で欠くことのできない施策であります。今回は具体的に建設の提言をさせていただき、地域の交通政策に協力をしていただきたいと考えておるわけであります。
那賀郡には、南麓サイエンスパーク計画のプロジェクトの中にある学術研究都市づくりの地域がございます。現在、近畿大学生物理工学部が開設されており、二学年五百八十三人が在学をしております。そのほとんどが大阪府を初めとする他府県よりの通学生であり、全体が入学すると一千百人もの学生が在学することになるわけであります。近畿大学の総合大学化や国内外の大学などの誘致を含めた国際学術研究都市をつくり上げるためにも、鉄道の建設が不可欠であると思うわけであります。
そのためにも、関西国際空港を核とする大阪泉南地域と紀北地域の一体化を目指し住みよい都市建設を図る上で、JR阪和線和泉砂川駅とJR和歌山線下井阪駅を結ぶ鉄道建設を行い、途中にその大学駅を設けてはどうかと思うわけであります。もちろん、南海貴志川線と連結をすれば和歌山市内からどちらを利用しても行ける環状ルートができ上がるわけであります。
JR和泉砂川駅とJR下井阪駅とは約十三キロメートルであります。和泉山脈を含めたトンネルは三・九キロメートルでつながり、現行のルート下井阪─和歌山駅─和泉砂川駅三十六・三キロの約三分の一であります。予想をはるかに超えた紀北地域の発展につながると思うわけであります。また、これが実現をいたしますと和歌山線の活性化にもつながり、高野山へも直結することになります。ぜひ実現できますように調査され、県勢浮揚につなげていただきますよう強く願っておるわけであります。県当局の考え方をお聞きしたいと思います。
さて、今まで質問させていただいた事柄は単に和歌山県のみの発展を目指したものではなく、地方分権の波と関西国際空港を利用した、近畿圏の復権に向けての地域に根差した一体的な開発施策が必要であることを訴えてまいったところであります。東京一極集中をなくするためには、地方分権や行政改革を中心とした国際化にふさわしい受け皿を構築していかなければなりません。
幸い那賀郡には、岩出・打田両町にまたがる県のプロジェクトの中で関空に一番近いプロジェクトである南麓サイエンスパーク計画があるわけであります。その柱は、住宅地域、企業誘致地域、学術研究都市地域の三点から成っており、特に学術研究都市は近畿大学を中心に、緑花センター、昭和の森の建設は終えておりますが、さらにその整備が必要となっております。これを受け皿として積極的な開発が必要であると思うわけであります。
また大阪府では、関西国際空港の開港を受けて国際会議の開催が相次いでおります。国際観光会議、APEC閣僚会議など、国際コンベンション都市として飛躍させる戦略であるとお聞きをしております。我が和歌山県もこうした有利な追い風を利用して、国際会議場の建設や和歌山でオリンピックが開催されるような国際競技場等の建設が必要であると思うわけであります。
私は、県に各種イベント招致や国際的な会議・大会などを積極的に推し進めるコンベンションビューローの設置が必要ではないかと考えております。国際会議場については、那賀郡北西部に昭和五十四年、県民の憩いの場として緑花センターを設置し、あわせて昭和の森整備が行われたわけでございますが、この事業を進めるに当たりまして、関係各町の応援、理解も得られ、また県当局が取得した所有地やその他の土地も含めた会議場建設を具体的に進めていただきたいと思うわけであります。近くには近畿大学が開校して眼下には紀の川が流れ、人と自然が触れ合うすばらしい環境であります。
また、国際陸上競技場等の建設については、現在県立陸上競技場のみで、それも建設から二十四年がたち、老朽化しているように思われてなりません。和歌山にオリンピックなど国際大会を誘致できる競技場を建設し、世界に誇れる国際都市・和歌山を築き上げることが大事であると思うわけであります。
さらに、私が二月議会において要望いたしました紀仙スカイライン構想が、このたび当局のご熱意をもって本当にご努力をいただいておりますことに対し厚く御礼を申し上げる次第でございます。この事業は和歌山・紀北地域の発展の第一歩として重要な事業であり、今まで申し上げてまいりました大阪泉南と紀北地域、とりわけ那賀郡の観光・宿泊レクリエーション施設をつくり上げ、大阪泉南地域と那賀郡の一体的なさらなる開発を期待したいと思います。
県当局の国際会議場及び国際陸上競技場建設、並びにイベント推進の母体であるコンベンションビューローの設置について具体的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
続きまして、私のふるさとであります那賀郡は、世界に一番近い町として郡内各町とともに総合的に発展をさせていかなければならないと常々思っておるわけでございます。紀の川臨空都市圏整備構想策定事業を積極的に進めていくことによって、紀の川流域の豊富な自然環境と調和した臨空都市圏づくりを早急に具体化する必要があると思うわけであります。その一つには、那賀郡全体、紀北地域全体から見た土地利用計画を行い、乱開発を避け、自然と調和した計画的な整備を進めていただきたいと思うわけであります。また、紀の川流域下水道整備については、地元各町と綿密に調整をしながら、早急に終末処理用地の確保と周辺整備計画をお願いしたいと思うわけであります。
さらに、関西国際空港には、開港前の想像をはるかに超える情報の波が押し寄せております。いよいよ本格的な情報社会に入ってきたわけであります。和歌山県は情報システムの導入には意欲的な取り組みをされておりますが、県の基幹産業であるところの農業の情報化の取り組みについては今後特に強力に推し進めていかなければならないと思うわけであります。今まで申し上げてまいりました国際化の波は農業の形態までも変えてしまい、近代的農業の発達は高度な情報を必要としておるわけであります。県運営の通信ネットでは多種多様な情報に対処されておらない現状があると聞いており、県民がひとしくどの分野においても情報が得られるようなシステムを構築されますよう、この際、強く要望いたしたいと思います。
紀の川臨空都市圏整備構想の進捗と具体的方針、また紀の川流域下水道整備の進捗状況と情報システムの今後の取り組み計画をお聞きしたいと思います。
以上、国際都市建設等についての私の質問を進めてまいりましたが、県当局の積極的なご答弁を強く期待を申し上げまして、第一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
二十一世紀の国土づくりについての関西圏のあり方の問題でございます。
おっしゃられましたように、関西国際空港が開港して、国際都市としての関西圏をつくり上げることが緊要な課題だと私も思っておるわけでございます。それをいかにしてつくるか。創意と責任を持った体制をつくり上げてやっていかなければならないし、本県の果たす役割も非常に大きいと思っておるわけでございます。
特に、関西圏においての国際交流の問題については、話ございましたように、アジアとの交流が重要な課題でございます。昔からのアジアとの交流のノウハウ、そしてまた距離が近いといった特徴を生かしまして、二十一世紀はアジアの時代だと言われておりますので、そうした面においてなお一層交流を深めていかなければならないと思っておるところでございます。
また地方分権の問題でございますが、都道府県と市町村が連携をとりながら現在進めてございまして、今般、地方六団体、知事、都道府県議長、また市町村長等の団体が地方分権推進要綱を取りまとめ、内閣及び国会に対して地方分権推進に関する意見書として提出したわけでございます。このことは大いに意義がございますし、この意見書の内容が年内に国において策定される予定の地方分権に関する大綱方針に反映されるよう、知事会等あらゆる機会を通じて働きかけてまいりたいと思います。また、話ございましたように、昨日の地方制度調査会小委員会における決定を調査会として了承したと言われてございます。これは、今まで答申があったけれどもできなかったのは進め方に問題点があるということで、進め方等について検討した意見書でございまして、こうした形で積極的に進めていただきたいと思っております。
また、県と市町村との関係につきましては、従来から住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において処理することを基本として市町村への権限移譲を行ってきたところでございますけれども、今後とも市町村のご意見を伺いながら、なお一層市町村の自律性、自主性を高める施策に具体的、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 知事公室長中西伸雄君。
〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 飯田議員ご質問のアジア諸国との交流についてでございますが、本県においては、歴史的つながりの深い中国山東省と昭和五十九年に友好提携を締結しており、本年七月に友好提携十周年の記念式典を開催したところでございます。また、県内の市町村では、和歌山市、橋本市、串本町が、中国、韓国、トルコの都市とそれぞれ友好提携を行ってございます。先日閉幕した世界リゾート博においても、韓国、タイ、フィリピン、アセアンセンター等、アジアの各地域からのご協力を得て博覧会の国際性を高めていただいたところでございます。
また、本年九月に関西国際空港が開港し、アジア諸国との航空路線の利便性が増したことに伴い、本県とこれらの地域を結ぶ人、物、情報の流れも一層活発化することが予想されておりますが、これを機会としてアジア諸国との交流を進めていくことが重要であるとの認識に立ち、県内市町村の地域性をも考慮しながら施策を講じていくことが必要であると考えてございます。
しかしながら、アジア諸国と一口に申し上げましても、国それぞれ経済状況や政治体制が大幅に異なり、すべての国々に対して同じようなレベルで交流を行っていくことは大変困難なことでございます。こうしたことから、本県としては、機会をとらえてアジア諸国との交流を今後の課題として検討してまいりたいと存じてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 飯田議員にお答えいたします。
二十一世紀の国土づくりについての四全総を踏まえた国際都市づくりの取り組みについてでございます。
第四次全国総合開発計画においては、関西圏の整備の方向として、国際機能を担い、文化、学術、研究、国際交流機能等の強化及び経済活動の充実を図ることを位置づけており、本県は関係府県と連携をとりながら、関西国際空港の建設、大阪湾臨海地域の開発整備など世界都市機能の集積とともに、圏域内外の交流、連携基盤の整備に積極的に取り組み、世界都市・関西を形成するための重要な役割を担ってまいる所存でございます。
なお、本年六月に報告された四全総最終点検報告において、関西圏の地域区分に本県が含まれておらず二府二県のエリアとなっていることについてのご質問でございますが、国土庁にその真意を確認したところ、単に統計データ処理の便宜のためでございまして、国土庁としては四全総における考え方と同様の本県を含めたエリアとの見解をちょうだいしておるところでございます。しかし、本県を関西圏の重要な役割を担う地域として一層明確に位置づけるよう、国土庁主催の四全総点検最終報告の意見交換会の場において意見を述べさせていただいたところでございます。
国際都市建設についての中の鉄道整備についてでございます。
鉄道の新線建設については、鉄道事業者が旅客需要や安全性、事業採算等を勘案し、運輸大臣の認可を受けて行うこととされてございます。県としても、現在、紀の川臨空都市圏整備構想策定調査を実施しているところでございます。議員ご提言の鉄道整備についても、本調査における地域の交通ネットワークのあり方等を検討する中で、交通需要の動向等を見ながら検討すべき課題であると考えてございます。
三番目の、国際施設建設とイベント招致のコンベンションビューローの設置についてでございます。
関西国際空港が開港し、本県も世界に開かれた和歌山としての条件が整ってまいりました。これまで、国際化を目指し、世界リゾート博を開催し、美術館、博物館等、文化施設などの整備に取り組んでまいりました。また、国際的なスポーツ大会やイベントが開催できる多目的ホールや国際的リゾート基地としての和歌山マリーナシティなど、国際化時代にふさわしい都市機能の整備に取り組んでいるところでございます。また、さまざまな交流を繰り広げるために会議等の誘致や開催のノウハウが必要であり、民間も含めた検討が必要であると考えてございます。
特に那賀地方については、関西国際空港への近接性を生かした臨空都市圏として整備してまいりたいと考えてございまして、交流機能、スポーツ・レクリエーション機能等の充実についても必要であると考えてございます。
四番目の、紀の川臨空都市圏整備構想についてでございます。
紀の川流域は、さきの関西国際空港の開港により開発ポテンシャルが飛躍的に向上している地域であると認識してございます。本流域の豊かな自然環境と快適な水辺環境を生かしながら、開発と保全の調和を基調に環境共生型の都市圏を形成してまいりたいと考えてございます。
進捗状況並びに具体的方針でございますが、関係市町の開発構想や意向の聴取を実施しているところでございまして、これと並行して、有識者等で構成する策定委員会において本地域にふさわしい機能配置や交通体系等についてご意見を伺っているところでございます。今後はさらに先進地域の事例なども参考にしながら、ゾーニングや開発可能地の選定並びに事業手法等を検討してまいりたいと考えてございます。なお、検討に際しては、関係市町と密接な連携を図りながら、議員ご指摘のように大阪府との広域的な視点も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
五番目でございますが、情報化システムの構築についてでございます。
ご質問の県営のパソコン通信Wave-Netについてでございますが、昭和六十三年に開設し、会員数が現在約三千百人となってございます。このパソコン通信は、二十四時間運用により、県からの情報提供を初めコミュニケーションの場として利用できるようになってございます。
Wave-Netの情報の内容については、情報源である関係部局から情報を県民に提供しているところでございますが、議員お話しの農業情報を含め、さらにその内容の充実に努めるとともに、県内の情報通信基盤である黒潮ネットワークを一層整備拡充し、県民の福祉、活力向上に寄与できるよう、さまざまな分野の情報システム構築に向け、関係部局と連携をしながら努力してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 飯田議員の国際都市建設についてのご質問について、二点お答えいたします。
まず道路整備についてでございますが、府県間道路の整備については、紀の川利水に関する協定に基づき、両府県が協力して整備を進めているところでございます。
府県道泉佐野岩出線の和歌山県側では、根来工区が昭和六十三年に事業化され、用地買収と工事を進めております。森工区についても平成五年度に事業化され、また国道二十四号バイパスまでの区間についても現在用地買収を進めております。今後は、現在事業中の区間の促進を図るとともに、大規模農道から府県境までの区間についても早期事業化に努力してまいります。
大阪府側については、関西国際空港の開港の前に泉南インターチェンジからりんくうタウンまでの区間が暫定二車線で供用され、泉南インターチェンジから金熊寺地区までの区間が本年度中に供用予定でございまして、また残る府県境までの間は平成六年度に事業化されたところでございます。
府県道泉佐野打田線については、和歌山県側はおおむね一次改良済みでありますが、府県境部における線形不良区間については、大阪府とともにバイパス工事を促進しております。そのほか、泉佐野市上大木地区でバイパス事業が進められております。なお、そのほかに国道三百七十一号、四百八十号、岬加太港線などの府県間道路についても、阪和開発連絡協議会の場などで調整しながら事業の促進を図っているところでございます。
京奈和自動車道については、橋本道路が平成元年度に事業化され、現在、用地買収が進められており、高野口町─打田町までの紀北東道路についても平成五年度に事業化され、早期に都市計画決定すべく建設省において諸調査が実施されております。和歌山市から打田町までの間については、紀北西道路として第十一次道路整備五箇年計画内の事業化が位置づけられておりますが、この道路の重要性にかんがみ、県としても早期事業化について積極的に取り組むとともに、京奈和自動車道全体の早期供用に向け、国に働きかけてまいります。
次に、紀の川臨空都市圏整備構想に関連して、流域下水道に関してのご質問についてでございます。
紀の川中流域の那賀郡六町を対象とした紀の川流域下水道那賀処理区については、現在、基本計画の策定をほぼ終了し、終末処理場、ポンプ場の位置、周辺整備などについて関係の町と協議中でございます。今後、処理場、ポンプ場の計画を早期に固めるとともに、地元調査も十分に行いながら、都市計画決定の法手続を進め、事業着手に向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
26番飯田敬文君。
○飯田敬文君 今、知事を初め関係部長の大変ご理解のある回答をいただきまして、心強く思っておるところでございます。しかし、三点にわたって要望だけ申し上げたいと思います。
今も質問しましたように、地方分権こそこれからの日本の進むべき道であるということで、特に意を強くしておるところでございます。関西空港がこれから全体構想を初めとして日本の基幹空港として大きく飛躍をしていくためには、やはり財源的な裏打ち、さらには採算性、いろんな問題がこれから大きな問題としてかかわってくるだろうと思いますけれども、地方分権こそこの関西国際空港を支えていくべき大きな道筋ではなかろうかと私は常々思っておるわけでございます。関西空港を国際的な日本の玄関空港としてこれから推進していくためにも、我が和歌山県が中心的な県として地方分権の推進に邁進をしていただきたいなと、特にお願いをするところでございます。そうしたことを通じて国際都市建設に向けての道が開けてこようと思いますので、積極的にこの地方分権のリーダーシップをとっていただきまして、和歌山県がこれを推進するんだという形でお願いをしておきたいと思うところでございます。
二つ目は、関西空港また和歌山県はこれからアジアに顔を向けて進めるべきだと、私は常々このように思っておるところでございます。これからも、アジアの国と共存共生をしていかなきゃならない。日本も和歌山県も、これから空洞化ということが顕著な問題として出てくるであろうと思っておりますけれども、アジアの国々と経済的な交流なり貿易なりを通じて共生をしていく形で進むべきではなかろうかと思っておるところでございます。その中において市町村レベル、県民レベルでの姉妹都市提携やアジアとの友好交流ということで、ひとつアジアに顔を向けて推進していただきますように特に要望しておきたいと思います。
三点目に、京奈和自動車道路の問題でございます。先ほどもお願いをしたところでございますけれども、いずれにしても、この高規格道路がこれからの和歌山県の道路施策の中の最も基本的な道路ではなかろうかと思うわけでございまして、一日も早い実現をお願いするわけでございます。ひとつできるところから、特に和歌山市側、那賀郡側からも同時に着工できるように、近畿地建等に積極的に呼びかけていただきまして、臨空都市、国際都市・和歌山の建設に向けての重要な高規格道路だとの認識を持って推進していただきますことを特にお願いを申し上げまして、質問を終わります。
以上です。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
9番向井嘉久藏君。
〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 お許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。
まず、昨年六月の議会において、この壇上で伊都・橋本地方に多目的体育館をということでお願い申し上げておりましたが、ことしの当初予算で五百万円、また最近になって国の調査費九千九百万円がつきました。本当にありがとうございました。心から御礼申し上げ、また地元の一人として本当にありがたかったということで、市民にかわりまして厚く御礼申し上げます。
九四年版「世界人口白書」によりますと、五十六億六千万人、年間増加数九千四百万人、白書はさらに、四年後の九八年には六十億人、二〇二五年には八十五億人、二〇五〇年には百億人と、世界の人口を予測しております。私もその中の一人でございますが、何とすごい数字であろうかと驚くわけでございます。
片や我が国に目を転じますと、九四年八月一日、厚生省がまとめました人口動態統計速報では、出生率で十年ぶりに回復の兆しがあるものの、過去最低を記録した昨年の合計特殊出生率──女性が一生に産む子供の数でございますが──一・四六をやや上回るものの、依然として低い数値にあります。
毎日新聞七月二十六日付で、十六歳から四十九歳までの女性四千人を対象に実施した第二十二回全国家族計画世論調査によりますと、「子育てで大変なものは」という質問に対しまして、「教育にお金がかかる」がトップの五七・三%で、「進学やしつけなど気苦労が多い」が続いております。塾通いでは全国で小学生の約四人に一人、二四%、中学生の五人に三人、六〇%が塾に通うなど、塾人気が衰える気配を見せないのであります。家計で子供にかかる費用も教育費が断トツでございまして、女性が働く理由も子供の教育費を得るためというのがトップであります。教育費が家計に重くのしかかり、少子化傾向の原因になってきたことが明らかであります。県が四月一日現在で発表した六十五歳以上の高齢者は十八万七千六百人になり、老年人口比率も一七・一%を占めました。少子化が老年人口率のポイントを押し上げているのであります。
ただいま述べたことは少子化の原因としてはごく一部にすぎないと思うのでありますが、これら原因を一つ一つ取り除いていくことが大切であろうと思うわけでございます。この少子化問題は、十月四日、新田議員も質問をされていますので、なるべく重複を避けて質問いたしたいと思います。
一つには、赤ちゃんは町の宝、少子化にストップをかけようと、各市町村が相次いであの手この手の独自事業を実施しております。その願いは、切実で深刻であります。それが今、県、国レベルの問題へと変わりつつあります。日本の人口は二〇〇七年ごろをピークに減少すると民間調査機関は発表しております。毎日新聞五月二十三日付の「”出産ご褒美”の効果は?」と題する全国調査で、現金給付型の出産・子育て奨励支援施策を実施している市町村が相次いでいると発表しております。それによりますと、第一子から三十万円とか、また第一、二子には各十万円、三子には保育園卒園まで七十万円、同四子には百万円の支給を始めたとあります。ここまでやらなければ少子化対策ができないという過疎地の深刻な問題であろうと思うのでございます。
その調査では、本県の八自治体が実施しており、第一、二子が五万円、三、四子各五十万円となっております。この調査にあります八自治体とはどこか、またこのことについてどのような考えを県はお持ちなのか、民生部長にお尋ねいたします。また、この施策が公約として地方選挙の戦いの一つの大きな論点になっていたと新聞は報じております。これは群馬県の伊勢崎市でございますが、これを公約した市長は当選されたそうでございます。
次に、少子化の要因の一つ「進学やしつけに気苦労が多い」に関連してお尋ねいたします。
学童保育について、民生部長、教育長にお尋ねいたします。子供が保育園に入園すると、通常は九時から午後五時まで保育されます。その子が小学校へ入学いたしますと、低学年では午前中には帰ってまいります。しかし、母親は教育費を得るために働きに出ておられます。子供は一人で親の帰りを待つことになるわけでございます。この子供たちの面倒をだれが見るのか。これらの子供たちは、地域の民間ボランティアの手によって保育されております。当然、経費は親の負担になるのが現状でございます。
そこで、お尋ねいたします。
学童保育をする公の場所を提供することはできないのか、つくることはできないのかということでございます。第二点には、これら保育される親の負担分の補助金制度を設けることができないか。この二点について質問したいと思います。
同じく少子化問題に関連して、次に不登校児童問題について教育長にお伺いいたします。
不登校児を抱えたご家庭はもとより、本人のつらさ、苦しみは筆舌にはあらわせないと思うのでございます。不登校児は今も全国的に増加し続けていると理解しておりますが、本県ではどうなっていますか、お伺いいたします。その悩みの相談を受けてもらえるカウンセラーの先生方の絶対数が不足していると思います。カウンセラーとしての実力を持った教員の養成が大切だと考えますが、このことに対して現在どのように対処し、また今後どのように対処されようとしているのかをお伺いしたいと思います。
次に、橋本市の市脇─清水間紀の川架橋について知事にお伺いいたします。
橋本市中心部の市脇地区と対岸の清水地区を直結する紀の川架橋を求めて、地元自治会等が住民の強い願いを実現させたいと市脇・清水間紀の川架橋促進協議会を結成し、運動に取り組んでまいって既に十五年がたちます。毎年、建設省や県に陳情を繰り返してまいりました。また私も、昨年九月、この壇上で強く訴えました。その間に、市街地の中心は市脇地区へと移り、国道二十四号線と最近開通した堤防道路までの市道が拡幅改良され、橋本郵便局、橋本警察署、伊都県事務所、スーパー等が建ち、市街地を形成しております。
しかし、清水地区住民は、対岸の市街地に行くにはかなりの迂回の必要があり、不便をかこっております。紀の川架橋が開通すれば三百七十一号バイパスに直結され、将来、丹生川ダム経由で高野龍神スカイラインに結べば本県の中心を通る重要な橋となるわけでございます。また、発展する橋本市北部に比べ、川で発展を阻害されている河南地区の発展に大いなる貢献をすると考えます。また、橋本市のバランスのとれた発展が約束されるわけでございます。
市脇─清水間紀の川架橋にどのように取り組んでいかれるのか、前向きなお考えを知事にお伺いいたします。
次に、リゾート博で得た知識を県政に生かしていただきたいということでご質問申し上げます。
無事、リゾート博が盛況裏のうちに終了いたしましたことは、知事初め県下五十市町村、直接リゾート博にタッチした関係者の皆さんが一生懸命頑張られたたまものと、心からお祝いと敬意をあらわすものでございます。和歌山県始まって以来の大きなイベントであっただけに、そこで得たノウハウも大変なものであったろうと思うのでございます。また、何物にもかえがたいものであると考えます。今後、県政に生かしていかなければなりません。多くの議員が質問されておりますので、少し違った観点から、入場者の声の中から特に印象に残った話を挙げてみます。
一つには、交通渋滞の解消、また交通施策体系についてであります。リゾート博に来られるお客さまは、相当の交通渋滞があるという覚悟で出かけられたそうでございますが、リゾート博会場までは本当にスムーズに行けた、和歌山県は近かったという実感を持っておられます。二つにはごみ、トイレでございますが、リゾート博会場は広かったけれども、トイレが非常に多数設置されていたので非常に便利に使わせていただいた。また、トイレの掃除が行き届いており非常にきれいであった。会場内のごみ箱があふれているようなところはなく、非常に気持ちがよかった。三番目には、コンパニオンを初めとして職員の接客態度が非常によかった。こういう好印象を持っておられます。
好評であったパビリオンの質の高さも入場者をふやした大きな原因ではありますが、こういう一つ一つの積み重ねが三百万人近い入場者を得たのだと、私はこのように思うわけでございます。
そこで、お伺いいたします。
交通施策体系について、警察本部長、土木部長にお伺いいたします。交通体系について事前にいろいろとご研究いただいたということも承っておりますし、また本部長の口から「会場の中は別や。外部の道路は自分が責任を持って交通渋滞はさせないんだ」と、これだけの意気込みをもってこのリゾート博の交通渋滞解消に当たられたと聞いております。信号の設置、信号の再点検、また渋滞箇所の解消のために改修、改良等がいろいろとあったと思うのでございますが、どういうふうなご研究をされ、その成果を今後の和歌山県下の道路行政にどう反映していかれるのかをお尋ねしたいと思うのでございます。
同じくリゾート博に関係して、トイレの整備についてでございます。
観光立県を目指す本県で、公衆トイレの設置が少ないのが現状でございます。また、設置されているトイレも非常に汚く、使用できないという状態であります。幾ら他のことに合格点を取りましても、不快な思いをされて観光客が帰られるということでございますと不合格でございます。
建設省の関係で道の駅、また県の関係ではオアシストイレ、自然公園施設整備事業、それから各自治体への観光施設整備補助事業があるようでございますが、今後この問題について県はどのように取り組んでいかれるのか、またグレードアップをどのようにされるのかをお伺いいたします。
次に、接客態度について総務部長にお尋ねいたします。
博覧会場内で職員が三百万人ものお客さまに対応した中で得たノウハウをいかに県民との応対に生かしていくのかということが、非常に大切だと思うのでございます。来場者に好印象を与えました。事前の接客応対訓練が非常に行き届いておったのではないかと思うわけでございます。ぜひ、この応対の技術を生かしてほしいものだと思いまして、総務部長にご質問を申し上げます。
次に、産業廃棄物投棄規制について保健環境部長にお伺いいたします。
今、県下に他府県から産業廃棄物と称する膨大な量のごみが毎日運び込まれております。私の住む橋本市でも、既に八カ所がその投棄の対象となっております。このままでは和歌山県は近畿のごみ捨て場になってしまうんじゃないか、また法律で認められている産廃であるので遠く県境を越えてくるのを見逃すのか、こういう声もございます。取り締まる根拠がないから見逃さざるを得ないのか。法律で認められたものであれば、産廃の発生した地元で処理すればよいのではないか。──こんな処理業者の声が聞こえてきました。「こんなもの、地元で投棄できるわけがないやないか。地元がうるさいから、わざわざ高い金を払ってこんな遠くまでほうりにくるんやないか」、これが実態でございます。
そこで、お尋ねいたします。
産業廃棄物の投棄をしにくくする県条例の制定、また県下自治体への指導強化。三つには、産業廃棄物投棄に反対する住民が産廃のサンプルを保健所に持ち込んでも、今の保健所はそれを検査する設備と体制にないということであったようでございます。この三点についてお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。
ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 向井議員にお答え申し上げます。
市脇─清水間の紀の川架橋の建設でございますけれども、国道三百七十一号は高野龍神スカイラインを経て串本に至る重要な路線でございまして、その一環としての清水─市脇架橋は非常に重要なことであり、また絶えず関心を持っておるところでございます。
この架橋計画を進めるに当たりまして、国道二十四号との交差の問題がございますし、また河川協議の問題等、技術的な検討課題になっておるわけでございます。そうした点からおくれておりましたけれども、これらについて関係機関と積極的に協議を進めてまいりまして、本年度は現地でボーリング調査を実施する予定としてございまして、今後、必要な調査、調整を進め、早期に事業化ができるように進めてまいりたいと思っております。
他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 向井議員の少子化防止対策についてのご質問のうち、まず一点目の現金給付型の出産・子育て奨励支援策についてお答え申し上げます。
平成五年度で実施した子育てに関する県民意識調査によりますと、出生率の低下の原因については、子供を育てるのに経費がかかり過ぎるというのが第一位を占めてございまして、議員ご指摘のとおり、出産・子育てコストの増加が少子化の大きな原因の一つとなっているものと考えてございます。
県下で活力ある町づくりを目的に出産奨励金等の制度を、かつらぎ町、九度山町、高野町、花園村、湯浅町、清水町、中津村、美山村、中辺路町、北山村の十町村で設けていると把握してございますが、県としては、現在厚生省で策定中のエンゼルプランにおいて奨学金制度の普及拡大等による支援などが検討されていると聞いてございます。さらに県としては、例えば現在実施している乳児保育や延長保育等の特別保育の充実、子育ての楽しさや少子化の啓発等、子育てを社会全体で支援する総合的な対策を検討してまいります。
次に二点目の学童保育の公的助成措置と保育場所の確保についてでございますが、働く女性が増加する一方で核家族化が進行しており、放課後に保護者が家庭にいない児童の対策は重要な問題になってございます。本県では、平成三年度から市町村を事業実施主体として放課後児童クラブを設置しており、その活動の場として公の場を使用してございます。
なお、補助金制度については、今後も国の補助基準に基づき事業の推進に努力してまいります。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 向井議員にお答えいたします。
世界リゾート博で得た知識を県政に生かせ、交通施策体系についてはどうかというご質問についてでございます。
リゾート博に伴う市内の渋滞緩和対策については、関係者が協力し、一体となって検討を行ってまいりました。具体的には、国道四十二号の毛見トンネルや三年坂などの整備を行うとともに、国道四十二号を中心に可能な限りの交差点改良などを実施してまいりました。さらに、国道四十二号と毛見一号線の交差点にループ橋をかけるとともに、シーサイドロードをバスの専用道路として設置するなど、関係機関と連携を密にした対策の成果があったものと考えております。
なお、阪和道の全通、それから阪神高速大阪湾岸線、また湯浅御坊道路の広川までの供用も大阪及び紀南方面からの集客に大きな効果があったと考えており、道路整備の重要性について再認識したところでございます。
今後とも、県下の交通体系の確立のため、今回の成果を生かして関係機関と緊密に連携しながら積極的に道路整備を進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 観光地、観光地への道路トイレの設置と整備についてお答えします。
観光地としての条件は、その地域の特質や資源はもとより、快適な利用環境が提供されているか否かが大きな要素であると考えてございます。特に、公衆トイレ等の基本的な施設の充実が不可欠でございます。
観光地のトイレについては、ご質問にありましたように、自然公園施設整備事業あるいは市町村への補助事業等に加え、平成四年度から整備を県単独で実施するなど、最近三カ年で二十カ所の整備を図っているところでございます。また、維持管理については地元市町村にお願いしておりますが、公衆トイレのグレードアップを図ることにより利用者のマナーの向上にもつながることになりますので、今後とも、明るく安全で愛される、アメニティーにあふれたグレードの高いトイレの整備を行ってまいりたいと存じてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 総務部長木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) リゾート博での応対のよさの経験を生かせないかとのご質問でございます。
博覧会関係者の方々の応接のよさがリゾート博成功の一つの要因であることは、議員ご指摘のとおりだと思います。県職員についても、このリゾート博の貴重な経験を生かしつつ、より一層県民に親しまれる存在となるよう積極的に接遇の研修を行ってまいりたいと考えております。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 向井議員ご質問の産業廃棄物規制に関して、県規制条例の制定についてでございますが、産業廃棄物の最終処分場等を設置する際には、関係法令に基づく規制や指導を調査するため事前調査の制度を設け、本制度の中で市町村長の意見を聞くこととしてございます。また、業者に対してはこの意見を尊重するよう行政指導を行っているところでございます。
産業廃棄物処分場の設置を条例等で一律に制限することは困難であると考えますが、県外からの流入については行政指導による制限を実施している県もありますので、今後とも十分研究してまいりたいと考えてございます。
次に、県下自治体への指導についてでございます。産業廃棄物を適正に処理するためには、その受け皿となる最終処分場が適正に配置されていることが必要であると考えてございますが、先ほども申し上げましたとおり、県としては地元市町村長の意見を尊重することとしてございます。
続いて、保健所の廃棄物検査体制の充実と設備の充実についてお答えいたします。産業廃棄物を分析するためには高度な技術と多額の費用が必要となりますので、現在のところ保健所での検査は他の近畿府県と同様、実施してございませんが、産業廃棄物の処分場において不適正な処理により環境保全上問題となるおそれがある場合には、保健所の連絡を受けて環境調整課が立入調査を実施し、必要があればサンプリングして分析することとしてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学童保育にかかわっての場所の確保と不登校問題解消についてお答えいたします。
学校施設の利用についてでございますが、平成五年四月に文部省において余裕教室の活用指針が出されており、その指針の中では、学校教育の将来対応のスペースを確保した上で、余裕があれば社会教育等に転用することができることとなってございます。しかしながら、法的制約として、国の補助事業により取得した学校施設を学童保育のための専用施設として恒久的に使用する場合、文部大臣への財産処分の承認事項となってございます。今後とも、法的制約を踏まえ、学校施設の開放について市町村教育委員会に指導を行ってまいりたいと考えてございます。
次に登校拒否についてでございますが、平成五年度の三十日以上の欠席は、小学校で在籍児童数の〇・三%、中学校では一・三%となっており、ここ数年、全国と同様に増加する傾向にあります。このことは、学校教育の最も大きな課題であると受けとめてございます。
こうした課題解決のため、これまで本県独自で実施している教育相談活動の充実に努め、研修センターに教育相談主事二名を、また各地方にそれぞれ一名、計八名の教育相談員を配置し、教員や保護者等に対して専門的な立場から指導助言を行ってございます。また、学校カウンセリング指導者養成講座等を実施し、学校でカウンセリングを行うことのできる高い技量を持つ教員を、現在までに約四十五名養成してきております。今後とも、こうした教員の養成に努めるとともに、すべての教職員の力量を高め、教育相談活動の一層の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
また、教員の採用に当たっても、こうした観点から大学での専攻や特技等の把握に努め、保護者からの要望にこたえてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 警察本部長西川徹矢君。
〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 向井議員にお答えいたします。
世界リゾート博交通については、関係者の皆様方のご協力を得て、ハード・ソフト両面の事前及び期間中の対策が功を奏し、幹線道路における渋滞や県民の皆様方の日常生活交通への影響を最小限に抑えることができたのではないかと考えております。
この要因としては、まず第一には、一年前から会場周辺道路の整備を目的としたワックンロード・クリアランス作戦と銘打った事業を展開し、道路管理者と緊密な連携のもとに、ループ式陸橋や幹線道路の右折帯等の設置を行い交通容量の増大に努めたこと、二つ目には、マイカーからシャトルバスに乗りかえていただくいわゆるパーク・アンド・ライド輸送方式というものを採用したこと、そして一部の道路をバス専用あるいは優先道路として規制するなどにより自動車交通総量の削減を図ったこと、三つ目には、最新の交通管制システムを導入し、旅行時間の提供あるいは駐車誘導を行うとともに、交通監視カメラにより交通状況を直接係員の方で視認しながら思い切った信号操作を行い、これにより円滑な交通流管理ができたこと、四つ目として、阪和道からの車両を高速自動車隊の標識車などにより和歌山と海南の両インターに適宜振り分けて分散誘導したこと、その他、白バイ隊などにより周辺道路における駐車違反車両の排除、あるいは交通事故等があった場合の処理を迅速にした等々の対策がいろいろ功を奏したのではないかと考えております。
とりわけこの中で、先ほど申し上げた一番目のワックンロード・クリアランス作戦のもとに関係機関との緊密な連携が図れたということ、それから第三番目に申し上げた最新の交通管制システムを導入したこと、これが極めて効果があったものと考えております。
今後、これらの成果を踏まえ、このような施策を全県的に展開したいと考えておりますが、当面は、近畿自動車道の御坊延伸に合わせ、道路管理者等関係機関との連携を深めながら、御坊・田辺周辺地域における交通流管理のための基盤整備について努力を傾注していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
9番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問させていただきます。
いずれも要望でございますが、知事から今、市脇─清水間架橋の問題に一歩踏み込んだご答弁をいただきました。本当にありがとうございました。
確かに、国道二十四号線との関連、また三百七十一号バイパスがその二十四号線の近くまで伸びてくるわけでございまして、これらの関連、非常に難しい問題がたくさんあるわけでございますが、本年度中にボーリングを開始し早期に事業化をすると、こういう力強いお言葉をいただきました。去年九月に質問をさせていただいたときには、まだまだ目の前に霧がかかったようなことでございました。丹生川ダムとの関連でというお答えでございましたので、まだ十年先になるんかなと、非常に地元の住民も先行き不安を抱いておったわけでございますが、ただいまいただきました回答、本当に橋本市民挙げて喜んでくれるものと思っております。ありがとうございました。今後とも早期に着工できますように、県当局のお力をおかしいただきたいと思うわけでございます。
それと、いつも思うわけでございますが、産業廃棄物の関係で発言いたしますときに、何か大きな壁にはね返されているような気持ちがするわけでございます。私も市議十数年の経験がありまして、その中で何回か質問をいたしたわけでございますが、やはりそこでも大きな壁にぶち当たった。非常に難しい問題でございますが、一歩一歩前進していることは確かでございますので、今後とも──その投棄場所に当たっているところの住民は非常に迷惑をしております。ダンプカーが毎日多数やってくる。橋本市内には現在八カ所の投棄所がありまして、もう五年も続いておるところもございます。相当な量のダンプカーが出入りするわけでございますが、その沿線の住民は、ひょっとしたら子供がその車に巻き込まれはせんかなと、こういうような心配も非常にしているところでございますので、ひとつどうかよろしくお取り組みを願いたい。要望を申し上げまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十四分休憩
──────────────────
午後一時七分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、入院給食費の患者負担の県費助成についてでございます。
健康保険法等の改悪が十月一日から始まりました。今回の改悪法では、入院給食をその療養給付から外し、健保でも国保でも老人保健でも同じ額、一日八百円、当面六百円を入院患者に負担させる食事療養費にしたものであります。
ところが厚生省は、この八百円を超える高い額の選択メニューを用意することができるとし、この場合は患者からその差額を取っても構わないとしております。つまり患者の払える金額の差によって、例えばすしの値段のように特、上、並みの食事を自由に出せるというものであります。これでは、入院給食が治療食から遠い食事になってしまう可能性があります。患者負担を赤ちゃんからお年寄りまで一律に負担させるのですから、福祉医療の原点を投げ捨てたと言わざるを得ません。しかも、この患者負担は高額療養費の対象になりませんから、丸ごと大幅負担増になります。経済活動の困難なお年寄りや障害者など弱者と言われる患者にも課したことは、憲法第二十五条の存在を実質的に否定するものでもあります。特にお年寄りの負担は、入院するなということになりはしないでしょうか。入院医療費一日七百円に加えて食費六百円ですから、一カ月で今までの二倍、三万九千円の負担になります。
私は、今回の患者負担について、三人のお医者さんに話を伺ってまいりました。
小児科の大学教授は、「乳幼児の入院食事は治療食以外の何物でもありませんよ。病気の治療という側面と、その子供の成長、発達を保障するという極めて重要な意味を持っていることを忘れてはいませんか。また専門的に言わせてもらえば、六歳以下の乳幼児の医療費は無料にすべきだと、私はずっと思ってきました。今日、あちこちの自治体が無料の年齢引き上げを行っているのですから、和歌山も考えてほしいと思います。ぜひ無料化を実現して、年齢も拡大してほしいと思うんです。給食費の患者負担は、実際困りますね」と語っておられます。
また内科の教授は、「どんな病気にも共通して言えるのは、食事療法が基本なんです。医療の三大治療法と言われていることは、一に食事、二に運動、三に薬物療法、そしてそれにあわせて外科療法やリハビリなんです。多くの患者さんは、薬を飲むことが病気を治すと思っていらっしゃるようですが、何といっても食事が基本なんですよ。だから、入院給食は治療食なんです。例えば、糖尿病の場合を考えてください。日常生活の中で、治療として食事療法がかなめになります。これには、三週間から四週間の教育入院をしていただかなくてはなりません。そして、病院給食で病状の程度によって医師の指導のもと、特別食いわゆる糖尿病食で量や味、カロリー計算に基づいた教育が行われているんです。ですから、どこに行っても食事はするというのはそのとおりだと思うんですけれども、何もかも同じという考え方はどうでしょうかね。また、成人病や慢性疾患の原因は日常生活の食事のひずみによって引き起こされる病気でありますから、その原点に立ち返ることなんです」と、病院食についてこうお話をしていらっしゃいます。
病院を経営する院長先生に伺ってみました。「経営者の立場から申しますならば、それは治療の一環ですよ。わかり切ったことです。患者負担がふえることで入院時期をおくらせ、重症化が進むのです。きょうは食事は要りませんと、食事を断る患者がこれからふえてくるかもしれませんね。病棟にある食堂で食べたら一日五十円、夕食を午後六時以後に適温給食したら一日二百円を保険から支給するとなっていますけれども、考えてみてください。老朽化した既設病院は、食堂をつくるのも困難なことです。病院の栄養士が在宅訪問して栄養指導するなんて、人員確保でとても大変なのに無理な注文だと思うんですよ」と、法改正そのものにも批判的でした。今後の病院経営の不安も語っていただいたところです。
法改正によって、病院等が患者ニーズにこたえるために、施設設備改善に対する支援はどうような具体策があるのか、お示しいただきたいと思います。
十月一日の実施を前に何らかの助成をすると決めた都道府県は、九月二十二日現在で二十一、助成する方向で検討している県が二つと、このように広がってきています。厚生省は都道府県に対し、再三、患者負担の助成は不適切とした事務次官通知を出して圧力をかけ、助成した場合はペナルティーを科すなどとした状況もありました。そういう中でも住民の要求を受け入れて、このように自治体は助成をすることを決定したんです。我が日本共産党は、国会議員が九月二十九日、厚生省の国光保険局長に対し、事務次官通知などで地方自治に干渉しないよう申し入れを行いました。「通知はいわばお願いであって、法的拘束力はありません。自治体がどういう助成制度を設けるかは地方自治体の自由権限であって、縛ることはできません。ペナルティーを科すこともできません」と、局長は明言されています。
本県でも、一九八二年、老人医療が有料化されたときに、六十七歳から六十九歳までの医療費を無料化した実績をきょうまで積み重ねてきていることは、お年寄りたちにとってはどんなにか大きな喜びであると思うんです。このことが、かけがえのない大切な命を守る自治体の本来の姿勢を示していると思うんです。現在、本県が独自に助成している一歳未満の乳幼児、母子、重度心身障害者、さきに申し上げた六十七歳から六十九歳までの老人医療費や難病で苦しんでいる社会的に弱者と言われている患者さんの負担について、福祉医療の立場から、ぜひとも本県もこの六百円を助成することを考えていただきたいと思うんです。福祉医療は、住民の福祉と健康保持を使命とする地方自治の規範でもあり、責務だと思うんです。このことについてお答えください。また、助成に必要な金額はどのくらいでしょうか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
次に、先日の下川議員の和歌山市における助成措置条例に対する県の考え方の質問に対する答弁についてお伺いをいたします。
助成をするかしないかについての権限は、独立した和歌山市にあることはご承知のことと思います。市民の願いにこたえるための積極的な市の助成提案であると思うのが、ごく一般的ではないでしょうか。別に、和歌山市が法律に違反しているわけではありません。さきにも述べたように、多くの地方自治体で助成を決定していることからも、県がとやかく言うべきではないと思います。地方自治に干渉すべきではないと思うものです、いかがでしょうか。保健環境部長のご意見をお聞かせください。
続いて、フォレストシティ計画問題についてお尋ねをいたします。
ご承知のように、フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社は、昨年九月に大阪地検特捜部の捜査を受けて以来、国土利用計画法、所得税法違反に加えて、紀陽銀行の過剰融資疑惑やフォレストシティ計画への暴力団関係者との深い関与など、数々の疑惑が生じ、目に余る札束攻勢など手段を選ばぬ開発の進め方が、県民ばかりでなく全国から厳しい批判を浴びてまいりました。今、和興開発株式会社及び前田社長を初め会社幹部らを被告とした裁判が大阪地方裁判所で進められておりますが、その中で法を無視した極めて反社会的な諸事実が改めて明らかになりつつあります。中でも重要なことは、この裁判では、同社の幹部だけでなく和興開発株式会社という法人自体が被告となり、裁かれようとしていることです。
私は、これまで本議場において、和興開発の地元住民に対する不誠実な姿勢や地権者に対する札束攻勢による無法な用地買収行為の数々を明らかにして、事業者への積極的な指導を県行政に求めてまいりましたが、その効果は皆無でありました。社会的にも、マスコミを通しての厳しい批判にもかかわらず、最近、フォレストシティ計画に反対している圓明寺の同意を取りつけるため圓明寺の本山である臨済宗・妙心寺に対し三億円の寄附を持ちかけ、本山を通して圧力をかけようとするなど、関係者から何の反省の色もないと厳しい批判が広がっているのであります。
既に裁判は、去る六月三十日以降五回を重ねているところですが、第一回の法廷において検察側の起訴事実を全面的に認めたのであります。したがって、国土利用計画法及び所得税法違反が本当に行われたことが証明されたことになります。今後、裁判において必ずや厳しい判決が下されるであろうことに確信を強く抱いた私でありました。和興開発等による数々の法違反行為は、いずれも会社ぐるみ、しかも法違反であることを十分承知の上で実行したものであって、いわば故意に行ったという、この上ない悪質犯罪と見ることができます。社会の常識としても決して許されるものではありません。私は、地元住民の一人として、また土地売買に協力された多くの地権者の気持ちを思うとき、新たな怒りを感じるのであります。このことからも、開発許可の審議に値しない、取るに足りない企業であることを再度強調しておきたいと思います。
昨年九月の検察当局の捜査から一年が経過しているところですが、計画そのものは推進しようという立場を明言している知事であります。裁判の経過等をご存じかとも思いますので、この際、これまでの所感を伺いたいと思います。裁判のいかんにかかわらず、国土法を直接所管運用する県行政の対応について伺うものです。
フォレストシティ計画に関係する土地売買の届け出は、本当に適正に行われてきたのでありましょうか。国土法では、土地売買するときはあらかじめ知事に届けることが義務づけられ、審査の後、指導勧告を行うよう規定されています。
次のような場合、行政はどのような対応をされてきたのでしょうか。一つ目に、届け出をせず売買契約を結んだ場合、二つ目に、届け出による指導勧告に従わなかった場合、三つ目に、故意に売買契約締結後に届け出をした場合、四つ目に、故意に虚偽の届け出書を作成した場合であります。そして、違反者に対する処分とその基準についてもお聞かせ願います。既に行政処分が行われたやに聞き及んでいるわけですが、処分内容等もお答え願います。
今回のような不正不法事件防止のため、届け出事後事務措置に関する契約状況報告書の提出、現状の改善はどのように進められているのでしょうか、いずれも企画部長からお答え願います。
最後に、このことについて知事に申し上げておきたいと思います。
紀陽銀行は、八月二十九日、融資先である和興開発株式会社に四名の職員を出向派遣いたしました。高橋良精氏を社長に、前田喬社長は顧問に就任、新たな役員人事で開発許可を取りつけようとしていますが、私たち住民は、たとえいかなる人が社長になろうと無謀なフォレストシティ計画には反対であります。また、地権者でもある圓明寺は今後一切和興開発株式会社との話し合いに応じる意思がないことも明らかでありますから、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。
次に、渇水被害対策についてお尋ねをいたします。
この問題につきましては、一昨日、尾崎要二議員の質問もございました。重複をしないようにお尋ねしてまいりたいと思います。
私は、主に紀の川筋の被害対策についてでございます。
昨年の冷害に続く被害は、ミカン、柿の生産農家にとっては大変厳しい、深刻な状況を招いております。
私は、去る九月九日に那賀地方に、九月二十五日に和歌山市の山東の矢田、黒岩地区の被害調査に、党国会議員調査団と一緒に参加をしてまいりました。ミカン、柿畑にお邪魔して、その被害状況の大きさ、ひどさに驚くばかりでした。昨年からことしに至る事態は気象条件に大きく左右される農業経営の難しさを見せつけられるとともに、災害に強く安心して農業が行える農政をつくることの重要さを実感した調査でもございました。
農家の皆さんや紀ノ川農協、紀の里農協の幹部の皆さんにもその被害実態や対策等についてのお話を聞き、あわせて要望も聞いてまいりましたので、県の積極的な支援策を求めたいと思います。
紀の川筋の五月から八月の降水量は平年の三割、気温も三度から四度も高いことから、干害被害が広がったとも言えます。八月末、紀の里農協が独自に行った被害状況調査は、同農協内で二十億五千万円の被害が見込まれるということであり、九月の気象状況からもさらにふえることは確実となると思われます。昭和五十三年、五十八年の被害額や面積を大幅に上回るひどい状況が出なければと大変心配をいたしているところです。現状はどうなのでありましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
ミカンの大きさはピンポン玉ほどで、このままでいけば規格外とのこと、また葉は下を向いて縮んでしまって、変色、さらに木が枯れ始めておりました。山全体を見ると、水をかけたところと不足しているところの色の違いがくっきりとわかったのです。ミカン畑一反当たりに必要な水は、一週間で三十トンだそうです。軽トラックで運べる水の量は、一生懸命頑張ったとしても一日十五回、三十数トンが限界だそうです。水のまけない畑も出るのは当然であります。手の施しようのない、高い急峻な場所だけに限りません。その上、昨年の冷夏、雨ばかりで、糖度を上げるため収穫時期をおくらせたりしてきました。そのため、木は疲れています。ことしは、芽のつきも悪かったそうです。そこに渇水が重なり、木はかなり弱って、本来六月に咲く花がかん水すると狂い咲きする木もあり、その狂い咲きした花も見てまいりました。こうして木のリズムがすっかり狂っているため、来年も心配ですよと、不安いっぱいの表情でした。
柿についても、柿の実は大きさが規格品まで届きそうにない、このまま大きくならなければ来年以降も大きくならないな、壊滅的被害になるかもしれへんなと。そのときの農家の方の表情が私の脳裏を離れないのです。
矢田、黒岩地区は川という川がないため、ため池に頼る以外水の確保の方法はなく、ただ雨の降ることを待つしか手だてがない地区であります。日常の生活水は井戸に頼っています。これを見ても、一層大変であります。こうした深刻な被害は、生産意欲を阻害するばかりでなく離農に拍車がかかるのではないかと、私は大変心配をいたしております。
紀の里農協の組合長さんは、今すぐ天災融資法を発動してほしい、支援対策を強めてほしい、ミカンは輸入自由化され大変な事態になっている、高齢化が進む中、耕作放棄地の増加や離農に拍車をかけるのではと、心配を隠し切れないようでした。
県が今回の被害に対し、実態把握の中で国へ天災融資法の発動、激甚災害特別法の適用などを含めて支援対策を求めるなどされていることについては大変ありがたいと思うわけです。しかし、農家の皆さんの要求は多岐にわたっております。営農資金対策、施設復旧対策など緊急を要する支援策について、農家の皆さんの要望を聞くなどして細かな支援策を行っていただきたいと思うわけです。特に施設復旧対策では、用水確保ための水路、井戸の掘削の助成、ため池改修等に対する地元負担金軽減対策が今以上に必要ではないでしょうか。現状に対する対策をお答えいただきたいと思います。
こうした、渇水災害時における紀の川用水の利用は考えられないものなのでしょうか。紀の川用水問題を考える上では、水利権や賦課金問題を避けて論議することができないと思うのであります。今回の場合においても土地改良区の協力のもとで支援していただいたことをお聞きしているのですが、これを機会にぜひ関係する方々と、紀の川の水が総合的に有効利用される方策を検討するための調査研究を進められることを求めたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。農林水産部長のご答弁をお願いいたします。
次に、消費税問題についてお伺いをいたします。
村山内閣の連立与党は、先月の二十二日、税制改革大綱を決定し、消費税の税率を五%に引き上げることなどを決定いたしました。私は、六月議会でもこの問題を取り上げましたが、県民に重大な影響を及ぼすものとして県議会としても見過ごすことはできませんので、再度質問をしたいと思います。
税制改革大綱によると、一つは二階建て方式で、制度減税三兆五千億円、定率減税二兆円を実施する、二つには、九七年四月から消費税率を現行の三%から五%に引き上げることなどを明記しています。今回の消費税増税は、社会党やさきがけなど、連立与党の昨年七月の総選挙の公約にも反する国民への重大な背信行為ではないでしょうか。しかも、政府与党三党は消費税率の引き上げを減税財源のためなどと言っていますが、政府の計算でも、増税が五兆円近いのに対し減税は定率減税を一時的な措置として打ち切るために三兆五千億円にとどまり、差し引き大増税となる仕組みになっています。一時的な措置として打ち切る定率減税というのは国民の反発を避けるためのものと言われるのも、当然のことと思います。また制度減税にしても、その中身は、課税最低限の引き上げによる庶民減税はわずかなものにとどめ、税率区分見直しによる減税の恩恵は年収一千万円以上に集中させるという上に厚く下に薄いものであり、圧倒的多数の国民には大増税だけが押しつけられるという、全く不公平な税制であることは明らかであります。
さらに、先月二十七日に自民党の小渕副総裁が東京都内で行った講演で、消費税導入当初から税率を一○%から一五%にしようとしていたことを明らかにされたのであります。これは、社会党の久保書記長が見直し条項でいつでも税率アップの内容を含んでいることを明らかにしたことと同様の内容であり、今回の税率アップはいずれにしても国民に大きな犠牲を強いる大増税へのレールづくりを目指したもので、許すことはできません。
この消費税のアップを国民が望んでいるわけでもありません。最近の「時事通信」の世論調査でも、消費税増税について反対は六四%で、容認の三三%を大きく上回っているのです。私は、ある病院経営者から、医療機器や薬の購入で金額が大きいだけに消費税の税率アップは非常にこたえるという話をお聞きいたしました。消費者だけでなく、中小零細業者やこういった医療関係者にも大きな影響を及ぼすことは明らかです。こうして国民から取り上げた消費税も、導入時には福祉の充実が大宣伝されたものですが、あるマスコミの報道では、高齢者対策として登場したゴールドプランなどにはわずか二%しか回っていないということも言われています。
日本共産党は、消費税を廃止しても大幅な減税は十分可能と考えています。それは、ゼネコンの浪費をなくし公共事業費を節減する、大企業に対する無秩序な補助金を廃止する、軍事費を圧縮する、国債の低利借りかえで利払い費を節減する、大企業に対する優遇税制を是正する、このようにすることで十兆円台の財源確保が十分可能なのです。「税制改革」と言うなら、こうした方向こそ政治の責任と考えますが、知事のご所見を伺うものです。
以上で、第一回の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
フォレストシティ計画の、この間の知事の所見ということでございます。
計画の事業主体である和興開発株式会社の社長並びに役員が、昨年十一月、大阪地検に所得税法及び国土法違反で逮捕され、現在公判中であると伺っておるわけでございます。開発許可申請については、現在担当部局において、関係法に照らして慎重に審査を行っているところでございます。
先般の報道によりますと、申請者である和興開発株式会社の代表者以下、役員が交代したと報じられているわけでございます。これにより、申請者の信用面について一定の改善がなされたと考えているところでございますが、このことのみをもって許可要件が満たされたとは考えておりません。引き続き関係法の審査を厳格にするとともに、申請者の対応状況をも見て、総合的に判断してまいりたいと考えておるところでございます。
一方、国土利用計画法違反に対しては行政処分を行い、法の適正な運用になお一層努力いたしてまいりたいと思っております。
また、今回の博覧会の成功によりましてリゾートに対する人々の関心の高さを再認識したところでもございまして、紀泉地域は関西国際空港に近く、都市近郊にも位置するという極めて高い優位性を持っている地域でございますので、今後とも燦黒潮リゾート構想の推進に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
次に税制改革についてでございますけれども、消費税率を五%にアップすることについての知事の所見でございます。
この税制改革は、去る九月二十二日、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立って、バランスのとれた税体系の構築を図るために、村岡議員から話ございましたように、所得課税の軽減と消費課税の充実を内容とする税制改革大綱が閣議で決定されたところでございます。
税制改革は、我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の重要な問題でございます。また、福祉社会を建設するためには財源が必要なことも事実でございます。私としては、国会で十分審議されることを期待するとともに、その動向を注意深く見守ってまいりたいと思っておるところでございます。
他の問題は、部長から答弁いたします。
○副議長(富田 豊君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡議員の入院給食費自己負担の県費助成について、社会的弱者に助成をという質問ですが、十月四日の本会議において下川議員にお答えしたとおり、本県では県単独の福祉医療として、重度心身障害児者、母子家庭、乳幼児、さらには六十七歳から六十九歳の高齢者を対象にして医療費の自己負担分について補助を行っております。しかしながら、今回の改正に伴い新たに発生する入院時の食費負担については、入院されている方の食費のみ補助を行うことは在宅で療養されている方との間で格差が生じること、ご負担いただく額は一日の給食費千九百円のうち六百円であり、また所得等に応じ二百円までの軽減措置が講じられていること、加えて近畿各府県においても制度改正の趣旨を踏まえてほぼ同様の対応を行っていること、さらに国から県単独の福祉医療の中で食費の負担を補助することは今回の改正の趣旨に沿わないものであり不適切であるとの指示があったことも踏まえ、現在、福祉医療の対象となっておられる方々に負担をお願いすることといたしました。県としては、長期的ビジョンに立って、在宅福祉、医療サービスを中心とした総合的な施策を一つ一つ着実に実施してまいりたいと存じます。
次に、助成するとすればどれだけの財源が必要かという質問ですが、現在県で行っている福祉医療制度の中では、実施主体である市町村が実施する場合に要する費用の二分の一を県が助成することとなっております。今回の入院時給食費については、同様の助成を実施した場合の試算は保険種別による負担割合や所得により負担額が異なること、また制度の対象者が重複していること等から非常に困難でありますが、県の助成額はおおむね一億六千万円程度と考えております。
続きまして、各自治体の自主的助成に干渉するなという質問でございますが、議員ご指摘のとおり、地方単独事業は地方自治体みずからが自主的に判断し決定すべきことと考えてございます。しかしながら、今回の入院時食事療養費に係る制度改正については、将来を眺め、福祉の充実を図るために行ったものでございます。それゆえ県といたしましては、先ほど申し上げた理由から助成しない方針を決定し、国からの地方単独事業により入院時の食費の患者負担を軽減、解消することは制度改正の趣旨に反するものであり不適切であるとの指示とあわせ、県内市町村に通知したところでございます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員にお答えいたします。
健康保険法等の改正による病院の施設設備改善に対する支援策についてでございます。
入院時の食事について、その質の向上等食事サービスの改善を図るため、食事療養を行う保険医療機関に対し、今回の改正に伴い、診療報酬上、患者一人一日につき加算ができることとされたところでございます。加算できるのは、一点目、適時適温等一定の要件を満たす食事を提供した場合は二百円、二点目、複数の献立による食事を提供した場合は五十円、三点目、食堂において食事を提供した場合は五十円、四点目、医療用食品として提供した場合は百八十円、五点目、疾病治療の手段として特別食を提供した場合は三百五十円でございます。なお、これは入院時食事療養費千九百円にそれぞれ加算できるものであり、一般患者の一部負担は定額の六百円に変わりございません。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 村岡議員にお答えいたします。
フォレストシティ計画の中の、国土法違反に対する行政の対応についてでございます。
今回の国土利用計画法違反事件については、同法に違反した行為であり、悪質な事件と言わざるを得ないと考えてございます。このフォレストシティ計画に係る土地取引は二百六十五件で、そのうち適正な届け出は百四十五件、無届け取引等が百二十件となってございます。
県といたしましては、同法の適正な運用を図るため、司直の処分とは別に、国土庁通達で示されている無届取引等事務処理基準に基づき、和興開発株式会社及び関係者に対し事情聴取等を初めとして各種調査を行い、行政処分を行ったところでございます。
処分の内容といたしましては、無届け取引等に該当した関係者に対し始末書の徴収百八件、そのうち予定対価の額を超えた関係者に対し注意書を交付したのは九十五件でございます。なお、届け出による価格指導に従わなかった関係者はございませんでした。また、無届け取引等の態様が特に悪質であり、無届け取引等を放置すれば法の適正な運用に重大な支障を生ずると認められた場合に行う告発については、既に検察庁から起訴されており、処分の対象外といたしたところでございます。今後、このようなことがないよう、法の適正な執行になお一層努力をいたしたいと考えてございます。
事後事務措置の改善についてでございます。
土地売買等、届け出後の国土利用計画法による事後措置については、不勧告通知書を当事者に交付する際、当該土地取引のその後の状況を把握するため、契約状況報告書の提出の協力をお願いしているところでございます。しかしながら、契約状況報告書の提出については国土利用計画法上義務づけがないため、その実効性は必ずしも十分とは言いがたい状況でございます。その実効性をさらに高める方策といたしまして、昨年より検討を加え、契約状況報告書の様式の見直し、報告書提出の督促等を行ったところでございます。
その結果、報告書の提出数が、平成四年では届け出件数千九百三十八件のうち報告書提出数四百七件で報告率二一%であったのが、平成五年では届け出件数千六百八十五件のうち報告書提出数八百二十六件で報告率四九%となり、前年に比較して二八ポイントの増加となってございます。
なお、国土利用計画法の適正な執行を図るため、国に対し、法の整備等により契約状況報告書の提出が義務づけられるよう、今後も強く要請してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員ご質問の、農作物被害状況と支援対策、ため池改修費、井戸堀りに関する助成、並びに天災融資法の発動等についてお答えいたします。
本年の干ばつの状況については、被害総額が約七十二億円と近年にない大きな被害となっており、特に紀の川流域では、柿、ミカンを中心に全体の七五%に当たる約五十四億円の被害となってございます。このため県といたしましては、先般国に対し、天災融資法等の発動や農業共済金の早期支払い、並びに揚水機やポリタンクの購入、井戸の掘削を実施した場合等の干害応急対策事業に対する助成措置について強く要望してまいったところでございます。また、干ばつ被害園の事後対策についてでございますが、国における助成措置の内容を見ながら検討してまいりたいと考えてございます。
次に、ため池の改修についてでございますが、国の補助に係るため池整備事業は、ため池を利用する農地面積十ヘクタール以上は県で、十ヘクタール未満については市町村などで実施し、小規模な局部改修については県単補助で実施してございます。過去十年間、補助事業三十九カ所、県単事業百九カ所を実施してございます。今後も、自然災害を未然に防止するためにも、計画的に事業実施を図ってまいる所存でございます。
次に、紀の川用水と紀の川の水の有効活用についてでございます。
本年のような少雨による異常渇水に対し、紀の川用水土地改良区では町や農協等の申し入れを受け、組合員の理解と協力を得ながら用水の融通を行ってきたところでございます。
議員お話しの紀の川水系の農業用水の有効活用については、現在農林水産省において水利用、施設の実態等について調査中であり、この調査の進捗を見きわめながら、関係部局、関係機関と連携し、流域の市町や農業団体の協力を得て総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁をいただきました。
入院給食の問題ですけれども、どうもやらない方向で討議をされたような感じを強く抱くものです。国の指示があったことも含めて、やらないということに決めたんだ、そしてもう一つは近畿各府県がやらないという方向を決めているので和歌山もそれに従ったんだというような答弁だと受け取るわけです。
しかし、こういう問題は、最終的にはその地方自治体が県民の切実な要求を実現させるために、地方自治が本来の精神である県民の健康や福祉について、命にかかわる問題としてどう援助するかが基本的な考えだと思うんですけれども、そういう姿が一向に見えてこないんです。
特に社会的に弱者と言われる人たちは、経済活動をしたくてもできない人たちです。特に赤ちゃん等については、その年齢に従った発育を保障するのが食事だと思うんです。それに病気が加わっているわけですから、病気を治療するという観点を貫かなければならないというところにあると思うんです。どの病気に対しても、そういう観点を貫いてほしいなと思います。今まで保険で給付されてきたことが何だったのかとなるわけです。今、国は社会保障の中の命の問題としての保険制度を一つ一つ崩していっているのが現実ではないかと思うわけです。国は、公平を欠くとか、公平な負担をしてもらうとかというようなことを言っていますけれども、保険制度から考えてみれば国が負担をすることが基本になっていると思うんです。ところが、それを全部患者が払うんだという方向へ今持っていっていると思うんです。そういう点で、もう一回、保険給付から外したことについて考えてみていただきたいと思うわけです。
今までの医療改正の状況を見てくると、この十数年間にだんだん医療保険から外されて患者負担が多くなってきているのが現実だと思うんです。一つは、老人医療が無料だったのを有料にして老人保健法をつくり、外来、入院においても患者さんに負担を強いていく。それが三回、四回にわたって値上げをされて、今お年寄りの皆さんたちが大変難儀をしている状況にあると思うんです。そして、あげくの果ては、お年寄りの皆さんたちが一定の入院をしたら出ていってもらう、診療報酬点数の中で差別の点数をつけて、六十五歳以下の人と六十歳以上の人の保険点数がそこで差別されるということが平気で行われてきているわけです。
特に負担増で言えば、差額ベッドが非常にふえてきています。最初は、二割という制限を加えていました。しかしこの四月からは、環境をよくするという理由をつけて、仕切りをつけたりカーテンをしたら五割までは差額ベッドの料金を取ってもよろしいと。これは、四人部屋でも六人部屋でも差額ベッド料金を取ってもよろしいということになります。この十月一日からは、一○○%条件が整えば差額料金を取ってもよろしいということです。病院は今非常に経営が苦しいですから、差額料金で病院経営を補わなければならない。そういう点から見れば、病院経営はもっと苦しくなるという状況が生まれてきます。一方、患者の負担はますますふえていくという現状を目の当たりに見ていかなければならないと思うわけです。
そういった点でも、医療そのものが本当に私たちの命や健康を守ってくれる、病気になったときには安心して保険医療が受けられるという制度を、今こそ充実させなければならないときだと思うんです。高齢化社会と言うけれども、その一方ではお年寄りいじめの制度をどんどんつくっていっているのが今の政治の姿ではないかと思うんです。そうした一環として今度保険給付から療養費という別建ての給付制度にしたことから考えてみると、最初から弱者に対してもお金を取る、負担をさせていくことが意図的につくられてきていると言わざるを得ないと思うんです。
今、県が医療補助をしている分について計算をしてみると、年間で一億六千万円の助成額というご答弁がありました。この一億六千万円というのは大きな金ではないと思います。あのリゾート博に、宣伝費として十億円を使いました。これをここに当てはめれば、単純計算ですが、約九年間は無料化が実現することになるわけです。
今、弱者や経済的な活動ができない人たちに行政が光を当てることが最大限に求められていると思うんです。そういう点で、今答弁は求めませんけれども、これをもう一回検討していただきたいと思うわけです。よその自治体がやっているんだからやれないことはないと思います。ただ、国がやるなと言うからやらなかったんだというような、どうもそういう答弁にしか受け取れないんです。願いは切実です。この問題については、今後とも願いの強い皆さんたちと一緒に行政に求めていきたいと思います。
それから各自治体が自主的に決めることについては、県が一言でも言えば他の自治体への圧力となってやりにくくなるという現象をつくっていると思うんです。そういう点で、自治体へやってはいけないとかと言うようなことは今後一切やめていただきたいと思います。
次に、フォレストシティ問題です。
いろいろあったわけですけれども、この行政処分がやられた後ですので結果論であります。でも、ここに至るまでの間が非常に大切なんです。告発されなければ行政がそれに対応できなかったという事態に至っていると。行政の責任は大きいと思うんです。そのためには、今後この事後処理の問題──随分、改善努力をされていると思うわけですが、ここのところをぜひとも報告義務に持ち込めるように関係当局は頑張っていただきたいと思います。和歌山で再びこのように全国に名をはせるような事件が発覚しないためにも必要だと思いますので、要望しておきたいと思います。
それから、渇水対策です。
特にため池は、県全体で五千九百二十六カ所あるそうです。大変な数だと思いますけれども、これは農業を守り発展させていくためにはどうしても必要だと思うんです。聞くところによりますと、一自治体一カ所が申請の条件になっているんだそうですね。それを基本に置いておいても、こういう事態ですから、この際それをもっと緩和していく、そして援助策を思い切ってやっていただくという方向も見出していただきたいと思います。
何よりも、天災融資法の発動を国にもっと積極的に──一回やったからいいんだというのではなしに、もっと強めていただきたい。早く発動できるものにしていただきたいと思います。
紀の川用水については、いろいろ問題があると思います。紀の川の水そのものを有効に農業に活用できるように、生活水が十分にあるようにと、そういう多岐にわたる要求に対して紀の川の水が有効に活用できるように、紀の川用水が本当に生きるような方向も含めて再検討していただくために、ぜひとも調査研究をしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
もう時間が来ましたので、終わります。要望にいたします。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
10番佐田頴一君。
〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。ふなれな上、言葉足らずの点も多々あると思いますが、知事及び県当局の皆さんの率直なご答弁をいただけるものと期待していますので、よろしくお願いをいたします。それでは、質問に入らせていただきます。
まず最初に、リゾート博の跡地利用計画と和泉葛城山系のリゾート開発についてであります。
仮谷知事は初春の記者会見で、ことしは世界リゾート博と関西国際空港の二つの翼が羽ばたく年であることを強調されました。七月十六日に開幕した世界リゾート博は、予想をはるかに上回る人気で、当初予想されていた入場者数百五十万人が二百九十八万人の大台に乗り、入場者の好調な伸びで、訪れた多くの人々が海と自然との触れ合いの中でよい思い出を残し、新たな出会いや交流が生まれたことと思います。知事を初め多くの関係者の努力のたまもので、明るい希望に満ちた和歌山県づくりの第一歩が船出できたことは大変うれしく思います。無限の可能性を秘めた和歌山県のすばらしさを、この博覧会を通じ国内外にアピールできたことは大変意義があったことと思われます。ご苦労さまでした。
しかし、今後は閉幕後の跡地利用の問題について特に関心を持たざるを得ません。
そこでまず第一に、マリーナシティの計画では、その跡地にヨットハーバー、リゾートホテル、マンションなどが建設されると聞いているが、バブルの崩壊もあり跡地利用が計画的に推進されないのではないかと心配しております。今後の跡地利用計画について詳細に説明してほしいと思いますが、既に各議員より質問があり回答がなされていますので答弁は結構ですけれども、その目標に向かって早期にこれらの施設を整備し、国際的なリゾート都市としての和歌山マリーナシティの完成を図られるよう頑張ってほしいと思います。
第二に、和歌山県には海、山、川のすばらしい豊かな自然がまだまだ残っています。世界リゾート博の成功は、みんなが力を合わせ団結さえすれば、いかなる大事業でもなし遂げられるという自信を植えつけました。和歌山県の活性化、和歌山県を変えるときは今しかありません。
そこで、次の目標課題としてのリゾート開発は、ぜひとも紀の川地域の山間地の葛城山系内に計画し、推進してほしいものです。ここは、大阪泉南、泉北地方から近く、大阪市内から一時間以内で山頂まで来られるという非常に交通の便利のよいところであります。最近、粉河町ではハイランドパークを、県においては紀泉高原スカイラインを完成し、祝祭日など大勢の人たちでにぎわっているところであり、国と大阪府で国定公園化の話も進められています。大都市に近く、少し道路を整備すれば短時間で登れ、雄大な紀の川を見おろせ、関西空港も目の下に、大阪、神戸の夜景を楽しみ、遠く淡路島、四国の山々を眺められる、この葛城山系の景勝地を利用せずに放置する方はなく、我が和歌山県にとって大阪に最も近い数少ない場所として最後の宝物となる開発地域であると考えられます。大阪側の北斜面はブナ林や森林のまま自然公園として残し、太陽のよく当たる和歌山側の南斜面はリゾート地域として開発するものです。自然を取り入れた神戸、六甲山地域のような第二の六甲山の町を葛城山系につくっていただきたいのです。岩出町は泉南市に、打田町は泉佐野市に、粉河町は貝塚市に、那賀町は岸和田市に、かつらぎ町は和泉市に、高野口町、橋本市は河内長野市に府県境で結ばれています。阪和協調の大事業はこれしかないと考えますが、和歌山県の考えを聞かせてほしいと思います。
かつて大橋知事がこの地に学園都市構想を取り上げたことがありますが、結果的には京都、大阪、奈良県にまたがる千五百ヘクタールの、既に四万人が住む二十一世紀の未来都市、現在の関西文化学術研究都市に行ってしまった経過があります。和歌山県が二十一世紀に生き残る道として選択したリゾート立県については、バブルの崩壊や社会経済情勢の変化があるとはいえ、基本的にはこの路線を維持していくため、新空港が開港したこの機会に再度葛城山系を取り上げ、国の開発公団などに働きかけて、和歌山県活性化のため二十一世紀に羽ばたく新しい町づくりに挑戦するつもりはないかどうか、企画部長にお尋ねいたします。
次に、関西新空港開港に伴う受け皿対策についてであります。
関空から世界へと、九月四日午前零時、関西国際空港が開港しました。国内初の二十四時間空港となる世界で初めての本格的海上空港で、昭和五十三年五月、新東京国際空港の成田から十六年ぶりであり、構想から二十五年、泉州沖埋め立てから七年余り、一兆五千億の巨費を投じ、規模、能力とも成田空港と肩を並べるこの空港は、国際線で週三百四十便、国内便で一日六十七便就航する西の玄関口の誕生となります。アジアのハブ空港として人や物や情報の流れを変え、東京一極集中からの脱却の転機となるばかりか、この公害のないすばらしい空港の開港は、和歌山県に間違いなく新しい時代の幕あけと新たな飛躍の機会を与えて、和歌山と世界を結ぶ新しい窓口となり、経済、文化に新鮮なインパクトを与え、国際化への第一歩を踏み出すことになりました。しかし、空港は開港されても、手をこまねているだけでは繁栄と発展を呼び込むことはできません。特に、紀泉葛城山脈を背にした和歌山県側では手放しで喜んでいる状態ではないような気がします。
開港日に「新時代、喜べぬ地元」というタイトルで泉南地方の様子が出ておりましたが、開港日を祝う垂れ幕や看板すら見られず、泉佐野市では、空港利用者はただ通過するだけ、繁栄するのは大企業の進出している空港島の商店街だけと、何の祝賀行事もしないまま冷ややかな空気で迎えています。空港建設の始まった七年前、地元の将来にバラ色の夢を描いていた。人口が急増し、外国人客も町の中を行き交い、商店街は活性化するはずだったが期待は全く裏切られたと言われ、空港へのアクセスは大阪市内と電車で直結し、地元タクシーの利用者はほとんどなく、市の中心地に計画されたホテルや百貨店の建設は中止、開港を当て込んだ工業団地は閑散としたままであり、人出も空港島の新しい職場に奪われて苦労するばかり、この結果、喜べぬ地元となっております。
まして、和歌山県への影響はどうなっているのだろうか。泉南との比較は、私の勉強不足かもしれませんが、日本航空の宿舎以外、具体的な事業は未整備のまま放置され、新空港に伴う受け皿対策についての方策は示されていないと考えます。
そこでまず第一に、関空開港により和歌山県はどう変わったのか、またこれからどう変わろうとしているのかという点であります。和歌山県に最大の経済的発展が見込まれると言われてきました。その要因については、観光客の増加、新しい産業や企業の進出、雇用の増加、関連交通網の整備が進められ、新空港効果による和歌山県発展の起爆剤となるためのもろもろの計画が準備されていたことと思うが、県の積極的な対応の中身を知りたいと思います。
第二に、「関空に巨大な胃袋誕生、農業にもチャンス」と、近畿農業情報をまとめて近畿農政局が提言しています。すなわち、関西空港は近畿農業にとってビッグビジネスのチャンスとして定め、同空港の利用者は年間約六千八百五十万人と予想、この巨大な胃袋を当て込んだ外食産業は地場の新鮮な野菜を求めており、供給ルートの確立が産地の振興につながると分析している。外食の中心となる機内食は、現在大阪空港で一日約一万二千食であるが、関西空港では二万ないし三万五千食と試算している。さらに、ターミナルビルには約三十店の外食産業が進出しており、外食の需要は大阪空港を大きく上回ることは間違いないと言われています。また、空港周辺に必要な花木の需要もあり、農政局は、今後は野菜を中心に産地体制を整備するとともに、販売ルートの確立に向けた取り組みが重要と結論づけています。二年前までは盛んに臨空農業のPRを聞いたが、飛行機が飛び立つ今になって何の音さたも聞けないのが残念であります。和歌山県の臨空農業への取り組みについて、将来のことも含めてその対策を聞かせてほしいと思います。
次に、農業問題について質問したいと思います。
今、農業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。昨年は、長雨・低温による果実、米の凶作から、今年は一転して暑い夏、中山間地の水稲や果実を中心とした農作物の干ばつ被害で、昨年に引き続き農家に大きな打撃を与えています。今は、二十一世紀に向けて、より収益性の高い農業を実現していくための農業の実態に見合う農業政策がなく、農家の不安は払拭されていないし、農業の将来について悲観的な見通しが多い中、希望が持てる農業の具体的な施策を展開してほしいと希望している農家が多いのであります。
我が和歌山県においても、農業立県として進むためには、今ほど農業問題に関心を持ち、農業の健全な育成のための施策を講じなければならない時期はないと思えてなりません。農業が国境のない輸入自由化の国際社会の中でどう生き延びていくのか、試練のときが到来しているのであります。現在、優良農地は都市化による虫食い侵食、労働力不足による裏作の放棄、担い手がないための耕作地の放棄、コスト高の不採算農作物の増加、兼業化、農道や池の荒廃、高齢化、後継者の不在、混住化による用水路と排水路の問題などいろいろな問題点が起きていますし、その解消の方法さえも立っていないのが現状であります。温暖な気候や京阪神の大都市圏に隣接した地の利を考え合わせれば、農作物の供給基地としての位置づけは一層高まると予想されますが、農業県として二十一世紀に向かうためには、よほど力を入れなければ農業に安らぎと潤いのある農山村を構築していくことは大変難しく、それゆえに我々に課せられた責務もまた重大であります。
特に私の住む紀の川流域は、県下最大の農業地帯であるとともに、都市化、混住化が急速に進展している地域であり、今後、豊かな実りと活力あふるる農村像をどう構築していくのか、大きな課題であります。
そこでまず、二十一世紀に向けて魅力ある農業の実現を図るための第一点として、紀北地域の特性を生かした収益性の高い農業の実現にどう取り組んで指導しているのかということであります。関西国際空港の開港など、新しい需要動向に向けた施設園芸タウンづくりを進めると聞いたが現在どうなっているのか、お伺いいたしたい。
果樹では、桃、柿などのハウス栽培、野菜では裏作野菜と組み合わせたトマトやミツバなどの軟弱野菜の栽培、イチゴの低温処理早出し栽培など、花ではバラ栽培、果実はミカンやハッサクから柿、桃への転換が急激に進められたが、高収益農業に転じられたのかどうか、収益面において農家の経営改善に大きく寄与しているのかどうか、お聞きしたいと思います。
第二点として、あすの農業を担う人材の育成と後継者問題についてであります。
農業から若者が流出し続けているのは、その労働の割に低収入の農業に問題があり、農家及び農業の後継者を見出すことが難しいのは、割の合わない農業につかず、農家の娘さんは農家に嫁がないし、子供は、少子化時代、教育は大学まで進み、どうしても農業に戻らないのが現況であります。しかし、農業は続けていかなければなりません。
国は、よく農業後継者と中核農業者の育成確保や新規参入者の就農の促進を図るための支援強化対策を推進すると言うが、どんな対策があるのか、その中身をまず聞きたい。
今、那賀郡内で農業を担っている人は六十歳以上の人が大半で、平成二年の調査では、那賀郡で六十歳以上は四八%、五十歳から五十九歳は二二%、四十歳から四十九歳は一四%、十六歳から三十九歳は一六%で、実に五十歳以上の占める割合は七○%にも達しています。十年後、二十年後の担い手をどうするのか、後継者や担い手の育成に対する県の支援対策をお伺いしたい。
既に他府県では、地域農業の発展の指導的役割を果たす後継者を育成するための農業後継者育成の基金制度などを創設しています。他府県の実施内容と和歌山県の創設に対する考え方を説明してほしいと思います。
第三点として、加工原料用温州ミカンの価格安定対策の果汁価格の補てんについてであります。
昭和六十三年特別対策事業として、キロ当たり三十八円を最高に、毎年段階的に引き下げられ、平成七年度でその補てんが終了し、平成八年度の目標取引価格はキロ当たり十四円七十銭に近づけ、平成八年度以降については一般対策事業の通常補てんのみのキロ当たり八円四十銭だけとなります。今後の価格設定と県独自の加工原料に対する補てんについて、その考えをお聞きしたい。特に、本年は雨が少ないため小粒のミカンが多く、ジュース用ミカンが多量となると予想されるが、購入数量の制限についてもお教え願いたい。
第四点として、猛暑と水不足による農作物の干ばつ被害については、村岡議員と重複いたしますが、私からも質問していきたいと思います。
農作物の干ばつ被害が、九月八日までに全国で七百四十億円に上り、西日本を中心に水稲、果実、野菜など多くに発生していると農林水産省が発表されたが、今夏の降雨状況は梅雨期だけを比較しても、平年の降雨量三百三十五ミリに対し本年は八十ミリであり、平年比二四%という状況で、和歌山地方気象台観測史上始まって以来の事態となっています。和歌山県も渇水対策本部を設置し、広域的な利水調整を初め、農業用水と工業用水の取水制限を行い、上水道の給水も節水に対する取り組みが行われましたが、かんきつ産地の多くは中山間地域に展開しているため全く降雨はなく、水をポリタンクで運び、散水する程度しかできなかったのが現況であり、その結果、米、ミカン、ブドウ、野菜などが枯死したり、実が落ちたり、商品として販売できない商品価値のない農作物が続出しました。九月二十二日現在、県では、柿、ミカンを中心に七十二億一千万円の被害と発表したが実害はもっと多く、私の那賀町でも六億円、和歌山県下で百億円以上の損害をこうむったのではないかと言われています。
そこでお尋ねいたしますが、これらの農産物被害に対する助成について本県はどう考えているのか、お伺いしたい。既に他府県では、九月の一般会計補正予算に盛り込まれたところもあるが、その助成の中身についてもお聞かせいただきたい。
一、天災融資法の適用を受けられるよう、国庫補助の採択、激甚地指定を国に働きかけてほしい。
二、ポリタンクやポンプなどの給水用資材の購入費の補助。
三、枯れ木や葉焼けが目立つ果樹園での植えかえ補助。
四、給水車両への燃料費の補助。
五、野菜の生育不良、品質低下、果樹の落下、果実肥大不良による通常価格の大幅下落による農家経済を救済する借入金の利子補給について。
特に、これらに対し補助金を早急に検討していただき、農家に力づけをしてやってほしいものです。
第五点として、紀の川左岸・那賀地区の広域農道新規計画についてお尋ねします。
紀の川北岸丘陵地帯を通る橋本市─岩出町間の紀の川広域農道は、知事初め県当局の格別のご高配と指導のもとに、多年の懸案であった道路が完成し、農業振興や地域の振興に、あるいは国道二十四号線のバイパスとして多面的な役割を果たしています。
しかし一方、紀の川南岸は北岸に比べ基盤整備が立ちおくれ、農業面では龍門山を中心に開かれた広大な農地に東西に通ずる道路がなく、営農や集荷前に大変困難を来し、地域の発展をも停滞させているのが現状であります。平成二年七月、今から四年前に紀の川左岸にも大型農道をと、私の町長時代、那賀郡町村会で陳情を申し上げたことがありますが、まだ採択までこぎつけていないのが現況であります。前にも申し上げたとおり、農業も二十一世紀を目前に多様化と競争と変革が求められている中で、那賀地方の基幹産業である農業のなお一層の発展を図るためにも、紀の川南北両岸のバランスのとれた農業基盤整備を行うことが地域農業の躍進を目指す上でも重要であり、緊急な課題でもあります。
幸い、伊都郡内では紀の川左岸広域農道の事業が始まり、二工区に分かれて採択され、既に工事が着工されております。このままでは伊都郡内の工区のみで終了してしまうおそれがあると懸念していますので、ぜひ那賀郡まで早急に延長できるように計画を進めていただき、平成七年度には事業の採択だけでもいただけるよう強く国に働きかけてほしいと思いますが、県の見通しをお聞かせください。
以上五点、農林水産部長にお尋ねいたします。
次に高齢者対策について、知事及び民生部長にお尋ねいたします。 我が国は人生八十年の長寿社会が到来し、人口の高齢化が急速に進んでいます。六十五歳以上の人口は、平成五年度で総人口に対し一三・五%、平成三十二年には二五・五%の超高齢者社会になると言われているが、和歌山県の高齢者人口比率は全国平均を大きく上回り、平成十二年度には六十五歳以上の人口は二○%を超えると予想され、全国平均より十年先行していると聞かされています。このため県は、全国に先駆けて平成四年、県の指導により県下市町村に対し福祉計画を作成させ、その目標を積み上げて和歌山県老人保健福祉計画を平成五年五月に策定されました。この保健福祉計画の内容は、いつでも、どこでも、だれでも気軽に必要なサービスを受けられるようなシステムの構築を目指したものであり、家事や介護をするホームヘルパー、要介護のお年寄りに入浴や昼食や趣味を楽しんでもらうデイサービスセンター、短期間施設で預かって家族を疲れから解放するショートステイ、さらには在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム、ケアハウス、老人保健施設、高齢者生活福祉センターなど、広範囲に及んでいます。市町村は、この目標達成のためその具体的実施に向かって全力を挙げて取り組んでいますが、県としても県民みんなが長寿を喜び合える喜の国いきいき長寿社会を実現するために、在宅福祉サービスの充実や計画的な施設整備などの実現に取り組んでいかれることが最大の課題であると考えます。そこで、お尋ねします。
第一に、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)を十年間にわたり年次別に計画実施していくためには、今の市町村では大変な事業であります。まず財政負担をどうするのか、これを実施するための人材の確保、さらに実施体制の充実など、多くの課題解決に頭を抱えています。今後、県下市町村に対し、高齢者対策の窓口の一元化や福祉事務所と保健所を統合した総合保健福祉センターのような機構改革、市町村への財政援助も含めてどのように指導していくつもりなのか、お伺いしたいと思います。
第二に、厚生省が在宅三本柱と呼んでいるホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ、この三つのサービスの総量を受け手の高齢者百人当たりに換算して計算したところ、都道府県別では大きな差があり、よい県では鹿児島県が第一位で、宮崎、長崎、青森、熊本、岩手と続いている。反対にだめな県は、下から埼玉、栃木、茨城、千葉、静岡、大阪の順になっています。最低の埼玉県のお年寄りが受けるサービスは、鹿児島県の四分の一にすぎないことになります。和歌山県の福祉の内容はどの程度に位置しているのか、お伺いしたいと思います。
第三に、私たちの家族が今住んでいる町で安心して年をとれるだろうか。各市町村で描いた未来への福祉計画を見て、余りにも格差があるのに驚く。そして、この計画のでき、ふできと予算のつけ方で住民の老後は天国にも地獄にもなると言われています。介護が必要な身になったとき、家族に犠牲を強いることなく自宅で暮らし続けられる計画になっているのだろうか。じっくり確かめ、単なる市町村の積み上げでなく、不安な計画があるなら市町村に対し再検討を指導してほしいと思います。県と県、町村と町村が切磋琢磨し合い、お互いに学び合って格差の生じないよう、どの市町村に行っても同じサービスが受けられるような体制づくりを指導してほしいものです。県当局のご所見をお伺いします。
次に、障害者福祉施策についてお聞きします。
昭和五十六年の国際障害者年とそれに続く国連・障害者の十年は、障害者自身の自立への努力と国及び県の福祉施策の充実と相まって、障害者にとって住みよい町づくりが着実に前進していることは、まことに喜びにたえないところであります。国においては、平成五年十二月、従前の心身障害者対策基本法が装いを新たにした障害者基本法となり、障害者の基本理念や施策の基本方針が明らかにされており、また昨年二月には障害者に係る新長期計画が策定され、障害者福祉施策の充実を図ろうとしております。また一方、県においても本年三月、今後十年間の施策を目途とした紀の国障害者プランが策定され、今後はこの計画をもとにして障害者福祉施策の充実を図ろうとしております。
こうした国及び県の取り組みに対し障害者は、安心して生活できる福祉社会の実現が大きく前進するものと熱い期待を持っているものと思います。政治のかなめは民生の安定にあることは論をまたないところでありますが、紀の国障害者プランは、まさに障害者の生活安定を目指すものとして大きく評価できるものと思います。障害者の福祉施策は、紀の国障害者プランで示されるとおり多岐にわたりますが、要はこのプランを着実に、かつ効果的に実行することがこの計画を策定した県の大きな責任であると思いますので、次の事項についてお尋ねをいたします。
一、紀の国障害者プランの実現に向けての県の決意。
二、紀の国障害者プランは、やや具体的計画に欠けていると思うが、実施段階において年次別あるいは前期、後期に分けて具体的計画を立て実施していくことを考えておられるかどうか。
三、障害者の社会的参加の大きな隘路の一つは、道路、建物、交通等、物理的な障壁によって行動の自由が制限されていることであるが、こうしたことを解消するために条例等を制定し、積極的に施策を推進する考えはないかどうか。
四、障害者行政は、民生部だけでなく総合行政として実施していくことが肝要であると思う。部局によってはそうしたことを十分理解していただいているか、また今後さらに職員研修等を強化し、理解を深めていく必要がないかどうかであります。
最後に、道路問題について一つだけ要望しておきたいと思います。
前回、粉河町の中心地から鞆淵地区へのトンネル構想をお願いしたが、余りよい返事をいただけなかったような気がします。そこでこの考えをさらに延長し、那賀郡、海草郡、伊都郡、すなわち三郡を通る、粉河、鞆淵、毛原、長谷宮、花園村、高野、龍神に通ずる道路の新設改良をぜひ新たに計画していただきたいということであります。
完成すると、自動車で花園村から粉河町まで三十分、粉河町から関空まで三十分、大阪市まで一時間三十分、南へは龍神スカイラインに直結し、紀中、紀南へと延びる奥地開発についても大変重要な道路となると思います。この考えによって、既に地元の三地区ではこの運動を今急速に進められていますが、今後の見通しや進め方について県の考え方をお教えいただきたいと思います。
また、この道路をいち早く完成さすためには、老朽化した竜門橋の取りかえがまず第一の課題であると考えます。紀の川を渡る橋で、和歌山市から橋本市までの紀北地区において一番狭く古いのは竜門橋であります。隣の那賀町でも打田町でも知事さんの努力により立派な橋がかけられ、地域の皆さんが大変喜んでおりますが、どういうわけかこの竜門橋だけが取り残されているような気がします。地元粉河町竜門地区でも大変不思議がっています。私の知る限りでは、既に県が何度か現地入りして現況を視察していると聞いているが、何とか早く新橋に取りかえられないものか、土木部長にお尋ねいたします。
以上が私の一般質問の内容でありますが、県民に直接報告できるようなすばらしいお返事をお聞かせいただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(富田 豊君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 佐田議員にお答え申し上げます。
高齢者対策、障害者福祉対策についてでございます。
私は、県政の最重要事項として福祉行政を進めておるわけでございます。本県は福祉予算が全国の中でも上位にあることを誇りに思っておるわけでございます。人生八十年時代を迎えて、今日の我が国の繁栄に貢献されてきた高齢者の皆さんが本当に長生きしてよかったと思える社会づくりをすることが最も大切なことだと考えておるわけでございます。こうしたことから県においては、話ございましたように、平成五年五月に和歌山県老人保健福祉計画を策定いたしました。
重点的に申しますと、特別養護老人ホーム等の施設の整備、在宅福祉対策、生きがい対策、医療、年金対策などがあるわけでございます。在宅福祉で申し上げますと、ホームヘルパーを例にとれば、昭和六十三年時点で百九十四人だったものが平成六年三月現在では六百六十一人に、デイサービスセンターについては、三カ所だったものが四十五カ所に、特別養護老人ホームについても、千九百九十五床だったものが二千六百七十五床にまで充実してまいったわけでございます。しかし、依然として現在のサービス水準と二○○○年の目標にはまだ大きな開きがあるわけでございます。これを完成させるのは、市町村ともども大変なことでございます。財源的にも非常に厳しいわけでございます。だから、十分連携をとりながら、県民の皆さんが満足できる福祉社会の実現に向けて着実に取り組んでまいる所存でございます。村岡議員から話のございました医療費の給食費の負担についても、福祉社会を建設するために、またいろいろな在宅福祉をなお一層進めるために検討された結果でもございます。
次に、障害者福祉対策についてでございます。
国連・障害者の十年を契機に積極的な取り組みの結果、在宅対策の充実を初め、社会参加の促進や障害者施設の整備、及び養護学校三校の新設など、各分野において着実な成果を上げてきたところでございます。なお、今年度は全国で初めての精神障害者福祉工場の建設や重度障害者雇用企業の設立、及び授産施設の整備に着手しているところでございます。
本年三月に策定した紀の国障害者プランは、これまでの成果を踏まえて二十一世紀に向けて完全参加と平等を目標に、平成六年度から十年間にわたる障害者対策の推進方向を明らかにしたものでございます。今後、このプランに基づいて市町村等と緊密な連携をとりながら、福祉、保健、医療、教育、雇用、生活環境等、総合的かつ体系的な施策の推進に取り組むことによって、障害を持つ方々にとって住みよい社会づくりに邁進していきたい決意でございます。
他の問題は、部長から答弁いたします。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 佐田議員にお答えいたします。
和泉葛城山系のリゾート開発についてでございます。
紀の川を中心に東西に延びる紀泉山脈及び龍門山系に囲まれた紀の川流域は、恵まれた自然資源を有し、加えて九月四日に関西国際空港が開港されるなど、その開発ポテンシャルが飛躍的に向上してございます。このため現在、紀の川臨空都市圏整備構想策定事業として、そのリゾート的環境の中に配置すべき機能や開発可能地などを市町村とともに調査いたしてございます。有識者から成る策定委員会に国や公団の参画も得てございますので、議員ご指摘の件についてもその中で検討してまいりたいと考えてございます。
また、大阪府と共同で設置している紀泉地域総合整備推進委員会において共同プロジェクトの研究をしてございます。山系の活用や都市近郊型リゾート整備も含めた整備のあり方などについても検討しているところでございます。この場においても研究してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 商工労働部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 関西国際空港開港後の和歌山県側の受け皿の対応についての、企業誘致、雇用、観光対策についてお答え申し上げます。
まず、企業誘致についてでございます。
県勢の活性化と雇用の確保を図るため、関西国際空港関連地域整備計画のプロジェクトの一つである紀の川テクノバレー計画において、那賀郡を中心に北勢田を初め工業団地を造成し、また頭脳立地構想に基づいて海南インテリジェントパークを形成するなどして、電気機械、精密機械等の加工組み立て型産業、研究施設及び技術開発型の企業誘致を推進しているところでございます。誘致企業としては、二十五社が進出を決定し、九百五十名の雇用を見てございます。なお、関西国際空港の開港により、今後、空港との利便性、国際化が一層推進するものと思われますので、空港を生かした先端技術産業や研究所等の誘致に向け、関係市町、関係機関とともにさらに努力を行ってまいります。
また雇用対策については、地元労働力の県外流出を防ぎ、地元定着を主眼にしたきのくに人材Uターンフェアや合同就職面接会等を開催し、関係企業が優秀な人材を確保できるように努めてまいります。
次に、観光面についてでございます。
関西国際空港の開港に向けて、従前より国内外での観光展やキャンペーン等を行ってまいりました。開港に当たっては、空港内に観光案内所を設置したり、英語、中国語等の四カ国語で日帰りコースや一泊二日コース等を紹介したパンフレットの作成、配布をし、国内観光客や外国人観光客の誘客に努めてまいっているところでございます。また、世界リゾート博によって関西国際空港と本県が非常に近いことや、自然がすばらしいことが県外から改めて認識されたこともあり、空港見学とリゾート博をパックにした旅行や空港から紀の川筋を経由して高野山に至る団体旅行等の実績もございますので、例えば、空港に近い利点を生かせる紀伊風土記の丘や根来寺、粉河寺など、歴史を味わえるところへの入り込みの増大にも期待を寄せているところでございます。今後も、観光客の動向等に留意しながら、空港で結ばれる国内外へのPR等に力を入れてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 佐田議員にお答えをいたします。
関西国際空港開港に伴う受け皿対策についてのご質問のうち、臨空農業と機内食供給の推進についてでございます。
関西国際空港の開港に伴い、空港島や周辺地域への農産物の需要の増加に対応するため、これまで紀の川流域を中心に産地の育成と販路の開拓に取り組んできたところでございます。
その結果、県産農産物については、県農協連合会と和歌山市内の卸売会社が一体となり、機内食会社など三社に対し、既に野菜などの食材が供給されてございます。また県産ジュースについては、関空に新規参入の機内食会社二社を通じ、七航空会社にそれぞれ供給を開始してございます。また県産緑化木の供給については、空港島や周辺地域に対し、既にウバメガシやサザンカ等がこれまでに十一万五千本納入されてございまして、さらに新規受注に向けた交渉を継続してございます。一方、県産物のPRと新たな販路開拓を図るため、空港ターミナルビル内に和歌山県特産品コーナーを開設し、営業を始めてございます。今後とも、関係団体との連携を密にしながら、供給量の拡大や新たな販売ルートの開拓に努めてまいる所存でございます。
次に、農業問題五点のご質問にお答えをいたします。
まず、収益性の高い農業の推進内容についてでございます。
紀北地域を関空開港に伴う農産物需要の増加や泉南地域にかわる生鮮農産物の供給基地として位置づけ、高収益農業を目指し、生産者、関係団体等が一体となり、各種補助事業や制度資金を活用し、施設園芸タウンづくりの推進を図ってきたところでございます。その結果、百二十ヘクタールの計画に対し、平成六年九月現在で八一%に相当する九十七ヘクタールの施設化が図られており、果樹では柿、桃のハウス栽培、野菜ではトマトの養液栽培やミツバ、ホウレンソウの周年栽培、花卉ではバラ、カーネーションの高級切り花栽培等の高収益農業が展開され、経営の改善に寄与しているものと考えてございます。
次に、あすの農業を担う人材の育成と後継者問題についてでございます。
まず、お尋ねの国の支援対策についてでございますが、農林水産省農業者大学校の実践教育や都道府県が実施する事業への助成措置など既存の対策に加え、中核農業者に焦点を当てた支援対策として、長期で低利の融資制度が本年度から新たに創設されてございます。また県の施策としては、若者が意欲を持って農業に取り組めるよう、一つ目として、学校教育との連携による就農相談活動、二つ目として、高校生を対象にした農業大学校での体験学習、三つ目として、新規就農者に対する青年農業大学講座の開催、四つ目として、都市と農村の青年によるふれ愛ファーマーズの開催などの環境づくりや、経営開始のための農業改良資金の貸し付け等の支援対策を実施してございます。
なお、議員お話しの後継者育成のための基金については、国の動向や他府県の実施事例をも参考にしながら検討してまいりたいと考えてございます。
次に、加工原料用温州ミカンの価格補てんについてでございます。
オレンジ果汁の輸入自由化対策として、国、県の補助のもと、果実基金事業の一環として昭和六十三年度から特別対策事業として実施しているものであり、議員お話しのとおり、平成七年度をもって終了することとなってございます。しかし、加工原料用温州ミカンの価格低迷の現状にかんがみ、国に対し、全国みかん生産府県知事会議を通じ、平成八年度以降の特別対策事業の継続を強く要望しているところでございます。また、温州ミカンの加工仕向け量については、本年が干ばつの影響により収穫量が減少するものと予想されるため、生産者団体としては小玉果を市場出荷することにより、その仕向け量は当初計画どおりの一万二千トンとしているところでございます。
次に、本年の干ばつ被害の助成についてでございます。
国に対し、天災融資法の発動や農業共済金の早期支払い、並びに揚水機やポリタンクの購入等、干害応急対策事業に対する助成措置について強く要望してまいったところでございます。また明七日には、近畿ブロック知事会として同様の趣旨について要望することになってございます。このほか、議員お話しの事後対策等については、国の助成措置の内容等を見ながら、今後早急に対応策を検討してまいりたいと考えてございます。
また、他府県の取り組みの調査でございますが、近畿では京都府のみが九月補正予算で改植や樹勢回復対策等の事業費を計上する予定と聞いてございます。
最後に、紀の川左岸・那賀地区広域農道の新規採択についてのご質問でございます。
議員所見のとおり、本農道計画は多面的な役割を果たすものと認識してございまして、平成二年度、三年度の二カ年にわたり県単独調査を行い、農道計画を樹立し、関係機関との道路建設協議も終えてございます。今後、紀の里地区の平成七年度採択に向け、知事を先頭に、県議会のお力添えをいただきながら積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 佐田議員の高齢者対策についてのご質問にお答えいたします。
まず一点目の、高齢者保健福祉推進十か年戦略の推進についてでございます。
本格的な高齢社会を目前にして、いかに高齢社会対策を実効あるものにしていくか、議員ご指摘のとおり、高齢社会対策に関する行政サービスについては、いつでも、どこでも、だれでも受けられることを基本としつつ、このことを確保するため、県といたしましては、県下各市町村の実情を見きわめながら国への要望も適宜行い、保健、医療、福祉の連携、財源確保、人材の育成といった課題等について、総合的、計画的に施策の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
二点目の、各府県と比較した和歌山県の福祉サービスの度合いについてでございます。
本県の高齢者福祉の内容に係る全国的な順位についてですが、平成六年八月に厚生省から発表された「老人保健福祉マップの概要について」で申し上げますと、いわゆる在宅三本柱であるホームヘルパー、デイサービス、ショートステイの高齢者百人当たり年間利用回数について、平成四年度では四十七都道府県中第十八位となっているところでございます。それぞれの利用率は、ホームヘルパーについては第六位、デイサービス及びショートステイについてはそれぞれ第二十一位となってございます。ちなみに近畿各府県の状況を見てみると、本県はトータルでは一位となっているところであり、ホームヘルパー及びデイサービスについては一位、ショートステイについては四位といった状況でございます。
また、施設サービスのうち特別養護老人ホームについては、知事からも答弁しましたように、目標とする三千床の整備に近づくなど、全国的に見ても高い整備率を誇ってございます。さらに過疎化の進む町村についても、平成二年度より高齢者生活福祉センターを六カ所整備するなど施策の充実に努めてまいりました。県といたしましては、このように在宅福祉サービスと施設福祉サービスを適切に組み合わせながら福祉社会の実現に努めているところでございます。
三点目の、ゴールドプランの市町村計画の再検討についてでございます。
各市町村では、当該計画の策定に当たっては、国から示された指針を踏まえ、他方、各市町村において高齢者の実態調査を実施した結果とそれぞれの地域の実情をもとに、今世紀中に達成すべき保健、福祉の分野のサービスをどのように実施していくのか、真剣に考えて策定されているところでございます。県といたしましては、この計画の達成に向けて積極的に支援をしてまいりたいと考えてございます。
次に、障害者福祉対策のご質問のうち、一番目の紀の国障害者プランの具体的実施計画についてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、紀の国障害者プランは、障害者の主体性、自立性を確立し、だれもが住みよい平等な社会づくりの推進などについての基本的な考え方を示したものでございます。
民生部といたしましては、本年度内に仮称・県障害者施策実施計画を関係部局等の協力を得て作成いたしたいと考えております。なお、このプランは前期五年で見直しを行うこととしており、常に新たな課題やニーズの多様化などを的確に把握し、実効性の高い計画としてまいる所存でございます。
二点目の、条例等の制度についてでございます。
生活環境の整備を図って障害者の自立と社会経済活動への参加を促進していくことは、ノーマライゼーションの理念を具体化するために重要な課題であると認識してございます。昭和六十一年四月に策定した障害者等の住みよい生活環境整備指針に基づき、障害者の利用に配慮した各種の施設、設備の整備を図ってまいりましたが、さらに施策を進めるため、現在、整備指針の見直しを行ってございます。
また本年九月、いわゆるハートビル法が施行されて、劇場や銀行、ショッピングセンターなど、だれもが利用する建築物等を対象として、高齢者や障害者が利用しやすくするために出入り口のスロープや障害者用トイレなどの整備を誘導することとされたところでございます。県としても、障害者の利用に配慮した施設整備のハード面と、県民の理解を深め協力を得るためのソフト面の両面にわたり施策を推進するため、本年度にモデル市町村において建築物等の整備状況調査を実施することとしてございます。
条例制定については、国の法令との整合性、あるいは既に制定されている府県における施行上の問題点などの検討を行っているところであり、さきに申し上げた調査結果を踏まえながら、今後も全員参加による福祉の町づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
最後に、障害者行政は総合行政として取り組むべきではないかというご指摘のとおり、障害者対策は民生部のみならず各部局等において総合的に取り組むことが重要なことでございます。
本県では、昭和五十七年に障害者対策推進本部を設置して、障害者に関する総合的な施策の推進について、関係各部局等の密接な連携を確保し、その円滑かつ効果的な推進に努めてきたところでございます。今後とも、総合的かつ体系的という視点から各部局の理解を求め、協力をいただきながら対処してまいりたいと考えてございます。
なお県職員の研修については、昭和五十六年の国際障害者年を契機とした数度の障害者特別研修の実施、また各職場において研修が実施され、研さんを深めてございます。本年度は紀の国障害者プランの初年度に当たることから、県職員研修所の本科第三部に障害者福祉の科目を設けたところでございます。今後とも、職場研修等を通じて県職員一人一人が人権尊重を基本に、より一層障害者に対する正しい理解と認識を深めるとともに、行政責務を自覚し、障害者福祉の推進に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 那賀、海草、伊都三郡にまたがる道路の新設改良についてのご質問、二点についてお答えいたします。
まず、粉河町、美里町、花園村に至る直通道路の建設についてでございます。
ご提言の道路については、美里町と花園村の間には町村道長谷花園線があり、それぞれの町村において補助事業として順次整備を進めているところでございます。さらに峠付近については、トンネルを含めたルートの検討、整備手法、事業主体などについて検討を鋭意進めているところでございます。なお、その他の区間については、現在、県道、町道などがなく、また地形的にも険しく、膨大な事業費を要するため早期具体化は困難であると考えておりますが、地元町村とも協議を進めながら将来の検討課題として勉強してまいりたいと考えております。
次に、竜門橋についてでございます。
竜門橋は、昭和二十八年水害により流失したため、昭和二十九年に災害復旧事業で架橋された幅員四・五メートルの橋で、その後、歩道が添架され、現在に至っております。竜門橋については、粉河町の道路網との関係を調整しつつ、位置並びに現橋の取り扱いなどについても検討しているところでございまして、町と十分協議しながら進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(富田 豊君) 以上で、佐田頴一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(富田 豊君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後三時七分散会