平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
44番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
今年の夏は記録的な猛暑が続きましたが、和歌山の県民にとりましては二つのビッグイベントで熱く燃えた夏でもありました。
九月四日の関西国際空港の開港後、本日でちょうど一カ月目を迎えました。振り返れば、国連社会局のワイズマン氏を中心とする調査団が大阪を訪れ、近畿圏に第二国際空港が必要との報告をまとめた昭和三十七年六月より実に三十二年の歳月が流れております。昭和四十九年八月、新空港は泉州沖が最適との航空審議会の正式答申から二十年の歳月と一兆五千億円の巨費が投じられ、関西国際空港が開港いたしました。仮谷知事におかれましても、思えば長い道のりであったと感慨ひとしおのことと存じます。ここに改めて、仮谷知事初め関係者の皆様の関空開港へのご尽力に対しまして心より感謝を申し上げます。関空は今、関空から世界へ、世界から関空へ、関空から旅に、まずは関空を見てとの、人と物との流れで大変なにぎわいとのことであります。和歌山でも八月はパスポートの申請が五割増しとか、かつらぎ町の柿が関空から北海道へ初出荷など、明るい話題が生まれております。
二つ目は、当初目標のほぼ二倍の二百九十八万人の入場者でにぎわった世界リゾート博の大成功であります。協会では、人が集まった要因として、四方を海に囲まれた会場の開放的な雰囲気、体験型・夜型重視のイベント構成やパビリオン群などを挙げております。海に浮かぶ人工島が丸ごと会場となり、カヌー、温泉、クルージングなどのリゾート体験、夜の海に映える電飾船のパレードと、企画のすばらしさに加え天候も順調で追い風となり、レジャーの安・近・短傾向にもうまく乗って成功したものと考えられます。
そこで、関空開港、ポストリゾート博の時点に立って、知事及び関係部長にお尋ねをいたします。
一、関西国際空港を我が国を代表する国際ハブ空港とするためには、滑走路三本を備えた全体構想の早期実現が急務であることは論をまちません。本年五月に全体構想実現化方策検討委員会より中間報告がなされ、八月には全体構想の推進に向けた地元の基本的な考え方が推進協議会より示されたところであります。二十一世紀の初頭には滑走路処理能力約十六万回を超えるものと想定されるため、平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画において全体構想の規模、能力が明確に位置づけられ、同時に第二期計画の事業化が必要であります。そのためには、明年夏ごろに発表される予定の七空整の中間取りまとめにどう位置づけられるか、今後引き続き運輸省に働きかけなければなりません。知事はどう取り組まれるのか。
二、関西国際空港は当初、国際線週六百三十便、国内線一日七十便を目標に進められ、開港時には国際線三百三十九便、国内線六十七便でスタートしています。JTBの調査によると、十月からの冬ダイヤ期間中に約四百便にまで増加すると予測しております。これは、週百便ふえるのに七年かかった成田に比べれば飛躍的な伸びと言えますが、開港初年度の経常赤字が五百億を超える見通しと言われております。過日、関空の服部社長の新聞社のインタビューで、最近、運輸省や大阪府が空港施設の買い上げ計画を打ち出していることに「国であれ、地方自治体であれ、買い上げの話があれば拒まない。経営改善につながるからだ」と述べております。第一期事業の七〇%を借入金で賄ってきた関空会社としては当然の発言と考えます。本来、第一種空港は国が設置するのが当然であり、現行の空港特会制度を見直し、空港が国民生活に必要不可欠な社会資本であり国際的な社会資本であるとの位置づけが必要と考えられます。こうした観点から、本県も国に対して施設等の買い上げを要望すべきであると思います。そこで、関西国際空港の便数の拡充及び県民への利用の促進、施設の買い上げ問題についてどう対応するのか。
三、関西国際空港を核として、本県の次の目標は紀淡海峡ルートの建設であると考えます。四全総に位置づけられた大阪湾環状交通体系のかなめとするとともに、近畿、四国を含めた交通圏の形成が必要であります。また、本県は大阪湾のベイエリアを新たな開発拠点として世界都市にふさわしい機能の整備を目指しています。さらに、コスモパーク加太計画の用地にその方向づけが期待されているところであります。そこで、知事は紀淡海峡ルートの建設をどう進められるのか。
四、世界リゾート博を成功に終え、和歌山マリーナシティは二十一世紀の海上都市として再スタートを切ります。幸い、明年はNHKの大河ドラマで吉宗が登場し、和歌山が再び全国の注目を受けることは大変にありがたいことであります。それゆえ、和歌山マリーナシティの第二期施設の建設もぜひ急いでほしいと思うものであります。第二期施設の建設は松下興産株式会社と第三セクターの和歌山マリーナシティ株式会社において、マリーナ、ホテル、中高層マンション、スポーツ施設等が平成十年ごろまでに建設される予定で、既にマリーナについては来年四月にオープンする運びとのことであります。そこで、第二期施設の建設は今後どう進められるのか。
五、世界リゾート博の収支についてはまだ正確な数字は出ていないと思いますが、利益があれば趣旨を生かした形で県民に還元していただきたいと思います。富山県では財団法人未来財団がつくられ、岩手県では財団法人三陸博記念基金を、また長野県では地域づくり基金に繰り入れられていると聞いております。そこで、本県においては世界リゾート博の趣旨を生かしてどう対処されるのか、お尋ねをいたします。
次に、少子化への対策についてお尋ねをいたします。
将来に恐るべき影響を及ぼす事態が現在進行しております。それは、平成五年度の我が国の出生数が百十八万八千三百十七人と過去最低となり、合計特殊出生率も一・四六と過去最低をさらに下回り、低下を続けていることであります。
一橋大学の高山憲之教授は「日本の総人口はあと十数年で減少に転ずる。出生率は今後も、下がり続けることはあっても反転することはないと考えるべきだ。それが将来の総人口と労働力を減らす。二〇九〇年の人口は今の半分の六千万人になる。(中略)今後、五十年にわたり労働人口は特に若い世代を中心に減る。経済成長の維持にとって労働人口の減少は大変に厳しい問題だ」と述べております。
こうした少子化の傾向は本県も同じで、出生数は平成四年から一万人台を割り込み、五年度も九千七百三十七人と過去最低となり、合計特殊出生率も一・四六と全国平均と同数となっております。出生率の低下の要因としては、まずは女性の就労率の増加が挙げられます。平成二年の職業別合計特殊出生率では、就労女性が〇・六〇に対して無業の女性は二・九六と、働く女性と専業主婦の出生率に著しい格差が見られており、仕事と子育ての両立を支援するためのサービスが求められております。さらに、生活水準の向上に伴う独身生活の魅力の増大、結婚しないことへの社会的圧力の減少等により、男女とも未婚率が上昇してきています。加えて、子育てに伴う教育費の増大、住宅事情等が出生率を下げる原因となっております。
二十一世紀に向けて急速に到来する少子・高齢社会への対応として厚生省は、平成六年三月に二十一世紀福祉ビジョンを発表。同ビジョンでは、子供を産み育てることは健全な世代の形成に向けての社会全体の投資ととらえることができると、子育てを社会的に支援していく必要を述べています。さらに国は、八月二十二日、少子化の進行の歯どめをかけるため、子育てと仕事の両立を支援する総合計画、いわゆるエンゼルプランの骨子をまとめました。同プランでは、平成七年度からの十年計画で、一、保育対策の充実、二、放課後児童対策の充実、三、母子保健医療対策の充実の三本柱に加え、文部省、労働省、建設省の施策を盛り込み、主要施策に対しては具体的な整備目標を示しております。加えて厚生省では、本年四月より新児童手当法に基づき事業主から新たに子育て支援サービスに充てるための資金を徴収して、児童育成事業に着手しています。
本県は、次代を担う子供が健やかに生まれ育つ環境づくりのために、和歌山県子育て環境づくり連絡会議を平成四年六月に庁内に設置、さらに和歌山県子育て環境づくり推進協議会を平成五年八月に設置してきております。
そこで、知事は今日の少子化をどうとらえ、本県の子育て支援のための総合計画をどう策定するか、また少子化対策はどう進められるのか、お尋ねをいたします。
次に、関係部長にお尋ねをいたします。
一、保育所対策の充実として、エンゼルプランの骨子では三歳未満の受け入れを二倍の八十万人に拡大、延長保育を約六倍の一万四千カ所に拡大、一時保育サービスを十五倍の七千カ所に拡大するなど、多様なサービスの供給を挙げております。本県では同プランの骨子に沿って今後どう保育対策を拡大し、保育所の増改築計画を進めるか。
二、より利用しやすい保育所を目指し、現行の措置制度を見直し、乳児保育料や共働き世帯の負担軽減をどう図るか。
三、共働き家庭の小学校低学年の児童を対象に放課後児童クラブを拡充するとしていますが、本県はどう進められるのか。
四、周産期・新生児医療体制の整備として母子保健総合医療センターを全国に新たに百二十カ所設置するとしています。本県では新生児の死亡率や周産期死亡率の対策として、昭和五十四年に医大にNICUを、昭和五十九年に日赤にPICUを設置し、その拡大を推進してきていますが、今後の新生児・周産期医療体制の整備をどう進められるのか。
五、平成四年施行の育児休業法は三十人以下の小規模事業所では七年三月までその適用が猶予されております。本県における同制度の定着状況と今後の充実をどう進められるのか。
以上、五点お尋ねをいたします。
次に、地域保健法に関連してお尋ねをいたします。
急激な人口の高齢化と出生率の低下、疾病構造の変化、地域住民のニーズの多様化などに対応して、地域保健の新たな体系づくりを目指して保健所法を抜本的に改正し、地域保健法が本年六月に成立しました。同法では、都道府県と市町村の役割を見直し、住民に身近な母子保健サービスなどについては主たる実施主体である市町村に変更し、既に市町村が実施主体となっている老人保健サービスと一体となって、生涯を通じた健康づくり体制を整備するとしております。そのため市町村に移管する業務は、一、妊産婦・新生児に対する訪問指導、二、妊産婦健診と乳児健診、三、三歳児健診、四、一般的な栄養指導などとなっております。これらの業務は市町村保健センターが中心となって行うため、同センターを法律に基づく施設として整備する、さらに人材の確保としては市町村保健婦を平成十一年までに現在の二倍の二万三千人程度に増員する、一方、現在の保健所は管轄区域を拡大し、難病、エイズ、精神保健、食品衛生など専門的で広域的な業務を担う機関に衣がえする、これによって現在全国に八百四十八カ所設置されている保健所は最終的には半分程度に統廃合される見通しとのことであります。
本県では、二次医療圏は和歌山、橋本、有田、御坊、田辺、新宮の六カ所に分けられ、保健所は本年十月現在で県設置八カ所、市設置二カ所の合計十カ所あります。市町村保健センターは現在、県下では有田市など六カ所しかありません。同センターの設置が進まない原因の一つに、国の施設整備の補助金が九千万円と少ないため市町村の負担が大きいことが考えられます。
そこで、保健環境部長にお尋ねをいたします。
一、身近な保健サービスと福祉の総合機能を持った市町村保健センターを平成十一年度末までに全市町村に設置される計画はどうか。
二、人材確保について、本県では五年四月現在、保健婦数は県七十二人、市町村百六十人となっております。今後、人材の確保にどう取り組まれるのか。
三、保健所の管轄区域を拡大する場合、二次医療圏六カ所にどう配置される計画か。
四、保健所にエイズなど専門的な業務を担わせると、エイズ対策等の強化を挙げております。平成六年八月末における都道府県別エイズ患者・感染者数は千七百九人と昨年の同月末に比べて四百八人、三〇%増と急速に増加してきております。本県においても、エイズ患者・感染者は本年に入って三人増加し、累計で七人を記録しております。本県では平成六年度にエイズ予防対策費千七百十八万二千円を計上し、HIV─1の検査に加え平成五年十月よりHIV─2の検査の実施、夜間におけるエイズ相談、テレフォンサービスなど、予防と啓発に努力してきております。厚生省は、平成五年七月にエイズ患者・感染者の入院治療を行える拠点病院を都道府県に二カ所以上設置する旨、通知しております。そこで、本県におけるエイズ対策の現状と拠点病院の設置をどうなされるのか。
以上、四点お尋ねいたします。
次に、高校教育の改革についてお尋ねをいたします。
平成三年四月に、第十四期中央教育審議会から新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について答申が行われました。この答申では、今日、高等学校への進学率は九六%に達し、生徒の能力、適性、興味、関心、進路が極めて多様化しているが、現在の高校教育は生徒の実態に十分対応したものとはなっておらず、画一的な教育課程、偏差値偏重による受験競争の激化、不本意入学や高校の中途退学などの問題点を指摘しています。そして、改革の視点として、個々の生徒の特性を生かす質的充実、生徒の個性に応じた実質的平等、偏差値偏重から人間性重視への三つの視点から、高校教育の改革として、一、学科制度の再編、二、新しいタイプの高校、三、学校間の連携の推進、四、特色ある学校づくりの推進、五、高等学校入学者選抜の改善等を挙げました。同答申を受けた文部省は高校教育改革推進会議を発足させ、平成四年六月から五年二月までに四回の報告が行われ、学校間連携の導入、高校入試の改善、総合学科の創設等が報告され、高校教育改革の方途が示されてきたところであります。こうした答申や報告をもとに、本県でも高校教育改革に積極的に取り組んできております。
一点目の学科制度の再編による特色ある学校づくりの推進については、本県では答申以前の平成元年四月より取り組み、本年四月までに十五校で十九学科が新設され、各学校の特色を出そうと努力されています。特に、数理科学科、環境科学科を設置した学校では二学期制を導入するなど、授業日数や授業時数の確保にも寄与し、話題となってきております。また、会計科、情報処理科、国際経済科、電子機械科、生産システム科など、時代に適合した学科として期待されています。しかし、こうした高校改革には、校長みずからリーダーシップを発揮し全職員が一丸となった協力体制を確立することが不可欠であり、教職員の意識改革が必要であります。
二点目の第一回報告にある学校間連携については、本県では平成五年四月からスタート、和歌山市内にある星林高校、県和商、和工の三校間において週一回午後二時間、他校に出かけていって学習し、単位認定がなされてきております。六年度は星林高校国際科での中国語が人気を博しています。今、県下の各高校間においても学校間連携の導入の希望があり、その拡充が望まれているところであります。
三点目の単位制高校の導入については、平成四年四月から青陵高校、紀の川高校、南紀高校で開設され、大変に好評を得、学校の活性化になっております。今後は、全日制課程への単位制高校の導入が検討課題であります。
四点目の総合学科の創設については、本県では本年四月に和歌山高校に総合学科を導入し、今、全国的に注目を集め、二学期の九月五日現在で六十七回の学校訪問を受け、うれしい悲鳴とのことであります。私も九月十二日に学校訪問してきましたが、公舎の清掃が行き届き、生徒さんから明るく「こんにちは」のあいさつがあり、すがすがしく感じた次第であります。話を伺いますと、平成二年から三年間、偏差値偏重から個性重視へのビジョンづくり、平成五年の四月に北澤校長先生が着任され、平成五年二月の第四回報告による総合学科創設へ賛否両論のある中、校長を中心に教職員が協力し合って新しい道への挑戦が始まりました。先生が変わり、生徒が変わり、今、学校全体が変わろうとしています。私は総合学科という自己教育力を育てる場で教師が子供観を変え、指導観を変え、評価観を変え、総合学科をぜひ成功させていただきたいと願っております。
五点目の高校入試改善についても本県は平成六年度より実施、その内容は新しい学力観に基づいた指導を生かし、偏差値に依存しない入試方法の改善として、調査書に観点別学習状況を新設する、五教科百点満点とする、学科によって傾斜配点を導入する、合否については学力検査、評定、観点別学習状況、特活やボランティア活動等とする、推薦入試の充実の四点にわたる二十五年ぶりの大幅な入試改善でありました。こうした改善により業者テストが廃止され、本年からは和歌山市内の中学校で行われてきた校長会の統一テストの廃止が決まったと聞いております。さらに、七年度入試に向け、本年七月、「中学校における適正な進路指導について」との通知を行い、九月には七年度入試の実施要項を発表し、改善に努めてきております。平成三年の答申から始まった高校教育改革を本県においてこの四年間実施してきた西川教育長に、ただいま申し上げてきました五点についてどう総括され、今後の本県の教育に生かし、改革されようとしているのか、お尋ねをいたします。
最後に、学校の週五日制の月二回実施についてお尋ねいたします。
学校の週五日制の導入については、平成四年九月より毎月第二土曜日を休みとする月一回が実施され、丸二年を迎えております。導入の趣旨は、学校、家庭及び地域社会の教育のあり方や相互のかかわりを見直し、教育力を高め合う中で子供がみずから考え、主体的に判断し、行動できる資質や能力を身につけることを目指したものでありました。五日制の定着のための課題としては、新しい学力観に立った教育課程の見直し、学校行事やゆとりの時間の精選、家庭や地域社会における対応の充実が挙げられ、現在、モデル校七百三十三校で月二回実施にした場合の問題点などを調査研究しております。
文部省は、学校の週五日制月二回への移行について調査研究協力者会議を十月初めに開く方針で、十一月にも最終報告をまとめ、来年四月より月二回土曜日休日の実施を正式決定するとの新聞報道がありますが、学校週五日制月二回実施に対する教育長の見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
関西国際空港の開港とポスト世界リゾート博について、まず関空全体構想の推進についての今後のあり方ということでございます。
ご指摘のとおり、全体構想の早期実現のためには、平成八年度から始まる第七次の空港整備五箇年計画に全体構想の推進並びに二期計画の事業着手を明確に位置づけていただくことが不可欠な条件でございます。そのために、先般、知事会並びに経済界で結成する関西国際空港全体構想推進協議会の総会において、来年度のボーリング調査費等について地元負担を行うこと、また全体構想推進に向けての基本的な考え方について合意するなど、国に対して地元の熱意を示しました。その結果、来年度の国の概算要求に全体構想推進のための所要の調査費が盛り込まれたところでございます。
今後は、議会のお力添えをいただきながら、また関係団体とも一致協力して調査費の満額確保について強く国に働きかけるとともに、第七次空港整備五箇年計画に係る航空審議会の中間取りまとめが出される来年夏ごろを目途に、二期計画の事業手法並びに地元の協力の具体的方策を固めるなど、その早期実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
それから、紀淡海峡ルートの建設と県の対処でございます。
紀淡海峡ルートは、ご指摘のとおり、大阪湾環状交通網や中部から九州へ至るいわゆる第二国土軸のかなめでございまして、極めて重要なものでございます。このために、従来から紀淡海峡交流会議や第二国土軸構想推進協議会などを設置して、その実現に積極的に取り組んでおるところでございます。先月も、近畿地方の方々に紀淡海峡ルートについてなお一層の理解と協力をいただくために、私も関経連の会長の川上哲郎さんや堺屋太一さんらと新聞紙上においてパネルディスカッションを行ったところでございます。紀淡海峡ルートが実現いたしますと、第二国土軸、ベイエリア構想、大阪湾環状道路のみならず、コスモパーク加太計画の推進や和歌山下津港の港湾機能の向上を初め、本県産業、文化等に大きな影響を及ぼすものと考えておるところでございます。
次に、関西国際空港開港とポストリゾート博として、世界リゾート博収益金の還元方法でございます。
収益につきましては、現在、博覧会協会において精算事務を行っているところでございまして、現時点では数字的に明確になっておりませんけれども、入場者数などから見て相当数の収益が出るのではないかと思ってございます。その使途については、世界リゾート博協会の理事会に諮った後に決定することになっておりますけれども、議員ご指摘のように、世界リゾート博の開催趣旨に沿った形で、地域振興が十分に図れるような施策に対する活用を考えておるところでございまして、各府県等においても基金を設置して地域や地方文化の振興に努めてございますので、そういう形で進めてまいりたいと思っております。
次に、少子化対策でございます。
お話ございましたように、最近の出生率の急激な低下は、我が国の社会経済発展の上に大きな影響をもたらすものでございますし、また、本県は全国平均を上回る高齢化でございますために、活力ある和歌山県の推進にとって少子化ということは極めて重要な課題であり、県の少子化対策として昨年実施した子育てに関する県民意識調査では、県民の約七割が何らかの対策をとることを望んでおるわけでございます。
出産、育児は個人の問題であるばかりでなく、社会全体の将来設計にかかわる重要な問題であると考えておりまして、平成七年度に向けて現在国で検討されているエンゼルプランの動向を十分注目しつつ、それと並行して、県で設置している子育て環境づくり推進協議会の提言等を参考にしながら、例えば特別保育の充実の問題、子育ての大切さや楽しさの啓発、育児に係る負担の軽減、育児と仕事を両立させる社会的な仕組みの整備等、出産、子育てに優しい社会づくりの推進に向けて総合的な対策について検討し、推進してまいりたいと思っております。
他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 新田議員にお答えいたします。
便数の拡充及び県民の利用促進、施設の買い上げ問題についてお答えいたします。
まず関西国際空港の便数の拡充についてでございますが、県議会の皆様方のご支援をいただき、国初め関係機関に再三働きかけを行っているところでございまして、おかげをもちまして国内線についてはほぼ満足する結果を得たところでございます。今後は、国際ハブ空港としての機能充実に向け、国内外の路線、便数の拡充、さらには利便性の高いダイヤ設定にも配慮いただけるよう、引き続き国、航空会社に対して働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に県民の利用促進についてでございますが、より利便性の向上を図るためにも、全体構想を推進する上においても、需要の喚起が必要でございます。県民の皆様に関西国際空港を十分活用していただくようPRを行ってまいりたいと考えてございます。
次に施設買い上げ問題についてでございますが、県としては、着陸料を初め施設使用料の引き下げのための財政措置等について配慮されるよう国に対し要望することとしてございます。県議会のご支援をいただきながら、予算の満額確保ができるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企業局長高瀬芳彦君。
〔高瀬芳彦君、登壇〕
○企業局長(高瀬芳彦君) 世界リゾート博跡地の利用計画についてお答えいたします。
和歌山マリーナシティの恒久施設整備については、既にテーマパークとしてポルトヨーロッパ、フィッシャーマンズワーフの黒潮市場、情報発信基地としての県内の歴史、文化、産業等を紹介するわかやま館が整備されており、リゾート博時には大勢の人に楽しんでいただいたところでございます。
今後の整備計画でございますが、居住施設としての中高層マンションについては、県と松下興産株式会社が出資している第三セクターの和歌山マリーナシティ株式会社が平成七年春の着工を目指し、需要者のニーズにこたえるべくアンケート調査等を実施したところであります。また、ホテル、スポーツ施設、コンベンションホール等のレクリエーション施設については、松下興産株式会社が段階的に整備し、供用していくこととなっております。
県としては、二十一世紀の新しい国際海洋リゾート都市形成を目指し、早期に和歌山マリーナシティの全体的な供用が図れるように努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 新田議員の少子化への対策についてのご質問のうち、まず保育対策の充実と増改築計画についてお答えを申し上げます。
近年、女性の社会進出の増大に伴い、保育ニーズが多様化してきており、これに対応するため、延長保育、乳児保育、一時的保育などの特別保育事業を推進し、年々保育内容の充実に努めているところでございます。現在、県下に二百三十四カ所の保育所がありますが、延長保育については三十八カ所、一六・二%の保育所で実施しております。また乳児保育については三十二カ所、一三・七%の実施となっております。今後とも関係市町村に対して地域の実情に応じた指導を行い、乳児保育等の特別保育事業のより一層の充実を図ってまいります。
保育所の増改築については、地域の保育の拠点として活用され、また延長保育等の要請に対応できる機能を持った保育所施設の充実のため、保育所整備補助事業を推進しているところでございます。今後も各施設や地域の実情に応じた指導を行い、多様化する保育ニーズに対応できる保育所施設の充実を図ってまいります。
次に、現行の措置制度の見直し等についてお答え申し上げます。
保育所における措置制度の見直しについては、昨年度、厚生省に保育所問題検討会が設置され、より利用しやすい保育所を目指して検討がなされ、措置費の改正については賛成、反対の両論併記の最終報告をまとめています。県としては、今後、国の動向を見きわめながら、保護者や児童の立場に立って、多様化する保育ニーズに対応できるよう、乳児保育等の特別保育事業を充実させるなど利用しやすい保育所づくりに努めてまいりたいと存じます。
次に、放課後児童クラブの拡充についてお答え申し上げます。
働く女性が増加する一方で核家族化が進行しており、放課後に保護者が家庭にいない児童の対策は重要な問題になっております。本県では、平成三年度から放課後児童対策事業を実施して、児童クラブを設置している市町村に対し補助しているところでございます。本年度は八カ所のクラブに対し補助する予定でございますが、補助クラブ数の増加については努力をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 新田議員ご質問の、少子化への対策の母子医療の充実についてでございます。
本県における母子医療、特に周産期・新生児医療については、昭和五十年代に乳幼児死亡率や周産期死亡率等が全国平均を上回ることが続いたため、その対策として昭和五十四年度よりNICU、昭和五十九年度には全国に先駆けてのPICUの設置のための補助制度を創設し、充実に努めてきたところであり、その結果、各種の母子保健指数は大きく改善されてきております。
周産期・新生児医療体制の充実については、今後の少子化への対応としても極めて重要な分野であり、安全な出産体制の確保、障害発生の防止を目指して、県の地域保健医療計画の中でも二次医療圏ごとのNICUの設置等について今後の課題として位置づけており、その体制整備について関係医療機関等と協議してまいりたいと考えております。
なお、母子保健総合医療センターの設置については現在国において進められておりますが、構想が具体化した時点で検討してまいりたいと存じます。
次に、地域保健法に関連して市町村保健センターの設置計画についてでございますが、身近な保健サービスの拠点として、さらに保健と福祉の総合的な機能を備えた拠点として運営されることが期待されている市町村保健センターの整備につきまして、平成六年六月に行った調査によりますと、三十の市町村から平成十一年度までの整備について前向きな回答をいただいております。県としては、財政的支援等の充実について国に対して強く要望するなど、積極的に整備の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。また、現在県内に二十五カ所ございます母子健康センター等の類似施設についても、市町村保健センターの機能を果たせるように指導していくなど、地域住民に総合的なサービスを提供できるような体制づくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。
続いて人材確保についてでございますが、人口の高齢化や疾病構造の変化などに対応し、住民に身近な保健サービスを適切に提供していく上で、保健活動の中心的担い手である保健婦の役割は今後ますます重要になっていくものと考えてございます。今後の人材確保については、県としては、市町村と保健所保健婦の役割分担をする中で、特に保健婦確保が困難な小規模町村における保健活動の支援を町村の求めに応じて図っていく考えでございます。また、保健婦の養成機関である県立高等看護学院保健学科については、平成六年度から養成人員を増しておりますが、県内就業への推進をさらに図っていきたく考えてございます。
次に保健所の設置についてでございますが、保健所の設置については専門的、技術的拠点としての機能を強化するため、規模の拡大と施設設備の充実を図ることが必要であるとされており、また地域保健法では保健所の所管区域は保健、医療、福祉の連携を図るという観点から、二次医療圏、福祉圏及び老人保健計画に基づく区域を参酌して設定することとなってございます。
保健所については、現在部内に設置している地域保健業務研究会等で保健所業務のあり方や保健、医療、福祉の連携など検討を進めているところでございますが、保健所の機能や配置の問題についても、今後とも地域の実情や県民ニーズを十分考慮するとともに、各方面からのご意見をいただきなから総合的な保健サービスが提供できるよう検討を進めてまいりたいと考えてございます。
続いて、地域保健法に関連してエイズ対策の現状と拠点病院についてお答えいたします。
本県におけるエイズ対策として、従来からの保健所における検査及び相談体制の充実やエイズの正しい知識の普及を図るための啓発事業を行ってまいりましたが、本年度から新たな事業として、昼間仕事等で相談が困難な人のために専門家による夜間電話相談、二十四時間利用できるテープによるテレホンサービスを実施し、県民のエイズ不安の解消を図っているところでございます。また、新たな啓発事業として、エイズ予防啓発ボランティア養成のための研修会及び地域での草の根研修会の開催や、十二月一日の世界エイズデーの前後一週間を「KINOKUNI AIDS WEEK」と称して講演会、映画上映会等の各種事業を開催することとしております。
次にエイズ治療拠点病院の選定についてでございますが、現在、専門家による検討会を設置し、本県におけるエイズ治療体制について検討をいただいております。現時点では一医療機関から内諾を得ており、もう一カ所については検討をいただいているところでございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 育児休業法の定着状況と今後の充実についてお答えします。
平成五年五月の労働省全国調査によりますと、従業員三十名以上の事業所で育児休業制度について就業規則、労働協約等、何らかの規定を有する事業所は全国で五〇・八%、本県では六五・五%となってございます。県においても、本年十二月に実施を予定している労働時間等実態調査の中で状況を把握してまいりたいと考えてございます。
また、平成七年四月一日からはすべての事業所に育児休業法が適用されますので、和歌山婦人少年室とも十分に連携を図り、育児休業法の定着に向けて啓発セミナーの開催、パンフレットの配布等、より一層の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育改革の総括など、大きく三点についてお答えいたします。
本県における教育改革の特徴の一つには、職員会議で論議を深めた校長の案を教育委員会の指導、助言のもとに決定しており、このことは他府県の教育委員会からも注目を受けているところでございます。
特色ある学校づくりについては、特に新設、改編をした十五校において工場見学や企業での実習、大学を利用したセミナーや海外での英語学習など、積極的な取り組みが行われているところであります。生徒の進路保障については、取得した資格を生かした就職や進学が増加する傾向にあります。また大学進学については、本人の希望する大学への合格者が増加し、質的な向上も見えてきてございます。こうした取り組みは教職員の意識の改革を促すとともに、近隣の高校はもとより、中学校にも好ましい影響を及ぼしてきてございます。
県内に設置した単位制高校三校では、かつて不登校であったと言われる生徒が元気に通学しており、中途退学者の数も平成五年度には前年度に比べて約三〇%も減少してきております。さらに、その他の単位制高校においても単位制を導入した高校などと連携して、三年間で卒業する生徒が増加してきております。和歌山市内で実施している学校間連携については、生徒たちは他校で新しい科目を学ぶ新鮮さや他校の生徒と出会う感動などを味わい、また教職員も学習効果は極めて大きいと評価してございます。本年度、和歌山高校に設置した総合学科については、生徒たちの生活態度は極めてまじめで、生徒指導件数、中途退学者の数は大幅に減少しており、上級生にも大変よい影響を与えております。
今後、これまで進めてきた施策を総合的に検討するとともに、高校教育の改革だけでなく、中学校教育の充実、中学校教育に視点を当てていくことが最も大きな課題だと考えてございます。特に学校間連携については、全県的視野からの実施を検討しているところでございます。また総合学科については、その成果を十分見きわめながら、今後多面的に研究してまいりたいと考えてございます。
次に高等学校入学者選抜についてでございますが、平成六年度には学校内外の活動や観点別学習状況の評価、特定教科の傾斜配点の導入、さらに推薦枠の拡大などの改善を行ったところであります。平成七年度には、思考力、判断力、表現力を重視する教育を一層推進するため、入学試験での一教科の時間を四十五分から五十分に延長するなどの改善を図ったところであります。今後ともこうした高校入試の改善の趣旨の定着を図るとともに、中学校の進路指導の充実等に努めてまいりたい所存であります。
次に学校週五日制の月二回の実施については、昨年度に引き続き、本年度も十四校園を調査研究協力校に指定しております。指導内容・方法の工夫・改善、授業時数の確保、学校行事の見直し、学校開放のあり方など、多面的に研究を進めているところでございます。月二回以上の実施については、これまでのアンケート調査結果から、特に障害を持つ児童生徒への対応や留守家庭などへの配慮、公共施設の活用のあり方、学力水準の維持向上などについて十分検討するとともに、国の動向等も勘案しながら慎重に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
44番新田和弘君。
○新田和弘君 ご答弁をいただきましたので、二点、要望させていただきたいと思います。
まず第一点目は、関西国際空港が開港し、本県にとって大きなイベントであったリゾート博が終わりました。二十一世紀に向かって、これからの本県の位置づけの上で数点の問題を挙げさせていただいた次第でございますが、関西国際空港については、全体構想の実現のために、ぜひとも知事さんを中心として強力な推進を図っていただきたいと思う次第でございます。さらには、本県の交通のかなめとなる紀淡海峡ルートの建設等につきましても、大変大きな課題でございますが、推進を進めていきますとコスモパーク加太や下津港湾等、いろいろと本県の重要性がさらに増していくものと考えておりますので、その推進をお願いする次第でございます。
二点目は、教育問題についてでございます。高校教育改革がこの四年間、本当に全国に先駆けて積極的な取り組みをされてきたと、私は考えておる次第でございます。こういった高校教育改革をさらに中学校、小学校の活性化にもつなげていただきまして、多分、来年四月から行われるであろう週五日制の二回実施等、教育の環境も新しい局面を迎えていくと思いますので、今後一層のご努力を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十六分休憩
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