平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成六年十月四日(火曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第八十九号から議案第百十六号まで、及び報第七号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十九号から議案第百十六号まで、及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
 47  番  浜  口  矩  一
欠 席 議 員(一人)
 39  番  中  西  雄  幸
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
 上  野 寛
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 西  本  貫  一
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
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  午前十時六分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、新任者をご紹介いたします。
 七月五日、人事委員会委員に選任され、七月十九日、就任されました松原敏美君をご紹介申し上げます。
 人事委員会委員松原敏美君。
  〔松原敏美君、登壇〕(拍手)
○人事委員会委員(松原敏美君) 去る六月定例会におきまして議員の皆様方のご同意を賜り、人事委員に選任いただきました松原敏美でございます。
 もとより微力ではございますが、職責を全うするため懸命に努力を重ねる所存でございますので、何とぞ、ご指導ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 まことに簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。
○議長(平越孝哉君) 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第九十五号、議案第九十六号及び議案第百五号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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 和人委第215号
 平成6年9月30日
 和歌山県議会議長  平 越 孝 哉 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成6年9月27日付け和議会第190号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第 95号  職員団体の登録に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 96号  議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 105号 警察官に対する支給品及び貸与品に関する条例の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
  ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百十六号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 29番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 九月議会のトップパッターとして、まず今回の世界リゾート博について幾つかの感想を申し上げ、質問をいたします。
 世界リゾート博終了直後、九月二十六日のNHKテレビ放送で「和歌山で行われていました世界リゾート博が、昨日、七十二日間の会期を終え、閉幕いたしました。連日、大変な入場者が訪れ、地方博としては異例の、入場者見込み百五十万人を大きく上回る約三百万人の入場者となり、地方博としては大成功の博覧会となりました」と伝えておりました。県民の一人として率直に喜びたいと思いますし、まずもってお礼を申し上げる次第でございます。
 思い起こせば七年前、知事は「世界リゾート博を開催する」と表明されました。このとき、正直言って何点かの懸念を覚えたのは私一人ではなかったのではないでしょうか。まず、「世界」とは何だということです。関西国際空港の開港が予定されていたとはいえ、実感としてはほど遠いものがあったあの時代に、和歌山が一挙に世界に結びつくか、また国際的なイベントになるのだろうかといった点でございました。
 次に、「リゾート」というテーマそのものについてです。時あたかもリゾート法が成立し、リゾートが時代の寵児であったことは事実でございますが、新しいだけにその実態がなかなかつかみづらい時代であったと記憶しております。それゆえ、具体的にはどのような博覧会になるのかといった点について心配をしたものでございます。
 また準備期間中には、バブル経済の崩壊といった新たな要素によって果たして企業の協賛が得られるのかといった点も心配でございましたし、直前には本当にお客様にお越しいただけるのかという切実な心配をいたしたものでございます。加えて、交通対策を含めた期間中の運営は大丈夫なのかといった点も大きな不安材料でございました。こうした懸念は、私のみならず、県議会そして多くの県民の共通した心配事ではなかったかと思います。
 しかしながら、結果はどうでしょう。私たちの心配はことごとく杞憂に終わり、県政史上最大のイベントが大成功のうちに閉幕をしたのでございます。これは、五十市町村の全面的な協力のもと、県民が心を一つにし、誇りと喜びを持って取り組んだたまものであり、結果として県外からも多くのお客さまを迎え、和歌山の豊かさと魅力を広く内外に紹介することができたわけでございます。
 ここに、知事の先見性、そして英断と努力をたたえるとともに、深く敬意を表したいと思います。また、裏方として支えてこられましたリゾート博協会、推進局並びに関係者のこれまでのご労苦に大きな拍手を送りたいと思うのは私一人ではないと思います。特に、最も心配いたしました交通対策に、そして海上のセキュリティーの確保、そして警備にと万全の体制を講じられた県警察のその緻密さには、大きな驚きとともに深甚なる敬意を表するものであります。
 これに加えて、会期中の九月四日には待望久しかった関西国際空港も開港し、見学者が引きも切らない状態であると聞き及んでおります。これまで、ややもすれば北に向かいがちであった近畿の関心が、今回のリゾート博の開催、関空の開港により大きく南に流れが変わるのではないでしょうか。これは紀南に生活する者にとって、またリゾート、観光に活性化の道を求めようとしている私どもの地域にとりまして心強い限りでございますし、今後は和歌山からさらに南への流れをおつくりいただきたいと願う次第でございます。
 こうした認識に立って、以下の点について知事及び当局の見解をお伺いいたします。
 まず、この成功を今後の貴重なノウハウとする必要がございます。そこで、博覧会の成功は何が原因だったとお考えか、その成功の要因を知事に尋ねるものでございます。また、このリゾート博から学んだことは何であるかも、あわせてお聞かせを願いたいと思います。
 次に、ポストリゾート博についてお伺いをいたします。ポストリ博といえば、リゾート整備の今後の方向、主会場の整備、またその収益金の活用等々ありますが、リゾート整備の方向性はさきの議会における知事答弁や一連の発言によりある程度の理解ができるので、今回はもう少し大きな視点で、県政の方向性といった観点からお伺いしたいと思います。
 この博覧会に費やした人員とエネルギーは莫大なものであったと思います。通常の業務では得がたい経験や知識を蓄積されたことと思いますが、これを一過性のものとしてしまうのは余りにももったいない気がいたします。そして、熱く燃えている今こそ、次なる目標を定めるべきではないでしょうか。
 そこで、質問でございます。今回携わった職員に蓄積された自信とノウハウを次に生かすといった観点から、ポストリゾート博について現在どう検討されているのか、またどのようにお考えか、企画部長にお伺いをいたします。
 以上でリゾート博の質問を終わり、次に移らせていただきたいと思います。
 健康保険法等の一部改正についてお伺いをいたします。
 我が国の医療を取り巻く状況は、人口の高齢化が進んでいること、疾病構造が成人病を中心に多様化していること等の特徴を持ってございます。そのような中で医療保険の果たす役割は非常に大きく、県民が健やかで安心できる生活を送るための基盤として機能しております。二十一世紀に向けて今後ともこの役割を維持しつつ、県民に適切な医療を効果的かつ安定的に確保していくことが必要ではないかと考えます。
 そこで、次の点についてお尋ねをいたします。
 第一点、本年十月に実施された制度及び内容いかん、特に入院時食事療養費の創設の考え方について。
 第二点、県単独医療費支給制度における給食費を助成対象としないことについて。
 第三点、和歌山市が独自に助成するように上程をされてございますが、このことについて県の考え方。
 この三点について、民生部長、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 次は、新宮地方の振興についてであります。
 私は常々、新宮市の活性化は新宮市自体の取り組みと周辺町村との関連の二つの側面から検討することが大切であると考えております。すなわち、新宮市の整備は、まず第一は市民三万六千人のための整備であることは論をまちません。しかし一方で、東牟婁町村は言うに及ばず、奈良県南部地域や三重県南部をも範囲とした約二十万人の広域生活圏の中心都市としての役割を考えた整備でなければならないと思うのであります。言いかえれば、中心都市としての新宮市と周辺町村には、新宮市の発展ないところに周囲の振興なし、周辺の振興がなければ新宮市の発展はなしといった密接な関連があると言えるのではないでしょうか。過疎に歯どめをかけ、若者の定住を図るには、中心都市・新宮市と周辺町村の機能分担が欠かせないと思うのであります。
 では、新宮市が中心都市として担うべきものは何でありましょうか。都市的な機能を初めたくさんあると思いますが、ここでは広域の地域全般に夢を与える共通するテーマとして、次の二つに絞って質問をしたいと思います。
 まず、スポーツについてでございます。スポーツの効用は今さら申し上げるまでもなく、心身の鍛練に加えて、チームワークによる一体感の醸成やスポーツを通じた広域的な若者やスポーツ愛好者の交流等、地域振興や活性化にもたらす効果は大きいものがございます。広域生活圏の中心都市・新宮市の都市基盤として、県施設としてのスポーツ公園の建設を強く要望し、知事の答弁を求めるものであります。
 次に、新宮地域の誇る文化についてでございます。
 今、県におかれましては、世界に誇るべき文化資源としての熊野に着目され、熊野学センター構想を進められております。確かに、熊野学という地域学をお考えいただくのはまことに意義あるものであり、このことについてはこれまでも何度かその推進を強く要望してまいったところでございますが、私の懸念材料は、この計画がとかく専門家の拠点になり過ぎるのではないかということでございます。願わくは地域住民とまざり合った、また気軽に利用できる施設とされることを強く切望するものであります。なぜならば、熊野に住む者にとって熊野は身近過ぎるだけに、意外にその本当のすばらしさが十分に理解され、自分たちのものとなっていないと考えるからであります。地域に生活する者がその文化を正しく認識し、誇りに思うことが地域おこしの第一歩だと考えるからでございます。
 それゆえに、この熊野学センターに加えて、地域住民が日ごろの文化活動の場として活用できるいわば熊野文化ホールといったものが併設され、地域での活動を通じて熊野のすばらしさが地域内外の人にとって認識できる複合施設として検討いただけないかと思うものであります。日本じゅうの人が注目し、地域の人々がこぞって利用できる質と規模の施設が自分のふるさとにあるんだという誇りを私たちにも持たせていただきたいという願いを踏まえて、知事公室長の答弁を求めるものであります。
 また、この際、最近新聞紙上をにぎわせている地域連携軸構想について質問いたします。
 当局のこれまでのご努力により、海岸ルート・近畿自動車道紀勢線の南伸は着実な進展を見せておりますし、山岳ルートとしての国道四百二十五号─水上栃谷─国道三百十一号ルートも大幅に進捗をしております。このことは、紀南地域の県都和歌山市を初め関西国際空港へのアクセスルートとして大変ありがたく、全線完成に向けて県当局のご努力にお礼を申し上げるところでございます。
 私はこれまで、この整備に加えていま一つの県際ルートとして、知事が提唱されているアンカールートの一角、すなわち新宮─五条間の道路整備について強く要望してまいりました。新聞報道などによりますと、第五次全国総合開発計画では紀南地域は国土政策上の課題地域としてとらえられ、こうした地域の活性化のためには交流人口の増加による振興が必要であり、このためより広域的な地域による連携が必要であるとの指摘がされてございます。
 アンカールートにつきましては、紀伊半島知事会議以後その必要性が強く指摘されたところでございますが、具体的な行動としてはなかなか目に見えてこないという現状にあります。私はこの際、新宮市を取り巻く広域アクセスの確保という観点からぜひこの整備促進を要望するものであり、そのステップとして五全総にいう地域連携軸構想への参画が必要であると考えるものでございますので、企画部長の所見をお伺いするものでございます。
 次に、JR紀勢本線の整備促進についてお伺いをいたします。
 二十一世紀を目前にした今、和歌山県は大きな飛躍のときを迎えていると思うのでございます。関西国際空港の開港により和歌山県は世界に最も近い県としてクローズアップされており、新しい白浜空港ももう間もなく開港となります。また和歌山市と淡路島を結び大阪湾環状ルートとなる紀淡海峡連絡道路構想も、着々と実現への道を歩んでいると伺ってございます。
 一方、高速道路については、近畿自動車道紀勢線湯浅御坊道路が来年度中には御坊まで開通するほか、第二阪和道、京奈和自動車道など、その整備が着実に進んでおり、高速交通基盤の整備に寄せる県民の期待はまことに大きなものがあり、これも県当局のたゆまぬご努力のたまものであると、敬意を表する次第でございます。
 さて、高速交通基盤は大きく三つに分けられると思います。一つは海、もう一つは陸、さらに空でございます。和歌山県は、振り返ってみますと、大変大きなおくれをとるこの二十世紀だったと思います。昔、海路が主な交通手段だったころには紀伊半島は随分栄えたものでございます。紀伊国屋文左衛門しかり、紀州の商売人が全国に名をはせたのも海路の時代でありました。熊野水軍が全国にその名を知られたのも海路が盛んなころであります。
 ところが、二十世紀に入って交通手段が海路から陸路へと移りました。いわゆる道路と鉄道の時代になってまいりました。そうなってまいりますと、日本列島を縦に貫く主な幹線網、鉄道で言えば東海道線、道路で言えば名神、東名、こうしたものを中心に日本が大きく発展するに至って、紀伊半島はおくれをとってきたというふうに考えられます。
 先ほども申し上げましたが、ここ数年のうちに空港と高速道路の整備は着実な進展を見せているところでありますが、鉄道の整備が残されていると思うわけでございます。これまでの間、紀勢本線の電化、田辺までの複線化、また特急くろしおの新大阪乗り入れなど、仮谷知事を先頭に先輩の皆さんが必死になっておくれを取り返す努力をしていただいたわけでございますが、現在、まだ列車の乗り心地、高速性において全国水準からおくれをとっている状況にあると思います。二十一世紀は鉄道復権の世紀であると言われており、鉄道の特性である大量輸送、定時性、速達性は我々にとって大きな魅力でございます。観光立県、リゾート立県として、関西空港などのインパクトを県下全域に波及させ、交流人口の増加を図り、県民の利便性の向上や地域の活性化を図るためには、交通基盤のもう一方の柱である鉄道の整備が焦眉の課題であると思うわけであります。
 最近の新聞によりますと、JR西日本において紀勢本線など急カーブの多い線区での高速走行が可能で乗り心地のよい特急列車、いわゆる「スネークトレイン」を平成十二年を目途に開発中であると報道されておりました。また、最近の鉄道の利用客の好みを見ますと、グレードの高い高級感のある列車に人気があるようで、鉄道の高速化を進めると同時に乗り心地のよい新型車両の導入を早急に進める必要があると思うわけであります。
 このような新型特急車両の導入による波及効果は大変なものであり、例えば平成四年にJR東海が名古屋─紀伊勝浦間に新型特急車両ワイドビュー南紀を投入いたしましたが、これは大幅な旅客増に結びつき、大変な経済誘発効果があったことは皆さんもよくご存じだと存じます。このほかにも、北陸線に導入されたJR西日本のニュー雷鳥、JR四国の新型振り子特急いしづち、JR東日本のスーパーひたちなど、たくさんの例があります。これらはすべて旅客増に結びついてございます。このように、リゾート博後の紀伊半島の活性化、特に紀南地方の活性化のためには、紀勢本線の高速化と同時に新型車両を導入することが大変有効な手段であると考えてございます。
 去る九月一日に田辺市において「紀勢本線の二十一世紀を考える紀伊半島鉄道フォーラム」が開催され、運輸省の澤田技術参事官、JR西日本の梅原鉄道本部長、石原広川町長、県観光連盟の高橋副会長の講演があり、紀勢本線の高速化や新型車両の導入について皆さん大変積極的な発言をされてございました。また、皆さんが異口同音に、市町村、経済界を含めた地元が一体となって熱意を示すことが紀勢本線の整備を進める早道であると発言されていたと伺ってございます。私もまさにそのとおりであると思うわけであり、静岡県の掛川市で新幹線の新駅を建設するために地元で約三十億円の基金を集めた事例もございます。今後、紀勢本線の活性化を進めるためには、地元として単に要望するだけでなく、基金集めなども行い、大いに協力すべきであると思うわけでございます。
 県当局においては、現在、紀勢本線の整備について検討を行っていると聞いておりますが、紀勢本線に対する基本的な考え方はどうか、快適性の向上についてはどうか、そしてまた速度向上についてはどうか、知事並びに企画部長にお尋ねをし、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 下川議員にお答え申し上げます。
 第一点の、世界リゾート博の成功とその要因についてでございます。
 博覧会の最終の記者会見の中で私は、「天の時、地の利、人の和」と申し上げたわけですけれども、この博覧会の成功は、何としても立派なものをつくらなければならないという県民の熱意と関係者の努力が相まって、また、すべてにおいて世界リゾート博に追い風が吹いたということが大きな原因ではないかと思っております。
 具体的には、天候に恵まれたことや大きな交通渋滞が発生しなかったことはもちろんでございますけれども、第一点として昨年の七月から県下全域で繰り広げてきたリレーイベントにより各地域の盛り上がりが図られたこと、第二点として博覧会会場そのものが本県の豊かな自然の中にあって「夏」や「海」といったリゾートのイメージにマッチしたこと、第三点として従来の博覧会にない、来場者自身が参加し体験できる博覧会にしたこと、第四点としてポルトヨーロッパや国際リゾート館、南太平洋ビレッジ等の施設を初め、レーザー級ヨット世界選手権大会や水上スキーショーなど、数多くの国際的イベントを開催することにより国際性を大きく打ち出したこと、第五点として夜のイベントを特徴づけたことにより夜間入場者が非常に多かったこと、などが考えられるところでございます。そしてまた、こうしたことに加えて、来場者にさまざまな体験を提供していただいた出展企業や団体の方々、市町村デーやイベント参加などで博覧会を盛り上げていただいた方々、ボランティアとして参加していただいた方々、博覧会に対するご理解とご協力をいただいた周辺住民や漁業関係の皆さん方など、関係する多くの方々の連携が非常にスムーズにいった結果ではなかったかと思っておりまして、こうした皆さんに心から厚く御礼を申し上げたいと思っております。
 次に、世界リゾート博から学んだことは何かという質問でございます。
 この博覧会から多くのことを学ぶとともに、また多くのものを残してくれた博覧会であったと思っております。当初の目標でございました百五十万人を大幅に上回る二百九十八万人もの来場者をお迎えして、県内外からの多くの方々にこの博覧会を通じて本県のすばらしい自然、歴史、文化、人のぬくもりといった本県の豊かな魅力を広く理解いただくことができましたし、また開催期間中の九月四日には待望の関西国際空港が開港し、京阪神はもとより東京、北海道、海外からも非常に近くなったことにより、本県のリゾート地としての適地性を国内外にアピールすることができたことも考えられます。さらに、「県民総参加」として和歌山県始まって以来の一大イベントを県民が一体となってともに大成功に導いたこと、そしてこの博覧会の準備から開催に至るまでのさまざまなノウハウやそれに取り組んだ人材など、今後の本県の発展にとってかけがえのない大きな財産を残してくれたこと。とりわけ私は、私たち県民に「やればできるんだ」といった自信とふるさとへの誇りを与えてくれたことが一番大きかったのではないかと思っておるわけでございます。
 次に、新宮地方の振興として、県施設としてのスポーツ公園の建設についてでございます。
 話ございましたように、スポーツは心身の健康をはぐくむとともに、また豊かな活力ある地域社会づくりに非常に重要な役割を負っているものでございまして、県民のスポーツ・レクリエーション需要に対応するための施設整備は重要な課題でございます。
 スポーツ施設は現在、各市町村で設置しているほかに、広域的なものとして広域圏で設置しているもの、県営紀三井寺総合運動公園、県立体育館等、県で設置しているものがございます。新宮定住圏においても以上の点を踏まえ、県としても適地の確保について現在積極的に取り組んでおるところでございます。施設につきましては、広域圏でのスポーツ・レクリエーションの需要に対応するためのあり方等について、関係機関と協議して今後進めてまいりたいと思っております。
 次に、紀勢本線の整備に対する基本的な考え方ということでございます。
 お話ございましたように、県勢の発展にとって高速交通網の充実ということは非常に重要な問題でございまして、私も積極的に取り組んでいるわけでございます。とりわけ昨今は鉄道復権と言われている時代でございまして、鉄道網の整備については非常に重要な課題として、平成四年から運輸省とJR西日本の全面的な協力をいただきながらポイント改良などの調査を現在進めつつあり、積極的に取り組んでおるところでございます。
 紀勢本線の整備についての県の取り組み姿勢でございますけれども、ご指摘のとおり、私も何といっても地元の熱意が一番大事なことではないかと思ってございまして、沿線の市町村、経済界等を含めた地元の盛り上がりを踏まえ、地元の皆さんとともに、JR西日本と協力して具体的かつ積極的に今後の紀勢本線の整備を進めてまいりたいという考えでございます。
 快適性等、他の問題については部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 下川議員にお答えいたします。
 まずポストリゾート博についてでございますが、議員ご指摘のように、この博覧会の開催とその成功により、県民はもとより私ども県職員にとっても大きな自信と誇りが得られ、また貴重な経験とノウハウの蓄積をもたらしたものと認識してございます。
 したがって、こうした経験やノウハウをこれからの県勢の飛躍に確実につなげていくためにも、リゾート博効果を持続し発展させていくための新たなイベントの開催やグリーンツーリズムの振興など、現在ポストリ博の施策展開について全庁的に取り組み、多角的な検討を進めているところでございます。
 いずれにしても、リゾート博の成功を単なる一過性のものとしてしまわないように、今後は高い評価を得た海を初めとする和歌山の豊かな自然や体験型リゾートの魅力、交通の利便性のアピールなど、リゾート博が発信した和歌山の新しいイメージを紀南地域に向けて誘導し、そのインパクトを全県的に生かし切るよう努めてまいる考えでございます。
 次に、新宮地方の振興についての地域連携軸構想についてでございます。
 議員ご質問のように、国における四全総の総合点検作業の中で新しい国土形成の理念として提唱されているものでございます。その内容としては、府県や市町村の境を越えた広域的な地域がさまざまな手法による多用な地域連携を促進するというもので、本県においても交流テーマや交流地域、連携のあり方について検討を進めるため、今議会に構想策定の予算をお願いしているところでございます。
 紀南地域の活性化を図るためには、地域の特色を生かし、自由で柔軟な発想に基づいたさまざまな交流の促進が求められると認識してございます。その交流の促進を図るための手段の一つとして、議員ご指摘の県際ルートを含むアンカールートの形成について、かねてから紀伊半島を構成する三重県、奈良県とともに国に対して強く要望しているところでございます。今回の構想につきましても、地元市町村はもちろん、関係府県や国の参画を得ながら策定し、その位置づけを国に対し働きかけてまいりたいと考えてございます。
 最後に、紀勢本線の整備についての快適性と速度向上についてでございます。
 県としても、かねてより特急くろしお号にかわる新型車両の導入の必要性を認識しており、JR西日本に対してその導入につき強く要望しているところでございます。また、紀勢本線の高速化については、平成五年度に紀勢線高速化構想基礎調査において短期的に整備可能な方策について調査を実施してまいりました。その結果、駅周辺の曲線改良やポイント改良など、具体的な整備箇所が明らかになってきてございます。今後、調査を鋭意進めるとともに、JR西日本と協力して積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 下川議員の健康保険法等の一部改正についてのご質問のうち、その内容はどうか、さらに入院時食事療養費の創設の考え方についてのご質問にお答えを申し上げます。
 今回の制度改正は、二十一世紀に向かって揺るぎない医療保険制度を確立するという考え方のもとに、約二年にわたる医療保険審議会等の審議を踏まえて行われたものでございまして、今日重要な課題となっている付き添い看護に伴う患者負担の解消を図ること、また在宅医療の推進を図ること、さらに入院時の食事に関する給付の見直しを図ることが改正の中心でございます。
 入院時の食事につきましては、質の改善を図るとともに、病院で入院されている方と自宅で療養されている方等との公平の観点から、平均的な家庭における食費程度の定額の一部負担をお願いすることとして、その財源で重い保険外負担を負っている付き添い看護の解消、在宅医療の推進等を図ろうとするものでございます。
 なお、食事の一部負担については低所得者に十分配慮をした軽減措置も講じられており、結核予防法等による命令入所等、公費負担医療の対象となっている方々については新たな負担が生じないこととされてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 下川議員ご質問の健康保険法等の一部改正に関して、県単独医療費支給制度における給食費を助成対象としないことについてお答えいたします。
 現在、本県では県単独の福祉医療として重度心身障害児者、母子家庭、乳幼児、さらには六十七歳から六十九歳の高齢者に対し、医療費の自己負担分に対する補助を行っております。
 しかしながら、今回の改正に伴い新たに発生する入院時の食費負担について、入院者のみに補助を行うことは在宅で療養される患者さんに対し著しく均衡を欠くこと、この負担額は家庭でも要している程度の食事の費用を基準にしており、また所得に応じ自己負担額の軽減措置が講じられていること、加えて近畿各府県においても制度改正の趣旨を踏まえてほぼ同様の対応を行っていること、さらに、国から県単独の福祉医療の中で食事の負担を補助することは今回の制度改正の趣旨に沿わないものであり不適切であるとの指示があったことなども踏まえ、現在福祉医療の対象となっておられる方々に負担をお願いすることといたしました。
 次に、和歌山市が独自に助成することについての県の考え方についてでございますが、今回の法改正の趣旨の一つは、ただいま民生部長の答弁にもありましたように在宅医療の推進であり、とりわけ急がれているのは、従来の入院医療ではなく、お年寄りが自宅で療養されることを可能とする在宅福祉・医療サービスの充実、そしてそれらを担う看護、介護に関するマンパワーの育成であります。
 しかし、今回の和歌山市の決定は在宅医療を推進する法改正の趣旨に逆行するものであり、長期的には財政を圧迫し、将来の本格的な高齢化社会に対する柔軟な対応を難しくするものではとの懸念を持っております。県としては、二十一世紀の超高齢化社会の中で活力ある県として維持し発展させていくため、在宅福祉・医療サービスの充実対策として、訪問看護ステーション、在宅看護支援センターの整備、またマンパワーの強化対策として紀南に看護婦養成所、県立医科大学に附属看護短期大学の設置等の施策を講じるなど、各種の施策を老人保健福祉計画に基づき、長期的ビジョンに立って一つ一つ着実に実施してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 知事公室長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 下川議員ご質問の新宮地域の振興についてのうち、熊野学研究センター構想と整備促進についてでございます。
 熊野学研究センター構想については、平成五年度に県と東牟婁、西牟婁郡二市十四町村で構想実行委員会を組織してございまして、有識者の意見を聞きながら基本構想を策定したところでございます。
 基本構想の内容は、「熊野学ネットワーク構想」として、熊野学を研究し、熊野を体験し、そして熊野を学習するという三つの機能を発揮することに重点を置いてセンター施設を設置するとともに、調査研究や熊野体験、展示、情報発信などの事業を展開することとまとめてございます。なお、本年度はこれらの構想をもとに基本計画を策定し、実現に向けての具体的な方策について検討を行うこととしてございます。
 熊野地域は、自然や文化、歴史など、さまざまな人々を引き寄せるすばらしい魅力がございます。今後は議員ご指摘の点も踏まえ、熊野の魅力を感じ、熊野に集う人々や地域の皆さん方にも参加、ご利用いただける施設のあり方等について、市町村初め関係の皆さんと一緒に検討し、熊野地域の活性化に結びつけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番下川俊樹君。
○下川俊樹君 今、ご答弁をいただいたわけですけれども、世界リゾート博から学んだことということで、いろんな条件、成功の要因について、いろいろお聞きしました。全くそのとおりだと思います。知事が今答弁の中で「やればできるんだ」ということをおっしゃいましたけれども、これからの諸施策の実行に当たっても、この「やればできるんだ」ということで我々の意識も改革していきたいと思いますし、また県民の先頭に立って頑張っていただいている県職員の皆さん方の意識改革にも──本当に全力を挙げて取り組んでかち得ることの喜びをこのリゾート博で体験していただいたということは、今後の県政において大変大きな財産だと思います。
 今後とも、そういう意味で県勢の発展のために一緒になってご努力いただきますことを要望して、終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で下川俊樹君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 今年の夏は記録的な猛暑が続きましたが、和歌山の県民にとりましては二つのビッグイベントで熱く燃えた夏でもありました。
 九月四日の関西国際空港の開港後、本日でちょうど一カ月目を迎えました。振り返れば、国連社会局のワイズマン氏を中心とする調査団が大阪を訪れ、近畿圏に第二国際空港が必要との報告をまとめた昭和三十七年六月より実に三十二年の歳月が流れております。昭和四十九年八月、新空港は泉州沖が最適との航空審議会の正式答申から二十年の歳月と一兆五千億円の巨費が投じられ、関西国際空港が開港いたしました。仮谷知事におかれましても、思えば長い道のりであったと感慨ひとしおのことと存じます。ここに改めて、仮谷知事初め関係者の皆様の関空開港へのご尽力に対しまして心より感謝を申し上げます。関空は今、関空から世界へ、世界から関空へ、関空から旅に、まずは関空を見てとの、人と物との流れで大変なにぎわいとのことであります。和歌山でも八月はパスポートの申請が五割増しとか、かつらぎ町の柿が関空から北海道へ初出荷など、明るい話題が生まれております。
 二つ目は、当初目標のほぼ二倍の二百九十八万人の入場者でにぎわった世界リゾート博の大成功であります。協会では、人が集まった要因として、四方を海に囲まれた会場の開放的な雰囲気、体験型・夜型重視のイベント構成やパビリオン群などを挙げております。海に浮かぶ人工島が丸ごと会場となり、カヌー、温泉、クルージングなどのリゾート体験、夜の海に映える電飾船のパレードと、企画のすばらしさに加え天候も順調で追い風となり、レジャーの安・近・短傾向にもうまく乗って成功したものと考えられます。
 そこで、関空開港、ポストリゾート博の時点に立って、知事及び関係部長にお尋ねをいたします。
 一、関西国際空港を我が国を代表する国際ハブ空港とするためには、滑走路三本を備えた全体構想の早期実現が急務であることは論をまちません。本年五月に全体構想実現化方策検討委員会より中間報告がなされ、八月には全体構想の推進に向けた地元の基本的な考え方が推進協議会より示されたところであります。二十一世紀の初頭には滑走路処理能力約十六万回を超えるものと想定されるため、平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画において全体構想の規模、能力が明確に位置づけられ、同時に第二期計画の事業化が必要であります。そのためには、明年夏ごろに発表される予定の七空整の中間取りまとめにどう位置づけられるか、今後引き続き運輸省に働きかけなければなりません。知事はどう取り組まれるのか。
 二、関西国際空港は当初、国際線週六百三十便、国内線一日七十便を目標に進められ、開港時には国際線三百三十九便、国内線六十七便でスタートしています。JTBの調査によると、十月からの冬ダイヤ期間中に約四百便にまで増加すると予測しております。これは、週百便ふえるのに七年かかった成田に比べれば飛躍的な伸びと言えますが、開港初年度の経常赤字が五百億を超える見通しと言われております。過日、関空の服部社長の新聞社のインタビューで、最近、運輸省や大阪府が空港施設の買い上げ計画を打ち出していることに「国であれ、地方自治体であれ、買い上げの話があれば拒まない。経営改善につながるからだ」と述べております。第一期事業の七〇%を借入金で賄ってきた関空会社としては当然の発言と考えます。本来、第一種空港は国が設置するのが当然であり、現行の空港特会制度を見直し、空港が国民生活に必要不可欠な社会資本であり国際的な社会資本であるとの位置づけが必要と考えられます。こうした観点から、本県も国に対して施設等の買い上げを要望すべきであると思います。そこで、関西国際空港の便数の拡充及び県民への利用の促進、施設の買い上げ問題についてどう対応するのか。
 三、関西国際空港を核として、本県の次の目標は紀淡海峡ルートの建設であると考えます。四全総に位置づけられた大阪湾環状交通体系のかなめとするとともに、近畿、四国を含めた交通圏の形成が必要であります。また、本県は大阪湾のベイエリアを新たな開発拠点として世界都市にふさわしい機能の整備を目指しています。さらに、コスモパーク加太計画の用地にその方向づけが期待されているところであります。そこで、知事は紀淡海峡ルートの建設をどう進められるのか。
 四、世界リゾート博を成功に終え、和歌山マリーナシティは二十一世紀の海上都市として再スタートを切ります。幸い、明年はNHKの大河ドラマで吉宗が登場し、和歌山が再び全国の注目を受けることは大変にありがたいことであります。それゆえ、和歌山マリーナシティの第二期施設の建設もぜひ急いでほしいと思うものであります。第二期施設の建設は松下興産株式会社と第三セクターの和歌山マリーナシティ株式会社において、マリーナ、ホテル、中高層マンション、スポーツ施設等が平成十年ごろまでに建設される予定で、既にマリーナについては来年四月にオープンする運びとのことであります。そこで、第二期施設の建設は今後どう進められるのか。
 五、世界リゾート博の収支についてはまだ正確な数字は出ていないと思いますが、利益があれば趣旨を生かした形で県民に還元していただきたいと思います。富山県では財団法人未来財団がつくられ、岩手県では財団法人三陸博記念基金を、また長野県では地域づくり基金に繰り入れられていると聞いております。そこで、本県においては世界リゾート博の趣旨を生かしてどう対処されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、少子化への対策についてお尋ねをいたします。
 将来に恐るべき影響を及ぼす事態が現在進行しております。それは、平成五年度の我が国の出生数が百十八万八千三百十七人と過去最低となり、合計特殊出生率も一・四六と過去最低をさらに下回り、低下を続けていることであります。
 一橋大学の高山憲之教授は「日本の総人口はあと十数年で減少に転ずる。出生率は今後も、下がり続けることはあっても反転することはないと考えるべきだ。それが将来の総人口と労働力を減らす。二〇九〇年の人口は今の半分の六千万人になる。(中略)今後、五十年にわたり労働人口は特に若い世代を中心に減る。経済成長の維持にとって労働人口の減少は大変に厳しい問題だ」と述べております。
 こうした少子化の傾向は本県も同じで、出生数は平成四年から一万人台を割り込み、五年度も九千七百三十七人と過去最低となり、合計特殊出生率も一・四六と全国平均と同数となっております。出生率の低下の要因としては、まずは女性の就労率の増加が挙げられます。平成二年の職業別合計特殊出生率では、就労女性が〇・六〇に対して無業の女性は二・九六と、働く女性と専業主婦の出生率に著しい格差が見られており、仕事と子育ての両立を支援するためのサービスが求められております。さらに、生活水準の向上に伴う独身生活の魅力の増大、結婚しないことへの社会的圧力の減少等により、男女とも未婚率が上昇してきています。加えて、子育てに伴う教育費の増大、住宅事情等が出生率を下げる原因となっております。
 二十一世紀に向けて急速に到来する少子・高齢社会への対応として厚生省は、平成六年三月に二十一世紀福祉ビジョンを発表。同ビジョンでは、子供を産み育てることは健全な世代の形成に向けての社会全体の投資ととらえることができると、子育てを社会的に支援していく必要を述べています。さらに国は、八月二十二日、少子化の進行の歯どめをかけるため、子育てと仕事の両立を支援する総合計画、いわゆるエンゼルプランの骨子をまとめました。同プランでは、平成七年度からの十年計画で、一、保育対策の充実、二、放課後児童対策の充実、三、母子保健医療対策の充実の三本柱に加え、文部省、労働省、建設省の施策を盛り込み、主要施策に対しては具体的な整備目標を示しております。加えて厚生省では、本年四月より新児童手当法に基づき事業主から新たに子育て支援サービスに充てるための資金を徴収して、児童育成事業に着手しています。
 本県は、次代を担う子供が健やかに生まれ育つ環境づくりのために、和歌山県子育て環境づくり連絡会議を平成四年六月に庁内に設置、さらに和歌山県子育て環境づくり推進協議会を平成五年八月に設置してきております。
 そこで、知事は今日の少子化をどうとらえ、本県の子育て支援のための総合計画をどう策定するか、また少子化対策はどう進められるのか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、保育所対策の充実として、エンゼルプランの骨子では三歳未満の受け入れを二倍の八十万人に拡大、延長保育を約六倍の一万四千カ所に拡大、一時保育サービスを十五倍の七千カ所に拡大するなど、多様なサービスの供給を挙げております。本県では同プランの骨子に沿って今後どう保育対策を拡大し、保育所の増改築計画を進めるか。
 二、より利用しやすい保育所を目指し、現行の措置制度を見直し、乳児保育料や共働き世帯の負担軽減をどう図るか。
 三、共働き家庭の小学校低学年の児童を対象に放課後児童クラブを拡充するとしていますが、本県はどう進められるのか。
 四、周産期・新生児医療体制の整備として母子保健総合医療センターを全国に新たに百二十カ所設置するとしています。本県では新生児の死亡率や周産期死亡率の対策として、昭和五十四年に医大にNICUを、昭和五十九年に日赤にPICUを設置し、その拡大を推進してきていますが、今後の新生児・周産期医療体制の整備をどう進められるのか。
 五、平成四年施行の育児休業法は三十人以下の小規模事業所では七年三月までその適用が猶予されております。本県における同制度の定着状況と今後の充実をどう進められるのか。
 以上、五点お尋ねをいたします。
 次に、地域保健法に関連してお尋ねをいたします。
 急激な人口の高齢化と出生率の低下、疾病構造の変化、地域住民のニーズの多様化などに対応して、地域保健の新たな体系づくりを目指して保健所法を抜本的に改正し、地域保健法が本年六月に成立しました。同法では、都道府県と市町村の役割を見直し、住民に身近な母子保健サービスなどについては主たる実施主体である市町村に変更し、既に市町村が実施主体となっている老人保健サービスと一体となって、生涯を通じた健康づくり体制を整備するとしております。そのため市町村に移管する業務は、一、妊産婦・新生児に対する訪問指導、二、妊産婦健診と乳児健診、三、三歳児健診、四、一般的な栄養指導などとなっております。これらの業務は市町村保健センターが中心となって行うため、同センターを法律に基づく施設として整備する、さらに人材の確保としては市町村保健婦を平成十一年までに現在の二倍の二万三千人程度に増員する、一方、現在の保健所は管轄区域を拡大し、難病、エイズ、精神保健、食品衛生など専門的で広域的な業務を担う機関に衣がえする、これによって現在全国に八百四十八カ所設置されている保健所は最終的には半分程度に統廃合される見通しとのことであります。
 本県では、二次医療圏は和歌山、橋本、有田、御坊、田辺、新宮の六カ所に分けられ、保健所は本年十月現在で県設置八カ所、市設置二カ所の合計十カ所あります。市町村保健センターは現在、県下では有田市など六カ所しかありません。同センターの設置が進まない原因の一つに、国の施設整備の補助金が九千万円と少ないため市町村の負担が大きいことが考えられます。
 そこで、保健環境部長にお尋ねをいたします。
 一、身近な保健サービスと福祉の総合機能を持った市町村保健センターを平成十一年度末までに全市町村に設置される計画はどうか。
 二、人材確保について、本県では五年四月現在、保健婦数は県七十二人、市町村百六十人となっております。今後、人材の確保にどう取り組まれるのか。
 三、保健所の管轄区域を拡大する場合、二次医療圏六カ所にどう配置される計画か。
 四、保健所にエイズなど専門的な業務を担わせると、エイズ対策等の強化を挙げております。平成六年八月末における都道府県別エイズ患者・感染者数は千七百九人と昨年の同月末に比べて四百八人、三〇%増と急速に増加してきております。本県においても、エイズ患者・感染者は本年に入って三人増加し、累計で七人を記録しております。本県では平成六年度にエイズ予防対策費千七百十八万二千円を計上し、HIV─1の検査に加え平成五年十月よりHIV─2の検査の実施、夜間におけるエイズ相談、テレフォンサービスなど、予防と啓発に努力してきております。厚生省は、平成五年七月にエイズ患者・感染者の入院治療を行える拠点病院を都道府県に二カ所以上設置する旨、通知しております。そこで、本県におけるエイズ対策の現状と拠点病院の設置をどうなされるのか。
 以上、四点お尋ねいたします。
 次に、高校教育の改革についてお尋ねをいたします。
 平成三年四月に、第十四期中央教育審議会から新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について答申が行われました。この答申では、今日、高等学校への進学率は九六%に達し、生徒の能力、適性、興味、関心、進路が極めて多様化しているが、現在の高校教育は生徒の実態に十分対応したものとはなっておらず、画一的な教育課程、偏差値偏重による受験競争の激化、不本意入学や高校の中途退学などの問題点を指摘しています。そして、改革の視点として、個々の生徒の特性を生かす質的充実、生徒の個性に応じた実質的平等、偏差値偏重から人間性重視への三つの視点から、高校教育の改革として、一、学科制度の再編、二、新しいタイプの高校、三、学校間の連携の推進、四、特色ある学校づくりの推進、五、高等学校入学者選抜の改善等を挙げました。同答申を受けた文部省は高校教育改革推進会議を発足させ、平成四年六月から五年二月までに四回の報告が行われ、学校間連携の導入、高校入試の改善、総合学科の創設等が報告され、高校教育改革の方途が示されてきたところであります。こうした答申や報告をもとに、本県でも高校教育改革に積極的に取り組んできております。
 一点目の学科制度の再編による特色ある学校づくりの推進については、本県では答申以前の平成元年四月より取り組み、本年四月までに十五校で十九学科が新設され、各学校の特色を出そうと努力されています。特に、数理科学科、環境科学科を設置した学校では二学期制を導入するなど、授業日数や授業時数の確保にも寄与し、話題となってきております。また、会計科、情報処理科、国際経済科、電子機械科、生産システム科など、時代に適合した学科として期待されています。しかし、こうした高校改革には、校長みずからリーダーシップを発揮し全職員が一丸となった協力体制を確立することが不可欠であり、教職員の意識改革が必要であります。
 二点目の第一回報告にある学校間連携については、本県では平成五年四月からスタート、和歌山市内にある星林高校、県和商、和工の三校間において週一回午後二時間、他校に出かけていって学習し、単位認定がなされてきております。六年度は星林高校国際科での中国語が人気を博しています。今、県下の各高校間においても学校間連携の導入の希望があり、その拡充が望まれているところであります。
 三点目の単位制高校の導入については、平成四年四月から青陵高校、紀の川高校、南紀高校で開設され、大変に好評を得、学校の活性化になっております。今後は、全日制課程への単位制高校の導入が検討課題であります。
 四点目の総合学科の創設については、本県では本年四月に和歌山高校に総合学科を導入し、今、全国的に注目を集め、二学期の九月五日現在で六十七回の学校訪問を受け、うれしい悲鳴とのことであります。私も九月十二日に学校訪問してきましたが、公舎の清掃が行き届き、生徒さんから明るく「こんにちは」のあいさつがあり、すがすがしく感じた次第であります。話を伺いますと、平成二年から三年間、偏差値偏重から個性重視へのビジョンづくり、平成五年の四月に北澤校長先生が着任され、平成五年二月の第四回報告による総合学科創設へ賛否両論のある中、校長を中心に教職員が協力し合って新しい道への挑戦が始まりました。先生が変わり、生徒が変わり、今、学校全体が変わろうとしています。私は総合学科という自己教育力を育てる場で教師が子供観を変え、指導観を変え、評価観を変え、総合学科をぜひ成功させていただきたいと願っております。
 五点目の高校入試改善についても本県は平成六年度より実施、その内容は新しい学力観に基づいた指導を生かし、偏差値に依存しない入試方法の改善として、調査書に観点別学習状況を新設する、五教科百点満点とする、学科によって傾斜配点を導入する、合否については学力検査、評定、観点別学習状況、特活やボランティア活動等とする、推薦入試の充実の四点にわたる二十五年ぶりの大幅な入試改善でありました。こうした改善により業者テストが廃止され、本年からは和歌山市内の中学校で行われてきた校長会の統一テストの廃止が決まったと聞いております。さらに、七年度入試に向け、本年七月、「中学校における適正な進路指導について」との通知を行い、九月には七年度入試の実施要項を発表し、改善に努めてきております。平成三年の答申から始まった高校教育改革を本県においてこの四年間実施してきた西川教育長に、ただいま申し上げてきました五点についてどう総括され、今後の本県の教育に生かし、改革されようとしているのか、お尋ねをいたします。
 最後に、学校の週五日制の月二回実施についてお尋ねいたします。
 学校の週五日制の導入については、平成四年九月より毎月第二土曜日を休みとする月一回が実施され、丸二年を迎えております。導入の趣旨は、学校、家庭及び地域社会の教育のあり方や相互のかかわりを見直し、教育力を高め合う中で子供がみずから考え、主体的に判断し、行動できる資質や能力を身につけることを目指したものでありました。五日制の定着のための課題としては、新しい学力観に立った教育課程の見直し、学校行事やゆとりの時間の精選、家庭や地域社会における対応の充実が挙げられ、現在、モデル校七百三十三校で月二回実施にした場合の問題点などを調査研究しております。
 文部省は、学校の週五日制月二回への移行について調査研究協力者会議を十月初めに開く方針で、十一月にも最終報告をまとめ、来年四月より月二回土曜日休日の実施を正式決定するとの新聞報道がありますが、学校週五日制月二回実施に対する教育長の見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の開港とポスト世界リゾート博について、まず関空全体構想の推進についての今後のあり方ということでございます。
 ご指摘のとおり、全体構想の早期実現のためには、平成八年度から始まる第七次の空港整備五箇年計画に全体構想の推進並びに二期計画の事業着手を明確に位置づけていただくことが不可欠な条件でございます。そのために、先般、知事会並びに経済界で結成する関西国際空港全体構想推進協議会の総会において、来年度のボーリング調査費等について地元負担を行うこと、また全体構想推進に向けての基本的な考え方について合意するなど、国に対して地元の熱意を示しました。その結果、来年度の国の概算要求に全体構想推進のための所要の調査費が盛り込まれたところでございます。
 今後は、議会のお力添えをいただきながら、また関係団体とも一致協力して調査費の満額確保について強く国に働きかけるとともに、第七次空港整備五箇年計画に係る航空審議会の中間取りまとめが出される来年夏ごろを目途に、二期計画の事業手法並びに地元の協力の具体的方策を固めるなど、その早期実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、紀淡海峡ルートの建設と県の対処でございます。
 紀淡海峡ルートは、ご指摘のとおり、大阪湾環状交通網や中部から九州へ至るいわゆる第二国土軸のかなめでございまして、極めて重要なものでございます。このために、従来から紀淡海峡交流会議や第二国土軸構想推進協議会などを設置して、その実現に積極的に取り組んでおるところでございます。先月も、近畿地方の方々に紀淡海峡ルートについてなお一層の理解と協力をいただくために、私も関経連の会長の川上哲郎さんや堺屋太一さんらと新聞紙上においてパネルディスカッションを行ったところでございます。紀淡海峡ルートが実現いたしますと、第二国土軸、ベイエリア構想、大阪湾環状道路のみならず、コスモパーク加太計画の推進や和歌山下津港の港湾機能の向上を初め、本県産業、文化等に大きな影響を及ぼすものと考えておるところでございます。
 次に、関西国際空港開港とポストリゾート博として、世界リゾート博収益金の還元方法でございます。
 収益につきましては、現在、博覧会協会において精算事務を行っているところでございまして、現時点では数字的に明確になっておりませんけれども、入場者数などから見て相当数の収益が出るのではないかと思ってございます。その使途については、世界リゾート博協会の理事会に諮った後に決定することになっておりますけれども、議員ご指摘のように、世界リゾート博の開催趣旨に沿った形で、地域振興が十分に図れるような施策に対する活用を考えておるところでございまして、各府県等においても基金を設置して地域や地方文化の振興に努めてございますので、そういう形で進めてまいりたいと思っております。
 次に、少子化対策でございます。
 お話ございましたように、最近の出生率の急激な低下は、我が国の社会経済発展の上に大きな影響をもたらすものでございますし、また、本県は全国平均を上回る高齢化でございますために、活力ある和歌山県の推進にとって少子化ということは極めて重要な課題であり、県の少子化対策として昨年実施した子育てに関する県民意識調査では、県民の約七割が何らかの対策をとることを望んでおるわけでございます。
 出産、育児は個人の問題であるばかりでなく、社会全体の将来設計にかかわる重要な問題であると考えておりまして、平成七年度に向けて現在国で検討されているエンゼルプランの動向を十分注目しつつ、それと並行して、県で設置している子育て環境づくり推進協議会の提言等を参考にしながら、例えば特別保育の充実の問題、子育ての大切さや楽しさの啓発、育児に係る負担の軽減、育児と仕事を両立させる社会的な仕組みの整備等、出産、子育てに優しい社会づくりの推進に向けて総合的な対策について検討し、推進してまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 新田議員にお答えいたします。
 便数の拡充及び県民の利用促進、施設の買い上げ問題についてお答えいたします。
 まず関西国際空港の便数の拡充についてでございますが、県議会の皆様方のご支援をいただき、国初め関係機関に再三働きかけを行っているところでございまして、おかげをもちまして国内線についてはほぼ満足する結果を得たところでございます。今後は、国際ハブ空港としての機能充実に向け、国内外の路線、便数の拡充、さらには利便性の高いダイヤ設定にも配慮いただけるよう、引き続き国、航空会社に対して働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に県民の利用促進についてでございますが、より利便性の向上を図るためにも、全体構想を推進する上においても、需要の喚起が必要でございます。県民の皆様に関西国際空港を十分活用していただくようPRを行ってまいりたいと考えてございます。
 次に施設買い上げ問題についてでございますが、県としては、着陸料を初め施設使用料の引き下げのための財政措置等について配慮されるよう国に対し要望することとしてございます。県議会のご支援をいただきながら、予算の満額確保ができるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企業局長高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○企業局長(高瀬芳彦君) 世界リゾート博跡地の利用計画についてお答えいたします。
 和歌山マリーナシティの恒久施設整備については、既にテーマパークとしてポルトヨーロッパ、フィッシャーマンズワーフの黒潮市場、情報発信基地としての県内の歴史、文化、産業等を紹介するわかやま館が整備されており、リゾート博時には大勢の人に楽しんでいただいたところでございます。
 今後の整備計画でございますが、居住施設としての中高層マンションについては、県と松下興産株式会社が出資している第三セクターの和歌山マリーナシティ株式会社が平成七年春の着工を目指し、需要者のニーズにこたえるべくアンケート調査等を実施したところであります。また、ホテル、スポーツ施設、コンベンションホール等のレクリエーション施設については、松下興産株式会社が段階的に整備し、供用していくこととなっております。
 県としては、二十一世紀の新しい国際海洋リゾート都市形成を目指し、早期に和歌山マリーナシティの全体的な供用が図れるように努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 新田議員の少子化への対策についてのご質問のうち、まず保育対策の充実と増改築計画についてお答えを申し上げます。
 近年、女性の社会進出の増大に伴い、保育ニーズが多様化してきており、これに対応するため、延長保育、乳児保育、一時的保育などの特別保育事業を推進し、年々保育内容の充実に努めているところでございます。現在、県下に二百三十四カ所の保育所がありますが、延長保育については三十八カ所、一六・二%の保育所で実施しております。また乳児保育については三十二カ所、一三・七%の実施となっております。今後とも関係市町村に対して地域の実情に応じた指導を行い、乳児保育等の特別保育事業のより一層の充実を図ってまいります。
 保育所の増改築については、地域の保育の拠点として活用され、また延長保育等の要請に対応できる機能を持った保育所施設の充実のため、保育所整備補助事業を推進しているところでございます。今後も各施設や地域の実情に応じた指導を行い、多様化する保育ニーズに対応できる保育所施設の充実を図ってまいります。
 次に、現行の措置制度の見直し等についてお答え申し上げます。
 保育所における措置制度の見直しについては、昨年度、厚生省に保育所問題検討会が設置され、より利用しやすい保育所を目指して検討がなされ、措置費の改正については賛成、反対の両論併記の最終報告をまとめています。県としては、今後、国の動向を見きわめながら、保護者や児童の立場に立って、多様化する保育ニーズに対応できるよう、乳児保育等の特別保育事業を充実させるなど利用しやすい保育所づくりに努めてまいりたいと存じます。
 次に、放課後児童クラブの拡充についてお答え申し上げます。
 働く女性が増加する一方で核家族化が進行しており、放課後に保護者が家庭にいない児童の対策は重要な問題になっております。本県では、平成三年度から放課後児童対策事業を実施して、児童クラブを設置している市町村に対し補助しているところでございます。本年度は八カ所のクラブに対し補助する予定でございますが、補助クラブ数の増加については努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 新田議員ご質問の、少子化への対策の母子医療の充実についてでございます。
 本県における母子医療、特に周産期・新生児医療については、昭和五十年代に乳幼児死亡率や周産期死亡率等が全国平均を上回ることが続いたため、その対策として昭和五十四年度よりNICU、昭和五十九年度には全国に先駆けてのPICUの設置のための補助制度を創設し、充実に努めてきたところであり、その結果、各種の母子保健指数は大きく改善されてきております。
 周産期・新生児医療体制の充実については、今後の少子化への対応としても極めて重要な分野であり、安全な出産体制の確保、障害発生の防止を目指して、県の地域保健医療計画の中でも二次医療圏ごとのNICUの設置等について今後の課題として位置づけており、その体制整備について関係医療機関等と協議してまいりたいと考えております。
 なお、母子保健総合医療センターの設置については現在国において進められておりますが、構想が具体化した時点で検討してまいりたいと存じます。
 次に、地域保健法に関連して市町村保健センターの設置計画についてでございますが、身近な保健サービスの拠点として、さらに保健と福祉の総合的な機能を備えた拠点として運営されることが期待されている市町村保健センターの整備につきまして、平成六年六月に行った調査によりますと、三十の市町村から平成十一年度までの整備について前向きな回答をいただいております。県としては、財政的支援等の充実について国に対して強く要望するなど、積極的に整備の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。また、現在県内に二十五カ所ございます母子健康センター等の類似施設についても、市町村保健センターの機能を果たせるように指導していくなど、地域住民に総合的なサービスを提供できるような体制づくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。
 続いて人材確保についてでございますが、人口の高齢化や疾病構造の変化などに対応し、住民に身近な保健サービスを適切に提供していく上で、保健活動の中心的担い手である保健婦の役割は今後ますます重要になっていくものと考えてございます。今後の人材確保については、県としては、市町村と保健所保健婦の役割分担をする中で、特に保健婦確保が困難な小規模町村における保健活動の支援を町村の求めに応じて図っていく考えでございます。また、保健婦の養成機関である県立高等看護学院保健学科については、平成六年度から養成人員を増しておりますが、県内就業への推進をさらに図っていきたく考えてございます。
 次に保健所の設置についてでございますが、保健所の設置については専門的、技術的拠点としての機能を強化するため、規模の拡大と施設設備の充実を図ることが必要であるとされており、また地域保健法では保健所の所管区域は保健、医療、福祉の連携を図るという観点から、二次医療圏、福祉圏及び老人保健計画に基づく区域を参酌して設定することとなってございます。
 保健所については、現在部内に設置している地域保健業務研究会等で保健所業務のあり方や保健、医療、福祉の連携など検討を進めているところでございますが、保健所の機能や配置の問題についても、今後とも地域の実情や県民ニーズを十分考慮するとともに、各方面からのご意見をいただきなから総合的な保健サービスが提供できるよう検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 続いて、地域保健法に関連してエイズ対策の現状と拠点病院についてお答えいたします。
 本県におけるエイズ対策として、従来からの保健所における検査及び相談体制の充実やエイズの正しい知識の普及を図るための啓発事業を行ってまいりましたが、本年度から新たな事業として、昼間仕事等で相談が困難な人のために専門家による夜間電話相談、二十四時間利用できるテープによるテレホンサービスを実施し、県民のエイズ不安の解消を図っているところでございます。また、新たな啓発事業として、エイズ予防啓発ボランティア養成のための研修会及び地域での草の根研修会の開催や、十二月一日の世界エイズデーの前後一週間を「KINOKUNI AIDS WEEK」と称して講演会、映画上映会等の各種事業を開催することとしております。
 次にエイズ治療拠点病院の選定についてでございますが、現在、専門家による検討会を設置し、本県におけるエイズ治療体制について検討をいただいております。現時点では一医療機関から内諾を得ており、もう一カ所については検討をいただいているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 育児休業法の定着状況と今後の充実についてお答えします。
 平成五年五月の労働省全国調査によりますと、従業員三十名以上の事業所で育児休業制度について就業規則、労働協約等、何らかの規定を有する事業所は全国で五〇・八%、本県では六五・五%となってございます。県においても、本年十二月に実施を予定している労働時間等実態調査の中で状況を把握してまいりたいと考えてございます。
 また、平成七年四月一日からはすべての事業所に育児休業法が適用されますので、和歌山婦人少年室とも十分に連携を図り、育児休業法の定着に向けて啓発セミナーの開催、パンフレットの配布等、より一層の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育改革の総括など、大きく三点についてお答えいたします。
 本県における教育改革の特徴の一つには、職員会議で論議を深めた校長の案を教育委員会の指導、助言のもとに決定しており、このことは他府県の教育委員会からも注目を受けているところでございます。
 特色ある学校づくりについては、特に新設、改編をした十五校において工場見学や企業での実習、大学を利用したセミナーや海外での英語学習など、積極的な取り組みが行われているところであります。生徒の進路保障については、取得した資格を生かした就職や進学が増加する傾向にあります。また大学進学については、本人の希望する大学への合格者が増加し、質的な向上も見えてきてございます。こうした取り組みは教職員の意識の改革を促すとともに、近隣の高校はもとより、中学校にも好ましい影響を及ぼしてきてございます。
 県内に設置した単位制高校三校では、かつて不登校であったと言われる生徒が元気に通学しており、中途退学者の数も平成五年度には前年度に比べて約三〇%も減少してきております。さらに、その他の単位制高校においても単位制を導入した高校などと連携して、三年間で卒業する生徒が増加してきております。和歌山市内で実施している学校間連携については、生徒たちは他校で新しい科目を学ぶ新鮮さや他校の生徒と出会う感動などを味わい、また教職員も学習効果は極めて大きいと評価してございます。本年度、和歌山高校に設置した総合学科については、生徒たちの生活態度は極めてまじめで、生徒指導件数、中途退学者の数は大幅に減少しており、上級生にも大変よい影響を与えております。
 今後、これまで進めてきた施策を総合的に検討するとともに、高校教育の改革だけでなく、中学校教育の充実、中学校教育に視点を当てていくことが最も大きな課題だと考えてございます。特に学校間連携については、全県的視野からの実施を検討しているところでございます。また総合学科については、その成果を十分見きわめながら、今後多面的に研究してまいりたいと考えてございます。
 次に高等学校入学者選抜についてでございますが、平成六年度には学校内外の活動や観点別学習状況の評価、特定教科の傾斜配点の導入、さらに推薦枠の拡大などの改善を行ったところであります。平成七年度には、思考力、判断力、表現力を重視する教育を一層推進するため、入学試験での一教科の時間を四十五分から五十分に延長するなどの改善を図ったところであります。今後ともこうした高校入試の改善の趣旨の定着を図るとともに、中学校の進路指導の充実等に努めてまいりたい所存であります。
 次に学校週五日制の月二回の実施については、昨年度に引き続き、本年度も十四校園を調査研究協力校に指定しております。指導内容・方法の工夫・改善、授業時数の確保、学校行事の見直し、学校開放のあり方など、多面的に研究を進めているところでございます。月二回以上の実施については、これまでのアンケート調査結果から、特に障害を持つ児童生徒への対応や留守家庭などへの配慮、公共施設の活用のあり方、学力水準の維持向上などについて十分検討するとともに、国の動向等も勘案しながら慎重に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番新田和弘君。
○新田和弘君 ご答弁をいただきましたので、二点、要望させていただきたいと思います。
 まず第一点目は、関西国際空港が開港し、本県にとって大きなイベントであったリゾート博が終わりました。二十一世紀に向かって、これからの本県の位置づけの上で数点の問題を挙げさせていただいた次第でございますが、関西国際空港については、全体構想の実現のために、ぜひとも知事さんを中心として強力な推進を図っていただきたいと思う次第でございます。さらには、本県の交通のかなめとなる紀淡海峡ルートの建設等につきましても、大変大きな課題でございますが、推進を進めていきますとコスモパーク加太や下津港湾等、いろいろと本県の重要性がさらに増していくものと考えておりますので、その推進をお願いする次第でございます。
 二点目は、教育問題についてでございます。高校教育改革がこの四年間、本当に全国に先駆けて積極的な取り組みをされてきたと、私は考えておる次第でございます。こういった高校教育改革をさらに中学校、小学校の活性化にもつなげていただきまして、多分、来年四月から行われるであろう週五日制の二回実施等、教育の環境も新しい局面を迎えていくと思いますので、今後一層のご努力を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十六分休憩
  ──────────────────
  午後一時六分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 通告に従い、質問を始めさせていただきます。
 仮谷県政の大きな目標であり、県民挙げて取り組んでまいりました世界リゾート博が大成功をおさめ、先日、閉会式を盛大に迎えることができました。七十二日間の開催期間中、県内外より二百九十万人を超える方々が入場され、そのすばらしい内容に高い評価を与えていただくことができました。この成功を迎えるに当たり、今日までの関係者のご苦労に対し、心から敬意を表したいと思います。また、仮谷知事の何としてでもやり遂げるんだとの強いリーダーシップによるところも大きかったと、改めて拍手を送りたいと思います。閉会式を迎え、博覧会協会の会長として常に先頭に立ち、世界リゾート博を企画立案され、ここまで引っ張ってこられた仮谷知事の感慨もひとしおのものがあったと拝察をするものであります。世界リゾート博が成功した結果、県民の中に「やればできるんだ」との大きな自信が生まれたのも事実であります。知事が訴えてこられた誇れるふるさと和歌山県の大きな第一歩をしるしたわけでありますが、世界リゾート博の成功、待望していた関西国際空港の開港とビッグプロジェクトが順調に進んだ和歌山県にとって、まだまだ多くの課題が山積しております。紀淡海峡トンネル、高速道路の紀南延伸、京奈和自動車道の整備など、最重点で考えていかなければならない事柄も多いわけでありますが、この際、一度足元も見直す意味も含めて、数点質問をしていきたいと思います。
 まず第一点目は、関空建設の土取り跡、コスモパーク加太についてであります。
 ご承知のように、コスモパーク加太計画は、関西国際空港埋立用土砂採取跡地を中心とした二百六十ヘクタールの土地を活用して自然環境と調和のとれた研究開発、リゾート、住宅等の機能を持つ国際的な複合都市コスモパーク加太を建設して和歌山県の経済活性化に寄与する計画で進められ、昭和六十年、県、和歌山市、県土地開発公社の三者で加太地域開発整備推進協議会を設け、その後、民間企業のすぐれたノウハウを導入して計画を実現させるために、平成二年十一月に県、市、県公社に民間企業十四社を含めた官民でコスモパーク加太開発推進機構を発足させ、計画を推進してきたわけであります。近年のバブル経済の崩壊に伴う経済状況は大変厳しいものになり、本計画にも大きな影響を及ぼし、民間企業の本計画への対応にも大きな変化が出てきたところであります。このため、事業方針も行政が主体となって事業を進めようとすることになり、今後、公的利用、公共事業等の公共支援を進めることとなってきております。
 加太開発関連事業の平成五年度末の執行額が一千二百六十八億円、それに対して土砂の収入が八百三十三億円であり、差し引きの事業費が四百三十五億円になっております。この結果、大きな借入金が発生し、それゆえに平成五年度末の累積利息額だけで百二十三億円に達しており、県財政より金利支援のため、公社に対する貸付金が平成四年度に十八億円、五年度は十四億五千五百万円となってきております。このことからも、一刻も早くこの事業を本格的に進めていかなければ金利支援の貸付金が膨らむばかりになり、その分地価にはね返ることから、年々本計画を進めることが難しくなると言わざるを得ません。有効利用面積が百六十ヘクタールにも達する貴重な土地でありますので慎重な審議も必要でありますが、借入金の大きさから見てみると、早く対応することもまた必要であると訴えたいと思います。今日までも、この議場で多くの先輩議員より数々の提案がなされてきたわけであり、その関心の大きさがうかがえるところであります。今日のコスモパーク加太の置かれている状況について、企画部長のご見解をお聞きしたいと思います。
 二点目の質問は、紀三井寺公園についてであります。
 昭和四十六年の黒潮国体を控えて、昭和三十九年に陸上競技場が、昭和四十年に野球場が建設され、その後三十年の歳月が過ぎ、その間、黒潮国体やさまざまな大会が開催されてまいりました。しかし、現在でも野球場には夜間照明もなく、また補助競技場ではサッカーやラグビーの試合を行っておりますが、観客席すら満足にない状態であります。公園を訪れた県民がゆったり過ごせるような施設やスペースも少なく、特に全体的に手狭な感じがいたします。
 私も、和歌山県議会の野球チームの一員として、毎年、国体開催県での議長会主催の全国議員野球大会へ出場させていただいております。ことしの愛知県大会は名古屋市瑞穂運動場で開催されました。そこにはすばらしい競技施設が建ち並び、もちろん大きな野球場には夜間照明があり、グラウンドは人工芝で、公園全体の敷地面積は二十四ヘクタールとのことでありました。昨年の徳島県鳴門総合運動公園も施設が充実し、敷地面積は二十三ヘクタールとのことでありました。その前の年は山形県総合運動公園で、その面積は五十ヘクタールと大きな運動公園でありました。
 紀三井寺公園の面積は十四ヘクタールでありますので、山形県から見れば三分の一以下であり、なるほど狭いわけであります。その上、住宅地が隣接しておりますので、夜間照明すら設置するのに大変苦労されると思います。このような状態で、大きな全国大会はもとより、関空に隣接する本県として今後国際大会を計画していかなければならないわけでありますが、このままではとてもおぼつかない施設内容であります。
 高校三年生のときに黒潮国体に出場した私が今四十一歳でありますので、あと二十年もすれば国体を開催しなければならない時期を迎えようとしているのではと考えます。これら将来のことを考えていけば、現地でこれ以上手直し的な増改築を重ねることはどうしても無理が生じてくると思います。既に他の県では五十ヘクタールを超える面積を確保した総合運動公園も見られますので、この際、思い切って移転を考えるべきであると申し上げたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、昭和四十六年に本県で開催した黒潮国体に私も選手として参加したわけでありますけれども、この黒潮国体の開催はその後の本県のスポーツ振興に大きく寄与してきていると思います。国体も昭和六十三年の京都から二巡目を迎え、近畿では平成九年に大阪府の開催が決まっており、その次に兵庫県が予定をされておりますが、本県はいつごろの開催を予定しているのか、また誘致を含め今後どのような取り組みが必要となるのか、教育長にお尋ねをしたいと思います。
 あわせて、紀三井寺公園のスポーツ施設等に対してどのような認識をされているのか、土木部長にお聞きをしたいと思います。
 続きまして、三点目の質問は県庁舎の問題であります。
 前回にもこの件で質問をさせていただいたところでありますが、その後、県立図書館、県立美術館が立派に完成し、平成十年には県立医科大学とその附属病院が紀三井寺競馬場跡へ移転を完了する予定となっております。建物として次に考えていかなければならないのは、やはり県庁舎であろうと思います。
 戦前の昭和十三年に西汀丁から現在地に移転新築され、その後、昭和二十三年に西裏側に庁舎が、昭和三十七年には東裏側にこの議会棟が増築をされ、昭和三十九年には東別館、昭和四十一年には北別館、昭和四十三年には警察本部の西別館が建設され、今日に至っております。そして、時代の流れとともに老朽化も進み、増築に次ぐ増築によりその機能も大きく後退し、問題点も数多く指摘されてまいりました。狭い、暗い、利用しにくいが県民の声であります。駐車場スペースも少なく、エレベーターのない建物が多く、利用する県民に不評を買っているところであります。
 前回の庁舎についての質問後、私も昭和五十年に移転新築した山形県、現地建てかえをした徳島県や福井県の庁舎にも行ってまいりました。移転をした山形県庁の敷地面積は十・二ヘクタールとゆったりとしたスペースを確保しておりますが、徳島、福井の両県庁舎は現地建てかえのため敷地面積が二・六、二・一とともに狭く、どうしても高層化になり、駐車場も地下を利用するなど、ゆったりとした気分になれなかったわけであります。
 本県においても、平成元年に議会棟建設基金として三億円を計上しておりますが、その後は利息のみであり、庁舎の調査費については平成四年に百万、五年も百万、今年度が五百万と、余り進んでいないような気がいたします。他県の例を見ると、本格的に計画を進めてからでも完成までに十年以上の期間を要しているし、平成八年度完成予定の鹿児島県庁舎においては建設費に五百九十七億円を予定していると聞いております。本県も、早急に基金の積み立てを始めるべきであると申し上げたいと思います。
 そして、二・二ヘクタールの敷地面積であるこの小松原通に現地建てかえを考えてみても、建てかえ期間中の職務を行う仮庁舎など大きな建物を確保することにおいて困難が予想され、また仮住まいをしなければならない期間、どうしても行政の機能を十分果たすことができず、高層化をすると必ず将来また新たな問題が発生してくると思われます。この際、山形県、新潟県、鹿児島県のように思い切って全面移転を真剣に考えるべきであると訴えたいと思います。現在の庁舎の状況と今後について総務部長の答弁を求めます。
 以上三点、コスモパーク加太、紀三井寺公園、県庁舎についての問題点を、私なりに指摘をさせていただきました。
 ここで提案でありますが、紀三井寺公園は余りにも宅地に隣接し過ぎ、面積的にも十四ヘクタールと総合運動公園としては狭くなり、また施設自体も老朽化しており、県民の期待にこたえにくくなってきておりますので、その機能すべてを公共用地として考えておられるコスモパーク加太へ移転されてはいかがかと思います。そして、加太で十分な敷地を県で確保すると同時に、総合運動公園にふさわしい施設を新しく充実してほしいと思います。二巡目の国民体育大会や国際的なスポーツ大会を開催できるものにしていくべきであります。すばらしい加太の景観と緑に囲まれた総合運動公園ならば、必ず県民の期待にこたえていけると確信いたします。また、このことが残りの土地の有効利用にも大変役立つと考えます。
 紀三井寺公園がコスモパーク加太へ移転をするとすれば、十四ヘクタールの跡地が紀三井寺にできるわけでありますので、三点目に申し上げた県庁舎を紀三井寺公園跡地に全面移転することを二番目に提案したいと思います。
 過去、県庁舎を移転した山形県では三キロ、新潟県では二キロ、福岡県では三キロ、鹿児島県では四・三キロメートルと、もとの庁舎より移動しております。このことから見れば、本県においても小松原通と紀三井寺の距離が七キロから八キロでありますので、余り大きな混乱もなく移転ができると思われます。先ほどから述べております庁舎移転をした県の敷地面積は、山形県で十・二ヘクタール、新潟県で十二・五ヘクタール、鹿児島県で九・六ヘクタールとなっており、本県も紀三井寺で十四ヘクタールの敷地を確保できれば、五十年先の土地利用まで見込んだ計画を立てることができると思います。面積的に余裕がありますので、庁舎と公園が一体となった、全国的に見ても例のない新しい感覚の新庁舎が誕生するものと思います。
 現庁舎の小松原通の跡地には、すばらしい県立美術館に負けないような芸術文化センターを建設するのも可能であると思います。関西国際空港に一番近い県庁所在地にふさわしい機能を発揮できる芸術センターであります。既に和歌山市には県民文化会館、市民会館とありますが、日進月歩の中で進んでいく音響機能からすれば、どちらも少し古くなっていると聞き及んでおります。
 コスモパーク加太への紀三井寺公園総合運動場の移転、紀三井寺公園への県庁舎の移転となれば、大きな財政の負担を伴うことは十分承知をしております。例えば、十年計画で紀三井寺公園の運動施設を徐々に加太に移していき、そしてその後、県庁舎の紀三井寺移転を進めていけば計画的に推し進めていくことができ、その間に交通アクセスなどの改善も考えていけるわけであります。財政的にも対応が可能になると思います。これらの提案が実行されれば、コスモパーク加太計画にも弾みがつき、今日まで仮谷知事が着々と地道に推し進めてこられた県政が、その基礎をもとに、また大きく前進できる機会を得ると思います。
 市町村においても、野球場や体育館、プールなど、それぞれのサイズに合った施設をつくっておられますが、県が考えるときには、そのスケールにおいて同じようなものではなく、一段大きなものを考えていくべきであると思います。県庁舎についても、現地で建てかえるという計画であるのならば、敷地面積等で近い将来必ずひずみが生じてくると考えます。これについても、長期的な展望に立ち、お考えをいただきたいと思います。
 和歌山マリーナシティの建設、そして世界リゾート博覧会というスケールの大きな事業を先頭に立って積極的に推進された仮谷知事から、コスモパーク加太への紀三井寺公園総合運動場の移転と県庁舎の紀三井寺公園への移転についての私の提案に対するご見解をいただきたいと思います。
 続いての質問は、ことしの異常気象における農業への影響とその対策についてであります。
 今年は、近年に例を見ない記録的な少雨高温が長く続いてまいりました。和歌山地方気象台の調べによりますと、和歌山市では本年一月から九月中旬までの降雨量は四百四十五ミリであり、平年値の四五%という非常に少ない雨量で、特にことしは空梅雨の上に、七月の雨量は十九ミリで平年値の一二%、八月の雨量は八ミリで平年値の七%の雨しか降っておりません。加えて四月以降の平均気温が二度から四度も高いという、異常な年でありました。
 我が下津町においても、同じような数字の雨量や気温が計測されております。この結果、下津町を流れる加茂川より飲料水を確保するための町水道の取水井戸もだんだん水位が低下していき、最初は時間の給水制限から始まり、途中よりやむなく完全な断水までしなければならない地域も発生してまいりました。八月十三日、ついにその井戸もかれ、もっと深いところへ新しい井戸を掘ることでそのときは対応をし、少しの間水道の状態も改善されたわけでありますが、九月五日にはその新しい井戸もついに底をつき、町民の生活に重大な支障を来す事態となりました。しかし、その直後、海草県事務所を窓口として県保健環境部、企業局、土木部より特別な配慮を考えていただき、緊急的に工業用水の利用を認めていただき、そのおかげで大事に至らずに済むことができました。当局の配慮に心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。今後、抜本的な改善に対しても、県当局より指導のほどをよろしくお願いいたします。
 飲料水さえ確保できなくなった加茂川は、最終的にはほとんど水がかれ上がり、風が吹けば砂ぼこりが舞い上がる無残な姿でございました。町内のミカン農家の人たちも、何とか木を枯らさないように、毎日毎日、炎天下のもとで汗と泥まみれになりながら、車に大きなポリタンクやFRPのタンクを乗せ、山の上まで運んでおりました。山では、雑木林や竹やぶも枯れ始めているところが見受けられます。このような気象条件のため、ことしのミカンの作柄はどうしても小玉になることは免れず、大きな痛手をこうむることが予想されております。
 また、先日、県下一の富有柿の産地である九度山町の柿畑を見せていただく機会がありましたが、柿の作柄も大変厳しいものでありました。このことから、県下全域にわたって農作物の被害が発生しているものと思われます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 ミカン、柿はどのような被害が、どの程度発生しているのか、県としてこの干ばつに対してどう対処をしてきたのか、この大きな干ばつ被害に対し国への要望活動は行っているのか、干ばつ被害園の一刻も早い回復が大切であるが、事後対策をどう考えておられるのか、以上の点について農林水産部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 以上をもちまして、一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(富田 豊君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎要二議員にお答え申し上げます。
 ただいま、議員からコスモパーク加太利用計画等についてのご意見、ご提言があったわけでございますけれども、貴重なご意見として承ってまいりたいと思っております。
 とりわけコスモパーク加太計画については、話もございましたように、非常に厳しい社会経済の状況下にあるわけでございまして、従来の民間主導型から行政主導へと推進してまいらなければならないと考えております。話ございました総合運動公園を含めて、公共的な利用について十分検討してまいりたいと思っております。
 また庁舎については、後ほど総務部長から現況と調査の状況を申し上げますけれども、現在、他府県の状況、そしてまたことしはこの場所で開発がどの程度できるかという問題等を研究するし、またこの場所ではなしによその地域で考えるという問題も検討していかなければならないのではないかと思っておるわけでございます。
 話もございましたように、美術館、博物館もできましたし、多目的ホール、保健福祉会館等の建設のめどがつきましたので、庁舎の問題がこれからの最重要課題ではないかと思っております。極めて重要な問題でございますので、議会の皆さんのご意見を承りながら積極的に進めてまいりたいと思っております。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎要二議員にお答えいたします。
 コスモパーク加太計画については、二十一世紀に向けて情報化、国際化に対応できる、しかも自然環境との調和のとれた魅力ある新しい町づくりを目指し、民間のノウハウを活用してその推進を図るため、平成二年十一月にコスモパーク加太開発推進機構を設置し、所要の検討を行ってまいりました。しかしながら、バブル経済の崩壊に伴う厳しい社会経済情勢の影響を受けて、本年四月以来、行政主導型で計画の推進を図るべく諸般の検討と取り組みを進めてまいってございます。そういった取り組みの一つとして、公共的利用の検討も行ってございます。議員ご提言の総合運動公園についても、公共的利用の一つの案として検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 尾崎要二議員のご質問のうち、紀三井寺公園についてお答えいたします。
 昭和四十六年の第二十六回国民体育大会の主会場として昭和三十九年に開園した紀三井寺公園の施設については、その後の社会状況の変化や県民の多様なニーズにこたえるため、Jリーグのプレシーズンマッチの誘致に伴うフィールドの芝の張りかえやテニスコートの増設などを行ってまいりました。しかしながら、各種スポーツ関係団体などからも、より利用度の高い施設への改善要望もございます。各施設の充実については、利用者への影響など県民のニーズを十分踏まえて、今後調査研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 県庁舎の建てかえについてのご質問でございます。
 ご指摘のとおり、現庁舎は老朽化、狭隘化が進んでおり、建てかえについての検討が必要であると思われます。このため、ただいま知事から申し上げましたとおり、平成四年度から調査費を計上しておりまして、四年度、五年度は主に他府県の調査を行い、本年度はこれらの調査結果をもとに、まず現地で果たして十分な機能や規模を備えた庁舎の建設が可能であるかどうかについての検討を行っているところでございます。今後、この調査結果を踏まえ、他地域への移転ということも視野に入れて十分検討を行っていきたいと考えております。
 また、基金についてのご質問でございますけれども、ご案内のように莫大な建設費がかかるということで、一時にお金を調達することは事実上困難でございます。したがって、計画的な基金の造成についても今後十分検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 尾崎要二議員にお答えをいたします。
 本年の干ばつによる農作物への影響と対策についてであります。
 議員お話しのとおり、本年は空梅雨の上、近年にない記録的な高温少雨の異常気象により、柿やミカン等の果樹では果実の肥大抑制を初め日やけ果の発生、樹勢の低下等の症状が出るなど、野菜、水稲を含め干ばつの影響が出てございます。
 こうした事態に対処するため、県といたしましては、七月十九日に農作物干ばつ対策本部を設置し、被害の状況把握に当たるとともに、かん水や摘果等の技術対策指針を出し、関係機関とも連携を図りながら指導に努めてきたところでございます。それにもかかわらず、本県の被害は八月末の調査では約四十八億円でございましたが、九月以降も有効な降雨がなかったため、九月二十二日の調査では約七十二億円と被害がさらに増大し、このうちミカン、柿等の果樹が全体の九三・四%を占め、厳しい状況となってございます。このため県といたしましては、国に対し去る九月三十日に、天災融資法の発動や被害農家に対する農業共済金の早期支払い、並びにポリタンクや揚水機を購入した場合の干害応急対策事業に対する助成措置について強く要望してきたところでございます。国においても、本県の実情を理解していただき、前向きに検討されるとの感触を得てございますが、さらに県議会のお力添えをいただきながら、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、干ばつ被害園の事後対策についてでございます。
 来年度への影響も懸念されることから、改植事業や樹勢回復対策、冬季の防寒対策等について、関係機関ともども一丸となって取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 二巡目国体についてお答えいたします。 国民体育大会については、全国を九ブロックに区分し、輪番によって開催することになっております。本年は東海ブロックの愛知県で開催されますが、近畿につきましては平成九年に大阪府が決定しております。平成十八年に兵庫県の予定となっており、一巡目の順番からすればこの次が一番近い開催になろうかと考えております。
 二巡目国体の誘致については、本年二月に県スポーツ振興審議会よりいただいた答申においても、本県のスポーツ振興はもとより、活力ある郷土づくりを進めるためにも重要なことであるとの提言をいただいているところであります。今後、議員各位を初め関係の皆様方のご協力を得ながら、誘致・開催を含め、諸条件の整備を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 20番尾崎要二君。
○尾崎要二君 ただいまコスモパーク加太、紀三井寺公園、県庁舎について、知事初め各部長からご答弁をいただいたわけでありますけれども、それぞれ大きな財政負担が伴うことにおいて少し慎重になり過ぎているのではないかという感じがいたします。それと同時に、問題というのは大きければ大きいほど、あした考えようか、あしたになったらまた次の日に考えようか、またその次の日に考えようかということで、ずんずん先に送っていくのも人の常ではなかろうかなと思っておりますけれども、今回思い切ってそれぞれ関連性を持ってもう一度考え直してほしいと思うわけであります。リゾート博というスケールの大きい成功の後でありますので、時期的にも今またこういうことを考えるのに絶好の機会ではなかろうかなと思います。
 特に、紀三井寺の運動公園もこの庁舎も、できたときにはすばらしいものであったと思うわけでありますけれども、子供が大きくなっていくのに同じ服をずっと着せていくことが可能かというとそうではない。やはり、その時代時代に合ったものにしていかなければならないということを強く訴えたいと思うわけであります。
 それから、干ばつ対策について農林水産部長からご答弁をいただきました。大変熱心に対応していただいていることに感謝をするわけでありますけれども、答弁をお聞きして、これから先、特に国に対して激甚災害の指定をしてもらうことが何より大切ではなかろうかなと思います。この点を踏まえて、その趣旨に沿ったような動きをとっていただければとお願いするようなわけであります。
 以上、すべて要望でありますので、これで終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 通告順に従いまして、質問を進めてまいります。
 まず、和歌山下津港の港湾計画の改定問題については、今後の和歌山の振興、発展を図る上での大変重要な課題であるという認識から、これまで幾度となく質問を続けてまいりました。これに対し県当局からは、その都度、基本的な方針や考え方を答弁していただいてきたところでありますけれども、改めて現時点での作業の進捗状況や県当局のお考えを確認しておきたいと思うのであります。六月議会でも取り上げましたが、今回も港湾の主な機能である物流について取り上げてみたいと思います。
 まず、外航コンテナの問題についてであります。
 この問題については、県内に外航のコンテナを取り扱える施設がなく、そのために県内に発着するコンテナ貨物はすべて大阪や神戸など県外の港で取り扱われている現状を指摘いたしまして、次期の港湾計画においては所要の施設の導入を図りたいという当局の答弁をいただいたところでありますけれども、最近、コンテナ貨物に関する新しい調査結果がまとまったと聞いておりますので、このことについて触れてみたいと思うのであります。
 まず、その調査結果についてお尋ねをいたします。
 県内のコンテナ貨物の発着量は過去に比べてどうであるのか、コンテナ施設に対するニーズは高まっているのかどうかといった分析も含めて、土木部長の答弁を求めます。
 前回にも申し上げましたが、コンテナターミナルは今や港の顔であり、コンテナターミナルがなければ港の競争力がないというのが現状であります。その意味で、私もぜひ外航コンテナの取り扱える施設の整備を急ぐべきだと申し上げてきたのでありますが、物流の実態は施設によって決まるものではなしに市場原理によって決まっていくものでありますので、ただ施設だけをつくればいいというわけではありません。一方で、対象航路や対象貨物の絞り込み、荷主や船会社に対するセールスなどの取り組みも必要なことであります。外航コンテナの導入に向けて、こうした面での取り組みの方針や考え方について、あわせて土木部長の答弁を求めるものであります。
 次に、テクノスーパーライナーの寄港についてであります。
 テクノスーパーライナーについては、「ひしょう」と「はやて」の二隻が実験船として建造され、そのうちの「ひしょう」が八月二十七、二十八の両日、世界リゾート博会場に寄港いたしました。この寄港が実現をした背景には、関係者の皆さん方の大変なご苦労、努力があったと聞いております。そういうご苦労、尽力に対して高い敬意を表しておきたいと思います。
 リゾート博会場で船を見た実感は、今までの船のイメージを一変させるものであったというのが見学に行った方々の異口同音に語ってくれたことであります。そのときの資料にもありましたが、開発目標は、時速五十ノット、約九十三キロメートル、積載重量千トン、航続距離は五百海里すなわち九百三十キロメートルとのことであります。このテクノスーパーライナーが就航いたしますと、近畿圏から九州や関東圏には半日足らずで航行することが可能になります。また、韓国、中国あるいは東南アジアへも一日から二日の航路で行けることになるわけでありまして、テクノスーパーライナーによって輸送の分野に大きな変化が生ずるものと思うのであります。特に直接外海に面する和歌山県にとっては、また海を活用して地域振興を図るべき和歌山県にとっては飛躍発展を図る上での大きな契機となるものであり、ぜひこのテクノスーパーライナーの我が県への寄港を実現すべきであると今までの議会でも申し上げてきたところでありますが、県当局においてもいろいろと研究をしてこられております。先ほどの外航コンテナの問題と同様に、そろそろ的を絞った検討、取り組みを始めるべき時期に来ているのではないかと思います。
 そこで、このテクノスーパーライナーの寄港に関して、競争相手というわけではありませんけれども、近隣府県である四国や大阪湾の府県との関係をどのように見ているのか、企画部長の答弁を求めるものであります。
 また企画部においては、かねてより物流基地構想について調査していると聞いております。しかしながら、陸と陸の輸送を主にする物流基地はいまだ和歌山県では時期早しと、住友金属の西防跡地に物流基地をということで住友金属自身も検討されたということでありますが、今すぐに物流基地というのには背後の都市機能が不足していると聞いておるわけであります。しかしながら、このテクノスーパーライナーが和歌山に寄港することが実現してまいりますと、海と陸を結びつける物流基地やそのために起こってくる背後地の産業とも関連した流通加工基地の可能性が高まってまいります。
 そこで、テクノスーパーライナーの寄港を契機とした物流基地構想についてどのように考えておられるのか、あわせて企画部長の答弁を求めるものであります。
 次に、陸側の物流基盤である臨港道路について申し上げます。
 和歌山下津港は、陸上交通に弱いというのが一番大きな弱点、悩みであります。かつて、神戸港は強引なまでに高速道路を港に引き入れることによって日本一の港の地位を保っております。高速道路は阪和高速道として大阪につながっておりますけれども、港から高速道路へ到達するには混雑する市街地を通らなければならないのが現状であります。先ほど申し上げた外航コンテナ施設やテクノスーパーライナーの寄港も、陸側の臨港道路の整備がなされなければ絶対に実現しないと言っても過言ではないと思うのであります。
 そこで土木部長に、臨港道路の整備方針──十年前に紀の川右岸線計画というものがございましたけれども、それも含めて見込み等について答弁を求めるものであります。
 港湾の最後に、港湾を取り巻く全国的な最近の情勢について触れておきたいと思います。
 一言で言いますと、大変難しい時代になってきた、厳しい時代になってきたということであります。これは、昨年十一月の財政制度審議会の答申において、「港湾は産業基盤であり、抑制的に扱うべき」とされたことに端を発しておるわけであります。このことは、現在の港湾の役割が十分に認識されていないためであろうと思います。港湾の主な機能は国際、国内の物流機能でありますけれども、何も特定産業の原材料や製品の輸送のみに使われているわけではございません。特に公共埠頭においては、一般のユーザーに直接関連した輸送が行われているのが実態であります。
 例えばの話でありますが、日常の食料品も相当の割合を輸入品に頼っているのが現状であることは皆さん方もご承知であります。東京のあるスーパーの調べでは、店の棚から輸入品を除いてしまったら食肉コーナーと果物コーナーでは約半分の棚が空っぽに、また水産品のコーナーに至っては四分の三の棚が空っぽになってしまったとのことであります。これらの輸入品のほとんどは、港湾を経由して消費者に届いているわけであります。このことからも、港湾を一言のもとに産業基盤と決めつけてしまうのはいかがなものであろうか。むしろ、まさに国民生活を支える社会資本であると私は思うのであります。
 先ほど私は、和歌山県内でつくられる地場産業の製品ですらも、コンテナを扱う施設がないためにわざわざ大阪に行って荷づくりをして、神戸の港からまた船に乗せ、和歌山の港の前を通って韓国や東南アジアに出ていかなければならないということを申し上げてきたわけでありますけれども、このコンテナは今はやりであります。コンテナは、飛行機にも鉄道にも乗せられるわけであります。しかし、飛行機と比べてみると、船で来るコンテナの量を百といたしますと、飛行機のコンテナ量は一しかない。百分の一であります。コンテナを含めた全輸入・輸出量を千といたしますと、飛行機の運ぶ量は一であります。飛行機は、千分の一をやっと超えるというところであります。それほど海による輸送能力が極めて大きいのが実態であります。今後の港湾の果たすべき役割は、物流面ばかりではありません。今までも再三申し上げてまいりましたけれども、産業廃棄物を含めた廃棄物の処分に代表される都市活動、あるいは公共下水道処理用地の提供、またマリーナシティに代表されるような快適なウォーターフロントの形成を通じて生活環境の向上や地域の魅力の向上を図る役割もあります。このように、今や港湾には極めて多様で重要な役割が求められているわけでありますので、港湾に対する投資を抑制的に扱うことはできないと思うのであります。
 私は、ほとんど毎議会ごとに申し上げてきましたように、今後の和歌山の発展の活路は海にあると考えております。本日の冒頭の下川議員の発言にもございましたけれども、かつて海によって栄えた和歌山、海によって開かれた紀伊半島が、明治以降、海によって閉ざされた、孤立した半島になってきたことは事実でありますが、今、世界の空の港である関西国際空港が開港いたしました。この関西国際空港のメリットを生かすことによって、例えば隣の奈良県ではまねのできないような港湾、海を活用する相乗効果によって産業を振興していかなければ和歌山の発展はないと考えておるわけでございます。仮に百歩譲って港湾が産業基盤であるとしても、その産業基盤が絶対的に不足しているのが今の和歌山の実態ではないでしょうか。
 聞くところによりますと、国はこうした状況に対応するため──和歌山下津港は国の特定重要港湾でありますが、それ以外の県内の地方港湾の整備を抑えて絞り込もうとしているとのことでありますが、このことは県土の均衡ある発展を目指す本県にとっては大変切実な厳しい問題であります。私は、先ほど申し上げた最近の逆風を何とかはねのけなければならないと考えております。議会としての意見書提出なども必要でありますけれども、知事を初め関係部局の皆さんにもこうした状況を十分ご認識いただきまして、海洋県としての最大の努力を期待するものであります。
 そこで、こうした状況に対する認識と決意について、仮谷知事の答弁を求めるものであります。
 最後に、国土法について質問をいたします。国土利用計画による監視区域制度に関しまして、知事と企画部長の答弁を求めたいと存じます。
 昭和六十二年から施行された監視区域制度は、土地価格の統制を行うことにより投機的土地取引や異常な地価の高騰を抑制するという緊急避難的な措置であり、恒常的な本来の施策ではないということに立脚して、平成五年十一月九日付で監視区域指定の緩和措置、また解除に向けて国土庁としての判断基準が通達として示されたところであります。これは一応の評価はできますけれども、まことに遅きに失した感は否めないのであります。
 監視区域制度自体は、現実の結果として考えてみると高値で安定させるということに通じるものでございまして、適正な地価の形成や土地の有効利用の阻害要因であることも否定できないと思うのであります。さらに、土地取引の当事者の双方に契約の意思がありながらも、届け出後、一定期間は契約の締結ができませんので、その間に当事者の意向が変わったり、いろいろな混乱が多発して流通を阻害しているのが事実であります。そのことにより、一般消費者、住民側にとっても相当大きな不利益になっていると思われます。
 周知のとおり、昨今の地価動静に関しては、既に公表のあった路線価、公示価格においても年々連続して大幅に下落しておりますが、これらの規制に加えて、例えば土地譲渡税のような土地税制上の重複した要因が妨げとなり、土地の流通は停滞しているのが現況でございます。
 また鎮静化の状態にあることは、土地局長の通達による監視区域の解除要件を満たしていることからも明白であり、これ以上の延長は、いたずらに自由な土地の取引を阻害し、かつまた景気の失速に拍車をかけ、時代の要請である経済社会の変革をも妨げることになります。したがって、土地価格を市場原理にゆだねることを原則として、本県の経済浮揚に、また土地の有効利用面に大きな進展を期待することが賢明な策であると思っております。
 ご存じのように、既に群馬県では本年四月から全面解除しており、近畿でも大阪市や兵庫県は本年十月から解除する見通しであると言われております。国土庁通達による実際の運用は各自治体の判断にゆだねるべきが本位とすることから、以上の状況をご賢察いただき、ぜひとも知事の英断をもって速やかに解除されることを切望いたしますが、ご決意のほどを知事からお聞きしたいと思うのであります。
 以上、第一回目の質問を終わりたいと思います。
○副議長(富田 豊君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 ご指摘のとおり、昨年来、港湾を取り巻く情勢は非常に厳しいものがございまして、本県にとりましても港湾整備が社会基盤整備の上で非常に重要な課題でございます。特に、全域が紀伊半島に属している和歌山県にとって港湾は、輸送、生産、生活の拠点として、また都市活動の基盤や海洋性レクリエーションの基地としても大変重要な社会資本でございます。そうした点から、県としても港湾整備について、国の財政等非常に厳しい中でございますけれども、最善の努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、国土法の問題でございます。
 議員質問の国土利用計画法による監視区域指定の緩和及び解除については、本年の三月一日に届け出対象面積の緩和をいたしたところでございます。本年の七月一日現在の地価調査によりますと、最近の地価の動向は県内全域でおおむね横ばい、または下落の傾向にあり、監視区域制度の運用については、このような現状を踏まえて、景気の動向等も勘案しつつ解除に向けて検討してまいりたいと考えております。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 尾崎吉弘議員のご質問にお答えいたします。
 まず、和歌山下津港への外航コンテナの導入についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、最近、外航コンテナ貨物に関する新たな調査結果がまとめられてございます。この調査は、平成五年十一月の一カ月を対象に運輸省が行ったものでございますが、これによると、和歌山県内用の外航コンテナの取扱量は六万一千トンとなってございます。これらの貨物は、和歌山下津港に外航コンテナ施設がないために、大阪港で五二%、神戸港で四七%、合わせて九九%がこの両港で取り扱われている状況でございます。相手地域別にはアジア地域の占める割合が高く、約七○%となってございます。今回の調査結果を四年前の平成元年の調査と比べてみると、一・四倍の伸びとなっております。全国の伸び率が一・二倍でございますので、これを大きく上回っております。このように県内の外航コンテナ貨物量は着実に増加しており、全国第九位の那覇港の取扱量に匹敵するもので、外航コンテナ施設の導入の必要性はますます高まってきていると考えてございます。
 一方、外航コンテナの導入に当たっては、議員ご指摘のとおり、ポートセールスが重要であることも認識してございます。対象航路等については、現状での取扱相手先は、台湾、中国、韓国、香港等の東南アジアが主であり、品目別には機械機器、化学製品、食料品、繊維製品等が主となってございます。また、陸送費の削減や海上輸送距離の短縮、荷役時間の短縮等がセールスポイントとなろうかと考えております。今後、これらの点を踏まえて努力していきたいと考えております。
 次に、臨港道路についてでございます。
 和歌山下津港には、現在、本港地区の背後を縦貫する一号臨港道路、マリーナシティにかかわる毛見一号線と二号線など総延長で約二十キロメートルの臨港道路がありますが、議員ご指摘のとおり、背後の幹線道路との接続が弱いのが現状でございます。このため、現在の港湾計画においても紀の川右岸線を位置づけて国道二十六号に結びつける計画としております。当面は、この臨港道路の整備を最重点課題として取り組んでいくこととしております。
 また将来においては、和歌山下津港の機能を最大限に発揮させるため、さらに高規格の交通体系の構築が必要であると考えております。このため、現在、太平洋新国土軸構想や大阪湾環状道路構想など高規格道路等との関係も含めながら、長期的な臨港道路整備のあり方を検討しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎吉弘議員にお答えいたします。
 テクノスーパーライナーの寄港についてでございます。
 この寄港についての四国や大阪湾地域との関係でございますが、議員お話しのとおり、テクノスーパーライナーの高速性を最大限に活用するためには、船舶の航行がふくそうしている大阪湾内よりも、大阪湾の入り口に位置し、外海に面している本県の港湾がテクノスーパーライナーの寄港地として有利な点が多いと考えてございます。また四国と比較しても、京阪神都市圏や関西国際空港に近く、有利であると考えてございます。
 去る八月には、議員お話しのとおり、テクノスーパーライナーの実験船「ひしょう」が近畿で唯一、本県に寄港いただきましたが、今後とも本県の優位性を生かし、テクノスーパーライナーの誘致を図るため積極的な取り組みを行ってまいる所存でございます。
 それから、二点目の物流基地についてでございます。
 テクノスーパーライナーを核とした物流基地構想については、現在、学識者、業界関係者、関係行政機関のご参加をいただきまして、陸・海・空の物流に対応でき、流通中継、流通加工の機能をあわせ持った国際複合輸送拠点整備構想の調査を進めているところでございます。この調査結果をもとに、流通関係者、港湾担当部局などとの調整を図り、テクノスーパーライナーを核として国際複合輸送拠点整備構想を推進してまいりたいと考えてございます。
 最後に、国土法についてでございます。
 監視区域制度は、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがある場合にその区域を指定し、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保を図る制度でございます。
 本県においては、地価動向、土地取引の状況等を踏まえ、本年三月、届け出対象面積の緩和を行ったところでございます。本県の地価の状況は、本年七月一日現在の地価調査が示すとおり、四年連続下落傾向を示してございます。その下落幅は毎年縮小してきており、特に住宅地では、平成四年はマイナス四・四%、平成五年はマイナス三・四%、平成六年はマイナス○・一%と縮小してきてございます。今後、監視区域の解除に向けて、国土庁の通達の趣旨を踏まえ、土地取引の状況も把握するとともに、近畿各府県と連絡を密にしながら、機動的かつ弾力的な運用を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 コンテナ貨物の新しい調査結果を発表していただきました。この結果を見ると、前の議会でも申し上げましたが、和歌山県内で産出される地場産業の製品がほとんどすべて大阪港、神戸港から出荷されているということであります。これは和歌山県内の港湾にコンテナを扱える施設がないためであるということでありますが、そのコンテナの量が年々ふえてきておる。ご答弁によりますと全国第九位の那覇と同じ量であるということでありますから、ますますコンテナの施設を早くつくらなければならないということになろうと思うのであります。平成七年度の港湾改定に向けて着実な計画をお立ていただいているところでありますが、ぜひとも早期実現に向けてご努力を賜りたいと思います。
 それから国土法については、解除に向けて検討していくという知事のご英断ある答弁を得て、大変喜んでおります。何とぞ検討を早めていただき、一日も早く解除していただきますように強く要望いたしまして、質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(富田 豊君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十二分散会

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