平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成六年三月十六日(水曜日)

 午後一時三分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成六年度の予算県議会も、きょうの私の質問で一般質問が終了するという運びでございますが、多くの皆さん方が質問されましたので幾分か重複する点もあろうかと思います。二重質問になる気もいたしますけれども、私なりの観点から、通告した順に従って質問をいたします。
 まず、質問に入ります前に。今議会の予算編成等について、他会派の皆さん方からもいろいろ質疑されました。そんな中で、我々自由民主党といたしましては、例年どおりの予算編成の陳情活動等はいたしませんでしたけれども、その以前に各省庁との連携をとりながら、もちろん県当局とも連携をとりながら、それぞれ所属する委員会、議員連盟、それぞれの地方の出身地に関する問題等について、国に対し、また大阪、京都の出先機関に対し働きかけて、今日の予算編成に自民党として努力してきたということを表明いたしたいと思います。
 それではまず、米の輸入自由化についてであります。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を受け入れたときに、「豊葦原の瑞穂の国も終えんだ」と言う農学者がありました。私の感じたことは、これからの国際社会と調和しながら、日本農業を真に再生させるには何が必要であるか、視点が欠けていないかということでありました。ガット調整案の六年間の関税猶予期間内に日本の農業の新具体政策をつくり上げなければなりません。昨今、スーパーや米屋に日本米を求めて行列ができたというテレビのニュースが報じられてございます。消費者は安くなるのなら自由化歓迎、生産者は米の国内完全自給の堅持、自由化絶対反対を叫び、農業団体はただ反対だけで、将来に向かっての対応策が見られないと思います。米に関して二人の質問者がございましたが、私は今後の水田農業のみに絞って質問をいたします。
 この受け入れ合意の直後、県内の賛否状況を見ますと、平成五年十二月でありますが、市場開放絶対反対が三四%、部分開放に応じるが関税化は拒否するが二○%、関税化を一定期間猶予が約二○%と、合計七○%程度が反対の意思表示をしてございます。九一年度でございますが、県内の農業の粗生産額は千七百五十余億円、内訳は、かんきつ類六百五十億円、米百二十三億円──生産量は四万一千三百トン──就業状態は、農家戸数四万六千戸のうち三万一千戸、約六七%が米作農家となってございます。国は、昭和六十二年から平成四年までの六年間に水田農業確立対策を実施いたしました。和歌山県もこれを受けて転作や営農指導に取り組んでまいりましたが、施策の主なものは、減反であり、転作であり、生産規模の拡大であり、和歌山県の水田農業に向くような施策がなかったように思います。まず、その成果をお伺いいたします。
 続いて、平成五年から水田営農活性化対策を策定いたしましたが、その初年度である昨年、冷害による大凶作となり、外米を緊急輸入するという事態となり、昨年十一月十八日、タイから横浜港に入港したことはつい三カ月前の出来事であります。その当時、第三の黒船として報道されたものであります。
 農水省は、昨年六月、新時代農政ビジョンを発表いたしました。この新政策と関連三法の農業経営基盤強化促進法、特定農山村法、農業機械化促進法を踏まえ、地域農業の基本方針や構想の策定に取り組んでいることと思います。新政策は規模の拡大を柱として米の国内自給と食管制度の維持を掲げており、地方自治体もそれを受けて英知を絞っているところへ、ウルグアイ・ラウンドによるミニマムアクセスの受け入れでございます。自治体を初め農業団体の戸惑いや不満、反対が入りまじり、日本の水田農業の今後の方針に暗雲が立ち込めたのであります。政府は、この合意を受けて緊急農業農村対策本部を設置してその対策に取り組んでおりますけれども、和歌山県のような中山間地帯の零細小規模農業の対象になるものは皆無と言えると思います。猫の目行政と言われる日本の農政も、今度こそは根本から見直さなければならないときに至ったと思います。
 九一年のオレンジ、牛肉等の自由化、九二年の果汁の自由化は、和歌山県の農業に大きな打撃を与えました。そして、このたびの米の自由化に向けての決定は、農耕民族の日本の農業は崩壊し、自然破壊につながるでありましょう。このままでは、人口の流出、高齢化と進み、過疎化に拍車をかけることになります。知事がよく言われる和歌山県の文化も、維持、伝承する人々が少なくなって自然消滅してしまうでありましょう。
 島根大学農学部の北川教授は、中国地方五県の中山間地の農家にアンケートを実施して、そのまとめとして、「社会保障のような支援では農家の自助努力だけで、意味がない。生活条件を整備し、地域資源を活用した生産、就業政策に資金、技術、情報の面でバックアップするのが基本」としています。
 知事は、各種の会合で一次産業の強化育成を強調されておりますが、和歌山県も県下の農家のアンケートをとり、中山間地域のこれからの農業指針を作成してはと提言するものでございます。今日までのように、国の事業にないからできないとか、基準が合わないから対象にならないというようなことを改めて、和歌山方式を策定してその実施を農水省に働きかけるという、地方の生の声を中央に聞いてもらう行政を進めるべきであると思います。
 続いて福祉と医療対策、ゴールドプランについてお伺いいたします。
 我が国の平均寿命が八十歳という世界一の長寿国となり、このまま推移すると人口比六十五歳以上で二○○○年には一七%、二○二○年には二五・五%と推測されております。そこで、二十一世紀の高齢化社会を健康で生きがいを持ち、安心した老後を過ごせる社会づくりを目指して、平成元年十二月、厚生省、大蔵省、自治省の三省合意のもとに策定されたのが高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)であります。七項目の諸政策を柱にして、地域の実情に応じたきめ細かな計画を一九九四年三月までに作成し、提出することになってございますが、県下各市町村からの策定状況はいかがなっておるか、お伺いするものであります。
 この老人保健福祉計画が策定されることに目をつけた全国のコンサルタントや民間研究所、大学研究所等々の手で、近畿地方の約七割の自治体の計画が策定されていることが近畿弁護士会のアンケート調査で判明してございます。この計画策定で、「金があるならコンサルタント業者、コネがあるなら学者頼み」と、こんな言葉も出てございます。福祉対策の原点はハート、心であります。コンサルや業者委託によって実現不可能な計画を盛り込んではいないだろうか。心の福祉をビジネスでとらえる業者サイドの計画がなされているのではないだろうか。地域の実情を認識したぬくもりや思いやりのある本来の福祉政策が取り入れられているだろうか。この点について、危惧を抱くものであります。
 高齢化が進み、施設への入所措置権が国から市町村に移譲され、それに伴ってその地域の実情に合った福祉政策をつくるという福祉の地方分権の一環でありますが、自治体が音を上げているのが実情と言えましょう。私は、これらの点について広域ということも一考かと思います。財源の裏づけもなく、過疎町村では人材の不足も聞かれ、ことしの四月から計画実施の段階に入ることになりますが、県下の実情を民生部長にお伺いいたします。
 続いて、福祉に関連する医療についてであります。
 前段申し上げましたゴールドプランに、次のとおり明記してございます。「保健医療・福祉人材確保対策」として、「ゴールドプランの推進や医療の高度化・専門化等への対応を図るためには、看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパー等の保健医療・福祉分野の人材確保が不可欠です。 このため、厚生省では、平成四年度において、勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上等を総合的に推進する。(中略)人材対策の基盤となる法律が制定されました。 『看護婦等の確保に関する基本指針』が策定され、平成五年四月には、『社会福祉事業従事者の確保と国民の社会福祉に関する活動への参加に関する基本指針』が策定されました。 平成五年度予算においても養成強化、就業の促進、処遇の改善等、総合的な保健医療・福祉分野の人材確保対策を推進する」となってございます。また、ゴールドプランの六項目めに、「長寿科学研究の推進」として、長寿科学医療体制確立のため国立病院の施設整備を図り、長寿科学総合研究を進めるとあります。
 前段が少し長くなりましたが、本論に入りたいと思います。このことについては、村岡議員からも質問がございました。私は、この病院のある町内の住民でもありますので、多くの皆さん方からいろいろと陳情を受けました。ただいま申し上げた厚生省の医療対策とは正反対のことが起きたのであります。新聞紙上、先刻の質問等でご承知と思いますが、和歌山県内に国立和歌山病院と国立南和歌山病院がありますけれども、この二つの病院で三十三名の人員削減計画が通告されて、関係者はもちろん、患者も含めて医療や看護に不安を募らせてございます。和歌山病院の対象者は、ほとんど美浜町の住民でございます。ご承知のとおり、和歌山病院には、県下でただ一つの結核病棟と小児慢性疾患、重症心身障害児の県立養護学校がありますし、近くには日高地方の組合立養護施設が二カ所ございます。このことで、看護婦さん、賃金職員さん、保母さん、父兄の方々からいろいろと陳情を受け、善処方を要望されました。県当局の各課にも当たりましたが、確たる取り組みの回答も得られませんでしたけれども、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 続いて、コスモパーク加太計画の中の大川港桟橋の撤去についてお伺いいたします。
 この件については、土取り跡地の利用計画等で質疑が交わされましたが、私は土取り工事終了後の残整備工事についてお伺いいたします。
 土砂搬出のベルトコンベヤーと大川港の積み出し桟橋の上部──約三百四十メートルあるそうでございます──は撤去するということで業者も決定しているようでありますが、その下部の桟橋をいかにするかということであります。
 私見でございますけれども、この施設を関西国際空港と和歌山を結ぶ海路の玄関口にしてはと提言するものであります。中型高速艇やホバークラフトの出入りする港として、コスモパーク加太と関西国際空港への最短距離であるからであります。地元との約束で完全撤去ということも聞いてはおりますが、その費用は莫大な額であります。根固め石とその上に約三千トンの鋼板セル六基、ジャケット六基、合計十二ありますが、これが難物でございます。この撤去費用が約十五億円とも聞いてございます。今議会における企画部長の答弁を聞いておりますと、土取り総事業費千三百億円、土砂販売代八百三十三億円、差し引き四百六十七億円近い赤字で、さらにこの撤去事業費を加えると四百八十億円近い赤字になってまいります。保存か撤去か、この点についてお伺いすると同時に、仮に撤去ということになれば、廃棄物の再利用ということで魚礁に投棄してはと提言するものであります。費用も安く上がり、根つき漁業の振興になり、まさに一石二鳥と思うものであります。
 次に、登校拒否についてであります。
 私の知人の息子さんが学校に行くのを嫌がるので、田辺にある教育カウンセラーに相談したいので紹介をしてほしいとの依頼を受けたのが五年ほど前であります。後日、母親から、カウンセラーの先生のおかげで学校へ行くようになりましたとの電話がありました。原因を尋ねますと、いじめでございました。ちょうど全国的にいじめが社会問題になっているころでありました。子供の社会には、けんかもあれば多少のいじめぐらいはある、そのために学校を休むのだろうという程度で私は感じておりましたが、県統計課の平成四年度の学校基本調査発表で、三十日以上の欠席者数は小中学校で合わせて千二百五十八人、五十日以上の欠席者数は小中学校で五百三十八人、学校嫌いの中学生は二クラスに一人の割合で、人数とも最高との発表がありました。さらに十一月、文部省の全国調査の発表がありましたが、文部省が登校拒否の児童生徒本人から直接の聞き取り調査をしたのは初めてだそうでございます。調査結果として、本人、保護者、学校の認識にずれ、食い違いがあることが判明し、教育現場の対応に影響を及ぼす様子でございます。この発表を見て、私の登校拒否に対する認識不足を知り、町村の教育委員会、知り合いの先生、拒否児の保護者等々に問い合わせや直接面談して、不登校のきっかけ、家庭での状況やその対応について勉強いたしました。資料も集め、本も読みました。
 登校拒否児兄弟三人を持つお母さんと面談する機会がありました。長男は、小学校のときには普通の子供で、中学一年生の夏休み以降学校に行かなくなり、先生の家庭訪問や親との話し合いでわかったことは、入学初日と二日目に、先生から注意とゴツンとお目玉を食らったそうでありますが、子供の言い分は、「中学校に入学してまだなじまないときに何でしかるんや。親切に教えてくれたらいいのに」と、先生からしかられたことでショックを受け、だんだんと拒否に向かっていったということであります。これらの原因は学校にあると思います。三男は、家庭の都合で校区外の幼稚園に通わせたそうでありますが、新入生のときには友達が一人もいないので拒否に向かっていった。これは家庭に原因があって、親の勝手で家を変わっていったということでございます。次男は、兄も弟も学校に行かずに家で遊んでいるのに、僕だけが何で早く起こされて学校へ行かなければならないのかと。これも家庭に原因があると思います。
 学校は家庭に、親は子供に、子供は学校と自分に問題があるとされていますが、私は、そのきっかけや態様、学校、家庭によって千差万別であると思います。登校拒否問題で県教育委員会の薮添カウンセラーから、体験と今後の対策についてもお話を伺いました。この問題に取り組むには、三者がいずれかに責任を転嫁するのではなく、三者が一体となり、さらにカウンセラーなどの第三者の手で客観的、総合的に原因を究明分析して対策を講じるべきであると思います。カウンセラーの資格を得るのに心理学を中心に研さんを積み重ね、さらに大学のスクーリング等に参加して勉強し、高位はスーパーカウンセラーということになるようであります。
 ここで、私は提言を申し上げます。来春からの教員採用時に、ただ成績だけではなく、大学で心理学を専攻し、教員を希望する若者を採用し、カウンセラーとして養成して、県下の教育事務所へ今の三倍程度の人員を配置して対応するということでございます。今、学校も家庭も社会も見直しが必要なときであります。
 そこで、次の四点についてお伺いいたします。
 この登校拒否児・生徒の数を見て何を考えたか、登校拒否児・生徒への今後の取り組みについて、カウンセラーの資格者が少ないようですが、この対策は、そして保護者から要望が出されていることに対して今できることは、以上の四点について教育長の答弁を求めます。
 次に、リゾート構想のリストラをということであります。
 県は六十三年、和歌山県リゾート開発基本構想を策定し、県下全域に海洋型、山岳・高原型、都市近郊型の三つのリゾート整備方向を示し、国の総合保養地域整備法に基づき燦黒潮リゾート構想を策定して、県下七ゾーンに分け、その実現に取り組んでまいりました。しかし、立案計画当時と計画実施時の経済状況が大きく変わり、好景気から不況のどん底の経済状態では事業を進められないのではないかと危惧していた一人でございます。
 政府総務庁は、ことしの一月十六日、総合保養地域整備法(リゾート法)に基づいてリゾート開発、整備に関する進捗調査結果をまとめました。それを踏まえて、国土庁や農林水産省など関係する七省庁に対し、基本計画の見直しを求める勧告をいたしました。その内容は、バブル経済崩壊の影響を強く受け、民間企業の投資意欲の落ち込み、採算がとれない、環境破壊等で地元の協力が得られない、これらの理由で建設計画承認済み箇所のうち八三・八%が未着工であることが判明いたしました。
 その中に、和歌山県が開発承認を受けた七ゾーンの重点整備地区、田辺・白浜地区が整備の実現性の検討が不十分な地区と判定されてございます。さらに、加太・紀泉地区もとんざしているのが実情であります。ただやりたいというだけでは成るものではなく、地元の同意と協力なくして成功するものではありません。県はこの判定を受けていかなる対応をするのか、今後の方針等もあわせて企画部長の答弁を求めます。
 最後に、中国人集団密航事件についてであります。
 今月十日未明に、西牟婁郡すさみ町口和深付近で、深夜に百七名の中国人を中心とする密航者逮捕というニュースが飛び込んでまいりました。私は、ボートピープルから始まった日本へ向かう難民船や、黄金の国日本での一稼ぎという密航船の来航に対する海岸線における水際対策を、本議場でも委員会でも訴えてまいりました。町村の消防団の出初め式のあいさつでも協力要請をしてまいりました。
 今回の密航事件の報道を見ますと、緻密な計画と日本での受け入れ組織、本船による輸送と海上保安庁巡視船による監視の目をくぐり抜ける巧妙な方法をとってございます。九二年五月、古座町荒船海岸に集団上陸以来、二年間で五件、二百六十名余が和歌山県の海岸を目指して来航しています。しかし、県警初め民間通報の協力で全員逮捕という成果を上げてございます。今回のすさみ町口和深事件は、テレビの刑事物語を地でいくような感じをいたしました。串本署を中心に隣接各署の連携捜索により全員逮捕したことは、まさに殊勲功であります。関係された皆さんのご労苦に敬意と感謝を申し上げます。
 まだ事件の取り調べ中で全容がわからないとも思いますが、現時点での警察本部長のご所見をお伺いいたします。
 前段申し上げたとおり、和歌山県の海岸線は非常に長く、死角も各所にあり、好適地とされているようであります。かような事件を県警のみに任せるのではなく、自治体も何らか対応すべきであると思います。たび重なる密航、密入国事件の発生に際して、自治体の長としての仮谷知事の所見もあわせてお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わりますが、最後に、この議会に上程された予算の内容を見て、知事初め県当局の積極的な取り組みに敬意を表するものでありますけれども、今の経済状態等を見る中で、年度がかわれば速やかに公共事業等の発注をして景気の浮揚を図り、そしてそれぞれの地域の発展事業に怠りのないような、固まって発注することのなきように、県当局の取り組みを強く要望いたしまして質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 農業問題についてのお尋ねでございます。
 私は、常々、地域振興を図る上で農業は重要な役割を担っておる、本県において特にしかりだと考えておるわけでございます。本県の水田農業は、お話ございましたように、非常に狭い耕地を活用して、果樹、野菜、花卉等の複合経営の一部門としてこれまで本県農業を支えてきたところでございます。昨年十二月にはガット農業交渉が合意したところでございまして、その対策として国では新政策を積極的に推進するとともに、新たな国内対策が講ぜられようとしておるわけでございます。しかしながら、条件の不利な中山間地帯を多く持つ本県にとりまして、新政策による規模拡大を基本とした方向には難しい面もあるわけでございます。
 そこで私としては、収益性の高い農業を推進することが基本であると考えておるわけでございまして、現在そのように推進を図っておるところでございます。議員の提言については、趣旨を十分踏まえながら、中山間地帯を踏まえた本県農業の活性化に向けて農家の意向や地域の実態を反映した施策を講じるとともに、国に対しても本県の実情を強く訴えて、国のご支援をお願いしてまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、中国人の密航事件でございます。
 話もございましたように、集団の密入国については、県警本部で現在その背景を捜査中でございます。新聞報道等によると、本事件は日本における不法就労等を目的とした集団密入国であると思われるわけでございまして、県警本部等関係機関が防止や取り締まりに当たっているわけでございます。こうした事件に対して、知事としてどういう考えを持つかということでございます。
 このような事件が頻発いたしますと、地域住民に不安感を与えるわけでございます。今後とも、県警本部を初め沿岸市町村や漁業関係者等、関係機関と連携を密にしながら防止体制の確立を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 木下議員にお答えをいたします。
 米の輸入自由化を受けてのご質問のうち、和歌山県零細農業対策の確立について知事からお答えをいたしましたが、後の三点についてお答えをいたします。
 まず、水田農業確立対策の成果についてどうかということでございます。
 昭和六十二年度から平成四年度までの六年間にわたり実施された水田農業確立対策について、国では転作作物の生産性向上と地域輪作農法の確立などを主体に推進されてまいりました。本県においては、市町村、農協、普及所等の連携のもとに、地域の特性を生かした品目を推進してきた結果、梅、柿、桃などの果樹やナス、トマトなどの野菜、菊などの花卉の施設栽培への転作のウエートが高くなっており、収益性の高い転作営農が図られてきたところでございます。
 次に、平成五年度から新たに始まった水田営農活性化対策についてでございます。
 国としては、転作のみならず、米づくりも含めた生産性の高い水田営農の確立を主体に進めてございます。本県では、先ほども申し上げたとおり、収益性の高い品目について、地域の実態に即した転作を推進してきたところでございます。また、県下の稲作農家の意向を把握するため、昨年七月にアンケート調査を実施したところでございます。この調査結果をもとに、平成六年度においては地域性や農家の水稲の作付意向を十分配慮した転作面積の配分を実施したところでございます。今後とも、本県農業の特性を生かした、野菜、果樹、花卉、花木を主体とした収益性の高い複合経営をより一層推進してまいります。
 次に、中山間地小規模農業対策についてでございます。
 本県の中山間地域の水田は、議員ご指摘のとおり、規模が零細な上、高齢化や担い手不足など、厳しい営農条件でございます。県では、これまでも水稲を基本として、夏期冷涼な気象条件を生かした高原トマト、ユズなど、地域に合った特産品づくりを推進してきたところでございます。今後とも、農家の生産意欲を踏まえ、施設栽培など収益性の高い営農が図られるよう、小規模な土地基盤整備や施設化の整備を進める一方、特別栽培米等の付加価値の高い米づくりを推進してまいります。これら実現のため、先ほど知事がお答えいたしましたように、小規模農業対策の充実強化を国に対し強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
 〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 木下議員にお答え申し上げます。
 議員ご質問の市町村老人保健福祉計画については、平成十一年度、西暦二○○○年を目標年次とした計画でございますが、既に全市町村で策定をされてございます。計画策定に当たっては、それぞれの市町村の実情、住民ニーズを反映したものとなるよう十分指導を行ってまいりました。また、特別養護老人ホーム等の施設の整備については、福祉圏域を設定して、ご提言のとおり広域利用を図るべく進めているところでございます。
 今後は、計画実現に向けて国に対しては財源の確保を、県内にあってはホームヘルパー等人材の養成確保に市町村と力を合わせて、いつでも、どこでも、だれでもが必要なサービスを受けられる社会づくりを目指して努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 木下議員ご質問の福祉と医療対策のうち、国立療養所和歌山病院の職員の処遇の問題についてでございます。
 国においては、国立療養所等の定数外職員については退職者の後補充を行わない等の方法をとりながら、順次解消を図ると聞いております。また実施に際しては、患者サービスの低下や地域医療への影響が生じないよう配慮することとされております。いずれにいたしましても、議員ご指摘の件は労働者の生活にかかわる問題であると認識してございますので、今後の推移を見きわめながら、離職者が生じた場合の再就職の対応については商工労働部との連携の中で努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 最初に、コスモパーク加太計画に関連する大川港桟橋撤去についてのご質問にお答えいたします。
 現在、土砂搬出施設のうちベルトコンベヤー等の撤去工事を進めており、本年八月に完了の予定と聞いてございます。また土砂搬出桟橋については、占用期間が平成六年十一月末までとなってございまして、現在、事業主体である県土地開発公社が県の関係部局及び関係漁業協同組合と撤去について協議を行っているところでございます。議員ご提言の施設の有効活用については、撤去が具体化する時点で、採算性等を考慮しながら検討してまいらなければならないと考えておるところでございます。
 次に、リゾート計画についてのリストラのご質問にお答えをいたします。
 本県では、それぞれの地域特性に応じ、リゾートの形態を海洋型、山岳・高原型、都市近郊型の三つのタイプに分類し、海洋型については燦黒潮リゾート構想として、また山岳・高原型、都市近郊型については内陸リゾートとして取り組んできたところでございます。このうち燦黒潮リゾート構想は、リゾート法に基づき国の承認を受けたものでございまして、民間活力の導入を柱といたしてございますが、社会経済情勢の変動により、民活導入によるリゾート整備は全国的にも厳しい状況になってございます。しかし一方、リゾートを求める国民の欲求が確実に増大しつつある現在、国民に余暇活動の場を提供していくことの必要性は着実に大きくなってきてございまして、こうした中で国においては総合保養地域整備研究会を設置し、今後のリゾート整備のあり方についての検討が行われ、今後の課題や新しい取り組みに向けての提言がなされたところでございます。
 本県においても、この研究会の提言を踏まえ、今後のリゾート整備のあり方について検討しているところでございまして、今後は大規模民活型リゾートに加え、これを補完する形で農山漁村の魅力を生かした小規模、地域主導型のいわば手づくりのリゾート整備もあわせ、長期的視点に立って推進していくことが必要であると考えてございます。こうした取り組みに対する理解、協力を得るために、先月、「自然・地域文化とのふれあいリゾート」国際シンポジウムを開催したところでございまして、今後シンポジウムでの提言を生かし、リゾート整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、リゾート整備の推進に当たっては、議員ご指摘のとおり、地元の協力が不可欠でございますので、今後とも計画の初期の段階から地元市町村との協力体制を強化していくとともに、地元関係者の方々の参画も得た協議会などを通じてその推進に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 登校拒否問題、四点についてお答えいたします。
 平成四年度の学校基本調査では、学校嫌いを理由として三十日以上欠席した児童生徒数は、小学校で百六十五人、在籍児童生徒数の○・二一%、中学校では五百九人で一・一八%となり、ここ数年増加の傾向にあることから、この問題への対応が重要な課題であると受けとめてございます。登校拒否の原因や背景を分析いたしますと、必ずしも本人自身の属性にのみ起因するとは言い切れず、家庭、学校、社会のさまざまな要因が複雑に絡み合っている場合が多く見受けられます。したがって各学校においては、全教職員が登校拒否について共通理解と認識を深め、児童生徒の立場に立って人間味のある温かい指導を行うこと、家庭や地域との連携を深めることを基本して予防に努める一方、個々のケースについては、一人一人の児童生徒に好ましい心理的な環境を整えて自立に導き、学校生活への適応を図ることが大切であると考えています。
 こうした観点から、教育委員会といたしましては、昭和五十九年度から教育相談活動とカウンセラーの養成の二つの柱から成る教育相談推進事業を実施してきてございます。
 その一つの教育相談活動では、各学校で直接、保護者や児童生徒の相談、指導に当たっている担任教員などに対して、教育相談主事が専門的な立場から指導助言を行うスーパーバイズ方式をとっております。この活動をより一層充実させるため、さらに本年度から県内の八地方に教育相談員を配置したところであります。
 二つ目のカウンセラーの養成でありますが、教育相談合宿研修会、学校カウンセリング指導者養成講座などを開催するとともに、大学院への国内留学や教育研修センターにおける長期研修を実施しております。この事業を通して、現在までに約四十名のカウンセラーが養成されており、県内各地で活躍してございます。
 子供が学校へ行き渋ったり、登校拒否に陥っている児童生徒を持つ保護者には担任教員が直接相談に当たるよう、またより専門的な相談の必要がある場合は、カウンセラーとしての専門性を持つ相談員として各地方、県教育研修センターに配置しているスーパーバイザーに相談していただけるよう、相談活動の充実を図ってございます。
 しかしながら、今日、新しい学校教育の課題となっている登校拒否などの問題解決のためには、今後とも教員の力量を高め、教育相談活動やカウンセラーの養成の充実を図るとともに、教員の採用に当たっても専門分野や特技などの把握に努め、保護者からの要望にこたえてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 警察本部長西川徹矢君。
 〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 木下議員にお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、県下においては一昨年から集団密入国事件が連続して発生しております。一昨年は古座町と田辺市で二件四十六名を、昨年は白浜町とすさみ町でこれまた二件百五名を、さらには本年三月十日にはすさみ町の口和深海岸で密航者を九十一名、そしてこれらを受け入れる側の国内の受け入れ者という形で十六名、さらにはこの事件に絡んで、愛知県下でこれらの受け入れ者の共犯という形で一名、計百八名を出入国管理及び難民認定法違反、あるいは刑法の犯人隠避罪で逮捕してまいっております。現在も捜査本部を設置して、その背後関係、背後組織等の解明に全力を尽くしておるところでございます。
 ご案内のように、本県は六百キロメートルにも及ぶ海岸線を有しております。これらの地理的条件を考えますと、今後ともこの種事件の発生が大いに予想されるところでございます。こうした事件の再発防止と水際での検挙を図るために、今後とも県当局を初め関係機関との連携を図るということ、それから、現在沿岸を管轄している警察署が十一ございますが、この十一の警察署において沿岸住民の方々のご協力を得ていわゆる沿岸防犯連絡会というものを設置する等の組織的な防止体制の確立に努めているところでございます。
 警察といたしましては、今後こうした総合的な諸対策を推進するとともに、本事件の背後関係あるいは背後組織を徹底的に解明いたしまして、その組織の壊滅に全力を尽くしていきたいと考えているところでございます。この種事案の防止を図るためには、県民皆様方の広範なご協力がぜひとも不可欠でございます。どうか今後とも、そういう意味でのご協力をあわせてお願いしておきたいと考える次第でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がございませんので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(宗 正彦君) この際、お諮りいたします。議案第二十三号、議案第二十四号並びに議案第五十一号については、急を要するため、本日議決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 お諮りいたします。本案については、いずれも委員会付託等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、本案はいずれも委員会の付託等を省略し、直ちに採決することに決定いたしました。
○議長(宗 正彦君) これより採決いたします。
 議案第二十三号、議案第二十四号並びに議案第五十一号を一括して採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君はご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(宗 正彦君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(宗 正彦君) 次に、議題となった全案件のうち、ただいま議決されました議案第二十三号、議案第二十四号並びに議案第五十一号を除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、お諮りいたします。三月十七日から十八日まで、及び三月二十二日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、三月十七日から三月十八日まで、及び三月二十二日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(宗 正彦君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会  第一委員会室 
 厚生委員会  第二委員会室 
 経済警察委員会 第三委員会室 
 農林水産委員会 第四委員会室 
 建設委員会  第五委員会室 
 文教委員会  第六委員会室 
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○議長(宗 正彦君) 次会は、三月二十三日再開いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二分散会

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