平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成六年三月十六日(水曜日)○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
36番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、世界リゾート博について申し上げておきたいと思います。
リゾート博は、県民総参加と言うように、県民一人一人が主催者になった気持ちでどうかかわるかが大切なことだと思います。私ども開政クラブも昨年より、近くて遠い県・徳島県と交流を進めておりますが、過日、上野山親主幹事長が徳島市役所に小池市長を訪問し、リゾート博への阿波おどりを招請、快諾を得てまいりました。またフロリダからは、先般の中西公室長のご報告のとおり、サザンベルが来和いたします。さらに、常々申し上げている防災という観点でも、世界からその権威を集めて砂防のシンポジウムが期間中開催されると聞いております。こうした手づくりの催し物も、きっと訪れる人々の思い出になることを期待しております。
さて、本論に入りますが、まず初めに、難産の末、ようやく一月二十九日に国会で可決成立した政治改革関連四法のうち、いわゆる区割り審議会についてお尋ねをいたします。さきの十二月議会において冨安民浩議員からも質問がありましたが、法案成立後ということで、重ねてのご答弁をお願いします。
今回の政治改革四法の成立により、ご承知のとおり、小選挙区三百、比例区二百の定数が決定されたことで、本県は現行の二選挙区定数五から三選挙区定数三になると言われております。その区割りについては、平成三年の選挙制度審議会答申による区割り案を中心に、いわゆる区割り審議会が行うことになっておりますが、この二十五日にも委員が任命され、六カ月以内に答申を出すこととなっております。大方の予想では、新一区は和歌山市、新二区は海南・橋本・有田市、海草・那賀・伊都・有田郡、新三区は御坊・田辺・新宮市、日高・西牟婁・東牟婁郡とした区割り案が有力と聞きます。
このような状況のもと、この九日には有田郡市の代表の皆さんが上京し、自治大臣及び自治省関係者に対して有田郡市を新三区に編入するよう陳情したと報じられました。内容は、今後、紀北地方の人口増加と紀南の過疎化が一層進むという予測と、歴史的、文化的に有田郡市は紀南地方と密接な関係にあるという論拠をもとに新三区への編入を希望したものであります。私は、有田の皆さんのお気持ちがよくわかります。確かに、国勢調査のたびにあちこち行かされるのではかないません。
そこで、知事にお伺いいたします。
衆議院議員選挙区確定審議会設置法の第八条には、「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる」とあります。ですから、場合によっては、知事は審議会に対して県の考えを述べなければなりません。そのとき知事は何と答えるおつもりか、また、機会がない場合どうされるのか、あわせてお伺いをいたします。
次に、下水道についてお伺いしたいと思います。
経済大国と言われて久しくたちますが、なかなかそれが実感できないというので、一昨年、生活大国五か年計画がまとめられました。これには、排水が公共的主体により衛生処理される人口の割合をおおむね西暦二〇〇〇年に七割を超える程度にするとうたわれております。ここで言う公共的主体による衛生処理とは、公共下水道、農漁業集落排水、コミュニティープラントのことでありますが、いずれも生活排水やし尿をきれいに浄化するという点では変わりありませんが、それぞれ根拠法が異なっており、担当する省庁や採択基準も違います。そのため、実際の事業実施に当たっては、合併処理浄化槽もありますので、短期間に成果を上げようとすればかなりの混乱が予想されます。
例えば農集排が先行すれば、都市計画税を払いながら何もしてもらえない都市の住民は怒り出すでしょうし、同じ事業でやっているのに隣の地域とは負担金や使用料が違うことも出てくるでしょう。また、合併浄化槽の普及が進んだ地域では、コストの安い共同事業ができなくなるおそれもあります。
そこで、実施に当たっては、市町村ごとに、また県レベルでも、住民の意向、自然的・社会的諸条件、事業間の整合性、財政の裏づけ、タイムスケジュールなどが盛り込まれた総合的な計画を策定しなければなりません。
ところで、自治省では地方団体の下水処理に係る行政水準を比較する指標として汚水衛生処理率を発表しておりますが、これは、従来の公共下水道の普及率だけでなく、さきに申し上げた各種汚水処理システムを含めたトータルの指標であります。これによりますと、残念ながら我が県は最下位の八・一%であります。実は、下水道事業というのは原則として市町村が行うことになっておりますから、この不名誉な八・一%という数字は県下の市町村の努力不足のあらわれと言わざるを得ません。かと申しましても、和歌山市を除く県下の市町村の状況を見れば、財政力も弱く、職員数も少ない上に専門的職員の確保もなかなか難しいので、無理からぬ気もいたします。この最悪の状態から脱出するためには市町村にもっともっと頑張ってもらわなければなりませんが、県においてもそれなりの支援体制をとるべきだと思います。
既に関係部局の皆さんで連絡会議を組織し、取り組んでいただいておりますが、ここは一歩進めて生活排水局か下水道推進局とでも言うべき正式な機関を設置して、各部にわたる事業を一元的に処理すべきであると考えます。順位を気にしないと言われればそれまでですが、一元化は、何かと調整の必要な諸事業の推進に直接役立ちます。県民の皆さんや市町村に県の積極的な姿勢を示すことで、間接的にも事業推進に役立つと思います。知事のご所見をお伺いします。
次に、日高港に関連してご質問を申し上げたいと思います。
いよいよ九月四日の関西空港の開港を控え、今や話題は関西空港の花盛りであります。この関西空港はアジアのハブ空港を目指しておりますが、港湾にもハブ港があるのをご存じでしょうか。実は、かつて世界一のハブ港は神戸港でありました。ところが、十年前を境に神戸や横浜は転落を続け、既にシンガポールや香港、高雄、釜山に抜かれてしまいました。それだけでなく、今ではコンテナ貨物の取扱量は、日本全国合わせてようやくシンガポール、香港をわずかに上回る程度になってしまいました。かつての海運大国はどこへ行ってしまったのでしょうか。なぜ日本は負けたのか。もちろんNIESの経済発展もありますが、国内の問題として、大型コンテナターミナルの整備のおくれ、うまくいかない港湾荷役、高い港湾料金、そして何といってもコンテナターミナルの地方展開のおくれが指摘されます。
このような状況にもかかわらず、昨年の財政審答申では港湾事業は抑制と判断され、関係者の反発を招きました。よく、空港が大切だと言われます。もちろん、空港も必要です。しかし、港湾も空港と同じぐらい大切にしなければなりません。現に今でも国際物流の主役は海上コンテナ輸送でありますし、過去十年間に二・三倍、年八・八%の成長を続けているという事実を認識する必要があります。さらに、今後導入されるテクノスーパーライナーや貿易黒字の解消のために、またマリーナシティのような新しい港湾の活用のために、引き続き港湾整備を推進していかなければなりません。とりわけ、六百二十キロ余の長い海岸線を直接太平洋に持つ我が県は、この広い海にも活路を見出すべきであります。
古来より紀州人は海に生きてまいりましたが、東南アジアや太平洋の国々へは、和歌山は少なくとも神戸や大阪より近いのであります。この海へのアクセスとして、本県では特定重要港湾の和歌山下津港、重要港湾の日高港、地方港湾の新宮港など、整備が行われております。
県会初当選のとき、仮谷知事から日高港の勉強をよくするよう言われたのを記憶しておりますが、その後、知事には地元の熱意を酌み取り、幾つかの困難な決断をしていただきました。おかげで、今日いよいよ着工前夜を迎えることができました。今日までの知事、県当局、関係の皆さんのご努力に、御坊市民を代表してお礼を申し上げておきたいと思います。そして、引き続きご尽力賜りますようお願いを申し上げます。
この日高港もそうですが、御坊市では、県企業局において工業団地も造成していただいております。両者の共通の課題は、企業誘致であります。御坊市では、競争力をつけるため、前から開発法が制定されるたびに手を上げ、近畿圏法、半島振興法はもとより、ベイエリア法、頭脳立地法、拠点都市法の地域指定を受け、準備をしてまいりました。しかしながら、国内景気は、重ねての景気対策の効果があってか、年内には上向きの声も上がっておりますが、まだまだ国内企業の投資意欲は低く、そう簡単に企業誘致ができない環境にあります。
一方、海外に目を転じてみますと、アメリカや東南アジアの好況、中国の経済発展などが注目されます。また、折からの貿易黒字の解消のため、我が国は輸入や海外からの直接投資を促進しなければならない立場にあります。そこで、関空にも隣接する我が県のようなところこそ、先般、森正樹議員ご指摘のFAZ等を利用し、進出企業を広く海外に求めていくべきでありますし、それが可能な地域だと思います。
昨年、開政クラブのフロリダ州訪問をお世話してくださったのがフロリダ州商務省の国際貿易開発局というところで、専ら外国企業の誘致を担当しておるところでございます。和歌山へも来られた局長のアイダンソン女史はいつも海外を飛び回っておられ、既にフロリダ進出を果たした日系企業だけでも八十社に上ると聞いております。新しいアメリカの友人・フロリダ州のすばらしいところをぜひ見習ってみればと思います。いかがでございましょうか。
次に、高速道路についてお伺いします。
ただいま申し上げた日高港に混雑する大阪湾諸港の機能分担をさせようというのが当初からの計画でありました。そのため、京阪神へのアクセスとして高速道路が必要ですが、既に大部分は開通しており、残りは湯浅御坊道路だけとなっております。この湯浅御坊道路も、ただいま建設省、道路公団において鋭意工事を進めていただいております。いよいよ日高港の着工前夜を迎え、また紀南に住む利用者の一人として湯浅御坊道路の進捗状況が気になるわけですが、果たしてどれぐらい進んでいるのでしょうか。また、供用開始はいつごろになる見込みでしょうか。
申し上げるまでもなく、高速道路はまさに県民の悲願でありますから、知事を先頭に県民それぞれの立場で頑張る必要があります。三全総や四全総に紀伊半島の高速道路のことを書いてもらったり、湯浅御坊道路への公共事業導入など、本当に大変なご苦労だったかと思います。しかし、このような努力にもかかわらず、いざ着工となれば、総論賛成、各論反対というか、県民の悲願などとは到底矛盾するような現実が見えてまいります。
そこで、昨年施工命令の出された御坊─南部間の着工に向け、あらかじめ何かできないものでしょうか。現況と取り組みをご報告していただきたいと思います。
以上。
○議長(宗 正彦君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
衆議院議員の選挙の区割りについてでございます。
お話ございましたように、近く審議会の委員が決定されると承っておりまして、決定すると六カ月以内に内閣総理大臣に勧告しなければならないということになっておるわけでございます。具体的な作業としては、まず区割りのための基準により各選挙区の人口の均衡を図りながら、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行うとされてございます。
地方公共団体の長につきましても、知事につきましても、区割りについての意見を聞くこととなっておりまして、私としては、その際において、県会議員の皆さんや市町村長さん初め、県民の多数の皆さんの意見を広く聞かせていただいて、本県にとって最もふさわしい区割りのあり方について、その方法が反映されるように精いっぱい努力してまいりたいと思っております。
次に、下水道事業の推進の問題とその一元化についてでございます。
下水道推進につきましては、本県は非常におくれておりまして、これを推進することが緊急の課題でございます。現在、紀の川流域下水道一カ所、公共下水道では二市十一町で着手しております。農業集落排水事業では一市三町で十カ所の事業を進めてきておりまして、そのうち公共下水道では一市三町で供用開始しておりますし、平成六年度では白浜町と串本町の二町で一部供用開始されることになっております。農業集落排水では二カ所完了いたしまして、そのほかにコミュニティープラント二カ所が供用しておるわけでございます。
普及率を早く向上させるためにこれまでも関係部局でおのおの推進を図ってきたところでございますけれども、平成六年度には庁内関係部局の部局長から成る連絡会議を設置し、各市町村の整備区域、整備手法、スケジュール等を協議しながら全県域汚水適正処理構想を策定して、これに基づき、関係各部連携のもとに市町村に対して事業促進を図るように指導してまいりたいと思っております。
また、組織の一元化につきましては、国の動向も十分見きわめながら検討いたしてまいりたいと考えております。
他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 中村議員にお答えいたします。
まず、日高港に関連をしてでございます。
議員ご指摘のとおり、世界の物流はコンテナ輸送が主流となっておりますが、このコンテナ貨物の取扱量では、今やシンガポール、香港、高雄、釜山といった東アジア地域の各港が世界のベストファイブを占めるに至っており、かつて世界第一位であった神戸港も第六位に低下をしております。この背景としては、東アジア地域の経済発展が主な原因でありますが、一方では我が国のコンテナターミナルの整備の立ちおくれなどもあろうかと考えております。
こうした国際ハブ港湾としての機能の充実は日本全体として対処していくべき問題であると認識をしておりますが、大阪湾の入り口に位置し、近畿圏の海の玄関口である当県としても、和歌山下津港や日高港の整備を通じて貢献すべき問題であると考えております。
次に日高港の整備につきましては、大阪湾諸港との機能分担を図りつつ県中部地域の経済活動を支えるため、外内貿機能の整備と地域産業の基盤整備を図ろうとするものであります。地元の御坊市や美浜町の協力を得て、漁業関係者との調整を進めております。今後とも努力を重ね、できるだけ早期に着手できるよう努めてまいりたいと存じます。
また、日高港湾への企業誘致につきましては、現在のところ景気が低迷をしておりますが、長期的な展望に立って、議員ご指摘の外国企業の立地なども念頭に入れて、関係部局、さらに県議会のご協力を得ながらポートセールス等を行い、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、高速道路の問題でございます。
まず、湯浅御坊道路の現況でございますが、この道路のうち吉備インターから広川インターまでの六・四キロメートルにつきましては、懸案となっていた物件の撤去も完了し、現在、建設省において鋭意整備が進められております。しかしながら、今後の天候等、不確定要素も多く、まだはっきりした供用の時期は明らかにされておりませんが、世界リゾート博を目途に努力中でございます。
残る御坊市までの十三キロメートルにつきましては、一部で用地取得が予定よりおくれたということから工事がおくれております。来年のできるだけ早い時期に完成できるよう国に働きかけているところでございます。
また、平成五年度の三次補正、平成六年度の当初予算の獲得に当たり、県議会を初め関係の皆様方に多大のご尽力をいただいたことに対して厚くお礼を申し上げます。
次に、高速道路の御坊以南の見通しでございます。
御坊から南部間の二十一キロにつきましては、御坊市、印南町、南部町、南部川村の地元市町村において高速道路対策協議会を設置していただき、用地関係等の協力体制も整いつつあると考えておりますので、早期に現地に入れるよう日本道路公団に対し強く働きかけてまいります。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がございませんので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時九分休憩
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