平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成六年三月十六日(水曜日) 午前十時三分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第一号から議案第七十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
45番浜本 収君。
〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 おはようございます。
昨年の六月以来約六カ月、私は入院生活を余儀なくされ、健康の回復に努めてまいりましたが、おかげで十二月十二日に退院することができました。この間、先輩・同僚議員の皆様、知事初め当局の皆々様から温かい励ましをいただきましたこと、ここに心から深く、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
健康にまさる幸せはない──退院後三カ月、健康を取り戻した今、こうして久しぶりに登壇できましたこと、本当にうれしく思います。
以下数点、簡潔に質問をいたします。
その第一点は、特急くろしおと紀勢線各駅停車の車両の切りかえ計画についてであります。
揺れの大きい特急くろしおは、時には乗客を酔わせ、またその指定席券の料金は日や月によって異なる。きょうは三百円、きのうは五百円、また先月の某日は七百円と、こんな商売は他の産業では余り見られない。きょうはお客さんが多いと思うからきょうのコーヒーは七百円にしてやれ、あしたは少ないからまあ三百円、あさっては平均だろうから五百円、こういうようなことが繰り返されておるわけであります。JR紀勢線のこの現状は多くの乗客に不評を買っているが、当議場を通じ、先輩・同僚議員からもこの改良改善について過去何回か指摘のあったところでもあります。しかし、一向にこの改良改善が見られないのは甚だ残念なことであります。
わけても、この七月、世界リゾート博が開幕されようとしているが、リゾート博は、それ自身の成功はもとより、それを包む県民全体の支えと、特に関連する交通網、交通機関、道路の整備や改良改善が必要不可欠なものであることは論をまたないところであります。
揺れる電車と、日によって、また月によって異なる指定席券の値段が放置されたまま推移するならば、やがて和歌山県は、ちょうどリゾート博が終わったころには、「あの県はなあ。あの県の電車は揺れるし、日によって値段が違うしな」と、こういうようになって大変有名な県になるであろうと私は思うのであります。この改良改善について答えられたいのであります。
最近、JR西日本和歌山支社では、六月から順次、紀勢線各駅停車の車両を現在のボックスシート式から大都市通勤圏などで利用されているロングシート式の中古車両に切りかえる計画を実施しようとしていると聞いている。またその背景には、関西新空港の開港に備えて、大阪と空港を結ぶ路線に最新型の車両を導入することにより、現在この区間で使われている車両を玉突き式に紀勢線、和歌山線に配車する計画のためと伝えられている。現在の各駅停車は、田辺駅から和歌山駅まで約二時間、天王寺駅までは約三時間を要するが、この車両変更は、一つ目にはトイレがなくなる──この間、日高の地方新聞を見ておると、大きな字で「トイレがなくなる」と載っておった。中身を見ると、私の申し上げていることと同じであります──二つ目にはカーブ駅での安全が確保できないのではないか、三つ目には座席数が四両編成で二百八十席から二百四席に減ると懸念されている等々、多くの問題が指摘されているところでもあります。
去る三月十一日、西牟婁郡の上富田町議会は、紀勢線、和歌山線への大都市通勤電車投入の撤回を求める決議を行ったが、今後、沿線各市町村も本件の撤回を求める趨勢にありますし、多くの議決がなされると私は思います。このJR西日本和歌山支社の計画予定について、県の対処方針を伺うものであります。
なお、新宮駅朝五時十八分発のスーパーくろしお二号は現在六両編成で運行しているが、最近の混雑状況から見て九両編成にすべきではないかと指摘し、この点についてもあわせて答弁を求めるものであります。
次に、殿山ダムの表面取水を求める日置川漁業協同組合の決議並びに同趣旨の日置川町当局、議会の要望について質問をいたします。
去る二月十九日に開催された日置川漁業協同組合──組合員は千二百名と聞いております──の通常総代会は、関西電力に対し殿山ダムの表面取水を求める決議を行ったが、その要旨はほぼ次のとおりであります。
発電放水は、ダムの湖底付近から取水されているため、ダムへの流入水より水温が低く、濁水となり、下流に放流されている。このため、アユなど魚類に必要なコケが付着せず、成長を阻害し、また農漁業関係の取水にも影響があり、その対応と対策のためダムの表面取水を求めたものであります。また、ダム湖に貯水された水は、年間を通して赤潮が発生し、悪臭を漂わせ、美しい山間部の景観を損ねている現状であるため、ダムの表面取水は、地域のイメージを一新させるとともに内水面漁業の振興と地域発展への波及効果に大きく寄与するといったものであります。
また、この総代会の決議以前すなわち平成三年十一月、日置川町長と町議会議長名によりこの件についての要望書が提出され、県の強力な指導を願い出ているが、環境基本法の制定を見た今、環境に優しい時代認識の中で県はどう対処しようとするのか、あわせてお伺いするものであります。
次に、燦黒潮リゾートと枯木灘地区内の釣り公園創出について、その見解をただしたいと思います。
長期総合計画第三次中期実施計画案によれば、県は引き続き燦黒潮リゾート構想の推進を挙げ、全体事業の概要として、黒潮洗う海岸線と緑豊かな山々を有する恵まれた自然環境の保全と活用を基調として、七つの重点地区を中心に、海をテーマとする黒潮と遊ぶリゾート空間の創造を目指すとして、七つの地点の一つである枯木灘地区に農林漁業体験型リゾート空間の創出として釣り公園を挙げているところであります。
既に数年前よりすさみ町は、町勢活性化の具体的な柱として、この枯木灘地区内の口和深地区に農林漁業体験型リゾート空間として釣り公園の推進を図りつつあります。口和深地区は、三月十日未明、中国人密入国者百六人が上陸したところであり、一躍有名になったところであります。
すさみ町と財団法人漁港漁村建設技術研究所は平成三年度に口和深漁港整備(釣り公園)計画調査を行ったが、その概要は、水産業はすさみ町にとって歴史と伝統のある産業であり、また同海岸はほぼ全域にわたりいそ釣りのメッカとしてにぎわい、年間延べ遊漁者数は、船釣り一万五百人、その他の釣り五万三千四百人、合計六万三千九百人を数え、海洋性リゾートとして基幹産業である水産業と自然保護とを調和させ、その相互依存に基づいて町の振興及び活性化を促進させるとして、そのために特に地域漁民の合意と住民全体のコンセンサスの上に立ってそれを具体化していくという構想計画策定及び実施のプロセスを重視するといった方向でこの計画が進められつつあります。
該当予定地区の口和深の海岸は、すさみ駅から車で五分、そこからまた十分も車を走らせると「黒嶋茶屋」と名づけられたレストランがある。この店の窓から約二十メートル下には、打ち寄せる波間にさざれ石を鮮明に見ることができる美しい海の青さがある。そして、満潮時ともなれば、夫婦波が折からの夕日に映える景観を映し出す。この海の青さを包む枯木灘海岸は、訪れる人々をして日本一美しい海と感嘆させるものがあるが、幾ら日本一美しい海を誇ってみても、時の流れは住む人々の減少をもたらし、それぞれの村々で明治以来学んだ村人たちの我が母校は廃校を余儀なくされ、全体として過疎化の流れはせきとめることのできない状況にあります。
先ほど述べた計画調査によれば、全国には十八カ所の釣り公園が設置され、また県内では由良海つり公園が既に事業実施を見ているところでもあります。そのため、地域漁民はこれらの先進的な地域の施設の見学や視察を行いながら、町当局とともに懸命の努力を重ねているところであります。
平成五年二月、中央における総合保養地域整備研究会は、いわゆるリゾート推進についての総括を発表したが、今後のリゾート整備のあり方を地域づくりに資する整備としてうたい上げ、農山漁村等のすぐれた景観や文化等を生かしたグリーンツーリズム等の推進方策との連係や農林水産業との共同のための方策についても検討する必要があると言及しているところであります。
県は、去る二月二十三日、二十四日の両日、「自然・地域文化とのふれあいリゾート」国際シンポジウム等を行うなど、今後のリゾート形成のあり方、特に農山漁村リゾートの課題に向けて努力を重ねているところだが、グリーンツーリズムについての知事の見解をまず伺うものであります。また、その具体的な事例としてのすさみ町における釣り公園の創出に企画部長はどのような見解を持っているのか、ぜひ明らかにされたいのであります。
最後に、原発見学ツアーについて質問をいたします。
長期総合計画第三次中期実施計画案は、原子力発電については今後とも地元の意向を尊重しつつ適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で対応するとしているが、この三原則の一つである地元の同意は、過去における日高町の町長選挙、日置川町における二回の町長選挙において、いずれも不同意の選択が示されたことは周知のとおりであります。
知事は、過ぐる三年前の知事選挙において、私どもとの間で、原発問題については過去の経緯にかんがみ地元住民の合意を十分尊重し対応するとの協定を行った経緯があるが、紀伊半島に原発は要らないとする原発ノーの住民の選択に対し、企業側は依然として原発推進のための原発見学ツアーなどの手段で宣伝活動を行っています。
三月五日付の「紀伊民報」の「声 読者の欄」に掲載された主婦の訴え、すなわち「原発見学ツアーに疑問あり」の一文を紹介し、以下、県の考え方をただしたいと思うのであります。
「いま、電力会社主催の『原発見学ツアー』が盛んに行われています。これらの名称は『見学会』ということになっていますが、その実態は原発推進のための接待旅行であり、一種の供応ではないかと思います。 先日の新聞折り込み広告では、若狭地方までの一泊二日のバス旅行を五千円で募集していました。他の同程度のバスツアーなら、これの五、六倍かかるのが普通ですから、これに参加すると格安のツアーが楽しめることになります。五千円では往復のバス代にも足りませんから、宿泊費も食費も、すべてタダということになります。これらは明らかに電力会社のもてなしでないでしょうか─中略─しかも、この接待を受ける対象は、原発予定地の周辺の住民に限られています。県内では日置川と日高、両原発予定地周辺がその対象です─中略─日本では地元に次々とカネを投入することによって原発建設を進めています。この地元対策費を麻薬にたとえたのは『原発銀座』福井県選出の某代議士でした─中略─電力会社の接待旅行で見学コースを回り、一方的な説明を受けるだけでは真実の姿は見えてこないでしょう。 なぜなら、電力会社にとって不都合なことは、まず明らかにはしないでしょうから」、以下、省略をいたします。
私は、過去においても当議場でこの種の問題を指摘したことがあったが、この一文にも言われているように、一つ目、この原発ツアーは原発推進のための接待旅行であり、供応ということになると法律的な問題が出てきますので、少し易しく言うならば、これは少し行き過ぎではないかと思うが、県のこれに対する見解をただすものであります。
二つ目、この原発見学ツアーは日置川町や日高町の原発予定地周辺を対象としている傾向が強いとされているが、それは原発立地へ誘導する手段として行われているのではないかと思う。県の所見を伺うものであります。
大変短い演説になりましたことをおわびいたします。どうもありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
今後のリゾート対策としてのグリーンツーリズムについて、知事の考え方ということでございます。
お話ございましたように、先月、国土庁と共同で開催した「自然・地域文化とのふれあいリゾート」国際シンポジウムは、国の総合保養地域整備研究会の提言を受けて、全国でも初めて本県で開催したものでございます。
今、欧米では、人々が田園への郷愁から豊かな自然の中でその地域の文化とも触れ合いながら過ごすといったグリーンツーリズムが人気を博してございまして、このシンポジウムではイギリス、フランス、アメリカといった外国から講師の方々に参加いただき、欧米におけるリゾートの事例紹介やリゾート地での楽しみ方など、活発な論議をいただいたのでございます。
二十一世紀に向けて我が国でもこうした傾向はますます大きくなってくるのではないかと考えられるわけでございます。私も、大規模な民活型のリゾート整備だけではなしに、農山漁村の魅力を生かした小規模なリゾートづくりも必要であると考えております。
本県は幸い豊かな自然や歴史・文化があり、こうした農山漁村型のリゾート地域としての可能性を持っておると自負しておるところでございまして、ポスト・リゾート博としてこうしたリゾート整備を積極的に進めてまいりたい、そしてシンポジウムの成果を生かしてまいりたいと思っております。
他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 最初に、特急くろしおに関連するご質問にお答えをいたします。
まず、振り子電車の改善についてでございます。
くろしお号につきましては、昭和五十三年十月の紀勢本線の電化に伴って、曲線通過速度の向上によるスピードアップを図るため振り子式の車両が導入され、その後改善が図られてきてございますが、スピードアップと乗り心地の両面を確保するには難しい課題があると聞いてございます。
こうしたことから、JR西日本におきましては、鉄道総合技術研究所と共同で、最先端技術の導入により、曲線を高速で走行でき、乗り心地のよいWEST-21という新型車両の開発を進めていただいておりまして、その一日も早い実現化についてJR西日本に対し強く要望しているところでございます。
次に、指定席券の改善についてのご質問でございます。
季節により変動のある指定席特急料金の制度は、年間を通して利用客や営業収入の確保を図るため、二月、六月など比較的利用客の少ない時期は通常の指定席特急料金を減額し、また春、夏などの行楽シーズンや年末年始など利用客の多い時期は加算することになってございます。
こうした指定席特急料金につきましては、運輸大臣の認可を得て策定した鉄道営業規則に基づき、JRグループ各社で全国的に統一運用されてございます。
今後、特急くろしお号などの指定席を利用される方々に混乱が生じないよう、周知の方法や議員ご提言の指定席特急料金の問題についてもJR西日本と話し合ってまいりたいと存じます。
また、スーパーくろしお号の増両についてでございます。
かねてからJR西日本に要望してまいっておりまして、利用客の多い時期には九両で運行されているところでございますが、今後とも輸送力増強については、輸送力強化促進委員会のご協力をいただきながらJR西日本への働きかけを続けてまいりたいと存じます。
次に、紀勢本線への一〇三系電車の導入についてでございます。
JR西日本では、都市圏への通勤列車の運行範囲を拡大していくため、乗車定員の多い通勤型車両への置きかえを検討しているところでございます。
通勤型車両である一〇三系電車の天王寺─御坊─田辺間への導入につきましては、直通運転の拡充、混雑の解消による利便性の向上、車体の更新等がなされる一方、検討すべき課題もございます。
県といたしましては、沿線市町村の取り組みも承知してございまして、これまでJR西日本と協議を重ねており、暖房装置等の強化対策や駅ホームの安全性向上対策等については検討をいただいているところでございます。
トイレの問題につきましても、天王寺─田辺間などの長距離区間を利用される方々にとっては切実な問題であると認識しておりまして、こうした区間の車両編成についてはトイレつき車両の連結などを強く申し入れているところでございます。
今後とも、沿線市町村ともども、乗客へのサービスや利便性の向上、さらには阪和線、紀勢本線の直通運転の拡充等についてJR西日本と協議を重ねてまいりたいと存じます。
次に、すさみ町の釣り公園についてのご質問にお答えをいたします。
すさみ町の釣り公園につきましては、燦黒潮リゾート構想における枯木灘地区の特定施設として位置づけておりまして、釣り桟橋、養魚場、釣りセンター等の施設で構成されてございます。
近年の傾向としては、豊かな自然や生活文化を生かした地域資源活用型のリゾート整備も求められておりまして、すさみ町の釣り公園は、地元漁協の参加も見込まれ、地域資源を活用した農山漁村型のリゾート整備の事例の一つとして期待をいたしているところでございます。
本事業の推進に当たりましては、これまでも地元町や関係各課との調整を重ねてきたところでございますが、なお解決すべき課題も残されており、引き続き事業内容や事業手法等についての調整が必要であると認識をしてございます。
次に、原発見学ツアーについてのご質問にお答えいたします。
発電所見学会につきましては、電力の安定供給を使命としている電気事業者が、原子力、火力、水力等、エネルギーへの理解を広く得るために実施している普及啓発活動の一つであろうと考えてございます。その内容等について詳しくは承知してございませんが、一般論として申し上げるならば、おのずと節度ある行動が求められるものと考えてございます。
また、発電所見学会が予定地周辺を対象としている傾向が強いとのご指摘でございますが、発電所見学会につきましては、電気事業者の普及啓発活動の一つとして、広く県内全域を対象として実施されていると聞いてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 殿山ダムの表面取水を求める県の対応についてお答えをいたします。
殿山ダムの水温、濁水等の水質につきましては、平成三年十一月の要望を受けて現在関西電力において調査をいたしており、その結果を科学的に評価した上で対応策を検討してまいります。
赤潮についてですが、発生の都度、ろ過方式による除去を実施しているところでございます。
議員ご指摘のとおり、今日、自然環境の保全が強く求められている中で、良好な環境の維持に努めるよう指導してまいります。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
45番浜本 収君。
○浜本 収君 答弁について幾つか指摘をいたしたいと思います。そしてそれは再質問ではなくて意見として、今後の第一歩としてほしいと思います。
企画部長は、電車の指定席券が三百円、五百円、七百円という現場に出くわしたことがないような、切実でない答弁をなさっているように私は思います。私は免許証がなくて車に乗れないので、専らあの電車しか使いません。そして、そんなときに、「きょうは七百円です」と言うてお客さんからお金をいただいているかと思ったら、また別の日には五百円、三百円と。さっき申し上げましたが、そういう場面に四回ほど私は出くわしました。間違っておったら許してほしいんですけれども、そのときたしか馬頭さん、町田さんもその席におられました。後で証言をいたしてもらいますけど。もし違ったら(「違ってない」と呼ぶ者あり)──そのときの車掌さんはもうかわいそうで、「済みません。済みません」と言って謝るばっかり。お客さんは、そんなことを知らんから、「何な、これ」と言ってみんな文句を言うわけです。言われても、「私らのサイドではどうにもできません」と。以下の言葉は不適当でございますが、大の男が何のためにそんなにして謝って回らんなんのか。そういう場面に出くわした私などから見ますと、このやり方は一体どういうことだろうかと、一種の義憤さえ感じました。
さっき申し上げましたように、きょうはお客さんが多いから七百円でコーヒーを売ってやろう、あしたは少ないさかいにまあ五百円だ、あさってはもっと少ないから三百円と、商売で言うたらそういう商売であります。これは独占企業でありますから、別の電車に乗るわけにもいかず、向こうの言いなりである。「それでも、ほかに白浜あたりへ行ったら旅館の値段が違うで」と言う。だから、原稿を先に出しておりますけれども、「余り見られない」と書いているのは、そういう意味で書いておるんです。そこまで考えて答弁したかどうか知りませんけれども。
予約をするときには、「正月ですから、中西さん、四人で来るんやさかいに十万円もらいます」というような商談が成立いたします。そういう場合もあります。しかし、知らないで乗っている人は、いきなり七百円と言われ、「おかしいな。きのう白浜へ行ったときには三百円だったのに」となる。
この議会でも随分と、リゾート博をどう盛り上げるかといった観点からボランティアの話とかいろいろなされておりましたけれども、そういうことを聞くにつけて、もう一遍、重複いたしますが、リゾート博に来られたたくさんの人が、「和歌山県というのはくさった県やな。電車の値段まで日によって違うし、高い。しかも、大変揺れるじゃないか」と、リゾート博で有名になって、別の面で悪名がとどろくということになるであろう。リゾート博の、言うたらソフト面での県民の協力──県民と言ったらおかしいですが、鉄道関係者もそういう意味での協力をすべきだ。JR西日本のやり方はどうも、もうけさえすればいいんだという気がしてならない。三時間も田辺から電車に乗って、トイレもない。もうけたらいいという考え方は、そういう、トイレぐらいなくても構わんという考え方に通じるわけであります。だから、そういったことについて、県とJR西日本との根本的な話し合いをぜひ進めていただきたいということを特に要請しておきます。
それから、原子力発電の問題について。
「対象地区はそういった原発の予定地の周辺だ。その傾向がある」と私が申し上げたのは、東牟婁あたりへ来るとあんまりないと言うんです。なぜならば、もうつぶれて飛んであるから。北山村で原発の見学に行こうというのはないと言うわけです。もうつぶれたところはそんなことをしてもしようがないから。だから、ひょっとしたらできるだろうという可能性のある、予定地を持っているその周辺から世論を盛り上げていく。これは、やろうとする側から見たら当たり前のことだと思うわけです。
県会議員の選挙で、現金なものだなと私はいつも思うんですけれども、前の田辺の有料道路のあたりへ来たら、私は必ず「連呼するのはやめてよ」と言う。なぜなら、あそこは田辺ですから。「田辺のところで『浜本、浜本』と連呼なんかするな」とよく言うて、そしてずっと行って上富田へ入ったときに「一生懸命に連呼してくれ」と言うんです。違うところへ一生懸命にする人は余りない。個人でもそうであります。だから、予定地を持っている周辺で行うというのが攻める側の理論としては成り立つと思う。その可否論は別として。
しかし、先ほどの答弁では、「広く県内を対象にしていると聞いております」と。だれに聞いたのか。関西電力です。答えはそのとおりだと思うんです。したがって、私はそういうことについて厳密に──厳密と言うても百点満点の厳密ではなくても結構でありますから、逆に広く県内の調査をしていただきたい。私の言うていることがほぼ合っておるな、我々の答えはちょっと間違っておったなと、どうなるかわかりませんけれども、広く調査をしてほしいということを要望いたしておきます。
以上で終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。