平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成六年三月十一日(金曜日)

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入ってまいりたいと思います。
 初めに、医療問題についてお尋ねをいたします。三点について質問いたしますが、その第一点は国立南和歌山病院、そして国立和歌山病院で働く賃金職員にかかわっての問題であります。
 厚生省は昨年、全国の国立病院で働く一万三千人の賃金職員のうち看護婦九百八十六人、その他の職員八百七十四人、計千八百六十二人を削減して、賃金、労働条件の引き下げをする「改善計画」を各病院長あてに指示し、そしてそれを通じて労働組合に通知されました。これは今、全国的に大変大きな社会問題となっているところであります。
 この「改善計画」は、賃金職員の首切りに伴って、二十二病棟、約千床の閉鎖が計画をされているところであります。この計画が実現するまで新規採用を中止し、退職者補充はしない、希望退職を勧奨する、労務委託の積極的推進、外来看護婦の人員配置を減らす、夜勤は現在三人のところを二人に、二人のところは一人にしていく、また保育所運営の見直し、縮小、そして保育料の値上げと保母の削減、こういった内容を含んだ具体的指示が行われてまいりました。賃金職員はもちろんのこと、病院で働く職員、地域住民、患者にも戸惑いや不安といった状況が広がりつつあります。
 しかし、厚生省はいまだに労働組合との話し合いを拒否しておりますし、病院長に対しても労働組合との話を拒否するように指示いたしております。「改善計画」はいずれも国が医療責任を放棄する内容になっていることから見ましても、当然、国民から今後、批判をされてくるでありましょう。
 ここで、賃金職員について説明をしておきたいと思います。
 定員職員と全く同じライセンスと同じ責任を持ち、夜勤も含めて全く同じ仕事をしながら、身分は定員外の扱いを受けている職員であります。厚生省の定める基準では、賃金職員は定員職員と比較して賃金、労働条件は大変悪いようであります。例えば、定員職員の看護婦の初任給で見てみますと、今までの経験年数は一〇〇%加算し、それが初任給に格付をされますけれども、賃金職員の場合は、どんなに経験が豊かであったとしても一切その経験年数は加味されません。何年働いたとしても新卒扱いであります。また、定員職員は一年一回の定期昇給があり、一号俸上がるわけですけれども、賃金職員は一号俸のその半分しか昇給しないということになります。しかも、月給制ではなく日々雇い入れとなっております。しかし、日々雇い入れでありながらも、夜勤を含む勤務は一カ月間の勤務表で決まってしまうという矛盾も持っています。
 昨年、北海道でこのことが実施されまして、賃金が実際に引き下げられました。その結果、百万円を超す賃下げになった方もあると言われています。そういった中で働く意欲をなくし、昨年の三月から八月末までに北海道の二十五の病院で四百三人の看護婦さんが集団脱退のように退職していったと言われております。そしてその結果、この北海道にある国立の二十五病院のうち八病院、十一個病棟が閉鎖をされ、地域の皆さん方には大変不安がられていますし、地域に対しても深刻な影響を与えていると伝えられています。
 休暇について見てみますと、病休、夏季休暇はなくなり、休めば欠勤扱い、もちろん生理休暇や産前休暇も無給となります。もちろん育休もありません。ボーナスも、三月三十一日の一日だけ採用が中断されるために、夏のボーナスは全額支給されないことになります。年休も労基法の五日から出発をするという、大幅な労働条件の後退になります。
 そもそも、賃金職員が国立病院に採用されてきたのは、厚生省みずからも認めてきたように、国立病院や療養所の医療スタッフは他の日赤病院や済生会、労災といった公的医療機関に比較しても極めて少ない人員配置になっていることから、必要欠くことのできない職員として定員外の賃金職員の採用を行ってきた経過があります。そして、賃金や労働条件においても各病院長と労働組合などとの話し合いの中で改善をし、そして働く意欲をつくるための条件整備をしてまいりました。そして地域の医療を確保するという点からも、大きな役割を果たしてきました。
 しかし、賃金職員は年度を越えての採用が禁止されています。ところが厚生省は、定員職員と全く同じ仕事に長年従事している賃金職員を、年度末すなわち三月三十一日あるいは四月一日に書類上だけ首を切って一日の空白期間を置いて、そしてまた次の日から採用するという脱法まがいのこともしてきているのです。実際には首を切ったその日も夜勤や夜勤明けであるというような状況で、医療を確保するために働き続けています。ですから、雇用関係は一年間ずっと続いていると見ても間違いではありません。
 看護婦の場合、夜勤回数について人事院勧告の二人夜勤、月八日以内を実現させるためにも必要な人員だとも思っていますし、このことを本当に完全実施させるならば、今の賃金職員を千人以上ふやしてやっと八・五回というふうになっているわけですから、この賃金職員の首を切ったならば一体どうなるでありましょう。厚生省の人員削減計画は国民の医療要求や願い、そして国が医療に責任を果たすことからしても、直ちに計画を撤回し定員をふやすこと、あわせて患者が安心していつでもどこでもだれもが国立病院にかかれる病院づくりを目指すことが厚生省の当面の任務ではないかと思います。あえてこのことを強調しておきたいと思います。
 さて、本県に設置しております国立南和歌山病院、国立和歌山病院にも同様、賃金職員の方が百三十名採用されています。職員と同じように働き、勤続年数も、三十年もの間一生懸命働いてきた方もいらっしゃいます。職種についても、看護婦を初めとして医療技術者や現場労働者といった多職種にわたっています。国立南和歌山病院では二十一名、国立和歌山病院では看護婦二名を含む六名の賃金職員と定員職員十二名までも削減し、しかも四年間で首を切るという計画でもあります。そして、賃金引き下げによって年間二百万円の賃下げになる人が、この和歌山でも出てくると言われています。
 先ほども述べましたように、この百三十名の賃金職員は、二つの病院の医療を確保する上からも、最小限本当に必要欠くことのできない人員でありますし、現場からすれば、今でさえも不足しているのに、ふやしてほしいという願いは切実なものがあります。ましてや国立南和歌山病院は、県下の高度先駆的な医療を担う病院として新設された経過もございます。本県としても政府に対して重点的な要望課題の一つとして積極的な建設推進の姿勢をとってきたことを考え合わせますと──いまだに開設に至っていない診療科や、週一回から二回しか開設されていない診療科もあると聞いています。看護婦の配置もまだまだ不十分です。
 国立和歌山病院は、県下の結核医療の拠点でもあります。また、重度心身障害児や小児の長期慢性疾患病棟とそのための養護学校を併設した県下唯一の医療機関でもあります。当然、他の一般医療機関と比べ、介護や看護により多くの人手を必要とします。このような医療現場から人員削減することは、とんでもないことです。医療看護サービスの低下を招き、患者負担を強要することになるのではないでしょうか、大変心配です。本県にとりましても、紀中、紀南地域の医療確保として、地域医療計画の重要な病院でもあろうかと思うのであります。知事はこの事態に対してどのような認識をお持ちなのか、そしてどのような対応を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、今社会問題となってまいりました中小病院の縮小、閉鎖、転換が続く問題についてであります。
 これまでたびたび医療法が改正される中で中小病院の経営が危機的状況になり、これまで長い間地域医療の中心的な役割を果たしてきた病院が閉鎖等に追い込まれたとの報道を聞くたびに、胸が痛くなります。全国的には、縮小、閉鎖、老健施設への転換などによって大体月四百床が消えていっていると言われています。あるいは、救急指定病院からの撤退も続いています。現実に、本県においてもございました。今後も起こり得ることであります。多くの中小病院が迷っているのではないかと私は思っています。
 このような状態について、病院は決して経営努力を怠ってきたのではありません。たび重なる医療法の改悪や実態に見合った診療報酬の引き上げが行われてこなかったことにも大きな原因があるというふうに私は思います。厚生省は、みずから「八九年以降、一番病院の経営状態が悪い」と言っております。診療報酬の引き上げ率は四・八%であり、薬価引き下げは二・一%と言われています。きょうの新聞を見てみますと薬価引き下げが六・六%に決まったと書かれておりますが、こうやってみたとしても、このことが即座に中小病院の危機的な経営をよくするとは考えられません。実際にこのパーセントを病院の経営状況に引き当ててみますと、プラス・マイナス・ゼロか、あるいはマイナスになるのではというほど、実態を無視した改正の内容であります。人員不足や経営危機に悩む状況は、一般病院では今後一層深刻な状況になるのではないかと予想されます。
 今、病院経営を続けていこうと思えば、基準看護をとり、看護料やいろいろな高い得点の活用をと考えざるを得ません。しかし、このことも大変厳しい状況にあります。例えば、基準看護を受けようと思った場合には、条件として看護婦の比率があります。その比率に合った看護婦数を確保しなければいけません。あわせて、医師確保においても中小病院の場合は大変高い給料を払わなければなかなか来ていただけない。このことから考えても、医師確保や看護婦確保というのは並み大抵の努力ではできません。そして、救急告示病院の撤退においても、二次救急患者への対応が大きな支障を来すことははっきりいたします。これは今後の大きな課題になるでありましょう。
 厚生省は、在宅医療、訪問看護事業を積極的に推し進めることを今日的課題にしております。このことから考えてみましても、放置できない重要な問題でもありますし、地域医療の後退にもつながりかねません。そこで、現状を踏まえた上での今後の対策等を保健環境部長からお聞きしたいものです。
 次に、この十月から実施されるであろう、入院時の給食費を患者から一日八百円程度を徴収する問題であります。
 現在は、入院しますと基準寝具、基準給食として保険から支払われております。厚生省は、「御飯はどこにいても食べるのだから、在宅介護や医療を受けている人たちとの不公平をなくすため相応の負担をしてもらう。この自己負担によって生み出される三千億円の財源は、付き添いに今大変金がかかるということから、付添婦の費用に回す」などと、このことを理由にして患者負担をつくろうとしています。
 そもそも入院食は、入院の必要な患者には治療としての位置づけを忘れてはなりません。さまざまな疾病に応じた調理方法と栄養価をも重視した細心の注意を払いながら、おいしく温かく食べられるように努力をされているのです。一般的な食事と同一視することこそ、病院給食に対する無理解ではないのでしょうか。患者の自己負担は差額室料や付添料など制度的にも拡大されてきているのでありますから、入院することよりも病院へ診察に行くことさえ今後敬遠するようになるのではないかと私は危惧をいたします。
 ご存じでしょうか。特別メニュー制が、自己負担をとってもよいということで制度化されました。しかし、これは自己負担という点からも、日本全国の病院でも実際には活用されていない状況にあります。今回の自己負担は、額の違いはあったとしても、すべての入院患者さんから徴収することになります。私の友人も入院中であります。「早く退院しなくては。家族にこれ以上負担をかけられない」と心を痛めているのです。また、病院経営者の皆さんに聞いてみましても、「温かくておいしい給食を毎日食べてもらおうと努力を続けておるんです。でも、八百円の自己負担になったら本当に患者さんが入院してくれるだろうか」と、治療効果への不安も語っておられるのです。
 入院給食は、医療保険によって命と健康を守ってほしいという国民の圧倒的な願いでもあります。民生部長のご所見を伺うものです。
 次に、農政問題についてお尋ねをいたします。
 「安全な食糧は日本の大地から」というスローガンは、今や国民共通の願いでもあります。米や農産物は工業産物と違い、天候に影響を受けやすく、自然からの直接の生産物で、自然そのものです。そして、自然そのものである私たちの命を直接はぐくむものでもあります。
 昨年の米の収穫は、冷夏や長雨、そして台風などで作況指数七四という大凶作に見舞われました。まさにこれは天災そのものであります。収穫量は七百八十万トン、国民が年間必要とする米の総量は一千五十万トンと言われておりますから、二百七十万トンも不足という事態を起こしました。ここで、備蓄が本当にあったならば不足分は補えたのです。残念ながら、九二年産米の在庫はわずか二十六万トン、わずか十日分の備蓄でした。結果的には二百四十四万トンという不足量であります。
 同じ年に、隣の韓国でも凶作でありました。この国では、日本の消費量で言えば約三百万トンの備蓄米があったため、自国産米だけで十分供給できるものとなったということは、日本との大きな違いでもあります。日本ではこれまで、農家が米をつくりたいと言っても、強制減反によって米づくりはさせられませんでした。ですから、政府が不作、凶作時にも安心して国産米が供給できるようにゆとりを持った需給計画を立ててこなかったことが今回の米不足の最大の原因だと、私は思うのであります。まさに意図的、政治的につくられた米不足であると言わざるを得ません。一方では米を初めとしたすべての農産物の全面的輸入自由化に道を開き、日本の農業の根本的問題として怒りさえ感じます。知事のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 既に緊急輸入されたタイ、中国、カリフォルニア米などは、町の米屋さんやスーパー、デパートなどで販売が始まっております。しかし、おいしいかおいしくないかということも関心が深いわけですけれども、残留農薬などの安全性が大きな問題となっているところであります。農林省などは「三段階の検査体制で安全チェックをしているので大丈夫ですよ」と、大宣伝を行っています。そしてマスコミなどでは、毎日どこかの番組で外米のおいしい料理方法などが盛んと今取り組まれている状況にもあります。しかし、日本の安全基準に比べて外国の安全基準は大変緩く、しかも食品衛生監視員──検査をする人──も全国でわずかに百九十五人という貧弱な体制ですから、手抜きをせざるを得ません。
 これは、日本共産党の福岡県委員会に通報があり、そして福岡県委員会がその場に行って調査をしたものであります。(写真を示す)これは、昨年十二月二十三日、福岡の博多港に荷揚げされました五十キログラム入り、麻袋に入ったタイ米の長粒米(加工用米)一万二千トンのうち、みそ、しょうゆ用加工米として加工業者から県内の精米工場に持ち込まれた米が精米機、選別機にかかる過程で発見された内容であります。これは、タイで販売されているたばこの吸い殻だそうです。それから、これがビニールのひもです。これはネズミの死骸です。針金が入っています。ゴムが入っています。何かのふたでしょう。そしてこれが、恐らく何かの、犬がくわえてもいいような骨が入っております。こういうものがあちらこちらでも出てきたというような状況です。
 今お示ししたように、日本の米では到底考えられない内容だそうです。このように、今外米が主食として輸入されているわけですが、変色した米、異臭、カビ、毒、そして残留農薬に対する安全性について国民は一層の不安を募らせているところであります。
 今、多くの道府県が残留農薬に対する独自の検査体制をとっています。そしてそれがもう実施されている県も多くあります。政府の検査は不十分あるいは安心できないという県民の声にこたえて、本県も独自検査体制が急がれるところと考えるものでありますけれども、いかがお考えでしょうか、保健環境部長のお答えをお願いしたいと思います。
 次に、学校給食はいち早く国内産米確保を行われているところであります。子供の成長、発達から考えた場合、保育所、幼稚園等においても国内産米の確保は必要と思うのであります。そして、病気のため入院加療をされておられる患者さん等に対する給食への配慮も、いま一つ必要かと思うわけであります。それぞれの努力に任せることなく、行政がお手伝いできるところについては積極的にやることを望むものですが、関係省庁への働きかけや県独自の行動はどのようになされているでしょうか、関係部長のご返答をお願いいたします。
 細川連立政権は、「米の輸入自由化はしない」という三度にわたる決議も、九割の自治体の米輸入自由化反対決議も踏みにじり、ガット・ウルグアイ・ラウンドの包括合意案を受け入れました。アメリカの圧力に屈し、こういう日本農業の根幹を揺るがす行為を行いながら一方でさらに減反を進めるというやり方は、本当に許されないと思います。
 細川首相は、ことしも全水田面積の四分の一に相当する六十万ヘクタールもの米作減反を農家に押しつけようとしています。一昨日の我が党の不破委員長の質問に対して、転作などの目標面積を七万六千ヘクタール緩和するとの答弁を行っていますが、減反政策の基本に変わりがありません。「国民が米不足で苦しんでいるのに何で減反か」と、怒りの声が生産者や消費者双方から上がっているのも当然のことです。
 このような細川連立内閣のやり方に対して、超早場米産地の鹿児島県吾平町では種まきも終わり、七月には収穫、「余るほどの米を一日も早く出荷したい」と張り切っています。福島県の大玉村では、村当局が農家への減反の押しつけをやらないと決めました。その中でこの村は、助成金カットなど減反未達成への政府制裁措置には、農家の被害が少なくなるよう村が予算を組むこと、村として一俵増産運動を起こすとしています。また、茨城県の阿見町や藤代町では、町当局が「減反目標は提示するが推進はしない。農家の判断にゆだねる」と表明し、逆に復田を決意する農家がふえ、米増産の動きが周辺の町村にも広がり始めました。無責任農政に対する怒りの動きは、まだ一部ではありますけれども、全国に広がりつつあります。「国民の主食を守るため大いに米をつくろう。そのため減反は廃止を」との声が日に日に広がり始めました。
 米の輸入自由化も、まだ決まったわけではありません。包括合意案は国会の承認が得られない限り、ただの紙切れにすぎません。米輸入自由化の撤回と減反政策の根本的見直しを国に対して要望すべきだと思いますが、当局の今後の対応についてお示しください。また、本県の稲作農家への減反に対する対応はいかがされるのでしょうか、農林水産部長からの答弁を求めます。
 次に、住友金属問題についてお尋ねをいたします。
 住友金属がリストラの名のもとに強行している人減らし、合理化の問題についてであります。
 住友金属は、昨年四月から、アクションプラン三カ年計画に基づき、三千人にも上る合理化を進めてまいりました。今月八日、この合理化計画をさらに千三百人ふやし、四千三百人にすることを明らかにしています。また、我が党が入手した住金企画室の内部資料によりますと、住友全社でコスト削減一四%の目標が、住金和歌山製鉄所ではさらに一〇%上積みされて二四%という大規模なコスト削減が強行されようとしています。これを人員削減で見ますと千四百人に相当すると言われています。この方針で、関連下請企業への外注費の削減、残業の圧縮、一時帰休の拡大、福利厚生費の削減等々を矢継ぎ早に打ち出し、実行しているのであります。まさに、労働者を犠牲にした大企業の横暴がまかり通っているのではないでしょうか。
 こうした過酷な合理化のもとで、労働者は悲惨な状況に置かれています。例えば、四十代、五十代の働き盛りが、一昨年も自殺者三人を含む二十人が在職死亡しており、この十年間で百七十六人が亡くなっております。私が平成三年の十二月議会で取り上げましたように、労働災害もいまだに続発しています。また、定期健康診断で再度精密検査の指示が三七%も出されるなど、生命と健康が異常な状況に追いやられています。こうした状況の最大の原因は、命や健康、安全を顧みない人減らしにあると、住金労働者は訴えています。
 Aさんは「無理がたたって三交代できない体になっているが、残業規制や一時帰休で五万円から六万円の減収になっており、三交代勤務をやらざるを得ない」、Bさんは「体調が悪くても休暇要員を配置していないので休めません」、関連会社の幹部は「住金から六、七人とれと言われている。そんなことをされたら、うちの社員を十人から出さないかん」と頭を抱え、在職死亡の組合ニュースが続く中、職場では「『組合ニュースの黒枠だけには載らんとこう』と、合い言葉になっています」などの切実な声が寄せられています。
 このように、労働者に対して過酷な犠牲を押しつけながら、一方で住友金属は、昨年の九月時点で隠し利益を四千三百七十六億円もため込んでいるのがわかりました。労働者が安心して働ける職場をつくることに行政としても最大の関心を払い、あらゆる人減らし、合理化計画の中止・撤回を指導し、賃下げなしの時短と過密労働規制による雇用の創出を図るべきではないでしょうか。
 下請に対してはどうでしょうか。住友の下請企業は五百社と言われ、そのうち八十数%は県内企業であります。住金による外注費、物流コストの削減は、下請企業への単価の切り下げ、発注停止など、地域経済に大きな影響を及ぼしています。さらに、住金はこれまで下請企業に発注していたスケール上げ、製品の傷の手入れ、クレーンなどのワイヤの取りかえ、スクラップ処理等々の仕事を下請から取り上げ、運送業者もトラックの半分を遊ばせていると訴えています。また、仕事があってもその場しのぎの不安定な仕事内容になっており、しかもことしから下請企業に対して通勤の自転車置き場や事務所の土地代まで徴収するなど、下請企業の経営を一層困難にしています。
 商工労働部長にお尋ねいたします。このような労働者や下請企業を犠牲にした住友金属の実態についてどのように把握し、対応を図ってきたのか、また今後、雇用の維持と下請企業の仕事の確保など、住友金属に対してどのような指導をされるのか、さらに、住友金属の下請振興基準に明確に違反した行為に対して是正指導を行うつもりはないか、以上についてお答えください。
 最後に、関西新空港に関連して質問を申し上げます。
 新空港の開港が近づく中で、騒音問題への不安が高まってまいっております。運輸省の予測によりますと、WECPNL七〇のコンターラインは、離着陸回数が二十六万回のときに友ケ島にかかる以外は海域内におさまり、問題はないと言っています。新空港は、国内で初めての二十四時間空港であります。計算はあくまでもモデルであって、実際に飛行が始まらないとその影響ははっきりしないのではないでしょうか。
 着陸時の進入コースは、大川地区からは千三百メートル、戎崎からは六百五十メートル先の海上を飛行することになっていますが、進入経路線上を外れることもありましょう。予測を上回る騒音が出る可能性は十分あります。また、低周波空気振動による被害を心配する意見も多く出されてまいりました。運輸省の予測では、大部分の地域住民の日常生活においては支障はないものと考えられるとしていますが、幾らかは日常生活に支障の出ることを予測していると見ることもできます。
 隣の岬町では、騒音が予測される小島地区などの千百四十人の町民から健康及び環境調査を実施し、開港前の環境や健康の現状把握を行っています。和歌山市でこのような調査をされたとは聞いておりませんけれども、住民生活を守る上から大切なことではないかと思います。開港まで半年となった時点では遅過ぎると言えなくもありませんが、県として加太地区やその他の住民から健康や環境についての現況調査を行う考えはないのでしょうか。また空港会社による環境監視の測定は予定されていると思いますけれども、その予定箇所や測定内容についてどのように計画されているのか、お示し願いたいと思います。
 運輸省は、原則的に海上に限るとしていた発着便の飛行ルート計画を白紙に戻し、陸上ルートを含んだ新たな計画の策定に入ったとされています。これは、滑走路を三本にふやす全体構想を実現するには海上限定では不可能と判断したとのことですが、このことで住民の不安はますます大きくなっていくのではないでしょうか。このような動きに対して、運輸省の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
 いずれにしましても、新空港ができたことで県民生活に被害を与えることがあってはならないことは言うまでもありません。県当局が県民の生命と暮らし、生活向上を最優先させる立場から空港の諸問題に対処することを要望して、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国立病院等の賃金職員の処遇改正の問題についてでございます。
 国においては、国立病院、療養所の業務の改善に取り組み中でございまして、職員の過剰人員の解消、処遇の適正化等を行っておるということを聞き及んでいるところでございます。
 賃金職員の過剰人員の解消に当たっては、患者サービスの低下や地域医療への影響が生じないように配慮するとともに、看護婦等の過重な負担を避けるように改善計画が策定されたと聞いてございまして、県としては今後の推移を見ながら対処してまいりたいと思っております。
 また、米の問題についてでございますけれども、昨年の米は異常気象等により不作となったものと私は受けとめてございます。先ほど新田議員にも米問題についてお答えしたとおりでございまして、米は食管法に基づき国が責任を持って安定供給の確保を図ることとなっております。
 県としても、不測の事態に備え、今後、生産基盤の強化などを図りながら、米の備蓄体制など安定供給に万全を期するよう、国に対しても強く要望してまいりたいと思っておるところでございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡キミ子議員ご質問の医療問題の看護婦確保の困難性ということについてでございます。
 看護婦等の充足については、和歌山県看護職員需給見通しにより施策を実施しておりますが、県内における看護婦等の質を考えますとき、本県は看護婦に比べ准看護婦が多いのが現状であります。県としては、全体の看護婦養成計画の中で看護婦二年課程(進学コース)設置等、今後検討していくべき課題と考えております。
 続いて救急患者への対応についてでございますが、医療機関の縮小、閉鎖は、地域ごとに見ていくと確かに医療供給体制の後退につながるおそれがあり、医療供給体制の整備という観点から非常に重要な課題であると認識しております。
 県においては、県下全域並びに地域の実情に即した医療供給体制の確保を図るため、地域保健医療協議会等において協議検討を行い、包括的な医療の充実に努めているところであります。特に救急医療の確保については、救急告示医療機関を初めとして、休日急患診療所や病院群輪番制等の初期から三次までの救急医療体制及び救急医療情報システムの整備に努めてきたところでございます。今後、さらに医療関係機関との連携を密にしながら医療供給体制の整備充実に努めていきたいと考えております。
 続いて、米、農業問題についての輸入米の安全性についてお答えいたします。
 輸入米の検査体制についてでございますが、国は残留農薬の成分規格及び異物混入等について検査の結果、食品衛生上問題ないことを確認したもののみについて輸入を認めております。これまで輸入された米については安全宣言をしているところであります。
 今後、本県においても輸入米が恒常的に流通することから、より安全性を確保するため、収去検査を平成六年四月から実施いたします。なお、今後とも国及び関係部局と連携を図りながら、流通経路における米の安全性の確保に努めてまいりたいと存じます。
 続いて、病院給食は国内米でという質問でございますが、病院用給食米は、現在、各病院とも地元米穀販売店から調達しているところであり、国産米については品薄感、価格高騰等、その安定確保に苦慮しているところでございます。
 昨年十月には県病院協会が病院給食米の確保について厚生大臣に要望、さらに三月には県内関係機関にも要望したところであります。保健環境部としては、病院給食に混乱を来さないよう、関係団体とも相談しながら対処してまいりたいと考えております。
 続いて、関西新空港開港における環境問題で、加太地区周辺住民の健康や環境についての現況調査についてでございますが、加太周辺の環境については従前から騒音等のバックグラウンド調査を実施しており、現在、開港に向けて空港会社及び県、市の環境監視について検討を進めている段階でございます。
 住民健康調査については、和歌山市が全市的に呼吸器系特定疾患調査を行っております。当初のアセスメント等では本県への影響は考えられませんが、航空会社や県、市の環境測定結果によっては、全国の第一種空港近県の状況等も勘案しながら和歌山市と打ち合わせ、対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
 〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員にお答えいたします。
 入院時給食費の患者負担の導入についてでございますが、今回の医療保険制度の改正については、昨年十二月の厚生大臣の諮問機関である医療保険審議会の建議の内容に沿って行われるものでございます。
 今回の改正は、今日重要な課題となっている付き添い看護・介護に係る給付の改正、また在宅医療の推進、入院時の食事に係る給付の見直し等を一体のものとして実施しようとするものでございます。
 入院時の食事に係る保険給付の見直しについては、そのサービスの向上を求める声が大きくなってきておりますが、現行の保険給付体系では患者の意向が反映されにくくなっております。そこで、今回、新たに入院時食事療養費を創設し、こうした問題点を改善するとともに、入院時の食事について低所得者の負担に十分配慮しつつ、平均的な家計における食費を勘案した相応の費用負担を求めることにより、入院と在宅の負担の公平化を図ることとしております。なお、この改正案については今通常国会に提出される予定でございますので、その推移を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、米、農業問題のうち、保育所給食の国内米の問題でございますが、本県の保育所の給食は、措置権者の市町村等が地域性を考慮し、地元の産物を利用した給食運営が基本でございまして、地元小売業者で調達しているのが現状であります。保育所においては、ここしばらくは地元業者の協力を得て国産米の確保がなされていると聞いておりますが、今回食糧庁から国産米の単品販売を禁止する方針が報道されたため、年間を通じ国産米を確保することは難しい状況であります。
 こうした状況にかんがみ、全国の保育所で構成する全国保育協議会では、学校給食だけでなく育ち盛りの保育園児にも国産米の確保を国に対して要望してございますし、県としても、さきに行われた全国児童福祉主管課長会議において保育所給食における国産米確保について強く要望したところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員にお答えをいたします。
 米、農業問題についてのご質問のうち、米輸入自由化の撤回と減反政策の根本的見直しについてでございますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意は、国際的自由貿易体制維持の見地から政府としてやむを得ない決断であったと認識をしてございます。
 しかしながら、今回の合意は本県農業にとって厳しいものと受けとめており、国内対策の充実強化を図るよう国に強く要望しているところでございます。また県議会においても、昨年十二月、「ウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う国内対策の充実強化に関する意見書」を政府あてに提出していただいたところでございます。
 次に国の減反政策についてでございますが、米の潜在的な生産力が需要を上回っている状況にあることから、引き続き生産調整が実施されることになってございます。しかし、平成六年の米の作付面積は、適正な備蓄量を確保するため減反の緩和方針がとられることになってございます。また、平成六年の本県の稲作については、農家の意向を十分尊重した転作面積の配分を行った結果、先ほど新田議員にもお答えしたとおり、二百ヘクタールの作付面積の拡大が見込まれてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 村岡議員にお答えをいたします。
 住友金属のリストラについて、人減らし、合理化についての認識と対応でございます。
 先日発表された住友金属工業株式会社のリストラ計画については、長引く不況により鋼材需要が低迷しており、今後も急速な業績の好転が望めないとの判断から、昨年三月に打ち出された平成五年度から平成七年度までの中期経営計画を見直したものであり、従来の計画と比べて、人員の合理化では今回千三百人を上積みして四千三百人となっておりますが、各事業所ごとの雇用調整数についてはいまだに確定していないと聞いてございます。
 また、平成七年度までの設備投資計画については、従来、三千三百億円であったものを二千百億円に下方修正されております。しかしながら、和歌山製鉄所に建設予定の新シームレスミルに対する投資九百億円については今回の計画において変更はなく、影響を受けないものと考えております。
 県としては、先日の尾崎議員のご質問にもお答えしたとおり、人員の合理化に対しては和歌山製鉄所にできる限り影響がないよう住友金属工業株式会社に強く要請してまいり、雇用の安定に努めてまいりたいと存じます。
 次に、下請企業の仕事確保と下請振興基準に基づく住友金属への指導についてお答えをいたします。
 景気低迷が続く中、昨年十一月に住友金属工業株式会社を初めとする県内親企業にお集まりをいただき、下請受注の確保及び下請取引の適正化について依頼したところでございます。
 現在のところ、住友金属工業株式会社のリストラ計画では生産量を減少させないと伺っております。しかし、今後とも引き続き住友金属工業株式会社に対し、さきにお答えした雇用維持確保とともに、下請中小企業への受注確保についても強く要請してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、関西国際空港株式会社による環境監視測定の箇所と内容についてでございますが、開港後の環境監視は、昭和六十一年十一月に関西国際空港株式会社で策定した関西国際空港建設事業に係る環境監視計画が基本とされてございます。
 航空機騒音については、常時観測局が和歌山市内に設置されることとなってございまして、現在、大阪湾周辺地域に設けられる定点観測地点も含め、設置箇所の適地選定が行われているところでございます。和歌山市内に設置される常時観測局では二十四時間体制で航空機騒音が測定され、関西国際空港株式会社ではそのデータの収集解析を行い、常に環境基準が維持されているかを監視するものでございます。
 次に、運輸省の飛行経路の策定方針についてでございますが、開港時には飛行の安全確保、騒音が居住地域に及ばないこと、飛行の経済性、技術の進歩への対応等の基本的な考え方が盛り込まれた三点セットの一つである関西国際空港の計画案の経路により供用するとの、運輸省の正式な見解が示されてございます。また、関西国際空港を取り巻く諸情勢の変化への対応から、三点セットの基本的な考え方を維持しつつ、今後、地元の理解も得ながら、安全性の向上、関西国際空港の機能の拡充等のため、飛行経路について所要の検討を行っていきたい旨もあわせて示されているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 幼稚園給食についてお答えいたします。
 公立幼稚園の給食については、設置権者である市町村が地域の実情等に応じ対応することとなってございます。
 教育委員会としては、学校給食法に定める義務教育諸学校に対し国内産の自主流通米を学校給食用として供給されることとなってございますが、幼稚園についても同様の対応がなされるよう、該当市町村に対し協力方をお願いすることとしてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、答弁をいただきました。時間もございませんので、米問題についてお伺いをしたいと思います。
 知事は、昨年の米は異常気象等により不作となったものとおっしゃいました。これはそうだと思うんですけれども、やっぱり、食管法で国が備蓄をしてちゃんと確保できるようにしなければいけないというふうになっているわけです。
 私たち国民には、「米は余っている、余っている」と、あれほど言ってこられました。ですから、余っているんだなということで、学校給食などでもどんどん回数をふやして、おいしいお米を食べてもらおうということで努力をされてきた。にもかかわらず、ただ一回の凶作だけでこんな事態に陥るということは、私たち国民は食管法の名のもとにだまされていたんじゃないかと、こういうふうに私は思うんです。
 実際にそうでしょう。「余っている」と言いながら、いざこういう状況になったらあたふたとしなければいけない。政治として、国民の主食であるものをきちっと蓄えておくということについて、やっぱり国民をだましていたんだとしか私たちは受け取れないんです。
 そういった点では、今後、備蓄問題については厳しく要請をされると思うわけですけれども、しかし、こういった事態は、もう事前にわかっていた状況でもあるわけです。この二、三年は、平年並みというような状況でもなかったと思います。そういった時点がありながらも、実際には備蓄がほとんどなかったとしか──今の結果を見れば、そういう事態になっているんじゃないかと思うわけです。けしらかん政治だと私は思います。
 それから、農林水産部長の答弁の中で、「ウルグアイ・ラウンドの合意は、国際的自由貿易体制維持の見地から政府としてやむを得ない決断であったと認識をする」とおっしゃっています。そしてその後、「しかし、本県農業にとっては厳しいものと受けとめている」とあるわけですけれども、日本の国民の皆さんや国会決議、地方自治体の決議があれほどごうごうと起こって、そして細川さんが首相になったときにも「私はこれを守っていきたい」と言って交渉に行かれたにもかかわらず国際自由貿易の中で頑張り切れなかった。そこには、やっぱりアメリカの圧力があったとしか思えないんです。それに屈したことについて、政府に対して物を言うべきだと思います。私たちは、決してこのことはあきらめていません。先ほども言いましたように、これはまだ批准されているわけではありません。国民の多くの皆さんたちが反対と言っているわけですから、私たちは撤回をさせるために頑張る決意です。
 以上、要望にしておきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十四日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後零時十七分散会

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