平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成六年三月十日(木曜日)○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
25番鶴田至弘君。
〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、質疑並びに一般質問を行わせていただきます。
まず、不況対策に関係してでございます。
深刻な不況が長期化する中で、不況克服のために当局も一定の努力をされていることを評価するものでありますが、地方自治体が行える不況対策と言えば、国と違ってその規模においても方法においても限界のあることは、私もよく承知しているところであります。今回とられた措置が果たしてどの程度の波及効果を持ってその所期の目的を遂げることができるのかどうか、当局の所見をお伺いしたいと思います。
まず、国の総合経済対策に関連してとられた補正予算についてであります。
国庫支出金約百億、県債約百億をもってこれに充てられています。ここでも県債の百億が気になるところでありますが、この二百億がどう県下の経済状況を活気づけることになるのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
今、不況になれば、公共事業の発注による経済刺激という方法は必ずしも大きな期待をできないというのが通論であります。公共工事の種類にもよりますが、道をつくる、トンネルを掘るという系統のものは、工事を受注した企業を直接刺激はするものの、もちろんそれ自体は肯定するところでありますが、他の産業に波及効果を及ぼすという点では非常に狭いものになっていると思われます。しかし、例えば住宅を建設するとすれば、土木関係だけでなく、木材木工、家具、水道、下水等と非常に多方面にわたっての景気刺激が与えられ、その経済波及効果は相対的に広がるとされています。今回とられた措置を概観すると、そういう点では景気刺激の波及効果を大きくすべき工夫はもっとあってしかるべきではないかという疑問を持つものでありますが、いかがお考えでございましょうか。
また、二百億の予算の九五%以上が土木関係に投入され、商工関係に配分されていないことも疑問を抱くところであります。国の経済対策の方向がそのようになっている中でこのような措置が図られたということであるのかもわかりませんが、商工方面への配慮は当然あってしかるべきかと思います。いかがでございましょうか。
なお、この対策における各種事業は県内業者においてすべて消化できる内容のものであるのかどうか、パーセントをもって示していただきたいと思います。
さて、平成六年度の予算案においても、公共工事は各分野にわたり、土木関係予算を見るだけでも相当額のものになっております。私は、過去に幾度か県の発注する公共事業の益が県内に還流することを求めて質問をいたしてまいりました。残念ながら、ここ数年間は県外大手ゼネコンが君臨し、その多くの益を県外に流出させました。事業の内容によってやむを得ない面もありましたが、下請等をさせるに当たって県の指導がどうであったかにより、相当の改善の余地があったであろうと思います。もちろん、そのための努力をされたことを否定するものではありませんが、今後さらなる努力をしたいとの当局の意向の表明もあり、今後に期待をゆだねたところであります。
ついては、平成六年度予算案において公共土木・建築工事においていかほどの予算が組まれているのか、また元請は県外大手に回さなければならないという事業は何件で予算額は幾らか、あるいは県内業者で受注できる事業は何件で予算額は幾らになるのか、お示しをいただきたいと思います。また、県内外業者を問わず、下請企業の保護育成の立場から、本年度におけるさらなる努力をどうされようとしているのかをお示しいただきたいと思います。
一次、二次、三次と下っていくにつれて事業費がだんだんと減少し、本来の所期の目標が工事内容においても下請育成においても達せられなかったりしている例も見たところであります。分離発注なども有効に組み入れ、公共事業が景気刺激策としても効果を発揮するよう工夫することが大切だと思われますが、どのように施策されているのかをお示しいただきたいと思います。
次に、マリーナシティの建設工事についてお尋ねをいたします。
九月議会で私の質問に答えて、マリーナシティ建設工事の費用が当初の四百二十二億円から五百六十五億円と一三四%に膨れ上がっていることが明らかにされました。中でも、毛見一号橋は三十億から六十五億へと二倍強に、毛見二号橋に至っては十二億から三十五億へと約三倍に、まさにバブル的に膨れ上がっています。総工費数百億という大事業がわずか数年の間に莫大な金額の変更が行われていることに、私は大きな疑問を抱くものであります。庶民が一軒の家を建てるに当たっては、慎重に慎重を重ね、途中で予算変更を余儀なくされても最小限に食いとめるための必死の努力をするのが通例であります。しかし、このマリーナシティ建設の金額変更は大盤振る舞いもいいところというよりか、二倍、三倍の計画変更といえばもとの設計はなきに等しいものと言って過言ではありません。二倍、三倍といっても、千円が二千円、三千円になったのではありません。三十億が六十五億、十二億が三十五億となり、庶民にとっては想像を絶した金額の変更であります。聞くところによると、予想以上の難工事のための設計変更だったりグレードアップだったりというのが原因とのことでありますが、素人が調査したわけではありません。素人が設計したわけでもありません。グレードアップなどというのは、まさに途中からの思いつきであり、こんな調子で進められるとすれば、幾ら金があってもたまったものではありません。グレードアップ、グレードアップと、幾らでも金をつぎ込むことになるやもしれません。投じられた金はすべて税金であるという厳粛な事実を前提にして、果たしてそのような安易な変更が許されてよいのかどうか、当局の考えをお示しいただきたいと思います。特に、グレードアップの要望はどこあたりから出て、どこで着想されて出されてきたものであるかもお示しいただきたいと思います。
この人工島で今後の中心的な経営活動を行うのは松下興産となります。第三セクターの管理するところも県の管理するところもありますが、それは松下興産の経営活動を補完するというのが主たる側面であり、このマリーナシティの経営主体が松下興産であることは皆の知るところであります。先ほどからのグレードアップや設計変更の改善による益の大半が松下興産の享受するところとなっております。同社は、この工事費百三十億の上積みに相応の分担をされているのかどうか。松下興産が専有する面積はマリーナシティの六一%でありますが、第三セクターへの加入、県の施設が同社の活動を補完するという性格を考えれば、同社に相応の負担があってしかるべきと考えるものでありますが、いかがなっているのでしょうか。
また、第三セクターについてお尋ねいたしますが、松下興産と並んで第三セクター方式でマンション等の経営が図られていると聞きます。このマンション等の性格、セクターの運営方針等はどのように考えられているか。単に公営住宅あるいは民営とせず、あえて第三セクター方式をとった理由はどこにあるのでしょうか。また、マリーナシティ全体の今後の管理はどこの責任になるのでしょうか。防波堤、県有地部分、第三セクター部分、民有地部分、それぞれの護岸、道路等について明らかにしていただきたいと思います。
次に、リゾート博関係の質問に移ります。
リゾート博が近づいてまいりました。知事の所信表明にもありましたように、本年の県政の中心的な柱、あるいは県政史上にも一時期を画するイベントとして位置づけられた世界リゾート博となっています。リゾート博推進局を初め、直接何かと担当されている職員の皆さん方は、緊張の日々を連続され、連日奮闘されておることと思います。そのご苦労に対して、まず敬意を表しておきたいと思います。
ところで、関係者のご苦労とは別に、またこの博に対する意見がさまざま提起されている現実もございます。私は、そのような意見を紹介しながら、当局の考えをお伺いしたいと思います。
まず、リゾート博関係の予算の問題であります。
提案された予算案でも、リゾート博関連予算は五十億と見積もられています。この中には博以降も恒久施設として残されるわかやま館なども含まれていますが、ここ三年余りリゾート博に関する出費というのは相当多額になってまいりました。博に関する県の支出は全体でいかほどになってきたのでしょうか、詳細にお示しいただきたいと思います。
また、私は議会のこの場において、世界リゾート博のそれぞれのイベントが博のメーンテーマになっている「二十一世紀のリゾートを体験する」というスローガンを果たして満たすものかどうかという点で疑問を提出してまいりました。その後、それぞれのパビリオンの計画が明らかになるにつれても、その疑問を解消できない思いであります。珍奇なもの、まだ見たこともないもの、まだ体験したことのないもの、要するに未知との遭遇という点ではそれなりのものが提起されているように思いますが、二十一世紀の世界のリゾートを体験するという概念とはおよそかけ離れたものではないかという思いを払拭できないでおります。来場する方々が二十一世紀に──まだこれから百年間あるわけですが──このような体験をリゾートとして享受し得るかどうか、そしてまたそれが本来のリゾートなのかどうか、私の知識と感性では甚だ不確かなものであります。とにかく、たくさんの人が来ておもしろかったと喜べばよろしいという次元で考えるならば、それはそれでよいかもかわりませんが、二十一世紀のリゾートを体験するという看板に偽りがあってはならないという思いから、果たしてあれが二十一世紀のリゾートの姿なのかという疑問に当局の確たる答弁をお願いしたいと思います。
次は、県民参加という問題であります。
この県民参加が、どの程度で、どれだけの規模のものであるかがこの博を成功させる尺度であると言われています。リゾート博を記念して道端に花を植えるとか、コンパニオンを募集するとか、県民参加の例として出されますが、県民参加という言葉に比べて余りにも貧弱であります。郷土芸能の披露などもそれなりの意味はあるでしょうが、ごくごく限られた人々のものであって、県民参加の概念とはほど遠いものではないでしょうか。参加というのは入場券を買って見物するという参加もあるでしょうが、この一大イベントをどうつくり上げていくかというそのスタートからの参加が本来的な意味での県民参加と言えるでしょう。そもそもこの博の立案の時点からそれは具体的に追求されるべきはずのものでありましたが、残念ながらそのような方策はとられませんでした。数百を超える団体に組織されている数十万の県民、さまざまな思いをめぐらせている個人の方々の力を思い切って引き出し、民間企業の大きな力と県民の手づくりの味がどれだけ盛り込まれていくか、そんな工夫があってこそ県民総参加と言えるのかと思います。入場券を買って、大手企業の設置したパビリオンを駆けめぐってきたというだけでは参加とは言えないし、参加の意識も育たないでしょう。ましてや、郷土を愛する心を涵養し得るとは言いがたいのではないでしょうか。深刻な不況下でのリゾート博です。景気のよいときであれば、たとえどんな博でも華やぐことでしょうが、催しをする時期が時期であります。それだけに県民の主体的参加が求められると思うのですが、いかがでしょうか。
また、博と大手企業との関係について、多くの人々が懸念してきたこともありました。入場券の販売を、県の方から指名停止の処分を受けている大手ゼネコンにも頼ったということなどもその一例でしょう。和歌山を舞台にしたものでなくても、政治や行政と企業との黒い癒着が指弾され、さばかれようとしている最中に入場券売りの依頼などというのは、まことに節のない行為ではないかと私は総務委員会でただしたところでありますが、当局は何ら問題はないと言われておりました。とにかく、入場券を一枚でも多くさばきたいという一心のなせるわざではありましょうが、行政機関の不正に対する毅然たる態度が望まれるところではなかったでしょうか。
また、博のイメージを傷つけるというような気になる点も幾つかありました。最近の報道によりますと、マリーナシティ造成やリゾート博関連施設に従事した企業に多額の寄附を要請したとのことであります。報道によりますと、企業側は一度断ったけれども、さる関西の公共工事の談合を取り仕切る役の方が、また仕事をもらわなければならないからとの助言により寄附に応じたとのことであります。のどから手が出るほど金が欲しいのは理解できますが、たとえ善意の意思でスタートしても、なりふり構わぬ金集めの姿はリゾート博のイメージを大きく損なうものであります。まして、企業との今後の癒着を考えればなおさらであります。事の真偽のほどと、券売りや寄附集めについて反省すべき点はなかったのかどうか、当局の答弁を待ちたいと思います。
また、イメージを損なうということについて一言つけ加えておけば、あのシーサイドロードの強制収用ほどイメージを損なうものはありません。和歌山市の仕事でありますが、県当局も強制収用の事態などを招かぬようさらなる努力を求め、要望を申し添えておきたいと思います。
また、リゾート博の成功ということについてもただしておきたいと思います。この点についても、私は一度お尋ねしたことがありましたが、答弁は余り明確ではありませんでした。博は、いずれにしろ一過性のものであります。形はなくなり、後に何が残るのか、そこにこそ博の成功、不成功がかかるかと思います。私は、「二十一世紀のリゾートを体験する」というスローガンが必ずしも満たされていないこと、県民参加が極めて狭いこと、県費の支出の大きさ等を見るとき、大きな危惧を抱くものであります。しかし、ここまで来た以上、その点を大胆に克服すること、改善をすることによってよりよい博に仕上がることを切に望むものであります。博の成功の基準をどのように置いてそれを追求しておられるのか、答弁を求めたいと思います。
コスモパーク加太についてお尋ねをいたします。
関空土取り跡地にコスモパーク加太という近代的な都市ができると喧伝されたのは何年前になるでしょうか。和歌山市民の前に美しい建物群が並んだ模型図が配られ、こんな立派なものができるのかと、緑の山が削り取られる無念さを我慢した方々も決して少なくはありませんでした。二年たち、三年たち、山肌が赤く削り取られていくものの、そこに建つべきはずの近代的都市は一向に姿をあらわさず、現在に至っています。この間、土地開発公社は千二百億円の資金を投入し、関空に八百億円で土砂を売り、四百億円の収支の差を抱えたまま、その利息払いにきゅうきゅうとしてまいりました。その利息の額は合計百二十億円となり、今その支払いを一般財政が肩がわりせざるを得なくなり、提案された予算案には、昨年に引き続き、利息払いの融資として約十億円が計上されるに至っています。コスモパーク加太の青写真が今議会までには何とか見られるのではないかと多くの方々も思っていたことであります。当局の方々もご苦労されたことではありましょうが、残念ながらそこには至らない結果になりました。
コスモパーク加太計画が立案されたころは、確かに数十社が進出の希望を示し、当局もその意欲に大きな期待を寄せ、コスモ計画の将来を思いめぐらしていたのだろうと思います。コスモパーク推進機構に名を連ねた著名な企業群も、あわよくばみずからもそこに進出しようと推進機構の中で策を練っていたことだろうと推測するものでありますが、それらの企業群の意向は今どのようになっているのでしょうか。自治体に金だけを出させて、あわよくばみずからもと考えて機構に参加していた企業群は、この自治体の苦しみをどう見ているのでしょうか。何もコスモの例だけではありませんが、企業の利潤追求に振り回されている自治体の姿を目の当たりにして実に複雑な思いがするのは私だけではないと思います。
ところで、コスモパーク加太開発推進機構規約第二条は、「機構は、行政と産業界との協調のもとにコスモパーク加太計画の開発促進を図り、和歌山県の発展と和歌山市経済の活性化に寄与することを目的とする」とあります。推進機構は、その責任を全うしたと言えるでしょうか、この一年間、推進機構はどのような討議を重ね、現在に至っているのでしょうか、いかなる責任を持って対応しようとしているのでしょうか、できるだけつまびらかにお示しください。また、部分的であれ、進出希望企業があるとすれば、何社がどのくらいの規模でそれを考えておられるのかもお示しいただきたいと思います。
さて、昨日の本議場における答弁の中で、運動公園的施設を一つの例として提起し、公共的活用の方向を示されました。公共的活用ということについて私は否定するものではありませんが、ただ企業が買ってくれなかったから仕方がない、県で使いましょうでは余りにも無計画であり、場当たり的であります。この広大な土地に対する総合的活用の展望を抜きにして苦し紛れに何でもいいからスタートさせるでは、また悔いを千載に残すことになります。県、市、公社で今後検討するとありましたが、推進機構の役割は終わったと理解してよいのでしょうか。この地の将来をしかと議論する機構をつくり直す必要があろうかと思います。
聞くところによると、和歌山市は独自に整備に入るとのことであります。和歌山市がどのような方向で事を進めようとしているのか、県の今後の方向との関係で整合性は保たれているのかどうか、どういうことになっているのかをお示しいただきたいと思います。
次に、百億を超す大事業となると言われている健康ふれ愛計画推進事業のうちの多目的ホールについてお尋ねをいたします。
本計画は、和歌山市手平の旧国鉄用地を九十二億円で買収し、その一画に約百億円をかけて建設しようとするものであります。聞くところによりますと、固定席三千、移動席五千を持つ巨大な施設とのことであります。その移動席の大半が電動式で移動するという、超デラックスなものだと聞いているところであります。
お尋ねしたいのは、このような巨大な施設がどのように活用されるのか、その展望をどう持っておられるのかということであります。
和歌山県の大型施設と言えば、県立体育館、県民文化会館、和歌山市民会館等がありますが、その使用頻度は、あえて新しい大型施設を緊急の課題として求めているという状況ではないと思われます。集会等でも体育館規模が必要とされるのは年数回であり、今のところ県立体育館を満席にできるイベントはそれほど多くはありません。今後、全国的規模のものを誘致活用ということでしょうが、恐らく年に何度もないことでしょう。昨日の議論では、コスモパーク加太にも何だか大きな競技場が、恐らくコンベンションホールの機能を持たせてできるような気配でもあります。巨大なホールが不必要というわけではありません。ないよりある方がよかろうとは思いますが、一方ではいつも財政難を口にしておる折から、あえて今百億の金をかけてスタートさせるのがいいのかどうか。慎重を期すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。財源に国よりの交付税措置があるとしても、地方財政計画の変動により県財政への影響も決して小さなものではないのではなかろうかと思われますが、それらの点について当局の考えをお示しいただきたいと思います。
最後に、同和行政についてお尋ねをしたいと思います。
法のもとに、国の責任として同和行政が進められてきてから四半世紀が経過し、行政と住民の努力の結果、同和行政は大きな成果を上げて、いよいよ地対財特法もあと三年をもって終了という時点を迎えようとしています。このときを迎え当局の一層の努力が求められるところでありますが、県下同和事業の完了に至るまでの今後の展望をいかに持たれておるのか、お示しいただきたいと思います。
現在、残事業は平成三年十月現在で五百二十五億とされているところでありますが、平成四年、五年における進捗状況はいかがなものでしょうか、現時点における残事業量をどう掌握されているかをお示しください。また、従来の経過から見て期限内完了が困難と推測される事業もあろうかと思われますが、その点はどうお考えでしょうか。いずれにしろ、法期限後は当然、一般施策を強化することによって対処すべきと考えるべきだと思いますが、当局の考え方をお示しいただきたいと思います。
また、平成三年度末、約二百四十五億円の残事業と推定されていたものが見直しによって五百二十五億と一挙に倍になるという経過もありましたけれども、現在の残事業に対しさらなる残事業の追加を求める動きもあるやに聞きます。それらに対してはどう対処されるつもりなのかもお示しいただきたいと思います。
非物的事業については、特に法期限後を見通し、できるだけ早く一般対策への移行の措置を、経過的措置を含めて講じていくべきだろうかと思われます。一日も早い自立への歩みのためにも、あるいは個人給付の突然の廃止による困惑を防止するためにも、可能な限り早目に個人給付等の制度を見直し、今後の方針を示すべきだと思います。それは単に県レベルで行っている事業だけに限らず、市町村レベルで行っている事業についても、県としての適切な指導指針を示すべきでしょう。既に幾つかの個人給付事業が見直されてきたと聞いておりますが、さらなる見直しを求められている点もあろうかと思います。近畿各府県での動きは、それが急速に進められていることを物語っています。
幾つかの例を見てまいりますと、各種技能講習等については単に同和地区の方々だけが求めているものではありません。可能な限り一般地区にもそのサービスを及ぼすべきだと思います。個人給付とは違いますが、同和子供会は地区によってその活動内容に相当隔たりがあります。一般地区の母親・子供クラブとの発展的合流も考えるべきときではないでしょうか。設立の目的は違っておりますが、地域の教育力が落ちていると言われる昨今です。すべての子供たちに、放課後に厚い手だてが求められていると思われます。奨学金の問題では、同和関係の奨学金の存廃をどうするかという次元で論議するのではなく、すべての地域を対象とした県独自の奨学金制度を確立していくことが求められていると思います。
今、申し述べたのはごく一例でありますが、税や国保の減免の問題、同和住宅と一般公営住宅の大きくなり過ぎている家賃格差の問題等々、検討し見直すべき課題は多くあろうかと思います。すべて廃止せよと言うのではありません。真に何が必要なのかの検討を始める時期に来ているのではないかと思うのであります。それぞれの制度を今から一つずつ検討し、廃止すべきもの、段階的に解消するもの、一般行政を底上げすることによって水平ならしめるもの、それぞれ方法は異なっても、基本的には同和地区も一般地区も水平を目指し、制度的にも融合するという方向で行政水準の底上げの方向に向かうことが必要だと考えますが、当局のお考えをお示しください。
以上で、私の第一問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
まず、総合経済対策のうち県内中小業者の問題でございます。
土木部では、県内業者の育成ということは最重点に考えておりますが、トンネル工事、ダム工事、大型港湾工事、大型橋梁工事、大型建築工事など、高度な技術力、豊富な経験、資金力が必要な工事に限って県外大手業者に発注をいたしております。平成四年度の実績でございますが、県内四千二百四十四件、金額で五百三十六億円、県外百四十九件、金額で百二十九億円となってございます。
次に下請企業の保護育成でございますが、県内に支店、営業所等を有する大規模な建設業者に対しまして、平成五年九月二十九日付で、土木部長、農林水産部長、企業局長の連名で、下請業者の選定に際しては県内業者が受注できるよう依頼をいたしております。また、元請業者に対して、契約時などあらゆる機会を通じて下請業者の選定には県内の業者を優先するよう指導をいたしているところでございますが、今後とも土木事務所長等にもこの趣旨を徹底し、さらにきめ細かく進めてまいりたいと思います。
分離発注でございますが、県内入札参加業者数が約二千三百社と多いこともございまして、従来より中小零細業者対策として電気工事、管工事、建具工事等、分離発注できるものについては分離発注に努めてきております。今後ともこの方針で参りたいと考えております。
次に、土木部の景気対策関係の予算についてでございますが、一般公共事業費として土木部から今議会に上程をしている金額は約百四十三億七千万円でございます。このうち、県外業者だけで指名を組んでいる事業費は約四億一千万、ちなみに率にいたしますと二・八五%という数字になります。
次に、平成六年度の公共工事の発注についてのお尋ねでございます。
当初予算で、一般公共事業費として土木部から今議会に上程をしている金額は約一千六十七億円でございます。予算の議決をいただきましたならば、その執行においてはできるだけ県内業者の指名の優先に努力をしてまいりたいと思います。
次に、マリーナシティのお尋ねでございます。
最初に、建設費の増の問題でございます。
ご指摘のとおり、マリーナシティ建設費については、当初計画に比べて増額となっております。その増額の主な施設といたしましては、親水性防波堤、毛見一号橋、二号橋でございます。
国の直轄事業で整備中の防波堤については、地盤が予想以上に軟弱であったこと、親水性防波堤としてより使いやすい構造にしたことなどがその主な理由でございます。
また毛見一号橋については、予想より岩盤が深く、基礎ぐいの長さに変更が生じたこと、上部工を当初は標準橋で計画しておりましたが、和歌浦周辺の景観との調和等を図るため、優美な外観を有する斜張橋に変更したためでございます。
毛見二号橋については、航路のクリアランスを増加するために橋梁延長を増加させたこと、及び予想以上に岩盤が深く、下部工の基礎ぐい長を変更したことによるものでございます。これらのほかに人件費や物件費等の高騰という要素も加わっておりますが、全体としてご理解をいただきたいと存じます。
次に、松下興産に相応の負担をさせてはどうかというご意見でございますが、和歌山マリーナシティは、二十一世紀に向けて生活の多様化と余暇時代の到来に備え、レクリエーション施設、埠頭施設、国際文化交流施設、緑地等を整備して県勢の浮揚や地域の振興を図るものであります。先ほどご説明した幾つかの施設は、このマリーナシティの基礎となる公共施設であります。したがって、その負担については公共サイドが行うべきものと考えております。
次に第三セクターでございますが、マリーナシティの第三セクター用地は、マリーナ施設を利用される方々や海洋性アメニティー空間に住宅を求める方々に居住施設を提供する目的で計画しているものであります。第三セクター方式とした理由としては、マリーナシティの町づくりが官民一体となった共同事業であること、良好な居住施設を提供するためには、民間の持つ豊富な知識や情報、経営能力等のノウハウを生かす必要があること、一方で公共性を担保する必要があることなどでございます。
マリーナシティの管理でございますが、島内の管理は、松下興産の所有地については護岸を含めて松下興産の管理となります。国直轄事業として整備された親水性防波堤は、竣工後、港湾管理者である県に管理委託をされることとなります。また、第三セクター用地のうち護岸等については、公共帰属が条件であり、県の管理となります。県においては、これらのほかに物揚げ場、道路、緑地などの公共施設の管理を行うこととなります。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企業局長高瀬芳彦君。
〔高瀬芳彦君、登壇〕
○企業局長(高瀬芳彦君) マリーナシティの企業局関係についてお答えをいたします。
和歌山マリーナシティ建設の事業主体についてでございますが、運輸省、県土木部、県企業局、第三セクターの四者でございます。それぞれの分担において事業を実施してございますが、このうち企業局が所管する土地造成については当初の事業計画どおり進捗してございます。
ご質問の全体事業費の増加に伴う売却単価への応分の負担についてでございますが、従来から売却価格の決定については原則として土地造成原価を基本に行っているところでございます。なお、売却予定の土地造成工事に変更が生じた場合は土地引き渡しの時点において精算することといたします。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) コスモパーク加太に関連する四点のご質問にお答えをいたします。
まず、推進機構に参加している企業の役割についてでございます。推進機構は、行政と産業界の協調のもと、コスモパーク加太計画の開発促進を図り、和歌山県の発展と和歌山市の経済の活性化に寄与することを目的として設立されたものでございまして、民間企業が持つ開発ノウハウを活用し、土地利用計画の策定等の作業を行ってきたところでございます。平成五年度においても、六回にわたり理事会、幹事会を開催し、計画の策定等、議論をしていただいているところでございます。
次に、進出希望企業の実態についてでございますが、複数の企業が進出を希望してございまして、今後この計画を進める過程において企業立地ができる環境づくりに取り組み、さらに積極的に企業誘致を図るとともに、公共的利用ともあわせ考えてまいりたいと存じます。
次に、県の公共的活用の展望についてでございますが、昨日、尾崎吉弘議員にお答えいたしましたように、今後、総合運動公園等を含む公共的利用については、総合的な見地から積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、和歌山市との関係についてでございますが、この事業の推進に当たりましては、今後とも県、和歌山市及び県土地開発公社による加太地域開発整備推進協議会を通じ、和歌山市との連携をさらに密にしながら、計画の実現のために努力をしてまいる所存でございます。
次に、多目的ホールの活用の方法と展望についてでございます。
健康ふれ愛和歌山計画の多目的ホールは、県民の健康増進を図り、スポーツ活動の推進の場や多様な県民交流の拠点施設として整備するものでございます。この施設の年間利用状況の見通しについては、この推進計画策定時の需要予測では、スポーツ関係、展示、集会、イベント関係の利用で延べ二百四十日程度を見込んでございます。
次に多目的ホールの財政についてでございますが、多目的ホールの建設については、健康ふれ愛和歌山計画として自治省のリーディングプロジェクト対象事業として実施することといたしてございます。リーディングプロジェクトの対象事業は、地域総合整備事業債が適用され、本県では事業債の元利償還金の五五%の交付税措置があり、一般財源負担の軽減が図られる、大変有利な制度となってございます。今後、事業実施に当たっては、財政事情等を勘案しながら建設を進めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 知事公室長中西伸雄君。
〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 鶴田議員にお答えいたします。
世界リゾート博覧会についてでございます。
まず、世界リゾート博覧会関連の県予算の総額についてですが、平成四年度、五年度、六年度を合わせますと約百四十一億円になります。これには、議員お話しのように、恒久施設であるわかやま館の建設費約五十五億円を初めといたしまして、総合交通管理システムや道路改良、舗装補修等の交通輸送関連経費約三十一億円が含まれてございまして、これらを差し引きますと約五十五億円になります。その内訳といたしましては、主催者負担金、広報宣伝費、国際交流のための経費、自治体館に要する経費、和歌山プラザ関連経費、モニュメントの制作費等が主なものでございます。
次に、二十一世紀のリゾート体験は可能かという質問でございますが、この博覧会はご承知のように、海に浮かんだ博覧会場としての特性を生かして、恵まれた自然との調和を図りながら、波、風、光を取り入れた体験型の博覧会でございます。
その主なものといたしましては、マリーナを利用したさまざまなマリンスポーツの体験、クリークを活用した海洋動物園やフィッシングパーク、楽しくてにぎやかなお祭り的な雰囲気を醸し出す屋外イベントやパフォーマンス、これからの自分のリゾートを発見するとともに、会場の展望も兼ねた約三百メートルの架橋型のテーマ館、リゾートの原点とも言える西サモアの典型的な村と海岸を再現する南太平洋ビレッジ等がございます。これらとあわせまして、パビリオンも統一したさわやかなイメージのデザインとし、体験型を重視した中でさまざまな映像や展示を通じてリゾートのあり方をより具体的に提案し、考えていただけるように工夫を凝らしているところでございます。
さらに国際リゾート館では、世界の十六カ国が参加して海外の有名なリゾート地が紹介されるとともに、テーマパーク「ポルト・ヨーロッパ」では、日本で初めての最新のハイテクを駆使したアミューズメント施設──娯楽でございますが──として海底探検などを体験していただきます。また、他の博覧会にはない試みといたしまして、会場内に宿泊体験ができる施設としてオートキャンプ場、フローティングホテルなどの用意もいたしてございます。
このように、この博覧会は二十一世紀のリゾートのあり方をさまざまな形で本県から情報発信するものでございまして、会場内において十分リゾート体験をしていただき、これからのリゾートのあり方を考えていただけるものと考えてございます。
次に、県民の主体的参加についてでございますが、この博覧会を成功させるためには、行政と民間企業や団体、それに県民の方々が一体となって推進することが重要なことであると考えてございます。県民の皆さん方が実際に参加していただく内容といたしましては、世界リゾート博推進のための県民運動への協力とともに、博覧会場におけるコンパニオンやボランティア活動への参加、それに博覧会そのものへの参加等がございます。県民運動といたしましては、緑と花づくり運動、環境美化運動、それにまごころの輪づくり運動を柱に、県内各種団体及び県民の方々のご協力のもとに進めておりまして、会場案内、パビリオンの説明等を行うコンパニオンについても多数の応募をいただいたところでございます。
ボランティア活動への参加といたしましては、ベビーカーや車いすなどの貸し出し業務、拾得物の対応、迷子対応を初め手話通訳や外国語の通訳など、約五百名を目標に幅広く募集したところでございますが、個人、団体、企業を合わせて非常な反響をいただいてございます。
また、博覧会そのものへの参加の場といたしましては、各市町村の郷土芸能や物産、観光のPRをする市町村の日、農林水産業を初めとする各地場産業が技術の紹介や特産品の展示販売をする和歌山プラザがございます。さらに、県民の皆さんの自主的な企画によるイベント参加についても募集をいたしましたところ、各種コンサート、演劇、ダンスなど約百近い団体、個人の方々より参加申し込みをいただくなど、多くの分野で県民の皆さんの参加をいただけることになってございます。
次に、入場券と協賛金に係る大手企業との関係についてでございますが、ご承知のとおり、世界リゾート博覧会に限らず、博覧会においては、入場料収入、主催者団体負担金収入、それに企業協賛金をその主な財源として行われるものでございます。したがいまして、入場券については、より多くの人に見ていただきたいという趣旨から、市町村を初め各種団体や企業にご購入についてお願いをしてまいったところであります。また企業協賛金についても、この博覧会を企業の広告宣伝活動の場に、あるいはイメージアップの場にしていただきたいと考え、これまで県下で営業活動をしている企業、本県とゆかりのある企業、他の博覧会への出展の実績のある企業など多くの企業に対し、パビリオン出展のように多額を要するものから、ベンチ、花壇等に至るまで、施設、イベント、営業面において多種多様な協賛活動をしてまいったところでございます。入場券の枚数や協賛の金額については、あくまでも依頼先の自主的なご判断で決定いただくものでございまして、また税務上も認められているものでございます。
最後に、世界リゾート博の成功の基準でございますが、自然、文化、歴史、県民性など本県のすばらしさを全国や世界に知っていただくこと、目標入場者数の達成、多くの県民の参加をいただくこと、そしてこれからのリゾートのあり方について理解を深めていただくこと、この四点が重点になるのではないかと思います。それ以外にも、経済的な波及効果に加え、県民意識の高揚、さらにはこの博覧会を今後どう生かしていくかにあると考えてございます。
具体的には、わかやま館や和歌山プラザにおいて、和歌山の歴史、文化、自然及び産物等を紹介するとともに、百五十万人と設定している入場者目標は十分に達成可能な目標と考えております。
県民参加あるいはこれからのリゾートのあり方等については、さきに申し上げたとおりでございます。また経済波及効果については、博覧会関連投資額及び入場者消費額等から生産や雇用が誘発され、個人所得拡大につながっていくことも考えられるわけでございますが、博覧会開催時に詳細な調査を行うこととしてございます。
世界リゾート博を一過性のものとして終わらせることなく、これを今後にどうつないでいくかということは非常に重要なことであると考えてございます。博覧会を通してこれからのリゾートのあり方について理解を深めていただくとともに、本県の豊かな自然と、そこで営まれる農業、林業、水産業、すばらしい観光資源、それに高野、熊野に代表される歴史、文化等を生かす中で国際的なリゾートエリアとしての定着を図りつつ、地域の発展につなげてまいりたいと考えてございます。今後、関係部局とも十分協議をしながら、その具体策を検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 鶴田議員の同和対策についてお答え申し上げます。
県においては、同和問題の重要性にかんがみまして、同対審答申の理念を踏まえ、平成三年十二月の地対協意見具申、また本県の地域性に即して策定した総合計画等に基づき同和対策事業を推進し、その結果、同和問題の解決に大きな進展が見られたところでございます。現行法も残り三年となってまいりました今日、残された物的事業の完遂に向けてできる限り前倒しで早期着手できるよう、市町村と十分協議をしながら、法期限内の完遂を目指して全力を傾注して取り組んでまいる所存でございます。
議員ご質問の残事業についてでございますが、平成三年十月の国の調査による政令事業の事業量として平成四年度において約百八億円を実施し、また平成五年度においては約百二十億円の執行が予定され、全体的に見ますと計画事業の約四○%の事業が順調に実施されている状況でございます。しかしながら、これも議員ご指摘のように、法期限内に実施困難な事業も予想され、また同和対策事業の政令外事業として残っている事業についても同和問題を解決していく上ではぜひ実施する必要があり、今後の事業推進を見きわめながら、第一義的には国の責務として、法的措置を含め必要な施策が講じられるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に、個人施策等の見直しについてでありますが、県においては既に昭和六十一年度及び平成三年度において個人施策等の検討見直しを行い、より適切な事業実施を推進するとともに、関係市町村に対しても指導してまいったところでございます。今後、国が実施した実態調査の中間報告や平成六年度に予定いたしております県の実態調査の結果を踏まえ、市町村とも協議しながら、法期限後の同和対策のあり方や施策について方針をまとめてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 二月補正予算の県内経済への波及効果、それから商工関係への配慮の問題でございます。
現下の厳しい経済情勢に対応するため、去る二月八日、国においては総額で十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策を策定したところでございます。内容的には、いわゆる公共事業等のみならず、所得税減税、さらには住宅建設の促進、中小企業対策等、極めて多岐にわたる、しかも実効性の高い諸施策が盛り込まれていると考えてございます。
本県といたしましても、二月補正において積極的にこれらの施策に対応するとともに、施策全般の県内への波及に大いに期待しているところでございます。また、六年度当初予算でも投資重点型の予算としているほか、ご指摘の商工関係対策等についても中小企業向け融資総額の大幅な拡大などの措置を講じているところであり、このような国、県を通じた今年度から来年度にかけての幅広い一連の施策が県内経済に大きなインパクトを与えるものと期待しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
25番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
マリーナシティの造成費の問題ですが、四百二十億からざっと五百六十億になる、百四十億という莫大な金額が計画より新たに投資されるという事態になったわけです。恐らく、どうしても必要なものもあったであろうし、途中からあの人工島そのものをグレードアップさせるという意味において投資をされたものもあったろうかと思いますが、しかし、それによってその島の値打ちというのが非常に大きくなったというのはそのとおりであろうかと思うんです。
あの島の六一%は、今後、松下興産が経営活動として使われることになります。第三セクターにも興産は入っておられる。そういうように見てまいりますと、あの島の価値の大半は松下興産の今後の営業活動に資するものと解釈されると私は思っております。県の公共施設もたくさんつくられてはおります。それは、独自に公共施設の役割を果たされるともわかってはおりますが、それが同時にまた松下興産の営業活動を補完する性格のものであるということも言えるかと思います。
そういう点が認められるならば、百三十億の県費の投入の中に松下興産の一定の負担があってもしかるべきではないかと私は思うわけであります。ただ単に、難工事があったから、あるいはグレードアップの必要があったからこれだけの金をつぎ込んだというだけではなく、大きな企業の社会的責任を果たしてもらうという意味からも、あるいは県費をできるだけ節約してもらうという意味からも、一定の負担が求められてしかるべきではなかったかと思っておる次第であります。
あの土地を造成する上においても、県内の中小企業等への波及効果が大きく期待されると私どもも考えていたわけでありますが、必ずしもそうではなくて、大手企業がその経済波及の大部分を持って出ていったというようなことを考えても、和歌山県がこういう大手企業に対する態度として、もう少し応分の負担を求める姿勢が貫かれてもいいのではないかと思います。
また、コスモパーク加太の問題については、昨日の質問への答弁もありました。私も指摘をさせていただきましたけれども、あの土砂を取るのに千二百億かかりました。それを関西新空港の方へ売ったのが八百億です。四百億は収支の差額と表現をされておりますけれども、要するに土砂を採取し販売するという過程においては、これは四百億の赤字であります。あるいはまた逆の立場で言えば、関西新空港の方は四百億安く土砂を和歌山県から買い取ることができたということなんです。見方によっては、向こうは本当に大もうけです。その後、和歌山県が分担金などいろいろ払わされておりますけれども、あの金額を見るならば、和歌山県はそういうのを一切免除してもらってもいいくらいなんです。そのような大手企業と県との関係がそこにあります。
本当に不況の時代ですから、なかなか思うように企業の動きもとれないというのはわかっております。しかし、あの推進機構の中に参加された幾つかの大手企業の中には、やはりあのコスモパーク加太の中で活動しようという意図を示しておられた企業もあったわけです。別に松下興産と和歌山県が結んだような協定はありませんけれども、機構に参加している企業の方々の中には、あそこで経営活動をやっていこうという意思を持っておられたところもあったわけです。県も、それに期待をされていました。そういうように推進機構の活動が十分機能を果たさなかった中で、公社と県と市で活動主体を切りかえていくというようにこれから転換をされるわけですけれども、私どもはそこに参加された企業の方々に対して、今後の主体性を持ったしかるべき責任のとり方があろうかとも思っておるわけであります。
私はるる申し上げましたけれども、大きな企業と県との関係ということについて、きっちりとした原則を持つべきだと思うんです。企業が利潤を追うために紆余曲折するのは当然であります。今後、民間活力を活用していくという行政の立場が、逆に民間大手企業が自治体の活力を活用すると、そういうふうに逆になってきているんですね。だから、そういう点で和歌山県が行政として一つの確固とした主体性を貫いて、企業との関係でも対等に渡り合えるように、今後の財政運営あるいは行政運営においても貫いていただけるように希望をしておきたいと思います。
答弁は要りません。以上です。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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