平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成六年三月九日(水曜日)

 午後一時九分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、申し上げます。
 ただいま大江康弘君から、午前中の同君の質問において一部不適当な発言があったので議長においてその部分の字句修正を願いたい旨の申し出がありました。よって、議長において、後刻速記録を精査の上、善処いたしたいと思いますので、ご了承願います。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま発言を許されました。先ほど大江康弘議員からもご紹介がありましたごとく、在籍十一年、県政に大きな足跡を残されて去られる石田真敏議員が私の後に演説をなさいます。私も友人の端に加えていただきまして、いろいろとご指導を賜りました。新たな難関に向かって挑戦をされる石田先生の心意気に打たれる一人でもございます。その前途や壮なれと申し上げたいと思います。石田先生の門出を邪魔してはなりませんので、許された時間の中で質問を進めてまいります。どうか、ご清聴、ご協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 まず初めに、関西国際空港に関する諸問題についてであります。
 私たち百八万和歌山県民のみならず、関西の多くの人々が一日千秋の思いで鶴首して待ち望んでまいりました関西国際空港が、いよいよ本年九月四日開港と決まりました。
 思えば、昭和四十三年、一九六八年四月、運輸省が淡路島など五カ所を対象として関西国際空港候補地の調査を開始して以来、実に二十六年、まことに長い道のりでございました。そして、その歩みは決して平たんなものではなく、紆余曲折を経てまいったのであります。ともあれ、さまざまな難関を突破して迎える開港でありますだけに、和歌山県勢の浮揚をかけ、関西復権の望みを託してまいった私どもにとって感慨ひとしおのものがあるのでございます。
 そこで、関西国際空港の開港を目前に控える今、関西国際空港に関する幾つかの問題点についてお尋ねし、知事を初め当局の皆様のご見解をお聞きしたいと思います。
 第一に、関西国際空港全体構想実現に関してであります。
 去る二月十、十一の両日、先ほど大江議員からもお話のありましたごとく、細川連立政権の最終予算折衝の日程に合わせ、私たち四派連合の同僚議員の皆さんとともに、県選出国会議員のご出席、同道を賜り、予算獲得の陳情をしてまいったところであります。同十三日、運輸、大蔵の次官級折衝によりまして、平成六年度政府予算案に全体構想調査費として九億九千八百万円が盛り込まれることが正式に決定したことは、皆さんもう既にご承知のとおりでございます。全体構想調査費はこれまで二年連続して見送られてまいっただけに、全体構想実現へ向けて大きく一歩踏み出したものとして大いに評価されるべきであると言えます。
 そこで、仮谷知事にお尋ねをいたします。
 念願の全体構想実現に向けて調査費が計上されることとなった今、知事のただいまの率直な感懐をお聞かせ願いたい。あわせて、企画部長にお尋ねいたしますが、この調査費の地元負担分について、従来、地方自治体と財界の負担が五対五であったものが景気後退に伴って八対二に変わることが報じられておりますけれども、これによる本県負担分はどれほどになるのか、お示しをいただきたいと思います。
 なお、国の第一種空港であり、基幹空港の第二期工事のための調査費は、どのような財政状態であろうと、本来すべて国の責任において捻出するのが当然の責務であると私は思っております。財政不如意と申しますけれども、私に言わせれば決してそんなことはなく、各所でむだな出費を指摘されることから申しても、決して財政の責任に嫁すことはできないと思います。このことについて議論するのは趣旨から離れますので申し上げませんが、いずれにいたしましても、国の将来にわたる基幹施設、インフラ整備の調査費の大半を地元負担という形で地方に押しつける愚に対し、この場をかりて警鐘を鳴らしておきたいと思います。
 全体構想実現に関してもう一点、横風用も含め滑走路三本の完全なハブ空港たらしめるための全体構想が成るか成らないかは、平成七年で終了する第六次空港整備五箇年計画、いわゆる六空整を受け継いで策定される第七次空港整備五箇年計画の中にどう盛り込まれるかにかかっているのであります。かねてから問題点として指摘されている六空整に記されている三条件を取り払い、滑走路三本の完全なハブ空港として早期に実現されるよう七空整の中でどう位置づけられるのか、そのめど、対応等について企画部長のご答弁を賜りたい。
 あわせてもう一点、懸念材料として残るものがありますので、ご指摘申し上げます。それは、いわゆる三点セットの問題であります。
 昭和五十六年、一九八一年五月、運輸省が和歌山、大阪、兵庫の関係三府県に空港計画案、環境影響評価案、地域整備の考え方から成るいわゆる三点セットを提示いたしました。これを受けて、翌五十七年七月に大阪府が、また翌八月に和歌山県が事実上の合意回答をいたしました。おくれて昭和五十九年、一九八四年二月、兵庫県が事実上の合意回答をして関西国際空港建設計画が前に進んだのであります。ところが、地元三府県のうち兵庫県のみは一期事業にしか同意していないとされております。まして、最近、急浮上してきた神戸沖空港の問題、飛行ルートの問題等との絡みの中で、今後兵庫県や神戸市がどのような動きを見せるのか、極めて不明瞭な部分が残されていると言わざるを得ないのであります。
 そこで企画部長、今後、兵庫県等がどのような動きを見せるのか、その動向について把握しておられる情報をお示しいただきたい。あるいは、本県を含む関係団体に対して何らかの打診、意向表明等が行われておるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
 第二に、国内便の大幅確保についてであります。
 巷間伝えられるところによりますと、この三月末にも国内便確保の最終発表が行われると言われております。マスコミ等で流れておりますけれども、これらの観測報道は間違いないのかどうか、企画部長からお答えをいただきたいと思います。また、現時点で確保されている国内便の便数や路線等についても答弁をしていただければ幸いでございます。
 第三に、関西国際空港関連地域整備について申し上げます。
 関西国際空港施設もほぼ順調な立ち上がりを見せ、滑走路、誘導路、エプロン、管制塔等、一○○%工事を終了いたしました。既に、運輸省関西空港事務所も入居いたしました。このほか、旅客ターミナルビルもほぼ九五%以上進捗していると聞いております。
 ところで、私はかねがね、関西国際空港の開港に伴い、そのインパクトを最大限に和歌山県に取り込み、生かしていくためにどうすればいいのかを考えてまいりました。また、いろんなご提言も申し上げました。関西国際空港が開港しさえすれば、和歌山県が手をこまねいていても活性化するとは言えないと思います。やはり、明確なビションを持って受け皿づくりを進めてこそ関西国際空港開港のメリットを最大限に引き出せると申せましょう。以下、釈迦に説法のようなことになるかもしれませんけれども、私の考えを申し上げ、それぞれ関係部長の答弁を求めるものであります。
 関西国際空港の開港をにらみ本県としてどう対応するのか、受け皿づくりをするのかという視点に立ち、関連施設の一つ一つについて見てまいりますと、おおむね三つに分類できると考えます。
 まず初めに第一次施設、これは空港と一体不可分のものでありまして、この施設がなければ空港が全く機能しないもの、すなわちCAT(シティー・エア・ターミナル)あるいはACCT(エア・カーゴ・シティー・ターミナル)、鉄道、高速道路等のハード面の交通アクセス、駐車場などの交通関連施設、情報通信システム、機内食工場等々でございます。これらの施設はすべて地元大阪を中心に兵庫、京都に立地し、本県に関係あると言えば阪和自動車道・紀勢線以外ありません。
 次に第二次施設として、これがなければ空港の機能が完全に麻痺するというものではございませんけれども、なければ不便であり、空港が良好な機能を果たすためにはなければならないものとして、例えばバス、タクシー等のソフト面の交通アクセス、あるいはホテル、従業員宿舎等の航空会社関連施設、病院等々でございます。この部分では、日本航空の社員社宅・寮、あるいは日本航空関連会社の独身寮が和歌山県に進出することになりました。本県にとって歓迎すべきことと言えます。しかしながら、全体から見ればごく一部でございます。
 第三に、その他の部分が第三次施設ということになりますけれども、主な施設、機能を挙げてみますと、関西国際空港が二十四時間運用の空港でございますので、深夜、早朝にもオープンしているようなショッピングセンターや飲食街、同空港を利用する旅客や勤務明けの航空会社の乗務員等のためのシティーホテル、リゾート施設、スポーツ施設、アミューズメント施設等々であります。
 本県が空港の至近距離にありながら、圧倒的に豊かな自然に恵まれている立地条件のよさを生かさない手はありません。第一次施設では大阪、兵庫、京都に負けておりますけれども、第三次施設の部分では決して和歌山は負けない、勝負できると思います。県土づくりの視座をこの点に据え、既存の長期計画、リゾート構想について推進すべきは推進し、改廃すべきは再検討を加えていくときに来ていると思います。
 以下、幾つかの提案も含め、当局の見解を承りたいと思います。
 関西国際空港におり立った人々が関西の中でどこに足を向けるのか。ビジネス客は別として、大きく三つに分かれると思います。一つは、京都、奈良といった古都であり、日本独特の歴史と文化に触れようとする人々の流れであります。二つ目に、大阪、神戸に向かうショッピングを中心とした客だと思います。そして、第三のグループが和歌山を初めとするリゾート志向、海洋レジャー志向の人々の流れであろうと思います。関西国際空港を中心に関西全体を眺めてみますと、和歌山県は他の府県とは際立って違いがあることがわかります。すなわち、圧倒的にすぐれた山、川、海、空の豊かな自然がございます。関西国際空港におり立った人々に本県の自然条件は極めて魅力的に映ると思います。この利点を大いにPRしない手はないし、今後これらの人々を受け入れるための施設整備、サービス向上に全力で取り組んでいくべきであると思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 まず第一にリゾート整備について、燦黒潮リゾート構想のうちマリーナシティ及び田辺、白浜地区の現時点での進捗状況及び今後の展開についてご報告をいただきたい。
 このことについては、かつて和歌山社会経済研究所が調査した資料がございます。外国の航空会社のクルーの従業員の行動実態に関する調査報告でございます。全体で百六十三人ですが、例えば日本での平均宿泊数は、一泊が五十一人で三一・三%、二泊が五十四人で三三・一%、三泊が二十七人で一六・六%、あと四泊以上八泊までが二十五人で一五・三%となっております。また、どのようなホテルを選ぶかという設問に対しては、シティーホテルと答えた人が百九人で六六・九%、リゾートホテルと答えた人が五十四人で三三・一%となっております。さらに、どんな休暇を過ごすかという質問に対しては、スポーツを楽しむが五十八人で一一・五%、ショッピング、食べ歩きをして過ごすが百四十二人で二八・一%、寺社の見学、歴史的町並みの散策が百十八人で二三・三%、日本の伝統文化、美術工芸の鑑賞が四十七人で九・三%、ホテルでの休息が百十四人で二二・五%でございます。
 このように、航空会社のクルーというのは思ったよりも結構長く滞在をするわけでございまして、約五十社ほどの外国航空会社が関西国際空港に乗り入れると予測されておりますけれども、そうした意味で非常に需要が大きく広がる可能性があります。ぜひこの点、ご答弁をいただきたいと思います。
 第二点、シティーホテルの立地についてであります。
 県立医大が平成十年に移転した跡地に大型シティーホテルを誘致すべきであると考えますけれどもどうでしょうか、お答えをいただきたい。
 実は、こんな調査結果がございます。一九九一年、国際観光振興会が行ったコンベンション統計でございますけれども、一九九一年に我が国では数多くの国際会議が開催されました。京都の二百十回、四七・七%を筆頭にして、東京百八十三、兵庫百六十四、愛知百四十七、大阪百三、福岡百一と続いております。この表の中には和歌山の名前はございませんでした。そして欄外に、三重、和歌山、鳥取、香川、宮崎の五県は国際会議の開催がなかったと記載されているのでございます。まことに残念なことでございます。この理由はいろいろあると思いますけれども、一つは誘致に熱心でなかったとか、誘致できない事情があったとかということだろうと思います。また、人々が集まり出会える大規模な場所、シティーホテルとかコンベンションホールとかがなかったということが理由として挙げられると思います。ぜひともこの点について、一つの提案として申し上げますので、ご答弁を賜りたい。
 第三に、先ほど尾崎議員もおっしゃっておられたので簡単に済ませますけれども、コスモパーク加太の活用についてであります。
 平成三年夏に計画を策定すると発表して以来、何度か計画変更を余儀なくされました。そこで私は、従来のありきたりの利用計画ではなく、この際、思い切った利用を考えよと申し上げたいと思います。例えば、我が国には高校野球であれば甲子園、ラグビーであれば高校、大学、社会人を問わず、花園というメッカがございます。野球を目指す少年は、「甲子園」と聞いただけで胸の熱くなる思いを抱くわけでありまして、それぞれのスポーツにはそのようなメッカがございます。ぜひとも、この際、このコスモパーク加太の広い用地を利用してサッカーの施設を誘致してはどうか。屋内球技場を中心として十面ぐらいのサッカー場を設ければ世界大会の開催も十分可能なわけです。もちろん、そのためのシティーホテルなども併設しなければならないでしょうけれども、ぜひともこの点、先ほどの尾崎議員の質問とも重なりますが、再度お答えを賜れば幸いでございます。
 次に第二点、フィランソロピーとメセナについてお尋ねをいたします。
 このことについて、昨年二月定例会の一般質問でも言及したところでございますけれども、もう一度おさらいの意味を込めつつ、この問題が二十一世紀の我が国にあっては極めて重要な問題としてクローズアップされることにかんがみ、取り上げた次第でございます。
 初めに、フィランソロピーとメセナの意味と、その違いについて申し上げます。
 「フィランソロピー」とは、語源的にはギリシャ語の「人類を愛する」という意味でございまして、英語の「チャリティー」とほぼ同義語であります。フィランソロピーの最も発達しているアメリカにおいては、民間公益活動に協力する市民の自発的な社会活動という意味で使われております。一方、「メセナ」とは、古代ローマの富豪であり文化擁護者であったマエケナスに由来するフランス語でありまして、「芸術、文化のパトロネージュ」という意味だそうでございます。したがって、フィランソロピーもメセナも目的、活動には大差がなく、最近ではほぼ同じような意味で使われております。
 欧米のフィランソロピー、メセナの先進国を見てまいりますと、国によってかなり差があることがわかります。アメリカは、国や自治体の上からの干渉を嫌う風潮がございまして、教育、医療、福祉はみずからが資金を拠出して共同で公益活動を行う団体をつくって運用したり、教会の慈善事業の形で行われてまいりました。ちなみにアメリカでは、メセナ、フィランソロピー活動への寄附の八四%、年間十三兆円が個人の寄附で賄われております。我が国の個人の寄附額三百四十二億円と比較していただければ、いかに違うかというのがわかると思います。イギリスは、企業によるメセナ活動が盛んであります。また、政府が指定したチャリティー団体が十七万団体に上るとされております。フランスは、企業、個人のメセナ活動が盛んで、特に造形芸術への支援が盛んに行われております。なお、一九八七年にはメセナ促進法が制定をされました。ドイツは、ナチズムの反省から、国が直接文化活動に立ち入ることは法律で禁止されておりまして、地方自治体が芸術、文化に関して責任を持って推進することになっております。したがって、企業等の寄附は非常に少ないとされております。イタリアは、メディチ家という富豪や教会等々が芸術家のパトロンとして貢献してきており、歴史的には非常に古いものがあります。企業のメセナ活動も盛んであり、芸術遺産が地方に散らばる特徴から文化活動も地方的で、地方企業のメセナ活動が活発だと言われております。
 それでは、翻って我が国のフィランソロピー、メセナ活動はどうか。近年、企業メセナ協議会の設立、経団連の一%クラブの発足、大阪商工会議所コミュニティー財団設立など、企業メセナの高まりが見られます。また、市民によるさまざまなフィランソロピー活動の広がりも見られるなど、近年、急速に関心が高まりつつあると申せます。これには明確な理由が幾つかありますけれども、特にそのうちの一つに、我が国企業が最近海外に盛んに進出をしておりますが、特にアメリカ等欧米に進出した企業が現地社会の中に溶け込んでいくためには、現地社会で市民権を得なければならないという点が指摘されます。特にアメリカ等では企業も個人と同じくよき市民でなければならないという思想が根強くございまして、企業メセナ活動はよき市民であるための重要な活動であるという認識がございます。当然、進出している日本企業もよき市民たるべく努力をしており、この蓄積が日本本社の経営陣にもフィランソロピー活動の意味、意義、哲学を認識させたということになると思います。この意識変化が国内でも企業のフィランソロピー活動を活発化させる主な原因の一つとなっていると申せます。当然のことながら、フィランソロピー活動はボトムアップ型、つまり下からの盛り上がりで行われる運動でございますけれども、我が国では縦割り行政の弊害により、主務官庁の許認可を受け、社会的に認知されなければ資金も集まらないし活動もできないという問題がございます。いわゆるトップダウン型、上からの圧力による決定という社会シムテム上の問題と限界、そこに難しさがあると言わざるを得ません。
 この点を踏まえ、助成財団資料センター・プログラム・コンサルタントの山岡義典氏は、「人類は、長い歴史の試行錯誤を通じて、共同体の統治システムとしての行政機構と利潤創出システムとしての企業という仕組みを確立してきた。行政、企業の二次元の尺度で社会を考えること自体に限界が見え始めてきたのだ。そこで着目されるのが、この尺度とは次元を異にするもう一つの活動、民間の個人や団体による営利を目的としない活動、すなわち民間非営利活動、民間公益活動である。人間は、何も利潤を求めてだけ行動するわけではない。利益を得るだけが幸せでもない。公的な価値の創造者としても大いなる働きができるはずだ」、と述べられております。
 確かに欧米先進諸国に比べれば、日本の場合はその立ちおくれが目立ちますけれども、決してその素地がないわけではないと思います。例えば、一九九一年二月に電通総研がビジネスマン四百人を対象に実施したアンケート調査がございます。二つの設問を設けておりまして、Aとして、公害の防止、公正な取引、従業員の福利厚生など、いわゆる企業の社会的責任に配慮しながら、消費者のニーズに合った商品やサービスの供給を効率よく果たすこと、Bとして、今の内容に加えて、さらに事業と直接に関係ない分野でも公共の目的、環境保全とか教育とか福祉、文化の振興などのために資金や人材、施設などの経営資源を活用すること、このどちらを選ぶかという調査で、Aだけやると答えた人は三四%であったのに対して、Bと答えた人が実に六六%に達しているという数字がございます。また、総理府の調査によりますと、日本の公益法人は二万五千団体を超えて、その年間総事業費は十兆円に達していると言われております。
 例えば、皆さんの記憶に新しいところでは、あの北海道南西沖地震の際の義援金でございますけれども、日本赤十字社を通じて一カ月の間に集まった義援金が実に七十五億円に達しました。この事実を見ても、我が国に個人、企業、団体を問わず、公益寄附の文化が決してないわけではありません。確実に浸透しているし、広がっていることを示す数値だと思います。
 少し前置きが長くなりましたけれども、以上の現状認識に立って質問に入りたいと思います。
 まず第一、本県におけるフィランソロピー、メセナの現状についてどう把握しておられるのか、またどう支援、対応しておられるのか、お答えをいただきたい。
 第二に、本県においてこの数年、県立美術館等、文化的施設が相次ぎ立地し、開設されていきますけれども、これを機に文化振興、芸術振興の機運を大いに盛り上げるべきであろうと思います。決して、俗に言われる箱物行政に終わらせてはなりません。建物がいかに立派であっても、その施設を拠点として、文化活動、芸術活動が生き生きと根づかなければ意味がないのであります。このことについて、知事公室長のご所見を賜りたい。
 第三に、本県の文化活動、芸術活動の拠点と言えば県民文化会館でございますが、この県民文化会館に関する幾つかの問題点を指摘し、公室長のお考えをお聞きしたいと思います。
 第一点、何のための県民文化会館かということでございます。いわゆる政策理念の問題、言いかえれば自主事業の問題であります。主催事業が自主事業という考え方は正しくないと思います。自主事業が、それに触れた県民の文化意識の発揚を促し、活動にいざない、また民間の文化活動、芸術活動の拠点として大いに活用され、その運動を支援するものでなければなりません。年間に何回かの主催事業を行い、あとは貸しホールになっているというだけでは、本当の意味での文化の拠点とは言えないのであります。
 日本全国のいろんな先進例がございますけれども、そのうちの三つだけ紹介をしたいと思います。
 藤沢市、ここは市内に在住する音楽家や文化団体、会館職員等がスクラムを組みまして、藤沢市文化会館を拠点にして市民オペラを成功させました。今、市民オペラのある湘南の文化都市の雰囲気が町の中に広がっていると聞きます。
 また長野県飯田市、リンゴの町並木で有名な町でありますけれども、ここに市民、演劇人、行政が一体となって毎年町ぐるみの人形劇カーニバルを開催いたしておりまして、人形劇専用ホールをつくり、最近では国際人形劇祭りも成功させ、人形劇の町というイメージをつくり出しております。
 さらに東京墨田区、新日本交響楽団と文化会館の間でフランチャイズ契約を結んで音楽の町づくりを目指しております。この前例のないフランチャイズ契約が、これからの公立文化会館の一つのあり方として注目されていると言われております。ひとつ、ご答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 第二点、運営が管理主義、規則主義になっていないかということ。例えば、休館日の問題。民間のこうした文化ホールというのは、年間ほとんど休館日というのはありません。公立の文化会館だから毎週一回火曜日が休みという発想はもう古いのであります。文化会館では年じゅう何か文化活動が行われておって、そこに行けば文化活動に触れられる、芸術に触れられるというのが当たり前だと思います。例えば、高崎市のコンサートホールや吹田市の文化会館は年中無休に改めたと聞いております。
 第三点、開閉館時間の問題。例えばリハーサルに熱中している人たちが時間のたつのも忘れてリハーサルに取り組むということは多々あると思います。しかしながら、九時半の閉館時間だからといって中途で追い出されるということが過去に何度もあったように聞いておりますけれども、この閉館時間も考えてはどうかと思います。高崎のコンサートホールは、閉館時間を十一時に延長したところ、利用者に大変好評だと聞きました。
 第四点、舞台、楽屋、けいこ場、道具製作場、道具置き場等の附帯設備の問題であります。真に利用者の立場に立ってつくられているかどうか、スペースは十分に確保されているかどうかという点、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
 第五点、館長等のスタッフの問題。県庁組織の中の一部として、二、三年間、腰かけのように館長が他の部署から来て座るというのでは、本当の意味での文化活動、芸術活動への造詣の深さ、愛情の強さは期待できないと思います。加えて、プロパー職員のやる気をそぐ原因にもなりかねないと危惧するものであります。水戸市の水戸芸術館では館長職を芸術専門家に委嘱し、また熊本芸術館では有名な鈴木さんに館長を依頼したというようなことも報道されております。この点についても、ぜひともお答えを賜りたいと思います。金は出すけれども口は出さないというのが本当の意味での文化に対する行政の支援のあり方だと私は思います。
 第六点、周辺整備の問題。文化ホールが文化的な雰囲気を町の中に醸し出すためには、周辺の雰囲気づくりも大変重要だと思います。催し物に触れて観客の人たちが華やいだ気持ちになり、また文化の薫りの余韻を楽しもうと思っても、県民文化会館を一歩出るともう既に道は真っ暗で店も閉まっていると、それではせっかくの熱も冷めてしまうのではないか。例えば、今触れた文化活動の余韻を楽しみたい、語り合いたいと思えば、そこにレストランや喫茶店があいている、ゆっくりと話し合える、あるいは通りが明るくライトアップされておって、そこを散策することでそういう余韻に浸れると、そういう文化の薫りある町づくりをすることが大事だと思います。
 本年はあたかもリゾート博開催の年でございますので、例えば和歌山駅からの通り、あるいは和歌山市駅前の通り、さらにはこの県庁前の通りをライトアップすることによりましてそうした雰囲気づくりもできると思いますので、この点についてお答えを賜りたいと思います。
 第三に、紀淡海峡大橋について申し上げます。
 ここ数年、大阪湾ベイエリア構想、第二国土軸構想が単なる夢物語、構想から明確な将来的プロジェクトとして急浮上してまいりました。すなわち平成三年度、建設省において大阪湾環状道路関連調査として大規模道路事業調査が開始されたのを皮切りに、平成五年、本県並びに建設省、兵庫県の三者共同による紀淡連絡道路の現地調査に着手いたしました。また、第十一次道路整備五箇年計画の中で大阪湾環状道路の一環として事業の具体化を図るとの位置づけが行われ、先ごろの政府予算の大蔵内示において新交通軸調査費が認められました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 新交通軸調査の箇所づけはまだ決定していないと聞き及んでおりますけれども、今後、紀淡海峡大橋への箇所づけについてその見通しはどうか、また平成五年度に続いて建設省、兵庫県との三者で行う紀淡連絡道路調査の新年度での対応について、加えてこの紀淡海峡大橋が第十二次道路整備五箇年計画の中でどのような位置づけが行われ、事業化に向けてどのような手順、めどで進められるのか、土木部長のご答弁をお願いするものであります。
 紀淡海峡ルートは大橋方式に限ると、私は昭和六十年九月の和歌山市議会本会議の一般質問の中で初めて提案をして以来、たびたび申し上げてまいりました。それは、瀬戸内海国立公園の風景とマッチして新たな一大観光名所になること、トンネル内で起きる空気汚染等の対策の面倒がないこと、友ケ島等、中間の部分を有効に生かせること、取りつけ部分が海峡近くで他の道路等との連絡が容易であること、建設コストがトンネルより安くなると考えたからでございます。紀淡海峡トンネルを初めて提唱された知事としては、トンネル方式への思い入れもございましょうけれども、諸般の情勢等により紀淡海峡大橋の実現に取り組む今のご決意をぜひとも聞かせていただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。
 第四点、物流基地について触れたいと思います。
 平成五年三月十四日、大阪府関西国際空港地域、大阪港、神戸港、松山港、北九州港、長崎空港地域の六カ所が地域輸入促進計画の承認を受けました。これは日米経済協議の中でもうたわれておったことでございまして、港湾、空港及びその周辺の地域において輸入貨物を取り扱う製造・卸・小売運輸業者の集積を図り、これら輸入ビジネスの振興を図るため、その基盤整備を進めるためのものでございます。これらの地域を輸入促進地域、FAZ(フォーリン・アクセス・ゾーン)と呼んでいるものでございます。近く新たに数カ所が認可される見通しでございます。
 一方、今世界において、自動車の排ガスが主原因とされる地球温暖化や酸性雨の深刻な被害に対する反省と、トラック運転手不足とか道路混雑等の要因から、トラック輸送から鉄道や船舶を見直そうという、いわゆるモーダルシフトが進んでおります。
 このような情勢変化の中で、近年、脚光を浴びてまいりましたのがテクノスーパーライナーでございます。テクノスーパーライナーとは、速力五十ノットで従来の船舶の二倍、積載量一千トン、航続距離五百海里、九百三十キロメートル、しかも波浪階級六程度の荒れた海でも安全に航行できる超高速貨物船でございます。このテクノスーパーライナーが実現すれば、北海道から九州まで一日圏、また東南アジアも一日から二日で結ばれると聞いております。そう遠くない将来に実用化が見込まれるテクノスーパーライナーの母港を関西圏で考えた場合、東南アジアに最も近く、しかも外洋に面している和歌山県が非常に有利ではなかろうかと思います。大阪湾内は狭い上に航路がふくそうしており、適地とは言えないと思います。すなわち、関西経済圏の表玄関として和歌山下津港あるいは日高港がテクノスーパーライナーの基地として好適地ではないかと思いますので、FAZとの絡み等々の中で、ぜひともこの点について関係部長からご答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、政治改革の問題について一点申し上げたいと思います。
 足かけ六年に及ぶ政治改革論議がようやく結実いたしまして、三月四日、参院本会議において政治改革関連四法案が可決されました。リクルート疑惑、共和事件、佐川急便問題等々、相次ぐ不祥事件が国民の政治不信をますます募らせ、国民の怒りはその頂点に達していると言っても過言ではありません。細川政権が誕生して約半年、紆余曲折の末にやっと政治改革関連四法案が成立を見たところでございまして、この点についてはご同慶の至りと申し上げたいと思います。私たち政治家は、長及び議会議員たるを問わず、さまざまな形で権力に携わるだけに、公私の別なく、みずからに厳しく有権者、国民の前に模範を示さなければならないと思います。したがって、個人的部分においても、場合によっては有権者の監視の目にさらされることも少なくなく、この議場におられる先輩・同僚議員の皆さんも同じ経験をされたことと存じます。ましてや、長及び議員という肩書をもってする行為は、私人ではなくすべて公人としての行いであります。私たち政治家は、公人として行動することを要求される以上、関係法の規定を守り、その行動には一定の制約を受けることになると思います。
 そこで、本題に入ります。
 去る一月七日、和歌山市の皮革産業会館で行われた和歌山県製革事業協同組合新年互礼会において、国会議員から金一封をいただいたとの司会者からの紹介がありました。また同じく一月二十六日、和歌山県電気工事工業組合新春懇親会でも同様に、○○先生から金一封をいただいたという紹介がございました。後日、この件に関して出席した人から和歌山西署に対して抗議や問い合わせがあり、これを受けて二月十日、秘書を呼んで事実関係の調査が行われ、てんまつ書がとられ、警告が発せられたと聞き及んでおります。
 ここまでの経過であれば、私、ここで取り上げることもございませんでした。しかしながら、警察当局によって警告を受けてから二週間もたたない二月二十二日、またもや同じ行為を繰り返したのであります。このことはマスコミによっても報道されておりますので、ご披露申し上げます。すなわち、二月二十三日付の毎日新聞でございますが、「会費名目で寄付?」ということで、粉河町の老人クラブで開かれた行事に同じ秘書が出席して寄附をした、それが披露されたということでございます。中国のことわざにいわく、「政は正なり」──政治の「政」は「正しい」の「正」、「政」という字は「正」に通じる、政治の根本は為政者がその身を正すことによってすべてを正しい方向に導くことができるということでございます。
 私たち政治に携わる者は、法の精神を守り、みずからの襟を正し、範を垂れてこそ国民の皆さんの政治への信頼回復も図れると私は存じます。この事例について、警察本部長、選挙管理委員長のご答弁を賜りたい。また選管委員長には、この罰則についても、どのようになっているのか、あわせてご答弁を賜りたいと思います。
 以上をもちまして、質問を終わらせていいただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の全体構想のボーリング調査費がついたが、全体構想実現に向けての取り組みへの決意ということでございます。
 お話ございましたように、関西国際空港は本年の九月四日に開港いたすわけでございます。振り返ってみると、埋立土砂の問題、三点セットの回答の問題、長い年月の経過とさまざまの難問があったわけでございますけれども、県議会の皆さんのご協力をいただきながら本年開港を迎えるということ、非常に感慨深いものがございます。
 全体構想については、ボーリング調査費が過去二年間、見送られた経過もあるわけでございます。調査費の一部地元負担を合意するなど、地元としての最大限の熱意を国に訴えてきたところであるし、また県議会の皆さんにも大変ご支援をいただいたわけでございます。ボーリング調査費が認められたということは、全体構想の早期実現に向かって大きな前進を遂げたものだと思っておるわけでございます。
 私も、政府の予算案編成時に運輸大臣や二階政務次官等に、調査と並行して全体構想の計画案を早期に策定するよう強く要請してきたところでございまして、ぜひとも平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画で着工が認められるように、地元としての地元案の早期策定にも取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、紀淡海峡大橋についてでございます。
 紀淡海峡ルートは、大阪湾の環状交通体系のかなめをなすものでございまして、本県を国土軸上に位置づける非常に重要なものだと思っておるわけでございます。平成四年には近畿と四国の関係団体で紀淡海峡交流会議を設立いたしまして、紀淡海峡ルートの実現に向かっておるところでございます。
 お話ございました紀淡連絡道路については、建設省が第十一次道路整備五箇年計画に位置づけており、私も非常に喜んでおるところでございます。また、これに対して調査費の一部を県でも持つという形で積極的な協力を進めているわけでございます。今後は、平成九年度までの第十一次道路整備五箇年計画内での早期の具体化に向けて積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
 他の問題については、関係部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えをいたします。
 まず、全体構想の調査費の中で本県の負担分についてでございます。
 平成六年度関西国際空港の全体構想に関する調査費九億九千八百万円のうち地元負担額は四億八千四百万円で、自治体と経済界は一期工事と同じ五対五で配分することといたしてございまして、本県負担分は一千七百万円余となる予定でございます。なお、経済界の負担分については、大阪府、大阪市、関西経済連合会、大阪商工会議所の四者で調整が行われると聞いてございます。
 次に、全体構想の成否は第七次空港整備五箇年計画の中でどう位置づけられるかにかかっているというご質問についてでございます。
 先ほど知事から答弁がありましたように、平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画に工事着手を明確に位置づけていただくためには、来年度中には地元の基本的な考え方を示すことが必要であると考えてございます。
 現在、全体構想推進協議会において学識経験者等による専門委員会を設置し検討を進めているところでございますが、事業費の抑制や地元負担のあり方、開発利益の還元といった非常に大きな課題もございますので、県議会のご意見をいただきながら、関係団体とも連携をとり、早急に地元の具体案を策定するよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、兵庫県の対応についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、兵庫県は三点セットについて一期計画に対してのみ回答しているとのことでございますが、ボーリング調査が二年連続で見送られ、地元の団結を一層強化するため、昨年四月、兵庫県、神戸市、神戸商工会議所を含むオール関西で関西国際空港全体構想推進協議会を設立し、現在、地元の具体案、地元負担のあり方等についてともに検討しているところでございまして、地元一丸となって早期実現のために取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港の国内便についてでございます。
 議員お話しのように、運輸省と航空会社の間で三月末ごろを目途に調整が進められてきたところでございますが、路線、便数の確定までには今なお時間を要すると聞いてございます。
 路線については、札幌、東京、那覇等の主要都市を初め、仙台、福岡、鹿児島等々、多数の都市とのネットワークに向け調整中であると聞いてございます。また便数については、目標の七十便の確保は昨今の航空不況から見て極めて厳しい状況であると考えてございますが、私としては五十五ないし六十便程度は確保していただけるものと期待をいたしてございます。
 次に、和歌山マリーナシティの進捗状況と今後の展望についてでございます。
 燦黒潮リゾート構想では、和歌山マリーナシティの上に多様なリゾート施設を整備することとしてございます。このうち、MCA社の企画、設計によるポルト・ヨーロッパや地元漁協との協力によるフィッシャーマンズワーフなど、世界リゾート博の開幕に合わせるべく現在建設中でございまして、博覧会終了後はさらに千百隻のマリーナやホテルなども逐次整備していくこととなってございまして、年間約三百万人の入り込み客が見込まれるリゾート地が形成されることとなってございます。
 次に、田辺、白浜地区の状況についてでございます。
 昨今の厳しい状況の中ではございますが、民間事業者によるリゾートホテルが建設される一方、田辺市の新庄総合公園の整備など、一定の進捗を見ているところでございます。県といたしましても、地元の市や町のこうした地道な取り組みを支援するとともに、民間事業者の誘致を図るなど、今後ともリゾート整備の推進に努力してまいる所存でございます。
 次に、都市型ホテルの立地についてのご提言でございます。
 本県にとって、高度な都市機能、商業機能等の整備充実は極めて重要な課題であると考えてございます。
 現医大は、平成十年度に紀三井寺地区への移転整備が完了する予定でございますが、跡地となる土地の全体面積は約一・七ヘクタールと和歌山市の中心部における数少ない大規模な土地でございますので、関西国際空港のインパクトを最大限に活用できるような都市機能の整備について、議員のご提言も踏まえ、研究してまいりたいと存じます。
 次に、議員からご提言のありました、関西国際空港のインパクトを活用し、コスモパーク加太にサッカーのメッカとなるような球技場、複合施設の誘致、立地をしてはどうかというお話でございます。
 先ほど尾崎議員にもお答えいたしましたように、今後、総合運動公園等の施設立地について総合的な見地から積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 最後に、物流基地とテクノスーパーライナーについてのご質問でございます。
 議員お話しのとおり、その高速性や輸送力等からモーダルシフトの中心的役割が期待されているところでございます。本県においては、九月に開港する関西国際空港の至近距離に位置するという利点、大阪湾ベイエリア地域の入り口に位置し、外洋に面する港湾を有するという利点など特性を生かし、テクノスーパーライナーの導入を核とした近畿圏における新たな物流拠点、陸・海・空の物流機能をあわせ持った複合輸送拠点の形成を図るべく、現在、京都大学の吉川先生を委員長として調査を進めているところでございます。この調査の一環といたしまして、一昨年、運輸省の戸田海上技術安全局長に、また去る三月七日には坂井港湾局長、さらにはテクノスーパーライナー技術研究組合の中曽理事長にそれぞれご講演をいただいたところでございます。今後とも、和歌山県にテクノスーパーライナーの母港を設置していただくため、地元の経済界と一体となって地域としての取り組みを強化するとともに、国、関係機関に対し強く働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 知事公室長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 森議員にお答えいたします。
 フィランソロピーとメセナ活動は、いずれも企業や個人がみずからの発想によって公益活動に対して資金的な援助を行い、地域社会の発展のために貢献していこうとするものでございます。行政といたしましては、そうした熱意を大切にしていかなければならないと考え、また積極的な活動に期待しているところでもございます。本県においても、これまで企業や県民の皆さんからさまざまな形で、教育、福祉、文化等の多方面にわたり、社会貢献としての支援をいただいております。
 また企業メセナの実態といたしましては、企業メセナ協議会が毎年メセナ活動の啓発と普及を目的に実態調査を実施しており、和歌山県下では五十八社が対象となってございますが、平成五年度調査結果では企業メセナの機運が着実に浸透している状況となってございます。
 いずれにいたしましても、企業や県民の皆さんが地域社会に貢献しようとする意識をはぐくんでいただくことが重要であると考えておりまして、ご提言のあった趣旨を踏まえ、幅広く企業や県民の皆さんの意見の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県立美術館等の開設を機に、文化振興、芸術振興の機運を盛り上げてはということでございます。
 近年、社会状況の変化とともに国民の文化に対する関心が大きな高まりを見せ、文化振興に対する期待もまた大きくなってきてございます。県では、県民の皆さんがすぐれた芸術、文化を鑑賞し、創造していただくため、各種文化施設の整備充実に努めてきたところでございます。昨年、きのくに志学館を開館したのに続いて、本年は新美術館、博物館、県民ギャラリー、万葉館、わかやま館が開館する運びとなってございます。これらの文化施設を、今後、文化活動の拠点として、さらには和歌山文化の発信基地としていかなければならないと思ってございます。
 また、いわゆるソフト事業の振興についても、例えばことしで第二十七回を迎える県民文化祭の開催や全国大会への支援、あるいは県民文化会館の自主企画事業の開催など、できるだけ多くの皆さんに参加と鑑賞の機会を提供すべく努力しているところでございます。今後とも、さらに展示内容やソフト事業の展開など、施設の運営に当たって創意工夫を図ってまいります。
 次に、県民文化会館の諸問題について、まず自主事業の問題についてでございます。
 県民文化会館の役割は、県民の皆さんにすばらしい芸術を鑑賞していただくとともに、文化活動の場と機会を提供することにより地域文化の創出を図っていくことだと思います。その意味から、自主事業については、鑑賞型事業と会館独自の企画による参加創造型事業を順次実施してきたところでございます。特に参加型事業については、議員ご指摘の役割も十分認識しながら実施しておりまして、例えば、県内の演劇活動を支援する県文プロデュース公演、また音楽を志す新人を発掘する新人演奏会、さらに各文化団体が力を合わせて舞台をつくり上げていくクリスマスフェスティバル、そして音楽、演劇等、各分野の底辺を広げる研修講座を開催するなど、県民の皆さんの活動意欲を支援する形で実施してきたところでございます。今後とも創意工夫を重ねながら、多くの文化団体の皆さんの参加を得て、特色のある自主事業をさらに検討してまいります。
 次に、休館日の問題についてでございます。
 職員の労働時間や電気設備、また舞台設備等、ホールの安全確保のために保守点検等の実施が必要でございまして、現状においては厳しい状況でございます。また、閉館時間は午後九時三十分となってございますけれども、やむを得ない場合は延長を認めてございます。今後とも、利用状況に応じて適宜対応してまいりたいと考えております。
 次に、舞台、楽屋、附帯設備についてでございます。
 道具製作場、道具置き場等の新設については現在の施設構造上困難でございますが、ますます多様化する舞台、照明、音響装置等に対応すべく、現機能を生かしながら利用者の便宜を一層図ってまいります。
 次に、スタッフ職員の問題でございます。
 県職員、法人職員ともども、地域文化の発展のためにプロ意識を持って取り組んでいるところでございますが、今後とも館長を中心として職員が一丸となって県民文化会館の運営に取り組み、県民文化の振興に寄与してまいりたいと思います。
 最後に、周辺整備の問題でございます。
 県民文化会館も、開館二十三年の間、何度か改修を加えて、常に来館者の皆さんに気軽に気持ちよく使っていただける雰囲気づくりを心がけてきたところでございます。また、今年中に会館広場に花壇を設置するともに、近代美術館跡を活用して県民ギャラリー、県民ロビーを新設し、来館者の皆さんの語りの場、憩いの場をつくることとしてございます。今後とも、県民文化会館のイメージアップに一層努めてまいります。
 なお、周辺環境整備のライトアップについては、議員ご指摘の点も十分踏まえて関係部局と相談してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 紀淡海峡大橋についてお答えを申し上げます。
 まず、新交通軸調査の箇所づけでございますが、この調査は、経済社会調査や技術開発の共通調査と各プロジェクトの計画調査に分かれておりまして、予算成立後、その割り振りを行い、各地で提唱されている地域開発構想と交通軸の条件、熟度等に応じて箇所づけをされる予定と聞いております。
 次に、本県と建設省、兵庫県の三者で行っている調査の新年度の対応でございますが、平成五年度に引き続き、建設省においては主に経済社会調査等を行い、両県においてはボーリング、風及び地震の観測、環境調査、船舶航行調査等を実施する予定であります。
 次に、第十二次道路整備五箇年計画の中での位置づけでございますが、この十二次五計の検討はまだ行われておりません。いずれにいたしましても、十一次五計でどれだけ調査が進むかによって次の五計にどう盛り込まれるのか大きな要素となりますので、早期に調査を進め、事業化できるよう、国にも強く働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 森議員にお答えをいたします。
 テクノスーパーライナーの基地化に伴うフォーリン・アクセス・ゾーンの指定についてでございます。
 海上高速輸送機関の開発によって物流に大きな変革が生じることと存じますので、現在実施されている国際複合輸送拠点調査の結果等を踏まえながら今後検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 警察本部長西川徹矢君。
 〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 森議員にお答えいたします。
 ご指摘の各事案のうち、公選法第百九十九条の二に抵触するとして既に警告しておるものもございますが、その余の事案については現在調査中でもございます。詳細については答弁を差し控えさせていただきます。
 警察の選挙違反取り締まりに対する基本的な考え方でございますが、警察は選挙違反取り締まりを通じて選挙の公正確保に寄与するという責務を有しておりまして、不偏不党かつ厳正公平な立場を堅持して選挙違反取り締まりに当たるべきものと考えております。したがって、寄附の禁止違反についても、今後とも事案に応じて適切に警告あるいは検挙措置を講じ、取り締まりの実効を期するよう努め、県民の期待にこたえることといたしたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 選挙管理委員会委員長鈴木俊男君。
 〔鈴木俊男君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(鈴木俊男君) 森議員の選挙管理委員会に対する質問にお答えをいたします。
 実は、昨年の二月議会で選挙管理委員に選任をいただいてから約一年たちまして、当局側の席に座らせていただいておりますが、答弁をさせていただく機会はなかなかないものだなと思っていたやさきにご質問をいただきました。張り切って答弁をさせていただきます。
 ご質問の内容については、選挙管理委員会といたしましては新聞報道等で承知いたしているところでございますが、その事実関係について調査する立場にはございません。ただ、公職選挙法で禁止されている寄附については、ぜひこの機会にご説明をさせていただきたいと考えてございます。
 ご承知のとおり、国会議員、地方議会議員、また知事、市町村長といった公職についている人やその候補者は、公職選挙法第百九十九条の二第一項によりまして、選挙区内の住民に対して政治集会等において必要やむを得ない実費の補償として行う場合以外は一切の寄附が禁止されております。また、たとえ政治家本人以外からの寄附であっても、その政治家を名義人として行われる寄附は、同条第二項によりまして、やはり禁止されております。これは非常に厳格に解釈されておりまして、中元、歳暮はもちろん、親しい友人に対する祝儀、香典、お祭り等の寄附など、従来から慣行として行われているものであっても、およそ寄附と言われる限り、すべて禁止されるものでございます。
 次に、寄附禁止の罰則についてであります。
 公職選挙法第百九十九条の二の寄附禁止の規定に違反した場合には、公職選挙法第二百四十九条の二によりまして、その寄附が選挙に関係なく行われた場合や通常一般の社交の程度を超えない場合であれば二十万円以下の罰金、さらに政治家本人が選挙に関して行った場合や通常一般の社交の程度を超えて寄附を行った場合には最高一年以下の禁錮刑が科せられることになってございます。
 選挙管理委員会といたしましては、「贈らない、求めない、受け取らない」の三ない運動をスローガンに、寄附行為の禁止について政治家、有権者の方々のご理解を深めていただくために日ごろから懸命な啓発活動を行っているところでございますが、議員ご指摘のような慣行として行われているような寄附についても、決して行ってはならないことを今後とも強力に啓発をしてまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。

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