平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成六年三月九日(水曜日) 午前十時五分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
過日提出のあった議案第二十六号から議案第二十八号まで、及び議案第四十四号、議案第四十六号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
職員に回答文を朗読させます。
〔職員朗読〕
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和人委第391号
平成6年3月2日
和歌山県議会議長 宗 正 彦 殿
和歌山県人事委員会委員長 水 谷 舜 介
職員に関する条例の制定に係る意見について
平成6年2月28日付け和議会第340号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
記
議案第26号 職員の分限に関する手続き及び効果に関する条例の一部を改正する条例
議案第27号 職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例
議案第28号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第44号 警察官に対する支給品及び貸与品に関する条例の一部を改正する条例
議案第46号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
意 見
上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(宗 正彦君) 次に、報告いたします。
お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、知事から議案の追加提出がありました。
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財第215号
平成6年3月9日
和歌山県議会議長 宗 正 彦 殿
和歌山県知事 仮 谷 志 良
和歌山県議会平成6年2月定例会追加議案の提出について
地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
議案第55号 平成5年度和歌山県一般会計補正予算
議案第56号 平成5年度和歌山県農業改良資金特別会計補正予算
議案第57号 平成5年度和歌山県林業改善資金特別会計補正予算
議案第58号 平成5年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算
議案第59号 平成5年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
議案第60号 平成5年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計補正予算
議案第61号 平成5年度和歌山県職員住宅特別会計補正予算
議案第62号 平成5年度和歌山県物品調達特別会計補正予算
議案第63号 平成5年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
議案第64号 平成5年度和歌山県印刷事業特別会計補正予算
議案第65号 平成5年度和歌山県営競輪事業特別会計補正予算
議案第66号 平成5年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
議案第67号 平成5年度和歌山県市町村振興資金特別会計補正予算
議案第68号 平成5年度和歌山県自動車税等証紙特別会計補正予算
議案第69号 平成5年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
議案第70号 平成5年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
議案第71号 平成5年度和歌山県電気事業会計補正予算
議案第72号 平成5年度和歌山県工業用水道事業会計補正予算
議案第73号 平成5年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
議案第74号 平成5年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第75号 工事請負契約の締結について
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、ただいま報告の議案第五十五号から議案第七十五号までを一括して議題といたします。
議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
今回追加提案いたしました補正予算案は、冒頭ご提案いたしました国の総合経済対策に係る補正予算以外の平成五年度予算の所要の補正であります。
まず、一般会計の補正総額は百三十二億円余の増額となり、その主な内容としては、特定資金公共事業債いわゆるNTT債の繰り上げ償還、県債管理基金への積み立て、公共事業、災害復旧事業等の事業費の確定に伴う所要の補正であります。
また、特別会計、企業会計においても、事業費の確定等に伴う所要の補正を行っております。
続きまして、その他の案件といたしまして、議案第七十四号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第七十五号は南紀新空港建設に係る工事請負契約の締結についてであり、それぞれ議決を求めるものであります。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第二、議案第一号から議案第五十四号まで、並びに知事専決処分報告報第一号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
6番尾崎吉弘君。
〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 まず、今議会に上程された予算案件につきまして質問を進めてまいりたいと思います。
我々地方の当初予算というものは国の予算、地方財政計画というものを参考にしながらつくっていくものでありまして、今回のように一カ月余り国の予算がおくれたというのは異例のことでありましたので、県当局は大変ご苦労されたと聞いております。地方行政の立場から、また速やかに景気対策を講じていくという立場から、かかることのないように強く希望をするものであります。
こうした大切なときの予算でございますが、この予算において何を最重点として編成されたのかということをまず知事にお伺い申し上げます。
景気と言えば、けさの新聞にも、住友金属工業株式会社が四千三百人の人員の合理化を行って一万五千人体制を確立するということを大きく報道されております。今までも三千人の合理化ということが言われておったわけでありますけれども、加えて千三百人の増加ということであります。
住友金属は、和歌山でもそうでありますけれども、いわゆる世間で言う首切りというような形ではなしに、出向という形で、関連会社その他に社員を外に出すという形をとりながら人員を減らすということ、いわゆる首を切るというような事態にならないようにご努力をされてきておるところであります。しかし、だんだんとその関連会社や他の企業の出向社員を受け入れる容量が減ってきているのではなかろうかということも心配されるわけでありますが、景気ということに対して大変大きな関係がございますので、こういうことについての関係部長の見解を求めるものであります。
また一方、住友金属は、株主に対する配当が無配になる、遺憾であるが、そうせざるを得ない、そして景気の見通しとして、平成六年はさらにこの環境が悪化するとの見解を発表しておるわけであります。後ほど景気の見通しについて総務部長にもお伺いしますが、その中においても、こういうことも加えてご答弁を願いたいと思うのであります。
今回の予算の中で、景気対策としてどのような手を打たれているのか、国の総合経済対策への対応を含めてお伺い申し上げます。
次に、今年度の予算は四%の伸びという、こういうときに思い切って積極的な予算をつくられたわけでありますけれども、これを支えたのはいわゆる借金で、対前年度と比較して三三%増の県債の発行をいたしております。県債依存の将来は財政構造の硬直化を招くおそれがないのか、心配されるところであります。総務部長のご所見をお聞かせいただきたいのであります。
県税につきましては、三年連続して減収いたしておりまして、前年度と比べて五十八億円という大幅な県税の減収でありますが、その要因、そしてその税の主なもの、また今後の税収の見通しについても、あわせてお伺いを申し上げます。
その次に、県信の問題でございます。
今回の予算において五十億円という支援融資を図って県信の健全化を進めるということになっておりますが、和歌山県が特定の金融機関に対して支援をするということはどのような考え方のもとに決定をされたのか、県の方針をお伺いするものであります。
また、県信みずからリストラを前提とした再建計画をつくっておるわけでありますが、この計画によってどんな経営の改善を図っていくのか、それをお示し願いたいのであります。
また、和歌山県、紀陽銀行、全国信用組合連合会の共同支援を得て、その再建のめどをどのように考えておるのか。また、人材も派遣するということでありますが、どんな人をどんなところに派遣しようと考えておるのか、あわせてお伺いを申し上げます。
続いて、住友金属西防埋め立ての問題でございます。
平成三年の五月、住友金属と和歌山市の電力立地誘致を希望するという表明がございまして、この議会でもいろいろと意見が出されてまいりました。民間企業が埋め立ての申請をして途中で埋め立ての変更をするということは全国で初めてでありまして、そういう意味では大変な問題でもございます。
一方また、和歌山県といたしましては、産業廃棄物の処理場としての役割も果たしておりますし、またこの埋め立てが環境を改善していくんだという理由のために認められた埋め立てであるということ、そしてこの土地が和歌山下津港内においても重要な役割をする土地であるということ、こういう点をいろいろと考えてまいりますと、その処理の仕方が大変難しいと思われるわけでありまして、知事が当初、情勢の推移を見きわめつつ適当な段階で指導し、具体的な変更申請がなされたときに判断すると表明されたのも、無理のないことであったと思うわけであります。あれから三年、これだけの土地利用を民間だけに委託しておくというような格好で進めるのではなしに、私は、そろそろ知事が土地利用の検討の主体になってこの問題の解決に乗り出すべきではないかと考えておりますが、まずこの点について行政としてどのように考えておられるか、知事の見解をお伺いしたいと思うのであります。
次に、西防問題の前提として、環境改善目標の達成について明確な見通しが必要であります。そこで保健環境部長に、この環境問題の現状、今後の西防跡地利用を含んだ見通しを伺っておきたいと思います。
次に、ぜひともそうしてもらいたいのでありますが、県がこの問題について主体的に取り組んでいくというふうにしてまいりますと、そのためには中期、長期的にどんな取り運び方をしていくのかということがその次の問題として浮かび上がってくるわけであります。これについての土木部長のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
一方でこの土地の利用計画を検討して、また一方で第三工区の埋め立てを継続しているということについて、地域の切実な問題として何らかの解決策を見出さなければなりません。例えば、この埋め立て中の土地の一部を広く県民の用に供し、あるいは和歌山下津港の発展に供するという観点から、現実的な解決策を求めていくべきだと思うのであります。こうした解決策の可能性について土木部長の答弁を求めます。
また、港湾、産業、都市再開発、環境改善、そしてまたその誘致が言われている電力、こういったものを総合的な視野から進めていくといたしますと、県がイニシアチブをとるわけでありますが、中でもぜひ企画部がその中心になるべきだと考えております。この問題の締めくくりとして、最後にこの点について企画部長の答弁を求めるものであります。
次に、河西緩衝緑地についてでございます。
昭和五十七年に河西の緩衝緑地が都市計画決定をされております。ところで、この三月二十七日に県は環境事業団に建設委託してまいった西松江の緑地の竣工式をとり行う旨、私もご案内をいただいて出席する予定にしておりますけれども、しかし、県が都市計画決定した区域の一部には、いまだ未完成の区域が残っているのであります。都市計画に定められた緑地は河西公園や農水省所管の松林、企業緑地も含められているので、新規に造成する緑地はおのずと定まってまいります。振り返ってみますと、住友金属が西防埋め立てを計画した際、この緑地計画はその中に不可欠なものとして包含されていたものであります。
そこで、土木部長にお尋ねいたします。
河西緩衝緑地として都市計画決定された区域と、そのうち完成したとみなしている区域はどのくらいあるのか。
次に、環境事業団が実施した緑地の面積は幾らであるか。また、いまだ施工しておらない面積はどれくらいになっておるのか。
次に、この計画が都市計画決定されたのは昭和五十七年六月で既に十二年を経過しているのに、いまだ施工されていない区域はどの付近で、どのようになっているのか、さらに、この工区の工事をやらねばならぬと思うがやるのか、明快にお答えをいただきたいと思うのであります。
次に、コスモパークの問題に移りたいと思います。
コスモパーク加太は我が県の極めて大きなプロジェクトとして県民の関心を集めてきたところでございます。そして、このコスモパーク加太の進め方の主たるあり方は、民間のノウハウを生かしてコスモパーク加太推進機構というものをつくって、そこでこの土地利用のあり方を委託していく、こういうような形で今もこの土地利用について検討中ということになっておるわけであります。しかし、この議場でもしばしば言われてまいりましたけれども、現下の経済情勢を素直に眺めますと、民間による土地利用は既に無理であるということが明白であります。
まず、県の土地開発公社が行っておる土砂採取及び関連事業はすべて銀行からの借り入れによって賄われておるわけでありますが、コスモパーク加太計画の事業を早く促進して土地を処分しなければ金利負担が増加して今後の事業採算性がとてもとれない、著しく採算性が低下いたします。そこで、土砂採取事業の収支の見通しはどうであるのか、借入金いわゆる借金の利息の累計及び平成五年度の利息はどうなっておるのか。
次に、今後のコスモパーク加太計画の総事業費を抑制する上からも、国の制度を活用した基盤整備及び公共用地の先行取得を行っていくということはどうか。先ほど申し上げましたように、率直に言って、既に民間のノウハウに期待して民間でこの土地利用を図っていくことは無理であるという現状でございますから、今申し上げておりますように、国の制度などを利用して基盤整備をしたり公共用地を先行取得する、こういうことを県が行ってはどうか。さらに、関西国際空港の開港に伴う影響、京奈和自動車道、紀淡ルート及び加太・岬スカイラインとこのコスモパーク加太計画との関連はどのように考えているのか。こういったこともお答え願いたいのであります。
次に施設立地についてでありますが、これまでにもこの議会において幾人かの方々から、コスモパーク加太に、あの価値ある土地にこういうものをつくってはどうか、ああいうものをつくってはどうかという提案がございました。一つは総合体育施設であったりいたしましたけれども、今までは全部、提案として聞きおきますというご答弁でございました。しかしながら、今まで申し上げてまいったような現下の情勢を考えますと、この際は県が率先して県民に広く親しまれ活用される運動公園──運動公園だけに限りませんが、運動公園等の施設立地を、提案としてではなくして自主的に真剣に考えてみてはどうかと私は思うのであります。それについての見解をお伺い申し上げます。
最後に、本年三月じゅうには県土地開発公社が行っておる土砂採取関連工事も終了すると聞いておりますが、本計画について、現在のこうした厳しい環境のもと、どう進めるつもりであるのか、企画部長の所見をお伺い申し上げます。
以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
第一は本年度の予算でございまして、予算の特色についてでございます。
私も、冒頭申し上げましたように、平成六年度は世界リゾート博の開催と関西国際空港の開港があるわけでございまして、これらのインパクトを最大限に生かして本県の飛躍発展を図らなければならない年であると考えておるところでございます。しかしながら、ご存じのように、バブル崩壊後において県税の収入も三年連続して前年を下回る状況でございまして、財政は非常に厳しい状況でございます。
以上の点を踏まえて、平成六年度の予算編成におきましては、従来以上に施策の緊急性、内容性等を十分精査しながら歳出の一層の節減合理化に努めるとともに、国の財源措置のある起債をこれまで以上に積極的に活用することといたしまして、また各種基金についても昨年を上回る大幅な取り崩しを行うなどの工夫を凝らしまして、真に必要と考えられる施策については的確に対応したところでございます。
具体的に申しますと、まず、バブル崩壊後、依然として低迷する景気の一日も早い回復を図ることを念頭に置きながら、道路網を中心とした総合交通体系の構築や生活環境整備等による社会資本の整備、さらにまた急速に進展する高齢化社会への対応、教育文化施設の充実等、本県がこれまで推し進めてまいった各般の施策の中でも特に緊急性の高いものについて、その充実を図ったところでございます。この結果、平成六年度の予算は地方財政計画を上回り、中でも県単独投資は三年連続して二けたの伸びを確保するなど、投資重点型の積極予算といたしました。
次に、景気対策でございます。
既に平成五年度から公共事業の前倒し発注を行っております。それに加えまして、昨年は六月、九月、十二月と過去に例を見ない大型の補正予算を編成するとともに、さきに決定された国の総合経済対策を受けた二月補正予算等も編成し、経済対策規模としては過去最大の対策を講じたところでございます。
また、六年度の当初予算におきましても、景気の回復を念頭に置いた投資的経費に重点的配分を行うとともに、中小企業金融対策として融資総額の大幅な拡大も図ったところでございます。
また、去る三月一日に県庁内に和歌山県景気・雇用対策本部を設置し、厳しい経営環境や雇用問題に直面している県内産業に対する対策を講ずることといたしたわけでございまして、これら施策のできるだけ円滑な執行に努めて景気対策の実を上げるよう、全力を尽くしてまいりたいと思っております。
次に、県信への支援をお願いしておりますけれども、これに対する基本方針でございます。
ご承知のように、銀行とか信用金庫などの金融機関については国が直接指導監督する金融機関でございますけれども、信用組合については、国からの機関委任事務によって県が指導監督する唯一の金融機関でございます。
現在、県信は県下に四十五店舗の営業所を有しておりまして、地域の金融機関として、県内の中小零細企業の振興や地場産業の育成に貢献している組合でございます。しかしながら、最近の進展する金融の自由化やバブル経済崩壊に伴う経済環境の激変により、組合独自の経営努力だけでは早急な経営改善は難しい状況となっております。このような状況が続きますと、県下の中小零細企業や地場産業、さらには預金者に対しても多大の影響を与えることが懸念されるわけでございます。
そこで、話ございましたように、まず県信自身が再建を図るための積極的なリストラを盛り込んだ再建計画の実行ということが第一でございます。そうした諸施策とともに、県、全国信用協同組合連合会及び紀陽銀行において協調支援体制を確立いたしまして、支援・指導を行うことによって県信の経営の健全化を図ってまいることを基本方針として、今議会に支援のための予算をお願いしているところでございます。
次に、住友金属の西防埋め立て問題についてでございます。
話ございましたように、平成三年の五月に住友金属の沖出し中止の希望表明がなされました。県としましては、公有水面埋立法上は具体的な変更申請がなされた段階で判断するものとし、情勢の推移を見きわめながら、適当な段階で行政としての立場から指導することを表明してまいりました。
住友金属の一部の施設の移転中止につきましては、まことに遺憾なことではございますけれども、鉄鋼業を取り巻く大幅な情勢の変化、環境の現状と今後の見通し、地元の理解が得られつつあることなどから、県としてもやむを得ないのではないかと考えているところでございます。
ご指摘のように、住友金属の希望表明から相当な時間も経過しておるわけでございます。現状を総合的に判断いたしますと、県としても主体的にこれに取り組み、第三工区は廃棄物処理のため埋め立てを継続させる一方で、この埋立地が広く県民の利益につながるよう、環境保全に留意しながら、公共、公益的な利用を含めて新たな利用計画を検討する時期ではないかと考えておる次第でございます。
今後、住友金属から何らかの意思表明等がなされれば、同社の一層の努力や和歌山市の積極的な取り組みとともに、知事として総合的な行政の立場から取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 尾崎議員のご質問のうち来年度予算についてのご質問、県債の増発についてでございます。
平成六年度当初予算においては約六百二十億円、前年度当初対比三三・〇%増の県債を計上しているところでございますが、この中には、今般の個人県民税の減税に対処するための減税補てん債約三十億円、従来の交付税措置が起債に振りかえられた財源対策債約七十二億円が含まれておりまして、これらについては、いわば交付税の振りかわりとしての性格のものでございますので、これを除くと六年度当初予算における県債は一一・二%増ということでございまして、単独投資の伸びに見合ったものになっているところでございます。
いずれにいたしましても、県債の発行いわゆる借金は後年度における公債費負担を伴うものでもございますので、発行予定の県債の約九割は後年度の元利償還金について交付税措置を伴うものを発行することとしておりまして、県財政の硬直化を招くことのないよう十分配慮しているところでございます。
次に、県税の見通しについてでございます。
平成六年度の県税収入につきましては、総合経済対策として先般実施された減税、地方財政計画、本県の産業構造の特殊性等々を踏まえ、慎重に見積もり作業を行ったところでございます。
まず、個人県民税でございますが、主として減税と給与所得の伸び悩み、営業所得等の減収ということで約三十四億円、率にして一八%の減収ということになっております。
また、法人二税につきましては、特に関係企業に業績照会などを行って見積もっているところでございますが、景気の低迷を反映して、製造業では、先ほど議員の方からご指摘がございましたように、住友金属を含む本県の基幹産業である鉄鋼産業を初めとして繊維、石油、機械器具等の不振が見込まれるほか、製造業以外の建設業、銀行業等、全般的に減収が見込まれまして、法人二税全体で約三十四億五千万円、率にして一一%の減ということになっております。
これら個人県民税、法人二税の落ち込みが大きく影響しておりまして、県税全体を見ますと、対前年度当初比九三・八%、五十八億円減の八百七十一億円を計上するということになったものでございます。
今後の見通しでございますが、景気が回復してまいると増収が期待できるということはございますものの、税収を大きく左右する法人二税については三月決算法人が多く、また個人県民税については、ご案内のように翌年度課税ということになっておりますので、いずれも平成六年度の税収には反映されにくいというふうな問題がございます。今後、経済動向を十分注意深く見守りながら予算計上額の確保に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 尾崎議員にお答えをいたします。
まず、住友金属工業株式会社のリストラ計画でございますが、今回の住友金属工業株式会社におけるリストラ計画の雇用調整につきましては、さきのアクションプランの三千人と今回の一千三百人を合わせて、全社で四千三百人の人員の合理化とのことでございますが、各事業所ごとの雇用調整数についてはいまだ確定していないと聞いてございます。県といたしましては、和歌山製鉄所へできる限り影響が出ないように住友金属工業株式会社に要請してまいり、雇用の安定に努めてまいりたいと存じます。
次に、県信の経営改善計画と再建の目途、人材の派遣について、一括してお答えをいたします。
まず、県信の再建計画による経営改善につきましては、現在、金融機関を取り巻く経営環境は、完全金融自由化を迎えるなど、一層厳しい状況となってございます。こうした中で生き残っていくためには早急な資産の健全化を図らなければなりません。しかし、景気の長期低迷の中にあって延滞債権の回収も予定どおりに進まず、収益を改善するところまでには至っていない状況でございます。
このような状況を踏まえ、県信では県下の中小零細企業の金融の円滑化や地域金融機関としての役割を果たしていくためには、知事からもお答えいたしましたように、思い切った経営のリストラを行い、経営の改善を図らなければならないという判断のもとに再建計画を策定したところでございます。
県信の再建計画の主な内容は、組合の経営努力として、まず相当思い切った経費の削減、人員の削減、店舗の統廃合等を行い、さらに延滞債権の回収につきましても、組合の最重点項目として積極的な回収に努め、経営の健全化を図るものでございます。これらの自助努力に対応いたしまして、県、全国信用協同組合連合会並びに紀陽銀行の総額三百五十億円の低利融資による資金的支援を行うことといたしております。
次に再建計画の目途についてでございますが、十年間を目途に行い、少なくとも五年目で経営収支を黒字にし、組合の再建を図ってまいるものでございます。県といたしましても、全国信用協同組合連合会、紀陽銀行等との協調支援体制のもとで、県信の役職員が一丸となって再建に取り組むよう強く指導してまいりたいと考えてございます。
なお、人的支援につきましては、県信から支援機関に対して要請しているところでありますが、現在のところ実現はいたしておらず、非常に厳しい状況にあると聞いてございます。今後とも、人的支援については全国信用協同組合連合会に要請してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎議員ご質問の住友金属西防埋め立て問題について、環境の現状と今後の見通しについてでございます。
住友金属に係る環境の現状につきましては、環境保全対策の実施と操業の状況により、例えば硫黄酸化物排出量が時間当たり五百五十立方メートルの目標に対して三百三十七立方メートルであり、窒素酸化物排出量が時間当たり六百三十立方メートルの目標に対し四百三十二立方メートルの状況にあるなど、最近の観測データで判断すると環境改善目標値は達成されているところであります。
今後は、住友金属に対し、気象条件などによって影響を受ける項目があることも踏まえ、環境保全対策の積極的な実施、公害防止設備の徹底した維持管理を指導し、環境改善目標を確保させるよう厳しく対処してまいります。
なお、埋立地の新たな土地利用の検討に際しましては、現状を踏まえ、環境保全に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
住友金属西防埋め立て問題のうち、まず問題解決に向けての運び方についてでございます。
西防埋め立て問題を解決に導くためには、広く県民の利益につながるよう、総合的な行政の立場から県が取り組むことが有効な方策の一つになると認識をいたしております。
また、その取り組みに当たっては埋立地全体を対象とし、本埋め立ての経緯や埋立法の趣旨から見て環境保全もしくは公共、公益的利用を条件として検討を行っていく必要があり、検討の結果新たな利用計画案ができれば、埋め立ての上位計画である港湾計画の変更手続を行った上で埋立法に基づく手続を進める必要がございます。
いずれにせよ、中長期的な見通しに立って取り運ぶ必要があると考えているところであります。
次に、公共利用の問題解決の可能性についてでございますが、議員ご指摘のとおり、工事中の第三工区については埋め立てを継続させる必要性がございます。
なお、埋め立てを継続する一方で新たな利用計画を検討するということは、埋め立てを継続せざるを得ない理由があるということ、埋立法に埋め立て中の用途変更の規定があるということから許容されていると考えております。
さらに、議員提案の埋立地の一部を広く県民の用に供するという考え方は、この問題の現実的な解決策の一つになり得るものではないかと考えるところであります。
次に、河西緩衝緑地についてでございます。
住友金属工業から発生する公害を緩和し、住宅地の環境を保全するということを目的として、昭和五十七年九月、既存の河西公園、その他企業緑地も含めて延長約七・六キロ、面積で約七十六・五ヘクタールを河西緩衝緑地として都市計画を決定いたしました。
このうち、完成後に公園緑地として供用することが適当と考えられる湊、中松江、西松江地区の約十四ヘクタールの区域につきまして、昭和五十七年度から公害防止事業団に委託をして建設し、平成四年度に完成をしたところであります。
現在、都市計画決定どおり完成をしていない区域は東松江地区等で、面積は約十ヘクタールであります。この区域の大半には住友金属工業の倉庫等の施設や関連会社の施設が立地をしておりまして、これら施設の移転をする必要があるわけでございます。
さらに、現在の土地利用状況、また緑地が完成をした場合の利用状況を勘案いたしますと、環境事業団事業等による公共事業としてこれを実施するということはまことになじみにくいものがございます。今後、企業においてこの緑地を整備するというような方向でこれを進めてまいりたいと考えておるところであります。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、住友金属西防埋め立て問題についてのご質問にお答えをいたします。
西防埋立地の土地利用の検討についてでございますが、議員ご指摘のとおり、港湾機能の充実、産業振興、都市再開発の促進等、多面的、総合的な視点からの検討が必要であると考えてございます。
新たな土地利用の問題につきましては、先ほど知事の答弁にもございましたように、住友金属から何らかの意思表示がなされた段階にあっては、産業政策や地域の活性化等の視点から、企画部を初め全庁的な体制で取り組んでまいりたいと存じます。
次に、コスモパーク加太計画についての五点のご質問にお答えをいたします。
コスモパーク加太計画につきましては、現在、県土地開発公社の土砂採取関連事業を進めておりますが、平成六年三月末に終了の予定でございます。
まず、土砂採取の収支の見通しについてでございますが、土取り事業及び用地費を含む加太開発事業の平成五年度末までの収支見込みは、収入が八百三十三億円、支出は一千三百億円でございます。平成五年度末までの借入利息の合計は百二十五億円、このうち平成五年度の利息は十五億円と公社から報告を受けてございます。
次に、周辺環境及び域内の整備について、さらには公共用地の先行取得についてでございますが、関西国際空港の開港のインパクトにつきまして、これを最大限に利用しなければならないと考えてございます。京奈和自動車道、紀淡ルートにつきましても、計画を推進する上で大いに展望が期待できるものと考えてございます。
また、加太・岬スカイラインはこの計画を促進する上からも重要な路線であり、現在、大阪府と合同で基本的なルート等について調査検討を行ってございます。今後も、両府県において早期事業化に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、コスモパーク加太計画の総事業費の抑制の観点から国の制度の活用等についてでございますが、和歌山市の協力を得ながら、新たに公共事業の採択や用地の先行取得を検討してまいりたいと存じます。
次に運動公園の施設立地の早期検討についてでございますが、総合運動公園等を含む公共的利用につきまして、総合的な見地から積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
最後に、今後の事業方針についてでございます。この計画は、議員ご指摘のように、民間活力の活用を基本として事業を進めるべく取り組んでまいったところでございますが、現在の厳しい経済情勢のもとで民間企業が事業主体となって事業を進めることはまことに難しい状況にございます。このため、県、和歌山市、県土地開発公社の三者の協議のもと、県土地開発公社が事業主体となって事業を推進することといたしたいと存じます。
関西国際空港に至近の位置を占める貴重な土地を有効に活用するためには、今後の経済社会情勢の推移、さらには県議会を初め各界各層からの具体的なご提案等もいただきながら、二十一世紀に向けた新しい町づくりの推進に取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
6番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 ただいまご答弁をいただいたわけでありますが、住友金属の西防の問題、それからコスモパーク加太の問題、いずれもただ民間に任すということではなしに県が主体性を持って臨んでいただくという点で共通しておるわけでありますけれども、こういう経済情勢のもと、一方の住友金属の問題につきましては、民間で埋立申請をして民間で埋め立ての変更をするという、全国初のケースであります。その土地が会社にとっても和歌山県にとっても大変貴重なものであるという観点から、行政の長としての知事、政治家としての知事、今こそ知事の主体性を発揮していただく大切な時期だと思うわけであります。敬愛する仮谷志良知事の手腕に期待を申し上げる次第であります。
コスモパーク加太につきましては、これまたご存じのように、答弁でも、民間にその土地利用をゆだねるということは今の経済情勢のもとでは無理であるということをおっしゃいましたが、一日も早い転換が大事であります。そうでないと利子がかさむばかりで、大変なことになってくるわけであります。これも迅速な対応──国の協力も得まして、もちろん和歌山市との相談も十分になさっていただかなければならんと思いますけれども、基盤整備、そして公共用地の先行取得ということに一日も早く踏み切ってもらいたい。そうして、今まで提案として受けてきただけでありましたけれども、きょうの答弁では、総合運動公園等、積極的に取り組んでいくということでございますので、今までの方式から一転をして県が主体性を持つ行政に切りかえるご答弁であったと私は考えております。この二つのものにつきましては、重ねて知事の主体性に期待するものであります。
もう一つ、河西の緩衝緑地の問題につきましては、都市計画決定がなされたものでありますから、残された部分の実現をぜひともやっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。