平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成五年十二月十日(金曜日)○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問を申し上げてまいります。
今回は、九月定例議会に引き続き、フォレストシティ計画に絞ってお尋ねをいたします。そのフォレストシティ計画に関し、六点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
去る九月二十一日、大阪地検特捜部の強制捜査に始まった国土法違反そして脱税容疑事件は、捜査が進むにつれ、数々の疑惑が浮かび上がってまいりました。そのことは、各新聞、テレビ、週刊誌等で毎日のように報道され、全国どこにいても知ることができるほど大きな問題として広がってまいりました。
十二月一日には、元県企画部長がみずからの土地売買に絡んで多額の裏金を受け取り略式起訴、そして罰金刑五十万円という刑に及んだことも大変重大な問題だと思うのであります。当時は現職でありましたし、現職としての最高の幹部でありましたから、法を守り、法を指導監督する立場にありながら法を軽視するという姿は許すことができませんし、このことを露呈したばかりでなく、行政に対する県民の信頼が大きく後退したことは否めません。
さらに、地権者の用地買収においての札束攻勢のあのやり方は、異常と言っておれないほど悪質なものでありました。その上、脱税まで指南するという事業者としての体質そのものも大きく問われなければなりません。
地権者でもある圓明寺の同意取りつけに至っては、新聞で報道されたように、おどしだけではなくて脅迫するなど、四、五年にわたって続いてまいりました。住職たちも、どんなにか心を痛めてこられたことでしょう。また、周辺自治会の同意を得る上で十分な説明はなく、住民の不安に何らこたえる誠意ある姿はいまだに見えません。そして、フォレストシティ計画を進める上で、五百余億円という巨額の資金融資で支えてきた県下トップの紀陽銀行の姿勢にも問題と責任があることをマスコミの記事で知ることもできます。紀陽銀行が和興開発に融資した金が一部暴力団関係者にも流れているなど、その使途についての疑惑問題も明らかになりつつあります。フォレストシティ計画は、本県の燦黒潮リゾート構想の特定民間施設の中核に指定されているわけであります。不法、不正事件に汚染されたこのフォレストシティ計画は、今は色あせた計画へと大きく変貌していると私は思うのです。
このように、法と社会的道義に背くような数々の疑惑を生んできたその原因は、フォレストシティ計画そのものがまれに見る無謀な計画だからです。二万人近い住民が生活する至近距離に三百二十五ヘクタールという、巨大開発でもあります。しかも、造成に伴う土砂の総移動量は三千万立方メートルをはるかに超え、最高百三十メートルにも及ぶ盛り土を行うという、前例にない計画でもあります。昨年六月の改正森林法ではとても許可の対象にならないばかりか、同じく昨年九月に環境庁が提示したゴルフ場設置指針に照らしてみても、審議にたえない無謀な計画だということを私はあえて強調したいと思います。もうける目的のためなら法を犯し、そして地域社会まで壊してしまうやり方というのはその企業の体質や姿勢が問われますし、今からどんなにきれいな言葉を並べて地域の発展のためにと声を大にして訴えたとしても、到底このフォレストシティ計画は何人にも受け入れられない状況になっていると私は思います。したがって、これまでの数々の疑惑を県民の前に明らかにすることが今求められています。
知事にお伺いいたします。
今、県民の目は県行政の姿勢に注目しています。フォレストシティ計画がリゾート計画の重要な位置づけにあったとしても、これほど疑惑を生み、犯罪行為を平然と繰り返してきた悪質きわまりない企業に行政が手をかすようなことがあってはなりませんし、私たち県民は決してそのことを許しません。フォレストシティにかかわる一連の問題に対し、知事はどのような認識に立っておられるのでしょうか。この計画を根本から見直しをするために、県民は不許可を望んでいます。不許可にする勇気ある英断を期待するものです。見解をお聞かせください。
二点目でございます。開発許可申請の審査状況についてであります。
既に、林地開発申請は一年半を経過しております。現段階での状況について、できるだけ具体的にその審査状況をお聞かせください。
都市計画法に基づく開発許可申請は本年九月三日でありますが、申請者の不正事件という新たな状況の中での審査であります。審査状況について、これもまた具体的にお聞かせください。
三点目についてお尋ねをいたします。去る十一月二十八日、フォレストシティ計画地の地権者である圓明寺は檀家総会を開き、フォレストシティ計画に反対することと開発許可申請に関する三つの同意書を撤回することを決定し、その決定を和興開発株式会社と県市に対し、それぞれ通知書を郵送いたしました。
圓明寺は、十二月六日の月曜日、県の建築課に出向き、撤回文書返還請求書を手渡してまいりました。この同意書なるものは、本年七月十九日、圓明寺の命であり信仰の修練場でもある鳴滝のお滝が守れるならばという三つの条件を書いたものです。一つは開発行為施行同意書、二つには隣接地の開発行為施行同意書、三つには公共用財産公用廃止並びに払い下げについての同意書であります。これを覚書として和興開発に提出をしてまいったものです。これらは、林地開発許可申請時、都市計画法による開発許可申請時の両方に必要な添付書類として義務づけられた重要なものであります。したがって、現在、建築課や林業課には、七月十九日に提出された同意書と、十一月二十八日に決定をされて郵送されてきた通知書との二つの相反する内容の書類が届いている状況にあります。せんだっての尾崎議員の質問に対しても、両部長とも和興開発と圓明寺の間の問題であるという答弁をされ、このことは新聞紙上にも掲載されました。しかし、こういう相反する二つのものがあったとしても、その地権者である圓明寺の気持ちは今は全く撤回することに変わりはないわけです。一方的であるにせよ、効力の有無はどうあるにせよ、現時点では同意の内実がないことを示すものであると私は考えます。圓明寺の同意撤回の意思について新たな状況に来ているものでありますから、この新たな状況にあるということについてどのように認識をされるのか教えてください。土木部長、農林水産部長のご所見をお聞かせください。
第四点目について伺います。過去の質問の中で指摘をしてきたフォレストシティ計画地の地質問題についてであります。
計画地である和泉山脈は中央構造線が通っております。そして、無数の断層破砕帯を伴った活断層であります。その中央構造線に沿って、鳴滝断層、根来断層など活断層があると言われています。中央構造線は、長野県の諏訪湖から九州に及ぶ長さ千キロメートルの断層であると言われていますし、そのうちの近畿では奈良県の五條から淡路島南部を結ぶ線に位置していると言います。これは二百万年前から続いている活断層で、特に和歌山の和泉山脈にかかる部分が現在最も激変しやすい状況にあるそうです。この二百万年の間に千五百メートルずれて、和歌山側から大阪側にかけて百五十メートル競り上がった状況になっていると言われています。比較的安全な大阪側は、既に二十数年前にこの活断層の指定地域を申請し、国で認められて、今では防災上の優遇措置を受けているとも聞いております。最も危険な部分となっている和歌山側をなぜ地域指定にしていないのかと、私は行政に対する疑問さえ感じるのです。
さて、地質学の専門書「日本の地質六 近畿地方」(一九八七年・共立出版)では、地質学上、近畿地方の代表的な斜面災害地域としてこの和泉山脈を九つの地域の一つに挙げております。この地域の地すべりについてこの本は、一つには、和泉層群の泥岩が地下水などの作用で軟弱化しやすいこと、二つ目には、和泉層群の一般的な地層の傾斜が二十度以上あるので、強度の低下した風化泥岩層が滑り面となって地すべりが発生しやすい条件があること、三つ目には、地層内の間隙水圧の上昇などが原因であると述べております。
また、国土庁の土地局、同調査課が一九八五年にまとめた土地保全図付属資料によりますと、和歌山県の地すべり地帯は、紀の川流域、有田川流域などに集中しており、そのほとんどは断層に起因する破砕帯地すべりであると述べております。その破砕帯について、破砕帯が著しいのは善明寺付近から東の地域で、山ろくから平野部に移行する和泉層群では特に破砕が著しく、粘土化も進んでいると指摘しております。
この善明寺から東の地域と言いますと、ちょうどフォレストシティ計画地域に当たります。そのことから考えても、地すべり地帯、危険地帯であるということは十分納得できると思います。そして破砕帯は、断層活動によって岩石がもろいのも特徴であります。今まで、私も経験をいたしております。鳴滝地域においても地すべりがありましたし、そしてその地すべりの状況も今は落ちついているとは言えません。その場所は多額の修復工事費用がかかるために、現在に至っても地主の皆さんたちがちゅうちょされているという状況にあります。さらに、直川、西ニュータウンといった周辺での宅地開発が進んできていますけれども、地すべりやがけ崩れが発生した事実もあります。そして、栄谷の配水池がつくられておりますけれども、この工事における和歌山市の手抜き地質調査のために新たに四億円もの追加工事をしなければならなかったという苦い経験もあります。
このフォレストシティ計画地につくられる一号調整池があります。ある専門家は和興開発に対して、この一号調整池の造成に際し、谷底二十メートルに及ぶ軟弱層が広がっているので、これを取り除いた後に造成工事を行うことをあえて指摘したと聞いております。
このように、国土庁の調査や専門書、そして地質学の専門家は、災害の発生しやすい地帯であることを同様に指摘しています。県は事前協議の中で、このことの調査検討を指導しているところであります。計画地域の地質について、県はどのように把握しておられるのでしょうか。そして、フォレストシティ計画設計図等では、こうした問題を解決するための工法等はどうなっているのでしょうか。土木、農林水産部長の答弁をお聞かせいただきたいと思います。
今まで知事や企画部長は、このフォレストシティ計画について、リゾート整備に極めて高いポテンシャルを有する地域であると言ってこられました。この地質の状況から考えたとしても、果たしてそのようなことが言えるのでしょうか。災害が発生しやすい地域として見るならば、県独自の地質調査を行うべきではないでしょうか。
第五点、第六点をまとめてご質問申し上げます。
フォレストシティ問題で、紀陽銀行が果たしている役割は大変大きいと言わざるを得ません。銀行本体と系列のノンバンクから和興開発への融資は総額で五百億円にも達し、さらに九月二十七日付の朝日新聞の報道によりますと、東京の信託銀行系のノンバンクから和興開発に融資された百億円についても紀陽銀行がその債務保証を行っているということであります。フォレストシティ計画は、紀陽銀行の全面的な資金融資、バックアップがあって初めて和興開発が計画をごり押しできたと言えます。バブル経済の崩壊という事態の中で、土地の価格を上回る過剰融資である疑いや、大阪地検から所得税法違反で起訴された和興開発の前田社長らが地権者らに渡した裏金の出どころの中にも紀陽銀行からの資金が入っていたとの疑いも出てまいりました。
さて、和歌山地検がフォレストシティ事件で強制捜査に着手した直後の家宅捜索には、和興本社のほか暴力団の関係する会社が含まれていたことはご承知かと思います。各マスコミ報道や私どもの調査によりますと、和興開発の周辺には反社会的団体である暴力団の姿が見え隠れしているのは重大です。言うまでもなく、平成三年五月には暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律によって暴力団追放県民センターが設立されることになり、本県でも平成四年から暴力団追放センターが活動を始めています。これは、官民挙げて暴力を許さず、社会から暴力団を追放するための努力の一環でもあります。このことは、公共性の高い金融機関として暴力団に直接融資したり、関係会社に流れるような資金融資を行わない、こういうきっぱりとした態度が求められると思うのです。ところが、今度の事件をきっかけに紀陽銀行や他の銀行、金融機関から、暴力団やその関連会社と見られる会社への資金融資が相次いで報道されていることは、暴力団追放の県民の願いを逆なでする問題として非常に残念だと思うわけです。
朝日新聞の九月二十七日付では、紀陽銀行本店にある和興開発の口座から数十億円が三共土地開発という会社に送金されたと報道されています。この三共土地開発は、前田社長が監査役に入り、山口組系の暴力団の妻が取締役に入っている暴力団関係の会社と見られております。この会社の連絡先は、さきの暴力団組長の妻が所有するビル内にあります。同じビルには、前田社長が監査役を務めている西雅開発という会社が入っており、暴力団組長の妻が社長を務めていることも報道されました。三共土地や西雅開発が暴力団と密接なつながりがあると見るのは自然ではないでしょうか。
十一月十六日付の読売新聞では、紀陽銀行が山口組系暴力団事務所を担保に政治結社の代表に昭和五十八年九月に千五百万円、平成三年三月に五千万円、昭和六十三年三月には別の組長の親族が所有する土地を担保に一千五百七十万円を融資していたとのことであります。
このほか、毎日新聞の十月二日付では、紀陽銀行が県内最大の暴力団、山口組直系の組事務所と組長宅を担保に六千五百万円の抵当権、根抵当権を設定、融資しているとの報道もあります。
これらの報道が事実であるとするならば、紀陽銀行が和興開発の関連会社である暴力団系と見られる会社に融資していたほか、かねてから暴力団にも融資のつながりを持つ銀行であったということで、県指定金融機関として県当局としてもその真偽を調査する必要があると思いますが、出納長の答弁を求めます。
毎日新聞の十月二日付の紙面で、大蔵省銀行局は、「銀行は公共性の高い免許法人であり、暴力団との取引のように社会的批判を浴びるような取引はするべきでない」とのコメントを載せています。言うまでもありません。暴力団は、反社会的な団体として社会から追放しなければならない存在であり、官民挙げて暴力追放に取り組んでいる折に、県指定金融機関である紀陽銀行が暴力団に融資していた事実は到底、指定金融機関の資格にかかわる問題と考えますが、出納長の見解を求めます。
こういう暴力団が大きくかかわっている疑いが指摘されている中で、暴力団や暴力団系企業の資金を根絶するため、警察としても事実の究明を図る必要があると考えますが、県警本部長の見解を求めたいと思います。
なお、指定金融機関との契約では、第十条で「契約に違反したときは、いつでも契約を解除することができる」との規定があります。この契約内容の中に、このフォレストシティにかかわったように、指定金融機関が反社会的な行為を行った場合、契約をいつでも解除できるという規定を補足する必要があると考えています。すなわち、企業に対して県民が納得できるようなペナルティーをかける規定が必要だということです。このことについても出納長の見解を求めたいと思います。
これで、第一回の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
フォレストシティ計画に絡む一連の問題に対する知事の認識と見解ということでございます。
平成六年九月の関西国際空港開港という絶好の時期を迎えて、これを県勢の飛躍発展の契機とすべく、リゾート構想の推進に向けて、マリーナシティの建設やリゾート博の開催など懸命な努力を重ねているところでございます。加太・紀泉地域はリゾート整備には極めて高い優位性を持っておりますし、今後とも燦黒潮リゾート構想の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
なお、今回、国土法違反等の事件が起きたことは、まことに遺憾なことでございます。フォレストシティ計画の開発許可については、都市計画法、森林法に基づき総合的に判断することといたしてございまして、現状では許可することは厳しいと考えてございますが、今後の推移を見守りながら対処してまいります。
○議長(宗 正彦君) 出納長梅田良彦君。
〔梅田良彦君、登壇〕
○出納長(梅田良彦君) 村岡議員の指定金融機関についてのご質問に一括してお答えを申し上げます。
指定金融機関の指定については、去る九月の県議会でもお答えをいたしましたとおり、議会の議決を経て昭和三十九年三月三十一日に紀陽銀行を指定金融機関として指定し、公金の取り扱いをさせておりますが、銀行業務全般に関する指導監督については銀行法に基づき大蔵省の所管となっており、県として銀行の貸付先等、取引の内容について調査する権限はなく、答弁は差し控えさせていただかざるを得ません。
次に、指定金融機関に対するペナルティーの件については、地方自治法及び県財務規則等に基づき、県と紀陽銀行の間で公金の取り扱いについて細部にわたり契約を取り交わしており、議員のご質問の中にもございましたとおり、第十条で契約の解除等についても規定しているところでございますが、今日まで指定金融機関としてのその責任と機能は支障なく果たしていると認識しております。
以上です。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員にお答えをいたします。
フォレストシティ計画についてのご質問のうち、開発許可申請後の審査状況についてでございますが、昨年六月に海草県事務所に申請書が提出され、森林法に基づく許可基準に照らして、災害のおそれがないか、水の確保に著しい支障がないか、環境を著しく悪化させないか、水害のおそれがないか等、多くの資料について審査してございます。特に、現状を踏まえて慎重に対処してまいります。
次に、圓明寺の同意撤回についてでございますが、地権者と申請者との間で話し合う問題であると考えてございます。
次に、計画地の地質状況についてでございますが、土地保全図によれば中央構造線に係る破砕帯の存在が予測されるので、申請者に対し、事前協議の段階から十分な調査検討を行うよう指導してございます。
また安全対策については、申請者によって地表踏査、弾性波探査、ボーリング調査、地下水観測等が行われ、これらの調査をもとに対策が講じられているか、慎重に審査を行うこととしてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
開発許可申請後の審査状況でございますが、都市計画法第三十三条の開発許可基準の第一項第一号から第十四号に基づいて審査を進めているところでございます。なお、申請者の幹部が国土法及び所得税法違反で逮捕、起訴されたという状況の中で、特に資力、信用の審査に当たっては慎重に審査する必要があると考えております。
次に、圓明寺の同意撤回の問題でございますが、先日、地権者である圓明寺から県に対して撤回表明の通知書が送付をされてきたところでございます。この件については、現段階では地権者側の一方的な表明であり、また基本的には地権者と申請者との問題でありますので、今後、当事者間の調整経過を見守りながら対処してまいります。
次に、地質の問題でございます。
一九八五年の国土庁の調査、資料等から判断をいたしますと、開発区域の直下に中央構造線が東西に走っており、鳴滝断層が西側部に北西方向に走っている可能性があるということは把握をいたしております。開発計画の審査に当たっては、都市計画法に基づいて安全面を審査するとともに、必要に応じて開発者から資料を提出させ、対策について指導をしてまいります。
○議長(宗 正彦君) 警察本部長西川徹矢君。
〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 村岡議員にお答えいたします。
ご質問のような報道がなされていることについては承知しております。官民一体となった強力な取り締まりにもかかわらず、暴力団の根絶が困難であるのは、その一因として暴力団の存在を容認し、またこれを利用しようとする社会的風潮が社会の各層にいまだ根強く存在していることにあると考えております。
警察といたしましては、こうした行為や風潮は暴力団対策を進める上でぜひとも排除しなければならないものであるという認識に立っておりまして、暴力団とかかわりのある企業や資金源の実態等について常に関心を持って解明に努めているところでございます。そしてまた、今後とも引き続きそのような対応をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
知事にお伺いいたしますが、知事は今のところでは推進をしていく、しかし現状では許可することは難しい、今後の推移を見守っていくと、こういうふうに一貫してずっと今まで言ってこられています。現状では厳しいというのは、確かにそうだと思うんです。けれども、ああいう悪質で本当に社会的にも許せないような行為を平然とするような企業の計画に県が判断を下し得ないという、そこに私たちは非常に疑問を持つわけです。
先ほども言いましたように、今この計画に知事がどんな判断をするのだろうか、あれだけの報道をされ、不正や悪質な企業者であるということがわかっている段階で、もうこれ以上このフォレストシティ計画をそのままに温存することはないんじゃないか、当然不許可というのが知事のとる態度ではないかと、こういうのが今、県民の皆さんの大方の見方だと思うんです。
これを燦黒潮リゾートに位置づけていらっしゃるわけですけれども、知事は前の私の質問のときにも、計画は認めているし指定しているが、事業者は認定したわけではないんだとおっしゃいました。法律上からいけば、私たちもそうだと思うんです。だけれども、これをリゾート構想の中できちっと位置づけていく段階の中で、事務的順序からいけば、基礎調査、事前審査、そして承認ということになるわけです。ところが、基礎調査をするにしろ、事前審査をするにしろ、国土庁を事務機関として各官庁が協議会をつくっていて、そこで審査をする場合においても、県と企業が綿密な協議をした上で出しているはずです。審査の段階で事務を踏んでいっていると思うのです。その審査基準の中に「構想の熟度」というのがあるはずです。「構想の熟度」というのは一体何なのか。これは、本当に計画が可能性があるのかどうかも含めて審査がされるとなっているわけですね。こういうことについて担当官──これには当局者と書いていますけれども、この「構想の熟度」というのはどういうことを言うのかということについて当局者の一人は次のように語っているとなっているんです。「同法(リゾート法)の地域要件のうち、他の地域振興法にないものとして、いわゆる『構想の熟度』がある。これは、同法が、民間の活力の活用を基本に置いており、総合保養地域として整備すべき地域は、確実に民間事業者によって施設が整備されることが予測される地域であることが必要であるためである。……整備の見込があるかどうかの判断については、民間事業者による具体的な整備計画が存在し、かつ、その実現性を担保するものとしての民間事業者によるフィージビリティ・スタディ(立地可能性調査)、施設整備に関する意思の表明が行われているかどうかによることとしている」と、こういうふうに当局者が言ってらっしゃるんです。これから見てみると、計画の段階から、住民が全く知らないところで県行政と開発業者が計画の実現性について細かな論議をした上で地域指定や計画の指定をするんだということなんです。今こういうような状況が起こったのを振り返ってみれば、あの事業者のあの計画をこの地域に指定すること、計画そのものを指定することがよかったのかどうか、こういうことになると思うんです。
だから私が言いたいのは、知事や企画部長はあそこは将来的にいいところだと言っていますけれども、今の段階で考えるならば不適当なところだと言わざるを得ないと思うんです。事業者が持ってきた計画を県がお認めになったということになるわけですから、業者が地元住民の皆さん方に説明するときに、県ももうこれはできるんだと認めてくれたんだということで、あたかもあしたからでも計画ができるような宣伝をしながらやってきたわけです。だから、知事がおっしゃっているように、そういう県民の認識や経過を考えても、これは不許可にすることが当然だと私は思うんです。
別に答弁は求めませんけれども、そういう点で今まさに紀陽銀行や暴力団も絡めた形の中で、この悪質きわまりない業者にどれほど県行政が厳しい目を向けるか、その態度を明らかにするときだと私は思います。
それから、農林水産部長にお尋ねをいたします。
聞かんとこうと思っていたんですけれども、答弁が余りにもそっけないので、いたします。この開発許可をする場合の基準として、災害が起こらないだろうか、水の確保はどうだろうか、環境が破壊されないだろうかというようなことを基準にしながらやるんですとおっしゃったわけですけれども、私どもがいろんな形で調査をしたり調べてみたところ、先ほどから言っているように、破砕帯があるということ、いつも危険な地域であるということで、二次災害というか、がけ崩れ等が起こり得るのはもうはっきりしているわけです。今でも、和興さんがミニ開発を繰り返してきたところでも、既に土砂崩れとかが起こってきているんです。それと、もう一つは下の方に二万人が住む有功地域の基盤整備が全く行われていないという大きな問題もあるわけですけれども、あれだけミニ開発が進んできた中で、さらに三百二十五ヘクタールという山を削っていくならば、この下に住んでいる人たちに対してどんなに調整池をつくったとしても──今でさえも調整池からあふれ出てきて、道路はもう川のようになって流れているわけです。災害や水の被害は十分起こり得るというのは、そういうような状況を見ている住民が体で知っているわけです。ですから、もうわかっていることですから、そういうところももっと厳しくきちっとやっていただきたいと思います。
それから、水の確保です。
これは、鳴滝川と有功水路と千手川に放流されるわけですけれども、一番問題なのは、この山にはたくさん池がございます。しかし、鳴滝川の源流にもなっている市が管理しているため池、これはかんがい用水でもありますけれども、この二つあるため池をつぶしてしまい、そこへ調整池をつくるわけです。完全にそうなると、鳴滝川の県河川よりももっと上の方は水が来なくなります。だから、今のお滝の水が確保できないという調査も出ています。これは、既に林業課と建築課にもその資料をお渡しております。こういう専門家たちが事細かに調査したものが出されているわけですから、あの信仰的なお滝をつぶすというようなこと、水が確保できないというのはもう厳然として起きているわけです。あの設計図では、下の方に地下水をためて、それをポンプで上げていく、それで鳴滝のお滝を守るんだと、むちゃくちゃなことを言っています。今の水の百分の一ぐらいしか確保できないというのも明らかになっているわけです。そういった点でも、農林水産部長がおっしゃったことはもう既に破綻を来していると私たちは思います。そういう点で、この計画についてもう一回見直すときだと思います。
それから同意撤回ですけれども、これは業者間の問題だと言われています。しかし、これはどうしてもなければならない同意書です。この部分については、土木部長も農林水産部長も明確にお答えになりませんでした。この二つのものが厳然としてあるということ、届いているということはお認めになっているわけです。しかし、これが同意の最終的な審査の過程でなくてはならない書類として来た場合にはどうするか。今、開発業者はホテルに入っていらっしゃるわけですけれども、なかなか問題のけりがつかなかったという場合、これは今の段階では有効か無効かという問題があるわけです。最終的な結論を出されるとき、その判断はどうされるんですか。それを土木部長、農林水産部長ともお答えください。そして同意書の問題が厳然としてあるということについて、もう一回答弁を求めます。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 私の見解については先ほど述べさせていただきましたけれども、この点、理解していただきたいことがございます。
土木部長、農林水産部長が説明申し上げておりますけれども、都市計画法に基づく機関委任事務、森林法に基づく機関委任事務ということで、その両方が機関委任をされた知事として許可するかどうかを決定するわけでございます。それとともに、地方自治団体の長である知事として判断するわけでございます。いろいろな予備審査もございます。本審査もございます。本審査の問題については、先ほど各部長から申し上げたとおりでございます。そこをお含みいただきたいと思います。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) まず第一点目の、許可要件の審査を具体的にというご質問でございます。
森林法第十条の二の規定に基づき、その要件を審査しているところでございます。
まず第一点は、災害防止についてはどうかということで、土砂の移動量、切り土、盛り土の計画、雨水、排水計画、土砂の流出防止対策等でございます。第二点は、水害の防止は下流への安全策、調整池の計画等でございます。第三点は、水の確保については、開発地から直接、水利用がある場合の代替施設や沈砂池の計画等でございます。それと四点目には、環境の保全についてでございますが、森林率や森林の配置計画等について慎重に審査を行ってございます。
次に、同意書問題についてでございますが、現在提出されている同意書については、当事者間で協議調整されたことと把握してございます。同意書の取り扱いについては、当事者間で話し合うべき問題であると考えてございますが、その推移を見守ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 同意書の問題でございますが、今、農林水産部長からお答えがありましたように、基本的には当事者間の問題であると考えております。この推移を見守ってまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十三分休憩
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