平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成五年十二月十日(金曜日) 午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
知事から、議案の追加提出がありました。
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財第189号
平成5年12月10日
和歌山県議会議長 宗 正 彦 殿
和歌山県知事 仮 谷 志 良
和歌山県議会平成5年12月定例会追加議案の提出について
地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
記
議案第147号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第148号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第149号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第150号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
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○議長(宗 正彦君) 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
今回、追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であります。去る十月十八日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講じるものであり、条例案件として議案第百四十七号から議案第百五十号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
なお、給与改定に伴う所要の経費については既定の予算で対応することといたしております。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百四十七号から議案第百五十号までを一括して議題といたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第二、議案第百三十六号から議案第百四十六号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
34番冨安民浩君。
〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 議長のお許しをいただきましたので、通告順に従い、質問を始めさせていただきます。
まず初めに、私は現在の経済社会情勢は、長らく続いた都会へ向かってすべてが流れるという大きな潮流が緩み、インフラ整備を中心とする条件整備が整いさえすれば地方への分散が確実に期待できる状況にあると確信するものでありますが、こうした時期に地方政治に携わる者は何をなすべきか、今、地方の政治が何をなすべきか、そうした観点から質問をいたします。
戦後五十年、まさにこの半世紀は、いわゆる豊かさを求める国民志向を受けて、まさに政官財挙げての、経済的に欧米に追いつけ追い越せの経済至上主義の時代であり、政治の安定、またそのときどきの時宜を得た政策、国民の勤勉性、学校教育の厳然性、世界に類を見ない治安のよさ、そうしたさまざまな要素が複合的に有効作用し、世界に類を見ない短期間で経済大国を築くという目的が達成されました。しかしながら、近年のエコノミックアニマル的な活動は極度の対外摩擦を引き起こし、経済の重点を内需振興に向けざるを得ないという事態を招き、結果として昭和六十一年に、元日銀総裁の前川さんからあの前川レポートが提出され、それを受けて当時の中曽根政権が思い切った内需振興策を打ち出したわけであります。その結果、あのバブルを引き起こし、バブル崩壊により今日の厳しい状況を招いているというのが現実であります。
今日、我が国はいまだかつて経験のない、極めて厳しい局面に直面しております。すなわち、バブル崩壊による全く出口の見えない長期不況下にあり、それに伴いさまざまな波紋が生じつつあり、今日まで一貫して有効作用し続けてきた諸制度のあり方さえも問われようとしております。例えば、今、終身雇用制度が取りざたされておりますが、そうした制度もその一つであります。
この長期不況から脱出を図るべく、国においてはたび重なる財政、金融政策を中心とするさまざまな支援策が講じられております。しかしその効果たるや、なしとは申しませんが、効き目が薄いというのが現実であります。もはや、そうした国内政策のみでは、日本の経済はよみがえれないのではないか、それほど日本の経済はグローバル規模になり、かつ複雑になっていると言うべきなのだと思いますし、絶えずいわゆる右肩上がり指向で来た日本経済も、そろそろ大きな曲がり角に立っていると認識すべきだと思います。
一たび膨らんだ経済がしぼむときにはいろいろな波紋が生じるのは当然だと思いますが、ある権威ある民間の経済調査機関のリサーチによると、今後いや応なしに一段と民間企業の雇用調整が進み、もちろん都市部地域がその大部分を占めると思いますが、日本全国で二百万人とも三百万人ともいうホワイトカラーがその対象になると言われています。景気の現状、動向を踏まえての、まさに生き残りをかけた壮絶な企業戦争をこの調査からもかいま見ることができるわけでございます。
私は、戦後の荒廃からこの豊かな日本を築いた今日までの我が国の政策は大きく是としながらも、今、内外とも大きな変革期に入っておると思うわけでございます。そうした時期に地方政治に携わる者は、その責任ある立場で今何をなすべきか、またどうあるべきか、真剣に考える時期に差しかかっていると思います。
経済大国を築く過程での経済効果のみを追い求める結果として生じた、すべてのものが都会に向かって流れるというとめようもない大きな潮流の中で、国の開発計画の指針であるべき第四次全国総合開発計画の基本理念に「均衡のとれた国土形成」とうたわれ、地方の時代、地方の時代と叫ばれながら、ややもすれば地方が置き去りになってきたという現実があります。私は、今が変革期とするならば、この変革期にそうした点をしっかり考えた上で、まさに聖域とも言うべき国の予算配分のあり方等にもしっかり異議を申し、また切り込み、交通網整備を中心とした地方のインフラ整備を急ぎ、それぞれの地方が持つポテンシャルを競い合う二十一世紀、そうした時代を築くことが今後の国土形成において一番求められることでありますし、またそうなることが本県の目指すところと思います。今まさに、そうした二十一世紀をつくるべく、大いに立ち上がらなければいけない時期に来ていると思いますが、仮谷知事のご所見をお伺いいたします。
なお、県議会開政クラブ五名は、大江康弘代表を先頭に、去る十二月一日の議会開会日に徳島市に出向き、前徳島市長の山本様、現徳島市長の小池様、数名の徳島県議、並びに徳島の報道関係者を交えて、両県の浮上につながる第二国土軸の問題についていろいろ協議をし、今後、綿密に連絡を取り合い、運動を展開することを申し合わせたことを申し添えます。
次に、県内における均衡ある発展を図ることを目指して、去る八月六日、御坊・田辺地方を中心とする二市十六町村が指定権者である仮谷知事より地方拠点都市地域としての指定を受けました。私の選挙区である日高郡の十カ町村も対象地域に含まれており、その指定に対して日高郡民に成りかわり、仮谷知事に御礼を申し上げる次第であります。
その地域指定に際し、知事は次のようなコメントを出されております。「本県の場合、南北に長く、しかも県北部の和歌山市周辺地域に人口等が集中している実情や地方拠点法の趣旨を総合的に考慮し、県下第二の都市である田辺市を中心に、県中央部の田辺・御坊地域に拠点都市地域を形成し、県内における均衡ある発展を図っていくため今回の指定を行った。今後、関係市町村が共同して取り組む基本計画の作成に当たっては、地域の創意工夫を最大限に生かし、個性的で魅力あふれる地域が形成できるような計画づくりを期待する」。
さて、その地方拠点都市地域の指定につき、その法律の趣旨にのっとり実効を上げるべく企画部の対応についてお尋ねいたします。
さきにも申し上げたように、八月六日、この法律の主務官庁である国土庁、農林水産省、通商産業省、郵政省、建設省、自治省、以上六省庁との事前協議ヒアリングを経て、御坊市、田辺市を中心とする二市十六町村が地方拠点都市地域として仮谷知事より指定を受け、関係市町村では本年五月三十一日に設立された田辺御坊地方拠点都市地域整備促進協議会が中心となって、来年三月の基本計画の承認に向け、基本計画素案の作成に入っております。この法の支援措置には、公共事業の重点実施、地方単独施策の推進、公団機構・公社等の特例、税制・金融上の措置、都市計画上の特例、地方行財政上の特例、電気通信の高度化への配慮、農地法等による処分についての配慮等、幾多の支援措置があります。現在、工事中の高規格道路、湯浅御坊道路、また先般、施工命令がおりた御坊─南部間の工事着手とあわせて、こうした幾多の支援措置をてことしての御坊、日高、田辺、西牟婁、いわゆる中紀の振興が大きく期待されるわけであります。地域指定、また基本計画素案指導の担当部として、この法の特例措置が生かされるべく、例えば管内関係道路網の整備に際し、公共事業の重点配分、起債に際しての柔軟性等、庁内関係部局に縛りをかけるほどの指導性を企画部に望むものでありますが、企画部長の前向きの答弁を求めるものであります。
次に、目下参議院に送付されている政治改革法案についてのご所見をお伺いいたします。
「政治は最高の道徳であるべし」とも言われ、政治のあるべき姿は論をまたないところであります。世界における日本の位置づけが大きくクローズアップされている中での複雑きわまる国際外交、そうした点一つをとらえても国家の浮沈はまさに政治次第であります。しかしながら近年、政治にまつわるたび重なる不祥事から、政治家を選ぶ選挙制度、またその政治資金のあり方をも含めての政治改革論議が活発になされ、本年夏の衆議院総選挙もその是非をかけての選挙であったと思います。
去る十一月十八日に若干の修正を経て衆議院を通過、現在、参議院に送付されて審議待ちの政治改革法案は、これからの日本の選挙制度、政治のあり方の方向づけをするものであります。その中にあって、特に選挙制度改革は県民にとって最も関心の深い部分だと思います。この法案の選挙制度には、民意の集約、すなわち政治の効率性を考え合わせた小選挙区制と民意の反映を重視した比例代表制の二つから成る小選挙区比例代表制が採用されています。
この政府案は、小選挙区定数を二百七十四と定め、平成二年の国勢調査に基づき本県の人口を百七万四千三百二十五人とすれば、三つの小選挙区に分割されると新聞等で論じられております。この法案成立による本県の定数減はまことに残念でありますが、その区画割りは総理府内に設置される選挙区画確定機関が担当すると聞いておりますけれども、せめても区画割りについては、格差是正も含め、過去の経過から本県の独自性、すなわち経済圏、生活圏といったものを考慮し、なおかつ将来的見通しに立った上でなされるべきと考えますが、知事の考え方を伺います。
また、この選挙制度、政治資金、政党助成等から成る政治改革法案についてのご所見もあわせてお伺いいたします。
次に、大変地味ではありますが、その重要性においては論をまたない教育問題について質問をいたします。
中国の古いことわざに「一年先を見るならば麦を植えよ。十年先を見るならば木を植えよ。百年先を見るならば人をつくれ」とあります。教育、人づくりの重要性を端的に語っていることわざであります。戦後、我が国が短期間で経済大国を樹立できたのも、また世界に類を見ない治安のよさも、警察当局のご努力はもとよりでございますが、学校教育が果たしている部分も大変大きいし、何を語るにしても学校教育抜きには語れず、教育はまさにすべての礎であります。それゆえ、万が一にも学校教育がいささかでもぶれたりすると基礎が揺らぐことになり、そのあり方については深い関心と注意を寄せなければなりません。また、教育は一朝一夕にはならず、十年先、二十年先を見据えたいわゆるロングランの中でのこつこつとした不断の努力の積み重ねが大切であります。
昨年二学期より導入された学校月一回五日制等により学校教育を取り巻く環境が大きく変わりつつある中で、教育に対する県民の期待、関心はますます高まりつつあります。近年、自由あるいは平等の美名のもとで、教育の本質、厳然性がややもすれば失われがちでありますが、戦後の教育の果たしてきた役割をどのようにとらえているか、また今後どのような教育ビジョンのもとに本県の教育行政を進めようとしておられるのか、教育長にお尋ねをいたします。
今から三十年前、私は母校である日高高校の一生徒でした。当時の先生と生徒の間には緊張した中にも何かほのぼのとしたものがあり、先生は生徒に本当にいろんな面で責任を持ち、生徒は先生に少なからざる畏敬の念を持ち合わせていたと思います。学習効果の上がらない生徒に対しては──私もそうした生徒の一人でございましたが、補修授業が頻繁にあり、先生方の熱意と努力で、またそれを受けての生徒たちの頑張りが大変よい結果を生み出していたと記憶に残っております。
時代が流れて、現在、大学進学等は非常に厳しいと聞かされますし、生徒の進路に対し現在の教育体制が果たして対処し得るのかどうか。本来の高等学校教育は、勉強したい者にはしっかり勉強する場を与え、またスポーツをしたい者にはスポーツに励める体制を、実技を身につけたい生徒には実技に傾注できる教育体制を最大限に提供し、それぞれの分野で努力し競わせることが能力を引き出させることにもなりますし、それがあるべき姿と思いますが、教育長のご所見をお伺いし、私の一回目の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 冨安議員にお答え申し上げます。
現在の経済社会情勢下において、地方政治家が何をなすべきかという問題でございます。
お話ございましたように、戦後、我が国は世界の先進国が持っている豊かさを追い求めて、産業を振興して効率性や経済性を優先してまいったわけでございます。その結果、世界屈指の経済国になったわけでございますけれども、海外との厳しい経済摩擦とか、国内における地域間格差等さまざまな問題を起こしているのが現状でございます。現在、これまでの経済成長最優先ではなく、生きがいのある、そして豊かさを求める、生活者を重視した政策が求められている大きな変革期であるということ、私も同感でございます。
特に、お話ございましたように、地方における社会基盤の不均衡が大きな課題でございます。東京一極集中主義から脱しての地域の発展と、大都市圏や都市圏と匹敵する社会基盤の整備が緊要な課題でございます。そのためには、空に、道路に、鉄道に、海にといった交通網の整備を急速にこれから図っていかなければならない。そしてまた、我々のふるさとのすばらしい資源をこれからなお一層開発していかなければならない、これが重大な使命ではないかと思っておるわけでございます。
お話ございましたように、公共事業等の配分においてなお一層積極的に対処するとともに、特に、関空が開港し、白浜空港が開港し、そしてまた高速道路が延長するなど、大きな変革期にあります。そうした関連を踏まえつつ、なお一層今のこの時期に公共事業を進めてまいりたい、そして我々のすばらしい文化を、また郷土をつくってまいりたいと思っております。
次に、政治改革法案についてでございますけれども、お話ございましたように、現在、衆議院を通過して参議院へ送られているところでございます。
お話もございましたように、新しい政治改革法案は民意が十分反映されなければならないと思っております。そのために、本県出身の現在五名の代議士が三名になるということ、非常に残念でございます。だから、和歌山の、そしてまた地方の民意の反映を十分図ってもらわなければいけないんじゃないかと思います。
この選挙制度改革法案だけではなしに、今、地方分権が叫ばれておる中で、これから行政改革法案が取り上げられると思うわけでございますけれども、そうした面において、国の仕事、地方でやる仕事で地方への分権をなお一層積極的に進めていただいて、地方の政治に民意が反映するようにまずやっていただきたいと思います。
また区割りについても、これは後の問題になりますけれども、総務庁において検討されることになるようで、また新しい法案になると思いますが、その際において従来の和歌山県の民意をいかに反映したらいいかということについて、地元の意見も十分に反映していただくように私も持っていかなければならないし、そうした反映の方法を検討していただきたいと思っております。そしてまた、小選挙区制について、政治腐敗の防止に大いに役立つことを期待いたします。また政党助成についても、地方議会における無所属に対してどうするかという問題も検討していただかなければならないのではないかと思っておる次第でございます。
いずれにいたしましても、国会において十分論議していただいて、国民の理解が得られるように期待しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地方拠点都市地域指定の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
地方拠点都市地域の基本計画の事業推進については、知事が承認した基本計画を実現するために、国が援助の実施に努めるものと法律に規定されているところでございます。
県といたしましても、庁内の連絡調整を図るため、昨年、関係課室長から成る地方拠点都市づくりに関する検討会を設置して対応してまいりましたが、今後は関係部局長を中心とした組織を新たに設けて、計画の承認及びその後の事業実施について万全を期してまいりたいと考えてございます。また、建設省関係事業については、特に近畿地方建設局と県との間で実施計画を作成してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題三点についてお答えいたします。
ご承知のように、今日の我が国が経済大国として発展してきたその背景には、伝統的な国民の強い学習意欲と、明治初期からの欧米諸国に追いつくことを目標にした教育によってもたらされたものがあると考えてございます。
欧米諸国に追いついた教育は、今まさに大きな変革期を迎えており、新たな目標が必要となってきております。第二次世界大戦後の教育の大きな流れとしての平等主義の考え方が教育の分野において画一的になり、すべてにおいて平均化を招き、悪平等とも言える弊害をもたらしているのではないかという指摘もなされてございます。また、物質的な豊かさや生活の便利さ、価値観の多様化等が進む中で、日本人の特性とも言われた忍耐力や勤勉さが薄れてきていることも憂慮されてございます。さらに、受験競争の激化や自然体験の不足、また他人を思いやったり、弱者をいたわり、物を大切にする心など、人間として最も大切なものを見失いがちになるなど、さまざまな課題が提起されております。こうしたことから、改めて教育の本質について問い直すとともに、真に心の通う豊かな教育の創造に努め、たくましく生き抜いていく人間の育成を図る教育の確立が必要であります。
こうした観点に立って、教育委員会といたしましては、望ましい人間形成を追求することはもとより、生徒の多様な進路希望や生徒の個性を尊重し、伸ばすことに配慮しながら、高等学校においては、国際交流科、環境科学科や熊野高校の森林科学科、さらには日高高校、田辺高校に自然科学科などを新設してきたところであります。また、全国初の普通科、商業科、工業科の三校による学校間連携の実施や、これからの新しい高校教育のパイオニアと期待されている総合学科を全国のトップを切って新設し、さらにより幅広く子供のよさや可能性を見出す観点から、高校入試の改善を図ったところでございます。教育のあるべき本質を十分踏まえながら、こうした時代や社会の一歩先を見据えた本県の教育の取り組みは、今全国から注目され、高い関心が寄せられているところでございます。
さらに、これからの教育は、十年先、二十年先をも視野に入れたグローバルなビションのもとに進める必要があると考えております。その一つは、国際社会に生きるという視点から、多様な価値観を受けとめ、心を通わせ、ともに学ぶことができる、開かれた教育の実現であります。二つ目は、急速な技術革新の進展と高度に情報化された社会に対応できる人間の育成であります。三つ目は、生涯にわたって健康の保持、体力の向上を図るとともに、スポーツの振興を積極的に進め、たくましく力強く生きるための基礎づくり教育の推進であります。四つ目は、生涯学習社会への移行が進む中で、生涯にわたり、みずからを高め、豊かに生きていくための多様な学習活動へのニーズにこたえる教育への積極的な取り組みであります。五つ目は、これまでの既成の枠にとらわれることなく、一人一人がみずから学びたいものを主体的に選び、自分の個性や能力を十分に伸ばす個性化教育を一層推進することであります。こうした教育を真に実りあるものとし、魂を入れるのは日々子供たちとかかわる教員であることから、教員の意識改革を図り、かけがえのない子供たちのために、ひたすら汗をかき、懸命に学習指導等に努めるよう教職員を指導し、新しい時代にふさわしい教育の創造に努めたいと考えてございます。
今後とも、子供たち一人一人の持てる力を十分に伸ばすとともに、骨太く、たくましく、明るく、しかも他人の心の痛みのわかる人間の育成に努め、豊かで活力ある社会の創造に寄与できる学校教育の確立に尽力してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
34番冨安民浩君。
○冨安民浩君 私は、聡明なる企画部長にお願いをしておきたいのでありますが、今、たまたまこの地方拠点都市地域の法律が出たわけでございますが、企画部がしっかり仏さんをつくると。魂を入れるところまで見ないというのでは、仏さんをつくる意味がないわけでございます。この地方拠点都市地域の指定は、紀中、紀南にとって大変大きな仏だと思いますので、どうか大きな魂が入るように、その辺のトレースをしっかりお願いしておきたい、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。