平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第四号 平成五年十二月十日(金曜日)
午前十時開議
第一 議案第百四十七号から議案第百五十号まで(知事説明・質疑)
第二 議案第百三十六号から議案第百四十六号まで(質疑)
第三 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百四十七号から議案第百五十号まで(知事説明・質疑)
二 議案第百三十六号から議案第百四十六号まで(質疑)
三 一般質問
出 席 議 員(四十四人)
1 番 小 川 武
2 番 吉 井 和 視
3 番 井 出 益 弘
4 番 和 田 正 一
5 番 町 田 亘
6 番 尾 崎 吉 弘
8 番 藁 科 義 清
9 番 向 井 嘉久藏
10 番 佐 田 頴 一
11 番 阪 部 菊 雄
12 番 堀 本 隆 男
13 番 平 越 孝 哉
14 番 富 田 豊
15 番 門 三佐博
16 番 西 本 長 弘
17 番 高 瀬 勝 助
18 番 上 野 哲 弘
19 番 宇治田 栄 蔵
20 番 尾 崎 要 二
21 番 中 村 利 男
22 番 木 下 義 夫
23 番 山 本 一
24 番 馬 頭 哲 弥
25 番 鶴 田 至 弘
26 番 飯 田 敬 文
27 番 村 岡 キミ子
28 番 松 本 貞 次
29 番 下 川 俊 樹
30 番 石 田 真 敏
31 番 宗 正 彦
32 番 橋 本 進
33 番 浜 田 真 輔
34 番 冨 安 民 浩
35 番 上野山 親 主
36 番 中 村 裕 一
37 番 和 田 正 人
38 番 大 江 康 弘
39 番 中 西 雄 幸
40 番 木 下 秀 男
42 番 森 正 樹
43 番 野見山 海
44 番 新 田 和 弘
46 番 森 本 明 雄
47 番 浜 口 矩 一
欠 席 議 員(二人)
7 番 岡 本 保
45 番 浜 本 収
〔備 考〕
41 番 欠 員
説明のため出席した者
知 事 仮 谷 志 良
出納長 梅 田 善 彦
知事公室長 中 西 伸 雄
総務部長 木 村 良 樹
企画部長 佐 武 廸 生
民生部長 南 出 紀 男
保健環境部長 江 口 弘 久
商工労働部長 吉 井 清 純
農林水産部長 野 見 典 展
土木部長 山 田 功
企業局長 高 瀬 芳 彦
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員長
岩 崎 正 夫
教育長 西 川 時千代
以下教育次長
公安委員会委員長
西 本 貫 一
警察本部長 西 川 徹 矢
以下各部長
人事委員会委員長
水 谷 舜 介
人事委員会事務局長
代表監査委員 天 谷 一 郎
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長職務代理者
谷 口 庄 一
地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 梅 本 信 夫
次 長 中 村 彰
議事課長 中 西 俊 二
議事課副課長 佐 竹 欣 司
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主事 長 尾 照 雄
議事課主事 松 本 浩 典
総務課長 川 端 孝 治
調査課長 岡 山 哲 夫
(速記担当者)
議事課主査 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
知事から、議案の追加提出がありました。
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財第189号
平成5年12月10日
和歌山県議会議長 宗 正 彦 殿
和歌山県知事 仮 谷 志 良
和歌山県議会平成5年12月定例会追加議案の提出について
地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
記
議案第147号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第148号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第149号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第150号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
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○議長(宗 正彦君) 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
今回、追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であります。去る十月十八日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講じるものであり、条例案件として議案第百四十七号から議案第百五十号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
なお、給与改定に伴う所要の経費については既定の予算で対応することといたしております。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百四十七号から議案第百五十号までを一括して議題といたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第二、議案第百三十六号から議案第百四十六号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
34番冨安民浩君。
〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 議長のお許しをいただきましたので、通告順に従い、質問を始めさせていただきます。
まず初めに、私は現在の経済社会情勢は、長らく続いた都会へ向かってすべてが流れるという大きな潮流が緩み、インフラ整備を中心とする条件整備が整いさえすれば地方への分散が確実に期待できる状況にあると確信するものでありますが、こうした時期に地方政治に携わる者は何をなすべきか、今、地方の政治が何をなすべきか、そうした観点から質問をいたします。
戦後五十年、まさにこの半世紀は、いわゆる豊かさを求める国民志向を受けて、まさに政官財挙げての、経済的に欧米に追いつけ追い越せの経済至上主義の時代であり、政治の安定、またそのときどきの時宜を得た政策、国民の勤勉性、学校教育の厳然性、世界に類を見ない治安のよさ、そうしたさまざまな要素が複合的に有効作用し、世界に類を見ない短期間で経済大国を築くという目的が達成されました。しかしながら、近年のエコノミックアニマル的な活動は極度の対外摩擦を引き起こし、経済の重点を内需振興に向けざるを得ないという事態を招き、結果として昭和六十一年に、元日銀総裁の前川さんからあの前川レポートが提出され、それを受けて当時の中曽根政権が思い切った内需振興策を打ち出したわけであります。その結果、あのバブルを引き起こし、バブル崩壊により今日の厳しい状況を招いているというのが現実であります。
今日、我が国はいまだかつて経験のない、極めて厳しい局面に直面しております。すなわち、バブル崩壊による全く出口の見えない長期不況下にあり、それに伴いさまざまな波紋が生じつつあり、今日まで一貫して有効作用し続けてきた諸制度のあり方さえも問われようとしております。例えば、今、終身雇用制度が取りざたされておりますが、そうした制度もその一つであります。
この長期不況から脱出を図るべく、国においてはたび重なる財政、金融政策を中心とするさまざまな支援策が講じられております。しかしその効果たるや、なしとは申しませんが、効き目が薄いというのが現実であります。もはや、そうした国内政策のみでは、日本の経済はよみがえれないのではないか、それほど日本の経済はグローバル規模になり、かつ複雑になっていると言うべきなのだと思いますし、絶えずいわゆる右肩上がり指向で来た日本経済も、そろそろ大きな曲がり角に立っていると認識すべきだと思います。
一たび膨らんだ経済がしぼむときにはいろいろな波紋が生じるのは当然だと思いますが、ある権威ある民間の経済調査機関のリサーチによると、今後いや応なしに一段と民間企業の雇用調整が進み、もちろん都市部地域がその大部分を占めると思いますが、日本全国で二百万人とも三百万人ともいうホワイトカラーがその対象になると言われています。景気の現状、動向を踏まえての、まさに生き残りをかけた壮絶な企業戦争をこの調査からもかいま見ることができるわけでございます。
私は、戦後の荒廃からこの豊かな日本を築いた今日までの我が国の政策は大きく是としながらも、今、内外とも大きな変革期に入っておると思うわけでございます。そうした時期に地方政治に携わる者は、その責任ある立場で今何をなすべきか、またどうあるべきか、真剣に考える時期に差しかかっていると思います。
経済大国を築く過程での経済効果のみを追い求める結果として生じた、すべてのものが都会に向かって流れるというとめようもない大きな潮流の中で、国の開発計画の指針であるべき第四次全国総合開発計画の基本理念に「均衡のとれた国土形成」とうたわれ、地方の時代、地方の時代と叫ばれながら、ややもすれば地方が置き去りになってきたという現実があります。私は、今が変革期とするならば、この変革期にそうした点をしっかり考えた上で、まさに聖域とも言うべき国の予算配分のあり方等にもしっかり異議を申し、また切り込み、交通網整備を中心とした地方のインフラ整備を急ぎ、それぞれの地方が持つポテンシャルを競い合う二十一世紀、そうした時代を築くことが今後の国土形成において一番求められることでありますし、またそうなることが本県の目指すところと思います。今まさに、そうした二十一世紀をつくるべく、大いに立ち上がらなければいけない時期に来ていると思いますが、仮谷知事のご所見をお伺いいたします。
なお、県議会開政クラブ五名は、大江康弘代表を先頭に、去る十二月一日の議会開会日に徳島市に出向き、前徳島市長の山本様、現徳島市長の小池様、数名の徳島県議、並びに徳島の報道関係者を交えて、両県の浮上につながる第二国土軸の問題についていろいろ協議をし、今後、綿密に連絡を取り合い、運動を展開することを申し合わせたことを申し添えます。
次に、県内における均衡ある発展を図ることを目指して、去る八月六日、御坊・田辺地方を中心とする二市十六町村が指定権者である仮谷知事より地方拠点都市地域としての指定を受けました。私の選挙区である日高郡の十カ町村も対象地域に含まれており、その指定に対して日高郡民に成りかわり、仮谷知事に御礼を申し上げる次第であります。
その地域指定に際し、知事は次のようなコメントを出されております。「本県の場合、南北に長く、しかも県北部の和歌山市周辺地域に人口等が集中している実情や地方拠点法の趣旨を総合的に考慮し、県下第二の都市である田辺市を中心に、県中央部の田辺・御坊地域に拠点都市地域を形成し、県内における均衡ある発展を図っていくため今回の指定を行った。今後、関係市町村が共同して取り組む基本計画の作成に当たっては、地域の創意工夫を最大限に生かし、個性的で魅力あふれる地域が形成できるような計画づくりを期待する」。
さて、その地方拠点都市地域の指定につき、その法律の趣旨にのっとり実効を上げるべく企画部の対応についてお尋ねいたします。
さきにも申し上げたように、八月六日、この法律の主務官庁である国土庁、農林水産省、通商産業省、郵政省、建設省、自治省、以上六省庁との事前協議ヒアリングを経て、御坊市、田辺市を中心とする二市十六町村が地方拠点都市地域として仮谷知事より指定を受け、関係市町村では本年五月三十一日に設立された田辺御坊地方拠点都市地域整備促進協議会が中心となって、来年三月の基本計画の承認に向け、基本計画素案の作成に入っております。この法の支援措置には、公共事業の重点実施、地方単独施策の推進、公団機構・公社等の特例、税制・金融上の措置、都市計画上の特例、地方行財政上の特例、電気通信の高度化への配慮、農地法等による処分についての配慮等、幾多の支援措置があります。現在、工事中の高規格道路、湯浅御坊道路、また先般、施工命令がおりた御坊─南部間の工事着手とあわせて、こうした幾多の支援措置をてことしての御坊、日高、田辺、西牟婁、いわゆる中紀の振興が大きく期待されるわけであります。地域指定、また基本計画素案指導の担当部として、この法の特例措置が生かされるべく、例えば管内関係道路網の整備に際し、公共事業の重点配分、起債に際しての柔軟性等、庁内関係部局に縛りをかけるほどの指導性を企画部に望むものでありますが、企画部長の前向きの答弁を求めるものであります。
次に、目下参議院に送付されている政治改革法案についてのご所見をお伺いいたします。
「政治は最高の道徳であるべし」とも言われ、政治のあるべき姿は論をまたないところであります。世界における日本の位置づけが大きくクローズアップされている中での複雑きわまる国際外交、そうした点一つをとらえても国家の浮沈はまさに政治次第であります。しかしながら近年、政治にまつわるたび重なる不祥事から、政治家を選ぶ選挙制度、またその政治資金のあり方をも含めての政治改革論議が活発になされ、本年夏の衆議院総選挙もその是非をかけての選挙であったと思います。
去る十一月十八日に若干の修正を経て衆議院を通過、現在、参議院に送付されて審議待ちの政治改革法案は、これからの日本の選挙制度、政治のあり方の方向づけをするものであります。その中にあって、特に選挙制度改革は県民にとって最も関心の深い部分だと思います。この法案の選挙制度には、民意の集約、すなわち政治の効率性を考え合わせた小選挙区制と民意の反映を重視した比例代表制の二つから成る小選挙区比例代表制が採用されています。
この政府案は、小選挙区定数を二百七十四と定め、平成二年の国勢調査に基づき本県の人口を百七万四千三百二十五人とすれば、三つの小選挙区に分割されると新聞等で論じられております。この法案成立による本県の定数減はまことに残念でありますが、その区画割りは総理府内に設置される選挙区画確定機関が担当すると聞いておりますけれども、せめても区画割りについては、格差是正も含め、過去の経過から本県の独自性、すなわち経済圏、生活圏といったものを考慮し、なおかつ将来的見通しに立った上でなされるべきと考えますが、知事の考え方を伺います。
また、この選挙制度、政治資金、政党助成等から成る政治改革法案についてのご所見もあわせてお伺いいたします。
次に、大変地味ではありますが、その重要性においては論をまたない教育問題について質問をいたします。
中国の古いことわざに「一年先を見るならば麦を植えよ。十年先を見るならば木を植えよ。百年先を見るならば人をつくれ」とあります。教育、人づくりの重要性を端的に語っていることわざであります。戦後、我が国が短期間で経済大国を樹立できたのも、また世界に類を見ない治安のよさも、警察当局のご努力はもとよりでございますが、学校教育が果たしている部分も大変大きいし、何を語るにしても学校教育抜きには語れず、教育はまさにすべての礎であります。それゆえ、万が一にも学校教育がいささかでもぶれたりすると基礎が揺らぐことになり、そのあり方については深い関心と注意を寄せなければなりません。また、教育は一朝一夕にはならず、十年先、二十年先を見据えたいわゆるロングランの中でのこつこつとした不断の努力の積み重ねが大切であります。
昨年二学期より導入された学校月一回五日制等により学校教育を取り巻く環境が大きく変わりつつある中で、教育に対する県民の期待、関心はますます高まりつつあります。近年、自由あるいは平等の美名のもとで、教育の本質、厳然性がややもすれば失われがちでありますが、戦後の教育の果たしてきた役割をどのようにとらえているか、また今後どのような教育ビジョンのもとに本県の教育行政を進めようとしておられるのか、教育長にお尋ねをいたします。
今から三十年前、私は母校である日高高校の一生徒でした。当時の先生と生徒の間には緊張した中にも何かほのぼのとしたものがあり、先生は生徒に本当にいろんな面で責任を持ち、生徒は先生に少なからざる畏敬の念を持ち合わせていたと思います。学習効果の上がらない生徒に対しては──私もそうした生徒の一人でございましたが、補修授業が頻繁にあり、先生方の熱意と努力で、またそれを受けての生徒たちの頑張りが大変よい結果を生み出していたと記憶に残っております。
時代が流れて、現在、大学進学等は非常に厳しいと聞かされますし、生徒の進路に対し現在の教育体制が果たして対処し得るのかどうか。本来の高等学校教育は、勉強したい者にはしっかり勉強する場を与え、またスポーツをしたい者にはスポーツに励める体制を、実技を身につけたい生徒には実技に傾注できる教育体制を最大限に提供し、それぞれの分野で努力し競わせることが能力を引き出させることにもなりますし、それがあるべき姿と思いますが、教育長のご所見をお伺いし、私の一回目の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 冨安議員にお答え申し上げます。
現在の経済社会情勢下において、地方政治家が何をなすべきかという問題でございます。
お話ございましたように、戦後、我が国は世界の先進国が持っている豊かさを追い求めて、産業を振興して効率性や経済性を優先してまいったわけでございます。その結果、世界屈指の経済国になったわけでございますけれども、海外との厳しい経済摩擦とか、国内における地域間格差等さまざまな問題を起こしているのが現状でございます。現在、これまでの経済成長最優先ではなく、生きがいのある、そして豊かさを求める、生活者を重視した政策が求められている大きな変革期であるということ、私も同感でございます。
特に、お話ございましたように、地方における社会基盤の不均衡が大きな課題でございます。東京一極集中主義から脱しての地域の発展と、大都市圏や都市圏と匹敵する社会基盤の整備が緊要な課題でございます。そのためには、空に、道路に、鉄道に、海にといった交通網の整備を急速にこれから図っていかなければならない。そしてまた、我々のふるさとのすばらしい資源をこれからなお一層開発していかなければならない、これが重大な使命ではないかと思っておるわけでございます。
お話ございましたように、公共事業等の配分においてなお一層積極的に対処するとともに、特に、関空が開港し、白浜空港が開港し、そしてまた高速道路が延長するなど、大きな変革期にあります。そうした関連を踏まえつつ、なお一層今のこの時期に公共事業を進めてまいりたい、そして我々のすばらしい文化を、また郷土をつくってまいりたいと思っております。
次に、政治改革法案についてでございますけれども、お話ございましたように、現在、衆議院を通過して参議院へ送られているところでございます。
お話もございましたように、新しい政治改革法案は民意が十分反映されなければならないと思っております。そのために、本県出身の現在五名の代議士が三名になるということ、非常に残念でございます。だから、和歌山の、そしてまた地方の民意の反映を十分図ってもらわなければいけないんじゃないかと思います。
この選挙制度改革法案だけではなしに、今、地方分権が叫ばれておる中で、これから行政改革法案が取り上げられると思うわけでございますけれども、そうした面において、国の仕事、地方でやる仕事で地方への分権をなお一層積極的に進めていただいて、地方の政治に民意が反映するようにまずやっていただきたいと思います。
また区割りについても、これは後の問題になりますけれども、総務庁において検討されることになるようで、また新しい法案になると思いますが、その際において従来の和歌山県の民意をいかに反映したらいいかということについて、地元の意見も十分に反映していただくように私も持っていかなければならないし、そうした反映の方法を検討していただきたいと思っております。そしてまた、小選挙区制について、政治腐敗の防止に大いに役立つことを期待いたします。また政党助成についても、地方議会における無所属に対してどうするかという問題も検討していただかなければならないのではないかと思っておる次第でございます。
いずれにいたしましても、国会において十分論議していただいて、国民の理解が得られるように期待しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地方拠点都市地域指定の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
地方拠点都市地域の基本計画の事業推進については、知事が承認した基本計画を実現するために、国が援助の実施に努めるものと法律に規定されているところでございます。
県といたしましても、庁内の連絡調整を図るため、昨年、関係課室長から成る地方拠点都市づくりに関する検討会を設置して対応してまいりましたが、今後は関係部局長を中心とした組織を新たに設けて、計画の承認及びその後の事業実施について万全を期してまいりたいと考えてございます。また、建設省関係事業については、特に近畿地方建設局と県との間で実施計画を作成してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題三点についてお答えいたします。
ご承知のように、今日の我が国が経済大国として発展してきたその背景には、伝統的な国民の強い学習意欲と、明治初期からの欧米諸国に追いつくことを目標にした教育によってもたらされたものがあると考えてございます。
欧米諸国に追いついた教育は、今まさに大きな変革期を迎えており、新たな目標が必要となってきております。第二次世界大戦後の教育の大きな流れとしての平等主義の考え方が教育の分野において画一的になり、すべてにおいて平均化を招き、悪平等とも言える弊害をもたらしているのではないかという指摘もなされてございます。また、物質的な豊かさや生活の便利さ、価値観の多様化等が進む中で、日本人の特性とも言われた忍耐力や勤勉さが薄れてきていることも憂慮されてございます。さらに、受験競争の激化や自然体験の不足、また他人を思いやったり、弱者をいたわり、物を大切にする心など、人間として最も大切なものを見失いがちになるなど、さまざまな課題が提起されております。こうしたことから、改めて教育の本質について問い直すとともに、真に心の通う豊かな教育の創造に努め、たくましく生き抜いていく人間の育成を図る教育の確立が必要であります。
こうした観点に立って、教育委員会といたしましては、望ましい人間形成を追求することはもとより、生徒の多様な進路希望や生徒の個性を尊重し、伸ばすことに配慮しながら、高等学校においては、国際交流科、環境科学科や熊野高校の森林科学科、さらには日高高校、田辺高校に自然科学科などを新設してきたところであります。また、全国初の普通科、商業科、工業科の三校による学校間連携の実施や、これからの新しい高校教育のパイオニアと期待されている総合学科を全国のトップを切って新設し、さらにより幅広く子供のよさや可能性を見出す観点から、高校入試の改善を図ったところでございます。教育のあるべき本質を十分踏まえながら、こうした時代や社会の一歩先を見据えた本県の教育の取り組みは、今全国から注目され、高い関心が寄せられているところでございます。
さらに、これからの教育は、十年先、二十年先をも視野に入れたグローバルなビションのもとに進める必要があると考えております。その一つは、国際社会に生きるという視点から、多様な価値観を受けとめ、心を通わせ、ともに学ぶことができる、開かれた教育の実現であります。二つ目は、急速な技術革新の進展と高度に情報化された社会に対応できる人間の育成であります。三つ目は、生涯にわたって健康の保持、体力の向上を図るとともに、スポーツの振興を積極的に進め、たくましく力強く生きるための基礎づくり教育の推進であります。四つ目は、生涯学習社会への移行が進む中で、生涯にわたり、みずからを高め、豊かに生きていくための多様な学習活動へのニーズにこたえる教育への積極的な取り組みであります。五つ目は、これまでの既成の枠にとらわれることなく、一人一人がみずから学びたいものを主体的に選び、自分の個性や能力を十分に伸ばす個性化教育を一層推進することであります。こうした教育を真に実りあるものとし、魂を入れるのは日々子供たちとかかわる教員であることから、教員の意識改革を図り、かけがえのない子供たちのために、ひたすら汗をかき、懸命に学習指導等に努めるよう教職員を指導し、新しい時代にふさわしい教育の創造に努めたいと考えてございます。
今後とも、子供たち一人一人の持てる力を十分に伸ばすとともに、骨太く、たくましく、明るく、しかも他人の心の痛みのわかる人間の育成に努め、豊かで活力ある社会の創造に寄与できる学校教育の確立に尽力してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
34番冨安民浩君。
○冨安民浩君 私は、聡明なる企画部長にお願いをしておきたいのでありますが、今、たまたまこの地方拠点都市地域の法律が出たわけでございますが、企画部がしっかり仏さんをつくると。魂を入れるところまで見ないというのでは、仏さんをつくる意味がないわけでございます。この地方拠点都市地域の指定は、紀中、紀南にとって大変大きな仏だと思いますので、どうか大きな魂が入るように、その辺のトレースをしっかりお願いしておきたい、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問を申し上げてまいります。
今回は、九月定例議会に引き続き、フォレストシティ計画に絞ってお尋ねをいたします。そのフォレストシティ計画に関し、六点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
去る九月二十一日、大阪地検特捜部の強制捜査に始まった国土法違反そして脱税容疑事件は、捜査が進むにつれ、数々の疑惑が浮かび上がってまいりました。そのことは、各新聞、テレビ、週刊誌等で毎日のように報道され、全国どこにいても知ることができるほど大きな問題として広がってまいりました。
十二月一日には、元県企画部長がみずからの土地売買に絡んで多額の裏金を受け取り略式起訴、そして罰金刑五十万円という刑に及んだことも大変重大な問題だと思うのであります。当時は現職でありましたし、現職としての最高の幹部でありましたから、法を守り、法を指導監督する立場にありながら法を軽視するという姿は許すことができませんし、このことを露呈したばかりでなく、行政に対する県民の信頼が大きく後退したことは否めません。
さらに、地権者の用地買収においての札束攻勢のあのやり方は、異常と言っておれないほど悪質なものでありました。その上、脱税まで指南するという事業者としての体質そのものも大きく問われなければなりません。
地権者でもある圓明寺の同意取りつけに至っては、新聞で報道されたように、おどしだけではなくて脅迫するなど、四、五年にわたって続いてまいりました。住職たちも、どんなにか心を痛めてこられたことでしょう。また、周辺自治会の同意を得る上で十分な説明はなく、住民の不安に何らこたえる誠意ある姿はいまだに見えません。そして、フォレストシティ計画を進める上で、五百余億円という巨額の資金融資で支えてきた県下トップの紀陽銀行の姿勢にも問題と責任があることをマスコミの記事で知ることもできます。紀陽銀行が和興開発に融資した金が一部暴力団関係者にも流れているなど、その使途についての疑惑問題も明らかになりつつあります。フォレストシティ計画は、本県の燦黒潮リゾート構想の特定民間施設の中核に指定されているわけであります。不法、不正事件に汚染されたこのフォレストシティ計画は、今は色あせた計画へと大きく変貌していると私は思うのです。
このように、法と社会的道義に背くような数々の疑惑を生んできたその原因は、フォレストシティ計画そのものがまれに見る無謀な計画だからです。二万人近い住民が生活する至近距離に三百二十五ヘクタールという、巨大開発でもあります。しかも、造成に伴う土砂の総移動量は三千万立方メートルをはるかに超え、最高百三十メートルにも及ぶ盛り土を行うという、前例にない計画でもあります。昨年六月の改正森林法ではとても許可の対象にならないばかりか、同じく昨年九月に環境庁が提示したゴルフ場設置指針に照らしてみても、審議にたえない無謀な計画だということを私はあえて強調したいと思います。もうける目的のためなら法を犯し、そして地域社会まで壊してしまうやり方というのはその企業の体質や姿勢が問われますし、今からどんなにきれいな言葉を並べて地域の発展のためにと声を大にして訴えたとしても、到底このフォレストシティ計画は何人にも受け入れられない状況になっていると私は思います。したがって、これまでの数々の疑惑を県民の前に明らかにすることが今求められています。
知事にお伺いいたします。
今、県民の目は県行政の姿勢に注目しています。フォレストシティ計画がリゾート計画の重要な位置づけにあったとしても、これほど疑惑を生み、犯罪行為を平然と繰り返してきた悪質きわまりない企業に行政が手をかすようなことがあってはなりませんし、私たち県民は決してそのことを許しません。フォレストシティにかかわる一連の問題に対し、知事はどのような認識に立っておられるのでしょうか。この計画を根本から見直しをするために、県民は不許可を望んでいます。不許可にする勇気ある英断を期待するものです。見解をお聞かせください。
二点目でございます。開発許可申請の審査状況についてであります。
既に、林地開発申請は一年半を経過しております。現段階での状況について、できるだけ具体的にその審査状況をお聞かせください。
都市計画法に基づく開発許可申請は本年九月三日でありますが、申請者の不正事件という新たな状況の中での審査であります。審査状況について、これもまた具体的にお聞かせください。
三点目についてお尋ねをいたします。去る十一月二十八日、フォレストシティ計画地の地権者である圓明寺は檀家総会を開き、フォレストシティ計画に反対することと開発許可申請に関する三つの同意書を撤回することを決定し、その決定を和興開発株式会社と県市に対し、それぞれ通知書を郵送いたしました。
圓明寺は、十二月六日の月曜日、県の建築課に出向き、撤回文書返還請求書を手渡してまいりました。この同意書なるものは、本年七月十九日、圓明寺の命であり信仰の修練場でもある鳴滝のお滝が守れるならばという三つの条件を書いたものです。一つは開発行為施行同意書、二つには隣接地の開発行為施行同意書、三つには公共用財産公用廃止並びに払い下げについての同意書であります。これを覚書として和興開発に提出をしてまいったものです。これらは、林地開発許可申請時、都市計画法による開発許可申請時の両方に必要な添付書類として義務づけられた重要なものであります。したがって、現在、建築課や林業課には、七月十九日に提出された同意書と、十一月二十八日に決定をされて郵送されてきた通知書との二つの相反する内容の書類が届いている状況にあります。せんだっての尾崎議員の質問に対しても、両部長とも和興開発と圓明寺の間の問題であるという答弁をされ、このことは新聞紙上にも掲載されました。しかし、こういう相反する二つのものがあったとしても、その地権者である圓明寺の気持ちは今は全く撤回することに変わりはないわけです。一方的であるにせよ、効力の有無はどうあるにせよ、現時点では同意の内実がないことを示すものであると私は考えます。圓明寺の同意撤回の意思について新たな状況に来ているものでありますから、この新たな状況にあるということについてどのように認識をされるのか教えてください。土木部長、農林水産部長のご所見をお聞かせください。
第四点目について伺います。過去の質問の中で指摘をしてきたフォレストシティ計画地の地質問題についてであります。
計画地である和泉山脈は中央構造線が通っております。そして、無数の断層破砕帯を伴った活断層であります。その中央構造線に沿って、鳴滝断層、根来断層など活断層があると言われています。中央構造線は、長野県の諏訪湖から九州に及ぶ長さ千キロメートルの断層であると言われていますし、そのうちの近畿では奈良県の五條から淡路島南部を結ぶ線に位置していると言います。これは二百万年前から続いている活断層で、特に和歌山の和泉山脈にかかる部分が現在最も激変しやすい状況にあるそうです。この二百万年の間に千五百メートルずれて、和歌山側から大阪側にかけて百五十メートル競り上がった状況になっていると言われています。比較的安全な大阪側は、既に二十数年前にこの活断層の指定地域を申請し、国で認められて、今では防災上の優遇措置を受けているとも聞いております。最も危険な部分となっている和歌山側をなぜ地域指定にしていないのかと、私は行政に対する疑問さえ感じるのです。
さて、地質学の専門書「日本の地質六 近畿地方」(一九八七年・共立出版)では、地質学上、近畿地方の代表的な斜面災害地域としてこの和泉山脈を九つの地域の一つに挙げております。この地域の地すべりについてこの本は、一つには、和泉層群の泥岩が地下水などの作用で軟弱化しやすいこと、二つ目には、和泉層群の一般的な地層の傾斜が二十度以上あるので、強度の低下した風化泥岩層が滑り面となって地すべりが発生しやすい条件があること、三つ目には、地層内の間隙水圧の上昇などが原因であると述べております。
また、国土庁の土地局、同調査課が一九八五年にまとめた土地保全図付属資料によりますと、和歌山県の地すべり地帯は、紀の川流域、有田川流域などに集中しており、そのほとんどは断層に起因する破砕帯地すべりであると述べております。その破砕帯について、破砕帯が著しいのは善明寺付近から東の地域で、山ろくから平野部に移行する和泉層群では特に破砕が著しく、粘土化も進んでいると指摘しております。
この善明寺から東の地域と言いますと、ちょうどフォレストシティ計画地域に当たります。そのことから考えても、地すべり地帯、危険地帯であるということは十分納得できると思います。そして破砕帯は、断層活動によって岩石がもろいのも特徴であります。今まで、私も経験をいたしております。鳴滝地域においても地すべりがありましたし、そしてその地すべりの状況も今は落ちついているとは言えません。その場所は多額の修復工事費用がかかるために、現在に至っても地主の皆さんたちがちゅうちょされているという状況にあります。さらに、直川、西ニュータウンといった周辺での宅地開発が進んできていますけれども、地すべりやがけ崩れが発生した事実もあります。そして、栄谷の配水池がつくられておりますけれども、この工事における和歌山市の手抜き地質調査のために新たに四億円もの追加工事をしなければならなかったという苦い経験もあります。
このフォレストシティ計画地につくられる一号調整池があります。ある専門家は和興開発に対して、この一号調整池の造成に際し、谷底二十メートルに及ぶ軟弱層が広がっているので、これを取り除いた後に造成工事を行うことをあえて指摘したと聞いております。
このように、国土庁の調査や専門書、そして地質学の専門家は、災害の発生しやすい地帯であることを同様に指摘しています。県は事前協議の中で、このことの調査検討を指導しているところであります。計画地域の地質について、県はどのように把握しておられるのでしょうか。そして、フォレストシティ計画設計図等では、こうした問題を解決するための工法等はどうなっているのでしょうか。土木、農林水産部長の答弁をお聞かせいただきたいと思います。
今まで知事や企画部長は、このフォレストシティ計画について、リゾート整備に極めて高いポテンシャルを有する地域であると言ってこられました。この地質の状況から考えたとしても、果たしてそのようなことが言えるのでしょうか。災害が発生しやすい地域として見るならば、県独自の地質調査を行うべきではないでしょうか。
第五点、第六点をまとめてご質問申し上げます。
フォレストシティ問題で、紀陽銀行が果たしている役割は大変大きいと言わざるを得ません。銀行本体と系列のノンバンクから和興開発への融資は総額で五百億円にも達し、さらに九月二十七日付の朝日新聞の報道によりますと、東京の信託銀行系のノンバンクから和興開発に融資された百億円についても紀陽銀行がその債務保証を行っているということであります。フォレストシティ計画は、紀陽銀行の全面的な資金融資、バックアップがあって初めて和興開発が計画をごり押しできたと言えます。バブル経済の崩壊という事態の中で、土地の価格を上回る過剰融資である疑いや、大阪地検から所得税法違反で起訴された和興開発の前田社長らが地権者らに渡した裏金の出どころの中にも紀陽銀行からの資金が入っていたとの疑いも出てまいりました。
さて、和歌山地検がフォレストシティ事件で強制捜査に着手した直後の家宅捜索には、和興本社のほか暴力団の関係する会社が含まれていたことはご承知かと思います。各マスコミ報道や私どもの調査によりますと、和興開発の周辺には反社会的団体である暴力団の姿が見え隠れしているのは重大です。言うまでもなく、平成三年五月には暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律によって暴力団追放県民センターが設立されることになり、本県でも平成四年から暴力団追放センターが活動を始めています。これは、官民挙げて暴力を許さず、社会から暴力団を追放するための努力の一環でもあります。このことは、公共性の高い金融機関として暴力団に直接融資したり、関係会社に流れるような資金融資を行わない、こういうきっぱりとした態度が求められると思うのです。ところが、今度の事件をきっかけに紀陽銀行や他の銀行、金融機関から、暴力団やその関連会社と見られる会社への資金融資が相次いで報道されていることは、暴力団追放の県民の願いを逆なでする問題として非常に残念だと思うわけです。
朝日新聞の九月二十七日付では、紀陽銀行本店にある和興開発の口座から数十億円が三共土地開発という会社に送金されたと報道されています。この三共土地開発は、前田社長が監査役に入り、山口組系の暴力団の妻が取締役に入っている暴力団関係の会社と見られております。この会社の連絡先は、さきの暴力団組長の妻が所有するビル内にあります。同じビルには、前田社長が監査役を務めている西雅開発という会社が入っており、暴力団組長の妻が社長を務めていることも報道されました。三共土地や西雅開発が暴力団と密接なつながりがあると見るのは自然ではないでしょうか。
十一月十六日付の読売新聞では、紀陽銀行が山口組系暴力団事務所を担保に政治結社の代表に昭和五十八年九月に千五百万円、平成三年三月に五千万円、昭和六十三年三月には別の組長の親族が所有する土地を担保に一千五百七十万円を融資していたとのことであります。
このほか、毎日新聞の十月二日付では、紀陽銀行が県内最大の暴力団、山口組直系の組事務所と組長宅を担保に六千五百万円の抵当権、根抵当権を設定、融資しているとの報道もあります。
これらの報道が事実であるとするならば、紀陽銀行が和興開発の関連会社である暴力団系と見られる会社に融資していたほか、かねてから暴力団にも融資のつながりを持つ銀行であったということで、県指定金融機関として県当局としてもその真偽を調査する必要があると思いますが、出納長の答弁を求めます。
毎日新聞の十月二日付の紙面で、大蔵省銀行局は、「銀行は公共性の高い免許法人であり、暴力団との取引のように社会的批判を浴びるような取引はするべきでない」とのコメントを載せています。言うまでもありません。暴力団は、反社会的な団体として社会から追放しなければならない存在であり、官民挙げて暴力追放に取り組んでいる折に、県指定金融機関である紀陽銀行が暴力団に融資していた事実は到底、指定金融機関の資格にかかわる問題と考えますが、出納長の見解を求めます。
こういう暴力団が大きくかかわっている疑いが指摘されている中で、暴力団や暴力団系企業の資金を根絶するため、警察としても事実の究明を図る必要があると考えますが、県警本部長の見解を求めたいと思います。
なお、指定金融機関との契約では、第十条で「契約に違反したときは、いつでも契約を解除することができる」との規定があります。この契約内容の中に、このフォレストシティにかかわったように、指定金融機関が反社会的な行為を行った場合、契約をいつでも解除できるという規定を補足する必要があると考えています。すなわち、企業に対して県民が納得できるようなペナルティーをかける規定が必要だということです。このことについても出納長の見解を求めたいと思います。
これで、第一回の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
フォレストシティ計画に絡む一連の問題に対する知事の認識と見解ということでございます。
平成六年九月の関西国際空港開港という絶好の時期を迎えて、これを県勢の飛躍発展の契機とすべく、リゾート構想の推進に向けて、マリーナシティの建設やリゾート博の開催など懸命な努力を重ねているところでございます。加太・紀泉地域はリゾート整備には極めて高い優位性を持っておりますし、今後とも燦黒潮リゾート構想の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
なお、今回、国土法違反等の事件が起きたことは、まことに遺憾なことでございます。フォレストシティ計画の開発許可については、都市計画法、森林法に基づき総合的に判断することといたしてございまして、現状では許可することは厳しいと考えてございますが、今後の推移を見守りながら対処してまいります。
○議長(宗 正彦君) 出納長梅田良彦君。
〔梅田良彦君、登壇〕
○出納長(梅田良彦君) 村岡議員の指定金融機関についてのご質問に一括してお答えを申し上げます。
指定金融機関の指定については、去る九月の県議会でもお答えをいたしましたとおり、議会の議決を経て昭和三十九年三月三十一日に紀陽銀行を指定金融機関として指定し、公金の取り扱いをさせておりますが、銀行業務全般に関する指導監督については銀行法に基づき大蔵省の所管となっており、県として銀行の貸付先等、取引の内容について調査する権限はなく、答弁は差し控えさせていただかざるを得ません。
次に、指定金融機関に対するペナルティーの件については、地方自治法及び県財務規則等に基づき、県と紀陽銀行の間で公金の取り扱いについて細部にわたり契約を取り交わしており、議員のご質問の中にもございましたとおり、第十条で契約の解除等についても規定しているところでございますが、今日まで指定金融機関としてのその責任と機能は支障なく果たしていると認識しております。
以上です。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員にお答えをいたします。
フォレストシティ計画についてのご質問のうち、開発許可申請後の審査状況についてでございますが、昨年六月に海草県事務所に申請書が提出され、森林法に基づく許可基準に照らして、災害のおそれがないか、水の確保に著しい支障がないか、環境を著しく悪化させないか、水害のおそれがないか等、多くの資料について審査してございます。特に、現状を踏まえて慎重に対処してまいります。
次に、圓明寺の同意撤回についてでございますが、地権者と申請者との間で話し合う問題であると考えてございます。
次に、計画地の地質状況についてでございますが、土地保全図によれば中央構造線に係る破砕帯の存在が予測されるので、申請者に対し、事前協議の段階から十分な調査検討を行うよう指導してございます。
また安全対策については、申請者によって地表踏査、弾性波探査、ボーリング調査、地下水観測等が行われ、これらの調査をもとに対策が講じられているか、慎重に審査を行うこととしてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
開発許可申請後の審査状況でございますが、都市計画法第三十三条の開発許可基準の第一項第一号から第十四号に基づいて審査を進めているところでございます。なお、申請者の幹部が国土法及び所得税法違反で逮捕、起訴されたという状況の中で、特に資力、信用の審査に当たっては慎重に審査する必要があると考えております。
次に、圓明寺の同意撤回の問題でございますが、先日、地権者である圓明寺から県に対して撤回表明の通知書が送付をされてきたところでございます。この件については、現段階では地権者側の一方的な表明であり、また基本的には地権者と申請者との問題でありますので、今後、当事者間の調整経過を見守りながら対処してまいります。
次に、地質の問題でございます。
一九八五年の国土庁の調査、資料等から判断をいたしますと、開発区域の直下に中央構造線が東西に走っており、鳴滝断層が西側部に北西方向に走っている可能性があるということは把握をいたしております。開発計画の審査に当たっては、都市計画法に基づいて安全面を審査するとともに、必要に応じて開発者から資料を提出させ、対策について指導をしてまいります。
○議長(宗 正彦君) 警察本部長西川徹矢君。
〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 村岡議員にお答えいたします。
ご質問のような報道がなされていることについては承知しております。官民一体となった強力な取り締まりにもかかわらず、暴力団の根絶が困難であるのは、その一因として暴力団の存在を容認し、またこれを利用しようとする社会的風潮が社会の各層にいまだ根強く存在していることにあると考えております。
警察といたしましては、こうした行為や風潮は暴力団対策を進める上でぜひとも排除しなければならないものであるという認識に立っておりまして、暴力団とかかわりのある企業や資金源の実態等について常に関心を持って解明に努めているところでございます。そしてまた、今後とも引き続きそのような対応をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
知事にお伺いいたしますが、知事は今のところでは推進をしていく、しかし現状では許可することは難しい、今後の推移を見守っていくと、こういうふうに一貫してずっと今まで言ってこられています。現状では厳しいというのは、確かにそうだと思うんです。けれども、ああいう悪質で本当に社会的にも許せないような行為を平然とするような企業の計画に県が判断を下し得ないという、そこに私たちは非常に疑問を持つわけです。
先ほども言いましたように、今この計画に知事がどんな判断をするのだろうか、あれだけの報道をされ、不正や悪質な企業者であるということがわかっている段階で、もうこれ以上このフォレストシティ計画をそのままに温存することはないんじゃないか、当然不許可というのが知事のとる態度ではないかと、こういうのが今、県民の皆さんの大方の見方だと思うんです。
これを燦黒潮リゾートに位置づけていらっしゃるわけですけれども、知事は前の私の質問のときにも、計画は認めているし指定しているが、事業者は認定したわけではないんだとおっしゃいました。法律上からいけば、私たちもそうだと思うんです。だけれども、これをリゾート構想の中できちっと位置づけていく段階の中で、事務的順序からいけば、基礎調査、事前審査、そして承認ということになるわけです。ところが、基礎調査をするにしろ、事前審査をするにしろ、国土庁を事務機関として各官庁が協議会をつくっていて、そこで審査をする場合においても、県と企業が綿密な協議をした上で出しているはずです。審査の段階で事務を踏んでいっていると思うのです。その審査基準の中に「構想の熟度」というのがあるはずです。「構想の熟度」というのは一体何なのか。これは、本当に計画が可能性があるのかどうかも含めて審査がされるとなっているわけですね。こういうことについて担当官──これには当局者と書いていますけれども、この「構想の熟度」というのはどういうことを言うのかということについて当局者の一人は次のように語っているとなっているんです。「同法(リゾート法)の地域要件のうち、他の地域振興法にないものとして、いわゆる『構想の熟度』がある。これは、同法が、民間の活力の活用を基本に置いており、総合保養地域として整備すべき地域は、確実に民間事業者によって施設が整備されることが予測される地域であることが必要であるためである。……整備の見込があるかどうかの判断については、民間事業者による具体的な整備計画が存在し、かつ、その実現性を担保するものとしての民間事業者によるフィージビリティ・スタディ(立地可能性調査)、施設整備に関する意思の表明が行われているかどうかによることとしている」と、こういうふうに当局者が言ってらっしゃるんです。これから見てみると、計画の段階から、住民が全く知らないところで県行政と開発業者が計画の実現性について細かな論議をした上で地域指定や計画の指定をするんだということなんです。今こういうような状況が起こったのを振り返ってみれば、あの事業者のあの計画をこの地域に指定すること、計画そのものを指定することがよかったのかどうか、こういうことになると思うんです。
だから私が言いたいのは、知事や企画部長はあそこは将来的にいいところだと言っていますけれども、今の段階で考えるならば不適当なところだと言わざるを得ないと思うんです。事業者が持ってきた計画を県がお認めになったということになるわけですから、業者が地元住民の皆さん方に説明するときに、県ももうこれはできるんだと認めてくれたんだということで、あたかもあしたからでも計画ができるような宣伝をしながらやってきたわけです。だから、知事がおっしゃっているように、そういう県民の認識や経過を考えても、これは不許可にすることが当然だと私は思うんです。
別に答弁は求めませんけれども、そういう点で今まさに紀陽銀行や暴力団も絡めた形の中で、この悪質きわまりない業者にどれほど県行政が厳しい目を向けるか、その態度を明らかにするときだと私は思います。
それから、農林水産部長にお尋ねをいたします。
聞かんとこうと思っていたんですけれども、答弁が余りにもそっけないので、いたします。この開発許可をする場合の基準として、災害が起こらないだろうか、水の確保はどうだろうか、環境が破壊されないだろうかというようなことを基準にしながらやるんですとおっしゃったわけですけれども、私どもがいろんな形で調査をしたり調べてみたところ、先ほどから言っているように、破砕帯があるということ、いつも危険な地域であるということで、二次災害というか、がけ崩れ等が起こり得るのはもうはっきりしているわけです。今でも、和興さんがミニ開発を繰り返してきたところでも、既に土砂崩れとかが起こってきているんです。それと、もう一つは下の方に二万人が住む有功地域の基盤整備が全く行われていないという大きな問題もあるわけですけれども、あれだけミニ開発が進んできた中で、さらに三百二十五ヘクタールという山を削っていくならば、この下に住んでいる人たちに対してどんなに調整池をつくったとしても──今でさえも調整池からあふれ出てきて、道路はもう川のようになって流れているわけです。災害や水の被害は十分起こり得るというのは、そういうような状況を見ている住民が体で知っているわけです。ですから、もうわかっていることですから、そういうところももっと厳しくきちっとやっていただきたいと思います。
それから、水の確保です。
これは、鳴滝川と有功水路と千手川に放流されるわけですけれども、一番問題なのは、この山にはたくさん池がございます。しかし、鳴滝川の源流にもなっている市が管理しているため池、これはかんがい用水でもありますけれども、この二つあるため池をつぶしてしまい、そこへ調整池をつくるわけです。完全にそうなると、鳴滝川の県河川よりももっと上の方は水が来なくなります。だから、今のお滝の水が確保できないという調査も出ています。これは、既に林業課と建築課にもその資料をお渡しております。こういう専門家たちが事細かに調査したものが出されているわけですから、あの信仰的なお滝をつぶすというようなこと、水が確保できないというのはもう厳然として起きているわけです。あの設計図では、下の方に地下水をためて、それをポンプで上げていく、それで鳴滝のお滝を守るんだと、むちゃくちゃなことを言っています。今の水の百分の一ぐらいしか確保できないというのも明らかになっているわけです。そういった点でも、農林水産部長がおっしゃったことはもう既に破綻を来していると私たちは思います。そういう点で、この計画についてもう一回見直すときだと思います。
それから同意撤回ですけれども、これは業者間の問題だと言われています。しかし、これはどうしてもなければならない同意書です。この部分については、土木部長も農林水産部長も明確にお答えになりませんでした。この二つのものが厳然としてあるということ、届いているということはお認めになっているわけです。しかし、これが同意の最終的な審査の過程でなくてはならない書類として来た場合にはどうするか。今、開発業者はホテルに入っていらっしゃるわけですけれども、なかなか問題のけりがつかなかったという場合、これは今の段階では有効か無効かという問題があるわけです。最終的な結論を出されるとき、その判断はどうされるんですか。それを土木部長、農林水産部長ともお答えください。そして同意書の問題が厳然としてあるということについて、もう一回答弁を求めます。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 私の見解については先ほど述べさせていただきましたけれども、この点、理解していただきたいことがございます。
土木部長、農林水産部長が説明申し上げておりますけれども、都市計画法に基づく機関委任事務、森林法に基づく機関委任事務ということで、その両方が機関委任をされた知事として許可するかどうかを決定するわけでございます。それとともに、地方自治団体の長である知事として判断するわけでございます。いろいろな予備審査もございます。本審査もございます。本審査の問題については、先ほど各部長から申し上げたとおりでございます。そこをお含みいただきたいと思います。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) まず第一点目の、許可要件の審査を具体的にというご質問でございます。
森林法第十条の二の規定に基づき、その要件を審査しているところでございます。
まず第一点は、災害防止についてはどうかということで、土砂の移動量、切り土、盛り土の計画、雨水、排水計画、土砂の流出防止対策等でございます。第二点は、水害の防止は下流への安全策、調整池の計画等でございます。第三点は、水の確保については、開発地から直接、水利用がある場合の代替施設や沈砂池の計画等でございます。それと四点目には、環境の保全についてでございますが、森林率や森林の配置計画等について慎重に審査を行ってございます。
次に、同意書問題についてでございますが、現在提出されている同意書については、当事者間で協議調整されたことと把握してございます。同意書の取り扱いについては、当事者間で話し合うべき問題であると考えてございますが、その推移を見守ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 同意書の問題でございますが、今、農林水産部長からお答えがありましたように、基本的には当事者間の問題であると考えております。この推移を見守ってまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十三分休憩
──────────────────
午後一時三分再開
○副議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
18番上野哲弘君。
〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
まず最初に、地域振興における県の発想についてお聞きしたいと思います。
近年、地方分権あるいは国土の均衡ある発展が叫ばれ、地方の時代と言われてから久しくなりました。今、地方において何を求め、何に期待すればよいか、暗中模索の状態と言わざるを得ません。それぞれの地方は必死になってその対応策を考えていると思いますが、日本全体が過疎過密の構造から抜け切れないため、抜本的対策が見出せないまま、全国至るところ過疎がますます進行しているのが現状かと思います。和歌山県もその例外ではありません。そのような中で、県が全国のモデルとなるような地域振興施策を行っていただくことを期待したいところであります。今、県において熊野地域の活性化についての施策を検討中であり、また地域選出の議員の皆さんもそれぞれ提案され、一致して策定策に期待しているところでもあります。ここでは具体案について申し上げませんが、地域の一住民として県の考え方について質問いたしたいと思います。
まず、国が日本全体の過疎過密の状態を根底からぶち壊す施策をしない限り基本的には解決しないと思いますが、単に国の施策を待っているだけでは能のない話であり、地域住民に対し無責任と言わざるを得ません。全国から金も人も物も都会へ集中し、地方がますます疲弊していく中で、地方は何でもって都市に対抗できるか。私は、地域の特性を生かす発想しかないと思っております。人間それぞれ価値観が違うように、地方の価値観というものをより多くの人たちに理解していただき、その人たちのニーズにこたえる施策、すなわち現在の社会の矛盾にメスを入れ、大胆な発想による施策を打ち出すことが、地方が小さいながらも生き抜いていけることになるものと考えます。そのような観点から、知事の考え方についてお伺いいたしたいと存じます。
なお、それに関連して、今年度開通いたしました水上栃谷線について、どのような発想により計画決定されたのか、またそのような発想が今後の県行政に生かされていくものか、企画部長にお伺いいたします。
次に、均衡ある県政と施設の分散についてお伺いいたします。
国においては、東京一極集中を是正するため、国会移転を初め官公庁の分散、あるいは遷都を考えられているようでありますが、当和歌山県においてもその必要性があろうかと考えます。我々が各地方を視察する中で、地方都市においても県立の文化施設等が多々見受けられます。和歌山県として、均衡ある県政のためにそのような施設の分散も必要と考えますが、企画部長にお伺いいたします。
次に分散に関連して、県庁舎の建てかえについて私見を申し上げたいと思います。さきの議会で尾崎要二議員が一般質問されておりますので、私は視点を変えてみたいと思います。
県庁の建設は、普通ならば現在地に高層にして建てかえるか、もしくは和歌山市内の適当な場所に移転することになろうかと思いますが、ともに日照権あるいは敷地面に難点があるようであります。私は、従来の発想を大きく転換し、大胆な決断もおもしろいと考えております。そのような視点から、県庁の建設は特に自然の多い美山村か龍神村あたりに移転したらどうか。そうなれば、全県下の中心となり、過疎対策の一助となり得るものと考えます。東牟婁や高野山から通勤可能となり、大自然の中で県政を行い、その中から二十一世紀の価値観の指標が生まれてくるのではないか、そのような思いがいたします。
ここで、東京都庁を参考にしたいと思います。日本一の繁華街の新宿で超高層の都庁がそびえております。一時間ないし二時間も満員電車に揺られ、常に歌舞伎町のネオンにさらされた都庁職員を考えますと余り感心しません。和歌山県が大自然の中での県庁舎を取り入れることになれば、全国の注目を浴び、価値観の違いを日本全国に知らしめることになるのではないか。とっぴな発言と思われるかもしれませんが、我が国の郡県制度はたかだか百二十年の歴史であり、将来の日本を考える上で十分検討できるものと考えます。
また第二案として、野上町の生石高原あたりもおもしろいと考えます。(「金屋町や」と呼ぶ者あり)特に地域の交通機関である野上鉄道の廃線が決定されたようでありますが(「決まってないぞ」と呼ぶ者あり)──失礼しました。そのようなうわさがあります。県庁が移転になれば、鉄道の復活も夢ではありません。要は、東京のミニ化を図るより、地方からの逆転の発想が大事かと考えます。県当局の斬新な発想に期待するところでありますが、この件については答弁は結構であります。
第三点の、観光地における道路とその整備についてお伺いいたしたいと思います。
ご存じのように、熊野地域は観光産業が重要な生活基盤となっており、その役割を担う上で道路の整備が必要不可欠な要素となっております。しかしながら、新宮・東牟婁管内における道路整備率が県下で一番低く、また一本道あるいは行きどまりの県道等がいまだ見受けられるところであります。熊野地域活性化を図る上で道路整備が重要課題であり、観光産業の育成のためにも地域の願いであると思いますが、今後、整備を進める上で観光地における道路行政について土木部長にお伺いいたします。
第四点目、民間活力における三重県との対比とその対応策についてお伺いいたします。
先日、半島振興過疎対策特別委員会にて三重県の伊勢、鳥羽を視察し、当該地の民間活力の導入について見聞したところであります。よその花は赤いということもありますが、その活性化は相当進んでいるようでもあります。「伊勢へ七たび、熊野へ三たび」と古くから言われておりますが、現在、伊勢と熊野の活力の差は、素人目にしてもますます広がりつつあると想像されます。それは、立地条件が大きく左右していると言えばそれまでですが、それにしても民間資本の導入には目をみはるものがあります。ちなみに、伊勢戦国時代村三百億円、赤福もちのおかげ横丁百四十億円、近鉄の志摩スペイン村六百億円とメジロ押しの投資がされているところであります。
熊野地域の活性化を図る上で、民間資本の導入について当該地が投資の対象にならないのか、それとも将来期待できるのか、企画部長にお伺いしたいと思います。
特に、関西新空港が開港になり、将来、高速化、多極化が進む中で熊野地域をどのようにとらえておられるか、期待できる民間企業の対応についてお伺いいたします。
五点目、熊野古道の整備状況と県の考え方についてお伺いいたします。
さきの議会で熊野古道について質問いたしましたが、その後の整備状況についてお伺いいたします。
この古道は、ご存じのとおり、京都から大阪を通り和歌山県全域を貫いているといってもいいほどの中世の幹線道路であり、熊野の歴史に大きくかかわってきたところであります。
質問の趣旨は、県において熊野古道をどのようにとらえておられるか、この古道に対する全体的構想と、関西財界における歴史街道推進協議会で熊野古道がメーンルートになり得なかった理由はどこにあったのか、この歴史的古道の将来像を企画部長と教育長にお伺いいたします。
次に、新宮市と那智勝浦町における海岸線の古道整備がいまだ全然されていませんが、両自治体がどのように考えておられるか、また県はどのような指導をされているのか、教育長にお伺いいたします。
六点目、熊野学の定義とその具体策についてお伺いいたします。
梅原先生を初め熊野に関心のある中央の先生方は、熊野について、再生の場、蘇生の場、心をいやす場所であると定義されておりますが、抽象的表現で漠然としているところであります。我々を含めて行政としては、この熊野学が地域振興にかかわるとすれば、その定義に基づいて具現化しなければなりません。
熊野地域が再生の場、蘇生の場という観点から、一つは、現代病に対するストレス解消や心身の鍛錬等、東洋医学を併用した施設が考えられるのではないか。二つは、亡くなられた中上健次氏が蘇生の場所という意味で本宮にて都はるみを歌手へのカムバックを演出したように、人生に挫折した人をよみがえらせる施設も考えられます。また、今議会、登校拒否児の請願書が提出されておりますが、この社会問題に対し熊野学は真正面から取り組める定義を包含していると思っております。
読売新聞の十二月一日付の「社説」は、次のようになっております。「登校拒否の児童・生徒、その親、在籍する小中学校の三者を対象にした文部省の聞き取り調査は、さまざまな点で参考となるべきものを含んでいる。 一向に減る気配を見せない登校拒否問題は、すでに、学校制度の根幹にもかかわる社会病理の域にあると言っていい。 そうした中で『生の声』が、これほど組織的に集められたのは、初めてのことである。今後の予防的な対応や、再登校の子の迎え方などの面で、生かしていきたい。(中略)登校拒否問題について文部省は、一昨年来『どの子にも起こり得るもの』とし、本人の性格傾向に起因するとしていた従来の視点を、大きく転換した。 この認識の下に、学校に連れ戻せばイコール解決とはいかない、肝心なのは、子供の自立を支援することだ、そのためには学校を、子供が自己の存在を実感できる『心の居場所』にするとともに、民間を含めた学校以外での一時的な『回り道』を認めるとの方向を打ち出している」。
熊野学が現代病対策に有効に作用するならばそれなりの位置づけができるのではないか、そのような思いもします。熊野学について人間の精神面も含めていろいろと考えていきますと、宗教的要素も大きくかかわってくるように思います。熊野地域全体を熊野宗教の本山とみなし、梅原先生などの中央の先生方を教祖として日本全国一億二千万人を檀家と見て多くの衆生に救いの手を差し伸べる、そのようなことを考えることもできます。また、熊野三山の末社が三千三百という他の神社仏閣に見られないような形で日本全国に散らばっておりますが、まさしく熊野社は森の鎮守様であり、日本のふるさとになるのではないか、そのような感じもいたします。この熊野学については、地域振興を考える上で、あらゆる形での本山参りを具現化されることを期待するところであります。
熊野学という漠然とした問題のため今回は答弁をいただけないようなので、次回はぜひ梅原先生の立場に立っていただいての部長答弁をお願いいたしまして、この項の質問を終わります。
それに関連して、これもなかなか難しい話なので検討が要ると思いますが、県事務所の取り組みについて要望いたしたいと思います。
知事初め県の皆さん方が真剣になって地域振興に努力されており、非常に感謝しております。そういう面で、この計画をぜひ実のあるものにしていただきたい。そういう願いを地域の議員の皆様は持っていると思います。地元の県事務所においても、ぜひそのような体制で有意義なものにしていただきたいと思います。
熊野ばかり申し上げて申しわけないんですが、これが和歌山県全域の地域振興にぜひ影響あるように願いまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(町田 亘君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野議員にお答えいたします。
地域振興における県の発想ということでございます。
現在のような非常に厳しい時代の中で、やはり大胆な発想が必要ではないかということ、総論として賛成でございます。
特に、熊野地域の活性化についてのご意見がございましたけれども、現在、調査費を計上させていただいて、各界の学識経験者の皆さんからいろいろ検討してもらっている段階でございます。地域のすばらしい資源、特色を駆使して郷土の発展を図るということが最も肝要なことでございます。熊野地域は、今まで交通が不便であったために、かえってすばらしい自然や文化財等があるわけでございます。こうした残された資源の活用ということが極めて重要な課題ではないかと思っておるわけでございます。
そのためには、やはり何と申しましても交通網の整備が必要でございます。道路、鉄道、海路、ヘリコプターによる空路の問題等々あるわけでございますけれども、特に鉄道については、現在、もう少し速くできないかということで調査を進めている段階でございます。また道路については、話ございましたように、水上栃谷線についてはふるさと事業の形をとらしていただいて短期間にやったということで大変喜ばれていると思います。そうしたふるさと事業とともに、半島振興という意味で、道路の整備、公共事業の整備を土木と農林がお互いに連携してやったというところにも大きな意義があると思います。
そうした点から、東牟婁地方、熊野地域は非常に交通が不便で、交通網が十分ではありませんので、特に林道、県道、国道、市町村道の連携を図って進めてまいりたいと思っておるわけでございます。今後とも、なお一層発想を新たにして努力してまいりたいと思っております。
○副議長(町田 亘君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 熊野地域活性化についてのご質問にお答えいたします。
まず、水上栃谷線の整備についての考え方でございますが、先ほど知事から答弁がございましたように、新しい発想による施策のあり方としては、地方の特性や資源を生かした独自の発想と知恵で、主体的かつ柔軟に取り組むことが必要であるとの認識から、ふるさとづくり特別対策事業という事業手法を適用したものでございます。この結果、県内二時間交通圏の確立に向けて大きな効果が得られたと認識をしてございます。今後とも、こうした事業手法を積極的に活用することにより、県土の均衡ある発展を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、均衡ある県政と施設分散についてでございます。
県の施設については、それぞれの行政目的に応じて種々の施設が県内各地に設置されてございますが、議員ご指摘のように、均衡ある県政の推進のためには、現有施設の適切な配置は重要な要素であろうと存じます。
従来より、各種プロジェクト等地域開発計画の策定に当たっては、こうした考え方を基本に取り組んでいるところでございますが、今後とも地域の特色や資源を生かし、財政負担や地域の立地環境等をも考慮しながら、活力と潤いのある地域を形成するという観点から施設の整備を進めるなど、県勢の均衡ある発展を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、民間活力の対応策についてでございます。
熊野地域は、現状では都市部からの時間距離の問題や平地が少ないという地勢上の制約等から、民間企業の進出が活発とは言いがたい状況であると認識してございます。しかしながら、本地域は、良好な自然資源や熊野三山を核とした文化資源など、時代の要請に適した豊富な資源を有してございまして、これら地域固有の資源を活用して熊野らしさを生かした整備を図るため、今回、熊野地域活性化計画を地元の皆様と緊密な連携を図りながら策定中でございます。こうした取り組みを通じて地元企業の活力を生かすとともに、民間企業参入の条件整備を図ることにより、観光、リゾート産業を中心とした企業進出や地域の活性化が期待できるものと考えてございます。
また、期待できる民間企業への対応についてでございますが、企業活動は経済情勢や利用者のニーズ等の変化に伴い変動するものであることから、その把握に努めるとともに、それに柔軟かつ機動的に対応するため、関係部局と十分連携をとりながら適切に対処してまいりたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、熊野地域に民間企業の参入を促進していくためには高速交通体系の整備や交通手段の多様化は不可欠の要因でございますので、今後ともその整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、熊野古道の整備状況と県の考え方についてでございます。
歴史街道計画については、当初、経済界を中心に検討が進められ、またその内容もメーンルートのみを取り上げたものとなっておりました。その後、行政機関も加わった構想推進を図る組織である歴史街道推進協議会が設立されたところでございます。本県も、平成三年の協議会発足から参画し、近畿一円にわたる歴史資源の集積を強く主張いたしてまいりました。そうした結果、同計画における対象ルートは、古代から現代に至る各時代を代表する歴史文化をできるだけ短い日数で無理なく探訪するメーンルートに加え、各地に幅広く点在する魅力ある歴史文化を特定のテーマに基づきネットワークするテーマルートとで構成するものとなりました。
議員お話しの熊野古道は、同協議会が策定したマスタープランにおいて、大阪から高野山、熊野三山をめぐる高野熊野もうでルートとしてテーマルートの一つに位置づけられているところでございます。さらに熊野古道については、本宮、那智勝浦、新宮、高野山、紀の川エリアとともに、去る十月、構想推進の拠点となる地域として歴史街道百選に選ばれたところでございます。
なお、本県といたしましては、こうした恵まれた県内の歴史文化資源を結ぶルートを県独自に紀の国歴史文化街道として位置づけ、歴史街道計画と連携をとりつつ、その活用方策の検討を進めているところでございます。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 観光地における道路とその整備率についてお答えを申し上げます。
新宮・東牟婁地域は、地形が急峻なために、その単位面積当たりの道路延長は、他と比較して少ないという事実がございます。反面、豊かな自然、史跡など豊富な観光資源に恵まれております。観光地の場合、わかりやすく、安全で快適な道路整備を行うことが重要であると考えております。
当地方でも、主要な観光地を結ぶ道路として、国道四十二号の那智勝浦道路、百六十八号の桧杖工区、熊野川本宮工区、百六十九号の宮井工区、大沼工区のほか、建設省直轄代行事業の奥瀞道路、国道三百十一号の本宮三工区、本宮一工区、中辺路五工区、四工区、上富田二工区などで整備の促進を図っております。これらの道路の整備が進みますと、熊野那智大社、熊野速玉大社、熊野本宮大社、瀞峡、川湯、湯ノ峰温泉などが、さらには白浜温泉、高野山などとも有機的に結ばれることとなります。また、快適でわかりやすい道づくりとして、道路標識の整備、さらに道の駅などの設置も検討中でございますが、その中には観光案内板というようなものもつくっていきたいと考えております。
○副議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 熊野古道の整備状況と県の考え方についてお答えいたします。
熊野参詣道は、京都府、大阪府を経て本県の熊野に至ってございます。このことから、それぞれの府県において古道の調査を実施してきているところでありますが、京都、大阪の古道のほとんどは現在、生活道路となっていることから、文化財としての整備は困難な状況にあると伺ってございます。
本県では、昭和五十二年度から六カ年計画で熊野参詣道や高野山参詣道などを歴史の道調査の一環として実施したところであります。この調査においては、熊野参詣道を、和歌山市の雄山峠から田辺市に至る間を紀伊路ルート、田辺市から熊野三山に至る間を中辺路ルート、田辺市から海岸沿いに那智勝浦町の那智に至る間を大辺路ルートの三つのルートに分けてございます。
まず紀伊路ルートについては、その大部分は現在生活道路となっており、全ルートを整備することが困難でございますが、旧状がよく残され整備が可能な箇所としては、海南市と下津町の藤白峠、下津町と有田市の蕪坂峠、広川町と日高町の鹿ケ瀬峠などがあります。現在、これら関係する市町と総合的な整備について協議を進めているところでございますが、そのうち既に説明板等の設置については県の補助事業等により実施し、古道の活用に努めているところであります。
次に中辺路ルートについては、昭和五十三年度から平成元年度の間において、このルートのうち延べ約五十八キロメートルについては整備済みでありますが、残りの未整備区間には高野坂などのように旧状を残している部分もありますので、かねてより県教育委員会と事業主体である新宮市や那智勝浦町とそれぞれ協議を重ねてきているところであります。今後、整備計画を具体化し、早期に実施するよう、より一層指導してまいりたいと考えております。
なお、大辺路ルートについては、中辺路ルートと紀伊路ルートの整備が完了後着手したいと考えております。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
18番上野哲弘君。
○上野哲弘君 企画部長に。今、熊野古道の文化財としての整備ということで答弁を受けたわけですが、京都から熊野までということで、道路というものは細切れやなしに続いているものだと思うんです。その中で、生活道という形で文化財的なものがなくなってきたということで、教育の方はその辺対応できませんが、やはり道ですので、単にそこを観光バスで行くだけではなしに、生活道になっても何かの考え方で一本につなげるような形をぜひとっていただきたい。ある県職員の方が、京都からか、大阪からか、ずっと歩いたというような話をしていました。そういう面で、文化財としては細切れになっているけれども、一つの道として整備方考えていただきたいと思います。
それと、熊野のことについてですが、地元のPR不足ということで、これから県の方で見ていただきたいなと思います。これは田辺市さんに関係があるので余り言うと怒られますが、実は弁慶のことなんです。今、弁慶は田辺ということで全国的にPRされ、それが定着しています。それは結構なことですが。新宮の方も、吉川英治が「新・平家物語」で三輪崎のだれだれの子供であるとか、それと、義経と衣川で死ぬときまで、これはおじさんに当たるんですが、新宮出身の新宮十郎行家と一緒だったんですが、その中で、弁慶も一緒に従者として歴史的に残っているみたいです。地域のそういう歴史もあるんですが、何せPRが下手なので、これは田辺市にぜひ頑張っていただきたいと思います。そういうPR不足という面も地域の特性として考えていただきたい。
それと、徐福の問題もあります。これも、全国にいろいろあります。徳川頼宣が徐福の墓をつくらせたということで新宮はその地位を占めているんですけれども、特に今、佐賀あたりが非常に積極的に中国本土へ行き、その体制をどんどんつくっているような状態です。口を酸っぱくしていろいろ言うているんですが、地域のPRが下手なので、そういう面も県の方としてぜひバックアップしていただきたい。
それとPRということで、先ほど三重県のことを申し上げましたけれども、伊勢の二見の夫婦岩ですか、今まで見た中であれほどがっかりした名所はないと。ああいうものでも本当に名所になるんだなあという気がしまして。
今、情報化社会ですから、これからはそういう面も踏まえて、ぜひ県の方でいろんなメディアを通じて全国の人にPRしていただきたいと思います。これを要望にかえて終わります。
○副議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
12番堀本隆男君。
〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
鳥も、羽が生えそろわないと飛び立つことができません。ひな鳥は、大空に舞い上がって新天地へ行けないのであります。本県も、ようやく羽が生えそろってきたかなという段階に参りました。高速道路は阪和間が全通し、御坊─南部間の施行命令が出て、開けてくるなという感がひとしおです。関西国際空港も、いよいよ来年九月には一番機が飛びます。国際化が加速されます。平成の国づくりとも言うべきマリーナシティの埋め立て完成とリゾート博も迫ってまいりました。新白浜空港も整備が一段と進んでおります。さらに、直轄国道和歌山バイパスの完成は交通渋滞を一気に解消しましたし、その他の基幹国道、主要県道も逐次整備が進んでまいりました。県立図書館やサンピアの完成は、あの周辺地区の風貌を一変させました。県立美術館の建設も進んでシルエットが見え始め、健康福祉センター計画や県立医大移転計画も着実に進められ、その他の諸プロジェクトとともに県政の着実な前進感を抱くことができるこのごろであります。
さて、このように関空開港とリゾート博を目標に懸命に県政の推進を図っておられる当局に対し深甚な敬意を惜しまない県民の一人として、本日はポスト関空開港、ポストリゾート博の県政振興について所見を述べたいと思います。
二十一世紀の本県を視座に据えた重要課題は多くあります。例えば、新宮までの高速道路、紀伊半島を循環する新幹線鉄道、第二国土軸の形成と紀淡海峡大橋の政策レベルアップ、環太平洋経済圏での高速海上物流ハブ機能を本県に位置づけるテクノスーパーライナー等々あります。そして、本年の政府要望の一つに関空の早期開港と全体構想の早期実現を強く要望しておりますが、これはオール関西の願いでもあります。
さて、これと同時に、むしろこれ以上に重要な課題がございます。開港した関空のメリットをどのように本県活性化に役立てていくか、その受け皿づくりをどう進めていくか、その政策展開が何よりも最も急がれていると言わなければなりません。そのことは、二十一世紀に向かう本県の発展の方向と全く同一なのであります。私は、その政策の一つは関空を生かした本県の対アジア産業経済振興施策の展開であり、これが喫緊の重要課題であると考えます。
アメリカ大統領選挙後、一時その人気を落としていたクリントン米大統領は、最近、再びその指導力が評価され、人気が高まっております。理由はご承知のとおり、クリントンの世界戦略が着々と成果を上げているからであります。一つは、NAFTA(北米自由貿易圏協定)の実施法案が米議会で承認されたことです。一時は否決と見られていただけに、クリントン大統領は、貿易を拡大し雇用を創出する、我々は新たな世界経済を主導するため、後退ではなく競争を選んだと誇らしげに語ったとあります。二つは、その勢いを買ってシアトルで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力閣僚会議)の非公式首脳会議に乗り込んで、江沢民中国首席をテーブルに呼び込んで会議を成功に導いたからであります。米クリントン大統領がなぜAPEC非公式首脳会議を開き、そのイニシアチブをとろうとしたのか、アジア、ASEAN諸国に強引にアプローチをかけようとするのか、その真のねらいは何か。一説には、中国への経済進出を果たすことにあると言われてございます。ソ連邦崩壊後、米ソ二極対立冷戦の時代が終わりました。世界のイデオロギー対決の構図は一気に崩れました。
一方、中国においては、改革解放路線がとう小平氏によって促進され、中国の各地区において郷鎮企業を中心とする産業経済興しが加速し、特に南部沿岸地区における経済特区の発展ぶりは驚異に値すると世界から注目されるに至りました。天安門事件はこうした流れの行き過ぎに対するブレーキ現象とも見られましたが、その後の指導者層の決断は社会主義市場経済体制を党の方針として打ち出し、もはや帰るべからざる市場経済社会にこぎ出しているのであります。世界の先進諸国が日米欧ともにマイナス成長または低成長、そして不景気と失業に苦しめられている中で、ASEAN諸国、中でも中国の経済成長は際立っており、活気のあるNIES諸国ともども高成長は続き、中国は二十一世紀の世界の成長センターと見られ、今や世界景気の牽引車とまで評されるに至りました。二十一世紀は中国の時代と世界の多くの経済学者が評価していることは、皆さんご承知のとおりであります。中国十二億の民が経済生活水準の向上を求めて動き始めたとき、市場規模の大きさははかり知れないものがあります。米国社会において、特に産業、経済界からクリントン大統領に対し中国との貿易拡大に対する強い要望がなされ、それがこのたびのAPECの非公式首脳会議となったのであります。共同宣言で多くの成果がまとめられました。
日本の製造業界が中国進出に及び腰であるのと対照的に、アメリカ企業はリスクを恐れずに投資を拡大しております。特に自動車産業は完全に日本を押さえ、進出を果たしたと言われています。つまり、心臓部を押さえたわけであります。ヨーロッパ企業もこの中国市場に盛んにアプローチをかけており、業種によっては日本を追い抜いていると言われます。つまり、アジア太平洋は強まるアメリカの経済優先シフトに取り囲まれ、結束強化の布石を打たれ、世界の指導者米国の世界戦略に対し日本がこれからどう対応するのか問われていると言えます。
さて、先日読んだ「大阪府経済白書」は、タイトルを「世界と共生する大阪経済」とし、大阪経済の歴史と層の厚さと世界への広がりを視座に据えた立派なものであります。さらに、大阪府立産業開発研究所と大阪商工会議所が中心になって取りまとめた「アジアと共に発展する大阪工業」も、綿密な調査と豊富なデータを取りそろえ、飛躍発展するアジア経済の現況を紹介し、大阪工業がいかにこれらの地域と深く結びつき、将来さらにどのように発展すべきか示唆しております。大阪府の対アジア重視の経済政策が鮮明であります。大阪工業会も、こうした府の方針を積極的に受け、アジア諸都市との友好提携に重点を置いて実績を重ねております。さらに先般、大阪府は、二十一世紀に向けて大阪の産業を活性化していく指針となる大阪産業振興戦略の中間報告をまとめ、基本の三戦略のうちの一つにアジア太平洋のビジネス拠点を形成する国際化の推進を掲げました。情報提供、人材育成の面で中小企業の海外展開の円滑化を図り、海外からの大阪府への投資を促進させるとしております。通産省より一歩進んだ対アジア太平洋戦略の展開であります。関西国際空港をきかせた府下の企業に対する強力な指導力を感じます。これまで、米国の対アジア、中国経済戦略と大阪府の戦略を述べてまいりました。そこで、我が和歌山県とASEAN、NIES、中国との関係はいかがでしょうか。一言で言って、申しわけありませんが、おくれていると言わざるを得ません。原因は何か。いろいろと考えられますが、主因は本県企業がかの地へ余り進出していないということと、かの地からも本県に立地が見られないからで、アジア諸国が目覚ましい発展をしていると聞いても、それが本県の産業と何らかかわりがないと受け取っている関心の低さが原因と言えるでありましょう。しかし、果たしてそうでありましょうか。現在、ASEAN、NIES、中国からの繊維製品の輸入は全日本の五○%に達したと言われ、その上、もしウルグアイ・ラウンドで自由貿易体制に入りますと、関税が一六%から六・八%と引き下げられ、その影響ははかり知れないものがあり、本県繊維業界も大きなダメージを受けます。
さらに、私どもが認識を改めなければならないのは、この地域の製品が安かろう悪かろうという認識が違ってきたということであります。アジア新興産業は、日本よりも新しい高性能機を導入し、糸も紡績も品質が高く、アパレルも日本の技術指導を受け、手先の器用な女子工員が月給四千円程度で高級製品を生産しております。笑えない話でありますが、アメリカではスーパーのバーゲンセールは自分の国の製品で、これらの国のものは高級品であります。日本の百貨店も、本年は相当これらの地域から購入を始めたと聞きます。こうした潮流は拡大の傾向を続け、衣料、繊維製品のみならず、その他の工業製品や家庭電化製品も同様となってまいり、テレビジョンはもはや日本は輸入国になっているのであります。あたかも、昭和三十年代の日本企業がアメリカへ輸出を展開した事情と酷似しているのであり、あすは我が身であります。問題は、その対応の仕方であります。県の指導力が問われます。こうした流れに対応して、県内の産業をどう育成していけばよいか。
県内のある繊維関係の方の話では、和歌山県の糸へん産業も、あと十年すればほとんどが廃業に追い込まれていると思うと断言しております。その方は、年数回、ASEAN、NIES、中国沿岸部を調査し、行くたびに発展し変貌するこれらの地域を見て、こう結論づけるのであります。
最近、近畿の中小企業者は、円高不況対策と安い労働力を求め、積極的にこれらの国に進出を始めました。これらの国も、日本の進出を歓迎しております。座して死ぬるを待つのではなく、積極的に活路を求めているのであります。と同時に大阪府は、りんくうタウンに進出打診のあるNIES諸国に対し優遇措置を図ろうとしており、相互乗り入れの時代に突入したのであります。
さて、ここで質問に入ります。
一、県内企業のアジア進出状況(現地生産工場を含む)は一体どうか。また、進出希望企業を調査したことがあるかどうか。
二、NIESを初めアジア企業が本県に立地を希望してきたことがあるかどうか。同時に、本県はこれらの諸国に企業立地可能性についてのPRを積極的に展開されたいと思うがいかがか。さらに、紀の川流域の適地を開発し、これらの国々の進出企業団地の造成を検討されてはいかがか。つまり、受け皿の整備に息長く取り組んでいかなければならないと思います。
三、中国山東省との姉妹県省の交流の成果をお伺いします。県は相当な努力を重ねられ、国際交流の歴史を積み上げてまいったのでありますが、文化、経済、教育等、各分野の交流回数と交流の人の数、その他の実績を教えてほしい。先般、山東省済南市に県産品展示場を設け、地場三十社が出品しておりますが、その評判と注文等の引き合いはどうか。来年はあたかも十周年を迎えますが、記念事業を考えておられるかどうか。また、リゾート博に来ていただけるのかどうか。民間交流の実態はどうか。群馬県太田市の中小企業者が集団で山東省に進出を計画し、山東省では広大な土地を無償貸与すると歓迎しておりますが、本県にはそのような話があったのかどうか。
四、和歌山工業会の育成の考えがあるのかどうか。仮にテクノ振興財団がこれにかわるとするならば、対アジア産業経済振興施策の展開を協力してもらってはいかがかと思います。
五、県商工企画課に国際経済振興班を設け、本県の海外経済戦略を立て、積極的なASEAN、NIES、中国市場の調査活動と本県企業の対応策の指導等を展開していただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
次に、国民文化祭について。ポストリゾート博、二十一世紀を間近に控えての県政の重点方向、特にソフト面についてであります。
今、リゾート博の開催に向けて、県は総力を挙げて取り組んでおります。私も、この博覧会開催によって県経済への波及効果、県民の求心力、ふるさとへの誇りと自信等、その開催意義は大いに認めるところであり、ぜひとも成功させていただきたいと思っております。しかし、その後、いわゆる「宴のあと」にならないように、今、リゾート博の後に続く次の目標、施策の方向が用意されていなければならないと思います。提言も交えながらお伺いいたします。
その一つは、文化に対する取り組み姿勢であります。これからの時代は、ますます文化に対する県民の欲求が高まってまいります。バブル経済がはじけ、今までのような勢いはなくなってきたものの、かえって本当の意味の生活の豊かさ、生活の潤いが求められる時代になってまいりました。文化を求める要因として幾つか考えられると思いますが、最近は人々が定住するための条件として、いかに文化的な欲求を満足させられるかが大きなものとなっております。交通が便利になり、働く場所ができただけでは若者は定着してくれません。カラオケバーの一軒も必要ですし、コンサートや演劇などを見る機会もなくてはなりません。いろいろな面で時代の動きは確実に文化志向になりつつあり、生活の豊かさも経済面から生きがいとか心の潤いを求めるようになってきております。文化の時代が到来すると声高く言われたときもございましたが、なかなか実感としては感じられませんでした。経済の発展や景気の浮沈によって文化が表に出たり裏に引っ込んだりしてきたわけでありますが、しかし、その歩みに緩急の差はあっても、人々の文化に対する欲求度は年々高まる傾向にあります。したがって私どもの考え方も、そして県政の方向も、今後これまで以上に文化の方に比重を置いていかねばならないと思います。本当に皆さん方が生活の充実感を感じ、生きがいを覚えるような施策へとシフトしていかなければいけないと考えるわけであります。
仮谷知事には、こうした時代の流れは十分ご承知のことでございます。近年、特に知事は文化施策の充実には意を用いられておりまして、ことし七月にはきのくに志学館がオープンいたしました。また来年には、早くも全国的に評判となっているすばらしい美術館と博物館が開館いたします。また、全国いや世界的にも有名になった版画のビエンナーレ展の開催も、本県の名を高め、芸術、文化の向上に大きく貢献いたしております。引き続いてこうした企画をやっていただきたいと希望する次第であります。
そこで、一つ提言を申し上げます。
本県の文化振興のために、また県下の各文化団体の活性化とその向上を図るために、国民文化祭を誘致してはどうかということであります。この国民文化祭は、文化庁と開催都道府県、市町村が主催し、昭和六十一年から毎年、各府県持ち回りで開催されております。文化の国体とも言われている催しであります。日数は約十日間、全国から集まった人たちによって県下各地区でいろんな文化事業が繰り広げられております。皇太子も来られております。演劇、音楽、美術、講演等さまざまな開催県の特色を出しながら、文化のすべてにわたって各地各所で鑑賞と参加の機会が与えられ、人々のコミュニケーションが深まります。それに対する人的な応援体制は大がかりなものでありますし、また、開催に向けての文化施設の整備等、予算の面でも相当な出費が必要であります。しかしながら、文化に対する目標を定め、市町村と一緒になって、また県民と一体となって開催するということは、本県の文化振興のみならず、県勢の発展のためにも非常に意義あることではないかと考えます。
この国民文化祭は、もう既に十三回、平成十年の大分県の開催まで決定しております。ことしは岩手県で開催され、来年は三重県で開催される予定です。県内の文化団体の機運を醸成しながら、また各文化施設の整備計画を立てながら、目標を何年と定め、これが誘致に取り組みを始められてはいかがでありましょうか。ご提言を申し上げる次第であります。本県では、かつて文化デザイン会議を誘致し、成功いたしております。ソフト面における二十一世紀へのビッグイベントとして意義深いと考えます。そこで、知事にご所見をお伺いしたいと存じます。
次に、県立大学についてであります。
私は、二十一世紀に立つ本県の高等教育機関としての県立大学の必要性について所見を述べたいと思います。
一つは、県内の大学が少な過ぎるという視点から、二つは、地域の均衡ある発展のため、地域振興の視点から紀南に県立大学を考えてほしいという二点であります。
先日、県内のある地方紙が県内大学の少なさを鋭く指摘し、大学誘致を強く県に迫っておりました。以下、内容を紹介いたします。県統計課の調査によると、県内の高校出身者が県外の大学に進学する割合は九○・五%と三年連続全国トップであり、全国平均の五七・一%と比べ差があり過ぎる、さらに、はっきり言って和歌山の若者たちはほとんど県外の大学に進んでいる、県内に魅力のある大学が少ないこと、大学の絶対数が極めて少ないことを指摘し、工場誘致やリゾート開発を進めるよりは、国公私立の大学誘致や新設が今最も必要なことと伝えております。しかも、京阪神の大学への進学が約六○%で、東京へは七・六%と比較的少なく、県内に大学があれば県内大学に行くと推測し、県内四大学は余りにも少な過ぎると分析しております。地域の大学がその地域に及ぼす文化水準、自然科学の貢献は大変大きく、父母の負担する教育費の県外流出は膨大で、地域活性化を初め各方面への寄与ははかり知れないものがあり、なぜ高等教育の振興に努めないのか、大学の誘致に力を入れないのかをただし、海洋工学を初めいろいろな学部の具体的提言を行っているのであります。
さて、本県に大学が少ないことは県当局も既に承知であり、議会の先輩の多くの方々も訴えられてきているところであります。もちろん、県がこれまで和大の理工学部の設置を初め大学誘致に努力されていることは先刻承知しているところであります。しかし、国立大学も私立大学もなかなか誘致に応じてくれないのが現実の姿であります。それだけに、近畿大学が生物理工学部をつくってくれたことは非常に意義深いと申せます。しかし、それでもまだまだ少ない。これまでに余りにも長い期間、県内大学過少の状態にあることへの欲求不満の県民の声がこの地方紙に集約され、強い訴えとなっていると受けとめるべきでありましょう。
幸い、和大の理工学部の設置については、文部省の前進姿勢が認められ、本県は有力であるとの情報も伺って、長年の県の努力も実現の見通しに近づきつつあることはうれしく思います。しかし、これで十分でありましょうか。
さて、十一月二十六日付の読売新聞で大きく紹介のあった高知県議会における県立工科大学設置に対する論議は考えさせられました。橋本知事は、九月議会に公約である県立工科大学の設立関連予算案を提案しましたが、全国でも最も低い財政力と言われる県が、総事業費二百五十億円、教員百人、学生総数二千人という大きな構想であるだけに実現を危ぶむ声も出ていたのでありますが、ある革新系の議員が「厳しい財政状況の中で冒険だ。設立に向けた県民の熱意はまだ不十分。知事の暴走だ」と反論を展開した。これに対し橋本知事は、「そんなことだから高知はいつまでも時代の流れに取り残される。かつて、県民が燃え上がって何かの事業に取り組んだことなどあったのか」と反論、議員らをあっと言わせたとありました。それぞれにいろいろの事情があっての発言と思います。知事は、工科大学の発表に当たっては、他県に例を見ないユニークな大学を目指すとし、初代学長候補に光通信の世界的権威である前東京工大学長の末松安晴氏を口説き落とした経緯もあったことと思います。
一方、大阪府は、全国でも大変ユニークな芸術系府立大学を池田市の大阪教育大学跡地に設立することを決めた模様であります。文楽、落語、狂言など上方の伝統芸能を教えるのは全国でも初めてでありますが、このほか、コンピューターグラフィックスや新素材を使った造形美術など現代の先端アートのコースも設ける予定で、さらに偏差値教育に左右されない実技重視の試験など、一芸に秀でた学生を集める方針とのことであります。府の方針は、大阪が世界的な文化都市となるよう先端アートのスペシャリストを育成するとともに、伝統芸能の後継者を育てたいとしております。
さらに通産省は、繊維産業活性化に向けてファッション産業大学の構想を立て、近く研究会を発足させるそうであります。また、「日経地域情報」ナンバー百六十号では、地方における大学設置熱を詳しく紹介しております。広島県立大学は、定員二百人のところへ六十倍の志願がありましたが、生物資源開発学科や経営情報学科など時代のニーズを反映しております。公設民営の東北芸術大学や広域事務組合立の青森公立大学など数多く紹介し、大学立地の自治体アンケートも分析して読みごたえがありました。
さて県は、八月六日付で地方拠点都市地域として田辺御坊地方を指定されました。二市十一町五村をエリアとしております。特に、地域指定の基本的な考え方の第一に、「県内における均衡ある発展に配慮」が挙げられており、紀南地方への県の配慮に対し感謝にたえないところであります。目下、整備の基本理念や基本方針が検討され、順次、拠点地区(重点事業実施地区)や広域交通アクセスの検討に着手されると聞いております。大学が地域に果たす各般の効果は極めて大きいことは、るる述べてまいりました。今や、紀北と紀南の所得格差は年々開く一方であります。今、和歌山市周辺における県の諸プロジェクトの進行を考えるとき、どうしても地域発展のため田辺地方に県立大学を設置してほしいと切望する次第であります。県が財政的に大変厳しいことは十分承知しております。しかし、本当に必要なものは資金がなくともつくらねばなりません。基金の積み立て、後世負担の方法とか、知恵を絞れば可能性を見出せます。知事のご所見を賜りたいのであります。
次に、総合教育センターについて。
先日、県内のある有力な方が言っておりました。「時代は人づくり、人づくりしかない時代に入った。今や、世界は二極対立構造が解けて新しい競争の時代に入った。つまり、市場経済体制に勝ち抜いて国をよくする時代に入った。これからは、日本が技術競争でトップランナーを続けるのも、生活大国になるのも、教育大国になるのも、まず人づくりからである」──うなずけます。
今、県下の教育界では、いわゆる三館構想、図書館、美術館、博物館の建設が終了すれば次は総合教育センターであるとの共通認識を持っております。資質の向上は待ったなしということと、現在、桐蔭高校に隣接する県教育研修センターが余りにも狭過ぎることがあります。
先年、岩手県の総合教育センターを視察いたしました。県都盛岡市ではなく花巻市にありまして、建設早々のすばらしい施設と内容の充実ぶりが強く印象に残っております。奈良県も去年、田原本町に移転新築いたしました。
そこで、教育長にお尋ねします。
今、県下の教育界が待望している総合教育センターとはどのような構想を指しているのでしょうか。私は、地域の均衡ある発展を考えるとき、思い切って紀南地方に総合教育センターを建てられたらと思いますが、紀南教育研修所も合体して、現在策定中の田辺御坊地方拠点都市地域の基本方針の中に位置づけられたらと思いますけれども、いかがでありましょうか。
これまで、県が取り組む二十一世紀への多くの事業の推進策をるる述べてまいりましたが、必然的に財源問題が伴います。こうした意味から、地方から今沸き上がっている地方消費税の創設について知事のご意見を承りたいのであります。
昭和六十三年に消費税が創設されるなど、抜本的税制改革が行われたことは記憶に新しいところであります。これは、シャウプ勧告以後の我が国経済社会の変化に対応し、所得、消費、資産の間でバランスのとれた税制を構築するためのものであると理解しております。この税制改革では、国税に消費税が創設され、その関連で娯楽施設利用税、料理飲食等消費税等が調整、整理の対象となったため、地方税にも大きな影響が出たところであります。さきの税制改革が直間比率の適正な配分という目標を立てながら、地方税に関しては逆に間接税の比率を下げ、県民税、事業税等、所得課税の比率を押し上げる皮肉な結果となっております。さきの税制改革では最初に、初めての消費税導入ということが史上命題とされたため、地方独立税としての地方消費税が見送られ、かわって地方の減収補てんのため、依存財源である消費譲与税が創設されたことが今日の自主財源の低迷につながったと私は考えております。
さて、政府税制調査会は、十一月に今後の税制のあり方についての答申を発表しました。その中で、公正で活力ある高齢化社会を実現するため、個人所得課税の減税、消費税の税率引き上げ等を提言しているところであります。さきの税制改革の経験によると、この見直しは地方税にも重大な影響を及ぼし、大幅な地方税の減収が出るのではないかと危惧するところも多々あります。この減収分が前回のように譲与税により措置されることになれば、地方分権の推進が国を挙げての方向となっている中で、地方自治の本旨に逆行して地方団体の存立基盤さえ脅かしかねない重大な問題があると考えます。地方六団体は十月二十六日、緊急要望書を政府税制調査会に提出し、今回の抜本的税制改革に当たり、現行の消費譲与税を地方消費税に組みかえるなどの要望を行っております。これは、現在、消費税収入額の二○%を消費譲与税として国から交付されているものをそのまま独立した地方間接税にし、自主財源の拡充を図ろうとするものであります。さらに、仮谷知事を初め各都道府県知事は、総理大臣、自治大臣等に対し、同趣旨の要望を行ったと聞いているのであります。
そこで知事に、地方分権の推進に即した地方税制を確立する意義、並びに全国知事会及び仮谷知事が行った要望の趣旨についてお伺いをいたします。
また総務部長に、地方消費税の概要と実現の見通しについてお伺いしたいのであります。
ご清聴ありがとうございました。
○副議長(町田 亘君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
まず第一点、ポスト関空、ポストリゾート博として関空を生かした本県のアジア産業経済振興対策ということでございます。
細部の問題については部長から答弁いたしますが、私から概括的に述べさせていただきます。
先日、森議員から関空はアジアにおけるハブ空港としていかなければならないというお話がございました。そのように、関空をハブ空港として考えてまいっておるところでございます。これからはアジアが世界の中でも最も発展する地域になるのではないかと思っておりまして、本県がアジアに最も近い地域になる。人、物、情報が集まるわけでございまして、これを活用していかなければならないわけでございます。
また現在、県内企業も中国を初めアジアNIES諸国に進出しておりまして、合弁あるいは独自で、生産または貿易のための活動を行っている企業もふえておるわけでございます。先日も、和歌山県から中国へ行ってきた人の話によりますと、思っていたよりも和歌山の人がたくさん進出しているのにびっくりしたということでございました。また、これまでも中国山東省と友好提携を締結して交流を深めてまいっておりますけれども、関空の開港を踏まえ、アジアNIES諸国との交流をなお一層伸展していきたいと思っております。
それから、国民文化祭についてでございます。
ご指摘のように、近年、物質的な豊かさから心の豊かさ、生活の中身が問われる時代になってきており、文化に親しむ人がふえてきたわけでございます。私としても、今後、時代の趨勢を見ながら一層文化振興に努めていかなければならないと思っております。
お話ございました国民文化祭については、これに参加する団体に対して助成をいたしておるわけでございますが、今後も参加する団体に対してこうした補助を行ってまいりたいと思っております。また誘致については、受け入れ態勢の整備や文化団体等の機運の醸成が必要でございます。今後の課題として十分検討して進めていきたいと思っております。
次に、県立大学等についてでございます。
高等教育の整備を図り、若年層の県外流出を防ぎ、あすの和歌山を担う人材の育成を図っていくことは県勢発展のためにも極めて重要な課題でございます。十八歳人口が減少しており、また大学の新増設抑制という文部省の方針でございましたが、近畿大学生物理工学部の開学、和大の工学系学部調査費の確保を図るとともに、新宮にも県立高等看護学校、また和歌山にも県立看護短大──これは将来的に短大から看護大学にしていかなければならないと思いますが──こういうものを設置することを決めておるわけでございます。また、大学問題として県立医大の移転整備がございます。これは財源的に非常に厳しいわけでございまして、約八百億円程度の財源を必要とするわけでございます。これを、是が非でも立派なものをなし遂げなければならないと思っております。高等教育の充実は、極めて重要なことでございます。今後とも、国立、私立を問わず、議会の皆さんの協力を得ながら積極的に進めてまいりたいと思っております。
次に、地方消費税の創設についてでございます。
地方団体にとっては、迫りくる高齢化社会への対応と豊かな生活の実現を図るなど、その役割には極めて大きいものがあり、自主財源の充実を図ることが肝要でございます。また、地方分権が叫ばれている中で、恒久的な安定財源を確保する見地から、地方税制もこれに即したものでなければならないと考えております。また、ご指摘のとおり、県税収入の減少といった事態が十分考えられるわけでございます。
話ございましたように、現在、全国知事会においても、各地方自治団体とともに地方消費税創設の訴えを続けておるわけでございまして、今後とも努力してまいりたい、議会のご協力をお願いしたいと思います。
○副議長(町田 亘君) 商工労働部長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 堀本議員にお答えをいたします。
まず一点目の、県内企業のアジア、中国進出状況及び進出希望の調査についてお答えをいたします。
県内企業のアジアへの進出状況については、平成四年三月に海外取引実態調査を実施いたしましたところ、何らかの形で海外進出を行っている企業が十九社、計画中が十五社ございました。その後、平成五年十月では、海外進出企業が二十四社と増加いたしております。その内訳は、中国十社、他のアジア諸国十社等となってございます。今後とも、海外進出状況の把握に努めるとともに、各業界への情報提供など、関係機関と連携を密にしながら積極的に対処してまいりたいと考えてございます。
二点目の、NIESを初めアジア企業の本県への立地希望と紀の川流域への企業団地造成についてお答えをいたします。
本県が本格的に企業誘致活動を始めた昭和五十七年から現在まで、六十社の企業誘致を行ってまいりました。アジア地域からの企業の立地もしくは進出希望はございませんが、外資系企業としてはヨーロッパ地域からの企業一社が誘致されております。しかしながら、関西国際空港の開港、近畿自動車道の整備進展など本県のポテンシャルが高まる中、外資系企業の誘致を強力に進めなくてはならないと考えております。
そのため、本年度は新規事業として外資系企業導入促進事業を実施しており、日本貿易振興会とも連絡をとりながら、アンケート等による調査を進めるとともに英語版のパンフレット等も作成し、誘致活動に取り組んでいるところでございます。また、受け皿としての工業団地については、紀の川テクノバレー計画に基づいて、アジア地域の企業向けと限定はしてございませんが、紀の川流域に北勢田ハイテクパークを初め、数カ所の工業団地を市町村ともどもに積極的に開発をいたしているところでございます。
三点目、済南市の県産品の展示場状況等についてお答えをいたします。
県物産常設展示場については、平成元年に中国山東省済南市に開設したところでありますが、五年の歳月が過ぎたため、本年十一月に県内地場産業組合等のご協力をいただき、展示場の一新を図ったところであり、好評をいただいてございます。これにより、さらに本県に対する理解と認識を新たにしていただき、経済交流をさらに深めていただけるものと考えてございます。また、これまでの経済交流団では、山東省側から有償による土地の提供と合弁による進出、企業独自の進出について話が出されましたが、現在までのところ実現には至っておりません。今回の経済交流団では商取引の話が具体的に出ている企業もあり、期待をいたしているところでございます。
四点目の、和歌山工業会の育成でございます。
本県においては、地域産業技術の振興を図り、地域経済の活性化に寄与することを目的として、工業会にかわるものとして平成三年財団法人和歌山テクノ振興財団を設立したところでございます。
なお、関西国際空港の開港を控え、中国を初めとするアジアNIES諸国との経済関係については、今後ますます重要であると認識してございます。したがって、今後ともジェトロ和歌山経済国際化センターを中心として財団法人和歌山テクノ振興財団とも連携を深めながら、より一層海外展開の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、国際経済振興班の新設等についてお答えをいたします。
本県経済を取り巻く内外の社会経済情勢が著しく変化していく中で、本県の特性を生かし、本県経済の中長期的な発展基盤を確保していくための指針の必要性にかんがみ、議員ご承知のとおり、本年度から中長期的かつグローバルな視点に立って、本県経済の望ましい姿を展望するビジョン策定に着手しているところでございます。
今後、関西国際空港の開港、急速に整備が進む交通網等のインパクトを最大限活用し、本県経済が世界に大きく発展するためには、ASEAN、NIES諸国、中国等、成長著しいアジアとの産業交流、さらにはネットワークの構築を図ることが重要な戦略の一つになるとの認識に立ち、現在進めているビジョン策定の中で県産業の国際化の方向性を検討することといたしてございます。
議員ご質問の県産業の国際化を担当する組織についても、このビジョンの策定とあわせて検討をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 知事公室長中西伸雄君。
〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 堀本議員にお答えをいたします。
山東省との国際交流についての三点でございますが、まず山東省との交流の実績成果でございます。
昭和五十九年四月に友好提携を締結して以来今日まで、経済、農業、教育、青少年、行政、文化など、幅広い分野で交流を重ねてまいったところでございます。その交流実績は、受け入れについては四十七団体三百五十八名、派遣については四十二団体四百八十九名となってございまして、それぞれ各分野においてお互いの異文化の理解を深め、成果が上がってきているものと考えてございます。
例えば、農業分野における技術交流においても高い評価を受けているところでございます。また、民間の交流の実態については、本県には中国との交流を進めている民間団体として、和歌山県日中友好協会や和歌山県山東省友好都市協会などを初めとして数多くの団体が活発に交流をされてございます。交流の分野も、経済交流を初め文化、教育、学術、スポーツ、青少年、女性、農業など幅広い分野で交流が行われているとともに、本県での雑技団の公演、中国書画物産展等の開催やパンダの一般公開、中国に関する講演会の開催などを行ってございまして、山東省に対しては友誼の桜の贈呈など積極的に行われている状況でございます。
また世界リゾート博への招待の件でございますが、来年は友好提携十周年を迎えますので、現在世界リゾート博への出席を要請しているところでございます。ぜひ山東省政府幹部に出席をいただき、リゾート博会場で友好提携十周年記念式典や雑技団の記念公演を開催したいと考えているところでございます。また、友好提携十周年に当たりまして、相互に有益な記念物を交換すべく協議を重ねているところでございます。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地方拠点都市地域と県立大学についてのご質問にお答えをいたします。
県立大学についてでございますが、短大を含む本県の大学は、和歌山大学と県立医科大学、高野山大学、和歌山信愛女子短期大学、近畿大学青踏女子短期大学であったため、議員ご指摘のとおり、県内の大学への進学者割合は低位の状況にありました。このため、県議会の皆様のご協力を得ながら高等教育の整備に努めてきたところでございます。
幸いにして、関係者のご協力を得る中で、今春、本県に初めての理工系学部として近畿大学生物理工学部が開学成り、二百九十名の学生を迎え入れたところでございます。一方、和歌山大学の工学系学部設置については、来年度の文部省概算要求に学部創設準備経費が盛り込まれ、新学部設置に向けて大きな前進を見ているところでございます。また県立短大として、先ほど知事から答弁ありましたように、仮称でございますが県立医科大学看護短期大学部の設置について平成八年春開学に向け取り組むとともに、県立医科大学の移転整備についても平成十一年春をめどに整備を進めているところでございます。さらに、信愛女子短期大学についても、現在英語学科設置を文部省に申請中でございます。二十一世紀の本県の高等教育機関の整備充実について、本年度から二カ年計画で調査検討を始めたところでございます。今後、学問の場としての環境や地域性、私学や県立を含めた設置主体、財政負担等、さまざまな角度から検討してまいりたいと考えてございます。
以上です。
○副議長(町田 亘君) 総務部長木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 地方消費税の仕組みと今後の見通しについてのご質問でございます。
まず仕組みでございますが、現在、国税である消費税の二○%が消費譲与税という形で全国の地方公共団体に配分されております。地方消費税は、この消費譲与税を地方税に組みかえるというもので、課税の仕組みとしては消費税と同じものと考えられ、事業者の方々は本店所在の都道府県に地方消費税の申告書を提出するという形で処理することになると聞き及んでおります。その他細部にわたりましては、現在検討中ということで、私ども今のところ承知いたしておりません。
次に、この地方消費税の実現の見通しということでございますが、ご案内のように、地方消費税については十数年前から国等において検討されておりまして、平成元年に消費税が創設された際、先ほど議員のご質問にありましたように、新税の円滑な導入を図るということからこの地方独立税の創設は見送られた経緯がございます。今回、政府税制調査会の答申では、この地方消費税の問題は消費税のあり方の見直しと並行して検討を加えると提言しているところでございます。なかなか難しい問題で、今後紆余曲折が予想されるところでございますけれども、自主財源確保という大きな観点から、その実現に向け、国に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。
○副議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 総合教育センターについてお答えいたします。
本県の文化情報を発信し、生涯学習を推進する中核施設の複合施設として全国にも誇れるきのくに志学館が本年七月に開館し、多くの県民の皆様に活用されているところでございます。さらに、新しい近代美術館、博物館についても、来年三月末の完成を目指し建設を進めているところでございます。
本県では、来るべき二十一世紀に向けて、創造的で活力ある社会を築き、時代の進歩と社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成が急務であります。したがいまして、広く教育に携わる職員にとっては、より広い視野に立って研さんを深め、新しい時代にふさわしい教育者として自己変革を図ることが重要であります。
こうしたことから、生涯学習の視点を踏まえ、本県教育の向上、地域文化の高揚への期待にこたえるため、教職員や社会教育に携わる指導者などの資質や指導力の向上を図る先進的な研修を行うことのできる施設としての総合教育センターが必要であると考えてございます。
現在、教育委員会では、庁内に総合教育センター建設検討委員会を設置し、基本的なあり方について種々協議を行うとともに、建設場所についても全県的な視野に立って検討をいたしているところでございます。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(町田 亘君) 再質問がございませんので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は、十二月十三日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時三十九分散会