平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(佐田頴一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十二月九日(木曜日)

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番佐田頴一君。
  〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 ただいま議長より質疑及び一般質問の許可をいただいたので質問をさせていただきますが、それに先立ち、本年八月八日執行された那賀地区県議会議員補欠選挙に際し、知事初め県当局、県議会の先生方、那賀郡民の皆様方のご支援を賜り、見事当選をさせていただいたことに対し、深くお礼を申し上げたいと存じます。県議一年生ですので、初心に返り、今までの行政経験を生かして頑張りたいと思います。一層のご指導のほど、よろしくお願いをいたします。
 さて、県知事は県民一人一人の幸せを実現するため、県民の信頼にこたえて県政の運営に当たっていることは、常に敬服しているところであります。現在の厳しい不況下の中にあっても将来につながる幾多の施策に取り組み、種をまき、育ててきた成果が今実り、二十一世紀に向けての和歌山の時代の到来を実現できるまでになってきました。まことに喜びにたえません。
 しかし今、和歌山県は大変な時期を迎えて、多くの課題を抱えています。どれをとっても重要なものばかりで、現在の豊かさが享受されている中にあっても、さまざまな課題や希望があるものであります。
 関西国際空港も九カ月以内に開港し、二十一世紀に向けての大事業も差し迫っています。すなわち、第二国土軸構想の実現と紀淡海峡ルートの早期実現、近畿自動車道の阪和間開通による紀勢線への南下、京奈和自動車道の高野口─和歌山間の早期着手、南紀白浜空港のジェット化整備、紀淡連絡道路と大阪湾道路の南伸部の整備促進、関西国際空港へのアクセス交通体系の整備、南麓サイエンスパーク計画の促進など、こうした諸情勢を踏まえ、県では懸案を一つずつ解決し、豊かな明るい社会の創造を目指して積極的に取り組まれていることは大変喜ばしいことと思います。しかし、こうした大事業の質問は次に回し、今回は、より我々の生活に密着した、私たちの身の回りの身近な問題を中心に、一日も早く解決し、一日も早く実現を願う諸問題に絞って質問をしてまいりたいと存じます。
 まず、大阪経済圏と結ぶ府県間の道路整備についてお尋ねをいたします。
 昭和六十二年十二月二十二日、長年の懸案であった紀の川分水協定に合意、「地域発展の呼び水に」とのタイトルで各新聞に公表されました。知事は、県民の幸せと地域の発展を願い、勇気を持って決断したと述べ、分水に伴う見返りについても希望が最大限に受け入れられ、紀の川地域に住む私たちは分水合意に対する知事の決意に深く感謝をしたものであります。
 分水の見返りの中身として府県間道路の整備がありましたが、合意となった五項目についてお尋ねしたいと思います。
 一、国道三百七十一号バイパス化四車線計画を進め、七十五年(平成十二年)までに二車線をつくること、二、国道四百八十号線の泉大津粉河線は、七十五年を目標に、府県境では三キロのトンネル化を進めること、三、泉佐野打田線は六十五年までに全線二車線に改良すること、四、泉佐野岩出線は六十五年までに現道の狭い部分を拡幅し、七十五年を目標に二車線のバイパス化を図ること、五、岬加太港線を六十七年までに全線二車線に改良することとなっています。この道路の実現により大阪との利便性は改善され、近くて遠い大阪との地理的条件が緩和されるため、紀の川筋のさらなる発展が約束されるものとなりますが、現在までの整備状況や促進状況を教えていただきたいと思います。
 特に、泉佐野打田線は完了したものの、泉大津粉河線は七十五年(平成十二年)完成目標となっていますが、四郷地区のトンネル工事にいつ着手できるのか、詳しくお教え願いたいと思います。
 次に、JR和歌山線の整備促進についてお尋ねをいたします。
 紀勢線については、ミニ新幹線導入の計画や、知事のお力添えで特急くろしおの新大阪駅への直通乗り入れなど、着々と整備され、大変便利になりましたが、しかし和歌山線については一向に改善されず、改善しようという声すら上がっていません。
 紀の川地域は和歌山県にとって京阪神圏へ約一、二時間で結べる地域にもかかわらず、道路とともに鉄道の整備がおくれ、それが人的、物的交流を妨げ、産業経済、文化のおくれた原因ともなっています。来るべき二十一世紀に向けて紀北の発展を図るためには、ぜひJR和歌山線の整備が必要であります。
 奈良県は近鉄により奈良盆地を征服して大発展を遂げたように、地域に密着した、地域開発を含めた輸送力の増強に力を入れてもらわなければなりません。和歌山線も、関西国際空港や京阪神へ乗りかえなしで利用できる交通手段を具体化してほしいものです。今後は、京阪神への通勤・通学を容易とし、時間の短縮や増便、そのための複線化を実現させて、南海本線とJR和歌山線、南海高野線の相互乗り入れを図り、南海の難波発や難波行きなど、電車による大阪と紀北地域を結ぶ外環状線の実現をぜひ実行してほしいと考えています。
 そこで、お尋ねします。
 一、和歌山線から乗りかえなしで直接行ける関西国際空港への乗り入れについて、二、和歌山線より相互乗り入れによる南海難波への乗り入れの実現について、三、そのための和歌山線の複線化と乗降者増加を図るための紀北地域の開発促進について、三点についてご意見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に三番として、特別養護老人ホームの建設についてお尋ねいたしたいと思います。
 お年寄りが住みなれた町や村で安心して暮らせる社会づくりを進めなければなりません。急速な高齢化の進行に伴い、寝たきり老人や痴呆症老人が今後ますます増加することが予想されています。また、核家族化の進行による子供世帯と両親との同居の低下、女子の雇用機会拡大による介護者の不在、子供の両親に対する扶養意識の変化など、家庭内での介護能力が一段と低下をしてきています。これらの変化に対応するため、国は高齢者保健福祉推進十か年戦略・ゴールドプランを推進し、ヘルパーの増員、デイサービス、ショートステイなど、市町村による在宅福祉サービスの充実に努力されているが、ひとり暮らしの老人宅や寝たきり老人などに対するホームヘルパーの週二、三回、一、二時間程度の用足しではどうにもならず、大変困っている老人の多いのが現実であります。そこで、二十四時間見守ってくれる福祉施設がどうしても必要であり、在宅福祉ではなく福祉施設の充実が重要となってきています。
 福祉サービスの施設の中には特別養護老人ホーム、ケアハウス、老人保健の施設がありますが、県ではいずれも、これらの施設は高齢者人口一・四%、すなわち百人に対し一・四人を基本に、整備目標を平成十一年の西暦二〇〇〇年まで策定されており、このままでは、私の那賀郡では今後幾ら希望しても特別養護施設が建築できないことになっています。
 厚生省は、今後の施設福祉サービスは極力抑え、在宅サービスへの切りかえをしようと指導していますが、お年寄りが安心して暮らせる環境というのは特別養護老人ホームであることは、福祉の第一線で働いてきた我々が一番よく知っています。西暦二〇〇〇年ごろには、お年寄りのいる世帯の半分ぐらいの方がひとり暮らしあるいは老夫婦のみの世帯になると推定されています。このことを考えると、現在でも特別養護老人ホームへの入居待機組を常に五、六名抱えている市町村では、今後入居希望者の希望をどのようにしてかなえられるか、大きな問題となっています。
 そこで、お尋ねします。
 一、特別養護老人ホームの充実を図るため、平成十一年までの整備目標三千床の枠を外し、さらに大きな目標を新たに設定できないかどうか。
 二、特別養護老人ホームは、いまだ町村にない地域を優先し、施設の希望がある場合、速やかに許可するよう国に働きかけができないかどうか。
 三、財政的問題として、国の特別養護老人ホームの補助金は四分の三となっているが、実際は二分の一程度であり、五十床で始めると建築費が約六億円、その半分が施設希望者の負担となっています。お金持ちやお医者さんではなくても福祉に熱心な人ができるような補助制度をつくってほしいものです。このことについてもお答えをいただきたいと思います。
 次に四点目の、同和問題の早期解決上の諸問題について質問をさせていただきます。
 同和問題は国や行政の責務において早急に解決すべき問題であると指摘され、県においても昭和四十四年に同対法が制定されてから県政の最重要課題として位置づけ、同和問題の解決に向けて取り組まれ、法期限内に解決すべく最善の努力をなさっていることに対し、深く敬意をあらわしたいと思います。しかしながら、同和対策を進めてきた上でいまだ解決できない幾つもの問題もあります。一、二の問題を取り上げて、その解決のための県のご指導を賜りたいと思います。
 まず、斎場問題について質問します。
 私の町の同和対策事業にかかわる残事業は、斎場の移転であります。同和地区の斎場を一般地区に移して、これが完成すると同対事業が完成することになっています。しかし、斎場の移転はいまだ解決しておりません。移転できない理由はただ一つ、付近住民の同意が得られないためであります。県は斎場建設の許可要件に、設置場所より二百メートル以内に住居を有する住民全員の同意を得るように指導しているが、十人いれば十人の意見があります。せめて、全員賛成とはいかないまでも、民主主義の原則にのっとって過半数か三分の二の賛成があればそれで了解として許可を出せないかどうかであります。
 そこで、お尋ねします。
 斎場を建設する場合、周辺地区二百メートル以内の住民同意の必要性について、法的規制の根拠を教えてほしいと思います。さらに、周辺住民の一、二名の反対があっても、ほぼ全員の同意を取りつけてあれば建築を強行できないかどうかもお聞きしたいと思います。
 次に、住宅新築資金等貸付事業に関する問題点についてお尋ねします。
 市町村では、地域の住環境整備を図る目的で個人に対して貸し付けを実施し、大きな成果を上げてきましたが、この制度に大きな欠陥があり、同和地区を有する市町村に多額の財政負担をかけています。このため、制度の欠陥を国に指摘し、国に改善を要望した結果、その一部の負担軽減が図られているが、依然として、償還事務費も含めて市町村に財政負担を強いています。
 そこで、質問します。
 貸付補助基準の起債金利は六・五%となっているが、高いところでは実質八%のものもある。貸付年度の実勢金利により算定して助成をできないかどうか。
 二つ目に、町村の財政負担を軽くするために起債の借換債の許可ができないかどうか。
 三つ目に、貸付金未回収の救済処置として貸付金基金制度をつくり、県及び関係市町村より基金を拠出し、その運営益で回収不能となった場合の債権を補てんしていく、いわゆる保険制度的なものをつくる考えはないかどうか。
 四つ目に、貸付金の未収金の回収を積極的に図るため、県・町で回収専門機関、例えば一部事務組合を設立し、回収専門家による専門の回収機関をつくる考えはないかどうか。このままにしておくと不公平が生じて大変な事態になると考えられるが、これ以外にもよい方法があればお教え願いたいと思います。
 以上、私の経験から一、二の例を取り上げましたが、同和問題を解決するための多くの責任は国にあると考えます。同和事業による財政負担を強いることは、同和地区を持つ町村と持たない町村間に財政的な格差を生じさせます。したがって、国や県の責任において善処をお願いしたいものです。
 次に進めさせていただきたいと思いますが、五番目に青少年補導センターの派遣職員の増員についてお伺いをいたします。
 二十一世紀の日本を担う青少年が心身ともに健やかに成長していくことはすべての国民の切実な願いであり、今や青少年問題は国を挙げての重大な問題であります。しかしながら、青少年を取り巻く環境は大きく変化しており、核家族化あるいは情報化の進展と経済的豊かさ、便利さの増大等々が相まって家庭の役割が変化し、地域における連帯感も低下していることは、ご存じのとおりであります。
 こうした状況の中で、那賀郡にあっては、関西国際空港の開港を間近に控え、県下でも他郡市に例を見ないほど年々人口が増加し、これに伴い、少年非行は全国的あるいは県下的に見ても減少傾向にある中で、那賀郡は横ばいか、むしろ増加の傾向ともなっております。このような状況にあって、現在、那賀郡の青少年補導センターの職員は、兼務も含めて三名派遣いただいておりますが、センター業務の状況は、今は非行事件の処理に追われ、青少年の非行を未然に防止するというセンター本来の街頭補導や環境浄化活動等はほとんどできない状況であります。この派遣職員の増員については昭和五十八年以来何回となく県当局に陳情し、要望もしてまいりましたが、いまだ実現されておりません。
 手元にお配りをしておると思いますが、和歌山県下の少年補導センターの派遣職員配置状況を見ていただきますと、例えば橋本市と伊都郡四町の人口を合わせると十万一千九百二人で、那賀郡の方が少し多くなってございます。それにもかかわらず、九名の派遣を受けております。また和歌山市は、人口では那賀郡の三・八倍もありますが、犯罪等の少年数は一・五倍しかない状況の中で、ごらんのように派遣職員は合計七名であります。さらに、海南市と海草郡三町を合わせた人口は七万九千人余りで那賀郡の七五%しかなく、犯罪等の少年数も六十六人で那賀郡の半分以下ですが、それにもかかわらず兼務を含めて七名の派遣となっております。
 以上、那賀郡と隣接した市町村と比べただけでも、このように那賀郡の派遣職員は極端に少ないのがおわかりのことと思います。再三の要望に対し答えがありませんので、お聞かせください。
 最後になりますが、那賀郡東部山間地の道路についてお尋ねをいたしたいと思います。
 かねてより粉河町において課題となっている粉河中心部と鞆淵地区とを直線で結ぶ道路建設についてでありますが、昭和三十一年、鞆淵村が粉河町に合併するに際し、直結道路を建設するとの合意があったと聞いています。しかし、既に三十七年余りの歳月が経過したが、いまだ実現されておりません。県においても過去に、鞆淵地区に関西国際空港向けの高原野菜などを栽培する農業団地を開発し、それに関連させて大型農道実現を図ろうと昭和五十九年、六十年に予算を計上し、検討されたと聞いていますが、この話も立ち消えとなっています。この問題は小さな町の粉河町一町で実現する問題ではなく、どうしても県当局に取り上げていただかなければなりません。どうしたら早く実現できるか、現時点における県から見たこの道路実現の可能性についてお尋ねいたしたいと思います。
 一つ目、鞆淵地区を都市近郊型高原野菜の生産地として育成し、現在計画している紀の川左岸広域農道の関連事業としての大型農道を、トンネル化も含めて計画の中に組み入れられないかどうか。
 二つ目に林道としての採択についてでありますが、現在、伊都郡花園村から海草郡美里町へのトンネル構想があるが、この連絡道路として建設できないかどうか。建設できれば、林業の振興は言うまでもなく、紀伊半島中部山間地から関西国際空港方面へのアクセス道路となり、僻地の開発と振興に大いに役立つと思いますが、どうか。
 三番目に都道府県代行事業の可能性についてでありますが、都道府県代行事業とは、過疎地域、特別豪雪地域、振興山村及び半島振興対策実施地域における基幹的な市町村道のうち建設大臣が指定する道路及び改築事業で、これらに関する法律の規定に基づき、都道府県が道路管理者である市町村にかわって行う事業であります。鞆淵地区は山村法の適用が受けられるので、この事業の可能性についてもお聞かせいただきたいと思います。
 以上、県当局のお考えをお尋ねします。よろしくお願いを申し上げて、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 佐田議員にお答え申し上げます。
 大阪経済圏と結ぶ府県間道路の整備についてでございます。
 本県の産業、文化発展の上からもこの府県間道路というものは極めて重要でございまして、お話ございましたように、昭和六十二年十二月に締結された紀の川利水に関する協定書等に基づき、阪和開発連絡協議会等で両府県がお互いに協力しながら鋭意誠実に整備を図ってまいっておるところでございまして、本年の九月に阪和自動車道が全線開通したことにより、阪和間は一層連携が強化されたわけでございます。今後も、引き続き積極的にこれを推進してまいる所存でございます。
 なお、各路線については土木部長から答弁させていただきます。
 それから、JR和歌山線の整備促進についてでございます。
 話ございましたように、鉄道の整備促進は地域の活性化を図る上からも重要でございまして、かねてから国に対し、またJR西日本に対して働きかけを続けてまいっておりまして、昭和五十九年十月の和歌山─橋本間の電化、さらには平成元年三月の阪和線直通列車の運行開始など、輸送改善が図られてきたところでございますけれども、特に話ございました和歌山線の整備促進については、今後とも沿線の市町村とも連携を図りながら対応してまいりたいと思っておるところでございます。
 その他の問題については、担当部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 一点目、府県間道路の整備でございます。
 まず国道三百七十一号につきましては、県では平成元年度に事業化を行って用地買収を進めておるところでございます。大阪府につきましても、石仏から国道百七十号まで三・五キロメートルを平成元年度に供用し、石仏から府県境までの約六・一キロメートルについては、現在、地元説明、路線測量を行っているところでございます。
 国道四百八十号につきましては、両府県ともトンネル等の基礎調査、ルート協議等を行っており、平成六年度事業化に向けて努力をしてまいります。
 泉佐野打田線については全線概成をしておりますが、現在、府県界部の線形不良区間の工事を行っております。
 泉佐野岩出線につきましては、粉河加太線以北のバイパス約一・二キロメートルを昭和六十三年度に事業化をし、早期整備に向けて努力をしているところでございまして、粉河加太線以南のバイパス区間についても平成六年度事業化に向けて努力をしてまいります。
 大阪府につきましては、府県界から和泉市金熊寺間四キロメートルについてバイパスを含め調査を行っており、早期事業化に向けて努力中であり、また金熊寺から泉南インターを経由して樽井に至る五・二キロメートルについては、関西国際空港開港までに暫定二車線で概成を図ると聞いております。
 岬加太港線については平成五年度に約一・八キロメートルを供用開始する予定でございますが、大阪府において、小島工区で約〇・五キロの未整備箇所がございます。これについて、現在、漁港への張り出し部分もおおむね了解が得られました。また、物件の移転も調整中であり、早期完成に向けて努力中であると聞いております。
 今後、大阪府と連携を図りながら、積極的に整備促進をしてまいりたいと存じます。
 二番目の、国道四百八十号線、泉大津粉河線でございます。
 この大阪側の計画は、国道百七十号から府県界まで約七・二キロメートルございます。このうち、大野、父鬼地内の人家連檐地区はトンネルを含むバイパス計画となっており、府県間のトンネルに着工する前に、工事用道路を兼ねるこれらのバイパス工事を行う必要がございます。
 県におきましても、北川橋付近から府県界まで約六キロメートルのうち、名手上から広口地区にかけての人家連檐地を事前に整備しておくことが必要でございます。したがって、府県間トンネル工事の着工時期というのは、不確定要素が多い現時点で明らかにはなっておりませんが、この道路の重要性にかんがみ、早期着工に向けて大阪府ともどもに努力をしてまいります。
 次に、同和問題の早期解決上の諸問題のうち、住宅新築資金等貸付事業にかかわる問題についてお答えを申し上げます。
 最初に起債金利の算定と助成でございますが、この事業の実施に伴って制度上から生じる事業主体の財政負担については、昭和六十二年度に制度の見直しが行われまして、六十二年度以降に貸し付ける分については、起債金利確定後、一括助成事業を実施しており、市・町の財政負担が生じないように改善をされてきております。
 しかしながら、六十一年度以前に貸し付けた資金については、いまだに制度的に財政負担が解消されていないということで、全国同和対策協議会、全国住環境整備事業推進協議会などを通じて国にその改善を要望しているところでございます。
 現状では厳しい状況にございますので、今後も引き続き国に強く要望してまいりたいと存じます。
 次に、貸付金回収基金制度、貸付金回収の専門機関の設置についてでございます。
 国におきましては、事業執行により財政上の負担が生じないよう、実施に当たっての取り扱いの改善あるいは助成制度の拡充をされてきてはいるものの、事業主体によっては、償還率の悪さから来る財政負担が大きな問題となっていることも事実でございます。しかしながら、貸付基金制度の創設あるいは回収専門機関の設立につきましては、当事業に対する各市・町のそれぞれの考え方もあるかと思われますので、現状ではなかなか難しいと考えられます。
 なお、償還率向上のため、市・町が行う償還事務に要する経費等に対して、非常に要望の強かった償還推進助成事業が平成四年度に創設をされたところでありますが、さらに今後とも市・町の財政負担の軽減に対する助成措置としての改善策を国に強く要望してまいりたいと考えます。
 次に、鞆淵地区の道路に関しまして、都道府県代行事業の可能性はどうかというご質問でございます。
 鞆淵から粉河に至る道路といたしまして、現在、県では国道四百八十号、県道かつらぎ桃山線及び和歌山橋本線などの各路線で整備促進を図っております。
 ご指摘の路線につきましては、全体計画も非常に大規模となりまして、市町村道の県代行事業というのは現時点では当面困難であろうと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) JR和歌山線の整備促進についてのご質問にお答えをいたします。
 関西国際空港への鉄道アクセスにつきましては、スイッチバック方式による直通列車の運行について、輸送力強化促進委員会の協力もいただき、JR西日本の鉄道本部長などに直接お会いをして要望してまいってございますが、現在のところ、旅客需要が最大の課題となってございます。
 一方、和歌山線から阪和線への直通列車は、現在、朝夕合わせても三便しか運行されていない状況でもあり、また道路の整備も着々と進められている状況でございます。
 議員ご質問の、和歌山線から関西国際空港への直接乗り入れにつきましては、このように極めて難しい状況にございますが、引き続きJR西日本に対し働きかけを続けてまいりたいと存じます。
 次に、南海高野線、JR和歌山線、南海本線の相互乗り入れについてでございます。
 南海高野線とJR和歌山線の相互乗り入れにつきましては、橋本駅構内における接続線の新設、信号等の電気設備の整備、ダイヤ編成の問題等、特に車両の幅の違いもあって極めて困難であると聞いてございますが、引き続き両社間で調整を行っていただけるよう要請を行っているところでございます。
 また、南海本線とJR和歌山線との相互乗り入れにつきましても、先ほど申し上げた問題点に加え、南海本線とJR阪和線とが競合していることから、今後解決していかなければならない多くの課題もございますが、両事業者と話し合いを続けてまいりたいと考えてございます。
 次に、JR和歌山線の複線化と乗降者増加を図るための地域開発についてでございます。
 和歌山線沿線の紀の川流域は、関西国際空港の臨空圏域として、ますます近畿圏において重要な役割を担う地域となってきてございます。県といたしましても、この地域に研究開発機能、居住機能、先端産業の立地を図るため南麓サイエンスパーク計画などを策定し、近畿大学、松下電池の誘致等を行うとともに、和歌山バイパス、府県間道路の整備などを推進してきたところでございます。
 こうしたプロジェクトの進行に伴い、人口も増加傾向でございます。将来的には和歌山線の鉄道利用者数も増加するものと考えられます。
 なお、議員お話しの、和歌山線の複線化など輸送力の増強につきましては、線路用地の買収や莫大な設備投資など、課題もあると聞いてございますが、沿線の市町村ともども、引き続き国、JR西日本へ働きかけを続けてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) まず、佐田議員の特別養護老人ホームにかかわる三点の質問にお答えをいたします。
 一点目は、整備目標の設定についてでございます。
 高齢化の進行に伴って要介護老人がますます増加するものと予想されます。こうしたお年寄りにどう対応していくかということは、県としても重要な課題であると考えております。
 議員ご質問のとおり、特別養護老人ホームの整備目標については三千床としているところでありますが、これは、国のいわゆるゴールドプランが特別養護老人ホームについては全国で二十四万床としており、この二十四万床は高齢者人口のおおむね一%となってございます。その比率で行けば、和歌山県では二千四百から二千五百床ぐらいとなるところでございます。
 また、老人保健福祉計画策定に当たっての厚生省からの作成上の基本方針でも高齢者人口の一%強と示されておりますが、県といたしましては、過疎化や高齢化、寝たきり老人、ひとり暮らし老人の状況などを勘案して、老齢人口の一・四%、三千床を目標数値としたところでございます。
 今後は、在宅福祉サービスや保健サービスの充実等によって特別養護老人ホームへの入所対象者が減少するように取り組んでまいりたいと考えてございます。
 二つ目の、未設置町村への施設希望がある場合の処置についてでございます。
 特別養護老人ホームにつきましては、広域的利用を図るべき施設であり、こういった意味から相互に利用できる範囲として福祉圏域を設定しております。今後の整備に当たっては、整備率の低い圏域を優先して進めていくことが必要であると考えております。
 三点目の、施設を設置する場合の国、県等の補助基準の問題でございます。
 老人ホームの施設整備につきましては、国庫補助の基準がございまして、基準の面積、単価によって算定した金額の四分の三が補助額、その内訳として、国が二分の一、県が四分の一となってございます。実際の建設費と比較して面積差あるいは単価差があるため、補助額は半分程度となっているのが実情でございます。
 補助基準については年々改善が図られているところでありますが、今後とも国に要望をしてまいりたいと考えます。
 次に、青少年補導センターの派遣職員増員の件についてお答えをいたします。
 青少年補導センターは、非行少年等の早期発見、早期補導、少年相談活動等のほか、地域における非行防止対策を総合的かつ計画的に推進する活動の拠点として設置されたものでございます。現在、県下各地に十九センターを数え、市町村もしくは市町村の一部事務組合等が運営管理に当たっております。
 議員ご指摘の那賀郡青少年補導センターは、郡内六町で設けた那賀郡青少年補導センター協議会組織により運営され、職員五名のうち、兼職を含め三名が派遣職員であると承知しています。
 青少年補導センターの設置方法や運営形態は、それぞれの地域の実情に応じて異なっているので一概に比較はできませんが、那賀郡内の青少年人口、非行少年の状況等から判断する限りにおいては、若干職員数が少ないのではないかと認識をしております。
 県としては総合的な青少年対策を推進しているところでありますが、今後とも青少年補導センターが適切かつ効果的な運営が図れるよう、補助支援を初め、センター間の連携を図るための連絡協議会の組織強化と青少年の非行防止に関する情報の提供等を積極的に行ってまいります。
 また、議員ご質問の、那賀郡内の環境変化に対処するための要員の確保については、その趣旨を十分考慮して関係機関、団体等に働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 佐田議員ご質問の、火葬場建設に伴う許可基準、距離規制についてでございます。
 墓地、埋葬等に関する法律第十条を受けて、和歌山県細則第八条で、火葬場は「人家、学校、病院及び公園から三百メートル以上離れた場所であること」としております。また、これを運用通達で、「最新の装置設備が備えられた施設については、二百メートル以上に緩和する」ことといたしております。これにつきましては、全国的に見ても距離制限は二百五十メートル前後となっております。
 なお、やむを得ず距離制限区域内に火葬場を設置しようとする場合には、許可の判断材料の一つとして区域内住民等の同意を求めているところでございます。
 次に、住民同意の考え方についてでございます。
 距離規制範囲内の同意のあり方につきましては、全員同意が理想でありますが、地域地域においての慣習等がございますので、これらを尊重し、さらに市町村の意見を踏まえて判断しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 同和問題の早期解決上の諸問題のうち、借換債の許可問題についてお答え申し上げます。
 借換債の問題につきましては、現行の地方債制度において、政府資金は借り受け時点において有利な金利になっていることから、借りかえが制度上認められないという形になっております。しかしながら、議員ご指摘のような状況もございますので、今後、国へも地方の実情を伝えるとともに、何らかの対応がとられるよう、機会をとらえて働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 佐田議員にお答えいたします。
 那賀郡東部山間地の道路問題についてのご質問のうち、鞆淵地区を都市近郊型高原野菜の生産地として育成し、現在計画している紀の川左岸広域農道の関連事業としての大型農道を、トンネル化も含め計画の中に組み入れができないかというお尋ねでございます。
 当該地域の農道と農地造成事業の可能性につきましては、県及び農林水産省で昭和五十九年度から六十二年度に調査を実施した結果、基岩が浅く硬質で、農地造成には適地ではなく、農道事業としての効果は期待できないことが判明いたしました。この状況から、広域農道の関連事業として組み入れることは非常に難しいと判断してございます。
 次に林道事業としての採択でございますが、粉河の中心部と鞆淵地区を結ぶ道路につきましては、粉河町と美里町、さらに花園村を結ぶ林道計画として、本年三月から那賀・伊都両県事務所を通じ、関係町と検討を進めてきたところでございます。大型林道として整備していくことは大変無理な状況でございます。
 なお、幅員四メートルの一般林道で開設する場合、三五%の地元負担金、用地の無償提供など、条件が整えば林道としての計画は可能でございます。地元の意向を十分見きわめ、検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 10番佐田頴一君。
○佐田頴一君 ただいまは、私の質問に対し、丁重に、親切にご答弁をいただき、大変ありがとうございました。
 しかし、ご回答の内容をそのまま県民にお返事として申し上げるには、大変寂しいような気がしてなりません。私は、冒頭申しましたとおり、身の回りのことを早く解決してほしいという切なる願いが私の方に来まして一般質問をさせていただいたわけですが、今、ご返事をいただきますと、ほとんど、できるという答えはなかったような気がします。
 そういうことで、今、この質問の内容について一から六まで、時間がありませんので再質問いたしませんが、政治とはいろんな夢を持っておりまして、そしてその夢の実現のために私たちは苦しい選挙を戦ってきておるわけでございます。だから、できるだけ私たちの希望も聞いていただきたいと思います。
 何事も消極的で、国へ頼むとか、市町村と相談するとかというお話でございますけれども、私も、ついこの間まで町長でございました。だから、その当時、先ほど言いましたように、相談も受けていないということで質問させていただいたわけでございます。そういうことを考えますと、消極的に考えないで、もっと無から有を生じるような姿勢の中で前向きに国や関係機関に働きかけていただいて、一から六まで言いましたけれども、一日も早く解決に努力をしていただきたい。これは要望であり、お願いでございます。
 そういうことで、このことについてはまだまだ解決できておりませんので、これからも一層この問題について追っていきたいと思います。再質問に対する答弁は結構でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げて、これで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で佐田頴一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十四分休憩
  ──────────────────

このページの先頭へ