平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第四号 平成五年十月七日(木曜日)
午前十時開議
第一 議案第百十二号から議案第百三十四号まで、及び報第七号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百十二号から議案第百三十四号まで、及び報第七号(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
1 番 小 川 武
2 番 吉 井 和 視
3 番 井 出 益 弘
4 番 和 田 正 一
5 番 町 田 亘
6 番 尾 崎 吉 弘
7 番 岡 本 保
8 番 藁 科 義 清
9 番 向 井 嘉久藏
10 番 佐 田 頴 一
11 番 阪 部 菊 雄
12 番 堀 本 隆 男
13 番 平 越 孝 哉
14 番 富 田 豊
15 番 門 三佐博
16 番 西 本 長 弘
17 番 高 瀬 勝 助
18 番 上 野 哲 弘
19 番 宇治田 栄 蔵
20 番 尾 崎 要 二
21 番 中 村 利 男
22 番 木 下 義 夫
23 番 山 本 一
24 番 馬 頭 哲 弥
25 番 鶴 田 至 弘
26 番 飯 田 敬 文
27 番 村 岡 キミ子
28 番 松 本 貞 次
29 番 下 川 俊 樹
30 番 石 田 真 敏
31 番 宗 正 彦
32 番 橋 本 進
33 番 浜 田 真 輔
34 番 冨 安 民 浩
35 番 上野山 親 主
36 番 中 村 裕 一
37 番 和 田 正 人
38 番 大 江 康 弘
39 番 中 西 雄 幸
40 番 木 下 秀 男
42 番 森 正 樹
43 番 野見山 海
44 番 新 田 和 弘
46 番 森 本 明 雄
47 番 浜 口 矩 一
欠 席 議 員(一人)
45 番 浜 本 収
〔備 考〕
41 番 欠 員
説明のため出席した者
知 事 仮 谷 志 良
副知事 西 口 勇
出納長 梅 田 善 彦
知事公室長 中 西 伸 雄
総務部長 木 村 良 樹
企画部長 佐 武 廸 生
民生部長 南 出 紀 男
保健環境部長 江 口 弘 久
商工労働部長 吉 井 清 純
農林水産部長 野 見 典 展
土木部長 山 田 功
企業局長 高 瀬 芳 彦
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員長
岩 崎 正 夫
教育長 西 川 時千代
以下教育次長
公安委員会委員 山 階 清 弘
警察本部長 西 川 徹 矢
以下各部長
人事委員会委員長
水 谷 舜 介
人事委員会事務局長
代表監査委員 天 谷 一 郎
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長
鈴 木 俊 男
地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 梅 本 信 夫
次 長 中 村 彰
議事課長 中 西 俊 二
議事課副課長 佐 竹 欣 司
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主事 長 尾 照 雄
議事課主事 松 本 浩 典
総務課長 川 端 孝 治
調査課長 岡 山 哲 夫
(速記担当者)
議事課主査 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時十三分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第百十二号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
26番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 ただいま議長から発言を許されましたので、質問をさせていただきます。
私は、去る八月八日、那賀郡の補欠選挙において一万七千百八十四人にも及ぶ真摯かつ厚い信任をいただいて伝統ある和歌山県議会に送っていただきました。ここで、那賀郡民約十万人の皆様方の声を初め、百八万県民の声を県政に反映すべく努力してまいる決意を表明させていただき、ここ県議会の壇上をおかりしてではございますが、改めて那賀郡民を初め応援していただいたすべての方々に御礼を申し上げる次第でございます。
さて、私は立候補するに当たりまして、「あなたの声を県政に」「県政にやさしさを」「ふるさとに活力を」を信条にして訴えてまいりました。今、日本を取り巻く内外情勢は大きく変わろうとしております。特に、中央においては自民党単独政権から細川連立内閣へと政権が交代され、激動の二十一世紀への幕が切って落とされており、和歌山県もその大きな波をてことして前進することが重要であろうと考えております。私は、もうすぐ迫りくる二十一世紀を射程に入れて、二十一世紀を展望した町づくり、ふるさとづくりに邁進をする決意でございます。
人類は、有史以来、英知と勇気を持って改革と進歩を追い求め、政治、経済、文化を営々として築き上げてきたものであります。人類未踏の二十一世紀を目前にして、さらに英知を結集してこの厳しい難局を乗り切らなければなりません。政治はこのかじ取り役として、その指導力を今こそ問われているときではないかと思います。政治は県民一人一人が幸せになるためにこそあるものであり、県民一人一人が主人公となったときこそ政治の完成、真の民主主義の実現があると信じて疑いません。県民一人一人の永久に続く幸せの実現のために、微力ではございますが、諸先輩のご指導を得て身を粉にして頑張ってまいる決意をお誓い申し上げ、県議会での初めての質問をさせていただくに当たり、私の政治に対する信念と信条を述べさせていただきました。どうかよろしくご指導をお願い申し上げます。
それでは質問に入るわけでございますが、処女発言でございまして、体系的に順序立っておらないことをお断りいたしまして、質問に入らせていただきます。
まず初めに、関西国際空港の立地に伴う波及効果について質問をいたします。
本県議会や県当局は来年七月開港を主張しており、私自身も早期開港を望んでおるものでございますが、ともかく来年九月には県民の悲願であった関西国際空港が開港される運びとなっております。昭和四十六年十月、運輸大臣から関西国際空港の規模及び位置に関する諮問が出されて以来、これまで約四半世紀にも及ぶご苦労、ご尽力された関係各位に心から敬意を表するものであります。
さて、この関西国際空港は、停滞する不況を克服し、関西の復権に向け大きなインパクトを持つものであると期待されております。特に、和歌山県の経済、文化、国際化に大きく貢献し得るものと、県民の大きな夢を膨らますものであります。しかしながら、開港目前の今になっても県民の前にはその具体像がなかなか見えてきておりません。そもそも、立地に伴う本県に対する波及効果とは一体、具体的に何なのでしょうか、県の見解をお聞かせ願いたいと思います。
確かに、県政の長年の課題であった国土軸及び国際軸との直結は関西国際空港が開港することにより実現をいたします。既に、九月二十五日には関西国際空港関連施設整備の一環である近畿自動車道岸和田─堺間が開通し、和歌山県が国土軸と直結し、いよいよ本格的な飛躍が望まれるところとなっております。私は、関空開港のインパクトを利用した大阪府泉南、紀北地域は、京阪神と並ぶ近畿第四の経済集積を持つものと考えております。しかし、県勢停滞の原因である和泉山脈が大きく立ちはだかっております。この和泉山脈の壁を取り払う空港開港関係の各種ビッグプロジェクトや関連公共事業の推進が不可欠となっております。
中でも、岩出、打田両町にまたがる南麓サイエンスパークの計画は、県内のプロジェクトでは最も空港に近く、臨空都市計画として注目を浴びているところでございます。このプロジェクトは、岩出、打田両町にまたがる東西九キロ、南北四キロ一帯に研究教育ゾーン、定住ゾーンづくりを計画し、開発規模は全体で六百六十八ヘクタールと大きく、公共事業だけでも昭和六十二年ベースで二百二十八億円にも上るわけであります。現在、昭和五十四年五月、県土地開発公社が開発した紀泉台団地八十一・四ヘクタールの七百七十一区画の大半は分譲販売が完了し、さらに民間による大型住宅団地の造成が進み、アメニティーの高い定住ゾーンを形成しております。また、先端技術ハイテクゾーンは、松下電池株式会社の和歌山工場が進出し、平成三年五月より操業を開始しております。学校ゾーンとして、近畿大学生物理工学部が本年四月に開学いたしました。将来は、総合大学化を図っていただきたいと考えております。また、打田町北東部の北勢田ハイテクパークや、そのほか工業団地が次々に完成をしております。
以上、述べてまいりましたが、県全体の発展にとって那賀郡が県の玄関口として浮上することが和歌山県浮上に向けて大変重要な意味を持っていると思いますが、いかがでしょうか。
特に、南麓サンエンスパーク計画成功が大きな意義を持っております。この計画についての進捗状況と今後の県の計画推進方法をお伺いいたします。
続いて、交通施策の充実についてお伺いいたします。
まず、何といっても道路事情であります。大阪への道路整備は県都和歌山市へ集中しているのが現状であり、那賀地方へ通ずる府県間道路であるところの泉佐野岩出線、泉佐野打田線、泉大津粉河線は、いずれもその整備が関西国際空港並びに京阪神経済圏へのアクセス道路として重要であり、大阪府側も積極的に取り組む姿勢であると聞いております。大阪府側とあわせて、その進捗状況と整備方針をお伺いいたします。
また国道四百二十四号線は、府県道泉佐野打田線により大阪に連結をしており、那賀郡から海南、海草、田辺市へと通ずる県の南北幹線道路として和歌山県全体の発展に向けた大動脈であると思われますが、県当局におかれてはその改良推進に積極的に取り組まれ、那賀郡内では本年八月末に貴志川バイパスが完成をしており、残すところ竹房橋から桃山町の間だけとなっておりますので、この区間のバイパスについて早急に事業化されるよう特にお願いをするとともに、全線開通に向けた県の計画をお伺いしたいと思います。
また、和歌山市へ向かう幹線道路として国道二十四号線バイパスが開通し、大幅な時間が短縮されて大変喜んでおるところではございますが、那賀地方は打田、岩出までは道路が整備されているものの打田以東は未計画な状況にあり、そのためばかりではないと思いますが、人口の減少傾向にあるわけでございます。私は、那賀郡は一つであるという考えから、粉河以東の道路整備を推進していただきたいと思いますし、あわせて県道粉河加太線の改良計画をお伺いしたいと思います。
さらに、第二国土軸上に位置する京奈和自動車道路の現状と完成予定時期、及びこれまで述べてきた府県間道路、近畿自動車道との連結方法をお聞かせいただきたいと思います。
交通施策については、道路整備のほかに鉄道の便が考えられます。大阪府泉州地域と和歌山県紀北地域を結ぶ環状線構想なるものが、いろいろなところで論議されてきたところでございます。和泉山脈を取り除くために、関西新空港を中心とした鉄道網の整備が重要であります。県としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
続いて、生活環境整備についてお尋ねいたします。
空港開港の波及は、那賀地方には人口の急増としてあらわれてきており、その生活環境整備は急を要するものであります。また、環境問題に対する国民の意識が非常に高まっている中で、私たちのふるさとの財産である自然を守るためには下水道の整備がぜひとも必要であります。まず、紀の川流域下水道の那賀処理区における計画の進捗状況をお伺いいたします。
さらに、ごみ及びし尿処理施設の不足が深刻化しております。急激にふえる人口に不安を訴えており、ごみ処理も郡内の各町とも対処に困惑しております。今後の建設及び処理場受け入れ地域の周辺整備計画など広域行政が必要とされており、県当局の対策、実施計画をお聞かせいただきたいと思います。
次に、企業誘致と地場産業の育成についてお聞きをいたします。
県全体から見た那賀地方についてのところで申し上げましたが、県勢の浮揚の一つとして企業誘致と地場産業の育成も大きなポイントであると考えております。紀の川テクノバレー計画の中での、県土地開発公社が造成した工業団地の用地を生かしたハイテク技術の企業や長期的視点に基づく雇用関連、並びに若者の定着に向けての総合的な計画が必要となっております。現在、打田町に松下電池工業が操業し、ほかの工業団地にも操業されました。関西国際空港の開港で世界各国と直結することになり、その面においても早期の企業誘致の促進計画が必要であると考えます。県の計画についてお伺いをいたします。
さて、地場産業の育成についてでございますが、那賀郡の地場産業は何といっても農業関連が主力であります。郡の農業は、従来より広大で肥沃な耕地に恵まれて県下随一の穀倉地帯として発展してきましたが、若年労働者の県外流出が生じ、高齢化が進む一方、オレンジに代表される輸入自由化の波により一層の厳しい現実に直面をしております。そこで、花卉等、付加価値の高い農産物を含めた近代化施設による経営効率向上に努めるとともに、農業の基盤整備を促進しなければならないと考えますが、県としてどのようにお考えでしょうか。
また、関西国際空港の開港による農産物の供給体制、いわゆるフライト農業や機内食対応計画など、現在の進捗状況をお伺いいたします。
次に、人権問題についてお伺いをいたします。
世界人権宣言四十五周年という記念すべき年に当たり、これまでも述べてきたとおり、関西国際空港の開港、世界リゾート博の開催という状況の中で、名実ともに国際化の波が押し寄せてきております。世界は今、平和、人権、環境保護を基本に動いていることを認識し、和歌山県としてもこのことを十分に踏まえた具体的な対応が必要であろうと考えます。特に、本年は世界人権宣言四十五周年という記念すべき年であり、また国際先住民族年にも当たります。このことを記念して、過日、県民文化会館において県民の集いが開催されたわけであります。
さて、この人権宣言の精神、また基本的人権を保障するということは一体どういうことを意味するのか、この四十五周年を機に再度認識を新たにして、具体的な施策の確立が必要となっております。基本的人権の中身は自由と平等の実現であり、人間としてひとしく尊敬され、誇りを持って生き抜く権利であります。人権というのは、決して自然発生的に生まれたものではなく、人間の幸せ、あるいはより人間らしく生きるという要求を実現させる不断の闘いの中で生まれ、歴史の中で絶えず進歩発展してきたものであり、現在も発展し続けているものなのであります。従来、人権の保障といえば、生存権、存在権、それのみを一面的に強調して取り組まれてきた傾向がございますが、今後はそれぞれの立場の人がそれぞれの立場に自覚と誇りを持って、また障害者は障害者、高齢者は高齢者、同和地区住民は同和地区住民として誇りを持って、生きがいを持って生き抜ける権利を保障していくことこそ人権の確立と言えると思います。
県当局の人権問題についての基本的な考え方と、責任ある人権行政を進める担当部局の設置と、具体的施策をお伺いいたします。
次に、同和問題についてであります。
同和問題については、和歌山県が同和先進県として多くの課題を克服してきたわけでございますけれども、地対財特法という法律があと三年半という事態を迎えて、残事業ということが残ってまいります。
県の集約によりますと、現在四百億の残事業があり、この残事業を地対財特法期限内に完遂することが急務であると聞いております。期限内完遂については極めて重要な問題があることを指摘し、県の見解をお聞きしたいと思います。
例えば、和歌山市のある地区では、県の河川事業の完成が地対財特法の期限を超えてしまい、さらに都市計画道路事業も絡み、地改事業を初め、ほとんどの事業が期限内完了の著しく困難な箇所も見受けられるわけでございます。また、河川、下水道、都市計画道路の改善の見通しが立たないために地区の環境改善が進まないところも随所に見受けられます。さらに、御坊市の島団地、ひまわり団地の対策に見られるように、現行の政令枠内では対応できない課題が相当数存在し、同和問題の完全解決の観点からすると、現実には県の集約をはるかに超える事業が必要になってくると考えられるわけでございます。残事業あるいは必要な事業の集約、完遂の見通しについての県の見解をお伺いいたします。
次に、実態調査についてであります。
この秋に、総務庁の調査が県内の二○%の関係住民を対象に実施されると聞いておりますが、政府の調査とは別に、県としても主体的に全地区、全関係住民の総合的な実態を把握することが必要であり、ぜひとも実現をされたいと思います。
さらに、そのことを踏まえて現在の同和対策総合推進計画の見直しをお願いするとともに、同和問題解決の方向についても明らかにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
最後に、同和問題の解決に向けた県民啓発については、県並びに関係各位の大変なご努力に深く敬意を表するものではございますが、県同和委員会発行の啓発冊子「同和問題を理解するために」の中で、特に気になる点を述べたいと思います。
結婚問題についてでありますが、その冊子には県民の七一%が同和地区の人との結婚を認めていますと書かれております。結果を見ると、啓発の成果が相当出て差別はなくなりつつあると私自身も感じておりますが、しかし、現実には結婚や交際にかかわって差別を受けた例も少なくなく、言うに言われない非常に厳しい現実があるわけでございます。このことが啓発の中で十分踏まえられなければ、かえって誤った意識を植えつけてしまうわけでございます。それに、同和結婚問題についてでありますけれども、結婚は両性の合意に基づくものでございまして、地区内とか地区外とかという区別が、同和結婚という考え方が果たして妥当であるかどうか検討していただきたいと思うわけでございます。
本当に両性の合意のもとに結ばれているかどうか、そのことが一番問題なのであります。この点について県の考え方を明らかにしていただき、今後の啓発活動の県としての取り組み計画をお聞かせいただきたいと思います。
以上で、第一回目の私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
関西国際空港の立地に伴う波及効果でございますけれども、お話もございましたように、本県は関空と至近距離にあり、そのインパクトを最大限に生かすために、大阪湾環状交通体系や紀淡ルートを含む第二国土軸構想の推進、そしてまた空港を中心とした大阪湾岸の総合的な整備開発を図るための特別法が制定されたわけでございます。
一方、国土軸へ直結する近畿自動車道紀勢線が去る九月に供用を開始いたしましたほか、国道二十四号和歌山バイパスの開通等々、多くの基盤整備が完成しつつあるのが現状でございます。二十一世紀の臨空都市圏の形成へ飛躍するとともに、長年の念願である半島性からの脱却に大きく拍車をかけたところでございます。
関西国際空港が開港すると、世界から人や物、あるいは情報が飛躍的に増大いたしまして、産業、経済等の重心が和歌山側にシフトし、またシフトさせなければならないわけでございます。こうした点において、県勢の活性化に強く結ばれてまいるものと確信しているところでございます。
次に、県全体から見た玄関口としての那賀郡についてでございます。
那賀郡は、京阪神に近うございます。特に、関西国際空港とは至近距離に位置しているわけでございまして、本県の新たなる発展を図る上で非常に高いポテンシャルを持っている地域だと存じておるところでございます。こうしたことから、研究開発機能、居住機能、先端産業等の立地を促進して県経済活性化の先導的な地域とするために、建設省の支援事業として、話ございました南麓サイエンスパーク計画を現在進めているところでございます。
これまで、近畿大学、松下電池の誘致、和歌山バイパス、また後ほど述べられた府県間道路等の整備などを推進してきたところでございます。特に、関西国際空港の開港も来年となってまいったわけでございます。また、第二国土軸の一部となる京奈和自動車道も本年から着手することになるわけでございまして、近畿圏においてますます重要な役割を担う地域となってくるわけでございます。
また、昨年、国土庁から委託を受けた紀の川臨空・林間都市整備構想調査を実施してございまして、地域の持つ豊かな自然、歴史、文化と調和しながら、農業を含めた地域産業の高度化、また新たな産業の導入を図るとともに、快適な都市機能を有する臨空都市圏、田園都市圏を形成するために、地域の皆さんと力を合わせて積極的に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 飯田議員にお答えをいたします。
最初に、交通施策のうち道路整備についてでございます。
泉佐野岩出線については、粉河加太線以北のバイパス約一・二キロの早期整備に向け努力をしているところでございます。粉河加太線以南のバイパスについても、順次整備を進めてまいります。大阪府については、府県境から泉南市金熊寺間四キロメートルについてバイパスを含め調査を行っており、早期事業化に向け努力中であり、金熊寺から泉南インターを経由して樽井に至る五・二キロについては、関空開港までに暫定二車で概成を図ると聞いております。
泉佐野打田線については、府県界部を大阪府と協議しながら整備を進めているところであります。また、大阪府では泉佐野市上大木地内で一部改良区間一・四キロを残して改良済みでございまして、これも平成八年度に完成と聞いております。
泉大津粉河線、国道四百八十号でございますが、両府県にまたがり、現在トンネル等の基礎調査、ルート協議等を行っております。事業着手に向け、大阪府とともに努力をしてまいります。
国道四百二十四号竹房橋から桃山区間でございますが、県道桃山下井阪線交差点から東方一キロを車道の改良も含めた特定交通安全施設等整備事業として平成四年度におおむね完了いたしました。竹房橋までの残る区間約一・四キロについて、現在、概略設計、交差点協議等を行っており、事業化に向け努力をしてまいります。
国道二十四号の打田以東の整備については、二十四号に並行して京奈和自動車道がございます。平成元年度には橋本道路、また平成五年度には紀北東道路が国道二十四号のバイパスとして事業化をされたところであり、当面これの早期完成に全力を尽くしてまいりたいと考えております。なお、地元の要望については、機会をとらえ国に伝えてまいります。
県道粉河加太線の粉河寺周辺は、平成三年三月に都市計画の変更がされております。この道路を拡幅していくのには、河川改修、駐車場整備などと同時に計画を進めていくことが必要と考えておりますので、町とも協議を進めてまいります。
京奈和自動車道の橋本道路は、平成三年度より用地買収を進めております。また高野口町から打田町間の紀北東道路についても、現在都市計画決定を行うための調査中であります。
打田町から和歌山市間の紀北西道路については、現在、第十一次道路整備五箇年計画内に整備に着手をするという位置づけをされておりますが、今後とも国に強く要望してまいります。また完成時期でございますが、不確定要素が多くて明らかにはされておりませんけれども、早期整備を国に対して強く要望しているところであります。
京奈和自動車道路と府県間道路、及び近畿自動車道との連結でございますが、京奈和自動車道と近畿自動車道とは連結をされます。橋本道路においては、都市計画道路三石台垂井線、国道三百七十一号、高野口町道八号線でインターが計画をされております。その他の区間については、現在調査中でございます。
次に、生活環境のうち下水道についてお答えを申し上げます。
紀の川の水質環境基準を維持達成するため、県において策定した紀の川流域別下水道整備総合計画に基づき、紀の川流域下水道の伊都処理区の整備を行っているところであります。那賀処理区については、平成四年度から下水道基本計画を策定中であります。今後、関係町と連携を図りながら、できれば平成五年度に地元説明等を行い、順次、都市計画決定などの法手続を進める予定にいたしております。この事業を進めるためには、関係町の流域下水道に対する理解と全面的な協力がぜひとも必要であると考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港を中心とした鉄道網の整備についてのご質問にお答えをいたします。
関西国際空港に関連した鉄道網の整備については、関西国際空港関連施設整備大綱に基づき、現在、整備が進められているところでございます。
議員お話しの大阪府泉州地域と本県紀北地域を結ぶ鉄道新線については、水間鉄道が昭和二十五年に事業認可を、昭和二十九年には工事の施工認可を得てございましたが、改めて平成元年五月の運輸政策審議会答申第十号において、水間鉄道の犬鳴方面への延伸について、沿線地域の開発状況、当該開発に伴う新規需要の規模等を総合的に勘案して路線整備の必要性について検討する路線として位置づけをされているところでございます。この路線の紀北地域へのさらなる延伸については、関西国際空港をめぐる交通需要の動向、紀北地域の開発状況等を見ながら、長期的に検討すべき課題であると考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 飯田議員ご質問の、ごみ、し尿処理についてお答えいたします。
市町村のごみ及びし尿処理については、市町村が作成する一般廃棄物処理計画に従い、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないよう収集、運搬及び処分をしなければならないとなっておりますが、施設の建設に際し、地元調整等難しい問題が生じていることは存じております。
県においては、長期的に安定したごみ及びし尿処理がなされるよう市町村の指導等を行っておりますが、施設の整備については国庫補助にあわせて県費助成も行っております。今後、市町村の廃棄物処理計画が円滑に推進されるよう関係市町村と十分協議しながら進めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 企業誘致と地場産業のご質問のうち、企業誘致の促進についてお答えをいたします。
本県では、企業誘致を行うことにより、県勢の活性化とともに働く場の確保や労働条件の向上等を図っております。特に、紀の川テクノバレー計画に即して那賀郡を中心に工業団地を造成し、電気機械、精密機械等の加工組み立て型産業、研究施設、及び技術開発型の企業誘致を推進しております。具体的には、松下電池工業株式会社を初め二十五社の進出が決定し、そのうち十六社が既に操業しており、約一千人の雇用を見ております。また、北勢田のハイテクパークも完成し、その他、数カ所の工業団地についても計画を進めているところでございます。今後とも、関西国際空港の開港を契機に、さらに企業誘致を積極的に推進してまいります。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 飯田議員にお答えをいたします。
企業誘致と地場産業のご質問に関連して、那賀郡の農業振興についてのお尋ねでございます。
那賀地方の農業は、京阪神に近く、また関西国際空港に隣接しているという恵まれた立地条件にあり、地域経済にとっても重要な位置を占めていると認識してございます。
県といたしましては、当該地域の特性を生かした収益性の高い農業の実現を図るため、かんきつ類の集出荷貯蔵施設を初め、桃の予冷施設やバラ、トマトの養液栽培施設などの近代化施設の導入に努めるとともに、紀の川広域農道や紀の川用水事業などの生産基盤の整備を図ってきたところでございます。今後、議員お話しのとおり、厳しい農業情勢を踏まえ、このたび充実強化を図った果樹園芸試験場紀北分場や農業試験場を核に、関係機関との連携を一層密にしながら、近代化施設や生産基盤の整備に向け積極的に取り組んでいく所存でございます。
次に、関西国際空港開港による農産物の供給体制や機内食対応計画などの進捗状況についてのお尋ねでございます。
空港の開港に伴う県産農産物供給体制については、紀の川流域を関空関連地域と位置づけ、各種の施策を講じながら高品質安定供給を基本に施設園芸タウンづくりを推進してきたところでございます。現在、百二十ヘクタールの計画に対して八十五ヘクタールの施設化が図られてございます。
また、県産農産物の機内食への供給については、県産ジュースの採用に向け、県議会の協力をいただきながら、農業団体とともに強く働きかけているところでございます。今後とも、恵まれた地域特性を生かした施設栽培の推進や生鮮野菜等の加工処理施設の整備に加え、空港需要への販路開拓等、フライト農業の展開に向け積極的に推進してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 世界人権宣言四十五周年についてのご質問にお答え申し上げます。
世界人権宣言の第一条には、「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたわれておりますが、県では、すべての人の人権を尊重するというこの精神を基本として、従来から人権思想の普及高揚に努めているところであり、本年は世界人権宣言四十五周年という記念すべき年に当たることから、去る九月二十日に人権啓発県民の集いを開催し、人権問題についての理解と認識を深めたところでございます。また、十二月の人権週間には、各部局の協力を得ながら、県下各地で人権意識を高めるための街頭啓発を実施したいと考えております。
次に、議員ご質問の人権行政を進める担当部局の設置については、今後の研究課題としてとらえさせていただき、当面、従来からの人権啓発の窓口となってきた経緯もございますので総務部で対応してまいります。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 飯田議員の同和問題にかかわる三点のご質問にお答えをさせていただきます。
まず一点の残事業については、平成三年十月に国において実施された調査により、現行の地対財特法のもとで計画された事業は平成五年度以降四カ年で約四百二十億円となってございます。
なお、議員ご指摘のとおり、地区内には河川事業等の一般対策として早急に実施しなければならない事業もあり、それらの事業との調整を図りながら、早期着手を図るため関係各部や市町村とも十分協議しながら法期限内の完了に全力を挙げて取り組んでまいります。
二点目の実態調査の関係についてでございます。
平成四年に地対財特法の一部改正がなされたことに基づき、同和対策総合推進計画の一部改正をしたところでございますが、本年、国において実施している実態調査は、今後の同和対策の方向づけをする上で大変重要な調査であると認識してございます。したがって、その調査結果の有効活用や平成六年度において県独自で計画をしている実態調査の結果を踏まえて、本県としての今後の同和対策のあり方について十分検討していかなければならないと考えております。
三点目の啓発の問題についてであります。
同和問題の解決を図っていく上で、心理的差別をなくす啓発活動は今後の重要な課題であると認識してございます。残念ながら、結婚等に関連した差別事件も依然として発生しており、これらにかかわる県民意識についても課題があることも事実でございます。
また結婚の状況でありますが、差別の結果として地区内結婚の比率が高く、県民意識においても結婚に対して消極的な意識状態が依然として見られ、その解消のための啓発活動は重要であり、両性の合意に基づく結婚が行われるべきであると考えているところであります。
今後、これまでの啓発の成果も生かしながら、議員ご指摘の点を踏まえ、さらに一層創意工夫を加えて積極的な啓発活動を展開してまいります。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がございませんので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をしてまいりたいと思います。
まず、連日報道されている大規模リゾート開発フォレストシティ計画についてでございます。
ご存じのとおり、去る九月二十一日、大阪地検特捜部は、フォレストシティ計画の事業主である和興開発株式会社、元県幹部企画部長宅やその勤務先など十カ所を国土利用計画法違反の疑いで強制捜査に入りました。以来、さまざまな問題が次々と明るみになっています。マスコミもゼネコン並みの扱いでありますから、私も地元住民の一人として、毎日、新聞から目が離せなくなっています。
地元住民の間では、この五年間余りフォレスト計画の開発に対する賛否両論をめぐっていろいろな問題が発生し、日常生活の中でもぎくしゃくした感情を抱きながら暮らす毎日でございます。それゆえに、私ども住民は大阪地検の捜査の展開に大変注目をいたしているところです。「やっぱり、和興さん何か悪いことしていると思っとったんやけど本当やったんやな」と言う声が最近多く聞かれるようになりました。
紀陽銀行の過剰融資問題、そして反社会的な暴力団体の関与が公然と指摘されていることも重大問題であります。また、県行政の関係書類の提出を求められ、押収されたことは、開発計画にかかわって犯罪の行われた容疑が濃厚であることを示すものであります。仮にも、こうした犯罪行為の伴った開発行為に行政が軽々しく許可を与えるなどということは絶対に許されないと思います。
今、世界的に自然破壊や環境問題が重要視されるようになってまいりました。和歌山県下のあちこちで住民を無視したゴルフ場開発計画に反対する住民運動が、この間、活発に行われてきました。県も、新たな対応が求められる状況の中で、事前協議の前段階で届け出制をとるようにいたしました。その届け出のとき、地元市町村及び地元住民が積極的に要望する計画に限って受け付けること、そして開発許可の本申請の段階では、地元住民の総意を反映した地元同意書の添付を義務づけました。しかし、この住民合意はあくまでも行政指導の範囲内であります。しかし、住民にとっては開発計画に対する唯一の意思を伝える場となるわけですから、大変重要な問題だと思っています。業者の姿勢や行政指導の力量が、ここでは本当に住民の立場に立って行われることが問われると思います。
計画のあることさえ住民は知りませんでしたし、知らされませんでした。知っているのは自治会長だけとか、あるいは一部の役員だけであるなど、住民が知ったときには既に事がすべて終わっていたというところまで進展してまいりました。そして、もう決まっていることだから何も言えない、決まったことだからというあきらめまであるような状況もずっと続いてまいりました。これは、地域住民の生活や生命にとって大変大きな問題であるにもかかわらず、開発業者の意図的な住民無視の姿勢と業者の横暴を厳しく規制する具体的な行政側の開発指導要綱がないからであります。
フォレストシティ計画は、県がリゾート構想で指定したお墨つきの計画とも言えますし、公共的性格を持った計画だと私は考えます。町づくりの主人公は、その計画地周辺に暮らす住民の皆さんたちです。しかし、現行法や制度では、住民は基本的には無視あるいは除外されています。一方、企業を利する法となっていることも言わなければなりません。法の中で「許可しなければならない」と一方的に決めつけているところも問題であります。町づくりの基本は、その地域で暮らす人々がより豊かに、より健康に、より生活がよくなるためにというところにあるのであって、殊にフォレスト計画はその地域を丸ごと変えてしまうほどの大規模開発なのですから、住民の理解と協力のもとに形成された住民同意が最も優先されなければならないのは当然のことであります。町づくりの初歩的な原則として住民合意を大前提に進められなければならないということが言えると思いますが、いかがなものでしょうか。
和興開発は、説明会を前に各家庭にビラを配布いたしました。このビラの中で、「地域の皆さんと共存共栄を図ります」と社長名であいさつが書かれていました。この間、住民同意を得るための事業者としての姿勢や努力はどういうふうな形で行われてきたのでしょうか。どんなに甘く見たといたしましても、私が居住する団地やその周辺の方々の話を聞きましても、和興開発は住民にまじめに、しかも自主的、積極的に誠意を持って説明会等を開催してきたとは言えません。去る九月三日、本申請後現在に至るも、園部、六十谷、直川地区の六十近い関係自治会の約半数は、いまだにもって一回もその説明さえないという状態であります。
行政指導として同意書が必ず必要として指定された十三自治会ですら、いまだに説明会が行われないのも実態でありますし、大変ずさんなものです。ましてや、事業者である和興開発が説明会をみずから計画するなどということは皆無でありました。多くは、住民が日時や場所の設定を計画したところに出かけてきて説明をするというお客さん気取りでもありました。説明はしたとしても、質問の時間を設定していないとか、住民の不安や質問にまじめに答えない態度は、余りにも住民をばかにしたものでした。そればかりか、質問する住民に脅迫するなど、あるまじき行為も一度や二度ではありませんでした。私たちは、住民の皆さんたちと一緒にこのことを行政の担当課に訴え、改善を求めてまいりました。そのことについては業者の方に伝わっているのか伝わらないのかわかりませんが、なかなかその効果はあらわれませんでした。
また、地権者を初め隣接地権者の同意のとり方など、まじめに努力をせず、金権の力に頼ったり、反対する住民代表に対し、自宅まで来て「家の若い者はもう黙ってへんからな」などと暴言を浴びせるなど、さらに新聞報道にもありますように、夜中に無言電話の嫌がらせなどが数日続いたと聞いています。目的のためなら手段を選ばないという卑劣なやり方が、和興開発の住民同意のとり方であります。何よりも、新聞に載りました圓明寺取り込みの実態がそのことを実証いたしております。これは、殴る、けるという暴力行為はないにしろ、精神的暴力行為と言わなければなりません。
特に言っておかなければならないことがあります。直川、有功、善明寺、各連合自治会の同意問題です。同意書に明記してありますように、同意をとるために開発協力金、迷惑料という名前でもって直川連合自治会には五千万円、有功連合自治会には二億円とゴルフ場入場者一人当たり三百円を支払う、善明寺自治会には五千万円と、まさしく金で同意を買うという状態であります。これらが住民同意のとり方でありますし、その実態は連日、新聞に出ております。
るる申し上げてまいりました。お尋ねをいたします。
地域周辺住民の大切な財産や生命を守る立場から、こうした町づくりの重大な計画を進めるのに際し住民同意が大前提に座ることが、たとえ行政指導であっても不可欠であると同時に、今ほどこのことが求められているときはないと私は考えるものです。土木部長はいかがお考えでしょうか、ご所見をお聞かせください。
あわせて、これまで住民団体である「いずみ山系の開発を考える会」の交渉や和歌山県リゾート・ゴルフ場問題連絡会等の交渉で確認をしてきた、同意を必要とする十三自治会のうち一つでも反対の自治会があれば許可は難しいと答弁をしてこられました。この答弁は今後とも変わりはないと信ずるものでありますが、この場で再度確認をいたしたいと思います。土木部長のお答えを願います。
次に、生活基盤整備についてどうしてもお願いをしておかなくてはなりません。
このフォレストシティ計画は和泉山脈の南斜面ですが、急峻な地形で深い谷を形成していると言われています。開発総面積三百二十五ヘクタールは、何と甲子園の八十倍の広さであります。十八ホールのゴルフ場、リゾートホテル、美術館、千五百戸のグレードの高い高級住宅、尼崎のつかしんや原宿の竹下通りを思わせるファッション通りなどが森の町として計画に盛り込まれております。大変夢を持たせるバラ色の説明が行われました。しかし、私たちこのふもとに住む二万人の住民から見てみますと、頭の上はすばらしいバラ色の町があるにもかかわらず、私たちの住むふもとの町は今でも県道粉河加太線の慢性的な渋滞、ちょっと大きな雨が降れば浸水に悩まされております。ゴルフ場の農薬公害も、子供たちや住民の健康に影響します。削り取られた山肌は保水力を失い、さきの大雨で大被害の発生した鹿児島のような災害が起こらないという保証はありません。私たちは、開発よりもまず今暮らしている生活を大切にしたいと思っています。道路渋滞の解消、内水面の浸水対策、下排水などの生活基盤整備の具体的な方向を示してください。土木部長の回答を求めます。
続いて、国土利用計画法、土地売買届け出制と事後事務措置について伺います。
一昨日の尾崎吉弘議員の質問にもありましたが、届け出によって勧告、不勧告通知までは法に基づく処理が行われるわけですから、特に問題はないと思います。しかし、その事後処理、つまり審査して勧告をしたあの土地が、一体どういう形で、どれぐらいの値段で売買されたのであろうか、こういう結果をいかにして聴取するかというところが問題だと思うわけです。今度の地検の捜査も、国土利用計画法のそこに問題があると指摘しております。このことについては、課長通達が出されております。これは、国土利用計画法の土地売買の届け出制に基づいて、その法の趣旨を行政として最後まで貫くんだ、そういう事務処理を位置づけたものだと私は思っています。
契約締結状況報告について、先日、企画部長は、義務づけされていないので実効性は十分とは言いがたいと答弁されていますが、この実効性を高めるための具体的方法を検討されてきたのでしょうか。そして、これまで督促したことがないとか、強く求めることは難しいと新聞に報道されています。このことが事実とするならば、課長通達を出す意味も必要もないのではないでしょうか。現在、大阪地検の捜査に係る問題は、この報告書がきちんと処理されているならばここまで至らなかったのではないかと非常に残念に思うわけですが、このことについてもお答えいただきたいと思います。
通達の中には、目的や、だれがどの時期までに報告しなければならないのか、そして督促をするのはどういうときだ、たとえ居住地が変わっても督促状は出せるんだと明記してあります。その上、報告に基づいての現地調査まで求めています。違反取引に対する措置、処理方法まで行政上の事務処理を明文化しているのでありますから、明らかに業務怠慢と言わざるを得ないと思います。京都、大阪、兵庫などでは積極的に取り組まれているように思うのですが、和歌山県はこれまでどのような処理をしてきたのか、そして今後どうされようとしているのか、企画部長の所見をお聞かせ願います。
続いて、伺います。
このフォレスト計画の書類は大阪地検に押収されているので、現在物理的に審査ができないという状況は十分承知いたします。私は、許可に当たっての審査基準ともなっている申請者の資金力、信用度の項目でお尋ねいたします。
決定づけるわけにはまいりませんが、資金力という点では既に破綻していると思います。開発資金を融資している紀陽銀行が担保価値を上回る過剰融資、そして法の求めている大口融資規制に抵触する融資の疑いも指摘されているところです。フォレストシティ計画が資金計画において破綻している疑いは、こういうことから考えても明らかだと思います。信用度の面を考えてみましても、地元開発業者として住民との約束はなかなか守らない、業者としてのモラルが欠如している。今回のフォレスト計画では、住民同意を得る点でも、さきに申し上げた反社会的な暴力団体の関与が公然と指摘されていること、大阪地検の捜査を受けるということだけでも社会の常識をはるかに超えた受け入れがたい業者であると思うのであります。こうしたことを考え合わせるならば、審査するに値しない業者ではないかと思います。開発許可することは到底認められるものではありません。土木部長の見解を求めます。
なお、フォレスト計画は、いわゆるリゾート法による燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の特定民間施設に位置づけられております。和興開発が強引に計画を推進し、紀陽銀行がその無謀な計画を支えた要因として行政のお墨つきという認識があったとの指摘も当然だと思うわけです。
私は、リゾート法が不動産会社、大手土木会社が巨利を得るために制定されたものであることを、これまで何度となくこの議場で訴えてまいりました。しかし、自然破壊に対する住民の反発やバブル経済の崩壊などもあって、今や全国的にリゾート計画の見直しを迫られ、撤回や縮小が相次いでいる実態です。政府も、法の見直しと公言せざるを得ない状況にあるわけです。県内においても、昨日、鶴田議員も指摘したとおり、本県の燦黒潮リゾート構想は見直しの必要が明らかになっていると思います。こうしたさまざまな問題を浮き彫りにしてきたフォレストシティ計画を重点整備地区特定民間施設から外し、計画そのものを白紙撤回するつもりはないのか、知事の率直な見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、小選挙区比例代表並立制についてお伺いいたします。
現在、国会で論議が行われている衆議院への小選挙区制の導入、政党助成について知事の見解を求めたいと思います。
金丸前自民党副総裁の七十億円にも上る蓄財事件は、私たち庶民から見れば途方もない金が政治の裏で動いていることを白日のもとにさらす結果となりました。長年の自民党政治の中で、ロッキード事件やリクルート事件、共和事件、今またゼネコン疑惑と不正、腐敗が蔓延し、国民の政治不信は極限に達しております。いずれも政治家に対して巨額の政治献金、裏金がわいろとして渡されていたものであり、政治を金でゆがめるという最も許されないことがまかり通っているわけであります。ところが、今度、細川内閣が提出した政治改革法案では、企業や団体からの政治家個人への献金は禁止されていますが、肝心の政治団体や政党への献金は野放しです。知事は、六月議会で企業や団体からの政治献金を是認する答弁をされましたが、今度明らかになった茨城や宮城県知事の逮捕という問題を見ても、企業からの献金をきっぱり禁止することがどうしても必要だということを指摘したいと思います。
次に、選挙制度の問題です。今、衆議院には九つの政党がございます。これは、一票の格差という問題はありながらも、国民のさまざまな意思が多党制を生み出したと考えます。政治改革を言うなら、まず企業団体献金の禁止とこの一票の格差を是正し、国民の意思を正確に反映した国会を実現する、これが議会制民主主義の根本ではないでしょうか。八六年の衆議院本会議において、全会一致で定数の抜本是正を決議しているとおりであります。ところが、政府が提案している小選挙区比例代表並立制は、国民の民意を議席に反映するという点で大きな欠陥がございます。一つの選挙区から一人だけ当選するのですから、五人も六人も立候補すると三割、四割の得票で当選者が出てまいります。このことは当然のこととして、第一党が少ない得票で議席の大多数を占め、死に票を大量に生むことになります。また、選挙区が小さくなると買収などの悪質な違反が出やすくなるとも言われていますが、このことを実証する例として、さきの総選挙で鹿児島県の一区に合区された奄美群島区、徳之島の町長さんは、「小さいほど激しくなりお金がかかる。それは小さい器に石を投げるのと大きな体育館に石を投げるくらい違う。今回の選挙は予想していた以上にきれいな選挙になった」、こう述べられています。小選挙区制は、金権腐敗をなくすどころか、その反対の可能性の方が高いと言わざるを得ません。
提案されている改革案は、全国を二百五十の選挙区に分け、比例代表から二百五十人を選ぶ制度となっています。その基本が小選挙区制であることは、佐藤元自治大臣がことしの四月に小選挙区並立制がいかにひどい内容であるかという趣旨を述べておられます。この報道を紹介いたします。佐藤元大臣によると、「比例代表と小選挙区制との間に並立制があるような考えだが、むしろ小選挙区制に近い性格を持つ。小選挙区制を例えば五百のうちの五十にするとかということになれば性格が違ってくる。いずれにしても、社会党がこの並立案を採用しないということは山花委員長も表明している」と述べておられます。
実際、民意を反映しないということでは、さきの総選挙の結果からの試算によって各党がそれぞれ候補者を立てた場合、全国的には六割の死に票が出ると計算されています。連立内閣を構成している党が統一候補を立てた場合にも四割の死に票が出るようです。また、一人だけが当選する小選挙区制になると、どうしても一騎討ちの様相が強まり、多数の政党が二つ、三つの大きな政党に淘汰されていく傾向が、西ドイツやイギリスの例を見ても明らかであります。今の九つの政党に分かれている国民の政党支持の状況をアメリカのような二大政党に収れんさせるような選挙制度は、決して我が国の民主主義を発展させるものではないと思うのです。
このように、死に票がたくさん出、国民の多様な政党支持を選挙制度によってゆがめる小選挙区制が民意を正確に国会議席に反映させ、また議会制民主主義を発展させるものと考えるのかどうか、知事のご所見を伺います。
次に、政党助成の問題です。
政党は、憲法の規定する結社の自由によって保障されたものであると同時に、国家から独立して政治活動を行い、その根拠を国民に求めるのが本来の姿と考えます。しかし、今回の政党助成法はその原則を初めて破り、政党の政治活動に国民の税金を四百十四億円も支出するというものです。国民の中で一番多い政党支持の状況は「支持政党なし」というのが最近の世論調査の特徴でありますが、政党助成法はこうした支持政党なし層からも、そして自分の嫌いな政党にも強制的に献金を取られる悪法であり、憲法の思想、良心の自由を侵すものであると考えます。しかも、得票率や国会議員数で切り捨てるという、二重にも三重にも許されない内容となっています。四百十四億円という金額についても、当初は六百十八億円としながら、国民の批判が強かったために引き下げたものですが、それでも自民党政府時代の三百九億円を上回っています。四日の国会審議では、ここ三年間の全政党支出の三分の一を国民の税金で賄うという答弁がありましたが、なぜ三分の一かという根拠は示されません。私どもは、たとえこの法律が成立しても政党助成金を受け取らないことを表明しております。知事はこういった問題点を持つ政党助成法についていかなる見解を持っておられるか、伺います。
最後に、和歌川干潟の埋め立てについて質問をいたします。
昨年、十二月県議会において、私はこの問題について、干潟が生き物の宝庫として、また自然の浄化作用の大きさなどからその重要性が世界的に注目されているときに行政が率先して干潟をつぶすことの問題点を指摘し、再検討を要請しました。ところが、県においてはその後、当初の計画案どおり、計画の縦覧、公有水面埋め立ての免許申請を行い、現在、河川課と港湾課で意見書についての検討等を行っていると伺っております。県より諮問を受けた和歌山市からは、地元住民の十分な同意を得ること、環境保全に十分配慮すること、利害関係者の同意を得ること、これら三点の条件が付されていると聞いております。
私は過日の夜、地元住民の方々と一緒にあしべ橋から片男波にかけて現地の状況をつぶさに見てまいりました。夜が更けるに従って、和歌山ナンバーはもとより和泉ナンバーの自動車がひっきりなしに出入りし、市営の駐車場が締まっているものですから、どんどん車がたまってくるのを実際に見てまいりました。
県の埋立計画願書に騒音の測定結果が載っていますが、夜中の二時から五時にかけて急激に騒音レベルが上昇しております。上端値五%の騒音では午前二時台は四十四デシベルですが、午前三時台が五十六デシベル、午前四時が五十四デシベル、午前五時台が六十七デシベルとなっています。測定地点の奥にある民家はわずかなものです。いかに外から入ってくる自動車の騒音がひどいか、おわかりいただけると思います。
私が調査した日の夜も、十一時を過ぎても次々とあしべ橋を渡ってくる自動車の騒音もひどいものでしたが、地元の皆さんのお話では、梅雨が明けるころから海岸や民家近くで花火が朝方まで打ち上げられ、若い人たちの大声や叫び声がひっきりなしに続くということでございます。花火におびえた犬が家々から叫び声を上げ、一匹が鳴き出せば他の犬もほえて鳴き出す、それはひどい状況になるということです。昨年ご主人を亡くされた方のご家族は、病人がなかなか寝つかれず、疲れ切っていたと話しておられました。受験生をお持ちの家族のご心労も大変なものです。夏は車のクーラーがかけられ、騒音がひどく一晩じゅう眠れない日が続くそうです。
片男波に若者が集まるのは、この地がそれだけ魅力的なところですから仕方がないとしても、住民の生活を脅かすことは許されないことです。まして、現状でもこのように深刻な被害があるものをさらに大きくするようなことはすべきでないと考えます。住民の皆さんは、埋め立てによって道路が拡幅されたり護岸が広がった場合、夜間の騒音が今よりさらに住宅地に近づき、生活が脅かされることへの恐怖感を訴えておりました。埋め立てで道路が広くなっても、夜間の道路の行き詰まり状況には何の変化もありませんし、車が増加するのは間違いないでしょうから、住民の不安も当然だと思います。
当局として、住民の方々の現在の被害をどう解消しようとされているのでしょうか。また、今回の計画によって住民の方々の被害が大きくなることはないと考えておられるのか、そして被害を拡大するような計画は根本から見直すべきだと考えますが、ご所見を伺います。
なお、計画に関連して、環境アセスメントの和歌川河口の現況調査で生息が確認されたとなっているホソウミニナ、ホソスジウズラタマキビ、オオヒメアカイソガニの発見は、生物学者から和歌浦での生息確認として重大な発見と指摘され、その再調査が要請されていますが、このことについて関係部長の見解を伺います。
関連して、親水性護岸として、干潟を五千平方メートルにわたって埋め立てる計画になっていますが、埋め立ての干潟側の底に基礎の部分が図示されていますから実際の干潟破壊はさらに大規模になると思います。今回の計画による干潟の破壊規模を示していただくとともに、先ほどの貴重な生物の発見の重要性と広大な埋立計画とは両立しないことを改めて指摘し、埋立計画の再検討を求めたいと思いますが、関係部局の答弁を求めます。
以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
フォレストシティ計画についての計画の見直し等についてでございます。
加太、紀泉地域は、燦黒潮リゾート構想の七つの重点整備地区の一つでございまして、関西国際空港と至近な位置にあり、都市近郊にあるという地理的な特性から国際交流型のリゾート空間の形成に適した地域でございます。
フォレストシティ計画については、昨日、尾崎議員に、司法当局の捜査の状況を見詰めながら慎重に対処してまいりたいと述べたわけでございます。いずれにいたしましても、この地域はリゾート整備に極めて高いポテンシャルを持っておるところでございます。関西国際空港のインパクトを最大限に取り入れたリゾート整備の推進に努力してまいりたいと思っております。
それから、小選挙区比例代表制についての知事の見解でございます。
政治改革に対する国民の期待が非常に大きくなっている中で、これらの問題について、現在、国政の場においてさまざまな議論がなされているところでございます。私としては、選挙制度の問題については、地方分権が大きな流れとなっている中で地方の声が国政に十分反映されるような制度となることを望んでいるわけでございます。また政党助成については、真に政治腐敗防止に実効あるものとなるように期待しているところでございます。
いずれにいたしましても、政治改革は議会制民主主義の根幹にかかわる重要な問題でございますので、国会において十分議論がなされ、国民が理解し、納得したものとなるよう期待しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
まず、フォレストシティ計画に関して住民合意の問題がございました。
議員ご指摘の住民合意については、開発事業者に対して開発に伴う工事中及び完成後のトラブルを未然に防止するため、隣接する自治会の同意を得るよう指導しているところでございます。
また、一つでも隣接する自治会が反対していれば開発許可が困難というご質問でございますが、同意が得られていない自治会については引き続き理解を得るよう申請者を指導するとともに、反対している内容や理由、あるいは申請者及び市の対処等を判断して慎重に審査していくこととなります。
次に、開発よりも生活基盤整備をということでございます。
鳴滝川流域は、近年、宅地化が進みつつあり、浸水被害をこうむりやすい状況となってきております。平成元年九月の豪雨出水による被害を契機として、紀の川合流点より県道粉河加太線の鳴滝橋までの千二百メートルの間を激甚災害特別緊急対策事業により改修を実施しております。この計画は、洪水を安全に流下させるとともに、市と調整を図り、内水を受け入れることができるものとなっております。また、この激甚災害特別緊急対策事業の区間より上流山つき部までの間については改修計画を定めたところであり、地元の皆様方の協力を得て引き続き改修に取り組んでまいりたいと考えております。
有功地区の内水排除については、平成四年度から事業実施に向けての計画を策定中であります。今後、平成六年度中に都市計画決定等の法手続を受けられるよう進めておるところであります。県としては、早期に事業着手できるよう市を指導してまいります。
次に、有功地区の交通渋滞については、県道粉河加太線と有功天王線の交差点、及び六十谷橋北詰め交差点等において朝夕に交通渋滞が発生をいたしております。国道二十四号和歌山バイパスの供用により相当の混雑緩和が図られましたけれども、いまだ十分ではなく、今後の対策として、国道二十六号和歌山北バイパス及び紀の川大堰の管理道路でもある市道四箇郷六十七号線の整備を促進して交通容量の拡大を図りたいと考えております。
次に、フォレストシティの開発許可における審査基準でございます。
都市計画法に基づく開発許可については、同法の第三十三条において審査基準が規定されております。その主なものとしては、環境の保全、災害の防止、通行の安全または事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で公共施設が設けられていること、申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用があることなどがあります。審査に当たっては、司法当局の捜査を見守りながら、都市計画法に基づき慎重に対処してまいる所存でございます。
次に、和歌浦廻線でございます。
まず、深夜の騒音対策でございます。
和歌浦廻線の整備における環境対策については、車道と人家との間に植樹帯や歩道を設置するなどをして人家に対する騒音の影響ができるだけ小さくなるような環境に配慮した構造といたしております。また、夏の納涼あるいは万葉館、健康館の施設利用等により交通が一時的に集中する場合の対策等については、駐車場の夜間一定期間の開設や交通規制等について、地域住民の方々の協力を得ながら関係機関とも協議をしてまいりたいと考えております。
次に、この道路計画を抜本的に見直してはどうかということでございます。
和歌浦廻線は、片男波地区の良好な生活環境を形成するための整備で、地元の要望も踏まえながら計画を策定し、一定の手続を経て都市計画決定をしたもので、地域にとって必要な道路計画であると考えております。
次に、ホソスジウズラタマキビなどとの関係で再調査をしてはどうかということでございます。
調査によりますと、ホソウミニナは埋立予定地外の旭橋付近で確認をされ、またホソスジウズラタマキビは主に片男波公園の内海側の高潮線一帯で確認をされております。さらに、オオヒメアカイソガニは同じく片男波公園付近で確認をされておりますが、これらはいずれも特に希少種ではなく、さらに主たる発見地点は埋立予定地外であるというようなことから当該埋め立てによる影響はほとんどないと考えておりまして、再調査の計画はいたしておりません。
次に、干潟の破壊規模でございます。
海底に設置をする道路、護岸等工作物の面積は、合わせて○・八ヘクタール程度になります。そのうち干満の差で生じる、いわゆる干潟が当該道路によって埋め立てられる面積はそのうちのほぼ○・四ヘクタールと考えられます。これは、和歌浦の干潟の面積約五十六ヘクタールのうちの一%未満でございます。干潟への影響は軽微であると考えております。
埋立計画の再検討の考えはないかということでございますが、公有水面埋立免許の願書にもありますように、生物や干潟など環境に与える影響は軽微であると考えておりまして、今、この計画の再検討をする考えはございません。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 国土利用計画法に基づく土地売買届け出と契約締結状況報告についてのご質問にお答えいたします。
契約状況報告書は、当該土地取引のその後の状況を把握するため、国土庁の課長通達の事務処理標準要領により示されたものでございます。県といたしましては、この通達を踏まえ、不勧告通知書を交付する際、文書により契約状況の報告依頼をいたしてございます。しかしながら、尾崎議員にも答弁いたしましたように、当報告書の提出については国土利用計画法上義務づけがないことから、その実効性は必ずしも十分とは言いがたい状況でございます。今後、届け出制度のより的確な運用を図る上からも、なお一層報告が得られるよう努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
フォレストシティ問題ですけれども、特捜部が入ってから予想もしなかった状態がずっとこう新聞で報道されてきている今の状態です。知事さんは、非常にいいポテンシャルであるということをおっしゃいました。今こういう事態に至っている業者が進めるフォレストシティ計画にかかわって元県幹部が疑いを持たれている問題と、あわせてこういう業者を県が指定をしてきた、知事みずからが指定をしたということについて、この間、反省をすると同時に県民に申しわけなかったという気持ちが全く見られないんです。だから、そういう点で、このフォレストシティ計画について県が進めてきたことそのものがよかったのかどうかということについてももっと真剣に考える必要があると思います。
知事は、こういう業者に対して今どういう気持ちを持っておいでになるのか、もう一回、聞かせてください。撤回はする、しないというような問題以前の問題として、もう一回聞かせてください。
それから、住民合意の問題で土木部長にお尋ねをいたします。
先ほどからるる経過を申し上げてきているように、私たちは業者の姿勢の改善をずっと求めてまいりました。このことについても、新聞等で赤裸々に書かれている。住民たちは、今までずっと沈黙を守っていたんです。近所隣のことだから言わないで何とか静かに済ましていこう、そういう思いを今一斉に吐き出していらっしゃるのが実態です。そういう点からも、私はもっと厳しさがあってもいいと思うんです。
先ほどから言っているように、私たちが交渉する中で、相手の建築課の課長なんかについては歴代ずっと人はかわりましたけれども、県が指定したこの十三の自治会についてはせめてもの住民同意をとることを行政指導であったとしても義務づけたわけですよね。これについて、今、土木部長は一切触れられなかった。かえって、今それを避けるような形で答弁をされました。県がみずから指定した十三の自治会のうちの一つでも同意がとれなかったならば許可するのは難しいということを明言されてきたわけですから、このことについてはっきり言ってください。これは確認のつもりで言っているわけで、改めてここで求めているわけではありません。そのことについて、もう一回きちっと答弁をお願いします。
それで、このフォレスト計画で先ほど企画部長が、これは国土利用計画法で定められていないので義務づけは難しいとご答弁になりました。あなたの答弁では、課長通達が実際的には意味をなさないですよね。この文書を読んでみても、やっぱり後追いが必要だから、不正な行為がまかり通っていないかというのを見定めるための課長通達でしょう。これをおろそかにしているならば、国土利用計画法があったとしても抜け穴だらけの法律になると思うんです。法の趣旨をもっともっと大事にしていく、完遂するための課長通達という意味合いを持っていると思いますから、そこのところをもうちょっと前に向いて答弁をしていただきたいと思うんです。
あの利用計画、届け出制に基づいて、その疑いがあるところがそのとおりになっていたのかどうかということが書類としてきちっと残っていたならば、この問題はここまで発展しなかっただろうと思うんです。個人としての届け出をしなかったとか、したとかという問題があったとしても、しかし行政側が法を重んじてきちっとやればそれは解決できる道だと思うんです。
今後、効果があらわれるようにやっていきたいとおっしゃいますけれども、それじゃ今までの分については余り確かにやっていなかったということをお認めになるんですか。私たち県民は、ここの新聞記事のとおり、県はそういう態度で来ていたんだと認めてもよろしいのでしょうか。だとするならば、非常に問題だと思います。他府県がやっていることを和歌山県がやれないことはないんですから、これはきちっと位置づけをして進めてほしいと思いますが、見解を教えてください。
以上で終わります。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
国土利用計画法の届け出違反について特捜の捜査を受けたこと、私が先日尾崎議員に、遺憾でございますと述べたとおりでございます。また、現在捜査中でございますから慎重に対処していきたいと述べたところでございます。
ただ、リゾート法に基づく燦黒潮リゾート構想は、計画を承認したわけでございまして、事業者を選定したわけではございません。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 再質問についてお答えを申し上げます。
隣接する自治会の同意が得られない場合、許可することは困難である、あるいは難しいということについてでございます。
議員の質問の内容にもございましたように、自治会同意は法律で義務づけられたものではございませんが、行政指導で同意を得るように指導をしているところでございます。したがって、同意がそろわないという状況は、同意がそろった状況に比較すればはるかに許可が難しいということになろうと思いますが、許可に際してその時点で同意がまだ得られていないというような場合には、その得られない内容等を審査する、さらに市の意見を聞いて慎重に判断をするということになります。
以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えいたします。
課長通達をおろそかにしているのではないかということでございますが、私どもは課長通達に基づき、すべての不勧告、勧告通知の際にすべて文書でお願いをいたしてございまして、事務処理標準要領に従って進めてございます。
なお、この実効性の問題でございますが、全国の各都道府県もこの課長通達に基づき事務をすべて同様にやっているところでございますが、先ほど申しましたように法そのものの義務づけがございません。極めて困難な課題ということになってございまして、全国の土地担当課長会議の席上でも、国に対して法の整備等しかるべき検討をお願いしたいということを再々要請しているところでございます。先ほど答弁いたしましたように、今後一層報告がいただけるよう努めてまいりたいと存じます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
○村岡キミ子君 ちょっと時間がございませんけれども、一言知事に申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 村岡議員に申し上げます。
発言するときには、番号、名前を……
○村岡キミ子君 失礼しました。27番。
○議長(宗 正彦君) 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事に一言申し上げておきたいと思います。
事業者を認定したんではないんだと。しかし計画は認定したんだと。これは、事業者が計画をして行っている事業でございますから一体のものだと私は思います。このことについては知事との見解は違いますけれども、私たち住民としては、和興開発がこの事業を計画した、それを知事が指定をしていると理解をいたしております。
終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
午後零時一分休憩
──────────────────
午後一時四分再開
○副議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
22番木下義夫君。
〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告いたしました順番に従って一般質問を行いたいと思いますので、知事初め関係者の熱意あふれる答弁をお願いいたします。
質問に先立ちまして、一言、御礼を申し上げたいと思います。
六月県議会で質問をいたしましたまき網漁業者と徳島県との紛争について、和歌山検察庁田辺支部に送検されていた田辺漁業協同組合所属の共漁丸、和歌山検察庁御坊支部に送検されていた三和漁業株式会社に対する漁業法第六十六条第一項の違反事件については知事初め関係者の努力により不起訴処分が決定し、県下まき網漁業者の喜びはまことに大きなものであり、質問をいたしました私にとっても非常に大きな喜びであります。ここに、知事初め関係者に心より感謝いたしますとともに、今後のご支援、ご指導をお願い申し上げます。
それでは、質問をいたします。
第一点は、合気道開祖・植芝盛平翁の顕彰と合気道の普及についてであります。
合気道開祖・植芝盛平翁は、明治十六年十二月十四日、和歌山県西牟婁郡西ノ谷村(現在の田辺市元町西郷)にお生まれになり、幼少のころより武芸にすぐれており、若いときより武道に志し、諸派の門をたたき、けいこに当たり、耐えがたきを耐え、ついに起倒流、相生流、柳生流、大東流、竹内流、槍術宝蔵院流等あらゆる武道の奥義をきわめ、また現代の柔剣道にもかかわり、柔道創始者の嘉納治五郎先生、剣道の高野佐三郎先生、居合の中山博道先生の方々とも深い交流を持たれていました。日露戦争にみずから志願して戦陣を駆けめぐり、真剣白刃の中、実践武道としてその名をとどろかし、帰還後、天下第一の武人を志し、全国を回り、そのわざを競うこと数知れず、栄光をほしいままにいたしました。
当時、翁先生の心境は、強ければよし、何人にも負けぬ一点張りにて、肉体を鍛え、胆力を練り、技能を磨くことに没頭していましたが、それでもただ一個の武道の覇者でしかあり得ない、何ゆえに、天が自己のために命を下さったのかという疑問を生じ、従来の武道に対していつしか心の大障壁に打ち当たりました。いかに強いとも天地より見れば広い大海の一葉にすぎず、強弱を争うて何人の益があるか、眼前の相手を破ることはできても、心の中の悪を払うことができずに大いに迷い、悩み、ついに武道を放棄し、宗教に心を静め、哲学に思いをいたし、厳頭に座し、あるいは滝に打たれて、求道のためあらゆる難行も辞せず、専心、心眼の解暁に粉骨砕身していたところ、一日の行を終えて下山の途中、忽然として自己の進むべき道を悟られたとのことです。強ければよし、相手を倒せばよしの武道は誤りであることを知り、従来の心の悩みもすっかり消え、武とは愛なり、天地の心をもって我が心として、万有愛護の大精神をもって自己の使命を完遂することこそ真の武の道であり、自己に打ちかち、敵をして戦う心をなからしめ、敵そのものをなくする絶対的自己完成の道であると確信されたようであります。
以来、翁先生のわざは、熾烈にかわるに寛宥をもってし、豪胆にかわるに円熟をもって心欲するところに従って法則を超えず、手の舞い、足の踏むところ行くとして可ならず、至妙境を備うるまでに至りました。翁先生は、常に身にむちうって門弟にこの法をみずから体をもって表現、実在の形をもって説き、人類平和の基礎を築かんという悲願の姿に門弟は心を打たれたのでありました。気を澄み切る鍛練をして、健康で自己の使命を完遂する気・心・体を磨くけいこをするのが合気道であると申されました。
大正八年、京都府綾部にて大本教の出口王仁三郎先生と出会い、精神的修行に打ち込み、精神的修行と相まってその心の向上に伴い、武道の神髄を「合気」と呼称で主唱したのであります。そして、眼中敵もなければ白刃もなし、ついに武術脱皮して天道に基づく合気道を創始するに至ったのであります。柔道創始者・嘉納治五郎先生は、合気道を見学されて、このわざこそ私の理想とする武道だと言って合気道に入会されたようであります。
合気道は、終戦と同時にその門戸を一般に公開したところ、全国各地より武道家が正しい理法を学び、精神のあり方を悟り、人生の奥義をきわめんとする人々がその数を増し、国内はもとより海外にまで広く発展していったのであります。合気道の海外普及活動が開始されてから三十数年経過いたしましたが、この間、欧米を中心に東南アジア、アフリカ、中南米など、世界の約五十カ国に普及され、現在、約百二十万の人々に愛好されておる現状であります。合気道がわずかの間に全世界へ爆発的に広がりつつある現況は、これが武道として、心身の鍛練の道として人類、国境を越えて世界平和、人類和合にとって極めて適当なものであると世界の人々に認められたからであります。
最近の海外普及活動は、財団法人合気会本部独自の活動から、海外各国の自主的な活動、政府の国際交流基金による指導者派遣、国際協力事業団の青年海外協力隊によるボランティア指導者派遣など、海外交流がまことに盛んになってきております。世界に伸びる人間交流のきずなとして、合気道がさらに世界各国にそのすそ野を広げていくことは、人類の平和と繁栄の実践につながる最も新しい人類共有の文化として、来るべき二十一世紀に向けて世界の人々に大きく期待されているのであります。
来年七月十六日から開催される世界リゾート博の開催の意義と目的、及び基本方針は次のとおりであります。「和歌山を国内外にアピールします」「和歌山を新しい『国際リゾートエリア』として定着させます」「地域の活性化にはずみをつけます」。基本方針は、「和歌山からの情報発信」「和歌山の自然、歴史・文化、産業を国内外にアピールし、リゾート立県をめざす和歌山の決意を表明するとともに、21世紀を踏まえたリゾートライフの新しいあり方を提案します」「国際性と人間性にあふれた空間の創出」「国際姉妹友好都市や海外の著名なリゾート地などとの国際交流を積極的に展開し、国際化の新しい方向を提唱します」となっている。
私は、これは合気道そのものであると思います。合気道開祖・植芝盛平翁が創始し、第二代目道主・植芝吉祥丸先生初め門弟の方々の努力により和歌山で生まれて、和歌山が発信基地として、世界平和のため、人類和合のため、世界約五十カ国、百二十万の人々に愛好されている合気道こそ世界リゾート博の意義と目的及び基本方針そのものであると確信いたします。今こそ、合気道すなわち和歌山、和歌山すなわち合気道となるように、官民一体となって諸施策を講ずべきであると思います。
武道の一つに少林寺拳法があります。創始者は宗道臣先生で、香川県仲多度郡多度津町乙二三五番地に総本山があり、香川県の歴代知事が大変力を入れて立派な少林寺会館を建設し、官民一体となって少林寺拳法の隆盛を図り、地域の活性化に大いに貢献しているとのことであります。各地域の指導者は、毎年、一定の期間、本部で修練を積むとか、四段以上の免許状は総本山で授与するとか、少林寺拳法を全国に発信して香川県の名を高め、地域の活性化を図っているのであります。
合気道については、和歌山県合気道連盟──会長は岡本保先生であり、理事長は高岡貞雄さんであります──を結成して、昭和六十二年、県体育協会に加入し、昭和六十三年から県民総合体育大会へ参加しております。また、昭和五十一年に国際合気道連盟が結成され、第一回総会が昭和五十一年十月、東京にて開催されました。その当時、アメリカ初め二十九カ国、四百名の方々が参加されました。昭和六十三年に、合気道開祖・植芝盛平翁が生まれ成長した田辺市で第五回国際合気道大会が開催され、世界各国から大勢の選手役員が参加され、国際親善の実を大いに上げました。同時に、国際合気道連盟総会も開催されました。
そこで、知事、教育長、知事公室長に、次の五点にわたり質問をいたしたいと思います。
一、一説には二千年に一人出るか出ないかと言われる偉大な合気道開祖・植芝盛平翁を顕彰し、和歌山県を国内外にアピールして、全国から、世界各国から大勢の方々に和歌山県に来てもらうために合気道会館の建設を提案いたします。
二、学校教育の基本である心身ともに健全な児童生徒を育成するために、精神武道である合気道を学校教育に取り入れ、クラブ活動として採用することを提案いたします。
三、国際的に普及している合気道を活用して、和歌山県の国際化の促進を図ることを提案します。
四、少林寺拳法が行っているように、合気道会館を建設して高段者の免許授与を和歌山県で行われるようにすることを提案いたします。
五、昭和六十三年に田辺市で第五回国際合気道大会が開催されましたが、全国に、世界に知ってもらうためには、「継続は力なり」と申すように隔年ぐらいに合気道大会を開催されるよう提案いたします。
以上が、第一点目であります。
第二点目は、地方拠点法の活用並びに地方分権の受け入れ促進のための市町村合併についてであります。
地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律に基づいて、田辺御坊地方拠点都市地域の地域指定を受けるため、ことしの五月三十一日に和歌山県田辺御坊地方拠点都市地域整備促進協議会を設立いたしました。
県は、和歌山市域に拮抗する広大な地域圏を県中央部に形成し、県の均衡ある発展を目指すために、八月六日付で田辺地方と御坊地域の二カ所を一地域とみなして東京一極集中解消をねらう地方拠点都市整備法に基づく地域指定をいたしました。地域指定は全国で四十三道府県、四十四地域目、県内では初めての指定であり、田辺市、御坊市を中心に二市十一町五村の十八市町村でネットワークを形成するものであります。地域面積は約十九万ヘクタールで、県面積の四一%の広域にわたり、人口約二十二万人であります。県は、県内の均衡ある発展の拠点になる地域を前提に、自然、経済、社会的条件から見て整備を図ることが相当な地域などを基準に選定作業を実施し、田辺市を中心とする地域を選んだのであります。全体として、三十万人地域圏、中心都市から三十分地域圏の構築を目標に地域づくりを行っていくものであります。
中心都市になる田辺市では、都市機能、特に商業業務機能の集積を図るため、JR田辺駅前周辺開発整備、広域ビジネスセンターの整備を行い、また御坊市では、県の長期総合計画に示された田園テクノタウン構想を踏まえ、工業用地の造成やニュータウン建設を行い、ハイテク産業の導入などによる就業機会の増加や住宅地の供給を図っていくものであります。
二市の周辺町村では、川辺町が天文台などを備えた和佐フレッシュパークの整備、美山村が椿山ダム湖周辺の公園化、上富田町が朝来総合スポーツ公園の整備、日置川町が森林総合レクリエーション基地の整備などの観光、スポーツ機能を持たせていく等であり、まことに結構なことであります。平成五年十二月末までに基本計画素案を作成し、平成六年三月末、基本計画の承認の予定であります。
そこで、八月六日に地域指定した後の経過と今後の各プロジェクトについての企画部長のご所見をお尋ねいたします。
次に、細川連立内閣の三大目標の政治改革、経済改革、行政改革の一つである行政改革の地方分権と地方拠点法のより効果的な活用を図るために、現在の行政規模が適切であるかどうか考えてみる必要があると思います。
地方拠点法により地域指定された田辺御坊地域は十八市町村があり、その地域の特性を生かした計画づくりをするとのことですが、その計画をより効果的、効率的にするために市町村の合併を考えていかねばならないと思いますけれども、知事のご所見をお尋ねいたします。
国際化、広域行政が叫ばれて久しく、それに加えて東京一極集中を排除し、国土の均衡ある発展を実現して国際化に備えるために地方分権が大きな課題になっております。この地方分権をスムーズに受け入れ、効率的、効果的な行政を行うために、もっと足腰の強いスケールメリットのある自治体を構成すべきであると思います。昭和四十年以降、県下七市四十三町村の構成はそのままになっているが、過疎化が進み人口変動が大きくなっている現在、このままでよいのかどうか、市町村合併促進を考えるべきかについて、知事のご所見をお尋ねいたしたいと思います。
第三点は、会津川の改修促進及び田辺市内の各河川のしゅんせつ促進についてであります。
会津川は、田辺市の中央部を二分するように、紀伊山地の虎ケ峰から槇山にかけて標高七百から八百メートルの山地を水源として右会津川、左会津川を合わせて南西に流れ、田辺湾に注いでいる川であります。流路延長は二十・三キロメートルの二級河川であり、その流域面積は八四・七平方キロメートル、田辺市の総面積百三十七・二八平方キロメートルの六一・七%を占めております。
会津川を中心に発展してきた田辺市にとっては、非常に重要な河川であります。この会津川の治水対策が万全に行われるかどうかが将来の田辺市発展の大きな要素であり、また現在の田辺市民の生命、財産を守るためにも必要なことであります。
この問題について、昭和六十一年九月県議会で質問をさせていただきました。その後、会津川をふるさとの川に指定され、部分改修が鋭意行われていることについては感謝の意を表したいと思いますし、田辺土木事務所工務第二課の担当者も一生懸命取り組んでおります。しかし、七年前も写真を示して質問いたしましたが、予算の関係かその改修は思うように行っておらず、周辺住民は雨のたびに浸水の不安にとらわれています。
今回も質問をするため流域を実地調査した結果、土木部長に渡している写真のとおり、右、左会津川も改修が十分でなく、また土砂の堆積が激しく、それが中洲となったり、さらにその堆積が両岸からせり出て河道を狭く浅くしており、その上、アシやら何やら群生して、ところによっては大きな樹木まで生えている状態であります。したがって、洪水の場合、その流下能力を阻害して大きな災害を引き起こす可能性が大であり、危険きわまりないと判断される状態であります。おかげさまで、ここ数年は雨量の割に大きな災害がなくて非常に幸せな状態であります。しかし、幸せは長く続きませんし、災害は忘れたころにやってくるものであります。ご存じのように本年は異常気象であり、地震あり、津波あり、洪水ありで、世界各国、また日本でも悲惨な災害に遭っております。
そこで、土木部長にお尋ねをいたしたいと思います。
一、会津川本流、支流の治水対策の現況をどのように把握され、どのように対処していく所存であるか。
二、ふるさとの川の事業計画と、その後の進捗状況と完成年度。
三、田辺市内の各河川、会津川、芳養川、稲成川、荒光川等で土砂の堆積が激しく、その上に今申し上げた写真のようにアシやら何やらが生えて、大雨の場合、堤防の決壊による大災害が予想されるので、早急に堆積土砂を除去して、水路を広げて大雨の場合でも安心できるようにすべきであると思うが、土木部長のご所見をお尋ねいたします。
以上、三点にわたり質問をいたしましたので、どうか知事初め関係者の熱意ある答弁をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(町田 亘君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
植芝盛平翁の顕彰についてでございます。
私も、植芝盛平翁が創始された合気道が人類や国境を越えて世界の人々に愛好されていることに、合気道開祖・植芝盛平翁のふるさと和歌山県として誇りに思っておるわけでございます。
和歌山県は、世界に誇る博物学者・南方熊楠翁、医聖・華岡青洲翁のふるさとでもございます。こうした熊楠翁、青洲翁、盛平翁など和歌山の生んだ数々の偉大な先人や歴史文化を研究し、後世に伝えるべく顕彰してまいることも、世界に誇るふるさとを創造していく上で非常に大切なことでもございます。「和歌山の先人たち」という本を民生部青少年女性課でも編集いたしましたが、その中にも植芝さんが入っているわけでございます。各図書館、学校に配付いたしまして教育に努めているわけでございます。植芝氏についても、これからもなお一層アピールしていきたいと思います。
ご提案の合気道会館の建設でございますけれども、そうした趣旨からでございましたならば、まず財団法人合気会、また合気道連盟初め関係の団体が先頭に立っていただいて努力していただくことが最も望ましいことではないかと、それに県も応援していくということではないかと思っております。
それから、合気道の国際大会の開催でございますけれども、四年に一度の開催となっておるわけでございます。本県では、第五回大会が昭和六十三年に田辺市で開催したところであり、次の第六回大会は平成四年に台北市で、第七回大会は平成八年に東京で開催が予定されているようでございます。
また、段位の問題ですけれども、私もアマチュア相撲連盟の全国の会長をやっておりますし、柔道連盟の中央の理事もやったことがございますが、段位決定というのは武道団体にとって一番重要なことでございます。そこには段位審査会というのがございまして、会長等よりもこうした段位審査会が力を持っていて、部外者が意見を言うことは武道団体にとって失礼なことになるのではないかと思っておるところでございます。
それから、地方拠点都市の活用に伴う市町村合併の問題でございます。
現在、臨調なり行革審、地方制度調査会等、各方面において議論がなされておるわけでございまして、地方分権が叫ばれている中で国から地方への権限移譲等をスムーズに進めていくためには、市町村間の行財政能力、話ございました規模の格差の是正等が必要でございまして、そのためには市町村合併ということも地方の足腰を強めるのに有力な方法であると感じております。
しかし、本県の実情を考えてみた場合、地形的に山村地域が非常に多いわけでございます。このような地域の多くは集落が分散している状況でございまして、合併を実施するといたしましても、いろいろ難しい問題がございます。県としても、適正な行政規模等のあり方について今後調査研究を深めてまいりたいと思っております。
そして、質問の田辺御坊地域が本年八月六日に地域指定を受けたことにより、現在、関係市町村が一体となって広域的に和歌山県田辺御坊地方拠点都市基本計画を作成しているところでございまして、このことにより関係市町村の一体的な高まりが期待されるものでございます。今後、合併に向けて関係市町村が住民の理解を得、地元から機運の高まりが見られる場合には、県としてもできるだけの支援を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(町田 亘君) 知事公室長中西伸雄君。
〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 木下義夫議員にお答えいたします。
合気道を通じて国際化の促進を図るご提案でございますが、本県が生んだ植芝盛平翁が創始された合気道が世界各地に普及し、数多くの方々に愛好されているということは、まことに喜ばしい限りでございます。平成三年三月に策定した本県の国際交流推進指針においても、文化、スポーツ、教育等の分野での交流を積極的に促進していくことにいたしてございます。
議員のご提案は、バランスのとれた総合的な国際化を進めていくための一つの方策として、合気道を通じた世界への情報発信基地を目指すものであり、有意義なものと考えてございます。
本県においても、定期的に国際大会が開催されることになれば、海外から関係者の皆さん方が数多く訪れることにもなり、県民との交流も促進されるとともに、地域の活性化にも寄与するものと思います。今後、関係部局を通じて関係団体等の意向を伺いながら、こうしたことについて協議をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 企画部長佐武廸生君。
〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地方拠点法の地域指定後の経過についてお答えいたします。
現在、二市十一町五村で構成される整備推進協議会において基本計画を作成すべく、広域的な共同プロジェクトの創設や各種プロジェクトの事業化の可能性等を鋭意検討中でございます。この基本計画においては、各市町村がそれぞれの個性を生かした三十万地域圏の形成を目標に、広域的な視点から一体的に整備推進するという計画づくりが望まれるところでございます。県といたしましては、若者が定住できるような活気とにぎわいに満ちた地方拠点都市地域の形成を促進すべく、昨年、庁内に地方拠点都市づくりに関する検討会を設置し、基本計画の作成並びに各種プロジェクトの実現化を支援していくことといたしてございます。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 会津川の改修促進と田辺市内の各河川のしゅんせつ促進についてお答えを申し上げます。
会津川の治水対策は非常に重要なものと認識をしており、計画的に改修事業の促進を図っているところでございます。本川については、河口から右会津川との合流点までの間の左岸堤防を概成し、支川の稲成川、荒光川を完成いたしております。現在、稲成川合流点上流の本川右岸部において用地取得を行い、築堤工事を進めているところでございます。また平成四年度には、ふるさとの川モデル事業として建設省の認定を受け、市の町づくりと一体となった整備計画に基づき、親水性や生態系に配慮した整備を進めており、早期完成に向け取り組んでまいります。
田辺市内の各河川のしゅんせつ促進については、雑木、雑草の状況や土砂の堆積状況等を考慮して、堆積土砂の除去あるいは雑木の伐開を実施しておるところでございます。今後とも、現地調査の上、必要に応じ順次実施をしてまいります。
○副議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 合気道を学校教育の場に取り入れることについてお答えいたします。
合気道は、高い精神性と完成されたわざを持つ武道であり、今日、国内はもとより広く諸外国においても愛好され、本県においても幼児から高齢者に至るまで約三千名を超える県民の方々が親しんでいると伺っております。
本県田辺市出身の植芝盛平翁により心身錬成の武道として創始された合気道の普及については、昭和六十二年に県体育協会に加盟した県合気道連盟が直轄団体として全県的な普及、振興に取り組んでおります。県といたしましても、県民のスポーツ祭典である県民総合体育大会において昭和六十三年より公開競技に取り入れるとともに、スポーツ少年団活動等を通じ、広く県民への普及、振興に向けた取り組みを行ってきているところであります。
しかしながら、学校教育における普及については、現在、部活動では高校二校で実施されておりますが、授業では指導者等の関係から本県では実施されていないのが実情でございます。学習指導要領では、中学校、高等学校の体育の授業で柔道、剣道、相撲のほか、地域の特性に応じた武道を履修させることができることとなっており、生徒の希望や指導者の実態等を踏まえて各学校が主体的に計画することとなっております。
したがいまして、豊かな心の教育が求められている昨今、和歌山県が誇るべき合気道を教育に生かすためには、合気道のよさを広め、生徒に対する指導方法について研修していただくための指導者講習会の開催、指導者がいない場合の専門的指導者の派遣などの方策について県合気道連盟と協議し、学校教育に生かされるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
22番木下義夫君。
○木下義夫君 答弁をいただきましたが、合気道については、数ある武道の中で和歌山県が生んだ我々の武道である、物質文明から精神文明に入った今の時代に、勝負を求めない、非常に精神的な武道であるということを我々はもっともっと認識すべきであると思います。
今、いろんな問題を提案させていただきましたが、急に解決できることではないと思いますので、今後、関係団体とよく相談していただいて、合気道すなわち和歌山県、和歌山県すなわち合気道、このように評価していただき、そして全国に、世界に和歌山県をアピールする一つの方法として、手段として合気道を活用させていただく、そういうふうな気持ちでやっていただきたいことを要望して質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後一時四十五分散会