平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成五年十月五日(火曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第百十二号から議案第百三十四号まで、及び報第七号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百十二号から議案第百三十四号まで、及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 22  番  木  下  義  夫
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 30  番  石  田  真  敏
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 39  番  中  西  雄  幸
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 46  番  森  本  明  雄
 47  番  浜  口  矩  一
欠 席 議 員(一人)
 45  番  浜  本 収
 〔備 考〕
 41  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  佐  武  廸  生
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  吉  井  清  純
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  田 功
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 西  本  貫  一
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  梅  本  信  夫
 次  長  中  村 彰
 議事課長  中  西  俊  二
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  川  端  孝  治
 調査課長  岡  山  哲  夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 中  尾  祐  一
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時三分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告がありましたので、報告いたします。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 次に日程第一、議案第百十二号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 冒頭に発言のお許しをいただきましたことを大変光栄に思います。
 まず、補正予算につきましてお伺いをいたします。
 政府におきましては、昨年の八月、そして本年度の当初四月と、緊急経済対策ということで予算を組んできたわけでありますが、円高あるいは冷夏によって景気回復の芽が摘み取られまして、一向に回復への展望が開けてこない今日であります。
 県におきましても、こうした事態を認識されまして、昨年の九月補正、本年当初予算に引き続き、異例とも言える本年六月補正予算を編成して機動的な財政運営をとってこられたところであります。
 そこで、一、本年六月補正に続く大型の九月補正予算を編成した今回の補正のねらいは何であるのか、また、九月に新政権が打ち出した緊急経済対策に係る国の補正予算が十一月ごろ国会に提出されると聞いておりますが、これに対する県の対応をお聞かせいただきたいと思います。
 二番目に、国においては本年度の税収において景気の不振から法人税、所得税を中心に約五兆円の税収不足を来すと報じておられますけれども、こうした厳しい財政状況におきまして、我が県においては平成六年度の県予算編成に向けてどのような展望を持っておられるのか。
 三番目、本年度の補正予算における大量の県債の発行は後年度において大きな負担とならないか、公債費の今後の見通しと県財政の健全性確保という観点からお伺いいたします。本県の税収については当初予算額の確保はできるのか、その見通しをまずお伺いしておきたいと思います。
 次に、ゼネコンが市長や知事という地方自治体の首長と絡んで贈収賄の問題で連日マスコミをにぎわしておることは、ご存じのところであります。
 そこで、総合建設業者いわゆるゼネコンが絡む贈収賄事件が自治体のトップを巻き込んで社会問題になっておることについて知事としてはどう思われるか、また、和歌山県知事として和歌山県行政の長の立場で、政治家・仮谷志良として、両方の面からこの問題についての所見をまずお伺い申し上げます。
 今月の一日にも自治省の方から、指名競争入札制度を制限つきの一般競争入札制度で試行をしてはどうかという通達があったようであります。これは、指名競争入札制度がいわゆるやみ献金とか汚職事件の温床になっておるというわけでありまして、この制度について知事はどう考えているのか。また、行政と請負業者との癒着にはこの指名競争入札制度に大きな原因があると言われておるのでありますが、この制度の問題点をどのように考えてどう対処しようとしておられるのか。
 建設省におきましても、みずから中央建設業審議会の答申を踏まえまして、九月から制限つき一般競争入札制度を一部に導入するという意向を発表しております。ほかの自治体でも同様の動きがあるようですが、和歌山県の動きはどうであるのか、他府県はどうであるのか。今の指名競争入札制度につきまして、和歌山県発注の建設工事に関して談合ということの実態はあるのか、談合の情報に接した場合にはどんな措置をとっているのか、この談合を未然に防止するためにどのように行っておるのかということをお伺い申し上げます。
 次に、特に我が県のことに関して連日報道されておりますフォレストシティの問題につきまして質問を申し上げます。
 新聞によりますと、国土法違反容疑事件に関連して、和興開発株式会社、前企画部長宅、社会経済研究所などに大阪地検の強制捜査が入り、県にも関係の書類の任意提出を求めたと報道されているが、こういったことについて和歌山県知事としてはどのようにお考えになっておられるのか、まずお伺い申し上げます。
 次に、無届け土地取引に関する見解でありますが、フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社が、国土利用計画法の規定に基づき義務づけられている土地売買届け出書を提出しないまま、あるいは届け出以前に複数の地権者と売買契約を締結していたとあるが、この点についてはどうであるのか。
 また和興開発が、用地買収の時期によって生じた価格の差を穴埋めするために地権者の一部に差額補てんを名目に追加金の支払いをしたり、国土利用計画法によって土地の上限価格が制限されていたため土地代金の上乗せ分として立ち木代が支払われていたということが言われておりますがどうであるのか、お伺いを申し上げます。
 次に、前企画部長が計画地内に所有していた和歌山市六十谷の山林の売買も当事件に関連したということで大阪地方検察庁の捜索を受けたということでありますが、当人からの届け出書は提出されているのか、またその審査は適正になされたものであるか、お伺いを申し上げます。
 次に、本件の無届け取引に関する調査についてであります。
 和興開発株式会社の無届け土地取引に関するうわさが取りざたされておりましたが、大阪地方検察庁の捜索が入るまで県はなぜ積極的に調査を行わなかったのか、この点についてお伺いを申し上げます。また、土地売買届け出後の事後処理の問題についてでありますが、国土法に基づく土地売買届け出後の事後処理について、県の対応はどのようであるのか、また前企画部長の土地取引に関する契約状況の報告はあったのか。
 次に、フォレストシティ計画に関する地価上昇及び地価調査地の選定がえについてであります。新聞によりますと、和興開発が本格的に土地買収を始めていた平成元年から二年にかけて、計画対象区域周辺の地価は、市内の住宅地、林地を問わず五〇%前後の上昇であったにもかかわらず、この地域だけが二倍を超す異常な上昇となっており、また同時期に、フォレストシティ計画の対象地の西側に隣接する鳴滝山にあった地価調査の基準地を西へ三・二キロメートル離れた栄谷に移したとありますが、この点について明快な答弁をお願い申し上げます。
 次に、都市計画法に基づいて開発の許可の審議がなされていくということでありますが、開発許可申請に当たってはまず周辺住民の同意を得るように指導しているけれども、今回、許可申請が提出されたフォレストシティにつきましては、現在のところ住民同意が完全には得られていないと聞いております。住民の同意がそろっていない時点で許可申請を受け付けたことは都市計画法その他の根拠法令上問題は生じないのか、行政指導として同意を得るように開発者に指導を行っているこの趣旨はどういうものであるのか、また同意を得よと指導する場合にその範囲はどの程度であるのかということをお伺いいたします。
 フォレストシティに関しましては、住民同意の取りつけに際して金品の授受があったということが報ぜられております。各自治会における同意または不同意の意思表示の過程について当局はどのように考えているのか、自治会の同意が得られていないという地区について、その反対の理由はどういうものであるのか、現時点で自治会の同意が得られていない部分についてはどのような取り扱いの方針であるのか。
 また、最終的には、許可または不許可の処分を行うというまでに開発地区に隣接するすべての自治会の同意がそろわない事態も予想されるわけでありますが、このような場合どのように対応していくのか、その方針をお伺いします。
 次に、本計画について和歌山市長はさきの市議会において、かかる事態に至ってなお推進の立場を崩していないけれども、県当局としての本件の開発許可についての考え方はどうであるのか。昨日の産経新聞には、先月の二十六日に続いて、この開発許可の審議を凍結するというような記事が二回にわたって出ております。これについて知事はどのように考えておられるのか。
 また、朝日新聞には、県の幹部が今の時点では許可をすることは難しいというような意味の発言をしておるようでありまして、また、現職県庁職員の中に金銭がばらまかれたといううわさもあるというような記事も載っておるわけであります。これについて知事はどのようにお考えでありましょうか。
 次に、和興開発株式会社は特捜部の強制捜査を受けたことが報道されておりますけれども、都市計画法に基づく審査においてはかかる事態をどのように取り扱っていくことになるのか。そしてまた、都市計画法による開発申請についても、地元関係者の同意、資力、信用度の問題など、事前協議の段階でクリアしていない数多くの問題があり、時によっては申請を差し戻しするということもあり得るかどうかということについてお伺いを申し上げます。
 以上は都市計画法に基づく審議でありますけれども、同時にこれは森林法にも関係してくるわけであります。これにつきまして、平成二年六月十一日に森林法に基づく林地開発許可基準が改正され、同日に通達施行が行われ、森林の開発許可基準が相当厳しくなっているものと把握しておりますが、フォレストシティ計画は改正前の基準の適用を受けるのか。これは非常に大きな問題でありますので、的確なご答弁を願いたいと思います。
 また、経過措置として、旧基準に相当するフォレストシティ計画は平成四年六月に森林法に基づく林地開発許可申請書を提出したが、その時点で申請に必要な条件は満たしておったのか、また現在フォレストシティ計画は各法令等により審査されておりますが、森林法に基づく林地開発許可制度の審査基準についてその内容を明らかにされたいと思うのであります。
 次に、フォレストシティ計画の事業実施につきましては、これまた周辺住民の同意を得ることが重要であると考えますが、申請人等への指導と同意の範囲及び同意の意思決定の確認についてどのように行っておるのか、お伺いいたします。申請人が同意を得るために、これも多額の協力金を約束している等の情報がありますが、県当局はこのような状況をどのように考えておられるか。どうしても一部自治会の同意が得られない場合はどうするのか。
 今後につきまして、フォレストシティ計画の林地開発許可申請書が提出されてから既に一年以上経過をしておるわけでありますが、現在の審査状況と審査期間について回答されたいと思います。
 これもまた新聞、テレビ等で既に報道されているように、大阪地方検察庁特捜部がフォレストシティ計画の申請人である和興開発に対して捜査を行っているが、林地開発許可に対する影響をどのように考えているのか、今後の方針をどうするのか、お答えを願いたいと思います。
 次に、このフォレストシティ計画が位置づけられている加太・紀泉地区は燦黒潮リゾート構想の中でどのような位置づけの地域であるのか、その位置づけを前提としてフォレストシティ計画はどのような機能を果たすことになっているのか、お伺いをいたします。
 次に、燦黒潮リゾート構想策定に当たって、フォレストシティ計画を本地区に事業として位置づけたいきさつについてお聞かせをいただきたいと思います。今回の件が燦黒潮リゾート構想推進に及ぼす影響はないのか。
 この問題の最後に、和歌山県の県金庫であり指定金融機関である紀陽銀行が新聞紙上にいろいろな問題を報ぜられておるのはご承知のとおりであります。これは県内の一番柱となる銀行でありまして、県のみならず、県内ほとんどの市町村の指定金融機関として公金を取り扱う。したがって、私はこの紀陽銀行の監督指導は大蔵省にあるということは存じておりますけれども、この指定金融機関の質がどのようなものであるのかということに対して県は重大な関心を持っておらなければならないと思いますが、県としての対応、指導監督、こういうことについてお伺いを申し上げます。
 次に、和歌山下津港の港湾計画についてでございます。
 これは今まで長い間質問をしてまいりましたけれども、ここで平成七年度に次の港湾改定計画が打ち出されるという時期を控えまして、まず和歌山下津港の現在の港湾整備の進捗状況はどうなっておるのかということについてお伺いをいたします。また、その中で特に、臨港道路として二十一世紀の和歌山下津港の浮沈をかける、紀の川河口大橋、北島橋のたもとから国道二十六号線へ通じる紀の川右岸線の進捗状況はどうであるのか。
 次に、平成七年予定の和歌山下津港の港湾計画の問題でありますが、この計画作成の進捗状況は現在どういうふうになっておるのか、また、港湾計画改定のターゲットと申しますか、この改定のねらい──和歌山下津港をどんな特色のある港湾にしていこうとしておるのかということについてお伺いをいたします。
 次に、物流の拠点としてのみならず、マリーナシティでもそうでありますが、レジャーその他都市問題を解決する上で港湾は大変重要な役割を果たしてくるようになっております。平成七年を目標に住友金属の西防埋立地で行われている産業廃棄物の埋立地において、既に廃棄することができなくなるということが決定をいたしております。それから後、フェニックス計画に乗るといたしましても、我が県で出た産業廃棄物は我が県で処理していくという基本的な考え方にのっとりまして、陸上部分での埋立地建設への努力もさることながら、現実にはなかなか難しく、港湾計画改定の中での廃棄物処分場の取り扱いを考えていかざるを得ないと思うわけでありますが、今回の方針の中にそれは入っているのかどうか、お伺いをいたします。
 最後に、未解決部分の重要事件の捜査についてお伺いいたします。
 タクシーに乗りますと、必ずと言っていいほど最近までは、阪和銀行副頭取の射殺事件が話題になって話しかけてこられました。また、町においてもこの問題が話題の中心になっておるのは、皆様方もご存じのとおりであります。
 さらに、近年の重要未解決事件といたしましては、例えば和歌山市園部における女子高校生の殺人事件、湯浅信用金庫本店長の強盗殺人事件というのがあるわけでありまして、口の悪い運転手なんか「人を殺しても和歌山県に逃げ込めば助かるのと違うか」というようなことを言う人がございます。これは一つのやゆと申しますか、そういった気持ちもあることでございましょう。警察としては一生懸命にご努力をいただいており、他に解決をしておる重要問題もたくさんあることは知っておりますけれども、県民の財産と生命を守ることこそ警察の第一の仕事であるということを考えてまいりますと、こういった未解決の重要事件がそのままにされておるということは、和歌山県警察に対する県民の不信感を高まらすことになっていくと考えるわけでありまして、大変嘆かわしいことであろうと思うのであります。
 そこで、和歌山県警察としては、これら重要未解決事件の捜査について特にどのような決意で当たっておるのか、現状はどうであるのか。捜査上の秘密も多いと思いますけれども、現況と将来の展望についてお聞かせをいただきたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 補正予算のねらいと国の補正予算への対応の問題でございます。
 お話ございましたように、バブル経済が崩壊いたしまして、景気情勢は一時いい兆候を見せたと思っていたわけでございますけれども、その後の円高や長雨等により再び先行きが不透明な状況になっておるわけでございます。
 県としては、昨年九月に議会の同意を得て予算を編成し、その後タイミングをとらえてその都度景気対策を進めてまいったのでございますけれども、以上のような現状を踏まえまして、今回の補正予算においては大型の景気対策予算を編成したところでございます。
 規模については、単独投資事業が昨年の九月を上回るなど、全体として過去最大であった昨年の九月対策と比べて遜色のないものとなってございますし、また内容的に見ても、景気へのインパクトが大きく、かつ県民生活の利便性につながる道路事業等、また中小企業金融対策の融資枠拡大、災害関連等にめり張りのきいた予算を編成させていただいた次第でございまして、今回の補正予算が当初予算並びに本年度の六月補正予算の効果と相まって景気への好影響をもたらすものと考えているところでございます。
 次に、先日制定された国の緊急経済対策に伴う補正予算についての対応でございますけれども、私としては、景気の早期回復のためには何よりもまず今般の補正予算の速やかな執行が最も肝要ではないかと考えてございまして、今後の新たな措置につきましては、国の補正予算編成等、国の状況を十分に見守りながら適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
 次に、首長とゼネコン汚職、入札制度についての問題でございまして、知事の政治姿勢でございます。
 お話のように、このところ自治体首長の関与する贈収賄事件が相次いでいることは、まことに遺憾に思っております。現在、公共事業の大部分は地方自治体を通じて執行されており、地方自治体の果たす役割というものは非常に増大している現状でございます。特に最近、地方分権の確立が叫ばれてございますけれども、国民の地方自治体への期待は大きく、行政の責任の重さを自覚するとともに、県民の疑惑を招くようなことは一片たりともあってはならないと考えております。本県においては、公共事業の執行について疑惑を招くようなことはいささかもございません。
 また、現行の指名競争入札制度は、県内建設業者の技術力の向上、地域間のバランスのとれた工事発注の面で有効な制度でもあります。しかし、競争性、透明性などの改善されるべき点も指摘されてございますので、現在、入札制度検討委員会において制限つき一般競争入札の試行を検討させているところでございます。
 詳細については土木部長から答弁させます。
 次に、フォレストシティ開発計画でございます。
 このたび大阪地方検察庁より和興開発株式会社等に対し国土利用計画法違反容疑で捜索されたことにつきましては、国土利用計画法を運用する立場から、まことに遺憾でございます。県としては、今後の捜査の進展を見守ってまいりたいと思います。
 次に、十月四日付の新聞に「許可をおろすのは非常に困難」と報道されたことについての知事の見解はどうかということでございます。
 フォレストシティ計画は、燦黒潮リゾート構想の一環でございます。現在捜査中でございますので、捜査を見守りながら、知事としては関係部局の審査の結果を聞いて慎重に対処してまいりたいと考えております。
 それから、一部新聞に県の中堅職員に現金が配られたとうわさされているという報道につきましては、そういう事実はないと確信しておる次第でございます。
 他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 出納長梅田善彦君。
  〔梅田善彦君、登壇〕
○出納長(梅田善彦君) フォレストシティ開発計画との関連で、指定金融機関についてのご質問にお答えを申し上げます。
 指定金融機関は、県公金の収納または支払いの事務を取り扱わせるため、地方自治法第二百三十五条に基づいて議会の議決を経て指定するものであり、本県においては、地方自治法の改正に伴い、昭和三十九年三月三十一日に紀陽銀行を指定金融機関として指定し、公金の取り扱いを行わせております。その間、年々増大し複雑化していく業務に的確に対応し、指定金融機関としてその責任と機能を果たしているものと考えております。
 議員ご指摘のとおり、銀行の指導、監督については大蔵省の所管でございますが、県としては、指定金融機関に指定しているという関係上、地方自治法施行令第百六十八条の四の規定に基づき、公金の収納と支払い事務及び公金預金の状況につきまして定期的に検査を実施し、適正な処理の指導を行っているところであり、このたびの問題についても、紀陽銀行に対し、指定金融機関として県民の信頼保持に努めるよう申し入れたところでございます。
 以上です。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 九月補正予算に係る残余の問題について、私の方からご答弁申し上げます。
 まず、平成六年度予算編成に向けての展望についてのご質問でございますが、現在の厳しい我が国の景気情勢、税収動向から判断いたしますと、国の予算、地財計画とも平成六年度は相当の抑制基調が予想されるところでございます。一方、県税についても先行きは不透明でございまして、自主財源については相当厳しい状況が予想されるところでございます。
 しかしながら、ご案内のとおり、平成六年度は世界リゾート博、関西国際空港の開港を控え、本県にとっては画期的な年でございまして、これらを息の長い県勢活性化につなげるためには、厳しい財政状況の中でも各般の施策を一層充実していくことが肝要と考えております。
 このため、従来からの施策について原点に立ち返って改めて見直しを行う一方、真に必要な財政需要については有利な起債の活用を図る等、創意と工夫を凝らし、限りある財源の中、重点的、効率的配分を心がけた予算編成を行ってまいりたいと存じております。
 次に、県債の増発と県財政の健全性についてのご質問でございますが、県債の発行に当たっては、従来から公債費の増高に十分な注意を払うなど、長期的視点に立った財政の健全性の確保に努めてきたところでございます。
 今回の補正予算では一般会計で約八十三億円の県債の発行を予定しており、さきの六月補正における約七十二億円を合わると二度の補正で百五十五億円の県債を増発することになるわけでございまして、当分の間、公債費がある程度増高することは避けられないと見込まれるものの、六月補正分については基本的に一〇〇%交付税によって財源措置されることとなっており、また、今回補正分についても地域総合整備事業債など交付税措置を伴う有利な起債を有効に活用するなど、後年度における負担を極力軽減すべく工夫を凝らしているところでございます。
 また、累次の経済対策が景気浮揚につながれば将来の県財政に対する好影響も期待されるところであり、これらのことを総合的に勘案すると、今回の補正予算における県債の増発が直ちに将来の県財政の硬直化を招くといったことにはならないというふうに考えております。
 なお、財政運営の健全性をはかる物差しの一つである公債費比率を例にとりますと、本県の数値は八・五%と全国平均の九・七%を下回っている状況にございまして、今後ともこのような健全な状況を引き続き確保すべく努力してまいりたいと存じているところでございます。
 最後に平成五年度の県税収入の見通しでございますが、平成五年度当初予算額については、九百二十九億円の県税を計上しているところでございます。本年八月末の調定状況については、県民税利子割、法人二税等は当初見込みをやや上回っているものの、個人県民税、不動産取得税、特別地方消費税、自動車取得税等は当初見込みを下回っており、全体としては対前年同月比九六・三%で、当初見込んだ程度に推移してきているところでございます。
 今後の見通しでございますが、現下の経済情勢から判断し、県税の主要税目である法人二税等について厳しい状況が予測されるなど、税収確保は予断を許さない状況にあるため、予算計上額確保に向け、一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) まず入札制度についてでございますが、現行の指名競争入札制度には透明性、競争性等の面において問題点が挙げられておるところでございます。そこで、去る六月三十日に入札・契約制度検討委員会を設置し、透明性、公平性を高める入札制度について検討をしてきております。九月二十四日の検討委員会において、制限つき一般競争入札を試行するため入札手続の細部について検討を続けておるところでございます。なお、十月一日付の自治省通達により早期に制限つき一般競争入札の試行を通知してきておるところであります。
 次に県の入札契約、特に談合の実態についてでございますが、平成二年に談合事件が起こったことがございましたが、それ以降では談合の事実は確認をされておりません。談合情報に接した場合には情報の適切な措置を講じることといたしており、さらに慎重に対応してまいります。談合の未然防止については、業界に対し従前から機会あるごとに指導しており、さらに徹底をしてまいります。
 次に、フォレストシティ開発計画に関連してお答えを申し上げます。
 まず、住民同意がそろっていない時点で許可申請を受け付けたことでございますが、本案件の開発申請については、和歌山市長からの進達を受け、都市計画法に基づく申請書及び諸資料が整っておりましたので、去る九月三日付で受け付けをいたしました。なお、周辺住民の同意については開発に伴うトラブルを未然に防止するために行政指導を行っているものでございますが、周辺住民の同意が得られていない部分については引き続き申請者に対して指導を行う方針といたしております。
 次に、行政指導として同意を得るように指導しているその趣旨と同意を得る範囲についてでございますが、行政指導の趣旨については開発事業の実施及び工事完了後において周辺住民とのトラブルの発生を未然に防止することがその目的であり、また同意を得るよう指導している範囲は開発区域に隣接する自治会でございます。
 次に、住民同意の取りつけに際して金品の授受があったという報道の件でございますが、住民の同意に際して不正な金品の授受があったとすれば好ましいことではございません。市の意見を聴する等により同意に影響していないかどうか、注意をしながら対処してまいりたいと思います。
 次に、自治会等の同意が得られていない地区の主な反対理由でございます。地区によって反対理由は異なりますが、地区住民からは主として農薬汚染の危険性、交通の問題、開発による浸水の危険性増大等の意見がございます。
 次に、自治会の同意がそろわない事態も想定されるけれども当局の対応はどうかということでございますが、自治会の同意がどうしても全体として得られないという場合には、許可に際して反対の内容や理由、あるいは申請者及び市の対処等を判断いたしまして、事業に起因するトラブル等のないことを確認する必要があるのではないかと考えております。
 それから、和歌山市長が推進の立場の中で県当局の開発許可の考え方ということでございますが、この計画は本県の燦黒潮リゾート構想あるいは和歌山市の紀泉山脈アメニティー構想の一環として計画が進められている事業であります。開発許可申請については、都市計画法に基づいて慎重に対処してまいります。
 次に、審査凍結というお話でございます。報道では審査凍結とされておりますが、県としては捜査の推移を見守りながら慎重に対処してまいりたいと思っております。
 それから、特捜部の強制捜査を受けたことについて、都市計画法に基づく審査はどうかということでございますが、都市計画法において開発者の資力及び信用に問題がないことが許可基準の一つとされております。これは、資金調達能力に不安があったり、あるいは過去に誠実に事業を遂行しなかった前歴がある場合などの事態を基準として判断をすることとなります。なお、現在、司法当局の捜査が進められている中、その進展を見きわめながら慎重に対処してまいりたいと存じます。
 次に、申請の差し戻しという問題でございますが、先ほど申し上げましたとおり、本案件の開発申請については都市計画法に基づく申請書及び諸資料が整っておりましたので、去る九月三日付で受け付けをいたしました。なお、都市計画法に基づき慎重に対応をしてまいりたいと存じます。
 次に、和歌山下津港計画でございます。
 まず、現在の和歌山下津港の整備状況でございます。平成七年を目標年次とする和歌山下津港の現港湾計画の主な地区ごとの進捗状況でございますが、和歌山マリーナシティの整備状況については、第一工区の埋め立てについて平成四年三月末に完了し、第二工区については平成六年三月末に完了する予定であります。毛見一号線、毛見二号線、緑地等については平成六年七月開催予定のリゾート博までに概成をする予定であります。
 本港地区の西浜埠頭の整備については、水深十二メートルの岸壁及び埠頭の整備を進めており、平成六年度供用を予定しております。それに続く水深十三メートル岸壁及び埠頭の整備については、埋立免許を出願中であり、早期に現地着工したいと考えております。また、木材港の水面貯木場の埋め立てについては、木材関係者と調整を重ね、基本的な合意が得られ、既に埋立免許を取得するため調査を開始しており、早期に事業着手を図りたいと考えております。
 本港雑賀崎地区の埋立事業については、平成二年度より着手し、一工区は平成六年三月末、二工区は平成八年三月末を完成予定としております。
 最後に本港地区港口の整備でありますが、直轄事業の南防波堤の延伸、水深十三メートル航路の確保等とあわせ、北防波堤、青岸埠頭などを整備すべく、今年度より調査をする予定でございます。
 紀の川右岸線については、みなと大橋との取りつけ方法の概略設計を行い、みなと大橋から国道二十六号までのルート選定のため、住環境への影響、農業活動への影響、事業の経済性、施工性等を観点とした比較検討を行っておるところであります。現在、さらに詳細な検討を行うべく航空測量等を行っており、その後、基本設計に入る予定であります。事業実施に当たっては用地取得等に相当な困難が予想されますが、和歌山下津港の機能を向上する上で重要な課題であると認識をしており、和歌山市、地元自治会等の積極的な協力を得ながら早期に事業着手ができるように取り組んでまいります。
 次に、和歌山下津港計画の改定作業の進捗状況でございますが、昭和六十年に策定された現在の和歌山下津港の港湾計画については、平成三年度より次期改定に向け作業に着手しているところであります。
 平成三年度には基礎資料の収集を行い、平成四年度には和歌山下津港の現状の問題点や課題を整理し、長期的な整備の方向を検討いたしました。平成五年度は将来の整備目標の設定や港内の基本的なゾーニングについて検討しております。また、環境に関する現況調査を国の補助を受けて行っております。六年度以降は、施設配置の計画等、具体的な検討を進めていくとともに、環境調査を引き続き行い、平成七年度に改定することを目標に作業を進めていく予定であります。
 改定の基本的な考え方でございますが、和歌山下津港の港湾計画の改定に当たっては、長期的な観点から和歌山下津港の目指すべき方向を見定める必要がございます。港湾の機能は物流、生活、産業に大別されますが、まず物流についてはテクノスーパーライナーの開発状況等も踏まえつつ、大阪湾のゲートウエーに位置するという条件を生かすとともに、ポートセールスにも積極的に取り組み、コンテナ埠頭の整備など、大阪湾諸港を補完する港湾としての機能の充実を図っていくことを考えております。また、生活については、和歌山港駅周辺地区の再開発などにより豊かな生活空間を形成し、市民に快適で親しめる空間を提供していくこと、産業については、基幹産業の構造転換に対応し、背後地域の活性化に寄与する空間を形成していくことを考えております。
 次に、港湾計画における廃棄処分場の問題でございます。港湾に対しては多様な要請が寄せられておりますが、最近では都市の背後の都市活動を支援するための港湾の役割が大変重要になってきております。
 ご指摘の廃棄物の処分という問題についても、都市活動を行う上で不可欠なものであり、紀北地域においては内陸部では大規模な処分場の確保が難しいと聞いておりますので、今回の港湾計画の改定においても重要な課題の一つであると考えております。
 廃棄物処分場を港湾計画に位置づけるためには、処理対象地域や処理する廃棄物の種類及び量、受け入れ期間等を十分に整理しておく必要があり、関係部局とも十分調整をしながら検討してまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) フォレストシティ開発計画についての国土法に関連するご質問にお答えいたします。
 まず無届け土地取引についてでございますが、国土利用計画法に基づき、一定面積以上の土地取引を行う場合にはあらかじめ知事にその届け出をすることとなってございます。
 議員ご質問の土地売買の届け出の件については、国土利用計画法上、また捜査が入ったところでございますので、個々の内容についての答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。今後、捜査の成り行きを見守りながら、その状況の実態把握に努めてまいりたいと存じます。
 次に、追加金のご質問でございますが、事実確定ができていない段階でもあり、またそのような事実があったとしても、当事者間で土地代金として合意がなされたものであるかどうか等の判断は極めて難しい問題であると考えてございます。また、山林の取引に係る届け出については、土地とあわせて立ち木も取引される場合には、それぞれの土地、立ち木の予定対価を届け出なければならないこととなってございます。
 次に、前企画部長の土地売買についてでございますが、前企画部長が強制捜査を受けたことについては、まことに残念でございます。当人からは土地売買等届け出書が提出され、その届け出書を適正に審査し、不勧告通知書を交付してございます。
 次に、無届け取引に関する調査についてでございますが、国土利用計画法上の土地取引届け出制はその法体系として届け出・勧告制をとっており、具体的には土地取引に先立ってその価格等を届け出、これを審査し、指導・勧告を行うこととなってございます。ご質問の無届け取引調査については、国土利用計画法上の定めがございませんが、同法を遵守していただくため、国土庁課長通達により事務処理として市町村の協力をいただいているところでございます。
 次に、土地売買届け出後の事後処理についてでございますが、県は国土利用計画法に基づく土地売買届け出について、不勧告通知書を当事者に交付する際、当該土地取引のその後の状況を把握するため契約状況報告書の提出の協力をお願いしているところでございます。しかしながら、契約状況報告書の提出については国土利用計画法上に義務づけられていないため、その実効性は必ずしも十分とは言いがたい状況でございます。
 なお、個々の案件については、国土利用計画法上、また捜査の入った段階でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
 次に、地価調査の選定がえについてでございますが、基準地の選定がえは国土利用計画法地価調査事業要領に基づき、中庸性、確定性、代表性、安定性の四原則に照らして行うこととされてございます。県内の林地の基準地数は二十七地点でございまして、和歌山市内では従来より一カ所のみとなってございます。
 地価調査の開始された昭和四十九年以来、和歌山市の林地については今回まで、さきに述べた原則に欠けるものとして都合三回の選定がえを行ってございます。従来の基準地の周辺地域については、紀の川沿いに位置し、山林の価格はもともと近隣の泉南地方に比べて割安感があり、また多数のプロジェクトが重なった時期でもございまして、バブル経済下のもと、泉南地方等の地価の影響を受け、一平方メートル当たりの価格は平成元年から平成二年にかけてほぼ二倍前後になるなど、急激な地価水準の変化がございました。
 こうしたことから、平成二年の地価調査に当たっては、県内不動産鑑定士で構成する県地価調査鑑定評価員会議で種々検討され、当該林地の基準地については基準地選定の四原則の一つである代表性に欠けるものとして選定がえの結論が出され、その後、学識経験者、不動産鑑定士等で構成する県地価調査委員会において和歌山市園部字鳴滝山から和歌山市栄谷字高塚へ選定がえを決定したものでございます。
 いずれにしても、国土利用計画法に基づく土地取引届け出業務及び地価調査事業については、同法に基づき適正な執行に努めてまいったところでございますが、今後ともなお一層努力をいたしてまいりたいと存じます。
 次に、燦黒潮リゾート構想に関するご質問にお答えをいたします。
 まず、加太・紀泉地域の位置づけ及びフォレストシティ計画の機能についてでございますが、燦黒潮リゾート構想は和歌山市から新宮市に至る海岸域を対象に海洋性リゾート地の形成を目指したもので、それぞれの地域特性を生かした整備を図るため、七つの重点整備地区で構成してございます。
 議員ご質問の加太・紀泉地区は、最北部に位置しており、関西国際空港の至近距離にあるという優位性並びに都市近郊という地理的条件を生かして、国際交流型のリゾート空間の創出を整備の目標としてございます。この中にあって、フォレストシティ計画については、質の高い滞在機能やスポーツ、文化、交流機能等、多様な機能を担う計画として位置づけられてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想に位置づけた経緯についてでございます。
 フォレストシティ計画を燦黒潮リゾート構想へ位置づけた経緯については、和歌山市から新宮市に至る海岸域を対象として総合保養地域整備法──いわゆるリゾート法でございますが──の承認を得るため、まず昭和六十三年四月に県下全市町村に対して法の趣旨や手続並びに県の取り組みについて説明会を開催し、六月には対象地域二十一市町に対してリゾート開発の適地及びプロジェクトの推薦を依頼してございます。
 フォレストシティ計画については、これに基づき、同年七月に和歌山市から県に対して公文で加太地区のコスモパーク加太計画、友ケ島計画及び和歌浦湾地区のマリーナシティ計画とともに提出されたものでございます。その後、検討を重ねるとともに、六省庁にまたがる国の機関との綿密な協議を行う中で変更や見直しを重ねつつ、構想原案を作成いたしました。平成元年四月に該当市並びに町に対しプロジェクトの確認をした後、基礎調査書を作成し、翌五月に国に提出したものでございます。
 また、関係する諸団体の代表者で構成する燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会に対し、平成二年二月に構想原案を説明し、該当市並びに町との協議を経た後、異議なき旨の同意書を添付して平成二年八月二十九日に主務大臣あてに構想の承認を申請し、同年十二月十九日、燦黒潮リゾート構想として承認を受けたものでございます。
 次に影響についてでございますが、リゾート法に基づく燦黒潮リゾート構想は、民間活力の導入を柱として策定されているところから、社会経済情勢の変化により影響を受けやすいという側面も見られます。しかしながら、ゆとりと潤いのある生活への国民的な欲求が高まってきており、リゾートへの需要も長期的には大きくなるものと理解してございます。また、リゾート整備は本県が有する資源を活用した地域振興策の一つであるとの認識のもとに、長期的な視点に立って着実に推進すべきものであると考えてございます。
 議員ご質問のフォレストシティ計画については、本計画が実現に至らない場合には、その施設規模等から見て燦黒潮リゾート構想の推進に対する影響は避けられないと考えているところでございますが、現在、司直の捜査が行われているところであり、当面、事態の成り行きを見守ってまいりたいと存じます。
 しかしながら、いずれにしても加太・紀泉地区はリゾート整備に極めて高いポテンシャルを有する地域でございますので、関西国際空港のインパクトを最大限に活用した国際交流型リゾート空間の形成に向けて努力していかなければならないものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) この際、申し上げます。
 当局の答弁は、要を得て簡単明瞭に行うよう留意願います。
 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) フォレストシティ計画についてのうち森林法関係についてでございますが、まず森林法改正前の基準の適用を受けたのかというお尋ねでございます。
 改正基準の適用に係る経過措置として、通達施行日以前に具体的な事業計画が立てられ通達施行日以降二年以内に申請手続を行うものについては従前の例により取り扱うものとされており、フォレストシティ計画はその適用を受けてございます。
 次に、申請に必要な条件は満たしていたのかというご質問でございます。
 林地開発行為の許可申請に必要な書類については、森林法第八条の二に規定されてございまして、その内容は、一つとして申請書、二つとして開発行為に係る森林の位置図、三つとして区域図、四つとして開発行為に関する計画書、五つとして開発行為に係る森林について当該開発行為の施行の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていることを証する書類、六つとして許可を受けようとする者の当該法人登記簿謄本となってございます。本件フォレストシティ計画については以上の書類が整っておりましたので、海草県事務所で受理してございます。
 次に、林地開発許可制度の審査基準についてでございます。
 林地開発許可制度は、森林を対象とする開発行為に対して森林の土地の適正な利用を確保するため、災害のおそれがないか、水の確保に著しい支障がないか、環境を著しく悪化させないか、水害のおそれがないか、これら四つの要件の審査に加えて、地域住民の同意、水利組合・漁業組合の同意、隣地土地所有者の同意等についても検討することといたしてございます。
 次に、同意の範囲、同意の意思決定の確認についてでございます。
 森林法には周辺住民の同意について義務づけられてはいませんが、地元との調整を図ることは大切であると考えてございます。このため、関係区域内に加え、関係団体等の同意を得るよう指導してございます。また、住民同意の意思決定に当たっては自治会ごとの方法により決定するのが妥当であると考えてございます。なお、自治会の同意範囲については、地域の実情を最も把握している地元市長の意見を聞きながら総合的に判断することといたしてございます。
 次に、協力金で同意を取得しているという情報があるが、県当局の考えはどうかということでございます。
 申請人と地域住民との関係については、基本的には当事者間のことであると考えてございます。なお、地域住民の理解が得られているかどうかという審査をすることといたしておりますので、念のため申し上げます。
 次に、一部自治会の同意が得られない場合はどうするのかということでございますが、申請人並びに関係市長に対し、関係自治会等と十分協議し理解を得るよう指導しておりますが、協議の結果なおも理解が得られない場合は、その理由と経過を明確にさせた後、その内容を許可基準に照らし慎重に判断することといたしてございます。
 次に、現在の審査状況と審査期間についてでございますが、審査状況としては、昨年六月に海草県事務所に申請書が提出され、申請に必要な関係書類が整っていたので受理し、許可基準に照らして詳細に審査しており、これらの審査に必要な地質調査、地元説明会の経過等の資料の提出を求めている状況でございます。
 次に審査期間についてでございますが、林地開発制度の審査期間は個別事案に即し総合的な見地から判断することが妥当であり、審査期間を定めることは困難であると考えてございます。
 最後に、大阪地検特捜部の捜査の影響についてはどうかということでございますが、現在、捜査段階でありますので、今後の捜査の経過を注視しながら、森林法に基づき対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 警察本部長西川徹矢君。
  〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 尾崎議員の質問にお答えします。
 昭和六十年以降のいわゆる殺人等の重要犯罪というのが九百八件ございますが、このうち捜査本部事件を設置したのは十二件ございます。現在そのうち八件を検挙し、四件が残っております。
 事件の進展等ということでございますが、うち一つは昭和六十三年六月に発生した、先ほど出ました和歌山市園部の新聞配達中の女子高生が殺されたという事件でございます。これは現在も二十五名の捜査員を専従させており、継続捜査中でございます。
 二つ目は、平成元年七月に発生した湯浅信用金庫本店長が自宅で殺害された事件でございます。これも現在、湯浅警察署に捜査本部を設置して、四十名の体制で引き続き捜査中でございます。
 三つ目の事件でございますが、これは平成三年九月に発生した和歌山市内黒田のマンションでタイ国人女性が殺害された事件でございます。これは既に被害者の知人で元スナックを経営していた三十歳のタイ人女性が犯人と断定いたしまして、全国に指名手配中でございます。
 四つ目が、本年八月に発生した、阪和銀行の副頭取がけん銃で射殺されるという事件でございます。この事件も、即日、和歌山西警察署に刑事部長を本部長として、百三十名の体制で現在もなお捜査中でございます。
 この種事件は、皆さんご案内のとおり、社会情勢などの進展等に伴い、現在、国民意識の変化あるいは地域の連帯意識の希薄化等、捜査を取り巻く環境は大変厳しい状況になっておりまして、いろんな意味で捜査そのものが大変困難化ないしは長期化するという大きな要因になってきております。
 しかしながら、私としては、こういう重要事件が未解決であるということは県民の平穏な生活に大きな不安を与えることにもなりかねないところでございまして、これらの重要事件の解決のいかんが治安の根幹にかかわるという重大な問題であると認識しております。
 今後も、県民の皆様方の一層のご協力を得ながら、県警察の総力を挙げて一日も早い事件検挙に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 以上で、尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、景気対策についてお尋ねをいたします。
 経済企画庁が九月十四日に発表した四─六月期国民総生産(GNP)実質成長率は前期比〇・五%減、年率換算で二・〇%減に落ち込み、三期ぶりにマイナス成長に逆戻りとなりました。これは、個人消費など内需の低迷に加え、円高で輸出がダウンとなり、外需も落ち込んだためと言われております。さらに七─九月期も、一ドル百円に迫る円高の進行と冷夏の影響で、もう一段悪い数字になるとの見方が強まっております。一橋大学の中谷教授は、「九三年度を通した成長率はゼロ成長もしくはマイナス成長の公算が高まるだろう。昨年の〇・八%成長に続いて今年もマイナス成長ということになれば、平成不況は戦後最悪の大不況になる」と警告しております。
 こうした状況に対し政府は、経済対策として四月の新総合経済対策十三兆二千億円に続いて九月十六日に、規制緩和、円高差益還元策に加えて新たに六兆二千二百三十億円規模の財政支出を盛り込んだ緊急経済対策を決定しました。また日銀は、九月二十一日に現行年二・五%の公定歩合を〇・七五%引き下げて年一・七五%とし、即日実施したところであります。
 長引く景気の低迷は平成五年度の国の税収にも影響を与え、七月までの税収実績では法人税が一一%マイナス、所得税も八・二%マイナスとなり、こうした傾向が続くと、予算の見積額に比べて五兆円を超える大幅な税収不足になる公算が高くなってきております。さらに、景気の低迷と急激な円高は企業の一層のリストラを促進させ、八月現在、有効求人倍率が全国平均で〇・七〇まで低下し、完全失業率も二・五%に上がるという極めて厳しい雇用情勢となり、新卒者の求人数も著しい減少を示しております。
 本県においては、景気対策として昨年九月の過去最高規模の補正予算を初め、景気に配慮した五年度当初予算、さらに新総合経済対策を受けて、六月の百七十三億円に上る異例の大型補正予算に加えて今議会に百七十一億三百万円の大型補正予算を上程され、景気対策にかける知事の熱意を感ずるものであります。
 そこで、仮谷知事にお尋ねいたします。
 本県においては、景気対策として思い切った公共事業の確保と上半期前倒し八〇%達成を目指して事業の発注・執行に当たっていますが、最近の公共事業に絡む汚職の摘発により、談合の温床となる指名入札制度を見直すことが叫ばれています。また、公共事業の入札をこれまで以上に慎重に対応していくため、契約に相当の時間を要すれば契約率が伸びず、せっかく予算化された工事執行がおくれてしまうのではないかと心配されております。事実、建設省の発表したゼネコン大手五十社の受注調査においても、八月の地方自治体等の受注額が前年同月比で四二・七%の大幅なマイナスとなってきております。知事は入札制度の見直し及び公共事業の速やかな発注と執行をどう進められるのか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、五年度の国の税収は五兆円を超える大幅な税収不足との予測であります。本県でも昨年は九月に減額補正をしましたが、本年度の税収見通しはどうか。
 二、国の新総合経済対策を受け、本県においても振興資金二十五億円、特別融資枠十五億円の拡大が補正計上されていますが、今年度の貸し付け実績はどうか。
 三、貸し付けの条件緩和において、中小企業信用保険法の限度額が倍額となる特定業種の指定を弾力的に実施する保証の弾力的活用、及び超低金利を反映する貸出金利の引き下げの改善はどうか。
 四、円高や冷夏による企業活動の低迷により、近畿地区の雇用情勢も悪化の一途をたどっております。本県においても有効求人倍率の動向と中高年者に対する雇用の確保をどう進めるのか。
 五、労働省では日経連を初めとする八十四業界・団体に対して中学、高校、大学の新規卒業者の採用拡大を文書で要請されたとのことでありますが、本県での新規卒業者に対する求人状況と地元業界・団体に対して採用拡大にどう対応されるのか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、地域情報化計画についてお尋ねいたします。
 我が国における社会経済の情報化が進展する中で、企業を中心として電気通信サービスに対するニーズが高度化、多様化してきており、例えば映像伝達やLAN(企業内情報通信網)間の接続に見られるように、高速・広帯域な通信サービスのニーズが顕著になってきています。
 しかし、現在の通信基盤は基本的には明治以降百年近く要して全国に整備された電話網を基礎として構築されているため、伝達能力等は必ずしも十分でなく、これにかわるものとしてISDN(総合サービスディジタル網)を初めとする新世代通信網の構築が急務となっています。
 新世代通信網は、各家庭や企業への通信回線として現在の電話回線にかえて光ファイバーケーブルを用いるなど、音声、文字、映像等の多様かつ大量な情報をまとめて超高速で伝達することを可能とする通信網であります。そのために、企業はもとより家庭においてもテレビ電話が実現するなど、社会経済の発展基盤として豊かな生活の実現や産業活動の高度化、地域社会の活発化等に大きく寄与するものと期待されております。平成五年度の「通信白書」は、四年度の国内情報通信サービスの電気通信分野ではISDNサービス、高速ディジタル伝達サービス、自動車携帯電話サービス等が大きな伸びを示しているほか、多様なサービス機器の提供、通信料金の値下げ等により高度化、多様化が進展していると述べております。
 郵政省は、三年度から五年度にかけ、電気通信基盤充実事業として総額七千百五億円の事業を行い、さらに景気対策として、昨年の総合経済対策で電力、NTT等の設備投資追加分七千億円、本年の新総合経済対策でも六千二百億円が措置され、新社会資本の充実としてネットワークのディジタル化投資の繰り上げ、光ファイバー網関連投資の追加など、設備投資の前倒し及び設備投資額の上積みが行われてきております。
 本県のNTTのサービス網充実計画によると、総合ディジタル網の整備投資額は五年度八十八億円で、ディジタル化率は五年度末で六八・二%になるとのことであります。また本県は、情報文化都市和歌山を目指して平成四年三月に地域情報化推進計画を策定し、県内ネットワークの構築を図ろうとしております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 一、現在、国において電気通信基盤充実事業が積極的に進められていますが、本県においても、情報化社会を迎え、コンピューターネットワークが重要な社会基盤を形成するときを迎えています。本県は、広域的なネットワーク基盤の整備として、和歌山、田辺のアクセスノードを県内の地域拠点に拡充し、さらに東京、大阪とも結ぶ高速ディジタル占有網いわゆる黒潮ネットワークの整備推進を目指しておりますが、知事は今後どう進められるのか。
 二、地域情報化の推進として御坊・田辺広域テレトピアが昭和五十九年にモデル地域指定を受け、推進機関として第三セクター株式会社テレコムわかやまが設立されております。加えて、四年度から郵政省を初めとする関係省庁が地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置を促進するとしていますが、知事は地方拠点都市にふさわしい地域情報化をどう進めるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、企画部長にお尋ねをいたします。
 一、県内の情報通信基盤の拡充のためにNTTを初めとする電気通信事業者の積極的な事業投資が求められるところでありますが、本県におけるNTTのディジタル化率を一〇〇%にするために今後どう推進していくのか。
 二、黒潮ネットワークを活用した各種の情報システムの整備とネットワーク管理の心臓部となるKI─Linkシステムの推進をどう進めるのか。
 三、郵政省が三年度から生活関連公共投資として実施する、電気通信格差是正事業の自動車電話用鉄塔整備事業や民放テレビ放送難視聴解消事業等について、本県はどう進めるのか。
 四、通産大臣の諮問機関である産業構造審議会が、国立大学と研究機関にLAN(構内通信網)を整備してネットワークで結ぶことを提言しています。本県では和歌山大学、近畿大学、工業技術センター、リサーチラボ、県立医大等を結ぶリサーチダイヤモンド計画を計画しておりますが、今後どう進められるのか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、MRSAの院内感染についてお尋ねをいたします。
 今年の三月に高野口町で七十二歳の女性の方が亡くなり、私の遠縁に当たる人でもありましたので葬儀に参加させていただきましたが、その後、ご主人がぜひ話を聞いていただきたいと和歌山まで来られました。
 話によりますと、亡くなられた奥さんは、昨年五月ごろに腎臓病で橋本市民病院に入院していましたが、十月ごろ腎臓病による尿毒症で人工透析が必要となり大阪労災病院に転院。その後、透析を行って快方に向かい、週三回の透析を実施していけば退院も可能と言われるまでによくなったそうであります。しかし、十一月二十七日に突然MRSA菌が検出されたと聞かされ、部屋の前に手洗いとゴム手袋が常設されるようになったそうであります。付き添っていたご主人は、自分の病室と同じように手洗いとゴム手袋の置かれている病室が同じ階に何カ所かあるのに気がつき、院内感染したのではないかと思ったそうです。治療の結果、幸いにして正月明けには医師より菌がなくなっていると聞かされ一安心しましたが、二カ月後の三月三日に再びMRSA菌が検出、三十八度近い発熱を繰り返し、十日後に急性肺炎による呼吸困難で亡くなられたそうであります。
 ご主人いわく、腎臓病の人工透析で入院した妻が二度もMRSAに感染してとうとう死んでしまったことにやり場のない不満を訴えながら、「せめて院内感染を防ぐ対策をぜひに」と言って帰られた次第であります。
 六月の本会議でMRSAの院内感染の質問に答えて江口保健環境部長は、「黄色ブドウ球菌は自然界に広く生息する菌であり、このうち抗生物質の多用により出現したのがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であります。 MRSAに感染しただけでは何の症状もないことが多いわけですが、保菌者の免疫力が著しく低下したとき等にMRSA感染症が発症する可能性が高くなります。臨床像は、感染部位によりさまざまですが、皮膚炎、肺炎、敗血症等を引き起こします」と答弁しています。
 また医大の駒井学長は、医大において「昨年一年間に七十八人にMRSAが発見されておりますが、そのうち二十六人がMRSAによる感染症状を起こしており、入院患者が約六千三百人でございますから、その率は〇・四%でございます。この数値は、私が聞く範囲では、重症者を扱う他の病院に比して少ないと思います」と答弁しております。しかし、医大一カ所で一年間に二十六人の感染症があったことからしますと、県下の九十八カ所の病院での発生を考えると、本県においても相当数の感染症の数があるものと推測されます。
 厚生省は、平成三年六月にMRSAの院内感染対策として、医療施設ごとに対策委員会を設けて消毒や清掃などのマニュアルを作成するよう都道府県に対して通達、四年三月には院内感染防止マニュアル「MRSAに注目して」を作成し、国立病院などに配布してきております。本県においても、通達を受けて、感染対策委員会の設置と院内感染に対するマニュアル作成を行うよう病院に対して指導してきているところであります。
 さらに厚生省は、本年一月に都道府県に対して「院内感染対策への積極的な取り組み」との通達を行い、施設内感染総合対策として、一、抗生物質製剤の適切な使用法の徹底、二、施設内感染防止に関する教育・研修、三、施設設備事業の推進、四、施設内感染対策の指導の徹底、五、調査研究の推進の五点の実施を示しました。本県では、こうした状況を受けて、九月補正予算に院内感染対策推進のための予算三百八万八千円が計上されたところであります。
 そこで、保健環境部長にお尋ねいたします。
 一、九月補正でのMRSA等による院内感染対策推進の事業内容はどうか。
 二、県内の各病院におけるMRSAの保菌及び感染症の実態調査を実施されてはどうか。
 三、MRSA感染対策の決め手は消毒の徹底と感染者の隔離に尽きるとも言われていますが、施設設備事業の推進を今後どう対応されるのか。
 四、MRSAが世界で初めて発見されたイギリスでは、MRSAの検出率は日本の十ないし二十分の一と言われています。その原因は、感染対策専門の看護婦(ICN)の存在が大きいとのことであります。本県においてもICNの育成・設置を推進されてはどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、高校入試制度の改善についてお尋ねをいたします。
 文部省は、新しい学習指導要領の実施に当たり、中学校の九一年度入学者から指導要録の改善を実施してきています。改善の内容は、生徒の成績評価について、クラスや学年の中での位置を示す従来の相対評価から、学習目標にどこまで到達しているかを見る絶対評価中心に転換したことであり、この新しい様式では絶対評価の観点別学習状況を基本とすると最重視し、相対評価の評定は補完的なものと位置づけています。
 中学校では、必修教科は従来どおりの五段階相対評価であるものの、選択教科はABCの三段階絶対評価に変え、また観点別学習状況は、一、関心・意欲・態度、二、思考・判断、三、技術・表現、四、知識・理解の四項目を設定、本人の到達度をA(十分満足できる)、B(おおむね満足できる)、C(努力を要する)の三段階で記入するとしております。
 県教委は、中学校における新しい学力観に基づいた学習指導を生かし、偏差値に依存しない特色ある教育を推進するにふさわしい入試方法の改善を図るため、平成四年七月に高校教育改革検討委員会を発足、四年、五年の二カ年間、文部省の委託を受けて高校入試のあり方など県外調査を実施しながら研究してきたところであります。こうした取り組みの結果、県教委は九月十日、昭和四十三年以来二十五年ぶりに大幅な入試の改善を実施しました。
 入試改善の概要は、一、調査書に観点別学習状況の欄を新設する、また部活動やボランティア活動の記載の充実、二、学力検査は五教科各百点満点を基準とし、学科によって傾斜配点を導入する、三、合否判定基準は学力検査、評定、観点別学習状況等、特別活動及び校内外の活動等とする、四、推薦入学の充実、以上の四点を挙げております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、今回の大幅な改善の目的は何か。また、平成六年度実施に向けて高校、中学校にどう徹底されるのか。
 二、合否判定基準に四つを挙げていますが、学力検査や調査書の評定のいわゆる生徒の学力と、今回新たに取り入れられる観点別学習状況とクラブ活動などの諸活動を総合的にどう評価して合否を判定するのか。
 三、傾斜配点、作文及び小論文の実施、推薦入学者の数の決定は早急に必要と思うが、どう対処するのか。
 四、佐賀県では来春の入試で普通科を前期・後期の二回に分けて実施し受験機会の複数化を図るとの報道がありました。本県でも、教育長より二月議会で受験機会の複数化を検討している旨の答弁がありましたが、導入についての考えはどうか。
 五、高校四十人学級の実施や入試制度の改善の実施により各学校の募集人員の決定、発表への対応はどうか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、和歌山高校おける総合学科の設置についてお尋ねをいたします。
 平成三年四月の中央教育審議会答申では、一人一人の子供の個性を生かし特色ある高校教育を実現するため、学科制度の再編、新しいタイプの高校の設置の奨励、単位制を活用した選択中心の教育課程の編成など、広範囲な提言が行われました。
 本年二月、文部省は「高等学校教育の改革の推進について」で高校の学科制を見直し、普通科と職業科を総合する総合学科を六年度から新設することで生徒の個性に応じた教育の多様化や進路の早期方向づけを図る方針を打ち出しました。本県においても、高校への進学率が九五%を超し、入学してくる生徒の特性や進路等において多様化が進み、高校教育を取り巻く状況は大きく変化してきております。
 こうした変化に対応するため、県教委は六年度から和歌山高校に総合学科を設置することを九月二十一日に発表しました。この結果、和歌山高校は現在の普通科五学級二百人と情報科学科二学級八十人の募集を停止し、定員二百人の総合学科のみの学校になる予定であります。
 総合学科の特色としては、将来の進学・職業選択を視野に入れた七系列を生かした指導や実験、実習など、体験的学習を重視いたします。また、現在の一クラス四十人をさらに少人数化して二十数人を一クラスとするきめ細かい指導が可能になります。加えて、無学年制を取り入れ、学年に関係なく授業が受けられ、必須科目三十八単位と総合選択科目などを合わせて三年間で計八十単位以上取得すれば卒業できるのが特色となっております。総合選択科目群には、情報科学系、工業技術系、流通管理系、美術・工芸系、体育・健康系、語学・文化系、自然科学系など七系列があり、生徒がみずからの適性能力、興味、関心、進路希望に応じて選択できることになっております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、高校の第五次教職員配置改善計画において新しいタイプの高校への教員の改善計画がありますが、総合学科の新設に対して、少人数クラスや多くの選択科目を担当する教職員の配置と確保をどう進めるのか。
 二、九月補正で総合学科実習棟の設計委託及び六年度債務負担行為が計上されていますが、実習棟の概要はどうか。
 三、和歌山市の六年度中学校卒業者数は、北学区で前年比マイナス九十七人の二千九百三十四人であります。和歌山高校に総合学科が新設され、普通科五学級二百人の募集停止となります。単純に計算いたしますと、九十七人減により二学級減となれば、北学区で普通科三学級分の増員が必要となるわけでありますが、どう対応されるのか。
 四、総合学科の趣旨や特色について、生徒、保護者、教師など、県下の中学校関係者にどう理解を得ていくのか。
 以上四点お尋ねいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) 議事の都合により、この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十五分休憩
  ──────────────────
  午後一時四分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 午前中の新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 第一点の、景気対策についての入札制度の問題と公共工事の速やかな実施についてでございます。
 公共事業の執行については、上半期目標契約率八〇%を掲げてございまして、これが達成のために総力を挙げて取り組んでいるところでございます。上半期末の契約率については現在集計中でございますけれども、八月末の契約率は六六・八%となっておりまして、上半期の目標率八〇%はほぼ達成できるものと考えております。
 景気対策としては、さらに今議会に百七十一億円の補正をお願いしているところでございますが、これの執行に当たっても、年度内の完成を目指して全力を傾注してまいりたいと思っております。
 さて、いわゆるゼネコン汚職につきましては、まことに遺憾なことでございます。摘発を受けた入札参加業者に対しては、指名停止の措置を講じております。今のところ、これら指名停止措置により本県の公共工事の発注に支障が生じたということはございません。ただ、公共工事の入札制度の見直しについては、入札・契約制度検討委員会を設けて検討しており、今年末までに手続の細部をまとめ、大規模工事において制限つきの一般競争入札を一部試行していきたいと考えておるところでございます。新しい制度のために入札なり契約事務に従来よりも時間を要すると考えられますけれども、事業執行については影響が少ない形で実施してまいりたいと思っております。
 次に、黒潮ネットワークの整備促進でございます。
 ご指摘のとおり、近年、情報化の進展は目覚ましいものがございます。こうした現況でございますので、県民の福祉の向上と地域の活性化については重要な課題でございます。
 黒潮ネットワークについては、行政の情報通信や県民への行政情報の提供のために利用してございますけれども、本年度は特に、高度情報化に対処するための県内各拠点を結ぶ高次ディジタル化を実施することにしてございまして、県民の利便性を図るため、和歌山、田辺に加えて新宮もそうしたアクセスノードにする予定で現在進めておるわけでございます。今後とも、県内外のネットワークの拡充と情報発信機能の整備充実になお一層努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、地方拠点都市地域の情報整備促進についてでございますけれども、去る八月六日に田辺・御坊地域を指定したわけでございます。現在、十八市町村で構成する協議会において、地域情報化の推進を含めた基本計画づくりを進めている現状でございます。
 議員ご指摘の地域情報化の推進については、多様な施策がいろいろ考えられるわけでございますけれども、基本計画に位置づけられた事業に対しては県としてもその具体化に積極的に努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 平成五年度の県税収入の見通しはどうかとのご質問でございますが、平成五年度の県税収入については、当初見込みに際して法人二税等で落ち込みが予測されることなどから、前年度当初比九二・四%、七十六億円減の九百二十九億円を計上したところでございます。
 本年八月末現在の調定状況は対前年同月比九六・三%で、全体として当初見込み程度に推移しております。しかしながら、円高等の影響を受け景気が低迷する中、今後も厳しい状況が予測されるなど、税収確保は予断を許さない状況でございます。このような状況にかんがみ、予算の確保に向け、賦課・徴収両面にわたり、より一層努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 新田議員にお答えをいたしたいと思います。
 景気対策のうち、まず振興資金及び特別融資の貸し付け実績でございますが、長引く景気の低迷により売り上げの減少を来し、極めて厳しい経営状況になっている中小企業者の資金需要にこたえるため、平成五年度当初予算で低利の緊急経営資金特別融資を融資枠四十五億円で創設するとともに、中小企業振興資金の融資枠を二百八十五億円に拡大するなど、対策を講じたところでございます。
 議員ご質問の貸し付け実績についてでございますが、中小企業振興資金で本年四月から八月末までの新規の貸し付け状況は、平成四年度の同時期と比べ、件数、金額ともに約一・四倍の八百五十三件、八十九億五千七百万円、貸付総額としては二百七十四億四千万円となってございます。また、新たに創設した緊急経営資金特別融資については、同じく四月から八月末までの状況で二百六十八件、三十三億四千七百万円となってございます。このような利用状況や急激な円高や冷夏等の現状を踏まえ、今議会に融資枠の拡大をお願いし、中小企業金融の円滑化を図ることといたしてございます。
 次に、保証の弾力的活用と貸出金利の引き下げでございますが、まず信用保証協会の保証の弾力的活用については、国が指定する特定業種等に該当する中小企業者については一般保証に別枠保証を加え、倍額まで活用できることとなります。また、信用保証協会においては、中小企業者から別枠保証の活用申し込みがあった場合、その趣旨を十分踏まえながら弾力的に対応するとともに、保証料の軽減も行い、中小企業金融の円滑化に取り組んでいるところでございますが、県としても信用保証協会に対して、引き続き個別企業の実情に応じて弾力的な保証を行っていくよう指導しておるところでございます。
 また貸付金利の引き下げについては、十月一日から長期プライムレートも引き下げられましたので、早急に貸付金利の引き下げを実施すべく、現在検討をいたしておるところでございます。
 続いて、有効求人倍率と中高年齢者の雇用対策でございますが、本県における雇用失業情勢を見ると、景気低迷の影響を受け、昨年十一月の有効求人倍率は三年二カ月ぶりに一倍台を下回り、以降、低下傾向で推移し、本年八月には〇・七四倍と低下しております。また、今後の見通しについても、円高の進行など景気の先行き不安感に依然不透明な部分も多く、また一般的に雇用の回復は景気の回復よりさらにおくれる傾向があることから、雇用失業情勢は今後とも厳しい状況が続くものと予想され、一層注意すべき状態にあります。
 このような状況を踏まえ、雇用調整助成金を活用することにより企業の雇用維持努力を支援し、失業の予防に努めているところでございます。また高齢者等の求職者については、きめ細かな職業相談を行うとともに、雇い入れ時の各種助成金などの活用を図りながら求人開拓を実施し、早期就職の促進に努めてまいります。
 最後に、新規卒業者の求人状況と採用拡大についてでございます。
 平成六年三月新規高等学校卒業者の求人受理状況については、七月末現在で求人数は一万九千三百九十八人、うち県内求人は九千七百六十四人、学校等の紹介による就職希望者は四千五十三人、求人倍率は四・七九倍となっております。景気低迷の影響を受けて、昨年同時期に比べて求人数では三六・八%の減、うち県内求人は昨年同時期に比べ三四・三%の減、また求人倍率では二・〇六ポイントの減となっております。
 このような状況を踏まえ、新規学校卒業者の就職は、学生生活から新たに職業生活に入る人生の大きな転機であり、特にその円滑な就職を促進することが重要であることから、県としても去る十月一日付で、商工労働部長名をもって県内七十二業種・団体あてに文書により求人の確保について要請を行ったところでございますが、今後とも教育機関との密接な連携のもとに新規学校卒業者の求人の確保に努力してまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地域情報化計画に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、県下のディジタル化率の推進でございますが、情報通信基盤の整備を進める上では、光ファイバーや各種設備などハード面の整備と、情報発信やその利用などソフト面の整備との調和のとれた施策の展開が重要であると認識してございます。このうち、ソフト面の整備は自治体や企業、県民の創意や活力に負うところが大きく、ハード面の整備についてはNTT等の通信事業者に負うところが大きいわけでございます。
 NTTによる県内のディジタル化については、都市部においては平成三年度に整備がおおむね完了し、他の地域についても西暦二〇〇〇年を目途に順次整備が進められているところでございます。県としても、NTTとの間で情報連絡会を昭和五十九年以来定期的に開催し、情報交換やハード面の整備に関する要請等を行っております。今後さらに積極的に早期整備を働きかけてまいるとともに、ディジタル通信の需要喚起にもつながる各種施策の一層の推進に努めてまいる所存でございます。
 次に、KI-Linkシステム推進についてでございますが、黒潮ネットワークを活用した行政情報システムの整備については、既にパソコン通信のWave-Netや生涯学習情報システムの開発運用をしており、財務会計オンラインシステムなど五つの業務の行政内部のシステムについてもこれを活用して運用しているところでございます。今後、リゾート観光情報、技術や人材などの産業情報、教育文化情報など、種々のシステムについても、関係部局と連携をとりながら順次整備を進めていきたいと考えております。
 次に、KI-Linkについては、複数の情報システムをコンピューターにより一元的に利用できるようにする情報案内システムを構築するため、本年度についてはまずWave-Netや生涯学習情報、図書館情報、中小企業情報等について、その利用の便を図ってまいる予定でございます。今後さらに、提供情報の拡大、情報の所在案内機能の追加等、KI-Linkの総合案内機能の拡充発展に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、電気通信格差是正事業の推進についてでございますが、電気通信格差是正事業の一つでございます移動通信用鉄塔施設整備事業は、国、県の財政支援を受けて市町村が鉄塔等の整備を行うことにより、自動車電話や携帯電話の利用可能エリアを拡大し、地域間の情報格差の是正を図るものでございます。県としては、事業主体である市町村に適切な助言と指導を行う等、本事業の実施に積極的に対応してまいる所存でございます。
 また、民放テレビ放送難視聴解消事業は、国、県の財政支援を受けて事業主体として昨年設立された社団法人和歌山県放送中継施設整備センターまたは市町村が中継局や共同受信施設を設置することにより、地形的な要因による民放テレビ放送の難視聴を解消する事業でございます。平成四年度には田辺市と南部川村の境に中継局を設置しており、また本年度は川辺町に共同受信施設の設置を決定してございます。今後とも、国や事業主体と十分な調査を図りつつ積極的に取り組んでまいる所存であり、来年度についても引き続き県内数カ所において共同受信施設の設置を検討いたしているところでございます。なお、民放中波ラジオ放送受信障害解消事業についても、本年度、日置川町において中継局の設置を予定しているところでございます。
 最後に、リサーチダイヤモンド計画の推進についてでございます。
 和歌山大学、近畿大学、工業技術センター等の研究開発拠点において、研究機能の強化や人材育成機能の充実を図るとともに、これらの拠点を相互に連携しながら、地域産業の高度化、先端産業、知識集約産業の集積を進め、創造的技術開発エリアの形成を図るリサーチダイヤモンド計画を推進しているところでございます。
 現在、関西地区の大学を結ぶオリオンズネットワークが和歌山大学まで接続されておりますが、これら大学と県内研究機関の学術研究交流を図るため、本年度において県庁及び工業技術センターと和歌山大学とのネットワーク接続を予定しており、大学側と協議を行っているところでございます。今後は、県内の学術研究開発情報の活発な交流を推進するため、黒潮ネットワークなども利用しながら、それぞれの拠点を結ぶ情報ネットワークの形成を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 新田議員ご質問のMRSAの院内感染について、今回補正予算をお願いしている院内感染対策事業の内容ですが、看護責任者を中心とした院内感染対策講習会を県下三カ所で開催する経費及び病院、診療所等の医療機関、社会福祉施設等で活用していただくための院内感染対策マニュアル作成に要する経費をお願いしているものでございます。
 続いてMRSAの保菌及び感染症の実態調査ですが、MRSA感染症等の問題は、医療現場における患者と医療関係者との信頼関係に深くかかわる問題であります。県においても、国の通達に基づきその指導を強化しているところであり、本年度の医療監視時においても県独自に院内感染防止に関する取り組み状況について調査中であります。議員ご提言の感染症患者の実態調査についても、国等の動向を見きわめながら今後検討してまいりたいと考えております。
 次に病院、施設における感染予防の施設対策ですが、院内感染防止の最も重要なことは、議員のご指摘のとおり、予防対策と伝播阻止対策で、具体的には流水による手洗いの励行や院内消毒及び隔離等の環境対策等であると考えられ、これらの対策を医療機関へ周知徹底を図っているところであります。今後さらに、院内感染防止に関する教育・研修の充実、院内設備の充実についても指導していきたいと考えます。
 最後の、インフェクション・コントロール・ナース(ICN)と呼ばれる感染症対策専門の看護婦の育成・設置についてでございます。
 現在のところ国においても法制化の動きはございませんが、県としては、本年度実施する院内感染対策講習会において積極的に看護職員の参加を求め、MRSA等の院内感染に対する識見を有する看護婦の育成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高校入試制度の改善と総合学科設置について、合わせて九点についてお答えいたします。
 まず入学者選抜の改善についてでございますが、第一点目の改善の目的については、生徒の能力、適性、興味、関心及び進路希望等が著しく多様化する中で、新学習指導要領に基づき、知識偏重の学力観を改め、みずから学ぶ意欲と思考力、判断力、表現力を重視した新しい学力観に立って、生徒一人一人の個性や可能性等を多面的に評価することを目的として、入学者選抜のあり方の改善を図ったところであります。
 また、その趣旨の周知についてでございますが、例年よりも一カ月以上早く入学者選抜実施要項を発表するとともに、県立学校長会、地方教育事務所長会等を開き、改善の趣旨と内容を説明してきたところでございます。さらに、今月中旬から、中学校の校長及び担当者を対象に地方別の進路指導研究協議会を開催し、周知徹底を図ってまいる所存でございます。
 第二点目の合否判定については、今回の改善において、学力を初め文化、スポーツ等の学校内外における諸活動を積極的に評価するため改定した調査書の観点別学習状況などの記載事項、及び学力検査の成績に基づいて、総合的に合否判定をすることとしてございます。
 第三点目の選抜方法については、職業学科及び専門学科において、学科の特色を発揮した選抜の実施を可能にするため、傾斜配点や推薦入学者数など学校長の裁量を大幅に広げたところであります。各高等学校ごとの選抜方法は今月中旬に県教育委員会において取りまとめ発表するとともに、地方別進路指導研究協議会等において各高等学校から中学校に説明することとしてございます。
 第四点目の受験機会の複数化については、今後、和歌山県高等学校教育改革推進検討委員会において引き続き検討してまいりたいと考えてございます。また、平成六年度の募集定員については、四十人学級実施の課題などを踏まえ、昨年より一日でも早く発表したいと考えてございます。
 次に、総合学科についてお答えいたします。この総合学科は、全国で初めて設置するものであります。
 第一点目の教職員の確保についてでございますが、基本的には現有の教職員をもって対応したいと考えてございます。このほか、各選択科目群ごとに資質、力量を備えた教員を配置できるよう全県的に検討するとともに、社会人講師の導入をも含めた非常勤講師の確保に努め、教職員の研修の機会を設けることなどにより授業の充実を期してまいります。今後、総合学科の趣旨が十分達成されるよう、国の第五次教職員配置改善計画と関連づけながら、定数の確保に努力する所存でございます。
 第二点目の実習棟についてでございますが、多様な選択科目群に対応するため、大きく分けて工業系、商業系の実習室、その他職員室等を含めた施設で、四階建て約二千平米として計画してございます。
 第三点目は北学区における普通科の定員についてでありますが、募集定員の決定に当たっては、各通学区域の中学校卒業生徒数の推移、高校入学状況、私学の振興及び地域の状況等を踏まえ、総合的な観点に立って慎重に検討してまいりたいと考えます。
 最後に、総合学科設置について周知徹底を図ることについてでありますが、先日、報道機関を通して学科の新設について発表するとともに、学科の内容について県内の中学校の校長、教職員及び保護者や行政関係者を対象として説明会を開催したところであります。また、今月中旬から県下の八地方において進路指導研究協議会を開催し、総合学科について周知徹底を図っていく予定であります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番新田和弘君。
○新田和弘君 答弁をいただきましたので、二点、要望させていただきたいと思います。
 まず第一点でございますが、景気対策の問題でございます。
 知事は、今議会にも百七十一億に上る大型補正予算を計上されて、景気対策にかける意気込みを示されておるわけでございます。当初予算の計上、六月の大型補正、そして今回の大型補正と、いわゆる県単独事業を含めた公共工事の確保によって県内経済の活性化を図ろうと意図されておると思うわけでございますが、先ほどの答弁でもございましたとおり、いわゆるゼネコン汚職や談合等の問題によって、こういった予算化された公共工事が実施の段階、契約発注段階で非常に時間を要してくるし、またそういったことで先送りになってくるという危惧が高まっておりますので、せっかくこういった大型予算を計上しながら執行残になってしまうということのないよう、ひとつ格段のご努力を願いたいと思います。疑惑を招くような入札のないよう、特段のご努力をお願いいたしたいと思います。
 第二点目でございますが、今回、教育委員会の方で、高校入試制度の大幅な改善、そして全国初の総合学科の設置と、新しい方向を目指す諸制度の改善がなされるわけでございます。こういった改善につきましては、やはり一にかかって高校側、また中学校側、生徒父兄の理解を得ていくことが非常に大事な問題ではないかと思います。
 先ほどの答弁の中でもそういった趣旨の理解・徹底のためにご努力をされる旨のご答弁がございましたが、せっかくいい改革をしても趣旨の徹底が不十分であった場合に効果があらわれないということにもなりかねないと思います。
 せっかくこういった大きな改革をやられるわけでございますので、そういった趣旨が学校関係者や県民の皆さんに十分ご理解いただけるよう、特段のご努力をお願いいたしたいと思います。
 さらに、本日の昼休みにも和歌山市の中学校のPTA連合会の方から陳情がございまして、和歌山市内における普通科の定員確保等についても大変ご要望がございましたので、あわせてこういった確保についてもご努力をいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番阪部菊雄君。
  〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 平成五年九月定例議会の一般質問初日に、お許しを得まして一般質問をさせていただきます。
 今まさに、一大変革と激動の渦中で世界の各国国民はあえいでおります。ロシアでは、大統領派と議会派が銃撃戦を行ったような始末でございます。また中国、ヨーロッパ各国、中近東等、世界至るところで極めて不安定な厳しい様相になっております。
 しかし、共存こそ生き残りの唯一の道として決裂寸前で和解を選択したイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)とがワシントンにおいて、クリントン大統領の肝いりで、歴史的な「共存しなければ生きられない」という現実的な認識でぎりぎりの場面で破局を回避させたということは、ちょっぴり明るいニュースでもありました。
 想起すれば、我が国も、バブル経済は物の見事に崩壊し、今や全国にさまざまな悲劇と、反面また忌まわしい汚職事件が頻発いたしております。ゼネコン献金は、前国会議員・金丸事件、茨城・宮城両知事、仙台市長等の収賄事件等々、数々が発覚。あってはならない、やってはいけないことであります。ゼネコンの魔手はあらゆる分野にバチルスのごとく侵入しております。国会議員、地方自治体首長、市町村にまで列島汚職・収賄の悲しむべき事件に、まじめな国民大衆の強い憤激を買っております。
 仮谷知事、県勢を浮揚させようという大事業、マリーナシティ建設と世界リゾート博、コスモパーク加太、南紀白浜空港、医科大学の移転等々の大事業がメジロ押しにやってきております。本県も県勢発展のため大きな投資が進行中であります。
 さて、ゼネコンに係る収賄事件は、建設業界の談合を招く原因・指名競争入札制度にあると思考され、連日、政府または都道府県、県庁所在地の市長のほとんどが、制度自体に問題があるとして、行政措置として既に改善策を講じたか具体的な検討中であることが明らかになりました。
 ちなみに、ゼネコン献金は二十七自治体で、ないということであります。当県もそのようであります。県や和歌山市の入札制度見直しの状況は、一部の新聞で報道されております。しかし、尾崎吉弘議員、新田議員に対するご答弁がありましたので、私には答弁不要でございます。
 さて、国政も大きくさま変わりいたしました。政治改革法案の流産、内閣不信任案採決強行、平成の大乱は自民党の分裂で連立時代に突入し、細川内閣が成立となりました。俵孝太郎の「細川内閣が空中分解する日」という「正論」十月号、細川政権の衝撃特集にこんなことが書いてありました。
 新生党の羽田氏にかわって突如として細川氏の名前が出たとき、俵氏いわく、「私が反射的に浮かんだのは、金丸・小沢の直系の羽田では連立政権が成立しない。恐らく社会党が反対するであろうということで、小沢は、細川をトップに据えた内閣なら国民に人気が出るに違いない」──まさにそのとおり、内閣総理大臣に選任されました。さらに俵氏は、「頭八つに分かれた与党が歩調をそろえて進むのは容易なことではない。足並みの乱れはあらゆる局面で起こってくると見てよかろう」と看破しております。
 さて知事、ゼネコン汚職、収賄事件多発の現状から、去る十九日、武村官房長官が茨城県での街頭演説で首長の多選禁止の検討と地方自治法の改正を含めてその必要性を強調いたしております。一方、臨時行政改革推進審議会(第三次行革審)による十月のまとめの最終答申には、「首長の多選は住民の意思により排除することが望ましい」との間接表現で、事実上多選抑制を項目に盛り込む方針であります。また、社会党の山花政治改革担当相は「多選弊害があり、法改正を前向きに検討する」と発言しております。
 私は、他府県は別といたしまして、仮谷知事は第一期目から第五期に至る間、血のにじむような思いで今日の県勢浮揚に最大の努力と英知を傾注してまいりました。仮谷知事はこうした発言をどのように受けとめておられるのか、率直な感想をお聞かせいただきたいのであります。
 私は、それは県民が選ぶものだと思っております。また、三日の産経新聞によると、多選禁止には知事の八割が反対、政令市長八人も反対とのことであります。賛成いたしておるのは、県知事では岩手、群馬、大阪、政令都市では仙台、横浜、川崎であります。しかし、反対すること、それは当然のことと思うのであります。
 次いで、企画部長にお尋ねいたします。
 二十一世紀を展望した県政の大型開発プロジェクトは、そのほとんどが企画部の立案に基づくものが多いのであります。コスモパーク加太計画についてお尋ねいたします。
 平成三年九月定例議会の一般質問で、本問題について前企画部長の在職中にただしたことがあります。すなわち、この開発用地二百七十ヘクタールの中で、住宅などの面積を縮小して約三十ヘクタールを県の総合運動公園にしてはどうかということであります。答弁は極めて低音で、「県、市、県土地開発公社で構成する加太地域開発整備推進協議会において種々調査を重ねた。平成二年十一月、コスモパーク加太開発推進機構を設立。新しい町づくりを目指し、よりすぐれた土地利用計画を策定するため鋭意努力する」と答弁、全く私の質問に答えておりませんでした。
 さて、昨年九月の一般質問で、再度本件について県の総合運動公園として三十ヘクタールを中核として仮谷知事に計画の見直しを提言いたしました。頑固に拒否されないように部長の答弁を求めたわけであります。しかしながら答弁は、「貴重なご意見と受けとめさせていただきたいと存じます」と、全くその気なしの通り一遍の答弁でありました。
 部長、あなたは本年一月十二日、総務委員会かねてからの要請により、東急インにてコスモパーク加太土地利用基本計画について委員会の了承を求め、一月二十日前後に新聞に発表すると発言されました。委員全員から魅力ある町づくりのため検討を続けるべきだという意見があったことを思い出していただきたいのであります。
 あなたは、前部長の計画そのままに近い案で出してきておりました。また参画する十四社とは何の覚書もなく、拘束することすらありませんでした。また、参加されると思っていた十四社──現在一社が辞退されて十三社──も、今回のバブル経済崩壊で完全に撤退されていたのであります。いかがでしょうか。それでもこの大不況下で「待てば海路の日和あり」とのんきに構えているのではないでしょうか。私は特に、計画の大幅見直しを推進協議会に答申する考えありや否や、ご答弁を願いたいのであります。
 さらにまた、現在、大阪地検特捜部に摘発、押収された和歌山市推進の大型リゾート開発・フォレストシティ計画の一件書類はどのようなものであったのか、現段階までの経過について詳細なるご報告を承りたいのであります。また、きのう市役所の方にも捜査されたようでございます。
 さて、次に土木部長、関西空港アクセス道路・阪和自動車道が着工から二十五年目で全線開通、和歌山バイパスの開通、まことにおめでとうございました。知事にも心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、京奈和自動車道橋本道路、県と市で二、三年後に着工へと前進しつつあるということであります。地域住民の利便、地域発展の起爆剤ともなります。現在までの進捗についてご答弁を賜りたいのであります。
 さらに、本年度国道に昇格成りました三路線の今後の整備改修の促進状況と、一昨年、一般質問で特に仮谷知事さんからご高配を賜った答弁をいただきました、伊都地方活性化につながる花園村─美里町へのトンネル構想と、九度山町慈尊院地区から紀の川架橋、高野口町国道二十四号線に連結する新しい道路構想について、該当するそれぞれの町村にどのような指導をなされているか、お答えいただきたいのであります。
 次に、商工労働部長にお願いいたします。
 現下、大不況のどん底に全国の大中小企業が生きるか死ぬかという厳しい危機に直面いたしております。日銀短観によれば、円高の影響と冷夏・長雨による売り上げ不振等により景気は実質底割れし、景気判断の分かれ目とされる五〇%を割り込んでおります。経企庁は全く経済音痴の寄り集まりのように、いまだに「景気は一進一退である」と、まさに無知をさらけ出しているのであります。
 全国の大手企業である自動車、ハイテク電器産業、鉄鋼産業、百貨店、スーパー等の売り上げ不振、紡績メーカー、繊維産業全般の大不況等による工場閉鎖、雇用調整による人員削減等々、リストラを通り越した生き残りのためのうめき声がちまたに満ちあふれております。これにより税収が大幅に減少することは理の当然であります。近畿地区の短観は、八月の時点でマイナス五二と全国最悪で、地方景気はさらに深刻さを増大させており、来春までに回復することは絶対あり得ないところであります。恐らく、ここ二、三年は世界的な奇跡がない限り回復することはないものと私は判断いたしております。
 私どもの伊都・橋本地方のパイル織物は、自動車用シートモケット、玩具、寝装品等々、深刻な窮地の中、悪戦苦闘をいたしております。発展途上国に追い上げられ、円高による輸入急増等々、到底太刀打ちのできない苦境に呻吟いたしております。
 県の助成措置として、工業センターの絶大なるご協力により再織の自動化が完成いたしました。産地振興課、工業センターの各位に心から厚く御礼を申し上げる次第であります。また、今般、国の集積活性化法によりパイル織物とその関連産業の活性化計画が通産大臣の承認を受け、県内での承認第一号となりました。新製品の開発や製品の高付加価値化に取り組む中小企業者に金融、税制両面からの支援をいただくことになりました。この活性化支援計画についてご説明をいただきたいのであります。
 こうした未曾有の大不況下、人減らし、雇用しない企業が県下で増大しつつあり、正常の人さえも働く企業が減少しつつあるとき、障害者、高年齢者の雇用は極めて厳しい昨今、県下の就職等の現況についてお尋ねし、さらにこの方々の雇用促進を企業に対してどのように対処しているのか等、詳細にご答弁いただきたいのであります。
 また、世界リゾート博と県内観光とをどのようにセットしてキャンペーンを実施するのか、具体的なその計画があればご答弁を願いたいと思います。
 次いで民生部長、平成二年六月の定例議会で全員賛成で可決されました議請第八十三号「伊都地方に心身障害者更生施設の設置について」は、民生部の重要な案件として積極的に取り組んでいただきたいと思います。特に、最近、市町村長さんの意向も極めて良好となりつつありますので、早急に再調整をしていただきたく、今後の考え方、進め方等について詳しくご答弁を求めます。
 また、急速に高齢化が進んでおり、当県は全国でも上位の高齢化社会になっております。これらの高齢者の方々の福祉と医療施設等の設置も、伊都・橋本地方にできるだけ早く実現できるよう特別のご配慮をしていただきたいと思います。これについては、門、平越、向井の三議員とともに念願して当たっておる次第でございますので、ご披露申し上げておきます。
 次いで保健環境部長、私は平成二年九月定例議会で酸性雨によるコンクリートの公共構造物への影響についてお尋ねいたしました。本年度の調査によりますと、強い酸性雨により樹木を枯死させたり、湖沼、土壌等、極めて濃度の高いものとなりつつありますが、現在はいかがなものでありましょうか。また、河川等の浄化についての対策はいかがでしょうか。
 さらに、エイズについてお伺いいたします。
 最近、アメリカではエイズ患者が三十万人を突破、既に六一%が死亡したと米防疫センターの六月末の集計で明らかにされました。また、アジア開発銀行はエイズの流行がアジア諸国の経済にどう影響するか調査研究し、将来予測を報告いたしました。報告によりますと、特に深刻なタイでは、エイズ感染者は三十五万人以上、その経済的損失は十九億ドルに達するといいます。また、感染者が百万人以上と推定されるインドや十九万人もいるというミャンマーでも、若年労働者を中心に急増いたしております。西暦二〇〇〇年には、世界のエイズ感染の中心はアフリカからアジアに移るのは確実との見方であります。恐らく、何らかの対策がなければアジアの経済に深刻な打撃となるであろうと報告されております。
 さて、県下の発生は現在何人でしょうか、また潜在患者を推定いたしましたらどれぐらいあるのでしょうか、ご答弁いただければありがたいと思います。
 次に教育長、教育の現場においてエイズについてどのような教え方をしておるか、これもお伺いする次第であります。
 さらに、県立高校の年間授業日数、授業時間について、私が平成三年九月の一般質問でお伺いし、その後、教育委員会、西川教育長の並み並みならぬご努力により相当改善されたと承っておりますが、その後の経過と改善実績について詳細ご答弁をいただきたいのであります。
 さらに、学校週五日制の定着と生徒、父兄の考え方について現在どのように推移しているのか、お答えいただきたいのでございます。
 また、高校一学級四十人定数の未実施九校について平成六年度より実施するかどうか、ご所見をお尋ねする次第であります。
 次いで、現在また問題化しつつある校則についてお伺い申し上げます。先日の新聞報道によると、私服で登校しておる生徒がおり、しかも修学旅行には私服での参加を主張しているようでありましたが、ここ一両日、制服で参加したというふうにも承っております。
 ところで、各学校には服装規定など校則があると思うが、ほかにどのような校則があるのか、それは絶対守らせるべきものなのか、校則の意義について学校では生徒にどのように指導しているのか、また校則について教育委員会は各学校にどのように指導しておるのか、お伺いするものであります。
 さて農林水産部長、ことしは大変な冷夏、長雨により農作物、果樹等に多大の打撃となりました。全国の稲作は戦後最大の凶作でありますが、県下の作柄はいかがでありましょうか。また、果樹や蔬菜等の作柄はいかがでありましょうか。
 さらにまた、関西空港は来年九月開港となりましたが、これに対応するフライト農業の育成はどう進捗しておるのか、お尋ねする次第であります。
 さて、終わりでございまするけれども、私は今が一番重要な県政の正念場だと思っております。仮谷県政に対して百八万県民は熱い願いを込めて見詰めております。しかし、仮谷知事の政策を推進するためのスタッフ、西口副知事、梅田出納長、中西知事公室長を初め各部の部課長、局長、職員の皆さんは、さらにお互い協力し、競輪の使い込み事件や元企画部長の職責利用のような、知事に迷惑をかけないようにさらなるご精励を切願いたしまして、第一回の質問を終わるものであります。
 ありがとうございます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 知事等の首長の多選禁止についてでございます。
 政治改革が、お話ございましたような大きな流れでございます。そうした中で、首長の多選を法律でもって規制しようという動きがあるということも私は承知しておりますし、また私に対してもいろいろなアンケート調査があるわけでございます。しかし、この問題は過去二回、昭和二十九年と昭和四十二年に規制のための法案が国会に提出されまして、種々の議論が重ねられた経過がございます。
 私は、四年に一度、有権者の信を問う現在の選挙制度、また地方自治制度のもとで、有権者の判断に任せるのが最善の道ではないかと考えております。しかし、いずれにしても、いろいろな政治問題、行政問題等があります。そうした中において、もし多選を禁止するとしたならば何を基準にやるべきか、また、地方自治制度、選挙制度、さらには我が国の政治の仕組みなどとあわせ、さらに広く国民の議論を掘り下げる必要があるのではないかとも思っておるわけでございます。
 指名競争入札の答弁はもう要らないということでございましたので、省略させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、コスモパーク加太計画の再検討についてのご質問にお答えをいたします。
 コスモパーク加太計画は、民間活力の導入を基本に町づくりを推進しているところでございまして、昨年十二月に推進機構で土地利用計画案を取りまとめたところでございます。かねてよりコスモパーク加太の土地利用計画については、阪部議員を初めとして県議会から種々のご提言をいただいているところでございまして、現在、推進機構において、昨今の予想を上回る厳しい経済情勢の動向を見きわめつつ、公共的利用も含め、あらゆる角度から再検討を行い、策定に向けて懸命の努力を続けているところでございます。
 次に、大阪地検特捜部摘発についてでございますが、大阪地方検察庁係官が去る八月四日に訪れ、和興開発株式会社に関する国土利用計画法違反容疑に関連した書類の閲覧を求めましたので、これに応じたところでございます。そして九月二十一日には、和興開発株式会社及び関係者に対し、国土利用計画法違反容疑により強制捜査がなされ、翌九月二十二日、同庁係官が再度来県し、国土利用計画法違反容疑に係る和興開発株式会社関係の土地売買届け出等の書類及び燦黒潮リゾート構想関係書類の提出を求められましたので、これに協力したところでございます。
 県といたしましては、今後の捜査の成り行きを見守ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず京奈和自動車道橋本道路については、平成元年度に事業化をされ、平成三年度から用地買収を進めております。現在、橋本市の真土、上兵庫、下兵庫、市脇地区で用地買収を進めておりますが、市内の各所に公図混乱があり、公図訂正をしながらその促進を図っておるところでございます。また高野口町については、現在、町において地籍調査を実施していますが、一、二年後にはこれを完了して用地買収に入れる予定と聞いております。今後、事業の促進を図るため、建設省に対して予算の拡大等、強く要望してまいります。
 次に国道昇格三路線の整備でございますが、本年四月に三路線、百七十九キロメートルが国道となりました。平成五年度において、国道三百七十号では改築事業二工区、特殊改良事業一工区、国道四百二十五号では特殊改良事業一工区、また国道四百八十号では改築事業一工区、特殊改良事業七工区で事業の促進を図っております。残る未改良区間についても、現在事業中の箇所の進捗状況を見ながら早期整備に努力をしてまいります。
 次に、橋本・伊都地方の活性化対策としての問題でございます。
 まず、花園村─美里町のトンネル構想でございますが、これは町村道花園長谷線で、花園村側で約三・二キロ、また美里町側で約六・〇キロメートル、全延長で九・二キロメートルの道路でございます。現在、両町村において公共事業でそれぞれ一カ所ずつ事業中であります。当該区間全体計画の一部として花園村においてルート等の調査を行っておりますが、美里町側での調査がおくれている状態でございます。当区間は地形が非常に険しく、長大トンネルとなることから、技術的にも予算的にも厳しい状況でありますので、今後、事業手法等も含めて両町村と相談をしてまいりたいと思います。
 次に、九度山町慈尊院地区から紀の川架橋を含め国道二十四号に連結する新しい道路構想については、現在ご要望の付近は紀の川の左右岸の道路整備がおおむね完成をしたところでございます。現在、京奈和自動車道のインター関連として町道八号線の改良を県が代行事業として進めており、さらにこの代行区間の北側についても町事業として整備を推進いたしております。
 架橋構想については、膨大な事業費が必要なこと、さらに九度山橋から約一・四キロメートルと比較的近接をしておること等から、早期には実現が困難であろうかと考えておりますけれども、地域の将来の課題として両町間において取り組んでいく必要があると考えられます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 地場産業の活性化、振興対策及び障害者、高年齢者の雇用についてお答えをいたします。
 県内の地場産業の状況は極めて厳しいものがございますが、議員お話しのとおり、橋本・伊都地方を中心とする特殊織物業界はとりわけ厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 当業界の活性化を図るため、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法に基づき、橋本・伊都地域の活性化計画を策定し、本年七月に国の承認を得たところでございます。この計画では、パイル織りの技術を生かしつつ、難燃性、抗菌性、防音性等の機能を付加した新商品の開発を進め、新しい分野への進出を図ることとしてございます。また、両面毛布製造過程での自動化装置の開発等についても取り組むところでございます。今後とも、工業技術センターを中心に関係業界と一体となって特殊織物業界の振興に努めてまいりたいと考えております。
 続いて、障害者の雇用については、雇用率制度に基づく雇用の確保を中心に各種の施策を積極的に展開しているところであり、本県の平成五年六月の調査では、民間企業での実雇用率が一・九三%と前年に比べ〇・〇二ポイント増加しており、雇用情勢全般が悪化の中にあっても着実に改善しつつございます。しかしながら、企業規模別、業種別には格差が見られるとともに、とりわけ重度障害者を中心に雇用の立ちおくれがございます。したがって、今後とも事業主などへのさらなる理解と協力を求めてまいりたいと考えてございます。
 一方、高年齢者の雇用については、六十歳定年の完全定着を目指すとともに、六十五歳までの継続雇用の推進及び定年退職後における臨時的、短期的な就業の場の確保などに社団法人高年齢者雇用開発協会との連携のもとに雇用促進大会を開催するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
 最近の雇用失業情勢を見ますと、景気低迷の影響を受けて有効求人倍率は低下傾向で推移しており、雇用情勢が一層厳しさを増す中、障害者、高年齢者の就職についてきめ細かい職業相談を行うとともに、雇い入れ時の各種助成金制度の活用を図りながら求人開拓を実施し、さらに早期就職の促進に努めてまいる所存でございます。
 最後に世界リゾート博と観光PR活動についてでございますが、世界リゾート博に向けて首都圏、中部圏、近畿圏においてテレビコマーシャルの放映を実施するとともに、新聞、雑誌など種々の広告媒体の活用やイベントの開催などを通じ、強力にPR活動を行っているところでございます。また現在、JR各社及び市町村等と共同で全国の主要駅においてキャンペーンを展開中でございます。一方、関西国際空港の開港を控え、オーストラリア、シンガポール、韓国などでのPR活動も行っているところでございます。
 これら広告宣伝活動を通じ、世界リゾート博の告知宣伝はもとより、県下の各観光地のPRを行い、この機会に博覧会に来られた方々にさらに県内観光地へお越しいただき、歴史・文化に彩られた本県のすばらしさを認識していただきたいと考えてございます。なお、去る六月中旬には全国から約三百名の旅行エージェントの方々にご参集をいただき、全国宣伝販売促進会議を開催し、博覧会会場を中心として県下の観光地を結ぶ旅行商品の企画を依頼したところでございます。
 いずれにしても、博覧会を契機に本県の観光振興を図るため、今後とも宣伝活動を積極的に進めるとともに、誘客に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 阪部議員の障害者、高齢者施設の整備についてお答えをいたします。
 まず心身障害者更生施設の整備でございますが、近年の障害の重度化、障害者の高齢化にあわせ、また保護者の方々の高齢化も問題となってございまして、施設の充実は重要な課題と考えてございます。
 伊都地方における障害者施設の整備については、議員のお話のとおり、平成二年六月の県議会において請願を採択していただき、関係市町村並びに伊都地方心身障害児者父母の会等の意向を聞きながら検討してまいりましたが、現在、伊都地方市町村等において設置場所、運営主体について協議されていると聞いてございます。
 県としては、地域性、ニーズ等から紀北地方での施設配置の必要性は承知をしておりますので、今後、地元の協議の結果を踏まえ、関係市町村並びに父母の会等とさらに協議を重ねてまいりたいと考えてございます。
 次に高齢者施設についてでございますが、高齢化が進む本県においては、高齢者対策は県政の重要な課題であります。このことから、全国に先駆けて老人保健福祉計画を本年五月に策定し、平成十一年度末までの保健福祉サービスの目標を設定したところでございます。
 今後は、サービスの実施主体である市町村と連携しながら目標の達成に努力してまいりたいと考えていますが、なお伊都・橋本地域の高齢者施設についても、この計画に基づき漸次整備を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 阪部議員ご質問の酸性雨、河川浄化等の環境対策ですが、酸性雨については、平成元年から衛生公害研究センターで測定を行っており、平成四年度では平均pH四・九でございました。環境庁がまとめた昭和六十三年から平成二年までの全国のpHを見ると四・三から五・三で、和歌山の酸性雨は弱い方にあると思われます。
 また河川の水質汚濁については、県内の十九河川の水質調査及び中小七十一河川の水質調査、並びに排出源の調査等を行っており、この結果、工場等の排出源は規制等により減少し、生活排水系の汚濁が増加しています。このため、水環境保全啓発事業等や環境教育推進事業を行うほか、地球環境保全普及啓発事業を行うこととしております。
 続いて県下のエイズ感染と予防対策ですが、最近のエイズ患者・感染者の状況は、ことし一名の感染者の報告がございました。この感染者は三十歳代の外国人男性で、現在までの県内の患者・感染者数は四名となりました。しかし、これは本人の意思で検査を受けて感染を確認された人であって、議員ご指摘のとおり、厚生省の研究によると現実の感染者数は報告数の八・七倍と推計していることからも、潜在的感染者の存在が懸念されるところです。
 エイズ予防対策としては、正しい知識の普及と患者・感染者に対する偏見や誤解をなくすことが大切であります。保健環境部としてもこれらのことを踏まえ、各種民間団体等を含めた和歌山県エイズ予防啓発特別促進協議会をこの七月に設置し、各分野からのご意見をいただいて啓発普及を積極的、総合的に推進しているところです。
 また、保健所における相談や現在実施しているHIV-1型検査に加え、この十月からHIV-2型の検査を実施し、検査体制の充実を図るとともに、受け入れ病院についても医療従事者の研修を実施する等、積極的な体制づくりを推し進めているところであります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 阪部議員にお答えいたします。
 農林業振興対策のご質問の、まず本年の稲作の状況でございますが、本年は冷夏、豪雨、日照不足に加え、台風の襲来や秋雨前線の影響等で水稲や果樹、野菜等、農作物への影響が懸念されてきたところでございます。
 水稲の作柄については、北海道、東北、九州地方を中心に冷害やいもち病などにより著しい被害をもたらしてきたことから、去る九月三十日、農林水産省が発表した全国の作況指数は「著しい不良」の八〇、本県は平年をやや下回る九七となってございます。今後、収穫最盛期を迎え、適期刈り取りと適切な乾燥調整により品質の向上を図るよう指導してまいります。
 なお、全国的な作況指数の低下による米の品不足が予想されることから集荷の大幅な落ち込みが考えられるため、食糧事務所、市町村、農業団体など関係機関と連携をし、有線放送、チラシの配布などによる集荷の促進に努めているところでございます。
 次に、果樹、蔬菜等の作柄についてでございますが、桃については長雨による落果や腐敗果等が発生し、作柄は前年対比八五%の一万千九百トンとなってございます。また温州ミカンについては、現在、果実の肥大は順調で、前年対比一〇二%の二十二万九千七百トン、柿については前年対比一〇三%の五万六千五百トンが見込まれてございます。また蔬菜、花卉の作柄については、キュウリやトマト、ナスなどの果菜類や菊、バラ等の生産量は前年に比べやや減少となってございます。
 今後とも引き続き、気象の推移や生育状況等を的確に把握しつつ、栽培管理の徹底や計画的厳選出荷等、生産販売対策について適時適切な指導に努めてまいる所存でございます。
 次に、フライト農業の現況でございます。
 関西国際空港等の立地に対応したフライト農業の育成については、これまで施設栽培を軸として、各種の補助事業や制度資金を活用しながら、品質の高い農産物を安定的に供給することを基本として推進してきたところでございます。現在までにトマトの養液栽培を初め、桃、柿のハウス栽培やバラ、カーネーション等、百二十ヘクタールの計画に対して八十五ヘクタールの施設園芸団地が形成されているところでございます。
 一方、県産農産物の機内食への供給については、大阪空港出発便では既に県産ジュースが機内食として採用されており、関西国際空港においても議会の協力をいただきながら、農業団体と一体となって積極的に働きかけてきたところ、既に機内食供給会社二社が現地工場調査を行うなど、明るい見通しと判断してございます。
 今後とも引き続き、本県の地域特性を生かしながら、年間を通じて供給できる産地体制の整備と、既に設置している県農協連の特需センターや花卉流通センターの機能強化、また生鮮野菜を中心とした加工施設の整備とあわせ、空港周辺需要や機内食供給などの販路開拓等、総合的な施策を講じながら、フライト農業の展開に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) エイズ教育と教育振興についてお答えいたします。
 エイズ教育についてでございますが、エイズは潜伏期間が数年から時には十年に及び、感染者が気づかない間に蔓延する危険がありますが、その反面、感染経路が限られておりますので、正しい知識を持ち、適切な注意を払うことによって感染の危険を回避できる病気であり、その意味で「教育こそエイズ予防のワクチンである」と言われております。
 このため、学校教育においてできるだけ早い時期にエイズ予防の基礎となる正しい知識を身につけ、またエイズに関する誤解や偏見を除くよう、性教育と関連づけながら学校教育活動全体を通じて計画的に取り組むことが重要な課題であると考えております。
 教育委員会としては、平成五年一月に、小学校以上のすべての学校に「エイズに関する指導の手引」を、また高校生全員にパンフレットを配布し、県下各地方において教職員、PTAの指導者等を対象に研修会を開催してまいりました。これを受けて各学校では、ホームルームや保健体育を初めとする各教科で、発達段階に合わせエイズ予防の基礎となる正しい知識と衛生的な生活習慣を身につけ、感染者に対する偏見を払拭する指導を計画的に進めているところでございます。
 さらに本年度からは、中学生を対象に文部省作成のパンフレットを配布するとともに、和歌山市を国のエイズ教育推進地域として指定し、小・中・高等学校並びに家庭、地域の連携によるエイズ教育の実践、研究を進めてございます。今後とも、エイズ予防対策における教育の重要性を踏まえ、積極的にエイズ教育を推進してまいる所存であります。
 次に、県立高校における授業の日数についてでございますが、平成三年九月議会において議員からご指摘を受け、本県の実態は全国平均より年間二十日程度少ない状況にあると答弁いたしました。
 授業日数を確保することは、生徒の学力水準の向上はもとより、将来の進路保障につながるものであり、これを本県における教育改革の最重点課題の一つとして位置づけ、その取り組みを進めてまいりました。
 平成四年一月には授業の日数及び時間数の確保に関する教育長通知を出すとともに、校長会、教頭会、教務部長会等において年間二百十日以上の授業日数の確保と長期休業前後の短縮授業の解消や年間指導計画の見直しなど、創意工夫ある取り組みを行うよう指導してまいりました。各学校にあっては、始業式、終業式当日における授業の実施、二学期制の導入、六十五分授業の実施などの努力がなされたところであります。その結果、平成四年度の年間授業日数は全学年において大幅にふえ、特に一年生については全日制で二百十四日、定時制では二百十二日となり、また年間を通して学校週五日制を実施している平成五年度においても二百十日以上を確保できるものと考えてございます。
 今後も、この日数の確保とともに、一時間一時間の授業を大切にすることや、授業内容及び方法についても一層工夫を凝らし、魅力ある授業を展開することなど、教育効果を高める取り組みを進めるよう努めてまいる所存であります。
 次に学校週五日制についてでございますが、昨年の九月に学校週五日制を導入してからちょうど一年が経過したところでございます。この間、各学校においてはさまざまな創意工夫により学力の向上維持に努めるとともに、休みとなる土曜日や日曜日の過ごし方についても指導を行ってきてございます。さらに、社会教育施設や学校の施設を積極的に開放するとともに、子供が参加できる各種の事業を実施してまいりました。
 この学校週五日制の実施について保護者や子供たちの意識等を把握するため、平成五年一月、本県において独自のアンケート調査を行いました。その結果、月一回の実施について、保護者の賛成は五五%と過半数を超えており、保護者の理解も進んできていると考えてございます。小学生や中学生の賛成は八〇%を超えており、その理由として「友達や家の近くの人と遊ぶことができた」、さらに「家の手伝いができた」、「公民館や図書館に行くことができた」ことなどを挙げており、休みの土曜日を活用してそれぞれがさまざまな過ごし方をしております。このように、生活体験、自然体験などが従前にも増して深まりを見せつつあり、月一回の五日制は定着しつつあると受けとめてございます。
 しかしながら、心身に障害を持つ子供たちへの手だて、あるいは留守家庭の子供への配慮、ボランティア活動の促進などの課題があると認識してございます。こうした課題を踏まえ、今後とも一層、学校、家庭、地域社会の連携を図り、学校週五日制の定着に向けて鋭意取り組んでまいる所存であります。
 次に、高校における四十人学級定員の実施についてでありますが、平成四年度に八校、五年度に十二校の計二十校を実施してきたところであり、これは国の計画を大幅に上回ってございます。平成六年度は未実施校の九校についても四十人の学級定員とするよう努めてまいりたいと考えております。
 次に校則についてでございますが、学校が集団生活の場であることや生徒が心身の発達過程にあることなどから、学校には一定の決まりが必要であり、校則が定められてございます。各学校の校則には学習に関するものや生徒の服装、しつけ、安全等の生活に関するものがあります。校則は、学校の教育方針、生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情等を踏まえて各学校においてつくられているものであり、すべての生徒が健全に学校生活を送り、よりよく成長、発達していくための指針となる意義あるものでございます。各学校にあっては、ホームルームや生徒会活動、アセンブリー等を通じて生徒に校則の持つ意義を理解させ、これを自分のものとしてとらえ、遵守するよう指導に当たっているところであります。
 なお、私服登校の生徒についても、当該校では校則にのっとり教育的観点から粘り強く指導を行ってきており、本日、当該生徒は制服を着用して修学旅行に参加したと報告を受けてございます。今後とも、校則を教育指導の一環として適切に運用していくよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 企画部長から、推進機構において昨今の厳しい経済情勢の動向を見ながら従来のあり方をどうするかということで、公的なものも含めて検討しておるというお答えを聞いたわけでございます。やはり将来の和歌山県民あるいはその子孫のために、すばらしいそうした計画の中に私の申し上げたようなことも含めてご検討いただければ大変ありがたいと思っております。これは要望いたしておきます。
 さらに民生部長でございますが、議請八十三号についてはいろいろとご配慮賜っておりますことにつきまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。
 聞くところによりますと、来る十月十五日に伊都郡の市町村長さんと医師会、障害者父母の会の役員の皆さんとこれについて第一回の会合を持たれるようでございます。施設の中にさらに授産場も一緒に併設していただきたいということでもありますので、ぜひよろしくご指導のほどをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十二分散会

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