平成5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜口矩一議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成五年七月九日(金曜日)○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
45番浜口矩一君。
〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 ご指名をいただきましたので、一般質問を続けさせていただきます。
まず、特定建築物における衛生的環境の確保の問題でございます。
昭和四十五年四月に建築物における衛生的環境の確保に関する法律すなわちビルの管理法が制定施行され、建築物の衛生管理問題が新しい行政活動として取り上げられることになりましたが、その背景として、近年、高層ビル等の大型ビルが年々増加し、人々の生活活動の場としてのビルの役割の重要性に加えて、そのほとんどがいわゆる閉鎖された人工環境のビルであるため、その環境衛生の良否が人々の心身の健康面はもちろん仕事の能率の面においても重要な問題となってきているだけでなく、この四十五年という年は人間の生活環境の汚染を防止して自然を再び人間の手に取り戻すことの大切さが世界的に切実なものとなった年、ちなみにその翌々年の六月、スウェーデンのストックホルムで国連人間環境会議が開催、この取り組みの事実からもうかがえると存じます。
以上の時代認識から、若干ビルの環境衛生管理についての専門家の見解のあらましを申し述べ、県当局としてのご見解、具体的な対応、また今後の方針その他についてお尋ねいたします。
まず、人間工学という学問についてですが、この学問は人をプロセスの中に含むシステムが最高の能率を上げる技術の開発にもつながりますが、その中で、人間が快適に仕事をし最大の成果を上げるためには、人の置かれている環境の整備が第一に必要であるとされています。加えて、ビルはそれ自身、自然から隔離された独立した宇宙である、それゆえ、そこで生活をし、そこで働く人に対して生活や作業に適した環境をつくり、かつそれを保守管理することはビルの管理にとって最も大切な責任であり、ビル内の環境の最も望ましい状態は、まず維持されるべき環境基準が決まり、それに従って設計施工された設備を備え、適切な保守管理がされて初めて達成されるものであるということは申すまでもないと思います。
このたび、ビル管理法施行に当たって、ビルにおける衛生的環境の管理基準が定まったことはそういう大切な意味を持っており、また維持さるべき環境として、空気環境、給水、排水、清掃、防虫が主たる対象となっていると伺いますが、漏れ承るところによりますと、この基準案立案の専門委では、このほか騒音、照明についても検討の由。加えて、この法の対象はいわゆる特定建築物ですが、広く他の一般の建築物内の環境基準としても推奨されるべき指針が示されたものとして、注目に値することと存じます。
次に、建築物環境衛生管理制度発足の背景について若干触れさせていただきます。
元来、国民の健康保持上重要な生活環境についての衛生問題としては、大気汚染、水質汚濁等、外界の環境衛生だけでなく、一般住宅をも含めての居住生活環境をも対象として考慮されるべきものであることは、申すまでもございません。それゆえ、居住生活環境に対する行政上の衛生対策として、従来、旅館、興行場などの環境衛生関係営業についてはそれぞれの法律である程度の衛生上の規制が設けられており、建築物の構造設置については建築基準法により、労働者の作業環境については労働基準法、また学校の環境衛生については学校保健法により、それぞれ衛生上の規制が行われていることはご承知のとおり。これに対し、最近、大型でかつ密閉された人工環境のビルが増加し、またその内容も事務所、店舗など、各種の用途に供されるものが多くなってきています。それゆえ、例えば冷暖房等の衛生管理が一層重要となり、かつ建築物全体として一元的に管理の必要を生じてきています。
このような事態の変化に対して、既存の法律では到底対処し得ない状況になってきた。加えて、最近、公害対策を初め生活環境改善について非常な高まりを見せてき、国民的関心が大きな推進力となって、まず多人数の人々の使用・利用する建築物を対象としてビル衛生管理法制定の運びとなり、建築物衛生行政が厚生行政の今後の大きな課題として本格的な活動の開始となった由、聞き及びます。
続きまして、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の骨子について申し述べたいと存じます。本件については皆様既によくご認識の御事と存じますが、念のため以下申し述べさせていただきます。
本法は昭和四十五年四月十四日、同法施行令は十月十二日公布され、法律、政令とも十月十三日より施行、省令は翌四十六年一月二十一日に公布施行。この法の適用を受ける建築物については、まず第一に多数の者が使用し利用する建物であって、その用途、延べ面積の規模等により定められた特定の建築物──事務所、百貨店、店舗、学校、旅館、興行場等──を法の対象としており、その届け出や建築物環境管理技術者の選任については所有者等に、環境衛生上の維持管理については所有者、占有者にそれぞれ義務が課せられています。
二番目として、特定建築物以外の建物──規模の小さいものですが──であっても、多数の者が使用しまたは利用する建築物については、維持管理についての努力義務が課せられています。また、建築物環境衛生基準の性格については、法第四条及び政令第二条で建築物環境衛生管理基準が定められていますが、その性格は従来の一般行政基準に見られるような許容限度的な最低基準ではなく、環境衛生上良好な状態を維持することを目標としています。このことは、本法の最も大きな特徴であるとのことです。
次に、建築物衛生管理技術者については、特定建築物の所有者等はその建築物の維持管理を監督させるため建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならないとされており、技術者の免許取得の方法についても具体的に規定されていますが、時間の都合で省略させていただきます。
次に、特定建築物の届け出と監督官庁につきましては、特定建築物の所有者等は保健所を経由して都道府県知事、または保健所を設置する市──保健所法の政令で保健所設置義務が規定されている市で、全国で三十市あるとのことです──にあっては市長に対して、特定建築物についての届け出義務が課せられており、また、監督指導に当たる行政庁は都道府県及び保健所を設置の市の衛生担当部局で、直接の窓口は保健所がこれに当たる旨、伺っています。
次に、届け出対策の必要性と関連して、ビルの室内環境と健康について触れたいと思います。
まず健康についての考え方ですが、健康の定義として一般に世界保健機構の憲章前文に示されている定義が広く使用されていると伺いますので、その前文を紹介しますと、「この憲章に加盟する国家群は、国際連合憲章に準拠し」云々として、「健康とは肉体的精神的及び社会的に完全に安寧である状態であって、単に病気でないとか病弱でないとかというにとどまるものではない。到達し得る最高標準の健康を享受し得ることは人類、宗教、政治的信念、経済ないし社会的地位のいかんにかかわらず、何人もが有する基本的権利のうちの一つである」と定義されています。
そこで、その定義についてまず第一に注目されることは、単に病気がないとか病弱でないというだけで健康と言うべきではなく、病気や病弱に至らない程度の心身の煩わしさもない状態が健康であるとしている点です。
人体に暑熱、寒冷などの外部刺激が加わりますと、自律神経系やホルモン系の働きによって人体機能の調節が行われ、正常な生理状態が持続される仕組みとなっています。これが防御作用です。この防御作用の力は年齢、性別、体質などによりまちまちであり、またなれとか鍛練によって異なりますが、外部の刺激が長く続いたり、また強くなってこの防御力の許容限界を超すと、人体の機能の調節が乱れます。そして、夏、暑熱のために疲れたり夏やせしたり、寒冷のために風邪を引いたり神経痛を起こすこととなります。これらの人体機能の調節の乱れは、短期間内に回復するものから病気を起こすものまでのいろいろな段階があるわけですが、短期間に回復しない状態は不健康状態と言うべきであり、WHOの健康概念の定義はこの点をも指摘しているものと考えます。
第二に注目される点は、肉体的、精神的に加えて社会的に安寧でないと健康と言えないとしている点です。すなわち、心身ともに社会的に何ら煩わしい影響がなく生活が営まれる状態でないと健康でないと、幅広い立場で健康を定義づけている点です。
また、東大の医学部の横橋教授は、健康医学概論で健康についての考え方を次のようにわかりやすく説明されています。
「朝が来ればはっきりと目が覚め、頭がすっきりとしている。そして活動しようという意欲を持って未練なく寝床を離れることができる。空腹感が起きて食事がおいしく食べられる。排せつも快く行われる。力いっぱい仕事ができ、人との折り合いにも欠けるところがない。したがって周囲がひどく気になることもない。働いた後には仕事をし終えたという充実感があり、余暇には肉体・精神の解放感が味わえる。夜はぐっすり眠れる。休日にはスポーツなり趣味なりを元気いっぱい楽しむことができる。無論、体のどこにも異常を感ずるところはなく、生きていくことに不安がない。手短に言えば、実感としての健康は生命力が満ちあふれている状態であると言えるだろう」と。以上の内容は感覚的な立場からの一般的な健康の説明ではありますが、感覚的に健康感があれば絶対健康とは必ずしも言えないと思います。このことは同教授ももちろん説明されておりますし、病気には感覚的に病状のあらわれない潜在的な病気(結核やがん)とか発病前の状態の場合も存在することを忘れてはならないと存じます。
続いて、室内環境と人体との影響について申し上げます。
各種の室内環境因子は、人体に対して物理的、化学的及び生物的に影響を及ぼすことが考えられますが、工場や病院等、特別な環境を除くいわゆる一般ビル環境の人体に及ぼす影響については、どういうことが問題なのか、また質的にどういう性格であるかを考えますとき、まず第一に重要と思われるものは飲料水の衛生の問題だと思います。すなわち、細菌やビールスの汚染による消化器系統伝染病は、発生すれば多発し、かつ人体に重大な影響を与えるものであるだけに、現実的には事件の発生は少ないとしても、常に注意すべきものと考えられます。
また、給水設備その他からの化学的物質や金属等の混入による影響については、一般的に臭いとか味の異常などが見られる程度ですが、公害事件の事例に見られるように、これらのものの中には人体に蓄積して病気を起こすものもあり得るゆえ、将来的に警戒が必要と存じます。
冷暖房についてです。
最近、密閉された人工環境のビルの増加、ひいては空気調和設備の普及に伴い、これによる人体への影響、特に冷房による影響が問題視されるようになってきました。すなわち、風邪、咽頭炎、神経痛、リューマチの悪化、生理障害など、俗に冷房病と称せられる病気が少なからず発生しているとのこと。このほか、冷暖房による影響として、体がだるくなる、頭が重い、気持ちが悪いなど、病気に至らない程度のものがしばしば見られ、健康生活上、前者と同様、重要視さるべきことと考えます。
三番目、有毒ガス、粉じん、臭気などについて。
空気の汚れによる人体影響としては、肉体に病気を起こすこともありますが、一般的なビル環境では病気に至らない程度の肉体的煩わしさとか臭気等による精神的煩わしさが、より実際的な影響として考えられます。なお、細菌、ビールスによる空気汚染に伴う室内感染については、空気調和設備で大部分の空気を再循環させる以上、理論的には空気感染の問題が一応は考えられますものの、幸い現実にはそういった感染事例が見られないようですが、学問としての場では一つの研究課題とも考えられます。
四番目は、照明、騒音について。
照明による人体影響については、学童など発育期の子供の近視等の原因として重要視されるべき点もありますが、一般的な煩わしさが問題として挙げられるとのことです。また、照明の不備による心身への影響については健康生活上重視さるべきものとのこと。また、騒音による人体影響も、難聴等、病気を起こす場合もありますが、一般のビル環境では精神的影響が主体と存じます。
五番目は、廃棄物汚染、ネズミ、昆虫等について。
これらの環境因子による人体影響もまた、これらにより伝染病や食中毒の病気を起こすこともあり得ますが、一般日常の問題としては、やはり不潔感や昆虫等による肉体的、精神的煩わしさといったことが挙げられます。
以上、多少言い過ぎの感なきにしもあらずですが、一般ビルの環境による人体影響につきましては、現在の学問と現状から考えますと、重い病気がどんどん起こるというようなものではなく、日常起こり得る問題としては軽い病気とか病気に至らない程度の肉体的、精神的な影響であると考えられます。したがって、そのような程度ならば法律までつくって環境衛生上の管理をする必要もないのではないかとの考え方も出てきますが、それは人の健康ということに対する古い考え方であって、先ほど述べた健康についての考え方の説明のように、幅広く近代的な考え方を持つべきであります。
また、今後も密閉された人工的ビルがどんどん増加する現状では、ビル環境は数多くの人々の生活の場として、まことに大きな位置を占めてくる。したがって、その生活の場の悪い環境のためどんどん病気が出るようでは大変であるし、また病気まではいかない程度のものであっても、肉体的、精神的に煩わしい影響の存在は、毎日の生活だけに、健康にとってはもちろんのこと、仕事の能率の上でも軽視できない事柄であるとともに、ビルの環境衛生管理は以上の近代的健康概念を目標とした法的措置と考えます。
最後に、ビルの環境衛生管理について、技術的な目標としての規定内容を踏まえ、行政対応の具体的なあり方等についてご見解をお伺いします。
特定建築物に対する衛生的環境確保については、法第四条第二項や政令規定のとおり、いわゆる良好な状態を目標としており、それが法の特徴と申し上げたとおりであり、この環境基準に従っていないという理由での行政措置や罰則適用はありません。全般の状況から判断して改善命令や使用制限措置とのことですが、良好な状態云々の基準とは技術的にどの程度の水準が妥当か難しい問題であり、それぞれの時代における技術、文化水準等を考慮して実現可能なよりよい水準を基準とすべきと考えますが、実りある成果期待の行政対応に関連して、現在取り組まれている具体例については、私、一、二の事例は伺いましたものの詳細確認には至らず、また本県対応についても同様で、観光振興等に期待の本県経済の立場からも注目している一人でございます。
そこで、まず環境衛生対応等についての当局のご見解、第二点として現在まで取り組まれた具体的な対応実績と評価について、現状の分析をも含めてお答え願いたい。最後に今後の方針について、業者または関係の技術者に対する県対応がもしあればその見通しをも含めてお答え願いたいと思います。
次に、汚濁水被害に悩む熊野川の現状と、著しいとも申すべき漁業環境の悪化を克服してアユ漁等の内水面漁業生き残りに懸命の漁業組合挙げての取り組みの一端を申し述べ、各種対応をも含めての県当局のご見解、対応についてご質問申し上げます。
ご承知のとおり、熊野川は私どもの地方、特に熊野川流域の人々にとっては「母なる川」の異名のとおり、以前は交通の要路として関係地域の経済・文化を支え、特にその清流は文字どおりの魚族の宝庫として親しまれ、恩恵を受け、「川とともに生きる」という言葉そのままの存在でございました。
それが、昭和三十三年以降、電源開発株式会社のダム群設置により、いわゆる周年冷濁水による被害甚大とも申すべき影響により魚類の水生環境が著しく悪化し、ために内水面漁業は多大の被害に悩まされながらも、先祖伝来の漁業を守るため、補完事業として、毎年乏しく厳しい財源のもとにもかかわらず、組合による放流事業を実施してまいりました。
しかも、ダムの建設当初の、濁水等は一過性のものであり三年も過ぎればもとの清流に戻る、影響は軽少との一部学者をも含めた関係の人々の言をそのままうのみにしての建設同意といういきさつを考えますとき、まんまとだまされたとしか言いようのない下流流域対応結果の冷濁水被害以外の何物でもないと申すべき現状でございます。
とは申せ、被害を受けるのは流域関係地域の人々であり、加えて濁水被害は川だけでなく、年数の経過とともに河口付近を中心に近辺の浜辺の砂利減少や海岸地域の藻場にも変化をもたらし、沿岸漁業被害も一部出てき、小被害とは申せ対策をとの声を聞きますが、それはさておくとしても、川筋の人々については傍観を許さない厳しい現状と存じます。したがいまして、決定的な打開策にはほど遠いとは申せ、何らかの漁業環境対策は今日における緊急の課題と申すべきと存じます。
特に本流十津川関係では、椋呂発電所からの放水は濁度も高く、下流一帯は透過率が低いため、アユの常食である珪藻類の繁殖阻害に加え、沈殿した泥による動植物の生育不良等も重なり、死の川と化しつつあり、それが上流への天然遡上激減を招来しているとのことです。なお、北山川水系につきましても、期待の池原ダム表面取水設備が完成されましたが、下流水の清澄度は期待にほど遠い現状と伺います。
以上、時間の都合で汚濁概況のみ申し上げましたが、そのような厳しさが決定的とも言える環境の中で、直接関係の熊野川漁協を中心とした取り組み、すなわち、たとえわずかでも漁獲の向上を求めて、よりよき環境維持を目標に、毎年、補完事業として組合員一人当たり年間一万円を超す負担措置による稚アユの放流を実施するとともに、抜本的な対策としてアユの中間育成のため蓄養池の設置を計画、そのための財源確保を求めて組合員一致して努力中とのことと伺います。
以上、汚濁に苦しむ内水面漁業の一面を申し上げましたが、これについての県当局のご見解、当面の具体策等についてお伺いいたします。
以上で、私の第一回の質問を終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 浜口議員ご質問の、特定建築物における衛生的環境の確保について、建築物の環境対応に対する県見解についてお答えいたします。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律でございますが、これは、多数の方々が利用する建築物の維持管理に関し、環境衛生上必要な事項を定め、その建物における衛生的な環境の確保を図ることにより公衆衛生の向上及び健康の増進を図ることを目的としております。
議員ご指摘のとおり、真心のこもった観光地づくりを進める上でも、建築物の所有者や関係者の皆様の十分な理解と認識を得ることが必要であると考えております。県民の皆様を初め、観光や保養等のため和歌山を訪れる皆様が安心して楽しむことができるよう、環境衛生の向上に努めてまいりたいと考えております。
続いて県対応の具体策についてでございますが、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく特定建築物の所有者や関係者に対する指導等の現状についてお答え申し上げます。
平成四年末現在、県立保健所管内で特定建築物の届け出は五十九施設あり、その用途の主なものは旅館三十施設、店舗十四施設、事務所十施設となってございますが、昭和六十三年から平成四年までの過去五年間の監視指導実績は、立入検査延べ三百七十一回、指導施設百九十九施設、改善命令を行った施設は八十八施設となってございます。また、指導を行った事項の主なものは、飲料水の水質検査、空気環境の測定の実施、点検台帳の備えつけ等でございます。
全体的に見ますと施設の維持管理は向上してきておりますが、なお一層関係者に対する指導を行ってまいる必要があると存じます。
続いて、今後の方針と見通しについてでございます。
議員ご質問の今後における特定建築物の所有者や関係者に対する県の指導でありますが、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の趣旨を十分踏まえ、また先ほど申し上げたように、紀州路を訪れた人々や県民の皆様が快適に安心して過ごせるよう、県立各保健所を通じて環境衛生向上のための指導の徹底を図ってまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 浜口議員にお答えいたします。
熊野川における現状を踏まえた内水面漁業対策についてでございます。
本県の内水面漁業振興策としては、主要河川において毎年アユを主体とした種苗放流及び河川環境改善のためアユ産卵場造成事業を実施し、これに対し助成を行っているところでございます。
平成四年度において、新宮川では熊野川漁協が資源増殖のための義務放流を含めて約七・五トンの稚アユを放流しておりますが、これに対し県は、県内水面漁連を通じて三百二十万円の助成を行ってございます。現在、熊野川漁協では種苗中間育成場を計画されておると聞いてございますが、当該施設の管理運営、飼育技術等について十分検討するよう指導してまいりたいと考えてございます。
なお、計画が具体化した段階で、国に対し事業採択を要望してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
45番浜口矩一君。
○浜口矩一君 先ほど、保健環境部長さん、農林水産部長さんからご回答をいただいたわけでございますけれども、建築物の関係につきましては、建築物環境衛生管理技術者免許取得の方法というもの一つを考えてみましても、厚生大臣の指定した講習百時間の課程を修了するか、または建築物環境衛生管理技術者試験に合格する二つの道があるというんですが、なかなかこれは難しい問題だと思うんですよ。そして、いわゆる講習会の受講については学歴、免許、実務経験などの受講資格が定められ、国家試験の受験資格としては二年以上の実務経験というように、非常に難しい規定があると私は聞いているわけなんです。
もう一つ具体的な問題につきまして、建築物の環境衛生管理基準を見ても、例えば空気の環境測定については、測定回数が二カ月以内に一回、測定箇所は各階ごと、備考として、同一測定点を一日三回、通常午前一回と午後二回に測定するということです。飲料水の検査についても、水質検査は六カ月以内ごとに実施する、残留塩素の測定は七日以内ごとに測定する、給水管理の問題については、貯水槽の清掃は一年以内ごとに一回する、備考として、高置水槽、受水槽、副水槽の清掃は厚生省の指定業者への委託もできるとか、排水管理については、排水槽の清掃は六カ月以内に一回とか、汚水槽や排水槽等の清掃の問題、あるいは清掃及びごみ処理については日常清掃のほか六カ月以内に一回、定期的に統一的な清掃を実施するとか、ネズミ、害虫の駆除については六カ月以内ごとに一回、定期的に統一的に駆除するとか、浮遊物や粉じんの測定については年に一回というように、非常に細かく、しかも具体的に非常に専門的な知識が要るような基準になっておると私は聞いておるんです。
それに対して「慎重に」「積極的に」と言っても、今の保健所のメンバーでは十分に対応し切れるのかどうか。あるいはまた、出てきた報告について、それを確認できるのかどうか。あるいは、それについての指導というものが──回数は言われておりますけれども──なされる人的な状態になっておるのかどうか。これについて私は、すこぶる不安に思うわけでございます。
これについては、もうどうとかという質問はいたしませんけれども、今後の方針として、そういう具体的な内容を十分に踏まえた中で──現実に東京都なんかでは、事件によっては、厚生省のいわゆる省令の基準よりも厳しい内規をつくっております。これには東京都としての環境に対する特徴があると思うんですが、我が県としては、少なくとも観光に依存しておるという現実から、ちょっとでもこれに欠けるようなところがあったら人から人へ伝わっていって大変なことになるということを考えていただいて、十分にご対応をお願い申し上げたいと思います。
それから、アユの問題です。
今言われたとおりですが、何とかして中間育成場のようなものを含めた、いわゆる資金的な措置も含めたご指導をしていただきたいと思います。彼らの非常に苦労している実態を十分お考えくださってのご対応をよろしくお願い申し上げます。
以上は皆、要望でございますけれども、今後の非常に大きな問題としてお願いしておきたいと思います。
終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十分休憩
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