平成5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(森本明雄議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成五年七月七日(水曜日) 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
──────────────────
○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第七十四号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
46番森本明雄君。
〔森本明雄君、登壇〕(拍手)
○森本明雄君 おはようございます。
順次、質問を進めてまいります。
最初に、障害者対策についてであります。
世界人権宣言は、いかなる差別も受けない権利をすべての人に約束しました。残念ではありますが、我が国では、障害を持つ人の多くにこの約束は果たされていないと思います。
国は本年、障害者に関する新長期計画を発表しています。今後十年間の指針となるものであります。計画では、基本的な考え方として、一つ目に障害者の自立性の確立、二つ目に全員参加による平等な社会づくり、三つ目に障害の重度化や障害者の高齢化への対応などを強調しています。障害者が積極的に社会参加できる雇用機会の創出とともに、職業教育の充実も訴えています。具体的な勤務のスタイルとして、短時間勤務、在宅勤務、フレックスタイムなどが並んでいます。道路や建物などでの物理的障害を取り除くなど、社会活動参加に向けた生活環境面の改善も促しています。
予想したとおり、旧長期計画を踏襲した内容ばかりであります。目新しいものといえば、アジア・太平洋地域での障害者問題をめぐる国際協力の推進を目標に掲げたことぐらいであります。今年からアジア・太平洋障害者の十年が始まったためでありますが、新長期計画についてのご所見をお伺いいたします。
昭和五十八年からの国連・障害者の十年では、旧長期計画をもとに障害者対策が進められてきました。確かに、障害基礎年金や特別障害者手当の創設で、不十分ながら一応の所得保障はしました。精神衛生法が障害者の人権を守る視点から改正され、精神保健法になりました。また、音の出る信号機や歩車道の段差解消も普及してまいりました。ほかにも数々の成果があります。しかし、国連・障害者の十年の理念である「完全参加と平等」の実現には、ほど遠いと思うのであります。
事実、養護学校卒業生の就職は相変わらず難しいし、自由に利用できる交通機関もありません。たとえ外出できても、盲導犬同伴では利用を断られるホテルもあります。施設を出て暮らしたいと思っても、部屋探しもままならない状態であります。「完全参加」どころか「参加」すらおぼつかない現状であります。結局、旧長期計画が描いたシナリオは余り現実化しなかったと思うのであります。十年間の評価についてお伺いいたします。
先ほど述べたように、類似商品のような今回の新長期計画にどれだけの期待が持てるのだろうか。肝心なことは、障害者とともに生きる社会をどう育てるかであります。障害者や老人を弱者と決めつけ、保護し助けてあげる存在と見る風潮は、依然として根強いのではないかと思います。人間は皆、加齢とともに耳は遠くなり、目も不自由になります。足腰も弱り、動作も緩慢になります。今障害を持っている人たちと変わらない状況になるのであります。障害者対策は、障害を持つ方々だけの問題ではありません。すべての人たちに共通の課題として幅広い対応が必要であると思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、地方分権についてであります。
通常国会で、地方分権を推進する決議が採択されました。明治以来の中央集権体制は、我が国に目覚ましい経済発展をもたらした反面、地方は画一化を要求され、自治体の自主性は阻害されてきたと思うのであります。
戦後、地方自治法が制定され、地方に自治が認められたはずでありますが、中央集権構造は今も続いています。道路一本、福祉施設一つつくるのも自治体が勝手に決められないのであります。条例を制定する場合も、国の定めた法律が認めている権利まで規制はできません。結局、地方政治といっても、中央官庁の許認可を得なければ何事も進まないのが実情であります。
世界でも有数の経済大国になった今、中央集権体制のデメリットが目立ってきたようであります。今後は、効率性よりも地域の個性や多様性に目を転じていかなければならないと思うのであります。高齢化社会で住民にきめ細かなサービスを提供するためにも、身近な行政である自治体の果たす役割は重みを増してきます。また、地方自治には住民の意向が反映されやすいと思うのであります。
衆参両院での決議は、地方分権推進のために法制化を初め抜本的な施策を総力を挙げて断行していくべきであると強調しています。政府は、国会決議を真正面から受けとめ、法制化、権限移譲に取り組むべきであると思うのであります。
県民が生き生きと暮らせる和歌山建設には、中央集権体制の打破が必要であると思います。自治体は、国の許認可権や補助金で権限、財政面で制約を受けています。この仕組みを改め、和歌山の問題は和歌山の責任と権限で解決できる地方分権、主権のシステムを確立しなければならないと思いますが、国会決議に対する知事の所見をお伺いいたします。
首相の諮問機関である地方制度調査会が、規模・能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにすると同時に地域行政の充実に資することを目的として、中核市制度の創設を答申しました。この答申を受け自治省は、各省庁との協議を進め、来年の通常国会に地方自治法など関係法の改正案を提出する予定だと聞いています。
人口三十万人以上、面積百平方キロメートル以上で地域の中核的機能を有する都市が対象となっており、政令指定都市に次ぐ規模の権限を都道府県から移譲しようというものであります。対象都市の決定は、当該都市の意思に基づき、また当該都市を包括する都道府県の合意を得るとなっています。自治省では、資格を有する都市に主な県庁所在地など全国二十六市を挙げています。本県では和歌山市が挙げられています。その和歌山市では、旅田市長は「県庁所在地であり、また地方の中核的な役割を果たす使命を持っている自治体であるという立場からも、これらの制度について、県を初め各関係機関に積極的に指定を要望してまいりたいと考えております」と、指定について積極的姿勢を示していますが、県の見解をお伺いいたします。
次に、水道水源の安全性確保についてであります。
水道の水源汚染の問題が深刻になってきている、このままでは安全でおいしい水の供給はできなくなるという話が新聞に報道されていました。一つは、水道水源の水質保全に関する有識者懇談会の報告書であります。水道水源の水質の現状あるいは水道事業の実態を踏まえて、将来にわたって安全で良質な水道水の供給を確保するために、今後、工場排水、農薬、生活排水に関する種々の規制的な措置あるいは生活排水処理施設の整備などを一体的かつ計画的に実施していく必要、それから水質汚染事故発生時の適切な対応といったことについて、幅広い内容にわたって政策提言をしています。
次に、社団法人日本水道協会の水道水源の汚染状況に関する調査であります。これは、昨今、水道水源の汚染問題が社会的にも問題になっている中で、同協会が構成団体である全国の水道事業体、市町村の水道事業体、千八百九十四に対して実態調査を含めたアンケート調査を行い、回答のあった九百団体の事例について取りまとめたものであります。
その概要は、取水に近い事業場の排水あるいは未処理の生活雑排水などにより、水道事業が取水の停止を初めとしてさまざまな影響を受けている、田畑にまかれる農薬、肥料の流入、あるいは水源上流域での開発に伴う森林伐採、観光などによって水道が影響を受けている事例が少なくないというような結果になっていると報告しています。
水道水源に起因する水道水質の問題として、異臭味被害があります。これは、水が停滞しやすい水域において各種排水によって富栄養化の現象が見られ、そうした水域から取水している水道において飲み水にカビ臭などの異臭味が発生する問題であります。
厚生省では、こうした被害の状況を昭和五十八年度より毎年、全国的に調査してきています。その結果によりますと、被害人口はここ数年増加傾向にあって、直近の調査結果である平成三年度の結果によりますと、首都圏あるいは近畿圏を中心とした九十八の事業体で約二千万人の水道利用者の方が被害を受けているというデータであります。八年間の調査で、この間、倍増してきている状況となっています。
県内では、水道水の異臭味被害はまだ及んでいませんが、原水の異臭味はあります。よくならない河川の汚濁状況から、今後の保証はありません。異臭味というと、臭い水ということで健康には影響はないと解釈をされる方も多いようでございますが、国立公衆衛生院の衛生工学部長は次のように述べています。
人を含めて、動物には生体の防御機能があり、飲み水にしても食べ物にしても、あるいはそれ以外のさまざまな環境などについても、完全であるかどうかは、いわゆる五感で判断をしています。また、WHOでは、憲章の中で『健康とは、単に疾病状態にないという肉体的な状況ばかりでなく、精神的にも社会的にも健全であること』と定義していますが、このような定義に従えば、水道水の異臭味は決して健康によい水とは言えないことになります。異臭味水道水と健康についての所見と、水道水源の異臭味防止対策についてお伺いをいたします。
次に、水道水源に流れ込んでくるいろんな問題、化学物質が多く含まれるという問題であります。
今、いろんな説がある中で、少な目に見積もって化学物質約二万種以上が出回っています。そのうち一万種ぐらいが私たちの身の周り近いところで常に循環していると言われていますが、これは多くが使用後には水に入るわけであります。この中で、農薬について取り上げてみます。
平成四年九月三十日現在で登録を受けている農薬の銘柄数は六千三十七件であり、これに含まれる有効成分数は四百五十一化合物であります。農薬の登録に際しては、水道原水に含む公共用水域での安全性の確保を前提に、厳正な審査の上、登録していると思うのでありますが、原水に一定程度化学物質等が含まれていた場合の人体への影響についてであります。
人の健康への影響については、数多くの微量化学物質があり、人の健康の保護に関する環境基準が定められている物質や登録されている農薬については項目ごとに慢性的な影響について十分な検討がされているとは思いますが、数多くの微量化学物質すべてについて人体への慢性的な影響が明らかになっているということではないと思います。
また、有効成分数四百五十一化合物、登録を受けている農薬の銘柄数六千三十七件、数え方によれば何千種類の組み合わせは何万種類にもなると思います。こういう数多くの微量化学物質の複合的な人体への影響について、現在の科学的な知見では評価が困難な実態であり、十分解明されているということは言えないと思いますが、見解と対応についてお伺いいたします。
次に、原水に化学物質等が含まれていた場合、水道の処理技術によってどの程度の除去が可能なのかどうか。現在の一般的な水道における上水処理技術は、沈殿池、ろ過池という非常に物理的な処理方法を中心に来ているので、そうした処理技術においては化学物質等についてほとんど処理する、除去する能力はありません。異臭味については、オゾンあるいは活性炭を用いた特殊な処理、つまり高度浄水処理という手法がかなり実施されつつあります。こうした処理技術を使えば一定程度化学物質にも対応できる余地はありますが、ただ除去できる物質の種類や程度というものは、一定の限界があります。こうした処理技術には大変高度な管理あるいは多額の費用を要しますので、こうした処理技術を早急に導入することは極めて困難だと思います。
したがって、水道水源にこうした物質がふえてくると水道では対応し切れないという問題が出てまいりますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
昨年末、水道法に基づく水質基準及び公害対策基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準が拡充、これに合わせた形で環境基準も有害物質については大幅に拡充強化、さらに、これを達成するために今度は工場の排水基準あるいは地下水の浸透規制拡充のため、中公審に諮問しています。
有識者懇談会の報告書の中では、飲料水の水質基準が改定になって大幅に項目もふえたが、これについて新たに基準化された化学物質を含む製品等の使用が広がれば、水道事業者が新しい水質基準に適合した水道水を供給することが困難となる事態が発生することも予想されると。これはすなわち、新基準はつくったものの、このままでは達成できないと言っているのでありますが、県内の実情についてお伺いをいたします。
新基準は本年十二月一日から施行されることになっていますが、県内水道事業体の水質検査機能の問題であります。本来は各水道事業体で検査をするのが当然でありますが、現行の二十六項目の水質検査ですら、検査項目によっては外部に検査を依頼しているのが実情であります。新基準では検査項目が四十六項目にふえ、その項目の中でも1・1・2トリクロロエタン、1・1・1トリクロロエタンなど、さらに農薬系のシマジン、チウラムなどは、事業体で対応することは検査設備、技術者の確保の面で到底不可能でありますが、県としてどう対応されるのか、お伺いをいたします。
紀の川の水質汚濁の改善についてであります。
水質環境基準の有害物質、すなわち健康項目については改善が図られてきました。一方、生活環境項目については最近は横ばいの状況であります。平成四年度版「環境白書」では、例えば紀の川の補助地点であり和歌山市四十万市民の取水地点である新六箇井堰でのBODの七五%値は二・一ミリグラムで、環境基準値を超えています。間近な上流での環境基準点・船戸でも環境基準値を超えています。長年こうした状況は変わっていません。
今日まで、環境基準はつくったが、つくったものに対して、目標だからということだけで、達成できなくても大きな反省がなかったように思うのであります。水道水源を守るんだということで、水道水源の位置づけをもっと優先的にすべきではないかと思うのであります。
水道水源、公共用水域において有機性の汚濁があった場合、塩素を作用させるとトリハロメタンという有害物質ができます。これは、水道事業体の中でできることかもしれませんが、生活環境項目でさえも有害物質になり得るんだ、水道の水質として望ましくない水になるんだということをしっかり踏まえ、今の施策でできていないということに対して新しい施策を講じていかなくてはなりませんが、取り組みについてお伺いいたします。
生活環境項目について、今の環境基準というのは利水目的に応じた形で類型を区分されていますが、その中で水道というのは、県民の健康や生活に直結する重要な利水であるという認識のもとにつくられています。環境庁は、環境基準に基づき、汚れの程度と水の利用状況に応じて六つの類型に分けている全国の河川の仕分けを全面的に見直す方針を固めたようでありますが、県の対応についてお伺いいたします。
以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの森本明雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森本議員にお答え申し上げます。
地方分権についての国会決議に関する所見でございます。
地方分権を進めていく上で最も重要なことは、昨日、上野山議員にもお答え申し上げましたように、国から地方への権限移譲であると私は考えてございます。権限移譲の推進については、臨時行政改革推進審議会や地方制度調査会から答申がなされ、全国知事会としても国へ働きかけを行ってまいりましたけれども、残念ながら満足のいく成果が得られていない現状でございます。
こうした状況の中で、議員の質問にありましたように、国会において地方分権の推進のための決議がなされましたことは、まことに心強いことでございます。このことを契機として、私としても各都道府県と連携をとり、市町村のご協力も得ながら、地方への権限移譲の推進をなお一層国に働きかけてまいりたいと思っております。
次に、中核市制度についてでございます。
この制度は、この四月に地方制度調査会が内閣総理大臣に答申した制度でございまして、ご質問もありましたように、原則として人口が三十万人以上、面積百キロ平方以上を要件に、現在政令指定都市に移譲されている事務の一部を県から当該市へ移譲することとなっております。
本県では和歌山市がこの条件を満たすと考えられるところでございまして、私としては、行政をできる限り住民の身近で行うことを目的とする中核市制度の趣旨を尊重しつつ、今後の動向を見守ってまいりたいと思っております。
他の問題は部長から答弁させていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長南出紀男君。
〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 森本議員の障害者対策についての関係でご答弁させていただきます。
まず一点目の、新長期計画についてでございます。
本年三月、国が策定をした障害者対策に関する新長期計画は、昭和五十七年の旧長期計画及び昭和六十二年の同計画後期重点施策の理念及び目標を受け継ぎながら、これまでの成果を発展させ、新しい時代のニーズにも対応できるように策定されたものでございます。また、この計画の推進に当たっては、関係行政機関相互間の密接な連携を図り、障害者対策の総合的、効果的な実施を図ることとされているところでございます。
このような点から、新しい長期計画は、障害者の社会への完全参加と平等の実現のため、積極的な具体策展開の指針として大きな役割を果たすものと確信しているところでございます。
次に、二点目の国連・障害者のいわゆる旧十年の評価についてでございます。
この十年間は、障害者福祉の機運が醸成されるとともに、積極的な取り組みにより、各分野における大きな成果を得ることができたものと評価してございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、障害者を取り巻く社会環境面においては、障害者を庇護されるべき存在としてとらえる意識上の障壁、また交通機関や建築物等における物理的な障壁などがあり、障害者の完全参加と平等の社会実現には今なお多くの課題を抱えていると認識してございます。
三点目の、今後の取り組みについてでございます。
障害者問題は、すべての人々にとって自分自身の問題であり、障害を持つ人も持たない人も、ともに生きる社会を築くことが基本でございます。障害者が住みよい社会はすべての人にとっても住みよい社会であるとの観点から、社会全般に障害者の参加や利便を前提にした一般的な措置が講じられる必要がございます。
県としては、本年度、国の新しい長期計画や県内の身体障害者実態調査結果などを踏まえ、県心身障害者対策協議会のご意見を伺いながら、第二次の長期行動計画を策定し、長期的展望に立ったきめ細かい施策の充実をより積極的に図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 森本議員ご質問の水道水源の安全性確保、異臭味防止対策についてでございます。
水道水の異臭味については、従来から「臭気がないこと」とされており、そのように各事業体を指導してきたところでございます。今回、水道水の水質検査項目の強化の中で快適水質項目に臭気に関する項目も強化され、適宜調査することになっておりますので、今後、これらの調査を指導するとともに、必要に応じて施設整備等、国への要望や市町村を指導してまいりたいと考えております。
水道水源の異臭味については、水質汚濁も大きな要因であり、富栄養化物質である窒素、燐の環境基準の設定等を踏まえて水質汚濁防止を推進してまいりたいと考えております。
次に、化学物質の複合的な人体への影響についてでございます。
農薬等、化学物質の複合的な人体への影響については、現在、国において微量化学物質の慢性的な影響が検討されておりますが、河川と公共水域での水質目標、水質汚濁防止法の環境基準の追加、そして水道水の水質検査項目の強化等が図られ、水の安全性に関する重要性が認識されたものと考えております。今後とも、国が行う調査に協力するとともに、新しい情報の入手と安全の確保に努め、関係部局との連携を図ってまいりたいと考えております。
次に、化学物質等が含まれていた場合の除去についてでございます。
化学物質が含まれた場合の除去については、現在、一番有効とされているオゾン、活性炭等による高度浄水処理施設の普及促進を図ってまいりたいと考えております。なお、国では現在、小規模水道事業体においても採用可能な新たな浄水方法について調査研究が進められておりますので、その動向や他府県の状況等も調査を進めるとともに、安全性の確保のための努力を行ってまいる所存でございます。
続きまして、新水質基準に適合した水道水の供給についてでございます。
新水質基準策定のための資料として平成元年度から三カ年間調査した結果、県内ではいずれも基準値を超えるものは検出されておりません。しかし、新水質基準に適合した水道水の供給については、何よりも良好な水源を確保することが基本であり、水質管理計画を早急に策定し、水源の水質の監視をするとともに、これらの結果を踏まえ、関係部局と協議をしながら水源汚濁の防止に努めてまいりたいと考えてございます。
次に、水道事業体の水質検査機能についてでございます。
水道の水質検査については事業体が対応するのが基本でございますが、市町村の財政事情等から、設備、技術者の確保等、個々の事業体で対応するのは困難であると考えられます。市町村の対応、国の動向、各府県の状況等を参考にしながら対応を検討しているところでございます。
続いて、環境基準の達成についてです。
議員ご指摘のとおり、紀の川の船戸測定点及び新六箇井測定点のBOD値(生物化学的酸素要求量)は、二・四ミリグラム・パー・リットル及び二・一ミリグラム・パー・リットルと、それぞれ環境基準のBOD値二ミリグラム・パー・リットルを超えております。この要因は、主として生活排水が全体の約七五%を占めているためと考えております。
この生活排水対策については下水道の整備が最も望ましいのですが、これの補完として、農村集落排水処理の整備も含めて関係機関に要望するとともに、台所排水も一緒に処理できる合併浄化槽の推進のための補助等も行っているところであります。生活排水は個人の環境保全意識が重要であることから、水環境保全啓発等の各種の事業を行い、環境基準の確保に取り組んでいるところでございます。
次に、河川の類型の見直しについてでございます。
環境基準の見直しについては、平成五年六月二十八日付で類型指定及び見直しの状況を調査するよう課長通知がございました。県としても、今後必要な調査を行い、環境庁と協議の上、必要ならば所要の改定を行ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 森本議員にお答えをいたします。
水道水源安全性の確保についての農薬関連のご質問でございます。
農薬については、農薬取締法に基づく国の登録制度がございまして、各種毒性試験や河川などへの影響等、安全の確認がなされた上で製造、販売されてございます。
県としては、国の安全使用基準に基づき農作物病害虫及び雑草防除指針を策定しており、あわせて農薬危害防止運動の実施や農業改良普及所、農協等、関係機関を通じ、農薬安全使用の指導啓発を行い、使用者に対する意識の高揚を図っているところでございます。したがって、農薬については、使用回数、量など適正に使用される限り問題がないものと認識をしてございます。
今後、より一層安全な農薬の開発について、国等へ要望してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 紀の川の環境基準の達成に関係して、下水道についてお答えをいたします。
紀の川の水質環境基準を維持達成するために、昭和五十二年、県において策定をした紀の川流域別下水道整備総合計画に基づき、流域を三ブロックに区分し、下水道整備を行っているところであります。
上流部は、県事業として紀の川流域下水道事業伊都処理区を昭和五十四年度に事業化し、現在、幹線管渠工事及び終末処理場の用地買収を行っております。また、枝線管渠工事等は、関係市町において流域関連公共下水道事業として事業促進をしております。
中流部では、那賀処理区として平成四年度に下水道基本計画案を作成したところであり、今後、関係町の協力を得ながら都市計画決定を行い、早期事業化を図ってまいりたいと考えております。
さらに、下流部では和歌山市が昭和四十七年から公共下水道事業に着手し、整備を進めているところであります。今後も引き続いて、紀の川の水質の保全、流域住民の生活環境の改善を目指した下水道事業の促進に努力してまいりたいと存じます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 再質問がありませんので、以上で森本明雄君の質問が終了いたしました。