平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程  第四号  平成四年十二月十日(木曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百四十八号から議案第百五十五号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
  一 議案第百五十六号から議案第百六十五号まで(知事説明・質疑)
  二 議案第百四十八号から議案第百五十五号まで(質疑)
  三 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山  親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山  海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長  市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 山 階 清 弘
 警察本部長  中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
 水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事  古 井 美 次
 議事課主事  松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査  吉 川 欽 二
 議事課主査  鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第百四十八号から議案第百五十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 12番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 おはようございます。三日目の一番バッターとしてお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 通告順に従って、第一番目に墓地、埋葬等に関する法律施行細則についてでありますが、多くの公共事業が墓地あるいは墓地のあるお寺にかかりストップしている現状について述べさせていただきます。
 都市計画道路等、多くの公共事業で事業半ばにしてとまっているものがかなりの件数に及んでいることは、県民初め皆が知るところであります。公共事業といえど、全員の同意ともなると、なかなか不可能に近い困難さであるようです。この原因は多くあると考えられますが、今回は、墓地や墓地を含むお寺の移転について、移転先の隣接周辺二百メートルの全員同意が必要なため、その同意がとれずにストップしている事業がかなりの件数あるのではと考えました。
 私が和歌山市について和歌山市とともに調査した結果、都市計画道路として決定された推進中の道路だけで、三十八路線あるうち同意のとれていない墓地、お寺等にかかっているものが二十六件もありました。工事着手しているものはすべてと言ってもいいくらい、当該地で工事がとまっています。県当局はこの辺の事実を県として掌握されているものと思いますが、県工事でも多くの工事が同様のことで困難に直面していることと考えます。
 また、土葬と火葬の推移と現状についてでありますが、ご参考までに、土葬と火葬の推移について県当局で掌握されている数値でお聞かせいただきたい。
 また周辺同意、すなわち墓地や墓地つき寺院の移転とか移動、地形変更をする地先について、その土地の境界より二百メートル先までの住民に賛成の印鑑をもらうことは不可能に近いものです。公共事業は公共の福祉の増進ということからも推進する使命は重要で、その性格等も考えていただき──ご参考に議員各位と当局の皆様のお手元に資料を配付させていただきましたが、ほとんどの都道府県と政令都市では火葬が多くなってきた現状のもと、既に規制緩和されたり、または規制緩和の検討中であるように思いますし、同意については市町村に委託しているところもあるようです──ぜひこの機会に本県の墓地、埋葬等に関する法律施行細則について見直していただく必要があると考えます。抜本的に、山形県のように市町村委託とか、滋賀県のように距離規制を解除して隣接同意のみとか、青森県や埼玉県、新潟県、岐阜県、香川県のように規制なしとまで解除できなくても、公共事業が原因の移転物件については一般の規制とは別扱いとするようなことも重要な案だと考えます。
 公共事業の推進、とりわけ道路交通網の整備が進まないというか、工事がストップしている原因として大きく影響している案件ですので、一日も早く改正する必要を感じています。条例細則の改正について、当局の見解をお尋ねいたします。
 二番目に、道路交通網整備の現況と将来の基幹交通体系についてお尋ねいたします。
 関西国際空港南ルート実現の必要性について、まず申し述べます。
 あと一年半で二十三キロという至近距離に関西国際空港の開港が、また、関西の復権をかけた関西文化学術研究都市や明石海峡大橋など、ビッグプロジェクトを活用して地域を活性化するため、それぞれの浮上策が実施されている。
 このような現況の中で、本県においても関西新空港の波及をもろに吸収しようと、コスモパーク加太、近畿のリサーチコンプレックス構想の一翼を担う南麓サイエンスパーク、また海洋リゾート面で東洋一を誇ると言われている和歌山マリーナシティ、先端技術や人材育成、情報提供等の多様な機能を備えた頭脳立地構想、ジェット化整備を進める南紀白浜空港の整備など、和歌山県の歴史上今までにないビッグプロジェクトが稼働しております。二十一世紀の和歌山県、また超長期の和歌山県を考えた場合、このような大きなプロジェクトを進めることこそがこの和歌山県の活性化にとって欠くことのできないものでありましょう。
 しかしながら、将来の和歌山県を考えるとき、これらのプロジェクトにおいて、建設資金面、将来性、アクセス、利用促進などの多くの課題が覆いかぶさってきます。私は、これらのプロジェクトを進めると同時に、私たちが住んでいる和歌山県をどのようにしたらさらなる発展につなげられるのかと考えています。
 まずは、関西の復権をかけて動き出した三大プロジェクトと和歌山県のプロジェクトのリンケージが必要なのではないだろうか。これらのプロジェクトをどのようにしてリンクし、これらのインパクトをどのように受けとめてボーダーレスな経済圏域をつくるかが、私たちがなすべきことではないかと考えます。
 そこでまずお聞きしたいのは、二十三キロと至近距離にある関西国際空港の建設についてでございます。現在の計画では、鉄道、道路とも一本のラインであります。以前にも本会議で南ルートの実現を目指して県として運動をと申し上げ、仮谷知事も関係者とともに積極的に取り組むとのご答弁をいただきましたし、今議会においても先日、森正樹議員も南ルート実現の必要性について発言をされていましたが、この空港の持つインパクトを最大限に引き出すにも、ぜひもう一つ南ルートが必要なのではないでしょうか。
 地元の泉南市や関係市町村では調査を行い、実現に向けて動き出しております。大阪湾ベイエリア構想では自動車専用橋として描かれていますが、和歌山としては鉄道併用橋として実現してほしいものであります。電車が空港島にピストン運転するのではなく、ぜひ鉄道併用橋として北ルートより南ルートに通過運転が可能な、つまり和歌山─大阪間を空港島経由で通過運転ができるようにすることで、時間の短縮と運行のスムーズ化に大きなメリットが期待できましょう。この南ルートこそが和歌山県の二十一世紀にとって重要な発展源になるのではないでしょうか。考え方と今後の方針についてお伺いしたい。
 私は常々思っているのですが、このようなプロジェクトを生かすも殺すもすべて交通基盤だと考えています。また、これらのプロジェクトを効果よく活用するためにも、十二分な効果を生むためにも、循環させる必要があり、循環系の交通体系の確立こそが必要ではないかと考える次第でございます。
 二十一世紀の和歌山県を考えるとき、今進めているプロジェクトのほかに新たなものにも取り組まねばなりません。そして、本当の意味で和歌山県を考えるならば、それらのプロジェクトへのアクセスや既存都市との連携、交通基盤整備の見直しなど、多くの問題が山積しています。その中でもまず考えなければならないのは、交通基盤ではないかと考えます。和歌山も阪南の発展とともに密集都市化が進み、鉄道が主たる交通機関となり、多量輸送が見直される時期が参ります。
 次に、南ルートにも関連しますが、南海本線、南海高野線、JR和歌山線について。
 将来的には我が和歌山県においても紀伊半島を一周する循環鉄道が必要になるであろうし、南海高野線、JR和歌山線、南海本線、阪和線の相互乗り入れにより、先ほどの南ルートができれば関西国際空港を核として関西の鉄道環状が形成されるのではないでしょうか。聞くところによりますと、橋本と御幸辻間の複線化工事が進められています。これが完成しますと、大阪都市圏と橋本市間の輸送力増強と時間短縮が図られます。
 そこで、まず第一歩として南海本線とJR和歌山線、南海高野線を相互乗り入れし、和歌山の二大都市である和歌山市、橋本市と大阪圏を結べないものかとお聞きするとともに、今後の取り組み方針についてお伺いしたい。
 次に、第二阪和国道と新南海橋についてお伺いします。
 県都和歌山市民が和歌山県民の玄関口として、また大阪や関空への主要アクセスとして待ち望んでいる第二阪和国道と新南海橋について、平成二年十二月議会で県ご当局は和歌山市の平成八年度供用開始を目標に県としても協力していくとのことでありました。新南海橋取りつけ道路の用地買収の進捗状況は、全体で約六万三千平方メートルに対し、平成四年度末で一万二千七百平方メートル、二四・二%との目標で努力中でありますが、市では橋を平成五年度設計、六年度着工を目標に頑張っているようです。現状と今後の取り組みについてお聞きいたします。
 また、高速道の北インター設置についてでありますが、人口が急増した紀の川北岸地域より紀の川南岸側へ交通停滞の中を阪和高速インターに乗り入れをするわけでありますが、人口分布から見ても紀の川北岸地域に必ず高速道へのアクセスが必要であり、その計画を早期より準備しなければ、人口が密集してからでは、かなりのスペースが必要となるインターチェンジであるため最適の位置に設置が困難となるのは必至です。和歌山市北岸側での高速道へのアクセスの取り組みをお聞かせいただきたい。
 三番目にリゾート県を目指す和歌山についてでありますが、まず、港湾、河川の管理、整備について申し上げます。
 紀州紀の国として歴史に残る多くの海岸美にも恵まれた本県和歌山は、瀬戸内海国立公園や都市公園の指定地域も多いため、その保存と調和をとりながら開発や地域整備をする必要があり、これらの当該地域の整備にはいつも賛否両論があったりして、規制地域でなくても総論賛成・各論反対が多い傾向の最近、公共事業に対する地元協力を全員賛成として取りつけるのが困難なことは、関係者の悩みとするところであります。和歌山ばかりではありませんが、公共事業の進捗のおくれは行政当局の立案に問題があるとか、地元協力体制に問題があるとかで、公共事業のストップしている理由を双方から聞かされることがしばしばあります。
 さて、川や海の水が、以前は魚が泳いでいるのが見えたのに今は濁って汚れてしまい、こんな汚いところで魚を釣っても有害物を含んでいて食べられないのではと感じる川や港がふえてきているのも事実であります。
 リゾート県を目指す和歌山としては、当然、海や川の美化は他の県より見事に整備すべく取り組まねばならないのは必至でありますが、とりわけ和歌浦湾や雑賀崎等の海岸等については、そのほとんどの土地は個人の所有している土地であるから、観光名所とするならその計画を早期に策定し、地主や関係官庁とも協議し、場合によっては公的に土地の部分買い上げ等も行って公共で保存すべきものと、民間人の土地であるが協力をしていただくものと、調和のある開発整備をしていかなければならないと考えます。
 これは、県当局が立案するなり市町村に立案させる等、リーダーシップをとっていただかねば、民間でできることではありません。これらの実現のためには、官民の信頼関係はもとより、関係漁業協同組合等との信頼関係も重要な要素であります。港湾整備の同意を関係者にとる際など、地元要望に対し、県としては「そのように『努力します』と約束したが、そのように『する』とは約束していない」等の話は、地元関係者では「やってくれると言った」と受けとめております。私は、県として「努力する」と言ったらできることがほとんどだと、県の力を高く評価して信頼しておりますが、国の事業を県が順次施行していく場合等に、国や県の行政の担当幹部が退職や異動でかわったとき、この種の問題が発生しやすいようです。担当幹部がかわっても、公共事業は完了まで継続すべき性格のものであります。
 和歌山工区において防波堤の消波工事が運輸省で半分だけ施行したままストップになっているとのことで地元より工事完成を強く要望されている消波ブロック工事は今後いかに解決するのか、お聞きかせいただきたい。
 河川の管理についても、その上流である農業用水路も含め、農業基盤計画と未来の都市構想に対応し得る整備がなされるべきでありますが、現在その計画が広域的にでき上がっていないため、河川や農業用水路も整備未着手や応急工事状というのが実態かと考えます。また、河川敷や紀の川堤防にもずっと以前より放置自動車が多く確認されています。このことは県議会でも取り上げられ、所有者の権利があるので一定の期間がたたないと今すぐには一概に不法投棄として処分できないとのことでしたが、約一年たった現在、いまだに放置されたままのものも多くあります。
 一昔前にはスクラップ自動車は一万円で売れたものですが、現在ではスクラップ自動車の引き取りをしてもらうのに一万円ぐらい払わねばならないと聞いております。放置車両の現状を県当局は把握されていると思いますが、再来年のリゾート博までに開催地である県都和歌山市の放置車両の現状にどのように対処するつもりか、お聞かせいただきたい。
 次に、プレジャーボートの現状と掌握について。
 海洋レジャーはここ数年、若者を中心に急速に普及してきており、将来的には新しいライフスタイルの一部として国民一般に定着していくものと考えられます。平成四年の「海上保安白書」によりますと、平成三年の海洋レジャー事故の発生状況は、プレジャーボートの海難が六百六十隻であり、これに係る死亡・行方不明者は四十一人となっている。海洋レジャーに係る海難事故等については、八百四十四人が事故に遭い、三百六十四人が死亡・行方不明となっている。このうち、スキューバダイビングで三十一人、ボードセーリングで六人、サーフィンで二人、磯釣りで百十七人、遊泳で百六十三人が死亡・行方不明となっている。
 また、密漁についても悪質化してきており、地元漁業者が長期にわたり努力して育てた魚介類を高速船とアクアラング等を駆使して組織的かつ広域的に根こそぎ採捕する等のものは、取締船より高性能の密漁船を仕立てるなどにより逃走されることが多くあり、漁業関係者は、プレジャーボートも何らかの船籍表示をしてもらい、船籍表示をすることによるマナーの向上や犯罪発生時の検挙可能の容易化等について、行政に対して何とか対応してほしいと立案、指導を懇願してきております。
 最近、紀の川大堰の工事が進むにつれ、紀の川大堰下流のプレジャーボートが不法係留として移動、退去させられましたが、それとてほとんどの船は正規の置き場もなく、県管理の河川や港湾、漁港等に一時係留しております。
 さて、以前、本会議においてプレジャーボートの係留について県としても設置促進をしていただくべく提言してきました。県ご当局も既に和歌浦漁港を初め、各部局におかれても取り組んでいただいているようですが、その進捗状況やプレジャーボート係留の現状認識について、及び今後の取り組みについてお聞かせいただきたい。
 また、このプレジャーボートの係留基地設置とあわせ、何らかの形で船の所有者の確認を可能にし、どこのだれの船かわからないが廃船として川に沈んでいたり、海岸に捨てていたりしている今までの実態を今こそ改善するチャンスだと考えます。例えば、係留基地使用者については船籍──自動車の登録ナンバーのようなもの──を明示するとか、ナンバーが表示できないなら、どこの基地に係留している船とわかる印とか記号とかであります。
 小型船舶の協会では個人のプライバシー保護の観点からだれの船か教えないそうですが、このことは、公海である海をだれもが安心して使用できる公共の福祉等の観点と比較して考えますと、道路を走る自動車にナンバープレート着用の義務があるのと何ら変わらなくなってきている今日であると考えます。
 県としても、海難事故防止やプレジャーボートの秩序ある利用の指導と管理を今から考えておかなければ、多くのトラブルが予想されます。船籍表示の必要性については運輸省管轄のことと放置せず、今後公的な係留基地を建設していく際にプレジャーボートの管理方法について何らかの取り組みができないものかと、ご質問する次第でございます。
 先日の新聞によりますと、平成四年十一月十七日付の「ニュース和歌山」では「海川に放置艇激増」と、また平成四年十一月十八日付の読売新聞では、県管理漁港の有料化で合意したが、ボート置き場の有料化については対象の三分の一は抵抗の構えであるなどということで、せっかく県が努力して係留基地を整備してくださったのに、そこへ係留する船が、海の上だから金を払わなくてもいいのではないかなどと、後になってトラブルが発生しております。
 しかし、権利を主張する、それを実行していく等、いろんな立場の整合性をとるためにも、ある一定の義務というか、ご協力をしていただくことも県民にお願いしていかなければ和歌山の海の整備はできないと思います。どうかひとつ、この際に何らかのプレジャーボートへの管理体制を県にとっていただきたいと思います。
 それから、一番最初に申し上げた墓地の問題に関して資料を配付させていただきましたが、これは県のご当局と県議会の調査課のご協力をいただいて調べたものでございます。
 以上で、質問を終わらせていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 墓地、埋葬等に関する法律施行細則に関して、土葬と火葬の推移と現状、周辺二百メートル同意の緩和の必要性についてお答えいたします。
 土葬、火葬の推移については、近年、火葬化が進んでまいり、昭和五十年度の火葬率は七六・七%でしたが、平成二年度では九一・四%となっております。なお、全国では九七・一%が火葬となっております。
 次に墓地の設置場所についてでございますが、本県では従来、人家、学校、病院等から二百メートル以上離れた場所とし、これによりがたい相当の理由がある場合には、二百メートル圏内の方の承諾書や自治会長の承諾書を求めてきたところです。
 環境改善、墓地需要等を考慮して墓地の確保や統合化を図るためにも、現在、全国の状況等を参考にして検討を進めているところであり、速やかにまとめてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 道路交通網整備に関するご質問にお答えいたします。
 まず、関西国際空港の南ルートについてでございますが、森議員にお答えいたしましたように、大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインにおいても長期的な展望に立った必要性が述べられているものの、その実現には事業主体等、非常に大きな課題がございます。
 議員のお話のように、地元泉南市において南ルートの調査が行われていると聞いてございます。今後、県内の関係市町で構成されている紀泉問題連絡協議会とともに、その方策等について研究を進めてまいりたいと存じてございます。
 次に、南海高野線、JR和歌山線、そして南海本線の相互乗り入れについてでございますが、南海高野線とJR和歌山線の相互乗り入れについては、橋本駅構内における接続線の新設、車両の幅の違い、信号等の電気設備の整備、ダイヤ編成の問題など、両社間の調整を要する多くの課題もございますが、既に両社に検討いただくよう要請を行ったところでございます。
 また、南海本線とJR和歌山線との相互乗り入れについては、今後解決していかなければならない課題がございますが、両事業者と話し合っていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず第二阪和国道と新南海橋でございますが、第二阪和国道の和歌山北バイパスについて、現在、近畿地建と和歌山市が地元と協議を重ねながら用地買収を促進しておるところでございます。用地買収を促進するため、国に対して補正予算を含めた予算の増額を要望しているところでございます。
 仮称「新南海橋」の着手については、前後取りつけ区間の用地買収の状況を見きわめながら、和歌山市とともにその早期実現を国に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、高速道和歌山北インターについてでございます。
 紀の川右岸地域での高速道路インターの設置については、従前から和歌山市初め地元の皆様方から要望が出されており、県としても、紀の川右岸地域における近年の人口増、あるいは種々の開発計画が具体化しているということから、必要なインターであると考えております。
 近畿自動車道に設置するインターとすると、現行の制度においては基本的には開発インターとなり、その実現には非常に難しい問題があると思われます。しかし、現在、京奈和自動車道の事業化に必要な種々の調査が国において行われております。県としても、この京奈和自動車道へ紀の川右岸のインターが設置できるよう、国に働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、港湾、河川の管理、整備についてでございます。
 和歌山工区の外防波堤の消波工事については、第三港湾建設局において、施設の安定性や静穏度の向上と反射波対策として昭和五十六年度から平成四年度まで施行しているものでございます。平成二年度から雑賀崎地区の土地造成事業を県が実施することとしたため、一部の区間が防波堤の改良工事としてできなくなったわけでございますが、この残った区間については、県が行う緑地の整備事業の一環として平成五年度から引き続いて施行ができるよう運輸省に強く要求しているところでございます。
 次に、堤防や河川敷地における放置車両についてでございますが、紀の川においては約百三十台、和歌川、土入川などにおいて九月末現在で約三十台が放置をされている状況にあります。
 これらを是正するため、河川管理者として、立て看板の設置やステッカーによる告知を行い撤去を促しているところでありますが、所有者の特定が難しく、放置されている実情にあります。
 建設省においては、先月より撤去対策を強化し、十一月末までに約三十台を撤去したと聞いております。県としても、その実態を調査したところであり、今後、監視体制を強化するとともに、警察等のご協力を得ながら、リゾート博開催に向けて積極的にその整理を行ってまいりたいと存じております。
 次に、プレジャーボートの件でございますが、議員ご指摘のとおり、水域利用の秩序を維持し、プレジャーボートの活動の適正化を図ることは重要な課題と認識をしております。このため、港湾におけるプレジャーボートの収容対策として、和歌山マリーナシティのマリーナを初め、簡易な係留施設であるプレジャーボートスポットの整備を和歌山下津港内の三地区で進めているところでございます。
 和歌山マリーナシティのマリーナについては平成六年夏に一部供用開始の予定であり、また、プレジャーボートスポットのうち大浦地区については平成四年度末に概成の見込みであります。残りの琴の浦地区及び市堀川についても、早期供用を目指して整備を推進してまいります。
 今後ともこれらの事業を継続して収容施設の確保に努めてまいりますが、他方、河川区域におけるプレジャーボートの係留については、台風や出水時に流出して堤防、護岸を破損する等、治水上の支障や他の河川利用に支障を及ぼすことなど、河川管理上の問題がございます。
 建設省では、現在、秩序ある河川空間の利用を推進するため、係留船対策のガイドラインの策定を進めているところでございます。県としても、今後この動向を踏まえ、秩序ある係留を推進するための対策について検討してまいりたいと考えております。
 次に、プレジャーボートに対する規制等については、ご指摘のとおり、五トン未満のいわゆる小型船舶については、現行の登録制度では所有者の確認等が困難な実情でありますので、今後、港湾管理者としても、施設の使用に際してプレジャーボートの所属基地が確認できるような方法について検討してまいりたいと考えております。
 また、いわゆる車の車庫法的な問題については、全国的な問題として国においても検討していると聞いておりますので、その動向も踏まえつつ適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) プレジャーボートの現状と掌握についてお答えを申し上げます。
 漁港におけるプレジャーボートを含む遊漁船等の係留については、漁港内における漁船との利用調整を図り、漁港の有効な利用と機能の保持を図るため、本年四月より使用料を徴収して、漁業活動に支障のない場所を選定して順次施設を整備しているところでございます。なお、和歌浦漁港については、四月に遊漁船等の係留のための利用施設を完成し、適正な管理に努めているところでございます。
 また、所有者の把握については、利用者からの使用届を提出していただき、その際「使用届済証」のシールの交付をして、船首の見えやすい場所に表示する等の対策を実施しているところでございます。なお、十月末現在で二百二十隻にシールを交付してございます。
 今後とも、漁港の適正な管理を図りながら、遊漁船等の対策について関係機関と連携をして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、順次お尋ねをしてまいります。
 初めに、関西電力における女性差別問題について伺ってまいりたいと思います。
 この具体的内容に入る前に、お断りとお願いをしておきたいことがございます。きょうは、この会場に関西電力の関係者の方もお見えになっていると推察をいたしますけれども、この具体的内容の中で、私は一人の女性の問題として発言をしているわけではございません。現在、その対象の女性は産休中であり、この年末には無事に元気な赤ちゃんが生まれるであろうということで大事に産休を過ごしていらっしゃいますし、続いて育児休暇を一年とられるということも聞き及んでいます。そういったことで、差別問題に触れるわけですけれども、この方が引き続いて、子育てをしながら一生懸命頑張る決意を持って現場に復職をされていくと確信いたしておりますが、ぜひともこの問題について、企業当局はもちろんのこと職場の皆さんたちも、これから頑張るというこの女性に温かい支援を送っていただき、その方を大事にしながら女性問題を考えていただきたい、この問題を取り上げた結果によって再び不利益な取り扱いがされないよう、殊にお願いをしておきたいと思います。
 では、始めていきたいと思います。
 ご存じのように、国連の女子差別撤廃条約が批准されて六年、男女雇用機会均等法が施行されて五年がたちました。しかし、職場における男女平等はまだまだ不十分でありますし、男女平等ということを口実に母性保護の権利が大幅に切り捨てられた現労基法などの問題も多々あります。これらは、結婚してもずっと働きたいという女性の願いとは相入れない現状にあることを認識していただきたいことを申し上げ、今回はそのことはさておき、時代錯誤かとも思われるような女性差別あるいはべっ視の状況が和歌山県を代表するような大企業の職場で日常茶飯事行われているという事実をここに申し上げ、県行政としての見解を伺うものです。この問題については十一月二十七日付の朝日新聞夕刊によって報道されておりますので、既にご存じと思います。
 事態は、関西電力の和歌山県内の営業所での出来事であります。真夏の八月のある日、妊娠中のA子さんは、妊婦用の制服がないため私服で勤務をいたしておりました。支店長の訪問の際、A子さんは私服でお茶を出したのです。支店長が帰った後に上司である営業所長は、職場のみんなのいる前で「着る服がないなら裸で歩け」、その上、「おなかの子供は男の子か女の子かわかっているのか」と尋ね、「わかりません」と答えると、「あなたほどしっかりして気の強い人はまず男の子に間違いないだろう」とか「人前で大きな腹をさらしてみっともない。そんな思いをするくらいなら、私は男に生まれてきてよかった」などと、実に乱暴な口調で嫌がらせが行われたというものです。
 A子さんはこのことが悔しくて悲しくて、眠れない夜が数日間も続いたそうです。まさにA子さんへの人権侵害に等しく、しかも女性に対する侮辱としか言いようがありません。私は、こういう管理職が職場にいることを非常に悲しく思いますし、このような上司がいる限り真の男女平等は実現しないであろうと、怒りを込めてこの壇上から訴えたいと思います。
 A子さんは、結婚する際にも、そして仕事を続けるに当たっても、この上司から数々の嫌がらせが退職させるためにありました。上司は、「会社をやめないと転勤さすぞ」とか、「共稼ぎをすると子供が不良になるから会社をやめた方がよい」とか、「夫が浮気をするから家にいる方がよい」などと、A子さんの親元まで電話をして「会社をやめるようにA子さんに言ってくださいよ」と、執拗に働き続けることへの妨害が続きました。さらに、「退職しないと仕事をふやすぞ」と言って、新たな仕事がふやされました。終業時間間際になって「この仕事をやってくれ」と言ってくるなど、異常なほど退職が強要されたのであります。
 関西電力には、結婚退職制度や出産退職制度も存在しません。ですから、結婚しても働く権利は、本人の意思によって当然保障されなければなりません。そればかりか、結婚すれば当然妊娠するという経過をたどる、これが一般的な共通の認識ではないでしょうか。また、妊娠者には妊婦服を制服として支給する、これもまた最近の情勢では、女性社員を雇用している企業の今日的常識ではないかと思うわけです。
 関西電力和歌山支店営業所には社員千七百六十名余り、そのうち女性社員は百名余り、そのうち既婚者はたったの四名です。関西電力全社的に見ても大変少なく、女性社員千九百名余り、既婚女性百三十六名、約七%です。これに比べて東京電力は既婚女性社員が三八%でありますから、他社と比べてみても異常に少ないと言わざるを得ません。今や日本の女性労働者の中でも既婚女性が七割を占めるという状況でありますから、こういうことから考えても異常に低い現状にあると言わざるを得ません。この現状は、関西電力の特定した管理職の不見識にとどまらず、関西電力という大企業の前近代的労務体質から来たものでありましょう。このことも強調しておかなければなりません。
 こうした関西電力の企業方針であることを職場新聞「鉄塔」に投書が寄せられ、その「投書欄」に記載されています。私の手元にも届いておりますので、その投書を読んでみたいと思います。
 若干前文を略しますが、「結婚する女子社員に退職を迫る事は、関電のどの職場でも日常茶飯事で今日まで続いています。 その方法は、上司を中心として『仕事と家庭は両立しない』などと親切ごかしに退職の説得をするもので、私も以前から特管職の指示を受けこのような事に加担してきた上司の一人です。 今回の『裸で歩け』発言は"所長"個人の失言ではなく関電の労務政策が言わしめた事件と確信します」、このように、はっきり現役職者が訴えていらっしゃるわけです。
 さらに、私の手元に関西電力労働組合が編集をした大変きれいな女性向けパンフレット「バレンタイン」というものがあります。この中にもこのことが収録され、指摘をされております。去る六月開催された「レディース・フォーラムin京都」における東北電力労働組合や中部、東京の両電力労働組合の女性幹部を招いてのパネルディスカッションでの一幕であります。
パネラーの一人である東北電労の女性は、恐らくこのときに関西電力の女性から質問が出された中で現状を報告されたのでありましょう。そのことに対してこの一人のパネラーは、「まず関電の(結婚退職は)『当然と思っている上司』の皆さんに訊ねてみたいですね。『何故、退職するのが当然で、肩を叩いたり、圧力をかけたりするのですか?』『当然の根拠は何ですか?』『働く女性について、どう思いますか?』…と。感情的じゃなくて理論的に」お聞きしたいと、このように明確に企業の一貫した労務体質を浮き彫りにしているのです。
 朝日新聞の報道後、多くの女性の方々から私のところにもファックスや電話による多くの怒りの声が寄せられてまいりました。その一例ですが、「本当にひどい女性差別だ」「Aさん一人の問題ではない。女性すべてに対する重大な問題だ」「許すことはできない」「本来なら、周囲の人たちから喜ばれ、気を使っていただいて出産を迎えるのですが、こんな上司のもとでは妊娠・出産が悪いことのように感じ、苦しかっただろうと思います。働く女性の一人として、彼女に頑張って強い母になってほしいと願います」、こういうふうな声がファックスでも送られてまいりました。
 こういった大きな反響をこの問題は呼んでいます。こういったやさき、婦人少年室に九月末、一人の女性から投書が入ったそうです。婦人少年室は早速関西電力に出向き、事情調査を行いました。その事情調査に基づく指導を行われたようでありますが、男女雇用機会均等法における禁止規定以外は罰則規定のない現法でありますから、おのずと婦人少年室の指導にも限界があり、援助というところにとどまらざるを得ません。早急にこの問題についても改善し、実効ある平等法を求めたいと思うのです。
 以上、るる申し上げてまいりました。私は、今回の関西電力で起こった問題は、女性の人権にかかわる問題として受けとめております。直接の行政責任はないことは承知の上で、県行政にお尋ねをしなければなりません。しかし、事女性の社会参加を積極的に進めている県行政にあっては、よそごととして見過ごすという消極的な姿勢であってはならないと思うのです。県民の安全な職場環境をつくるためには、いかなる大企業であっても行政は積極的に意見を申し入れるなど、厳しい対処を考えなければならないと思います。
 県行政の最高責任者である知事の見解をお聞かせください。そして、労働行政の直接責任者である商工労働部長と、母性を何よりも大切にと行政を進めている民生部長の見解をお聞きしたいと思いますし、両部長には、あわせて真の男女平等を実現するための具体的施策についてもお答え願います。
 この問題の質問を終えるに当たり、私は一言愚言を申し上げておきたいと思います。関西電力と言えば、住友金属と並ぶ和歌山県では有数の近代的企業であろうと私は思っております。今日の経済社会において大企業の社会的に果たす役割は大変大きなものがあります。それゆえに、近代的大企業の職場でこそ、女性の職場進出を初めとした女性の能力を本当に花開かせていただき、結婚しても安心して生き生きと働き続けられる職場の環境整備を率先して実施し、そして県下のどの企業よりも模範になってもらいたいと私は切に願うものです。
 特に、女性は生まれながらに母性機能を有しているわけですから、この母性機能を保護するという立場なくしては真の男女平等が前進しないこと、また母性が大切にされる職場は男性にとっても権利が守られて働きやすい職場になることは、私は確信を持っています。ここに、このことについても声を大にして強調しておきたいと思います。
 次に、和歌浦の都市計画街路和歌浦廻線に関して幾つかお尋ねをいたします。
 和歌川の河口に広がる三十ヘクタールの干潟は近畿では最大の広さを持ち、都心に近い干潟として大変重要であると考えます。来年六月には北海道釧路市でラムサール条約の締約国の会議が、アジアで初めて開催されます。日本も加盟しているラムサール条約は、前文で次のように述べております。
 「湿地が経済上、文化上、科学上及びレクリエーション上大きな価値を有する資源であること、及び湿地を喪失することが取り返しのつかないことであることを確信し、湿地の進行性の侵食及び湿地の喪失を現在及び将来とも阻止することを希望し」と、湿地の大切さを述べているのであります。干潟は湿地そのものであり、大切に保存されるべきものであるということが日本を含めて国際的な認識となっているわけです。
 ところが、この九月に発表されました環境庁の第四回自然環境保全基礎調査海域生物環境調査結果では、前回調査の一九七八年と比べて全国で四千七十六ヘクタールもの干潟が消滅し、そのうち一千八百九十ヘクタールは埋め立てによって消滅しているとのことであります。環境庁では、釧路での国際会議に向けて条約に登録する湿地の数を現在の四カ所からふやす計画だと聞き及んでいます。こうしたときに和歌山県が近畿地方でも有数の湿地である和歌川河口の干潟を埋め立てようとするのでありますから、事業を進めるに当たっては非常な慎重さが求められると思うんです。
 さて、その和歌川河口についてですが、有名な山部赤人の歌も広い干潟があってこそ生まれたものであり、名草山を後景に、片男波、不老橋を中心とした和歌浦の歴史的景観の核の一つをなすものであることは言うまでもありません。また近年、生物の研究者によれば、ここには近畿地方ではここにしかないオサガニの貴重な群落が報告されています。また、一時絶滅を伝えられたハクセンシオマネキの姿も見られるようになったと聞いています。このことは大変うれしいことではありますし、県当局はこうした干潟の生物実態調査をなされたと思いますけれども、その結果は公表されておりません。
 このたび、和歌山市と県の都市計画審議会を通過した街路の拡張計画によりますと、不老橋のたもとからあの三角公園までの二百八十メートルにわたって干潟を二十五、六メートルの幅で埋め立てようとするものになっております。
 土木部長にお伺いいたします。まず第一点は、この七千平方メートル以上もの干潟の埋め立てを伴う街路計画は、案の段階で住民への説明はどのようになされたのでしょうか。海水浴場による交通混雑で一番被害をこうむり、また和歌川の干潟に親しんでいるのが周辺住民の方々でありますから、まず最初に計画案を明らかにして住民の方々の意見を聞くのが大切だと思うからです。計画を決めてから審議会に意見を出せと言うだけでは、計画に住民の意思が反映されるとは言いがたいのではないでしょうか。また、埋め立てによる干潟の生息動物への影響は避けられないと思いますが、その現状調査はいつだれが行ったのか、そしてその結果の公表を行う意思がおありかどうか、お伺いいたします。
 また、この区域は和歌山下津港湾に含まれる港湾でもありますが、そこでの埋め立てですから港湾整備計画の変更になるのではないでしょうか。その点で、埋め立てまでの法的な手続として、県の港湾審議会による埋め立て計画の変更や中央港湾審議会での変更承認、環境アセスメントなどの実施などが必要と考えます。県が事業実施に当たって検討されている計画日程をお示し願いたいと思います。
 この問題の最後に、干潟の大切さについては最初に述べたとおりでありますけれども、貴重な干潟を調査保全し、子供たちがスナガニ類やハクセンシオマネキを身近に観察したり手で触れられるような教育的な環境に整備されれば、和歌浦が本当に市民から親しまれる干潟になると考えるのです。関係部長の答弁をお願いいたします。
 教育長にお尋ねをいたしますが、干潟の生物や干潟の大切さを市民に知らせ、子供たちにも教える施策が必要なのではないかと思います。教育長のお考えをお尋ねいたします。
 最後に、内川浄化問題についてお尋ねいたします。
 昨年、和歌山市は内川浄化対策として排出水の色等規制条例を施行し、平成六年四月一日までに色抜き施設の整備を義務づけ、その後、規制基準を達成しない場合には条例違反として勧告や排出水の停止、さらに五万円から三十万円の罰金に処されるという厳しいものであります。この条例の対象事業は染色・化学工場でありますが、その大半が中小業者のようでございます。
 和歌山市では、施設整備のため五億円以内の融資あっせんや利子補給制度などで積極的な施策が今進められているところです。一方、事業者の方々も苦労しながら一生懸命努力をされているようでありますが、不況の中で資金づくりに苦慮されていると聞いております。残されたわずかの期間内で全事業者が条例にこたえ得るのか、大変厳しい状況にあると言えるのではないでしょうか。大企業ならば企業責任を求めたとしても、当対象事業者が中小企業であることを考慮し対応する必要があると思うのであります。
 そこで、県は内川の河川管理者として今日まで種々の努力を続けてこられたことは評価しておりますが、和歌山市の条例を実効あるものにするための県としての具体的な援助策とその進捗状況をお聞かせ願いたいと思います。そして、何よりも中小事業者に対する資金援助を求めたいと思います。その考えがおありかどうか、関係部長からお答えをいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 関西電力の女性差別問題についてでございますけれども、女子労働者の問題につきましては、母性を尊重し、性別による差別はあってはならないことでございます。すべての人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、男女とも個人としてひとしく尊重される社会が実現されなければならないと思っておる問題でございます。
 この件については、県として企業に対し適切な指導をするよう担当部長に指示しておるところでございます。なお、女性問題の推進につきましては、今後とも広く県民の理解が得られるように努力してまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 村岡議員にお答えをいたします。
 事実把握と見解、それから施策についてでございます。
 議員ご質問の事実把握と見解についてでございますけれども、県としては、会社側の今までの対応等について報告を受けてございます。あわせて、雇用管理の改善に今後とも万全を期されるよう、会社側に申し入れたところでございます。
 男女雇用機会均等法は、法のもとの平等を保障する憲法の理念にのっとり、女子労働者が母性を尊重されつつ、しかも性別により差別されることがないようにと定められておりますとおり、女子労働者を差別することはあってはならないものと考えてございます。
 県としても、今後とも女子労働者の働きやすく安心して働ける環境づくりに向けて、男女雇用機会均等セミナー、仕事と育児を考えるフォーラム等、各種の施策と普及啓発について、労働省和歌山婦人少年室と連携をさらに密にして努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、和歌浦の都市計画街路和歌浦廻線についての干潟の保全・調査でございます。
 和歌山県における干潟・藻場に関しては、自然環境保全基礎調査の一環として国より県が調査委託を受け、その分布状況について調査を実施しております。干潟は自然との触れ合いの場として人々の利用にも資するものであって、このような利用も大切と考えておるところでございます。
 次に内川浄化対策についてでございますが、内川浄化対策は県としても県政の重点施策として取り組んでいるところでございます。
 さて、和歌山市の排出水の色等規制条例が平成六年四月一日より適用されることに伴い、関係の業界にあっては、企業の技術担当職員のトップを中心に今日まで十数回の調査検討会議が開催されてきたと聞いてございます。商工労働部としても、関係業界と数回にわたり話し合いを持つ一方、工業技術センターにおいて、県立姫路工業大学の支援を得ながら、工場からの着色排水を脱色処理する技術的な方法についてのマニュアルを策定し、低コストで脱色する技術を確立するための調査研究を行っているところでございます。また、新たな排水処理施設の設置については、建設費を初め、用地の確保やランニングコスト、さらに脱色方法等、幾つかの重要な問題をクリアしなければならないと認識してございます。
 今後とも、関係業界はもとより、関係機関と連携を密にしながら、今日の経済状況も踏まえ、それら問題解決のために積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 村岡議員にお答えをいたします。
 事実の把握については、ただいま商工労働部長から答弁したとおりでございます。
 働く女性が年々増加する中で、労働分野における母性保護の必要性については、女子労働者の健康を保護するだけではなく、健全な次世代を生み育てる社会的な役割を担うといった意味からも重要な課題と考えております。したがって、働く女性、特に妊産婦に対する差別は絶対に許されるものではないと考えてございます。
 次に具体的な施策でございますが、女性問題については二十一世紀を目指す女性施策の指標として「わかやま女性プラン」を策定し、そのプランに沿い各部局において諸施策を積極的に推進しているところでございますが、真の男女平等を実現するには、男女の固定的な役割分担を払拭することが大切であると考えております。そのため、県民の意識改革を図る広報啓発活動の展開や女性の学習及び活動の拠点となる女性センターの建設決定を初め、女性が安心して働ける条件整備として放課後児童対策、乳児保育や延長保育など、諸施策の充実に努めているところでございます。また、政策決定へ女性の意見を反映するため、県の審議会や委員会等に女性の登用を図るとともに、市町村に対しても機会あるごとに女性登用を指導しているところでございます。
 今後とも、真の男女平等を実現するため、国、県、市町村、関係機関等と連携をしながら女性問題解決に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 都市計画街路和歌浦廻線についてお答えを申し上げます。
 まず住民への説明の件でございますが、和歌浦廻線は片男波公園や片男波海水浴場にとっても緊急かつ重要な道路として、あしべ橋に続き整備を進めるもので、地元住民の方々からも早期整備を強く要望されている道路であります。このことから、和歌浦廻線の拡幅計画については、その案を作成する段階で、地元の方々に干潟の埋め立てを伴う道路断面であることを十分説明しております。
 次に現状調査の件でございますが、埋め立てに伴う生物等に対する調査については、平成三年度から四年度の二カ年にわたり専門のコンサルタントに委託をして調査してございます。この調査は国が定めている環境影響評価の実施に基づく調査ではなく、埋め立て免許申請の提出に必要な項目について調査を行ったものでありますので、この調査結果を公表する計画はございません。
 最後に、事業実施の計画日程についてでございます。
 今後の事業実施の予定でございますが、このたびの和歌浦廻線の計画は港湾活動に直接影響を与えるものではなく、港湾計画の変更には該当いたしません。したがいまして、県の港湾審議会や中央港湾審議会での変更承認を受ける必要はないものでございます。
 今後、本年中に埋め立て免許申請書類の提出を行い、免許がおり次第、建設大臣に事業認可の申請を行いたいと思っております。完成時期については、世界リゾート博に間に合うようその事業を進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 内川の浄化についてでございますが、二月議会で答弁いたしましたとおり、和歌山市の色等規制条例については、工場、事業場で個別の事情はあるものの、和歌山市の担当部局からは、ほぼ対応可能であると聞いております。
 また、今後、市や事業所からの相談等があれば協力したいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 干潟の保全と教育的立場についてお答えいたします。
 現在の子供たちにとって、自然の事物や現象に直接触れさせることは、自然に対する関心や興味を持たせる上で大切であると考えてございます。
 県立自然博物館等の施設において、自然情報の得やすい場所を選びながら、自然に親しむ方法や科学的な観察の方法についての講座を開催したり、県下各地の海岸や川や山で観察会を積極的に実施するなどしております。また、子供たちを対象にした学習講座では、特に自然との接し方や生き物とのかかわり方について学ばせ、その理解を図る一助としております。また、県教育研修センターでは、身近な動植物の観察等を通して自然についての理解を深めるための研修講座等を実施し、指導者の資質の向上を図っております。
 和歌浦の干潟につきましても、県下に数多くある自然観察地の一つとして、潮干狩りを兼ねた遠足地等に活用されている例もございます。今後も、自然との触れ合いの場として有効な活用について研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、再質問をしたいと思います。
 まず最初に和歌浦廻線の問題でございますけれども、和歌川河口の干潟の埋め立てについては、ご承知のように、和歌の浦は古くからの景勝地として和歌山県が全国に誇れる歴史的景観を持つところだと私たちも自負しているところです。それが今、あのあしべ橋によって、そのかなめである不老橋の景観が本当に哀れな状況になっていますし、今また干潟が姿を変えようとしているわけです。
 干潟は自然の浄化槽としての役割も持っているというふうに思いますし、そこには多くの生物が住んでいます。そして、すぐれた自然環境がすぐ近くにあることが、和歌山県の最も大切にする必要のあるところだと思うんです。
 先ほども申し上げましたように、今、干潟について、全国的にも世界的にも保存の動きが起きています。規模の大小はありましても和歌山県にとっては大切な干潟だと思いますし、これは間違いないと思います。その干潟を行政が先頭になって、十分な論議も経ずに──そう私は考えます。専門家の方々の意見も十分に聞いていただきたい──もう既に年内にも埋め立て申請をされようとしている。余りにも急ぎ過ぎではないかと思います。急ぎ過ぎて後で後悔しないためにも、「住民の方々が積極的に」というふうに言われていますけれども、さらなる住民の方々や専門家の方々の意見を取り入れて慎重に検討されることを重ねて要望しておきたいと思います。
 続きまして、中小業者の方々が非常に今苦労していらっしゃる市の色抜き条例です。
 これは、きょうも朝のテレビで報道されていましたが、やっぱり市中銀行からの借り入れが非常に厳しい。制限がますます厳しくなって、資金繰りが大変だと。きのうの鶴田議員の質問の中でも不況の問題で提起をいたしましたけれども、こういった状況が今後とも続くことは十分に考えられると思います。
 そういった点で、地場の中小──本当に小さい企業の皆さんたちが苦労してこの条例にこたえようとしている努力、ここを何とか県行政としても救ってほしいと、こういう叫びだと私たちは受けとめています。そういう点から、市がそれなりの融資制度といったものをつくっているわけですから、県も何らかの対策を積極的に今後進めてくださるようにお願いをしておきたいと思います。
 次に女性問題ですけれども、これは、私は決して男性を無視して発言しているわけではございません。この世の中は男女がともに生活をしていく場でございますから、女性の地位が上がることによって男性が──今まさに、過密労働や長時間労働の中で男性の皆さんたちが一生懸命頑張っている中で、過労死という状態が続いているわけです。国際的にも「過労死」は英語でなくても通じるというような時代になってきているわけです。そして労働力がだんだん不足してきている中で、先ほども述べましたように、この女性の社会参加が日本の経済を大きく支えてきているということは否めないと私は思っています。
 戦後四十七年たちました。日本の女性の社会的地位は、本当に大きく変わってきていると思います。今まさに、女性の時代だともてはやされてきているわけです。靴下と女性が非常に強くなったという言葉もいっときは出てまいりました。しかし、私たち女性、ましてや働く女性は、本当に職場の中で泣く思いをしながら日々頑張っています。
 一九六〇年、ちょうどあの安保闘争の時期ですけれども、当時、女性労働者は七百三十八万人でした。今はもう二千五百万人を超えるような状況になってまいりました。そして、既婚女性が未婚者を大きく上回り、その数も七〇%をはるかに超えるような既婚女性が今の社会を担っていると言っても言い過ぎではないと思います。そして、多くの女性の皆さんたちが社会の中で一生懸命活動を続けて、主体的に活躍していらっしゃるということも、もう多くの男性の皆さんもご存じのとおりでございます。
 特に女性は、生活体験の中から食品公害や環境を守る問題、そして平和を守り子供と生活を守るために、命をかけてでも頑張っているのが今の世の中の女性だと思います。一度の人生だから本当に輝いて働きたい、人間らしく生きたい、これが今、すべての女性の皆さん方の望みでもあります。今それに向かって、一生懸命頑張っているところです。
 これまでの長い歴史の中で、結婚の自由や相手を選ぶ自由、政治に参加する自由もなかった当時から考えてみますと、大変進んできていると思います。保育所がなくて働くお母さんたちが仕方なく退職をしなければならなかった時代、働いていても二十五歳、三十歳という若さで定年制がしかれているために泣く泣く退職をしなければならなかった時代、男子五十五歳、女子五十歳の定年退職制の差別や昇格差別の問題を、あるいは結婚退職制をやめてほしい、パートの首切りをやめてくださいといって裁判に訴えて頑張らなければ女性の働く職場を確保できなかった時代、そういう時代を、私たちは涙ながらに頑張ってまいりました。
 「女性は家庭に帰れ」と言われながらも、今やまさに女性の社会参加がなくては日本の経済がもたない、労働力がもたないような時期になってきているわけです。そういった中で、育児休業制の問題や男女平等の機会均等法がつくられてまいりました。これは、何といっても、女性を大事にするという側面と、そして労働力の不足を女性によって賄っていくという、こういう二つの側面があると思います。しかし、ご存じのように、育児休業制にいたしましても、男女平等法にいたしましても、罰則規定がございません。このことが、企業や使用者側がこの問題を避けて通れる一番の問題だと私たちは思っています。
 どうしても今、女性が本当に安心して輝いて働ける、そんな職場づくりを、そしてそれは何といっても、先ほども申しましたように、大きな企業ほど模範的につくっていただきたいと思いますし、この県庁の中でも日々その努力をされていますけれども、さらなる努力をしなければならないと思います。歴史の中で女性が変わり、男性の皆さん方と一緒にすばらしい世の中をつくっていく、そして男性が一緒になって女性の問題も考えて、女性も男性の問題を考えながらともに働きやすい職場をつくり上げていくことが、今一番求められていると思うんです。
 しかし、皆さん、男女平等法や育児休業制といったものが法制化されたとしても、一方では労働基準法の中で母性保護の項目が大きく切り下げられ、緩和されていく中で、女性にも長時間労働、深夜労働や産休──産休そのものは大きく拡大をされておりますけれども──といった問題について、母性保護の問題を抜きにしてこの男女雇用機会均等法や育児休業法がつくられていった経過を、私たちは黙って見過ごすわけにはいきません。
 母性保護について、あくまでも私たちが考えなければならない、行政が考えなければならない問題は、何と申しましても、生まれてくる子供は県民みんなの宝だということです。そういう位置づけをしていただきたいなと思いますし、次代を担う大切な母子を守るために、その職場環境、労働条件の改善を初めとして、どうしても労働基準法のこの母性保護の問題を再びもとに戻してほしい、こういう願いを持っています。
 そういう点でも、私たちはこの母性保護の問題をこの関西電力の差別問題から新たに学ぶことができました。何といっても、女性があってこそこの世の中は成り立っていく。昔、平塚らいてうが「元始、女性は太陽であった」というすばらしい言葉を残しているわけですけれども、こういう点で、県庁内でも、企業の中でも、母性保護の問題について研究をともにしていってほしいなと思います。
 「出産は産みの苦しみ」ということがずっと言われてきています。女性のこの妊娠をし子供を産む出産というのは、本当に命がけでありますし、一大事業であるということも新たに認識をしていただきたい、このように思って私はこの問題を閉じたいと思うわけです。ぜひとも県行政が、先ほど答弁されました中身でもっともっと積極的に、どんな企業に対しても胸を張って意見を具申するなり──今度は恐らく口頭で申し入れをしていただいたと思いますけれども、今後は文書なりそういうものでも厳しく対応していただきますように、再びこのような事件がこの議会で発言されないようにお願いをしておきたいと思うわけです。
 たくさん申し上げますけれども、もうちょっと聞いてください。
 この関電でございますけれども、この関西電力そのものに、こういう女性差別、あるいは母性保護を大事にしてこなかったという歴史的なものがあるんです。会社の体質として残っているということが、ここに如実にあらわれているわけです。これは一九八六年の関電の「職場しんぶん」です。これを読んでみますと、こういうものがあるんです。
 「関電の職場では、女性は結婚と共に殆ど退職していきます。 結婚すれば退職しなければならないという考えが、普通になっているからです。 定期採用者の古い入社はS三十年に一名あったのを最後に、約十年間は女性の採用は殆どありませんでした。 四十年頃の女性の入社には、結婚をすれば退職する旨の誓約が必要でした。 それから十年後になると誓約は口約束になりました。 結婚後も会社で働らきたい意志をもっていても、『入社の時の約束なのでやめる』と言って退職する女性が殆ど全員でした。 その代り結婚しても働らきたいという女性のために、職場の(仲間の)人が一生懸命職さがしをして、中小企業の職を見つけ会社をやめてもらった例もありました。 最近は、『結婚すれば退職しなさい』ということはなく、『結婚されると皆さんやめてゆきますねえ』と言って、暗にそれが普通だという感じの会社側の発言に変わりました。 しかし、結婚しても会社をやめないとなると、事態はもっと深刻になります」ということで、この会社に勤めているある女性の場合でも、当時、役職者から「結婚したら会社をやめよ」とか「家の近くに仕事を世話してあげようか」とか言われました。「会社をやめた方がよい」とも言われてきました。こうした嫌がらせは結婚してからも続き、子供が生まれると役職者から「まだ来るのか」「本当に来るのか」とか、「会社をやめて別の職場に変わったらどうや」とか言われてきたそうです。これがいまだに関西電力の体質として依然として残っていて、基本的には一向に変わっていないというふうに思います。こういう点から見ましても、ぜひとも私は改善を求めるものであります。
 そして、一九九〇年の七月の「職場しんぶん」にも書いてあります。これは会社側がアンケートをとったものですけれども、「結婚をしても仕事を続けたい」という人たちがどれぐらいいるかを調査いたしました。和歌山支店採用六十名のうち、十七名は女子社員です。女子社員に対するアンケートの中で「結婚しても働き続けたいですか」という問いに対して、「生涯仕事を続けたい」という人が、皆さん、十七名中八名あるんです。「子供ができるまで働きたい」という人が五名。こういった人たちの意思が今本当に引き継がれているのかどうか、これも考えていただきたいと思います。
 この問題については、私はただ一人の問題ではなくて県下あるいは日本全体の女性に対する問題だと思いますので、ぜひとも県行政の積極的な対応について期待をいたします。
 終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十八分休憩
  ──────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
  ───────────────────
 財第279号
 平成4年12月10日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
  和歌山県議会平成4年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第 156号 平成4年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第 157号 平成4年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第 158号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 159号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 160号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 161号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 162号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 163号 工事請負契約の締結について
 議案第 164号 工事請負契約の締結について
 議案第 165号 工事請負契約の締結について
  ─────────────────── 
○副議長(大江康弘君) お諮りいたします。ただいま報告いたしました議案第百五十六号から議案第百六十五号までを本日の日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大江康弘君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
○副議長(大江康弘君) 議案第百五十六号から議案第百六十五号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
 まず、今回追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う補正予算案及び関係条例の改正であります。去る十月十六日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであります。
 予算案件としては、給与関係経費といたしまして一般会計で十四億五千百余万円、特別会計につきましても所要の補正予算を計上いたしております。
 また、議案第百五十八号から第百六十二号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
 次に、その他の案件といたしまして、議案第百六十三号から第百六十五号は工事請負契約の締結を行うものであります。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○副議長(大江康弘君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従いまして、質問をさせていただきます。
 まず初めに、産業社会の国際化に対応する県の施策についてであります。
 国際化社会、情報化社会、技術革新化社会の到来と言われて久しく、我が和歌山県を取り巻く環境も一日一日とそのようになってきている。二十一世紀への大プロジェクトと言われている関西国際空港の開港が平成六年夏とあと一年半後に迫っており、それに付随する事業もだんだんと進んでいる。
 和歌山マリーナシティの埋め立て建設も順調に進んでおり、一九九四年七月十六日から九月二十五日までの間、「ウエルネスWAKAYAMA 世界リゾート博」が開催され、その準備も着々と進み、先日、入場料金の発表までされる運びとなっている。その後、松下興産を中心にして、国際化、情報化、技術革新化に対応したすばらしい地域をつくるために和歌山マリーナシティにリゾート施設を中心とした町づくりをすることになっており、大変うれしいことであると思います。
 また、産業社会の国際化に対応するため我が和歌山県は、仮谷知事を中心にし、国際連合地域開発センターと協力して、県下の各種団体と相携えて昨年とことし、国際会議を開催している。昨年はメガインフラ国際会議イン和歌山''91を、国連地域開発センターと県を中心として構成したメガインフラ国際会議イン和歌山''91和歌山県実行委員会とが主催して、十一月十三日から十一月十六日までの間、外国から九カ国十名の専門家の方々を招待し、国内の専門家も大勢招待して和歌山市を中心に開催した。
 専門家会議で、藤原治一郎・近畿通産局総務企画部長は、関西地域経済の近年の構造変化の概要と地域活性化をもたらす八百を超える主要プロジェクトについて講演し、秋武孝春・大和銀行総合研究所研究部長も、関西国際空港、主要地域プロジェクトとアジア太平洋地域経済との相互関連性について、「関西地域には関西国際空港、明石海峡大橋、関西文化学術研究都市、紀淡海峡トンネル等のプロジェクトがあり、東京一極集中是正の中で、関西とアジア地域の人事交流、技術交流が活発化してくる。和歌山県にはすばらしい伝統文化、歴史、宗教があり、関西国際空港開港を控えて和歌山県飛躍にとって大きなチャンスがある。これを実らせるためには、県内の交通アクセスの整備拡充と同時に西日本のプロジェクトとして第二国土軸整備を進めなければならない」と述べている。また、招待者の一人で私の友人であるシンガポール国立大学助教授のチア・リン・シェン氏は、チャンギ空港を例にして、空港設備、外国資本導入、メガインフラの整備、空港周辺とのリンク等がシンガポールの今日の発展に大きな役割を果たしたこと、シンガポールではメガインフラを整備する場合、将来の需要予測、周辺整備とのリンクを大切にして、需要よりも供給が先であるとの考え方で進めているとの意見発表があった。
 ダラス・フォートワース空港開発機構企画開発部長のリチャード・G・ペティット氏は、「国際ハブ空港がもたらす周辺地域開発の誘発」ということで、内陸に無からつくり上げたダラス空港は大成功で、今も成長を続けており、関西国際空港の全体構想はぜひとも必要であると述べているのであります。
 本年は、同じく国連地域開発センターと新たに田辺市と近畿大学が入った和歌山実行委員会との共催で、国際産業開発会議''92和歌山を十一月十六日から二十一日までの間、和歌山市、紀北、紀中、田辺、白浜を中心にして開催した。外国からの招待者十二カ国二十三名及び国内の専門家を招待してすばらしい会議が開催されたことについて、仮谷知事初め関係者の皆さんに心から感謝と敬意を表したいと思います。
 基調講演では、NHK国際部衛星放送ニュース編集長・渡辺光一氏が「新しい時代を迎えるアジアへの期待」と、オーストラリア・モナッシュ大学公共政策研究所長のゴードン・L・クラーク氏が「国際社会におけるものづくりの重要性」について講演し、またパネルディスカッションで上野皓司・和歌山大学経済学部教授は「和歌山県の企業の国際化と今後の展望」として、「貿易、企業設立、資本参加、技術提携といった形で海外との交流を深め国際化に取り組んでいるが、情報収集力の不足、交通事情は現状として不便(将来は関空に期待)、資金力の弱さ、人材の確保育成の困難性、公的助成に余り恵まれていないという実態であり、今後、西太平洋圏域への進出、交流は地域間の均等な発展と安定をもたらす重要なかぎとなる。そのための条件としては、労働力(知的企業への適応性)、自然条件、社会環境(治安、生活文化、習慣)、制度(法律、人的交流)、受け入れ態勢、現地での企業との競合、政治情勢がある。そして交流拡大のための課題としては、相互理解、出入国体制の確立、安心できる公的な情報提供システム、情報ネットワークの整備等がある」と言っている。
 十一月二十日、田辺市でもオープンフォーラムが開催され、約百五十人の参加があり、田辺地域ではこのようなすばらしい国際会議が開催されたのは初めてで、出席者の方々は非常に喜んでおり、毎年開催されることを望んでいました。
 今申し上げましたように、二年間にわたって国連地域開発センターと和歌山県が中心となってすばらしい国際会議を開催した。そこで、仮谷知事初め企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 一、このような国際会議を開くことになったきっかけ。
 二、MIC和歌山''91の報告書に「関西国際空港のインパクト─世界との交流を目指して」とあるが、この二回の国際会議のもたらした効果と今後の発展の見通しについて。
 三、私はこの二回の国際会議はすばらしいものであり、必ずや和歌山県に大きな効果をもたらすものと信じ、引き続き毎年開催すべきであると思うがいかがか。
 四、和大の上野皓司教授も和歌山県の企業の国際化と今後の展望について、情報収集力の不足、資金力の弱さ、人材確保・育成の困難性、公的助成に余り恵まれていない等、その困難性について述べられている。これらの諸問題を解決しなければ産業社会の国際化に効果的に対応できないとの意見発表があった。このことについてどのように考え、今後どのようにしていくかについて知事の所見をお尋ねいたします。
 二点目、特急くろしおの関西国際空港への直接乗り入れについてであります。
 関西国際空港も関係者の努力でいよいよ平成六年夏開港の運びとなり、和歌山県においてもそれに対応すべき各種プロジェクト、和歌山マリーナシティの建設、世界リゾート博の開催、コスモパーク、南紀新白浜空港の開設等に取り組んでいるところであり、着々と進んでいるのは大変喜ばしいことであります。
 関西国際空港へのアクセスは陸・海・空にわたり、その中で一般県民に手軽に利用されるのは鉄道であると思います。この問題について以前から種々論議がされており、また十二月八日、森議員から質問がありましたが、私も質問をさせていただきたいと思います。
 先般から、各種マスコミによって関西国際空港への鉄道アクセスについての報道がなされている。そのこと自体は大変よいことだと思いますが、それに対応した対策をとらなければ、和歌山県にとって大変なことになると思います。
 例えば、平成三年八月十三日の毎日新聞夕刊によれば、京都駅に国際線搭乗窓口を設置し、関西国際空港へ直通列車を運行することについてJR西日本と日本航空とが合意したと報じられている。JR西日本と日本航空は、平成六年に改築されるJR京都駅に国際線搭乗手続の窓口を設置することに同意、近く開設に関する覚書を交わすことになった。その場で手荷物を預かるなど、空港窓口が出張する形で、JRは直通列車を運行する。京都駅の改築完成が平成六年となり、広くなる京都駅に窓口を設けて、空港アクセスのサービスアップと合意している。
 計画によると、カウンターなどの設備は駅の地下一階に設けて、ここで海外旅行客は航空券とパスポートの確認を済ませて搭乗券を入手する等、非常に便利になる。空港─大阪─京都と直通列車が運行されることになると、その利便性は非常によくなり、海外からの観光客、国内主要都市からの観光客は、乗りかえがなく手荷物が到着駅で受け取れる等、非常に快適そのものであるので、必然的に大阪、京都へ流れていくことになる。和歌山県へ一番近い、そして非常に期待の大きい関西国際空港への鉄道アクセスは、JR西日本、南海電鉄と二つのルートがあるが、今のところ関西国際空港への直接乗り入れ計画がどのようになっているか明確でなく、私自身だけでなく関係者も大きな不安を抱いている。
 田辺からJR西日本を利用して関西国際空港を利用しようとすれば、現状では和歌山駅でおりて阪和線に乗り、日根野駅で乗りかえて空港に行くか、天王寺までくろしおに乗って、天王寺から空港行きの直通列車に乗るかである。天王寺まで行って空港に行くのは時間的、経済的に大きなロスであり、現状では、和歌山駅下車、阪和線に乗りかえて日根野駅で下車、そして空港線に乗りかえるという複雑な乗りかえをしなければならない。大きな手荷物を持っている場合や高齢者の方々には大変なことになる。
 一方、海外や国内主要都市から来られた方々も、大阪、京都行きにはスチュワードサービスを受けられる列車がある一方、何回も乗りかえなければ和歌山県内に行けない場合、特に観光客やよりフリーな方々は当然のこととして京都、大阪に行ってしまい、観光客の誘致、産業の活性化等、和歌山県の活性化にとって致命傷になる。また南海電鉄も、泉佐野で乗りかえなければならず、非常に不便である。
 先日、JR西日本和歌山支社へ行ってこのことを話し、和歌山県にとってもJR西日本和歌山支社にとっても大変なことになるので、その対策を立てるべきだと話をした。くろしお特急が関係者の努力によって京都、新大阪への乗り入れが実現し、そのことが和歌山県の活性化、特に観光客の誘致に大きな効果をもたらしているのは周知のとおりであります。
 そこで、くろしお特急を日根野駅で停車させ、そのうち何両かの車両を直接関西国際空港へ乗り入れられるようにしなければならない。JR西日本の関係者の話では、このことはわかっているが、今のところ本社の方も需要等いろいろ言うので弱っているとのことでありました。
 そこで、仮谷知事及び企画部長にお尋ねいたします。
 くろしおの日根野駅停車、関西国際空港への直接乗り入れ、南海の泉佐野停車、空港への直接乗り入れの現状と将来の見通しについて。そして、このことは和歌山県にとって非常に大きな問題であろうと思うので、和歌山県の官民挙げて熱心に運動しなければならないと思う。そこで、和歌山県輸送力強化促進委員会という官民で構成している委員会もあるので、それを活用して運動すべきであると思うが、今までどのような運動を展開してきたか、今後どのように運動を展開していくかをお教えいただきたいと思います。
 第三点は、公立高等学校における教育行政についてであります。
 平成二年十二月県議会で、公立高等学校における管理職のリーダーシップについて質問をし、それに対して当時の教育長より、校長がリーダーシップを確立し、教員が教育に対する情熱と専門性を高め、学校が一丸となって教育実践に当たるよう指導してまいる所存であると、力強い答弁をいただいている。
 変化の激しい社会に対応して、より効果的な教育を行って魅力ある高等学校教育をするために、高等学校教育の多様化、個性化をより一層図らなければならない。
 よく言われますように、教育には不易と流行という言葉があるように、寺子屋時代の教育から今日の教育にも通用する人格の形成という不易の部分を大切にしながら、時代や社会の変化に弾力的に対応する流行の部分、すなわち社会や時代が変化する中で公立高等学校に対する世間の見方が変わってきているのであります。
 このことに教育委員会は気づいて、次のような対応をしている。一つは四十人学級の編制であり、本年は八校、来年度は十二校で実施しようとしている。二つ目は、時代に即応するため、単位制を青陵高校、紀の川高校、南紀高校で実施している。三つ目は、旧来の学科を廃止して、本年度は熊野高校には森林科学、御坊商工には電子機械科、新宮商業には会計科及び情報処理科、来年度では南部高校には服飾デザイン科、向陽高校には環境科学科、新宮高校は建設工学科を設置しようとしている。このことは大変すばらしいことであるが、新しい学科を設置することにより学校運営がより複雑化、困難化されてくるので、より一層校長を初めとする管理職に人事権と予算権を与えなければ、仏つくって魂入れずになり、魅力ある学校運営ができず、社会の変化に対応できなくなり、生徒激減期においてますます公立学校離れが起きてくると思う。
 そこで、平成二年十二月県議会での当時の教育長の答弁に対して、その後、校長及び管理職の権限確立についてどのような施策を行ってきているか、また学校経営の重要なポストである主任等の任命に当たっては、その任にふさわしい人材が適切に選任されているかについても答弁を願います。
 次に、教育効果を上げるための授業日数の増加についてでありますが、平成三年九月県議会で阪部議員が取り上げ、教育長が先頭に立って授業日数の増加について努力し、効果を上げていることについては敬意を払いたいと思います。しかし、授業日数が増加したが、それに伴って授業時間も増加しているか、また、今後、授業時間についてどのような対策を立てるべきだと思うか、答弁を願います。
 また、高等学校で二学期制を導入することも教育効果の向上の一つとして考えられ、桐蔭高校、向陽高校について採用されているが、二学期制の効果と今後二学期制実施の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
 最後の問題に移りますが、高齢化社会における福祉施策についてであります。
 この問題については毎回県議会で論議されているところであり、昨日も吉井議員が質問をしておりました。私自身も何回か質問したことがありますが、ますます深刻化している老人介護の問題について質問をいたしたいと思います。
 いつも元気な友人が最近余り元気がないので尋ねると、お母さんが痴呆性の老人病になり、夜・昼は間違うし、朝早くから外出するので夜もゆっくり寝られず、家族一同困っていると言う。老人施設にお世話になったらどうかと言うと、できるだけ自分たちで介護したいと頑張っていると言う。このおばあさんは家族に見てもらえて幸せだなと思う反面、このご家族のご苦労は大変なものだと思います。
 このようなことは世上非常に多い。例えば、母子二人で、一人は働きに行かなければ生活ができないが、お母さんが老人性痴呆性にかかって大変だという家庭も多い。
 現在、県、市町村、民間の方々が一生懸命になって特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人保健施設を設置して老人の介護、養護に取り組んでいるが、介護されている老人よりもなお一層要介護老人の方が多く、社会生活、家庭生活面で大きな支障を来している現状であります。
 そこで、今後の老人福祉施策について民生部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 一番目は、県の高齢者の動向と独居老人及び老人家族の動向についてであります。
 二番目は、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人保健施設の設置状況と各収容者数についてであります。
 三番目は、各地域における入居希望待機者数及び待機期間とその対応策についてであります。
 四番目は、高齢者の介護を行うと点数が記録され、将来その分の介護を自分が無料で利用できる時間貯蓄制が広まっており、貯蓄好きの日本人の気質に合致して、ボランティア活動への呼び水にもなっているようである。法務省官房長を退任した堀田力氏が所長になって旗上げをした「さわやか福祉推進センター」が時間貯蓄制を取り入れたボランティア団体の全国ネット化に乗り出し、厚生省も研究会を発足させて高齢化社会に備える新システムとして注目されている。この制度を和歌山県にも大いに取り入れてボランティア活動を活発化すべきだと思うが、このことについても民生部長の見解をお尋ねいたします。
 以上で、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 国際会議開催のきっかけでございますけれども、お話ございましたように、関西国際空港の開港を間近に控え、和歌山県を二十一世紀の新たな国際交流拠点にしなきゃならないし、また国際理解の涵養に努めなければならないと考えておるわけでございます。
 平成二年度に県の職員を国際連合地域開発センターに派遣いたしまして、国際連合センターとの連携を図るとともに外国との人的交流を図ってまいりたいと、現在進めつつあるわけでございます。
 そうした中において、国際連合センターと共同でこのたびの会議を開催した次第でございまして、今後とも国際会議等、種々の国際イベントの開催についても積極的に対処してまいりたいと思っております。
 それから、県内の企業の国際化と今後の展望についてでございますけれども、社会の大きな流れは国際化が進みつつあるわけでございます。中でも経済の分野における国際化が最も速く進展しているのが現状でございまして、県内の企業を見ても数多くの企業が海外へ進出しており、特に最近においてはアジア付近を中心にして海外進出が非常に多いわけでございます。
 こうした流れの中で、県としては、地場産業、中小企業の海外進出、海外商品の調達等の取り組みに対し、中小企業情報センター、また和歌山経済国際化センターにおいて、海外取引に関する相談事業や海外取引情報の提供、また海外取引実務研修等、積極的に努力しております。
 また、海外市場への進出の助成として、国内外の新しい販路の開拓、貿易の振興を図るための大阪、東京の国際見本市や軽工業を中心にしたドイツのフランクフルト・メッセ及び香港のレザーフェアに参加し、県内企業の国際的地位の向上を図っておるところでございます。
 今後、関西国際空港の開港、世界リゾート博の開催を間近に控え、より一層国際化が進展してまいるものと考えておるわけでございまして、国際化にも十分対応できる企業を育成していくという観点から、中小企業情報センターや和歌山経済国際化センターの充実、情報力の強化を図るとともに、企業の技術力の向上、人材育成、新商品の開発等の事業をより積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、特急くろしおの関西国際空港への直接乗り入れについての現在までにやってきたこと等でございます。
 関西国際空港へのアクセスについては、空港建設以来、本県からの鉄道、バス、タクシー等、複数の交通機関による利便性の高いアクセスを確保するため、機会あるごとに運輸省、JR、南海電鉄に対して要望をしてまいったところでございます。
 特に、官民一体となってこれを進めなければならないじゃないかと。お説もっともでございまして、輸送力強化促進委員会の協力を得て、積極的に相ともに努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○副議長(大江康弘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、国際会議に関するご質問にお答えいたします。
 国際会議の効果等についてでございますが、昨年度のメガインフラ国際会議に引き続き、本年度も国際連合地域開発センターと共催で国際産業開発会議を開催し、海外十二カ国二十三名を含む内外の専門家約五十名を迎え、地域産業と国際化について五日間にわたって意見交換を行ったところでございます。
 今回の国際会議においては、初めて田辺市においてもオープンフォーラムを開催する等、県民の皆様に国際会議を身近なものとして広く参加していただくとともに、県内各地の地域産業の視察を通じ、産業交流を図ったところでございます。
 また、当会議においても人的ネットワークが重要であることが強調されましたが、国際会議を契機として国内外からの参加者と本県との交流が盛んとなり広がっていくことは、人的交流を進める上で大きなインパクトになるものと考えてございます。この国際会議開催という貴重な経験を生かし、今後とも本県の国際化の推進に各部局ともども努めてまいる所存でございます。
 次に、国際会議の継続についてでございますが、先ほど知事がお答えいたしましたように、国際連合地域開発センターとの人的交流により、同センター二十周年記念事業の一環として昨年度メガインフラ国際会議を誘致し、本年度はまた同センターの産業開発ユニットと本県との二カ年にわたる共同研究テーマである環太平洋地域産業開発プロジェクトの総仕上げの会議として、本県で開催したものでございます。
 同センターとの連携は引き続き継続し、人的交流及び地域振興における調査研究等については今後とも進めてまいりたいと考えてございます。こうした調査の進展の過程で、国際会議開催等についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、JR特急くろしお号及び南海電車の関西国際空港への直接乗り入れについてでございますが、鉄道は大量輸送、定時性という利点を持っており、こうしたことからJR西日本、南海電鉄に対し、スイッチバック方式等による直接乗り入れについて強く働きかけを重ねてまいったところでございます。
 議員ご質問のJR日根野駅構内でのスイッチバック方式による列車の運行は、技術的には可能となってございます。また、泉佐野駅における連続立体交差事業の用地取得について、一部困難な箇所もあると伺ってございます。
 いずれにしても、運行実施に当たっては、旅客需要などの不確定要素もございますが、県民の利便性や本県の観光・産業の振興を図る上でも重要な問題でございますので、輸送力強化促進委員会等のご協力もいただきながら、今後とも、国初めJR西日本、南海電鉄等に対してより幅広い活動を展開してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 高齢化社会における福祉施策についてお答えをいたします。
 まず、県の高齢者の動向と独居老人及び老人家族の動向についてであります。
 県調査による本年四月現在の高齢者の人口は十七万五千七十三人で、全人口の一六%を占めており、全国平均の一三%に比べて三ポイント程度高くなっております。また、平成二年の国勢調査によると、本県の高齢者のいる世帯の割合は三五%で、全国平均の二六・四%を相当上回っております。さらに、高齢者のいる世帯のうち、ひとり暮らし世帯の割合は一九%、夫婦のみの世帯の割合は二二・一%、合計すると四一・一%であり、高齢者のいる世帯の約四割がひとり暮らしまたは夫婦のみの世帯であるという状況でありまして、全国平均の三五・七%に比べ五・四ポイント程度高くなっております。
 次に、特別養護老人ホームなどの施設の設置状況と収容者数でございます。
 現在、特別養護老人ホームは三十六施設、二千三百八十五床で満床となっています。養護老人ホームについては十四施設、千床でございまして、約九割の九百五人が入所してございます。老人保健施設については、保健環境部の所管ではございますが、十一施設で八百八床でございまして、おおむね各施設とも満床となっている現状でございます。
 続いて、各地域における入所希望者の待機状況とその対応策でございますが、特別養護老人ホームの待機状況については、紀北地域で三百五十九人、紀中地域で六十三人、紀南地域で百二十七人となってございまして、福祉事務所単位では最も多いのが和歌山市の三百九人、最も少ないのが海草郡の三人となっており、地域の格差がございます。待機期間については、一週間程度の地域もありますが、入所まで数カ月を要している地域もございます。
 県では、特別養護老人ホームについては、国のゴールドプランの水準を二五%上回る整備目標を立てており、今後は待機者の状況や、あるいはまた地域バランス等を考慮しながら、その重点的な整備を進めてまいりますが、あわせて老人保健施設の一層の整備促進を図るとともに、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等、在宅サービスを強力に推進してまいる所存でございます。
 最後に、ボランティア活動の時間貯蓄制の実施でございます。
 高齢化社会が急速に進行する中、今後ますます要介護老人の増加が見込まれ、介護に広く住民の皆さん方の参加が求められているところでございます。
 こうした高齢者の介護ニーズに対する一方策として、議員ご提言のボランティア時間貯蓄制度を採用する団体が全国的にふえつつある状況にございます。しかしながら一方では、貯蓄した時間で将来受けることのできるサービスや看護マンパワーを確保できるのかといった問題等について十分検討すべきであるという意見もございます。
 このようなことから、議員ご意見のとおり、現在、厚生省においても団体相互間の流通等の問題点について研究が進められているところでございますが、県としては、国のこういった検討の推移を見守るとともに、今後、行政として本制度にどのようにかかわっていくべきかなどについて十分研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校における管理職の権限確立など、三点についてお答えいたします。
 今日の変化の激しい社会にあって、学校教育に対する県民の期待はますます強くなってきております。こうした時期だけに、学校長は確固たる教育理念を持ち、教育者としての権威を高め、リーダーシップを発揮することが従前にも増して求められてございます。
 教育委員会としては、前回議員にお答えしたことをも踏まえ、その後さまざまな取り組みをしてきているところでございます。
 研修については、新任校長研修講座や教育経営研修講座等において、校長の職責を確認するとともに、法規に基づく管理演習を行うなど、その充実に努めてきております。また、従前から行ってきた学校訪問に加え、本年度から新たに総合指導訪問等を実施しており、教育課程の編成など、それぞれの学校の持つ教育課題に応じてより具体的な指導助言を行っているところであります。
 校長は校務をつかさどり所属職員を監督する職責にあることから、主任の任命をも含め、校内の人事に全責任を持つことはもちろん、教職員の進退について法令に基づき意見具申を行える立場にございます。教育委員会としては、管理職の登用や人事異動に当たって、教育長ヒアリング等を実施することによって校長の意見具申が十分に反映するよう努めているところでございます。
 特に、議員ご指摘の主任等については、教育に対する豊かな経験と高い見識を有し、校長の行う学校経営に対して積極的に協力するとともに、関係教職員に対し指導助言のできる人材を任命して、適材が適所に配置されるよう指導してまいります。
 次に、授業の日数及び授業時数の確保についてでありますが、本年度は学校週五日制の導入という中にあっても、平成三年九月議会でお答えしたときよりも平均授業日数は全日制において十八日増加し、二百十四日となっております。また、各学校においては学校行事を精選したり始業式や終業式当日にも授業を実施するなど、さまざまな工夫を凝らし、授業時数の確保に努力しております。
 今後も、学習指導要領に定められた年間標準授業時数を確保するとともに、自習時間等の解消や一時間一時間の授業の充実を課題として指導していく必要があると考えております。
 最後に、二学期制についてでありますが、現在実施されている学校の状況を見ますと、一年を前期と後期の二期に分けることにより弾力的な教育課程の編成が可能となるとともに、夏休みなどの長期休業の前日まで授業が実施できるなど、特色ある教育活動が展開され、生徒は前向きに学習に励んでおり、今後大きな教育効果を上げていくものと期待しております。
 二学期制を初めとして、魅力と特色ある学校づくりを進めるために、学校長の強力なリーダーシップのもと、各学校が生徒や地域の実態に応じて主体的かつ意欲的に取り組み、県民の信頼と期待にこたえられるようさらに指導に努めてまいる所存であります。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番木下義夫君。
○木下義夫君 力強い答弁をいただいて感謝しているわけですが、二、三点、要望をさしていただきたい。
 民生部長については、和歌山県の現状を述べていただいたわけですが、大変な現状だろうと。これは今後、もっともっとスピードアップして高齢化社会になるんじゃなかろうかということでありますが、待機しているというのは──例えば特別養護老人ホームの場合は、よくなって家へ帰られるというケースよりもまた別なケースの方が非常に多いということで、まことに残念なことでありますから、その間、いわゆる家庭生活、社会生活における混乱、それによるロスというのは非常に大きいと思うんです。そのことを踏まえて今後とも介護政策をお願いしたいと思います。
 その場合、一策として、いわゆるボランティアで自分がやりやすいというのはこの時間制の問題だろうと思いますので、その点よろしくお願いいたしたいと思います。
 それから企画部長、くろしおの乗り入れ、南海電車の乗り入れなんですが、もうあと一年半後に関空の開港が近づいているわけです。もし今、私が担当者で、全国大会を和歌山県でやろうか、大阪、京都でやろうかといったときには、やっぱり一年ぐらい前から準備すると思うんです。そうすると、京都、大阪へはすっと行ける。ところが和歌山はどうやらわからんということになると、和歌山でやりたいと思っても、やっぱりやりづらいわけです。こういうことも踏まえて、今後より一層、今答弁いただいた輸送力強化促進委員会の皆さんにも協力していただいて、県民挙げて強力な運動を展開していただくことを要望したいと思います。
 それから、国際会議を開いていただいていろんな効果が上がっていると思うんです。国際化の芽がちょうど出たところだと思いますので、その芽を大事にしていただいて、今後大きな花を咲かせ、実をならすような施策と努力を重ねていただきたい、こういうふうに思います。
 教育長からも非常に力強い答弁をいただいたんですが、答弁は答弁として、実際非常に難しい問題もあろうかと思いますので、不退転の決意で進んでいただけますよう心からお願いして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十六分散会

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