平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
33番鶴田至弘君。
〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
まず、人事行政についてお尋ねをいたします。
本県にも、多数の国派遣の職員が働いてくださっております。人づてに聞くその手腕あるいは能力に心からの敬意を表し、また、遠く和歌山にまでお出でいただいていることに感謝するものでございます。
しかし、同時に私は、国派遣の幹部職員が余り長期にわたって同一ポストに就任されることについては、いささかの危惧を抱くものであります。
誤解を避けるために申し添えておきますけれども、私は、過去、現在、お出でいただいた方々個人に対しては何ら意見を持っているものではございません。国から職員が派遣されて特定のポストで長期にわたってその任務につくというシステム、慣行について意見を申し上げるわけでございますので、どうか「あのやろう、生意気なことを言う」というようなことを思わないで、ひとつ意のあるところをお聞きいただきたいと思うわけでございます。
国の職員が地方へ来られて仕事をされるその中で、地方の実情などもよく学ばれ、国の行政の中に生かしていく、あるいは地方の人材不足を一時的に補完するというような点で、国派遣の職員を受け入れる、来ていただくということについて、私は異論を持つものではございません。
しかし、十年もそれ以上もそのポストは国派遣職員の指定席ということになりますと、また別の問題が生じてまいります。地方自治体の立場から主体性を持って人事をつかさどっているつもりが、いつの間にか、そこのポストは国の意志伝達機関になったり、あるいは国の地方に対する指導機関、少し言葉をきつくすれば国の地方への介入の機関とならないとも限りません。国の地方への介入ということは問題になってからも随分久しいものですが、財政を通じての介入だけでなく、人事を通じての例ということも決してないわけではありません。
もう一つの面は、本県の職員の意欲への影響であります。幾つかのポストは国派遣職員のポストであり、県職員がその能力を振るうことができないポストだということに固定してなってしまえば、おのずと意欲にも影響を及ぼします。それは、県行政にとって大きなマイナスであります。
三つ目は、いつまでたってもそのポストにふさわしい人材を育てられないということにもなります。人材の中央への依存主義が生まれます。それでは人は育ちません。私は、国派遣職員が有能な仕事をされておられるというのを聞くほどに、その感を強くするものでございます。
ついては、次のポストに関して、いつごろから国派遣職員が着任されておられるか、お尋ねをいたします。総務部長、保健環境部長、土木部長、財政課長、健康対策課長、道路建設課長、建築課長、以上について、国派遣となったのはそもそもいつごろからなのか、その意図するところは何なのか、お示しをください。また、国派遣職員の就任数を、二十年前、十年前、現在と、それぞれ何人おられるかをお示しいただきたいと思います。
次に、和歌山大学経済学部の跡地利用についてお尋ねをいたします。
この土地については、図書館等の文化施設とともに、サンピアがその目的に沿った施設をつくることの一環として、かつてゴルフの練習場をつくる計画が発表されました。ところがその後、地元を初めとした各界からの反対意見が出され、ゴルフ練習場については凍結されることになりました。私は、地元や各界の意見を率直に取り入れて凍結を表明された県当局の良識に、当然のことだとはいえ、好もしい感じを抱くものであります。
ついては、この際、「凍結」とは中止、断念のことなのかどうか、確認をさしていただきたいと思います。
同時に、このような計画をされるに当たり、なぜ住民合意を得るために十分の配慮をされなかったかということを残念に思うものであります。昨日論議されたゴルフ場問題にしても、和歌山市の不老橋の問題にしても、住民との合意の不十分さがいたずらに混乱を大きくする原因をつくっています。自治会長の合意だけで、あるいは安易な趣意書の回覧だけで住民の合意を得たとするのは極めて主観的であり、その内容を満たすものではありません。そこには、形だけ整えればいいという行政の不遜さを感じます。
しかし、一応この件に関しては凍結されたわけですから、これ以上申し上げません。ついては、跡地利用について、その後どのように検討されておられるか、現在のお考えをお聞かせください。また、過日の同じ轍を踏まないためにも、住民合意についても慎重な配慮がなければなりません。その点についてどのようにお考えですか、お示しください。
次に、教育関係の問題に移ります。
まず、日ごろ教育行政の推進のために日夜ご苦労されておられる関係者の方々に感謝を申し上げたいと思います。
さて、昨今、社会教育、今風に言えば生涯学習を発展させることの重要性が各分野から叫ばれています。情報化、国際化、高齢化など、急速な社会情勢の変化発展の中で、人々が、学校教育だけでなく生涯にわたって、自発的意思に基づき、それぞれの要求と能力に応じて学ぶことが豊かに生きていくための必須の条件となってまいりました。行政は、このような人々の要求にこたえて、いつでも、どこでも、だれでも学習できる環境、設備と案内者、指導者を配置しなければなりません。
その環境といっても極めて多様であり、今後の課題は極めて多岐にわたります。中でも、県民にとって、学習の場へのインストラクターとその場、すなわち会場、教室の有無が決定的に重要となってまいります。そういう認識と立場から、幾つかお尋ね申し上げます。
まず、生涯学習を発展させる上で大きな役割を果たすのは、何といっても人であります。さまざまな分野の人、指導者の育成と配置こそが生涯学習の発展の前提として求められます。その中でも中心的な役割を果たす社教主事等について、お尋ねをいたします。
教育委員会発行の平成二年度版「和歌山県の教育」によると、「社会教育主事の定数、専門的職員としての待遇、勤務の態様等課題も多く市町村の体制は十分とはいえない」とあります。また、生涯学習を進める上で大きな役割を果たすと思われる公民館について同書は、「住民の学習にますます意欲が多様化し高度化しているとき、公民館が生涯学習の拠点としての役割は極めて大きいものがある。 これらの役割を十分に果たすためには、使用目的に即し、整備された専門の施設・整備が必要であるとともに、公民館の管理運営の責任者である館長や、事業の実施にあたる職員として専門的な識見を有する公民館主事等が専任常勤で配置されなければならない」と述べております。いずれも、当を得た指摘だと思います。
ついては、この分野における本県の歩みを振り返るという意味で、次の点についてお答えいただきたいと思います。
公民館の設置状況、社教主事の配置状況、社会教育費の県民一人当たりの金額等について、十年前との比較でお示しをいただきたいと思います。
次に、小中学校における図書館司書教員の配置についてお尋ねいたします。
教育委員会発行の冊子、平成三年度版「学校教育指導の重点目標並びに指導の着眼点」という冊子によりますと、次のような記述があります。「児童生徒が日々学習を重ね成長をとげて行く過程の土台をなすものは、未知なるものへのあこがれであり、新たな発見や認識がもたらす驚きや喜びである。 学校図書館教育は、児童生徒のこうした自ら学ぼうとする力に信頼を置きながら、学校における教育活動全体の展開に資料センター、情報センターとしての機能面で十分寄与するとともに、自由で主体的な学習と読書を通した人格形成を行う場としての役割を期待されている」と述べています。
目まぐるしく変転する社会に成人していく子供たちが、みずからの生きる道を生涯みずから学びつつ生きていくためには、読書は極めて大きな意義を持つことは言うまでもありません。そこに図書館教育の主要な意味があります。
しかし現実には、活字離れという現象も進行していることも事実であります。憂うべき現実であります。教育委員会がそのような事態を直視して図書館教育の充実を指導されることは大変結構なことでありますが、今の教員の配置でその成果を十分期待することは困難ではないでしょうか。とにかく、職員は忙し過ぎるというのが現状であります。
ついては、法の定めもあるように、学校図書館法に言う司書教諭を試行的にでも配置していくことが必要ではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
三番目の問題に移ります。
過日、県下のさる小学校の体育館の敷地造成工事を自衛隊に依頼して行ったこと、またその学校の講堂を、授業中にもかかわらず自衛隊の隊員募集の場に提供されたことなどが物議を醸しました。
一般に、自治体が行う建設等の事業は自治体と民間業者との契約で行うのが通例であります。自衛隊の出番というのは、極めて異常の事態です。私自身は自衛隊の存在そのものを違憲とする考えを持っておりますが、そういう考えでない方々、立場を異にする方々から見ても、やはり不自然な感を免れないのではないかと思っています。
市町村がみずからの工事をどこに依頼するかは市町村の主体的判断になるものですが、そこにはおのずから政治的節度が求められます。教育の政治的中立を考えるとき、教育行政においてもその思想は尊重されなければなりません。
自衛隊は、世論を二分する高度の政治的存在であります。そのような立場から、私は自衛隊の学校建設工事への参画は極めて遺憾との思いをいたすところであります。また、授業時間中の自衛隊の講堂使用などということは言語道断であります。しかし、この事態も工事を依頼したという弱みのなせるわざとすれば、この種の工事を自衛隊に依頼するということが学校教育にさまざまなゆゆしき影響を与えてくるであろうことが推測できるわけであります。
先ほども申し上げましたように、工事の依頼等は市町村の主体に属することで県教委が余りとやかく言うことではないと考えますが、県教育長には県教育長なりの所感があろうかと思います。憲法、教育基本法の絡みでその所感をお聞かせいただきたいと思います。
以上で、第一問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
国の職員の県への採用問題でございます。
これについては、鶴田議員も文句はないということでございました。ただ、この機会に私の所見を述べさせていただきたいと思います。
私は、県行政を進める上で一番大事なことは、やはり職員が頑張ることだと思っておりまして、そうした面から人材育成、人事配置に十分配慮しておるわけでございます。
また、地方自治というのは、国、県、市町村が相連携しつつ住民の福祉を図っていかなければならないのではないかと思います。そうした意味においても、国から職員に来ていただくことは、連携を密にするし、組織とか職員の意識に活力を与えるし、広い知識も与えていると思うわけでございます。また、本県に出向してもらっておる職員の皆さんは、本県の職員としてまじめにやってくれておるし、帰られてからも、和歌山の実情をよく知っていただいて、いろいろと指導もいただき、かえって各省の東京事務所のような感じで働いてもらっているわけでございます。
また、県から市町村へも出向しておりますし、市町村からも出向してもらっております。国に対しても、県から出向しておる現状でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 人事行政に関連をいたしまして、国家公務員であった職員の員数、在職年次についてでございます。
国の職員を県の職員として最初に採用した年を申し上げますと、お尋ねのございました部長職のうち、総務部長が昭和二十二年、保健環境部長が二十三年、土木部長が二十二年でございます。また課長職については、財政課長が昭和三十年、健康対策課長が四十九年、道路建設課長が二十二年、建築課長が四十八年でございます。
もとより、この間今日まで、当初から県職員として採用された方々がこれらの職につかれている時期もございます。
また、二十年前、十年前の採用人数でございますが、いずれも十名程度でございます。現在は十五名でございます。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 和歌山厚生年金健康福祉センター、いわゆる「サンピア」と愛称で呼ばれておりますが、かねてより社会保険庁に対して本県に設置の要望をしてまいりましたところ、昨年一月十日付で、和歌山市西高松一丁目の和歌山大学経済学部跡地に設置することが決定されたものであります。
この施設は、厚生年金の加入者、年金受給者、その家族、そして地域住民の方々が幅広く健康づくり、体力づくりを図る場として、スポーツ施設を中心に研修、会議、宿泊などに利用できる施設を建設するものであります。
施設の概要としては、三万二千七百三十六平方メートルの敷地に、センター棟、室内のスポーツ棟のほか、テニスコート、ゲートボールコート、ジョギングコース、憩いの広場など、屋外施設の設置を計画しており、平成五年三月の完成予定となっております。
なお、当初の計画にあった屋外施設の一つ、ゴルフ練習場については四月に計画を凍結しましたが、これは、住民の方々のご理解が得られない限り計画を進めることはないと考えていただきたいと思います。
この場合、代替施設を何にするかについては、健康増進の趣旨にかなうもの、採算性のとれるもの、住民の方々に理解が得られるものなど、三つの条件が満たされる屋外施設を検討中であります。なお、決まった場合には、地元住民の方々のご理解が得られるよう努力してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題の三点についてお答えいたします。
生涯学習の時代を迎え、社会教育の振興はますます重要となってございます。とりわけ公民館は、地域住民の身近な学習の場として、その施設の整備充実等の指導を行ってきたところでございます。
平成二年度における施設等を十年前と比較すると、公民館は三百三十五館から三百四十一館となり、特に文部省の定めた基準以上の公民館は七十館から八十九館となってございます。
次に、市町村の社会教育主事については、設置市町村数三十三市町村、三十七名から、四十八市町村、五十五名で、配置率は九六%となり、全国平均八六・四%を上回っております。
次に、社会教育指導員については、同和教育指導員を含めて三十八市町村、六十八名から、四十三市町村、九十二名となってございます。
また、生涯学習に係る学級、講座の開設状況及び受講者数についても、六百六十一講座、延べ二万六千名から、千四百五十五講座、延べ約五万三千名と伸びております。
次に、社会教育関係予算に係る県民一人当たりの指標値については、年度による変動もございますが、社会教育施設の建設がなされた年度はその指標値が高くなるという特徴がございます。平成元年度以降の本県の指標値については、県立の施設設備等の整備が図られており、高くなるものと考えております。
今後とも、生涯学習の観点から、その推進体制の整備や指導者の養成など、総合的に検討し、社会教育の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、学校図書館教育についてでございます。
児童生徒がみずから学ぶ態度を培うためにも、また活字離れが指摘される昨今の状況からも、重要であると考えてございます。教育委員会としては、学校図書館教育を教育活動全体の中に位置づけ、児童生徒の読書及び学習の充実に一層寄与するよう指導しているところでございます。
司書教諭の配置については、学校図書館法に特例の定めがあり、また定数標準法での算定が規定されていないことから、現在措置してございませんが、国に対しては定数標準法の第六次改善の中で措置されるよう要望を続けているところであります。今後は、国の動向を見きわめながら多面的に研究し、図書館教育の充実に努めてまいります。
次に、小学校の用地拡張工事については、町の依頼により自衛隊法等の規定に基づいて実施されたものであります。このような土木工事を自衛隊に委託するかどうかについては、依頼者である市町村が工事の内容や必要とする工事期間など、それぞれの実情に応じて判断しているものと考えております。
また、このたびの体育館の使用については、用地の拡張工事に伴い、体育館を含む周辺を授業等に使用しないなどの措置をとった上で町教育委員会が許可したものであると考えております。
以上です。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 再質問をさせていただきます。
二カ月ほど前までは雲の上のお方であった知事さんや県の幹部の皆さん方を目の前にして、いささか緊張をしているところでございますけれども、思い切って再質問をさせていただくわけでございます。
人事の問題についてでございますが、私は、国、県の人事の交流ということについては、あって当然だと思います。したがって、知事が言われたことについて、その限りにおいてはそのとおりだと思っています。
ただ、私が先ほどから問題にしておりますのは、特定のポストがもう長期にわたって──先ほどの総務部長の報告によりますと、戦後からずっと続いているのもあるわけです。例えば、土木部長、建築課長、健康対策課長、財政課長。ずっともう以前から国派遣の職員の方々がついておられる。先ほど申し上げました幾つかのポストも、私が調べた限りでは、すべて十年以上、二十年前後というようなポストであります。このような部署について、国派遣の職員が当然座るべき職責だというふうに県の職員の皆さん方が思うとしたら、私はこれは随分マイナスだと思うんです。
国派遣の職員の皆さん方がお出でくださって、中央との風通しをよくしてくれるとか、広い識見で県の職員に刺激を与えていただけるとか、あるいは充足できないポストに補完的についていただけるということについては、私はありがたいことだと思っております。
しかし、今申し上げましたように、これらのポストは指定席であるというふうになると、人事政策としてこれはまことに遺憾なことではないかと思います。
県の職員の皆さん方がそのポストに必要な手腕を磨くという機会がまず失われます。そして、意欲も失われるでしょう。一つのポストに座るために職員が互いに切磋琢磨し、公務員としてのみずからの能力を向上させていく、そういうこともそのポストに関しては少なくなっていくでしょう。
私の目の前に七名の部長さんが座っておられますけれども、その中にこの十年間一貫して三名の国派遣の職員の皆さんがついておられるということは、随分不自然だと思うんです。実質的な指定席制度というふうになっていると危惧するわけでございます。
さらに、十年前と比べて国派遣の職員が十五人にふえておるというような事態も、必ずしも喜ばしい現象ではないと思います。地方自治体としての主体性をさらに発揮していくためにも、それらのポストに座れるような県職員を養成するという人事政策が必要ではないか。あるいはまた、三割自治と言われるような状況の中で、せめて人事的にでも確固とした政策を持ち得るような、そういう配慮があってしかるべきではないかと私は考えるわけでございます。その点について、再度知事の所見をお伺いしたいと思います。
なお、派遣されて日夜ご奮闘されている職員の皆さん方には、大変耳ざわりな言葉であったかと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。
次に、和大跡地の活用の問題でお尋ねをしておきたいと思います。
採算性の問題が出されましたけれども、これに余り重点を置き過ぎると道を誤ることになるんではないかと思います。あのゴルフ練習場の設置ということについても、採算性から出発したことでありました。一番安直に利潤を得ることができるというところからの発想があのゴルフ練習場の問題になったわけですが、サンピアの趣旨、あるいは地元の要望との関係で、採算性の低いものであっても大胆に採用するという賢明な英断をしていただきたいと思うわけでございます。
さらにまた、住民要求の掌握の仕方については、ひとつ誠実な形でやっていただきたいと思います。実を申しますと、前回、このゴルフ練習場の設置が決定して発表された後で、あそこに何がよいか、アンケートをとって調べたことがあります。そして、そのアンケートでゴルフ練習場が一番多かったからということで、その決定を合理化するというような発表をされたことがあります。
また、そのアンケートのとり方も、和歌山大学の経済学部の跡地に何がいいかという設問ではなくて、今どんな施設が必要かという設問で、そしてゴルフ練習場という答えが出たから和歌山大学経済学部の跡地にはゴルフ練習場がいいという、非常に乱暴な論理が住民の前に出されたときがございました。これは、あえて申し上げなくても、随分とむちゃな論理だと思います。
このようなことのないように──恐らくそういうことはないと思いますけれども、念のために、本当に期待を持ってあそこがどうなるかと多くの県民が見詰めているわけでございますから、その任に当たられる方々の誠実なご努力と賢明な英断を期待するものでございます。
それから、教育委員会について質問をいたします。
まず司書教諭についてでございますが、先ほどの質問でも教員が法定数を欠いているというような論議がありましたから、なかなか司書教諭の話まではいかない、それどころではないというお気持ちになっておられることは私もわかります。ただ、ご答弁の中に、しばらく置かなくてもいい特例法があるからとか、定数標準法があるからというようなことがございましたけれども、これは古い時代、昭和二十九年という貧しかった時代に、お金がないから、まあしばらくは置かんでもいいやろうというふうに出された結論であります。置かなくてもいいということは、置いたら悪いということではありません。
私は、教育委員会が今回、あの指導指針のような冊子の中に、図書館教育の大きな意義をうたわれていることに敬意を表したいと思います。さらに、国に対する数少ない要望の中にこの司書教諭が配置できるようにという要望を出されていることに対しても、その熱意に対して敬意を表したいと思います。
しかし、同時に、そういう願いを実らせるために、和歌山県が和歌山県独自として、一つの大きな実験として司書教諭の配置を試行的に行い、その成果を持って国に対して要望されるということの方がさらに大きな意味を持つものではないかと思います。
実は私、この問題は和歌山市議であった時分から再三にわたって取り上げてまいりました。答弁は、大体もうすべて「県が、県が」と言われてきたんです。それで私、これが言いたいがためにここへ来たんです。ところが、「国が、国が」と言われる。次の選挙で私は国会議員にならなならん。席を暖める暇もないというのはこのことではないかと思うんですが。
どうかひとつ、和歌山県教委のすぐれた見識でもって大きな決断をされることを心から期待するものでございます。それは要望としておきたいと思います。
それから、さる小学校での自衛隊の学校工事への参画と授業中の講堂使用の問題についてでございますが、この点については、教育長は私の質問には答えてくれませんでした。事実経過だけを説明されたわけですけれども、ある意味ではやむを得ないかとも思います。しかし私は、この点についても要望をしておきたいと思うんです。
今、憲法と教育基本法というお話をさせていただきましたけれども、我々が持っているこの誇るべき憲法と教育基本法の精神は、教育の厳正な中立を求めています。同時に、その意向は教育行政にも反映されるものだと私は考えています。そういう意味で、世論を二分する存在である自衛隊の工事への参画、あるいは授業中にもかかわらずそれを使用するというようなやり方については、今後ゆゆしき問題を生み出すのではないかと危惧するものであります。
同時に、一般論としても、授業中に他の団体が学校施設を使用するというようなことは常識では考えられないことです。災害時や何か特殊な緊急の事態が発生したときにはやむを得ないかもわかりませんけれども、授業中に、その日に、その時間にその施設を使わないからよその団体が使っても結構ですというようなことにはならない。学校施設の使用目的が全然違うわけですから。そういう点については教育長にご答弁をいただけませんでしたけれども、その良識において判断をしていただきたいと思います。
私は、ご答弁をいただけなかったということで、その言外の気持ちとして酌ましていただいておるところでございます。
次に、生涯教育の問題に移ります。
皆さん方の努力の中で、徐々に生涯教育の施設や体制が進んでおることについては大きな評価をしたいと思いますが、私はこの間、何人かの地方の教育委員会の方々や公民館の指導者の方々とお目にかかって、お話をしてまいりました。
そのときに訴えられたことは、金がない、金がないから人が置けない、あるいは建物がつくれない、住民のニーズがわかればわかるほどその思いを切実にすると、こういう訴えをあちらこちらで聞いてまいりました。
今、和歌山県が長寿社会総合対策指針というのを持っておることをご存じだと思いますけれども、その中の生涯学習のところに、これからは十年間のうちに中学校区単位で近代公民館を一館つくろうとか、社教主事を複数で配置していこう、あるいは公民館に専任職員を置いていこうということが目標として掲げられております。しかし、今までのテンポですと、恐らくその三分の一にも到達しないと思うんです。
和歌山県の社会教育予算というのは、まことに残念なことでございますが、昭和六十三年度で県民一人当たり七千四百円、順位にして全国第四十位でございます。この十年間の全国の社会教育費の伸びは三六%です。和歌山県は残念ながら三・五%。十分の一です。あるいはまた、和歌山県の一般会計の予算が二九%伸びているのに社会教育費の伸び率が三・数%でとまっているということは、社会教育、生涯学習に対する見方を大きく変えていただかなければ、今掲げている目標は達成できないのではないかと思うわけです。
百五十の中学校に対して、現在、八十幾つかの公民館です。複数の指導主事を持っているところは、五十団体に対して二十団体であります。公民館に専任職員を持っているところは、ごく少数です。こういうことを考えてみましても、これからの生涯教育を大きく前進させていくためには、皆さん方の並み並みならぬご努力と同時に、そこに大きく金をつぎ込むという英断をされることが必要ではなかろうかと私は思うわけです。
そういう点で、教育長が果たされる役割は今後非常に大きくなろうかと思いますので、その決意と展望のほどをお示しいただきたいと思います。
以上で、第二問を終わらせていただきます。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
先ほど、人事についての私の考え方を述べさせていただいたわけでございまして、やる気を起こさせるということが一番大事なことだと思っております。
鶴田議員がおっしゃったようなことは、私もまた考えております。そして私の判断で、適材適所で行っております。
○議長(山本 一君) 民生部長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) お答えをいたしたいと思います。
まず採算性の問題でございますが、この施設については、先生ご承知のとおり、勤労者の皆様方がそれぞれ資金を拠出し合い、その積立金の運用によって厚生年金事業振興団が建設し、運用するものであります。したがって、採算性を求めるのはやむを得ないんではないかと考えております。
二番目の住民の理解の問題でございますが、住民の方々が大多数参加をしている自治会などを通じ、幅広く理解を求めてまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) お答えいたします。
社会教育を推進するため、和歌山県長期総合計画に基づき、現在、県立図書館、文化情報センター、美術館、博物館の建設を進めてございます。事業面では、生涯学習推進会議の設置や学校開放講座、生涯学習フェスティバルなどの開催も行ってございます。
また、市町村との連携を図るために、学習情報提供システムを導入して二十一市町村とネットワーク化し、さらにこれを広めてまいりたいと考えております。
今後は、住民の学習の場としての施設設備等の充実を図るよう指導に努め、生涯学習の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。──再々質問がないようでありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
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