平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第八十四号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 四点、質問をいたします。
 その第一点は、県の燦黒潮リゾート構想における重要な位置づけの中で田辺市が進めております田辺湾総合リゾートの遅滞の理由と、リゾート形成のあり方についてであります。
 昭和六十三年八月、総合商社丸紅と田辺市がタイアップして田辺湾総合リゾート開発計画を発表。新聞紙上では、「『東洋一』へ夢ふくらむ」「末はモナコか、リビエラか」「マリーナに千五百隻収容、県は全面支援」と、一斉に報道したところであります。
 ちなみに、知事は本計画について、「リゾート開発計画が、県の推進している燦黒潮リゾート構想の主要民活プロジェクトとして、重点整備地区である田辺・白浜地域の雇用の創出、産業の振興等、地域の活性化に大いに寄与するものと確信しており、今後、当計画の実現に向けて積極的な取り組みを行っていく」との談話を発表、また田辺市長は、「今後、地元関係者との話し合い、関係法令との調整など、たくさんの仕事がございますが、市といたしましては、市民合意の上に立ち、全力を傾注してまいります」との決意を述べ、さらに龍野丸紅社長は、「当社は、田辺湾の持つ美しい自然を生かした国際的な総合リゾート開発を目指しており、今回の大規模マリーナを核とした海洋リゾート事業を田辺市と共同して積極的に進めていく所存であります」と、それぞれの方々が並み並みならぬ抱負と決意を開陳したところであります。
 発表当時は一千億を投じるとのことだったが、その後、平成元年二月、基本協定を調印、二千億をかけるとし、平成四年春に着工して七年に一部をオープンさせるとの計画を発表。同計画によれば、田辺湾に面した新庄町内ノ浦、鳥の巣半島の陸地部分百十ヘクタール(甲子園球場の約四十倍強)を開発、六百隻収容のマリーナ、七百五十室のリゾートホテル、十四棟二千八百室のコンドミニアムやマンションと五百五十戸の別荘のほか、テニスコート、プール、人工ビーチなどをつくる。完成すると、国内外から長期滞在の観光客、年間二百万人の受け入れを想定、将来は大学をもつくり、若者に働く場所ができ、市税増収やゆとりのある市政が可能になるとのことであります。
 この計画発表後の九月の県議会におきまして私は、リゾート形成に最も必要な住民合意の貫徹、自然優位に立つ開発のあり方、田辺湾の汚染進行の状況と本計画との関連、湾内に千五百隻のヨットを配置するという計画の不合理性等々、幾つかの問題を取り上げたが、その後のこれらの問題の解明や進行状況はつまびらかではありません。
 歌ではありませんが、「夏が来れば思い出す」──発表後、もう三年目の夏がやってまいりました。予定では明春四月着工とあったが、華々しい滑り出しに比べ、本リゾート開発は見えてこない。そして六月二十三日、地方紙は「丸紅開発に暗雲」「元請業者撤退の動き?」の記事を大きく掲載。おくれている理由と今後の見通しについて、明らかにされたいのであります。
 二つ目。平成元年二月、田辺市の紀南文化会館で行われた田辺湾岸総合利用とリゾート開発シンポジウムは、燦黒潮リゾート構想の概要と田辺湾岸総合利用計画の概要の中で、特に地域社会の対応として、リゾート地の形成は開発地区だけでなく地域全体が一丸となって取り組まなければならない地域振興策だとし、地域住民みずからが時代の流れを読み、従来の考え方に固執することなく、いかに参画できるかという視点のもとに積極的に取り組む必要があるとし、また、地元住民の大多数が望むリゾート地を形成するためのコンセプトを構築し、そのコンセプトのもとに推進する必要があると述べているが、その言やよし。しかしながら、予定どおり事が運ばないためか、何が原因なのか、対象地区からも、それを包む地域全体──もちろんこの場合、白浜も入ってございます。権利を私も確保しておるつもりであります──からも、その迫力が伝わってこない。それはなぜだろうか、あわせて所見を伺う次第であります。
 三つ目。三年前、本計画の発表時には一坪五万円内外と言われていた地価は、今、十倍から十五倍に高騰している。もちろん、本計画が地価高騰のすべての要因ではないにしても、この計画が地価高騰を促進したことは否めない事実であります。
 最近、口を開けば「リゾート」という言葉が世の中の救世主のごとく言われている風潮もあるけれども、リゾートといえばたくさんのマンションを建てて売ること、ゴルフ場をつくることといった傾向すら感じるが、マンション建設はマンション建設であり、ゴルフ場建設はゴルフ場建設であります。本来のリゾートの形成は、自然との共生、空間とゆとりをもたらす憩いの場の形成であり、人々が思いのままリラックスして、用意されているいろいろの施設を活用し、また迎える人々の真心のこもった対応、そして何よりも該当地の住民が安んじてともに参画し得る適正規模のものであることが望ましい。
 最初のリゾートの感想というか、それについては、去る三年前に発表されました、オーストラリアへ行ってこられた石田真敏君の報告書の一部を引用させていただきました。そして、もう一度言いますけれども、何よりも該当地の住民が安んじてともに参画し得る適正規模のものであることが望ましいというのは、不肖、浜本の意見であります。
 「ローマは一日にして成らず」。一挙に年間二百万の長期滞在の観光客を受け入れる想定に立つことは、言うはやすく実現には困難を伴う。田辺市当局と議会は今、この田辺湾岸のリゾート開発計画に懸命の努力を払っているところでありますが、私はその実現を危惧しつつ、県当局のご所見を伺うものであります。
 次に私は、本議会の昨日の野見山議員の質問に対する答弁の中にもございましたが、いわゆる「TAP''90S」の成果とその報告書の一部に触れながら、観光問題について、例によって小さな問題を二点質問いたします。
 紀伊半島観光立県推進地方会議は、この六月五日から三日間、和歌山、三重、奈良の三県で開催。本会議は、紀伊半島三県の観光の実情を踏まえ、一、観光資源、観光施設、二、交通アクセス、三、広域観光、四、サービス、人材、PR等々、必要な観光振興方策について検討、今後の推進の必要性をより認識する立場からも、三県観光振興懇談会を今後行うということを決定いたしました。
 報告書は、交通アクセスの分科会での基本的な考え方の一つとして、交通機関における乗り心地の改善に向けて設備、機能面のより一層の改善、特急くろしおの新大阪乗り入れ本数の増加の検討、特急南紀の本数増加と新型車両の導入による大幅なスピードアップ等、輸送力の増強等々が強調されているが、特にその報告書のまとめにある旅行の楽しさの演出という内容、すなわち交通機関に乗ること自体が旅行目的ともなるような楽しい車両等の交通機関への導入を検討する必要があると指摘しているけれども、特急くろしおの現状を見るにつけ、ぜひ早急に是正すべしと強調しておきたいのであります。
 車を運転することができない私は、いつもこの電車に乗ります。この電車に乗る私は、以前、車内放送の感想を少し取り上げたことがございますが、最近のアナウンスは随分改善されたことを、関係した者として一人ひそかに喜んでおります。しかし、きょう取り上げます左右に大きく揺れるこの電車は、旅行の楽しさの演出などとはほど遠いものである。満員で立ち席を余儀なくされたり、または車中の移動の場合などには、乗客は必ずといってよいほど酔う始末であります。乗ったことがある方、いらっしゃいますか。時々、気候や自然の変化のため飛行機や船で乗客が酔う場合もあるけれども、それとこれとは別であります。全国にこのような例は余りないと思う。これが改善を要望し、県当局を煩わす次第であります。
 二つ目。報告書は現状分析の上に立って観光方策についての必要な幾つかの提言を行っているが、紀伊半島における海の価値と海の利用等について、ややトーンが低いのではないかと私は思う。もちろん、当然のことながら、海洋スポーツ、海上交通の整備、クルージング時代への対応のための客船専用埠頭の整備、大型客船の寄港促進の検討を取り上げているが、私は少し角度を変えて、以下、質問を試みたいと思います。
 一昨年から本県も参画し検討してきた大阪湾ベイエリア開発推進協議会の基本方針としての開発整備グランドデザインは、大阪湾ベイエリア開発整備の方向として、なぎさ海道と白砂青松公園の建設を取り上げていますが、なぎさ海道については、大阪湾ベイエリアの景観形成のため、大阪湾ベイエリアの諸都市は海への道、海辺をめぐる道をシンボルロードとして整備する必要があるとし、また、白砂青松公園の建設については、大阪湾の水辺はかつて輝く白砂と松林によって全国でも有数の美しい浜辺を形成していた、その姿を二十世紀のメモリアルとして望ましいスケールで復元し、内外の人々にその美しさを紹介する記念公園を整備するとしております。
 この提言は、ひとり、ああ大阪湾のことやなと思ったら大間違いであります。大阪湾ベイエリアのこととして見るのではなくて、まさに誇るべき美しい海岸を持つこの紀伊半島で実現すべき課題でなければならないと私は思う。ご所見を伺う次第であります。
 次に私は、教員定数の問題と高校募集定員発表の時期について触れて質問をいたします。
 六月十九日、読売新聞は、補充講師確保キャンペーンとして「退職先生 カムバックして」との記事を掲載。それによれば、「県教委は、公立学校教員の産休、育児休暇などの補充のため、定年退職者を対象に、常勤、非常勤講師として教壇に再登壇してもらう『ティーチャーズ・バンク制度』を設けているが、人材確保が難しいと判断。地元のテレビや広報紙などを通じて、『やる気のある退職先生、カムバックして』と、バンク登録促進キャンペーンを展開することを十八日決めた。 教員の病気による長期休暇、女子教員の産休、育児休暇をカバーする常勤、非常勤講師は、従来、教員採用試験に合格した教員欠員待機者や、教員免許を持つ教員志願者で対処してきた。 ところが、それでも足りず、県教委は、昭和六十二年度に高校、平成二年度から、小、中学校のティーチャーズ・バンク制度を設け、退職教員のやる気に訴えてきた。 本年度は、高校七十七人、小、中学校十九人の計九十六人が同バンクに登録した。 うち実際、教壇に立ったのは、通勤距離などの関係で、現在までに計八十三人。 ところが、▽定年退職(六十歳)を待たず退職した人が今春、例年より約五十人多かった▽県立高校が入学定員を増やしたため教員が不足気味──などの要因が重なり、今後、常勤、非常勤講師の慢性的な不足が予想される事態となっている」。
 補充講師確保キャンペーンの解説は今読み上げたとおりでありますが、一つ、新学期が始まって二カ月、もう三カ月になろうとしている。通常、一般の企業であれば、こんな措置はよほどの不測の事態が生じない限り起こり得ることではない。それは、確固とした教育行政、教育理念の欠如、それがそうさせているのではないかと私には思えるが、ただしておくものであります。
 二つ目。既に小・中学校の四十人学級などを主な内容とする第五次教職員定数改善計画は、今年度十二年目にして国の段階で終了したが、一九九一年度予算に伴う和歌山県の教職員定数は国の基準を下回り、養護教員、事務職員、栄養職員合わせてほぼ百名が不足していると聞いているが、事実はどうなのか。公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(標準法)によれば、四学級以上の小学校では事務職員一名が配置されることになっているが、一例を挙げれば、田辺市の秋津川小学校、長野小学校、西牟婁郡では赤瀬小学校、椿小学校などが該当校となっておりながら未配置の状態である。この法の措置に照らし、全県下小・中学校での未配置の校名を明らかにされたいのであります。
 今、私は一例を事務職員の配置について触れましたが、標準法に照らし、養護教員の未配置についても同様、明らかにされたいのであります。
 三つ目。ご承知のように、教職員定数法は全国的な教育水準の向上のための基準であります。しかし、本県では国の基準を下回り、教職員の不足を来しているが、その実態はどうか、今後の方針とあわせてお聞きしておきたいと思います。
 四つ目。県下の小・中・高それぞれの学校は、臨時的任用をされている教職員がほぼ二百五十名もおり、通常この方々は定数内講師と言われているが、これらの教員はほとんどが二十代の青年で、身分が不安定であります。私の知っている方の中には、和歌山県の採用試験を受けても難しいから──試験が難しいのではなくて、応募者が多いから難しい──あきらめて北海道へ行ってやっと先生になった人がいる。合格して何年もこちらで勤めておったけれども、もうまあ限界が来た。それで、北海道の試験を受けたら合格して、ふるさとを捨てて北海道で先生をする。そういう転出する人も出てきておりますが、本年度の新規採用はこの定数内講師を解消し得るものにはなっていないのではないか、どうなさるつもりなのか、答えられたいのであります。これらの教員が安んじて教育に打ち込めるよう努めるべきであると私は思うが、以上、所見と方策を伺うものであります。
 五つ目。いつも申し上げることであります。平成二年九月の定例会で、私は高校募集定員の発表時期についてただしました。教育委員会は、「進路指導など教育的配慮の上から見ても、発表の時期はできる限り早めていく」との答弁を行ったが、どうなっているのか、どうなさるつもりなのか。
 ご承知のように、十二月の県議会が終わったら、二十日に終わったら二十一日に発表する、これが毎年の例であります。ここ数年来、そういうことばかりを繰り返している。土木の所管であれば、工事箇所表がなかったらこれは審議にならない。工事箇所表と総予算との関係がないとこれが審議にならない。しかし、ひとり教育委員会だけはそれがまかり通っておる。
 こういう状態は間違いであります。ですから、早くそのことを──しかも、それは「教育的配慮」の上に立っても早く発表することが望ましいということを何回か申し上げました。これは、あらかじめ通告をしております。答弁によっては、再質問でもまた具体的なことを申し上げたいと思います。
 最後に、台風十九号と日置川について簡潔に質問をしておきます。
 昨年の九月二十五日の十九号台風は、本議場、建設委員会等において幾たびか論議されてきたが、県河川課は関電と日置川町に足を運び、その対応に努力をしてございます。
 当時、日置川町と町議会が日置川の上流に殿山ダムを持つ関西電力に要求した六項目の回答は、今ようやく日置川町と住民の間で検討されているが、台風発生以来、この夏が来るとはや一年目を迎えようとしております。
 最近、特に当時多大の災害をこうむった日置川町田野井地区住民から、当時の被災の状況に照らし、関電を相手にダム操作がもたらした被害に対してその補償を求める裁判を行うと聞いているが、提訴に及ぶ方法論の可否は別として、その被災補償を求めることは当然のことであると私は思う。
 以下、簡潔に理由を挙げ、質問といたします。
 一つ、関電からの六項目の回答はダム放水のあり方や設備、情報についての必要な改善策を回答しているが、それは当時の関電の措置が非の打ちどころのない措置だったとは言いがたい何よりの証拠ではないか。まず私はこの点をただしておきたいのであります。
 二つ目、関電は殿山ダムに起因して田野井地区に災害をもたらしたのではないから被災地には何の補償も行わないと言明しているが、だとするならば、これは通常言われる天災と受けとめていいのか、それとも河川管理者・和歌山県知事の責任に起因するものなのか、答えられたいのであります。
 三つ目、第十九号台風における西牟婁郡下各町村の河川での大なり小なりの決壊や破損は、その後それぞれ復旧が急がれているが、住民の中からそれぞれの河川、町に対しても市に対しても、あるいは県に対しても、その管理者に提訴するなどということは全く聞かない。ダムを上流に持つ被災地住民は関電に補償要求の提訴を行おうとしているが、県当局はこの事実をどう認識するのか、見解を伺うものであります。
 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(山本 一君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 田辺湾の総合リゾートについてでございます。
 遅滞の原因等については部長から答弁いたします。
 リゾート形成のあり方ということについて答弁させていただきたいと思います。
 田辺湾の総合リゾート開発計画は、複合的なリゾート施設を集積して第二の我が町づくりを行うという新たな発想による開発でございます。そうした点から、長期滞在者が基本的に生活できる都市機能を持った形で進めておるわけでございます。
 お話のように、このような事業を推進するに当たっては、大事業ですので、当然ながら多くの問題が予想される次第でございます。それだけに、本事業の円滑な実施のためには、地元の人々の信頼関係をいかに築き、協力を得るかということが、私もまた大切な問題であると思っておる次第でございます。
 県としても、この事業は大きなプロジェクトでございますので、雇用の創出の問題、産業の振興等、地域の活性化に寄与するものと信じ、実現に向けて支援を積極的に行っているところでございます。
 次に、観光対策についてでございます。
 TAP90''sの報告書に基づいてご意見をいただきましたけれども、お話のように、このTAP90''sはことしだけで終わるのではなしに、観光振興懇談会というのを設置し、報告書に基づいてなおいろいろな問題をやっていくわけでございます。従来、三県で知事サミットも行いましたし、部長会議や観光の協議会も行ってまいりましたけれども、この懇談会は、国の運輸省並びに建設省等々はもちろんのこと、観光関係の業者等にも参加していただいて行うわけでございまして、もちろん近鉄も、南海も、JRも参ります。そうした点において、いろいろな問題を解決してまいらなければならないと思います。
 ご提言ございました振り子電車の問題については、部長から答弁いたします。
 また、ベイエリアの報告の中にございました、海をもっと重点にせよという問題については、私たちも燦黒潮リゾート構想の中で取り上げておりますし、特にまた、先ほど申した振興懇談会の中で、いかにやっていくかということを検討してまいりたいと思っております。
○議長(山本 一君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 浜本議員にお答えいたします。
 田辺湾の総合リゾートがおくれていることについてでございますが、田辺湾総合リゾート開発計画は、事業化に向けて田辺リゾート都市開発株式会社を設立し、開発プラン、運営方法による採算性等、検討を進める一方、田辺リゾート開発準備事務所を設け、地元説明、用地交渉が行われてきたところでございます。
 しかし、一部地域において用地の交渉が難航していると承知しており、こうした状況を打開するために、本年三月に関係企業が現地事務所を設置し、地元の人々との接触を通じ、積極的に理解を求める活動が行われてございます。いずれにしても、本計画の実現のために地元の住民の理解と協力が不可欠ではないかと存じます。
 次に、観光行政の中で、揺れる特急くろしおについてでございます。
 先ほど知事の答弁にもございましたように、去る六月五日から七日まで、紀伊半島三県で紀伊半島観光立県推進地方会議が開催され、各委員の皆様方から交通アクセスについて種々提言をなされたところでございます。
 議員ご指摘のとおり、特急くろしおなどの新大阪駅乗り入れ本数の増加については、JR西日本が夏の観光シーズンに合わせ、特急一便、急行一便を増便しているところでございます。また、特急南紀については、平成四年春には新型車両を導入し、スピードアップを図られるということをJR東海から聞いてございます。
 次に、揺れる特急くろしおについてでございまして、スピードアップということから振り子型の電車を使用している関係上、揺れがあると考えられますが、今後、旅行の楽しさの演出という視点から、JR西日本とも十分協議をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、白砂青松公園の建設についてでございます。
 浜本議員からご提言をいただきましたこの公園の建設については、観光振興を図る上からも、海辺に新しい砂浜や松林の整備が必要であると考えてございます。
 従前から、白良浜や橋杭園地、和歌浦湾の整備などを進めているところでございますが、今後とも、県民の皆様方や県外からお越しをいただく観光客などの多くの方々に本県の誇る美しい海岸に親しんでいただくことが必要であると考えますので、関係部局とも協議しながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 台風十九号と日置川についてでございますが、昨年の台風十九号は第二室戸台風に匹敵する大型の台風で、異常な豪雨による出水をもたらし、日置川沿川に多大の災害が発生いたしました。
 殿山ダムのゲート操作については、事前に予備放流を行い、洪水時において流入量を下回る放流を行う等、現行の操作規程に基づいたものでありました。
 ダム放流に関する情報伝達の措置について、関係機関への通知は規程どおりに実施されましたが、一般への周知に関しては、警報装置に故障が生じ、四門目以降の開扉について伝達ができない状態となりました。
 こうした状況に対し、日置川町長及び町議会議長から関西電力に対して殿山ダム問題に係る是正・改善についての申し入れがなされ、県としては、これを踏まえ、関西電力に対して指導し、協議を重ねてまいりました。
 このたびの改善措置のうち、ダム貯水位の可能な限りの低下については、現在、国が定める利水ダムの標準操作規程に加えて、大規模な出水が予測される場合に治水上の効果を加味したものであります。また情報伝達体制については、警報装置の二重化及び警報車の増車配備等により信頼度の向上を図るものであります。
 当地域において被害を受けた河川や道路施設等については、異常な天然現象により生じた災害に対して適用される公共土木施設災害復旧事業の採択を受け、早期復旧を図るべく取り組んでいるところでございます。
 また、日置川の河川改修については、計画的に実施しているところでありますが、平成三年度より田野井堤防の改修に着手することとしており、今後も事業の促進に努力をしてまいります。
 被災地住民の方々の提訴の動きについては聞き及んでいるところでございますが、このたびのことについては話し合いによって解決されることが望ましいと考えており、今後の進展を十分見守ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教員定数と高校募集定員発表の時期についてお答えいたします。
 非常勤講師等は、教諭の欠員補充として、また、産前産後休暇や育児休暇及び長期の病気休暇の補充等に必要な教員でございます。こうした教員を確保するため、ティーチャーズ・バンクを初めとする講師の募集を毎年行っておりますが、本年は過去に例を見ない定数の改善があったことや、平成二年度末での退職者数が見込み以上に増加したこと、さらには本県の高等学校進学率が全国平均以上となるよう措置したことから、例年以上の講師数が必要となり、「県民の友」等を通して新たに応募者を求めているところでございます。
 次に、小・中学校の教職員定数についてでありますが、定数標準法に基づき、現員数等を踏まえ、過去の経緯を押さえながら算定してございます。
 国は、平成三年度完成をめどに十二年計画で第五次改善計画を実施してまいりましたが、その進捗状況は職種によって一様でなく、養護教員、事務職員、栄養職員の充足率は極めて低く、これらの職種についての改善は多い年でも数名にとどまりました。本年度は改善計画の完成年でもあるため、前年度以上の充足率の伸びを予測し、養護教員、事務職員、栄養職員を合わせて約四十名増員いたしましたが、完成した国の標準数と比較すれば、なお八十名余りの差がございます。
 このことについては、議員から西牟婁地方の校名が具体的に挙げられました。今後、県教育委員会としては、児童生徒数の減少や国の動向等を踏まえ、計画的に充足してまいります。
 次に、教員採用の募集人数については、過去の定数の改善状況と退職者の見込み数、及び次年度以降の児童生徒数の増減を勘案して決めてございます。平成四年度については、国の新たな定数改善は見込めず、児童生徒数の減少が続くことから、さきに発表した募集人数を決定したところであり、本年度のような特異な状況は生じないものと考えてございます。
 最後に、平成四年度の高等学校生徒募集定員の発表時期についてでありますが、中学校生徒の進路指導を行う上で重要であることから、今後、定員を決定するための総合的な検討を早め、できるだけ早く発表する所存でございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 商工労働部長、知事からのご答弁で、田辺湾リゾート形成にとって最も大切なことは地元住民の理解と協力だと申されておりますが、私もそのとおりであろうと思います。いわゆる住民合意ということが最も大切な課題である。
 ただ、田辺湾のリゾート開発の計画発表は、どういうことであったのか知りませんけれども、三年前でしたが、地元の人が何も知らんときにいきなり発表した。そういうやり方をするから、後段で述べましたように、住民とともに、住民が参画し得るリゾート形成──これは、シンポジウムの論文にありました。多分、川端企画部長の書いた文章だろうと思いますけれども、すばらしい、その言やよしといった、そういうようなことと符合しない。いきなり発表して、住民の方々は何のことやらわからんとうろうろする。住民こそ主人公。ところが、その住民が知らない。知らない人を置き去りにして、年間二百万の人が来るんだとか、やれ大学をつくるんだとか──都市づくりですね。この構想は悪いとは思わない。いいことだと思います。しかし、ここの基本が狂っている。
 遅滞の理由は何かと申し上げたが、その理由については答えない。答えないけれども、それは前段で述べた住民の合意が得られていないからであります。そこで私は、質問の中で適正規模のリゾート形成に切りかえたらどうだろうかということを申し上げているが、お気づきではなかったからだと思うけれども、これについても答えていない。あえて答えよとは申し上げませんが、住民とともに、住民が参画し得るリゾート形成、あるいはまた適正規模のリゾートの形成ということについて、田辺市の現状に照らして十分検討してほしいということを要望しておきたいと思います。
 二つ目。観光の問題で大阪湾ベイエリアの構想を引用して申し上げましたが、なぎさ海道と白砂青松の公園についての答弁であります。
 あの答弁について、どういうように再質問をしていいのか、私は迷います。答弁の言うていることは合っているけれども、どこか違うように思う。それは何だろうかなということをこの席で考えてみたけれども、部長はひょっとしたらお気づきだろうと思います。
 時間がありますので、お許しを得て雑談風に少しお話をいたしたいと思います。
 「われは海の子白波の 騒ぐ磯部の松原に 煙たなびく苫屋こそ わが懐かしきすみかなれ」──少年の日に愛唱した歌であります。きょうはカラオケの話はいたしません。
 知事の母校である田辺中学の校歌は、「我が中学の英風は 扇ケ浜の松千樹 嵐気颯爽いやたかく 白砂碧浪いやたかし」。私たちが中学校に通ったころ、我々の青年時代を想起するたびに、すべて松、白砂といったものがよみがえってくるのであります。
 大阪湾ベイエリア構想は、いろんなことを書いてございますが、いいことを書いているなと思います。しかし、それをそういうように、俗に言う「もじった」のはだれであったか。そして今、気がついて二十一世紀へのメモリアルとして白砂青松の公園をつくるんだと。
 この構想は大阪湾にでき上がると、私は思います。あの迫力ある文章なりからいくと、絶対できるなと思います。しかしそれは、ああ大阪のことやな、いいことやなと思うのではなくて──我々は常に、枯木灘や黒潮洗う潮岬を見るたびに、海のことを自慢します。自慢しますけれども、しかしそこには、今言うようなものが何もない。
 最近、海水浴場をちゃんとするためのいろんなことが行われております。白良浜は、もうほとんど完成しています。あるいは、この間私は橋杭にも行ってまいりましたが、そうなっております。しかし、それはそれであります。いわば、きらびやかな海の開発とあわせたような、超近代的と言っていいんですか、そういう海辺の形成ではないのであります。
 私は、田舎の古い時代のそういう公園にせえというようなことは申してございません。しかし、白良浜にもあるし橋杭にもあるような、そういうおざなりのものをつくるんだ、見通していくんだというのではなくて、わずかな文章ではありますが、その大阪湾ベイエリア構想の中に書かれているような物の考え方に立脚した、いわば和歌山県が、紀州が日本に誇り得る白い砂と青い松林、そういうたたずまいと──そういう公園ということを申し上げているんじゃなくて、そういうものを指向するいわばメモリアルを、どうしても仮谷知事あなたの手で仕上げてほしいなと、この機会に特に要望をしておきたいと思います。
 教育委員会は、高校の定員募集については時期を明示いたしませんけれども、私は、先日もあるPTAの方々から聞いたんです。うちの子、南部の保育学科へ行くのがいいと中学校の先生が教えてくれた。そして、その気になって十二月ごろまで、あるいはそれを学ぶための体験学習に夏休みに行ってきた。完全にその気になって、先生の指導されるままにそうした。ところが十二月になると、その学科がないようになった。募集せんと発表した。そうすると今度──こういう言い方は悪いんですけど、「これがおまえには一番いいんや」と言っておった先生が、今度は別の科へ行かす。「ないようになったから、今度はおまえこっちへ行け」と言うと何か切り捨てみたいになるから、また別の言い方で「熊高の園芸科へ行くのがおまえにはええ」と教える。
 正直、そういうことがあっちこっちで行われている。しかし、子供は一人一人が大切にされなければならないと思います。そんなこと大したことやないやないかということで教育というものを見てもらったら困ります。
 だから、早く発表すればするほどいいということは二年前にも申し上げておるのでございますけれども、十二月の県会で「いつな、いつな」とみんなに聞かれて、「やがてします」「検討しています」というようなことを言うて、そして議長さんが「ことしもいい正月を迎えてください」とあいさつされて、みんなが帰った二日後に発表する、そういうぶざまなことはもう金輪際やめていただきたいと思います。
 私は、手続上の問題を言うのでなくて、教育的な進路指導と子供の将来という上に立っての物の考え方を申し上げているのでありますから、どうぞことしはそういうぶざまなことのないように、ぜひとも十二月ににっこり笑ってここで発表できるようにしていただきたいということを特に要望いたします。
 以上、皆、要望といたします。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。

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