平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 通告に従い、お尋ねしてまいります。
 初めに、ゴルフ場を中心とした開発問題について伺います。
 今、ゴルフ場問題が全国各地で大きな問題になっています。ゴルフ場の乱開発をこのまま放置しておくなら、自然破壊はますます進み、ゴルフ場周辺の住民の暮らしは一層危険にさらされることになります。したがって、美しい自然を守るためにも、健全なゴルフの発展のためにも、これ以上事態を放置しておくことはできないと思うのであります。
 そもそも、このゴルフ場ブームは、四年前に成立したリゾート法にあると言わなければなりません。リゾート法の最大の目的は、出発点から大企業の開発計画が前提条件につくられ、その開発計画を推進、促進させるために、国、自治体が住民の願いや不安は後回しにしながらも、あらゆる支援策を義務化され、まさに大企業の利潤追求の奉仕者としての自治体であることが徹頭徹尾貫かれているのであります。中でも、ゴルフ場、スキー場、マリーナ、テニスコートはリゾートの三種の神器とも言われ、ホテルとともに最初に手がけられるばかりでなく、すべてのリゾート構想の中心に置かれているのが特徴でもあります。
 建設省の担当者いわく、「ゴルフ場、スキー場、ホテルなどは企業の採算から言っても資金回収するのが容易であり、リゾート法がゴルフ場整備法と言われるゆえんでもあります」と語っているとおり、開発業者の執拗なまでのゴルフ場開発にかけるねらいが、ここにはっきりとあらわれているのではないでしょうか。
 私は先日、リゾート法に基づく指定第一号となった三重県のサンベルトゾーン構想を視察してまいりました。
 新宮市に近い御浜町では、「この地にハワイをつくるんだ」と言って企業に作成してもらった計画書をうのみにして大失敗、第三セクター方式の観光センターの膨大な赤字がかさみ、町の財政はパンク状態になっています。早く見切りをつければ被害も最小限に防げたにもかかわらず、県がリゾート法第一号指定のメンツにかけてもつぶせないという全く住民無視の姿勢で、矛盾がますます広がっているのです。
 また大王町では、投機目的のリゾートマンションの乱立で土地が食い荒らされ、売れてはいるものの人が住まず、ゴーストタウン化さながらの状況になっていましたし、磯部町では、近鉄や西武などの大企業が土地の買い占めを古くから行っており、ゴルフ場や大規模なリゾート施設の計画が軒並み打ち出され、町はこれらに付随した公共施設の整備などで膨大な予算がとられ、耐えがたい住民負担にはね返っていることがよくわかりました。
 また、開発に伴って海の汚染が進み、ノリ、カキ、真珠業者に大きな被害を与えているのも現実です。私は、大企業のもうけのために三重県の貴重な海、山などの自然が破壊され、食い荒らされている状況をこの和歌山で繰り返してはならない、そんな決意を持って、きょうここに立っております。
 さて本県においては、燦黒潮リゾート構想が国の承認を受け、その具体的実現のため努力が行われているところと思いますが、この燦黒潮リゾート構想の進捗状況を具体的に企画部長からお聞かせ願います。
 続いて、土木部長にお尋ねをいたします。
 この数年間、宅地造成を初め、大小さまざまな開発が進められているところでございます。とりわけ目覚ましいのは、和歌山市北西部に位置する和泉山脈の開発計画であります。その規模も広大であり、今までになかったほどの大規模であることも聞いています。開発も、住宅、マンションばかりではなくゴルフ場も含まれているのです。既に十三にも及ぶ開発申請が行われているやに聞いています。わずかに残された緑と自然を残してほしい、これ以上の開発が進むならば、浸水被害、交通渋滞、二次災害などにより直下に生活する住民の生活が危ない、ましてやゴルフ場開発は絶対反対と、住民運動も広がり始めております。
 こうした現状の上に立って、紀泉南丘陵都市整備構想の計画なるものがあると聞きましたので、その内容を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 次に、本県もゴルフ場開発計画は一時期に比べて少なくなったとはいえ、今なお申請が続いておりますが、その現状についても詳しくお聞かせ願います。
 ゴルフ場は、歴史的に見れば、雑草の生えた自然の中での遊びとして行われてきた健全なスポーツでありますが、今日のように広大な人工芝生をつくるため、森林を削り、農地をつぶし、先祖代々守り育てた土地を金で奪い、大規模な自然を破壊して丸裸になったところに芝生維持のため大量の農薬、肥料が使われます。ゴルフ場開発は、水源の多い地帯や河川敷がねらわれ、そのため水源の消滅や農薬による汚染が起こるのはもちろんこと、地形の変わったことによって地すべり、がけ崩れの災害、飲料水の汚染など、生活や生命を脅かす重大な問題が周辺住民の不安を増大させているのであります。さらに、ゴルフ場で働くキャディーやゴルフを楽しむゴルファー自身の健康被害を生み出しているようなスポーツが果たして健全であり続けるか、私は大変危惧するものであります。
 ところで、県下あちこちでゴルフ場建設計画をめぐって地域住民の反対運動が活発化しております。このことは、連日の新聞やマスコミの報道でご存じのことと思います。私の知る限りでも、この和歌山県下においても十数カ所で運動が起こって、そのうちの十カ所に上る地域が、住民の運動で白紙撤回あるいは一時中止に追い込まれています。こうした運動は、町づくり、村づくりの根幹にかかわる問題でもありますが、何よりもその地域に生活する住民が主人公であることを無視した企業の利潤追求のための開発に対する厳しい住民の審判にほかなりません。
 そこで、関係部長にお尋ねをいたします。こうした住民の反対運動はどうして起こるのでしょうか。
 さて、ゴルフ場建設工事も最終段階に入り、この十一月オープンに向かっている上富田町岩崎地区に開設する朝日ゴルフクラブに係る造成工事中のダイナマイト爆破被害についてお尋ねをいたします。
 火薬類取締法の手続に従い、爆薬量四十一万一千キログラムを平成元年二月二十日から平成二年十一月三日までの一年九カ月余りにわたって、一日二回の爆破工事が行われました。工事現場から至近距離である二百メートルから三百五十メートルのところには別荘を含む約三百戸の南紀の台団地があり、この団地の被害について伺います。私自身も二回にわたって現地を見、被害住民の方々のお話も聞き、同時に被害場所も見てまいりました。
 新築五年目のAさんは、工事現場が家の座敷からいつでも見える距離にあります。平成元年、工事開始当初から爆破の音は大きく、居間に座ってテレビを見ていると体が揺れ、テレビの映りもだんだん悪くなった。台所や廊下のガラスがばりばりと音を立てて、割れるのではないかと大変心配したそうです。早速、町役場を通して発破の音を小さくしてほしいと再三申し入れましたが、一向に改善は見られませんでした。工事期間中、玄関の扉の修理を四回行い、いまだにすき間が四・五ミリのままです。ふすま等の建具にすき間十一ミリができるほど被害を受けています。
 定年退職して夫婦で東京から転居されたBさんは、新築後一年三カ月、工事現場から約三百五十メートルの距離で、当初は大変地震の多いところなのかなと思ったそうです。びっくりして外に飛び出したことも数回あったそうです。室内に座っていると体が揺れる、テレビの映りが悪くなる、障子やガラスががたがた揺れる。この方も、建具のぐあいが非常に悪くなっている状況にあります。
 ダイナマイト工事に最も近い家屋では、二階の一室が完全に傾き、その部屋に十分間と立っていられないほどのひどさのところもあります。また、家屋の基礎工事のコンクリートまで数カ所ひび割れが入っている住宅もあります。
 このような状況のもとで、これまで町役場を通して改善を求めたにもかかわらず、何ら事業主からの改善はなかったようです。しかも、この南紀の台団地は開発工事における周辺住民の同意を得る範囲からは除外地域となっているため、計画等についての十分な説明もなされていないという経過もあります。ですから、なおさら被害の深刻さがあることはおわかりいただけたと思うのです。大規模開発許可に際して、周辺住民に被害、災害を及ぼさないことが重要であると考えるのであります。
 そこで、四点についてお尋ねをいたします。
 第一点、周辺住民の同意に必要な範囲に問題はなかったのかどうか、第二点、ダイナマイト工事開始及び工事中における周辺住民に対する事業者及び行政の対応はどうだったのか、第三点、こうした被害の把握はどのようにされているのか、第四点、被害の実態調査とその原因究明のため企業及び町に指導をすべきと思うのでありますが、それぞれの関係部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、湯浅町の山田山ゴルフ場開発計画に関する住民合意についてお伺いをいたします。
 経過については省略をいたしまして、企業はゴルフ場開発許可申請に際し地区住民同意書を提出しましたが、この同意書が地区住民に相談することなく個人の意思で作成されたもので無効であると、去る六月二十八日付で山田区長と山田区協議員一同名で七月一日、県知事に提出をされました。このことは、開発に反対する地区住民の七○%に及ぶ反対署名が既に知事に提出されていることからも明らかであります。
 湯浅町長は、何としても開発許可を得るために、知事に対し去る六月二十日、条件つき開発許可とも言える文書を提出しておられます。その内容は、「当該ゴルフ場をめぐって現在生じている下記事項について、町として責任を持って対処してまいります」と前置きしながら「現在、山田地区を中心にして起こっている住民の同意問題については最も重要視することであり、町としても今後、責任を持って山田地区住民の総意による合意を得るようにいたします」と、明らかに地区住民の合意に至っていないことをみずから認めていることを知りながら、県は六月二十四日、開発許可を行いました。住民同意についての見解を明快にお答えいただきたいと思います。
 次に、住友金属西防波堤の埋立地の用途変更の動きについて質問をいたします。
 この問題は、今議会で何名かの皆さんが既に質問をされていらっしゃいますので重複する点があろうかと思いますが、ご容赦願いたいと思います。
 去る五月二十七日、旅田和歌山市長は、住友金属の代表とともに記者会見し、住友金属が現在進めている埋立事業の用途変更を行い、その一部に関西電力のLNG火力発電所などを誘致する意向を発表されました。今度の住金埋立地の用途変更の理由は、「工場、設備の移転をしなくても環境改善目標を今後とも守れるという確実な見通しができたので、この埋立地をより高度に利用していくことを検討したい」という申し入れが住友金属より和歌山市にあり、市として埋立予定地にLNG火力発電所を誘致することにしたというものであります。
 この発表の直後に、日本共産党和歌山県委員会と私ども県議団は、知事に対して「公有水面の埋立目的の一方的変更と安全と公害で大きな問題のあるLNG火電建設につながる土地利用計画の変更を認めないでほしい」との申し入れを行いました。
 そもそも住友金属和歌山製鉄所の公有水面埋立免許申請の理由は、同所の公害発生源工場、設備を沖出しし、地域住民の快適な生活環境をつくるためということにあったわけであります。その当時、住友金属は盛んにそのことを宣伝しましたし、また住民もある程度期待を寄せてまいりました。それを、今になって住民の意向を無視した形でこのような一方的な発表を行うことは断じて許せません。また今回の発表にあるLNGについては、和歌山市は「無色無臭のクリーンな液体燃料で、現在、家庭で都市ガスとして使われていますから安全」と報じたり、関西電力は、大阪府へのLNG発電所建設の際、LNGの安全性について「空気よりも軽いので、もし漏れても拡散し爆発する危険性がない」などと宣伝しておりますが、実態は決してそうではありません。
 専門家の話によりますと、メタンを主成分としたLNGは、タンク内ではマイナス百六十一・五度に冷却されて貯蔵されており、マイナス百十三度以上の場合は空気より軽いが、それ以下では空気より重く、空気の中に漏れると地をはうように拡散し、大気中五%から一五%の容量で爆発する危険性があるとされています。さらに、安全工学協会が発行した「低温液化ガス火災消火実験報告書」によりますと、「LNGは容易に着火し激しく燃焼する。火災の際は、近寄りがたく消火しがたい。実際に消火を行ってみて、これがいずれも消火困難であることを認識、消火剤も大規模になると難しいことがわかった」という結論を出しているのであります。ですから、LNG火力発電所は安全性の面では未確立と言えますし、ましてや今回のような都市部での設置計画は無謀としか言いようがありません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 この埋立地の用途変更は突如として出されてきたように見えますが、水面下ではかなり具体的に進められていたのではないかと思われます。この埋立地の用途変更問題について、いつごろからこの動きを把握されていたのか、またこの動きに対する埋立免許庁としての見解をどのようにお持ちなのか、お伺いいたします。
 また土木部長にも、この西防波堤沖の公有水面埋め立ての許可に至った経緯と目的についてお答え願います。
 さらに、知事が新聞報道や一昨日の答弁で述べられている「遺憾」の意味は、今回の利用目的の変更の動きは住友が果たさなければならない企業の社会的責任を放棄したものとしてその責任は大きいという意味で述べられたと私は解釈しておりますが、そのように受けとめてもよろしいでしょうか。
 住友金属や和歌山市長は、今回の用途変更の動きにかかわって、まるで住友の公害が現状で解消したかのような発言を行っておりますが、松江、木ノ本、湊地区などでは季節や風向きなどによって依然としてばいじんや悪臭などによる被害が続いているのです。
 六月十六日の朝日新聞の報道によりましても、住金側は環境改善目標をクリアしたようなことを言っているが、現実に降下ばいじん、臭気などの公害はあるんだ、まだ洗濯物が時々ばいじんで汚れるなどの被害は出ており、周辺住民は体感的には公害があると感じているのであります。現時点で住民に対する公害問題は完全に解決されたと受けとめておられるのかどうか、保健環境部長に答弁をお願いいたします。
 最後に、政府・自民党が導入を強行しようとしている小選挙区制度の問題についてお尋ねをいたします。
 政府・自民党は、六月二十九日に開いた総務会で、衆議院への小選挙区制導入を柱とする政治改革関連三法案と小選挙区制区割り案について、党内の反対派の声を無視して党議決定をされました。これによって、自民党内でも一方的な党議決定の強行について、反対派を中心に西岡総務会長の辞任要求などで混乱しているありさまであります。
 また、六月二十六日放映されたNHKスペシャル「連続討論・政治改革 第一回・自民党はどう変わるか」では、自民党議員へのアンケート調査の結果が紹介されておりました。そのアンケートでは、小選挙区制導入で「選挙に金がかかるのが改善されるか」との問いに対し、三九%の方が「改善されない」と回答され、「改善される」の三六%を上回っているのであります。また「派閥はなくなるか」の問いに、五五%が「なくならない」と答えています。自民党内でさえ意見の分かれるこの小選挙区制度というのは、自民党にとっては四割台の得票で八割の議席を独占してしまうという自民党の一党独裁政治を許す、とんでもない選挙制度ではないでしょうか。
 我が党の試算では、小選挙区比例代表並立制のうち小選挙区部分、これは三百の議席を選ぶわけですが、過去三回の選挙実績から換算しますと自民党が九七%の二百九十一議席を選出することになり、ここでもさらに議席を上積みして四百七十一議席中三百五十九議席で全体の七六%の議席を獲得し、これで文字どおり自民党独裁体制が可能になり、どんな法案も通してしまうことが可能になります。さらに、この小選挙区制度の導入によって全国で議席に結びつかない票、いわゆる死票が五二%に上ることも明らかになってまいりました。これでは、多くの国民の声が国会に反映されなくなってしまいます。
 イタリアでは戦前、小選挙区制をとっており、それが独裁、ファシズムにつながっていったと言われていますし、イギリスでは現在でも小選挙区制度をとっていますが、一九八七年の総選挙の結果を見ますと、保守党が四三%の得票で五八%の議席を占め、逆に自由社民連合は二三%の得票を得ながら、わずか四%の議席しか獲得できていません。また、得票率の低い政党が政権を獲得するなどの奇妙な現象も起こっており、比例代表制の導入運動が起こっているとも言われています。
 私ども日本共産党は、衆議院定数抜本是正のため具体的提案を行い、その内容は一、定数是正に当たっては各選挙区間の定数格差を少なくとも一対二未満に抑えること、二、一人、二人、六人区を解消し、中選挙区制、定数三から五人を維持すること、三、国勢調査に基づく定数是正の実施を国会と政府に義務づけること、以上の三つを定数是正の基本原則として公職選挙法本部に明記することを提案しています。多くの欠陥を持った小選挙区制度の導入は絶対許されないと考えますが、政治家としての知事はこの問題をどうとらえておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 西防波堤埋立地の利用計画でございます。
 このたびの公表は、和歌山市と住友金属が西防埋立地の土地利用計画の見直し検討をしたいというものでございます。いつごろかと言われますが、本年五月、県に対しそれぞれ話がございました。これに対して県は、免許庁として今後、計画変更の申請があれば、その内容について公有水面埋立法に基づく審査を行い、判断するものと考えておるところでございます。
 なお、住友金属に対し「遺憾なことである」と言ったことについてでございますけれども、これは住友金属の土地利用計画の見直しに対する私の気持ちを率直に言ったものでございます。
 それから、小選挙区制の導入についてでございます。
 政治改革に対する国民の期待が非常に大きい今、選挙制度の改革は重要な問題であると考えております。
 いずれにいたしましても、選挙制度の問題は議会制民主主義の根幹にかかわる重要な問題でございまして、広く議論がなされた上で国民が納得し、民意が十分に反映される制度が選択されることを望んでおる次第でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、燦黒潮リゾート構想の進捗状況についてお答えを申し上げます。
 燦黒潮リゾート構想は、昨年十二月十九日に国の承認を受けたところでございますが、各重点整備地区ごとに地域に根差したリゾート整備を推進するため、農林水産業、観光業の代表者や地元住民等で構成する構想推進協議会を設置して、地域産業の参画、特色のあるリゾート整備のあり方等についての調査研究やパンフレットの作成などの事業を実施しているところでございます。
 また本年の三月二十五日には、この構想への理解と協力をいただくために、紀南文化会館においてリゾート整備による町づくりをテーマとするフォーラムを開催したところでございます。さらに、構想に位置づけている特定民間施設の整備状況については、勝浦、太地地区において石垣栄太郎画伯を記念する美術館がことしの六月にオープンしたところでございます。工事中の主なものといたしましては、和歌山マリーナシティや東急南紀田辺リゾート計画などがございます。その他、数多くのプロジェクトについても、開発事前協議や用地買収など開発準備作業中でございます。
 構想はおおむね十年間の計画でございまして、地元市町村と連携しながら、より質の高い個性あるリゾート地の形成を目指し、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、ゴルフ場計画の現状と反対運動等についてでございます。
 県下のゴルフ場の状況は、既存二十カ所、開発許可済み六カ所(うち工事中四カ所)、開発許可の事前協議中十九カ所、事前協議準備中四カ所となってございます。
 県といたしまして、ゴルフ場開発は雇用対策、産業振興、税収等の面から地域振興策の一つと位置づけ、昭和六十三年十二月一日より定めているゴルフ場等開発計画に関する取扱により、過疎、同和、観光リゾート対策、その他特に地域振興に寄与するものと認められ、地元市町村の意見書並びに地域を代表する方々からの同意書が添付されているものに限って届け出書の受理を行っているところでございます。
 ゴルフ場の反対運動の主な理由としては、自然環境問題や防災面の問題が多いと聞いてございます。こうしたゴルフ場開発に伴う自然環境の保全、災害防止対策、農薬汚染問題等については、開発許可に伴う審査の中で各個別法によりチェックし、対応しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀泉南丘陵都市整備構想を作成するための調査についてでございます。
 和歌山市北部の交通量の増加に伴い、本地区の交通体系の整備が課題となっており、また関西国際空港建設の進展及び大都市域の宅地需要の増加に伴い、当紀泉南丘陵周辺の開発のポテンシャルが高まっております。
 本調査は、こうした背景をもとに和歌山市北部地域の都市整備のあり方を検討しようとするもので、既存の大規模開発計画や上位計画等と地域の土地条件との整合性を検討し、既成市街地を含む当地域の交通体系等の整備構想を作成するものであります。本調査は、平成三年度、四年度の二カ年調査を予定し、平成三年度は六百万円の調査費で国、県、市それぞれ三分の一の負担を予定しております。
 なお、上位計画の一つである燦黒潮リゾート構想では、当地域は重点整備地区とされております。
 次に、西防波堤沖埋立地の許可の経緯と目的についてでございます。
 住友金属の西防波堤沖埋立計画は、一部設備の埋立地への移転と移転跡地での環境改善及び公共廃棄物、自社産業廃棄物の最終処分先の確保を目的としたもので、昭和五十三年八月埋立免許申請があり、同五十五年六月許可いたしました。また昭和六十一年七月、住友金属から粗鋼減産及び廃棄物再利用率の向上に伴う自社廃棄物の減少、並びに公共廃棄物の減少により埋立工程がおくれ、竣功期間の伸長申請がございましたが、免許庁として厳正な申請を行い、同年八月許可いたしました。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 上富田町におけるゴルフ場の造成工事に係る問題についてでございます。
 まず火薬類の使用に対しては、火薬類取締法による規制のほか、特に保安確保のために一定の距離内に所在をする住居等の所有者に対し、事業者が同意書をとって火薬の消費許可申請時にそれを添付するように指導をしております。
 村岡議員ご指摘の事業については、工事開始時において事業者が当該町内会長を通じ、発破作業開始のビラを回覧いたしております。また、工事期間中は火薬の消費現場から最も近い住居を中心に十九回の振動測定を実施いたしております。
 さらに、振動に対する住民からの苦情に対して、上富田町を含めて、町内会長を通じて振動計測結果を説明するとともに、クラック等の事象が発生した家屋の被害調査を実施いたしまして、その結果、二十七世帯に対する補償交渉を行っております。現在、このうち二十四世帯が解決を見ております。
 これらの原因については、工事中に使用した重機械の振動によるものか、あるいはこの地域が埋め立てて宅地造成を行ったものであることによる基礎地盤に原因があるものなのか、さらに火薬類の使用に起因するものか、にわかには判断しがたいと考えております。
 いずれもにいたしましても、今後とも火薬類の使用、その他の取り扱いにおける安全確保のために、火薬類取締法に基づく消費許可に当たっては適正な事業者指導に努めてまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
 〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
 まず最初に、上富田町の朝日ゴルフクラブの造成工事に係る問題で、住民合意の必要な範囲についてでございます。
 議員もご承知のことと存じますが、農林水産部が所管する森林法における林地開発許可に係る住民合意の範囲は、開発地のある地区及び災害の防止等の影響を受けると思われる下流地区としております。今後の開発許可に当たっては、適正な業者指導に十分配意をしてまいります。
 次は、山田山ゴルフ場に関する住民合意についてのご質問でございます。
 住民合意の位置づけについては、開発による周辺住民への影響を考えると大変重要なものであり、開発に当たっては地区住民の同意をとることとしております。また住民合意の基本については、住民が開発の内容を十分理解し、コンセンサスを得ることとしております。
 なお、山田山ゴルフ場に関する住民合意については、去る六月七日に反対されている方々がお見えになったときに、山田区長が同意する際、地区住民に相談がなかった旨の申し出がありましたので早速調査したところ、昭和六十一年ごろに山田地区を初め地元関係者による山田山対策委員会が設置され、その中で再三協議が行われていること、さらに町当局が地元住民に対したびたび説明会を開催し、住民の意見を十分に拝聴していること、また当時、反対意見が出ていなかったことなどから、同意は得られているものと判断したものでございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 住友金属工業周辺住民に対する公害問題は解決されたかとのご質問でございます。
 住友金属周辺での県における環境監視の状況を見ますと、平成元年度の降下ばいじんの測定結果は、月間最高値が北港センターで七・三トン・パー・平方キロメートル・パー・月、湊の松本氏宅で四・八トンとなっており、県の行政目標値十トンを満足しております。悪臭については、平成元年度のアンモニア濃度で見ると、周辺四カ所の最高が○・○三ppmとなっており、周辺居住地での基準一ppmを満足しております。
 このように、埋立計画策定時の昭和五十年当時と比べると、周辺の環境状況は相当の改善を示しております。しかし、現在も周辺住民からの粉じんなどの苦情が残されており、今後も引き続き環境監視を行いながら、事業者に対し必要な対策を指導してまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、お答えをいただいたわけですけれども、大変たくさんの質問をいたしましたので、絞ってお伺いをしたいと思います。
 最初に、ゴルフ場建設反対の起こっている最大の原因についてです。これは、企画部長がお話しされた環境破壊問題もあると、私たちも認識します。しかし、今、反対運動が起こっている一番の原因は、計画が住民の皆さんに何も知らされないで事が運んでいるということです。住民の知らないところで、業者によって用地買収がさっさと進められている。業者が用地買収に走って地権者のところに来て、そこで初めてうわさが飛ぶ。事前協議に出されてから、初めて住民が開発計画を知る。こういったことが反対運動の発端であります。企業も県当局も地方自治体も、住民に対してはかなり後から計画を知らせる。こういったやり方が、住民の皆さん方にとっては一番大きな反対運動の理由になっていると思うんです。
 住民が主人公である、そして住民の環境を守っていく、地域の活性をしていく、こういうふうにいつもきれいに答弁をされますけれども、それが本当に守られていないということがゴルフ場建設の反対運動の中で明らかになっていると思うんです。
 このことを皆さん方は最大限に考えていただいて、今後のゴルフ場計画についても、また今上がっている問題についても──実際に工事が始まっているところは皆さん具体的にもうわかっているわけですけれども、事前協議中の十九、事前協議準備中の四、こういうのは住民の皆さんたちは知らないんですよ。一体どこでどのような協議が行われているのか、計画があるのかということを住民の皆さんたちが知らないまま事が運ばれているということが最大の原因だと私は思っています。うわさの段階で住民は一体どこへ聞いたらいいのか、このこともわからないんですよ。(「役場で聞け」と呼ぶ者あり)──役場とおっしゃいますけれども、役場はそのことを公開いたしません。企業秘密のことについては公開しませんということを一般の住民にはおっしゃるんです。議員の皆さんにはやむなく言うことはありますけれども、一般の住民の皆さん方には計画すら地方自治体が明らかにしないという現実ですので、このことについては行政当局に厳しく要請をしておきたいと思います。
 それから、住民合意の問題です。
 今、山田山の問題とかありますけれども、開発に当たっての住民合意については、私も数回にわたって質問し、他の議員の皆さんも質問され、自治会長や区長が印鑑を押すときには、それぞれ地区総会とか自治会の総会とかでどんな討議がされ、どんなふうに印鑑を押すに至ったのかのプロセスも大事にする、こういうふうに答弁してこられました。このことが果たして今守られているかどうかが住民合意のかぎになると私は思っています。そういった点では、山田山の問題についてはもう一回検討をされる余地があると思いますし、慎重に検討を加えていただきたいことを要請しておきます。
 それから、上富田の問題です。
 これは、同意を必要としない周辺の住宅にあるわけですが、因果関係が明らかでないということで逃げおおせるのかどうか。住民を開発の被害から守っていく、このことが望ましい開発のあり方だと思うし、工事のあり方だと思うのです。このダイナマイトを使っての工事で被害を与えられた人たちが火薬類取締法で守られるのかどうか、お聞きするところによると、全く守られない。
 それで、総務部長にお伺いいたします。
 あなたは、火薬類取締法に基づき適正な指導をしていきたいとおっしゃいましたけれども、この場合、火薬類取締法の中での「適正に」ということに該当するのかどうか、それをお答えいただきたいと思います。
 発破を使うときにはどうしても大きな音が出ますけれども、建てて一年半ぐらいの家が傾き、地盤沈下をするような事態が起こるでしょうか。よほどのことがない限り、こんなことは起こらないと思うのです。専門家もそういう話をいたしておりました。今度のダイナマイトの使い方や振動は許容量以内にあったとおっしゃいますけれども、現実に起こっている問題をどうやってこの法律の中で守ってもらうかということです。立入検査もやられるわけですけれども、それで果たしてこういった被害が救えるのかどうか、そのこともお答えいただきたいと思います。
 以上、再質問いたします。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 村岡議員の再質問にお答えをいたします。
 ご指摘ございましたように、火薬類取締法の規定に基づき、西牟婁県事務所において火薬消費期間中に二回立入検査を行い、保安の確保をチェックいたしております。
 ただこの法律は、振動被害防止の観点から規制を加えるという意味ではその目的を異にいたしております。別途、振動規制法等、別の法体系に基づく規制が加えられようかと考えております。
 このケースで、先ほどご答弁申し上げた十九回の振動測定の計測結果では振動規制法で規制されている通常の値をある程度下回った数値しか出ていないということもございまして、事業者が振動被害の防止の観点からこういった法規制の範疇外のこととしてどのように十分な留意をし、事業を進めていくかという問題ではないかと考えております。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 この上富田の問題では、開発をしたがために障害が起こったということは明らかですけれども、森林法にしても、火薬類取締法にしても、振動規制法にしても、現実的にこういった被害をこうむった皆さん方の実態を救えないんです。法のもとでは守れないということがわかっているんです。そういった点から見れば、こういったことはこれからも起こり得るだろうと思います。これだけゴルフ場の計画がある中で、またホテルやマンションといった他の開発が進められていく中でダイナマイトが使われないとは限らないと思うんです。
 だから、行政がこの上富田の経験を生かして、どうやって住民を守っていくかということを総合的に判断できる開発指導要綱なり基準をつくるべきではないかと思います。今、住民の皆さん方は大変困っていらっしゃいますし、補償をされたとしても十分納得をしていらっしゃらないという実態もありますので、この開発の被害に対して総合的に判断できるような内容のものを作成する必要があると思います。これをぜひともつくっていただくように要請をしておきたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十七分休憩
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