平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第四号 平成三年七月四日(木曜日)
午前十時開議
第一 議案第八十四号から議案第百九号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第八十四号から議案第百九号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
1 番 尾 崎 要 二
2 番 中 村 裕 一
3 番 下 川 俊 樹
4 番 石 田 真 敏
5 番 中 村 隆 行
6 番 木 下 秀 男
7 番 岡 本 保
8 番 藁 科 義 清
9 番 北 村 翼
10 番 小 川 武
11 番 上野山 親 主
12 番 井 出 益 弘
13 番 町 田 亘
14 番 尾 崎 吉 弘
15 番 門 三佐博
16 番 西 本 長 浩
17 番 高 瀬 勝 助
18 番 冨 安 民 浩
19 番 和 田 正 一
20 番 阪 部 菊 雄
21 番 平 越 孝 哉
22 番 大 江 康 弘
23 番 岸 本 光 造
24 番 山 本 一
25 番 吉 井 和 視
26 番 浜 田 真 輔
27 番 堀 本 隆 男
28 番 宇治田 栄 蔵
29 番 富 田 豊
30 番 中 村 利 男
31 番 馬 頭 哲 弥
32 番 宗 正 彦
33 番 鶴 田 至 弘
34 番 上 野 哲 弘
35 番 村 岡 キミ子
36 番 松 本 貞 次
37 番 木 下 義 夫
38 番 和 田 正 人
39 番 中 西 雄 幸
40 番 橋 本 進
41 番 野見山 海
42 番 森 正 樹
43 番 浜 本 収
44 番 新 田 和 弘
45 番 浜 口 矩 一
46 番 森 本 明 雄
47 番 山 崎 幹 雄
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
知 事 仮 谷 志 良
副知事 西 口 勇
出納長 梅 田 善 彦
知事公室長 市 川 龍 雄
総務部長 山 中 昭 栄
企画部長 川 端 秀 和
民生部長 吉 井 清 純
保健環境部長 遠 藤 明
商工労働部長 中 西 伸 雄
農林水産部長 若 林 弘 澄
土木部長 磯 村 幹 夫
企業局長 高 瀬 芳 彦
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員長
上 野 寛
教育長 西 川 時千代
以下教育次長
公安委員会委員長
西 本 貫 一
警察本部長 西 村 浩 司
以下各部長
人事委員会委員長
寒 川 定 男
人事委員会事務局長
代表監査委員 宮 本 政 昭
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長
稲 住 義 之
選挙管理委員会書記長
地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 倉 本 辰 美
次 長 中 村 彰
議事課長 中 西 俊 二
議事課副課長 松 田 捷 穂
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主事 古 井 美 次
議事課主事 松 本 浩 典
総務課長 田 上 貞 夫
調査課長 大 畑 巌
(速記担当者)
議事課主査 吉 川 欽 二
議事課速記技師 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時四分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(山本 一君) 日程第一、議案第八十四号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
36番松本貞次君。
〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
まず、同和行政について質問いたします。
和歌山県は、部落問題について、戦後、国に先駆け、昭和二十三年から今日まで同和対策を県政の重点施策として取り組んできました。同和対策事業特別措置法が制定施行されてからはや二十三年を迎える中、本年は地対財特法の最終年度であるとともに、今後の部落解放に当たって大きな節目の時期であります。
そこで、少し歴史をさかのぼって考えてみたいと思います。
昭和三十三年に「部落差別をなくせ」という同和地区住民の切実な願いを込めた部落解放国策樹立要請全国会議が開催され、国策樹立請願大行進などに代表される果敢な運動によって昭和三十五年には同和対策審議会設置法案が可決され、その後、五年の歳月を経た審議の中で、昭和四十年に同和対策審議会の答申が出されたわけであります。我々の要求する国策としての同和対策を総合的に実施するための根拠となる法的措置を必要とするとの結論を得た結果、昭和四十四年の同和対策事業特別措置法として実を結び、抜本的な部落問題解決のための制度的保障が与えられたのであります。
本県においても、昭和二十七年に発生した某県会議員の差別発言の教訓により、国に先駆けて県政の重点施策として取り組んできた同和対策が全国の部落解放運動の注目を浴びてきたところであります。このような状況の中で、今日まで多くの人々の努力によって本県の部落差別の実態は一定の改善、整備がなされてきました。住環境の状況では、道路、上下水道等の生活基盤や住宅などが改善整備され、高校進学率や若年層の就労実態も、二十年前と比較すれば相当高まってきました。また、県民の部落問題に取り組む姿勢も、人権の大切さを自覚し、国民的課題として定着しつつあります。しかしながら、部落問題の解決という目標から現在の部落差別の実態を直視したとき、残された課題は少なくありません。
例えば、最も進んでいると言われる生活環境整備についても、さきの県同和対策協議会報告書においてさえ、平成四年度以降の法期限後に二百四十五億円の物的残事業──私の調査では四百五十億円の残事業──さらに、政令事業にない河川の改修、昭和四十四年以前に建設した老朽化した狭小住宅の建てかえ、今日まで同和地区住民のよりどころとなってきた隣保館を初めとする施設の維持管理等々、部落を解放するための必要事業では、県内すべての市町村を合わせると二千億円相当あるといった実態にあります。
また就労実態を見ても、若年層の常用雇用者は増加しつつあるとはいうものの、最も生活費のかかる中高年齢者に不安定就労者が多く、県平均と比較しても六・四%も高い実態にあるなど、多くの課題を残しています。さらに高校進学の状況は、四%から七%台の格差があります。入学率ではなく中退率の急増など卒業率で比較すれば一○%を超す格差があると考えられ、大学進学率についてはまだ全国平均の半分程度という状況であります。
一方、差別事件の状況を見ても、結婚等にかかわった差別事件は後を絶ちませんし、教育現場における差別事件も多発しています。さらに、各界のトップ層や公務員の差別事件、悪質な差別落書きや差別投書などが続発している実態であります。
以上のように、住環境面の改善整備が進んできた部落においても、生活、教育、労働などソフト面で多くの課題が残されているのであります。このことは、さきに開催された県内すべての市町村長、議会議長参加による県独自の東京大会でも議論の集中するところとなり、引き続き法的根拠を要望するに至っているのであります。
そこで、知事にお伺いいたします。
地対財特法の法期限後の法的措置について、本県としてどのように考えておられるのか、さらに七月十二日に開催される全日本同和対策協議会にどのような姿勢で臨んでいかれるのか、まず所見をお聞きしたいのであります。
次に、現在、国の地対協では法期限後の対応策について審議されているところであり、政府では、現行の地対財特法が一般対策への移行を円滑に進めるための最終の特別法であり、したがって平成四年度以降の法的措置はないかのような厚い壁をもって臨んでいるように聞き及んでいます。知事の委員としての立場は申すまでもなく、同和行政に真剣に取り組んでいる地方自治体の代表としての委員であり、その果たす役割は重大であります。知事は地対協の中で今後どのような働きをするのか、その決意をお聞かせいただきたいのであります。
次に、農業政策における活性化の促進についてお伺いをいたします。
県政百余年の歴史とともに、和歌山と言えばミカン──ミカン立県として名実ともに一大繁栄をもたらした黄金時代を思い浮かべると、現在のかんきつ産業が余りにも格差があるように思えてなりません。二十世紀前半の高度成長、二十世紀後半の全国のミカン過剰生産、それにオレンジ自由化の二重パンチ等々、先人、先輩の築き上げてきた農業立県としての価値観が希薄となり、今日の農産物の収益高においても全国中堅クラスから、現在はワーストスリーに近い減収となっていると聞きます。では、一体なぜそのような状況となったのかを考えるとき、もちろん生産者自己の反省も促すとともに、県行政の農業に対する指導面と対応面の甘さが大と考えます。
そこで、政策における今後の活性をいかに促進すべきかを一、二点お伺いいたします。
まず、一九八九年の和歌山県農協中央会の新年放談をまとめると、一、オレンジの自由化に対応でき得る対策の肝要性、一、産地間の適地適作の合理化、一、オレンジの逆輸出向けの検討、以上を骨子とした談話であったと思います。県としてこの対応について県農協とどう話し合われたのか、お聞かせを願いたい。
また、かつて故玉置総務長官が就任された直後、農協は営利に傾き過ぎると全国各農協に対して注意勧告を行ったことが記憶に新しいが、その後、農協の体質に変化があるのか否か。今まさにその時期が到来したと言わざるを得ない。真に農民のための農協、農業立県としての農協の指導と対応が今こそ必要と考えるが、本県の考えを示されたい。
次に、農業政策促進の条件についてお伺いいたします。
まず本県の農業政策について、農産物の生産が県の主要産業として政策面に位置するか否かをお聞きしたい。
全国のかんきつ生産県の農協組織への対応と本県の農協組織に対する対応の仕方が違っていると思われるが、いかがか。
農産物の生産性を高めるためには消費者本位の生産を基本とした指導を行うべきで、農家本位の生産向上は消費者に見放されるということを厳しく受けとめて指導すべきと思うが、どうか。
なぜ私がこのようなことを言うかというと、前段の県農専務の放談の中にあった適地適作の合理化について徹底した指導がなされていないように思うからであります。
農産物の栽培には三つの条件が必要であります。土質、気温、雨量によってそれぞれの栽培品種が異なることが至極当然であるはずが、現実に実行できていないのが問題であります。その結果、商品価値のない果実を消費者に供給し不評を買う。凍害品、浮き皮、す上がりという、それであります。全県下のかんきつ分布図(オレンジマップ)に基づく実行力が全く発揮されていない要因はどこにあるのか。適地適作という限りは産地の立地条件である三原則を生かした栽培方法を徹底して指導すべきであると考えるが、本県の農業政策の所見を示されたい。
また、和歌山県における三宝柑は、全国に類のない上品な味と珍しい形をしたかんきつであります。
百七十三年前の一八一八年に、徳川家の藩士・野中為之助氏が自宅の庭に植えて育てていたものを、当時の藩主・徳川治寛侯に献上したところ、その上品な味と珍しい形をすごく愛され、城内で栽培されていたが、当時の徳川家の重臣であった大江竜眠氏が城内の三宝柑の苗木を自宅でふやし、たまたま大江氏の親友で当時の栖原村長であった千川安松氏が譲り受け、栽培を始めたのが栖原三宝柑の歴史であります。
三宝柑の名称は、最初、殿様に献上した際、三方に載せて献上したとき形が宝珠に似ているため三宝柑として伝えられています。「三宝」とは、仏教では非常に意義深く、また吉祥の名であると伝えられています。現在でも、北陸地方では祝い事には欠かせない果物と重宝がられているところもあります。まさに、適地適作、歴史と伝統を守る今日のマル栖組合員の努力は大であります。
このように歴史ある三宝柑を育て守る努力は並み大抵ではありません。他のかんきつと違い多くの難点もあります。県行政としてこのような特産品には特別の農業政策を講じるべきと考えるが、どうか。
以上をもって、質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 松本貞次議員にお答え申し上げます。
同和行政について、地対財特法の法期限後の法的措置の問題でございます。
松本議員お話しのように、本県の同和問題の現状は、生活環境の改善整備や教育啓発についても相当な進展が見られてきたところでございます。しかしなお、ご指摘のような課題が残されているのも事実でございます。県の同和対策協議会としても、法期限後の本県の対応策について検討してきた結果、同和問題の解決は国の政治的課題として位置づける中で、総合的な施策を推進するため引き続き法的措置を講じられるよう国に対して強く要望していく必要があるとの結論に立ち至ったわけでございます。
現行法は一般対策へ円滑な移行をする最終の特別法であるという政府の厳しい見解があるわけでございますけれども、本県としては去る六月十九日、政府陳情集会を東京で開催して、県議会、市町村ともども強く要請してきたところでございますし、今後も引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。
また、全日本同和対策協議会の全国大会についてでございます。
来る七月十二日に東京で全国大会が開催されますが、これは法的措置の実現と平成四年度以降の同和対策関係政府予算の確保を強く要望するために都府県、市町村長が参加して行われるものでございます。本県においても、県と関係市町村長が参加して政府並びに国会に対して法的措置を強く訴えてまいります。
それから、地対協委員としての知事の役割というか決意でございます。
国に設置されておる地域改善対策協議会は、同和関係施策のあり方についての政府に対する意見具申など重要な役割を持っており、私も当協議会の委員として参画しているところでございます。当協議会では、どのようにして特別対策を一般対策に円滑に移行するかについて検討を進めておりまして、現在、法失効後の同和対策についてさまざまな意見が出され、慎重な検討がなされているところでございます。
現在の地対財特法が四年前にできたわけでございますけれども、その前年の十二月の初めごろに協議会の本答申が出されました。しかしまた、八月の予算の大蔵省の締め切りに合わせて中間答申が必要でございます。この中間答申においてどのようにするかについて、先ほど申し上げた県の態度をもって和歌山県の実情を訴え、そしてまた今後の対策を訴えて意見を開陳し、積極的に協議会を進めていくように努力してまいる所存でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
まず最初に、農業政策における活性化の促進についての県農協中央会への指導と対応についてであります。
平成元年の農協中央会の新年放談については、昭和六十三年六月、日米間で決着を見たオレンジ、果汁等の輸入自由化に対する農業団体としての対応策を述べたものと聞き及んでございます。この対策については、農業情勢の厳しさを踏まえ、自由化後の産地のあり方について農業団体と話し合う中で、全国みかん生産府県知事会議とともに県議会の格別のお力添えをいただき、政府に強く働きかけてまいったところでございます。その結果、国はかんきつ園地再編対策を初め輸出対策など五項目から成る国内対策骨子の実施に踏み切ったものであります。
この対策の実施に当たっては、農業団体、関係機関の合意と指導体制の一元化を図りながら、消費者ニーズに見合った高品質果実の生産とかんきつ産地の再編整備に取り組んでまいったところでございます。その結果、全国的にも転換目標面積がほぼ達成されたところであり、本県でも温州ミカン、中晩柑を含めて二千九百七十五ヘクタールとなってございます。また輸出振興では、従来のカナダ輸出に加えて、平成二年度からは桃山町農協においてもアメリカ向けのミカン輸出を実施しているところでございます。今後とも、厳しい状況を踏まえ、引き続き適地適作を基本に総合的な生産、流通指導を図ってまいる必要があると考えてございます。
次に、農業立県としての農協の指導と対応についてであります。
県といたしましても、組合員の意向が農協の事業運営に十分反映される組織体制づくり、農家経営を主眼とした営農指導体制の確立、消費者ニーズの変化や市場動向に沿った販売の推進等について指導に努めているところでございます。
農協組織においても、昭和六十三年に「二十一世紀を展望する和歌山県農協の基本戦略」を策定し、健康と安全、高品質、高技術を基本に地域の特性を生かした生産、販売体制の確立と学識経験者等の理事、監事への登用、さらには県農協連における営農対策室の新たな設置など、運営体制の改善について鋭意努力がなされているところでございます。議員お話しのように、農業経営が多様化する中で、農家から信頼される農協の確立を目指し、なお一層積極的に取り組むよう指導してまいる所存でございます。
次に、オレンジマップの発揮と農業政策についての所見でございます。
農業など第一次産業は地域経済の活力の維持、発展に大きな役割を果たしていることから、その振興については県政推進上、極めて重要な施策であると認識してございます。このようなことから、市町村はもとより農協など生産者団体と連携を図りながら、消費者ニーズに見合った生産、流通の推進を基本に濃密的な取り組みを行っているところであります。
昭和五十八年から生産販売に取り組んできた味一ミカンは、関係方面の評価が高い一方、厳しい品質基準や夏から秋にかけての気象条件に左右されることもあって出荷量が不安定な面もございますので、議員お話しのとおり、適地条件に見合った徹底した生産指導が必要なものと考えてございます。
そのため、産地条件を科学的に把握し、味一ミカンの生産拡大に資するため、有田地域を対象に昨年度完成したオレンジマップの積極的な啓発はもとより、この活用の推進を初め、技術指導面においても農業団体、試験研究、普及、行政で構成する農林水産技術会議の果樹部会や味一ミカン専門委員会において検討協議し、指導の一元化とその推進に努めているところでございます。さらに、本年はご案内のとおり、去る六月二十五日、有田市で開催された第三回味一ミカンサミット会議においても、マルチ栽培の推進や密植園の間伐、品種更新等、味一ミカンの生産拡大に向けて積極的に取り組むことを確認し合ったところでございます。
最後に、三宝柑など特産品の生産振興についてであります。
昨今の消費者ニーズの多様化、高度化に伴い、個性豊かな地域的な特産品が見直されてございます。このような中で、地域特産果樹について、将来の消費動向の的確な見通しと地域の自然条件に見合った生産振興を図っていくことが重要であると考えてございます。
議員お話しの湯浅町の三宝柑は、地域の特性を最大限に生かした貴重な特産品であると考えてございまして、湯浅町に導入されて以来、今日まで百十余年の伝統を守り続けてこられた生産者の皆さんのご努力を高く評価しているところでございます。
県では、こうした地域特産果樹の振興を図るため、今までも樹園地農道の設置や老木園の改植更新等の生産対策に加え、集出荷施設の整備にも取り組んでまいったところであります。今後とも、果実消費の多様化や国際化に対応して、こうした地域特産果樹の振興のため、生産対策はもとより選果場等、流通施設整備についても検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山本 一君) 以上で、松本貞次君の質問が終了いたしました。
○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
35番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 通告に従い、お尋ねしてまいります。
初めに、ゴルフ場を中心とした開発問題について伺います。
今、ゴルフ場問題が全国各地で大きな問題になっています。ゴルフ場の乱開発をこのまま放置しておくなら、自然破壊はますます進み、ゴルフ場周辺の住民の暮らしは一層危険にさらされることになります。したがって、美しい自然を守るためにも、健全なゴルフの発展のためにも、これ以上事態を放置しておくことはできないと思うのであります。
そもそも、このゴルフ場ブームは、四年前に成立したリゾート法にあると言わなければなりません。リゾート法の最大の目的は、出発点から大企業の開発計画が前提条件につくられ、その開発計画を推進、促進させるために、国、自治体が住民の願いや不安は後回しにしながらも、あらゆる支援策を義務化され、まさに大企業の利潤追求の奉仕者としての自治体であることが徹頭徹尾貫かれているのであります。中でも、ゴルフ場、スキー場、マリーナ、テニスコートはリゾートの三種の神器とも言われ、ホテルとともに最初に手がけられるばかりでなく、すべてのリゾート構想の中心に置かれているのが特徴でもあります。
建設省の担当者いわく、「ゴルフ場、スキー場、ホテルなどは企業の採算から言っても資金回収するのが容易であり、リゾート法がゴルフ場整備法と言われるゆえんでもあります」と語っているとおり、開発業者の執拗なまでのゴルフ場開発にかけるねらいが、ここにはっきりとあらわれているのではないでしょうか。
私は先日、リゾート法に基づく指定第一号となった三重県のサンベルトゾーン構想を視察してまいりました。
新宮市に近い御浜町では、「この地にハワイをつくるんだ」と言って企業に作成してもらった計画書をうのみにして大失敗、第三セクター方式の観光センターの膨大な赤字がかさみ、町の財政はパンク状態になっています。早く見切りをつければ被害も最小限に防げたにもかかわらず、県がリゾート法第一号指定のメンツにかけてもつぶせないという全く住民無視の姿勢で、矛盾がますます広がっているのです。
また大王町では、投機目的のリゾートマンションの乱立で土地が食い荒らされ、売れてはいるものの人が住まず、ゴーストタウン化さながらの状況になっていましたし、磯部町では、近鉄や西武などの大企業が土地の買い占めを古くから行っており、ゴルフ場や大規模なリゾート施設の計画が軒並み打ち出され、町はこれらに付随した公共施設の整備などで膨大な予算がとられ、耐えがたい住民負担にはね返っていることがよくわかりました。
また、開発に伴って海の汚染が進み、ノリ、カキ、真珠業者に大きな被害を与えているのも現実です。私は、大企業のもうけのために三重県の貴重な海、山などの自然が破壊され、食い荒らされている状況をこの和歌山で繰り返してはならない、そんな決意を持って、きょうここに立っております。
さて本県においては、燦黒潮リゾート構想が国の承認を受け、その具体的実現のため努力が行われているところと思いますが、この燦黒潮リゾート構想の進捗状況を具体的に企画部長からお聞かせ願います。
続いて、土木部長にお尋ねをいたします。
この数年間、宅地造成を初め、大小さまざまな開発が進められているところでございます。とりわけ目覚ましいのは、和歌山市北西部に位置する和泉山脈の開発計画であります。その規模も広大であり、今までになかったほどの大規模であることも聞いています。開発も、住宅、マンションばかりではなくゴルフ場も含まれているのです。既に十三にも及ぶ開発申請が行われているやに聞いています。わずかに残された緑と自然を残してほしい、これ以上の開発が進むならば、浸水被害、交通渋滞、二次災害などにより直下に生活する住民の生活が危ない、ましてやゴルフ場開発は絶対反対と、住民運動も広がり始めております。
こうした現状の上に立って、紀泉南丘陵都市整備構想の計画なるものがあると聞きましたので、その内容を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
次に、本県もゴルフ場開発計画は一時期に比べて少なくなったとはいえ、今なお申請が続いておりますが、その現状についても詳しくお聞かせ願います。
ゴルフ場は、歴史的に見れば、雑草の生えた自然の中での遊びとして行われてきた健全なスポーツでありますが、今日のように広大な人工芝生をつくるため、森林を削り、農地をつぶし、先祖代々守り育てた土地を金で奪い、大規模な自然を破壊して丸裸になったところに芝生維持のため大量の農薬、肥料が使われます。ゴルフ場開発は、水源の多い地帯や河川敷がねらわれ、そのため水源の消滅や農薬による汚染が起こるのはもちろんこと、地形の変わったことによって地すべり、がけ崩れの災害、飲料水の汚染など、生活や生命を脅かす重大な問題が周辺住民の不安を増大させているのであります。さらに、ゴルフ場で働くキャディーやゴルフを楽しむゴルファー自身の健康被害を生み出しているようなスポーツが果たして健全であり続けるか、私は大変危惧するものであります。
ところで、県下あちこちでゴルフ場建設計画をめぐって地域住民の反対運動が活発化しております。このことは、連日の新聞やマスコミの報道でご存じのことと思います。私の知る限りでも、この和歌山県下においても十数カ所で運動が起こって、そのうちの十カ所に上る地域が、住民の運動で白紙撤回あるいは一時中止に追い込まれています。こうした運動は、町づくり、村づくりの根幹にかかわる問題でもありますが、何よりもその地域に生活する住民が主人公であることを無視した企業の利潤追求のための開発に対する厳しい住民の審判にほかなりません。
そこで、関係部長にお尋ねをいたします。こうした住民の反対運動はどうして起こるのでしょうか。
さて、ゴルフ場建設工事も最終段階に入り、この十一月オープンに向かっている上富田町岩崎地区に開設する朝日ゴルフクラブに係る造成工事中のダイナマイト爆破被害についてお尋ねをいたします。
火薬類取締法の手続に従い、爆薬量四十一万一千キログラムを平成元年二月二十日から平成二年十一月三日までの一年九カ月余りにわたって、一日二回の爆破工事が行われました。工事現場から至近距離である二百メートルから三百五十メートルのところには別荘を含む約三百戸の南紀の台団地があり、この団地の被害について伺います。私自身も二回にわたって現地を見、被害住民の方々のお話も聞き、同時に被害場所も見てまいりました。
新築五年目のAさんは、工事現場が家の座敷からいつでも見える距離にあります。平成元年、工事開始当初から爆破の音は大きく、居間に座ってテレビを見ていると体が揺れ、テレビの映りもだんだん悪くなった。台所や廊下のガラスがばりばりと音を立てて、割れるのではないかと大変心配したそうです。早速、町役場を通して発破の音を小さくしてほしいと再三申し入れましたが、一向に改善は見られませんでした。工事期間中、玄関の扉の修理を四回行い、いまだにすき間が四・五ミリのままです。ふすま等の建具にすき間十一ミリができるほど被害を受けています。
定年退職して夫婦で東京から転居されたBさんは、新築後一年三カ月、工事現場から約三百五十メートルの距離で、当初は大変地震の多いところなのかなと思ったそうです。びっくりして外に飛び出したことも数回あったそうです。室内に座っていると体が揺れる、テレビの映りが悪くなる、障子やガラスががたがた揺れる。この方も、建具のぐあいが非常に悪くなっている状況にあります。
ダイナマイト工事に最も近い家屋では、二階の一室が完全に傾き、その部屋に十分間と立っていられないほどのひどさのところもあります。また、家屋の基礎工事のコンクリートまで数カ所ひび割れが入っている住宅もあります。
このような状況のもとで、これまで町役場を通して改善を求めたにもかかわらず、何ら事業主からの改善はなかったようです。しかも、この南紀の台団地は開発工事における周辺住民の同意を得る範囲からは除外地域となっているため、計画等についての十分な説明もなされていないという経過もあります。ですから、なおさら被害の深刻さがあることはおわかりいただけたと思うのです。大規模開発許可に際して、周辺住民に被害、災害を及ぼさないことが重要であると考えるのであります。
そこで、四点についてお尋ねをいたします。
第一点、周辺住民の同意に必要な範囲に問題はなかったのかどうか、第二点、ダイナマイト工事開始及び工事中における周辺住民に対する事業者及び行政の対応はどうだったのか、第三点、こうした被害の把握はどのようにされているのか、第四点、被害の実態調査とその原因究明のため企業及び町に指導をすべきと思うのでありますが、それぞれの関係部長からお答えいただきたいと思います。
次に、湯浅町の山田山ゴルフ場開発計画に関する住民合意についてお伺いをいたします。
経過については省略をいたしまして、企業はゴルフ場開発許可申請に際し地区住民同意書を提出しましたが、この同意書が地区住民に相談することなく個人の意思で作成されたもので無効であると、去る六月二十八日付で山田区長と山田区協議員一同名で七月一日、県知事に提出をされました。このことは、開発に反対する地区住民の七○%に及ぶ反対署名が既に知事に提出されていることからも明らかであります。
湯浅町長は、何としても開発許可を得るために、知事に対し去る六月二十日、条件つき開発許可とも言える文書を提出しておられます。その内容は、「当該ゴルフ場をめぐって現在生じている下記事項について、町として責任を持って対処してまいります」と前置きしながら「現在、山田地区を中心にして起こっている住民の同意問題については最も重要視することであり、町としても今後、責任を持って山田地区住民の総意による合意を得るようにいたします」と、明らかに地区住民の合意に至っていないことをみずから認めていることを知りながら、県は六月二十四日、開発許可を行いました。住民同意についての見解を明快にお答えいただきたいと思います。
次に、住友金属西防波堤の埋立地の用途変更の動きについて質問をいたします。
この問題は、今議会で何名かの皆さんが既に質問をされていらっしゃいますので重複する点があろうかと思いますが、ご容赦願いたいと思います。
去る五月二十七日、旅田和歌山市長は、住友金属の代表とともに記者会見し、住友金属が現在進めている埋立事業の用途変更を行い、その一部に関西電力のLNG火力発電所などを誘致する意向を発表されました。今度の住金埋立地の用途変更の理由は、「工場、設備の移転をしなくても環境改善目標を今後とも守れるという確実な見通しができたので、この埋立地をより高度に利用していくことを検討したい」という申し入れが住友金属より和歌山市にあり、市として埋立予定地にLNG火力発電所を誘致することにしたというものであります。
この発表の直後に、日本共産党和歌山県委員会と私ども県議団は、知事に対して「公有水面の埋立目的の一方的変更と安全と公害で大きな問題のあるLNG火電建設につながる土地利用計画の変更を認めないでほしい」との申し入れを行いました。
そもそも住友金属和歌山製鉄所の公有水面埋立免許申請の理由は、同所の公害発生源工場、設備を沖出しし、地域住民の快適な生活環境をつくるためということにあったわけであります。その当時、住友金属は盛んにそのことを宣伝しましたし、また住民もある程度期待を寄せてまいりました。それを、今になって住民の意向を無視した形でこのような一方的な発表を行うことは断じて許せません。また今回の発表にあるLNGについては、和歌山市は「無色無臭のクリーンな液体燃料で、現在、家庭で都市ガスとして使われていますから安全」と報じたり、関西電力は、大阪府へのLNG発電所建設の際、LNGの安全性について「空気よりも軽いので、もし漏れても拡散し爆発する危険性がない」などと宣伝しておりますが、実態は決してそうではありません。
専門家の話によりますと、メタンを主成分としたLNGは、タンク内ではマイナス百六十一・五度に冷却されて貯蔵されており、マイナス百十三度以上の場合は空気より軽いが、それ以下では空気より重く、空気の中に漏れると地をはうように拡散し、大気中五%から一五%の容量で爆発する危険性があるとされています。さらに、安全工学協会が発行した「低温液化ガス火災消火実験報告書」によりますと、「LNGは容易に着火し激しく燃焼する。火災の際は、近寄りがたく消火しがたい。実際に消火を行ってみて、これがいずれも消火困難であることを認識、消火剤も大規模になると難しいことがわかった」という結論を出しているのであります。ですから、LNG火力発電所は安全性の面では未確立と言えますし、ましてや今回のような都市部での設置計画は無謀としか言いようがありません。
そこで、知事にお伺いいたします。
この埋立地の用途変更は突如として出されてきたように見えますが、水面下ではかなり具体的に進められていたのではないかと思われます。この埋立地の用途変更問題について、いつごろからこの動きを把握されていたのか、またこの動きに対する埋立免許庁としての見解をどのようにお持ちなのか、お伺いいたします。
また土木部長にも、この西防波堤沖の公有水面埋め立ての許可に至った経緯と目的についてお答え願います。
さらに、知事が新聞報道や一昨日の答弁で述べられている「遺憾」の意味は、今回の利用目的の変更の動きは住友が果たさなければならない企業の社会的責任を放棄したものとしてその責任は大きいという意味で述べられたと私は解釈しておりますが、そのように受けとめてもよろしいでしょうか。
住友金属や和歌山市長は、今回の用途変更の動きにかかわって、まるで住友の公害が現状で解消したかのような発言を行っておりますが、松江、木ノ本、湊地区などでは季節や風向きなどによって依然としてばいじんや悪臭などによる被害が続いているのです。
六月十六日の朝日新聞の報道によりましても、住金側は環境改善目標をクリアしたようなことを言っているが、現実に降下ばいじん、臭気などの公害はあるんだ、まだ洗濯物が時々ばいじんで汚れるなどの被害は出ており、周辺住民は体感的には公害があると感じているのであります。現時点で住民に対する公害問題は完全に解決されたと受けとめておられるのかどうか、保健環境部長に答弁をお願いいたします。
最後に、政府・自民党が導入を強行しようとしている小選挙区制度の問題についてお尋ねをいたします。
政府・自民党は、六月二十九日に開いた総務会で、衆議院への小選挙区制導入を柱とする政治改革関連三法案と小選挙区制区割り案について、党内の反対派の声を無視して党議決定をされました。これによって、自民党内でも一方的な党議決定の強行について、反対派を中心に西岡総務会長の辞任要求などで混乱しているありさまであります。
また、六月二十六日放映されたNHKスペシャル「連続討論・政治改革 第一回・自民党はどう変わるか」では、自民党議員へのアンケート調査の結果が紹介されておりました。そのアンケートでは、小選挙区制導入で「選挙に金がかかるのが改善されるか」との問いに対し、三九%の方が「改善されない」と回答され、「改善される」の三六%を上回っているのであります。また「派閥はなくなるか」の問いに、五五%が「なくならない」と答えています。自民党内でさえ意見の分かれるこの小選挙区制度というのは、自民党にとっては四割台の得票で八割の議席を独占してしまうという自民党の一党独裁政治を許す、とんでもない選挙制度ではないでしょうか。
我が党の試算では、小選挙区比例代表並立制のうち小選挙区部分、これは三百の議席を選ぶわけですが、過去三回の選挙実績から換算しますと自民党が九七%の二百九十一議席を選出することになり、ここでもさらに議席を上積みして四百七十一議席中三百五十九議席で全体の七六%の議席を獲得し、これで文字どおり自民党独裁体制が可能になり、どんな法案も通してしまうことが可能になります。さらに、この小選挙区制度の導入によって全国で議席に結びつかない票、いわゆる死票が五二%に上ることも明らかになってまいりました。これでは、多くの国民の声が国会に反映されなくなってしまいます。
イタリアでは戦前、小選挙区制をとっており、それが独裁、ファシズムにつながっていったと言われていますし、イギリスでは現在でも小選挙区制度をとっていますが、一九八七年の総選挙の結果を見ますと、保守党が四三%の得票で五八%の議席を占め、逆に自由社民連合は二三%の得票を得ながら、わずか四%の議席しか獲得できていません。また、得票率の低い政党が政権を獲得するなどの奇妙な現象も起こっており、比例代表制の導入運動が起こっているとも言われています。
私ども日本共産党は、衆議院定数抜本是正のため具体的提案を行い、その内容は一、定数是正に当たっては各選挙区間の定数格差を少なくとも一対二未満に抑えること、二、一人、二人、六人区を解消し、中選挙区制、定数三から五人を維持すること、三、国勢調査に基づく定数是正の実施を国会と政府に義務づけること、以上の三つを定数是正の基本原則として公職選挙法本部に明記することを提案しています。多くの欠陥を持った小選挙区制度の導入は絶対許されないと考えますが、政治家としての知事はこの問題をどうとらえておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
西防波堤埋立地の利用計画でございます。
このたびの公表は、和歌山市と住友金属が西防埋立地の土地利用計画の見直し検討をしたいというものでございます。いつごろかと言われますが、本年五月、県に対しそれぞれ話がございました。これに対して県は、免許庁として今後、計画変更の申請があれば、その内容について公有水面埋立法に基づく審査を行い、判断するものと考えておるところでございます。
なお、住友金属に対し「遺憾なことである」と言ったことについてでございますけれども、これは住友金属の土地利用計画の見直しに対する私の気持ちを率直に言ったものでございます。
それから、小選挙区制の導入についてでございます。
政治改革に対する国民の期待が非常に大きい今、選挙制度の改革は重要な問題であると考えております。
いずれにいたしましても、選挙制度の問題は議会制民主主義の根幹にかかわる重要な問題でございまして、広く議論がなされた上で国民が納得し、民意が十分に反映される制度が選択されることを望んでおる次第でございます。
○議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、燦黒潮リゾート構想の進捗状況についてお答えを申し上げます。
燦黒潮リゾート構想は、昨年十二月十九日に国の承認を受けたところでございますが、各重点整備地区ごとに地域に根差したリゾート整備を推進するため、農林水産業、観光業の代表者や地元住民等で構成する構想推進協議会を設置して、地域産業の参画、特色のあるリゾート整備のあり方等についての調査研究やパンフレットの作成などの事業を実施しているところでございます。
また本年の三月二十五日には、この構想への理解と協力をいただくために、紀南文化会館においてリゾート整備による町づくりをテーマとするフォーラムを開催したところでございます。さらに、構想に位置づけている特定民間施設の整備状況については、勝浦、太地地区において石垣栄太郎画伯を記念する美術館がことしの六月にオープンしたところでございます。工事中の主なものといたしましては、和歌山マリーナシティや東急南紀田辺リゾート計画などがございます。その他、数多くのプロジェクトについても、開発事前協議や用地買収など開発準備作業中でございます。
構想はおおむね十年間の計画でございまして、地元市町村と連携しながら、より質の高い個性あるリゾート地の形成を目指し、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に、ゴルフ場計画の現状と反対運動等についてでございます。
県下のゴルフ場の状況は、既存二十カ所、開発許可済み六カ所(うち工事中四カ所)、開発許可の事前協議中十九カ所、事前協議準備中四カ所となってございます。
県といたしまして、ゴルフ場開発は雇用対策、産業振興、税収等の面から地域振興策の一つと位置づけ、昭和六十三年十二月一日より定めているゴルフ場等開発計画に関する取扱により、過疎、同和、観光リゾート対策、その他特に地域振興に寄与するものと認められ、地元市町村の意見書並びに地域を代表する方々からの同意書が添付されているものに限って届け出書の受理を行っているところでございます。
ゴルフ場の反対運動の主な理由としては、自然環境問題や防災面の問題が多いと聞いてございます。こうしたゴルフ場開発に伴う自然環境の保全、災害防止対策、農薬汚染問題等については、開発許可に伴う審査の中で各個別法によりチェックし、対応しているところでございます。
以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
まず、紀泉南丘陵都市整備構想を作成するための調査についてでございます。
和歌山市北部の交通量の増加に伴い、本地区の交通体系の整備が課題となっており、また関西国際空港建設の進展及び大都市域の宅地需要の増加に伴い、当紀泉南丘陵周辺の開発のポテンシャルが高まっております。
本調査は、こうした背景をもとに和歌山市北部地域の都市整備のあり方を検討しようとするもので、既存の大規模開発計画や上位計画等と地域の土地条件との整合性を検討し、既成市街地を含む当地域の交通体系等の整備構想を作成するものであります。本調査は、平成三年度、四年度の二カ年調査を予定し、平成三年度は六百万円の調査費で国、県、市それぞれ三分の一の負担を予定しております。
なお、上位計画の一つである燦黒潮リゾート構想では、当地域は重点整備地区とされております。
次に、西防波堤沖埋立地の許可の経緯と目的についてでございます。
住友金属の西防波堤沖埋立計画は、一部設備の埋立地への移転と移転跡地での環境改善及び公共廃棄物、自社産業廃棄物の最終処分先の確保を目的としたもので、昭和五十三年八月埋立免許申請があり、同五十五年六月許可いたしました。また昭和六十一年七月、住友金属から粗鋼減産及び廃棄物再利用率の向上に伴う自社廃棄物の減少、並びに公共廃棄物の減少により埋立工程がおくれ、竣功期間の伸長申請がございましたが、免許庁として厳正な申請を行い、同年八月許可いたしました。
以上でございます。
○議長(山本 一君) 総務部長山中昭栄君。
〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 上富田町におけるゴルフ場の造成工事に係る問題についてでございます。
まず火薬類の使用に対しては、火薬類取締法による規制のほか、特に保安確保のために一定の距離内に所在をする住居等の所有者に対し、事業者が同意書をとって火薬の消費許可申請時にそれを添付するように指導をしております。
村岡議員ご指摘の事業については、工事開始時において事業者が当該町内会長を通じ、発破作業開始のビラを回覧いたしております。また、工事期間中は火薬の消費現場から最も近い住居を中心に十九回の振動測定を実施いたしております。
さらに、振動に対する住民からの苦情に対して、上富田町を含めて、町内会長を通じて振動計測結果を説明するとともに、クラック等の事象が発生した家屋の被害調査を実施いたしまして、その結果、二十七世帯に対する補償交渉を行っております。現在、このうち二十四世帯が解決を見ております。
これらの原因については、工事中に使用した重機械の振動によるものか、あるいはこの地域が埋め立てて宅地造成を行ったものであることによる基礎地盤に原因があるものなのか、さらに火薬類の使用に起因するものか、にわかには判断しがたいと考えております。
いずれもにいたしましても、今後とも火薬類の使用、その他の取り扱いにおける安全確保のために、火薬類取締法に基づく消費許可に当たっては適正な事業者指導に努めてまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 農林水産部長若林弘澄君。
〔若林弘澄君、登壇〕
○農林水産部長(若林弘澄君) お答えいたします。
まず最初に、上富田町の朝日ゴルフクラブの造成工事に係る問題で、住民合意の必要な範囲についてでございます。
議員もご承知のことと存じますが、農林水産部が所管する森林法における林地開発許可に係る住民合意の範囲は、開発地のある地区及び災害の防止等の影響を受けると思われる下流地区としております。今後の開発許可に当たっては、適正な業者指導に十分配意をしてまいります。
次は、山田山ゴルフ場に関する住民合意についてのご質問でございます。
住民合意の位置づけについては、開発による周辺住民への影響を考えると大変重要なものであり、開発に当たっては地区住民の同意をとることとしております。また住民合意の基本については、住民が開発の内容を十分理解し、コンセンサスを得ることとしております。
なお、山田山ゴルフ場に関する住民合意については、去る六月七日に反対されている方々がお見えになったときに、山田区長が同意する際、地区住民に相談がなかった旨の申し出がありましたので早速調査したところ、昭和六十一年ごろに山田地区を初め地元関係者による山田山対策委員会が設置され、その中で再三協議が行われていること、さらに町当局が地元住民に対したびたび説明会を開催し、住民の意見を十分に拝聴していること、また当時、反対意見が出ていなかったことなどから、同意は得られているものと判断したものでございます。
以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 住友金属工業周辺住民に対する公害問題は解決されたかとのご質問でございます。
住友金属周辺での県における環境監視の状況を見ますと、平成元年度の降下ばいじんの測定結果は、月間最高値が北港センターで七・三トン・パー・平方キロメートル・パー・月、湊の松本氏宅で四・八トンとなっており、県の行政目標値十トンを満足しております。悪臭については、平成元年度のアンモニア濃度で見ると、周辺四カ所の最高が○・○三ppmとなっており、周辺居住地での基準一ppmを満足しております。
このように、埋立計画策定時の昭和五十年当時と比べると、周辺の環境状況は相当の改善を示しております。しかし、現在も周辺住民からの粉じんなどの苦情が残されており、今後も引き続き環境監視を行いながら、事業者に対し必要な対策を指導してまいりたいと考えております。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、お答えをいただいたわけですけれども、大変たくさんの質問をいたしましたので、絞ってお伺いをしたいと思います。
最初に、ゴルフ場建設反対の起こっている最大の原因についてです。これは、企画部長がお話しされた環境破壊問題もあると、私たちも認識します。しかし、今、反対運動が起こっている一番の原因は、計画が住民の皆さんに何も知らされないで事が運んでいるということです。住民の知らないところで、業者によって用地買収がさっさと進められている。業者が用地買収に走って地権者のところに来て、そこで初めてうわさが飛ぶ。事前協議に出されてから、初めて住民が開発計画を知る。こういったことが反対運動の発端であります。企業も県当局も地方自治体も、住民に対してはかなり後から計画を知らせる。こういったやり方が、住民の皆さん方にとっては一番大きな反対運動の理由になっていると思うんです。
住民が主人公である、そして住民の環境を守っていく、地域の活性をしていく、こういうふうにいつもきれいに答弁をされますけれども、それが本当に守られていないということがゴルフ場建設の反対運動の中で明らかになっていると思うんです。
このことを皆さん方は最大限に考えていただいて、今後のゴルフ場計画についても、また今上がっている問題についても──実際に工事が始まっているところは皆さん具体的にもうわかっているわけですけれども、事前協議中の十九、事前協議準備中の四、こういうのは住民の皆さんたちは知らないんですよ。一体どこでどのような協議が行われているのか、計画があるのかということを住民の皆さんたちが知らないまま事が運ばれているということが最大の原因だと私は思っています。うわさの段階で住民は一体どこへ聞いたらいいのか、このこともわからないんですよ。(「役場で聞け」と呼ぶ者あり)──役場とおっしゃいますけれども、役場はそのことを公開いたしません。企業秘密のことについては公開しませんということを一般の住民にはおっしゃるんです。議員の皆さんにはやむなく言うことはありますけれども、一般の住民の皆さん方には計画すら地方自治体が明らかにしないという現実ですので、このことについては行政当局に厳しく要請をしておきたいと思います。
それから、住民合意の問題です。
今、山田山の問題とかありますけれども、開発に当たっての住民合意については、私も数回にわたって質問し、他の議員の皆さんも質問され、自治会長や区長が印鑑を押すときには、それぞれ地区総会とか自治会の総会とかでどんな討議がされ、どんなふうに印鑑を押すに至ったのかのプロセスも大事にする、こういうふうに答弁してこられました。このことが果たして今守られているかどうかが住民合意のかぎになると私は思っています。そういった点では、山田山の問題についてはもう一回検討をされる余地があると思いますし、慎重に検討を加えていただきたいことを要請しておきます。
それから、上富田の問題です。
これは、同意を必要としない周辺の住宅にあるわけですが、因果関係が明らかでないということで逃げおおせるのかどうか。住民を開発の被害から守っていく、このことが望ましい開発のあり方だと思うし、工事のあり方だと思うのです。このダイナマイトを使っての工事で被害を与えられた人たちが火薬類取締法で守られるのかどうか、お聞きするところによると、全く守られない。
それで、総務部長にお伺いいたします。
あなたは、火薬類取締法に基づき適正な指導をしていきたいとおっしゃいましたけれども、この場合、火薬類取締法の中での「適正に」ということに該当するのかどうか、それをお答えいただきたいと思います。
発破を使うときにはどうしても大きな音が出ますけれども、建てて一年半ぐらいの家が傾き、地盤沈下をするような事態が起こるでしょうか。よほどのことがない限り、こんなことは起こらないと思うのです。専門家もそういう話をいたしておりました。今度のダイナマイトの使い方や振動は許容量以内にあったとおっしゃいますけれども、現実に起こっている問題をどうやってこの法律の中で守ってもらうかということです。立入検査もやられるわけですけれども、それで果たしてこういった被害が救えるのかどうか、そのこともお答えいただきたいと思います。
以上、再質問いたします。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長山中昭栄君。
〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 村岡議員の再質問にお答えをいたします。
ご指摘ございましたように、火薬類取締法の規定に基づき、西牟婁県事務所において火薬消費期間中に二回立入検査を行い、保安の確保をチェックいたしております。
ただこの法律は、振動被害防止の観点から規制を加えるという意味ではその目的を異にいたしております。別途、振動規制法等、別の法体系に基づく規制が加えられようかと考えております。
このケースで、先ほどご答弁申し上げた十九回の振動測定の計測結果では振動規制法で規制されている通常の値をある程度下回った数値しか出ていないということもございまして、事業者が振動被害の防止の観点からこういった法規制の範疇外のこととしてどのように十分な留意をし、事業を進めていくかという問題ではないかと考えております。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 この上富田の問題では、開発をしたがために障害が起こったということは明らかですけれども、森林法にしても、火薬類取締法にしても、振動規制法にしても、現実的にこういった被害をこうむった皆さん方の実態を救えないんです。法のもとでは守れないということがわかっているんです。そういった点から見れば、こういったことはこれからも起こり得るだろうと思います。これだけゴルフ場の計画がある中で、またホテルやマンションといった他の開発が進められていく中でダイナマイトが使われないとは限らないと思うんです。
だから、行政がこの上富田の経験を生かして、どうやって住民を守っていくかということを総合的に判断できる開発指導要綱なり基準をつくるべきではないかと思います。今、住民の皆さん方は大変困っていらっしゃいますし、補償をされたとしても十分納得をしていらっしゃらないという実態もありますので、この開発の被害に対して総合的に判断できるような内容のものを作成する必要があると思います。これをぜひともつくっていただくように要請をしておきたいと思います。
以上で終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十七分休憩
──────────────────
午後一時四分再開
○副議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
41番野見山 海君。
〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 本日の最後の一般質問をさせていただきます。ちょうど昼時間でおなかがいっぱいになった後、一眠りしたい時期だと思いますけれども、一時間ほどお許し願いたいと思います。
きょうは、私の大先輩である田中元県会議員もお見えになっておりますし、先輩の前で質問するのは非常に照れくさい面もございますけれども、大先輩の顔をつぶさないように質問してまいりたいと思います。
このたびの統一地方選挙において、田辺市選挙区から、私の大先輩である田中県会議員の後を受けて、厳しい情勢でございましたけれども、市民の皆さん方の温かいご支援を得て当選の栄を与えていただきました。
振り返ってみますと、今は亡き辻原代議士を初めとして、大島弘代議士、亡き竹中節、今回勇退された田中実三郎両県議の政治活動のお手伝いをさせていただく中で、私も政治を志すことになりました。今はバッジの重みをひしひしと感じているところでございます。先輩議員を初め行政関係者の皆さん方のご指導とご鞭撻をいただいて、微力ではございますけれども県勢発展のために精いっぱい努力をしてまいりたいと思いますので、どうか今後ともお願いをいたします。
当選後、議会先輩各位の議事録を拝見したとき、諸先輩議員が県政全般について調査研究をされていることに感銘をいたしました。私は、初質問ということでお聞き苦しい点もあろうかと思いますが、お許しを願いたいと思います。
第一点の高齢化社会への県行政の対応については、各先輩議員の皆さんが何回か質問されております。重複する点もございましょうけれども、お許しを願いたいと思います。
急速に進む高齢化の中で、老人に対する福祉施策も大きく転換することを求められております。政府は、高齢化社会に対応するための福祉事業を実施するために消費税を導入し、一九八八年に福祉ビジョンを策定し、さらには一九八九年十二月に高齢者保健福祉推進十か年戦略を策定、そして一九九○年四月に老人福祉法など関係八法案を改正して、在宅者福祉サービス、施設福祉サービスの推進を図ろうとしております。この中では、これら諸施策の市町村への一元化、老人保健福祉施策の義務化等で総事業費六兆円と言われる巨額の投資、また民間の創意工夫を生かしながら、きめ細かく在宅福祉を推進するために七百億円の基金を設けることになっております。こうして、政府がようやく高齢化社会の対応に一歩を踏み出したことは一定の評価をするところでございます。しかしながら、地方自治体にとってはこれら一連の事業実施には多くの課題が出てこようかと思います。
老人福祉法が適用される六十五歳以上の人口の推移を県発行の長寿社会総合対策指針で見ますと、人生五十年時代と言われたころの昭和五年が三百六万人、戦後の昭和二十五年が四百十六万人、昭和四十五年には七百三十九万人となり、平成二年では一千四百八十二万人になると推定されております。それぞれ二十年間における高齢者人口の増加は、昭和五年から二十五年は百十万人、二十五年から四十五年は三百二十三万人、その後、平成二年までは七百四十三万人と、驚異的にふえ続けております。主要先進国の高齢化速度を見てみますと、高齢化率が七%から一四%に達するには、フランスは百三十年、スウェーデンは八十五年、アメリカは七十年、イギリス、ドイツが四十五年かかっているのに対して我が国の場合は二十五年であり、いかに急速であるかがわかると思います。
一方、県内の高齢化の推移を市町村別に見ますと、北山村が最も高くて三○・五%、古座川町、美里町、熊野川町、美山村、本宮町の順で二五%を超えています。また高齢化率の低い方から見ますと、最も若い岩出町が九・五%、和歌山市が一一・八%、貴志川町、上富田町、橋本市が一二%であり、一五%未満では田辺市、有田市、打田町、御坊市の順であり、過疎地域では人口減少と高齢化が同時に進行していると言えます。これら高齢化の要因としては、一般的には出生率の低下、死亡率の低下による平均寿命の延びが挙げられているが、若年層の県外流出も大きな要因と言われております。また本県全体で見てみますと、平成二年四月の六十五歳以上の人口は十六万二千九百八十六人で総人口に占める割合は一五%となり、国全体の一二%をはるかに超えており、本県の高齢化は十年先行していると言われております。高齢者の皆さんが安心して潤いのある生活ができるよう、地域環境を整備し、長年の経験を生かし、文化、スポーツ、レクリエーション活動のあらゆる機会を通じて社会参加ができるような地域社会の特性を十分生かした町づくりが必要かと思います。
東牟婁郡のある町村のホームヘルパーさんのお話ですが、その町村には「常時寝たきりの老人は一人もおりません。老人ホームの入所者も少ないのです」ということです。これはなぜかと言うと、第一の理由は、過疎化が進んでいるため自分の体は自分で守らなければならないという意識が強いこと、第二は、自分のペースに合わせて生活を営む、時には農作業をし、時には酒を飲み、カラオケを歌うというように、自分の生活の中に喜びを感じ、生きることの本当の価値、楽しみを見つけている点を挙げてくれました。これからの老人福祉、老人医療の目指すべき方向はここにあると思い、楽しみのある生活を営むための手助けをすることが老人の健康と福祉を守る施策であると聞きました。これが、本当の地域の特性に合った福祉の対応策ではなかろうかと痛感をしたところでございます。
このように、全国より十年早い高齢化が進む本県において、高齢者保健福祉推進十か年戦略の計画が長寿社会総合対策指針をもとに進められていますが、今、特に急がれている在宅福祉対策と施設の整備を中心とした老人福祉全般にわたる基本計画についてお伺いいたします。
次に、ホームヘルパーの処遇についてお尋ねいたします。
ホームヘルパーの管理主体は市町村や市町村社会福祉協議会となっております。平成二年度は、三百四十一名の方々が地域の在宅福祉サービス業務に一生懸命頑張っておられます。ホームヘルパーは、援助を求められればどんな人のところでも訪問をし、その人の生きてきた過程を大切にしなければなりません。したがって、生活に対する考え方も人それぞれですが、ホームヘルパーの好みによって訪問を断ることができないのは当然であります。高齢者や障害を持つ人たちに喜んでもらえるように努力をしておられます。しかし、その身分は嘱託職員がほとんどです。
高齢者保健福祉推進十か年戦略によると、平成二年度の求人計画では四百二十六名でありますが、実績人数は三百四十一名、そのうち新規に採用されたのは七十五名でございます。各市町村においても人材を求めていますが、計画どおりに採用ができておりません。これは、ホームヘルパーの身分の保障と処遇に問題があると思います。県社会福祉協議会、県ホームヘルパー連絡協議会が実施した実態調査でもこの点を挙げております。これらの改善についてどういったお考えであるか、お伺いしたいと思います。
次に、老人福祉施設の整備についてお尋ねいたします。
高齢者や身体障害者の増加が予想される中で、大多数の方々は住みなれた地域や家庭で暮らしていきたいという考えを持っておられます。各市町村では、こうした住民の要望にこたえることができず、管轄区域外の特別養護老人ホームに措置しているのが現状であります。ある市では、入所の待機者が七十名を超えております。住民のニーズにこたえるためにも施設の整備を急ぐ必要があると思います。施設の整備計画についてどういった構想をお持ちか、以上二点について民生部長にお伺いしたいと思います。
次に、質問の第二点目は観光行政についてでございます。
私も国鉄職員として二十三年間お世話になりまして、特に駅頭の営業業務を担当してまいりました。その間、県外への旅行のあっせん等をしてまいりましたけれども、何とか県外から県内に旅行のあっせんができないものだろうかという気持ちから今回の観光について質問をいたします。
県観光課がまとめた平成二年度の観光客動態調査によると、平成二年度は過去最高の二千六百九十四万人となっております。前年度比四・七%の伸びであり、これは大阪で行われた国際花と緑の博覧会にあわせて本県の観光PRをしてきた経過と思われ、努力を認めるところでございます。
平成元年の観光客動態調査報告書の中に、県内各地の主要観光地の昭和四十七年からの観光客の推移が記載されています。白浜や勝浦のような大観光地に比べて観光客の絶対数ではまだまだ少ないが、飛躍的な伸びを示している観光地があります。それは、龍神温泉と熊野本宮の温泉郷であります。
龍神温泉は、昭和五十五年から著しい伸びを示し、昭和四十七年を一○○とすると平成二年は一二五○と、飛躍的な伸びを示しています。また本宮温泉にしても、昭和五十六年ごろから伸びが著しく、昭和四十七年を一○○とすると平成二年は二三七と、大きく伸びています。ご存じのように、龍神も本宮も大自然の中に立地しています。紀伊山地の山々に囲まれた、いわば秘境にこれらの温泉郷は位置しています。この統計の結果は、今、都会の人々は緑や静けさ、美しい水や空気を求める心が強まっていることを教えてくれているように思います。将来に向かっても、都会ではますます空気が汚れ、緑が減少していきます。競争原理の社会の中では、人間のストレスが高まっていくばかりです。私は、都会の人々の静けさや緑や本当の意味での安らぎを求める心は今後とも強まってくるものと予想いたします。
こうして見たとき、これからは新しい観光を求める人々がふえてくるものと存じます。強まるストレスの中で人々は、今、単なる受け身の観光から、時間をかけてスポーツを楽しんだり、歴史や文化を体験学習したり、ミカン、ブドウ狩りのように農業体験を求める参加型の観光ニーズになってきています。こうした国民の新しい観光ニーズに行政がどのようにこたえていくのか、また和歌山県長期総合計画の第二次中期実施計画の中に、健康と人間性回復を求めた長期滞在型の森林、文化リゾート拠点の形成と名づけたプロジェクトが掲げられておりますが、体験型の観光ができないものか、お伺いいたします。
次に、修学旅行の誘致と広域観光についてお尋ねいたします。
約二千七百万人の観光客の内訳を見ると、高野山、那智大社、熊野大社を中心とした参詣客、紀南を中心とした若者の海水浴、釣り客、海上レジャー、家族連れの温泉客などに大別されますが、私はこれら観光客の中に小中高生の他府県からの修学旅行客がないのが残念でなりません。
新しい観光客の開発として、小中高生の修学旅行や農林漁業の体験学習を兼ねたサマースクールの誘致を新しい観光開発の目玉に掲げてみてもいいのではないか。もちろん、本県だけでは修学旅行誘致の吸引力はまだまだございません。しかし、京都や奈良には全国から修学旅行団が集まってきています。その団体に一歩和歌山まで足を伸ばしていただき、京都、奈良、和歌山、三重を結ぶモデルプランを作成してPRすれば、決して実現不可能ではないと思います。
最近の修学旅行の傾向は、観光バスで大量に次から次へと観光地を回るというような型ではなしに、例えば、長崎なら長崎で一日じっくり腰をおろして、グループでその町の文化、歴史を学習したり、あるいは冬季に信州へ行きスキーをしてくるという、参加体験型のものに変化しつつあります。京都、奈良で歴史の学習をした後、今度は和歌山に来てゆっくり自然に親しむ、あるいは農林漁業体験に取り組んでみるという企画をPRしてみてはどうか。
昨今の受験体制の中で、子供たちは疲れ切っています。特に都会の子供たちは、自然に触れる機会や場所を喪失しております。和歌山の雄大な自然に恵まれていることを誇りにし、新しい観光地をつくり上げてみてはいかがでしょうか。しかし、その場合、県下観光地相互間の連携、協力なしには大規模な旅行団の誘致はできません。観光行政も広域的な連携が求められています。将来に向けて、紀伊半島全体をにらんだ観光構想についてお伺いいたします。
次に、交通体系と道路整備についてお伺いいたします。
和歌山県長期総合計画の中で、観光振興のために観光資源の開発、保護等五つの重点施策が体系的にまとめられています。その中で「観光基盤の整備」と題して交通体系の充実と整備を掲げ、交通網の整備の大切さを標榜されていますが、他府県に比べるとまだまだ交通網がおくれているのが現状でございます。
さきに本宮、龍神での観光客の大幅な伸びを申し上げましたが、その背景には地元の皆さんの努力を高く評価するものであります。また、龍神温泉でも高野龍神スカイラインの存在を見逃すわけにはまいりません。本宮では、五条から十津川経由で新宮を結ぶ国道百六十八号線の存在も、また見逃すわけにはまいりません。地元の話では、本宮への観光客の大半はこの国道を利用して入ってきていると言われております。逆に言えば、県内の道路網の整備がいかに立ちおくれているかということだと思います。中辺路町では、古道ピアなどのイベントの影響もあり、随分と観光客を伸ばしました。国道三百十一号線の逢坂峠も整備され、住民の喜びも大きいものがございます。
一方、本宮へ抜ける部分では、大型バスが通行できない場所もあります。また白浜では、京阪神からのお客が多く、交通渋滞が各所で発生し、大きな悩みとなっております。高速道路の紀南延伸は、観光行政にとっても重要な課題であります。よって、観光立県としての道路網整備と高速道路の紀南延長をどのように位置づけられているのか、また今後の見通しはどのようになっているか、お伺いします。
県下の観光客の五六%は京阪神からですが、近年、関東、東海方面からの観光客も増大しております。こうした入り込み動態を考えたとき、平成元年七月二十二日からくろしお号が新大阪に乗り入れされ、これによる効果は非常に大きく、観光客が増加し、県民の利用が増大してきています。現行八本の乗り入れとなっていますが、全便乗り入れ、あるいは増便についていかなる方策をお持ちかお伺いして、一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
高齢者対策について、特に在宅福祉対策と施設の整備を中心とした老人福祉全般についての質問でございます。
お話のように、和歌山県の高齢化が急ピッチで進んでおりまして、全国より十年早い水準となっておるわけでございます。そうした点に注目して県として長寿社会総合対策指針を策定しており、特にその中において在宅福祉を重点的に取り上げて緊急整備を進めておるところでございます。特に、本年の予算においても積極的に在宅福祉を取り上げております。施設福祉についても、和歌山県は全国レベルより進んでいると思っておるわけでございます。しかしながら福祉施設についても、今後なお一層進めてまいりたいと思っております。
今後は、施設福祉対策を含めて老人福祉行政の主体が市町村に移るわけでございます。そうしたもろもろの事業が円滑に実施できるように、県はもとより市町村の計画等についても十分関心を持って進めてまいりたい、そして全国に先駆けて指針を策定していきたいと思っております。
次に、観光の問題でございます。
数々のご意見、提言を承りました。県も、テクノ&リゾートに基づいて観光行政を産業行政の中においても重点的に取り上げているところでございます。そうした意味において、今後ともなお一層積極的に取り上げていきたいと思っております。
ことしの六月五日から七日までの三日間、紀伊半島観光立県推進地方会議を開催し、三重、奈良、和歌山の三県のシンポジウムが行われたわけでございます。こうした面において、広域的な観光行政もなお一層進めていきたいし、今後とも各般の皆さんからのご提言、ご意見を承って努力していきたいと思っております。
○副議長(平越孝哉君) 民生部長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 野見山議員にお答えをいたします。
まず、ホームヘルパーの確保と処遇改善でございます。
ホームヘルパーの確保については、在宅福祉対策を積極的に推進していく上で最も重要な課題でございます。このため平成元年度よりホームヘルパー確保のための緊急整備計画を策定し、実施主体である市町村とも協議をしながら人員の確保に努めているところでございます。
また処遇関係については、年々改善されていますが、なお今後も優秀な人材を確保するためには、議員ご指摘のとおり、処遇の改善や身分保障等が大切な課題でございます。
このため県といたしましては、全国的な制度全般にわたる問題でありますので、去る六月の政府要望においても県の重点項目として抜本的な改善について厚生省に要望を行ったところでございます。今後とも、市町村ともども知恵を出し合いながらマンパワーの確保に努力してまいりたいと考えてございます。
次に、特別養護老人ホーム計画についてお答えをいたします。
特別養護老人ホームの整備でございますが、県といたしましては、各市町村における待機者の状況、高齢化の将来の見通しなどを踏まえて積極的に整備を図ってきたところでございますが、ただいま知事もお答えいたしましたとおり、現在は全国的にも高い整備状況にございます。
今後の老人福祉行政を進めるに当たっては、在宅福祉サービスに対する積極的な取り組みも重要であると考えており、それぞれの地域における在宅福祉の拠点としての役割をも考慮し、特別養護老人ホームはもとより高齢者生活福祉センターなどの老人福祉施設の整備に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 商工労働部長中西伸雄君。
〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 野見山議員にお答えをいたします。 国民の観光ニーズの対応についてでございます。
議員ご指摘のように、最近の観光ニーズは、単に観光地をめぐるという観光から、一カ所に滞在し大自然を満喫するといった滞在型へと変化してきてございます。
こうした中で県としても、昭和六十三年度から平成二年度まで、本県の歴史、文化にスポットを当てたふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーンを実施し、最終年の昨年度は熊野古道を舞台に古道ピアを開催し、歴史と文化を訪れて熊野の大自然の中で心身のリフレッシュを図っていただくことを提案してまいった次第でございます。
本年度からは、平成六年夏、和歌山マリーナシティの開催される世界リゾート博に向け、海を中心に、大自然をテーマにしたふれ愛紀州路ネイチャーランドキャンペーンを展開することといたしてございます。このキャンペーンは、観光客の皆様方にマリンスポーツなどを実際に体験していただくイベントを種々計画してございまして、これらを通じて海や山の新しい活用方法を提案し、本県の大自然を強くアピールすることにより誘客を図ってまいりたいと存じます。
次に、修学旅行誘致についてでございます。
議員ご指摘のように、修学旅行については、近年、歴史や文化について学習したりスポーツを楽しむなど、体験型に変化してきています。また、旅行そのものについても広域的に展開していかなければならないと考えてございます。
今後の修学旅行の誘致については、これらのニーズなどに対応した特色のある観光地や環境づくりを進めるとともに、県内の観光関係団体の協力をいただきながら関係機関へのPRに努めてまいりたいと考えてございます。
紀伊半島三県観光振興懇談会において、こうした誘致について広域的な観点から関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) くろしお号の増便問題についてお答えを申し上げます。
特急くろしおについては、平成元年七月の新大阪・京都駅乗り入れ以来、利用者も増加し、観光面も含めて、とりわけ紀南地域の活性化、地域住民の利便の向上に大きく寄与しているものと考えてございます。
このような状況を受けて、県としてもこれまでJR西日本に対してくろしお号の増便等について働きかけてきたところでございます。その結果、本年春のダイヤ改正においては一便増便が実現し、現在、八便が新大阪に直接乗り入れをいたしてございます。また、この夏の臨時ダイヤにおいてさらに一便増便される予定となってございます。県といたしましては、今後とも、くろしお号の増便等、利便性の向上に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
観光行政と道路整備についてでございます。
議員ご指摘のとおり、本県の観光行政を支える基本は道路交通網の整備であると考えております。
本県の主要な観光軸としては、京阪神都市圏と海岸沿いの主要な観光拠点等を連絡する海岸観光軸と橋本市から高野山を経て高野龍神スカイライン、田辺十津川線を経由して田辺市に至り、さらに田辺市から本宮町を経て新宮市に至る内陸観光軸の二つの軸の早期整備が必要であると考え、その整備促進に努めております。
まず、海岸軸のうち湯浅御坊道路については、平成六年度末供用を目途に鋭意事業が進められております。近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間については、平成元年二月に基本計画が決定されております。このうち、平成二年七月より環境影響評価の手続が進められている御坊─南部間については、本年に予定されている次期国幹審での整備計画決定を強く国に働きかけるとともに、南部─田辺間についても懸案となっている田辺バイパスとの接続方法等について早期に計画を固め、全体として御坊─田辺間の早期整備が図られるよう国に強く要望してまいります。また田辺以南についても、早期に基本計画に組み入れられるよう国に対し要望してまいります。
内陸軸のうち国道三百十一号の田辺─本宮間の未改良区間については、早期整備を図るため、引き続き全区間にわたり重点的な整備促進を図ってまいります。
田辺十津川線については、今後とも龍神村柳瀬工区、田辺市大沢工区等の事業促進に努め、龍神─田辺間の重点的な整備促進を図ってまいります。
以上でございます。
○副議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
41番野見山 海君。
○野見山 海君 ただいま知事を初め関係部長から答弁をいただき、理解はできました。
何をおいても、和歌山県は高齢化が十年先行しているということでございますので、他府県に負けないような高齢者に対するすばらしい福祉施策を今後十年の間、いや、八年、七年の間にぜひとも取り組んでいただくよう努力していただきたいと感じております。
それから、観光でございます。
田中先輩が五十八年二月の定例会の中で、平面的な観光行政から立体的な観光行政へということで、観光の目的や客の変化に対応した観光行政を求めた質問をされました。その中で知事は、観光に対するニーズも変わってきた、そうした要請、ニーズにこたえていくことがこれからの県の観光行政の基本である、観光は、単なる観光産業だけではなしに総合産業的感覚に立たなければならない、文化、伝統、健康、勉強の場としての意味もあり、魅力ある観光地づくりに取り組んでいきたい、こういうような答弁をされておりますので、そういった意味から、どうか修学旅行の誘致についても前向きに取り組んでいただければ幸甚かと思います。
要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後一時四十六分散会