平成3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(藁科義清議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(山本 一君) これより本日の会議を開きます。
○議長(山本 一君) まず、報告いたします。
 過日提出のあった議案第八十七号及び議案第八十八号については職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第105号
    平成3年6月27日
 和歌山県議会議長 山 本 一 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成3年6月25日付け和議会第96号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第87号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第88号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
  (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(山本 一君) 次に日程第一、議案第八十四号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 8番藁科義清君。
 〔藁科義清君、登壇〕(拍手)
○藁科義清君 改選後、初めてのこの定例県議会におきまして、冒頭、質問の機会を与えていただきましたことを、議員各位にお礼を申し上げます。
 さて私は、自由民主党県議団三十五名を代表いたしまして、仮谷知事に対し、知事が描く県勢の発展と知事の和歌山県政に対する姿勢、並びに引き続き第五期県政を担当するご意思についてお伺いするものであります。
 私たちが未来の時代の代名詞として使ってきた「二十一世紀」が到来するまでわずかに十年足らず、ふるさと和歌山県を世界への玄関口に位置づけることになる関西国際空港がいよいよ開港するのは三年後の平成六年夏、そして県民の長年の悲願とも言える国土軸への直結の実現は目前の平成五年に迫っております。また、白浜空港のジェット化整備、高速道路の紀南延伸など、和歌山のあすをさらに大きく飛躍させるための諸条件の整備が着実に進行しつつあることを実感できる今日であります。知事、あなたがいみじくも言っておられる「和歌山の時代が来た」という言葉が本当に現実のものとして感じられるのは私一人ではないと思います。
 振り返れば、あなたが初めて県政を担当された昭和五十年から今日に至る十六年間、とりわけ前半の昭和五十年代は、オイルショックの打撃に加えて円高不況により、我が国経済はもとより本県産業の長期不振、国、県の財政逼迫という厳しい状況に直面することを余儀なくされたのであります。しかし、その中にあって、県職員の定数削減を初めとする行政改革に取り組み、県財政の健全性を保ちつつ、一方では時代の変化を読み取り、限られた財源の中で将来への布石を着実に打つとともに、福祉、健康、教育という県民生活に直結した分野への配慮、きめの細かい行政を実践されました。
 時代は進展し、昭和五十年代後半、我が国経済も長期不況からようやく拡大傾向に転換し、期を同じくして泉州沖への建設が活発に論議されていた関空問題に対して、知事は関係府県をリードして建設同意に最大の努力をなされたのであります。そして今、急ピッチで進む関西国際空港の建設を初め、高速道路の着実な南伸など、長引く構造不況の中にあった地域産業に、そして県民に、あすのふるさとを力強く切り開こうとする気持ちを呼び起こし、未来に向けての明るい展望が見え始めるという状況をつくり出したのであります。関西国際空港の開港を県勢活性化の最大のインパクトとしてとらえた、知事あなたが打ち出した数々の施策、プロジェクトが、今、確実に実現に向けて力強く進行中であります。
 私たち自由民主党県議団は、こうした仮谷知事とともに、ふるさとの確かな将来を切り開くために懸命の努力をしてまいりました。そして今ここに、未来に向かって確かな歩みを進めるふるさと和歌山の姿を仮谷第四期県政の成果として取り上げるとき、知事は就任以来、一貫して県勢浮揚の最大の課題を高速道路網の建設を初めとした交通体系の整備だと考えられ、それを実行に移された不屈の闘志を特筆しなければなりません。
 すなわち、特急くろしおの新大阪、京都駅乗り入れの実現に続き、近畿自動車道紀勢線の湯浅御坊道路の着工、御坊─田辺間の基本計画決定から整備計画への位置づけ、京奈和自動車道の橋本道路の着工と和歌山市までの基本計画決定、県内幹線道路の着実な整備と大阪と結ぶ複数の府県間道路の整備など、陸上交通はもとより南紀白浜空港のジェット化整備、ことしいよいよ実験運航の運びとなったヘリコプターの活用、勝浦から鳥羽に至る高速艇の運航など、空、海にわたる総合的な交通ネットワークの構築のためにあらゆる方策を駆使して挑まれているのであります。
 また、こうした交通体系の整備を図ることにより企業の新たな立地など多くの成果を生むとともに、本県産業の技術革新を支援する諸施策も同時に進められたのであります。ことし四月、打田町に操業開始された松下電池を初め、現在までに五十社余りを数えるに至り、本県産業の構造改革に、また活性化に大きく貢献しているところであります。また、工業技術センターの再編整備、近畿で初めて指定を受けた頭脳立地構想と海南インテリジェントパークの建設、暖地園芸総合指導センターの充実など、地域産業の高度化を図る数々の構想が次々と進められております。
 先日発表された昭和六十三年度の経済成長率は、全国平均を上回る五・五%の高い伸びを示しております。経済企画庁が発表した一人当たりの県民所得の増加率は、全国平均をはるかに上回る九・七%の全国一の高い伸びを示しております。もちろん、いっときの瞬間的な数値の高低により一喜一憂すべきではありませんが、しかしこの数字は着実に本県経済が活況を示していることを物語っているものと私は思うのであります。
 次代をにらんでの産業構造の変革と並んで、豊かな県民生活の基盤とも言える健康、福祉の問題についても、あなたは全国に誇り得る施策を実施してこられました。とりわけ、県民医療の中核となる県立医科大学の統合移転整備の着手を初め、高齢化社会がいち早く到来する本県の現状にかんがみ長寿社会総合対策指針を策定し、全国に先駆けていきいき長寿社会センターを設立して行き届いた老人福祉対策を総合的に進めておられます。また、余すところあと数カ月に迫った地対財特法の法期限後の対策を協議する国の地域改善対策協議会の委員として選ばれているのも、本問題に関する高い見識と福祉行政全般にわたる知事の豊かな実績に対する国レベルでの高い評価の証左と言えるものでありましょう。
 また、次代を担う人づくりについても、私立学校の積極的な誘致を初めとした高等学校教育の多様化、養護学校の建設、ことしからいよいよ着工の運びとなっている新美術館、図書館、博物館等、真に豊かな地域社会の創造のために全身全霊を注がれている知事であります。中でも、近畿大学の理工学部が世耕先生の多大の協力と知事の誘致への情熱により平成五年四月に開学されることとなり、県民の期待を集めているところでございます。
 時あたかも、時代の流れの指すところは、人間が生きていく上での根源的なものから、さらに高次元のゆとり、潤いなどを希求するライフスタイルの変化そのものであります。余暇時間の増大の中で、昨年承認を得た燦黒潮リゾート構想の推進による滞在型リゾートの整備、そして海洋リゾートの拠点である和歌山マリーナシティを主会場に計画されている世界リゾート博を契機として、ふるさと和歌山は、海、山、川の豊かな自然と、高野と熊野に代表される歴史、文化を生かした総合的な国民保養地として脚光を浴びようとしております。このことは、先ごろ和歌山、奈良、三重の三県で開催された紀伊半島観光立県推進地方会議においても大いに論議され、私たちはこのふるさとをさらに力強く誇りに思ったのでありました。
 以上、変革の時代の流れの中で、ふるさと和歌山が確かに躍動しているという実感を仮谷第四期県政の実績を追う形で述べてまいりました。
 本年三月に発表された和歌山県長期総合計画の第二次中期実施計画を見ても、紀淡海峡を横断する第二国土軸構想、二十一世紀の町づくりとも言えるコスモパーク加太、高齢化社会に対応する達者で長生き支援システムの構築等々、四十五ものプロジェクトが盛り込まれております。
 しかし、時代は今、激しいスピードで進んでおります。これらのプロジェクトの推進はもとより、なお数多くの努力すべき点も多い県政ではありますけれども、一面また和歌山県は、知事並びに県民の努力の積み重ねによって県政史上最も夢と希望の持てる時代に入ったと感じるのであります。そして、次なる飛躍を実現するためには、高速道路を初めとした道路網整備による紀南地方の発展、奥地山間地域における過疎化の問題など、均衡ある県土の発展や社会資本のより一層の充実を初め、加速度的に進む高齢化社会への対応、高等教育機関の充実、厳しい環境に置かれている農林漁業経営、新たな企業誘致と産業の高度化等々、まだまだ越えなければならないハードルとも言える多くの課題があることも事実であります。これらのことをなお一層強力に推し進めることが最も重要なことであります。
 私は、こういった総合的な施策の展開により、若者が戻ってこれる県土づくり、若者が定住できる県土づくり、これこそが今県政に求められる最大の課題であると思います。そして、これらの課題の克服、和歌山県の飛躍のための諸条件の整備と相まって、ゆとりと潤いといった真の豊かさを求める時代の流れの中で、自然の恵みあふれるふるさと、歴史と文化がはぐくんできたふるさと和歌山が再び表舞台に登場する絶好の機会が訪れようとしているのであります。
 次期県政は、まさに新しい和歌山の創造という重要な使命を背負っております。この使命を達成できるのは、今日までの豊富な経験とふるさとのあすを思う限りない情熱に裏づけられた知事、あなた以外にはいないのであります。
 伝え聞くところによりますと、既に知事のもとには県内各界各層より数多くの出馬要請が届けられ、さらに続々と推薦決議がなされていると承っております。これらの要請は、仮谷知事、あなたの四期十六年の実績に対する県民の信任のあかしであり、あなたの清潔、公正な人柄への県民の信頼のたまものであります。
 知事、将来の和歌山に対するあなたの抱負と、こうした県民の熱い期待の声にこたえ、大いなる和歌山のあすを切り開くための礎としてさらに四年間県政を担当するご意思がありやなしや、知事のご決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの藁科義清君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藁科議員にお答え申し上げます。
 ただいまは、藁科議員から私の実績について高い評価の言葉をいただきまして、まことに光栄に存ずるとともに、また恐縮いたしております。
 知事就任以来、今日に至るまで私なりに最大限の努力をしてまいったのでありますが、県政の執行に打ち込めましたのも、県議会の皆さん方初め、県選出の国会議員の諸先生、また市町村長さんを初めとする県民各位の温かい励ましと力添えがあればこそでございまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、「新しい時代にいどむ力強い地域産業の発展」、「健康で快適なくらしと生きがいのある福祉社会づくり」、「明日を担う人づくりと魅力ある文化の創造」という三つの基本目標を掲げさせていただき、皆さんのご支援のもとにその実現に取り組んでまいりました。その四期県政も、あと数カ月を残すばかりとなったわけでございます。
 振り返ってみますと、この四年の間、国際的には東欧諸国の民主化の問題、東西ドイツの統一、中東湾岸戦争の勃発など、また国内においては、激動の昭和が終えんを迎えたのを初め、政治や政治改革に対する関心の高まり、バブルに象徴される経済のソフト化や高齢化社会の進展、農産物の輸入自由化の問題、大きな衝撃となった出産数の低下など、まさしく時代の激しい変転を実感するとともに、国際化や先端技術による産業革新、さらに余暇時間の増大、価値観やライフスタイルの変化、多様化など、まさに新しい時代が到来しつつあると実感いたした四年間でございました。
 藁科議員のお話にもございましたように、こうした激しい時代の変化の中で、未来につながる事業の具体化、実現に努めなければならないということ、また県民にとって今何が必要なのか、今何をなすべきかといったことを常にみずからに問いかけながら、議員各位を初め県民の皆さんのご支援を得て懸命に県政を推進してまいったのでございます。四期県政総仕上げのときを迎えまして、そうした努力が着実に結びつつある現在、本県の躍進と新時代の実現への確かな手ごたえを感じておる次第でございます。
 しかしながら、県政を見詰め直すとき、産業の新たな形での発展や心のゆとり、潤い、そしてより快適な居住環境の整備など、さらなる施策の展開を求める県民の声が非常に大きく高まってきていることをひしひしと感ずるのでございます。
 今、藁科議員のご質問を拝聴しながら、政治家は夢を持たねばならない、目標を持たねばならない、しかしそれだけではなしに、現実の問題を的確に処理していくことが求められるのだ、それは単にテクニックを意味するのではなく、人間としての哲学、新しい時代の洞察、未来を切り開く勇気を持って与えられた今に全力を注ぐことが要求されるのだと、私自身、みずからにそうしたことを改めて問いかけていたのでございます。
 先ほどお話がありましたように、こうした時期に多くの県民の皆様方から出馬要請をいただきました。政治をなす者として感激いたしておりますと同時に、ふるさと和歌山県のさらなる飛躍をなし遂げるためになお一層奮闘努力せよとの叱咤激励をいただいておるのだと受けとめておる次第でございます。多くの要請をいただきました。また、使命を果たすべきとのお言葉をちょうだいいたしました。私は、皆様方のご理解とご協力を得られますならば、四期にわたる経験を生かし、和歌山県のさらなる発展のために五たび和歌山県知事選へ出馬いたしたいと、決意を新たにいたした次第でございます。
 政治をなす者は、常に未来に向けていかに政策を決断し、実行できるかということこそ問われるのでございます。この五選出馬に当たりましては、そうした覚悟のもと、初心に返って、なお一層公正にして清潔な県民に信頼される県政、参加と理解を求める県民に開かれた県政、生きがいと潤いに満ちたぬくもりのある県政、そして確かな展望と実行力のある力強い県政を推進してまいりたいと存じております。
 向こう四年の間に、和歌山県は関西国際空港の開港を迎え、また高速道路の国土軸への接続が実現することになります。世界各国から、日本全国から人々の新たな交流の場が和歌山県を舞台に展開されることが期待できるのであります。
 しかし、藁科議員のご指摘のとおり、二十一世紀を目前にして整備すべき数々の多くの課題がございます。プロジェクトもございます。人生八十年の時代を迎えて、県民の健やかで安らぎのある暮らしを実現する健康、福祉、教育、文化の施策を初め、紀勢自動車道や京奈和自動車道など高速交通ネットワークの早期完成、本県内陸部を有機的に結ぶ第二県土軸とも言うべき道路網の整備、力強い地域産業を育成するための先端技術の導入、また下水道等、生活環境の整備や自然環境の保全と活用など、各分野においてきめ細かく、また時代と県民の要請に即応した施策をさらに充実してまいる所存でございます。
 ふるさと和歌山県を高めること、世界に誇り得る心豊かなふるさとをつくり上げることに全力を傾注し、県民の皆さんの夢を、そして願いを実現するために、未来をしっかりとつかみ取る力強い政治を推し進めてまいる決意でございます。
 今後とも皆さん方のご支援、ご協力をいただきたくお願い申し上げますとともに、引き続き和歌山県の発展のために努力することをお誓い申し上げまして、藁科議員に対する答弁にかえさせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 8番藁科義清君。
○藁科義清君 ただいま仮谷知事から、五たび県政を担当いたしたいという力強い意思表明を受けました。
 私たち自由民主党県議団は、あなたの目的達成のために、ともに頑張ってまいる決意であります。どうか、これからも健康にご留意をいただき、あなたのふるさと和歌山を思う情熱が今後さらに発揮され、我々とともに県勢発展のため頑張っていただきたいと思います。
 以上で、私の再質問を終わります。
○議長(山本 一君) 以上で、藁科義清君の質問が終了いたしました。

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