平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(田中実三郎議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
39番田中実三郎君。
〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 おはようございます。一九九一年二月定例県議会の一般質問も、日を追いまして本日が最終日となりました。不肖私がこの壇上から質問をさせていただくのもこれが最後になると存じます。皆さん、長い間、本当にありがとうございました。
県議会議員在任中、定例及び臨時議会の質問並びに当局の答弁を収録したテープは、私の手元に七十八号まで所蔵いたしております。今日ただいま第七十九号のテープが始動していることを意識して、感慨無量なものがあります。どうかひとつ、最後まで皆さん方の御協力をお願い申し上げます。
昭和三十八年七月十一日、不肖私が初登壇をいたしました。同じ日に、大先輩の妙中議員と二人で午前中、質問だけに終始いたしました。今思いますと、私の質問は一時間ちょっといたしたように記憶しています。当時の議事録をけさほど読み返してまいりました。そのことも付言をいたしておきます。
さて、議案第一号平成三年度当初予算について質問を申し上げます。
まずお断りしておきますけれども、この原稿を書いたのが二十六日でございまして、その後ちょっと日がたちまして情勢が変わってまいりました。普通の変わりようと違いまして、大変な変わりようでございます。したがって、私の質問も内容は変えておりませんけれども、力点の置き方に若干予告と違うところもありますから、総務部長、ひとつ答弁漏れのないように、前もってお願いをしておきます。
八月二日、イラクのクウェート侵攻による湾岸戦争に端を発し、湾岸貢献策としての四十億ドル、さらには国際電話一本ごとに階段的に上昇したと言われている、あるいは人によっては米国依存外交政策の落とし子とまで言われている九十億ドル──国民一人当たり一万円だそうですが──という多国籍軍に対する援助金にと発展いたしました。聞くところによりますと、一日の軍事費が五億ドルで九十日間と予定をし、それの二○%は日本が負担をしてほしいというのが積算の根拠のようであります。
湾岸戦争は、この二十六日のイラク軍のクウェートからの撤退、二十八日の多国籍軍の戦闘行為の停止、さらにはイラクの国連安保理決議の全面受諾と、戦争終結に向けて大きく動き出し、全面停戦に至りました。私も、早期和平の実現を心から願っておったものであります。一方、今後の戦後復興に向けて戦後の処理費は巨額に上るとの報道もなされておりますし、さらには米国は米国金融制度の改革も考えておるんだというふうなことを発言いたしております。そういうことでありますと、平成三年度の日本財政はもちろん、今日提案をされている地方財政に基づく我が県の当初予算についても、全面的と言っていいほどに改変を見なくてはならないのではないだろうか。また、農業問題についてもより複雑になってくるのではなかろうか等々、思考は乱れてくるのであります。
それはそれといたしまして、今日提案されている三年度当初予算について検討を加えてみたいと思います。
まず第一に、県下における企業の地域貢献についてお伺いをいたします。
知事の提案要旨において、「農林水産業や観光関連産業などの地域産業と一体となったリゾート産業の振興にも取り組んでまいります」とおっしゃっていることは、県内企業の参画あるいは企業誘致とも関連をする問題点ではあるが、それぞれの地域における貢献ないしは地域発展のための協力参加を含んだ内容だと私は受けとめましたけれども、最近よく耳にする企業の社会的貢献を和歌山県の行政の中に取り上げなくてはならないと思うのです。
そこで、具体的にお伺いいたします。
一つ目、中小企業経営者にどうした社会貢献を求め、かつ当局としては期待をしているのですか。
二つ目、前項の実績効果、すなわち中小企業経営者が社会貢献の実績を上げるためには県行政としてどんな行政措置をなさるおつもりか。つまり、どんなことを企画していらっしゃるのか。
三つ目、予算編成の根拠となる県下の事業所得をどのように把握していらっしゃるのか。つまり、予算を組むときに平成元年、二年はどんな数値であったのか、平成三年度ではどんな数値を策定したのか、またその策定数値の根拠はそれぞれ何であるのか。今度の予算を拝見して参考資料も眺めてみましたが、なかなか難しい。資料の出し方にいろいろあります。その点は後でも申し上げますが、数値をつかむのに全く苦労をしたのでこういう質問が出てくるのです。
以上、具体的に三つの点で質問をいたしましたが、知事及び関係部長にその見解を求めたいのであります。特に部長は、「先刻、知事から答弁がありましたとおり」などという前提でなしに、知事の答弁と重複するがごときことを避けた答弁をいただきたいのであります。
第二番目として、第一号議案平成三年度当初予算の編成に当たっての問題点について、一、二お伺いをいたします。
地方財政を論議する場合、種々な見方があります。いろんな角度から論議をする手法はあると思いますけれども、私は今回、公債費負担比率から当予算を考えてみました。
公債費負担比率が予算編成の一つの基準ということについては今までもたびたび論議してまいりましたが、従来、公債費比率が一八%になればその地方財政は赤字だということが定説のごとく言われた時期がありました。自治大臣の諮問機関である地方財政審議会が十二月十四日に平成三年度の地方財政についての意見書を発表しておりますが、その中に「平成二年度末統計によると、全国的に公債費負担比率一五%以上を占める地方公共団体はその五割を占めている」と述べております。
我が和歌山県は、平成二年度、三年度のいずれもが六・七%であります。前述いたしました数字のとり方がいろいろあるというのは、一八%というのは財政基準額を分母とした公債費負担の数値であろうかと思います。今申し上げた六・七というのは、予算全体の中の構成比であると思います。資料の中に正しい公債費負担比率の数字がありませんから、やむを得ず予算説明書の中に出ている数値を使わせてもらいました。和歌山県は、いずれもが六・七%の構成比率を占めています。これは、二年も三年もです。ですから部長は、前段述べた二点を考慮に入れながら、県の財政状況はどんな状態にあるんだと把握をしていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいのであります。このことは予算編成の概念として肝要なことと考えますので、部長、具体的にお答えを求めます。
二つ目は、これは過日、中村博議員も若干触れていらっしゃいましたけれども、私の視点と少しずれているように思いましたので、あえて取り上げてみました。それは、権限委譲の問題についてであります。
同審議会も、個性豊かな活力ある地域づくりを進める観点からも、国から地方への権限委譲等を積極的に推進し、地方の自主性、自律性の強化を図ることが必要であると極めて具体的に強調していますが、このことは我が和歌山県行政対市町村あるいは県の出先機関と置きかえて理解をすべきと考えますけれども、当予算においてこれの具現化がいずこになされているのか開陳をされたいのであります。
ここで付言をいたしたいのは、中村先生は権限委譲に財源的措置が付随していないからだめなんだとおっしゃいました。そのことは過般来の県議会で具体的に申し上げておきましたから、この点については中村先生とも一致するのでありますけれども、私は国、県がそういう情勢にあるならば、県もそれなりきに市町村団体との間にこういった策を考えることが適切ではないかという判断から二つ目の質問をいたしたのです。
三としてお尋ねいたしたいのは、税収入の問題であります。
正しく申告をして正しく納税をすることが国民、県民の義務であり、かつ行政面ではそれぞれ県民の負担応力の適正化が肝要と存じます。かつて、決算の中に不動産取得税の不納欠損の措置を求める議案がありましたが、それに理由として「当該者住所不明」と記入されており、不動産取得税に納税者の住所がわからないということはあるはずがないということを本会議で指摘いたしたことがあります。
今回の予算概況説明の二ページに、「税収については、復調傾向にあるものの、その水準は未だ十分なものとはいえず」と述べていらっしゃいます。
ここに、二月二十三日の「紀伊民報」の記事をコピーしてまいりました。昨年四月から十二月までの抽出調査の結果、申告漏れの結果が二十二日大阪で明らかにされたという見出しで、和歌山県内では千三百二十九件のうち九九%弱の千三百十件の申告誤りで、申告漏れは八十七億八千百万円、税額で二十三億二千九百万円を追徴したと報ぜられています。なお、申告漏れ所得額のトップは不動産代理仲介業で一件当たり九百万余となる事実から、県民として納得できない事柄であると考えます。
和歌山県税として、税法に基づく三年間遡及徴収と考えるとどんな金額になるのか、また計上されている県税収入の中でこれの占める比率は一体どうなるのか伺いたいし、またこうした事象が現存するのであれば、徴税事務の中でどんな方策を検討課題としていらっしゃるのか──ここ、答弁漏れせんようにしてよ──明確にされたいのであります。
次に、議案第四十一号、四十二号、県職員定数条例及び職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例について質問をいたします。
県職員定数条例の推移を眺めてみますと、昭和六十二年三十人、六十三年二十人、平成元年五十人、二年二十人、三年三十人減と、この五年間連続減少を続け、五年間で計百五十人の減、つまり昭和六十二年三月の四千五百四十四人から平成三年度四千三百九十四人という実情になっております。
この五年間の県行政における活発化、必然的な事業の伸長は偉大なものがあり、今回の知事提案理由要旨も十七ページ、説明時間約三十五分に及ぶ膨大なものでありました。我が社会党議員団の森委員長の和歌山放送における当初予算に対する意見の中でも、今回の当初予算については「時宜を得た適切な積極的予算で、基金の取り崩しなども行い、関西国際空港の波及効果をねらって県勢の浮上を期しているのであります」云々と、賛辞とも言える言葉を送っているのであります。また初日来の一般質問でも、どなたの議員の質問を聞いておりましても、どこかに「躍進する県政」という言葉が用いられています。つまり、その事業量の増加をも認めた上での発言であろうかと思うのであります。
こうした検討を深めれば、そのことと逆比例的に五年間にわたって百五十人もの定員削減は県勢浮上の原動力をそぐことにはならないのか、またひいては、職員多忙の余り、心ならずも従来弱い部面と言われている福祉行政、各部面における縁の下の力持ち的存在である研究部面、土木の中では特に用地交渉等々の部面に影を落とすことになるのではないかとの危惧の感を強くいたしますので、この際、定員削減の尺度を明示されたいし、過去五年間の定員削減を部門別にお答えをいただきたいのであります。
なお、年次有給休暇の消化率を眺めてみますと、一二%から一三%です。民間企業では退職の際に年次有給休暇の未消化分については買い上げ措置をもって対処いたしておりますが、地方公務員ではその処置がなされません。こういう現象面もとらえてみて、仕事はふえる、人は減る、どうも納得がいかない部面がありますのでお答えいただきたいのであります。
次に、幼児教育についてお伺いをいたします。
一時期は、郵便ポストの数ほど幼稚園をつくれという国民運動が起きました。あるいは大衆運動と言っていいんでしょうか、そういう運動が活発でありました。我が和歌山県においても、僻地対策に属することかもしれませんけれども、お寺やお宮さんの拝殿を利用してでも保育をいたすべきだとし、幼児教育としての実を上げるべく、行政の中でそういう面にも助成を行っていたこともあります。
最近、年を経るに従って、老齢化時代というか老齢化現象という声はだんだんと大きくなってまいりましたけれども、反面、出生率の低下については余り問題視されない。幼稚園、保育所への就園率、入所人員の漸減の傾向にともすれば気づかないで、県政の中でこの方面の対策に風洞を感じないだろうか。
行政の中では幼稚園と保育所、つまり児童保護法から発したものととして基本的に幼稚園は文部省、保育所は厚生省というふうに二つに大別をされるけれども、さらに和歌山県では私立と公立というふうに四分化されています。担当部門では総務学事課、民生、教育委員会に分割をされている関係でありますが、お聞きをしてみると、それぞれの担当部課では精いっぱいの努力をなさっていらっしゃる様子です。 かつて永井文部大臣時代には、一時、小学校入学年齢を二歳ないし三歳引き下げた新しい方向での幼児教育の部内論議もあったかに記憶をいたすのでありますが、少数化していく幼児教育というか育成の方向について、我が和歌山県行政の中で担当部が多岐にわたるので、特に総務部長が各部の意見調整の上、確立された今後の方針の御見解を示されたいのであります。
次いで、県警本部長に質問をいたします。
「ソ連の銃、大量密輸 四十一丁と実弾七百発を押収」「けん銃五百丁密輸 東南アジアから和歌山へ」「中国製?短銃千丁を密輸か」、これは毎日、朝日、読売各社の十二月九日、十二月二十五日付の新聞記事のタイトルでありますが、いずれも内容は警視庁捜査四課及び東京税関から取材の形で報道されております。そのいずれもが、和歌山県下の漁港を密輸ルートの水揚げ場に使用していると報ぜられているのであります。中には、事情聴取の際、過去数年にわたり千丁以上のけん銃を運んだことが明らかになっている等が報ぜられているのであります。聞くところによりますと、ソ連開発の中国製と見られるトカレフとかいうものだそうですが、県警察本部長に伺います。
一番目として、これら記事内容の事実関係についてはどの程度、さらにはこの事態把握についてはどう整理されているのか、お答えをいただきたい。
二番目には、もしこのことが事実であるか、あるいは事実関係につながる疑惑があるとするならば、警察行政を審議指導する立場の公安委員会として、いかなる論議をし、どんな手段を講じ、予防、取り締まりにどんな対策を検討しているのか、また検討されたのであったら今回の当初予算の中でどう処置されているのか、御回答をいただきたいのであります。
三番目には、県警本部として当然、新聞内容にあるがごとく、漁業協同組合、税関の両者と連絡を密にし、防止対策なり事実確認の処置がなされるべきと愚考いたしますが、これについての経過と結果を解明されたいのであります。
なお、よく警察本部は捜査段階の秘密としてお答えをはばかりますけれども、今回は十二月に新聞の中で報道されている事象ということを踏まえて、ぜひ事実解明をしていただきたいと思います。
以上をもって、質問を終わりといたします。
最後に、私ごとでございますが、二十年間、県議会議員を務めさせていただきました。二回落選をいたしました。合わせて二十七年でございますが、今期をもって後進に道を譲ることを決意いたしました。大変長い間ありがとうございました。
電車の中で、「頼む陰もて立ち寄れば、なおそでぬらす松の下露」。落選した八年の間、陰ひなたとなって激励をしていただき、厚い友情で包んでいただいたことを、今さらのごとく思い返して涙しております。
どうか、議員生活は終わっても皆さん方の変わりない御交誼を、なお当局の皆さん方には、歯にきぬ着せぬたちの田中でございましたが、二十年間のよしみで御了解をいただき、今後ともぜひよろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
中小企業の社会的貢献に対する期待とその実績効果を上げるための行政措置についてでございます。
お話ございましたように、企業は地域社会を構成する重要な一員でもございますし、また地域住民や地方自治体と一体となって地域経済社会への貢献が非常に期待されているところでございます。
地域の活性化、地域経済への貢献はもちろんでございますけれども、地域福祉、教育、文化、スポーツ等の活動やそうした面への参加など、地域に根づいた、地域とともに歩むという企業みずからの積極的な貢献施策が望まれるところでございます。
これまでも県では企業からの多様な社会的貢献をいただいてきたところでございますけれども、今後もなお一層、社会的貢献への効果を上げるために、現在、通産省で企業の社会的貢献についての指針が検討されておるわけでございますが、これを参考としてさらに検討を進める一方、経済団体や関係機関と協議して、企業経営者に対してできる限りの御理解と御協力を積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
最後に、田中議員には五期二十年の長きにわたって県議会議員として御活躍をいただきました。
議員としての豊富な経験をもとに、財政問題等、多方面にわたり種々御意見を賜り、ありがとうございました。議会人として熱意ある姿勢に感謝と敬意を表するとともに、今後ともますます御健勝、御多幸をお祈り申し上げます。どうもありがとうございました。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) お答えを申し上げます。
まず、企業の地域貢献に関連いたしまして、予算編成の根拠となる県下の事業所得についてでございます。
事業所得に対して課税される県税としては、法人事業税、個人事業税及び個人県民税がございます。
個人事業税は前年中の事業所得に対して、また個人県民税は前年中の事業所得のほか給与所得等の所得に対して課税されるものでございます。また法人事業税については、当該法人の事業年度を基準としてその期間中のすべての所得を対象に課税することとされております。この場合、他府県に本店または支店のある法人については、当該法人の所得の全額について従業員等の数を基準として分割し、事業所所在の府県において課税をするという仕組みになっているわけでございます。
以上のことから、これらの税収入の基礎になる所得額についてお答え申し上げますと、平成元年度で約三千二百八十七億円の実績となっております。また平成二年度は現在までの確定額と今後の見込み額を含めて約三千四百九十七億円、平成三年度の税収予算額の基礎となった所得額では約三千五百三十二億円を見込んでおります。
算出根拠については、個人の事業所得にあっては、昨年の経済状況を踏まえながら前年度の課税実績額を基準とし、これに過去の実績の推移を勘案して一定の伸びを見込んだものでございます。また法人の所得については、今後確定していくものであることから、前年度の実績を基礎に国の経済見通し、特に本県が課税対象としている大口法人を中心とした約三百五十法人に対する業績見込みについてのアンケート調査結果などから三年度分を見込んだものでございます。
次に、公債費の構成比と県の財政状況の把握の問題でございます。
平成三年度当初款別予算における公債費は三百三億三千八百万円で、その内訳は、長期債の元利償還金及び一時借入金の利子等でございます。また、対前年度伸び率は金利高を反映した利子の負担増に伴って六・九%となっておりますが、県予算に占める割合は六・七%で、御指摘のように平成二年度当初と同じ数値になっております。
なお、平成三年度の地方財政計画における公債費の割合は八・二%であり、本県は地方財政計画に比べればなお低い水準にはございますが、今後、各般の建設事業等の進展に伴い、県債発行増あるいは公債費の増高が見込まれるため、後年度の財政硬直化の要因とならないように、県債発行に当たっては元利償還時に交付税算入される財源つきの県債の活用にも努めているところでございます。
いずれにいたしましても、本県の財政状況は県税収入は一時に比べると復調過程にはございますが、その水準はいまだ十分なものとは言えません。税収構造の不安定性に加え、今後の経済動向にもなお不透明な要素もございますし、また県債残高を見ても──これは平成二年度末見込みでございますが──一般会計ベースで二千二百三十四億円という残高になっていることなどから、依然として厳しい状況にあるものと認識いたしております。したがいまして、県勢活性化のために不可欠な諸施策を実行していくために工夫を凝らし、また御指摘のございました公債費負担の状況等にも十分目を配りながら適切な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
三番目に、地方財政審議会の意見を引用されての権限委譲の問題でございます。
地方自治制度上、都道府県事務と市町村事務については、それぞれの責任分担があり、権限委譲にも一定の制約があろうかと思います。県としても、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が処理をすることを基本として、これまでも本庁から出先機関へ、あるいは県から市町村へと行政の現地性、県民の利便性を考えて権限委譲等、市町村の自主性、自律性の強化を図るための施策を進めてまいったところでございます。平成三年度においても、公害防止に係る権限の一部の委任等で二千五百四十万円の予算措置を行っております。また、県独自の制度ではございませんが、きめ細やかな施策が求められる福祉行政にあって、老人福祉施設等への入所措置権を平成五年四月以降、町村に委譲すべく、その準備を進めているところでございます。
なお、個性豊かな活力ある地域づくりを推進するため、市町村の地域振興事業に対する支援として、さきがけ支援事業の補助金一億二千万円、貸付金五億円、市町村地域づくり事例集の策定事業約一千万円など、必要な予算措置を講じているところでございます。
次に、申告所得税の調査結果と県税収入との関係、及び申告漏れに対する県の対応についてでございます。
国税当局において、平成二年中の営庶業所得者についての調査結果が発表されました。申告の遺漏が見られることは、自主申告、自主納税という申告納税制度の趣旨から見て、まことに遺憾なことであると考えております。
このたびの所得の申告漏れに対して課税する県税としては、個人県民税と個人事業税がございます。発表された申告漏れの所得額は平成元年中の所得だけでなく過去の年分の所得についても遡及されて把握されたものであり、県税のうち個人県民税と個人事業税の課税については、地方税法の規定により国税において把握された額を課税標準として追加課税を行ってきているところでございます。これによる課税額は個人県民税で約二億二千九百万円、個人事業税で約二億六千八百万円、合計四億九千七百万円となるものと見込んでおります。県税収入全体に対する割合は約○・五%でございます。
申告漏れの防止策については、これらの県税は地方税法の規定で国税当局において申告または調査により把握された所得額を基準とするものであり、脱漏分の把握についてはまず国税当局が調査をするものとされておりますが、県としても課税の公平を図る観点から、国、県、市町村の三者による共同納税相談の場において納税者の相談に応じ、正しい申告がなされるように努めるとともに、税務執行上の調査について、関係税法において国、県、市町村が相互に協力要請できる旨の規定の趣旨に沿い、情報交換等の協力を行ってきております。また正しい申告がなされるように、テレビ、ラジオ、「県民の友」などの広報媒体によって納税意識の高揚に努めているところでございます。
特に今後の課題を含めてでございますが、こうした三税協力の枠組みをいかに有効に活用していくかがポイントであろうかと思っております。そうした認識のもとに、適正申告、適正納税に向けてさらに努力をしてまいりたいと考えております。
次に、職員定数の問題でございます。
定数削減については、定員管理の適正化を進め、限られた財源の中で県政にとって必要なサービス、行政水準の低下を招かないように配慮をいたしながら、組織の統廃合あるいは制度改正や事務処理方法の改善、業務委託、さらに事業の廃止及び縮小などを行う中で進めてきたものでございます。
なお御指摘もございましたが、大型プロジェクトの推進等に必要な用地交渉部門等に増員を図るなど、新たな行政需要への対応にも意を用いてきているところでございます。
部門別の削減状況についてでございますが、手元の資料から申し上げますと、お尋ねでは過去五年間の数値ということでございましたけれども、昭和六十三年から平成二年四月までで主なところを申し上げますと、減員では農林水産部の三十一名、土木部の二十八名、県事務所の十六名等となっており、増員では企画部が三名増という状況にございます。
最後に、幼児教育についてでございます。
人間形成の基礎を培う幼児教育に対する重要性がますます高まる中で、幼稚園と保育所はその制度上、目的、性格、機能等を異にしておりますが、ともに幼児教育に大きな役割を果たしております。県としても、それぞれの充実振興に努めてきているところでございます。
しかし議員御指摘のとおり、近年の出生数の減少傾向や地域の人口動態の変化等、幼児教育を取り巻く環境には極めて厳しいものがございます。したがいまして、今後それらを勘案し、幼稚園と保育所の特性、地域の実情等を踏まえて、適正な配置等について庁内関係部局や市町村等と今まで以上に連携を密にし、協議、調整を図って幼児の健全育成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) まず、けん銃の密輸に関する事実関係についてどの程度把握しているかとの御質問でございます。
御指摘のトカレフけん銃が大量に密輸入されたとの新聞報道は承知しておりますが、他の警察の捜査にかかわる事項でもあり、また現在、捜査が継続中ということなので答弁は差し控えさせていただきます。
次に、当初予算面における対応についてでございます。
財政当局の御理解を得て、平成元年度から新たに暴力団対策費として予算措置を講じているところでございます。平成三年度当初予算案においても、捜査資器材の充実整備を含め、予算の増額について配慮していただいているところであります。また、この春の人事異動で捜査第二課に暴力団対策室を設置するなど、体制の整備を図っているところであります。
次に、関係機関との連携対策等についてでございます。
従来から、税関、海上保安庁等、関係機関との定期的な会合、漁業関係者等との情報交換を積極的に行うなど、連携の強化を図っているところでございます。
けん銃等の密輸入事犯については、水際における対策が極めて重要なことでございまして、今後とも関係機関との連携を図りながら、この種事犯の検挙に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 先週の金曜日から発熱をいたしまして、ろれつが回らなくて大分わかりにくかったと思いますが、それぞれ適切な御答弁をいただいてありがとうございました。
ただ一つ、総務部長。当初予算を検討している際、突き当たっていつもわからなかった点があるんです。今おっしゃったような数値がわかっておるなら、なぜ説明書の中に書かんのかなあというのが一つです。
もう一つは、企画部長に属するか知りませんが、統計課で持っている数値は、元年度、二年度でもまだ細かい数字が集まっておらない。ところが中央の資料を見ると、中央集計ではきちんと出ている。中央で集めている資料は各府県に言わないで勝手につくっているんかいなあという疑心暗鬼が出てきて困る。数字のことですから、どれが本当の数字かなあということで判断に苦しむことが多い。中央で集約をするテンポと、統計課なりそれぞれの課で集めた数値を基礎にして三年度予算を組むに当たっての数値のとらまえ方のテンポとどういうふうに違うのか、これはお教えをいただきたいと思います。
次は、百五十人削減されたやつをおっしゃってくれましたが、私の聞き間違いか、減り方が五十人か六十人足りませんね。
それはそれとして、私の知る範囲では土曜日も休日になった。私が考えるのに、勤務時間が短縮になったらそれに見合う何人かは増員しないことにはいかんのではないか。また例えば、その職員に対する給与なり処遇なりの計算を○・三ずつ考えないかんのじゃないか、などとそれぞれの企業では定数を決める尺度というものを持っていらっしゃると思う。おまえとこ頑張ったから一人ふやしてやるわよなんということは県庁の中では許されんと思う。例えば、今度の部長はなかなかやり手やから自分の部の人員をふやしたとか、課長がやり手であって自分の課の課員を一名増員してきたぞと、こういうことがあってはならないと思うし、やられてないと思うんですが、そういう認定をする肝心の総務部で百五十人も減らしたけれども、どうも根拠がぴしっとしない。
もう一つは、先ほど触れたんですけれども、年次有給休暇の消化率が一三・七%ぐらいです。私はなぜ聞いたかと言うと、減らした職場で年次有給休暇がどういう格好になっているか、実は知りたかった。全体的なトータルでは一三%消化か一二%消化か知らんけれども、削減をされる部局とされない部局で差が出ておるかどうか、どこで認定しているだろうかということが不思議だったんです。削減されている三十一人というのは農林水産、土木関係で二十八人、地方事務所で十六人だと言われると、どうも私の知っている数字と合ってこない。この点をひとつ。もう一遍言いますが、定員を削減する尺度は何か、これを教えていただきたい。
くどく言います。機械を導入した、給料計算の機械を例えば五千万で設備をしたから五千万に見合う人件費を逆計算して人員を何人減らすんだというやり方は、間々事務屋のやる手です。現実を考えないで、何ぼの機械を入れたから人件費でその機械の減価償却をして削減していくんだというやり方を事務屋はやる。一番苦労するのは技術屋です。土木の測量設計、現場調査が数値として上がってこないで、オーバー労働になっているというあたりの判断の仕方が総務部としては甘いんではないかということを考えますので、もう一回お教えを願います。
先ほど言った、統計課でつかんでいる数値と中央で出している資料の中の数値との予算編成に使う数値の違い、出どころ、つかみ方、これについてお教えをいただきたい。
知事の答弁のしまいに涙っぽいあいさつをされたので、つい鋭鋒が鈍りましたが、以上をもって再質問を終わります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長山中昭栄君。
〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 第一点目の、統計数値等の取り扱いについてでございます。
統計の内容等によって、国あるいは県それぞれのレベルで数値を把握する時期等については、ずれがあろうかと思います。また、特に経済関係指標等であると、国はマクロの推計をいたします。それに対して県は実績ベースで数値を把握するといったような違いもあろうかと思います。
ただ、御指摘ございましたように、予算等の内容の御審議をいただく際には、私どももその基礎となる数値等についてできるだけ利用をしていただきやすいように、さらに公表のあり方等について工夫をしてまいりたいと考えております。
第二点目の、定数削減に関してでございます。
御指摘のように、年次有給休暇の消化率は、押しなべてみると年十三日程度でここ数年推移をしてきております。もちろん、隔週土曜閉庁ということになりますと、当然、勤務時間の短縮になるわけでございますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもとしては、いかに適正に定員管理を行っていくかという観点から、県行政の事務の執行に支障を生じないように組織の統廃合のタイミングをつかまえるとか、あるいはOA化等の推進による事務処理方法を改善してそこに従事する職員をよそに回すとか、さらに民間に対する業務委託を推進する、そういったことを一つの尺度、契機として削減に努めてきているところでございます。
なお、先ほど昭和六十三年から平成二年までの削減の数値を申し上げましたが、それは主な減員、増員の部門についてお答えを申し上げたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、田中実三郎君の質問が終了いたしました。