平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第六号 平成三年三月四日(月曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十一号まで及び報第一号(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十一号まで及び報第一号(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田 亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本 一
 6 番 宗 正 彦
 7 番 岡 本 保
 8 番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 10 番 中 村 裕 一
 11 番 平 越 孝 哉
 12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本 進
 15 番 古 田 新 蔵
 16 番 浦 武 雄
 17 番 堀 本 隆 男
 18 番 宇治田  栄 蔵
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門 三佐博 
 25 番 尾 崎 要 二
 26 番 那 須 秀 雄
 27 番 木 下 義 夫
 28 番 上野山 親 主
 29 番 北 村 翼
 30 番 尾 崎 吉 弘
 31 番 西 本 長 浩
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松 本 貞 次
 34 番 浜 本 収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田 中 実三郎  
 40 番 森 利 一
 41 番 村 岡 キミ子  
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村 博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺 勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(なし)
〔備 考〕
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  上 野 寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員 玉 置 英 夫
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 おはようございます。一九九一年二月定例県議会の一般質問も、日を追いまして本日が最終日となりました。不肖私がこの壇上から質問をさせていただくのもこれが最後になると存じます。皆さん、長い間、本当にありがとうございました。
 県議会議員在任中、定例及び臨時議会の質問並びに当局の答弁を収録したテープは、私の手元に七十八号まで所蔵いたしております。今日ただいま第七十九号のテープが始動していることを意識して、感慨無量なものがあります。どうかひとつ、最後まで皆さん方の御協力をお願い申し上げます。
 昭和三十八年七月十一日、不肖私が初登壇をいたしました。同じ日に、大先輩の妙中議員と二人で午前中、質問だけに終始いたしました。今思いますと、私の質問は一時間ちょっといたしたように記憶しています。当時の議事録をけさほど読み返してまいりました。そのことも付言をいたしておきます。
 さて、議案第一号平成三年度当初予算について質問を申し上げます。
 まずお断りしておきますけれども、この原稿を書いたのが二十六日でございまして、その後ちょっと日がたちまして情勢が変わってまいりました。普通の変わりようと違いまして、大変な変わりようでございます。したがって、私の質問も内容は変えておりませんけれども、力点の置き方に若干予告と違うところもありますから、総務部長、ひとつ答弁漏れのないように、前もってお願いをしておきます。
 八月二日、イラクのクウェート侵攻による湾岸戦争に端を発し、湾岸貢献策としての四十億ドル、さらには国際電話一本ごとに階段的に上昇したと言われている、あるいは人によっては米国依存外交政策の落とし子とまで言われている九十億ドル──国民一人当たり一万円だそうですが──という多国籍軍に対する援助金にと発展いたしました。聞くところによりますと、一日の軍事費が五億ドルで九十日間と予定をし、それの二○%は日本が負担をしてほしいというのが積算の根拠のようであります。
 湾岸戦争は、この二十六日のイラク軍のクウェートからの撤退、二十八日の多国籍軍の戦闘行為の停止、さらにはイラクの国連安保理決議の全面受諾と、戦争終結に向けて大きく動き出し、全面停戦に至りました。私も、早期和平の実現を心から願っておったものであります。一方、今後の戦後復興に向けて戦後の処理費は巨額に上るとの報道もなされておりますし、さらには米国は米国金融制度の改革も考えておるんだというふうなことを発言いたしております。そういうことでありますと、平成三年度の日本財政はもちろん、今日提案をされている地方財政に基づく我が県の当初予算についても、全面的と言っていいほどに改変を見なくてはならないのではないだろうか。また、農業問題についてもより複雑になってくるのではなかろうか等々、思考は乱れてくるのであります。
 それはそれといたしまして、今日提案されている三年度当初予算について検討を加えてみたいと思います。
 まず第一に、県下における企業の地域貢献についてお伺いをいたします。
 知事の提案要旨において、「農林水産業や観光関連産業などの地域産業と一体となったリゾート産業の振興にも取り組んでまいります」とおっしゃっていることは、県内企業の参画あるいは企業誘致とも関連をする問題点ではあるが、それぞれの地域における貢献ないしは地域発展のための協力参加を含んだ内容だと私は受けとめましたけれども、最近よく耳にする企業の社会的貢献を和歌山県の行政の中に取り上げなくてはならないと思うのです。
 そこで、具体的にお伺いいたします。
 一つ目、中小企業経営者にどうした社会貢献を求め、かつ当局としては期待をしているのですか。
 二つ目、前項の実績効果、すなわち中小企業経営者が社会貢献の実績を上げるためには県行政としてどんな行政措置をなさるおつもりか。つまり、どんなことを企画していらっしゃるのか。
 三つ目、予算編成の根拠となる県下の事業所得をどのように把握していらっしゃるのか。つまり、予算を組むときに平成元年、二年はどんな数値であったのか、平成三年度ではどんな数値を策定したのか、またその策定数値の根拠はそれぞれ何であるのか。今度の予算を拝見して参考資料も眺めてみましたが、なかなか難しい。資料の出し方にいろいろあります。その点は後でも申し上げますが、数値をつかむのに全く苦労をしたのでこういう質問が出てくるのです。
 以上、具体的に三つの点で質問をいたしましたが、知事及び関係部長にその見解を求めたいのであります。特に部長は、「先刻、知事から答弁がありましたとおり」などという前提でなしに、知事の答弁と重複するがごときことを避けた答弁をいただきたいのであります。
 第二番目として、第一号議案平成三年度当初予算の編成に当たっての問題点について、一、二お伺いをいたします。
 地方財政を論議する場合、種々な見方があります。いろんな角度から論議をする手法はあると思いますけれども、私は今回、公債費負担比率から当予算を考えてみました。
 公債費負担比率が予算編成の一つの基準ということについては今までもたびたび論議してまいりましたが、従来、公債費比率が一八%になればその地方財政は赤字だということが定説のごとく言われた時期がありました。自治大臣の諮問機関である地方財政審議会が十二月十四日に平成三年度の地方財政についての意見書を発表しておりますが、その中に「平成二年度末統計によると、全国的に公債費負担比率一五%以上を占める地方公共団体はその五割を占めている」と述べております。
 我が和歌山県は、平成二年度、三年度のいずれもが六・七%であります。前述いたしました数字のとり方がいろいろあるというのは、一八%というのは財政基準額を分母とした公債費負担の数値であろうかと思います。今申し上げた六・七というのは、予算全体の中の構成比であると思います。資料の中に正しい公債費負担比率の数字がありませんから、やむを得ず予算説明書の中に出ている数値を使わせてもらいました。和歌山県は、いずれもが六・七%の構成比率を占めています。これは、二年も三年もです。ですから部長は、前段述べた二点を考慮に入れながら、県の財政状況はどんな状態にあるんだと把握をしていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいのであります。このことは予算編成の概念として肝要なことと考えますので、部長、具体的にお答えを求めます。
 二つ目は、これは過日、中村博議員も若干触れていらっしゃいましたけれども、私の視点と少しずれているように思いましたので、あえて取り上げてみました。それは、権限委譲の問題についてであります。
 同審議会も、個性豊かな活力ある地域づくりを進める観点からも、国から地方への権限委譲等を積極的に推進し、地方の自主性、自律性の強化を図ることが必要であると極めて具体的に強調していますが、このことは我が和歌山県行政対市町村あるいは県の出先機関と置きかえて理解をすべきと考えますけれども、当予算においてこれの具現化がいずこになされているのか開陳をされたいのであります。
 ここで付言をいたしたいのは、中村先生は権限委譲に財源的措置が付随していないからだめなんだとおっしゃいました。そのことは過般来の県議会で具体的に申し上げておきましたから、この点については中村先生とも一致するのでありますけれども、私は国、県がそういう情勢にあるならば、県もそれなりきに市町村団体との間にこういった策を考えることが適切ではないかという判断から二つ目の質問をいたしたのです。
 三としてお尋ねいたしたいのは、税収入の問題であります。
 正しく申告をして正しく納税をすることが国民、県民の義務であり、かつ行政面ではそれぞれ県民の負担応力の適正化が肝要と存じます。かつて、決算の中に不動産取得税の不納欠損の措置を求める議案がありましたが、それに理由として「当該者住所不明」と記入されており、不動産取得税に納税者の住所がわからないということはあるはずがないということを本会議で指摘いたしたことがあります。
 今回の予算概況説明の二ページに、「税収については、復調傾向にあるものの、その水準は未だ十分なものとはいえず」と述べていらっしゃいます。
 ここに、二月二十三日の「紀伊民報」の記事をコピーしてまいりました。昨年四月から十二月までの抽出調査の結果、申告漏れの結果が二十二日大阪で明らかにされたという見出しで、和歌山県内では千三百二十九件のうち九九%弱の千三百十件の申告誤りで、申告漏れは八十七億八千百万円、税額で二十三億二千九百万円を追徴したと報ぜられています。なお、申告漏れ所得額のトップは不動産代理仲介業で一件当たり九百万余となる事実から、県民として納得できない事柄であると考えます。
 和歌山県税として、税法に基づく三年間遡及徴収と考えるとどんな金額になるのか、また計上されている県税収入の中でこれの占める比率は一体どうなるのか伺いたいし、またこうした事象が現存するのであれば、徴税事務の中でどんな方策を検討課題としていらっしゃるのか──ここ、答弁漏れせんようにしてよ──明確にされたいのであります。
 次に、議案第四十一号、四十二号、県職員定数条例及び職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例について質問をいたします。
 県職員定数条例の推移を眺めてみますと、昭和六十二年三十人、六十三年二十人、平成元年五十人、二年二十人、三年三十人減と、この五年間連続減少を続け、五年間で計百五十人の減、つまり昭和六十二年三月の四千五百四十四人から平成三年度四千三百九十四人という実情になっております。
 この五年間の県行政における活発化、必然的な事業の伸長は偉大なものがあり、今回の知事提案理由要旨も十七ページ、説明時間約三十五分に及ぶ膨大なものでありました。我が社会党議員団の森委員長の和歌山放送における当初予算に対する意見の中でも、今回の当初予算については「時宜を得た適切な積極的予算で、基金の取り崩しなども行い、関西国際空港の波及効果をねらって県勢の浮上を期しているのであります」云々と、賛辞とも言える言葉を送っているのであります。また初日来の一般質問でも、どなたの議員の質問を聞いておりましても、どこかに「躍進する県政」という言葉が用いられています。つまり、その事業量の増加をも認めた上での発言であろうかと思うのであります。
 こうした検討を深めれば、そのことと逆比例的に五年間にわたって百五十人もの定員削減は県勢浮上の原動力をそぐことにはならないのか、またひいては、職員多忙の余り、心ならずも従来弱い部面と言われている福祉行政、各部面における縁の下の力持ち的存在である研究部面、土木の中では特に用地交渉等々の部面に影を落とすことになるのではないかとの危惧の感を強くいたしますので、この際、定員削減の尺度を明示されたいし、過去五年間の定員削減を部門別にお答えをいただきたいのであります。
 なお、年次有給休暇の消化率を眺めてみますと、一二%から一三%です。民間企業では退職の際に年次有給休暇の未消化分については買い上げ措置をもって対処いたしておりますが、地方公務員ではその処置がなされません。こういう現象面もとらえてみて、仕事はふえる、人は減る、どうも納得がいかない部面がありますのでお答えいただきたいのであります。
 次に、幼児教育についてお伺いをいたします。
 一時期は、郵便ポストの数ほど幼稚園をつくれという国民運動が起きました。あるいは大衆運動と言っていいんでしょうか、そういう運動が活発でありました。我が和歌山県においても、僻地対策に属することかもしれませんけれども、お寺やお宮さんの拝殿を利用してでも保育をいたすべきだとし、幼児教育としての実を上げるべく、行政の中でそういう面にも助成を行っていたこともあります。
 最近、年を経るに従って、老齢化時代というか老齢化現象という声はだんだんと大きくなってまいりましたけれども、反面、出生率の低下については余り問題視されない。幼稚園、保育所への就園率、入所人員の漸減の傾向にともすれば気づかないで、県政の中でこの方面の対策に風洞を感じないだろうか。
 行政の中では幼稚園と保育所、つまり児童保護法から発したものととして基本的に幼稚園は文部省、保育所は厚生省というふうに二つに大別をされるけれども、さらに和歌山県では私立と公立というふうに四分化されています。担当部門では総務学事課、民生、教育委員会に分割をされている関係でありますが、お聞きをしてみると、それぞれの担当部課では精いっぱいの努力をなさっていらっしゃる様子です。 かつて永井文部大臣時代には、一時、小学校入学年齢を二歳ないし三歳引き下げた新しい方向での幼児教育の部内論議もあったかに記憶をいたすのでありますが、少数化していく幼児教育というか育成の方向について、我が和歌山県行政の中で担当部が多岐にわたるので、特に総務部長が各部の意見調整の上、確立された今後の方針の御見解を示されたいのであります。
 次いで、県警本部長に質問をいたします。
 「ソ連の銃、大量密輸 四十一丁と実弾七百発を押収」「けん銃五百丁密輸 東南アジアから和歌山へ」「中国製?短銃千丁を密輸か」、これは毎日、朝日、読売各社の十二月九日、十二月二十五日付の新聞記事のタイトルでありますが、いずれも内容は警視庁捜査四課及び東京税関から取材の形で報道されております。そのいずれもが、和歌山県下の漁港を密輸ルートの水揚げ場に使用していると報ぜられているのであります。中には、事情聴取の際、過去数年にわたり千丁以上のけん銃を運んだことが明らかになっている等が報ぜられているのであります。聞くところによりますと、ソ連開発の中国製と見られるトカレフとかいうものだそうですが、県警察本部長に伺います。
 一番目として、これら記事内容の事実関係についてはどの程度、さらにはこの事態把握についてはどう整理されているのか、お答えをいただきたい。
 二番目には、もしこのことが事実であるか、あるいは事実関係につながる疑惑があるとするならば、警察行政を審議指導する立場の公安委員会として、いかなる論議をし、どんな手段を講じ、予防、取り締まりにどんな対策を検討しているのか、また検討されたのであったら今回の当初予算の中でどう処置されているのか、御回答をいただきたいのであります。
 三番目には、県警本部として当然、新聞内容にあるがごとく、漁業協同組合、税関の両者と連絡を密にし、防止対策なり事実確認の処置がなされるべきと愚考いたしますが、これについての経過と結果を解明されたいのであります。
 なお、よく警察本部は捜査段階の秘密としてお答えをはばかりますけれども、今回は十二月に新聞の中で報道されている事象ということを踏まえて、ぜひ事実解明をしていただきたいと思います。
 以上をもって、質問を終わりといたします。
 最後に、私ごとでございますが、二十年間、県議会議員を務めさせていただきました。二回落選をいたしました。合わせて二十七年でございますが、今期をもって後進に道を譲ることを決意いたしました。大変長い間ありがとうございました。
 電車の中で、「頼む陰もて立ち寄れば、なおそでぬらす松の下露」。落選した八年の間、陰ひなたとなって激励をしていただき、厚い友情で包んでいただいたことを、今さらのごとく思い返して涙しております。
 どうか、議員生活は終わっても皆さん方の変わりない御交誼を、なお当局の皆さん方には、歯にきぬ着せぬたちの田中でございましたが、二十年間のよしみで御了解をいただき、今後ともぜひよろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 中小企業の社会的貢献に対する期待とその実績効果を上げるための行政措置についてでございます。
 お話ございましたように、企業は地域社会を構成する重要な一員でもございますし、また地域住民や地方自治体と一体となって地域経済社会への貢献が非常に期待されているところでございます。
 地域の活性化、地域経済への貢献はもちろんでございますけれども、地域福祉、教育、文化、スポーツ等の活動やそうした面への参加など、地域に根づいた、地域とともに歩むという企業みずからの積極的な貢献施策が望まれるところでございます。
 これまでも県では企業からの多様な社会的貢献をいただいてきたところでございますけれども、今後もなお一層、社会的貢献への効果を上げるために、現在、通産省で企業の社会的貢献についての指針が検討されておるわけでございますが、これを参考としてさらに検討を進める一方、経済団体や関係機関と協議して、企業経営者に対してできる限りの御理解と御協力を積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 最後に、田中議員には五期二十年の長きにわたって県議会議員として御活躍をいただきました。
 議員としての豊富な経験をもとに、財政問題等、多方面にわたり種々御意見を賜り、ありがとうございました。議会人として熱意ある姿勢に感謝と敬意を表するとともに、今後ともますます御健勝、御多幸をお祈り申し上げます。どうもありがとうございました。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) お答えを申し上げます。
 まず、企業の地域貢献に関連いたしまして、予算編成の根拠となる県下の事業所得についてでございます。
 事業所得に対して課税される県税としては、法人事業税、個人事業税及び個人県民税がございます。
 個人事業税は前年中の事業所得に対して、また個人県民税は前年中の事業所得のほか給与所得等の所得に対して課税されるものでございます。また法人事業税については、当該法人の事業年度を基準としてその期間中のすべての所得を対象に課税することとされております。この場合、他府県に本店または支店のある法人については、当該法人の所得の全額について従業員等の数を基準として分割し、事業所所在の府県において課税をするという仕組みになっているわけでございます。
 以上のことから、これらの税収入の基礎になる所得額についてお答え申し上げますと、平成元年度で約三千二百八十七億円の実績となっております。また平成二年度は現在までの確定額と今後の見込み額を含めて約三千四百九十七億円、平成三年度の税収予算額の基礎となった所得額では約三千五百三十二億円を見込んでおります。
 算出根拠については、個人の事業所得にあっては、昨年の経済状況を踏まえながら前年度の課税実績額を基準とし、これに過去の実績の推移を勘案して一定の伸びを見込んだものでございます。また法人の所得については、今後確定していくものであることから、前年度の実績を基礎に国の経済見通し、特に本県が課税対象としている大口法人を中心とした約三百五十法人に対する業績見込みについてのアンケート調査結果などから三年度分を見込んだものでございます。
 次に、公債費の構成比と県の財政状況の把握の問題でございます。
 平成三年度当初款別予算における公債費は三百三億三千八百万円で、その内訳は、長期債の元利償還金及び一時借入金の利子等でございます。また、対前年度伸び率は金利高を反映した利子の負担増に伴って六・九%となっておりますが、県予算に占める割合は六・七%で、御指摘のように平成二年度当初と同じ数値になっております。
 なお、平成三年度の地方財政計画における公債費の割合は八・二%であり、本県は地方財政計画に比べればなお低い水準にはございますが、今後、各般の建設事業等の進展に伴い、県債発行増あるいは公債費の増高が見込まれるため、後年度の財政硬直化の要因とならないように、県債発行に当たっては元利償還時に交付税算入される財源つきの県債の活用にも努めているところでございます。
 いずれにいたしましても、本県の財政状況は県税収入は一時に比べると復調過程にはございますが、その水準はいまだ十分なものとは言えません。税収構造の不安定性に加え、今後の経済動向にもなお不透明な要素もございますし、また県債残高を見ても──これは平成二年度末見込みでございますが──一般会計ベースで二千二百三十四億円という残高になっていることなどから、依然として厳しい状況にあるものと認識いたしております。したがいまして、県勢活性化のために不可欠な諸施策を実行していくために工夫を凝らし、また御指摘のございました公債費負担の状況等にも十分目を配りながら適切な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
 三番目に、地方財政審議会の意見を引用されての権限委譲の問題でございます。
 地方自治制度上、都道府県事務と市町村事務については、それぞれの責任分担があり、権限委譲にも一定の制約があろうかと思います。県としても、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が処理をすることを基本として、これまでも本庁から出先機関へ、あるいは県から市町村へと行政の現地性、県民の利便性を考えて権限委譲等、市町村の自主性、自律性の強化を図るための施策を進めてまいったところでございます。平成三年度においても、公害防止に係る権限の一部の委任等で二千五百四十万円の予算措置を行っております。また、県独自の制度ではございませんが、きめ細やかな施策が求められる福祉行政にあって、老人福祉施設等への入所措置権を平成五年四月以降、町村に委譲すべく、その準備を進めているところでございます。
 なお、個性豊かな活力ある地域づくりを推進するため、市町村の地域振興事業に対する支援として、さきがけ支援事業の補助金一億二千万円、貸付金五億円、市町村地域づくり事例集の策定事業約一千万円など、必要な予算措置を講じているところでございます。
 次に、申告所得税の調査結果と県税収入との関係、及び申告漏れに対する県の対応についてでございます。
 国税当局において、平成二年中の営庶業所得者についての調査結果が発表されました。申告の遺漏が見られることは、自主申告、自主納税という申告納税制度の趣旨から見て、まことに遺憾なことであると考えております。
 このたびの所得の申告漏れに対して課税する県税としては、個人県民税と個人事業税がございます。発表された申告漏れの所得額は平成元年中の所得だけでなく過去の年分の所得についても遡及されて把握されたものであり、県税のうち個人県民税と個人事業税の課税については、地方税法の規定により国税において把握された額を課税標準として追加課税を行ってきているところでございます。これによる課税額は個人県民税で約二億二千九百万円、個人事業税で約二億六千八百万円、合計四億九千七百万円となるものと見込んでおります。県税収入全体に対する割合は約○・五%でございます。
 申告漏れの防止策については、これらの県税は地方税法の規定で国税当局において申告または調査により把握された所得額を基準とするものであり、脱漏分の把握についてはまず国税当局が調査をするものとされておりますが、県としても課税の公平を図る観点から、国、県、市町村の三者による共同納税相談の場において納税者の相談に応じ、正しい申告がなされるように努めるとともに、税務執行上の調査について、関係税法において国、県、市町村が相互に協力要請できる旨の規定の趣旨に沿い、情報交換等の協力を行ってきております。また正しい申告がなされるように、テレビ、ラジオ、「県民の友」などの広報媒体によって納税意識の高揚に努めているところでございます。
 特に今後の課題を含めてでございますが、こうした三税協力の枠組みをいかに有効に活用していくかがポイントであろうかと思っております。そうした認識のもとに、適正申告、適正納税に向けてさらに努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、職員定数の問題でございます。
 定数削減については、定員管理の適正化を進め、限られた財源の中で県政にとって必要なサービス、行政水準の低下を招かないように配慮をいたしながら、組織の統廃合あるいは制度改正や事務処理方法の改善、業務委託、さらに事業の廃止及び縮小などを行う中で進めてきたものでございます。
 なお御指摘もございましたが、大型プロジェクトの推進等に必要な用地交渉部門等に増員を図るなど、新たな行政需要への対応にも意を用いてきているところでございます。
 部門別の削減状況についてでございますが、手元の資料から申し上げますと、お尋ねでは過去五年間の数値ということでございましたけれども、昭和六十三年から平成二年四月までで主なところを申し上げますと、減員では農林水産部の三十一名、土木部の二十八名、県事務所の十六名等となっており、増員では企画部が三名増という状況にございます。
 最後に、幼児教育についてでございます。
 人間形成の基礎を培う幼児教育に対する重要性がますます高まる中で、幼稚園と保育所はその制度上、目的、性格、機能等を異にしておりますが、ともに幼児教育に大きな役割を果たしております。県としても、それぞれの充実振興に努めてきているところでございます。
 しかし議員御指摘のとおり、近年の出生数の減少傾向や地域の人口動態の変化等、幼児教育を取り巻く環境には極めて厳しいものがございます。したがいまして、今後それらを勘案し、幼稚園と保育所の特性、地域の実情等を踏まえて、適正な配置等について庁内関係部局や市町村等と今まで以上に連携を密にし、協議、調整を図って幼児の健全育成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 警察本部長西村浩司君。
 〔西村浩司君、登壇〕
○警察本部長(西村浩司君) まず、けん銃の密輸に関する事実関係についてどの程度把握しているかとの御質問でございます。
 御指摘のトカレフけん銃が大量に密輸入されたとの新聞報道は承知しておりますが、他の警察の捜査にかかわる事項でもあり、また現在、捜査が継続中ということなので答弁は差し控えさせていただきます。
 次に、当初予算面における対応についてでございます。
 財政当局の御理解を得て、平成元年度から新たに暴力団対策費として予算措置を講じているところでございます。平成三年度当初予算案においても、捜査資器材の充実整備を含め、予算の増額について配慮していただいているところであります。また、この春の人事異動で捜査第二課に暴力団対策室を設置するなど、体制の整備を図っているところであります。
 次に、関係機関との連携対策等についてでございます。
 従来から、税関、海上保安庁等、関係機関との定期的な会合、漁業関係者等との情報交換を積極的に行うなど、連携の強化を図っているところでございます。
 けん銃等の密輸入事犯については、水際における対策が極めて重要なことでございまして、今後とも関係機関との連携を図りながら、この種事犯の検挙に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 先週の金曜日から発熱をいたしまして、ろれつが回らなくて大分わかりにくかったと思いますが、それぞれ適切な御答弁をいただいてありがとうございました。
 ただ一つ、総務部長。当初予算を検討している際、突き当たっていつもわからなかった点があるんです。今おっしゃったような数値がわかっておるなら、なぜ説明書の中に書かんのかなあというのが一つです。
 もう一つは、企画部長に属するか知りませんが、統計課で持っている数値は、元年度、二年度でもまだ細かい数字が集まっておらない。ところが中央の資料を見ると、中央集計ではきちんと出ている。中央で集めている資料は各府県に言わないで勝手につくっているんかいなあという疑心暗鬼が出てきて困る。数字のことですから、どれが本当の数字かなあということで判断に苦しむことが多い。中央で集約をするテンポと、統計課なりそれぞれの課で集めた数値を基礎にして三年度予算を組むに当たっての数値のとらまえ方のテンポとどういうふうに違うのか、これはお教えをいただきたいと思います。
 次は、百五十人削減されたやつをおっしゃってくれましたが、私の聞き間違いか、減り方が五十人か六十人足りませんね。
 それはそれとして、私の知る範囲では土曜日も休日になった。私が考えるのに、勤務時間が短縮になったらそれに見合う何人かは増員しないことにはいかんのではないか。また例えば、その職員に対する給与なり処遇なりの計算を○・三ずつ考えないかんのじゃないか、などとそれぞれの企業では定数を決める尺度というものを持っていらっしゃると思う。おまえとこ頑張ったから一人ふやしてやるわよなんということは県庁の中では許されんと思う。例えば、今度の部長はなかなかやり手やから自分の部の人員をふやしたとか、課長がやり手であって自分の課の課員を一名増員してきたぞと、こういうことがあってはならないと思うし、やられてないと思うんですが、そういう認定をする肝心の総務部で百五十人も減らしたけれども、どうも根拠がぴしっとしない。
 もう一つは、先ほど触れたんですけれども、年次有給休暇の消化率が一三・七%ぐらいです。私はなぜ聞いたかと言うと、減らした職場で年次有給休暇がどういう格好になっているか、実は知りたかった。全体的なトータルでは一三%消化か一二%消化か知らんけれども、削減をされる部局とされない部局で差が出ておるかどうか、どこで認定しているだろうかということが不思議だったんです。削減されている三十一人というのは農林水産、土木関係で二十八人、地方事務所で十六人だと言われると、どうも私の知っている数字と合ってこない。この点をひとつ。もう一遍言いますが、定員を削減する尺度は何か、これを教えていただきたい。
 くどく言います。機械を導入した、給料計算の機械を例えば五千万で設備をしたから五千万に見合う人件費を逆計算して人員を何人減らすんだというやり方は、間々事務屋のやる手です。現実を考えないで、何ぼの機械を入れたから人件費でその機械の減価償却をして削減していくんだというやり方を事務屋はやる。一番苦労するのは技術屋です。土木の測量設計、現場調査が数値として上がってこないで、オーバー労働になっているというあたりの判断の仕方が総務部としては甘いんではないかということを考えますので、もう一回お教えを願います。
 先ほど言った、統計課でつかんでいる数値と中央で出している資料の中の数値との予算編成に使う数値の違い、出どころ、つかみ方、これについてお教えをいただきたい。
 知事の答弁のしまいに涙っぽいあいさつをされたので、つい鋭鋒が鈍りましたが、以上をもって再質問を終わります。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 第一点目の、統計数値等の取り扱いについてでございます。
 統計の内容等によって、国あるいは県それぞれのレベルで数値を把握する時期等については、ずれがあろうかと思います。また、特に経済関係指標等であると、国はマクロの推計をいたします。それに対して県は実績ベースで数値を把握するといったような違いもあろうかと思います。
 ただ、御指摘ございましたように、予算等の内容の御審議をいただく際には、私どももその基礎となる数値等についてできるだけ利用をしていただきやすいように、さらに公表のあり方等について工夫をしてまいりたいと考えております。
 第二点目の、定数削減に関してでございます。
 御指摘のように、年次有給休暇の消化率は、押しなべてみると年十三日程度でここ数年推移をしてきております。もちろん、隔週土曜閉庁ということになりますと、当然、勤務時間の短縮になるわけでございますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもとしては、いかに適正に定員管理を行っていくかという観点から、県行政の事務の執行に支障を生じないように組織の統廃合のタイミングをつかまえるとか、あるいはOA化等の推進による事務処理方法を改善してそこに従事する職員をよそに回すとか、さらに民間に対する業務委託を推進する、そういったことを一つの尺度、契機として削減に努めてきているところでございます。
 なお、先ほど昭和六十三年から平成二年までの削減の数値を申し上げましたが、それは主な減員、増員の部門についてお答えを申し上げたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、田中実三郎君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番西本長浩君。
 〔西本長浩君、登壇〕(拍手)
○西本長浩君 浜口梧陵翁記念館──仮称でありますが──建設について質問いたします。
 憲政の理想に燃え、民衆とともに歩み、我が日本の議会政治の父と仰がれた「尾崎行雄翁のしおり」が私の手元にございます。いつも大切にしていますが、それには、「日本には政治家の記念物がない。尾崎行雄先生なら超党派で話がまとまるから記念館を建てよう」と、昭和二十九年十月、築地本願寺で行われた翁衆議院葬の後、だれからともなく国会議員の間で話が出て、間もなく国会議事堂前、元陸軍省参謀本部跡を敷地とし、国民に広く建設費を呼びかけ実現したのが、あの憲政記念館であります。この記念館に、上京の際、寸暇を割いて時々勉強に訪れますが、近代日本の民主主義を確立した翁の大きな足跡に非常な感激を覚えるのであります。
 今は昔、私が若き日、インド一周の旅をし、マハトーマ・ガンジーやネルーの記念館をも訪れて、異国の指導者の偉大な姿に敬服したのも遠い日のよき思い出であります。また最近では、近代日本の黎明期における偉大な先達、坂本龍馬の生誕百五十年を記念して龍馬歴史館が高知県野市町にオープンされたとも聞いてございます。
 このように、いずこの時代、いずこの国も偉大な人物をたたえ、記念館を通じて大きな教訓を後世に残し、伝え行くのもまた、後に生きる我々の大切な義務だと思うのであります。本県でも、南方熊楠記念館、佐藤春夫記念館が建てられ、近く華岡青洲記念館も建設されると聞いております。大変すばらしいことだと、御尽力賜っている方々に深く敬意を表し、大いに期待を申し上げているところであります。
 そこで私が強くお訴え申し上げたいのは、黒潮躍る有田の旧広村に生まれ、黒潮にはぐくまれ、祖国と和歌山県に大きく羽ばたいた浜口梧陵翁は、私たち和歌山県民の限りなき最高の誇りであります。それは、全国の人々、世界の人々も知る「稲むらの火」の梧陵翁、中央、地方において活躍、傑出した政治家・梧陵翁、人づくりこそ国づくりと人材を育てた偉大な教育家・梧陵翁、私財で大堤防を建設するなど多くの人々から崇拝され「生き神」と仰がれた梧陵翁、我が和歌山県会初代議長、我々の大先輩・梧陵翁、勝海舟らと交わって世界に広く知識を求めた梧陵翁と、数え上げれば枚挙にいとまがありませんが、まさに「梧陵の先に梧陵なし、梧陵の後に梧陵なし」と強く思うのであります。
 また、梧陵翁の崇高な防災の精神は、今でも遠くカナダ国において教材となり、地元広川町でも今なお、毎年、翁の御遺徳をしのび、児童の皆さんの参加を得て津波祭りが盛大かつ厳かに行われております。梧陵翁の残した遺徳は時代を超え、あるときは銅像として、あるときは記念碑として、またあるときは物語として広く人々の間に引き継がれておりますが、それに加えて、この翁の貴重な史資料による記念館は、後世の我々に、またこれからの世にすばらしい財産、教訓の贈り物となるのではないでしょうか。
 そこで知事に求めたいのは、この偉大な我々の大先輩・浜口梧陵翁の記念館を、この際、ぜひ広川町と連絡をとって県費で建設してほしいと強く思うのであります。知事の御所見を承りたい。
 この翁の経世済民の精神、強い奉仕の精神、炎と燃えた人材育成の精神、この翁の六十六年のすさまじい生涯が必ずやあすの日本を担い、あすの和歌山県を担い、二十一世紀を担う若い魂、次代を担う少年少女の胸を打つことは間違いありません。このように、翁の教訓によって国と民を強く思う精神を少しでも養うことができるなら、県費の十億、二十億、いや百億でも安いものであると、私は強く思うのであります。
 次に、旧県会議事堂の移築について質問いたします。
 根来寺の一角に保存されている一乗閣、つまり旧県会議事堂については、昨年九月の定例会、十二月の定例会本会議において中村博議員が詳しい資料をもとに質問されましたので、私から内容に触れる必要はありませんので差し控えます。
 〔議長退席、副議長着席〕
 この一乗閣について、きのう、根来寺の総務部長さんに聞いてみましたら、「この敷地に他の建物を建てたいという希望もあって、今苦慮しています。他の場所に移して保存していただければ大変ありがたい」と申しておられます。歴史的価値の高い旧県会議事堂は、由緒ある全国唯一の木造建築物でありますだけに、先ほどお願いいたしました広川町の浜口梧陵翁の歴史館と同敷地内に移築されればと強く考えるものであります。
 先日、私は、石原広川町長さんにこの旧県会議事堂の移築についてお願いを申し上げましたら、予定している天州の浜の埋立地あるいは浜口山を一度考えてみるという大変ありがたい話でございました。根来寺様側に長く御迷惑をかけないためにも、知事、建設的な御答弁をお願いいたしたい。
 仮谷知事の英断をいただき、移築された暁には、旧県会議事堂を空っぽにしておく手はない。そこで、先人、先輩、歴代県議会議員、または現職の方の由緒ある貴重な資料、また県当局側の歴代知事、そして現在の仮谷知事などの由緒ある貴重な資料をも併設すれば、和歌山県の政治の歴史がすべてわかり、すばらしい和歌山県政資料館になると存じます。和歌山県民のためにも、知事の御決意をお伺いいたしたい。
 次に、農業近代化について質問いたします。
 この四月一日、オレンジの輸入が自由化され、また来年の四月からはオレンジジュースも自由化されます。今、かんきつ産地では、来るべき国際化時代に向けて勝ち残るべく、味、品質で勝負できるミカンづくりに懸命の努力がなされております。
 このような状況の中で、農村地域では、農業者の高齢化の問題、後継者の確保の問題など、多くの問題が山積しております。また、農業者の作業中の事故や過酷な労働、農薬による健康上の問題についても、多くの話を各方面より伺っております。
 昨今の若者を中心に、「きつい」、「危険」など、三Kという言葉があります。私も、学校を出てから農業に従事いたしましたが、その労働の厳しさは大変なものであります。急傾斜地でなくても、かんきつ園での農作業は、真夏の農薬散布を初め、寒さ厳しい真冬の土壌改良、そして年末年始の収穫など、どれ一つとってみても楽なものはありません。若者に希望と魅力を持たせる第一として、安定した収益を確保することが極めて大事であることは申すまでもありませんが、三Kの解消もまた非常に重要な課題であります。急傾斜地での諸問題の解決には限界があることも承知しておりますが、国際化時代、産地間競争の激化などにも対応した生産コストの低減対策としてもぜひ必要であると考えるものであります。
 最近、吉備町では、農業用無人ヘリコプター──リモコンでありますが──を実験的に購入して、傾斜地を含めて、かんきつ園での農薬散布をどの程度まで行うことができるかの実験実施に取り組む動きがあります。非常に時宜を得た取り組みであると思います。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 農業近代化、農薬散布の質的軽減策の一つとして無人ヘリコプター導入の課題と将来への見通しについて率直にお答えいただきたい。
 次は、全国一の桜名所づくりについて質問いたします。
 私が、先輩、同僚議員の温かい御推挙によって議長に就任させていただいたのは、忘れもしない昭和六十三年七月でありました。以来、各位に深く感謝を申し上げているところでありますが、就任から二カ月たった九月十二日、地元紙のある編集長さんからインタビューを受け、「西本さん、議長の間に歴史に残る仕事を考えていないんですか」と質問されました。私は、毎年、大峰山修業に参り、あのすばらしい吉野の桜に大変魅せられてございましたので、即座に、「この有田地方と花園村、高野山にかけた広大な地域、山野に吉野をしのぐ桜を植えて、日本一の桜の名所にしたい」と提言を申し上げたのでございます。そのときの九月十三日付の「有田タイムス」が、知事初め皆さんのテーブルの上にコピーとして出されております。
 桜が我が国の国花であることは申し上げるまでもありませんが、先ほどの尾崎行雄翁が東京市長時代、つまり一九一二年の春──明治四十五年でありますが──アメリカの我が国への経済援助の恩義に報いるため、また我が国とアメリカの友好のシンボルとしてワシントンに三千本の桜を贈ったことは余りにも有名な話であります。そして、今なおワシントンのポトマック河畔の桜は、アメリカばかりでなく、世界じゅうの名物となっております。同時に一層、我が国とアメリカ国家との友好親善の礎とさえなっているのであります。
 私は、吉野はもちろん、京の嵐山など、全国の桜便り、花便りを聞くにつけ、私の提唱した植樹事業が日の目を見ず、さっぱり進まないなあ、まだ努力が足りんなあと思っていたところへ、平成二年一月三日付の「神戸新聞」、大新聞各社の桜の記事を見て、正直、びっくりいたしました。それは、私の提言より二年三カ月遅いものでありましたが、兵庫県が十年かけて日本一の桜並木をつくるというものであります。
 この計画は、日本海側から瀬戸内海に至る、実に百七十キロ、一市十四町に及ぶ壮大なプランであります。円山川、武庫川などの河川沿いに平成二年から予算一億七千万円でスタート、本年度は予算五億円で本格的に植樹を始めるというものであります。事業推進には、建設省の補助事業である桜づつみモデル事業、ラブ・リバー制度などの導入を積極的に図るほか、関係市町村にいろいろな記念植樹を呼びかけているものであります。この兵庫県民の憩いの場づくりの準備段階で既に兵庫県民の関心が非常に高く、予定より案外早く実現するのではないかと同県では見ておられます。
 そこで、農林水産部長並びに土木部長にお伺いいたします。
 本県では、昨年、農林水産部及び土木部を先頭にして有田県事務所及び有田市の一市五町、同時に伊都県事務所及び花園村、高野町などでサクラライン推進委員会なるものをつくってくださいということで、日本一の桜名所づくりにかけていただいておりますが、今後の取り組みをお聞かせいただきたい。また、前述いたしましたように、兵庫県では二カ年だけで七億円に近い巨費を投じておりますが、今後のお取り組み、事業費についてもぜひお聞かせいただきたい。
 次に、二川ダム下流の渇水地区の解消について質問をいたします。
 「温故知新」とよく言われます。忘れもしない昭和二十八年七月十八日、和歌山県を襲った未曾有の大水害は、広大な有田川流域を総なめにし、大きなつめ跡を残しただけでなく、多くのとうとい人命を奪い去りました。
 当時、私は中学二年生でありましたが、今、あの水魔、あの荒れ狂う濁流を思い出すとき、あの大きな悲しい出来事は、だれもが筆舌にあらわすことのできないほどの大惨状でありました。あれから、はや十年の歳月が流れましたが、時は幾月流れようとも、今なお多くの犠牲者と殉職者の方々に心から御冥福を祈らずにはおられません。そして、かけがえのない家族、肉親、多大な財産を失うという大きな衝撃を受けながらも、流れ果て、荒廃し、泥沼の郷土の中で奮い立ち、不屈の精神で乗り越えてこられた当時の先人・先輩のとうとく、たゆまぬ御努力のおかげをもって、わずかながらつめ跡を残しながらも、ふるさと有田は立派に復興して、今、二十一世紀に向けてさらなる飛躍に邁進しているところであります。
 この間、再びこの有田が大水害に見舞われることのないよう、国、県の英断によって有田川総合開発事業の一環、つまり防災を中心とした多目的ダム、二川ダム建設は、長い間の計画、調査とともに、地元住民の御理解と御協力を得るために長い時間を要しましたが、幸い昭和四十一年、総事業費約四十億円の巨費を投じて見事に完成され、下流有田住民の災害への不安は一気に解消されたのであります。ここに改めて、父祖伝来かけがえのない黒き大地と緑豊かな山林、そして長い間、住みなれた家屋などを湖底に沈めながら御協力を賜った多くの清水町民の方々、母なる清水町の未来を思い、ダムの安全、ダムの公害の憂いなきを強く叫んだ地元二川地区の皆さん、関係各位、清水町当局、県当局、国に対し、衷心より深く感謝を申し上げます。
 しかし、その間の二川地区住民のダム建設反対の中で、最後まで後世の環境に憂いを持ちながら粘り強く交渉してきたのは「ダム直下の二川地区を渇水とせず、常に清き水を流せ」でありました。その二川地区ダム対策委員会の方々が、昭和三十四年八月、二川区民大会において「二川宣言」なる次の内容を最後のとりでとしております。
 それは、「防災ダムについてはやむなく容認するけれども、発電については、せめても最後のただ一つの願いとして、ダム直下に自然流水を存置するよう直下式発電に限る」との絶対線とした基本態度を満場一致で確認しているのであります。しかし県当局は、調査当初から、二川地区住民との約束である「建設実施の場合は住民と十分話し合い、納得の上で決定する」という確約を破棄し、話し合いを持たず、しかも二川住民の悲願、ただ一つの要求である直下式発電、つまり義務放流をあっさりはねのけ、昭和三十三年十月、非情にも、二川ダムの発電方式は水路式によって建設することを地元に一方的に発表したという経緯を、私は最も信頼でき、良識のある地元の方より詳しく聞いてございます。
 地元住民の「二川区を流れる河川を渇水にするな」という悲願は、ついに消え去りました。「県の水路式岩倉発電所の実現を想定するとき、我々は長い長い歴史、父祖伝来の心の友として、生活の友として親しんできた母なる有田川の清流が姿を消したなら、つまり濁水による有形無形のあらゆる障害が予測され、極度の危惧を持ち続ける」、以上は、地元住民の「二川宣言」を撤回した当時の条件闘争なる措置要求の中にも明確に記録されております。
 そして、九年の歳月を要して昭和四十二年、ようやく二川ダムが完成し、あれからはや二十四年の月日が流れ、今日、二川ダム対策委員会の方々が危惧していたとおり、渇水地区の環境はまさに劣悪そのものと申し上げても過言ではありません。
 夏はやけつく河川の照り返しで暑い毎日、その上、各家庭の下排水がよどみ、悪臭が漂い、ハエ、蚊などが発生し、非衛生そのものであり、またその上に水が流れないので雑草が生い茂り、しかも願わないことでありますが、万が一の火事の場合でも目前の川は水のない川であり、極めて遺憾な状態であります。「ウサギ追いしかの山」には後継者が少なくなり、「小ブナ釣りしかの川」に水はなく、かつて豊かだった母なるふるさとから人が減っていく。これはすべて、政治、行政の責任と言わざるを得ない。
 そこで知事にお訴えを申し上げますが、私の調べた岡山県の湯原ダムは、昭和三十年に完成したダムであります。ダム下流の二川地区よりごく少ない民家二十戸、旅館五軒の流域を渇水地区としないよう配慮し──ここ、よう聞いておいてくださいよ、部長、知事も──ダム完成当時は毎秒○・三トン、現在は○・四トンを義務放流しつつ、水路式とあわせて直下発電を行っております。これを比べてみますと、当時の二川地区住民に対する行政姿勢と岡山県のその姿勢とに、全く天と地の開きを感じるのは私だけではないでしょう。ダムへの協力を賜った住民の方々への心のこもったこの湯原ダム直下方式をなぜ和歌山県は模範として見習わなかったのかと、私は不思議でなりません。
 以上、申し上げた点で、二川ダム反対運動が盛んであったあのころ、たまたま下流住民であった私は金屋町青年団協議会の会長でもございましたので、みずからの勉強のため、役員、友人の方々と単車にまたがり、新宮を経由して国道百六十八号、いわゆる五新線を北上し、新宮川水系の北山川、七色ダム、十津川水系の二津野ダム、風屋ダム、猿谷ダムを視察してきた経緯があります。
 知事は、平成二年より、真心込めてその渇水地区の河道整備に約七億円を投じていただいております。また知事は──ちょっと表現が悪いですが、ようやく重い腰を上げ、渇水を解決するため、昨秋、二百三十万円で調査を始めていただいておることに深く敬意を表しているところであります。知事、男らしく、県政の最高責任者らしく、この際、明確に「二川渇水地区に水は必ず流す」と、温かい御答弁を願いたい。
 また、追い打ちをかける気はありませんが、あの二川ダム周辺には県政の行き届いていない点が多々あります。
 例えば、昨年、土木部長にも見ていただいておりますけれども、県道有田高野線の網掛隧道はダム建設関係でつくった隧道でありますが、極端な急カーブで死傷者が数多く出ておる状態でございます。また、二川地区の中央部、左岸、右岸を結ぶ県道橋の二川橋も、老朽化の上、幅員が極めて狭く、軽四と軽四が行き違えません。あの大きな体の川原町長さんがその橋を歩くと、余計狭く見えるのであります。全くお粗末な橋梁で、これまた右岸側の県道側での事故発生が極めて多いのであります。二川住民に渇水で大きな迷惑をかけていながら、一体このような状態をいつまで放置しておくのか。この二川橋と網掛隧道を超特急で改良すべきと強く思いますが、知事並びに土木部長の御決意をお伺いいたしたい。
 結びに、知事初め当局の方々に申し上げておきたいと思います。
 孟子の教えの中に「仁政」という言葉がございます。仁は「仁義」の仁でありますが、また、仁は「人の心」、「愛の心」でもあります。字引を引いて詳しく見てみましたら、「慈しみ、慈しむ、哀れむ、思いやり、情け、潤い、恵み与える、有徳の人」とあります。「仁政」は、すなわち「愛の心の政治」、「情け深き政治」、「慈悲深き政治」、「恵み深き政治」、「思いやりの政治」です。「仁政」とは、民を愛する情の心を持つ政治にほかならず、早く言えば父母が子供に対するような純粋な愛の心を持つ政治を行うことが「仁政」と書いてございます。
 孟子はまた、「王道」というのを説いています。「王道」は孟子の政治理念であって、「愛の心を持つ政治を行うこと、これすなわち王道である」とあります。「王道」の精神は──聞いておいてくださいよ──「偏らず、私心なく、中正の生き方をしなさい」とあります。
 まごころ政治と申しましても、口先の不実行の政治は「仁政」「王道」の精神に反するというもの。やはり、政治は心なり、愛の心でもって実行する仮谷知事の「まごころ県政」で、県民のために愛の心の御答弁をお願い申し上げ、以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの西本長浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 西本議員にお答え申し上げます。
 第一点の、浜口梧陵翁の顕彰でございます。
 御提言のとおり、本県の歴史、文化を築いてこられた先人の皆さんを顕彰し、後世に受け継いでまいることは非常に有意義なことだと考えております。
 お話もございましたが、現在、白浜町に南方熊楠記念館、新宮市に佐藤春夫記念館が設立されてございます。また近年、田辺市において南方熊楠翁、那賀町では華岡青洲翁など、ふるさとの偉人を顕彰していこうという動きが地元を中心に活発になっておるわけでございまして、こうした運動には私も大変感謝している次第でございます。
 御提言の浜口梧陵翁については、初代の県議会議長でもあり、「稲むらの火」として世界に紹介された本県の誇れる偉人の一人であると存じておるわけでございます。翁の顕彰については、今後、地元の意向を踏まえながら対処してまいりたいと思っております。
 また、旧県議会議事堂の問題については、今後、建築様式、構造など、建物の実態を教育委員会で調査する計画でございますので、御提言の趣旨については十分承り、また議会とも相談させていただきたいと思っております。
 次に、二川ダムでございます。
 二川ダムは、昭和四十二年に完成して以来、多目的ダムとしてその効果を発揮して、下流の流域住民の方々の生命と財産を守り、また産業の発展に寄与しているところでございます。しかし、話ございましたように、ダムの直下は水路式発電所のため約四キロの減水区間を生じており、この二川地区にお住まいになっておる方々のお気持ちは私は十分承知しておるわけでございます。私も、現地を調査させていただき、その実態を十分把握してございまして、まことに気の毒に存じておるところでございます。
 現在、減水区間において家庭排水がよどまないように、河川環境を考慮した河道整備事業を実施しているところでございます。また電気事業においても、地元の振興に寄与するために補助金を交付しているところでもございます。
 議員御質問の常時放流については、現在、関係部局から成る有田川問題検討協議会で放水方法等の技術的な検討を進めているところでございます。今後、常時放流のための具体的な方法等について、早期に検討結果をまとめて地元の方々の御要望を実現すべく取り組んでまいります。
 なお、網掛トンネルの改良と二川橋については、部長から答弁いたします。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業の国際化、産地間競争がますます進んでいく中で、生産コストの低減はもとより、作業条件の改善は農村の担い手の育成、後継者対策の上からも極めて重要な課題であると考えてございます。そのため、従来から傾斜地かんきつ園を対象に、モノラック、モノレールなどの運搬作業の機械化、スプリンクラーによる農薬散布技術など省力化技術の開発、園内作業道や農道など生産基盤の整備を図り、生産コストの低減や労力の節減対策に取り組んできたところでございます。
 議員お話しのリモコンヘリコプターによる農薬散布防除でございますが、防除作業の効率化と質的軽減など、将来に大いに期待される防除方法であると考えてございます。
 現在、農林水産省を中心に農林水産航空協会等の関係機関が一体となって実用化に向け検討をされてございまして、本県でも平成元年度から試験研究機関などで実証試験に取り組んでいるところでございます。それらの結果、平たん地の水田では空中散布用の登録農薬があることから、近くこれが実用化される見通しとなってございます。
 しかしながら果樹園については、傾斜地等の複雑な地形条件であるだけに、安全性、防除効果、経済性の確認に加え、空中散布用の登録農薬がございませんので検討すべきことが多く、目下、試験段階にある状況でございます。今後、これらの検討事項の解決に向け、農林水産省と協調しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、全国一の桜の問題でございます。
 有田川流域の桜修景については、これまでも日本さくらの会と宝くじ協会の苗木の寄贈を受けまして、沿線の八市町村並びに地元住民の御協力によりまして、六十三年度より六千本程度の桜を植栽してまいったところでございます。それまでの分と合わせて、この沿線には一万本強の桜の木があることになり、平成三年度においても新たに千本程度の植栽を予定いたしております。
 議員御提言の全国一の桜名所づくりについては、潤いと個性あるふるさとづくりに寄与するものと存じますが、大規模なものは用地等の難しい問題もあろうかと思います。したがいまして、農林水産部といたしましては、これまでの事業を積極的に継続実施するとともに、流域市町村の意見を聞きながら、さらに土木部を初め関係部局と協議をして対処してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 全国一の桜名所づくりについてでございます。
 御質問の有田川沿い、並びに高野山系に至る沿線の桜の植栽については、地元の推進協議会あるいは関係市町村と十分協議をしてまいりたいと思います。
 なお、桜づつみモデル事業等の導入については県と市町村の共同事業となりますので、関係市町村と協議の中で検討してまいります。
 次に、網掛隧道の改良と二川橋のかけかえについてでございます。
 網掛トンネル前後の曲線部の線形改良については、直線化することにより距離が短くなるため、道路の縦断勾配が基準値を超えること、清水老人憩の家の施設の一部が道路用地として必要となること等、解決すべき課題がありますので、交通の実態も踏まえ、今後、対応策について検討してまいりたいと考えております。
 また二川橋は、車道部幅員が三メートルで両側に一メートルの歩道が添架されており、またトラス形式であるため、構造的に拡幅、隅切り等の対策を講ずることは困難であります。
 しかしながら、今後、地域の交通需要や県道ネットワークの中で、安全かつ円滑な交通が確保できるよう二川橋整備のあり方を十分検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(橋本 進君) 以上で、西本長浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十二分休憩
 ─────────────────
 午後一時六分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 8番鈴木俊男君。
 〔鈴木俊男君、登壇〕(拍手)
○鈴木俊男君 盛大な拍手、ありがとうございます。
 私は、一般質問最終日の最後の質問者として登壇をさせていただきました。この二月議会は、申し上げるまでもなく、昭和六十二年四月の選挙で県民の審判を受けて当選をさせていただきました私どもの四年間の任期の終わる最後の議会であり、今から二十一年前、この議会に議席を得ました私にとっては、文字どおりの最後の議会であります。
 それだけに、私は、最後の質問をぜひ最終日の最後にさせてほしいという希望を持っておりました。どうしてかということについての説明はうまくできません。ただ政治にロマンをかけてきた者の私なりの美学だということを言いますと、きざに聞こえるでしょうか。
 そして、希望どおり、先輩、同僚の皆さん方の御配慮をいただきまして、最後のトリの質問の機会を与えていただきましたことに衷心よりお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 さて、今議会は既に十六名の先輩、同僚の議員が質問をされてございます。そのいずれをとりましても、すべて我が和歌山県勢の発展や県民の福祉向上にかかわる重大な問題ばかりであります。私も今回、張り切って質問の準備をしてきたところでございます。しかし、一般質問の始まった初日に盟友・渡辺勲君の質問を聞きまして、感動を覚えました。それとともに、ファイナル・スピーチの難しさというものを改めて痛感したのでございます。
 その後も、私や渡辺君と同じように今期で勇退されます中村千晴議員、藤沢議員、中村博議員、浦議員、それにけさほどの田中議員の質問を拝聴させていただきました。それぞれの立場で、それこそ真剣に県政に取り組んでこられた方々の個性あふれるスピーチを特別の感慨を持って聞かせていただいた次第でございます。改選期にこれだけ多くの方が同時に勇退するというのは珍しいんではないかなと思いながら、皆さん方の御質問を聞いておりました。
 最初、私も多くの質問を用意していたのでございます。中村千晴議員が質問をいたしました関西オリンピック問題についてもそのとおりでございます。「最初に夢を持たないでその夢が実現するはずがない」という言葉を書物で読んだことがございます。関西オリンピックはその夢のプランであります。大阪湾ベイエリアでの開催となると、和歌山県は大阪府、兵庫県などと共催することになりますから、ベイエリア開発推進協議会の代表委員をされております仮谷知事にぜひ頑張っていただきたいと思うのであります。
 さて、あれもだめだ、これもやめておこうということで質問を絞ってまいりまして、特に気がかりな二点だけに絞ってお尋ねをすることにいたしました。
 日本は経済大国と言われながら、国民にはどうしても豊かさの実感がありません。これは、物価が高いとか労働時間が長いとかなど、いろいろな理由が挙げられておりますが、その根底にあるのは社会資本の整備がおくれているということにあろうと思うのであります。
 政府は昨年、日米構造協議でアメリカに、十年間で四百三十兆円の公共投資を約束いたしました。考えてみますと、これはまったくおかしな話であります。外国から言われて行うということではなくて、本来でありますと政府がおくれている社会資本の整備を進めなければならないわけであります。それを外国からの圧力という形で進めるというのですから、全く情けないとしか言いようがございません。
 ともあれ、二十一世紀まであと十年。そしてこの十年は、政府がアメリカに約束した四百三十兆円の公共投資を実施する十年でもあります。政府では既に十年間で整備する公共投資基本計画を決定しておりますが、この計画では、例えば下水道普及率について現在の全国平均四四%をおおむね七〇%まで持っていくことになっております。これでやっと欧米の先進国の最低水準に追いつくということであります。今年度はこの計画の初年度になりますので、政府の予算案づくりが注目されていたところでございます。
 その政府予算案によりますと、今年度から、従来の公共投資の省庁別配分に加えて生活環境枠一千七百五十億円という別口を設けまして、道路、住宅、下水道により大きなウエートを置いた予算編成がなされております。
 そこで私は、この際、どうしても我が和歌山県の下水道事業のおくれについてただしておきたいと思うわけであります。
 和歌山県の下水道普及率が全国最下位だということは、以前から私もよく承知しておりました。しかし、平成元年度末で全国平均が既に四四%になっているのに対し、我が和歌山県がわずか三%にしか達していないということに、実は大変なショックを受けたのであります。
 建設省でまとめた平成元年度の下水道普及率都道府県別ランキングというのがございます。近畿では大阪が三位の六四%、奈良が十三位の三一%、滋賀が二十五位の二三%となっております。しかも、和歌山の三%に対しまして、次に低いのは三重、島根、それに徳島が並んでおりますが、その全国ワーストツーと言われるところでも和歌山の三倍の普及率であります。
 そこで私は、もう一度、十年前の昭和五十五年のランキングも調べてみました。島根、佐賀は最下位の普及率一%、和歌山は二%で二位ということであります。その最下位の島根、佐賀がそれぞれ十年後には九%と一〇%と普及率を伸ばし、滋賀が十年後に五%から二三%に伸ばしているのであります。また奈良県は、この四月から吉野川流域下水道が供用開始されることになったと聞いておりますので、平成二年度末でさらに全国順位を大きくアップさせることになると思うのでございます。
 和歌山県が他府県に比べて下水道事業が大きくおくれてしまったのは、これまでの公共事業の中で道路、河川などに重点が置かれていたということもありますし、この県都和歌山市で公共下水道事業に本格的に取り組んだのは昭和四十七年からで、取り組みのスタートがおくれたということも原因と言われております。
 また、この十カ年でさらにおくれたのは、皆様も御承知のとおり、紀の川流域下水道事業が昭和五十五年に都市計画の決定をしながら、十年余りたった今日現在、なお伊都処理区の終末処理場の用地買収が全くできていないということが事業のおくれの大きな原因であると思います。
 今後、県では下水道事業の大幅なおくれ、しかも普及率ワーストワンの不名誉なランクを解消するためには、国の下水道整備計画を大胆に受け入れて、日米構造協議に基づく公共投資基本計画十カ年、この十年間に下水道分野での事業予算枠を大幅に建設省に要望していく姿勢が必要だと思うのであります。
 そして、大幅な予算が仮に獲得できたといたしましても、果たして現在の体制でこれを執行していくことができるかということについても、大いに危惧しているところであります。
 紀の川流域下水道事業のうち、難航しておりました伊都処理区の終末処理場の用地交渉も、ようやく関係者に事業計画、地域整備計画などの説明ができるようになって前向きに進展し始めたようでございます。本年度は正念場を迎えていると言われております。そして、那賀処理区に着手をいたしまして、有田川及び紀中地先海岸、それに田辺湾の流域下水道計画についても早急に計画策定を行うとともに、事業化に向けて動き出さなければならないと思うのであります。また、市町村の行う公共下水道事業の指導などを行う必要もございます。
 県ではこれらに対してどのように対応されようとしておられるのか、平成三年度を初年度とする第七次下水道整備五カ年計画の実施を目前にし、真剣に考えなければならないと思うのであります。知事の御所見を承りたいと思います。
 もう一つは、県庁舎の建設問題についてであります。
 御承知のように、現在の県庁舎は、本庁舎が昭和十三年に建設されており、重厚さと風格のある建築物でありますが、既に五十年余にわたる激動の時代を風雪に耐えてきております。その本庁舎に東別館、北別館、それに警察庁舎が加わったのが現在の県庁舎であります。これらの庁舎は、本庁舎では老朽化が進み、庁舎全体としても非常に狭隘で、エレベーターもありませんし、県庁舎の敷地内には駐車場のスペースも少ないなど、県政運営上、大きな支障を来しているところであります。
 県庁舎は県政推進の中枢施設であり、多種多様な県民のサービスにこたえ、行政事務の効率化、高度化を図るとともに、高度情報ネットワークを整備し、知的創造の場にふさわしいオフィス環境でなければなりません。二十一世紀に向けて国際化、高齢化、技術革新が急速に進みつつある今日、新しい県庁舎の建設が今必要とされていると思うゆえんであります。
 最近、県庁舎の建てかえをいたしましたのは、新潟県、宮城県、沖縄県などでありますが、いずれも二十一世紀を展望し、行政需要の増大に対応できる設備機械、機能を備えた最先端のシステムを取り入れ、可能な限りインテリジェント化を図っておるのであります。
 沖縄県の場合を見てみますと、二万九千平米の敷地に行政庁舎、地上十四階、地下二階を建設し、議会庁舎が平成四年、警察庁舎が平成五年に完成されるとのことであります。いずれの県でも、庁舎の高層化を図り、地下をすべて駐車場にしておるのが特徴であり、新庁舎の建設に動き出してから少なくとも約十年の歳月を要しております。
 新庁舎の圧巻は、何といっても東京都の庁舎でありました。私は、昨年の十二月に新宿駅の西口付近に建築中の新庁舎を見てまいりました。議会棟、地上七階、地下一階、行政庁のうち第一本庁舎、地上四十八階、地下三階、第二本庁舎、地上三十四階、地下三階となっており、地下はいずれも駐車場でございました。
 久しぶりに訪れた新宿駅の西口は、昔の面影を全くとどめておりませんで、この新しい庁舎を囲むような形に高層ビルが建ち並んでおりました。少し大げさな言い方かもしれませんが、タイムトンネルを通って二十一世紀の町にやってきた、そんな実感を持ったのであります。
 県も、かねてから懸案であります新しい県庁舎の建設に向けてこれから具体的に動き出すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 新しい県庁舎を建てるといたしましても、どこに建てるかは大変難しい問題であります。県では、国鉄がかつて使用しておりました和歌山操車場駅跡地六万九千五百平米を、最近、清算事業団から買い受けることになりまして、その交渉を近く始めるということでございます。この跡地利用について、県では総合福祉会館、総合庁舎などの施設を計画しているということであり、県本庁舎の移転先とは考えていないようであります。
 さらに、県では既に和歌山土木事務所を青年会館跡に移転し、操車場駅跡に総合庁舎を計画されていると聞きますが、海草県事務所などを現在の県庁舎内の同居からそこに移していく意向のようであります。そういたしますと、新庁舎の建設地を県では現在地と考えているのではないかとも推測されます。
 ところで、今の和歌山県の成り立ちを見ますと、明治四年に維新政府が廃藩置県を断行し、一たんは和歌山県、田辺県、新宮県とされた後に、田辺県と新宮県が廃止されて現在の和歌山県に統合されたということは皆様よく御承知のとおりであります。そして、県庁舎は和歌山城砂の丸に置いたと書物には記されております。それ以来、県庁舎は和歌山市にあって、既に百二十年余りになるわけであります。
 先日、那須議員がこれを「田辺藩が紀州藩に併合されたところだ」と力説をされたのであります。私は、和歌山市の選挙区から県議会に送っていただいておりますが、県庁舎を現在地からほかへ移転する場合には、少なくとも和歌山市以外に移転できないのだという、いわゆる既得権をにしきの御旗にしてはならないというふうに思っているのであります。
 また、紀伊半島の地形からいたしましても、現在の県庁舎の所在地が北端に偏り過ぎていることは紛れもない事実であります。県土の均衡ある発展を目指す立場から言えば、思い切って紀伊半島の真ん中、さしずめ紀中あたりに移転することも一案ではないかとも考えるのであります。
 堺屋太一氏がその著「新都建設」の中で、「新都は日本列島の真ん中に当たる岐阜県南部が適当だ」というふうに言われております。また、大先輩の古田新蔵先生は、昭和三十二年二月の本会議で県庁舎を県の中央に移転させる気はないかと質問し、その中で「和歌山県のごとく北の県境にあるところは全国に一カ所もありません」と論破されているのでありました。さすがと言うべきであります。当時の小野知事は古田先生の質問に対し、「非常に大きな問題でございますので、十分考えて決意をしたい」と答弁されております。
 高速道路が御坊まで延長されることでありますし、白浜空港もジェット化されるのであります。これらのプロジェクトを実効あるものにする必要もあろうかと思います。
 これに関連をいたしまして、議会棟等建設基金についてお尋ねをいたします。
 これは、県議会の意向を入れて平成元年度に基金条例を制定し、初年度三億円が積み立てられたのであります。私は、実は平成二年度以降も毎年予算で基金の積み立てがなされていたと思っていたのですが、よく調べてみますと、二年度からは三億円の利息だけの計上となってございます。県議会では、この条例を議会棟「等」と含みを持たし、将来の行政庁舎の建設費にも充当できるようにと考えて基金の積み立てを求めたと思うのであります。この点も含めてお答えをいただきたいと存じます。
 さて、振り返ってみますと、私は昭和四十五年二月の県議会補欠選挙に立候補し、幸いにして当選させていただきました。我がふるさと和歌山を暮らしよい町にしたい、こよなく愛するふるさと和歌山を住みやすい町にしたい、そんな思いを県民の皆様にぶつけて選挙戦を戦ったのでございます。
 県議会議員になりました当初は、「おれがやらなければだれがやるんだ」というふうな気負いもございまして、その年の六月議会で、この壇上から最初の質問をさせていただいたのでございます。今、議事録を読み返してみますと、勉強不足のところもあり、幼稚なところもありますが、すべてのエネルギーを注ぎ込んで質問原稿をまとめて当局に論戦を挑んだ記憶がございます。
 昭和四十五年といいますのは、ちょうど、経済の発展がなければ国民生活の向上はないと言われていた時代から、公害防止に積極的でない企業はその企業の存在を許さないという非常に厳しい時代に移ろうとしていた過渡期ではなかったかと思うのであります。
 住友金属の和歌山製鉄所とその周辺の住宅との間にグリーンベルトを設置せよという提言をいたしておるようでありますし、黒潮国体が開催される一年前ということもあって、いわゆる国体道路の完成見通しを質問し、若い一年生議員の声にもぜひ耳を傾けていただきたいと力んで述べておるようなわけであります。
 なお、私は昭和四十六年に行われました黒潮国体において、我が県議会チームの投手で四番バッターとして出場させていただきました。それ以来、我が議会チームは連戦連敗を続けてまいりました。昭和五十八年の春に強力な補強に成功いたしまして、その年から全国優勝四連覇の偉業を達成いたしました。ともに汗を流した議員の皆様、そして応援をしていただいた議員の皆様、よき思い出をありがとうございました。今、この質問を最後に、懐かしく思い出多い議場を去る者として、まさに感慨無量のものがあります。
 「議場は議員の戦場だ」と、よく言われます。県が進めようとされている施策についてこの議場で論戦を交え、攻防を繰り広げるという意味では、まさに議場は「戦場」であります。そして当然のことながら、議場では議員以外の者は、たとえ知事であっても「番外」として、職名を告げて議長に発言の許可を求めなければならないのに対し、議員は議席番号だけを告げて発言の許可を求めることができる、やはり議場はまさに議員が主役であります。
 そしてこの議場では、さまざまなドラマがございました。この壇上に立ちますと、その一こま一こまが走馬灯のように脳裏をよぎっていきます。そして、私は、私なりに自分を燃焼させてこの議会を去ってまいります。二十一年という長いようで短い議員生活でありましたが、先輩、同僚の皆様、仮谷知事を初め執行部の皆様、そして私の議会活動をアシストしていただきました山本事務局長初め議会事務局の皆様、本当に長い間ありがとうございました。
 また、昭和四十五年二月の補欠選挙以来、六回に及ぶ私の選挙を辛抱強く応援をしていただきました支援者の皆様を初め県民の皆様、本当にありがとうございました。再び戻ることのないこの議場から、そして議政壇上から、厚く厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 今後は、仮谷知事が二十一世紀に向けて推進しておりますビッグプロジェクトに大きな期待を寄せながら、県民の一人として静かに県勢の発展を見守ってまいりたいと思っております。また、この春の戦いに臨まれる先輩、同僚の議員の皆様には、戦いを通じて県民の生の声をぜひお聞きになられ、晴れてこの議場で再会され、県民の負託に見事にこたえられますよう心からお祈り申し上げ、ごあいさつを兼ねた私の質問を終わらせていただきます。
 この懐かしい議場にも別れを言わしてください。さようなら。
 ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの鈴木俊男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま鈴木議員から、下水道事業等の問題について最後の御質疑を賜りました。議員には、六期二十一年の長きにわたり県政に多大の御尽力を賜り、また昭和五十六年には県議会副議長として、六十一年には議長としての御活躍をいただきました。特に県議会のリーダーとして、また法律の専門家としての目を通して、教育、福祉等、県政全般にわたり貴重な御意見をちょうだいいたしましたこと、心から厚く御礼を申し上げます。
 さて、下水道の整備でございますけれども、鈴木議員おっしゃいましたように、下水道は生活レベルの向上の問題、また公共水域の水質の問題等、都市においても、農村においても重要だと思います。しかし遺憾ながら、御指摘のように、和歌山県の下水道事業は他府県に比べておくれてございます。
 おっしゃられたように、いろいろな理由もあると思います。和歌山県は海に恵まれておる、水に恵まれておるということもおくれた原因になろうかと思います。また、下水道事業の大きいのは和歌山市でございますけれども、現在、工事中が多うございます。完成しないと結果のパーセントは上がらないという点もございます。また、紀の川流域下水道の整備のおくれも大きな原因だと思います。
 だから、こうした下水道整備につきましては、私はあらゆる角度からこれを推進しなきゃならないと思います。特に、日米協議の問題がございまして、これからの十カ年の中で下水道が大きく取り上げられます。そうした中で、建設省関係の下水道処理の問題、そしてまた農林水産省関係の農村集落排水の問題、厚生省関係の浄化槽の整備の問題等々、兼ね合わせながらやっていかなければなりません。
 特に、公共下水道の問題については、昨年から、計画をつくるところに補助金を出す制度をつくり、市町村になお一層推進していただくために体制を固めつつありますし、またお話ございましたように、そのための県庁内部の体制、組織の問題がございます。そうした人的確保の問題がございますし、市町村を指導する体制の問題もございます。そうした問題もやりつつ、国に対して、おっしゃられた補助対象枠拡大の問題、補助率アップの問題等々、強く訴えていかなければならないと思います。
 特に大事なことは、流域下水道においても苦労しておるのでございますけれども、地域の皆さんの理解を得るための強力な地元の体制、用地確保の問題が最も重要なことではないかと思っておるわけでございまして、こうした面において地方自治体と一緒になって、なお一層積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、新しい県庁舎の建設でございますけれども、御卓見をいただいたわけでございます。
 県庁舎につきましては、最近の多様化する行政需要により県の庁舎も狭隘化しておりますし、老朽化も進んでおるわけでございます。また一方、駐車場不足等、県民の皆さんに御不便をかけておるわけでございます。
 しかし、現段階においては、県勢伸展のための基盤整備、また観光リゾートの振興、文化、医療、福祉関係施設の整備等、各般の施策を着実に実施してまいらなければならない状況でございまして、議員御提言の新庁舎建設については、財政面の問題、建設場所等の諸課題等について事務的な研究をするとともに、今後、議会の皆さん方の御意見を伺いながら進めてまいらなければならないと思っております。
 おっしゃいましたように、庁舎の建築については大変重要で大きい問題でございますので、慎重な対処が必要ではないかと思っておるわけでございます。
 また、議会棟等建設基金については、このような状況にありますことから新たな積み立てを見送ったものでございまして、今後、研究を進める中で財源の確保対策としての具体的な対応を考えてまいりたいと思います。
 最後に、議員におかれましては、今後とも県勢発展のため御支援、御協力賜りますようお願い申し上げますとともに、今後のますますの御活躍をお祈り申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、鈴木俊男君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(岸本光造君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ──────────────────
○議長(岸本光造君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(岸本光造君) 次に、お諮りいたします。明三月五日及び六日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 御異議なしと認めます。よって、三月五日及び三月六日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(岸本光造君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 三 委 員 会 室
 厚生委員会 第 四 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 五 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 六 委 員 会 室
 建設委員会 第 二 委 員 会 室
 文教委員会 第 一 委 員 会 室
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○議長(岸本光造君) 次会は、三月七日再開いたします。
○議長(岸本光造君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十五分散会

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