平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浦 武雄議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
16番浦 武雄君。
〔浦 武雄君、登壇〕(拍手)
○浦 武雄君 おはようございます。段々の御精励、本当に御苦労さまであります。
私は、二つの点について質問をいたします。
まず、サテライト型物流拠点についてお尋ねいたします。
運輸省が、平成二年の新しい施策としてサテライト型物流拠点整備のための調査を行うことになり、全国六カ所の調査地点の一つとして和歌山市が指定され、現在、県、和歌山市、関係団体が運輸省とともに調査を進めておるのであります。このサテライト型物流拠点の整備の背景には、近年、大都市では貨物流動量が増大している一方で、宅地化の進行、地価の高騰により十分なる物流施設の用地確保が困難となり、今後さらに増大する物流に対応し切れない状況があるのであります。
一方、翻って本県を取り巻く社会経済動向を見ますと、我が国初めての二十四時間空港である関西国際空港の立地は、人の移動はもとより、物流面で本県経済に大きなインパクトを与えることは想像にかたくないのであります。これと並行して、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道といった高速道路の整備が急ピッチで進められておるのであります。関空の立地、さらには大阪ベイエリア開発をにらんで、物流機能の面でも本県の担う役割が非常に高まりつつある現状の中において、今回の調査は長年物流業界に携わってきた者の一人として、まことに時宜を得たものであり、また本県の流通業界の発展にも大きく資するものであると考えるのであります。
そこで、今後の物流拠点整備に対する基本的な考えについて知事の御所見を承りたい。さらに現在の調査の状況について、企画部長の御答弁を願います。
第二点は、紀淡海峡大橋の実現についてお尋ねをいたします。
東京一極集中を是正し、また近畿の復権をかけて、現在、関西空港を初めとして、関西文化学術研究都市、明石海峡大橋の、いわゆる三大プロジェクトの建設が国家的プロジェクトとして進められており、今や二十一世紀に向けてこれが急ピッチで行われておるところであります。そして、この三大プロジェクトが直接にまた間接に本県経済に及ぼす影響が大きいと思うのであります。しかしながら、この三大プロジェクトにしてもこの二十世紀中にも概成が予想されるところであり、また本県としても、コスモパーク加太を初めとして、南麓サイエンスパーク、和歌山マリーナシティ、頭脳立地構想といったかつてないビッグプロジェクトが建設をされているところでありますが、これらもほぼ今世紀中に完成されるものであります。
二十一世紀の近畿圏を考えた場合、三大プロジェクトの次の第四プロジェクトを何にするのかが重点課題と言えます。しかもそのプロジェクトは、和歌山県にとって、近畿圏にとって、さらには西日本にとって大きなインパクトを与えるものでなくてはなりません。私は、このプロジェクトは、知事が提唱している東京から伊勢湾口、紀伊半島を通り、紀淡海峡、四国、豊後水道を経て九州に至る第二国土軸になるのではないかと考えるのであります。そして、その中でも早期に必要なものが紀淡海峡連絡道でないかと思うわけでございます。
この連絡道の方式としては、トンネルと橋が考えられるわけでございます。トンネルということになりますと、現在の技術をもってしても自動車道とすることは困難であると聞いております。したがいまして、カートレーン方式を採用することになろうかと思いますが、このカートレーン方式には欠点があります。どうような欠点かと申しますと、自動車などの積み込みに時間がかかると言われておるのであります。いま一つ考えておかなければならんのは建設費の問題であると思います。もとより、トンネルよりも橋の方が建設コストが高くなるとは聞いております。しかしながら、こういう構造物は経済性だけで判断をするものではなくて、国際的に通ずるシンボルとしての役割、すなわち関西国際空港に入ってくる海外のお客さんが、まず眼下に見おろす紀淡海峡の美しさ、そしてその美しい紀淡海峡にかかる世界最長のつり橋に思いをはせるわけであります。その他、地域への広範囲にわたる影響など、もろもろの条件が重なり、判断されるものであります。そして現在、技術的に可能であるかどうか八年にわたって日本鉄道建設公団によるトンネル調査が進められておることは十分承知をいたしておりますけれども、今回、あえて私は近畿圏の第四プロジェクトは紀淡海峡大橋であるということを提言いたしたいのであります。
知事は、昨年、音頭をとられて二十五団体から成る第二国土軸構想推進協議会が設立され、これを記念して黒川紀章氏を初め国土庁、学識者、関係知事、経済団体代表がパネリストとして参加し、第二国土軸円卓フォーラムが盛大に開催され、各界各層に大きな波及を与えたところであります。このような機運を受けて第二国土軸の実現に向けて動き出した現在、これからの西日本を支えるプロジェクトはまさに紀淡海峡大橋であると強い信念を持って提言いたすものであります。担当部長から技術的可能性についてお考えを伺うとともに、この提言を十分に踏まえていただきまして、今後一層の取り組みをお願いいたしたいのであります。
この機会をおかりいたしまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
と申しますのは、私は来るべき県議選には出馬をしないことにいたしました。多くの支持者の皆さんからは、「政治には年齢がない。まだまだ健康でかくしゃくとしておるから頑張れ」と激励をいただきましたが、世代交代の風潮にもこたえ、かつまた私の信念である退任の時期を誤ってはいけない、こういう考え方をもって昨年末に決意をいたしたのであります。
思えば、県警察・和歌山西警察署長退任の後、昭和四十二年「県政に新風を注ぐ」のスロガーンのもと、六期二十四年の長きにわたり誠心誠意、情熱を持って県勢発展のために意欲をささげてまいりました。おかげをもちまして、歴史と伝統と栄光に輝く議長の要職をも経験させていただきました。
二十四年を振り返ってみますと数々の思い出がありますが、その二、三を申し述べてみたいと思います。
まずは、初当選以来今日まで、幸いに健康に恵まれて一日の欠席もなかったということであります。そして一期生のとき、定例議会には毎回登壇し、質問することができました。
また議長のとき、同僚西本県議の発案である半島振興法制定について、発案県として近畿議長会、全国議長会でそれぞれ提案説明を行い、加えて半島性を持つ各県とともに相諮って法制定議員連盟を設置し、会長に石川県がなり、副会長に私が就任をいたしました。ちなみに申し上げますけれども、当時の知事会では仮谷知事が会長になられたのであります。全国から、知事を初め県会議員の皆様方等、関係者一千五百余名、国会議員が六十数名参加をしていただいての東京ヒルトンホテルで開かれた半島振興法制定促進決起全国大会──名前は長いんですけれども──において私は議長の光栄に浴しました。さらには、首相官邸における全国議長懇談会の席上において、数少ない意見具申者の中の一人として半島振興法制定の必要性について、中曽根総理にこれが趣旨の開陳をすることができました。
また、第三回豊かな海づくり大会に皇太子殿下──今の天皇陛下でありますが──同妃殿下をお迎えすることができました。さらに、多年の懸案であった日中友好山東省との調印の機会等、実に感慨無量であります。これひとえに、先輩各位、同僚の皆様、仮谷知事初め県職員の方々、そしてまた県民各位の御厚情によるものと、謹んで深く、厚く御礼を申し上げます。
任期終了後は、多年の経験を生かして一県民として頑張る所存でありますれば、倍旧の御厚情を賜りますように重ねてお願いを申し上げます。
終わりに臨み、同僚の諸君、ひとつ来るべき選挙には全員当選をしてください。お祈りをいたします。さらに、仮谷県政のいよいよの御発展を祈念いたしまして、私の御礼のごあいさつといたします。本当に皆さん、ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの浦武雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま、浦議員から物流拠点施設等の問題について御質疑を賜りました。
議員には、六期二十四年にわたり県政に多大の御尽力を賜り、また昭和五十五年には県議会副議長として、五十八年には議長として御活躍をいただきました。
さらに、とりわけ交通、物流問題についての御専門家として、たびたび本会議場等で御識見をちょうだいいたしました。まずもって、心から厚く御礼を申し上げます。
さて、サテライト型物流拠点については、現在、運輸省、県と和歌山市及び関係業界の代表者等で構成する委員会において鋭意検討を進めているところでございます。この物流拠点については、関西国際空港の立地や高速道路の整備、さらには関西の産・官・学が一体となって議論を進めている大阪ベイエリア開発などを念頭に置いたものでなければならないと思っておるところでございます。県としては、今後この委員会での調査結果等を踏まえて本県の物流の合理化、高度化という観点から、関係業界みずからの努力もいただきながら、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
最後に、議員におかれましては今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、ますますの御活躍、御健勝を心からお祈り申し上げます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、サテライト型物流拠点調査の現状についてお答えを申し上げます。
サテライト型物流拠点整備のための調査については、近畿運輸局に委員会が設置されまして、これまで本県における産業構造の特質や物流活動の現状と課題など、基本的な立場からの現状分析が行われているところでございます。具体的には、県内外の関連業界を対象にした物流の現状等に関するアンケート調査が実施されまして、現在、分析が行われているところでございます。委員会においては、今後さらに物流拠点施設の機能のあり方などについて検討を進めることといたしているところでございます。
次に、紀淡海峡大橋についてお答えを申し上げます。
紀淡海峡大橋の技術的可能性についてでございますが、つり橋の技術的可能性は主に橋脚間の長さによって決まると言われているところでございます。現在、世界最長のつり橋は建設中も含めて明石海峡大橋でございますが、これは橋脚間が千九百九十メートルでございます。紀淡海峡に橋をかけた場合、沖ノ島と淡路島間は約四キロメートルございます。地形等から考えて、橋脚間が二千五百メートル程度と想定され、最近の技術力をもってすれば可能ではないかという専門家の見解もございますが、なお種々の条件、例えば地質、地形、潮流、風等のより詳細な検討が必要かと考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
16番浦 武雄君。
○浦 武雄君 紀淡海峡大橋についてであります。
諸般の情勢から、県当局も「橋でいきたい。いきます」とは現時点で答えにくかろうと思いまして、あえて知事に答弁を求めなかったわけであります。
長年、交通、運輸行政に携わってきた者の一人として、私は紀淡海峡大橋構想について委員会においてしばしば提唱してまいりましたが、いよいよ本議場を去るに際し、紀淡海峡大橋の実現について強い信念のもとに提言をしたのであります。
重ねてお願いを申し上げますけれども、県当局としても私の意とするところを十分お酌み取りいただきまして、今後、積極的にお取り組みを重ねていただくことをお願い申し上げ、私の再質問を終わります。
ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦武雄君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
午前十時四十六分休憩
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