平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤沢弘太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 有権者、支持者の皆さん方の並み並みならぬ御支援で県議会議員に送り出していただいてから、三期十二年が瞬く間に過ぎました。そしてきょう、二月県議会で最後の質問に立たせていただいております。感無量であります。
 この間、国政選挙にかかわる議会日程が縮められた関係での二回を除き、毎議会で質問を行ってまいりました。この質問の機会を保障していただいた先輩議員並びに同僚議員の御理解と御協力に改めて厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 私は、一九五〇年、昭和二十五年にアメリカ占領軍の戦争政策に反対したとの理由で弾圧を受け、その関係で滋賀県から和歌山県に移ってまいりました。和歌山に来て直面した最初の大きな闘争は、御坊における部落差別に対する闘いでありました。その翌年、和歌山県を襲ったのが七・一八大水害でした。一夜にして多くの人命が奪われ、家と田畑、山そして家畜を奪われた人々と、私は御坊市で住民の人たちと泥まみれで連日復興に取り組みました。こうした中で、和歌山に骨を埋める決意を固めたのであります。
 幸いに県会議員に当選させていただき、切実な要求を議会での質問や運動を通じ、至らぬところは多くありましたが、その実現のために必死の思いで頑張ってまいりました。県民の立場に立つ県政を確立するという信念のもとに、県政の評価すべき点は正しく評価し、また大企業本位、県民に背を向けた政治に対しては積極的に批判をしてまいったと考えております。
 私は、今後の県政が県民を主人公とした民主的な県政へ向けて大きく前進していくことを切望するがゆえに、最後の本会議においても質問に立たせていただいた次第であります。御了承をお願いし、質問に移らせていただきます。
 初めに、情勢が時々刻々急激な展開をしてきました湾岸戦争と、それに関連する問題についてお尋ねをしてまいります。
 本日、アメリカのブッシュ大統領が戦闘の一時停止を明らかにしたとの報道を聞きました。既にイラクのフセイン大統領は、二十六日、イラク軍のクウェートからの撤退を同日中に実行するとみずから声明しました。我が党は、この声明が無条件で直ちに実行され、それによって速やかな戦争終結と問題解決に展望が開かれることを期待し、大きく情勢が切り開かれた中で、以下の点について知事の御所見を承りたいと思います。
 私はまず、今日の激変する情勢のもとで日本国民として重要なことは、日本国憲法の平和原則に立って、戦争協力ではなく、あらゆる機会に戦争終結、イラクの完全無条件撤退、中東の公正な平和を求めて世界に働きかけることにあると考えます。
 次に、海部内閣は開戦すると直ちに戦費追加支出や自衛隊派遣を決めるなど、アメリカの要求に迎合して九十億ドルをいかに捻出するか、自衛隊機派遣の正当化を図ることを重視してまいりました。特に、地上戦の開始という事態にかこつけて九十億ドルの支援に全力を挙げるなどということは、憲法上でも絶対許されないことと考えます。
 引き続いて、湾岸戦争開戦後、二月に入って国連のデクエヤル事務総長がフランスの新聞「ル・モンド」などのインタビューで、「今の戦争は国連の戦争ではない。そこには国連の旗もないし、国連のヘルメットもない。私は、ただいろんな軍事行動がとられた二、三日後にそういうことがやられたという報告を聞くだけだ。国連がこの戦争に責任を負っているとは言えない」と語りました。湾岸戦争は国連から独立した戦争であるということを、国連の事務総長がはっきりと認めているのであります。国連事務総長のこの表明は重大な問題を含んでいると考えます。
 本県にとりましても、中東地域や周辺地域諸国との関係もあります。知事から、以上の三点についての所見をお聞かせいただきたいと存じます。
 湾岸戦争と関連して、県内産業問題についてお尋ねをいたします。
 県内産業で中東地域及び周辺地域諸国との貿易関係にある企業がありますが、これらの業種及びどのような影響を受けているかについてお聞かせいただきたいと思います。
 例えば、戦争状態によって輸送ルートの変更を余儀なくされ、輸送日数がふえたことによる各種の損失や輸出入の停止などの事態が存在したのかどうか、損害があった場合の補償はどのようなことで解決されるのかについて、商工労働部長からお答えください。
 次に、一月二十二日付自治準企第三号で、中東地域への医療団派遣に対する協力についての依頼が自治事務次官から都道府県知事や指定都市市長に出されております。これによると、医療団に協力の意向を持っている医師等の推薦方についての配慮のお願いとなっております。多国籍軍への従軍的傾向の強いこの医療団派遣要請にどのような対処をされてきたのか、総務部長からお答えを願います。
 次に、臨調・行革路線と今後の県政について質問をいたしてまいりたいと思います。
 ことしは、臨調・行革が開始されて十年、地方行革が進められて五年になります。軍備拡大と大企業奉仕、国民生活破壊のこの路線のもとで、福祉、教育が切り捨てられ、多くの困難と犠牲が住民に押しつけられてまいりました。
 臨調・行革の真のねらいはどこにあったのでしょうか。それは、今日明らかになっているように、行政改革推進を表看板にしながら、大資本のためのばらまき財政が残した膨大な借金の後始末と軍備拡大、海外進出という二つの目的のための費用を国民に押しつけること、さらに、財界の二十一世紀へ向けての戦略や反動的な理念に基づいて既存の制度の見直しを進め、体制を編成することという二点にありました。
 この十年間の臨調の歩みは、戦後、憲法が確立した民主的原則に基づいて国民が長い間の運動を通じてかち取ってきた諸制度、とりわけ社会保障、福祉、教育、地方自治を初めとする民主的な制度への総攻撃にほかならなかったのであります。
 仮谷知事は、政府の臨調・行革路線を積極的に県政の柱とするために取り組んでこられました。一九八五年、すなわち昭和六十年十二月には、政府の方針に基づき、和歌山県行政改革大綱が作成をされました。和歌山県政がこの大綱を柱としてどのような変遷をなしてきているのか、特に県民の福祉、教育、暮らし、平和はどのような歩みをなしてきたのであろうか、歴史的に振り返ってみたいと考えるものであります。
 まず、本県人口と産業の関係についてお尋ねをいたします。
 昨年、一九九〇年の国勢調査が実施をされました。その結果、本県においては、五十市町村中八二%に当たる四十二町村で人口が減少、前回の一九八五年、昭和六十年国勢調査に比べて一万二千八百八十八人もの人口が減っているのであります。
 人口減少の主な要因として県当局が挙げているものを見ますと、前回に比べて四千七百九十八人の人口減少となった和歌山市では、「大手製鉄所が六十一年十二月に中期経営計画による合理化(鉄鋼部門の六千人削減)に入り、下請けを含めた関連企業の雇用者の減少」と「地価高騰による近隣町村への人口流出」の二つが挙げられております。
 産業との関連を中心に見てみますと、海南市では「大手製鉄会社、石油関連会社等の規模縮小」、有田市では「石油関連会社等の県外関連事業所への派遣」、御坊市では「電力会社の火力発電所が六十年から営業運転に入ったため、建設作業関係者が転出」、新宮市では「旧国鉄、旧電電公社、旧専売公社の民営化による転出」「大手製紙会社の規模縮小」、下津町では「石油関連会社等の操業停止による人口減少」、由良町では「御坊火電工事に伴うケーソン製造関係作業者の転出」と「大手造船会社の規模縮小」が挙げられております。また、かつらぎ町、高野口町では「零細事業所が大半を占める経済構造であるため、県外他市町村への人口の流出」が、串本町、那智勝浦町では「遠洋、沿岸漁業の操業縮小」が挙げられております。
 以上の実態は何を物語っているのでありましょうか。県政は歴代にわたって大企業奉仕の政治を続けてきました。大企業に対して多くの金を注ぎ込みましたが、これらの企業は企業の都合だけによって労働者を首切り、また、さっさと和歌山を捨てていっているではありませんか。このような大企業の横暴を許しておいてよいものでしょうか。
 仮谷県政が力を入れてきたことが人口減少の大きな要因になっているとお考えになりませんか。こうした県政のあり方が今大きく問われているのではありませんか。人口減少は県勢の落ち込みのバロメーターでもあります。
 一方、人口が増加している南部川村を見てみますと、特産である梅の栽培拡大によっての増加であります。これは、地場産業や農業など、地域に根を張った産業の拡充が人口の定着化と増大に貢献することを示す基本的な姿であり、大企業優遇の姿勢を改め、つり合いのとれた産業を築いていく県政を確立することが重要であることを強調いたしたいのであります。
 以上述べてまいりました諸点について、知事の明確な御答弁をお願いいたします。
 商工労働部長から、この十年間における鉄鋼、石油、製紙関係労働者の動向について、国勢調査の内容とも関連してお答えいただきたいと思います。
 次に、和歌山県経済の重要な位置にある地場産業、中小商工業についてお尋ねをいたします。
 紀陽銀行発行の「経済月報」一九九〇年十二月号に、地場産業の市場占有率調査十二品目の内容が特集されております。十年前の昭和五十六年の市場占有率、いわゆるシェアと比較した六十三年の現状は、企業の努力にもかかわらず、一部を除いてはシェアの状況に、順位も含めて大きな変動はありません。
 本県の地場産業の特質は、メリヤスなどの繊維、皮革に代表されるように、伝統的な素材型産業が柱となっており、付加価値の高い事業が少ないことであります。素材型産業の特質を生かすとともに、付加価値の高い産業への発展が強く望まれてきております。また、産業の内容から見て家内工業的性格を持ったものも多く、従業者の状況も事業所によって多種多様であります。
 商工労働部長にお尋ねをいたしますが、ここ十年間における地場産業の特徴について、特に規模別出荷額と従業者の状況、業種別の企業倒産件数とその理由、また素材型産業の振興と付加価値の高い産業の発展に対する具体的施策についてお答えください。
 さて、農山村における過疎化は、日本の基幹産業である農業に対する政府の施策とも相まって、深刻という域を超えた事態となっています。とりわけ後継者問題は、県政にとっての重要課題であります。水産県和歌山と言われる漁業においても同様であります。
 農林水産部長にお尋ねをいたします。この五年間に新規に中学、高校、大学卒業者で農業を継いだ青年がどれだけあったのか、またUターン青年はどのような状態なのか、県として後継者対策にどう取り組んできたのか、そこでの問題点と今後どのような具体的対処を考えているのかについてお答えください。山村、漁業についてもあわせてお答えを願います。
 続いて、臨調・行革の集中的な攻撃を受けた福祉切り捨て問題についてお伺いをします。
 「福祉を充実すると先進国病になる」という政府の宣伝が振りまかれ、「自立互助」「民間活力」が唱えられ、社会保障、社会福祉などに対する国や自治体の財源が削減をされました。本県も政府の補助金カットなどによるしわ寄せを受け、財政的困難を来したことも事実であります。
 こうした事態の中で、県民の切実な要求運動と関連して一定の積極的施策もとられてまいりました。しかし、政府が老人医療無料化から有料化への方針を打ち出したとき、知事は政府の予算化が行われない以前から無料化の予算を打ち切られました。その議会で我が党議員団は、仮谷県政が「福祉和歌山」と言いながらの老人に対する冷たい仕打ちを批判し、無料化のために必要な約十一億円の財源は、例えば基金を初め、高野龍神スカイラインの赤字解消のための年間八億五千万円の無利子貸付金などの財源を県民本位に考えれば十分対応できるとして、有料化をやめて無料化の回復を行うよう提案をいたしましたが、知事はこれを無視されました。
 また、県が単独で対処され、喜ばれてきた、寝たきり老人に対する年間六千円の見舞い金、重度重複障害者への年間六千円の見舞い金、また病没母子家庭への見舞い金なども打ち切ってしまわれました。
 県は、六十年度からこれらの見舞い金を見直して、例えば寝たきりのお年寄りには、おむつなどの現物支給をしていると言っております。しかし、お年寄りは、年一回楽しみにしていた見舞い金が来なくなり、その上、申請をしないと現物がもらえない状態に置かれたのであります。さらに、高齢のお年寄りに対する長寿祝い金が、今までの八十五歳が打ち切られ、九十歳以上に引き上げられました。私は、長寿と言えば七十歳以上と考えてもよいのではないかと思います。
 知事にお尋ねをいたします。老人医療無料化の復活や各種見舞い金の復活、長寿祝い金をさしあたって今までの八十五歳までに戻すことを初め、打ち切られた福祉関係の制度を戻すよう取り組まれたいと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 民生部長と保健環境部長にお伺いをします。
 老人医療の無料化や各種見舞い金の復活、長寿祝い金の年齢引き下げを行うとすればどれだけの予算化が必要なのか、それぞれの項目についてお聞かせください。
 次に、県の各種積立金である基金についてお伺いをいたします。
 この問題は、第一日目に我が党の村岡キミ子議員が質問をいたしておりますので、これとも関連をしてただしてまいりたいと存じます。
 自治省の財政局長は、各種積立金いわゆる基金について、元年度は十三兆円に上り、このままでは来年度は十七兆円を超えることを、去る一月二十一日から三日間開かれた都道府県財政課長会議で明らかにいたしました。基金は、財政調整基金、減債いわゆる県債管理基金と特別目的基金から成っておりますが、政府資料によりますと、都道府県の基金は九〇年末の見込みで約六兆二千億円に上るということであります。
 本県の基金について見ますと、一九九一年末予定には、補助金カット等の調整債あるいは財源対策債の国の補てん分約四百億円の前倒しが含まれているとはいえ、千二百五十一億円余が見込まれているのであります。
 政府による地方行革の押しつけの中で、地方自治体は福祉や教育、住民サービス関連を削り、公共料金や住民負担の引き上げの中で基金が積み立てられてきました。本県の基金は、この十年間に約三倍の額になっています。二十基金のうち、特定目的の基金として必要なものもあります。しかし、基金全体を住民の福祉、教育などに有効に使用することが県民本位の県政であると考え、以下の諸点について総務部長から答弁をいただきたいのであります。
 まず、財政調整基金についてであります。
 この基金は、一九九一年末予定で百三十六億円余となっております。この基金を、さきにも述べました臨調・行革で廃止された老人医療費の無料化の復活や各種見舞い金などの復活を初め、福祉、教育など、県民のために積極的に活用するよう対処されたいのであります。
 次に、県債管理基金についてであります。
 一九九一年末予定の基金残高は六百十二億円余にもなり、これは一九八九年度決算における基金残高の実に四・四倍、十年前に比べると十倍以上の多額の積み立てとなっているのであります。第一日目における総務部長の答弁では、県の借金の元利償還として毎年三百億円程度が必要ということでありましたが、本年度県予算案によりますと、一般会計で公債費二百五十億円余が計上されておりますから、県債管理基金からは五十億円ということであります。
 そこで、この県債管理基金を来年度から仮に百億円あるいは百五十億円にするならば、一般会計の公債費を大幅に減額し、住民に犠牲を押しつけてきた、福祉を初め県民のために使用すべきであると考えます。
 また、特定目的基金についても一九八〇年度からの基金残高の推移や内容を見てみますと、もっと積極的に活用すべきものや、基金としてでなく年度計画で可能なものなど、基金内容の見直しなどを検討すべきであると考えられるものがあります。御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
 最後に、重ねてごあいさつ申し上げることをお許しいただきたいと思います。
 先輩・同僚議員の皆さん、十二年間にわたる温かい御交誼、心から厚く御礼を申し上げます。あと一カ月に迫った一斉選挙で勝利へ向けての御奮闘を御期待申し上げるとともに、今期ともに勇退される皆さんの御健勝をお祈りいたします。
 知事初め県職員の皆さん、また今期で退職される皆さん、議員生活を通じ、数多くの勉強をさせていただきました。ありがとうございました。
 最後になりましたが、私を県議会へ送り出していただきました皆さんに、議場からではございますが、厚く御礼を申し上げます。
 議員生活の体験を今後の人生に大きく生かしていくために、うんとうんと頑張っていく決意でございます。ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 湾岸戦争につきましては、お話ございましたように、二十六日、フセイン大統領がイラク軍のクウェートからの撤退を表明したと伝えられたところでございますけれども、さらに先ほど、ブッシュ大統領が本日二時に戦闘行為を一時停止するとの声明を発表したとの報道がございました。私としては、国際動向を注視しつつ、これが一日も早い和平の実現につながることを心から願うものでございます。
 なお、御指摘ございました自衛隊機の派遣でございますけれども、これについては、自衛隊法の規定に基づいて既に関係政令が定められているところでございますし、また湾岸平和基金拠出金の九十億ドルについては、平和回復活動を行っている関係諸国が大きな負担を余儀なくされている現状等にかんがみ、我が国としてもできる限りの措置をとるためのものとして、政府の決定により、現在、国会で議論されているところでございます。
 さらに、今般の湾岸戦争については、国連安全保障理事会の決議に基づく国際社会全体の共同行動であると理解しておるところでございます。
 次に、行革との関連において人口減少に対する知事の考え方と基本姿勢ということでございます。
 一昨日、渡辺議員が過去の本県の歴史を振り返って、時代とともに世の中は変わっていく、しかし、一時的な流れに左右されることなく基本を眺めていかなければならないというお話がございました。先ほど来お話しの本県の産業振興に係る取り組みについては、基本的には戦後の我が国の産業政策と非常に関係がございます。日本の復興のためには高度経済成長、そしてそのためには重化学工業が発展してまいりました。
 特に、和歌山県においては、海岸との関係上、重化学工業が発達した。しかし、日本を襲った二度にわたるオイルショックを初め、世界経済の急激な変化により重化学工業の事業規模の縮小等、本県産業が非常に厳しい局面を迎えたことは事実でございます。
 そうした中で、県としても事業規模の縮小に伴う県経済への影響をできるだけ少なくするよう企業に対して善処方を申し入れてまいったところでございますが、公害問題、産業立地上の問題等と相まって今日に至っているのが現状でございます。
 一方、産業構造の転換に向け、加工組み立て型産業の育成、企業誘致や各種プロジェクトの実施に取り組んでいるところでございまして、和歌山県の新しい企業のあり方といったものについて積極的に取り組んでおり、今後ともなお一層取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、臨調・行革による福祉への対処でございます。
 福祉・健康和歌山の実現は県政の重要な柱として取り組んでまいったところでございまして、御質問の点については、厳しい環境の中で今後新しく生じるであろう問題、必要性、緊急性、総合的な検討を加え、スクラップ・アンド・ビルド方式を含めた見直しを行ったものでございます。
 県民の健康・福祉の向上については、私の政治信念でございますので、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、藤沢議員には、三期十二年にわたり県会議員として御活躍いただきました。政治的立場の違いはあれ、議会人としての姿勢に敬意を表するとともに、議員の今後ますますの御健勝を心からお祈り申し上げます。どうもありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、湾岸戦争の県産業への影響等でございます。
 本県における中近東貿易のうち、輸入については、平成二年八月から十二月の間で約八百九十九億二千七百万円で、前年同期に比べますと約一四〇%の伸びでございます。そのほとんどが石油関連製品でございます。
 次に輸出でございますが、同じく平成二年八月から十二月の実績は約四十四億六千七百万円、前年同期に比べて約五〇%と落ち込んでございます。輸出の主なものは、鉄鋼で約四十億九千百万円、光学器械、繊維機械等で約三億四千八百万円、その他が約二千七百万円でございます。
 次に輸送コスト等の問題でございますが、対ヨーロッパ輸出が一部ケープタウンを経由している等の理由により、トン当たり八ドル上昇してございます。また、対中近東輸出においては、保険料率が貨物価格の〇・五%以上上昇してございます。
 各業界、団体等においては、現在のところ大きな影響はないとのことでございますが、今後の状況によっては地場産業への影響も懸念されるため、引き続き事態の推移を慎重に見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、十年間の労働者の動向でございます。
 御指摘の企業の業種別のこの十年間の労働者の動向を見ますと、鉄鋼では昭和五十五年が一万一千百六十八名、平成二年では六千五百名とその他県内関連企業等への出向者が三千六百四十名、計一万百四十名でございまして、一千二十八名の減でございます。石油三社では、昭和五十五年が二千三十九名、平成二年で九百九十五名と出向者が三十八名の計千三十三名で、一千六名が減少しております。パルプは、昭和五十五年が四百二十名、平成二年で二百三十二名に出向者が百六十九名で計四百一名、十九名が減少してございます。
 これら企業の従事者の減少要因は、日本の産業構造が素材型から加工型に大きく構造転換したこともございますが、中期経営計画による合理化なり減産による規模の縮小等、そしてまた労働力のサービス業等への流出なども要因となっていると考えてございます。
 それから、地場産業の特徴と今後の具体的施策でございます。
 地場産業は、郷土の長い歴史の中で育て上げてきた自前の産業でございまして、地域経済の最大の担い手として、県においてもその振興を積極的に図ってきたところでございます。
 規模別出荷額でございますが、昭和五十四年と六十三年を比較いたしますと、従業員数三百人以上の大企業の出荷額が一兆二千九百六十億三千五百万円から一兆五百六十四億一千百万円で、八一・五%と落ち込んでございますが、地場産業に代表される中小企業においては、八千二百九十二億八千万円から一兆七百三十七億四千三百万円と、一二九・五%の伸びとなってございます。
 また従業者の状況でございますが、五十四年は八万五千九百三十七人、六十三年は七万七千六百十一人と、八千三百二十六人の減でございます。この主な要因としては、円高や産業構造不況に伴う経営の合理化等によるものと考えられます。
 次に、業種別企業倒産件数とその理由でございます。
 昭和五十四年から六十三年までの十年間で負債額一千万円を超える倒産は累計で八百九十一件に上りますが、昭和六十一年から平成二年にかけては減少を続けており、中でも平成二年は過去最低の三十五件でございます。業種別に見ますと、卸小売業が三百三十一件と多く、次いで製造業が二百三十件、建設業が百九十六件等となってございます。倒産の理由については、放漫経営によるものが最も多く、次いで市況悪化による販売不振で、この二つの要因による倒産が全体の約九〇%を占めてございます。
 次に、素材型産業の振興と付加価値の高い産業へ発展させる具体的施策でありますが、基本的には、単なる物づくりや下請的生産に終始している受注依存型体質から、価値観づくりと消費者に対して積極的な企画提案ができる地場産業を目標に、新商品、新技術の開発やデザイン、ファッション等、ソフト部門の充実を図ることが緊要であると考えております。
 そのため、県においては、従来の施策に加え、工業技術センターを研究開発型機能及び開放交流型機能を備えた魅力ある研究開発支援施設として整備するとともに、県内外の大学、公設試験研究機関等との連携を図り、産・学・官の技術交流や人材育成と各種事業を効果的に実施するため、テクノ振興財団を設立することとし、地場産業の高付加価値型産業への脱皮を目指してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 初めに、中東地域への医療団の派遣に対する協力要請についてでございます。
 本年一月に自治事務次官から文書をもって、公立病院において医療団に参加の意向を持つ医師等の推薦について、本県への依頼と市町村への趣旨伝達の要請がございましたので、県立医科大学と公立病院を設置する市町村に対してその趣旨を通知したところでございます。
 なお、医療団の派遣は難民キャンプ等において被災民等の救済活動を行うためのものでございます。実際の医療需要、派遣先国の意向あるいは医療団の安全確保等を考慮して決定され、特に、中東地域における戦闘行為が継続中は派遣されないものと聞いておりますし、また医療団に参加するかどうかはあくまでも医師等の自発的な意思によるものでございまして、その性格上、強制すべきものではないと承知をしております。
 なお、現在までのところでは、県立医科大学、公立病院ともに医療団への参加の申し出はない状況でございます。
 次に、基金の取り崩しについてでございます。
 まず、御指摘のございました財政調整基金は、県財政の健全な運営を行うために、例えば経済事情の変動等による著しい財源不足に対処をする等、年度間の財源調整を行うために設置しているものでございます。その残高は平成二年度末で百四十五億円、三年度末で百三十六億円となる見込みでございますが、本県のように税収構造が石油あるいは鉄鋼といった特定の業種に依存をし、経済の変動に左右されやすい不安定な構造となっている団体にあっては、財政運営上ある程度の残高を確保しておくことが必要であると考えております。
 お尋ねの福祉関係経費については、その必要性、緊急性等、総合的な観点から検討を加え、見直しを行ったものでございますが、もとより福祉の増進は県政の重要な課題であると認識をしているところでございまして、毎年度の予算編成において、種々の施策を積み上げていく中で一般会計全体としてなお財源に不足が生ずるというような場合には、財政調整基金の活用を図っていくことが必要であると考えております。
 次に、県債管理基金の活用でございますが、御指摘のとおり、県債管理基金の平成三年度末における残高は六百十二億円となる見込みでございます。しかしながら、これは、県が発行した財源対策債あるいは調整債の将来の償還財源として地方交付税で前倒し交付をされ、これらに相当する額を積み立てることとされたことなどによるものでございます。
 このような趣旨及び将来の公債費の状況からすると、財政の対応力あるいは弾力性を確保していく上からも、県債管理基金の単年度における大幅な取り崩しには慎重でなければならないものと考えております。
 ただ、平成三年度において約五十億円の取り崩しを行ったように、今後も公債費の増大が福祉、教育等の政策的経費の圧迫要因とならないように、県債管理基金の適切な運用を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、その他の特定目的基金でございますが、平成三年度において、例えば県単独老人医療費や重度心身障害児医療費として福祉対策等基金から九億円、道路事業用地の先行取得として土地開発基金から十五億円等、活用を予定しております。
 今後とも、これら特定目的基金については、その必要性あるいは積立額等を十分検証しながら、その設置目的に沿い、事業の進捗、資金需要等に対応した運用に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 後継者問題の現状と対策でございますが、農林水産業の後継者対策は、一次産業の振興はもとより、地域の活性化を図る上に重要な問題でございます。後継者を育てる環境づくり、励ます環境づくり、自立する環境づくりの三つの環境づくりに視点を置いて、これまで体系的に種々の施策を展開してきたところでございますが、経済の好調な成長による労働力不足や賃金アップ等が進む中で、一次産業特有の作業環境や若者の価値観の変化等により、後継者の確保は大変厳しい状況にございます。
 お尋ねの最近五カ年間の新規農業就業者は三百六十六人で、そのうち八十二人がUターン青年となっており、これを学歴別に見ると、短期大学卒を含めた大学卒業者が百三十三人、高校卒業者が二百二十二人、中学卒業者が十一人となってございます。
 こうした状況の中で、議員のお話にもございましたが、梅と花等により高収益農業を展開している南部川村において人口が増加しており、こうした例にあるように、魅力ある農林水産業の構築と生活環境等の整備、さらには新規就業者のための技術指導等の支援対策に努めることが重要なことと考えてございます。
 このため、地域の活性化を図る総合的な施策の展開に加え、地域、市町村、教育機関等との連携を図り、若い農業者の育成確保のため、技術交換大会や海外派遣教育等、農村青年教育の充実、都市青年との交流促進及び就農相談活動等を強化し、また若い林業従事者の新規参入を促進するため、先進地見学等による技能向上や作業員資格免許の取得等、技能教育や就労安定を図り、漁業では青少年水産教室を開催するなどし、さらに機会あるごとに農村、農業の持つよさ、特有の文化をPRし、農林水産業の後継者対策を強化してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 福祉関係の各種見舞い金などを復活した場合の必要額について、お答えいたします。
 寝たきり老人見舞い金、約二千三百万円、重度障害者見舞い金、約一千七百万円、病没母子家庭激励金、約千六百万円、また長寿祝い金の年齢引き下げについては約二千三百万円が見込まれます。
 しかしながら、知事からもお答えしたように、こうした見直しの中で、新たな県民のニーズにこたえるため、要援護老人生活補助用具の給付事業、障害者福祉地域啓発事業並びに各県事務所への手話通訳者の設置など、きめ細かな福祉施策の充実を図ったところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 老人保健医療費の自己負担額についてでございますが、入院、外来を合わせ、昭和六十二年度は約十六億七千万円、受給者一人当たり約一万六千円、昭和六十三年度においては約十七億八千万円、受給者一人当たりで約一万七千円となってございます。
 老人医療費については、年々増加が見込まれる中で、老人保健制度の運営の安定化を図るため、老人自身にも無理のない範囲で御負担をいただいているものでございますが、また県としても老人の健康増進のため検診や予防、啓発活動に力を入れているところでございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎君 最後の質問でありますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) 以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十七分散会

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