平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時六分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
─────────────────
○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
17番堀本隆男君。
〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 先輩議員、同僚議員の御高配により登壇の機会を得ましたことを感謝申し上げます。
昭和六十二年一月に県庁を辞して四年余、時代は大きく変化しました。世界は東欧問題、湾岸情勢と激しく揺れ、国内情勢も変化の連続でありました。こうした中にあって、本県は仮谷知事の強力な指導のもと着実な進展を遂げつつあり、私が企画部に在籍していた当時を思い起こすとき、政策展開、県勢発展に格段の開きを見ることができ、かつ将来に大きな希望を持てる県政に満足を覚える一人であります。こうした時期に議席を置かせていただけたことを誇りに思い、選挙区の皆さんに感謝してやまないところであります。
過去四年間、県会議場で質問の機会を得るたびに、県勢発展にふさわしい内容であったか、選挙区の皆さんの意思を十分に伝えられたか、県の施策に反映されたか、一言一言の言葉の重みをかみしめつつ、反省を繰り返し、質問をしてまいりました。また、同じ選挙区の先輩議員の指導を受け、見習いながら、早く一人前の政治家たらんと努力し、気がつくと一期四年は瞬く間でありました。
「二十一世紀の和歌山を現実的な姿として視野にとらえ、各種プロジェクトを加速的に進めていく」と知事は披瀝されておりますが、さらに国や近畿の各府県からもその進展ぶりが注目されていると聞いており、ここまで県勢を発展の軌道に乗せられた仮谷知事を初め執行部の方々に、一議会人として率直に感謝の意を表する次第であります。と同時に、本当の県勢の発展はこれからであります。県政始まって以来という巨大プロジェクト群の同時進行は、県の財政事情や各地域における諸般の事情等、これからも種々困難が予測されます。現在策定中の第二次中期計画においてはこうした点を十分考慮し、二十一世紀をとらえ、県勢進展への足音の聞こえる計画であってほしいと強く願うものであります。
さて、こうした前置きのもとに本論に入ります。
私ども紀南に住む県民にとって最近の県政の動きをどう受けとめているか、一住民の視点から率直に申し上げたい。
現に進行しつつある大プロジェクト群と中期計画のプロジェクトを見るとき、北高南低の感はぬぐえないのであります。つまり、紀南のプロジェクトが少なく、投資額も低いのであります。もっとも紀南二市二郡の皆さんとて、紀北が成長して豊かになり、順次南に豊かさが移っていく経済の流れは十分に承知しているところでありますが、現在すら目立っている県民所得の南北格差が紀北の先行発展でなお一層広がる点が心配であり、将来に危惧を抱く者の一人であります。南北格差の拡大に対する当局の御所見を伺いたいのであります。
さて、一期四年間、私の公約に掲げ、特に力を入れて取り組んでまいったリゾート産業の誘致の経験を踏まえ、県のリゾート開発行政、観光行政に絞って質問を進めさせていただきます。
まず、リゾートについての私見を述べてみたいと思います。
財団法人日本健康開発財団常務理事・岩崎輝雄氏の最近の調べによりますと、東京丸ノ内ビジネス街で、この一年間、企業の戦士五十名が過労死で亡くなった、四十代を中心に増加の傾向で、原因はストレスなど精神的、肉体的な蓄積性疲労とされております。このうち人間ドックなどで事前に異常が発見されたのはたった一名で、突然死に対していかに医学も無力であるか。ハードなビジネス社会のもたらすテクノストレスが、長年の心身の蓄積性疲労が重要因子として引き金となっており、現在、社会問題化しているところであります。
同時に、ストレス解消の有効手段である休養のとり方が今後の重要課題となってまいりました。御承知のように、精神的疲労の回復には運動を、肉体的疲労には休息と精神的栄養──つまり文化・芸術であります──をとることが大切とされております。
厚生省は、現在、温泉利用型健康増進施設、つまりクアハウスの普及を積極的に進めております。温泉は蓄積性疲労回復の効果が高く、休養、保養施設として日本人になじんでいるからであります。経済企画庁では、国民生活審議会において、国民の長期連続休暇のあり方について、県も要望中のバカンス法も含め、検討を進めております。労働省では、産業労働懇話会の席上、小里労働大臣が、労働時間短縮を経営者、労働界、政府が一体となって進めるため政府部内に国民のゆとりや豊かさを推進する機関を設置したいと表明し、欧米と比べて格差のあり過ぎる時短問題が大きく前進する見込みであります。また労働界でも、鉄鋼労連を初めとする各労働団体の春闘要求に時短千八百時間実現へ労使で合意される動きとなってまいりました。つまり、世界の趨勢が確実に時短、休養、バカンス、リゾートライフの方向に向かっていると言えるのであります。
次に、リゾート基地の建設と自然破壊の問題について。
私は、人類の歴史は自然との闘いの歴史であったと考えます。人間が生存していくために食料の確保が不可避であり、古来、人間は野を耕し、山を削って田畑をつくってまいりました。時には台風という反乱に遭い、堤防を築いて防衛し、自然を征服してまいったのであります。そして現在は、人間社会がつくり出したテクノストレスにより多数の人々が傷つき、過労死に至る。より人間らしく生きるためにゆとりと憩いの場が求められ、欧米先進諸国では政府の力でバカンス法が制定され、大衆リゾート基地がつくられてきたのであります。
「リゾート基地、即自然破壊」と決めつけるのではなく、現代人に必要不可欠な保養施設を最小限の自然の利用により提供することは許されると考えます。それは自然破壊ではなく、一つの人工美の創出であり、人類と自然との共存共栄と考えたいのであります。
先ほどの岩崎輝雄氏は、休養の科学の基本を快適性、つまり心地よさ、アメニティーをいかに保つかにあるとしております。居住環境、都市環境、自然環境、社会環境の快適性がいかに重要であるか、社会学の分野で大きなウエートを占めてまいりました。
上智大学教授・猪口邦子氏──NHKテレビに出演される美人な教授であります──は国際社会学会で大変すばらしい提言をされ、彼女の提言は、現在、国際的に高い評価を受けているのであります。何を提言されたかと申しますと、世紀のキーワードは何かということ、つまり十九世紀は「領土」、二十世紀は「富」、そして来る二十一世紀は「快適性」と喝破しているのであります。
十九世紀は領土、つまり植民地時代で、その広さが国力を示しました。湾岸戦争でイラクのしていることは一世紀前の野望であり、したがって国際的には認められないのであります。そして二十世紀は富の時代で、アメリカがその代表で、覇権を握った。金がすべての力であります。今は、アメリカが少し弱くなって日本が強くなりつつありますが。最後に二十一世紀は快適性の時代。ヘルシーなバランス感覚からアメニティーの高い社会の創出がこれから競われるわけです。つまり私は、二十一世紀の日本は快適なリゾート地がますます求められる社会と考えておるわけであります。
さて、こうした私の基本的スタンスに立って、昨年末、国から承認なった燦黒潮リゾート構想について質問をいたします。
トータルな感想として、ここまで取りまとめられた作業は大変であったと思い、当局の御苦労に感謝いたします。和歌山県の特色をとらえ、コンセプトもなかなかよいと思います。特に紀南西牟婁郡における三カ所三町の重点整備地区の指定について、心からお礼を申し上げる次第であります。
まず初めにお尋ねいたしたいことは、この構想のおおむねの完成目標年次はいつか。民間総投資額五千七百億円とありますが、公共投資額はおおむね何億円でありましょうか。これらの総投資額による経済波及効果は何億円になりましょうか。リゾート入り込み客数は、観光客を除いて何万人が見込めるのでありますか。また、リゾート関連収入は何億円見込まれ、それらの生産誘発効果は何億円でありましょうか。さらに、雇用効果は約何万人が見込めるでありましょうか。おわかりの範囲内でお教えいただきたいのであります。
さて、最近、バブル経済がはじけ、金利高、融資規制でリゾート関連企業の倒産が相次いでおります。土地不動産投資の冷え込みと同時に、リゾートブームに陰りが見えてまいりました。しかもその上、全国で二十七県が指定を受け、申請中は三県、最終的に四十県が指定され、和歌山県の競争相手となってまいります。さらに海岸リゾート熱は上昇の一途をたどり、また東京、大阪近辺の巨大なアーバンリゾートが伸びており、こうした荒波の中に本県のリゾート構想が突入したわけでありますが、正直な感想として、この実現は前途多難に思うのであります。
もっとも、加太・紀泉地区、和歌浦湾地区は県の投資もあり、構想もユニークで競争力は高いと思いますが、その他の地区は民間活力に負う姿勢が強く、景気の動向にも左右され、かつ全国に数多い海洋型と同タイプで、構想実現の見通しは明るくないと考えられます。当局のお考えをお尋ねいたします。
昨年八月下旬、日本のリゾート基地のメッカ・沖縄本島のリゾート地を見て回ってまいりました。空港ロビーは若者たちでごった返し、ホテルもビーチも満員で、予約もとれない状況でありました。何がこの若者たちを引きつけるのか、魅力の源は何か、いろいろと検討した結果、結論は、リゾートホテルとそれを囲むプライベートビーチであります。
今、世界でも日本でも、夏、人が集まるところはビーチ、海浜であります。昨年夏、和歌山市で日経産業新聞セミナーが開催され、講師のダイヤモンドリゾート社長・中田修氏が特に和歌山のリゾートについて、「和歌山県の海岸は荒磯が多くてリゾートに適さない。ビーチがないので、自分は和歌山でリゾートをやる気はない」と語っておりました。
白良浜、那智海岸、片男波と、県において養浜事業を積極的に進めてもらってはいるものの、本構想では養浜事業が少なく、将来、ビーチの増加が望まれますが、御所見を承りたいのであります。
沖縄県庁で伺った話でありますが、沖縄トロピカルリゾート構想は承認申請を一年間おくらせた。理由は、本土からの大規模開発の申請が殺到し、乱開発による自然破壊のおそれが出たためであります。一年間に何をやったかと申しますと、まず市町村と協議し、開発不適地を抽出し、開発可能地の抽出を行って、そしてリゾート開発適地の設定を行ったのであります。県では、ゾーニングしたリゾート開発適地以外の土地では絶対許可は出さないこととしており、大変な作業であって、いまだに地権者等とももめることがあるそうであります。そして、このリゾート開発適地の中にさらに、一、リゾート振興地区、二、特別保全整備地区、三、リゾート海域を設けています。リゾート海域という発想は、海を大切にする沖縄ならではの発想であります。
私はいつも思うのでありますが、ニースのように海岸から山腹まで開発し尽くされた姿やホテルとリゾートマンションの林立で緑を切り倒してしまった熱海を見て、近い将来の、田辺市新庄から白浜町大浦に至る間の県道周辺から山頂まで開発し尽くされる姿ではないかと心配する一人であります。今からでも遅くないと思います。沖縄県のように本県も開発不適地を設定し、リゾート開発適地を市町村とともに早急にしてはと考えるのでありますが、御所見を承りたいのであります。
次に、幼稚な質問と思いますが、今回承認なった重点整備地区の各特定施設について、今後増設などで変更する場合、その都度、国の承認を受けなければリゾート法による援用が受けられないのでありましょうか。軽微な変更は国の承認が要らないものか。さらに、今回の承認に入っていない町で指定を熱望している町がありますが、民間特定施設の熟度も高く、かつ大規模開発を抱えている町が仮にあるとすれば、県としては二次申請をしていただけるのかどうか。するとすれば、一体いつごろになるのか。具体的に、日置川町がそうした申請を行いたいとしたとき、県はどのように取り扱われるか。お尋ねをいたします。
バブル経済がはじけ飛んでリゾート産業は強いアゲンストの風に吹かれておりますが、その上に住民運動による反対運動が強くなってまいりました。リゾート法指定一号、福島県裏磐梯大府平計画の一部に進出予定の伊藤忠、飛島建設が早くも撤退の挫折に至った。理由は用地買収の見通しの甘さで、県では事業者名は指定要件に含まれていないからとしておりますが、これは問題が多いのであります。二番目に、同じくリゾート法による指定を受けた石川県河内村では、第三セクター──JR西日本、民間、県、村も出資した会社であります──によるゴルフ場開発を進めてまいりましたが、水源が農薬で汚染されるということで約一割の地権者の反対に遭いまして、もろくも会社は解散しました。この結果、調査費など約三億円の損害を主力のJR西日本が一人でかぶったそうであります。
我が県にも、ゴルフ場等大規模開発の計画が地元住民の反対でとんざし、中止をするところが出てまいりました。テクノ&リゾート──紀南はリゾートで地域活性化をと、県の強いリードと支援でいまだかつてないチャンスが紀南に向けられているのでありますが、そうした中で、せっかくの進出計画がむざむざと消えていきます。
原因は何か。私は、住民の無理解と決めつけることはできないのであります。ほとんどの住民の方がゴルフを一度もやったことのない方ばかりであります。また、反対の中には、ゴルフ場イコール環境破壊と決めつける主義主張を持ったリーダーに流される方もあります。こうした方は、荒れ山を生かして庭園美をつくることの価値と意義を理解しようとしません。また農薬についても、使用基準を守り、所要の措置を講ずることで絶対安全であることを月刊「DOHL」は特集もしております。むしろ、田畑で使用される農薬の使用量が欧米の五、六倍も使って問題がある点を朝日新聞社主催の国際シンポジウム「コメの市場開放を考える」のパネラー、米国のソスランド氏から鋭く指摘されております。つまり、私が申し上げたいのは、住民に理解を求める側の企業と行政の勉強不足と根回し不足が住民の反対運動の輪を大きくしてしまうことを指摘したいのであります。
和歌山社会経済研究所の「21世紀わかやま 第12号」に県内ゴルフ場実態調査の結果が登載され、そのまとめのところで、「地域経済に与えるインパクトは、雇用面、税収面で特に大きいことが判明した。中でも、産業集積、人口集積が少ない地域においては、ゴルフ場が産業の一翼を担い、地域活性化の有効な手段となっている」と報告し、同時に企業の側の地域社会への貢献を促しております。
お尋ねいたします。こうした開発に伴う相互無理解をなくするため、県として大規模開発に伴うマニュアルづくりをされたいのであります。住民、企業、行政のそれぞれの側からのアプローチの仕方、手順、正しい知識についてQアンドA方式でもつくっていただきたい。話し合えば必ず理解されるのであります。
さて、県では、大規模開発に対しては開発内容の適正化等について事前協議制を設け、秩序ある開発を進めるよう指導されているところであります。行政指導であります。具体的に申し上げますと、A企業がB地区で開発計画を立てます。C町役場もおおむね了解のとき、県に相談に参ります。おおむね内容が適切な場合、県はA企業に対し開発計画の届け出書を提出させます。もちろん、C町役場の同意書も添付させますが、同時に地元区長の同意書、資金融資証明書、建設業者の同意書等が添付され、県で審査し、受理されて初めて事前協議申請行為が許されるわけであります。
問題が起こるのは、この地元区長の同意書であります。区長によっては、区民総会に諮って、三分の二の多数決の同意をとって提出いたします。しかし区長によっては、独断で書類を作成するところもございます。この場合が後になって必ずトラブルの原因となってまいります。区民に全く相談のない話に乗れないと、計画がこじれるわけであります。
静岡県を初め多数の県では、区長の同意から地元住民の同意になりつつあります。事業が進行して許可申請の段階で、必ず後ほど地権者と地元地区民の同意が要るのでありますから、最初に求める方がトラブルを少なくすると考えられます。この点について御所見を伺いたいのであります。
さて、ここで、私が以前から温めていた構想を提案いたしたいと思います。
結論から申し上げます。紀南コリドール構想であります。「コリドール」とは回廊という意味で、回廊構想による地域整備、地域開発を進める思想であります。産業ルート、文化ルート、リゾートルートとして、ルート周辺を重点的に整備しようとする思想であります。既に他府県でも進めており、一つの構想の芽が生まれると次々に新しいアイデアが生まれ、それらを成長させ、トータルして地域活性化を図る、つまりこれを紀南活性化構想としたいのであります。
回廊は、まず空の玄関口・白浜を起点とし、有料道路を通って田辺市で国道四十二号に入り、上富田町で国道三百十一号に乗る。大塔村、中辺路町を回り、本宮町で国道百六十八号に入って熊野川町から新宮市に至り、国道四十二号に乗る。那智勝浦町から太地町、古座町、串本町、すさみ町、日置川町と回って白浜町に帰るコースであります。私は、これをリゾートルートにしたいのであります。そして、各市町村ごとに一つ二つの特色あるプロジェクトを張りつける。
例えば私の夢を張りつけさせていただきますと、白浜町は、何と申しましても千数百年の歴史のある温泉リゾート。夏の白良浜に匹敵する、冬、温泉を活用した巨大なスーパープールをつくる。その中ではサーフィンもできる。つまり、クアハウスを兼ねてつくりたいのであります。上富田町は、果樹づくりのメッカ。世界のトロピカルフルーツを巨大温室で栽培。ハワイのトロピカルプランテーションのように、観光客に食べてもらう。もちろん、チェリモヤも入ります。大塔村は、全町大森林パーク。奥地まで道が美しい。中辺路町は、イーデス・ハンソンさんと元広島大学教授の別荘がありますが、この高原に文化人村をつくる。それと、中辺路町ではリゾートダム──小型の防災ダム兼用であります──による水遊びと釣りのメッカ。東牟婁郡は、温泉と祈りと歴史と熊野の精神文化を売り出す。串本町は、サンゴとスキューバーダイブの拠点づくり。大島は、ミニトルコ公国とフラワーアイランド。すさみ町は、日本の童謡、世界の童謡公園、フィッシングセンターとフィッシャーマンワーフ。日置川町は、河口に大ヨットハーバーとリゾートタウン。
以上、全く私の夢を羅列しましたが、多分各町では、うちはこれがよいという夢がさらに生まれると思うのであります。
地中海沿岸のリゾート都市では、必ず奥地のリゾートの案内パンフが置いてあります。白浜をベースキャンプに、紀南コリドールの各町で宿泊しながらリゾート和歌山を楽しんでいただく。つまり、海のリゾートと山のリゾートを大きく回廊で結んでいくのであります。紀北にプロジェクトが集中していても、紀南にもこうしたプロジェクトを県が認めてくれることにより、ともに発展が望めるのであります。
紀南には、まだまだ埋もれた資源があります。これを興したい、生かしたい。知恵を絞れば、半島振興法、過疎法、県の市町村振興資金など、制度資金の活用も可能であります。このルートのうち三百十一号は、知事の力入れで相当整備が進んでまいりました。時間的に第二次中期計画に組み入れは困難かと思いますが、構想の実現に向けて御検討を賜りたいのであります。知事の御所見をお伺いします。
なお、中辺路町の文化を愛するグループの方から要望されているのでありますが、国道三百十一号真砂大橋のたもとにある清姫茶屋から目前に見える橋げたに絵をかかしてほしい。文化一%システムであります。岩本正秀氏の切り絵「安珍を追う清姫」の傑作をリアルに描き、観光客に楽しんでほしいとのことであります。もちろん、ペンキ代は地元で負担するとのことであります。御所見を賜りたいのであります。
次に、コリドールルートに関連してであります。
これは私の全くの独断と偏見による意見でありますが、去年夏の白浜町内の車の渋滞は大変でありました。渋滞そのものが産業・経済活動に及ぼす影響は大きく、また日常生活、社会活動にも深刻な支障を来していることは御承知のとおりであります。中でも主要地方道田辺白浜線の県営有料道路交差点から古賀浦、桟橋、白良浜に至る間は、大量の他府県からの車と土地の車がふくそうし、多くの県外客にマイナスイメージを与えました。和歌山県ナンバーワンの観光リゾート地、日本有数のリゾート地として、まことに恥ずかしい次第であります。
そこで、独断の提案をいたします。
県では白浜有料道路の四車線化についていろいろの角度から御検討中と聞いております。それも確かに急ぐ事業であります。しかし、大阪から来た車が有料道路をおりた地点から白浜の町中までの間が渋滞のままでは効果が半減いたします。私が県当局に御検討をお願いしたいのは、有料道路をさらに延長し、県道田辺白浜線を立体交差でまたぎ、山手ルートを通って湯崎、白良浜に至る新しい有料道路の新設であります。
山腹を通ることで田辺湾を眺めることができますし、沿道修景を図ると県外の方々のイメージアップ、グレードアップに寄与します。新白浜空港へのアクセスルートもできますし、湯崎から白浜へも直結します。もちろん、交通渋滞も解消され、新たに沿線開発の経済効果も上がります。仮にこれを新有料道路と呼びますと、新有料道路の開発効果と地域活性化へのインパクトははかり知れないと考えられます。
一方、この新有料道路の建設には、採算性、ルート設定、地権者の同意、環境問題等、クリアしなければならない諸問題も数多くあるのであります。何よりも基本的なことは、県が有料道路で建設するか町が都市計画道路で建設するかであり、これの検討も課題であります。しかし私は、早期に建設すること、負担を県外の人々にも持っていただく、県の投資を紀南に呼び込む視点から、独断でありますが、県の施行をお願いしたいのであります。御所見を賜りたいのであります。
串本に住んでいつも痛切に感じますことは、高速交通体系から取り残された疎外感であります。みずからの不便さはともかく、観光、リゾート産業の誘致、地場産業の振興等、社会経済活動すべての隘路となって地域が低位性から脱却できないでいる最大の要因であります。
私は、過去四年間、リゾートの誘致に力を入れてまいりました。戦略を関東の企業に絞りました。紀南の空の玄関口・白浜空港の活用で、東京から時間的な至近距離を訴えたのであります。月一回は上京し、十社に近いアプローチを重ね、白浜から串本まで再々案内もいたしました。企業の皆さんは、空から見る田辺湾や車から見る枯木灘海岸を絶賛します。暖かい、うまいものも多い、温泉もあると、ほれ込んで帰るのでありますが、さて後日に返事を求めるとき、どうも反応がよくない。理由は、「近い将来、ジェット機化で東京─和歌山間が一時間になるのはすばらしい。しかし、白浜から串本まで車で一時間半から二時間もかかると誘客作戦が至難で、採算ベースに乗りがたい。せめて一時間以内でないと」との返事であります。まことにやるせない思いであります。
私は、再々、国道四十二号白浜─串本間の直線化を訴えてまいりました。知事も建設省に改良の要望をされていると伺っております。先ごろ、串本町長を先頭に、すさみ町、日置川町、白浜町の四町が近畿地建に要望を行いました。この次は県と関係町でぜひ国に強い要望を行っていただきたいのでありますが、この区間における今後の改良事業の見込みをお伺いしたいのであります。
また、田辺市及び新宮市で進められている国道四十二号の高規格化について、串本を起点として田辺及び新宮方面に新たに事業展開の見込みがないものか、あわせてお伺いいたしたいのであります。
ここで、一つの提案を行いたい。
この構想の随所でリゾート産業と観光産業の共存共栄の記述がなされ、特に「四 総合保養地域の整備に際し配慮すべき事項」、「観光業の健全な発展」に詳しく書かれております。実際、この両産業には明確な違いが少なく、大部分が重なっており、行政においてもそれぞれの産業ごとに分けた行政指導が難しいと考えられます。特にリゾート産業のみを特定し、育成指導を担当する課が今のままでよいとするには疑問があります。リゾート産業は商工労働部の所管と考えられます。この構想が国の承認を受けた機会には観光課を観光リゾート課とする提案はいかがでありましょうか。
先日、地域経済振興シンポジウムに出席したコシノジュンコさんも「リゾート県というあり方もいいのでは」と言っており、二十一世紀に向けてリゾート産業を本格的に展開しなければならない本県において、リゾート行政への姿勢を示す意味で御配慮を賜りたいのであります。
さて、先ほどお話しの、那覇空港に着いた当日、たまたま沖縄県で初めて開催された世界のウチナーンチュ大会にぶつかりました。「ウチナーンチュ」とは沖縄県系人という意味で、海外十九カ国から沖縄県系人約二千人が集い、県が主催して数多くのイベントが華やかに開催され、「琉球新報」など、連日その模様が詳しく報じられ、国際交流の輪が一気に広がったとありました。
そこで提案したいのでありますが、平成六年に一年延期された本県の世界リゾート博の期間中に世界の和歌山県系人大会を開催されたらと考えるのであります。御当局の御所見を承りたい。
去る一月二十一日の読売新聞で、県では、串本町民待望の大島架橋について、新年度から橋本体工事の地質ボーリング調査、測量などに入ることを発表されました。さらに、大橋が吉野熊野国立公園地内にあることから、環境庁と協議し、建設の許可申請にこぎつけたいとしております。まことにありがとうございます。仮谷知事を初め関係当局の方々の御努力に厚く感謝いたします。
御承知のとおり、大島地区千八百余人の住民は、橋がないための産業発展のおくれ、台風、夜間における救急医療の問題など、経済、文化、社会生活のすべての面で低位を余儀なくされてまいったのであります。架橋は「夢のかけ橋」とまで言われ、実現は小野知事時代からの長年の悲願でありました。この架橋の実現で一気に夢が広がってまいりました。特にリゾート開発において、関東の企業では、架橋が実現すれば宝の山だとさえ申しております。串本町全体に及ぼすインパクトははかり知れないものがあり、大島地区住民、串本町民にかわってお礼を申し上げます。
そこで、質問であります。発表では十年後の完成を目指すとあります。失礼ではありますけれども、仮谷知事は十年後は何歳になられましょうか。県下でも有数の高齢者の町の串本では仮谷知事よりも高齢の方が大変多く、そうした方々から、もう少し建設が早くならないものかと問われております。もう少し短縮の余地はないものか。厚かましいお願いでございますが、お聞かせ願いたいのであります。
さて、日置川町は水と森林の美しさ、アユ釣りの名所で、リゾート地として高いポテンシャルがあります。ところで、去年九月の台風十九号による殿山ダム放流によって、流域の皆さんは恐怖の底に落とされました。いまだに悪夢におびえております。リゾートはおろか、農業生産も日常生活も不安におびえ、あすに希望を持てないと訴えております。被害のあった住民と関電との間に信頼関係が取り戻せるよう、県当局のさらなる御努力をお願いしたいのであります。今後の対応をお伺いいたします。
以上、大変多くの御質問を申し上げましたが、御当局の何分の御答弁方、よろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
紀南地方の活性化対策についての御質問でございます。
紀南地方につきましては、我が国でも有数の良好な自然、また温暖な気候に恵まれた地域でございまして、これを地域の発展に生かすべく、県の長期総合計画においても交通体系の整備、農林水産業等の振興、またリゾートの推進、都市機能の充実といった基本方向を定めているところでございます。
とりわけ、何といっても京阪神から遠いというのが現地の状況でございまして、この立地条件を克服することが先決問題であり、陸・海・空にわたる交通基盤の整備を総合的に展開していかなければならないと思っております。
こうした点から、空の玄関口である南紀白浜空港のジェット化の整備、近畿自動車道紀勢線の南伸や、内陸部の広域幹線道路網、林道も含めての整備、また海上アクセスやヘリネットワークの構築など、総合交通体系の整備に積極的に取り組んでおるところでございまして、今後ともこれらのインパクトを最大限に生かして、臨空都市圏の形成、リゾート、観光や一次産業の高度化等による産業基盤の整備等、関係市町村や地元の皆さんの協力をいただきながら紀南地方の活性化のために一層の努力をしてまいりたいと考えております。
次に、議員御指摘の紀南コリドール構想についてでございます。
「回廊」と言うそうでございますけれども、ただいまも答弁申し上げましたとおり、県としても、交通体系や産業基盤の整備といった各般の施策を連関性をもって推進しているところでございます。また一方、市町村においても、地域づくり推進事業や地域おこしの立場から、本県の施策と整合性を図りながら取り組んでいるところでございまして、御提案の紀南のリゾートルートを構築するという構想の基本的考え方についても、県のリゾート構想を進める中で検討してまいりたいと考えております。
次に、大島架橋でございます。
現在、大島における取りつけ道路の整備を行っておりますし、また浅海漁場の防波堤についての強度等の検査等も行っているところであり、本年度は苗我島から大島への架橋のボーリング調査等についての予算もお願い申し上げているところでございます。
ただ、時期につきましては、環境庁、水産庁等、関係各省庁との関係、そして大島の道路整備の問題、アクセスの問題等々ございまして明確にすることはできませんけれども、私もこれを一日も早くやってまいりたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 副知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 観光リゾート課の設置についての御質問でございます。
御指摘がございましたように時代は大きく動いておりまして、行政需要もまた変化しておるわけであります。この中で、燦黒潮リゾート構想が昨年の末に国の承認を受けました。いよいよ本県もリゾート時代の幕あけを迎えようとしておるわけでございます。観光やリゾートは総合産業であり、行政面においても総合的に取り組まなければならない課題であろうかと思います。
観光とリゾートの業務区分が明確でないことから、それらを同じ部署で所管すべきであるとの御指摘がございました。ごもっともな御提言とは存じますけれども、行政組織機構の改革につきましては、あらゆる角度から業務を洗い直し、バランスのとれた、そしてまた効率的な職務配分にすべきだと考えておりますので、今後、各方面の御意見をいただきながら検討させていただきたいと思います。
次に、沖縄県の例を引かれて御提言のあった、世界の和歌山県系人大会の開催についてでございます。
平成六年に開催を予定している世界リゾート博には、国内はもちろん、海外からもできるだけ多くの方々に御参加いただきたいと考えております。それだけに、こうした機会をとらえ、海外の県人がふるさとに集い、県民の方々との交流を深めることは国際交流を推進する上からも大変意義深いことだと考えておりますので、今後、御提言の趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 燦黒潮リゾート構想に関連して、まず完成目標年次、公共投資総額、波及効果等についてお答えを申し上げます。
燦黒潮リゾート構想の整備に当たりましては、おおむね十年間程度を目標とし、完成年次は平成十二年を目途といたしているところでございます。
公共投資についてでございますが、道路、農道、林道、港湾、漁港、河川など公共施設の整備方針を構想に位置づけまして、構想の進捗状況などにあわせて、一体的、計画的に進めてまいることとしてございます。
投資による波及効果についてでございますが、本構想では七つの重点整備地区ごとに施設種別や計画年度の異なるさまざまなプロジェクトがあり、熟度がそれぞれ異なるために現時点では波及効果を算定はいたしてございません。今後、個別のプロジェクトの具体化にあわせて算定をも検討してまいりたいと考えてございます。
次に、予想リゾート入り込み客数、リゾート関連収入見込み額、生産誘発効果、雇用効果等についてでございます。
本構想の民間施設が完成後には、施設規模から試算いたしますと、本県を訪れる人は約千二百万人増大いたします。施設の稼働に伴う直接的な雇用は約六千人になるのではないかと見込んでございます。リゾート関連収入見込み額、それに伴う生産誘発効果及び雇用効果につきましても、各プロジェクトの具体化にあわせて算定をも検討してまいりたいと考えてございます。
次に、本県リゾートの将来展望並びにビーチの造成についてでございます。
本県は京阪神の大都市に近接しており、高野、熊野に代表される歴史、文化資源やミカン、梅、魚介類等の新鮮な農林水産物など、特徴のある地域資源を豊富に有し、さらに関西国際空港の建設や南紀白浜空港のジェット化整備により、全国の他のリゾート構想と比較して遜色のない、魅力的で特色あるリゾート地が創出できるものと考えてございます。
本県のリゾート構想は海をテーマとした海洋リゾート地の形成を目指してございますので、本県の変化に富んだ海岸線を活用して、マリーナ、スキューバーダイビング、海釣り、磯遊び、海水浴など、多様な海洋スポーツレクリエーションが楽しめるリゾート地を整備してまいる所存でございます。
ビーチは大変重要なリゾート施設であると認識してございますので、白良浜、那智海岸、和歌浦片男波などで養浜事業を促進するとともに、既存の海水浴場等も積極的に活用してまいることとしているところでございます。
次に、リゾート開発の適地・不適地のゾーニング設定と、構想の変更承認問題及び追加指定についてお答えを申し上げます。
本県のリゾート構想につきましては、国立公園など自然環境保全上、特に重要な地域については、開発の不適地という考え方でリゾート施設の位置づけは行ってございません。また、リゾート整備に当たりましては、関係法令を適用することにより、計画的かつ合理的な土地利用に努めてまいりたいと考えているところでございます。
リゾート構想の変更につきましては、基本構想承認の手続に準じて変更承認を受けることとなってございます。その変更の取り扱いにつきましては、現在、関係六省庁で変更の基準について検討されているところでございまして、現在までのところ、正式に変更の協議に入っている県はございません。
また、本県のリゾート構想につきましては、昭和六十三年度から地元市町村とも再三にわたり協議を重ねて策定をいたし、昨年十二月に承認をいただいたところでございますので、大幅な変更については現在のところ厳しい状況でございます。
次に、ゴルフ場等大規模開発に伴うマニュアル等の作成及び地元住民の同意の問題についてでございます。
ゴルフ場等の新規開発計画につきましては、法に定めるもののほか、県として独自に、昭和六十三年十二月に「ゴルフ場等開発計画に関する県の取扱」を定めまして、その中で、地域振興方策として地元市町村及び地域住民が積極的に要望しているもので、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策やその他特に地域振興に寄与する事業と認められる計画に限って受け付けることにしているところでございます。
ゴルフ場計画に対する地元住民の意向は、地元市町村長の意見書等に盛り込まれているところでございます。そして、地域住民の意向の把握については市町村それぞれの立場で対処していただいているものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
まず、国道三百十一号真砂大橋の橋げたに「安珍を追う清姫」の絵をということでございます。
本橋につきましては、平成三年度において鋼橋の維持保全を図るための再塗装を予定しております。議員お話しの趣旨を踏まえ、関係機関等とも協議してまいります。
次に、国道四十二号白浜─串本間の直線化すなわち線形改良につきましては、県としても、異常気象時の交通規制区間、交通隘路区間等の改良について国に対し強く働きかけてきたところであり、国においても昭和六十三年度から一部区間において調査を行っているところであります。
また、現在、日置川地内において日置川道路約三・五キロメートルの改良工事が実施されており、このうち、一期工事である日置川町塩野から伊古木の間については平成四年春に供用できるよう、国に対し要望しております。
二期工事である日置川町伊古木からすさみ町朝来の間につきましては、現在、一部で用地買収を進めておりますが、この区間の早期完成を含め、白浜─串本間の早期改良について、今後とも関係市町村とも連携を図りながら国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
次に、串本を起点とする国道四十二号の高規格化についてでございますが、本県にとって高速道路の紀南延伸は極めて重要な課題であります。しかしながら、本路線の整備には有料道路としての採算性や国の事業枠等の課題があり、容易な問題ではありませんが、早期事業着手ができるよう、今後も国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
次に、殿山ダム放流被害についてでございます。
日置川流域の方々と殿山ダム管理者である関西電力との信頼関係は極めて重要なものであると認識してございます。このような観点から、県としては関西電力に対し、殿山ダムの洪水時における実効ある対応について強く指導しているところでございます。
住民の方々と関西電力との話し合いの場を設けることにつきましても、日置川町と協議を重ねてまいり、近く日置川町内で開催する運びとなってございます。今後とも町当局と十分協議し、関西電力に対し、引き続き強く指導してまいります。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企業局長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) コリドールルートに関連して、仮称・新白浜有料道路の建設についてお答えをいたしたいと思います。
新白浜有料道路の御提案につきましては、現白浜有料道路の延長として施行するか、あるいは全く単独の有料道路として新設するか、二通りが考えられますが、現有料道路を延長する場合、まず無料開放を期待している住民の合意が得られるかどうか、加えて、新しい建設投資による通行料金の改定や料金徴収期間の延長など、非常に困難な問題がございます。
次に、新しい有料道路として建設する場合、議員御指摘のとおり、ルートの設定や地権者の同意等々、相当困難な課題がございますが、特にこの地域の地形上、非常に建設コストが高くなることが予想され、公営企業としての採算性が大きなネックとなります。したがいまして、有料道路として計画を進めるについては極めて慎重な対応が必要であると考えてございます。
以上です。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
17番堀本隆男君。
○堀本隆男君 時間の都合で申し上げることができませんでしたので、これは要望にかえたいと思います。
リゾート地のグレードを高め、景観を引き立たせる要素の一つは、何といっても緑の木々であります。中でも松の木は古来日本人が最も愛したもので、歌にも残され、松原は日本的な風景の代表格であります。ところが、昨年の紀南での松くい虫の猛威が著しく、とりわけ日置川町、白浜町の被害の惨状は目を覆うばかりで、数十年、数百年の大木の枯死には胸痛むものがあります。この松くい虫対策について、従来のような枯れた松を伐採して焼却する消極的な防除のやり方では、一向に被害が減少しないのであります。もっと積極的な予防対策を講ぜられたいのであります。特に白浜町など本県を代表するリゾート地の松の保存には、県の温かい手を差し伸べていただきたい。例えば、防風林や風致地区の松の消毒に対する高率補助や、樹齢五十年以上の、町の人々になじみの深い松の木々の木ごとの注入消毒代などに対し、積極的に補助を願いたいのであります。千畳敷から三段壁にかけてのあのすばらしい松原が枯れたら、白浜の景観の魅力は半減することでありましょう。こうした特別のリゾート地に対する松くい虫対策の支援措置を強く要望して、私の再質問を終わります。
以上であります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。