平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第三号 平成三年二月二十七日(水曜日)
午前十時開議
第一 議案第一号から議案第八十一号まで及び報第一号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第八十一号まで及び報第一号(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
1 番 井 出 益 弘
2 番 和 田 正 一
3 番 町 田 亘
4 番 中 村 利 男
5 番 山 本 一
6 番 宗 正 彦
7 番 岡 本 保
8 番 鈴 木 俊 男
9 番 阪 部 菊 雄
10 番 中 村 裕 一
11 番 平 越 孝 哉
12 番 大 江 康 弘
13 番 中 西 雄 幸
14 番 橋 本 進
15 番 古 田 新 蔵
16 番 浦 武 雄
17 番 堀 本 隆 男
18 番 宇治田 栄 蔵
19 番 下 川 俊 樹
20 番 石 田 真 敏
21 番 木 下 秀 男
22 番 中 村 隆 行
23 番 藁 科 義 清
24 番 門 三佐博
25 番 尾 崎 要 二
26 番 那 須 秀 雄
27 番 木 下 義 夫
28 番 上野山 親 主
29 番 北 村 翼
30 番 尾 崎 吉 弘
31 番 西 本 長 浩
32 番 岸 本 光 造
33 番 松 本 貞 次
34 番 浜 本 収
35 番 和 田 正 人
36 番 浜 口 矩 一
37 番 山 崎 幹 雄
39 番 田 中 実三郎
40 番 森 利 一
41 番 村 岡 キミ子
42 番 森 本 明 雄
43 番 中 村 博
44 番 中 村 千 晴
45 番 小 林 史 郎
46 番 渡 辺 勲
47 番 藤 沢 弘太郎
欠 席 議 員(なし)
〔備 考〕
38 番 欠 員
説明のため出席した者
知 事 仮 谷 志 良
副知事 西 口 勇
出納長 梅 田 善 彦
知事公室長 市 川 龍 雄
総務部長 山 中 昭 栄
企画部長 川 端 秀 和
民生部長 高 瀬 芳 彦
保健環境部長 遠 藤 明
商工労働部長 天 谷 一 郎
農林水産部長 安 田 重 行
土木部長 磯 村 幹 夫
企業局長 吉 井 清 純
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員長
上 野 寛
教育長 高 垣 修 三
以下教育次長
公安委員会委員 玉 置 英 夫
警察本部長 西 村 浩 司
以下各部長
人事委員会委員長
寒 川 定 男
人事委員会事務局長
代表監査委員 宮 本 政 昭
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長
稲 住 義 之
選挙管理委員会書記長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 山 本 恒 男
次 長 倉 本 辰 美
議事課長 中 西 俊 二
議事課副課長 松 田 捷 穂
議事班長 高 瀬 武 治
議事課主任 松 谷 秋 男
議事課主事 松 本 浩 典
総務課長 田 上 貞 夫
調査課長 阪 上 明 男
(速記担当者)
議事課主査 吉 川 欽 二
議事課速記技師 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
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午前十時六分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
17番堀本隆男君。
〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 先輩議員、同僚議員の御高配により登壇の機会を得ましたことを感謝申し上げます。
昭和六十二年一月に県庁を辞して四年余、時代は大きく変化しました。世界は東欧問題、湾岸情勢と激しく揺れ、国内情勢も変化の連続でありました。こうした中にあって、本県は仮谷知事の強力な指導のもと着実な進展を遂げつつあり、私が企画部に在籍していた当時を思い起こすとき、政策展開、県勢発展に格段の開きを見ることができ、かつ将来に大きな希望を持てる県政に満足を覚える一人であります。こうした時期に議席を置かせていただけたことを誇りに思い、選挙区の皆さんに感謝してやまないところであります。
過去四年間、県会議場で質問の機会を得るたびに、県勢発展にふさわしい内容であったか、選挙区の皆さんの意思を十分に伝えられたか、県の施策に反映されたか、一言一言の言葉の重みをかみしめつつ、反省を繰り返し、質問をしてまいりました。また、同じ選挙区の先輩議員の指導を受け、見習いながら、早く一人前の政治家たらんと努力し、気がつくと一期四年は瞬く間でありました。
「二十一世紀の和歌山を現実的な姿として視野にとらえ、各種プロジェクトを加速的に進めていく」と知事は披瀝されておりますが、さらに国や近畿の各府県からもその進展ぶりが注目されていると聞いており、ここまで県勢を発展の軌道に乗せられた仮谷知事を初め執行部の方々に、一議会人として率直に感謝の意を表する次第であります。と同時に、本当の県勢の発展はこれからであります。県政始まって以来という巨大プロジェクト群の同時進行は、県の財政事情や各地域における諸般の事情等、これからも種々困難が予測されます。現在策定中の第二次中期計画においてはこうした点を十分考慮し、二十一世紀をとらえ、県勢進展への足音の聞こえる計画であってほしいと強く願うものであります。
さて、こうした前置きのもとに本論に入ります。
私ども紀南に住む県民にとって最近の県政の動きをどう受けとめているか、一住民の視点から率直に申し上げたい。
現に進行しつつある大プロジェクト群と中期計画のプロジェクトを見るとき、北高南低の感はぬぐえないのであります。つまり、紀南のプロジェクトが少なく、投資額も低いのであります。もっとも紀南二市二郡の皆さんとて、紀北が成長して豊かになり、順次南に豊かさが移っていく経済の流れは十分に承知しているところでありますが、現在すら目立っている県民所得の南北格差が紀北の先行発展でなお一層広がる点が心配であり、将来に危惧を抱く者の一人であります。南北格差の拡大に対する当局の御所見を伺いたいのであります。
さて、一期四年間、私の公約に掲げ、特に力を入れて取り組んでまいったリゾート産業の誘致の経験を踏まえ、県のリゾート開発行政、観光行政に絞って質問を進めさせていただきます。
まず、リゾートについての私見を述べてみたいと思います。
財団法人日本健康開発財団常務理事・岩崎輝雄氏の最近の調べによりますと、東京丸ノ内ビジネス街で、この一年間、企業の戦士五十名が過労死で亡くなった、四十代を中心に増加の傾向で、原因はストレスなど精神的、肉体的な蓄積性疲労とされております。このうち人間ドックなどで事前に異常が発見されたのはたった一名で、突然死に対していかに医学も無力であるか。ハードなビジネス社会のもたらすテクノストレスが、長年の心身の蓄積性疲労が重要因子として引き金となっており、現在、社会問題化しているところであります。
同時に、ストレス解消の有効手段である休養のとり方が今後の重要課題となってまいりました。御承知のように、精神的疲労の回復には運動を、肉体的疲労には休息と精神的栄養──つまり文化・芸術であります──をとることが大切とされております。
厚生省は、現在、温泉利用型健康増進施設、つまりクアハウスの普及を積極的に進めております。温泉は蓄積性疲労回復の効果が高く、休養、保養施設として日本人になじんでいるからであります。経済企画庁では、国民生活審議会において、国民の長期連続休暇のあり方について、県も要望中のバカンス法も含め、検討を進めております。労働省では、産業労働懇話会の席上、小里労働大臣が、労働時間短縮を経営者、労働界、政府が一体となって進めるため政府部内に国民のゆとりや豊かさを推進する機関を設置したいと表明し、欧米と比べて格差のあり過ぎる時短問題が大きく前進する見込みであります。また労働界でも、鉄鋼労連を初めとする各労働団体の春闘要求に時短千八百時間実現へ労使で合意される動きとなってまいりました。つまり、世界の趨勢が確実に時短、休養、バカンス、リゾートライフの方向に向かっていると言えるのであります。
次に、リゾート基地の建設と自然破壊の問題について。
私は、人類の歴史は自然との闘いの歴史であったと考えます。人間が生存していくために食料の確保が不可避であり、古来、人間は野を耕し、山を削って田畑をつくってまいりました。時には台風という反乱に遭い、堤防を築いて防衛し、自然を征服してまいったのであります。そして現在は、人間社会がつくり出したテクノストレスにより多数の人々が傷つき、過労死に至る。より人間らしく生きるためにゆとりと憩いの場が求められ、欧米先進諸国では政府の力でバカンス法が制定され、大衆リゾート基地がつくられてきたのであります。
「リゾート基地、即自然破壊」と決めつけるのではなく、現代人に必要不可欠な保養施設を最小限の自然の利用により提供することは許されると考えます。それは自然破壊ではなく、一つの人工美の創出であり、人類と自然との共存共栄と考えたいのであります。
先ほどの岩崎輝雄氏は、休養の科学の基本を快適性、つまり心地よさ、アメニティーをいかに保つかにあるとしております。居住環境、都市環境、自然環境、社会環境の快適性がいかに重要であるか、社会学の分野で大きなウエートを占めてまいりました。
上智大学教授・猪口邦子氏──NHKテレビに出演される美人な教授であります──は国際社会学会で大変すばらしい提言をされ、彼女の提言は、現在、国際的に高い評価を受けているのであります。何を提言されたかと申しますと、世紀のキーワードは何かということ、つまり十九世紀は「領土」、二十世紀は「富」、そして来る二十一世紀は「快適性」と喝破しているのであります。
十九世紀は領土、つまり植民地時代で、その広さが国力を示しました。湾岸戦争でイラクのしていることは一世紀前の野望であり、したがって国際的には認められないのであります。そして二十世紀は富の時代で、アメリカがその代表で、覇権を握った。金がすべての力であります。今は、アメリカが少し弱くなって日本が強くなりつつありますが。最後に二十一世紀は快適性の時代。ヘルシーなバランス感覚からアメニティーの高い社会の創出がこれから競われるわけです。つまり私は、二十一世紀の日本は快適なリゾート地がますます求められる社会と考えておるわけであります。
さて、こうした私の基本的スタンスに立って、昨年末、国から承認なった燦黒潮リゾート構想について質問をいたします。
トータルな感想として、ここまで取りまとめられた作業は大変であったと思い、当局の御苦労に感謝いたします。和歌山県の特色をとらえ、コンセプトもなかなかよいと思います。特に紀南西牟婁郡における三カ所三町の重点整備地区の指定について、心からお礼を申し上げる次第であります。
まず初めにお尋ねいたしたいことは、この構想のおおむねの完成目標年次はいつか。民間総投資額五千七百億円とありますが、公共投資額はおおむね何億円でありましょうか。これらの総投資額による経済波及効果は何億円になりましょうか。リゾート入り込み客数は、観光客を除いて何万人が見込めるのでありますか。また、リゾート関連収入は何億円見込まれ、それらの生産誘発効果は何億円でありましょうか。さらに、雇用効果は約何万人が見込めるでありましょうか。おわかりの範囲内でお教えいただきたいのであります。
さて、最近、バブル経済がはじけ、金利高、融資規制でリゾート関連企業の倒産が相次いでおります。土地不動産投資の冷え込みと同時に、リゾートブームに陰りが見えてまいりました。しかもその上、全国で二十七県が指定を受け、申請中は三県、最終的に四十県が指定され、和歌山県の競争相手となってまいります。さらに海岸リゾート熱は上昇の一途をたどり、また東京、大阪近辺の巨大なアーバンリゾートが伸びており、こうした荒波の中に本県のリゾート構想が突入したわけでありますが、正直な感想として、この実現は前途多難に思うのであります。
もっとも、加太・紀泉地区、和歌浦湾地区は県の投資もあり、構想もユニークで競争力は高いと思いますが、その他の地区は民間活力に負う姿勢が強く、景気の動向にも左右され、かつ全国に数多い海洋型と同タイプで、構想実現の見通しは明るくないと考えられます。当局のお考えをお尋ねいたします。
昨年八月下旬、日本のリゾート基地のメッカ・沖縄本島のリゾート地を見て回ってまいりました。空港ロビーは若者たちでごった返し、ホテルもビーチも満員で、予約もとれない状況でありました。何がこの若者たちを引きつけるのか、魅力の源は何か、いろいろと検討した結果、結論は、リゾートホテルとそれを囲むプライベートビーチであります。
今、世界でも日本でも、夏、人が集まるところはビーチ、海浜であります。昨年夏、和歌山市で日経産業新聞セミナーが開催され、講師のダイヤモンドリゾート社長・中田修氏が特に和歌山のリゾートについて、「和歌山県の海岸は荒磯が多くてリゾートに適さない。ビーチがないので、自分は和歌山でリゾートをやる気はない」と語っておりました。
白良浜、那智海岸、片男波と、県において養浜事業を積極的に進めてもらってはいるものの、本構想では養浜事業が少なく、将来、ビーチの増加が望まれますが、御所見を承りたいのであります。
沖縄県庁で伺った話でありますが、沖縄トロピカルリゾート構想は承認申請を一年間おくらせた。理由は、本土からの大規模開発の申請が殺到し、乱開発による自然破壊のおそれが出たためであります。一年間に何をやったかと申しますと、まず市町村と協議し、開発不適地を抽出し、開発可能地の抽出を行って、そしてリゾート開発適地の設定を行ったのであります。県では、ゾーニングしたリゾート開発適地以外の土地では絶対許可は出さないこととしており、大変な作業であって、いまだに地権者等とももめることがあるそうであります。そして、このリゾート開発適地の中にさらに、一、リゾート振興地区、二、特別保全整備地区、三、リゾート海域を設けています。リゾート海域という発想は、海を大切にする沖縄ならではの発想であります。
私はいつも思うのでありますが、ニースのように海岸から山腹まで開発し尽くされた姿やホテルとリゾートマンションの林立で緑を切り倒してしまった熱海を見て、近い将来の、田辺市新庄から白浜町大浦に至る間の県道周辺から山頂まで開発し尽くされる姿ではないかと心配する一人であります。今からでも遅くないと思います。沖縄県のように本県も開発不適地を設定し、リゾート開発適地を市町村とともに早急にしてはと考えるのでありますが、御所見を承りたいのであります。
次に、幼稚な質問と思いますが、今回承認なった重点整備地区の各特定施設について、今後増設などで変更する場合、その都度、国の承認を受けなければリゾート法による援用が受けられないのでありましょうか。軽微な変更は国の承認が要らないものか。さらに、今回の承認に入っていない町で指定を熱望している町がありますが、民間特定施設の熟度も高く、かつ大規模開発を抱えている町が仮にあるとすれば、県としては二次申請をしていただけるのかどうか。するとすれば、一体いつごろになるのか。具体的に、日置川町がそうした申請を行いたいとしたとき、県はどのように取り扱われるか。お尋ねをいたします。
バブル経済がはじけ飛んでリゾート産業は強いアゲンストの風に吹かれておりますが、その上に住民運動による反対運動が強くなってまいりました。リゾート法指定一号、福島県裏磐梯大府平計画の一部に進出予定の伊藤忠、飛島建設が早くも撤退の挫折に至った。理由は用地買収の見通しの甘さで、県では事業者名は指定要件に含まれていないからとしておりますが、これは問題が多いのであります。二番目に、同じくリゾート法による指定を受けた石川県河内村では、第三セクター──JR西日本、民間、県、村も出資した会社であります──によるゴルフ場開発を進めてまいりましたが、水源が農薬で汚染されるということで約一割の地権者の反対に遭いまして、もろくも会社は解散しました。この結果、調査費など約三億円の損害を主力のJR西日本が一人でかぶったそうであります。
我が県にも、ゴルフ場等大規模開発の計画が地元住民の反対でとんざし、中止をするところが出てまいりました。テクノ&リゾート──紀南はリゾートで地域活性化をと、県の強いリードと支援でいまだかつてないチャンスが紀南に向けられているのでありますが、そうした中で、せっかくの進出計画がむざむざと消えていきます。
原因は何か。私は、住民の無理解と決めつけることはできないのであります。ほとんどの住民の方がゴルフを一度もやったことのない方ばかりであります。また、反対の中には、ゴルフ場イコール環境破壊と決めつける主義主張を持ったリーダーに流される方もあります。こうした方は、荒れ山を生かして庭園美をつくることの価値と意義を理解しようとしません。また農薬についても、使用基準を守り、所要の措置を講ずることで絶対安全であることを月刊「DOHL」は特集もしております。むしろ、田畑で使用される農薬の使用量が欧米の五、六倍も使って問題がある点を朝日新聞社主催の国際シンポジウム「コメの市場開放を考える」のパネラー、米国のソスランド氏から鋭く指摘されております。つまり、私が申し上げたいのは、住民に理解を求める側の企業と行政の勉強不足と根回し不足が住民の反対運動の輪を大きくしてしまうことを指摘したいのであります。
和歌山社会経済研究所の「21世紀わかやま 第12号」に県内ゴルフ場実態調査の結果が登載され、そのまとめのところで、「地域経済に与えるインパクトは、雇用面、税収面で特に大きいことが判明した。中でも、産業集積、人口集積が少ない地域においては、ゴルフ場が産業の一翼を担い、地域活性化の有効な手段となっている」と報告し、同時に企業の側の地域社会への貢献を促しております。
お尋ねいたします。こうした開発に伴う相互無理解をなくするため、県として大規模開発に伴うマニュアルづくりをされたいのであります。住民、企業、行政のそれぞれの側からのアプローチの仕方、手順、正しい知識についてQアンドA方式でもつくっていただきたい。話し合えば必ず理解されるのであります。
さて、県では、大規模開発に対しては開発内容の適正化等について事前協議制を設け、秩序ある開発を進めるよう指導されているところであります。行政指導であります。具体的に申し上げますと、A企業がB地区で開発計画を立てます。C町役場もおおむね了解のとき、県に相談に参ります。おおむね内容が適切な場合、県はA企業に対し開発計画の届け出書を提出させます。もちろん、C町役場の同意書も添付させますが、同時に地元区長の同意書、資金融資証明書、建設業者の同意書等が添付され、県で審査し、受理されて初めて事前協議申請行為が許されるわけであります。
問題が起こるのは、この地元区長の同意書であります。区長によっては、区民総会に諮って、三分の二の多数決の同意をとって提出いたします。しかし区長によっては、独断で書類を作成するところもございます。この場合が後になって必ずトラブルの原因となってまいります。区民に全く相談のない話に乗れないと、計画がこじれるわけであります。
静岡県を初め多数の県では、区長の同意から地元住民の同意になりつつあります。事業が進行して許可申請の段階で、必ず後ほど地権者と地元地区民の同意が要るのでありますから、最初に求める方がトラブルを少なくすると考えられます。この点について御所見を伺いたいのであります。
さて、ここで、私が以前から温めていた構想を提案いたしたいと思います。
結論から申し上げます。紀南コリドール構想であります。「コリドール」とは回廊という意味で、回廊構想による地域整備、地域開発を進める思想であります。産業ルート、文化ルート、リゾートルートとして、ルート周辺を重点的に整備しようとする思想であります。既に他府県でも進めており、一つの構想の芽が生まれると次々に新しいアイデアが生まれ、それらを成長させ、トータルして地域活性化を図る、つまりこれを紀南活性化構想としたいのであります。
回廊は、まず空の玄関口・白浜を起点とし、有料道路を通って田辺市で国道四十二号に入り、上富田町で国道三百十一号に乗る。大塔村、中辺路町を回り、本宮町で国道百六十八号に入って熊野川町から新宮市に至り、国道四十二号に乗る。那智勝浦町から太地町、古座町、串本町、すさみ町、日置川町と回って白浜町に帰るコースであります。私は、これをリゾートルートにしたいのであります。そして、各市町村ごとに一つ二つの特色あるプロジェクトを張りつける。
例えば私の夢を張りつけさせていただきますと、白浜町は、何と申しましても千数百年の歴史のある温泉リゾート。夏の白良浜に匹敵する、冬、温泉を活用した巨大なスーパープールをつくる。その中ではサーフィンもできる。つまり、クアハウスを兼ねてつくりたいのであります。上富田町は、果樹づくりのメッカ。世界のトロピカルフルーツを巨大温室で栽培。ハワイのトロピカルプランテーションのように、観光客に食べてもらう。もちろん、チェリモヤも入ります。大塔村は、全町大森林パーク。奥地まで道が美しい。中辺路町は、イーデス・ハンソンさんと元広島大学教授の別荘がありますが、この高原に文化人村をつくる。それと、中辺路町ではリゾートダム──小型の防災ダム兼用であります──による水遊びと釣りのメッカ。東牟婁郡は、温泉と祈りと歴史と熊野の精神文化を売り出す。串本町は、サンゴとスキューバーダイブの拠点づくり。大島は、ミニトルコ公国とフラワーアイランド。すさみ町は、日本の童謡、世界の童謡公園、フィッシングセンターとフィッシャーマンワーフ。日置川町は、河口に大ヨットハーバーとリゾートタウン。
以上、全く私の夢を羅列しましたが、多分各町では、うちはこれがよいという夢がさらに生まれると思うのであります。
地中海沿岸のリゾート都市では、必ず奥地のリゾートの案内パンフが置いてあります。白浜をベースキャンプに、紀南コリドールの各町で宿泊しながらリゾート和歌山を楽しんでいただく。つまり、海のリゾートと山のリゾートを大きく回廊で結んでいくのであります。紀北にプロジェクトが集中していても、紀南にもこうしたプロジェクトを県が認めてくれることにより、ともに発展が望めるのであります。
紀南には、まだまだ埋もれた資源があります。これを興したい、生かしたい。知恵を絞れば、半島振興法、過疎法、県の市町村振興資金など、制度資金の活用も可能であります。このルートのうち三百十一号は、知事の力入れで相当整備が進んでまいりました。時間的に第二次中期計画に組み入れは困難かと思いますが、構想の実現に向けて御検討を賜りたいのであります。知事の御所見をお伺いします。
なお、中辺路町の文化を愛するグループの方から要望されているのでありますが、国道三百十一号真砂大橋のたもとにある清姫茶屋から目前に見える橋げたに絵をかかしてほしい。文化一%システムであります。岩本正秀氏の切り絵「安珍を追う清姫」の傑作をリアルに描き、観光客に楽しんでほしいとのことであります。もちろん、ペンキ代は地元で負担するとのことであります。御所見を賜りたいのであります。
次に、コリドールルートに関連してであります。
これは私の全くの独断と偏見による意見でありますが、去年夏の白浜町内の車の渋滞は大変でありました。渋滞そのものが産業・経済活動に及ぼす影響は大きく、また日常生活、社会活動にも深刻な支障を来していることは御承知のとおりであります。中でも主要地方道田辺白浜線の県営有料道路交差点から古賀浦、桟橋、白良浜に至る間は、大量の他府県からの車と土地の車がふくそうし、多くの県外客にマイナスイメージを与えました。和歌山県ナンバーワンの観光リゾート地、日本有数のリゾート地として、まことに恥ずかしい次第であります。
そこで、独断の提案をいたします。
県では白浜有料道路の四車線化についていろいろの角度から御検討中と聞いております。それも確かに急ぐ事業であります。しかし、大阪から来た車が有料道路をおりた地点から白浜の町中までの間が渋滞のままでは効果が半減いたします。私が県当局に御検討をお願いしたいのは、有料道路をさらに延長し、県道田辺白浜線を立体交差でまたぎ、山手ルートを通って湯崎、白良浜に至る新しい有料道路の新設であります。
山腹を通ることで田辺湾を眺めることができますし、沿道修景を図ると県外の方々のイメージアップ、グレードアップに寄与します。新白浜空港へのアクセスルートもできますし、湯崎から白浜へも直結します。もちろん、交通渋滞も解消され、新たに沿線開発の経済効果も上がります。仮にこれを新有料道路と呼びますと、新有料道路の開発効果と地域活性化へのインパクトははかり知れないと考えられます。
一方、この新有料道路の建設には、採算性、ルート設定、地権者の同意、環境問題等、クリアしなければならない諸問題も数多くあるのであります。何よりも基本的なことは、県が有料道路で建設するか町が都市計画道路で建設するかであり、これの検討も課題であります。しかし私は、早期に建設すること、負担を県外の人々にも持っていただく、県の投資を紀南に呼び込む視点から、独断でありますが、県の施行をお願いしたいのであります。御所見を賜りたいのであります。
串本に住んでいつも痛切に感じますことは、高速交通体系から取り残された疎外感であります。みずからの不便さはともかく、観光、リゾート産業の誘致、地場産業の振興等、社会経済活動すべての隘路となって地域が低位性から脱却できないでいる最大の要因であります。
私は、過去四年間、リゾートの誘致に力を入れてまいりました。戦略を関東の企業に絞りました。紀南の空の玄関口・白浜空港の活用で、東京から時間的な至近距離を訴えたのであります。月一回は上京し、十社に近いアプローチを重ね、白浜から串本まで再々案内もいたしました。企業の皆さんは、空から見る田辺湾や車から見る枯木灘海岸を絶賛します。暖かい、うまいものも多い、温泉もあると、ほれ込んで帰るのでありますが、さて後日に返事を求めるとき、どうも反応がよくない。理由は、「近い将来、ジェット機化で東京─和歌山間が一時間になるのはすばらしい。しかし、白浜から串本まで車で一時間半から二時間もかかると誘客作戦が至難で、採算ベースに乗りがたい。せめて一時間以内でないと」との返事であります。まことにやるせない思いであります。
私は、再々、国道四十二号白浜─串本間の直線化を訴えてまいりました。知事も建設省に改良の要望をされていると伺っております。先ごろ、串本町長を先頭に、すさみ町、日置川町、白浜町の四町が近畿地建に要望を行いました。この次は県と関係町でぜひ国に強い要望を行っていただきたいのでありますが、この区間における今後の改良事業の見込みをお伺いしたいのであります。
また、田辺市及び新宮市で進められている国道四十二号の高規格化について、串本を起点として田辺及び新宮方面に新たに事業展開の見込みがないものか、あわせてお伺いいたしたいのであります。
ここで、一つの提案を行いたい。
この構想の随所でリゾート産業と観光産業の共存共栄の記述がなされ、特に「四 総合保養地域の整備に際し配慮すべき事項」、「観光業の健全な発展」に詳しく書かれております。実際、この両産業には明確な違いが少なく、大部分が重なっており、行政においてもそれぞれの産業ごとに分けた行政指導が難しいと考えられます。特にリゾート産業のみを特定し、育成指導を担当する課が今のままでよいとするには疑問があります。リゾート産業は商工労働部の所管と考えられます。この構想が国の承認を受けた機会には観光課を観光リゾート課とする提案はいかがでありましょうか。
先日、地域経済振興シンポジウムに出席したコシノジュンコさんも「リゾート県というあり方もいいのでは」と言っており、二十一世紀に向けてリゾート産業を本格的に展開しなければならない本県において、リゾート行政への姿勢を示す意味で御配慮を賜りたいのであります。
さて、先ほどお話しの、那覇空港に着いた当日、たまたま沖縄県で初めて開催された世界のウチナーンチュ大会にぶつかりました。「ウチナーンチュ」とは沖縄県系人という意味で、海外十九カ国から沖縄県系人約二千人が集い、県が主催して数多くのイベントが華やかに開催され、「琉球新報」など、連日その模様が詳しく報じられ、国際交流の輪が一気に広がったとありました。
そこで提案したいのでありますが、平成六年に一年延期された本県の世界リゾート博の期間中に世界の和歌山県系人大会を開催されたらと考えるのであります。御当局の御所見を承りたい。
去る一月二十一日の読売新聞で、県では、串本町民待望の大島架橋について、新年度から橋本体工事の地質ボーリング調査、測量などに入ることを発表されました。さらに、大橋が吉野熊野国立公園地内にあることから、環境庁と協議し、建設の許可申請にこぎつけたいとしております。まことにありがとうございます。仮谷知事を初め関係当局の方々の御努力に厚く感謝いたします。
御承知のとおり、大島地区千八百余人の住民は、橋がないための産業発展のおくれ、台風、夜間における救急医療の問題など、経済、文化、社会生活のすべての面で低位を余儀なくされてまいったのであります。架橋は「夢のかけ橋」とまで言われ、実現は小野知事時代からの長年の悲願でありました。この架橋の実現で一気に夢が広がってまいりました。特にリゾート開発において、関東の企業では、架橋が実現すれば宝の山だとさえ申しております。串本町全体に及ぼすインパクトははかり知れないものがあり、大島地区住民、串本町民にかわってお礼を申し上げます。
そこで、質問であります。発表では十年後の完成を目指すとあります。失礼ではありますけれども、仮谷知事は十年後は何歳になられましょうか。県下でも有数の高齢者の町の串本では仮谷知事よりも高齢の方が大変多く、そうした方々から、もう少し建設が早くならないものかと問われております。もう少し短縮の余地はないものか。厚かましいお願いでございますが、お聞かせ願いたいのであります。
さて、日置川町は水と森林の美しさ、アユ釣りの名所で、リゾート地として高いポテンシャルがあります。ところで、去年九月の台風十九号による殿山ダム放流によって、流域の皆さんは恐怖の底に落とされました。いまだに悪夢におびえております。リゾートはおろか、農業生産も日常生活も不安におびえ、あすに希望を持てないと訴えております。被害のあった住民と関電との間に信頼関係が取り戻せるよう、県当局のさらなる御努力をお願いしたいのであります。今後の対応をお伺いいたします。
以上、大変多くの御質問を申し上げましたが、御当局の何分の御答弁方、よろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
紀南地方の活性化対策についての御質問でございます。
紀南地方につきましては、我が国でも有数の良好な自然、また温暖な気候に恵まれた地域でございまして、これを地域の発展に生かすべく、県の長期総合計画においても交通体系の整備、農林水産業等の振興、またリゾートの推進、都市機能の充実といった基本方向を定めているところでございます。
とりわけ、何といっても京阪神から遠いというのが現地の状況でございまして、この立地条件を克服することが先決問題であり、陸・海・空にわたる交通基盤の整備を総合的に展開していかなければならないと思っております。
こうした点から、空の玄関口である南紀白浜空港のジェット化の整備、近畿自動車道紀勢線の南伸や、内陸部の広域幹線道路網、林道も含めての整備、また海上アクセスやヘリネットワークの構築など、総合交通体系の整備に積極的に取り組んでおるところでございまして、今後ともこれらのインパクトを最大限に生かして、臨空都市圏の形成、リゾート、観光や一次産業の高度化等による産業基盤の整備等、関係市町村や地元の皆さんの協力をいただきながら紀南地方の活性化のために一層の努力をしてまいりたいと考えております。
次に、議員御指摘の紀南コリドール構想についてでございます。
「回廊」と言うそうでございますけれども、ただいまも答弁申し上げましたとおり、県としても、交通体系や産業基盤の整備といった各般の施策を連関性をもって推進しているところでございます。また一方、市町村においても、地域づくり推進事業や地域おこしの立場から、本県の施策と整合性を図りながら取り組んでいるところでございまして、御提案の紀南のリゾートルートを構築するという構想の基本的考え方についても、県のリゾート構想を進める中で検討してまいりたいと考えております。
次に、大島架橋でございます。
現在、大島における取りつけ道路の整備を行っておりますし、また浅海漁場の防波堤についての強度等の検査等も行っているところであり、本年度は苗我島から大島への架橋のボーリング調査等についての予算もお願い申し上げているところでございます。
ただ、時期につきましては、環境庁、水産庁等、関係各省庁との関係、そして大島の道路整備の問題、アクセスの問題等々ございまして明確にすることはできませんけれども、私もこれを一日も早くやってまいりたいと思っております。
○議長(岸本光造君) 副知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 観光リゾート課の設置についての御質問でございます。
御指摘がございましたように時代は大きく動いておりまして、行政需要もまた変化しておるわけであります。この中で、燦黒潮リゾート構想が昨年の末に国の承認を受けました。いよいよ本県もリゾート時代の幕あけを迎えようとしておるわけでございます。観光やリゾートは総合産業であり、行政面においても総合的に取り組まなければならない課題であろうかと思います。
観光とリゾートの業務区分が明確でないことから、それらを同じ部署で所管すべきであるとの御指摘がございました。ごもっともな御提言とは存じますけれども、行政組織機構の改革につきましては、あらゆる角度から業務を洗い直し、バランスのとれた、そしてまた効率的な職務配分にすべきだと考えておりますので、今後、各方面の御意見をいただきながら検討させていただきたいと思います。
次に、沖縄県の例を引かれて御提言のあった、世界の和歌山県系人大会の開催についてでございます。
平成六年に開催を予定している世界リゾート博には、国内はもちろん、海外からもできるだけ多くの方々に御参加いただきたいと考えております。それだけに、こうした機会をとらえ、海外の県人がふるさとに集い、県民の方々との交流を深めることは国際交流を推進する上からも大変意義深いことだと考えておりますので、今後、御提言の趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 燦黒潮リゾート構想に関連して、まず完成目標年次、公共投資総額、波及効果等についてお答えを申し上げます。
燦黒潮リゾート構想の整備に当たりましては、おおむね十年間程度を目標とし、完成年次は平成十二年を目途といたしているところでございます。
公共投資についてでございますが、道路、農道、林道、港湾、漁港、河川など公共施設の整備方針を構想に位置づけまして、構想の進捗状況などにあわせて、一体的、計画的に進めてまいることとしてございます。
投資による波及効果についてでございますが、本構想では七つの重点整備地区ごとに施設種別や計画年度の異なるさまざまなプロジェクトがあり、熟度がそれぞれ異なるために現時点では波及効果を算定はいたしてございません。今後、個別のプロジェクトの具体化にあわせて算定をも検討してまいりたいと考えてございます。
次に、予想リゾート入り込み客数、リゾート関連収入見込み額、生産誘発効果、雇用効果等についてでございます。
本構想の民間施設が完成後には、施設規模から試算いたしますと、本県を訪れる人は約千二百万人増大いたします。施設の稼働に伴う直接的な雇用は約六千人になるのではないかと見込んでございます。リゾート関連収入見込み額、それに伴う生産誘発効果及び雇用効果につきましても、各プロジェクトの具体化にあわせて算定をも検討してまいりたいと考えてございます。
次に、本県リゾートの将来展望並びにビーチの造成についてでございます。
本県は京阪神の大都市に近接しており、高野、熊野に代表される歴史、文化資源やミカン、梅、魚介類等の新鮮な農林水産物など、特徴のある地域資源を豊富に有し、さらに関西国際空港の建設や南紀白浜空港のジェット化整備により、全国の他のリゾート構想と比較して遜色のない、魅力的で特色あるリゾート地が創出できるものと考えてございます。
本県のリゾート構想は海をテーマとした海洋リゾート地の形成を目指してございますので、本県の変化に富んだ海岸線を活用して、マリーナ、スキューバーダイビング、海釣り、磯遊び、海水浴など、多様な海洋スポーツレクリエーションが楽しめるリゾート地を整備してまいる所存でございます。
ビーチは大変重要なリゾート施設であると認識してございますので、白良浜、那智海岸、和歌浦片男波などで養浜事業を促進するとともに、既存の海水浴場等も積極的に活用してまいることとしているところでございます。
次に、リゾート開発の適地・不適地のゾーニング設定と、構想の変更承認問題及び追加指定についてお答えを申し上げます。
本県のリゾート構想につきましては、国立公園など自然環境保全上、特に重要な地域については、開発の不適地という考え方でリゾート施設の位置づけは行ってございません。また、リゾート整備に当たりましては、関係法令を適用することにより、計画的かつ合理的な土地利用に努めてまいりたいと考えているところでございます。
リゾート構想の変更につきましては、基本構想承認の手続に準じて変更承認を受けることとなってございます。その変更の取り扱いにつきましては、現在、関係六省庁で変更の基準について検討されているところでございまして、現在までのところ、正式に変更の協議に入っている県はございません。
また、本県のリゾート構想につきましては、昭和六十三年度から地元市町村とも再三にわたり協議を重ねて策定をいたし、昨年十二月に承認をいただいたところでございますので、大幅な変更については現在のところ厳しい状況でございます。
次に、ゴルフ場等大規模開発に伴うマニュアル等の作成及び地元住民の同意の問題についてでございます。
ゴルフ場等の新規開発計画につきましては、法に定めるもののほか、県として独自に、昭和六十三年十二月に「ゴルフ場等開発計画に関する県の取扱」を定めまして、その中で、地域振興方策として地元市町村及び地域住民が積極的に要望しているもので、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策やその他特に地域振興に寄与する事業と認められる計画に限って受け付けることにしているところでございます。
ゴルフ場計画に対する地元住民の意向は、地元市町村長の意見書等に盛り込まれているところでございます。そして、地域住民の意向の把握については市町村それぞれの立場で対処していただいているものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
まず、国道三百十一号真砂大橋の橋げたに「安珍を追う清姫」の絵をということでございます。
本橋につきましては、平成三年度において鋼橋の維持保全を図るための再塗装を予定しております。議員お話しの趣旨を踏まえ、関係機関等とも協議してまいります。
次に、国道四十二号白浜─串本間の直線化すなわち線形改良につきましては、県としても、異常気象時の交通規制区間、交通隘路区間等の改良について国に対し強く働きかけてきたところであり、国においても昭和六十三年度から一部区間において調査を行っているところであります。
また、現在、日置川地内において日置川道路約三・五キロメートルの改良工事が実施されており、このうち、一期工事である日置川町塩野から伊古木の間については平成四年春に供用できるよう、国に対し要望しております。
二期工事である日置川町伊古木からすさみ町朝来の間につきましては、現在、一部で用地買収を進めておりますが、この区間の早期完成を含め、白浜─串本間の早期改良について、今後とも関係市町村とも連携を図りながら国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
次に、串本を起点とする国道四十二号の高規格化についてでございますが、本県にとって高速道路の紀南延伸は極めて重要な課題であります。しかしながら、本路線の整備には有料道路としての採算性や国の事業枠等の課題があり、容易な問題ではありませんが、早期事業着手ができるよう、今後も国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
次に、殿山ダム放流被害についてでございます。
日置川流域の方々と殿山ダム管理者である関西電力との信頼関係は極めて重要なものであると認識してございます。このような観点から、県としては関西電力に対し、殿山ダムの洪水時における実効ある対応について強く指導しているところでございます。
住民の方々と関西電力との話し合いの場を設けることにつきましても、日置川町と協議を重ねてまいり、近く日置川町内で開催する運びとなってございます。今後とも町当局と十分協議し、関西電力に対し、引き続き強く指導してまいります。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企業局長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) コリドールルートに関連して、仮称・新白浜有料道路の建設についてお答えをいたしたいと思います。
新白浜有料道路の御提案につきましては、現白浜有料道路の延長として施行するか、あるいは全く単独の有料道路として新設するか、二通りが考えられますが、現有料道路を延長する場合、まず無料開放を期待している住民の合意が得られるかどうか、加えて、新しい建設投資による通行料金の改定や料金徴収期間の延長など、非常に困難な問題がございます。
次に、新しい有料道路として建設する場合、議員御指摘のとおり、ルートの設定や地権者の同意等々、相当困難な課題がございますが、特にこの地域の地形上、非常に建設コストが高くなることが予想され、公営企業としての採算性が大きなネックとなります。したがいまして、有料道路として計画を進めるについては極めて慎重な対応が必要であると考えてございます。
以上です。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
17番堀本隆男君。
○堀本隆男君 時間の都合で申し上げることができませんでしたので、これは要望にかえたいと思います。
リゾート地のグレードを高め、景観を引き立たせる要素の一つは、何といっても緑の木々であります。中でも松の木は古来日本人が最も愛したもので、歌にも残され、松原は日本的な風景の代表格であります。ところが、昨年の紀南での松くい虫の猛威が著しく、とりわけ日置川町、白浜町の被害の惨状は目を覆うばかりで、数十年、数百年の大木の枯死には胸痛むものがあります。この松くい虫対策について、従来のような枯れた松を伐採して焼却する消極的な防除のやり方では、一向に被害が減少しないのであります。もっと積極的な予防対策を講ぜられたいのであります。特に白浜町など本県を代表するリゾート地の松の保存には、県の温かい手を差し伸べていただきたい。例えば、防風林や風致地区の松の消毒に対する高率補助や、樹齢五十年以上の、町の人々になじみの深い松の木々の木ごとの注入消毒代などに対し、積極的に補助を願いたいのであります。千畳敷から三段壁にかけてのあのすばらしい松原が枯れたら、白浜の景観の魅力は半減することでありましょう。こうした特別のリゾート地に対する松くい虫対策の支援措置を強く要望して、私の再質問を終わります。
以上であります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
44番中村千晴君。
〔中村千晴君、登壇〕(拍手)
○中村千晴君 議長から発言のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
私にとって最後の一般質問の機会となりました。今回の質問に当たりましては、私は私なりに思考を行い、その結果、県政のさらなる発展に関して重要と思われる議題三項目にわたって御質問を申し上げ、知事初め当局者の方々にその対応や御見解などを承ることといたした次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。
質問の第一項目、二十一世紀を目指す県政の展望についてであります。
最初に、県長期総合計画の進行に関して申し上げます。
目標年次を平成十二年、西暦二〇〇〇年に置き、「新世紀の国21」を表題とした本県の長期総合計画が計画期間の三分の一を経過し、本年は第二次実施計画の初年度となりました。現時点では中期実施計画の内容が未発表となっているのは残念でありますが、いずれにしましても、県勢の発展、住民福祉の向上につなげるための諸施策が計画の遂行によって一歩一歩着実に実行されていくことは、まことに御同慶でございます。より多くの県民のニーズにこたえ、さらなる発展の方向へと誤りなき行政を執行するため、将来の動向を的確に見据えた総合計画が極めて重要であることは論をまたないところであります。
そうした意味合いから、現在まで私は機会あるごとに長計に関しての質問を行ってまいりましたが、今回、締めくくりの質問として、長計の基本フレームである人口予測と経済成長予測についてお伺いをいたします。
まず、人口についてであります。
平成二年の国勢調査によれば、概数でありますが、県内総人口は百七万四千三百二十一人となっております。これは、前回国調、五年前の昭和六十年時と比較して一万三千人余りの減、また前年時の人口推計に比べても約五千人の減少で、これを長計の平成二年時点での人口予測と対比すれば二万一千人の乖離が生じたことになります。詳細なデータが出ていないため年齢階層別の構成比は不明でありますが、高齢化が進んでいることは十分予想されるところであります。
また、県内世帯数が国調では三十四万五千百七十二世帯となり、これにより一世帯当たりの人口は三・一一人となっております。これは、長計目標年次すなわち十年後の予測三・一三人をも下回っており、県下のうち和歌山市、新宮市、東牟婁・西牟婁の両郡では既に一世帯当たり三人の大台を割り込んだという実態となっております。
人口減の問題については昨年六月定例会においても質問をいたしましたが、ここ数年にわたって毎年減少の一途をたどっていた本県の人口が平成二年には何とか増加に転じるであろうとの期待も残念ながらかなえられず、長計の人口フレームの予測と実態との間にますます差が開いているように見受けられるのであります。
申すまでもなく、人口の減少は、単に人口規模の縮小にとどまらず県民総生産額にも連動するものであり、さらに高齢化の進行は若年労働力の相対的不足ともなり、生産基盤の弱体化にもつながってまいります。
こうした影響が懸念される本県の人口推移を当局はどう分析し、今後の将来予測をどのように立てられているのか、お示しください。
次に、経済成長率についてであります。
長計では、県内総生産の伸び率について、昭和五十五年より七十五年すなわち平成十二年に至る二十年間の平均伸び率年四%──これは四全総の目標と同一であります──のうち、長計基準時の昭和五十五年より昨年までの十年間の伸び率は平均二・七%、そして六十五年すなわち平成二年から七年までの年平均は五%、平成七年から十二年までは五・六%と目標設定をしております。しかし、前述のとおり、本県の人口予測のずれ、加えて、全国的に見てここ四年間余りにわたって高い成長率を続けた我が国経済もここに来てようやく陰りが見え、一九八〇年代後半の超低金利政策が生み出した日本のいわゆるバブル経済も、昨年、それがはじけまして、株価急落を初めとする逆資産効果が経済の各側面にあらわれ始めている現在であります。果たして平成二年から平成七年までの年五%の本県長計目標の成長率が達成できるのかどうか、甚だ心もとないところであります。
御案内のとおり、平成二年十二月、閣議了解の政府経済見通しでは、平成二年度の経済成長率は名目で七・二%程度、実質で五・二%程度と見込まれておりますが、こうした状況を勘案し、今日までの最近時点での実績と次年度以降の見通しについてもお示しいただきたいと思います。
次に、新たな時代に向かっての紀伊水道の展開についてであります。
四全総には、「圏域間交流の新たな展開」として、次のような記述がなされております。「関西圏と中国、四国ブロックとの接点に当たる東瀬戸、大阪湾・紀伊水道地域においては、既に本州四国連絡橋をはじめとするプロジェクトが進行中であり、今後更にこの地域における交流がより活発化することが期待される」とございます。これをもっても明らかなように、四全総では紀伊水道と大阪湾は一体化した存在として位置づけられております。
関西国際空港の開港をターゲットとしたさまざまな産業が活発に稼働しており、二十一世紀へ向けて、経済、文化の面においても大きな飛躍が期待される今日であります。そして、三年後の開業とともに世界の空との接点に直結する紀伊水道は、極めて高いポテンシャルを持つ存在となっております。空の玄関口が関空とすれば、紀伊水道はまさに太平洋に面する海の大玄関であり、未開拓の宝庫とも言えます。
ウオーターフロント時代の到来に合わせて紀伊水道を単なる和歌山県の海域ととらえるのではなく、関西圏の、大きくは関西国際空港と絡めて我が国全体の新たな発展の拠点として機能させていくことが我が和歌山県の使命であると考えるものでありますが、知事はこの紀伊水道の展開についてどのような構想をお持ちになられているか、お示しいただきたいと思います。
また、本県と関西国際空港を結ぶ海上アクセスについては、どのような取り組みをなされているのか。これは企画部長からお答えいただきたいと思います。
三点目、国の機関等の誘致についてお伺いいたします。
御案内のとおり、四全総の基本的目標は多極分散型国土形成であります。四全総には、東京一極集中の是正については「業務上独立性が比較的高い中央省庁の一部部局、地方支分部局等の政府機関の移転再配置等を検討し、その推進を図る。また、今後新たに設置する全国的文化、研究施設について原則として東京外への立地を図る」とあります。
既に、国会超党派議員による新首都問題懇談会や首都機能移転問題に関する懇談会、首相の私的諮問機関の首都機能移転問題を考える有識者会議等の機関も設置されておりますし、それと相前後して昨年十一月七日、国会等の移転に関する国会決議が行われました。内容は、「国土全般にわたって生じたひずみを是正するための基本的対応策として一極集中を排除し、さらに二十一世紀にふさわしい政治・行政機能を確立するため国会及び政府機能の移転を行うべきである」となっております。
このように首都機能移転への機運の高まりの中、先月十四日、京都で開催された関西財界セミナーで一極集中是正と多極分散型国土形成についての討議がなされ、経団連、関西経済連合会など経済界が中心となっての首都機能移転推進協議会の設立が提言されております。
本来、関西の政治関係者から提言されてしかるべきものでありますが、関西財界セミナーでのこの提言をどのように受けとめ、対処されるのか、知事の御見解を承りたいと思います。
また、国の機関等の移転について、一例でありますが、大蔵省の醸造試験所は、地方自治体からの強い誘致の働きかけがあり、政府において総合的に検討した結果、平成元年八月、広島県東広島市に移転が決定しております。関西国際空港を至近距離に持つ本県の地の利を生かした国際的な文化・研究施設の誘致を国に対して積極的に働きかけていくべきであります。ともに知事の御所見をお述べいただきたいと思います。
次に、質問を第二項目の燦黒潮リゾート構想の推進に移します。
昨年十二月、待望久しかった総合保養地域整備法いわゆるリゾート法による本県の基本構想の承認が決定されました。平成元年、知事はこの年を本県のリゾート元年とすると宣言して満二カ年、燦黒潮リゾート構想がいよいよ実現に向かって本格的な推進を開始する運びとなったのであります。これに関しては、私、今日まで幾たびか質問を行っておりますので、今回は総論、概括的な質問といたします。
天候、地形、位置、景観、そして豊富な緑、温泉など、多くの資源を有する本県は天恵のリゾート素材に満ちており、この構想によって他府県のあらゆるリゾート地を凌駕するすばらしいリゾート地の整備がなされるものと期待するものであります。しかし、無原則、無定見な開発は何としても避けるべきであり、地域住民に歓迎され、地域とともに繁栄・発展する秩序あるリゾート整備でなくてはなりません。
この構想を推進するに当たって大事なことは、「発想は大胆に」、そして「施策は綿密に」であります。秩序あるリゾート整備ということで、そのための措置が必要であります。それとともに、リゾート法の趣旨はあくまでも民間主導・行政支援型の整備を目指しており、民活導入が大眼目となっております。本県の構想は、既に民間事業費だけで五千七百億円が見込めるなど熟度が高く、全国でも有数の規模がうかがえる構想とされており、和歌山マリーナシティ建設あるいは田辺湾総合リゾート開発計画のようにビッグプロジェクトが既に動き始めております。
そこで質問でありますが、第一点、現在、構想の具体化についてどのような取り組みがなされておりますか。課題は、先ほど申し上げたとおり民間主導でありまして、その民間主導の力をどう引き出すかが大事な問題となっておりますが、どのように工夫されておりますか。さらに、推進協議会の活動を含め、地域の振興のため、地元産業との連携に対する考え方について御説明をいただきたいと思います。
続いて、第二点目の環境保全対策についてであります。
リゾート関連の施設建設や地域開発に当たって地域住民が危惧を持つものは、何といっても環境破壊の問題であります。燦黒潮リゾート構想は、人と自然環境が共存するリゾート地づくりに最重点を置き、国立公園の特別保護地区等を除外して地域を決定したとのことでありますが、さらに地域住民の理解、協力を得るため、整備地区内の開発の目安として新しい指導要綱などのガイドラインの設定あるいはアセスメントも必要ではなかろうかと思考いたします。どう対処されるのか、お答えください。
また、住民の不安材料としていま一つの問題は、地価の高騰であります。
これについては、既に昨年七月、構想承認に先行して国土利用計画法による監視地域の指定あるいは規制強化等の措置がなされました。その後、約七カ月を経過したのでありますが、全般的に県内リゾート重点整備地区での土地取引の現況はどうなっているのか。地価の最近の動向等について御報告をいただき、将来見通しについてもお示しいただきたいと思います。
四点目の質問は、マリーナシティに関してであります。
燦黒潮リゾート構想の七つの重点整備地区の中で整備に向かって現実に活発に稼働しているのが和歌浦湾地区であり、その中核がこのマリーナシティであります。現在、着々と工事が進行されていることは喜ばしいことでありますが、連動させるべき関西国際空港の開港延期による影響が懸念されます。
既に世界リゾート博の開催期間が平成六年夏へと延期が決定したことは承知いたしておりますが、マリーナシティの開業時期は平成五年春とされていた当初の計画に変更があるのかどうか。あるとすれば、マリーナ業務のオープンは、関西国際空港開港の遅延状況を踏まえ、いつになされるのか、お答えいただきたいと思います。さらに、マリーナシティに関係する交通アクセスを初め、インフラストラクチャーいわゆるインフラについては実施計画に変更がないか、あわせてお答えいただきたいと思います。
質問の最後は、国際化時代への対応についてであります。
日本への留学生が初めて四万人を超えたことが文部省の調査で明らかになり、この一年間で三〇%もふえたと言われております。日本からの海外渡航者が昨年一千万人に達したというニュースも耳新しいところでありますが、時代の趨勢は既に本格的な国際化時代を迎えようとしており、今後、あらゆる分野での国際化への移行がますます顕著になってまいります。特に湾岸戦争の勃発により海外の諸情勢の動向に目が注がれ、国民の関心が急速に高まっている昨今であります。一日一刻も早い戦争の完全終結を願うものでありますが、それはそれとして、今や政治も経済も、そして文化も、我が国は常に国際的な観点に立たなくてはならないときに至っているのであります。政策判断しかり。国際的視野の広がりを持たない判断は将来に大きな禍根を残すことになります。ましてや、関西国際空港開港を間近に控えた本県は、世界に開かれ、世界とともに歩む和歌山県としての脱皮を図らねばならないことは当然であり、行政の面においても積極的な対応が望まれるところとなっております。
そこで質問でありますが、全国的に年々活発になっている海外諸国との交流について、本県の海外渡航者の動向はどのような状況となっているのか、お教えください。パスポートの発給件数の状況等から見てお答えいただきたいと思います。
次に、国際交流の推進であります。
かつては我が国からの海外移民の先覚者的立場にあった本県であります。こうした県民性にかんがみ、広く県民に対する国際化への意識の高揚を図る、言うなれば心の国際化の推進が肝要であり、適切な施策が望まれます。
国際交流の推進を図るための施策としては、基盤整備が重要なファクターとなっております。まず、ソフト面では国際交流団体の育成が挙げられますが、その現況と今後の事業計画はどのように持たれておりますか。次にハード面での整備として、活動の拠点となる交流センターの設置についてどのような方針を持たれておりますか、お答えいただきたいと思います。
次に、質問の予定表に載っている国際課の設置であります。
これにつきましては、以前、本会議において質問を行い、要望もいたしておりますが、国際化時代への対処をするため、行政需要は年々増加の一途をたどることは明白であります。これに関しましては、昨日の一般質問で知事から課の新設を検討しているとの前向きの答弁がありましたので、その実現を私も強く願って要望としておきます。
次の問題であります。前段にも若干触れましたが、関西財界セミナーにおいて、二十一世紀初頭に大阪湾ベイエリアにオリンピック大会を誘致するという構想が議題となりました。これに関しては、先年、和田正人議員から御質問もありましたが、この関西財界セミナーでの結論としては、大阪湾ベイエリア開発推進協議会のグランドデザインに盛り込み、二〇〇四年か二〇〇八年の夏季五輪大会誘致を目指し、産・官・学一体となった誘致活動を始めることになったとの報道であります。これについて知事はどのような見解をお持ちになっておられますか。また、これに関した働きかけはなかったのかどうか、さらに今後の対処はどうなされるのか、お答えいただきたいと思います。
質問の結びとして、総じて知事にお伺いをいたします。
知事は、国際交流の推進について基本的にどのようにお考えになっておりますか。また、現今の国際情勢から見て将来の本県はどうあるべきか、御所見を承ることにしたいと思います。
質問は以上でございます。以下、私事にわたり恐縮でございますが、冒頭申し上げたとおり、私、今期限りをもって議会を去らせていただくことにしております。今日までちょうだいいたした県議会の先輩・同僚の皆様の御教導、御芳情に、そして知事初め県行政に携わる多くの皆様方からいただいた公私にわたる御厚情、御協力に、改めて厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」という言葉がございます。これは、移ろいやすい人の世の常を述べた言葉でございます。やがてめぐり来る春、繚乱として咲く花は昨年と同じであっても、その時期、本年は華々しい選挙戦が展開されます。御勇退なされる先輩方もおられることから「人同じからず」──この県議会も新しいメンバーが加わることでありましょうが、激しい選挙戦に再び臨まれる方々のぜひともの御成功を御期待申し上げるものでございます。そして、さらなる和歌山県の輝かしい発展のための力強い御奮闘、同時に知事並びに当局の方々の一層の御精進、御精励、あわせて皆様のますますの御健勝を心からお祈り申し上げるものでございます。
なお、最後になりましたが、この機会をおかりいたしまして、長年にわたって御支援をいただいた同志の皆様、支持者の皆様及び県民各位に衷心よりお礼を申し上げ、発言を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村千晴君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま中村千晴議員から二十一世紀を目指す県政の展望について御質疑を賜りました。
議員には、二期八年にわたって県政に多大の御尽力を賜り、とりわけ長期総合計画の推進を初めとする県政全般の方向づけの問題についてたびたび本会議等の場で御識見をちょうだいいたしましたこと、まずもって心から厚く御礼を申し上げます。
さて、新時代に向かっての紀伊水道の展開についてでございます。
御指摘のように、関西国際空港の立地により本県は世界へ向けての玄関口になり、紀伊水道という海洋空間のポテンシャルが大変高まっているわけでございます。こうした状況を踏まえ、現在、県といたしましても、第二国土軸構想の推進、近畿自動車道の南伸、さらには海上アクセスも含めた交通体系の整備、本県の有する良好な自然や海岸線を活用した燦黒潮リゾート構想の推進、またマリーナシティの建設等、陸・海・空を一体としてとらえて振興を図っておるところでございます。
現在、本県も参画している大阪湾ベイエリア開発推進協議会において、広域的な観点からベイエリア開発のあり方について検討が進められているわけでございますけれども、空と海との玄関口としての本県をアピールするという立場から、大阪湾ベイエリアのグランドデザインの策定に向けて今後とも積極的に進めてまいりたいと思っております。
それから御提案の、国の機関の誘致問題でございます。
国会の場や近畿ブロックの知事会議においても、国会や首都機能の移転問題が論議されておるところでございます。特に、御指摘ございましたように、過日行われた関西財界セミナーにおいても首都機能移転の問題がテーマの一つとして討議されておりまして、四全総の課題への対応を求めるものとして時宜を得たものではないかと思っております。
国際的な文化・研究施設の誘致の問題につきましても、四全総の中でも関西圏について、世界各地との国際交流拠点としての機能強化、国際的な文化・研究施設等の設置を図ることとされてございます。県としましても、関係の経済団体や自治体と連携をとりながら国に対して積極的に進めてまいる所存でございます。
次に、燦黒潮リゾート構想の推進についてでございます。
具体化の取り組みの問題と地元産業との連携の問題についてでございますが、お話のとおり、本県は、自然条件、地域文化など全国的にも誇れるところでございますので、交通基盤の整備等により民間企業の進出熟度というものが極めて高い地域だと思っております。そのためには、今後の取り扱いといたしまして、自然環境の保全の問題を重点として、活用の問題等々について、地域振興という面を初めあらゆる角度からリゾート整備を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
それから、大阪湾ベイエリア五輪誘致についてでございます。
お話ございましたように、大阪湾ベイエリア開発推進協議会に、私も、そして大阪の知事も、兵庫の知事も入っておりますし、また大阪市、神戸市の市長も、財界も入っておるわけでございますけれども、この協議会において大阪湾の総合的な開発整備の指針となるグランドデザインを平成三年四月に策定すべく、現在、検討を進めております。その中で、関西圏の都市連合によるオリンピックの誘致活動を一つのシンボルプロジェクトとして議論しているところでございます。これにつきましては、今後、関西連合の形において取り扱っていこうじゃないかということを検討しております。
ただ、オリンピックは、今までベルリン、パリ、ロスといった都市が主体になっておりますので、そうした問題がありますけれども、それらを超越した立場においての連合という形において現在検討を進めているところでございます。
それから、国際化時代への対応の問題でございます。
御指摘のとおり、国際交流は人と人との心の触れ合いが大変重要だと考えております。このため県におきましても、国際化時代に対応し、国際社会で活躍できる人材の育成、また外国人が訪れやすい、住みやすい環境づくりの整備、多様な交流を深めるための諸外国との友好交流の推進を三つの柱としてさまざまな国際交流事業を展開しているところでございますけれども、今後、関西国際空港の開港を契機にして、本県は我が国における新たな国際交流の拠点として一層大きな役割を担わなければならないと考えてございます。このため、本県の特色を生かした国際交流を推進し、より豊かな国際社会の実現を図ってまいる所存でございます。
最後になりましたけれども、議員におかれては今後ともますますお元気で、県政のために御支援賜りますことをお願い申し上げて、答弁にさせていただきます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、県長計の人口、経済の見通しと実態についてお答えを申し上げます。
本県の人口は、長期総合計画における平成二年度の目標値百九万五千人に対して、先般の国勢調査の推計値では百七万四千人となり、昭和五十八年以降の減少傾向が続いてきたところでございます。
その要因といたしましては、昭和五十七年までは県外への人口流出による社会減を出生による自然増でカバーしてきましたが、昭和五十八年以降は自然増が社会減を下回る水準となっているところでございます。さらに昭和六十年以降は、円高や構造不況から来る本県基幹産業である鉄、石油、化学等の基礎素材型産業の低迷、各関連企業の合理化による人員削減等により、この五年間で一万二千八百八十八人の減少となっております。
一方、先般の国勢調査結果を分析すると八つの市町村で人口が増加しておりますが、その要因としては、大規模宅地開発、企業誘致の推進、地域産業の活性化等が考えられます。
今後の見通しといたしましては、最近の企業進出の状況から見ると、平成三年度以降からは各種進出企業の本格的な操業が始まり、新たに相当規模の雇用者増が見込まれること、交通基盤の整備を初め各種の大規模プロジェクトが順調に推移していること等々から、今後の県人口は増加基調に転じるものと考えておるところでございます。
また、経済成長率についてでございますが、近年、本県産業界の自助努力と先端産業を中心に企業誘致に努めた結果、景気は回復基調に向かっておりまして、特に直近のデータである昭和六十三年度においては経済成長率が五・五%と国の水準を上回り、七年ぶりの高い伸び率となったところでございます。
今後の経済動向につきましては、種々の要因もあり、予測は難しい点もございますが、今後とも産業構造の高度化、多角化を積極的に推進することにより、現在の好調を維持していくことは十分に可能であると考えてございます。
いずれにいたしましても、議員御指摘のとおり、人口と経済成長は相互に連関を有しているものであります。安定的な経済の成長が人口の増加をもたらし、それがさらに経済発展につながっていくものと考えておりまして、人口、経済の両面で伸ばしていくという観点に立って第二次中期実施計画を展開してまいりたいと考えているところでございます。
次に、関西国際空港との海上アクセスについてお答え申し上げます。
関西国際空港との海上アクセスについてでございますが、道路、鉄道によるアクセスに加え、交通の多重性、利便性を確保するため、また関西国際空港から本県への観光客誘致を図るといった観点から重要な課題であると考えております。他の交通機関との競合、採算性の確保等、解決すべき課題がございますが、具体化の可能性について、関係企業や関係機関への働きかけをさらに強めてまいりたいと考えてございます。
次に、燦黒潮リゾート構想の推進に関連して、まず構想の具体化への取り組みについてでございます。
おのおののプロジェクトによりまして、例えば第三セクターによる企画会社を設立し、具体的計画を立案中のもの、構想の地域整備方針を踏まえ、マスタープランの策定に取り組もうとしているもの、また既に一部着工しているもの等々、計画熟度に応じてその手法はさまざまでございますが、構想の実現に向けて着々と進んでいるものと認識をいたしてございます。
しかしながら、いずれにいたしましても、民間企業が主体となって施設整備に取り組んでいただく必要がございますので、地元市町や庁内関係部局と緊密な連携を図り、構想の実現に努めてまいる所存でございます。
次に地元産業との連携についてでございますが、本県の新鮮な農林水産物や伝統的な地場産品などの資源を活用して地域の振興に資するため、リゾート産業への参画、新規リゾート産業との連携を積極的に進めていかなければならないと考えてございます。
本構想では、重点整備地区ごとに燦黒潮リゾート構想推進協議会を設置することといたしてございます。既に五カ所の地区で設置済みであり、構想の普及・啓発やリゾート整備に伴う地域振興のあり方などについて検討されているところでございます。
県におきましては、来年度に特定の地域産業の参画手法について具体的に調査をし、それぞれの各推進協議会での説明会などを通じてリゾート産業と地域産業との連携による地域の振興を図ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、環境保全対策についてでございます。
本県のリゾート構想につきましては、自然の保全とその景観などを活用することを基調として推進することといたしてございます。そのため、重点整備地区の設定に当たりましては、国立公園の特別保護地区や鳥獣保護区の特別保護地区などを除外するとともに、貴重な動植物の生息地を避けるなど、自然との調和に最大限の配慮をしているところでございます。
さらに、リゾート施設の整備に当たりまして、デザインや色、素材など周辺環境と調和した、リゾートにふさわしい、住みやすい町づくりを進めることは非常に重要なことであると認識しているところでございます。
今後とも、自然環境の保全と活用や快適な生活空間の創出など、関係部局と連携しながら、自然環境と調和のとれたリゾート整備が進められるよう対応してまいりたいと考えているところでございます。
最後に、土地取引の現状と見通しについてお答えを申し上げます。
リゾート法に基づく重点整備地区につきましては、地価上昇のおそれのある地域との認識のもとに、昨年七月に国土利用計画法に基づく監視区域に指定をいたしました。法律に定められている面積よりも小規模な土地取引についても、地価に対する監視を厳しくしているところでございます。
また、重点整備地区の状況につきましては、加太・紀泉地区、和歌浦湾地区、田辺・白浜地区では、リゾート開発を目的とした土地取引も含め、平成元年から平成二年にかけて取引件数が増大しておりましたが、最近はやや減少もしくは横ばい傾向でございます。
地価動向につきましては、昨年夏ごろまでは上昇が見られたものの、金融引き締めや監視区域制度の厳正な運用等々により、現在では鎮静化傾向があらわれているところでございます。
勝浦・太地地区等その他の重点整備地区では、届け出件数を見る限り、監視区域指定前と特に大きな変化がない状況でございます。地価につきましても、安定的に推移いたしております。しかしながら、今後、交通基盤の整備等、各種プロジェクトの進展を初めリゾート構想の熟度の高まりに伴って土地取引の増加が予想されますので、監視区域制度の厳正な運用を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 燦黒潮リゾート構想を推進する際の環境保全対策についてでございます。
基本構想におきましても、リゾート地の整備に当たっては必要に応じて環境影響評価を実施させるなど、地域のすぐれた自然環境及び生活環境の保全に十分配慮することとしているところでございます。
環境影響評価につきましては、公有水面埋立法などの個別法や国の環境影響評価実施要綱に基づいて実施しているところであり、これらの対象事業以外についても、大規模開発計画調整協議会など事前協議の段階で、規模に応じて環境アセスメントの実施を指導しているところでございます。
燦黒潮リゾート構想の推進に当たりましても、このような手法によって未然に公害の防止及び自然環境の保全に努めてまいる考えでございます。
○議長(岸本光造君) 企業局長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) マリーナシティに関する御質問にお答えをいたします。
まず、和歌山マリーナシティのオープンの時期でございますが、関西国際空港の開港に合わせて平成五年春にマリーナ施設等の一部を供用開始することで今日まで取り組んできたところであり、埋立工事についても順調に推移をいたしておりますが、関西国際空港開港の延期と当マリーナシティで開催される世界リゾート博の開催時期の変更、さらに一工区竣工後の施設整備等の成熟度の期待などを総合的に判断いたしますと、マリーナ部分等の一部オープン時期を平成六年夏とすることがより効果的であると考えてございます。
次に毛見一号線、二号線の交通アクセスでございますが、順調に工事が進捗しており、上下水道、電気等のインフラについても関係機関と調整を図りつつ整備に取り組んでおります。これらの施設はマリーナシティに立地する施設を建設する際にも必要なことから、これまでどおりの工程で整備を進めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 知事公室長市川龍雄君。
〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 国際化時代への対応の三点の御質問でございます。
まず、海外渡航者の動向についてでございますが、本県の旅券の発行件数を見ますと、昭和六十年は一万七千六百三十一件でありまして、以来、毎年約一〇%程度の伸び率で増加いたしております。平成元年は二万六千四百四十四件でございます。
なお、渡航者数は、法務省の出国者数の調べによりますと、平成元年中に四万八千百七十七人であり、これについても、昭和六十年以来、毎年一〇%を超える増加率となってございます。
次に国際交流団体の現況でございますが、県日中友好協会や県高校生国際交流協会など、四十を超える団体が活動しております。事業計画につきましては、これら交流団体の中核として、県、市町村、民間が一体となって設置した財団法人和歌山県国際交流協会を中心に連絡会議や合同事業などを行い、横の連携強化、相互の活動支援などを通して地域に密着した本県の国際化を推進いたしたいと考えてございます。
三点目の、御提言の国際交流センターの設置でございますけれども、国際交流の充実強化を図るために国際交流協会を設置し、推進を図っているところでございますが、県民や在住外国人のさまざまな交流活動の拠点となるところが必要と考えてございます。今後、この課題については研究してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「再質問ございません。ありがとうございました」と呼ぶ者あ り〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村千晴君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十三分休憩
─────────────────
午後一時三分再開
○副議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
45番小林史郎君。
〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 まず、原発事故の問題で質問いたします。
きのう森議員からもお話がありましたが、去る九日、関西電力美浜原発二号機で炉心に近い蒸気発生器の細管がギロチン破断し、そこから放射能を含む高温高圧の一次冷却水が急激に流出、原子炉があわや空だき状態になろうとしたときに緊急炉心冷却装置が作動してやっと難を免れたという、恐ろしい事故が起きました。
原子炉が空だき状態になれば核燃料の溶融、大量の放射能の放出という重大な事故になることは、一九七九年に起きたスリーマイル島原発事故で実証されています。今回は緊急炉心冷却装置が作動して危うく最悪の事態が避けられましたが、このような緊急装置が作動するような事故自体、本来起こってはならない重大な事故であります。もし、この事故がそのまま進行しておれば、京阪神の水がめ琵琶湖を含む八十キロ圏内が食料の汚染地帯という大惨事となっていたことを考えるとき、本当に慄然たる思いがいたします。
美浜原発二号機のような加圧水型原子炉では、共通して蒸気発生器細管の損傷事故が多発していて、この型のアキレス腱と言われていました。外径二・二センチ、厚さ一・五ミリの管の内部を百五十気圧、三百度という熱水が秒速五、六メートルの高速で通過しますので、腐食や振動による損傷を防ぎ切れないのであります。
これまで政府や電力業界は、細管の傷は大事に至る前に定期検査で見つけて手当てをしているから大丈夫だと説明し、損傷の見つかった細管に栓をしたり、さや当てをして運転してきました。この美浜原発二号機は昨年四月から七月にかけて定期検査をしたばかりで、このとき六千五百二十本ある細管のうち六本にひび割れが見つかり栓をしましたが、これまで栓をした細管は四百十一本で、この数は、他の同型原子炉に比べればまだ少ない方でありました。
このことから考えますと、今回の事故は栓をした細管の多少にかかわらず大事故を引き起こす可能性のあることを示しており、また定期検査で安全を確保できるとしてきた政府、電力業界の説明は全く成り立たなくなったと言えます。しかも、定期検査では必ず正常に作動するように検査しておかなければならない重点項目である原子炉の圧力逃し弁が今回の事故で二個とも作動しなかったということは、原子炉の爆発にもつながりかねない恐ろしいトラブルであり、定期検査による原発の安全性確保の問題に新たな疑問を投げかけることになりました。
このように、今の原発はさまざまな技術の未熟さを持ったまま推進されていますが、我が国では重大な事故が起こり得ないという安全神話が技術の未熟さを正面から見据える姿勢まで失わしめているということです。そのよい例が、先ごろ報道された資源エネルギー庁の研究姿勢であります。
通産省資源エネルギー庁では、六年も前からこの蒸気発生器細管の損傷に関する国内外のあらゆるデータを収集するとともに、専門家から成る蒸気発生器検討会なるものを設置し、ひそかに細管損傷事故の防止対策を検討してきていながら、この完全破断事故に対しては「起こり得ないもの」として事実上無視し、何らの対策も打ち出していなかったことが明るみに出ています。
同庁がこの検討会に提出した「蒸気発生器伝達管損傷と防止対策の現状について」という内部資料は、本文八十九ページ、付録百六十七ページにも及び、細管損傷に係るあらゆるデータとノーハウが網羅されていると言われています。そして、この防止対策は八八年ごろまで精力的に行われたと言われ、この間、八七年七月にはアメリカのバージニア州のノースアナ原発で細管の完全破断事故が起きているにもかかわらず、議論は専ら当時多発していた粒界腐食割れの対策に集中し、ノースアナ原発のような完全破断事故に関しては、「日本の原発はアメリカに比べ水質管理が徹底しており、同事故の引き金となった支持板の腐食は考えられない」と一蹴して、参考程度にしか検討されていなかったとのことであります。
スリーマイル島原発事故の原因を究明したケメニー報告でも特に強調されているように、原発が十分に安全だという考え方が確固とした信念となって関係者に定着してしまった結果、こういう事故が起きた、だから安全神話こそ警戒しなければならないということが最大の教訓として引き出されているのであります。
最近、原発事故が多発し、しかも炉心近くの重大な事故がふえてきています。例えば、八八年九月の浜岡原発一号機での原子力圧力容器本体からの放射能を含む冷却水漏れ事故とそれに続く核燃料破損事故、八九年一月の福島第二原発三号機の再循環ポンプ破損とその金属片の炉心への流入事故等がありますが、これに続く今回の美浜原発事故は、我が国で起きる原発事故が次第に重大化してきていることを示しています。にもかかわらず、日本の原発は技術の未熟さを棚上げしたまま巨大化され、ふやされようとしています。
政府の計画によれば、二〇一〇年までに原発の発電量を現在の二・三倍にふやす方針であり、そうなれば原発の危険がさらに大きく、切実なものにならざるを得ません。
それに、電力業界の姿勢も問題であります。新聞報道によれば、通産省が、今度の事故にかんがみ、二次冷却水系への放射能漏れを示すモニター数値が通常の二割増で原子炉の運転を停止するよう指示したのに対し、関西電力の飯田孝三副社長は、「二割増ではたびたび停止させる事態も予想される」とか、「原因究明に半年もかかるのではたまったものでない」、「今回の事故は結果的に大したことはないと言えば失礼だが、社会的影響が少ない」などと発言し、余りの反響の大きさに、翌日、早くも陳謝していますが、はしなくも電力業界の安全軽視、営利優先の体質がだれの目にもわかる形で露呈されたと言えます。
以上、今回の事故の深刻さから見て、また本県のいずれの原発立地候補地の住民も強い拒否反応を示しているという事実からも、これまでの本県の原発推進姿勢を改めるべきだと思いますが、このことについて知事の御所見を伺いたいのであります。
きのうの中村、森両議員に対する答弁では、原発三原則に立って地元の意向を尊重しつつ対応する、そして現状認識については、地元同意が成立している状況にないというとらえ方を示されました。さらに森議員の、「それは原発を進めないという意味に理解してよいか」という再度の質問に対し、「前の発言と同じである」として、まともな答弁を避けられました。
昨年の九月議会において私は、日高町で原発反対町長が当選したのだから、この機会に原発を断念すべきでないかとただしましたが、そのときの答弁と今度の答弁は、ほとんど同じであります。ということは、今回のように重大事故を体験してみても、知事の原発の安全性に対する認識の問題では何らの変化もなかったということになります。
知事はかつて、海上事前調査の是非を決する比井崎漁協の臨時総会を前にして、「原発銀座にする気はないが、一つや二つはつくりたい」と発言したと報道されたことがあります。こうした本音とも受け取れる発言の上に、昨年の九月議会ときのうの答弁を重ね合わせますと、やりたい気持ちには変わりないのだけれども、地元同意の条件がすべてつぶれてしまったからやむなく静観しているだけだとも読み取れるわけであります。
こうしたことは誤解であれば幸いでありますが、疑念を解くためにも、知事がきのう森議員の再質問にまともに答えていただけなかった真意を明らかにしていただくとともに、百七万県民の安全を預かる知事として、今度の美浜原発事故の重大性にかんがみ、本県の原発推進政策を改めることを明言していただきたいのであります。
続いて、本県長期総合計画での位置づけの問題であります。
長計では、「住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」とあり、さらには「住民の合意形成に役立つ広報活動を推進する」とまでうたい上げているわけでありますが、今策定中の第二次中期実施計画の中では、この原発はどのような位置づけになるのか、「促進」という文言がなくなるのか、また広報活動をやめることになるのかについて企画部長よりはっきりお答え願いたいのであります。
さらに、お願いしていただきたいのでありますが、蒸気発生器の細管がアキレス腱と言われる今回の事故と同じ型の加圧水型原子炉のすべてについて、再点検を国に要請してほしいと思います。それは、今回のような支持板腐食による細管の破断事故は起こり得ない事故として円周方向での渦電流検査が手抜きされていることを会社側も認めていること、また定期検査で健全とされた細管が半年余りの間に破断事故を起こしていることを考えるとき、同型機の中で同じような事故が起こり得る可能性はなしとは言えず、万一起きた場合のことを考えれば深刻な不安に陥りますので、国に対してこのことを強く申し入れていただくとともに、企画部長より、どう対処してくださるかを御答弁願いたいのであります。
次に、農政に関連して、若干の問題で質問いたします。
いよいよウルグアイラウンドの農業交渉は本日をもって再開されるようであります。今度の交渉での米をめぐる情勢に容易ならぬものがありますが、同時に農業保護削減をめぐるアメリカとECの対立も根深いものがあって、今度の交渉は相当長引くのではないかという見方もされています。つまり、農業にも工業製品と同じく自由貿易と市場競争を適用すべきだとするアメリカの主張と、それぞれの国で農業が置かれている現実や社会的、経済的条件を考えるべきであるとして、自国の家族農業を守ることを社会政策の重要な課題と位置づけているEC側との間に、余りにも本質的な違いがあり過ぎるからであります。
十二月議会の質問のときにも触れましたが、ウルグアイラウンド閣僚会議と並行して、昨年十二月三日にはベルギーの首都ブリュッセルでEC農業団体主催の世界農民集会が開かれ、ここに日本を含む二十三カ国から三万八千人の農民が参加しました。
オーストリア農業生産者団体協議会の議長さんが、「農産物の価格保証や保護がなくなれば、農村や山村、レクリエーション地帯は砂漠になる」と、農業の多面的役割と山村農民の切実な思いを語りました。またEC農業青年協議会の会長は、「農産物は飽和状態なのに、さらに輸入するのはブッシュの押しつけだ。自然が違うように、農業もまた、各国、皆違う。農業政策を通商政策に従属させてはならない。こんなことをしたら、消費者においしい質のよい食べ物を提供できなくなる」と訴えました。また北欧の農民代表は、「農村地帯を保全することを忘れてリゾート開発などと言えようか」と叫び、アメリカと立場を同じくするカナダの農民代表も、「農業政策は行政府の中でつくられてはならない。ガットは家族農業を崩壊させる」と言い切っています。そしてドイツの農民は、「もっと安く生産できる国があると買いたたかれ、ピートは六万キロもつくれるのに四万八千トンしか買ってくれない」と嘆き、フランスの青年は、「大輸入業者のマージンは、今や三〇%を超えている」と糾弾しています。
これらの叫びは全く日本の農家の叫びと同じであり、農業と農村はどこの世界でも、食料を供給し、地域経済を支え、国土と資源を保全する上で大きな役割を果たしているのだということを教えています。
堀内全国農協中央会会長も、この集会で家族農業経営の重要性と農業の持つ多面的役割に触れながら、米の輸入自由化は決して受け入れのできないことを訴えましたが、この発言は、国際的に孤立するどころか、国境を越えた共感の中で激励されたということであります。
そこで、本県農政の直接の責任者である農林水産部長にお尋ねしますが、今後の農政を進めるに当たって、アメリカが主張するように農産物も工業製品と同じように自由貿易と市場競争に乗せようとする立場に立たれるのか、それともECのように自国の家族農業を守ることを社会政策の重要な課題と位置づける立場に立たれるのか、その基本的な考え方についてお示し願いたいのであります。
さらに、農業生産の地域経済に及ぼす影響についてお尋ねしますが、農林水産省の試算によれば、仮に米の生産が三〇%減産した場合、国民総生産が一・五%下がるのに対し、地域的には、北陸では二・八%、東北では二・四%と、比較的に大きな影響を受けることになっています。本県の場合、果樹県ですので比較的影響は少ないとも思われますが、それでも全国的な米からの転作によって本県の特産物である梅、ミカン、桃、花卉等への少なからぬ影響も考えられますので、もし農林水産省のような三〇%減産による本県地域経済に対する影響試算ができているならば御報告願いたいのであります。
続いて、農協問題で質問いたします。
三年前に採択された「二十一世紀を展望する農協の基本戦略」では、「国際化」なる言葉がよく使われています。同じ国際化と言っても、アメリカや財界が唱えるような自由貿易一辺倒の主張もあれば、安全な食料をどう確保し、地球の環境をどう守ろうかという別な流れもあるわけであります。
ところで、基本戦略の目指す国際化では日本農業の規模拡大によるコスト引き下げが格別に強調されていますが、これは全く財界の言い分と同じであって、そこには農民の所得をどう確保していくのかという視点が欠落していて、内外格差の縮小を口実に、結局は工業製品輸出の犠牲のもとに日本農業を解体していく方向以外の何物でもありません。したがって私は、このような基本戦略のもとで打ち出されてくる広域合併の方針や農家を忘れた事業推進のやり方では、農協の発展も展望も見出せないと思います。
最近、農協が行う豪華な着物展示会やスーパーまがいの安売り宣伝の広告チラシがよく目につきますが、近ごろの事業推進では職員さんたちは、貯金や共済加入の勧誘だけではなく、電気製品から宝石、高級呉服、家の航空写真まで売りに回っています。このために重い個人ノルマを持たされ、「自爆」と称せられているノルマ達成のためにみずからが共済に加入したり、売れ残り商品を自分で抱え込んで処分に困るといった現象があちこちで起きています。そして、この中で農協事業のあり方に確信と誇りが持てなくなり、働き続ける自信を失って職員が集団的にやめていくような事態まで生まれてきています。
本来、農協は、地域の農業なり農家の生活の実情をしっかりつかんで、どこをどうすれば一歩でも農業を前進させられるのか、そのために何を地方自治体なり政府へ要求していくのかを常に追求していかなければなりません。
今、農家の間では、共同購入による農業諸資材のコスト引き下げや機械の共同利用、品種、技術の改良、税金対策、産直販売等、さまざまな要求や悩みが渦巻いています。そして、このような要求にこたえる方向にこそ農協の未来があるのであって、広域合併や営利追求の企業体化の道は、ますます農家との矛盾を深めることになります。
そこで農林水産部長にお尋ねしますが、県下の農協運営の現状についてどのような問題意識を持っておられるのか、今後の農協運営について何を望み、何を期待されているのかを伺いたいのであります。
さらに、農協職員の労働条件の問題でございますが、第一点として、先ほどの自爆と言われる行き過ぎた推進事業の実態についてどのような把握を行い、どのような所見を持っておられるのか。第二点として、県下農協職員の給与水準は公務員や他の金融関係職員と比べて低くないのか。第三点として、農協職員の週休二日制についてどのようなお考えを持っているのか。以上の点について御答弁をお願いしたいのであります。
続いて、ミカンの台風被害の救済対策について質問いたします。
さきの十二月議会では、安田農林水産部長より、農業災害共済の適用について、「特殊事情を十分考慮した上での評価がなされるよう働きかけてまいりたい」との答弁をいただいていますが、その後の取り組みの現況を御報告願いたいのであります。
二十八号台風で有田地方のミカン園では十二億円程度の被害額が報告されているようでありますが、これだけ大きな被害を受けながら補償されないということになれば、災害共済の存在意義がなくなります。
そもそも災害共済は、気象条件などで大きな減収を来したときに備え、農家の皆さんが地獄で仏さんに会えるような気持ちで、苦しい家計の中から掛金をしてきたものであります。したがって、ことしのように完熟期に台風の直撃を受けた農家にとって、もし補償対象にならないということになれば共済に対する魅力がなくなってしまうわけで、脱退農家が続出してきましょうし、今でも加入率五〇%程度の災害共済組合の存立そのものが危うくなってきます。
農家の皆さんの心情は、「難しい数字のことはわからないが、わしらは何十年に一度という被害を受けたのだから、とやかく言わんと、とにかく助けてくれ」ということであります。
そこで、農林水産部長にお尋ねします。
今度の台風被害の補償額をめぐって支部と県レベルの間で調整が難航していると聞きますが、その実情はどうなっており、県としてどのように対処されているのかをお知らせ願いたいのであります。
続いて、今度の台風被害救済の関連で、ジュース原料柑の基金制度について質問いたします。
昨年は台風被害の関係もあって、ジュース原料柑の出荷量は、補助枠二万二千トンを大きく上回って三万トンにもなりました。このため、二万二千トンの補助枠で三万トンを賄うことになれば原料柑の価格引き下げが避けられませんので、台風被害救済の一つとしても本県の特殊事情を訴えて国に対して補助枠の増額を要望していただきたいと思いますので、農林水産部長のお考えのほどを伺いたいのであります。
私は、これまでも何回となく、生果の価格安定対策の一つとして運用できるよう、現行のジュース原料柑基金制度を拡充することを訴えてまいりました。つまり、豊作貧乏などで原料柑の出荷が計画量を上回る場合は、その超過分についての補助枠を増額してほしいということであります。そうすれば、ジュース原料柑は生果の価格のための安全弁の役割を果たすことができるわけであります。しかし、オレンジの輸入自由化によって原料柑の値段はキロ十五円以下に下がると言われ、不十分ながらも何とか価格安定の役割を果たしている現行の基金制度そのものが機能しなくなり、これまでにない生果暴落の事態も心配されます。政府もこのような事態の招来を予測してか、原料柑の価格補てんの特別枠を上乗せすることによって平成七年度を目指して軟着陸させようとしていますが、だからといって、原料柑の安全弁がなくなって生果の暴落を招く事態を改善できるわけではありません。
そこで、農林水産部長より、完全自由化後の価格安定対策の一つとして、現行の原料柑基金制度が果たしている安全弁としての調整機能を存続させ、強化することが必要かと思いますので、これらの対策について研究検討し、具体案をつくって政府に要望していただきたく、お考えを伺いたいのであります。
次に、教職員定数改善の問題で質問いたします。
さきの十二月議会で高校の四十人学級の早期実現を求めましたが、近ごろ、新学期を前にして、小中学校の先生や御父兄から、うちの学校へ先生をふやしてほしいという要望をよく聞かされます。それは、教育困難な大規模校であったり、複々式転落寸前の過疎校であったり、また障害児学級であったり、さまざまでありますが、現場では、とにかく先生の数が足りないようであります。
欧米では既に二十五人学級が常識と言われ、かつて中曾根首相が二十人学級のアメリカの学校を視察した際、これでは落ちこぼれも出ないとの感想を述べたと聞いていますが、我が国を経済大国と言われるなら、それにふさわしく学級定数も欧米並みにしてほしいのです。現実は、十二年もかけて、やっと今年度で小中学校の四十人学級が実現できる段階のようですが、本県の実情はどのようになっているのかを伺いたいのであります。
国の方では、税収の伸び悩みや湾岸戦争の戦費負担を理由に計画達成への予算づけに難色を示していたと聞きますが、最終的には計画の満額達成の予算づけがなされたようであります。
そこで教育長にお尋ねしますが、本予算案においては四十人学級達成のための第五次教職員定数改善計画の予算づけが一〇〇%措置されたか、その達成状況を御報告願いたいのであります。
いま一つ教育長にお尋ねしますが、これからは児童生徒の急減期に入ります。この機会を行き届いた教育実現のための絶好のチャンスととらえ、小中学校三十五人学級、高等学校四十人学級の早期実現を目指す新たな改善計画の策定を文部省に迫っていくべきだと考えますが、御所見を伺いたいのであります。
次に海南湯浅道路の通行料金の問題ですが、本題に入る前に、きのうも森議員が言われていましたように、長年にわたって高速自動車国道紀南延長促進議員連盟会長として大変な御努力をいただいた大先輩の古田議員のこれまでの御労苦に対して、厚く御礼申し上げます。おかげで、海南湯浅道路の通行台数も、ようやく初期目標の一万二千台に達するなど、大阪への直結と紀南延長を展望しながら有田地方の活性化にとってなくてならない道路となっています。
勝手なもので、開通するまでは、料金のことはともかく、一日も早く通れるようにしてほしいとやかましくお願いしたのですが、のど元過ぎれば熱さ忘れるのたとえのごとく、今では、「料金が高過ぎる。何とかならないか」の声が高まってきています。もちろん、採算的にはやっと初期目標台数に達したばかりで、とても料金の引き下げなど云々できる段階でないことも、本県にとっては紀南延長の実現が最優先課題であることも百も承知の上のことですが、住民感覚としては、十一キロ九百二十円は他の道路に比べて余りにも高過ぎるというのが実感であります。
そこで、着工当時のいきさつや高速道路会計と一般有料道路との違いを知りながら、あえて土木部長にお願いするわけでありますが、全国的な道路会計とのプール制など、何らかの方策でこの区間の料金引き下げができるよう関係機関に働きかけていただきたく、御所見を伺いたいのであります。
最後に、五稜病院の問題で質問いたします。
昨年の六月議会において、老人福祉医療センターの併設を含めて、地域に溶け込んだ五稜病院のあり方についていろいろと要望やら提言を申し上げたところでございますが、その後、五稜病院運営検討委員会なるものを関係部局の間でつくっていただいたと聞いていますが、これまでどのような検討が行われたのか、いつをめどに一応の方向を出してくださるのか、それまで関係市町村や住民の要望をどのようにくみ上げてくださるのかをお伺いしたいのであります。
以上で、第一回目の質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林議員にお答え申し上げます。
今回の美浜発電所の事故についてでございますけれども、私も安全性が何よりも重要であると考えており、今後の国の調査に関心を持って見守ってまいりたいと考えておるところでございます。
電源立地問題につきましては、きのう、中村議員、森議員にもお答えいたしましたとおり、従来から基本としている三原則を堅持し、地元の意向を尊重しつつ対応するという考え方で、現在、第二次中期実施計画を策定中でございます。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 美浜原発事故に関連いたしまして、第二次中期実施計画での原発の位置づけ及び同型原子炉の再点検についてお答えを申し上げます。
まず、第二次中期実施計画における位置づけでございますが、先ほど知事がお答えいたしましたとおり、電源立地に関する県の基本方針である三原則を堅持し、地元の意向を尊重しつつ対応するという考え方で、現在、第二次中期実施計画の基本方針や事業計画の検討を行っているところでございます。
次に、二月九日に美浜発電所で発生した蒸気発生器伝熱管の破断事故に関しまして、国は同じ型の原子炉を保有する電力各会社に対し、当面の対応方針として、二月十九日に二次冷却水等の放射能濃度の監視強化や非常用炉心冷却装置の関係機器の点検強化などの対策を指示したと聞いてございます。
さらに二月二十日には、総理府の原子力安全委員会にワーキンググループ、また通商産業省に美浜発電所二号機調査特別委員会を設置し、原因究明や再発防止について徹底した調査がなされているところでございます。
県といたしましては、安全性の確保は何よりも重要であるとの認識のもとに、今後の調査の推移や対策について、その都度、的確な情報収集に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
農産物を工業製品と同じように自由貿易の対象にすることについてどう考えるかということでございます。
農産物の市場開放は、相手国の農業や経済事情などに照らし、二国間もしくはガット協議の場で、話し合いにより締結されているのが現状であります。
議員のお話にもあるように、今日、ガット・ウルグアイラウンドでは、日本、韓国、スイス、北欧等のいわゆる食料輸入国グループ、アメリカ、オーストラリア等ケアンズグループと言われる食料輸出国、そして多くの品目について輸入課徴金、輸出補助金の二重課徴制をとるECと、三つのグループがそれぞれの立場で対立をいたしてございます。
したがって、農産物を工業製品と同じように自由貿易の対象にすることについては、農業生産の持つ特殊性や食糧安全保障に加え、農業が持つ多様な役割にかんがみ、現行のガット第十七条で政府が食管制度などにより一元的に管理することが認められている品目、及びこれに関連し、農産物の特例措置として認められている地域振興上極めて重要な作物については自由貿易の対象とすべきでない、国境措置の関税化に応じるべきでないと考えてございます。
次に、米の三〇%減産の問題でございます。
既に稲作農家の深い御理解のもとに水田面積の三六%に当たる転作を実施しておりますが、仮定の話として、お話のように、さらに三〇%減産になった場合にどうなるかということでございます。農林水産省の試算によりますと、本県の地域経済に及ぼす影響は、県民総生産額の一・二%が減少するものとされてございます。
次に、農協事業活動の問題でございます。
農業の国際化の進展、また社会的、経済的な立場、農業の現実の厳しい姿の中で、農協は非常に大きな役割を果たしてきたものと考えます。
国際化や金融化の波、自由化の波など、農業を取り巻く環境が変転する中で農協自身も多様化せざるを得ない厳しい現実に立ち至っていることは事実であり、農協自身もこれを真剣に受けとめ、「二十一世紀を展望する農協の基本戦略」を策定し、組織を挙げて取り組んでいるのが現状でございます。
こうした中で、農協本来の趣旨である、農家から信頼される農協、農業者の立場に立った農協を基本にして、農家が何を求め、何を望んでいるかを見きわめて、時代に対応した営農指導や農協本来の事業活動をしていくべきであると考えている次第であり、県としても、農林水産省通達や秩序ある事業運営を強く指導しているところであります。
また、お話にあった推進事業活動につきましては、基本的には、組合員生活の充実を図る必要から、貯金の受け入れ、共済への加入、生活に必要な物資の供給を行うなど、農協事業の一環として職員が取り組んでいる推進事業であると思っております。実態も調査いたしておりますが、さらに実態を知って適当な指導を行ってまいる所存でございます。
次に、農協職員の労働条件の問題で、給与面についてでございます。
経営規模、基盤により単純に比較するのは困難でございますが、県下農協の平成二年度の所定内給料は、平均年齢三十四・四歳で二十一万五千円となっており、本県一般行政職員の給与月額は、平均年齢四十・一歳で二十八万一千円となってございます。
また、週休二日制については全農協が実施しているところであり、四週六休制を実施している農協は三十二組合、四週五休制が八組合となってございます。県といたしましては、農協の地域性や経営状況を勘案しながら、農協検査、中央会監査等を通じて職員の給与、週休二日制の充実改善に努めるよう指導しているところでございます。今後もさらに指導を深めてまいる所存でございます。
ミカンの台風被害に対する農業災害補償法の適用の問題でございます。
去る十二月議会においてお答え申し上げましたとおり、特殊事情を考慮の上、評価されるよう、鋭意取り組んできたところでございます。現在、二年産温州ミカンの共済金支払い見込み額は十億六千万円と試算されており、風水害によるものは、そのうち六〇%と見込まれております。これは、前年に比べて三六八%となってございます。
単位共済組合は、その資料を取りまとめ中であり、報告を受けた後、連合会が評価高を取りまとめ、三月中旬に予定されている和歌山県農業共済組合連合会損害評価会へ諮問し、答申に基づいて国に報告し、国からの評価決定を受ける予定でございます。
また、単位組合と連合会との調整につきましては、組合の被害報告額と連合会の抜き取り調査の結果において、統計資料や出荷高との関連から全県的に若干の相違がありましたが、現在、調整のための作業が急がれており、県としては被害農家に誤解を招くことのないよう十分精査をし、適正な評価の決定を行うよう強く指導しているところであります。
なお、農家への支払い時期につきましては、例年六月のところ、本年はさらに早期支払いに努めるよう強く要請を続けているところでございます。
最後に、果実基金制度は中長期的な見地に立った果実等の総合的な需給安定を図るものであり、加工果実の安定供給はもとより、生果の価格安定にも大きく寄与しているところであります。
お話の、台風による原料果実の対象数量の増枠についてでございますが、対象数量は、果汁の需給見通しに基づいて長期取引契約として設定されているものであることから、業務年度の途中の数量変更は、制度上、大変困難でございます。
次に本事業の存続強化についてでございますが、資金造成に係る生産者負担の問題もあり、今後はさらに生産農家の意向や生産動向等を踏まえ、十分検討しながら対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
海南湯浅道路の通行料金についてでございます。
海南湯浅道路は、延長十一・三キロメートルの一般有料道路であり、日本道路公団により昭和五十九年三月二十八日に供用された道路であります。
一般有料道路の通行料金につきましては、路線ごとに当該有料道路の利用に伴う便益額の範囲内において建設費、計画交通量、料金収入額、料金徴収期間等を考慮して料金の設定がなされておりますが、議員御指摘のとおり、本路線は他の路線と比較して高い料金設定となっております。これは、全体延長十一・三キロメートルのうちトンネル及び橋梁の占める割合が約八割もあり、他の路線と比較して建設費が高くなったためであります。
当該有料道路が一般有料道路として既に供用されていることや、現段階では採算性が確保されていないこと等を考慮しますと、現時点では料金の引き下げは極めて困難であると考えられますが、地元の方々の御意見を日本道路公団に伝え、話し合いをしたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 保健環境部長遠藤 明君。
〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 五稜病院問題についてお答え申し上げます。
五稜病院のあり方につきましては、公営企業としての面からの効率的な運営や県立精神病院としてのあり方を中心に、現在、外部の専門機関に調査を委託するとともに、当部内においても検討を積み重ねてきているところでございます。
この三月には医大等の関係部局を含めた五稜病院運営検討委員会を設置し、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
また、地元の意見等につきましても、それら検討の過程の中でお伺いをしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 教職員の定数問題でございます。
公立の小中学校の教職員の定数につきましては、国が第五次改善計画を昭和五十五年から十二年計画で実施をしてまいりました。平成三年度完成をめどに作業を進めているところでございます。
本県におきましては、平成三年度ですべての小学校、中学校において四十人学級が実施できるよう措置したところでございます。
また、複式学級の編制基準につきましては、平成二年度に新法に基づいて改善をしているところでございます。
県といたしましては、従前からも国の動向を見きわめながら定数の改善を続けてきたところであり、平成三年度の充足率はおよそ九九%と予定をいたしてございます。
その理由でございますが、単年度で第五次の改善計画をすべて充足した場合には、今後の児童生徒数の減少による定数減に対応できないこと、また第五次以降の国の改善計画が明確でないこと等によるものでございます。
今後とも、児童生徒数の減少や退職者数等を総合的に勘案をしながら計画的な改善を進めるとともに、国に対しては、小学校、中学校、高等学校の学級編制基準の改善を含めて新たな計画を早急に措置していただきますように、全国の教育長協議会を通じて働きかけをしてまいる所存でございます。
以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
45番小林史郎君。
○小林史郎君 原発についての知事の答弁、企画部長の答弁、大変不満足です。まあ、これしか言えないのかなということも推察するんですが、私がるる訴えた心情を少しも酌み取ってくれていない。真意は何かということを明かそうという姿勢になっていない。これは非常に遺憾でございます。しかしまあ立場もあろうかと思いますので、一応この場はこれで終わりますけれども、企画部長に一言だけ再質問させていただきます。
新聞で、中期計画については「促進」の文字を削るという報道がされておるわけです。そういう報道がありながら、議場でそのことについて触れて答えられないというのはどういうわけですか。検討していないというのか、検討しているというのか、結論が出ていないというのか、そういう方向に向いているというのか、その辺のこと、新聞にああいう記事が出ながら、何でこの議場で答弁できないか。その点を明確にしていただきたいと思います。
それから農業問題では、ジュース原料柑の安全弁としての役割というのはこれから非常に大事になってくると思うんです。しかも、ブラジルのジュースが入ってきて物すごく低廉化していくという中で、これは死活問題になってくると思います。
最初、ことし特別枠をもらいに行ってくれないかと要請をした意味は、サイクルになっていて難しいということはわかっておるんですが、そういう突破口を開く一つとして最大限の努力をしていただきたいという立場でお願いしておるのであって、後半の部分とあわせて、このことについてはひとつ積極的に研究し、対策を立てていただきたいと思います。
それから、五稜病院の問題でございます。
答弁は味気ないわけですけれども、はっきり申し上げまして、五稜病院についてこれまで私がずっと申し上げてきたことは、地元の創立当時の関係から、総合病院にするという約束があるじゃないか、地域に開かれた、地域に溶け込んだ病院としてやっていく責任が県としてあるんだよということを何回となしに訴えてきておるわけです。しかし、先ほどの答弁では、いわゆる五稜病院としての、精神病院としての運営がどうあるべきか、あるいは企業体としてどうすべきかと言えば、赤字解消対策しか考えていないという印象を受けるわけです。そうじゃなしに、地元の要望にどうこたえていくか、六月議会のときにいろいろとお願いしたことも含めて地元の自治体と十分話し合う、あるいは住民の代表とも話し合う、ボランティア組織についてもいろいろ検討する、こうした積極的な姿勢に基づく検討委員会でなければならないと私は思っておるわけですが、そういう方向も含めて、地元の要望も十分くみ上げた形で検討を進めていただけるのか、単なる赤字解消のために五稜病院の経営をどう改善するかというだけの検討委員会であるのか、その点をもう一度明確にしていただきたいと思います。
○副議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 第二次中期実施計画は、電源立地に関する三原則という県の基本方針を堅持して地元の意向を尊重しながら対応するという考え方のもとに、現在、鋭意策定作業中ということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 保健環境部長遠藤 明君。
〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 五稜病院の問題につきまして、先ほど、「公営企業としての面からの効率的な運営や県立精神病院としてのあり方を中心に」と申し上げたわけでございますけれども、小林議員が昨年の六月議会あるいはその後さまざまな機会に御提言されたこと、また地元からの要望なども十分お聞きをして今後検討を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で小林史郎君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時六分散会