平成3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成三年二月二十六日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第七十六号から議案第八十一号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第七十五号まで及び報第一号(質疑)
 第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第七十六号から議案第八十一号まで(知事説明・質疑)
 二 議案第一号から議案第七十五号まで及び報第一号(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田  亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本  一
 6 番 宗  正 彦
 7 番 岡 本  保
 8 番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 10 番 中 村 裕 一
 11 番 平 越 孝 哉
 12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本  進
 15 番 古 田 新 蔵
 16 番 浦  武 雄
 17 番 堀 本 隆 男
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門  三佐博 
 25 番 尾 崎 要 二
 26 番 那 須 秀 雄
 27 番 木 下 義 夫
 28 番 上野山 親 主
 29 番 北 村  翼
 30 番 尾 崎 吉 弘
 31 番 西 本 長 浩
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松 本 貞 次
 34 番 浜 本  収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田 中 実三郎  
 40 番 森  利 一
 41 番 村 岡 キミ子  
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村  博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺  勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(一人)
 18 番 宇治田  栄 蔵
〔備 考〕
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤  明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   上 野  寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員 山 階 清 弘
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
   寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
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 午前十時四分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
○議長(岸本光造君) この際、新任の職員を事務局長から紹介させます。
○事務局長(山本恒男君) 御紹介申し上げます。
 警察本部
 防犯部長 角 田 侑 彦 君
 警備部長 山 本 博 順 君
 交通部長 谷 口 博 美 君
 〔各員一礼〕(拍手)
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十二号、議案第四十三号、議案第五十二号、議案第五十三号、議案第五十七号、議案第五十八号及び議案第六十一号は職員に関する条例の制定及び改正でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴したところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第381号
    平成3年2月22日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成3年2月19日付け和議会第327号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第42号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第43号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第52号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第53号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第57号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第58号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第61号 企業局長の給与等に関する条例
   (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(岸本光造君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    財第190号 
    平成3年2月26日
 和歌山県議会議長 岸 本 光 造 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成3年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第76号 平成2年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第77号 平成2年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第78号 平成2年度和歌山県営競輪その他事業特別会計補正予算
 議案第79号 平成2年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
 議案第80号 平成2年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第81号 財産の取得について
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○議長(岸本光造君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第七十六号から議案第八十一号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案につきまして、御説明申し上げます。
 平成二年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で百十九億八千三百余万円、特別会計で十億六百余万円を平成三年度に繰り越し使用することについて、さらに議案第八十一号は南紀新空港の建設事業用地を取得することに伴い、財産の取得について議会の議決をお願いするものであります。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(岸本光造君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(岸本光造君) 次に日程第二、議案第一号から議案第七十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 22番中村隆行君。
 〔中村隆行君、登壇〕(拍手)
○中村隆行君 平成三年初めての定例議会の最初の質問者として登壇の機会を与えていただきましたことに対し、まず冒頭に御礼申し上げます。
 昭和天皇の御崩御から、はや二年余りの歳月が流れ、新時代「平成」も三年目の春を迎えております。顧みますと、海外では、ブッシュ大統領とゴルバチョフ大統領が誕生し、新しい指導体制のもとで米ソ間はいまだ不透明感、問題点も残っていなくもないようですが、過去の冷戦の時代を乗り越えて、対話と協調の時代へと歩み始めました。また国内では、昭和四十年代前半の高度成長期と並ぶ息の長い景気拡大を続け、今日まで安定した成長が続いております。
 このように平和と安定の時代を迎えようとしていたやさきに、イラクはクウェート侵攻という暴挙に出たのであります。平和解決へ向けた国際社会の努力を踏みにじり、国際秩序が混乱していることはまことに悲しむべきことであります。私は、国連決議に従ってイラクがクウェートより撤退して、一日も早い平和的解決と世界秩序の安定、繁栄を心より祈念するものであります。
 さて、仮谷知事はこのたび平成三年度の県予算をまとめられました。知事が説明の中でも触れられたとおり、世界情勢の緊迫化や我が国の国際化、技術革新、高齢化等の時代の流れは本県にも少なからずの影響を及ぼしているものと考えられます。このような状況を踏まえ、三年度予算の編成に当たってどのような考え方で臨まれたのか、その基本方針について、まず知事にお尋ねいたします。
 続きまして、関西国際空港の立地、近畿自動車道紀勢線を初めとする交通網の整備が進展している中、県では今多くのプロジェクトの推進に鋭意取り組まれているところでありますが、これらの関連事項を初め県政の全般について私の意見を申し上げるとともに、知事の御所見及び関係部長の見解をお聞きしたいと思います。
 まず、関空開港の延期に関連してであります。
 予想を上回る地盤沈下等の影響により、関西国際空港の開港時期が平成六年夏ごろへと十五カ月延期されることになりました。このことは、関西国際空港に本県浮上の夢を託し、一日も早い開港を望んでいた私たちにとってまことに残念なことであります。
 さきの十二月定例会において、このことに関連して全体構想への影響と今後の取り組み、事業費の増大に伴う地元負担の問題、さらには空港関連地域整備として進めている府県間道路の整備や主要プロジェクト推進への影響等について活発な論議がなされたところであります。これらのことを踏まえ、次のことについてお伺いいたします。
 関西国際空港の開港に照準を合わせ、その推進が図られている空港関連地域整備計画、並びに本県はもとより関西が一丸となって進めている関西国際空港全体構想の早期実現については、開港が延期された今、知事として今後どのような取り組みをなされるのか、お答えいただきたいと存じます。
 とりわけ、全体構想の早期実現を図っていくためには、岸大阪府知事の不出馬が明らかになった現在、これからの難局を乗り越え、関西全体のかじ取りをされるのは、御経験並びに御識見から申しましても、仮谷知事、あなたしかいないのではないでしょうか。知事の御決意をあわせて賜りたいと存じます。
 次に、第二国土軸の推進についてお尋ねいたします。
 仮谷知事が提唱されてきた紀淡海峡トンネル、大阪湾環状交通体系は、昭和六十二年に策定された第四次全国総合開発計画や近畿圏整備計画に盛り込まれたのであります。これに端を発し、経済界等の大阪湾ベイエリア構想、さらには西日本においては広域的な取り組みが必要との観点から、東京から伊勢湾口、紀伊半島、紀淡海峡、四国、豊予海峡を経て九州に至る新たな国土軸を形成することにより、第一国土軸と有機的に連携して広域経済文化圏を形成し、いわゆる第二国土軸を進めようとする機運が盛り上がっています。この機運を受けて昨年十月三十一日、関係十七府県と八経済団体で構成された第二国土軸構想推進協議会が設立され、歴史的第一歩を歩み始めました。また、昨年暮れには早速行動を開始され、知事を初めとし、経済団体の会長など約七十名に上るかつてない陳情団体を組織し、関係省庁に強く要望が行われたとのことであります。その手ごたえと、今後これを実現するため第二国土軸構想推進協議会としてどのように展開していくのか、知事の御見解をお伺いいたします。
 続きまして、京奈和自動車道を初めとする県内の道路整備の取り組みについて土木部長にお尋ねいたします。
 まず第一点目は、京奈和自動車道についてであります。
 京奈和自動車道は、近畿自動車道松原海南線とともに和歌山県と国土軸を結ぶ高規格幹線道路であり、沿線は県下最大の平野を擁し、南麓サイエンスパークや橋本林間田園都市計画等の大規模プロジェクトや企業進出が計画されている地域であります。また、平成六年には関西国際空港の開港も予定されており、地域の開発ポテンシャルもますます高まっております。県勢浮揚の観点からも京奈和自動車道の果たす役割は多大であると考えております。早期完成に向けての取り組みをお示し願います。
 第二点目は、県内の道路整備についてであります。
 道路整備は県政の重点施策の一つであり、積極的な取り組みがなされているところでありますが、整備状況は全国的に見ておくれており、なお一層の整備努力が必要であると考えます。また、都市部及び郡部における交通渋滞も深刻な状態であります。このような状況を踏まえ、今後の道路整備の方針をお示し願います。
 次に、紀の川流域下水道事業についてであります。
 生活及び産業活動に最も重要な水質保全施策として紀の川流域下水道事業が昭和五十五年度から伊都処理区で始められておりますが、紀の川における下水道整備の中長期的及び当面の整備目標について、また現状と今後の見通しについて土木部長の答弁をお願いいたします。
 次に、産業対策についてであります。
 本県の工業構造を見てみますと、昭和六十二年の出荷額では重化学工業が約五三%と大きなウエートを占めているものの、繊維、木材、家具、皮革、家庭用品等の地場産業は、事業所数で約七○%、従業員数で約五一%を占め、全国的にも有数の地場産業県であると言えます。二十一世紀に向けて急速な技術革新の進展が予想される中で、地場産業がその活力を維持し発展していくためには、新製品開発を支える企画、デザイン、技術研究開発体制、情報管理体制の強化など、技術力、研究開発力を高めるためのハード、ソフト両面における基盤の強化を図る必要があると考えます。
 そこで、商工労働部長にお尋ねします。
 こうした本県の地場産業をハイテク化、高付加価値化するための軸として期待されている工業技術センターの再編整備と大学、公設研究機関とのネットワークを整備し、産・官・学が一体となって工業技術センターの機能を補完する体制づくりが急務であると考えられますが、県はどのように取り組みをされるのか、お答え願います。
 次に、企業誘致に伴う地域に及ぼす経済効果についてお伺いいたします。
 少しさかのぼりますが、昭和四十年代の高度成長時代から昭和五十年代は石油ショックによる資源エネルギーの節約やNIES諸国の基礎素材型産業の追い上げ等により、我が国の産業構造も従来の産業の転換、いわゆる重厚長大型から軽薄短小型へと転換を図ってきたわけでございます。一方、北部臨海工業地帯に立地している鉄鋼、石油等の基盤素材型産業と県下それぞれの地域の資源や技術を生かした各地場産業を中心に発展してきた本県としても、深刻な影響を受けたことは御存じのとおりであります。
 この状況を打開する一つの方策として企業誘致が推進されてきたわけであります。他の府県との誘致競争に打ちかつための優遇措置の充実、県、市町村一体となった受け入れ態勢の整備、企業立地説明会等の誘致施策の浸透など、県当局の並み並みならぬ御努力に加え、関西国際空港の建設や道路交通網の整備の進展等もあって、本県の企業誘致も徐々に成果が上がってきておるのであります。現在、五十社を超える誘致が決定しているとのことであり、この四月には松下電池工業株式会社和歌山工場が操業を開始するとのことでございます。
 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
 これまでの企業誘致の結果及びどのような経済効果、波及効果をもたらしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、今後の企業誘致を推進していく上で労働力確保が大きな問題となってくると考えられますが、これの対応についてお答えいただきたいと思います。
 さらに、本県の間近に開港する関西国際空港の波及効果を大いに利用するため、臨空産業、先端技術産業の導入を図っていかなければならないと考えていますが、県としてどのような対策を講じているのか、あわせてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、人材の育成と確保の面から期待されている近畿大学理工系学部の建設についてお尋ねいたします。
 去る一月七日の知事の新春記者会見において、かねてから待ち望まれていた近畿大学理工系学部の開設について、平成五年四月の開学に向けて、本年から学舎等の建設工事に着手されるとの発表がありました。
 本県の高等教育機関は、国立が一校、公立医大が一校、私立が一校、短大、高専が合わせて三校と収容力は極めて小さく、また学部も文科系に偏り、理工系学部を志望する受験生はすべて県外を目指さざるを得ないなど、現状は全国的に見て極めて脆弱であります。関西国際空港の開港や高速道路等の社会資本の整備充実が進み、本県の長年の悲願であった半島性からの脱却が進む中で、本県の開発ポテンシャルは急速に高まりつつある今日、優秀な理工系の人材の地元での養成を初め、産業の高度化、研究開発機能への支援等、理工系学部の存在はぜひとも必要なことであり、本当に待ち望まれた新学部の決定と言えましょう。このことは本県産業界、教育界を初め県民こぞって歓迎するものであり、ぜひとも予定どおりの開設をお願いいたしたいと思います。
 そこで、近畿大学新学部の構想及び新設に向けての見通しについて、企画部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、農業対策についてお伺いいたします。
 この春、オレンジが自由化されます。これまではアメリカの天気について何らの関心も持たなかったものですが、最近ではフロリダの天候はどうだろうか、カリフォルニアに寒波が来たそうだなどと、海外の気候にまで関心を寄せるようになりました。もちろん、米国のオレンジの作柄が本県産かんきつの価格に影響を及ぼすものと考えるからであります。このことは農作物の適地性が海外各地へと広く広がることを意味し、農業分野においてもいよいよ国際化時代に突入したのだなあと実感する次第であります。
 オレンジの自由化が決定されて以来、かんきつ園地再編対策に産地挙げて取り組まれ、かんきつ産地の体質強化に加えて落葉果樹産地の拡充強化に努めてこられました。この間の生産者や生産者団体を初め関係者の努力には大いに敬服するものであります。しかし、これからが本番であります。国内外の競争力のある産地と競争していかなければなりません。真の実力が問われる時代を迎えたと言っても過言ではないと思います。この三年間、かんきつ産地では不良園を精査する中で、優良園を主体とした産地に体質強化が図られてきました。一方、適地・適産を基本に、かんきつから梅、桃などの落葉果樹への転換が進み、その生産力が大きく伸びようとしております。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 かんきつ園地再編対策いわゆるオレンジの自由化対策の推進の中で、生産拡大している落葉果樹を含め、今後の果樹産地のあり方についてどのようにお考えでしょうか。
 また、産地の活性化を図る上で品種の更新による産地の若返りが有効な手段の一つと聞いておりますが、本県における果樹の新品種開発状況や技術開発など試験研究への取り組み状況と今後の見通しについてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の推進に伴う経済効果についてお尋ねいたします。
 近年、長寿化や労働時間の短縮により自由時間が増大し、所得の向上や生活様式の多様化とも相まってゆとりあるライフスタイルへの志向が強まり、新たなリゾートへのニーズが生じてきているところでございます。この潮流の中で、本県の海洋、森林、温泉など豊かな自然資源や、高野、熊野、根来等に代表される数多くの歴史、文化資産など恵まれた地域資源は、リゾート地の形成を図る上で極めて有効に活用できるものであります。
 昭和六十一年十二月に策定された和歌山県長期総合計画では、県土づくりの方向としてテクノ&リゾートが掲げられ、地域振興策の大きな柱として位置づけられるとともに、昭和六十三年三月に策定された和歌山県リゾート開発基本構想では、県下全域について、海洋型、山岳・高原型、都市近郊型の三つの方向の開発が提示され、さらに種々検討が重ねられて、本県のイメージを鮮烈に打ち出せる海をテーマとした燦黒潮リゾート構想が昨年十二月十九日に国の承認を得たと聞いております。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 今後、本県におけるリゾート整備については、海岸域を対象とした整備にあわせ、内陸部においても推進していく必要があると考えておりますが、県において現在、関係市町村とともに策定されている内陸部のリゾート整備計画と燦黒潮リゾート構想との関連性、及び同構想の内陸部への経済効果について答弁をお願いいたします。
 また、これからのリゾート時代を迎え、今後どのような方向でPRされ、本県の観光振興を図っていくお考えなのか、商工労働部長にも御答弁をお願いいたします。
 同和対策事業についてでございます。
 同対審答申が出されて二十六年、同和対策事業特別措置法が制定されて二十二年が経過し、その間、本県では同和対策を最重要施策として位置づけ、知事を先頭に県議会、市町村ともども積極的に本問題解決に取り組まれているところであります。現状では、生活環境改善事業を初め、産業職業対策、教育啓発活動等の実施により相当の実績を上げ、全国的に見ても本県は先進県として問題解決の日は近いという認識をしているところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 地対財特法の最終年度に当たって、平成三年度の予算措置等、県の基本姿勢について、また地対財特法期限切れ後の法的措置はどうなるのか、その見通しについて御所見をお伺いいたします。
 また、同和対策総合推進計画に基づく事業の進捗の現状と法期限内の見通しについて、民生部長に御答弁をお願いいたします。
 次に、生涯学習についてであります。
 近年、技術革新による情報化、国際化の進展が目覚ましく、余暇時間も増大し、国民のライフスタイルは大きく変化してきています。このような状況の中で、新しい知識、技術の習得など、生涯にわたる学習意欲が高まってきています。
 平成元年度、総理府が調査した生涯学習世論調査の結果を見ても、その八割が一生を通じて、いつでも、どこでも、仕事や日常生活に必要なことを学んだり、スポーツや芸術、文化に親しみたいと希望しております。また、同年度に県が実施した県政モニター調査によりますと、人々の学習意欲が高揚し、しかもその学習内容が多様化、高度化の傾向を示しており、生涯学習への期待が一段と高まっております。時折しも、昨年、本県で開催した第三回全国スポーツ・レクリエーション祭や京都で開催された第二回全国生涯学習フェスティバル、また、現在進められている新美術館、新図書館、新博物館といった文化施設の整備は、まさに県民一人一人がいつでも、どこでも学ぶことができる学習機会を提供する場としてとらえられます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 まず、新美術館、新図書館、新博物館のいわゆる三館の建設については、関係者の熱意が実り、いよいよ平成三年度から着工の運びとなったと聞いておりますが、その進捗状況について御答弁を願います。
 次に、本県においても県民の学習ニーズが高まってきていると考えられますが、その県民の学習ニーズにどう対応しておられるのか、また生涯学習を進める上での指導者の養成等が必要と思われるが、どのようなお考えなのか、以上の点について教育長の御答弁をお願いいたします。
 国際化についてお尋ねいたします。
 平成六年夏、関西国際空港の開港を契機に人、物、情報が急速に増加し、こうした流れをスムーズに受け入れることは、本県経済の活性化のみならず県民の国際感覚の向上に資するものであると思うのであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 このような本県の国際化の流れに積極的に対応するための体制の強化を図るべきと考えますが、知事の御所見をお示し願います。
 次に、知事公室長にお伺いいたします。
 県は国際化に対応するための各種施策を実施していますが、県と海外との友好提携については中国山東省だけであります。世界との交流をもっと広く、積極的に展開していくべきではないかと考えますが、その方策をお示し願います。
 さらに、こうした施策に加え、民間の人々の持つ活力を生かすことが必要であると痛感しておりましたが、昨年、民間の立場から本県の国際化、国際交流を推進する財団法人和歌山県国際交流協会が設立されたと伺っております。
 そこで、この協会の概要及び今後の活動方針についてお聞かせいただきたいと存じます。
 最後に、電源立地問題についてお伺いいたします。
 去る二月九日、関西電力美浜発電所で発生した事故については新聞、テレビ等でも報道されているところでありますが、この際、本県における原子力発電所等電源立地問題について、改めて御質問いたします。
 県は、従来から原子力発電所等電源立地問題については、「三原則を堅持しつつ促進する」としています。一方、我が自由民主党県議団ではエネルギー問題研究会を設置し、研究協議を行っているところでありますが、最近の地元の状況は、日置川町長は原発反対、日高町でも昨年の町長選挙で原発反対の町長が当選するなど、まことに厳しい状況にあると判断せざるを得ないと考えております。
 現在、第四次長期総合計画を着実に推進するため、第二次中期実施計画を策定中であると聞いておりますが、その中での原子力発電所等電源立地問題に対する県のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 以上、平成三年度当初予算関連並びに県政全体について私が考えている諸問題について、多岐にわたり自由民主党県議団を代表してお尋ねいたした次第であります。知事並びに関係部長から明確なる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村隆行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村隆行議員にお答え申し上げます。
 平成三年度の予算編成の基本方針についてでございます。
 国際化、情報化、技術革新、長寿化等の大きな時代の流れの中でございますので、躍動の時代、豊かな和歌山の創造を県政の基本目標として、地域産業の発展、健康・福祉社会の形成、人づくりと文化の創造を柱として現在まで進めてまいりました各般の諸施策を着実に前進させるとともに、次の時代をにらんだ新しい施策を展開していくという基本的な考え方に立って積極的に施策の推進を図ったところでございます。
 財政状況については、税収は全体として復調傾向にあるものの、その水準はまだ十分なものとは言えません。先行き不透明な要素もございます。したがって、限られた財源の中で有効な活用を図るため、半島振興法関係やふるさとづくり、地域づくり等の国の財源措置のある起債を活用するなど、できるだけの工夫を行ったところでございます。
 次に、関西国際空港の開港の延期でございます。
 積極的に取り組んできた本県といたしまして、お話ございましたように、まことに遺憾な実情でございます。しかしながら、県といたしましては、開港延期にかかわらず引き続き関連地域整備を推進するとともに、県勢の発展に積極的に活用してまいる考えでございます。また全体構想の早期実現についても、国において平成三年度に全体構想に関する調査費が認められたので、事業着手について大きな前進があったと思うわけでございます。今後、早期着工に向けて強力に運動を展開してまいる所存でございます。とりわけ平成三年度は第六次空港整備五箇年計画が決定される重要な年でございますので、近畿知事会並びに近畿財界、オール関西が一致団結して国初め関係機関に働きかけてまいるとともに、実現方策についても協議していかなければならないと思っておるわけでございまして、県議会の皆さんの格段の御指導をお願いする次第でございます。
 次に、第二国土軸の推進でございます。
 お話ございましたように、推進協議会が設立いたしまして、昨年の末、早速、関係省庁へ陳情を行ったところでございます。特に国土庁長官からは調査検討の推進等について積極的な意向が示されるなど、着実な成果が得られたと思っております。今後、協議会としては共同調査を行っていくとともに、さらにこの構想を国のプロジェクトに明確に位置づけていただくように関係省庁に強く要望してまいりたいと存じておるところでございます。
 次に、同和対策の推進でございます。
 最終年度に当たっての県の基本姿勢はどうかということでございます。
 平成三年度は、現行法に基づく同和対策総合推進計画を策定し、問題解決のために懸命の努力をいたしておるところでございます。予算編成に当たっても、その計画に基づいて地方改善事業を中心とした物的事業関係で対前年比一○四・六%と積極的に対応し、産業就労関係や教育啓発事業の非物的事業についても対前年比一○一・四%を計上するとともに、特に県民啓発活動は重要課題として対前年比一○四・九%を措置したところでございます。
 地対財特法も期限切れになるではないか、その際の法的措置の見通しについてでございます。
 現行法が施行されるに当たって、一般対策への円滑な移行のための最終の特別法であるとの各省の次官通達が出されたところでございまして、新たな法的措置の見通しについては大変難しいと考えているところでございます。現在、私も参画しております国の地域改善対策協議会において現行法失効後の同和対策のあり方、方向について協議がなされており、本年夏までに中間的な意見具申を取りまとめることになっております。本県といたしましては、同和対策協議会の中で法期限内の事業実施の見通しや法失効後のあり方について鋭意調査検討しているところでございます。今後、県議会や県同和委員会の御意見をいただき、本県の実情を述べてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、国際交流体制の強化の問題でございます。
 話ございましたように、昨年、国際交流室を設置するとともに財団法人和歌山県国際交流協会を設立し、積極的に国際化を進めているわけでございます。お話ございましたように、より積極的に推進し、組織の充実を図るため、課の設置について現在検討を重ねているところでございます。
 次に、電源立地問題についてでございます。
 電源立地については、従来から適地性、安全性、地元の同意という三原則に基づいて対処しているところでございますけれども、議員御指摘のとおり、現在はその一つである地元の同意が成立している状況にはないものと認識しておるわけでございます。
 こうした状況にかんがみまして、現在、策定の作業を進めてございます第二次中期実施計画においては、電源立地に関する県の基本方針である三原則を堅持し、国の動向を見きわめながら地元の意向を尊重しつつ対応するとの考え方で検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、道路整備についてでございます。
 京奈和自動車道は、京都を起点とし奈良を経て和歌山に至る延長約百二十キロメートルの高規格幹線道路であり、京阪神地域の外環状道路であるとともに、和歌山県にとっては、本県と国土軸を直結し、紀北地方の開発プロジェクトを支援する重要な道路であります。本県といたしましても、本路線の重要性にかんがみ、県議会の御支援、御協力をいただきながら早期実現に取り組んでまいったところであります。
 このうち、現在、橋本市から高野口町までの十一・三キロメートルが橋本道路として平成元年度に国により事業化され、平成三年度からは用地買収に着手する予定であります。また、高野口町から和歌山市までの約三十一キロメートルについても、平成二年十一月に基本計画の決定がなされたところであります。
 京奈和自動車道は近畿自動車道紀勢線とともに主要な路線であり、県としても関係市町と一体となって地元調整、用地買収等、積極的に取り組み、国に対しても早期完成を強く要望してまいります。
 次に、県内の道路整備の基本方針についてでございます。
 長期総合計画に基づき、本県を国土軸と直結するための高速道路の整備を初めとして、県内各地を有機的に連絡する三─五軸広域幹線道路網、府県間道路等の県際交通網、定住性を高めるための地域交通網、日常生活を円滑化するための生活交通網、そして都市周辺部の交通需要に対応するための体系的な交通網等を整備することを基本方針として、公共事業や県単独事業である半島振興道路整備事業等により計画的な道路整備に努力しているところであります。
 また渋滞対策については、特に都市部やその周辺部において緊急の課題であり、国とも連携を図りつつ、渋滞対策緊急実行計画──アクションプログラムと言っておりますが──等に基づき、渋滞対策として効果的な道路整備に積極的に取り組んでいるところであります。今後とも、本県における道路整備の重要性にかんがみ、その促進に一層努力してまいります。
 次に、紀の川における下水道整備の御質問でございます。
 まず、紀の川における下水道の中長期的及び当面の整備についてでございます。
 紀の川流域内の三市十二町の下水道整備については、昭和五十九年に県が策定した紀の川流域別下水道整備総合計画を基本として事業を進めているところでございます。長期的な整備目標でございますが、流域内のほぼすべての市町の市街地区域及び各種プロジェクトに下水道が普及するよう整備を図りたいと考えております。
 また、今世紀末おおむね十年後の中期的な整備目標としては、現在事業中の紀の川流域下水道伊都処理区の事業を促進するとともに、計画中の那賀処理区は流域下水道事業で整備を進め、また和歌山市、海南市等は単独公共下水道で整備することにより流域内の下水道普及率を五○%にしたいと考えております。
 また当面の目標としては、平成三年度を初年度とする第七次下水道整備五カ年計画の期間内に紀の川流域下水道伊都処理区の供用開始、那賀処理区の事業着手を行うとともに、和歌山市北部並びに西部の市街化区域の事業に着手できるよう和歌山市を指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、産業対策の四点について順次お答え申し上げます。
 工業技術センターを産業技術の高度化、ハイテク化に対応できる研究開発施設として整備するため、塔屋部分を含め七階建ての新館を建設することとし、本年七月着工、平成四年八月完成を目指しており、完成時には床面積が現在の一・八倍となる予定であります。新館にはメカトロ技術研究室、電子顕微鏡室、インキュベーター室等の研究開発施設、シンポジウムルーム、融合化室等の開放交流施設を備え、本県産業の中核的研究開発施設として整備していくことにしております。
 また、官民一体となって産業技術の振興を促進するため、県、和歌山市、地場産業組合がそれぞれ出捐し、第三セクターの財団法人和歌山テクノ振興財団を工業技術センター内に設立することにしてございます。財団は、県内外の大学、公設試験研究機関とも連携を密にし、人材育成、情報提供、技術交流、共同研究、起業家育成支援等の各種事業を効果的に実施していくことにしております。
 以上のとおり、本県の中核的研究開発施設として整備する工業技術センターと、これを補完するテクノ振興財団とが相携えて地場産業の振興を図り、地域経済の活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 二点目でございます。本県産業構造の転換と地域バランスのとれた企業立地を図るため企業誘致を推進しているところでありますが、昭和五十八年から現在まで五十一社の進出が決定し、うち二十五社が操業を開始しております。なお、五十一社の大半が加工組み立て型業種でございます。また、これら企業への県内雇用は、昨年十一月で約千五百五十人、本年四月には千九百人余りとなる予定でございます。雇用効果は大変大きなものがあると考えております。
 また工場立地に伴う波及効果については、建設投資による波及効果がございます。例示されました松下電池工業株式会社和歌山工場では、平成四年三月までに百六十億円が投資される予定で、地元業界へ多大な波及効果があると考えてございます。
 また操業に伴う生産波及効果では、県民所得のかさ上げ、県・町税の増収、雇用効果等、全般に効果を及ぼしていくものと考えてございます。
 次に、今後の企業誘致を進めていく上での労働力確保の問題であります。
 県としては、新規学校卒業者の県内企業への就職促進、中高年齢者の就職促進、技術労働力等確保対策事業等、人材確保に努めているところでございます。さらに平成三年度においては、人材Uターン促進事業を実施し、技術系大学生のほか、文科系大学生にまで事業の対象範囲の拡大を図るとともに、専門のUターン相談窓口の設置や東京、大阪での企業説明会の開催等、施策の充実強化を図ってまいる所存でございます。
 次に、臨空産業、先端技術産業の導入については、県長期総合計画や関西国際空港地域整備計画の南麓サイエンスパーク計画に位置づけられているところでございます。これら計画に基づいて、本県では関西国際空港に最も近い打田町北勢田工業団地や海南インテリジェントパーク等に先端技術産業やソフトウエア業の導入を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、これからのリゾート時代における本県の観光PRの方向でございます。
 議員御指摘のように、近年、本格的なリゾート時代を迎えて、同一地域に長期滞在をし、ゆったりと時間を過ごすという観光志向になってきてございます。
 県としても、昨年までは本県に残された歴史、文化にスポットを当てた歴史の道キャンペーンを実施してまいったところでございますが、平成三年度からは本県の豊かな大自然をさらに全国に宣伝してまいる所存でございます。
 特に、平成六年に開催が予定されております世界リゾート博に向け、マリンレジャーの楽しめる和歌山をアピールするなど、海を中心に本県の大自然をテーマとしたキャンペーンを展開し、誘客を図ってまいりたいと考えてございます。また、マスメディアを活用して本県のイメージアップを図るため、首都圏及び関西においてテレビスポット放送を行い、和歌山を強くアピールしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、近畿大学の問題についてお答えを申し上げます。
 近畿大学の新学部については、現在、学内で鋭意検討が進められているところでございまして、近畿大学十番目の学部として、仮称ではございますが、生物生産工学部を新設するものと伺ってございます。新学部の概要でございますが、将来性が極めて高いと目されているバイオテクノロジーを中心に据えた生物生産工学科や来るべき高度情報化社会に対応した情報工学科等、四学年で約千人規模の学部として設立される予定と伺ってございます。
 近畿大学は、平成五年四月の開学に向けて、ことしの七月に文部省へ学部新設の申請を行う予定と聞いてございます。県としても、予定どおりの開学に向けて要望活動等を国に働きかけてまいる所存でございます。また、あわせて交通アクセス等、周辺の環境整備にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想と内陸リゾートとの関連性等についてお答えを申し上げます。
 昭和六十三年三月に和歌山県リゾート開発基本構想を策定し、基本的な方向として、県下全域で海洋型、都市近郊型、山岳・高原型の三つのタイプのリゾート整備を進めることとしているところでございます。
 海洋型のリゾートについては、昨年十二月、燦黒潮リゾート構想の承認を受けたところでございます。今後、民間企業を中心とした整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 一方、内陸部についても、緑豊かな森林、四季折々に人を楽しませてくれる渓谷や各種温泉などの自然資源、加えて高野、熊野、根来などに代表される歴史・文化資源など、個性豊かな地域資源がございます。これらの資源を活用した特徴のあるリゾート整備を進めることにより、海岸部と内陸部が一体となり連携をしながら相乗効果を高め、多様な余暇活動の楽しめる魅力あるリゾート地を形成してまいりたいと考えているところでございます。このため、本年度は内陸部の三町村において地元とともにリゾート整備計画を策定中でございまして、来年度も引き続いて新たな町村において実施してまいりたいと考えてございます。
 燦黒潮リゾート構想の内陸地域への経済効果でございますが、本構想では民間投資額は今後十年間で約五千七百億円、完成後には本県を訪れる人が年間約千二百万人増大すると見込んでございまして、建設に伴う経済効果や完成後の農林産物、土産品等の地域産品の供給及び新たな雇用機会の創出など、内陸部にも大きな経済効果を及ぼすものと考えてございます。さらに、増大するリゾート客は、多様な余暇活動の場を求めて海岸部のみにとどまらず内陸部へも訪れることとなり、スポーツ・レクリエーション施設や保養施設等の余暇活動施設の利用や地域産品の購入等、地域への経済効果があると考えてございます。また、そうしたことにより、内陸部において現在計画されているリゾート整備の実現への熟度がさらに高まるものと期待しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業対策について、今後の果樹産地のあり方でございます。
 全国的な需要の動向に的確に対応しながら、適地適産に基づく産地づくりが必要でございます。また、国際化の進展や産地間競争が激化する中で、高品質果実の生産対応と生産基盤の整備による低コスト生産等、産地の体質強化に努めることが特に重要であると考えてございます。
 このようなことから、昨年十二月に県として果樹農業振興計画を策定し、県内果樹産地を四地域に区分して地域の特性を生かした振興品目を設定いたしました。紀の川流域では、主として柿、桃、イチジク等の落葉果樹の振興や臨空農業に向けて、さらにこれらの施設栽培の導入、有田川流域施設では、ミカンの適地でもございますので味一ミカンの生産拡大やその施設化、また日高地域では、特産の梅を中心としたハッサク等、中晩柑類の越冬完熟栽培、さらに紀南地域では、梅、スモモ、ミカン、ポンカン、ユズの産地振興に努めるなど、本県果実の周年供給体制の確立と経営の複合化を図ることが重要と考えてございます。したがって、今後も引き続き、果樹農業振興計画に基づいて、生産基盤の整備を初め流通、加工対策等、総合的な施策を強力に推進するとともに、生産者の主体的な取り組みを喚起しながら、競争力のある、足腰の強い産地づくりに生産者団体ともども積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、技術開発の問題でございます。
 本県農業の基幹である果樹の振興を図るためには、議員お話しのとおり、品種更新による産地の若返りが大変重要であると考えてございます。これまで、果樹園芸試験場では新品種の育成や新技術の開発などに鋭意取り組み、産地の技術革新に先導的な役割を果たしてきたところでございます。
 特に、宮本わせや紀の国温州などの品種開発、ミカン、柿、桃、チェリモヤ等の施設栽培技術、紀の川柿としてブランド化している柿の樹上脱渋技術、スプリンクラーの多目的利用技術、味一果実の生産技術等々、数多くの技術開発を行い、いずれもこれらの技術は全国レベルで高い評価を得ているところでございます。
 現在ではまた、近赤外線による非破壊選別技術の研究を初め梅の生産安定対策やバイオテクノロジー利用による新品種の育成等の技術開発にも鋭意取り組んでいるところでございます。
 今後は、産地の課題解決はもとより、消費者ニーズを先取りした技術開発に取り組むことといたしており、ことしからは新たにチェリモヤに続いて熱帯性のホワイトサポテ等の新しい産品開発研究を進めることといたしてございます。
 さらに、今後ますます高度化が予想される技術開発に対応するために、平成二年度においては果樹園芸試験場本場に研究棟の新築等を行っているところでございます。また、平成三年度から二カ年計画で落葉果樹の中核研究施設となっている紀北分場の新築や研究施設等の整備を図るべく、それらに要する経費を今議会にお願いいたしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 同和対策総合推進計画に基づく事業の進捗状況とその見通しについてお答えをいたします。
 物的事業の計画事業六百四十五億について、その後の社会情勢の変化に伴う必要経費の増加、また市町村の事業計画変更による事業量の増加に伴い、千五十億の事業が必要となっております。そのうち、昭和六十二年度から平成二年度見込み額を含めて四年間で八百十三億の事業が実施され、これは七七・四%の進捗率となるものでございます。
 次に、ソフト面についてであります。
 教育啓発活動を積極的に推進しているにもかかわらず、今なお県同和委員会に年間十数件の差別事件の報告があり、平成二年度においても六件の報告を受けています。また、高等学校等への進学状況についても、県平均との間において高校は五%、大学は一○%の格差がある現状でございます。
 また産業就労対策として、大型共同作業場の建設や技能取得事業の結果、若年層の就労状況は相当改善されつつあるものの、中高年齢層については、なお課題が残されてございます。これらについて現在、同和対策協議会総合課題検討部会を設けて、法期限内の事業見通しや今後の対応について検討をしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 国際化に関連してお答えいたします。
 まず友好交流については、中国山東省との友好提携を初め移住諸国との交流を推進しているところでございますが、今後さらに他の地域とも友好を深め、交流を図っていきたいと考えてございます。平成三年度において、北米、中南米及び欧州などとの姉妹提携等の交流について調査を実施いたしたいと考えてございます。
 次に、財団法人和歌山県国際交流協会の概要でございます。
 和歌山県の国際化を進める中核国際交流団体として、県、市町村、民間が一体となって設置いたしたものでございます。基本財産は、県、市町村、民間合わせて総額三億六千六百五十万円でございます。
 なお協会の事業内容でございますが、県民や外国人に向けての国際交流に関する情報の収集及び提供、県民と外国人が直接触れ合うイベントの実施、外国人留学生に対する支援、海外移住者への支援、さらには通訳、ホームステイなど国際交流に係るボランティアの組織化等、県民が地域で直接参加することのできる、よりきめ細やかな事業の実施を考えてございます。県民の皆様方の一層の御支援、御協力をお願いいたしたいと存じます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 生涯学習についての二つの御質問に対してお答えを申し上げます。
 まず、新図書館、新美術館、新博物館の建設についてでございます。
 新図書館については、本年度中に実施設計を終了して、本年の七月ごろに着工いたし、平成四年度末の完成を目指しているところでございます。
 一方、教育学部跡地に建設予定している新美術館及び博物館については、現在、美術館については実施設計をいたしており、博物館については基本設計を行っているところでございます。両施設とも本年の秋ごろ着工して、いずれも平成五年度末の完成を目指して努力いたしているところでございます。
 なお、この用地については本年度中に取得できる見通しとなりましたので、今議会に購入費の予算をお願い申し上げているところでございます。
 次に、生涯学習についてでございます。
 県民のだれもが生涯にわたって学習ができるよう、その学習ニーズに対応するために現在、県民大学講座、各種スポーツ教室、学校開放講座等を開催いたしているところであります。また、県民の生涯学習への参加促進を図るため、県生涯学習フェスティバル、県スポーツレクリエーション大会等の計画、さらにまた新図書館に併設する文化情報センターの学習情報を充実してまいりたいと考えてございます。
 次に、指導者の養成についてでございますが、現在、婦人の指導者、PTAの指導者、スポーツ関係の指導者、さらにまた社会教育主事等の研修会を実施いたしておりますが、今後ともさらに一層充実が図れるよう努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村隆行君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番森 利一君。
 〔森 利一君、登壇〕(拍手)
○森 利一君 私は、社会党県議団を代表して、湾岸戦争の影響、原子力発電所問題等について、主として知事の所見を求めてまいりたいと思います。
 最初に、湾岸戦争についてであります。
 けさほど七時三十分、イラクのフセイン大統領は、あす二十七日からイラク軍は昨年八月二日の地点にソ連の和平提案の線に沿って撤退することを声明したのであります。アメリカは戦争を続行することを報道しているのでありますが、中東戦争が停戦、和平に向かうことを願うものであります。そうした激動の中での質問でありますから、幾らか文言にずれがあることを了解願って質問いたしたいと思います。
 さて、今回の戦争の引き金となったのは、もちろん昨年八月二日のイラクのクウェート侵攻という、国際法や今日の国際秩序を完全に無視した行為から出発したものと認識しております。これはアメリカも、政府・自民党も、私ども社会党も同様の認識であり、その意味では国際連合の安保理の決議によるイラクのクウェート無条件撤退は当然のことであると思うのでございます。
 問題は、軍事力以外にクウェートを撤退させることはできなかったか、経済封鎖を強化継続する中で平和的に国連決議の実行を迫ることが不可能であったのかどうかということであります。もう一つは、国連の決議が軍事力によって問題解決を求めていたのかどうかということであります。
 ことしの正月にブッシュ大統領は、年頭教書で世界新秩序の確立をアピールしました。マルタ会談において長年続いた米ソの二極冷戦構造がなくなった今、国連の大義を前面に打ち出す中でアメリカの大義は世界新秩序の確立であることを主張し、一極支配の世界政治戦略が秘められていたとも受け取れるのでございます。
 このように考えてまいりますと、本年一月、米軍を中心とする多国籍軍のイラク攻撃の一つの側面は、サダム・フセインという独裁者のアラブは一体という地域ヘゲモニーの確立をねらう野望とアメリカの世界政治戦略との対決点となったものと理解されるのであります。もう一つの側面は、もちろん石油であります。歴史は、戦争の背景に経済が存在することを教えてくれているのであります。フセインという独裁者による中東支配は、双子の赤字に苦しみ抜いているアメリカにとっては大きな脅威であることは疑いの余地がありません。アメリカも、地球上の石油埋蔵量の三○%を占めるクウェート、イラク、さらにサウジアラビアに強力な発言力を確保することの意義はまことに大きいものがあります。中東地域に消費の大半を依存するところの我が国の国益はどうなるのか、日本経済はアメリカの傘から自主、独立の世界へと進むのか、アメリカの権益のもとで生き長らえることになるのか、その選択は広い国民世論のそんたくにまたなければならないのであります。
 さてこの数日間、フセイン大統領の声明、ソ連の和平提案、そして非同盟諸国の積極的な動きなど、ポスト湾岸戦争のアラブ世界への思惑もあずかって、とにもかくにも湾岸和平のために大きく踏み出し、その行方に大きな期待が寄せられたのであります。しかし事態は、国内外の平和を求める人々の祈りもむなしく、アメリカの最後の通告から壮烈な地上戦へと推移していったのであります。一万人、二万人という捕虜、恐らくおびただしい死亡者でありましょう。平和は遠のいたのであり、まことに残念でありますけれども、先ほど申しましたとおり、イラクの撤退声明によりどう展開していくのか。我々は、イラクの撤退による停戦、平和をただ願うものであります。この湾岸戦争がたとえこれで終わっても、国際的にさらに複雑性を増幅させることになり、その解決も長期につながることでありましょう。
 今日までの日本政府の姿を見る限り、こうした国際情勢を分析する情報すら手に入れるすべもなく、したがって自主性を失い、ひたすらアメリカの指示と要請に従うといった外交音痴ぶりをさらけ出しているのであります。きのうは、政府・自民党よりアメリカを中心とする多国籍軍に九十億ドルの追加支援が国会に提案され、一方では、自衛隊機の中東派遣を法律改正ではなく政令のみで強行しようといたしております。また、この地上戦も支持を明確にいたしておるのであります。このとき、今こそ平和憲法を擁する我が国の和平活動の存在価値を世界に示し、さらに経済大国としての和平貢献をなし得る最大のチャンスであると思うだけに、まことに残念なことであります。
 〔議長退席、副議長着席〕
 とにもかくにも、日本はアメリカ路線に追随しました。予想されることは、この戦争の行方によって第二次、第三次の戦費支出、そして戦後の復旧もまた、アラブの産油国に対して強大な発言力を持つアメリカを通じ、アメリカの要請に基づく支援が求められていくことは、この戦争目的である政治経済戦略からいって当然と言わなければなりません。
 そこで私は、知事に質問をいたします。
 このような情勢下にあって、知事は一日も早い中東和平と秩序回復を願っておられることと信じます。一方では、中東支援のために国内経済や国家財政に及ぼす影響が深刻になると予想されているのでありますが、本県としては、税制面や物価さらに石油化学製品等、消費者や製造工場などへの波及をどのように予測し対応しているのか、また県財政に及ぼす影響と対策についてお答えを願いたいのであります。特にここ数年来、公共投資は財政再建の名のもとに圧迫され続けてきたところ、日米構造協議を受けてようやく平成三年度より社会資本充実の初年度となりましたが、道路、下水、公園、住宅などの公共事業や生活関連予算が犠牲になることはないのか、その見通しと対応についてお尋ねをするものであります。
 次に、教育委員会にお尋ねします。
 県下の児童生徒たちに、今回の湾岸戦争と日本国憲法のかかわりについて何と教えているのか。人と人との殺し合う戦争というものの本質と歴史の検証を今こそきっちりと行うべきときではないでしょうか。今次戦争への見解と教育現場における指導方針について教育委員会にお示しを願いたいのであります。
 我が党は停戦和平復興提案を行っておりますが、県本部のきのうの執行委員会において中東和平決議を行うとともに、和平署名活動を展開、平和回復のために全力を挙げます。また戦後のために、戦争の被害を受けた人々のために資金カンパ、生活救援物資などの義援活動を実施することを決めたのであります。
 県として、和平に向けて一役買う気概と戦後復興のために何ができるか、世界各国から見て数段見劣りする我が国外交に対して地方から活を入れるという意味で貢献策を示してほしいのであります。
 この問題の最後に、戦争時代に青春を過ごし、多くの先輩、友人を戦争犠牲者として失った私も知事も同世代の人間であり、苦しくも悲しい体験者であります。知事の平和に対する熱い思いを、県民に向けて、この議場を通じて明らかにされるよう要望するものであります。
 次に、原子力発電所問題について質問をいたします。
 去る二月九日、福井県関西電力美浜原子力発電所二号機において、一次冷却水が大量に漏れ、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動するという重大事故が発生したのは皆さん御承知のところであります。
 緊急装置が働くということは原発が大事故寸前の状態になったということであり、日本ではもちろん初めての事故であります。「がけっ縁でとまった」「チェルノブイリの一歩手前」と見出しをつけた新聞もあります。すなわち、放射能を含む第一次冷却水が二次系に漏れ出してから約一時間後、放射能度が高くなったことを知らせる警報が鳴り、それからわずか十分後に緊急装置が作動したのであります。
 その後、事故原因を調査していた関電は十五日になって、蒸気発生器の細管一本が完全に切断されていたと発表したのでありますが、専門家によりますと、このギロチン破断は細管損傷の中では最悪とされているので、やがて原子炉がふろの空だき状態になり、燃料棒の集まる炉心が溶けて死の灰が放出され、底にたまった水と反応して爆発を起こすという重大事故につながるのであります。今回は緊急装置が作動して大事故に至らなかったことは幸いでありますが、むしろ緊急装置の作動を招いたことを重大視すべき大事故であります。しかも、美浜二号機では七カ月前に定期検査が行われ、「異常なし」と烙印が押された細管が破損されたのでありまして、定期検査のあり方、また同じ型の全国十六基の加圧水型軽水炉の安全性についても大きな問題を残したのであります。特に今、加圧水型炉で続発している細管損傷率は高く、高浜二号機のごときは損傷率が四六%もあり、運転を停止せよとの世論が高まっているのであります。
 私が特に申したい重要なことは、今まで通産省も科学技術庁も電力会社も、蒸気発生器の細管に細かい亀裂があっても、そこから漏れる放射能をキャッチして対応できるから安全性に問題はない、事故は起こらないと言い続けてきたのであります。にもかかわらず、あり得ない事故が現実に起こったのでありまして、原発の安全論理は崩れてしまったのであります。また、緊急装置が働いたではないかと主張する者もありますけれども、いつも緊急装置が作動するとは限らないのであり、それが事故というものであります。
 本県会議場においても昨年二月議会、浜口質問に答えて川端部長は、高浜二号機の細管の損傷について「傷が小さいうちに栓をしたり、あるいはパイプの内側にスリーブを張りつけたりといった対策を講じていると聞いてございます」と、中央受け売りの答弁をしているのでありますが、そこで川端部長に質問いたします。
 今度の美浜二号機の細管の事故を見るとき、原発の安全性が確保されていると考えておられるのかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
 次に、和歌山県に原発のあらしが吹き出してから二十数年、あらしに巻き込まれて自殺した者もあれば、親子の断絶、親戚の離反、隣同士の絶交など大きな社会問題を引き起こし、また見学旅行に招待を受ける者もあれば、相当量の札束が紀伊半島に乱舞したとも聞くのであります。賛否両論の激しい争いの末、那智勝浦町、古座町は誘致反対、日置川町も町長選で決着をつけ、最後に日高町は比井崎漁協の拒否声明と町長選で終止符を打ったのであります。そして今、それぞれの町は、過疎には苦しめられながらも平和なふるさとづくりに精を出し、美浜原発二号機の大事故も高みの見物といったところであります。もはや和歌山県下に原発立地に賛同するところはなく、三原則の柱である地元の同意は完全に崩れてしまったのであります。そして、美浜二号機の事故で、国の言う安全神話も大きく揺らいだのであります。
 さて県は、日高町から要望のなくなった電源立地地域振興費でありますが、本年度は予算に計上しておりません。そして、和歌山県長期総合計画第二次中期計画の策定中であります。長計の第十三節、資源・エネルギー基本方針の二項に「立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」と明記しておりますが、三原則が満足していない現在、原発の誘致促進は不可能と考えるのでありますけれども、知事の第二次中期計画に対する考えを県民にわかりやすく表明していただきたいのであります。
 以上で原発問題を終わりまして、次は高速の問題に入りたいと思います。
 近畿自動車道紀勢線、泉南─海南間二十七キロは昭和四十九年十月に開通、本県としてはさらなる南伸を図るため、昭和五十年十二月、和歌山県議会高速自動車国道紀南延長促進議員連盟を超党派で結成、会長に古田新蔵氏が就任されたのであります。
 古田会長は、県勢活性化、県経済の発展は高速道路の建設以外にはないと判断し、県当局と協力しつつ、その豊富な経験を持って東奔西走の活躍をされたのであります。私も県議会に二十年お世話になりますが、その中で執念の人として強く印象に残っているのは、今は故人でありますが、「原発の鬼」と言われた森岡辰男氏。とにかく原発一本やり──脳梗塞で倒れて一週間昏睡しておりまして、町内の原発反対の集まりの有線放送で目が覚めて生き返ってきた男であります。そしてもう一人は、高速に執念をかけた古田新蔵会長であります。
 古田会長の話によりますと、議連をつくって初めて国土庁へ陳情に行ったときに、いろいろのこちらからのお願いに対して返ってくる答弁は、和歌山県と宮崎県の海岸が美しいという話ばかりで、高速のことは何も言ってくれない。むしろ、「紀伊半島に高速など」と言わんばかりの話であった。これに陳情団が激高いたしまして、床をける、机をたたくの大騒動、これをおさめるのに古田会長が一苦労したことは、私もそのとき参加しておったのでよく覚えております。古田会長は、こうした高速南伸の夜明け前から実に十六年間、会長を務め、東京へ大阪へ促進陳情された回数は実に六十七回に及ぶと言われているのであります。道路公団や国土庁などへ行くと代議士よりも古田さんの方が顔が通っておりまして、御坊の金山寺みそも大分東京へ運ばれたなあと冗談を言ったものであります。そういう中で最も残念だったのは、下津町でミカン公害が出るということで工事が五年間ストップしたことであります。紀南三十万人の活性化のために大きなネックになったのでありますが、仮谷知事が登場してからようやく動き出したとの古田会長の話であります。海南─湯浅間は昭和五十九年三月から供用され、湯浅─御坊間は平成三年から本格的に工事が進められることになり、御坊─田辺間二十九キロも基本計画が決定され、古田会長の悲願は一応達成されることになったのであります。八期三十二年、八十二歳で勇退される古田会長の活躍と御尽力に対して、心からの敬意を表するものであります。
 さて、高速道路両端起工は新宮紀南民の久しい願いでありましたが、国道四十二号線のバイパスとして新宮─那智勝浦十五・七キロが都市計画決定されたのであります。しかし、まだ地図の上に線を引いたままの路線でありますが、道路区分、設計、速度、車線数などはどうなっているのか、着工に至る計画はどうなっているのか、説明を願いたいのであります。
 次に、県道あけぼの広角線であります。
 これも県道に認定されてから数年になりますが、一向に目に見えてこないのであります。どういう計画で進めておられるのか、説明を願います。
 次に、国道四十二号線広角拡幅工事であります。
 大工事でありますから相当な日時を要しているのでありますが、完成に至る今後の計画を質問いたします。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの森利一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森利一議員にお答え申し上げます。
 湾岸戦争でございます。
 これについては、お話ございましたように地上戦の段階に入ったということ、私も非常に残念なことだと思っておるわけでございます。一日も早く国連の安全保障理事会の決議に基づく和平の実現を心から強く願っておるものでございます。
 次に、湾岸戦争に伴う石油化学製品等の消費者並びに製造工場への波及の問題でございます。
 現時点では、原油等の供給、価格も安定している状況でございます。しかし、今後もし戦争が長期化すれば、石油の需給、価格を初め物価への影響も予想され、ひいては経済活動にも影響を生ずることが懸念されているわけでございます。県としても、今後、引き続き事態の推移を見守るとともに、便乗値上げ等の防止のために調査、監視を行い、あわせて省資源、省エネルギーの徹底を図ってまいる所存でございます。
 次に、湾岸戦争の県財政に及ぼす影響でございます。
 当面、税収は堅調でございまして、物価も安定的に推移しております。湾岸戦争が我が県の財政に直ちに影響を及ぼすという状況にはないと考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げたように、今後の状況等、いろいろ懸念する不透明な材料がございます。そうした場合に、そのときどきの状況に応じて適時適切な財政運営に努めてまいりたいと思います。
 また、湾岸平和基金拠出金としての九十億ドルについてでございます。
 現在、国は二年度補正予算として国会で論議をされているわけでございますけれども、その財源は、臨時的な増税措置としての法人税、石油税の特別税の増収、防衛関係費の減額等による歳出の抑制であり、平成三年度からスタートする生活関連重点枠を含む公共事業についてはその抑制の対象となっておらないわけでございまして、本県でも現段階では直接的な影響はないものと考えておるわけでございます。
 次に、原発を現在の段階で第二次中計にどのように位置づけを行うかということでございます。
 先ほども述べたところでございますけれども、県内の原子力発電所の候補地においては県の三原則の一つである地元の同意が成立している状況にはないものと認識してございますので、平成三年度にスタートする中期実施計画においては、中村議員にお答え申したとおり、地元の意向を尊重しつつ対応するとの考え方で現在検討を進めているところでございます。
○副議長(橋本 進君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西電力美浜原子力発電所二号機の事故に関連する御質問にお答えを申し上げます。
 本年二月九日に美浜発電所二号機で発生した事故については、現在、国においては総理府の原子力安全委員会にワーキンググループ、また通商産業省に美浜発電所二号機調査特別委員会が設置されまして、原因究明や再発防止について調査中でございます。
 現在までの資源エネルギー庁からの情報によると、蒸気発生器の細管が破断したことにより原子炉の圧力が低下し、原子炉が自動停止するという事故が発生いたしましたが、非常用炉心冷却装置が作動したことによって周辺環境への放射能影響はなかったとのことでございます。
 しかしながら、非常用炉心冷却装置が作動するに至った事例は、アメリカで三件、ベルギーで一件あるのみでございまして、日本では初めてのケースであることから、国としてもこれを重大な事象と受けとめ、徹底した原因究明に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましては、安全性の確保は何よりも重要であるとの認識のもとに、今後の調査の推移や対策についてその都度、的確な情報収集に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 高速道路の紀南延長については、本県にとって極めて重要な課題であり、県議会の皆様方の御協力、御支援をいただきながら国に対し強く要望してきたところであり、実現に向かって着実に進捗を見ているところであります。
 このうち新宮側からの整備については、議員お示しのとおり、新宮─那智勝浦間十五・七キロメートルが国道四十二号のバイパスとして平成二年十二月に都市計画決定されたところでございます。このバイパスは、設計速度時速八十キロメートル、四車線の自動車専用道路であり、規格の高い道路として計画されております。事業の早期具体化に向け、今後とも県議会の皆様方の御協力を得ながら、国に対して強く要望してまいります。
 次に県道あけぼの広角線については、昭和六十二年九月に県道認定され、昭和六十三年度より国道四十二号取りつけ部から広角地内へ六百八十メートル間を事業着手し、用地買収を重点的に進めております。残る梅ノ木、松山両地内の千三百四十メートル間についても引き続き詳細設計を進めており、今後、地元の御協力を得ながら事業促進に努力してまいります。
 次に、国道四十二号広角拡幅工事についてでございます。
 現在、一部地権者の方々の御協力が得られず難航いたしておりますが、国においては平成四年度を目途に整備を進めていると聞いております。一日も早く完成するよう、国に対して強く要望してまいります。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 日本国憲法は、恒久の平和を基本理念の一つとしております。こういった立場から、学校教育においては世界平和の大切さ、生命のとうとさについて、小学校高学年の社会科で、中学校においては社会科の公民的分野で、さらにまた高等学校においては現代社会で、それぞれ発達段階に応じて指導しているところでございます。今次の戦争についても、一日も早く平和が回復されるよう願っているところでございます。
 以上であります。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 湾岸戦争の影響についての知事の答弁は、おおむね了解いたしました。
 なお、教育委員会の答弁でありますけれども、教育の基本理念を述べただけで、湾岸戦争にどう対応しておるのかということについては答えていないのでありますが、この件についてはいずれ文教委員会等で論議されることを期待いたしまして、再質問はいたしません。
 次に部長、原子力の問題であります。
 美浜二号機の事故について、原発の安全性が確保されていると考えておるのかということに対する部長の答弁であります。この答弁の中で、日本では初めてのケースであることから、国としてもこれを重大な事象と受けとめている、県としても安全性の確保が何よりも重要だと認識していると述べておりますが、原発に詳しい部長でありますから、どうももうひとつ物足りないものを感じるのでありますけれども、国においても目下、原因究明中であり、この安全性の問題についてはこうした科学的、技術的なことはこの議場ではなじまないので、一応了解いたします。
 知事答弁でありますが、「地元の意向を尊重しつつ対応する」ということであります。
 地元は、私が先ほどるる申し上げたとおり賛否両論で、地縁、血縁までも壊れ、暴力を伴うほどの激しい、苦しい闘いの末、原発問題がなくなったら笑いが戻り、平和が戻ってきて、那智勝浦町や古座町ではもう昔の物語になっているのであります。日置川町や日高町も、住民も、議会も、町長もはっきりして、町民の姿が一変してきたということでございます。この原発問題がなくなったら、恐らくこの秋の知事選には前に落ち込んだ札がもとへ戻ってくるだろうと思うのであります。
 地元の動向は以上のとおりでございまして、先ほど私の前に中村自民党幹事長、さすがに立派な質問をされました。おかげさまで私の社会党の質問が二番せんじになったのでありますけれども、しかしよく考えてみると、自民党も「地元の意向を尊重しつつ対応する」ことに納得されたわけであります。でありますから、社会党もその方向は賛成であります。失礼ですが、恐らくどなた様でも大した異議はないかと思われます。ということは、県議会の動向も大体はっきりしてきたのであります。「地元の意向を尊重する」ということは、三原則のうちの地元の同意が満足していないから原発は促進できないということであります。すなわち、原発は促進しないということであると私は考えるのであります。私は知事答弁をそのように解釈いたしますが、異議ありませんか。質問をいたします。
○副議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 とにかくこれは、先ほど申し上げたその裏を言うと、私が申し上げたことと通ずると思うのであります。長計において「原子力発電所等の電源立地を促進する」としてその「促進する」の文言を中計では取り消していただきたいことを強く要望いたします。
 なお、この問題については我が党の議員が後日質問いたすことを申し上げて、終わりといたします。
○副議長(橋本 進君) 以上で、森利一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時六分休憩
 ─────────────────
 午後一時十五分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 大変寂しい出席のもとで質問をさせていただきます。
 一九九一年度予算についてお尋ねをいたします。
 最初に、予算全体の状況を見てみたいと思います。
 九〇年度当初では八・九%の伸びとなっていましたが、九一年度ではこれを下回る六・八%の伸びにとどまり、歳入歳出は四千五百十三億四千万円余となっています。
 歳入面で見ますと、知事説明にもありましたように、湾岸戦争に突入したことによる経済不安や昨年来の高金利、株式市場の低迷などにより、本県における九一年度の県税収入の確保が相当難しいのではないかとされていましたが、見込みどおり厳しい状況になっています。
 県税収入全体におきまして、九〇年度当初で一八・一%の伸びで百四十五億円の増加となっていましたが、九一年度では九・一%の伸びで八十六億円の増加にとどまっています。それぞれの税目別に見ますと、法人事業税で九億七百万円余、法人県民税で六億八千七百万円と、いずれも減収という事態になっています。九一年度における県税収入の厳しさを深刻に受けとめているところでございます。
 地方交付税の関係ですが、九〇年度当初では八・三%の伸びで百億円の増、九一年度では七・八%の伸びで、前年同様の百億円の増となっています。本来でありましたら百五十億円程度の増加となるところでありますが、御承知のように国に対して地方が五千億円貸し出すという前例のない措置がとられた関係から、百億円の増加にとどまったものであります。
 国の補助及び負担金について申し上げます。
 国は、臨調による行政改革を推進するとして、御承知のとおり補助及び負担金を大幅に削減をしてまいりました。このような国の措置について、地方六団体挙げて以前の状態に戻すよう求めてまいりましたが、最近になって八六年度の率に戻し、固定化するということになりかねない事態になりました。ですから、地方の財政転嫁が解消されないままの状況が続くことになります。
 九一年度予算における歳入面での問題となる点について申し上げましたが、国の地方への財政措置が本県にとっては極めて矛盾が大きいものになっていることを強調しておきたいと思います。
 歳出の関係で、大筋で申し上げてまいります。
 性質別予算で見てみますと、九〇年度当初では消費的経費が五・九%の増、投資的経費が一〇・一%増ということでありましたが、九一年度では消費的経費八・九%の増、投資的経費がわずかに三・八%の増ということで消費的経費の増高が目立つもので、予算の傾向としては問題となっています。
 また、九一年度末における基金残高は、予算ベースで二十基金、千二百五十億円余と推測されます。特定目的の基金について必要なものもありますが、自治省でも地方自治体の基金はため込み過ぎると言うほど異常事態となっておるところです。
 こうした基金は、県民の福祉を初めとした、県民のために支出すべきと考えるものです。特に県債の積立額六百十億円について、そのあり方に問題点があるのではないでしょうか。
 款別に見てみますと、総務費で一五・八%、民生費で三・五%、農林水産費で五・一%、商工費で〇・八%、土木費で四・四%、警察費で九・三%、災害復旧費で四・七%、公債費で六・九%、諸支出金で五〇・三%と、いずれも増加しています。以前からの予算ですと、社会資本、基盤整備に重点を置くとして土木費や農林水産業費の伸びが目立ったものですが、九一年度予算では低い伸びにとどまっているのが特徴でもあります。
 性質別予算のところでも触れましたが、このような予算措置に至った要因に義務的経費の増高によるものとなると、これまた大いに問題があるのではないでしょうか。何しろ自主財源の少ない中での予算編成ですので編成に当たっては御苦労があったと思いますが、県民の立場から言って、特定の企業と関係の深いマリーナシティ建設で百二十億円余の予算措置や関西新国際空港株式会社への三十七億五千万円余の予算措置など、私どもが容認できないところも多くあります。しかし、以前から私どもは繰り返し県民のための福祉や健康にかかわる施策の積極的な対応について取り上げてまいりましたが、民生費での八・四%、衛生費での七・六%の伸びにも見られますように、単独事業や新規事業においてそれなりの対応がなされているということも触れておきたいと思います。
 以上のことを申し上げて、総務部長にお尋ねをいたします。
 九一年度予算での県税収入の見通しの問題でありますが、予算編成後において、湾岸戦争による日本経済への影響については、好況続きであった自動車産業界が大幅な減産体制に入ったことが報道されたり、金融業界が減益となることなどが取りざたされています。予想外の展開になるのではないかと考えますが、九一年度における本県経済の動向と県税収入の推移についてどのように把握されているのか、お答えを願います。
 前段でも取り上げた地方交付税の問題ですが、本県における県税収入の現状から見まして、到底国に貸し出しができる事態ではありません。私どもといたしましては、十二月県議会においても地方交付税を国に五千億円貸し出しができる事態にないとして取り上げてきましたが、国が一方的な措置をとってきたことは言語道断だと考えます。この問題についてどのような対応がされてきたのか、また返済については何年度までにどのような措置がなされるのか、お答え願います。
 歳出の関係でお尋ねいたします。
 九一年度予算の性質別で消費的経費の伸びが投資的経費の伸びを大きく上回っていることについて、なぜこのような予算となったのか、お答えいただきたいと思います。
 九一年度末で県債の積立金が六百億円以上になることを申し上げましたが、自主財源の乏しい中での財源の運用と多額に上る積立資金の保有との関係での整合性についてどのように理解したらよいのか、説明をお願いいたします。
 最後に、消費税についてお尋ねいたします。
 現在のところ国会審議で決着していない関係から、強硬策によって国会を通過させた消費税法のままであります。九〇年度予算では、住宅使用料、分娩手数料については非課税で、他のものについては課税措置がとられています。地方自治体の本来のあり方からして、当然すべての使用料、手数料について非課税にすべきでありますが、当局のお考えをお伺いいたします。
 さらに、歳出での消費税負担分はどの程度の予算措置となっているかについてお答えをいただきたいと思います。
 続いて、国民健康保険問題についてお尋ねをいたします。
 私は、四年前の初当選以来、県議会でこの問題を三回取り上げてまいりました。この議会で四回目であります。なぜこのように何回も取り上げねばならないのか。それは、今、この国民健康保険料が余りにも高く、住民の暮らしを直撃し、払いたくても払えない滞納者が増加の一途をたどっていること、保険証の取り上げという非情、不当な制裁措置が強化され、手おくれで死に至る事件さえ起きているという現状から、住民の命を大切にしない国や地方政治を許せないという住民の声が渦巻いているからです。
 国民健康保険の詳しい性格については過去の質問で詳しく述べてまいったので余り立ち入りませんが、国民健康保険というのは、加入者の約三割を職業を持たない人が占めております。年齢構成も、六十歳以上の占める割合が約三割、六十歳以上の国民で見ると七割近くが加入していることになります。
 保険料負担については、和歌山市を例にとってみると、非課税世帯でも平均十万円程度、市民税が年額五万円程度となると最高限度の三十九万円にもなります。このために保険料を払えない人が続出するありさまで、年間で六億円を超える滞納が生じています。
 和歌山市の滞納者の保険料階層別状況を見てみますと、五万円未満の保険料世帯の滞納者が全体の二〇・八%、五万円から十万円までの保険料世帯の滞納者は二八・一%、十万円から十五万円までの保険料世帯の滞納者が一三・四%を占めています。
 私は、調査をしてみて大変驚きました。何と保険料十五万円までの世帯の滞納者が全体の六二・三%を占めています。これを見ただけでも、低所得の世帯で滞納が非常に多いということがはっきりと出ているではないでしょうか。実際、所得別の加入者の状況を見ても、百万円未満の所得の世帯が三六・九%、百万円以上、二百万円の世帯が二〇・七%と、二百万円以下の世帯の国保加入者が全体の五七・六%も占めています。こういう世帯に対して滞納取り立てに出向いた市の幹部も、多くは支払うこと自体に無理があるとも述べています。和歌山県全体で見てみますと、国保の被保険者数の割合が全国第五位と高く、こういった国保問題は、より一層深刻であると言えるのではないでしょうか。
 私たち日本共産党は、和歌山市民を対象にアンケート調査を行いました。一番要求の強かったのが、国保の保険料を引き下げてほしいという問題です。また私は、この問題で多くの市民の方々の悲痛な訴えを聞いて胸の詰まる思いをいたしてまいりました。
 例えばAさんは、「国保の自己負担の三割も払えず、生活保護の申請に行ったが断られ、保険証ももらえず入院。幾ら払え払えと責められても、払う金がない。毎日泣く以外にはなかった」。八十歳のお年寄りの夫婦は、「資産割でがっぽり保険料がかかって、二人で年金五万円しかないのに、保険料が高くて払えない。国保、やめなあかん。死ぬしかないのかなあ」。また、ある商売をされている方からは、「商売がうまくいかないとき、保険料も払えず、減免制度も受けられなかった。親戚じゅうでお金を借りて払った」。Bさんは、「保険料を払うためにくたくたになって働き、いざとなって医者に診てもらいたいときには診てもらえなかった」という声です。
 知事は、こういった県民の声があることや現状を御存じなんでしょうか。こういった低所得の世帯が今の高い国保料をまともに払えるとお考えですか。御所見をお伺いいたします。
 私は、和歌山県の各市町村別の国保財政について調べてみたんですが、八九年度で見てみると、実質収支で和歌山市、海南市、田辺市、すさみ町、串本町は赤字ですが、その他の自治体はすべて黒字です。県は、自治体ごとに三カ月分の医療費分を基金として持ちなさい──これは約百十億円に上る金額でありますが、こういった指導を行う中で、全体として八九年度で二十六億円もの基金がため込まれているわけです。
 住民が生活費を削り、借金をしても払い切れないほど高額な国保料に苦しんでいるとき、この実態を無視して、なおこのような黒字を蓄え続けていることは、住民の暮らしを最優先にすべき自治体の役割からして道理に合わないことは明白ではないでしょうか。
 例えば、このため込んだ黒字分というのは、基金だけでも、中津村を例にとって見てみると、八九年度で一世帯当たり十四万五千九百八十五円にも上ります。逆に言うと、一世帯当たり平均でこれだけの保険料が値下げ可能なわけです。
 ほかにも、ためている基金の面で見てみると、美山村で一世帯当たり十四万円余、龍神村で十一万円余、那賀町で十万円余ということになっており、何と一世帯当たりにして一万円以上ため込んでいるところが二十五自治体もあります。これらの自治体はすぐにでも保険料の値下げが可能であり、実際に九〇年度に那賀町、かつらぎ町、九度山町、吉備町、龍神村、上富田町で保険料の値下げが実施されております。
 秋田県では、以前、保険給付費の三カ月分相当額を積み立てることとしていた指導方針を廃棄して、過去三年間の保険給付費の平均額の五%に相当する額とすることに改め、さらに減免制度の改善と保険料の値下げの指導に踏み切っています。和歌山県でも、ため込む指導ばかり行うのではなく、むしろ保険料の値下げの指導を行うとともに、現在の実態に合わない減免制度を改め、せめて生活保護基準の一三〇%以内の世帯には医療費自己負担ぐらい免除するくらいの市町村独自の減免制度を確立するよう指導すべきと考えます。
 また、先ほど紹介しましたが、赤字自治体も、国保料が高くて払えない、収納率が低下する、そのため赤字が累積する、また保険料を値上げするという悪循環を繰り返しています。まず、払える保険料に値下げすることが再生への第一歩であると考えますが、以上の点について関係部長の見解をお伺いいたします。
 次に、国民健康保険財政に対する県支出金についてであります。
 八八年度の厚生省の資料によりますと、都道府県別支出金の一人当たりの平均額を見てみると、もちろんこの県支出金には国保制度の改悪で県や市町村に負担を押しつける保険基盤安定制度負担金などは入れて計算していませんが、全国平均は八百五十二円で、和歌山県はわずか百四十三円という金額になっています。これは、全国平均六分の一です。近畿でも、滋賀県は千百十二円、奈良県は六百八十九円となっており、和歌山県は近畿で最低であります。
 政府が国保の国庫負担を四五%から三八・五%に切り下げたことが今の国保財政の危機的状況の原因であり、これをもとに戻すように国に対して強く迫っていただくのは当然であります。すぐにもとに戻させることが難しい現状では、県としてなし得ることは、住民の国保料負担を少しでも軽減させるために県独自の支出金を大幅に引き上げることではないでしょうか。大企業向けの基金をため込むのではなく、こういったところにこそ財政を使うべきで、そのことこそが、仮谷知事、あなたの言う「まごころ県政」ではないですか。県支出金の増額の問題についての当局の見解をお伺いいたします。
 国保問題の最後に保険証の未交付問題についてでありますが、この問題は国民すべての者がひとしく医療を受ける権利を奪うものとして、私は特に重視をして取り組んでまいりました。低所得者の世帯で保険料が払えないといった世帯に制裁措置がとられるようになってから、全国的に、命を落とすなど大変痛ましい事態が生まれ、現在でも続いているわけです。和歌山県下では九〇年十月現在で、いまだに五百五十名もの人が保険証を発行してもらえないでいます。
 全国で起こっている痛ましい事故をこの和歌山県で絶対に起こさせないためにも、国保加入者全員にまず保険証を発行すべきです。基本的にこの問題はいまだに解決を見ていないと思いますが、発行しない理由と今後の対処をどうされるのか、お尋ねをいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国民健康保険の国保料に対する知事の認識についてでございますけれども、国民健康保険については、お話ございましたように、加入者の年齢構成が高いなどの要因によって医療費が高くなっており、その結果、保険料も年々高くなっていることは承知しております。そのために、国におきましては、老人保健制度や退職者医療制度の創設等、一連の制度改革を実施したところでございますし、県としても、国庫負担の増額を強く要望するとともに、被保険者の負担軽減のための助成を行うこととしており、平成三年度予算においても増額しておるところでございます。
 しかしながら、国保制度は、御承知のように加入者の相互扶助の社会保険制度でございまして、加入者が応分の保険料を納めることは制度の根幹であり、またその額は適正かつ公平であるべきであると考えておるところでございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 財政問題につきまして、数点お尋ねがございました。
 まず、平成三年度における経済の動向と県税収入の推移についてでございます。
 昭和六十一年の暮れから始まった大型景気は、設備投資と個人消費を中心に引き続き順調な拡大を続ける一方で、いわゆる財テク、土地テク主導の構造が崩れまして、株価、債券、あるいは円の下落、金利高による影響、さらに昨年の八月以降の中東情勢の緊迫化等を背景とした原油価格の上昇等により石油関連法人あるいは金融業等が大幅に減益となるなど、経済環境に変化が生じてきております。
 また、本年一月に勃発した湾岸戦争やソ連、東欧での混乱等、国際環境も依然として不安定であり、アメリカでの本格的な景気の後退や財政赤字拡大の懸念等、変動要因が多いということから経済に与える不安も強まってきておりまして、先行き不透明感がぬぐえない状況になってきております。
 こうした中で、平成三年度における県税収入につきましては、最近の経済情勢、本県の産業構造の特性等を踏まえながら慎重に見積もりを行ったところでございます。
 特に経済情勢に左右されやすい法人二税につきましては、機械器具等の製造業あるいは建設業、小売・卸売業等でやや伸びが期待はできますものの、鉄鋼業、金融業等が厳しい状況にあることから、全体として落ち込みを見込んでおります。
 しかしながら、預金の残高あるいは金利の動向等から県民税利子割についてある程度の伸びを見込んでいるほか、前年の所得により課税される個人県民税あるいは個人事業税でも、その所得の状況から相応の伸びを見込んでおります。この結果、県税全体で対前年度当初比一〇九・一%、八十六億円増の千三十一億円を計上したところでございます。
 いずれにいたしましても、県税収入につきましては、先ほど申し上げた湾岸戦争による石油需給の動向とか金利の動向等について、なお不透明なところもございます。こうした事柄を注意深く見守り、その確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方交付税についてでございます。
 国の平成三年度予算編成の過程におきまして、地方財政対策に関して地方の財源余剰の問題あるいは国庫補助負担率の問題が最後まで論議されたわけでございますが、地方交付税については、最終的に総額から約五千億円を減額する措置が講ぜられたところでございます。この間、私どもといたしましても、こうした地財対策の帰趨に注目をし、また全国知事会を通じ、地方交付税所要額の確保を含め、地方財政の運営に支障を生ずることのないように適切な対応を国に要望してまいったところでございます。
 今回の特例減額の内容といたしましては、地方交付税法附則第三条の規定に基づく特例減額として約四千五百億円がございますが、この額は昭和六十一年度の補正分に係る交付税特別会計借入金の残高に相当する額でございまして、今回の措置は国が当該借入金の各年度の償還額に見合って清算をするもので、いわば地方の返済にかえて実質的に国の借入金に振りかえることとされたものでございます。これにつきましては、平成四年度から十三年度の間に返済をされるということにされております。残りの約五百億円につきましては、昭和六十年度補正予算における地方交付税総額の特例措置──これは、国税三税の減収による地方交付税の減額を行わないこととする措置でございますが、この特例措置に係る国への返済に要する額の残高七百五億円の一部を国に返済することとしたものでございます。
 いずれにいたしましても、これらの措置は地方に実損を与えない形でなされたものでございまして、平成三年度の地方財政の運営にも支障を生ずることはないものと理解をしております。
 次に、性質別予算の中での投資的経費と消費的経費の伸び率についてでございます。
 平成三年度一般会計当初予算を性質別に見た場合の消費的な経費の伸びが八・九%と高くなっている要因といたしまして、平成二年度の給与改定がここ最近では高率であったということ、また期末勤勉手当にいわゆる役職加算の措置が導入されたこと、さらに四十人学級の完全実施に伴って小中学校等教員の定数増があったこと等による人件費の増加がございます。また、利子割県民税の増加に伴い、市町村交付金が大幅に伸びたことによる補助費等の増加もございます。
 なお、人件費、扶助費、公債費の義務的経費で見ますと、その構成比は四四・六%であり、平成二年度の当初と比べますと、若干ではございますが、抑制を図ったところでございます。
 一方、投資的経費につきましては、二年度当初の伸びが一〇・一%と比較的高かったこともございまして、いわゆる発射台が高いということから、結果として平成三年度は三・八%の伸びとなっておりますが、内容的には県勢活性化のため不可欠な基盤整備等に力を入れまして、中でも半島振興道路、美術館、図書館等、県単独普通建設事業については、財源つきの県債を活用する中で八・五%の伸びを確保したところでございます。
 次に、財政運営と積立金の整合性の問題でございます。
 財政調整基金あるいは県債管理基金等は、中長期的な観点から財政の弾力性、対応力を確保し、年度間の財源調整を行うために設置をしているものでございますが、このうち県債管理基金の平成三年度末における残高は、御指摘もございましたが、六百十二億円となる見込みでございます。
 六十三年度末の残高百三十五億円からすると約四百七十七億円の増加となっておりますが、これは、昭和五十一年度から五十六年度、五十八年度、五十九年度、六十二年度に発行した財源対策債及び昭和六十年度から六十三年度に発行した調整債の償還費が、本来でございますと毎年度の償還額に対応して地方交付税で措置されるわけでございますが、これが前倒し交付をされまして、これらに相当する金額を平成元年度から三年度の間に積み立てることとされたということによるものでございます。
 基金残高につきましては、本県のように税収構造が石油、鉄鋼といった特定の業種に依存をし、また先ほど申し上げましたが、経済動向そのものが不透明になってきているという状況の中で、南紀新空港とか美術館、図書館といった大規模事業の本格化に伴って公債費の増高が予想されるといったことから、財政運営上、ある程度の残高を確保しておくということが必要であると考えております。
 ただ、一方では、公債費の増大が福祉、教育等の政策的経費の圧迫要因とならないように県債管理基金を有効に活用していくことも必要でございまして、平成三年度当初予算においてはこのような考え方に立って、昨年度を二十億円上回る五十億円の取り崩しを行ったところでございます。
 次に、使用料・手数料に対する消費税の取り扱いの問題でございます。
 消費税につきましては、御承知のように、今後ますます進展が予想される我が国の高齢化、国際化といった将来の展望を踏まえるとともに、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を構築するために導入されたものでございます。広く、薄く、公平に負担を求めるという趣旨から、地方公共団体の施設使用料等にも課税されることとされております。
 このため、平成元年二月の県議会におきまして、課税対象となる使用料等に三%の消費税相当分を上乗せする条例改正をお願いしたところでございます。
 その後、消費税に関して国民の間にさまざまな議論がなされ、その一層の定着を図る上から、政府において非課税範囲を拡大した見直し案が第百十八国会に提案をされたわけでございますが、審議未了となり、引き続き税制問題等に関する両院協議会を中心に論議がなされているところでございます。
 県といたしましては、この政府見直し案に沿って助産に係る役務の提供、住宅家賃について消費税の調整を行い、使用料の改正措置を講じたところでございますが、消費税自体は、それが公共料金であるか否かを問わず課税されるものでありますので、御理解を賜りたいと存じます。
 最後に、歳出の面における消費税の負担額でございます。
 平成三年度一般会計当初予算における消費税負担額は、工事請負費等を中心に約四十億六千七百万円となっております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 国保問題について、三点お答えしたいと思います。
 市町村に対する保険料値下げの指導と減免制度の確立についてでございます。
 国民健康保険事業の運営は短期的な視野で見るべきものではなく、医療費の増加傾向が続く中で今後とも国保制度の安定的な運営を確保していくためには中長期的な観点に立って財政基盤の一層の強化が不可欠であり、個々の保険者の保険料水準は最終的には市町村の判断によるべきものでありますが、将来の明確な財政見通しをしながら、安易に保険料を引き下げるようなことは適当でないので慎重に行う必要があると考えてございます。
 次に減免制度確立についてでございますが、昨年の制度改正において、制度運営の安定化を図るため、低所得者層に対する保険料軽減分を公費で補てんする保険基盤安定制度を確立し、これが恒久化されたところでございます。
 さらに、この法定減免以外に、各市町村においては条例で減免規定が設けられているところであり、常々、被保険者の実情を的確に把握した上で、適切かつ公平な保険料の賦課徴収により健全な国保財政の維持に努めるよう指導しているところでございます。
 次に、国保財政に対する県支出金の増額についてでございます。
 国民健康保険は、その構造上、高齢者及び低所得者の占める割合が高く、他の医療保険制度に比べ財政基盤が脆弱であり、その運営はまことに厳しいものがございます。
 県といたしましても、地方単独福祉医療事業の実施に伴う波及分、低所得者に対する保険料軽減分に対する補てん、及び国保連合会が行う高額医療費共同事業に対する助成等、積極的に助成し、財政負担の軽減を図るとともに保険料の上げ幅の抑制に努めているところであります。
 県支出金についての他府県との比較でございますが、他府県では福祉医療等の支出金を含んでいるところもございますので一律には比較できませんが、和歌山県においても、福祉医療を含めると一人当たり約千五百円となるところでございます。
 最後に、保険証の未交付についてでございます。
 国保料の滞納のみを理由としての保険証の未交付ということはございませんが、払えるにもかかわらず支払わない悪質な滞納者と認定された場合は、保険証にかえて資格証明書の交付が行われているところであります。
 また、一部の保険証の保留ということがございますが、これは、国保事業運営上の基本である所在確認等、国保資格そのものの確認調査のためであり、資格の確認ができ次第、直ちに保険証を交付するよう指導してございます。
 今後とも、法令等に基づき、適正に運営するよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 総務部長にお聞きしますけど、余り細かく聞くと私もよくわからないんで。
 県債管理基金について先ほどいろいろと説明があったんですけれども、平成三年末の予算ベースでいくと六百十二億になりますね。こういう予想になっているわけでございます。平成元年度から見てみると、前倒しの部分があったにしても、四・三倍という非常なふえ方であります。こんなにため込んで、一体これは何に使うのですか。このことをひとつお尋ねします。
 それから国保問題について、今、御答弁をいただきました。私は、繰り返し繰り返し同じ内容で、方角を変えてお尋ねをしているんですけれども、国保の問題というのは、先ほどからるる実態をお話ししておりますように、非常に危機的状況にあるというのが今の県全体の国保関係です。そして、高齢化が進んでいる中で低所得者が非常に多いということはもうお認めになっていらっしゃるわけですけれども、それならそれなりの対応策がもっと考えられるべきだと思うんです。国保安定基盤整備事業をやりましたけれども、しかし、これはあくまでも国がみずからの責任を放棄して地方自治体に対して負担金を覆いかぶせていくという制度に変わっているわけですから、そのことが本当にこういった国保の安定をし得るのかどうか。そして、国の補助金そのものが年々カットされ、制度的に変えられていく中で、今、国保料を払える事態があり得るのかどうか。
 私は、このところ、たくさんの方々にお話を聞く中で、一番今困っているのは、払いたくても払えないような実態がもうあっちこっちにできている。学者など専門家の方から見れば、今までは「『福祉』が人を殺すとき」というのがベストセラーになったみたいに、今後は「国保が人を殺す」ようなことにもなりかねない事態が全国で起こっているのが今の国保の実態なんです。だから、赤字の自治体であったとしても国の支出金というのは──当局の答弁では千五百円とおっしゃいました。厚生省が言うているのはうそですか。百四十三円という国保加入者一人当たりに対する県の支出金、これは、県は厚生省に対してうそを申請したんですか。この点についてお答えください。
 もう、たくさんは述べません。保険証の未交付の問題の部分についても、改善がなかなかなされないという点があります。毎年保険課からいただいているんですが、平成二年度の十月末現在での資格証明書の交付、いわゆる保険証が発行されないで、お医者さんに行ったときは全額一たん払うという資格証明書をもらっている人が五百五十名。和歌山市がトップで、三百六十九名です。それから、あと郡市のところで結構あるわけですけれども、七市で三百七十一名、伊都郡で七、有田郡で十八、日高郡で三十九、西牟婁郡で八十一、東牟婁郡で三十四、合計五百五十という、いわゆる保険証が未発行の部分があります。
 幾ら資格証明書を発行されたとしても、現実には、医者へ行ったときには全額払わなければならない。その後が問題です。領収書を持って市役所の保険課に行って、いわゆる医療費でかかった七割分を返していただいたとしても、実際には保険料を滞納しているから滞納分として徴収されるという実態です。だから、全く保険証がないのと等しいという、こういったむごいことが平気でやられている今の国保状況です。そして、保険料を払っても一定の期間しか保険証の有効期間を与えないという実態がいまだに残って、さらにこれがどんどんふえていっているといった実態が現にあるわけです。こういった状況をどういうふうに改善されようとしていますか。その点についてお答えください。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 県債管理基金の使途についての再度のお尋ねでございます。
 先ほども御答弁申し上げましたが、昭和五十年代の地方財政が国と同様に非常に厳しい状況に置かれた際に、財源対策債の発行とか交付税特別会計における借り入れ等により、その財源の不足を補てんしてまいったわけでございます。
 また、昭和六十年度から国庫補助負担率の引き下げが行われまして、それを財源的に補てんする措置として調整債が発行されました。
 この財源対策債及び調整債の償還につきましては、その時点で必要な財源措置を国が責任を持って行うということにされておりまして、本来でありますと、こうした起債の償還に合わせて基準財政需要額に算入の上、地方交付税で措置をされるということでございましたが、これが平成元年度から地方交付税により一括前倒し交付をされるということにされたわけでございます。いわば、将来のこうした県債の償還に備えて積み立てをしておかなければいけないものとして財源措置をされたものでございます。したがいまして、今後の償還にあわせて、その財源として活用することになります。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 再質問にお答えしたいと思います。
 県の支出金の関係で、厚生省の年報との違いについてお答えしたいと思います。
 厚生省が取りまとめた事業年報の都道府県支出金の内訳、内容が統一されておらないために数値に格差が生じてございます。内容を整えて比較した場合は、先ほどお答えしたとおりの額となるわけでございます。
 府県によっては福祉医療の補助金も含めていることから、本県もこれに見合う補助金を合わせて計算した場合、約千五百円ということでございまして、決して他府県より少ない額にはならないと考えてございます。
 なお、先ほど知事もお答えいたしましたとおり、平成三年度において、国保財政についての健全な育成のための増額を図っているところでございます。
 次に、保険証の未交付の問題でございます。
 我々といたしましては、市町村に対し、常々、悪質な未納者以外については交付するようにという指導を行っているところでございまして、今後ともそういうことで市町村指導をしていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今の県債の部分ですけれども、ため込み過ぎないようにしてほしいんです。実際には、私たち県民の暮らしをいかにしてよくしていくかと、福祉を中心にしたものに使っていただきたいというのが私たちの願いなんです。
 一月の二十一日か二十三日の都道府県財政課長会議においても、ため込み過ぎたらあかんというふうに厳しく言うているんです。これは財政課長がおっしゃっているわけですから。各目的に沿った積み立ては問題ないけれども、ただ漫然と積み立てている基金は、単独事業の財源として取り崩してでも事業量をふやしなさいとなっているわけです。そういった点から見てみても、わずか二年ちょっとで四・三倍もため込むほどのお金があるんであれば、もっともっと住民の暮らしが豊かになるようにといった願いを実現させるところのために使っていただきたい。
 とりわけ、大企業の大プロジェクトが軒並みに並んでいる現状の中では、そこへ貢ぎ込まれるという危険性を非常に持っているというふうに私たちは指摘せざるを得ないと思っています。そういった点で、私はこういうことを要望しておきたいと思います。
 それから民生部長、千五百円が決して少なくないと。私は、この千五百円ということについても、まだ納得はしておりません。厚生省は一定の基準を設けて県支出金を調査しているはずです。あなたがおっしゃるように、厚生省は基準も何も満たさないまま「県支出金は幾らですか」という調査をしないはずです。だから私は、この点についてはまだ納得をいたしておりません。
 ことしまた増額をされるとお聞きはいたしておりますけれども、しかしこれは、国が国庫負担を削ったことに国民健康保険の赤字、それから国保加入者への負担が大きくのしかかってきていることは否めないと思うわけです。けれども、その切り下げた部分を制度的に一つ一つ取り崩していくような制度が新たに行われてきていますね。だから、そういった問題についても、あなたたちは、だれに一番負担がかかるのかということをもっと真剣に考えていただきたい。そして、私が先ほど事例をたくさん申し上げましたように、この問題をどうやって改善していくのかということをもう一回見直していただいて、県の支出金、補助金をどうやってふやせば各市町村がもっともっと住民の皆さんたちに国保の軽減をできるかということを真剣に考えていただきたいと思います。
 今、民生部長、知事、実態としては本当に大変な時期ですよ。これは命の問題として取り上げてほしいんです。全国的にも、札幌で起こったような餓死状態の問題とか、医療を中断して、医者にかかれなくなってだれにもみとられずに死んでいく姿とか、減免制度を申請したけれども、それも門前払いを食って死んでいったということがたくさん起こっているわけでしょう。このことが和歌山県で仮に起きたとすると──今は、恐らくぎりぎりのところに来ていると思います。
 私たちは市会議員たちと共同してこういった問題についていろんな形で相談にも乗って、そして減免制度についても、これはずっと法定減免ですけれども、実現をさせてきました。これは命の問題として考えていただきたい。仮谷県政は「まごころ県政」と言っているんですから、もっともっとこの問題を深く掘り下げて大事に扱っていただきたい。そういった点を強く要望して、私の再質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 私が和歌山市議会議員として地方政界に第一歩を踏み出しましたのは、昭和四十二年の春でございました。昭和三十五年の池田勇人内閣の所得倍増計画のもとに高度経済成長政策が達成されつつあった時期であります。
 我が和歌山県におきましても、住友金属和歌山製鉄所の昭和三十五年の粗鋼生産量はわずかに八十万トンであったものが、昭和四十三年には六百十五万トンと飛躍的な伸びを示しました。従業員数は三千人余りから一万数千人に膨れ上がり、第五高炉が完成した昭和四十四年には、単一規模では世界最大の生産能力を持つ八百五十万トンの製鉄所が完成したのでありました。県北部臨海には、富士興産、丸善石油、東亜燃料の石油精製工場や花王石鹸工場も拡張を重ね、夜半にはこれら工場の照明が夜空に海岸線をくっきりと浮かび上がらせ、不夜城の感がございました。
 本県の経済が成長したのも、この時期であったと思います。県下の産業構造も、従来の繊維産業中心から鉄鋼、石油精製といった重化学工業中心へと変わっていったのでありました。
 戦後の復興、開発期を終えて、ようやく成長期に至るのでありますが、やがて、産業の発展とともに、公害の発生が深刻な問題として顕在化する時代を迎えるのであります。住友金属和歌山製鉄所が本格的な操業を始めるとともに、周辺住民からは、粉じん、ばい煙、騒音、臭気などの除去・防止対策を行政や企業に対して強く要求する時代へと変わっていくのであります。
 当時、大橋知事は国に先駆けて昭和四十一年十月に公害防止条例を制定し、特定施設の届け出制やばい煙その他の排出基準を決めるなど、公害防止に乗り出しておりましたが、公害問題はさらに深刻なものとなり、昭和四十三年三月、和歌山市の旧市内全域が大気汚染地区に、和歌川流域が水質汚染地区にと、それぞれ不名誉な国の指定を受ける結果となったのであります。
 同年、住友金属和歌山製鉄所の公有水面埋立拡張工事計画に反対する「海を返せ運動」が激しく展開されました。和歌山市民六万人の署名が集められたり、地元民の座り込みやハンガーストライキが行われるなど、住民パワーが大きなうねりとなったのであります。
 一方、和歌山市内高松地区の住民は周辺の化学工場群の悪臭にたまりかね、地域ぐるみの反対運動が展開されました。製鉄所と一般住居が近接していたことや、中小企業の多い化学工場では公害防止施設を完備することがなかなか困難であったことなどのために、県域の公害被害が深刻なものとなったのであります。
 昭和四十六年四月、県会初当選。私の議会活動は公害問題の勉強から始まったのでありました。
 同年七月、公害防止条例が改正され、公害行政の本格的取り組みが開始されたのであります。当時の県議会の議論を回顧いたしますと、公害問題を取り上げない人は議員ではないがごときの雰囲気でございました。このように公害問題が県議会の議論の中心として推移する中、開かれた黒潮国体は県民の明るい希望であったと思います。
 ところが、同年の八月、ニクソンアメリカ大統領宣言により、円の固定相場制から変動相場制への移行が発表されたのであります。すなわち、ドルショックであります。輸出国である日本経済に与えた打撃は、まことに深刻なものがあったのであります。さらに、昭和四十八年十月の第一次オイルショックのダブルパンチを受けた我が国は減産体制を余儀なくされ、翌年の経済成長率はマイナスとなったのであります。その後、経済の主導部門を素材型産業で誘導してきた我が国は、自動車、電気製品等、二次加工産業に主力を移しながら高度成長を続けつつありましたが、素材産業に圧倒的比重を置いてきた和歌山県経済はその動きに取り残され、昭和五十年代に入ると不況の深刻化で従業員の解雇、一時帰休が相次ぎ、最悪の経済状況下に至るのであります。
 あれほど声高に叫ばれた公害議論も、いつしかこの議場から消えていきました。そのような背景のもとに、当時、第三期目を迎えた大橋知事が提唱する三大プロジェクト、すなわち紀北の研究学園都市、紀中の田園工業都市、紀南の福祉エリア構想の実現に県民の期待がかけられていたのでありますが、そんな五十年十月四日、大橋知事は急逝されたのであります。県民の悲しみと厳しい経済状況下にあって仮谷知事が誕生したのでありました。
 財政難の厳しい時代、「マイナスシーリング」などという聞きなれない財政用語が常用語として定着していく中で、前大橋知事の構想実現と財政難という現実との板挟みの中で仮谷知事は苦しみ抜かれたことでありましょう。
 昭和五十年は大きな節目の年となりました。和歌山県の大きな課題は何か。何よりも僻地性からの脱却が第一である、そのためには道路交通網の整備が最重点であり、高速道路網から取り残された地域であるがゆえに企業の進出も進展もしないことがだれの目にも明らかでありました。
 議会も議論するのみでなく行動しようではないかとの古田新蔵先生の呼びかけにより、同年十二月一日、高速自動車道紀南延長促進議員連盟が発足いたしたのでありました。以来、陳情回数は六十七回を数えました。苦しみの経験の中から私たちに与えられた教訓は、一時期の経済現象や社会風潮に左右されることなく、着実に県勢の基盤を確立しておくことがいかに大切かということであったと思います。そして、言葉だけでなく、直ちに実行に移された古田先生の政治行動に多くのことを学ばせていただきました。それまでの私は、ややもすれば、議員の役割というものを批判する立場に重点を置いていましたが、建設的な役割こそ大事であり、私たちにはそうした二つの使命のあることを学ばせていただきました。以来、県勢の浮揚は、当面、関西国際空港建設にかける以外にない、千載一遇のチャンスを逃してはならないと自覚し、勉強を続けてまいりました。もちろん、今後もさらに研究を続けたいと考えております。
 私が県議会の末席を汚させていただいたこの二十年間、日本経済に幾多の山坂がありました。あるときは列島改造ブームに沸き立ち、またある時期はドルショック、二度にわたる石油ショック、円高不況等、変遷を経てまいりました。そして昭和六十年代から平成の年へ、「高原景気」と称して五十カ月以上、経済成長率五%以上を維持してまいりましたが、ようやくその陰りも見え始め、来年度の政府の見通しは三・八%と踏んでおります。
 しかし、その間には東京一極集中が進み、近畿全体での工業出荷額は、昭和五十年には全国の二〇・六%を占めていたものが昭和六十三年には一八・一%まで低下していました。その中にあって本県の落差はさらに大きく、昭和五十年、一・四四%が六十三年には〇・七七%まで低下しております。さらに県人口の横ばい状況と高齢化は今後の大きな課題となるでしょう。
 私が県会議員として体験した二十年間を駆け足で回顧してまいりましたが、まさに「歴史は繰り返される」の実感を強くいたしております。世に課題の尽きるときはないでしょうし、課題なき社会などはあり得ませんが、過去の教訓に学び、やるべきチャンスは逃すな、先見性と信念を持って、批判を恐れず進むべきであるとの感を強くするものであります。今後の県政推進について、仮谷知事の御所見をお伺いいたします。
 さて、私ごとでまことに恐縮でございますが、私は、今議会を最後に後進に道を譲ることを決意いたしました。
 私は、和歌山市議会議員選挙を含めて、みずからの選挙を六たび戦いました。選挙に出る者はだれしも体験することでありますが、胸中に燃える使命感は有権者に理解されることが少なく、日常の世話活動や応対の姿勢、冠婚葬祭への出席頻度によって評価されることが多く、議員とは一体何なのかと自問することが多々ございました。
 識者に言わせれば、「政治屋は次の選挙を考える。政治家は次の世代を考える」と厳しい御批判があるわけでございますが、一方で有権者の素朴な意識を無視して選挙に勝つことは不可能であります。現実と理想のはざまで多々苦しむことはございますが、決して埋没することなく、みずからの命の中に次の時代への火を赤々と燃やし続けることこそが政治家にとって何よりも大切なことだと思います。
 走馬灯のごとくいろいろな思いが込み上げてまいりますが、限りある人生の中での二十余年間は、私にとって貴重な体験を積ませていただけたとの思いでいっぱいでございます。選挙に出馬し、二十四年間にわたり議会人として在職させていただいたからだと思います。
 きょうまで御支持、御支援をいただいた県民の皆様、同志の皆様、後援会の皆様に、深く深く感謝を申し上げたいと存じます。
 そして、二十余年間に得た私の何よりの宝は、多くの友であります。アメリカの詩人フランシス・ベーコンは「友なき人生は荒野のごとし」と言いました。また、「人生最大のぜいたくは、よき人間関係を持つこと」と表現した人もいます。こんなに多くの友ができました。御参席の議員の皆様、生涯のよき友としてよろしくお願いいたします。そして、二十年間、私の議員活動に御指導と御協力を賜りました知事初め県当局職員の皆さん、本当にお世話になりました。私は、今議会を最後に、新しい目標に向かって再出発をいたします。今度とも一層の御支援と御指導を心よりお願い申し上げます。
 最後になりましたが、和歌山県の大いなる発展と先輩・同僚議員並びに知事初め当局の皆様方の御健勝を心より祈念いたしまして、私の最後の質問とさせていただきます。皆さん、本当にありがとうございました。
 和歌山県議会、万歳。(拍手)
○議長(岸本光造君) ただいまの渡辺勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま渡辺議員から今後の県政の推進についての指示をいただいたわけでございますけれども、答弁させていただきます。
 渡辺議員から、市会一期、県会五期の御経験を踏まえ、政治家としての立場から、和歌山県の社会、経済、環境の移り変わりについてお話を承りました。その話をお聞きしながら、私もまた、高度経済成長時代、ニクソンショック、ドルショック、低成長といった、当時のいろいろな思い出が走馬灯のごとく頭に浮かんでまいりまして、感慨ひとしおのものがございました。特に、私は昭和五十年に知事に就任させていただき、渡辺議員には四期御支援をいただいてまいりましたが、その四期の間の思い出にはひとしおのものがございます。
 ただいま話ございましたように、古田議員を先頭にしての高速道路の推進に当たっては大変いろいろとお世話になりましたし、また半島振興法、関西国際空港等についても県議会が一体となって推進していただき、これらが私にとって大きな支えになったのでございます。
 特に関西国際空港につきましては、空港対策特別委員会ができた昭和五十一年に渡辺議員が初めての副委員長になられました。また、五十五年には特別委員会の委員長として、当時、運輸省から三点セットが提示されましたが、そうしたときに県としての態度ということで中心になっていただいて、県議会の皆さんの御協力で関西空港推進にこぎつけたわけでございます。私、今にして思うのでございますけれども、あの当時、神戸市が反対していなかったならば果たして関西空港は泉南へ来れたであろうか、また県議会の皆さんの一致団結がなかったならば関西空港はできただろうかということが脳裏に浮かんでくるわけでございます。
 そうした思い出の数々がございまして、大変いろいろお世話になりましたこと、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 現下の問題といたしまして、先ほど来話ございましたように、低成長時代からの問題は、産業基盤、交通基盤等を整備することによって経済、福祉、文化、教育の面において和歌山県を発展させていかなければならないわけでございます。そうした点において、過去の歴史に思いをいたしながらも、やはり先見性を持つことが一番大事なことではないか、そしてその決断に踏み切ること、チャンスを生かすことが大事ではないかと思っております。
 現在、議会の皆さんの御努力によって数々のプロジェクトが芽生えております。そうしたプロジェクトを実行するとともに和歌山県のすばらしい資源をこれから見出し、発見して、これを和歌山県の発展の起爆剤にしていきたいと思っておるところでございます。
 最後に、政治家としての喜びと悲しみと言うたらどうかと思いますけれども、理想を掲げながらも現実の問題として有権者から票を得なければならないといった問題等、いろいろな悩みがあると思います。皆さんに及ばないものの、私にもそうした悩みがありますけれども、そうしたことこそ、あすへの活力の基だと思います。
 こうした政治生活を経験されて、渡辺議員のそのバイタリティーは別の世界へ行っても必ず花開いていただけると思います。私の教えていただいた政治の先輩の皆さんも、その意気込みで社会に出たなら必ず勝つ、あの体力と気力と頭脳をもってすれば何でもできるということでございましたので、なお一層の御健闘をお願い申し上げるとともに、今後、政治の先輩として県政についていろいろお教えいただき、また庶民としての立場からも政治に対する御示唆を賜りたいと思います。
 答弁になりませんけれども、お許しいただきたいと思います。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「どうもありがとうございました」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、渡辺勲君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(岸本光造君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十七分散会

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