平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、順次、質問してまいりたいと思います。
 まず、女性問題についてお伺いをいたします。
 今や、働く女性労働者数は全労働者の三七・四%で、既に四割になろうとしています。そのうち、三分の二の六七・五%が有配偶者であります。特に、既婚者、中高年女性の増加が目立っているところです。とりわけ、最近の著しい特徴を述べておかなくてはなりません。それは、何といってもパートタイマーの急増であります。実にこの一年間に四十六万人と、かつてない増加を見せています。働く全女性労働者の四人に一人がパートタイマーで働いていることと、加えて派遣労働者数もふえ続けて、今やパートタイマーと派遣労働者を合わせた割合は三人に一人となり、今後さらに急増する傾向にあります。こうしたパート、派遣労働者は、低賃金と無権利状態にあり、トラブルも後を絶たないと言われています。
 〔議長退席、副議長着席〕
 最近、労働省は、労基法やパートタイマー労働指針を出して一定の条件整備、改善の指導を始めましたが、働く女性の切実な願いにこたえるにはほど遠いものです。
 牧野富夫日大教授が「一週間、日本のパート労働者がストライキをしたら日本の経済はストップする」と言われたことに十分納得することができます。今や、日本の経済そのものがパート労働者なくしては成り立たない状況になっていると言っても言い過ぎではないと思うのです。
 財界は、長年望んでいた女性の戦力化のために、労働基準法を二度にわたって改定いたしました。それは、女子労働者の時間外労働の制限、深夜業の禁止の撤廃であり、以来、職場では労働協約や就業規則を改悪して、働く女性の長時間労働に道を開く結果を招いてきました。同時に、大企業や生命保険、銀行などに見られるコース別管理制度の導入によって能力主義管理が一層強まっているところです。こうした巧妙な人事管理は、女性労働者がいやが上にも長時間、超過密労働に耐えねばならない仕組みがつくられてきました。これに耐えられない人は、続けて働きたくても退職するか、それとも意図的に仕組まれた不安定雇用形態であるパート、派遣労働者で働く以外に道は閉ざされていると言ってもいいでしょう。財界、企業、政府の利潤追求に走る政策そのものであると考えます。重ねて申し上げますれば、女性が正規労働者として働き続けることを困難にしている大きな原因にもなっています。
 ここで、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 私は、一年前の定例十二月議会の一般質問でパート労働者の賃金や労働条件についてお尋ねをし、そのとき商工労働部長は、「パート労働者への実態調査及び労働者三十人未満の事業所の実態調査につきましては、今後検討してまいりたい」、こう考えを示されました。この一年間どのような検討をされてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。また昨年七月、パート労働者の実態調査がされたようです。この実態調査についてもお聞かせ願いたいと思います。
 年々、働きたい、働き続けたいという女性や働く女性はふえておるわけですが、女性が働き続ける上では、とりわけ家事、育児、老親介護など避けて通れない関門がたくさんあります。
 私は、女性労働者が仕事と育児、家事が両立できて、安心して働き続けられる社会的環境づくりと条件整備が急がれなければならないと思うのです。働き続けるための必要条件は数多くありますが、今回は最も切実で緊急対策を講じなければいけない育児休業制度と看護休暇制度の問題に絞ってお尋ねいたします。
 昨年九月、労働省が行った「既婚女子労働者の生活実態調査」と、時期を同じくして行われた本県の「女性の生活と意識調査」報告書がございます。
 まず労働省の調査では、仕事を続ける必要条件に、育児に休める制度をつくってほしいと挙げた女性は四四・二%、看護のため休める制度をつくってほしいと挙げた女性は三六・二%と高い比率を示しているのです。本県の調査を拝見いたしましても、育児休業制度や保育施設の充実を求める年代は若いほど強く、二十代から四十代で管理職、専門職、事務職に四一%から四八%と高い比率です。そればかりか、常勤、パート、アルバイトという雇用形態に関係なく切実であることも示しています。一方、看護や介護休暇制度を見ますと、二十代の若い人よりも三十代からが三○%と高く、年齢が高くなるに従い要求も切実で深刻な状態であり、女性が働き続ける上での重要な条件であることを改めて痛感いたします。
 これまで働くお母さんたちは、職場で地域で「ポストの数ほど保育所を」と、粘り強い運動を続けてきました。今は、保育所の数はたくさんできました。公立保育所、私立保育所を合わせると県下で二百三十を超えるという大きな前進を見ることができ、働き続ける条件づくりに大きな役割を果たしてきています。そして、昨年度からは認可保育所を対象とした延長保育に補助金支給が県独自で実施されました。保育時間は一ないし二時間延長となったことから、働くお母さんたちには大変喜ばれていると聞いております。
 そこで、民生部長にお伺いいたします。
 今後、対象保育園の拡大と補助金増額はもちろんのこと、行政からいつも置き去りにされている無認可保育所に対しても同様の補助金対象に加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、要求の強い産休明け保育の状況は、和歌山市の場合、公立保育園二十七園中わずか二保育所であります。しかも、定員が二十四名という貧弱さ、延長保育はいまだに実施されず、民間保育所の積極的な取り組みにもかかわらず公立で一向に進んでおりませんが、当局はこの対応にどのように指導されておられるのか、お答えいただきたいと思います。
 看護休暇制度についてお尋ねをいたします。
 私は、以前、病院勤務をしていたとき、家族の入院によって何カ月も病院と会社の間を往復して子供の面倒を見続けてきた友人や患者さんの家族、長引く娘の病状に職場をやめて看病についている母親、寝たきり母親の看病のために三十九歳の若さでやむなく退職した友人を目の当たりに見てまいりました。多くの女性が、在宅福祉の充実と看護休暇制度の実現を切実に望んでいます。
 人事院の勤務時間問題研究会は、昨年十二月、人事院に対して看護休暇の導入確立を早急に検討すべきと答申を行っています。また労働省でも、介護休暇制度の普及を目的とした奨励金支給を行うなどの検討の動きが始まっているように報道されております。
 私は、現行の企業任せの奨励制度となっている育休制度や看護休暇を改め、代替要員の確保、現職復帰、本人の選択性、休業補償を基本とした男性をも含めた制度が国の責任として法制化されることがどうしても必要だと思うわけです。商工労働部長のお答えを聞きたいと思います。
 また、県下における育児休業及び看護休暇制度の実施状況とあわせて今後の具体的対応についてお聞かせ願いたいと思います。
 さらに、女性特有の諸問題を政策的に考え、解決していく上で専門課を設けるか、青少年婦人課の中に女性対策室を新設するなど、具体的にお考えになってはいかがかと存じます。御所見をお聞かせください。
 続いて、成人病対策と県民総合健診センター建設構想についてお尋ねをいたします。
 まず、本県における三大成人病の死亡率がここ数年間非常に高い水準にあることは、既に御承知のとおりであります。
 例えば、昭和五十九年から昭和六十三年までの五年間のがん死亡率の状況を見ますと、全国第一位から第四位内にあります。中でも和歌山県は、肺がんは毎年トップ、胃がんはワースト五位、乳・子宮がんもワーストテン内にあります。さらに、心臓病による死亡率は全国第一位、二位という悲しい水準にあると同時に、脳卒中による死亡率はやはりワーストテン内という高水準が続いているのであります。この高い水準にある原因はさまざまですが、医療機関までの交通問題、無医地区の解消、治療中断、検診体制の不備、健康への自信過剰、最近は過労死なども考えられるのではないでしょうか。どのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 これまでも成人病撲滅のため諸施策に努力をされているところですが、なお一層検診率を高めるため五億円余りに上る予算が計上され、特別な対策が進められているように聞き及んでいます。検診率の目標と達成状況を保健環境部長にお尋ねいたします。
 次に、和歌山県民総合健診センターに関してお伺いいたします。
 健診センターは、昭和六十年四月一日、財団法人として設立され、全国的にも設立は早い方であったと伺っております。さきに述べてまいりましたように、本県の三大成人病による死亡率は、残念ながら全国ワーストテンに入っており、健診センターの果たす役割はますます重要な位置になっております。しかし健診センターの実態は、率直に申しまして三大成人病の死亡率を低めるために貢献するものとなっていないのではないでしょうか。
 健診センターは、和歌山市を除く四十九市町村が寄附団体となり、他の関係団体とによって運営されております。理事長は仮谷知事であります。平成二年度の事業計画によりますと、受診率は横ばいの状態にあり、特に乳房検診が年々下降していることが指摘され、同時にこの状況を打破して検診率を向上させるため、関係団体の連携を図り、活動の積極的展開を強調しています。
 検診を年度別に見てみますと、昭和六十二年度は、胃、乳房、胸部合計で六万四千百五人、六十三年は六万八千八百九十四人、平成元年は七万三千九百二十二人となっており、うち乳房検診は、六十二年は一万三千八百二十四人、六十三年が一万三千七百二十二人、平成元年が一万三千三百四十二人と下降してきているのです。
 健診センターの体制について見ますと、まず建物は理容会館の二階と三階を借り受けたものであり、検診車十台は県衛生公害研究センター横に預けてあります。検診に行く場合、運転手は家から車庫へ行き、健診センターに戻って、そこで一緒に行く看護婦さんや保健婦さんを乗せて目的地へ行くという状態であります。遠隔地の検診の際は早朝五時ごろから出発しなければ目的地に着かないという、大変激務にあると聞いております。人員も、事務局で課長二人が病気などで退職したままであり、県からの出向は看護婦一人という状態と聞いております。このような状況で平成二年度の事業計画が本当に達成できるのか、どう考えていらっしゃるのでしょうか。私は、少なくとも県としてはセンターの体制を補充するなど、計画達成に向けて具体的対策を講ずることが緊急なことだと思うわけです。健診センター設立の目的と現状に立って、以上の課題について保健環境部長から御答弁をお願いいたします。
 続いて、平成二年度事業計画では「施設の建設のための将来構想を含めた準備調査が必要であり、関係機関等と十分協議検討を行う必要がある」とされていますが、この構想についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、市街地の歴史的、伝統的な建築物の保存問題について質問をいたします。
 私はこの問題を取り上げるに当たって、問題となっている和歌山市十一番丁の三和銀行を訪ねてまいりました。明治から大正にかけて日本各地で西洋式の建物が建築されておりますが、この三和銀行和歌山支店もその一つでございます。
 戦災に遭いながらも、その当時の優美な外観は県民とりわけ市民に大変親しまれてまいったのでありますが、最近この建物が店舗の新築に伴って取り壊されるということを聞き、大変残念に思っているところでございます。取り壊される理由は、三和銀行和歌山支店側の説明によると、戦災で外壁や内部が火災に遭っていることや建物の老朽化が進み、これまでにも外壁の一部が壊れ、危険であることなどを挙げられました。県都和歌山市の中心部でただ一つ残された歴史的価値の高い建物であることから、ぜひとも保存をしていただきたいと思うのであります。
 和歌山市は、この建物と隣接する京橋周辺をふるさと創生事業である京橋プロムナード整備事業として位置づけ、市民の憩いの空間にする計画が報道されています。この三和銀行の建物は、この空間とも十分マッチするものではないかと思うのです。
 このお話をお聞きした折、私は昨年、東北の秋田市を訪れたとき、友人に市内見学の一つとして市立赤れんが郷土館を案内してもらったことを思い出します。明治四十五年、旧秋田銀行本店として建築され、赤れんがを基調にした華麗さは、赤れんがや大理石、色タイル、総ケヤキなどの材料を利用して一層豪華さを特徴づけている二階建ての建物であり、外観はルネッサンス様式を取り入れているのであります。長い間、秋田市の名物として親しまれてきた秋田銀行は、同行創業百周年及び秋田市制施行九十周年を記念して寄贈されました。秋田市は、この寄贈された秋田銀行の旧本店を明治時代の代表的な洋風建築物として後世に伝えるため、改修工事の後、多くの人々に親しまれ利用される施設とし、現在、市立赤れんが郷土館として開館されています。
 三和銀行の保存への努力をどうしてもお願いしたいと思うのでありますが、その決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 三和銀行和歌山支店の保存についてでございます。
 お話ございましたように、この建物は大正五年に建築されたれんがづくりの二階建てで、昭和二十年に戦災を受けて内部が焼失し、その後、部分的修理が行われて現在に立ち至っているわけでございます。しかしながら、建物の老朽化が進み、これまでにも外壁の一部が壊れて危険な状態であるということを聞いております。
 この保存については、何と申しましても、所有者の意向が一番重要な問題でございます。所有者の意向を承るとともに、和歌山市もこれについて意見があるようでございますので、和歌山市とも話し合って対処してまいりたいと思っております。
 その他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 昨年実施いたしましたパートタイマー実態調査と前回の昭和六十二年の調査結果を比較いたしますと、労働条件を書面により明示している企業の割合が約四五%から約五七%へと増加しております。また、パートタイマー専用の就業規則を有する企業は、前回調査では二八%、今回調査では約三五%と、労働条件の明確化の面で改善されてきております。社会保険への加入の促進、退職金制度の普及等については、今後より一層積極的に努力してまいりたいと考えております。
 なお、従来から三年に一回実態調査をいたしておりますので次回は平成四年度となりますが、三十人未満の事業所についての調査も含めて実施したいと考えております。
 次に、県下の育児休業制度の実施状況でございます。
 和歌山婦人少年室が昭和六十三年度に実施した千二百事業所を対象としたアンケート調査結果では、制度導入事業所が一一・三%となっております。育児休業制度は、働く女性にとっては将来にわたる職業生活設計、乳幼児期の十分なスキンシップによる児童の健全育成等の利点がございます。
 介護休業についても、今後の高齢化社会の進展に伴って介護を必要とする高齢者が急増することが予測され、女性が働きやすい環境を確保する上で、今後、介護休業制度の普及推進を図ってまいることが重要だと考えておるところでございます。県といたしましても、和歌山婦人少年室等と連携をとりながら、さらにその普及に努めてまいりたいと考えます。
 なお、国においては、育児休業法案の制定に向け作業が進められておりますが、総合的な育児・介護制度を確立されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(橋本 進君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず、保育所問題についてお答えいたします。
 働く女性の就労形態の多様化等に対する保育ニーズにこたえるため、平成元年度より延長保育を推進しているところでございます。しかし、現時点では認可保育所で対応できますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、公立保育所での延長保育についてでございます。
 十時間以内で対応しているところでございます。また、産休明け保育については一部の保育所で実施していますが、今後とも関係市町村に延長保育も含めて地域の実情に合った保育をするよう指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、女性問題の専門課の問題でございます。
 昨日も御答弁をいたしましたように、庁内外の啓発、連絡調整、総括等ますます重要になってきてございますので、今後、女性のセクションを強める方法について十分検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 成人病対策と県民総合健診センター建設構想についてお答えを申し上げます。
 まず、三大成人病の死亡率の高水準の原因と検診率の目標と達成状況についてでございます。
 成人病の死亡率の高い原因については、本県が全国的に見て高齢者の人口比率が高いことや食生活を初めとする生活習慣の問題、さらには疾病の早期発見、早期治療につながる各種検診の受診率が低いことなどが考えられます。このため県といたしましては、食生活改善のためのグリーン&ホワイト運動の推進や自分の健康は自分で守るという住民意識の高揚に努めているところでございます。
 次に、検診率の目標と達成状況についてであります。
 昭和五十八年から検診が実施され、その検診率は年々向上してきてはおりますけれども、平成元年度における目標値である基本検診三二・五%、胃がん検診二一・三%、子宮がん検診二四%、乳がん検診一四・九%、肺がん検診二二・五%に対し、実績はそれぞれ一六・一%、一三・三%、一六・一%、九・五%、二二・三%となってございまして、目標値に達していないのが現状であります。
 県といたしましては、今後とも引き続き、医師会や関係団体との協力関係を確保するなど検診体制の充実強化に努めるとともに、健康に対する県民意識の高揚を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、財団法人和歌山県民総合健診センターの位置づけ、設立目的と現状、今後の構想についてでございます。
 昭和五十八年に老人保健法が施行され、老人保健事業の実施は市町村の責務として位置づけられましたが、市町村においては医療関係者のマンパワーが不足しており、これを支援するため、県、市町村、関係団体等により昭和六十年四月に財団法人和歌山県民総合健診センターが設置されました。
 現在、和歌山市秋葉町に事務所を設け、検診車十台と職員二十七名で老人保健法に基づく検診事業等に積極的に対応しているところであります。しかしながら、健診センターの運営については、議員御指摘のとおり、施設の狭隘さやマンパワーの不足等の問題があることも事実であり、当面、欠員の補充について配慮してまいりたいと考えてございます。
 今後の検診体制の強化方策については、平成二年度に県検診中核施設基本構想策定のための調査費を計上し、本年九月に検診中核施設検討委員会を設け、医師会等関係団体との協力体制の確保、県立医科大学との連携方策等を含め、鋭意検討を重ねていただいているところであります。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、私、保存の問題で質問をいたしましたが、中途半端に終わりました。
 三和銀行の保存については、努力をしていただくという返事をいただいたわけですけれども、和歌山市議会に対して、この三和銀行の建物保存と活用について和歌山県洋風建築研究会、近代建築研究会、明治建築研究会の方々から要望が出されているようですし、市当局の方も保存に向けて要望していきたいと言っていらっしゃいます。都市景観上も大変重要な建築物だと思いますので、市と県がぜひとも三和銀行の方へ積極的に要望していただきたいと思います。
 昨日、三和銀行にお伺いいたしましたところ、ここで営業するのは非常に危険だから、とりあえず隣の駐車場のところに仮設をつくっているところだということでした。しかし、この建物を取り壊すのか残すのかということは本店の方でも要望があった段階で、まだ決定されていないとおっしゃっていましたので、そういった点も含めてぜひ保存を強くお願いしていただきたいと思います。
 それから、パート労働者の問題です。
 今、和歌山県においても、また全国的に見ても、パート労働者なしでは営業が行われないというような実態であると思うのです。しかし、これはつくられたパート労働者でありますから、常用労働者を職場の中に根づかせていくということが大切です。商工労働部長、男女雇用機会均等法の立場に立って差別をなくしていくためにも、積極的にパート労働者をなくしていっていただきたい。女性が働き続けられる条件づくりがまず初めに来なければならないと思うのです。そういった点で、ぜひ県下の事業者に対しても要請をしていただきたいし、労働省へもそういった形での申請をしていただきたいと思います。
 それから、育児休業制度は今始まっていますが、看護休暇は、婦人労働者や労働組合が本当に苦労しながら経営側と交渉し、与えられたものではなくてかち取ってきた内容になっているわけです。労働省は法制化をなかなかやろうとはしない。労働省としては、一定の奨励金を出してお勧め商品として普及活動をしている。まさしくこれは、国の責任を放棄している以外にないと思うんです。そういった点でも、労働省に対して物申していただきたいと思います。
 今、お母さんたちが働き続けていけない条件づくりとしてやられてきている労働基準法の改悪、これが最大の原因になっているわけですから、この問題をしかと見詰めていただきたい。そして、婦人が子育てをしながら自分の職域で生き生きと働いていても、せっかく身につけた職場で中心的な役割を果たしていけるような条件になったときにやめていかなければならないようなシステムは改めていただきたいと思います。介護休暇にしても同じことだと思うんです。ここは私だけが女性ですから、皆さん方にはわかりにくい女性の感情もあるかもわかりません。しかし、女性が働き続けることは並み大抵でないということはもう十分おわかりいただいていると思うんです。
 かつて私は、昭和四十五年に結婚した当時に、主人の職場では、奥さんを働かせることは恥ずかしい出来事だ、男の価値がない、こういうふうに言われたそうです。しかし、女性が何としてでも自分の職業を全うしていく、これはお互いが認め合う中で働き続けられるわけですし、それを社会的環境の中で体制としてつくり上げていくための一つの施策として育児休業制度、看護休暇制度、介護休暇制度があるわけです。これはどうしても今つくり上げていかなければならないと、私は声を大きくして皆さんに訴え続けたいと思うのです。
 看護休暇の問題でも、病院の中ではどうでしょうか。全国的にも、看護婦が足りないと言って長年嘆いてきています。看護婦さんが不足しているために、家の人が仕事を休みながら看護しなければならないんです。看護婦不足を補足するためにいろんな政策がやられていますけれども、まだまだ不十分です。それから、在宅福祉制度が不十分な状況の中で保健所がこれから大きな役割を果たすのではないでしょうか。訪問看護事業、在宅介護、ホームヘルパーの充足、こういったことが社会的につくられていかない限り女性が働き続けていくことが困難なことはもう目に見えています。
 女性が本当に安心して働けるということは、男性もそれだけ一生懸命働ける、ともに働く喜びを味わえるということですから、そういった点でも、女性が働き続けられなければ男性の労働現場も改悪になっていくということを皆さんも感じていただきたいと思います。この点で、奨励制度ではなくて法制化のために、知事も含めて真剣に取り組んでいただきたいことを要請しておきます。
 それから、健診センターの問題です。
 今、鋭意検討中であると言われました。欠員補充についてはされるということでした。
 きのう私は、車が保管してあるところを見てまいりました。何ともわびしいなという気持ちを持ったわけですけれども、健診センターそのものが県民の目の前に何の姿もないということが明らかになりました。
 私は、二年ほど前から委員会などでも積極的に意見を述べさせていただいているわけですけれども、健診センターそのものが間借りの事務所であるということも不思議でなりませんし、労働者が違った場所に車を一々とりに行って二重、三重の時間を費やすといったことも最初から不自然にお感じにならなかったこと自体が不思議でなりません。
 全国の地方行財政調査資料、また各都道府県には、がんセンター、成人病センター、健診センター等、いろいろ名前がありますが、資料を取りそろえていただきました。また、厚生常任委員会で私も鹿児島県を見てきました。
 この調査表を見てみると、鹿児島は財団法人鹿児島県民総合保健センターという名称になっていて、五十九年十一月九日に設立され、六十一年四月一日に開設をされています。ここに参考事項として、「昭和五十九年十一月九日に和歌山県と同理由で設立された」と書いてあるんです。ところが、鹿児島県の状況を見てみますと、これはすばらしいできなんです。国立病院の跡地で広い場所があったという条件もあったでしょうけれども、一般基礎検診等、そこへ行けばすべてしてもらえるようなシステムができていますし、同じ敷地内の裏側に十五台の検診車が見事に並んでいました。私たちおくれたところから見て、実にすばらしいと思ったんです。
 和歌山県と鹿児島県と同じ趣旨で設立されたということから見れば、どうしてこんなに和歌山がおくれたんだろうと思うんです。労働者の数も確かに違いますが、本当に県民の健康について本格的に取り組んできた鹿児島県と、早くつくったということだけを自負するような今の和歌山県のシステム、これを新しいものにつくりかえていかなければ成人病の撲滅には何の役にも立たないような気がします。
 そういった点からも、マンパワーの不足についてはぜひ計画的に養成を始めていただきたいと思うわけです。
 今、胃がん検診については、和歌山市の成人病センターの写真を見る先生方の大きな手助けを借りて進められているようですけれども、開業医の先生方は自分の夜の診察を終わってから、週二回ほど夜の十一時、十二時までかかって写真の結果を出していらっしゃるようです。こういった点からも、そういった努力をしていらっしゃる多くの方々の行為に報いるようなすばらしい健診センターをつくっていただきたいと思います。
 もう一つは、保健所の問題です。
 保健所における保健婦や検査員の数等、それにふさわしい人員体制をとっていただきたいと思います。
 たくさん申し上げましたけれども、お答えになれる部分はないと思いますので。逐次また質問をしてまいりたいし、質問したことについては必ず次回の議会でもう一回繰り返し点検をすることにいたしますので、努力のほどをお願いいたします。
 終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十六分休憩
 ─────────────────

このページの先頭へ