平成2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成二年十二月十一日(火曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第百十号から議案第百二十号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百十号から議案第百二十号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 井 出 益 弘
 2 番 和 田 正 一
 3 番 町 田 亘
 4 番 中 村 利 男
 5 番 山 本 一
 6 番 宗 正 彦
 7 番 岡 本 保
 8 番 鈴 木 俊 男
 9 番 阪 部 菊 雄
 10 番 中 村 裕 一
 11 番 平 越 孝 哉
 12 番 大 江 康 弘
 13 番 中 西 雄 幸
 14 番 橋 本 進
 15 番 古 田 新 蔵
 16 番 浦 武 雄
 17 番 堀 本 隆 男
 18 番 宇治田  栄 蔵
 19 番 下 川 俊 樹
 20 番 石 田 真 敏
 21 番 木 下 秀 男
 22 番 中 村 隆 行
 23 番 藁 科 義 清
 24 番 門 三佐博 
 25 番 尾 崎 要 二
 26 番 那 須 秀 雄
 27 番 木 下 義 夫
 28 番 上野山 親 主
 29 番 北 村 翼
 30 番 尾 崎 吉 弘
 31 番 西 本 長 浩
 32 番 岸 本 光 造
 33 番 松 本 貞 次
 34 番 浜 本 収
 35 番 和 田 正 人
 36 番 浜 口 矩 一
 37 番 山 崎 幹 雄
 39 番 田 中 実三郎  
 40 番 森 利 一
 41 番 村 岡 キミ子  
 42 番 森 本 明 雄
 43 番 中 村 博
 44 番 中 村 千 晴
 45 番 小 林 史 郎
 46 番 渡 辺 勲
 47 番 藤 沢 弘太郎 
欠 席 議 員(なし)
〔備 考〕
 38 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 川 端 秀 和
 民生部長 高 瀬 芳 彦
 保健環境部長 遠 藤 明
 商工労働部長 天 谷 一 郎
 農林水産部長 安 田 重 行
 土木部長 磯 村 幹 夫
 企業局長 吉 井 清 純
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  上 野 寛
 教育長 高 垣 修 三
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  西 本 貫 一
 警察本部長 西 村 浩 司
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────
 午前十時六分開議
○議長(岸本光造君) これより本日の会議を開きます。
 ─────────────────
○議長(岸本光造君) 日程第一、議案第百十号から議案第百二十号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 11番平越孝哉君。
 〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○平越孝哉君 質問者として久方ぶりの登壇でありますが、お許しを得て、平成二年十二月定例会における一般質問のトップバッターとして質問の機会をお与えいただき、御配慮賜りました方々に感謝を申し上げ、通告順に従って質問をいたします。
 昭和五十五年十二月定例会に県議会議員として初めて登壇の機会を得、質問をいたしてより、はや十年が過ぎました。その年は一九八〇年代のスタートの年であり、地方の時代と言われておりました。そして、その質問の冒頭、私は、「江戸時代は御三家の雄藩として栄えたわが紀州も、いまや四等県に成り下がっていると言っても過言ではないと思います。県の経済成長率も、県民一人当たりの所得も、年々凋落の一途をたどっています」と申し上げましたが、現在の県内情勢と比べれば当時は隔世の感があります。
 仮谷知事が就任された第一期目の昭和五十年代は、二度にわたる石油危機による影響下、経済の低成長期であり、繁栄のシンボルとされていた北部臨海工業地帯の基礎素材型産業にも陰りが見られ、その上、昭和六十年代に入り、円高の進展等による構造不況により和歌山県の経済はダブルパンチを受けたわけであります。こうした状況のもとで本県の持つ半島性という地理的ハンディなどを克服すべく、昭和五十三年にはJR紀勢線の電化、昭和五十五年には高野龍神スカイラインの開通、昭和五十九年には一般有料海南湯浅道路の開通等、道路交通網の整備や関連する諸施策に懸命の取り組みがなされてきたところであり、知事の県政にかける情熱と力強い政治力のたまものと感じ入る次第であります。
 知事には、五十年代、六十年代と県勢の伸展に休むことなく御努力をされてきたところでありますが、今、二十一世紀へのスタート、一九九〇年代、本格的な国際化、情報化、高齢化の時代を迎え、二十四時間世界を結ぶ関西国際空港の開港が間近になり、高速交通機関等の充実により国土軸、国際軸への直結が目前となるなど、和歌山県を取り巻く社会経済情勢は大きく変貌しつつあるところであります。今春、知事が所信の中で述べられたように、今、「和歌山丸」は順風を帆いっぱいに受けて力強く波を切って進み出したときであり、すばらしい二十一世紀へのホープフル和歌山90のスタートであると言えます。
 「もうすぐ二十一世紀がやってくる」と未来へのまくら言葉のように使われたその時代が、年がかわると九年後に迫り、時代が「昭和」から「平成」へと移り変わりました。和歌山県もまさしく新しい時代の始まりを迎え、新世紀へのビックプロジェクトの本格的な展開が県下至るところで見られるところであり、県政について私の意見を申し上げて知事の御所見をお伺いし、あわせて関係部長の御見解をお尋ねいたします。
 先般の知事の御説明にもありましたが、平成二年国勢調査概数結果によると、昭和六十年の国勢調査に比べて世帯数は増加しているものの、人口においては一万二千八百八十八人の減少という結果となっております。一方では、しばらく低迷を続けていた県内総生産がようやくここに来て回復著しく、特に昭和六十三年度は全国を上回る伸びを示しております。
 何といっても人口と経済は相関関係にあり、県勢活性化の大きなバロメーターであります。その一方のバロメーターである人口がこの五年間で一万人余りも減少している事実を見るとき、県民の間に、本当に先行き大丈夫なのかという不安を抱かせないようにしなければならないと思います。私自身も、各委員会を初め、機会あるごとに県内をつぶさに見てまいりましたが、やはりふるさとはホープフルだと確信いたしております。
 関西国際空港の南玄関口にふさわしい国際都市を目指す新しい町づくり計画であるコスモパーク加太計画、和泉葛城山系の南斜面に教育研究施設や先端技術産業の集積を図る南麓サイエンスパーク計画、紀伊半島の結節点である橋本地域における橋本林間田園都市の建設など、多くのプロジェクトが展開されており、これらの問題が今後の県勢発展のキーを握るものであると考えますので、知事の御所見をお伺いし、あわせて企画部長よりも御答弁をお願いいたします。
 次に、関西国際空港に関連してお尋ねをいたします。
 県はこれまで、関西国際空港建設を県勢浮揚の起爆剤と位置づけて全体構想の早期実現と大阪空港の廃止を強く要望してまいりましたが、関西国際空港の全体構想については、第六次空港整備五カ年計画を策定するための航空審議会中間取りまとめで新空港の事業着手が位置づけられました。しかしながら、開港後に大阪国際空港を廃止して新空港に国際・国内両線空路とも一元的に就航するというのが大前提であったのが、大阪国際空港は国内線の基幹空港として決定されたわけでありますので、県はこの事態を軽視することなく、慎重な対応が必要であろうと思います。
 それと同時に、開港延期の問題についてであります。
 このたび予想を上回る地盤沈下等の影響により関西国際空港の開港、一番機のフライトが当初予定していた平成五年春から一年半近くずれ込むと見られている問題でありますが、本県は関西国際空港の開港に照準を合わせ、七プロ三軸と銘打った空港関連地域整備計画の推進を図られ、空港開港のインパクトを最大限に享受できるようその受け皿づくりを進めるとともに、空港へのアクセス等、交通利便性を向上させるための道路整備を初め、関連公共事業を積極的に進められているところであります。
 また、和歌山マリーナシティを主会場とした世界リゾート博も平成五年の夏を目標にその開催準備が進められており、博覧会の開催で地域振興を図ろうと個性のある博覧会の企画を補助することを目的とし、補助金のほか、大型イベント開催のノーハウも提供されるという、昨年度設けられた通産省のジャパン・エキスポ制度にも認定された世界リゾート博の開催や各プロジェクトの目標達成に関西国際空港のおくれが影響を与えるのではないかと懸念するところであります。これら関西国際空港の開港のおくれ等の問題に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成元年二月定例会の冒頭において知事は平成元年を「リゾート元年」と名づけ、リゾート施策の推進を強く表明されました。第四次全国総合開発計画の基本方向である多極分散型国土形成を受け、国民に真に豊かさを実感できるライフスタイル、すなわち経済主導から人間社会主導の町づくりが全国的に展開されている中、関西国際空港の南に近接する自然資源の豊富な和歌山県が脚光を浴びているところであります。
 言うまでもなく、県の長期総合計画の基本目標はテクノ&リゾートであり、その中でテクノにおいては、基礎素材型産業に特化した産業構造からの脱却を図るべく、臨空型産業など新たなリーディング産業等の誘致を県内各地で積極的に進められているほか、地域産業の高度化や人材育成を図るため、近畿で初めての計画承認を受けた頭脳立地構想を推進すべく海南インテリジェントパーク並びに和歌山リサーチラボの整備が平成四年の完成を目標に進められております。
 そこで、長期総合計画のもう一方の柱であるリゾート開発の推進に向けてのリード役を果たす燦黒潮リゾート構想については、本年八月末に国に対して承認申請されたと聞いておりますが、その承認はいつになるのか、また今後どのような取り組みをされていくのか、企画部長にお尋ねをいたします。
 次に、紀伊丹生川ダム建設にかかわる水源地域整備対策と、それに関連する国道三百七十一号の整備についてお尋ねをいたします。
 昨年六月、建設省は紀伊丹生川ダム調査事務所を開設し、実施計画調査に取り組んでいるところでありますが、地元関係者が先行きに対する不安と焦燥に呻吟している中で、地元選出議員としてその成り行きに強い関心を持ち、あえて発言をするものであります。
 二十一世紀にふさわしい豊かさと安らぎのある地域づくりの基盤として紀の川水系における治水・利水両面にわたる総合的な施策の推進は和歌山県政の最重要課題であり、流域住民が長年にわたり求めてやまなかった洪水災害のおそれのない紀の川、水不足のおそれのない紀の川、真の母なる紀の川づくりの一日も早からんことを願うのはすべての人であります。
 豊かで潤いのある、快適で健康的な生活の場づくりとして、さらには水の活用など、水の持つ多面的な機能を積極的に生かした新しい水社会の形成という時の流れにさお差す気持ちもありませんし、推進すべきであると思います。しかしダム建設は、治水・利水の面からは極めて公共性の強い事業であり、一方、関係地域住民に与える影響には非常に大きいものがあります。広い範囲にわたる水没が生じるため、単に住民の土地や家屋が水没するのみでなく、生活基盤を支えるコミュニティーそのものを失うことが多く、周辺地域の住民に与える影響も大きいものがあります。
 ダム建設の予定地は過疎化に悩む農山村で、また山間部であるため、代替地の確保や就労の場の確保の見込みは難しく、このためにダム建設後の新しい生活に対する不安にははかり知れないものがあります。
 ダム建設による治水・利水の受益は、ともすると下流地域に限られる一方、水源地域は産業や生活が失われてしまうため下流受益者に対する犠牲感が強くなるのもむべなるかなと思われますし、水源地対策の必要性、重要性をさらに確かめ、一層の相互理解を深めることこそが事業推進につながるものではないかと確信するものであります。
 当地域の伊都・橋本地方は東の玄関口としての機能を持った要衝の地であり、近くは、世界にも誇り得る全国屈指の文化資産である真言密教の聖地・高野山、そして高野龍神国定公園、かつらぎ高野山系県立自然公園など、自然環境にすぐれている地域であります。こうしたことから、交通基盤の整備、観光レクリエーション産業の形成、そして生活基盤を充実させることにより、より一層の発展の可能性を秘めた地域ではないかと考えております。
 地域振興のリゾートづくりとして各種の企画を列記してみますと、ゴルフ場、リゾートマンションやホテル、森林公園、湖上公園、長期滞在型医療施設、企業の研究施設等、いろいろなことが考えられますが、今後、各地で行われるリゾート開発との競合から他のプロジェクトとの選別化が重要なテーマであり、社会生活様式の変化を見通し、車社会と高齢化社会のニーズを視点にとらえて周辺地域整備基本構想を策定していかなければと考えます。
 このように、ダム建設を契機として、こうした地域の持つポテンシャルを生かし、水源地域は無論、地域全体の活性化がされるような整備計画であってこそ水没地域や周辺地域が喜んで県政に参加できるのではないかと考え、地域整備方針をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、伊都・橋本地方の懸案事項は、紀伊丹生川ダムの建設とともに国道三百七十一号、京奈和自動車道、県道和歌山橋本線などの道路交通網の整備でありますが、これについては九月議会でその進捗状況についてただされました。
 国道三百七十一号は、河内長野市を起点として串本町に至る延長約二百三十キロメートルの国道であります。そのうち橋本市─龍神村間は、和歌山県長期総合計画の中で県内幹線道路網いわゆる三─五軸のうち空の道として位置づけられているところであり、県内幹線道路網の骨格を形成する路線であります。また、起点の河内長野市において大阪府の外環状線を形成する国道百七十号と接続して関西国際空港に直結する国際軸であり、橋本市では、京都、奈良、和歌山等、近畿大都市圏の主要内陸都市を結び、国土幹線軸の名神高速道と接続する高規格幹線自動車道・京奈和自動車道と交差する幹線道路であります。今後とも地域活性化のため各路線の整備が緊急な課題であり、必要不可欠なことであり、紀伊丹生川ダム建設は、前段申し上げたとおり地域の活性化に寄与するものと考えています。
 そこで、紀伊丹生川ダム建設の進捗状況と地域整備を絡めた中で三百七十一号橋本─高野山間のバイパス整備、市脇─清水間の紀の川架橋について、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、高齢者問題についてお尋ねをいたします。
 毎年九月十五日は「敬老の日」、高齢者や老いに関する問題が最も注目を浴びる日であります。しかし、最近は日常的に高齢者問題が新聞やマスコミで取り上げられ、一般の関心や理解が深まってきておりまして、特に中年以降は自分自身を含めてしっかりした老後観を確立し、今後の問題を考えていかなければならない時代であろうと思います。古来から続いた「人生五十年」時代から今や「人生八十年」時代にと移り変わり、人類の求めてやまなかった長寿の時代が到来しましたが、現状を展望したとき、果たして喜んでばかりいられないと思います。
 我が国がいかに長寿社会になったか。百歳以上の高齢者が三千三百人にも及ぶ現状がこれを象徴的に示しており、総人口に占める六十五歳以上の人口割合いわゆる老年人口比率は昭和初期から昭和三十年ごろまでは五%前後で推移してまいりましたが、昭和四十五年には七・一%、昭和六十年には一〇・三%と急激な上昇カーブを描いており、平成二年には一一・三%にまで上昇をしております。
 厚生省人口問題研究所の試算によりますと、平成三十二年にはピークとなり、実に二三・六%に及ぶと推測されております。あと三十年余りどんどんふえ続け、四人に一人が高齢者という社会が到来するのであります。しかも、老年人口のうち七十五歳以上の後期高齢者がふえ、ピーク時には六〇%近くに達すると言われております。これが必然的に痴呆性老人と寝たきり老人の増加につながり、要介護老人の増加につながるわけであります。痴呆性老人六十万人、寝たきり老人六十万人という現状が、十年もすればこの倍の数になり、ピーク時にはそれぞれ二百万人を超すのではないかとも言われております。
 そこで、本県の高齢化の現況について県老人福祉課の調査をもとに考えますと、平成二年四月現在の老年人口比率は全人口の一五%で、六十五歳以上の人口は毎年着実にふえており、今年度では約六人に一人を占め、その数は十六万二千九百八十六人と全国平均を大きく上回り、十三位の高齢県であります。このままで推移すると平成三十二年には、国の二三・六%に対して二七%近くの比率になると推計されております。特に郡部の高齢化の進展が顕著であり、東牟婁郡北山村が県平均の倍以上になる三一・九%、伊都郡花園村では二四・五%と山間部を中心に二〇%以上の自治体が十七町村もあり、和歌山県の十年後の実態が過疎化の進む山間僻地の現状であると言えます。
 県におかれても、知事を先頭に高齢化の社会的要因の一つである過疎の歯どめに大変御努力を賜っておりますが、今後、高齢者に配慮した環境整備に今から着手しなければなりませんし、そのためにも、従来の福祉のイメージではなく、ソフト・ハードを含め、町づくり、地域づくりにおいて高齢者や障害をお持ちの方も含めてみんなが住みやすい社会といったコンセンサスと長寿社会という幅広い視点が求められております。
 老後には孤独がつきまとい、地域に溶け込めない高齢者も多く、特にサラリーマンOBの場合にはそれが顕著であります。定年後の孤独な人たちを数年前までには「粗大ごみ」、はがそうとしてもなかなか離れない「ぬれ落ち葉」、ついこの間までは、妻が出かけようとすると、わしも行くとまとわりつく「恐怖のわし男」など、ひどい例えがありますが、老人病院、特別養護老人ホーム、在宅サービス、老人保健サービスなど、老人保健福祉の体制は地域中心に組み立てられており、地域社会が中心であります。
 そこで、地域の老人クラブなどで元気老人が活躍しているのを横目に一日じゅうぼうっと過ごしているより、地域社会の中に溶け込み、気楽に語り合い、スポーツにと気安く取り組めるいわゆる文化的学習機会の場の充実や健康維持にも役立つスポーツ施設の充実等も含めた社会的な要請も出てくるものと思います。
 こうした人口の高齢化に伴い、寝たきり老人や痴呆性老人を初めとした介護を要する高齢者の増加や元気なお年寄りの生きがい対策など、解決しなければならない問題が山積しております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 本県の高齢化が全国平均より十年も先行しているという現実を踏まえ、進み行く高齢化の中でいかにして豊かな長寿社会を築いていこうとされているのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、民生部長にお尋ねをいたします。
 先般、国において高齢者保健福祉推進十か年戦略計画、通称・ゴールドプランが策定され、平成十一年度を最終年次に在宅福祉、施設福祉の整備目標が示されたところであります。加えて、福祉諸法の改正により市町村への権限委譲がなされることとなりましたし、実施計画についても県及び市町村で平成五年度施行に向けて福祉計画を策定することとされておりますが、平成十一年度までの計画を早急に作成すべきではないかと考えます。その内容と本県での整備方針、スケジュールをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、保健環境部長にお尋ねをいたします。
 九月の新聞報道等で、長野地裁は長野県の会社員とアルツハイマー病の妻との離婚を認める判決を言い渡しました。この御夫婦の場合は、奥様が老人性痴呆症いわゆるアルツハイマー病であり、夫が最大限の介護等をしてまいりましたし、また妻は長野県内の特別養護老人ホームに入所しており、今後の介護に不安のないことが裁判官に認められたわけであります。しかし、この高齢化社会で老人性痴呆症の一つであるアルツハイマー病が離婚の原因になると聞いて、何か割り切れないものを感じるのは私一人ではないと思います。
 老人性痴呆症は脳血管障害とアルツハイマー型があるのは御存じのとおりでありますが、アルツハイマー型は原因も治療もはっきりしていないのが現状であり、これら二つを合わせて約八十万人の患者がいると推定をされております。病院などの施設に入っているのは約二十万人だけで、大多数は家で家族の介護を受けているのが現状であります。今後、高齢化とともに急増し、十年後には百二十万人と予測されておりますが、このような痴呆性老人を抱えた家族の負担の重さは、寝たきり老人の介護と並んで、想像を絶するものがあります。
 寝たきりや痴呆性老人の世話をする介護者は女性が八割強と多くなっており、三人に一人が老人介護のために仕事をやめると言われます。私の知り合いで、老夫婦は老人性痴呆症と寝たきりであり、御夫婦は共稼ぎであるため、就職を控えた孫娘に面倒を見させておりましたが、限度があり、無理を言って老夫婦は介護施設にお世話になりました。
 このように、患者を抱える御家族にとっては、失禁、徘回、暴力など、介護してみなければわからない壮絶な御苦労があります。そして、介護の問題は個人の力だけでは解決できませんし、国や地方自治体の独自の支援策が急務であります。最終的な福祉施設としての受け皿整備は当然のこととして、痴呆にならない方策、予防やメカニズムの解明、そして治療も含めた医療研究施設部門の充実が必要であり、高齢化対策としては福祉と連携を密にした車の両輪としての施策が求められています。
 この問題は、行政経費の増加防止もさることながら、人生八十年をいかに健やかに全うするかという個人の生き方の問題にも帰結するものであり、社会の活力維持のためにも最も必要ではないかと考えます。
 そこで、今後、重要な課題となるであろう痴呆性老人の現状と、それを受けての予防並びに医療対策の必要性についてどのようなお考えをお持ちなのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねをいたします。
 農業を取り巻く環境は、主要農産物の需要の停滞など非常に厳しい状況にあり、農村においても後継者問題、高齢化の進展、過疎化等、いろいろな課題を抱えており、オレンジ等の輸入自由化は果樹を基幹作物とする本県農業に大きな影響を及ぼしているのは御承知のとおりであります。
 例えば人口の高齢化は、本県の農業従事者においても深刻な問題となっております。最近の農業調査結果によりますと、農業従事者のうち六十歳以上の占める割合は、昭和五十七年では二七%であったのが年々増加し、昭和六十三年では三六%となり、二・五人に一人が六十歳以上の高齢者で、後継者問題とともにこのような状況に対応できる施策の展開が必要であります。
 また、関西国際空港の開港と空港立地による周辺地域の発展、県内空港や道路網の整備等、需要の一層の拡大と新たな流通手段の展開が期待されるプロジェクトが着々と進められており、温暖な気候、多様な地形、京阪神大都市圏に隣接した地の利等を考え合わせれば、生産農産物周年供給基地としての本県の位置づけは一層高まるものと予想されます。
 こうした背景から、県下最大の農業地帯で都市化、混住化が急速に進展している紀の川流域の農業、農村像を展望すると、豊かな実りと活気あふれる農業と商工業が共存共栄した、安らぎと潤いのある農山村を構築していくのが我々に課せられた責務であり、消費者に期待される高品質生鮮農産物の生産振興、国際化に対応し得る農道等の生産基盤を基本とし、就業の場となる工場用地の造成、観光農業などの導入や都市との交流施設の整備を進めるなど、農山村空間の高度利用に努めることが若者を定着させ、農業後継者を育てる要素にもなり、農山村地域の真の活性化につながるものであると思います。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 まず、高品質生鮮農産物生産の経営事例と、それを実現し、産地化を図るための施策についてお伺いをいたします。
 次に、中山間地域農村活性化総合整備事業において地域指定された九度山町入郷・慈尊院地区の整備計画と活性化の推進方策について、あわせてお尋ねをいたします。
 現在の新聞報道等を見ると、公共投資の増額に対し、従前の公共事業シェアの見直し、特に農業基盤整備事業を削減対象とした経済界の論調が大きく取り上げられており、公共投資が都市にのみ集中し、農村地域が低位な条件のままで取り残されないように努力をしなければなりません。
 紀の川流域の農業基盤状況を見ると、紀の川地区広域農道が完成を目前に控え、国営十津川紀の川農業水利事業、県営安田島圃場整備、農免道路整備事業などが実施され、農業構造改善事業などにより諸施設の充実を図られているところであります。今後とも農家の後継者が意欲を持ち、将来に夢を持てる基盤整備が必要と考えますが、御所見をお伺いします。
 また、紀の川左岸地域の農業振興の基幹をなすものとして関係市町ともども要望している広域営農団地農道、通称・河南農道の計画規模と今後の取り組みについてお伺いをします。
 最後に、かんきつ園地再編対策等についてであります。
 本対策は、オレンジ、果汁の輸入自由化対策の一環として、来るべき自由化に備え、全国的に過剰基調にある温州ミカン、ハッサクなど、早急に需給均衡を図る目的で昭和六十三年度から三カ年実施されているものであり、本対策は全国的にも順調に推進されていると聞き及んでおりますが、紀北地域においても、ミカンやハッサクから柿、桃、イチジク、スモモなどの落葉果樹に転換されるとともに、施設栽培への取り組みも急速に進んでおります。しかし全国的に見ると、ミカンもハッサクも切り過ぎているのではないかという議論や最終年度の対策予算が不足しているとの報道もありますが、本県の実施状況と今後の見通しについてお伺いをします。
 近年、果実の消費は高度化や多様化が進展する中で紀北地域の農業が大きく変わろうとしており、果樹生産は、消費嗜好に合った高品質な果実をより低コストで生産できる技術の確立とその普及が極めて重要な今日的課題であります。こうした意味から、今後とも果樹園芸試験場紀北分場の果たす役割がますます大きくなってくるものと考えます。
 紀北地域の果樹農業の拠点である紀北分場は、昭和二十八年創立以来、いち早く柿の人工受粉や脱渋技術、桃の生産安定、さらに柿、桃、イチジク等の施設栽培技術の開発等、他府県に先駆けて確立するとともに、地域の生産農家のよりどころとして親しまれ、本県果樹農業の進展に大きく寄与しているところであります。しかしながら本分場は、昭和二十八年設立以来、既に三十七年を経過し、建物初め研究施設の老朽化が進んでおり、かねて岸本議長などからも指摘をされているように、今、紀北地域はかんきつ園地再編対策や臨空農業地帯として大きく生まれ変わろうとする重要な時期だけに、私も、この分場を近代的な試験場として施設の整備拡充を痛切に感じるものであります。この点についても、あわせて御見解をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わりますが、二十一世紀へのスタートに当たって、和歌山県のイニシアチブにより、十月三十一日に広域経済文化圏づくりを目指して西日本の関係十七府県八経済団体から成る第二国土軸推進協議会が設立されました。新聞の報道によりますと、第一軸に集積しているのは二次産業が中心だ、豊かな時代を支える第二軸はR&R(リゾート・アンド・リサーチ)がテーマになろうと知事は指摘されたそうですが、まさにそのとおりであり、世界都市関西復権の潮流の中で、豊かな自然に恵まれた新たな開発拠点としての本県の役割の重要性が日に日に高まりつつあることを実感しました。
 間近に控えた関西国際空港の開港、近畿自動車道の南伸など、フォローの風が吹くこの時期をとらえ、活力と文化あふれるふるさとづくりのため、知事を先頭に県民挙げての取り組みが必要不可欠であると考えます。
 知事におかれても健康に十分御留意され、県勢のますますの発展に御精進賜りますよう切に要望し、私の質問の結びとします。御清聴まことにありがとうございました。
○議長(岸本光造君) ただいまの平越孝哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 平越議員にお答え申し上げます。
 本県の人口状況及び今後の見通しについてでございます。
 冒頭、私も述べさせていただいたところでございますけれども、今回の減少の要因は何かと言えば、昭和六十年に端を発した円高の影響が各企業の合理化という問題と結びついたことによるものではないかと考えられます。しかし一方において、大規模開発をしている橋本、また企業誘致をしているところにおいては人口が増加をしており、今後に向けて明るい材料ではないかと思っております。
 今後の見通しといたしましては、先ほども話ございましたけれども、昭和六十二年以降の経済成長の発展が人口増加に大きな影響を与える要素だと思っておりまして、今後とも、企業誘致並びに各種プロジェクトの推進等について、県勢活性化のためになお一層努力してまいりたいと思います。詳細については企画部長から答弁申し上げます。
 次に、関西国際空港遅延とその影響についてでございます。
 竹内社長も申しておりますように、予想を上回る地盤沈下等、種々の問題により関西空港開港が予定よりもおくれるという非常に厳しい状況でございます。
 これまでにも本県は、空港建設に当たり、加太の土砂搬出等、積極的に協力してまいりましたし、またそのインパクトの受け皿づくりについても、県民の利便性の向上や県勢活性化のため交通アクセス等に努力してまいったところでございます。
 開港の時期につきましては、現在県が進めておる各プロジェクトと非常に関係する問題が多く、特にマリーナシティにおける世界リゾート博は平成五年の夏を目途に進めておりますけれども、開港延期が決定されたときにどうするかということで、その開催時期も関係者と相談していかなければならないと思っております。
 今後なお一層、関空株式会社に対し、早期開港について最大限の努力をするように引き続き要請してまいります。また、関連する諸問題についても、県議会とも十分相談させていただきながら対処してまいりたいと考えてございます。
 何と申しましても、県益のために、また県民の利便性を確保するために関西国際空港を世界に誇る空港にしなければなりません。議員御指摘の全体構想の実現についても全力を挙げて進めるつもりでございますし、本日も副知事がオール関西の岸知事、宇野会長等と一緒になり、国に対して強く陳情に参っているところであり、議員の皆さん方の御支援をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 次に、高齢者対策でございます。
 議員からるる国の状況、県内の事情等についてお話ございましたように、超高齢化社会を目前に控えており、この問題が国政にとっても県政にとっても緊急の課題でございます。
 県民のだれもが楽しく長寿を享受できる社会を築くためには、御提言ございましたように、環境整備、地域づくり、また生きがい対策等々、社会全般にわたる問題についてソフト、ハードの両面から総合的な対策が望まれているところでございます。
 このため、本年の一月に和歌山県においても長寿社会総合対策指針を策定し、これから迫りくる長寿社会に向けての基本的な施策の方向について明らかにしてきたところであり、また本年の七月には、高齢者の需要にこたえるため、高齢者無料職業紹介所を設置したところでございます。さらに、高齢者に対する住宅や公共施設等の問題についても、設計指針として現在検討を進めているところでございます。
 とにかく、総合的な視点から長寿社会を考えていかなければなりませんし、そのためには市町村を含めて行政の一体的な推進を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、人口問題と各プロジェクトの展開についてお答えを申し上げます。
 本県人口の状況並びに今後の見通しについては先ほど知事から答弁がございましたが、まず本県の人口の推移といたしましては、昭和五十七年の百九万五百二十一人をピークに、昭和五十八年から減少傾向に転じているところでございます。
 この要因といたしましては、昭和五十七年までは県外への人口流失による社会減を出生による自然増でカバーしてきましたが、昭和五十八年以降は自然増が社会減を下回る水準となっているところでございます。さらに昭和六十年以降は、円高や構造不況から来る本県基幹産業の鉄、石油、化学等の基礎素材型産業の低迷、各関連企業の合理化による人員削減等により、この五年間で一万二千八百八十八人の減少となっております。
 一方、その内容を分析いたしますと、八つの市町村で人口が増加しておりますが、その要因としては、大規模宅地開発、企業誘致の推進、交通体系の整備、地域産業の活性化等が考えられるところでございます。
 今後の見通しといたしましては、先ほど知事が答弁されましたが、一、最近の企業進出の状況から見ると、平成三年度以降は各種進出企業の本格的な操業が始まり、新たに相当規模の雇用者増が見込まれること、二、各種の大規模プロジェクトが順調に推移していること、三、昭和六十三年度においては経済成長率が五・五%と国の水準を上回って七年ぶりの高い伸び率となっていること等々から、今後、県人口が増加をたどる要素は十分あるものと考えてございます。
 なお、住民基本台帳人口結果では昭和六十年度からの減少傾向に歯どめがかかり、平成二年においては対前年三月末比五百九十一人の増、九月末比千四百七十八人の増となっているところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想についてお答えを申し上げます。
 まず、リゾート構想の承認のめどでございますが、昨年五月に国に基礎調査書を提出いたし、本年八月二十九日には正式に承認申請を行い、関係省庁と協議を重ねてまいりましたが、現在、関係六省庁において承認のための最終の事務手続中でございますので、十二月中には承認が得られるものと考えております。
 次に、承認後の取り組みについてでございますが、構想の実現を図るため民間企業の積極的な立地促進に努めるとともに、地元産品のリゾート地への供給やフィッシャーマンズワーフ、観光農園等、リゾート産業への地元の参画、リゾート客への快適なサービスを提供していくためのすぐれた人材の育成、確保等を図り、さらに景観にも配慮し、自然環境や周辺景観と調和した質の高いリゾート地の形成を目指してまいりたいと考えてございます。
 今後、地元市町や重点整備地区に設置をする燦黒潮リゾート構想推進協議会等と密接な連携を図りながら、活力ある快適な町づくりを推進してまいりたいと考えてございます。
 最後に、紀伊丹生川ダムの周辺地域整備についてお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、伊都・橋本地域は自然環境にすぐれた地域であり、交通基盤等の整備により一層の発展が見込める地域であると考えておりまして、県の長期総合計画においても交通情報基盤の整備、高野文化リゾート基地の形成、産業の振興等、紀伊半島内陸部における拠点として整備を図ることとしてございます。
 紀伊丹生川ダム建設に伴う水源地域整備につきましては、ダム建設により影響を受ける地域住民のため、生活、産業、交通基盤を整備して生活の安定を図らねばならないと考えており、現在、基本構想を策定し、検討しているところでございます。
 今後は、建設省により進められている実施計画調査の進捗にあわせ、水源地域整備計画を策定してまいる所存でございます。
 なお、周辺地域整備につきましては、ダム建設を契機とし、地域の持つ特性を生かした周辺地域全体の活性化を図るため、国、地元市町ともども検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀伊丹生川ダムの建設についてでございます。
 建設省では平成元年度から実施計画調査に着手しており、平成二年度は調査費二億円で水理水文調査、水質測定、橋本側ダムサイトにおいてボーリング調査を実施しているところであります。また、水源地域の方々への対応につきましては、重要な問題と認識しており、十分な調査を実施することとしております。
 県といたしましては、地元関係者の御理解と御協力を得られるよう地元市町と密接な連携を図り、平成十二年度完成を目指して積極的に努力してまいります。
 次に、国道三百七十一号の整備についてでございます。
 橋本─高野山間の道路計画につきましては、紀伊丹生川ダムの堤体の高さや計画高水位等により道路の線形が影響を受けることとなりますので、紀伊丹生川ダム建設計画の進捗に合わせながら道路計画を検討してまいりたいと考えております。
 また、市脇─清水間の紀の川架橋につきましては、国道三百七十一号の橋本橋が昭和五十三年にかけかえされたばかりでありますので、河南地域での土地利用状況、及び現在河南地域で事業中の県道和歌山橋本線の交通状況の推移を見ながら検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 老人保健福祉計画についてお答えいたします。
 本県の長寿社会総合対策指針に掲げている長寿社会対策の目指す方向の柱の一つである安心して老後を迎えられる社会づくりのためには、保健サービス、福祉サービスの連携の中での総合的な支援が不可欠となっております。このため、法改正並びにゴールドプランを受けて、本県としては二十一世紀を見据え、将来的展望に立った目標の中で具体的対策を図るためのプラン、すなわち老人保健福祉計画を策定することとしてございます。
 計画は、現状把握をもとに、サービスの実施目標、サービスの供給体制の整備・確保、さらに社会参加活動等の生きがい対策等を内容とし、市町村レベルと県レベルの二層構造とすることとしております。
 今後の策定スケジュールにつきましては、改正された関係法において平成五年四月施行となっておりますが、計画の緊急性、重要性にかんがみ、本県では既に市町村との協議を始めており、平成三年度において基礎調査を行い、平成四年度中に計画の策定を完了したいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 痴呆性老人の現状につきましては、六十五歳以上の老人人口全体に対する出現率は四・八%と推計されてございます。
 今後、老人人口の増大に伴い、さらに痴呆性老人が増加することが憂慮され、その対策として、調査研究の推進、発生予防対策の充実、在宅保健福祉対策、施設整備、その他の基盤整備を総合的に実施していくことが必要であると考えております。
 予防対策として、脳血管性痴呆については老人保健法による保健事業の一環としての健康教育や健康診査を行っているところであり、アルツハイマー型痴呆については今後の研究課題であると考えてございます。
 次に医療対策としては、医療の必要な痴呆性老人については症状に応じた適切な医療の供給が必要であり、現在、病院、老人保健施設等において対応をしているところでございますが、今後、さらに医療関係者の資質の向上を図ってまいる所存でございます。
 なお、在宅保健福祉対策につきましても、介護者のための老人介護セミナーを保健所単位に開催しているところであり、今後とも痴呆性老人対策フォーラムやリハビリテーション講習会等により、老人性痴呆に関する啓発を進めてまいりたいと考えております。
 今後、さらに保健・医療、福祉の両面にわたり連携をとりながら痴呆性老人対策を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(岸本光造君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業問題について五点の質問でございます。
 紀の川流域における高品質農産物経営の事例の問題でございますが、これまで県においては、本県の地域特性を生かした収益性の高い農業の実現に取り組んできたところでございます。特に関西国際空港の開港など新しい需要動向に向けて施設園芸タウンづくりを進める中で、最近、従来からの露地栽培に加え、施設栽培を取り入れた経営が多く見られており、果樹では樹上脱渋柿や桃、柿などのハウス栽培、野菜では裏作野菜と組み合わせてのトマトやミツバ等の軟弱野菜の養液栽培、イチゴの低温処理早出し栽培等が導入をされております。また花では、野菜、果樹との複合経営の中で特にバラのロックウール栽培が取り入れられており、いずれも高品質、高収益営農が行われております。
 さらに、オレンジ自由化対策として実施したかんきつ園地再編事業でも、ミカンやハッサク園から柿、桃への転換が急激に進み、経営の改善に大きく寄与していくものと考えております。
 今後とも適地適作の産地化を図るため、圃場整備や農道などの生産基盤の整備を最優先しながらいろいろな補助事業、融資事業による施設園芸タウンづくりを一段と推進する一方、試験研究機関においては、バイテクによる新品種の開発や新作型など新しい栽培技術を通じ、周年供給体制づくりに鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、広域河南農道についてでございます。
 議員の皆様方を初め、関係の市町村長及び地元の皆様方の強い御要望を受け、橋本市よりかつらぎ町に至る延長十八キロメートル、総事業費九十七億円の計画となっております。広域営農団地農道整備事業紀の川左岸地区として、国に対して平成三年度新規事業採択の要望を行っておるところでございます。新規事業のために難しい問題もありますが、採択に向けて積極的に努力してまいる所存でございます。
 なお、那賀地域への延伸につきましても、本年度より調査を行っているところであります。
 次に、中山間の農村活性化総合整備事業の問題でございます。
 この事業は、全国的に事業採択希望が大変多い事業でございました。入郷・慈尊院地区では、九度山町の農業の中核的な地域でございますが、急傾斜地も多く営農条件が厳しいため、この事業をいち早く積極的に導入をいたしました。用排水、農道、圃場整備の総合的な事業実施により農家所得の向上に努め、営農飲雑用水、農業集落排水事業を実施し、農村環境の改善をも図ることにいたしてございます。
 また、この事業で受益地内に企業誘致用地を造成し、安定就労の場を確保するなど、農村として多面的な施策を実施し、地域の活性化を推進しようとするものでございます。
 議員お話しのように、農業後継者が意欲と夢を持てる地域づくりを推進するため、今後とも急速に都市化、混住化が進む地域にマッチした生産基盤、環境基盤の整備を図っていく所存でございます。
 次に、紀北分場の整備の問題でございます。
 お話のように、当分場は落葉果樹の試験研究を主体として昭和二十八年に設置をされて以来、今日まで本県果樹農業の発展に大きく寄与してきたところでございます。今回のかんきつ園地再編対策や消費者ニーズの多様化、国際化の中で、今後、果樹園芸試験場の果たす役割がますます大きくなるものと考えてございます。
 紀北分場は既に三十七年間を経過しており、施設等の老朽化が進んでいることは御指摘のとおりでございます。紀北地域の農業振興と高度技術への対応の面からも、施設の整備充実については真剣に検討をしてまいりたいと存じます。
 最後に、かんきつ園地再編対策の実施状況と見通しの問題でございます。
 かんきつ園地再編対策の実施状況につきましては、本県温州ミカンの国から割り当てられた転換目標面積二千四百二十ヘクタールに対し、最終年度のことしの実施計画を含めた三カ年の達成見込み率は八四%、約二千ヘクタールであります。またハッサク等中晩柑類では、全国転換目標面積四千ヘクタールに対し、和歌山県ではハッサクを中心に全国の約三〇%に相当する千百五十ヘクタールの大幅な実施となります。
 その特徴を見ますと、他府県では廃園が七〇%を占めるのに対し本県では三七%と、低うございます。一方、他果樹への転換が全体の五五%と最も多く、このことは、紀の川流域での落葉果樹への転換や有田地域での高品質ミカンへの取り組みに見られるように、地域の特性を最大限に生かす等の営農意欲が大変高いということがうかがわれます。
 なお、この事業につきまして、議員お話しのように助成金の財源不足の問題が起こっておりますが、これは全国的に補助金額の最も高い廃園面積が当初予想以上に多かったことによるものであり、不足財源について、国は今通常国会に補正予算案を上程いたしております。
 今後、本県といたしましても、実施農家の希望が十分満たされるよう財源の確保に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、平越孝哉君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 それでは、一般質問を申し上げてまいります。
 まず最初に、関西国際空港開港のおくれの問題に関連して、本県としての対応策についてお尋ねを申し上げます。
 かねがね関西国際空港開港の時期の点でいろいろの取りざたがございましたが、十一月二十二日の朝日新聞の報道によりますと、一年半開港がおくれるということであります。報道の内容では、十一月十九日朝、大阪市内のホテルで竹内関空会社社長、岸大阪府知事、宇野関経連会長、小林大商副会頭の四者会談を開き、「開港目標を当初予定より最大一年半延長し、『九四年九月』とすることで合意した」、また「建設中の一期工事の事業費増加分は、延期に伴う金利負担増を含めて四千七、八百億円に上り、地元の自治体と民間企業も負担することが確認された」としております。関空会社はこうした会談の結果に基づいて近く運輸省に説明を行い、十二月上旬の閣議に報告して開港延期を正式に決定することになろうという記事でございましたが、十二月六日午後六時三十分からのテレビニュースでは、既に運輸省に報告されていたということであります。
 こうした報道内容からして重要と思われる点を申し上げますと、まず第一点として、開港予定の平成五年春を目標にして本県が取り組んできた長計の中期計画におけるプロジェクト、イベント等の作業の問題であります。二つには、四千七百億円ないし四千八百億円の地元負担の問題であります。三つには、全体構想の進め方、これに伴う地元負担のあり方等が挙げられます。特に地元負担の問題は極めて大きい問題になってきたことを、まず強調しておきたいと存じます。
 そこで、知事からお尋ねを申し上げてまいります。
 十一月十三日、関西空港の竹内社長が来県され、知事が不在でしたので副知事がお会いになられたようですが、話の内容はどういうことであったのか、今申し上げた地元負担の問題にまで話が及んだのかどうか、副知事からどのように報告があったのか、詳しく御説明いただければと存じます。
 次に、企画部長にお尋ねをいたします。
 前段、開港のおくれの問題で十一月二十二日に報道があった点について申し上げてまいりましたが、当局としてこれらの点についてどの程度の情報を得られているのか、明らかにしていただければと思います。
 開港の時期が一年半おくれることは決定的であります。そうした場合、中期計画の策定の中で平成五年春として作業を進められてきた各種の事業等について今後どのように対応していかれるのか、御説明願いたいと思います。
 重ねて、知事にお尋ねをいたします。
 前段で申し上げましたように、一期計画の事業費が四千七百億円ないし四千八百億円増加することで、知事、県議会が全く関知できない状況のもと、四者会談なるものでもって本県に負担を求めるようなことを申し合わせることは言語道断であります。決して県民が納得できる問題ではございません。かかる取り決めを行ったことに対し、知事としてどのような認識を持たれておるのか、率直な意見を聞かせていただきたいと思います。
 今後においてこうした負担問題が具体的にされてまいりますが、知事におかれては、より慎重な対応がなされなければなりません。負担問題にどう対応するのか、お伺いをいたしたいと存じます。
 このほど第六次航空審議会答申の中間まとめがあったばかりでありますが、中でも全体構想の進め方については、地元負担のあり方の問題を初め、採算問題、埋め立てによる地盤沈下の問題などが障害事項とされていたことは御承知のとおりであります。第一期工事の一年半にわたる大幅な工期延長問題は、中間取りまとめでの全体構想推進の難問点を決定づけたものと思料いたしております。したがって、全体構想推進の課題は完全に行き詰まったものと見られるのでありますが、知事の御判断についてお伺いをしておきたいと思います。
 次に、平成三年度県予算の編成について重点的にお尋ねを申し上げてまいります。
 当局におきましては、県予算編成方針を各部局に示され、既に各部局からの要求も出そろい、査定前の調整作業に入っているものと存じます。来秋、知事選挙がある関係から、編成に当たっては、これらを想定した新味のあるものにしたいということもおありでございましょう。しかし、平成三年度予算編成をめぐる全般的な情勢が厳しい環境にあるため、相当苦労の多い予算編成になるものと判断をいたしております。
 大蔵省は、このほど平成三年度予算案における税収見積もりを発表いたしましたが、それによりますと、景気の減速、高金利、中東湾岸危機に伴う原油高、株式市場の低迷などの影響によって企業の収益が低下し、法人税の伸びが期待できないとされております。このために平成三年度の自然増収の見積もりを平成二年度補正予算案での修正後に比べて約二兆四千億円とされたようで、平成二年度では七兆円の増収となったのでありますから、いかに厳しいかをうかがうことができるのであります。
 そこで、本県の場合の平成三年度予算案における県税収入の見積もり状況について調査した内容を申し上げたいと思います。
 法人二税の関係でありますが、従前から産業構造が鉄鋼、石油に特化していることが県財政の底を浅くしている問題として、しばしば論議のあったところでございます。これがために、たび重なる構造不況の中で県財政の足を大きく引っ張ってまいりましたが、ようやく復調の兆しが見え、住友金属においても一定の税収が見込めるようになってまいりました。しかし、本年九月の中間決算におきましては、それに陰りが出始めたということでございます。
 東亜燃料の関係でありますが、構造的不況、オイルショックの中でも税収においては比較的堅調であったことで救われてきたのでありますが、事ここに至り、九月度の中間決算ではかなり収益が低下してきているようであります。
 今日まで堅調続きでまいった金融、証券、生保、損保関係におきましては、九月の中間決算が極めてよくないということのようであります。好況を反映して大幅な増収が見込めるという状況は皆無と見なければなりません。
 このような事態にある法人二税は県税収入全般の中で大きい比重を占めているだけに、平成三年度における県税収入の見積もりは、かつて見られなかった厳しい環境に置かれているものと判断いたしているところであります。
 平成二年度では、過去低迷を続けてきた税収の伸び率でかなりの復調過程にあるとされてまいりましたが、平成三年度では二年度の当初額を確保すること自体が難しいのではないかと見ておるのであります。当局はどのように判断しておられるのか。
 なお、平成二年度予算でも最終補正で県税収入を減額しなければならないのではないかとも見ておりますが、総務部長からお答えをいただきたいと存じます。
 地方交付税関係についてお尋ねをいたします。
 前段でも平成三年度における国の税収見積もりについて申し上げてまいりましたが、三税の一つである法人税の状況が平成二年度に比べてかなりの落ち込みになるようでございます。そのようなことになりますと、地方交付税にあっては、当然、平成二年度の交付額を確保することは困難と見なければなりません。平成三年度ではどのような事態になるのか。
 また、十二月四日の新聞報道によりますと、大蔵省では、特例減額制度を適用して地方公共団体から五千億円程度を国に貸し出しする措置をとるという方針を固めたとのことであります。このことに対して自治省では地方財政に余剰はないと反対をしているということでありますが、もしこのような措置がとられることになると、本県では五十億円もの財源を国に貸し出すことになります。前段でも税収の厳しい状況を申し上げてまいりましたが、このようなことになると予算措置の編成が全くできません。極めて重大な問題でございます。したがいまして、十二月二十四日の政府予算の内示までに大蔵省にこのような措置を思いとどまらせなければならないと考えております。
 そこで、当局としてどのような方途でもって対応していかれるのか、かかるような措置についてどのような所見を持っておられるのか。以上の点にわたって総務部長からお答えを願いたいと存じます。
 続いて、歳出の関係について少し申し上げてみたいと思います。
 今日まで経常経費の削減に努められてきたものの、人件費等義務的経費の増加、また県債発行の増加といった関係から公債費の増加も避けられない状況で、基調としては平成三年度では財政の硬直が一段と進むものと見ているのでありますが、当局の判断はどうか。
 続きまして、平成三年度予算編成方針について概括的にお尋ねを申し上げます。
 さきに厳しい県経済の動向について触れましたが、平成三年度予算編成ではこうした県経済の現状に視点を置き、特に県経済の底辺を支えている中小企業、地場産業、農林水産業を重視した施策の重要性は申し上げるまでもなく、高金利時代の到来と相まって行政としての比重の高い制度融資については当然思い切った見直しを行うなど、活性化に向けた積極的な対応が必要でないかと考えております。厳しい内外情勢を踏まえた施策について、予算編成に当たってどのようにされていくのか、お答えを願いたいと思います。
 平成二年度予算におきましては、人口の高齢化対策を初め、安心して暮らすことができる健康・福祉社会の実現、将来の本県を支える人づくりとしての教育など、県民に直結する施策がとられてきましたが、こうした県民の暮らし、福祉、教育の課題については、御承知のように国の臨調・行革によって予算の削減、制度の改悪がなされてまいりました。しかし、地方公共団体として県民に直結する行政を重視するという立場から、本県が独自に、きめ細かい、特色のある予算編成を行うことが大事ではないかと考えていますが、当局はどのようにお考えでしょうか。以上の点にわたり、総務部長からお答えをいただきたいと存じます。
 第三点、消費税問題について質問を申し上げます。
 我が党は、十一月二十九日の第二十一回税制両院合同協議会・専門会議において消費税についての見解を発表いたしましたので、この機会にその概要を申し上げたいと存じます。
 基本的立場において消費税廃止にあることは、もちろん不変でございます。しかし、国会の力関係から今すぐに廃止できない状況のもとで、切実な国民要求を実現することが重要であるという立場から、一つには、すべての生活必需品、関連サービス、食料品、衣料、医療、福祉、教育、公共料金、入場料などについて非課税範囲を広げて完全非課税とすること、二つには、電気・ガス税について基礎控除を取り入れること、三つには、機関紙活動などの政党本来の事業への課税をやめることということで、当面、与野党協議の場でもってこれらの実現に向けて全力を挙げていくということであります。
 そこで知事にお尋ねをいたしますが、消費税導入後において、県民の生活にあっては買い物をするたびに一円玉がふえ、消費税は悪税なりという意識は決して消えてございません。当面の課題では、国会の両院合同協議会の中で完全非課税枠をどう拡大していくかにかかってきてございますが、知事として、地方公共団体の事務に係る使用料・手数料などを含め、県民の消費税負担の軽減についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 なお、総務部長から、平成二年度予算中、本県として県民から消費税を徴収するもの、また支払う消費税の状況について御説明をいただきたいと存じます。
 最後に、旧県会議事堂の保存について再度お尋ねを申し上げます。
 九月議会において前向きの御答弁をいただき、お礼を申し上げておきたいと存じます。
 九月議会で発言をさせていただいてから和歌山近代建築研究会の会長をなさっている岩出町在住の福田忠義様からお手紙をいただき、研究会の皆様方も保存の必要性を痛感され、県教育委員会にも訴えられてきたということでございました。その後も何度かお電話をちょうだいいたし、保存策について奔走していただいている関係もあり、重ねてお尋ねをいたした次第であります。
 九月議会で旧県会議事堂については歴史的に価値あるものという認識を示していただき、また閉会後、県議会においては議長から会派代表者会議でお話があったと聞き及んでおりますが、教育委員会としてその後どのような対応をしてこられたのか。また、平成三年度予算編成に向け、予算要求についてどのような措置をとられてきたのか。岩出町文化財委員会の皆様方におかれてもいろいろ御努力をいただいているように聞き及んでおりますので、そうした点にもわたってお答えを願いたいと思います。
○議長(岸本光造君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 関西空港の竹内社長が来県した際の話の内容でございます。
 私が不在でしたので副知事が承ったわけでございますけれども、関西国際空港は平成五年の春を目途に建設を進めてきたが、予想を上回る地盤沈下等の諸理由により予定どおりの完成が非常に難しくなっているという説明を受けております。
 本県としましては、県民の利便性の早期確保という観点から、また平成五年夏には世界リゾート博の開催も予定しておりますので、できるだけ工期を短縮してもらいたいと強く要請したところでございます。また、開港がおくれる場合には早期にその時期を明示するように要請してまいったところでもございます。
 次に、おくれに伴う地元負担の問題でございます。
 関西空港の地元負担につきましては、関西国際空港株式会社から負担増についての説明があった時点で、出資している関係自治体と協議いたし決定していくことになるだろうと思います。四者の話し合いについて、議員御指摘の事実はございません。
 本県といたしましては、負担金増の問題については県議会とも十分相談させていただきながら対処してまいりたいと存じております。
 また、一年半おくれた場合の全体構想への行政対応等の問題でございます。
 全体構想の推進につきましては、あくまでも早期の事業着手を目指し、本県はもとよりオール関西が一体となって取り組んでいかなければならない問題と考えております。
 本日も副知事が近畿の知事、また商工会議所等、関係団体の期成会の代表理事らと一緒になり、来年度予算の早期実現を図るための調査費を確保するために上京し、要望活動を行っているところでございます。今後とも、全体構想の早期実現のために県議会と一緒になって努力してまいりたいと存じております。
 次に、消費税の問題でございます。
 消費税は、我が国の将来を展望して所得、消費、資産の面で均衡のとれた税体系を構築するため税制改革の一環として導入されたのでございまして、もう既に一年九カ月が経過しようとしております。この間において、非課税の範囲、課税の方法等について見直しの論議がなされ、県としましても、全国知事会を通じて国に対し、国民の理解と協力を得ながら必要な見直しを積極的に行うように要請してまいっておりますし、また県営住宅使用料を本年十月一日から非課税とするなど、さきに示された政府の見直し案に沿った措置を講じたところでございます。
 話もございましたように、現在、税制問題に関する両院合同協議会において見直しについて論議が交わされているところであり、こうした国における論議の推移を見守りながら、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港の開港問題の実情についてお答えを申し上げます。
 空港建設の進捗につきましては、予想を上回る地盤沈下等の主として技術的理由により、予定どおりの完成が難しくなってきているという説明を受けているところでございます。
 関西国際空港株式会社は、地盤沈下の推移の調査の結果、当初の予測値を上回る沈下が見られましたので、本年四月に予測値の見直しを行ったところ、開港時七メートルと予測された沈下量を十メートルと見直しました。さらに十年後の沈下を見込んで、埋立層厚が三・五メートル厚くなるということから投入土量を千七百万立方メートル追加することで対応したところでございます。
 空港会社は、このような地盤沈下が進行している状況の中、ターミナルビルの建設を行っていくために、土質や建築の専門の学識経験者で組織した地盤沈下対策検討委員会の検討結果を受け、現在、工程を引き直しているところでございます。
 今月中旬にはターミナルビル指名競争見積もり参加招請者を選定いたし、見積もり依頼をする予定でございます。その後、六十日以上の見積もり期間をとり、来年二月ごろには契約を締結することとされておりますが、ターミナルビルの工期については、地盤沈下対策等から当初予定されていた二十八カ月を大幅に超える見込みとなってきたため、当初の開港目標に間に合わせることが非常に厳しい状況であるとのことでございます。
 次に、開港がおくれた場合の行政対応についてお答えを申し上げます。
 関西国際空港の開港時期と県の中期実施計画及びプロジェクト等との関連についてでございますが、現在推進している各プロジェクトは関西国際空港立地のインパクトを活用して県勢活性化の起爆剤とすべく積極的に推進しているところであり、その目標達成に支障を来すことのないよう、国や庁内関係部局との連携を密にしながら、引き続きその進捗に努めてまいる所存でございます。
 さらに、平成五年の夏をめどに進めている世界リゾート博についてでございますけれども、先ほど知事の答弁がございましたが、正式に開港延期が決定されたときには開催時期について関係者に相談してまいりたいと存じているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 財政問題につきまして、数点お尋ねがございました。
 まず、県税収入の見込みについてでございます。
 今年度の県税収入見込みにつきましては、当初予算額九百四十五億円の四六%を占めている法人二税で、御指摘のあった金融業、石油関連法人が対前年度比でかなりの落ち込みを見ております。サービス業とか建設業、小売・卸売業、不動産業等が好調な実績を示してはおりますけれども、法人二税全体としては厳しい状況にございます。しかし一方で、県民税利子割、あるいは個人県民税、不動産取得税等、他の税目が順調に推移をしておりまして、現計予算額は県税全体としてはほぼ確保できるものと考えております。
 また、明年度の県税収入見込みについてでございますが、現在、関係企業に対して業績等を照会するなどして、その見積もり作業を行っているところでございます。現段階で具体的な計数をもってお答えすることは困難でございますが、先ほども申し上げた今年度の法人関係税の税収動向や景気の先行きが不透明なことなどからいたしますと、厳しい状況に置かれるものと考えております。
 次に、平成三年度の予算編成に関連をして、地方交付税の動向についてでございます。
 平成三年度の国の予算編成の過程において大蔵省当局が地方交付税の特例減額を検討中であるということについては、私どもも承知をいたしております。しかしながら一方で、本県はもちろんでございますが、豊かな住民生活の実現を図るため、社会資本の整備促進、地域福祉の向上などの諸施策の推進が地方団体の重要な課題となっております。とりわけ、地方単独事業の確保が要請されているところでございます。そのためには地方財政基盤の強化が不可欠なものと考えております。
 今後の経済情勢が不透明で、税収の動向も予断を許さないといった状況の中、今後の地財折衝の行方を十分注視していく必要があると考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、来年度の地方財政運営に支障が生ずることのないように十分な配慮がなされるべきであり、地方団体共有の固有財源である地方交付税総額の確保についても、全国知事会等を通じ、国に対して強く要請していかなければいけないと考えております。
 次に、本県の平成三年度の予算編成についてでございます。
 現在、各部局との調整作業を行っている段階でございますが、予算編成を取り巻く環境については、御指摘のとおり、大変厳しいものがございます。国の予算、地方財政計画とも、平成二年度に比べると相当程度抑制基調が予想されるところでございます。
 一方、自主財源の大宗を占める県税収入につきましては、過去の低迷状況から見ると復調過程にはございますが、依然不透明な要素もあり、その水準についてもまだ十分なものとは言えない状況にございます。また、公債残高も増高をしてきておりまして、そういったことが相まって義務的経費の圧迫も予想をされます。全体としては、本県の平成三年度の予算を取り巻く環境には厳しいものがあると考えております。
 しかしながら、長期総合計画や中期実施計画の具体化、あるいは数々のプロジェクトの実現、地域産業の活性化、県民福祉の向上等、諸施策の充実を図ることも非常に重要なことでございまして、このために事務事業の見直しとか組織の簡素化に不断の努力を払う一方で、半島振興やふるさとづくり事業等、国の財源措置のある起債の活用等も図りながら、歳入歳出両面にわたってできる限りの創意工夫を凝らしていきたいと考えております。厳しい内外情勢を踏まえながら、限られた財源をできるだけ重点的、効率的に配分をするということに努めていかなければならないと考えております。
 最後に、消費税の転嫁と負担の状況についてでございます。
 まず、県営住宅等の県営施設使用料の中に含まれる消費税相当分は約二千八百万円でございます。一方、県が発注する工事費等に含まれる消費税分は約三十八億円でございます。これらは、消費税の一定割合が地方交付税等の財源となることにより地方財政対策全体の中で措置をされることになっておりますが、現在行われている見直し等の議論についても地方の財政運営に支障が生ずることのないよう、国に対して必要な働きかけをしていかなければならないと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 旧県会の議事堂保存のその後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 先般、所有者である根来寺並びに地元の教育委員会とも話し合いを行い、根来寺に対しては、まず建物の実態調査に協力をいただけるようにお願いを申し上げたところでございます。また、説明板については根来寺で設置をしていただくようお願いを申し上げ、御了解をいただいたところでございます。
 県教育委員会といたしましては、平成三年度において旧県会議事堂の建物様式、文化財的な価値などの観点から調査ができるように、予算を含めて努力をしているところでございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 答弁をいただきましたので、重ねて申し上げてまいりたいと思います。
 まず、知事でございますが、関西国際空港の開港のおくれの問題です。
 今議会の開会に当たって知事からごあいさつがあり、冒頭に、私が質問を申し上げた竹内関空社長の来県問題にお触れになったわけであります。私は、御答弁をいただく前に、非常に大事な話でございますので、かなり詳しく、念の入った話が関西空港の社長から副知事にされたものと考えていたわけです。ところが今の答弁では、副知事が竹内社長にお会いになって竹内社長から話のあった内容そのものは、実に簡単であります。恐らく、この話というのはそんなに長時間じゃなくて、五分か十分ぐらいで終わったんじゃないか。
 今、知事からお話がありましたのは、目標は平成五年の春としてきたが予想以上の地盤沈下等々で予定どおりの完成が難しいというのが大方の説明だと、こういうような答弁の趣旨であったと思います。
 それで経過の問題でありますが、十三日に和歌山に来県され、そして十九日に大阪のホテルで先ほど申し上げた四者が寄り、恐らく関係地方公共団体等にも竹内社長としてごあいさつに行き、大方の御了解はいただけたものと──これは私の判断であります。そういうことで十九日の四者会談なるものが開かれたのではないか。
 しからば、事業費の増加は一体どうなるのか。新聞報道では、先ほど申し上げたように四千七百億円ないし四千八百億円ということが公表されたわけでありますから、恐らく本県に対しても、事業にはこれだけかかるんですよ、大変なことになって非常に申しわけないというような話の筋があってもしかるべきだと思うんですが、事業費の増加枠についても話が全くない。これは和歌山県に対してだけではなく、関係自治体に対してもそうです。
 関西国際空港会社というものは、もっと真摯な態度であってほしい。真摯と言うことは適当かどうかわかりませんが、地方公共団体である以上、そこには住民がいるし、しかも税金によってこれが成り立っているわけでありますから、そこらの点をきちっと踏まえてもらわなければならんと思うんです。そういう点から、竹内社長が来県された話の内容は、今後、負担問題がついてくるので極めて大事なことだと考えているわけです。
 知事は、負担問題については、今後、関係自治体も含めてでしょうが相談をして、県議会の意見も尊重しながら決めていくと、こういう当たりさわりのない答弁をされましたが、私は、十九日の四者会談でもって相当の負担が伴う問題に一応合意をしたということは極めて大事なことだ、これは県議会を無視していることになりはしないか、知事を無視したことになりはしないか、県民を無視したことになりはしないか、こういうことで知事に所信をただしたのであります。
 そこで、重ねて知事に、十九日の会談では報道をされたような内容はなかったんだというような向きの答弁でもあったと思うんですが、そういうように理解さしていただいていいのかどうか、その点、念を入れてひとつ確認をしてみたいと思います。
 問題の今後の対応については、当然、県議会とも関連いたしますから、知事のおっしゃるとおりであります。まず、その点だけちょっと御確認を願いたいと思います。
 次に、総務部長であります。
 平成三年度の県予算をめぐる問題についてお尋ねをいたしましたが、ここで大事な問題として、国の平成三年度予算編成における地方との関係で交付税問題を取り上げたわけです。これについては、今後、知事会議等で云々というお話がありましたが、総務部長の答弁を聞いておりますと、これに対して明確に部長としての所見が述べられていなかったように思うんです。
 御承知のとおり、この交付税の減額措置というものは、今まで国が地方に貸してあげようということが何度かあり、平成二年度では借りたものをもう既に返してしまったと私は記憶しておりますが、今度逆に、国が地方交付税財源を地方に貸してくれということであります。これは初めてで、異例なことであります。これが仮にそうなった場合、五千億円ということになれば、本県としては百分の一に換算して大体五十億円程度の貸し出しをしなければならん。
 これは極めて重大な問題ですので念を入れて御質問をした次第でありますが、今の総務部長の御答弁を聞いておりますと、その辺について総務部長として、本県としての具体的な考え、あるいはこれに対してどのようにして十二月二十四日の予算内示までに決着をつけていくのか、貸し出しをしないようにしていくのかという点の答弁が非常に甘かったように思います。初めての措置ですので、重ねてこの点について、意のあるところを我々によくわかるようにひとつお願いをしたいと思います。
 他の問題につきましては、予算編成は総じて厳しい環境にあるということのお話であり、確かにそうだと思います。これから作業に入られ、近く二月定例県議会には御苦労された結果が我々に届きますので、そこでまた十分な意見を申し上げたいと考えております。
 以上、二つの点にわたり、簡単でございますので簡潔にお答え願いたいと思います。
○議長(岸本光造君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 中村議員が質問された要点は、十九日の四者会談で本県などの負担金を決めたのではないかというふうに承ったわけでございます。
 負担金という問題は、負担増が決まって、それが明示された時点において出資の関係地方団体等が協議すべき問題であるということを申し上げたのでございまして、過去の経緯を見ても、自治省もタッチしていただいております。それゆえに、大阪の四者会談で和歌山県の負担金を決められるものではないということを申し上げたのでございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 来年度の地方財政対策の論議の中で地方交付税がどういう状況になるか、特に現在大蔵省当局が検討をしている交付税の特例減額はどうなるかということについて重ねてお尋ねがございました。
 明年度の地方財政の収支見通しは、国税三税、消費税等を財源とする交付税がどういう状況になるか、あるいは自主財源の根幹である地方税がどういう見通しになるか、さらに歳出面で特に要請をされている地方単独事業の伸びをどの程度確保するかといった歳入歳出両面にわたる詰めを行う中で明らかになっていくわけでございます。
 御指摘のように、確かに国の財政当局は、地方財政にある程度の財源余剰が生ずるということから、昭和五十年代にとられてきた交付税特別会計における借り入れや財源対策債の発行による地方財政の側における国庫からの借り入れと全く違った状況になってきているということで、新聞報道で伝えられるところでは五千億円の特例減額を地方に対して求めてきているという状況でございます。
 ただ、私ども地方財政に携わっている立場の者からいたしますと、地方財政に果たして財源余剰があるのかどうかということについては、見解が国とは若干異ならざるを得ないと思っております。
 地方財政の借金は、交付税特別会計でありますとか、先ほど申し上げた財源対策債だけではございませんで、例えば建設国債の肩がわりをした臨時財政特例債、あるいは国庫補助負担率の引き下げ措置に伴う財源補てんとして発行をしてまいった調整債といったものの償還もございます。こういうものをどういうふうに考えるかにより、地方の財源余剰があるのかないのかという議論の帰趨も変わってまいります。
 私どもとしては、地方財政全体でなお相当の公債残高を抱えているということからすると、言われるほどの財源余剰は地方にはないという考え方でございます。最終的には大蔵、自治両省の折衝で決まることではございますが、先ほど来申し上げているように、そういった動向には十分注視し、交付税総額の確保について必要な働きかけをしていきたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(岸本光造君) 以上で、中村博君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(岸本光造君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十七分休憩
 ─────────────────
 午後一時六分再開
○議長(岸本光造君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森本明雄君。
 〔森本明雄君、登壇〕(拍手)
○森本明雄君 通告に従って、順次、質問を行ってまいります。
 なお、関空問題については午前中の質問と一部重複する点があるかとは思いますが、それぞれの立場の違いがございますので、御理解のほどお願いを申し上げます。
 大阪空港は、関空と機能分担して国内線基幹空港として存続することに調停団、十一市協、運輸省が合意いたしました。これによって大阪空港は、一日の発着回数三百七十便、うちジェット便の発着回数一日二百便を維持した上で一日五十五便の国際線定期便が関空に移ることにより、さらに国内線の路線拡充を行いつつ国内線基幹空港として機能を発揮することになります。
 一方、関空は、大阪空港廃止を前提とした建設にもかかわらず、大阪空港存続の影響によって国内線大幅確保の見通しもなく、全体構想は着手時期や完成時期を明示しないまま、新たな滑走路一本の建設と地元負担を強調しているだけであります。その上、空港本島の地盤沈下が予想以上、旅客ターミナルビルの工期が当初計画より延長などの理由により開港時期の延期と、ダブルパンチ。これで県の各種プロジェクトへの影響は必至であります。今こそ起死回生の対策確立が急務と思いますが、所見をお伺いいたします。
 関空の開港時期や開港延期に伴う金利負担増を含めた事業費増加分の負担のあり方について、開港は九四年九月までに、負担については総事業費の三割についての出資比率の割合に応じた負担割り当てをすることで関空会社、大阪府、関経連、大商の四者トップ会談において合意したことが先月報道されました。それによると、トップ会談は十九日、合意したことが明らかになったのは二十一日であります。四者会談が行われていなかったことは午前中の答弁で明らかになりましたが、四者合意は何らかの形であったと考えられます。
 知事にお伺いいたしますが、合意内容についてはいつ知らされ、どのような意見を述べられたのか。自治省と運輸省の間で交わしている「事業費一兆六百七十六億円を超える部分については、原則として地元自治体に負担を求めない」とする覚書が現時点で効力があるとするならば、どう認識し、負担増に対応されるのか。
 空港の建設、会社の運営において不測の事態が起きた場合、国、地方自治体、民間の三者が一体となって会社を支援していくことになっています。ただ、地方自治体の財政問題もあり、国としては会社の設立、運営に大きな役割を果たしている立場を十分認識し、対処していくことが確認されており、こうした経緯を踏まえ、一定の歯どめを行うため覚書を交わしたものと思います。
 収支計算は、危険を考え、できる限り安全サイドで検討するのが原則であります。大阪空港の存続、関空開港のおくれ、事業費の増大などの事態が起きたことにより、財政計画の見通しが狂ったことは事実であります。これで、単年度黒字は開業後五年、配当開始が九年後、無借金は二十三年という計画は完全に不可能となりました。また、長期的に見て収支採算性の悪化は必至であり、さらに新たなる負担も考えられます。そうした事態に対する対応を明確にしておく必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。
 空港にとって最も大切なことは、安全性確保であります。全運輸省労働組合が昨年行った現場の管制官千五百人を対象としたアンケートでは、過去一年間に管制官の四人に一人が冷やり、はっとしたことがあり、操縦士らの五人に一人がニアミスやそれに近い経験をしたと回答をしております。それほど日本の空には危険が潜んでいます。
 民間機の飛べる空域は決まっていますから、便の増加で過密はひどくなるばかりであります。たしか全国紙のコラムに、一つの重大な事故が起きるまでには二十九件の同種の小さな事故がある、その根底には三百件のささいなふぐあいが隠されているとありました。
 九四年に関空が開港すると、存続する大阪空港と二つの不完全空港の併用が始まります。二つの空港を合わせた年間の発着回数は当初二十五万回程度でありますが、二〇〇〇年には二十九万回と、現在の倍以上に増加いたします。両空港間の距離は約五十キロであります。その間に両空港の発着ルートが複雑に入り組むことになります。滑走路ができても空域は広がりません。ますます空が過密になることだけは確実であります。果たして空の安全性が確保できるのか、懸念するのでありますが、見解をお伺いいたします。
 次に、教育問題です。
 学年の枠がなく、生徒の自主性を尊重する新しいタイプの高校である単位制高校開設の動きが全国で高まってきました。文部省によると、昭和六十三年度に岩手、石川、長野の三県で誕生したのに続き、平成元年度に二校、二年度には八校生まれ、来年度には東京、翌年度には大阪でも設置が予定され、ほかにも二十を超える自治体が設置を検討していると言われています。
 このように単位制高校が一つのブームになっているのは、それが時代のニーズにこたえる高校教育の新しいシステムであるからであります。基本的性格としては、単位制高校は進級に必要な単位を定めず、一定の単位を取得すれば卒業は認められます。一度修得した科目の単位が留年により無効となってしまうことはないし、他の高校で途中まで取得した単位も認められます。もう一つの特色は、学習する科目を学校側が決めるのではなく、生徒の自主性を尊重していることであります。生徒には、自分で計画を立て、みずから学習する科目を選択する権利があります。
 和歌山県では、ほとんどの中学卒業生が高校に進学し、高校は今や県民教育機関になっています。しかし、そうした中、高校教育のあり方が問い直されています。
 近年、県立高校の中退者は五百人以上が定着しています。その理由として進路変更や学業不適応が多く占めていますが、入学間もないころに退学してしまう中退の低学年化の傾向も目立っています。このような状況を等閑視することなく、生徒の多様な能力、適性に合ったプログラムを選択できる新タイプの高校づくりが求められていると思います。
 また、単位制高校は生涯教育の場という顔も持ち、広く社会にも門戸を開くことができ、教育改革を開く可能性が大きいのであります。そうした意味で、県教委は県立定時制高校に単位制の導入を検討との報道が確かなものであるならば、制度内容の記事は別として、三年前より単位制高校の実現を要望してきた私にとって県教委の御努力、英断に敬意を表するものでありますが、願わくは、制度の内容として、昼間・夜間部、定時制と通信制の併修、また単位制の特色を生かし、以前に在籍した高校で修得した単位や大学入学資格検定試験の合格科目の単位などの卒業単位への算入、さらに県民の生涯学習の拠点として、週五日の授業のほかに土、日曜にはワープロ・パソコンなどのビジネス講座や英会話、テニス、コーラス、華道などの教養講座を開講し、既に高校や大学を卒業した人でも趣味や関心に応じて学習できるよう、地域に合った柔軟な学校を目指していただきたいのでありますけれども、現時点における検討内容と実現への具体的スケジュールについてお伺いいたします。
 環境汚染の進行に伴って地球規模の環境問題に関心を持つ人がふえてきました。そうした中、環境への関心を一層高め、知識と理解を深め、さらに環境保護へと結びつけるための環境教育の重要性が次第に認識されるようになってまいりました。ところが、日本は世界各国の中で、この環境教育への取り組みが立ちおくれています。今、教育の面での環境対策の充実が問われていると思います。環境問題解決への世論を高めていくには人々の意識が変わらなければなりません。そのために教育はかぎとなります。子供たちの成長の早い段階から自然環境に触れ、環境について考え、理解するための機会を与えていくことが重要となります。そうした意味で、教育の持つ役割は大きいと思います。住民、消費者運動の関心の高さに比して教育面での前進は、はかばかしくないように思われます。
 財団法人日本環境協会の調査では、小・中・高校で環境教育のカリキュラムをつくっているのは四・三%であり、学習指導要領でも環境教育は明確に位置づけられていません。ある意味では、これまでの教育のあり方が環境危機を招いた一因とも言えます。学校教育、また生涯教育を通じての環境教育の構築が今後の教育のテーマと思いますが、現状の認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 国民がひとしく高等教育を受けることのできる今日的制度として放送大学が実現して、五年目を迎えます。第一期計画として関東地域から放送授業が開始され、国会決議では全国的に教育の機会均等が保障される大学となることが決められながら、対象範囲の拡大はなかなか進みませんでした。今まで放送授業を直接視聴できる範囲は関東地域に限られていましたが、ビデオセンター設置によって北海道、広島、福岡、沖縄の四カ所でも放送大学に入学できることになりました。社会構造の多様化、労働環境の変化は、人々の学習意欲、学習の必要性を高め、生活にゆとりを与えます。高齢化社会に向けて、だれでも、いつでも、どこでも、どこからでも学べる生涯学習社会の基盤整備は不可欠であります。日本での学歴社会の偏差値ピラミッド構造にかかわりなく、この分野に興味があり、ぜひ学びたいという強い動機、目的さえあれば学べる場として放送大学の意義は大きいと思います。
 放送大学を今後どう充実・拡大されるか。それは、生涯学習社会づくりのあり方に大きくかかわってきます。そうした意味で、視聴のネット化拡大を国へ強く要求するとともに、県独自のビデオ学習センターの設置を検討してはと思うのでありますが、見解をお伺いいたします。
 高校生の交通教育問題というと、すぐに出てくるのが三ない運動であります。高校生のあるべき姿として学校が約束させ、これに違反すると学校側の処分が待っています。このように、高校生を車社会から隔離してきたのであります。初めて免許が取得できる年齢に達し、二輪車へのあこがれ、興味が果てしなく膨らむ少年たちを校則で抑えつけてきたのであります。
 政府の諮問機関である交通対策本部は、三ない運動を実施している学校であっても、事故防止を図るため、規則のあり方を含め、総合的な対策を検討し、交通安全教育、指導の積極的な推進を図る、つまり三ない運動見直しの方針を打ち出しました。この背景には、学識経験者らが三年間をかけて調査した交通安全教育の実態報告及び提言があります。それによると、三ない運動を実施する多くの高校における交通安全教育とは、映画などを使って事故や車の危険性のみを教えること、つまり自己の安全のみならず、社会の安全に貢献できる人間の育成という視点が欠落していると報告しています。こうした見直しの方針を受けてか、最近、全国的に一定の条件のもとで許可する学校がふえてきています。
 文部省の調査によりますと、原付免許をどのような場合でも取らせない全面禁止派の学校が二二・八%、条件つき許可または制限せずが七三・五%、ただし自動二輪の場合は、まだ七割の学校が全面禁止となっております。
 何でもかんでも禁止するところには、自主性も安全に対する自覚も育ちません。取りたい人には免許取得を許可し、徹底した安全教育によって正しい運転技術、安全運転のマナーを身につけることの方が効果的だと思います。三ない運動の実態、交通安全教育の現状、全国的な見直し傾向に対する現状認識と今後の方向性についてお伺いいたします。
 県老人福祉課のまとめによりますと、高齢化は全国よりも十年早いペースで進むと見られ、特に過疎地域でその傾向は顕著であります。全人口に占める比率は一五%であります。市町村別では、北山村が三一・九%で最も高く、美里町、古座川町など、二〇%以上の自治体が十七町村に及んでいます。
 高齢化社会での問題は数多くありますが、ここでは高齢化率二〇%を超える町村の問題点を若干考えてみました。その結果、高齢者福祉にとどまらず、高齢地福祉が必要なことがわかりました。既に小・中学校、さらには高等学校を必要としない地域がふえつつあり、火災や急病など緊急事態への対応はもちろんのこと、従来の村行事や葬儀など生活の根幹にかかわる諸行事を実行できない地域が発生しています。これは、地域社会の崩壊という以外にありません。このまま推移すれば間もなく廃墟と化す地域もあり、自然環境の整備、保護ができず、下流域への災害要因となることも懸念されるのであります。
 これらへの対応は、個々の市町村では不可能な面が多く、国、県全体の方針を確立することが急務であります。市町村のシビルミニマムとして高齢化率を取り上げ、地域的な抑制策を講じなければ憲法で保障された健康で文化的な最低限の生活を実現することはできません。
 全国的には二〇二〇年に高齢化率二三・六%を突破すると見られていますが、和歌山県ではその十年前に二三%を突破すると見込まれ、一部地域では五〇%を超えることも予測されます。地域間に均衡のとれた高齢化社会へ軟着陸させる政策を必要としています。現在の高齢化格差をこのまま放置すればさらに地域格差といった悪循環に陥り、都市ほど経済、情報、文化、人口などの集中が進み、市町村の地域格差はますます増大するものと考えられます。
 以下、質問を行います。
 最初に、地域や村落を健全に維持するためには高齢化率を何%に抑制すればよいのか。将来の人口構成とあわせて検討する必要があると思います。私は、一応三〇%を高齢化危険水域と考え、十年以内にその水準に達する市町村を含めて政策を確立すべきであると考えます。一定の危険水域を超えると加速度的に地域や村落の崩壊へと進むことが実証されているからであります。その抑制政策については、各市町村が地域の責任において努力するのは当然ではありますが、地域の力だけでは阻止することのできない状況も存在します。したがって、県、市町村が一丸となって対策を立案施行しなければなりません。特に県が広域的な見地から政策をリードしなければ均衡のとれた高齢化社会を実現することはできませんが、所見をお伺いいたします。
 次に、高齢化率が二〇%を超えた町村は十年後には三〇%を超えるものと予測され、自治として危機的状態となります。生産年齢人口も十年後にはさらに一〇%以上落ち込んで五〇%台となり、企業誘致などは地域によって不可能となるのではないでしょうか。人つき企業が誘致できない以上、高齢化率の加速度はますます増大するものと思います。また、高齢化率が高い市町村ほど地方税収比率が低く、十年前に比較しても改善は進んでいないようであります。地方税収比率が低いために民生費予算が抑制され、本来ならば民生費が最も必要な高齢化市町村がそれを組み得ない状態にあります。さらに、国民年金加入者に対する老齢福祉年金受給者を含めた受給者率の割合は、高齢化率の高い町村で既に一〇〇%を超え、一人が一人を支える年金社会ができ上がりつつあります。そして、高齢化率が高いにもかかわらず医療過疎のために国保財政がかえって黒字になっている町村が多くあり、病巣は拡大しています。
 ちなみに、「和歌山県統計年鑑」によりますと、六十三年一年間の県外への人口流出は、十年前と比較して千八百二十二人減で二万二千三百五十六人、率にして〇・七五%の減となっております。これは、子供人口が大幅に減少した影響であります。年齢別人口の資料は国調しかありませんので、六十年と十年前を比較すると二万六千四百十人減で二十二万五千二百八人、率にして一〇・五%減であります。また、六十三年の出生数は十年前と比較して約三千七百人減の一万八百八十八人、死亡数は千百人増の九千二百一人となり、死亡数が出生数を上回っている自治体は、五十市町村のうち三十市町村に及んでいる状態であります。
 このことについて少し説明を加えさせていただきますと、御承知のように高齢化率の最も高いのは北山村三一・九%でありますが、続いて美里町、古座川町、本宮町、熊野川町、美山村、清水町、すさみ町、花園村、中辺路町、以上が上位の十町村であります。地方税収の一般会計歳入に占める割合を十年前の五十三年度と比較した場合、六十三年度の十町村の平均値は五十三年度より〇・五七ポイント増の七・一二%、うち二けたはすさみ町一町、最低は花園村の二・三七%で、余り改善が進んでいないことがよくわかります。ちなみに和歌山市は、五十三年度より一三・二〇ポイント増の五五・八六%となっています。
 民生費の一般会計歳出に占める割合は、十町村平均値は五十三年度より一・九〇ポイント減の六・六一%で、地方税収が伸びないため、民生費が最も必要な高齢化町村ではそれを組めない実態が明らかであります。また、平成元年度の老齢福祉年金受給者を含めた国民年金受給者の加入者に占める割合が最も高いのは美里町の一二八%、最低は花園村の八六・六三%、十町村の平均値は一〇五・四五%で、国民年金で見る限り、一人弱で一人を支える年金社会が完全にでき上がっている状態であります。さらに平成元年度の国保会計では、赤字はすさみ町のみで、他の九町村は黒字となっています。その要因の一つに医療過疎が考えられるわけであります。そして、六十三年十月から平成元年九月までの一年間の出生数は、十町村すべてが死亡数を下回るという実態であります。
 このように問題点を何点か述べましたが、これは、第二の過疎化が始まったとはいえ、未来の課題とされてきた人口危機が和歌山県を直撃していると思います。これらの実態をどのように認識され、対策を考えられているのか、お伺いいたします。
 なお、高齢化率三〇%を超えた村、また目前の町村に対し、今までどのような施策を重ねてきたのか、現在どのような困難に直面しているのか、将来どのような計画を立案しているのか、また国にどのような要望をしているのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
 厚生省の依頼で救急患者の救命率向上策を検討している救急医療体制検討会が、ドクターカー、ナースカーの普及や医療機関と救急車を結んだホットラインの設置、救急隊員の医療行為の一部容認などを求める中間報告をまとめました。続いて自治省消防庁の救急業務研究会も、救急隊員の医療行為容認や消防ヘリの救急業務への活用などを求める報告をまとめました。さらに厚生省は新たな国家資格として救急救命士制度を発足させることを決め、通常国会に法案が提出されます。
 仮死状態で病院に運ばれる救急患者の救命率は、その国の救急医療のレベルを示すバロメーターであります。厚生省研究班が最近まとめたDOAに関する調査研究報告書によると、完全に社会復帰できたのは一・〇九%で、欧米の二〇ないし三〇%とは、社会復帰の条件の違いはあったとしても比べものになりません。しかも、五人に一人は手当てが早かったら助かっていた可能性があるとされています。
 我が国では、救急隊員が初歩的な応急処置しか許されていない上、医師が現場に駆けつける体制が未整備であり、救急患者が病院に搬送されるまでの医療の空白が救命率の低い原因であります。
 こうした救急救命医療の立ちおくれは、助かる命がみすみす失われていると厳しい批判を浴びてきましたが、この中間報告によってようやく新たな段階へ一歩踏み出したと言えます。しかし、問題はこれからであります。本格的な救急医療システムをどうつくり上げていくのか、課題は多くあります。国、県一体となって、救急医療の改革、向上に取り組む必要があります。中間報告や救急救命士の創設など、国の一連の対応の評価と実現への課題に対する県の取り組みについてお伺いいたします。
 これからは交通事故だけではありません。高齢者の増加の中で救急医療の重要性は増すばかりであります。国の施策を待つのではなく、県民の救える命を救うため県独自の積極的な取り組みを期待したいのでありますが、見解をお伺いいたします。
 以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの森本明雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森本議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の開港遅延対策でございます。
 関西国際空港の早期開港、国内便確保、全体構想の推進につきましては、議員御指摘のとおり、本県にとって非常に重要な問題としてとらえており、現在までも県選出国会議員、県議会議員、また県民の皆さんの御支援をいただきながら取り組んでまいっておるところでございます。これらの問題は本県の活性化に大きく関連してきますので、今後も皆さんと一緒になって頑張ってまいりたいと思っておる次第でございます。
 また、現在進めている各種プロジェクトにつきましては、開港の時期と関連してまいる問題もございますが、当初計画どおりに推進が図られるよう、国及び関係機関と連携を図りながら取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、四者合意についてでございます。
 これは合意といったようなものではなくて、関西国際空港株式会社の竹内社長が大阪の財界・官界に対して関西国際空港の状況を説明したものだと聞いておるところでございます。
 関西国際空港の事業費等の地元負担の問題につきましては、今後、関西国際空港株式会社において明らかになっていくものと存じますが、議員御指摘の運輸省と自治省の覚書の問題もございます。両省等の協議も含め、関西国際空港株式会社に出資している関係自治体等と協議をし、県議会とも十分相談させていただきながら今後対処してまいりたいと思っております。
 次に、高齢化問題でございます。
 お話のように、本県の地勢や産業構造に伴う高齢化は、過疎地が特に顕著でございます。そのために皆さん方の御支援をいただきながら、半島振興法、また過疎法が切れましたので新過疎法の制定に御努力いただき、現在進めているわけでございます。
 このように過疎化や高齢化が進んでくるのは地域に若者がいないということであり、地域に若者をいかに定着させるかということが一番の基本でございます。
 先ほど森本議員から、高齢化の十カ町村の実態について詳細な御報告をいただきました。しかし、こうした町村自体も、町村長が非常に苦労しているのが現況でございます。お話のように、町村だけでは解決しないのではないか、県も積極的に取り組まなければならないという意味において現在取り組んでおるわけでございます。特に、こうした過疎十カ町村等の実情を見た場合、リゾートの問題等が焦点として取り上げられておるわけでございます。
 県といたしましても、農林水産部において山村対策の実施による環境整備、また人材が残れるような施策、商工労働部においては中小企業の誘致・振興、町づくりや一村一品の問題等々に取り組んでおり、また土木部においては交通基盤の整備という形で進めております。このように、各部相連携して努力しているところでございます。
 しかし、話ございましたように、これは政治の問題にもなってくると思います。和歌山県だけではなしに全国の過疎地の問題について、将来を見越して今後もいかに連携を持ってやっていくかということが重要な課題だと思っております。また、こうした超高齢化の町村への特別の対策というのは別にしておりませんけれども、山村個々の振興対策の十カ年計画というのを策定し、国の承認を得ながら各般の施策を進めてまいっておるところでございます。
 今後とも、そうした面についてなお一層配慮してまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港問題に関連しての空域の安全性確保についてお答えを申し上げます。
 関西国際空港開港後の空域の安全性確保につきましては、現在、大阪国際空港や八尾空港においてはそれぞれの空港で管制業務がなされておりますが、関西国際空港開港後における大阪周辺に係る航空機は、同一管制機関によって航空管制を実施するために、関西国際空港に設置される我が国で初めての広域レーダー進入管制所により関西国際空港、大阪空港、八尾空港が一元的に管制されることになります。レーダー等により確認できることから間隔の設定、調整等が容易となりまして、空域の有効利用、航空機の効率的な運行及び円滑な管制業務の実施が可能となり、十分な安全性が確保できると聞いているところでございます。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 救急患者の救命率向上についてでございます。
 消防機関による救急業務は、全国で年間二百六十万人の傷病者を搬送するに至っており、地域住民にとって不可欠な行政業務になっております。しかしながら、現在の救急業務は搬送機能を中心に整備をされており、救急隊員の行う応急処置も、酸素吸入あるいは胸骨圧迫心マッサージなど、比較的簡単なものに限られております。したがいまして、御指摘のございましたとおり、欧米に比べて我が国の救急現場あるいは搬送途上における応急処置いわゆるプレホスピタルケアについては十分ではないと言われておりまして、こういった事態を改善して救命率の向上に努めることが今日の救急業務において緊急の課題になっております。
 その方策としてドクターカーシステムを導入することが望ましいとされておりますが、同乗する医師の確保が困難であること等の事情もあり、消防庁及び厚生省の検討委員会で基本的な方針として提案されているのが救急隊員の行う応急処置の範囲を拡大するということでございます。その柱といたしまして、一つは消防庁告示で示されている基準を改正して救急隊員の行う応急処置の範囲を拡大する、それから心肺停止状態に陥った傷病者に対して応急処置を行うことのできる新たな国家資格制度の創設という二点であろうかと思います。このために必要とされる訓練時間は、現在百三十五時間の講習時間がございますが、これを含め、それぞれ二百五十時間あるいは一千時間程度であるとされております。このうち、後者の新しい制度につきましては、それぞれの都道府県の消防学校で独自に対応することが困難と考えられるところから、都道府県域を超えた新しい教育訓練機関を設けたり財団を設置する方向で検討が進められているものと承知をいたしております。
 また、初めに申し上げた基準の改正による応急処置の範囲の拡大につきましては、資器材等の整備に多額の経費を伴い、また教育の実施に当たっていただく医療機関等との調整など、多くの難しい問題もございますが、県としては、消防学校の教育体制の整備を含め、新しい救急方策に対応できるよう、関係機関との連絡協調を密にしながらこれらの課題についての検討をさらに進め、地域住民の救命率の向上に努めてまいりたいと考えております。
○議長(岸本光造君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 救急患者の救命率向上についてでございます。
 年々増加する救急患者に対応するため、医療機関等の協力を得ながら初期から三次に至る救急医療体制及び情報システムの整備に努めてきたところでございますが、議員御指摘の搬送途上における医療の確保についても重要な課題でございます。
 国の救急医療体制検討会中間報告の中で今後の検討課題とされた救急隊員の行う応急手当ての範囲の拡大及び救急医療に係る新たな資格制度については、その後、救急医療体制検討会小委員会で審議が重ねられ、十二月五日にその検討結果が小委員会報告として取りまとめられました。
 この報告書の内容は、救急現場、搬送途上における医療の確保、救急隊員の行う応急手当ての範囲の拡大及び救急救命士の資格制度の創設となっており、この救急救命士の国家資格についての法案を厚生省が今国会に提出すると聞いております。
 保健環境部といたしましては、この報告書の趣旨の実現により救急患者の救命率の向上が図られるものと期待をいたしておりますが、特に医師の確保、救急車と医師のホットラインの設置等、国の今後の動向を見ながら、本県の実情を踏まえ、関係機関と連携をとって積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(岸本光造君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 教育問題にかかわる四点についてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、単位制高校につきましては、御指摘のとおり、生涯学習の観点から広く高等学校教育の機会を確保するとともに、修学年限の弾力化や併修制度の導入などにより、定時制・通信制教育の活性化を目的として制度が発足されたわけでございます。
 県教育委員会といたしましては、他府県において設置されている学校の実態調査によれば、科目の増加に伴う授業展開の問題、無学年制による単位未修得者の増加及び生徒指導上の問題、そしてまた社会人を対象とした講座のあり方等の課題もございまして、これらの課題を踏まえ、現在、実施に向かって研究を進めているところでございます。
 次に環境教育についてでございますが、その重要性にかんがみ、学校教育においては小学校、中学校、高等学校を通じて社会科や理科などで自然環境保全の重要性を指導してきているところでございます。また、小学校の学習資料として「わたしたちの環境」や「わかやまの農林水産業」を配付し、自然環境についての効果的な学習を進めているとともに、自然教室推進事業やふるさと教育推進事業、さらにまた緑の少年団の育成や学校林活動の奨励事業など、自然との触れ合いを深め、自然を愛することの大切さを理解させる学校教育活動を実施しているところでございます。
 今後とも、これらの学習や事業をさらに充実させ、人間と自然との調和を図り、豊かな文化と環境を創造する態度を養うように指導を進めていきたいと考えております。
 第三点として、放送大学についてでございます。
 生涯学習の時代に対応して、テレビ・ラジオ等、多様なメディアを効果的に活用した高度な学習の機会を広く国民に提供するといった観点から、その意義が大きいものと考えております。
 議員御指摘の、全国四カ所における国立大学施設内に設置をされているビデオ学習センターで、現在、千九百七十四名が学習を行っている状態でございます。近畿圏の一員として、放送大学の早期開設について、毎年、近畿圏開発促進協議会を通じて国へ強く要望をしているところでございますが、今後ともこの放送大学の果たす役割を十分認識し、引き続き国へ要請をしてまいりたいと考えてございます。
 また、県独自のビデオ学習センターについてでございますが、生涯学習機会の提供の一環として放送大学ビデオ教材の整備について今後研究をしてまいりたいと考えております。
 最後に、三ない運動についてでございます。
 県教育委員会といたしましては、運転免許取得にかかわる指導として、この運動を全県下的に実施をしているところでございます。各学校では、特別の事情のある生徒に対しては免許取得について配慮をするなど、実態に応じた指導もしているところでございます。その結果、本県の高校生の交通事故は減少し、一定の成果を上げてきたと考えておりますが、最近、全国的に三ない運動についてさまざまな論議がなれているところでございます。本県では、自分あるいは他人の生命の尊重といった観点から、当分の間、三ない運動は必要であると考えている次第でございます。また県高等学校PTA連合会においても、親の願いとして、引き続いてこの運動を推進するよう要請があるところでございます。
 議員御指摘のとおり、高校生に交通安全教育を行うことは極めて大切なことと考えておりますので、「高等学校交通安全教育の手引」を各学校に配付するなど、三ない運動とあわせてその教育を推進するよう努めているところでございます。
 今後、国及び他の府県の動向も踏まえながら、総合的な交通安全教育のよりよいあり方について協議をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(岸本光造君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森本明雄君。
○森本明雄君 空域の安全性確保についてでございます。
 この問題は県の管轄ではございませんが、極めて重要なかかわりがあろうかと思いますので、若干申し上げたいと思います。
 運輸省が航空審に示した全体構想の原案によりますと、年間発着回数は、二本目の滑走路完成時に二十三万回、三本目の滑走路完成時に三十万回可能となり、大阪空港と合わせると四十数万回の発着が可能となります。
 首都圏の空域を見た場合に、成田空港は、二期工事が完成して最大二十二万回と言われております。羽田空港は、現在進めている沖合工事が完成して二十三万回でありますから、両空港合わせると四十五万回となります。首都圏空域での四十五万回というのは、自衛隊の訓練・試験空域、そして米軍の訓練空域との関連で、滑走路が完成しても飛べる空域はありません。もし四十五万回の発着が可能ならば、空域の飛行条件の違いは別として、大阪空港、関空を合わせて四十数万回は数字的には可能となります。
 大阪空港の飛行経路は、関空の飛行経路計画との関係から現在の飛行経路を若干変更し、そして交差が生じる一部の経路については垂直間隔を設ける、さらには、先ほども答弁ございましたように、広域ターミナルビル管制所などで空域全体として航空の安全性を確保する計画だと思うのであります。これは、両空港合わせて二十九万回、いわゆる関空一期工事完成に対処するものでございます。
 百歩譲って二期工事完成の対応が限界だと思うのでありますが、全体構想完成時には年間発着回数は両空港合わせて四十数万回、加えて八尾空港、そして神戸空港案もあります。滑走路が幾らできても空域は広がりません。ますます空が超過密化になることだけは確実であります。空の安全性確保から考えて、関空全体構想実現、大阪空港存続、さらに神戸空港の実現と、これらすべてということは物理的に不可能だと思います。したがって、関空以外のどこかで譲歩していただかなくては全体構想実現への道は開けないと思うのでございます。
 以上、意見を申し上げて質問を終わります。
○議長(岸本光造君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森本明雄君の質問が終了いたしました。
○議長(岸本光造君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従って質問をさせていただきたいと思います。
 一番目は、平成時代の教育行政についてであります。
 昭和が終わり平成時代に入ってからの世界情勢の変化は大変激しく、ソ連、東欧の共産主義体制及び社会主義体制の崩壊、東西ドイツの合併、EC統合の促進等があった。
 〔議長退席、副議長着席〕
 国内的に見ても、国際化、技術革新、情報化の促進による社会の変化が急に起こっている。以前であれば百年かかって起こっていた社会変化が二、三年の間で起こり、想像の枠を超えようとしている。
 平成時代に入って非常なスピードで新しい社会情勢、国際情勢が生まれようとしている今日、我が和歌山県の公立学校教育の現状を考えるとき一抹の不安を感じる者の一人でありますが、まずこのことについて仮谷知事の所見をお伺いいたします。
 次に、公立高等学校における管理職のリーダーシップについてであります。
 高等学校の均一化が問題となっているが、その背景に高校の量的な拡大と社会の変化があり、高等学校教育の多様化、個性化への大きな発想の転換が図られるべき時期に来ているのであります。その推進に当たっては、基礎的、基本的教育の充実、段階的な指導方法、学校でなければできない集団を対象にした効果的な授業等をきめ細かく行うことが必要であると考えます。そして、生徒が急激に減少しようとしている今日、及び教育課程の改定時期を迎えている今日、それらに対して時期を失しない対応が重要であり、そのために教職員の意識改革を図り、学校において管理職と教職員が一致団結して取り組まなければならないと考えます。
 そこで、教育長に質問いたします。
 まず、管理職の学校経営に対するリーダーシップについてでありますが、現在、学校経営において管理職のリーダーシップが十分発揮され得る体制及び状態になっているかどうか、お伺いいたします。
 教職員組合の言いなりで学校経営を実施せざるを得ないような学校があると聞いております。例えば、学校経営の重要なポストである教務主任、進路指導主任等の主任クラスの任命等についてでありますが、教職員同士の職場内での根回しによる選挙によって重要なポストが決定し、職員会議が校務運営上、管理職が提案する案件のチェック機関になり、管理職の目指す学校づくりに足を引っ張っている現状があるとのことであります。また、職員会議が最高の議決機関とすることにより校長はその決定に従わなければならないなど、このようなことで学校長を初めとする管理職がそのリーダーシップを発揮することができるのでしょうか。このことについては、義務教育、学校教育上においても聞いております。
 管理職が自分自身の考え方で校内人事ができる体制及び状態になってこそ、その管理職の手腕を発揮できるのであります。現在では責任のみが大きくのしかかり、権限のない状態では円滑な、効果的な学校経営はできないと存じますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
 次に、学校内における教職員の研修体制の件であります。
 私の聞くところによりますと、平和教育や天皇制に関する研修は喜んで実施するが、教師自身の専門教科の指導方法や指導内容については校内の相互研修の機会がほとんどなくなっているということであります。これは主任の選出方法にも関係することであると思いますが、私の高等学校時代の経験から申しますと、国語科の主任はその学校の国語科を代表する権威者でありました。その先生の授業を受けられるという喜びが尊敬につながり、国語という教科に興味が引かれたのであります。しかし今日、学校における教科主任は年ごとにかわり、その役割は単なるその教科の会計係であったり、パーティーやら忘年会の立案者であるというのが現実で、教科の研修を企画できる力量のない教師が主任というポストについている場合が多いということであります。このようなことでは二十一世紀の世代を担う生徒に夢の持てる教育が行い得るのか、疑う次第であります。生徒や父兄の意識が改革しても教職員の価値観や意識が変わらなければ、時代にマッチした、内容の充実した教育が行えないと批判されても仕方がないのであります。
 そこで、今後、教職員が本当の力量をつけ、変化の厳しい社会にマッチした教育を行えるためにどのような研修体制をとるか、教育長にお伺いいたします。
 次に、公立高校と私立学校との関連についてであります。
 経済的に恵まれない生徒でも社会のリーダーになれるためには、公立高校において内容の充実した効果的な教育を行わなければならないと私は考えております。司馬遷の言葉に、「育てて教えざるは親の過ちなり、教えて厳しからざるは師の怠りなり」という一節があります。公立学校の教科や生活指導に厳しさを欠くべきでないということであります。
 教育活動をする人や全般に厳しさのある私立中学校の生徒の親の職業に公立学校の教職員が多く見られる現在であります。一部の私学人や公立の先生によって主張されているように、公立学校は基本的な教育だけを受け持てばよい、すぐれた充実した高度の教育は私学が担当するということになれば、日本の将来に大きな禍根を残すことになる。また、公立学校の数倍の納付金を出すことができる家庭の子弟のみしかすぐれた充実した教育を受けられないとなると、大変なことになります。「競争なくして発展なし」という現実は、現在の社会主義国家の実態と混乱が証明しているとおりであります。
 公立学校では、予算と人事権は校長にあるとはいえ完全でなく、教育委員会がこれを握っているのであります。そこで、予算と人事権の権限を校長に集中させて、校長の学校経営手腕を十分に発揮させてはいかがなものですか。その上、職員会議を最高の議決機関であるとの間違った観念を持っている職員団体の非常識な体質を改めること、それに職員団体の傘の下に隠れていればみずからを磨かずとも安住できるという教職員の意識を改革しなければ公立高校の教育はますます社会の変化についていけなくなり大変なことになるので、それらに対する方法等について教育長の所見をお伺いいたします。
 次に、県の職業安定行政についてであります。
 まず、若者の職場確保についてであります。
 私の手元に二通の履歴書があります。一通は新規学卒者のAさんのものであり、一通はUターンを希望するBさんのものであります。このように就職の世話を依頼されるたびに、二十数年前の自分のことが思い出されるのであります。
 私自身も大阪で就職して安定した家庭生活を営んでおりましたが、母親が年老いてくるので大阪に来て一緒に生活をしてくれるように頼んだけれど、田舎を離れるのがどうしても嫌だということでした。若いときから苦労して自分たちを育ててくれたので、せめて親の老後は見てやりたいとの思いから、自分自身、田辺へ帰る決心をしたのであります。しかし、田辺へ帰っても手に何の技術も持っていないので、適当な就職口を探しても、経済的な満足を得られれば精神的な満足は得られないし、精神的な満足を得られれば給料等経済的な満足を充足させてくれる職業がなかったのであります。そこで、一念発起して税理士試験を受けて税理士になったのであります。これが二十数年前のことでありますが、今日的課題でもあるのであります。
 十月二十九日付の日本経済新聞によると、三大都市圏に住むビジネスマンは、五人に一人の割合でUターンやIターン──出身地以外の県に移ること──を考えている。豊かな自然、通勤時間が短く、ゆとりある生活等がその条件になっている。二十代では、六○%以上の者がUターンやIターンを希望している。残念ながら我が和歌山県は、その県に移りたいと思うビジネスマンの割合は、四十七都道府県中、下から九番目であります。
 Uターン、Iターンするための要件は、次のとおりとなっております。「豊かな自然がある」が六〇・七%、「通勤時間が短く、ゆとりのある生活ができる」が五三・三%、「社会基盤(上下水道、病院、公園など)が整っている」、「家を持つことができる」、「生活水準がある程度落ちてもそれなりに暮らせる年収が保証される」、文化、医療、学習などの施設がある等々であり、和歌山県においてその条件が満たし得ないので移住希望が四十七都道府県中、下から九番目になっている現状であります。
 私が依頼を受けたUターン希望者Bさんの場合など、大学を優秀な成績で卒業して有望な企業に勤務しているが、両親が年老いてきて、早く田舎に帰って一緒に住んでほしいとの希望から、やむを得ず帰る決心をしたので相談に乗ってほしいとのことであります。
 高齢化が全国平均を十年先取りしている我が和歌山県にとって若い優秀な人がUターンして定住してもらえるのは大変結構なことであり、行政の一端にかかわる者として一日でも早く帰ってきてほしいと願うし、反面、今の優良な職場をやめて転職してもらえる職場が紀中、紀南へ行くほどないので、まことに残念であります。また、新規学卒者のAさんの場合は、特に子供が少なくなっている現状から、両親が田舎で就職してくれることを強く希望して子供をようやく説得したということであります。
 そこで、仮谷県政の三本柱の最重要課題である「活力和歌山」の実現のためにも、我がふるさとで就職して両親と一緒に生活するという、この若者のすばらしい希望をぜひ満たしてやるべきであると思います。そのために県は企業誘致促進や技術労働力等確保対策事業きのくにジョブ・インフォメーションの展開をされているが、その現状と、それらの施策の効果的促進を図って若者の希望を満たすための仮谷知事及び商工労働部長の所見をお伺いします。
 次に、高齢者雇用の問題であります。
 県内の六十五歳以上の人口が十六万人を超えて総人口の一五%を占めていることが今年度の老年人口等調査でわかった。全国十三位の高齢県で、全国ペースを十年先取りして高齢化が進んでいる現状であります。
 老年人口比率を市町村別に見ると、北山村が三一・九%と最も高く、美里町の二八・八%、古座川町の二八・七%、本宮町二七・九%、熊野川町二七・二%で、五十市町村のうち四十三市町村が県平均を上回っている。人口の高齢化が全国的にピークに達する三十年後には老年人口比率の全国平均が二三・六%と予想され、県全体では全国平均よりも十年早いペースで高齢化が進むものと見られている。
 そこで、この高齢者の方々に元気で幸せな生活を送ってもらえるかどうかが県民全体の幸せにつながり、重要な県政課題となってきている。高齢者の方々に幸せな生活を送ってもらうためには、就労、福祉、スポーツ、趣味の問題と多種多様にわたりますが、本日は特に就労の問題を取り上げてみたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 百人以上雇用している県下企業百六十七社のうち百六十一社が定年制を定めているが、六十歳以上の定年制となると平均六五・二%にしかならない。今後、職業安定施策として官民一体となって定年制の延長問題に取り組まなければならないと思うが、仮谷知事及び商工労働部長の所見をお伺いいたします。
 次に、定年後及び自営業を引退した後の高齢者の就労問題も、人生八十年代を迎えて大きな問題であります。そこで、高齢者の社会参加を促進し、生きがいを持って人生を送り、社会の役に立っているとの自意識を持って生きていくために、御存じのようにシルバー人材センター事業があります。我が和歌山県には和歌山市と田辺市に設置されて非常に好評を博しており、大変結構なことであります。シルバー人材センターのほかに、市町村単独で行うミニシルバー人材センターがあり、平成二年で全国四百九十九カ所のシルバー人材センター──ミニシルバー人材センターも含む──が設置されて効果的な運営を行い、高齢者の方々に生きがいを与えておりますが、労働者不足が社会問題化されようとしている現在、もっともっと増加すべきである。特に、全国平均を十年先取りして高齢化が進んでいる和歌山県にとって、もっともっと多くの市町村へ設置すべきである。いろんな指標を出すときに全国平均の一%と言われるので、平成二年には五カ所の人材センターが設置されていなければならない。高齢化社会の我が県にとって、少なくとも指標以上の高齢化が進んでいる市町村に設置すべきであると存じますが、それに対する仮谷知事及び天谷商工労働部長の所見をお伺いします。
 次に、有機農法の振興についてであります。
 最近は、特に地球環境の汚染と破壊の進行に対する科学的指摘や警告が世界的規模にまで高まっています。その結果、人類の生存と健康に不可欠の食に対する関心や知識水準も相当高くなっており、私たちの食生活は欧米諸国以上に大きく変化しているのであります。農薬や化学肥料の大量投与を軸にした現代農業は、自然生態系を否定した工業的農法によって大量の比較的安価な食糧を供給し、高度経済成長と相まって飽食時代を現出させたのであります。
 こうした時代の流れを受けて消費者志向は量から質へ、さらには安全性、健康性、簡便性、利便性を求めて大きく変更しつつある。簡便性、利便性は、とりもなおさず生鮮食品から加工食品へ、また家庭料理から外食へと食生活を変化させ、成人病や慢性疾患の増加の原因ともなっているのであります。一方、安全性や健康性は、輸入食品のポストハーベスト問題、農薬使用や食品添加物等に対する消費者の関心を一層喚起させ、たとえ不当表示であっても、健康食品や有機農法生産物と表示すれば高く売れる時代を迎えているのであります。
 このように「物」から「命」「心」を大切にする時代を迎えている今日、自然環境に順応して人々の健康を守る有機農法は、現在の化学的、工業的農業にかわって飛躍的に発展すべき時期を迎えていると思います。そのためには、有機農法の技術水準を高め、生産性の増大を図ることが肝要であります。しかし、それに増しても大切なことは、健康を願い、良質の食を求める消費者の声を聞いて気持ちを酌み取り、その希望に合った食品を十分に供給できる体制をつくることであり、このことは、とりもなおさず産地の競争力強化につながるものと考えます。
 一般の市場では、商品として大量の食品を消費者に提供しているが、その中には有機農法の生産物は余り含まれていない現状であります。現在の流通状況をどのように改善するかが有機農法発展の大きなかぎになると思う。食と農との結びつきを一層強化することが有機農法の今日的課題になっている。人間の命を大切にし、自然環境にマッチした有機農法に対する安田農林水産部長の所見をお伺いいたします。
 このように二十一世紀に向けて飛躍的に発展しようとしている有機農法は全国的に行われているのであります。
 例えば長野県では、県の取り組みとして、国庫補助を受けて地域重要技術開発促進事業、高付加価値野菜栽培確立調査事業、農薬省散布技術確立事業、健康な土づくり農業推進調査事業等の事業を行い、農協中央会、農協経済連等で有機農業に対する各種研究会を設置し、単協では有機農業の振興のため各種の事業を行っている。
 また岡山県では、岡山県有機無農薬農業推進要綱を昭和六十三年六月一日に策定し、平成元年三月二十二日に一部改正して有機無農薬農業の推進をしている。その趣旨として、食糧の消費動向を踏まえて化学肥料、化学合成農薬に依存している栽培法から、有機物を中心とする土づくりを基本に、自然の生態系を重視した有機無農薬農業を育てる必要があるということから、推進リーダーを養成して有機無農薬農業の中核となる生産集団をモデル的に育成し、その成果をもとに外延拡大を推進したり、さらに岡山有機無農薬農産物の栽培基準に即して生産した農産物であることを明確にする認証制度を設けて岡山有機無農薬農産物として独自のブランドをつくり推進し、二十一世紀に向けて社会情勢にマッチした岡山県農業の振興を図ろうとしている。
 そこで、和歌山県の有機農法の現状と今後の取り組みについて農林水産部長にお伺いいたします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(橋本 進君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、教育の問題でございます。
 お話のように、最近の国際情勢の大きな変化の中で我が国においても国際化とか情報化、また価値観が多様になっております。こうした国際社会の中で生きていくためには、日本も、また各個人においても豊かな情操力、たくましい心、体、そして大きな包容力も持った人材の育成ということが最も肝要なことではないかと思います。そうした意味において、新しい時代に対応した国際化の中での教育のあり方ということを真剣に考えていただきたいと思っております。
 次に、木下議員が自分の過去を振り返られ、若者の定着問題について話があったわけでございます。
 我々のふるさとを活力あるふるさとにするためには、若い人が定着し、またUターンして帰ってくる形にしなければならないということは同感でございます。そうした意味において企業誘致の問題等がありますが、特に我々のふるさとが都会から離れておるということが大きい問題となっております。そのために、交通網の問題、高速道路の延長の問題、飛行場の問題、またリゾート開発等、多方面にわたって今後ともふるさとの発展のために努力をしてまいりたいと思っております。
 また、高齢化対策につきましては、お話のように就職対策ということも重要な問題でございます。そうした意味において職場の開拓という問題がございます。現在の産業構造面から見て人手不足が取りざたされておりますので、高齢者の就職対策ということになお一層配意するとともに、定年延長の問題、シルバー人材センターの問題、雇用の問題等についてもなお一層積極的に進めてまいりたいと思っております。
○副議長(橋本 進君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、若者の職場確保についてでございます。
 企業誘致の現状でございますが、昭和五十八年から現在までに四十八社の誘致を見ており、その雇用者数は大体千五百名となっております。ちなみに平成二年の誘致数は十六件で、そのうち日高郡以南で九件となっており、地域の雇用創出に大いに寄与するものと考えてございます。
 また、Uターン就職の促進のため本年度から開始した技術労働力等確保対策事業につきましては、現在、平成三年度大学等卒業予定者のうち本県出身の技術系大学生約千八百名を対象に就職に関する意向調査を行っているところでございます。今後、県内企業千百社を対象に採用に関する動向調査を実施するとともに、県内就職希望大学生に対して県内企業の求人情報等の提供をとり行うこととしております。
 また、若者の就業の場の創出のため企業誘致を積極的に推進してまいるとともに、Uターン就職の促進を図るため、Uターンアドバイザーの設置や求人説明会の開催等、施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、高齢者雇用問題でございます。
 高齢者の雇用就業対策につきましては、高年齢者雇用安定法に基づき、六十歳定年を基盤として六十五歳までの継続雇用の推進、高年齢者の早期再就職の促進、シルバー人材センターの拡充による定年退職後等における臨時的、短期的な就業の場の確保の三点を基本として推進を図っているところでございます。
 定年制の現状については議員御指摘のとおりでございますが、今後、六十歳定年への引き上げを予定している企業も合わせると八五%を超える見通しになっております。今後、平成五年度、六十歳定年の定着化を目標として県下の各公共職業安定所を通じて事業所指導を推進し、六十五歳までの勤務延長や再雇用などによる継続雇用の推進を図るとともに、六十歳代前半層の雇用就業機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、シルバー人材センターは、生きがいの充実や社会参加を希望する高年齢者に対し就業機会の増大と福祉の増進を図ることを目的として、各市町村が国の補助のもとに設置することとなっております。県としては県下各市を中心として設置促進を図っていくこととしており、設置に向けて検討中の自治体に対しては、現在も需要調査に係る指導やヒアリング等を行っているところであります。今後とも、高年齢者の就業の場の確保のため、ミニシルバーの設置も含めて強く取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 有機農法に関する部長の所見ということでございます。
 有機農業につきましては、消費者の食品に対する安全志向が高まる中、注目されており、高付加価値型農業を推進する上での一つの方策と考えております。しかしながら有機農業は、我が国のように雨の多い気象条件では病害虫の発生が多く、収量の減少や品質低下など生産性の大幅な低下が伴うことから、農業経営上、大変難しい面もございます。また、国民への安定した生鮮農産物の供給という観点からも難しい問題があることから、国においては平成元年度より対策室を設置し、有機農業の定義づけやその実態把握に取り組んでいるところでございます。
 今日、有機農業が関心を持たれる社会的背景については十分認識しているところであり、天敵を利用した防除や太陽熱利用による土壌消毒など農薬を使用しない防除法、また堆肥などを施用した土づくりなど安定した生産技術の開発に取り組むとともに、県農協連とも流通上の諸問題についてもその可能性を検討してまいりたいと考えております。
 次に、本県における有機農業の現況と今後の取り組みについてでございます。
 現在、有機農業として実践されているのはおおむね十団体、百農家程度で、温州ミカン、水稲、里芋などを対象に、大半が農薬散布をできるだけ控え、有機質肥料を主体にした農法となっております。県といたしましては、今後とも生産者団体などの自主的な取り組みに加え、全国的な動向を踏まえながら生産流通実態調査を実施するとともに、試験研究機関においては全国的な連携の中で、適応品目や作付体系、防除面では作物に直接散布することなしに防除効果のある性フェロモンの利用など使用農薬の削減技術の開発、また施肥面では土壌改善や有機質資材の利用等、生産技術の確立に向けて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 公教育に対する県民の大きな期待の中にあり、学校は校長を中心にして一丸となって教育を進めていかなければならないことは当然でございます。したがって学校長は、校内人事、予算執行、教育指導を初めとして校務運営全般を掌理する最高の責任者であり、教職員を指導監督する立場にあるわけでございます。
 校長は、確固たる教育理念を持って教育方針を明確に打ち出し、それを具体化するために校内における部長や主任の任命等についても指導性を発揮し、教員一人一人の特性を生かして学校を円滑に運営しなければなりません。こうした観点に立ち、今後さらに指導力の向上を図るために教育経営研修講座や新任校長研修講座等、各種の校長研修を充実させてまいる所存でございます。
 教員にあっては、県民の学校教育に対する期待の大きさと厳しさを自覚し、教育の専門家としての実践的指導力や幅広い知見、また教育に対する情熱と使命感を高めながら一層努力をするよう指導してまいりたいと考えております。そのため、校内の研修体制を確立させるとともに、初任者研修や教職経験者研修等をさらに充実させてまいりたいと考えてございます。
 また、社会の変化に対応し、一人一人の能力を最大限に伸ばすという観点からも、県立高校にあっては進路別類型の設置や習熟度別学習等をさらに推進するとともに、新しい学科の設置など、特色のある学校づくりを推進しているところでございます。
 今後とも校長がリーダーシップを確立し、教員が教育に対する情熱と専門性を高め、学校が一丸となって教育実践に当たるよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番木下義夫君。
○木下義夫君 答弁をいただきました。要望をしたいと思います。
 教育の問題は非常に簡単な、基本的な問題でありますけれども、現実的には非常に難しい問題になっていると思うんです。ここに大会社の社長さんもおられますけれども、自分が社長になって会社の経営をするときに自分の理念で経営できなくては、会社の発展もないし、円滑な運営もできない。自分はこういうふうな理念でもって会社を経営したいということで、「部長はあの人になってほしい。課長はこの人になってほしい」と思っても、ほかの機関で、「いや、部長は別の人や。課長さんは別の人や」というふうになると会社は発展しないし、効率的な運営もできない。こういうことと同じでございます。
 この問題は多少時間のかかる問題でございますから、今後、教育委員会の御奮闘をじっと見させていただきますので、御奮闘いただきますことを心から願って、質問を終わります。
○副議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十四分散会

このページの先頭へ