平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時四分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
34番浜本 収君。
〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 初めにゴルフ場誘致・建設と県の対応について、二つ目は国立公園特別地域の破壊と県の対応について、三つ目は南紀新空港建設について、四つ目は先日の森議員の質問に対する教育委員会の答弁について、以下、この四点の質問をいたします。
串本町の町長は、六月定例町議会の冒頭、潮岬ゴルフ場誘致について言及し、「潮岬リゾートの進出企業である島精機、紀陽銀行、不動建設グループには申しわけなく、意を尽くしておわびするとともに」として、地区住民の反対決議を率直に尊重する立場から潮岬ゴルフ場誘致断念を明らかにいたしました。
御承知のように、この計画は、今申し述べた三つの会社が潮岬の中心部約百十ヘクタールに十八ホールのゴルフ場、約百室のプールつきリゾートホテル、テニスコート四面、ヘリポートなどを建設しようということで、総事業費約二百億円をかけて平成六年度完成予定として、去る四月二十三日、串本町と覚書を交わしたものであります。しかしながら、この計画が公表されるや、予定地の中心地区百十五世帯のうち百五世帯が直ちに反対署名を集約、また潮岬区民臨時総会においてゴルフ場誘致賛否を問うたところ、投票総数三百十三票中、賛成二十七票、反対二百八十二票、無効四の結果を見るに至り、串本町議会企業誘致特別委員会はこれを受けて、先ほど申し上げた串本町長のゴルフ場誘致断念の表明となったのであります。
この間の経緯の詳細は各紙、地方紙を通じて都度明らかにされてきたところでありますが、串本町わけても潮岬へのゴルフ場誘致計画は、以前、オリムピックなる企業が誘致するということで住民の合意を得たものの、企業は「もうしない」と言って東京へ逃げていき、見事にこの誘致計画は失敗に終わった、二回目は、青木建設という会社による計画が進められたが、これも中止となった、そして今回、三度目の正直、またも断念という状況を生んだのであります。
県内のトップ企業と言われる島精機、紀陽銀行の進出とその失敗について、県として何らかのお世話をしたのではないかと私は勘ぐるのでありますが、このことについて県としてどのような感想を持っているのか、まずこの点をただしておくものであります。
潮岬の区民臨時総会で代表区長は「町の説明を受けた上で区民の態度を決めよう」との提案も行ったが、「町は既に企業との間で覚書を交わして進めているではないか」との意見に象徴されるように、行政主導型の建設計画は、その功を焦る余り、住民との相談を後回しにしたがゆえに今回のような結果を招来したのであります。
今、私の町白浜を中心に見たり聞いたりするゴルフ場計画は、必ずしも正確な数ではございませんが、田辺市では一カ所、上富田町は二カ所──うち一カ所はこの十月にオープン──中辺路町一カ所、白浜町は何と四カ所、日置川町三カ所、すさみ町二カ所と聞いております。また、一昨日の企画部長の答弁によれば、県下で営業中のもの二十、造成中三、届け出制度開始前七、開始後九カ所、うち事前協議中七カ所とのことでありましたが、今後ともゴルフ場誘致・建設の趨勢の中で本県におけるゴルフ場の数の目安をどの程度に置くのか、参考までにお聞かせを願いたいのであります。
また、現在行われている二十のゴルフ場の中で、過疎対策関連、同和対策関連、観光対策関連、その他地域振興に寄与するものといった視点から見て、特に市町村と地元民にとって利点があると思われる特徴的なものがあれば、ぜひ公表されたいのであります。
先日、「紀伊民報」という新聞の「水鉄砲」──朝日新聞の「天声人語」のような欄でございます──の記事にこのようなことが書かれておりました。それは、「今、日本列島はリゾートブーム。新しい時代の波で、何とかうまく地域の活性化につながらないかと行政も真剣である。でも住民側は、『開発企業が撤退すると取り返しがつかない』と主張する側と『リゾート頼りの地域開発でなくてよい』とする考え方がふるさとを揺り動かしている」ということでありましたが、進むも退くも、いずれにしても住民参加というか住民主導型こそが事の正否を決定づけるかぎであります。したがって、私は、六十三年十二月一日実施に係る「ゴルフ場等開発計画(予定地)に関する県の取扱」に注目をいたしたのであります。
すなわち、その要綱によりますならば、新規開発計画に関する届け出の受付は、一、過疎対策関連事業、二、同和対策関連事業、三、観光・リゾート対策関連事業、四、その他特に地域振興に寄与すると認められるものとし、地域振興として地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画に限って届け出を受け付けるものとしているが、防災対策、水と緑、農薬の問題、住民生活にかかわる環境問題、地元雇用、地元産品の積極的参入等々、当該自治体、企業、住民ともども話し合いの上で一致点を見出し、その合意形成を図っていく確固たる指導方針を徹底化するよう要望し、あえて答弁を求めるものであります。
県は、平成三年度に向け、半島地域の振興、リゾート開発の推進を引き続き政府に対して要望を重ねているところであるが、これらの全体の流れ、さらには燦黒潮リゾート形成の位置づけの中での県立自然公園、また一方、高まるナショナルトラスト運動の中での天神崎の位置づけ等々、「保護」と「開発」という極めて現代的な課題を県政全体として背負った時点において既成の条例の枠の中だけで事に当たっていいのだろうか。保護すべきもの、より一層保護を強めるもの、保護の緩和を求めるもの、またより一層規制すべき地域の拡大または縮小等々についてどう考えているのか。今、それらの見直しについても検討すべきときに来ていると思うが、御所見を伺うものであります。
例えば、現在、県内に県立公園をその一部に持つゴルフ場は四カ所存在するが、これからはそれを含むと全然だめなのかという意見や、それらを改造し修景し、より自然を優位にさせるという立場での開発を進めてはどうかという意見等も含め、答えられたいのであります。
次に、農薬とゴルフ場とのかかわりが全国的に大きく取り上げられていることについて、さきの二月県議会において堀本議員から質問のあった千葉県での農薬取り扱いについての農林水産部長の答弁は、「三月九日の報道で知り、直ちに千葉県にその事情を伺った。なお関係部局とも真剣に検討を加えていきたい」とのことであったが、その調査と検討の結果について明らかにされたいのであります。
また、昨年の議会における農薬検査体制と立入調査についての村岡議員の質問に対し、県の「平成元年六月一日、県ゴルフ場農薬安全使用指導対策協議会を設置し、立入調査を実施して個別指導を行っている」との措置状況に照らして、その実態について公表されたいのであります。
さらに、それらの結果と全国状況を踏まえ、県は今後のこれが対策についてどのような見解を持っているか、あわせてお伺いしておきたいのであります。
二つ目の質問に入ります。
休会中の六月二十八日、私は串本町潮岬の方々からぜひ現地を見てくれという要請を受け、潮岬の浪ノ浦海岸、通称「ナタボ」と呼んでおりますが、その浜に立ち寄ってまいりました。「無許可で造成」、「潮岬の国立公園内」、「防潮堤も壊し出入り口」の見出しで、七月一日、正確にこの件を取り上げておりますが、以下、その概要を述べて質問をいたします。
六月二十六日、串本町の不動産会社員とこれを請け負った平野組なる土建業者が県道の防潮堤十メートルを取り壊し、そこを通路にして大量の土砂をダンプカーで運んで土入れを行い、波打ち際より二メートルないし三メートル程度掘り起こし、二十七日も引き続き作業中のところ、地元の住民男女二十数名から抗議を受け、串本土木事務所職員、串本町役場職員ともどもこれに立ち会った、というよりも立ち会わされた件であります。
このあたりは国立公園第二種特別地域でありますが、海岸線をよぎる県道にかかる十メートルの防潮堤の取り壊しはもちろん無許可で行われ、道路法違反であり、また県道と波打ち際に挟まれた五百三十一平方メートルの個人所有の土地の周囲に五倍以上にわたって土入れをし、造成工事を始めたものであります。
二十八日午後、私が現地に行ったとき、その作業は一応中止はしていたが、大きなブルドーザー二台がそのままその場所に置かれていた。私は土木事務所に対して直ちに撤去の申し入れを行ったが、住民の再三の抗議にもかかわらず、それらの機械を現場に放置している状態、つまりこのことは、逆にいつでも作業ができる状態にしていることを意味するが、このことに私はまず驚いたのであります。
繰り返し言うが、無断で県の防潮堤が取り壊され、それを通路に大量の土砂を入れ、私有地の境界を決める正式な申請手続のない土地に、しかも串本土木職員立ち会いのもとに境界確認のくいが打たれておる、そして約五倍の土入れをして造成を行う、住民はこれに抗議する、それでも平野組のブルドーザーがそのまま置かれている。もし私がその日行ってないとしたら、また「立ち退け」と言わなかったら、まだ置かれておるだろうと勘ぐるのでありますが、「取り除け」と直ちに指示できないほど事務所と業者は仲がいいのだろうか。十メートルの防潮堤が壊されても腹が立たないのか。とすれば、暗黙の了解を与えていたのではないだろうかということを考えたのでありますが、この際、ぜひそのことを含めて解明されたいのであります。
二十年前、県が周遊道路をつくってくれた。そのとき、工事のためこの海岸に泥が入り込み、住民にとって生計の一部となっていたアワビやテングサが減少したが、公共事業の必要性に立って辛抱した。そして、時がたつにつれて海は再びよみがえり、アワビやテングサ、ワカメ──「メー」と言っております──が磯につくようになってきた。しかし今、「突然こんなことを白昼公然とやられてはたまったものではない」と、住民は口々に私に訴えるのであります。住民は、県立公園二種だとか一種だとか、そんな法律や、また条例何条に何が書かれているか一々知らないけれども、その抗議は全く正当であります。
以上の経緯に立って、土木部長、商工労働部長に見解を問うものであります。
なお、本件については串本警察署も関係者から事情聴取を行ったやに聞いている。また、ちまたのうわさではどこかの暴力団が関係しているやに言われているが、あわせて県警察本部長の見解を問うものであります。
三つ目、昭和六十年一月二十一日、白浜町長名による南紀新空港整備事業に伴う空港建設に係る知事への念書は──一般的に「念書」と言うと、御記憶の方も大勢いらっしゃるかと思いますが、昔、「黒金念書」というようなものがあって、何か悪いことをしておるような感じを受けるわけでありますけれども、それはそういうものではございません。その念書は、次のとおりであります。
一、南紀新空港建設に係る用地買収、物件補償等の交渉・調整については、和歌山県と協議しながら白浜町は積極的に努力する。二、空港用地内の白浜町有地は、空港用地として和歌山県に無償貸与する。ただし、公共施設代替地取得については和歌山県と白浜町は協議する。三、省略。四、民有地の買収に当たり、空港周辺の白浜町有地と交換措置できる場合は、有償・無償を含め当該地と交換を行う。五、省略。
またこの際、地元田辺市長──当時は水野市長でございます──田辺市議会議長、西牟婁郡町村会長、西牟婁郡議長会会長、白浜町長、白浜町議会議長の立ち会いのもとに知事から、一、県営空港であるが、建設に当たっては広域的に地元市町村の協力が絶対的に必要であることを認識されたい、二、用地交渉、物件補償等の交渉は地元で責任を持って対応してほしい、必要な費用については今後考慮したい、三、広域圏という立場から、田辺市を初めとする関係市町村も物心両面において協力してもらいたいことが確認・了承されたのであります。
なお、その後、知事並びに白浜町長の間で交わした本事業に係る業務の協定締結は万全を期したものであります。
そこで、次の質問をいたします。
先ほど読み上げたように、六十年一月の念書以来、既に五年有余たっております。以前も質問をいたしましたが、用地買収の現状と今後の見通しを明らかにされたいのであります。
また、空港整備計画に係る懸案事項の一、白浜町内における花卉団地の推進については、せっかく国、県の予算化にもかかわらず話がうまいこといかず一年延長、二、廃棄物処分場、焼却場、斎場を含む町公共施設移転計画は六十二年に作成はされたものの、その後、何の進展も見られない状況である、三、現行廃棄物処分場の当面の処分先の問題──これは十一月までにどうしてもなし遂げなければならない──今申し上げた白浜町が果たすべきこれらの課題に対して県はいかなる対策をされようとしているのか。
既に現地空港建設事務所は、空港建設に並み並みならぬ決意を持ち、それを公約に掲げて当選をした新町長とそれらの懸案事項解決への促進方を話し合い、双方ともより一層の努力を誓い合ったように聞いています。今晩はまた、その該当地である才野地区というところで、町長みずからが出向いて花卉団地を含む農民の皆さん五十数名と朝までかかってでもこの話をするんだということで、熱意に燃えているということも聞いてございます。
まことに言いにくいことではございますが、今までのような白浜町の取り組みでは、時はいたずらに流れていくだけであります。この際、県、町一体感に立った──最近、「県市協調」とか「一体」という言葉がはやったようであります──推進への方途を示されたいのであります。「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」、県の決意を開陳されたいのであります。
四つ目、簡単に行います。教育委員会にお聞きいたします。
本定例議会における先輩・森議員の不老橋についての質問に対する県教育委員会の答弁について質問をいたします。
質問内容はこの際省略し、まず教育委員会の答弁を紹介いたします。一番最後に言われた答弁が最終の答弁だと思います。それまでごちゃごちゃといろいろ言われておりましたが、それは答弁の過程であって、最後に答えられたことをもって答弁を了承するということになろうかと思います。
上野教育委員長、「豊かな心を育てるという見地から、今後は十分に慎重に対応していかなければならないと考えております」。「豊かな心を育てるという見地から」、ここが大事である。「豊かな心を育てる」──前段、その質問の中で、森教育長だったらお金を十万渡すよりも図書券を渡すが、それとどっちがいいかと。そういうことをする方が豊かな心を育てるという見地に立てるのでないかという意味での図書券の発想であります。それを受けての答弁がこれであります。
一般的に言いまして、教育委員会だけでなく、知事部局であろうがどこであろうが、答弁というものは大別して三つに整理できます。「渡辺先生の言われていることは全くそのとおりでございます。私どもも議会の皆さん方とともに一生懸命にやってまいりたいと思います」、これは質問に対する賛成の立場の答えであります。「浜口先生のその説はわかりますけれども、私ども、それには賛成することにはできがたいので、いたすわけにはいきません」、これは当局は反対の意思を表明している。世の中には、この二つの答えしかないんです。しかし、もう一つございます。「下川先生の言われていることはよくわかります。しかしこの問題については、予算等のこともありますし、今後十分検討してまいりたいと思います」、これは三つ目の答弁であります。答弁というのはこの三つに集約される。そうして、下川先生に答えたことについては、後日、何らかの機会において、「こういう理由だから、どうもこれはできません」と答えるか、措置をしていくか、あるいは「できましたよ。先生、喜んでください。ついでに選挙区の人にも言うておいてください」と言うか、それぞれ理由がつけられるのであります。この三つしかない。
そこで、先ほど読み上げた答弁はどういうことになるのか。「そのとおりである」ということではない。「反対である」ということでもない。「検討する」と言うけれども、「豊かな心を育てるという見地から」と言って、一たんそれを受け入れ、そして「今後は十分」──「今後」と言うても十年先も今後であるし、あしたも今後である。しかし、ここでは「十分に慎重に」ということでありますから、「その説には賛成だが、今回はできないので、今後、この種の件について十分に慎重に対応していく」と言うておるのか、それとも「今回は実施要項に沿って行う」と言うているのか、その辺が極めてあいまいであります。
その答弁を聞きながら、私は当局の方の席を見させてもらいました。そうしたら首を横に振る人もおられる。首を横に振るというのは、教育委員長の答えは間違っているということで振っておるんかなと思ったり。しかし、聞くわけにもいきませんので。どうもその辺のことが非常にあいまいであります。「どんなに言われてもそれは執行していくんだ」、これが執行部の立場なのか、思い切って、「お説はそのとおりです。今後これは検討して、場合によっては文教委員会等にも諮り、そして皆さんに諮って修正をしていきます」と言うのか、この辺がさっぱりわからない。
教育委員会は時々こういう答弁をなさる。もちろん、教育の問題というのはほかのことと違って非常に質的な内容を伴うので、いろいろ答えにくい問題があろうかと思います。どの部が答えやすいと言うのではない。「この道つくるんか、つくらんのか」、「はい、つくります」、「つくりません」、こういうのは割に考え方は要らないというか。しかし教育の問題については、「心の豊かさ」というようなことを言われると、どうも弱いなあと下がっていかんならん。こういう感じがするのでわからないこともないですが、この際、森議員の質問に対する教育委員会の答弁、しかと答えられたいということを最後に質問として終わりたいと思います。
どうもありがとうございます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
潮岬ゴルフ場の誘致計画断念についての考え方でございます。
私も、この件について、串本町並びに町議会が誘致決定をしていながら計画断念に至ったということにびっくりしている次第でございます。
話ございましたように、かつてオリムピックがやると言った際において賛成をして、会社側の経営上の問題等から断念した経緯もあるわけでございます。今度進出する企業は県内の優秀な企業で、経営者としても非常に立派であるため地元に迷惑はかけないだろうと思っておったんですけれども、時代の流れといいますか、またいろいろな事情等からあのような地元の決定になり、そうした形で町議会、町長の誘致断念決定となったわけでございます。
本議会等においても絶えず言われることは、漁村や農村、また山村において若い人が定着しないということでありまして、我々ふるさとを受け継ぐ者として真剣に考えなければならない問題として議会でも御討議をいただいております。
また、最近、リゾート計画が盛んになってまいり、県としても燦黒潮リゾート構想を打ち出しております。県民の世論を見ても、若い人の七十何%がリゾートによって働く場所を確保できると言われております。
そうした時期であるだけに、地元の発展をいかにすべきかということについて、地元の皆さんも、町も、県も真剣に考えなければならないと思います。
ただ、こうした地域開発計画につきましては、コンセンサスということが大事でございます。そうした点において一つの大きな警鐘を与えていただいたのではないか、また今後、なお一層活性化を図っていこう、それにまさるものを求めていこうという機運をつくっていかなければならないのではないかと思っております。
それから、白浜空港の問題でございます。
質問に答える前に、亡くなられた前の白浜町長である片田さんがこの空港に並み並みならぬ執念を燃やしておったわけでございまして、片田さんの霊に対し、謹んで哀悼の意をささげる次第でございます。
浜本議員から叱咤激励という感じの質問をいただきました。
お話ございましたように、この空港については、県も六十二年に現地に建設事務所をつくり、県会も全員で新空港建設促進議員連盟をつくって私たちを叱咤激励していただき、またいろいろお手伝いもしていただいております。そしてまた、これを行うに当たっての念書の差し入れの問題や、当時、私がお願い申し上げたこと等について、私も機会あるごとに強く地元の皆さんにお願いを申しているわけでございます。
特に今、この事業を完成するに一番重要な時期ではないかと思います。お話ございましたように、進捗状況は必ずしも十分ではないけれども、そうした点を踏まえてなお一層積極的にやってまいりたいと思います。
また、白浜町長が交代いたしましたが、新町長も白浜空港を町の最重点施策として取り組んでいくという決意を伺っております。私たちも緊褌一番頑張るとともに、町自体並びに田辺市初め関係の市町村、関係の財界の皆さん等の協力を得て努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) ゴルフ場に関連しての御質問にお答えを申し上げます。
まず第一点は、ゴルフ場の数についてでございます。
ゴルフ場開発につきましては、地域振興策の一つであると位置づけているところでございます。
本県における現在のゴルフ場は二十カ所であり、県土面積に占める割合は〇・三一%で全国二十九位となってございます。また、工事中は三カ所、事前協議中等は十六カ所でありますが、これらがすべて完成したとしても県土面積に占める割合は〇・八%で、近畿においては最も低い状況でございます。
県といたしましては、ゴルフ場等開発を進めるに当たっては、自然環境の保全を図りつつ、総合的かつ計画的に県土利用を進めることが基本であると認識をいたしてございます。個別法による対応とともに、この点を十分配慮しながら今後の動向を把握し、的確な対応を図ってまいりたいと考えております。
第二点は、現在営業中のゴルフ場の中で地域振興に寄与している特徴的なものを説明せよということでございます。
過疎対策として特に地域振興に寄与しているゴルフ場の一つの例といたしましては、昭和六十二年十月、日高郡中津村にオープンしたゴルフ場がございます。具体的な効果としましては、まず雇用面では、正規従業員は約百二十名あり、そのうち六十名近くが村内から、残りもほとんどが近郊市町村からの採用でございます。さらに、アルバイト、パート職員も約二十名いると聞いております。その年齢構成を見てみますと、三十歳以下の職員は七十数名おり、若者の定着に大きな効果を示しているものと考えます。
地域産品の販売の拡大につきましては、当ゴルフ場はもとより、近くに設置されている村営の林産物加工品等展示場での売り上げが、昭和六十二年に約三千三百万円であったものが六十三年約四千三百万円、平成元年約五千九百万円と、ゴルフ場オープン後、年々三割以上の売り上げ増加率を示していると聞いております。さらに、村の財政への直接的な寄与として、ゴルフ場利用税や固定資産税等で年間一億円近い増収があったと聞いてございます。
また、観光リゾート対策関連として白浜町に立地しているゴルフ場がありまして、二カ所で年間約十一万人近い利用客がございます。
最近、ホテルの予約申し込みの際にもゴルフプレーができることを条件とする観光客も多くなってきていると聞いており、健康なスポーツとしてのゴルフを志向する観光客はますます多くなってくるかと考えます。今後とも、ゴルフ場は白浜町へ観光客を誘因するのに大きな効果がある施設として地域振興に重要な役割を担うものと考えているところでございます。
第三点は、「ゴルフ場等開発計画(予定地)に関する取扱」による指導についてでございます。
ゴルフ場等の新規開発計画につきましては、昭和六十三年十二月一日に「ゴルフ場等開発計画(予定地)に関する取扱」を定め、地域振興方策として地元市町村及び地域住民が積極的に要望しているもので、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策やその他特に地域振興に寄与する事業と認められる計画に限って受け付けることにしております。
ゴルフ場の開発効果としましては、建設投資に伴う地域経済への波及効果を初め、雇用機会の増大や地域産品の販売拡大、さらにはゴルフ場利用税や固定資産税等による地元市町村への増収など、地域の活性化につながるものと考えてございます。
今後とも、「ゴルフ場等開発計画(予定地)に関する取扱」に基づき、自然環境の保全を図りつつ総合的かつ計画的に県土利用を進めるため、地元市町村の意向を重視しながら、関係部局と密接な連携を取り合って適切な対応をしてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、自然公園の件でございます。
自然公園につきましては、指定後、相当の年数を経過しており、指定当時と比較して自然の状況等にも変化が生じているところもあると考えてございます。
既に国立・国定公園につきましては、再点検を終え、一部公園計画が見直されたところでございます。県立自然公園についても、今年度から再点検のための調査を実施することとしており、自然環境の状況等を十分に把握した上で保護及び利用計画について点検を行ってまいりたいと考えております。
また、自然公園区域内でのゴルフ場開発につきましては、昭和五十年に「自然公園法に基づく許可に関する審査指針」が施行されまして、国立・国定公園の特別地域にあっては許可が認められないものとされ、県立自然公園においてもこれを準用して現在に至っておりますが、今後、燦黒潮リゾート構想との関連もありますので、地域振興と自然環境との調和に配慮しつつ対処していく所存でございます。
次に、潮岬の件でございます。
当該行為につきましては、六月二十七日に串本町から連絡を受け、翌日、吉野熊野国立公園管理事務所ほか関係部局ともども現地調査を実施したところ、御指摘のとおり、吉野熊野国立公園の第二種特別地域であり、無許可行為であることを確認いたしましたので、早速工事を中止させるとともに、当面の応急措置として土砂流出防止策を講じるよう指示し、これが完了したと聞いてございます。
今後、当事者から事情聴取の上、自然公園法に基づいて適切に対処してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
ゴルフ場の農薬問題でございます。
北海道、兵庫県に次いで全国で三番目にゴルフ場の多い千葉県は、県土の総面積において本県と余り変わりがないのですけれども、既設のゴルフ場が百四カ所あります。現在造成中が十五カ所、許可済みが三カ所、さらに計画中が八十五カ所もあるということでございます。
このように既設のゴルフ場が多く、また急増が背景にあるために、都市計画法に基づく県知事の裁量行為として、新規に開設するゴルフ場に対する農薬使用禁止の措置がとられたものであり、去る四月一日付で施行されているところでございます。
千葉県の措置は、新設ゴルフ場のみを対象に農薬使用の禁止を打ち出したものであり、ゴルフ場の新規開設をできる限り抑えるためにとられた措置と思われます。
本県といたしましては、農薬取締法に基づき、農薬適正使用の指導を基本として、一昨日御答弁申し上げたとおり、通達でもってこの徹底を図ったところでございます。
次に個別指導の問題についてでございますが、法の適用以来、グリーンキーパーや農薬取扱業者への研修会の開催に加え、農薬使用や管理状況を把握するため、平成元年六月以降、全ゴルフ場に対してのアンケート調査、また十ゴルフ場への立入調査の実施を行うとともに、ゴルフ場で発生する病害虫の実態調査などを行ったところ、農薬の使用・管理については特に問題はありませんでした。
目下、国において農薬安全使用に関する指導要綱策定指針を検討しておりますので、その結果を踏まえ、関係部局と協議しながら対処してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
まず、国立公園内である県道潮岬線串本町潮岬字風呂ノ谷地内における道路構造物の一部損傷行為に対しましては、串本土木事務所より現地において厳しく指導するとともに文書通告を行い、防潮堤としての機能を復旧させ、また工事を中止させ、重機についても搬出させております。議員御指摘のように、決して暗黙の了解を与えていたものではございません。
また、官民境界につきましては、今後、境界確定の書類申請行為がなされた段階で、自然公園法に基づく指導の結果を踏まえて慎重に対応したいと考えております。
今回の行為に対しましては、施工業者に自覚を促すとともに強く反省を求めてまいります。
次に、南紀新空港建設事業に係る用地買収の現況でございます。
対象面積は七十四・六ヘクタール、地権者数は百六名であり、そのうち四十七名の地権者の御理解を得て三十五・七ヘクタールの用地を買収しております。残りの用地については今後とも粘り強く地権者の皆様と交渉を重ね、同意が得られるよう、なお一層の努力をいたす所存であります。
空港予定地内で花卉栽培を行っている地権者につきましては、町が周辺に花卉団地を造成し、そこに移転することを計画しておりましたが、まだ関係者の協力が得られず、事業化に至っておりません。
また、町公共施設である最終処理処分場、斎場、ごみ焼却場の移転につきましては、廃棄物の当面の処分先も含め、町において計画を検討している状況でございます。
これらの事業は、南紀新空港建設事業を進めるに当たって早急に事業を実施する必要があるものであり、事業主体である白浜町に対して早期事業実施を強く要請してきたところであります。また、新町長に対してもその旨強く要請しているところでありますが、今後、町との連絡調整を一層強化し、事業の円滑な進行が図られるよう努力してまいります。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 警察本部長井野忠彦君。
〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) 御質問の件につきましては、御指摘の点も踏まえて現在捜査中であります。関係機関の協力を得ながら、自然公園法など関係法令を適用して適切に対応してまいる所存であります。
○議長(門 三佐博君) 教育委員会委員長上野 寛君。
〔上野 寛君、登壇〕
○教育委員会委員長(上野 寛君) 森議員の再々質問に対する私の答弁でございますが、教育委員会といたしましては、名称等の募集の実施要項に沿って対応してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
34番浜本 収君。
○浜本 収君 土木部長に質問をいたします。
私は、二十八日、大変暑い日でありましたけれども、そこに三時間余りおりました。住民の皆さんや串本土木事務所、町役場の皆さんも一緒におられましたが、浜の方に黄色いビニールのくいが打たれていたので、「あのくい何な」と聞いたら、「境界線の、いわばここまで埋めてもいいという、そういうためのくいだ」と言う。「ああ、そうか」と。「そのくいは今どうなっているか」と聞くと、「もうちゃんと取っている」と言うているんですが、そのくいの立ち会いに串本土木の職員も立ち会ったということを聞いてございます。これは事実であります。となると、知っておったのではないかという勘ぐりが当然出てくるわけです。そのときはまだ無許可であります。しかもその前に、十メートルの、さくではないけれども県道の防潮堤が取られてある。それを取った上でくいの立ち会いをしているということは、知っておる。
そして、私が行ったときに、ブルドーザーはまだ置いてあった。私はこう見えても優しいですから、住民の皆さんがおるところで「このブルドーザー、どうしたんや」ということは言いません、あほみたいに。「おい、ちょっと早うあのブルドーザー取りよし。ようけ皆見てあるのに格好悪いやないか、二日も三日も」と言うた。そうしたら四十分ぐらいたってから持っていきましたけれども。
私、そんなに偉い者ではありませんけれども、言ってなかったら、まだ置いてあるやろうなと。雨ざらしになってもまだ幾日も置いている。このことは、先ほども申し上げましたが、やるという前提で置いておる。悪いと思ったらすぐ撤去せよ。
どうも、くいの立ち会いといい、そして十メートルの──これは、串本やから、僻地やからと言うのではないのですけれども、あそこの海岸は余り人通りがないですね。しかし、白浜のど真ん中であったら、白良浜のところで十メートルのあれを取っておったとしたら、「あれ何な」と、必ずだれでもそう思う。しかし、「手続は後でもいいので、したらよかろうかい」というふうな風潮に流されたような形のその後の取り組みといい、くいの事前確認──さっき五倍と言いましたけれども、もっとすごいです。小さな川が向こうにも、こちらにもある。川から川、全部埋めるというのですから、八倍ぐらいでしょうね。その全部埋める作業の境界のくい立ち会いを、ちょっとしつこいですが、串本土木の職員がしておる。これについて、そして私が疑っていることについてもう一度しかと答えられたいのであります。暗黙の了解をしていたのではないか。「しておりません」と言われたが、しからばそれはどういうことなのか、解明をされたいのであります。
教育委員長の答弁でございますが、森議員は、図書券というようなやり方の方がより教育的であり、ベターではないかということであったわけですけれども、ただいまの答弁は、前のとおり十万円の形でしますと、こういうことであったと思います。
「美徳のよろめき」という言葉がありますけれども、「心の豊かさを求めてあなたの言うとおりしたけれども、実際はできませんね」というような、そんなすきのある答弁は今後一切していらない。
私は、図書券の方がベターであり、そうであるべきだと思うし、そしてまた当選した人には保護者を呼ぶなどということ──保護者を呼ぶことも結構です。しかしそれよりも、「教育的」というようことを論じる限り、学校の担任の先生あるいは学校長を呼ぶ方がベターであります。「教育的」と言うならば、それの方が教育的であります。
本日はそういう議論に入る気持ちはございませんけれども、しかし答弁のあり方ということについては、どんなにそれが自分たちにとってつらかろうが、要らんこと言われているな、ここはちょっと折れる方がいいかなというような答弁は今後一切していらない。きちっとした答弁をしてほしい。どんなに言われても、「これはこれである」、あるいは「よし、それだったら変更する」、そういう明快な答弁を今後──これは要望としておきます。
以上です。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
現地において境界立ち会いしておりますけれども、正式なものではございません。後日、正式に書類申請を行うということを条件にして、一応の目安として仮ぐいの設置を行ったものであります。仮ぐいの設置によって造成工事に入れるものではありません。今後の方針につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
34番浜本 収君。
○浜本 収君 今、こそこそと言いましたけれども、ちょっとわかりにくかった。後日、何を条件にすると言うたのですか。それを条件にするということは暗黙の了解をしているではないか。そうでしょう。暗黙の了解をしている。「後で書類を持ってきたらいいから、早うせいよ」と。あんたら、それをしようかと言うてしておるんだ。だから、現地で強く言えない。条件にしておるんだ。
私は、住民は神様だと思う。正当だと思う。住民の皆さんが言わなかったら平気でそれをやっている。条件にして、そして後日書類だけ出してきたら、「よっしゃ、オーケー」と言う。そういう行政のあり方が間違っておるということを申し上げている。答えられたい。
○議長(門 三佐博君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
後日、正式に書類の申請を行うということを条件にして立ち会ったものであります。暗黙の了解をしているわけではございません。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、浜本収君の質問が終了いたしました。