平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番木下義夫君。
〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従いまして、質問をいたします。
まず、和歌山県の森林・林業の将来展望とその対策についてであります。
森林・林業を取り巻く現状認識とその対策について。
最近、新聞、テレビ、ラジオ、その他マスコミで森林問題が大きく取り上げられている。アマゾン流域の熱帯雨林、東南アジアの熱帯雨林、その他、日本のODA絡みの森林の伐採についても、地球環境問題としてとらえられている。そのようなことを見聞きするとき、数年前、ある山林家に連れてもらって山林の実態を見学に行ったことを思い出します。
山に行って驚いたのは、手入れの行き届いた山林、間伐、枝打ち、下刈りがよくできている山林は非常にすばらしく、その林相の立派なことに魅せられた。しかし一方、手入れの行き届いていない山林は、同じ樹齢であっても、枝は伸びほうだいで、同じ森林資源であってもその価値は天と地との差があろうと思った。
その山林家の山荘に着いて、記録簿に何か書き残すように言われたので、「造林を見て人生を考える」と書いた。努力精進をする人生、努力精進をしない人生との間に大きな差ができるのは自明の理であるが、造林についてもそのことがはっきりと実感された。
手入れの行き届いたすばらしい山林は今も手入れが行き届いていてますます立派な林相になっているのか、手入れの行き届いていなかった山林は今もそのままか、それとも、それ以後下刈りも枝打ちも間伐もしてすばらしい林相をしているのか、そのままの状態であるのか、整備された林道、整備されていない林道はそのままなのかと思いながら、和歌山県の林業について知事に質問をいたしたいと思います。
県土の七七%は森林で、そのうち九五%は民有林であり、間伐を必要とする幼若齢林は全体の六九%であり、生産性の高い林業経営をするためには、適切な間伐、下刈り、枝打ち作業を実行しなければならない。民有林林道の総延長は、平成元年四月一日現在で七百六十六路線、一千六百五十一キロメーター、うち自動車道一千百三十八キロメーターで、林道密度は一ヘクタール三・三メーターであります。
木材価格は昭和五十六年から低下、昭和六十二年に一時的に急騰したが、六十三年からやや下降ぎみである。切り出し労賃単価の上昇は著しく、五十年と六十二年とを比較すると一・六倍になっており、山元立木価格の下落はまた著しく、昭和五十年と六十二年の比較は〇・六九倍になっている。六十年における林業就労者数は三千十九人であり、昭和三十五年に比較して七七%の大幅な減少を示している。また、平成二年、県森林組合の調査によれば一千九百八十一人となっておりまして、二十九歳以下の就業者は全体の一・五%で、予想以上の高齢化になっている現状であります。
県内の山林は、昭和三十年代の造林ブームのときに植えた杉、ヒノキの三万九千八百ヘクタールが約十年後に伐採に適した樹齢に達する。商品価値を高めるために伐採期をおくらせる傾向はあるにしても、十年後には伐採可能な面積は現在の倍以上に広がることになる。
以上の本県の森林・林業の現状を仮谷知事はどのように認識し、「木の国和歌山」と言われている森林・林業の活性化を図るためにどのような対策をとられるか、お尋ねいたしたいと思います。
二番目に、経済活動から見た林業対策についてであります。
県下の民有人工林面積は二十万八千九百五十七ヘクタールで、その蓄積は四千九百十六万六千立方メーターであり、全国的に見ても優位にあります。しかし、三から七齢級の間伐を必要とする幼若齢林が全体の六九%を占め、生産性の高い林業経営を行うためには、適切な下刈り、枝打ち、間伐作業を実行しなければなりません。戦後、活発に行われた人工造林は、昭和三十年の一万二千百六十七ヘクタールをピークに減少を続け、昭和六十三年には八百八十九ヘクタールになっておるのであります。
地形が急峻な割に林道密度は一ヘクタール当たり三・三メーターと、佐賀県の九・六ヘクタールの約三分の一であり、効率的な林業経営をするためには、林道の整備を急いでしなければならないわけであります。
製材工場も年々減少の傾向を示しております。昭和六十三年の木材供給は、県産材一九%、三十二万八千立米、外材八一%、百四十三万五千立米となっており、その輸入外材の九〇%は北米材であります。和歌山市、田辺市、御坊市の外材工場が輸入しているアメリカ合衆国のワシントン、オレゴン州有林が、マダラフクロウの保護に関係して州有林、私有林の大幅な伐採規制が行われ、その輸入も円滑にできなくなる心配も出てきているのであります。
県下の人工林の平均的樹齢は三十年前後となっており、杉については五年後、ヒノキについては十年後に伐採可能な森林が多くなってくる。このような情勢の中で、本県の森林・林業、木材産業を活性化するためにどのような施策を展開していくのか、安田農林水産部長にお尋ねをいたします。
次に、生活環境資源としての森林対策であります。
森林の機能は、皆さん御存じのとおり、木材生産、県土の保全、水資源の涵養、生活環境の保全形成等、多面的機能を有し、県民生活に大きく貢献しているのであります。
今、国際的な課題として地球環境問題が取り上げられております。炭酸ガスの発生が大気圏のオゾン層を破壊して地球を温暖化する問題、熱帯林を過剰に伐採することによる地球環境悪化の問題を解決し生活環境をよくすることが、日本を初めとする先進国の大きな義務となっているのであります。
人間が生きていくのに一番大切なものは、水と空気であります。森林には、水資源の涵養機能とか、酸素を供給し炭酸ガスを吸収して大気を清浄化する機能、国土の保全機能、森林浴による心身の安定、健康に対して大きな効果があり、人間が生きていく上で不可欠のものとなっておるのであります。
このような効果を日本の森林で推計すると、年間の評価額は二十五兆円に上り、和歌山県の森林評価は五千七百四十五億円になると言われております。物の豊かさから心の豊かさを求める時代になった今日、森林は私たち人間生活を守る大切な生活環境資源となってきた。
そこで、安田農林水産部長にお尋ねをいたしたいと思います。
生活環境資源としての森林と生産資源としての森林をどのように調和配置し、将来、面積的にどのように展開して豊かな県民生活に活用するのか、山村住民と都市部の人々との交流による山村の活性化対策等とともにお聞かせをいただきたいと思います。
また、森林は木材を生産する経済的な資源であるとともに、広く県民、国民がその恩恵を享受している公共性の高い資源でもあります。この人間生活上必要な森林を健全な姿で維持、造成しようと努力している山林地域は、過疎化、高齢化が進み、森林の放置化が進展しつつあり、これは、人間が生活していく上での基本的な環境が大きく悪化される危険性が増加しているということであります。
今日、県として、広くこのような状況を県民、国民の皆さんに、特に都市部の皆さんに、人間生活上、森林の評価が二十五兆円にもなり、人間が生活していく上で欠くことのできない重要な生活環境資源であること等をアピールして、何らかの御協力をお願いして森林の健全な育成を図ってはどうかと考えますが、いかがか、安田農林水産部長の見解をお尋ねいたしたいと思います。
次に、林業労働者対策についてであります。
林業労働力の問題であるが、県森林組合の調査でも判明しているように、若者の新規参加者が皆無に近い状態で、二十九歳以下の労働者が全体の一・五%以下であり、高齢化が予想以上に進行している現状であります。
先般決着を見た日米構造協議で、一九九一年から十年間で公共事業四百三十兆円、JR、NTTなど民間の二十五兆円、合計四百五十五兆円の社会資本等の投資が行われることになっております。山村の活性化のためには公共事業の拡大は喜ばしいことであるが、山村奥地の林業労働者は建設労働者と密接な関係があり、森林・林業に従事しようとする労働者も公共事業等の建設労働者となって、今後の後継者不足を一層加速させることになる。現在でも、森林・林業労働は、仕事が天候に左右されて収入が安定せず、雇用形態も安定した職場と言えず、また都市部における史上第二番目の好景気とが拍車をかけて、ますます新規参入を困難にしている。一方で、森林は長年生育して本格的な収穫期を迎えようとしている現在、また森林の公益性が強く望まれる時期に、山で働く人がいない状況が目に浮かび、心配するものであります。
そのため、作業環境の改善や就業安定を図り、本県の自然条件に適した高性能機械の導入や林道、作業道の早期整備を図り、林家収入の向上、林業労働者への安定的配分を講ずる等、抜本的対策が必要であると確信いたしますが、安田農林水産部長の見解をお尋ねいたします。
第二番目に、水産振興のためのマリノベーション構想の促進についてであります。
和歌山県の水産振興を図るため、従来の発想の転換を図り、農林水産省の提唱しているマリノベーション構想を取り入れるべきだと、昭和六十一年九月定例会で提案をいたしました。
マリノベーション構想については、仮谷知事の積極的な決意のもとに和歌山県の第四次長期総合計画の中に取り入れられ、昭和六十二年度には田辺市、南部町、白浜町、日置川町、すさみ町、串本町の一市五町の広域が調査対象地域に指定されて、その構想の実現のために検討委員会を設置して、関係市町村並びに漁業関係者の意見を聞いて構想を立てているところだと思います。
そこで、水産業振興のために、このマリノベーション構想の促進について私の所見を述べるとともに、仮谷知事に質問をいたしたいと思います。
その前に、私の地元である田辺漁業協同組合に、平成元年度沿岸漁業構造改善事業によりヒラメ養殖施設の建設について特段の御配慮を賜りましたことに対して、心から御礼を申し上げます。
最近の漁業センサスその他の資料により調査いたしますと、次のようになっております。漁業就労者数は、昭和五十三年八千八十三人、昭和六十三年七千二百七十二人と、十年間で八百十一人の減少をいたしており、十五歳から四十九歳までの若年・壮年者が千七百九十七人減少し、五十歳から六十五歳までが逆に千二十九人増加し、若者の漁業への参入が少なく、漁業従事者の減少と高齢化が急速に進んでいることを示しているのであります。
また、漁業の専業、兼業の別を見てみますと、専業が四四・九%、兼業が五五・一%になっており、専業者が過半数を割っている現状であり、これは漁業専業で生計を立てる難しさを如実に示しているのであります。また、漁業後継者として漁業に従事している者はわずか全体の三・四%にすぎず、このことだけでも、漁業に従事している人々が明るい希望と展望を持っていないことを示しているのであります。
昔は、親の仕事を継ぐことに誇りを持っており、漁村にも若者があふれ、活気に満ちていました。しかし、近年の経済の高度成長とマスメディアの発達により、都会の生活がよくわかり、身近に感じられて、若者をして都会へ集中させる結果となっているのであります。
漁業は、自然に左右されて労働日数の確保が難しく、所得が低いので、職業としての魅力を小さくし、若者の参入を少なくしてきた。県も、その対策として漁獲向上のための沿岸漁場の整備開発、資源をふやすための栽培漁業の推進、流通の効率化のための流通加工体制の整備、漁船を守るための漁港の整備等々の施策を実施してきたにもかかわらず、依然、若者の漁業離れが進んでおります。
県は、平成三年度の政府要望において、海域の高度利用と漁村地域の活性化に資するマリノベーション構想の事業化を推進するための要望をしております。さきにも述べましたように、日米構造協議において、十年間に公共事業四百三十兆、民間分二十五兆、合計四百五十五兆の事業が行われます。今でも若者が他の産業へ流出しているのであるから、この四百五十五兆の事業が社会資本等の充実のために投入されると、水産業、漁業の将来はますます若者の参入が少なくなり、高齢化が進み、希望のない職業になっていくことが予想されます。
そこで、従来の発想を転換して、仮谷知事が先頭に立って、和歌山県の水産業の明るい展望のためにも、このマリノベーション構想の実現を国に強く働きかけ、また市町村に強い指導力で指導するとともに、積極的に推進され、若者が希望を持って定着できる漁村づくり、水産業の振興を図るべきだと存じますが、仮谷知事の見解をお尋ねいたします。
三番目に、身体障害者に対するタクシー運賃割引制度の導入及び福祉タクシー制度の拡充についてであります。
まず、身体障害者に対する割引運賃制度の導入についてであります。
先日、所用で東京都の町田市へ行き、タクシーに乗りました。前のいすのところに運賃一覧表がついてあるのでよく見ると、運賃別に普通運賃額と割引運賃額との両方を表示してあったので、運転手さんに聞いてみると、身体障害者の方が乗ったときの割引運賃で、一〇%の割引があるのでそれを表示していると言っていました。
これは大変よい制度である、和歌山県でも導入できないかと考えて、早速どのような制度か調べてみた。また、今、身体障害者に対する各交通機関の実施状況を調べると、JR、私鉄、バスについては本人が五〇%引き、飛行機が二五%引きになっております。
運輸省で調べると、平成二年五月十八日付で、地域交通局長名で各地方の運輸局長及び沖縄総合事務局長あてに、一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度についての一部改正について、通達を出しているのであります。
「近年、タクシー利用の実態、営業実態等にかんがみ、運賃料金制度により実情に即したものとすることにより、利用者の利便の向上と利用の促進を図る観点から、昭和五十一年四月二十六日付自旅第十一号『一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について』の別紙の一部を下記のとおり改正したので、その実施方について遺憾なきを期せられたい」との通達でありました。
距離制運賃の割引の項で、身体障害者割引は身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持している者に適用できるものとし、割引率は一〇%とすることになっております。現在、この割引制度を実施しているのは、東京都特別区、武蔵野市、三鷹市、多摩地区、横浜、大阪市域A、京都のMKタクシーグループで、事業者数は五万四千四百八十業者、車両数は二十五万五千百四十一台となっているのであります。
この制度のことを身体障害者の方にお話しすると、身体障害者の社会への完全参加のためにも和歌山県でもぜひ導入してほしいとのことであります。導入してもらえれば、通達にもあったように、利用者の利便の向上にもなるし、タクシーの利用促進にもなり、事業者も、また運転手さんの利益にもなるので、県が中心となってこの制度の導入促進を図っていただきたく、民生部長の見解をお尋ねいたします。
二番目に、福祉タクシー制度の導入拡張についてであります。
私は、田辺鍼灸マッサージ師会の顧問をさしていただいておりまして、その会合によく呼ばれて出席をいたします。そこで先生方の話を聞くと、現在、田辺市初め県内の十一市町村で福祉タクシーを実施して、年間十五枚から十枚程度の割引券の交付を受け、基本料金の割引を受けて大変ありがたい、会合に参加しやすく便利であると喜んでおりました。
民生部長、御存じのとおり、この制度の実施主体は市町村及び市町村の社会福祉協議会がなっており、県の施策でないので、実施していない市町村に呼びかけ、和歌山県の五十市町村で実施されるようぜひお願いいたしたく、民生部長の見解をお尋ねいたします。
以上、身体障害者運賃割引制度の導入及び福祉タクシー制度の拡大について、官民が一致して身体障害者の社会参加を容易にすべきであると存じますので、ぜひその実施方をよろしくお願いいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
森林・林業を取り巻く状況について詳細に御説明いただいたわけでございまして、それについての知事の現状認識の問題、またその対策についてでございます。
お話もございましたように、現在、森林は地球的規模において取り上げられております。また、国内的に見ましても、経済林としての林業、生活保護林としての林業等々、文化の面からもいろいろ取り上げられており、緊要な状況にあるわけでございます。
また、本県の実情としては、保育期でございまして伐採期に達していないことから、現在の供給率は一九%という低率でございますし、内外価格差の問題もあることも事実でございます。しかし、十年後には適伐期を迎えるわけでございまして、労働力の問題等々、いろいろな問題があるわけでございます。
本県の杉、ヒノキというのは、質、量ともに非常にすぐれておるし、また、国際情勢で輸入が厳しくなることが予想される状況でございますので、必要度が増してくると思うわけでございます。
そうした中で今何をなすべきかという対策として、産業基盤の整備等について、また加工流通の面において考慮しておるわけでございますが、なお一層これらの材が有効に活用されるために──今一番厳しい問題は何かといったら、私は労働力だと思うんです。若年労働者が非常に少ないということでございます。そうした中でございますので、とにかく若者が働けるような形の林道整備を図っておく、労働力確保についての対策を持っておく、また機械化対策を考えておくということが一番大事でございまして、山村の活性化のためにそうした面に十分配慮してまいりたいと思っております。
それから、水産業振興のためのマリノベーション計画でございます。
マリノベーションは、国において、つくり育てる漁業、漁村環境の整備、また漁業者が参加することによる海洋レクリエーション基地づくり等、総合的に整備しようとするものでございまして、田辺湾は指定をいただいたわけでございます。
しかし、果たしてどれだけの効果があったかというと、そうした指定はいただいたけれども、現在の予算における枠の配分について重点的に考える等々、これからが大事な段階ではないかと思うわけでございます。
話ございましたように、日米協議が調いました。公共投資十箇年計画が始まります。そうした中で、従来のようなマリノベーションについての形の考えではなしに、独自的なものも取り入れて考えていかなきゃならないのじゃないかと。また、リゾート計画との関連において、漁民の皆さんが参加してやっていく、マリノベーションと抱き合わせてやっていくという方法、こうしたものも考えていかなければならないのではないかと思っておる次第でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
経済活動から見た林業対策でございますが、ただいま知事から基本的な点で御答弁がございました。
議員お話しのように、熱帯雨林の減少や地球温暖化という地球環境の保全の問題もございますし、アメリカにおける絶滅寸前の野性動物を保護するという政策から、特に北米における原木輸出が大変不安定な状況にある中で、県産材の安定確保の必要性が高まってきてございます。
こうした中で、杉、ヒノキが近い将来に主伐期を迎えようとしている本県としては、間伐強化対策事業を計画的に進める中、生産性の高い地域林業の確立を図るために、林道密度を短期間で整備する高密路網整備事業を中心としながら、基盤整備をより一層進め、県産材の安定供給体制づくりに努めてまいる所存でございます。
また、富田川流域や奥日高地域に設置をしてきた木材流通加工施設を拠点に、杉一般材総合対策や乾燥材総合対策事業等を新たに実施し、木材の高付加価値化を図るとともに、林業労働力の確保に努めながら、いわゆる川上と川下とを一体化した流通加工体制の整備を進めてまいる所存でございます。
次に、近年、森林の多面的役割が広く認識されてきている中で、御指摘のように、生活環境資源としての森林の果たす役割は大変重要と考えてございます。このために、県下の森林計画においても、水源涵養、保健文化、生活環境保全等の機能別の森林の適正配置に努めているところでございます。
さらに、今日的な課題として、森林を環境財と位置づけるとともに、新たな森林リゾート等、その機能発揮について検討を深めているところでございます。
また、国民がより直接的に森林づくりに参加する必要があるとして、昭和六十三年度、緑と水の森林基金が発足したわけでございますが、そういった中で多くの都市部の住民の負担の増額等をお願い申し上げ、広く県民に理解を求めているところでございます。
なお、近年、定着化しつつある保健休養やレクリエーション活動等、森林の総合利用を一層促進し、都市と山村の人々の交流を通じて、森林の有効利用と山村地域の活性化を図ってまいる所存でございます。
次に林業労働者不足対策の問題でございますが、議員お話しのとおり、林業労働者の減少と高齢化の問題は、本県のみならず、全国的な課題でもございます。
本県は、単独事業で林業従事者福祉向上対策の充実を図るほか、林業従事者の各種保障制度への加入促進等、雇用条件の改善を図る林業労働力確保対策事業を本年度から新たに発足させたところでございます。また、国の新規施策として、林業担い手強化対策事業、林業労働者就労安定対策事業を取り入れ、林業従事者の新規参入の促進、技術の向上、就労環境の改善に努めることといたしてございます。
次に、高性能機械の導入や林道、作業道の早期整備の問題でございますが、林業労働力の減少、高齢化に対応し、作業の効率化、労働環境の改善、また魅力ある林業の確立を図る上で、大変重要な問題かと認識いたしてございます。
今後、林道等の整備とあわせ、本県の地形に合った機械の導入による省力化についても、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず最初に、身体障害者に対するタクシー運賃の割引制度についてでございますが、議員お話しのとおり、本年五月の運輸省局長通知により、身体障害者に運賃割引制度が適用できるようになってございます。
その実施についてはタクシー業界の自主的判断が基本となりますが、身体障害者の社会参加を促進する上からも、今後、関係者に理解を求め、実施に向けての検討をお願いしてまいりたいと考えてございます。
次に、福祉タクシー制度の問題についてでございます。
近年、障害者のニーズも多様化してございます。各市町村においても、それぞれの地域の実情に応じて各種の事業を実施しているところでございます。福祉タクシー制度についても、その推進について、関係市町村、団体等とも協議をしてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
27番木下義夫君。
○木下義夫君 答弁をいただきましたので、要望という形でお願いをしておきたいと思います。
知事も申しておりましたけれども、水産業においても林業においても、労働力の不足というのは大変なものだと思います。特に林業においては、十年後に伐採期が来るときに果たして何人の労働者が山で働いていただけるか。今でも、だんだん減っていっておるんです。
ところが、四百五十五兆円も社会資本のために投下されますと、林業、漁業にどれだけのいい影響があるか、ほかの産業、建設、土木にどれだけの効果があるかと申しますと、やはり林業とか漁業に対する効果は非常に少ないと思うわけです。放っておいても減っていくのに、ほかの産業が潤ってくると、若い者がますますほかの産業へ流れていく。こうなりますと、人のいない産業、働き手がいない産業というのは成り立たない。
こういうふうなことでございますから、今答弁いただいた各施策を十分実施していただいて、水産業、林業の安定的な繁栄をお願いしたい、このように要望いたします。
以上です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十五分休憩
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