平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(小林史郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 まず初めに、地域医療と福祉の問題で質問いたします。
 いつか、この議場で訴えさせていただいたかと思いますが、もし家族の入院に付き添えないような場合、付添婦さんに渡すお金だけでも一カ月五十万円近くかかり、これが数カ月も続くと家庭破壊につながりかねないわけで、何とか完全看護をしてくれる病院を探してほしいというような痛切な叫びを私たちは何度となく聞かされるのであります。また、こうしたやりくりのつかない家庭にあっては、寝たきりや痴呆老人の介護に疲れ果てたお嫁さんが蒸発してしまうなどの家庭崩壊の例が後を絶たないのであります。しかも、寝たきりや痴呆老人はどんどんふえる傾向にあり、西暦二○○○年には人口十万人当たり二千人以上にもなると言われ、こうした事態に対処するための地域医療と福祉施策の充実は今日の政治にとって緊急にして重要課題の一つであります。とりわけ過疎地の多い有田にとっては、老人だけしかいない家庭が多く、事態は極めて深刻であります。
 しかしながら、私は本県の「長寿社会総合対策指針(要約版)」に載っている知事の巻頭言を読ませていただいて、少なからず安堵することでできました。大変格調の高い文章ですので、皆さんもお目通しのことと思いますけれども、紹介させていただきます。
 「はじめに」「『長寿』という言葉には、生命の躍動感を思わせる響きがあります。 人類悠久の歴史の中で、21世紀を目前に控えた今日、ようやくにして悲願に辿りついたという喜びと、それが生み出す様々な可能性への期待とが、静かに、しかし、ひしひしと伝わってきます。 これからの長寿社会を語るとき、私たちは、何よりもまず、こうした状況を可能にした人類の英知に思いを致し、生命への尊厳と畏敬とを基本認識に据えて出発しなければなりません」。
 そこで、まず知事にお願いしておきますが、この言葉が建前上のきれいごとでなく、これからの知事の施策の中ににじみ出るものであってほしいのであります。
 今度の私の質問の中心点は、県立五稜病院の中に老人保健施設や福祉施設を併設することによって、老人や障害者をめぐって地域が抱えているさまざまな悩みを解決するために大きな力をかしてほしいということであります。
 先日、大阪府が委託している大阪福祉事業財団の関目学園を視察してきました。
 ここは、城東区の町中にある総合福祉施設であって、病院を初め特別養護老人ホーム、精薄者のための共同作業所、乳児保育所など、まさに「赤ちゃんからお年寄りまで」の言葉どおりの施設が一万坪余りの敷地の中にぎっしりと並んでいました。そして、今も強く印象に残っていることは、底抜けに明るい雰囲気が見られたこと、その活動が地域住民の中に深く、広く溶け込んでいるように思えたことであります。
 ちょうど昼の休憩時間の少し前でしたが、余り広いホールではありませんでしたけれども、そこにはお年寄りがぎっしりといすに腰をかけて、老人大学の講義を受けておられました。それが終わると、皆さんが食堂に入って、がやがやと楽しそうに食事をとり、その後は人形づくりや日本舞踊、詩吟等、それぞれの趣味に分かれてのクラブ活動でした。しかも驚いたことに、これらのお年寄りは、施設の入所者だけではなく、付近の住民からの参加者が多いということであります。事務長さんが、「うちとこは老人の託児所のような役割を果たしている」と笑いながら話していましたが、事実、玄関先にはこうしたお年寄りを送迎するデイ・サービス用のリフトバスが二台も並んでいました。
 五稜病院には、毎日五、六十人程度の内科、外科の外来患者が見えられますが、地域との結びつきの点では組織的に取り組まれておらず、精神病院としての暗いイメージをぬぐい去ることはできていません。
 そこで、この五稜病院に、ホームヘルパーやデイ・サービス、ショートステイなどの在宅三事業を行う広域的な地域福祉センターを併設し、あわせて先ほどの関目学園の老人託児所のような活動を行えるようにすれば、これまでの暗いイメージにかわって地域と密着した生き生きイメージが出てくるのではないでしょうか。お年寄りなどの長期の慢性患者の場合、入院は決してよい環境とは言えず、できれば家族や近所の人と一緒に生活して、そこで医療を受けられるような在宅医療の充実が望ましいのであります。
 今度政府が打ち出した高齢者保健福祉推進十か年戦略でも、このような在宅ケアの充実が大変重視されていますし、本県の長寿社会総合対策指針を見ても、はっきりとこのことの方向づけが行われています。しかし、現状はお寒い状態で、吉備町の場合、ことしからホームヘルパーが一人ふえましたけれども、町内にお世話を必要とする一人暮らしのお年寄りの方が九十人ほどおられますが、とても手が回らないので、重度の方の三、四十人を中心にして週一、二回の介護に当たっているのが現状のようですし、金屋町の役場の方にお聞きしても、ほぼ同じような状況でした。
 政府の十か年戦略によれば、現行の三万人余のホームヘルパーを十万人にふやす作戦ですが、平成二年度に予算づけされたのはわずかに四千五百人であって、これからは毎年六千四百人ずつふやさなければならない勘定になるわけで、その実現が危ぶまれています。しかも、この目標が満額実現されたとしても、まだ人口十万人当たり七十七人であって、スウェーデンやデンマークの十分の一程度にすぎません。在宅医療に力を入れているこれらの国では、高齢者が病気になった場合、本当に二十四時間家事サービスをするわけで、これほど多くのヘルパーが必要となります。ということは、これが一つの有力な産業雇用政策にもなっているわけで、こうした人間らしい仕事にたくさんの人材が働けることになることが日本の福祉や医療を社会的に大きく発展させる道にもなるのであります。
 次に入浴サービスの問題ですが、有田には広域の特別養護老人ホーム「潮光園」があります。ここには入浴設備も整っていますが、これを利用してデイ・サービスを行っているのは所在地の湯浅町だけであります。こうした状況に加え、政府の十か年戦略では在宅介護支援センターを一万カ所、過疎地のお年寄りのための生活福祉センターを四百カ所つくる計画があるわけで、私のこの提案が時宜にかなったものとして御検討いただけるものと確信いたしております。
 いま一つ、五稜病院自身の効率的運営の面からも、こうしたことの検討が必要かと思います。すなわち、医療技術の進歩、患者の高齢化、住民の健康ニーズの多様化などの中で、五稜病院においても何らかの対応を必要とする時期に来ていると言えます。
 その一つは老人保健施設の併設の問題でありますが、病院の入院患者の間でも老齢化が進み、現在、七十歳以上の方が二十五名もあると聞きますし、いわゆる中風症状の患者も増加してきているようであり、こうした方々によりよい生活の場を与えるものとして老人保健施設の併設が望まれています。また、医師が入院の必要がなく通院可能と判断しても、その家族らが受け入れを拒む場合が多く、特に世代がわりしている家族の間ではこの傾向が強いと言われ、こうしたこともあってか五稜病院は、県立でありながら「すぐ退院させる」という、よくない風評を耳にすることが多いのであります。
 そこで、こうした事態を解消するため、精神障害者援護寮を併設して、回復途上にある患者に一定期間利用させ、生活の場を与えて社会復帰の指導を行えるようにしてほしいという声もあります。さらに、最近のストレス社会の中にあって、いわゆるノイローゼ症状で仕事場に行けなくなる若者も多くなる傾向にあり、気軽に相談に乗ってもらえるような明るい雰囲気での県精神保健センターの拡充が求められていますし、心身に障害を持つ方々の社会復帰と保護を目的とした精神薄弱者援護施設とそれに付随した作業場の設置を求める要望も地域の間で強まってきています。
 こうした施設と、先ほど来強く要望してきた在宅ケアや託老所的機能を持った地域医療福祉センターの併設、例えば、一階は地域センターで、二階、三階には老人保健施設や心身障害者施設をつくるといったことも可能であります。その上、五稜病院には作業農園や空き地が二千五百平米もあり、老朽のため近く撤去が予定されている伝染病棟の敷地を加えれば、少々の施設をつくれる余裕を持っています。また、現在は入院患者の減少する中で、鉄筋二階建て千百七十五平米の第五病棟は全く利用されておりませんし、内外科用の入院病棟も未利用のままであります。
 御承知のように、五稜病院と言えばよく赤字が問題となりますが、これらの施設を併設すれば医師や専門職員を必要に応じて派遣することができますし、炊事、洗濯等も共用ができて赤字解消の方向での多角的経営が可能となるのではないかと思われますし、何よりもこのことによって地域に開かれた病院として、その結びつきと交流が広がります。また、寮母、ヘルパーなどの雇用面でも大きく地域の期待にこたえることが予想され、地域活性化にも貢献できるわけであります。
 県立五稜病院の建設は昭和二十六年に始まり、その用地買収は一年余にわたって紛糾したことを記憶していますが、当時、旧御霊村は、小野知事による総合病院化への約束を信じて一万坪の用地を無償提供したという経緯がございます。私の本議場における初質問は昭和四十六年の六月議会でしたが、そのときに五稜病院総合病院化の約束不履行の責任を追及したのに対し、当時の大橋知事は、「私も五稜病院建設以来のいきさつから考えましても、ぜひ、少なくとも内科外科を合わせた病院にしなければならないということで、ことばだけと言われるかもしれませんけれども、ほんとうに一生懸命にやっております」云々と答えています。
 一万坪の用地と言えば、現在の時価に換算すれば三十億円以上になるわけで、それほど大きくもない旧御霊村がよほどの約束がなければこれほどの大金を無償提供するはずがなく、このことについての県の責任は大きいと言わねばなりません。その後も、仮谷知事に対し総合病院化の実現を繰り返し要望し続けてまいりましたが、内外科医の常駐体制をようやく実現していただいたというのが現状でございます。
 地元としては、さきに提出されている陳情署名にありますように、あくまでも総合病院化の方向の一日も早い実現を願い続けているのでありますが、諸般の事情でもしそれが難しいようであれば、それまでの次善の策として、先ほど来説明してまいりましたような諸施設や地域医療福祉センターの併設を御検討願えないかと思うのであります。具体的な事業実施の方法については、県立ということにこだわらなくとも、市町村や広域組合にお願いする方法や福祉事業団等の法人に委託する方法も考えられますし、一番切実で緊急なものから順次手をつけていくことも可能でないかと思われます。要は、さきに紹介しました知事の巻頭言のような、やる気があるかどうかにかかっていると思います。
 そこで関係部長にお尋ねしますが、五稜病院と地域医療福祉センターに係る私の提案を真剣に受けとめ、その実現の可能性について関係部局の間で協議し検討していただけるかどうか、その所信のほどを伺いたいのであります。
 続いて、在宅ケアなどの地域情報の集約システムの問題でお尋ねします。
 一定の地域の範囲で、直接の援助や相談を必要とする対象者が、どこでどのような問題を抱えているかを常に把握しておくことが必要と思われますが、このための情報源として福祉事務所等での相談や医師、医療機関での情報、民生委員さんたちの地域活動、さらにはこれらのつなぎ手としての保健婦やヘルパーによる実態把握等が考えられます。
 そこで、これら情報の集約体制の現状はどうなっているのか、長寿社会総合対策を進めていくためには、こうした諸情報の集約システムを確立することがどうしても必要と思われるが、このことについてどんな取り組みが行われているかをお伺いしたいのであります。
 続いて、在宅福祉サービスの問題でございます。
 先ほどの要約版の最後のページでございますけれども、こういうことが書かれております。「ご利用ください 在宅福祉サービス」「こんなサービスを…… 介護のお世話 食事、排せつ、入浴、衣類の着脱、からだの清拭、洗髪など」「身の回りのお世話 調理、洗濯、掃除、買い物など」「自宅から電話一本で必要なときすぐに間にあう便利なサービス」、こういうふうになっております。
 果たして、実際はこんなになっておるか。先ほどもちょっと触れましたが、有田では入浴サービスが実施されているのは湯浅町だけのようであり、また給食などのデイ・サービスが行われているという話は聞いたことはありません。したがって、この要約版に書かれていることは誇大宣伝の感なきにしもあらずと思われますので、関係部長の所信を伺いたいのであります。
 五稜病院関連の最後に、精神病患者の急患受け入れの問題で質問いたします。
 聞くところによりますと、精神科診療の二十四時間体制の実施が国から指導されているようでありますが、五稜病院ではこの体制がまだ実現されておらず、県立であるにもかかわらず、日曜、祭日や夜間における急患の受け入れがないのはけしからんという不満を時々聞かされます。今年度は病棟に冷暖房をつけていただいて大変喜ばれていますが、いま一つ、こうした二十四時間体制の実施についても急患家族の心情にこたえていただくとともに、勤め人や地域の人たちが仕事を終えてからでも診察を受けられるように、ぜひしていただきたいと思いますので、保健環境部長の御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、有田の美しい自然を守る立場から、地域的な二、三の問題について質問いたします。
 まず、伊都郡花園村久木地区に計画されていると言われる産業廃棄物の処分地の問題であります。
 ここに吉備町の六月定例会において採択された請願書がありますが、ちょっと読ませていただきます。
 「最近、有田川の源流である伊都郡花園村久木周辺において、一八○ヘクタールに及ぶ山林に産業廃棄物処分地建設計画が進められていることを知り、この愛する有田川の自然を破壊に至らしめる計画に憤りを感じているところであります。(中略)ご承知のように産業廃棄物は一旦埋められると撤去することは困難であり、その被害は、水源として永い期間にわたって流失し、河川を汚染するものであります。有田地方の住民の命の水とも言うべき有田川の水を守り、子孫に伝えるのは、私達の責任であることを痛感し請願に及んだ次第であります」──こういう趣旨であります。
 また、参考資料も添えられておりますが、それをちょっと紹介しますと、面積は今申し上げましたように百八十ヘクタール、それから事業概要は産業廃棄物十二種類、これは後ろに明細がついておりますが、汚泥、鉱滓、腐敗物等いろんなものが入っております。これを、サンドイッチ工法にて埋立処分する。跡地計画は、「跡地はリゾート用地として利用すると共に、植樹により自然環境を復元する」。サンドイッチ工法とは、「廃棄物は、およそ二メートルの厚さで埋立て、その上に、およそ五○センチの覆土をするサンドイッチ工法を採用する。 なお、埋立完了地には、およそ一メートルの覆土をする」。こういう内容でございます。
 聞くところによりますと、この計画は当初、奈良県野迫川地区を予定していましたが、住民の反対で花園村に移ったとか、しかも百八十万平米の用地の買収は既に終わっているとのことであります。
 もし、これらの計画が事実であれば、請願書の言葉をまつまでもなく有田川下流住民にとって極めて深刻な問題ですので、念のため花園村役場へ電話で問い合わせてみました。助役さんの話では、一度コンサルタント会社の計画書を持って役場へあいさつに来たが、その後、正式の申請もなく文書も来ていないので町としての態度の決めようもない状況だということでした。そのとき、ついでにお伺いしたことですが、霊園公園をつくるという別計画の事業主からの三千万円の寄附金については議会の承認を得て返しに行ったとのことでしたので、申し添えておきます。
 その後、金屋町においても臨時議会を開いて同様の請願書を採択していますし、有田市議会でも審議が始まるようであります。有田川下流住民の関心と反対の声が、このように一段と高まってきております。事がこれほど進んでいますので、県として花園村の廃棄物処分地の問題についてどの程度の現状把握ができているのか、また有田川下流住民の心情を踏まえて今後どう対処してくださるおつもりかを関係部長より伺いたいのであります。
 続いて、ゴルフ場開発の問題で質問いたします。
 全国的なリゾート開発ブームと大企業、大資本の金余り現象の中で、本県においてもゴルフ場開発のあらしが吹き荒れていますが、最近、有田でもその激しさを増しています。
 金屋町では、現在、二つのゴルフ場が営業していますが、県と協議中の釜中を初め、畦田、谷、岩野河の四つの予定地で動きが活発化しており、清水町久野原では、ゴルフ場を含む大きなリゾート開発の説明会を契機に住民の意見が分かれて紛糾しており、また湯浅町の山田山や広川町の明神山の開発をめぐっても激しい議論が行われているところであります。
 私は、ゴルフ場を初めとするリゾート開発そのものに反対するものではありませんが、その余りの多さと激しさに驚くとともに、これによって有田の美しい自然環境が破壊され、大きな災害や環境汚染の事態を招来しないかと心配します。
 御存じのように、長峰山系は中央構造線に属する危険な破砕帯でありますが、裏側の海南市東畑から美里町にかけてもかなりの予定地があると聞きますし、これほど多くの開発で破砕帯の山を裸にしてしまって本当に大丈夫なのか、重大な災害を引き起こすことにならないかと、まず心配いたします。
 いま一つ大きな心配は、土地を売ってしまっても事業認可のおりない場合も考えられますし、これからの経済変動で開発計画やゴルフ場経営がどんな事態になるかも知れず、そんな場合、花園村の産業廃棄物処理地のような転用が行われる可能性が多分にあるということであります。また、農薬汚染の問題も千載に悔いを残すようなことになりかねません。
 こうした観点に立つならば、徹底した議論に基づく住民合意こそ開発認可に当たっての最大の必要条件と考えるわけでありますが、これまでの議会答弁から見た場合、隣接自治会や離れていても特に大きな影響を受ける自治会の同意のない限り事業認可はあり得ないと考えますので、そう理解してよいかどうかについて農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、予定地に共有林等の入会地が含まれている場合、その関係者全員の同意がない限り認可の対象区域になり得ないと考えてよいか、さらに水利権者の同意についても全員の同意が必要と考えてよいかについて御所見を伺いたいのであります。
 次に農薬使用の問題でございますが、このことについてけさほど中村千晴議員から質問があり、答弁も大体同じようなことになるんじゃないかと思いますので、これは省略させていただきます。御答弁、結構でございます。
 最後に、二川ダム堰堤下流の常水確保について質問いたします。
 このことについて、これまで何回か取り上げてきましたが、昨年の二月県会においては、常時放水をしても売電料換算で年間三千万円程度ではないか、いつまでも二川地区住民を泣かせ続けるつもりかと詰め寄りました。その後、河道整備事業を進めてくださっているようでありますが、住民の要求はあくまでも放水による常水確保であります。
 既に県にも届いているかと思いますが、本年、五月二十二日付の二川区長名の要望書によれば──これは町へ出している要望書です。一回二十四時間として、一カ月に少なくとも五回放水してほしいという要望であります。常時放水の要求を六分の一にまで切り下げたわけでありますが、それでも聞いていただけないのか、できない理由として、水利権や構造上の問題を挙げているが、水利権とはいわば関西電力のためのものでないか、一体、関電のもうけと住民の幸せのどちらが大事と考えているのか、構造上の問題といっても今日の技術をもってすれば解決できるはずであり、要はやる気がないからでないか、こうした怒りの思いに駆られるわけでありますが、土木部長より、どうしてもこのたびの二川区長名による要望を受け入れられないならば、その根拠をだれにでもわかるようにお示し願うとともに、このことで企業局長と部長自身が出席して二川地区住民との対話集会を開いていただきたいので、御所見をお伺いします。
 同時に、現在進められている河道整備事業について、その規模、内容と今後の計画について御報告を願いたいのであります。
 以上で、第一回目の私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) お答え申し上げます。
 まず第一点目の、五稜病院の敷地内に老人保健施設等を併設してはどうかという御提案についてでございます。
 現在、五稜病院については、公営企業としての面からの効率的な運営を含めて、今後のあり方について検討しているところでございます。御指摘の老人保健施設や社会復帰施設等の併設については、一つの考え方でございますが、いろいろ困難な問題もあるかと思うわけでございます。今後、五稜病院の検討を進める中で、民間活力の導入も含め、一つの研究課題として受けとめさせていただきたいと存じます。
 次に二点目の、五稜病院の二十四時間の応急体制についてでございます。
 精神疾患に係る急患の二十四時間受け入れ体制の整備については、本年三月に公示した和歌山県地域保健医療計画の中にも挙げておるところでございます。この受け入れ病院については、精神保健法に規定されている応急病院の指定を受けることが望ましいわけでございまして、その指定に当たっては、現在の五稜病院の人員、設備では十分でない点もございまして、早急な実施は困難でございますが、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
 三点目の、産業廃棄物関係の御質問でございます。
 花園村久木地区における産業廃棄物埋立処分場計画については、現在のところ事業者からは県へ話は全くございません。事業者の方から話がありました際には、関係部局と連携を密にして、地元及び下流の関係機関と調整をし、対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 広域的な地域福祉センターについてお答えいたします。
 ホームヘルパー等の在宅福祉サービスについては、住民に最も身近な市町村が実施主体となってございます。複数の市町村が効果的、効率的な観点から広域センター的な供給体制を整備するという方向を打ち出された場合、県としても具体化について努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、情報集約システムとその対応策についてでございます。
 援護を必要とする高齢者等に対し、最も適切なサービスを提供できるような体制づくりを図ることは極めて重要なことでございます。このため、地域住民に最も身近な市町村において、福祉、保健、医療の各種サービスの連携・調整がとれるよう、全市町村に保健婦、ヘルパー、医師等を構成員とするサービス調整チームを設置するとともに、新たに在宅介護支援センターを設置することといたしてございます。今後は、こうしたものを核とする中で関係機関と連携を図りつつ、要援護老人等の情報集約システム等の機能を果たしてまいりたいと考えてございます。
 在宅福祉サービスの利用についてでございます。
 指針要約版にもございます在宅福祉三事業については、平成元年度より緊急に整備を進めているところでございますが、なお供給体制が未整備の市町村もございますので、引き続き市町村とも協議を行い、早急に整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 久木の開発計画問題についての新聞報道や地元の動きは承知いたしておりますが、事業者からの事前協議もございませんし、説明も受けておりません。
 森林の開発については、事業者からの協議があれば、災害防止、環境の保全等、林地開発許可基準に基づき指導するとともに、関係市町村の意見を聞き、保健環境部を初め関係部局と十分調整を図りながら厳正に対処してまいる所存でございます。
 次に、ゴルフ場の開発に関しての御質問でございます。
 森林法による林地開発許可については、開発に当たって本制度の円滑な実施を図る目的から、開発に係る森林のある地元自治会及び影響を受けると見込まれる自治会の同意を得ることといたしてございます。
 入会地が開発計画区域内に含まれる場合に、入会地については入会権者全員の同意を必要といたしております。また水利権者については、取水、排水等、影響への有無、水田等、水の利用への支障の有無を判断する目的から同意を得ることといたしております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 二川ダムの常時放流についてでございます。
 二川ダムは、完成から二十四年を経過し、その間、洪水調節、発電等、多目的ダムの目的を発揮して、下流の流域住民の生命と財産を守り、生活の安定と産業の発展に寄与しているところであります。
 議員御質問の常時放流については、地元から強い要望がございますが、二川ダムの構造上の制約や水利権の問題等があり、現時点では難しいところがございます。この常時放流の問題については、関係部局において調査検討を行うこととしております。河道整備事業による効果の状況も踏まえて、具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。また、地元関係者に対して説明をし、御理解を得られるよう努めてまいる所存であります。
 現在、実施している減水区間の河道整備事業は、二川地区の家庭排水がよどまぬようにすることと、放水量毎秒千三百立方メートルを安全に疎通できる断面を確保するため、河川環境を考慮した内容として平成元年度から行っております。全体延長が千八百十五メーターで、二年度は延長三百メーターの河道掘削を実施する計画でございます。三年度以降は、残りの千三百七十五メーターの河道掘削と護岸工事を施行し、環境整備を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 五稜病院にかかわる提言については、今後の研究課題として検討させていただくという答弁でございました。ぜひ、その早期実現を望みたいわけでございます。
 そこで一つ申し上げたいのは、先ほど指摘した五稜病院における遊休施設というんですか、第五病棟が全く使われていないまま置かれていたり、活用しようと思えば活用できる膨大な敷地が残っておる。このことについて、それほど痛みを感じない。実際、民間経営の病院やったら、こういうことをほっておくことはないと思うんです。何とか活用して住民の利益を増すことはできないか、もうけを増すことはできないか、こういう真剣な論議が起きて当然だと思うんですが、どうしたわけか五稜病院ではそうした状態が長い間そのまま続いている。こういう点を考えた場合、地元の住民としては、今の研究課題として検討させていただくという答弁ではちょっと納得できん感情があります。長寿社会総合対策指針にしても、これだけ立派な方針を出されておるんだから、これに魂が入っておれば、今の保健環境部長の「研究課題」というより、もうちょっと前向きな踏み込んだ答弁がいただけるのは当然じゃないかと思います。
 私がお願いした件については、保健環境部だけで解決できる問題ではなく、民生部分野の仕事も非常に多いと思います。そこで、部局間の協力、協調、協議というのが非常に大事になると思うんですが、私たちが外から見た場合に、民生部の方は社会的弱者の方と直接常に接触しておるから割に行動性があるけれども、保健環境部になったら何か学者的な、象牙の塔的な感じもするわけです。これは、どちらもいい面、悪い面があると思います。いい面を生かして、互いに協力し合ってやっていただくということになればうれしいわけですが、どうも自分の城を守る、余りよそへ干渉してはというような縄張り根性が強いのではないかという心配もあるわけで、そうした場合、両部局あるいは幾つかの部局にまたがる事業だとなかなか進みにくいんじゃないか、こういう不安を感じるわけです。
 この問題については、本当に長寿社会総合対策指針の重要課題の一つとして、あるいは五稜病院の精神病患者対策の重要な課題として真剣に取り組んでいただきたい、このことを御要望申し上げます。
 もう一つは、私たち住民の間で早くやってほしいということでお願いに行くとすれば、五稜病院へお願いに行ったらいいのか、県事務所へ行ったらいいのか、保健所へ行ったらいいのか、ちょっとわかりにくいわけです。一体どこが最終責任部局になっていただけるのかというようなことを、もし説明していただけるならば再答弁をお願いしたいと思います。答弁が難しいようであれば結構です。
 それから、二番目の産業廃棄物処分地の問題です。
 まだ申請も何も来ていないんでということで、そういう答弁になると思いますが。
 そこで、特にお願いしておきたいのは、有田川の下流住民の心情としては非常に深刻な問題である。だから、吉備町議会がすぐ請願書を採択する、金屋町では臨時議会を開いてまで対応する。有田市議会は始まっておりませんが、これから審議が始まると思います。また清水町ですが、この請願書を受け付けたのは議会の会期終了のぎりぎりでしたので一応継続扱いになっておりますが、今月中に委員会を開き、また臨時議会を開いて対応するという方向のようでございます。
 このように非常に深刻に受けとめておりますので、こうした心情を十分理解して、申請はなくても現地調査を一度ぐらいやっていただくとか、役場へ事情を聞いていただくとか、そういうことをお願いしたいと思います。
 それからゴルフ場の開発の問題ですが、答弁わかりました。
 その答弁をいただいた結果ですが、影響を受ける自治会の同意がない限り、あるいは災害、環境、水質汚染等、正常に考えての不安のもとに同意できないという事情が生まれた場合には事業認可をすることはないと、こういうぐあいに理解させていただきたいと思いますがそれでよろしいか、もしそう理解して悪いならば再答弁をお願いします。
 それから、二川ダムの常水確保の問題でございます。
 土木部長の答弁、前の方を聞いたら、また同じ答弁かというように感じたんですが、ちょっと後半部分でいい面もあったんじゃないかと思うんです。この問題については調査検討し、今実施している河道整備事業の効果も踏まえて検討していきたいと、こういう意味の答弁だったと思います。
 ということは、常時放水について検討する、検討課題としていただけたと思うんです。しかし、その答弁、ちょっと聞いたらまた心配になる面もあるわけです。というのは、河道整備事業の効果も踏まえて検討するということであれば、河道整備事業が終わってからその段階で初めて検討課題になってくるというような受け取り方もできるわけです。今から直ちに調査検討を始めて、その途中で河床の効果なんかも検討の資料の中に入れていくという意味であるのか、あるいは段階的に河道整備が終わってから検討させてもらいますというのか、これをはっきり再答弁で明確にしていただきたいと思います。
 以上です。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 役所での窓口という形でございますが、私どもの部の医務課の方に御相談いただければ、うちの部だけで対処できないものもあるかもしれませんが、窓口としては御相談に応じたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 二川の常時放流については、技術的な検討を含めて、直ちに検討してまいりたいと思います。
 その中で、河道整備等の状況もあわせて具体的なものの考えを挙げていくというふうに考えております。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 土木部長に要望申し上げます。
 難しい理由として挙げておられるのは、ダムの構造上の問題と水利権の問題だと思うんです。
 ダムの構造上の問題についてはわかりますけれども、現在、揚水発電所なんかではダムの水を何百メートルも山の上まで運ぶんですから、二十四時間ぐらいあのダムの塀を越して水を流すぐらいは技術的に解決できない問題ではないと思うんです。
 そういう点から見たら、水利権が一番大きな問題ではないかと私は感じるんですが。水利権の性格というのもわかりますけれども、考え方によったら、水利権を行使する結果としてのダム発電事業だと思うんですが、この発電事業のために必要な放水というように考えたら、水利権と対立する性格のものではなくて、水利権行使のために必要な事業という点で了解が得られないものかどうか。得られるはずやと思いますが。
 こうした点、土木部長、企業局長もこの責任者になられると思うんですけれども、すぐ検討していただく内容として、ぜひそういう方向も含めて関西電力等の関係機関にもお願いして、御了解をいただくように努力していただくと、このことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小林史郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時七分散会

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