平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中村千晴議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時四分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
44番中村千晴君。
〔中村千晴君、登壇〕(拍手)
○中村千晴君 おはようございます。
雨も小やみになったようでございますが、先日来の大雨で九州地方では二十数名の死者、行方不明者が出るなど大きな被害が出ております。犠牲者の方々の御冥福をお祈りするとともに、被災地の皆さん方に心からお見舞いを申し上げるものでございます。また、梅雨前線の活発化により、今後、本県も十分注意を要するのでありますが、警戒その他作業に当たられる職員の皆さんにも大変御苦労をおかけすると思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
では、お許しをいただきましたので一般質問を行うことにいたします。内容は通告のとおりでありまして、その順序に従って質問を行います。
まず県の長期総合計画に関して、一番目の問題は計画の進捗状況と目標達成への見通しであります。
本年は長計第一次中期実施計画の目標年次であり、二十一世紀を目指しての県勢の発展、県民生活の向上、文化環境の充実を推進するための十五カ年計画の一区切りとなる時期と位置づけられた年であります。また、仮谷県政第四期目の最終ラウンドに入っていく年ともなります。こうした意味合いから、今回再び長計に関する問題の幾つかを取り上げて質問をすることにいたします。
まず、知事にお尋ねをいたします。
今、第一次中期実施計画の最終年次に至って県内外の情勢の変化が著しいこのとき、計画の進捗に当たって、あなたはどうした県行政の状況にあると判断されておりますか、知事としての所感をお述べいただきたいと思います。
次に、県長計は昭和三十九年以来、四次にわたって策定されてきたのでありますが、実施計画が策定されたのは今回が初めてであり、知事の英断と担当者の方々の御労苦に改めて敬意を表することにやぶさかではありません。その実施計画もいよいよ本年度をもって第一次が終了することになるわけでありますが、有終の美を飾る意味から、終了を待って第一次実施計画全体のフォローアップを行い、県民に報告することが必要ではなかろうかと思考いたします。これについての行政事務が予定されているとすれば、そのプロセスをお示しいただきたいと思います。
次に、本年十月には国勢調査が行われ、国民生活の実態、動向が明らかにされます。長計策定の中で非常な苦心を要されることの一つに人口フレームの推計があります。前回の国調の昭和六十年は長期計画策定中のころであり、その時点で本県の人口は百八万七千二百六人、前々回国調の昭和五十五年からの五カ年間で百九十四人の人口増でありました。しかし、本県の人口は昭和五十九年以降年々減少の一途をたどっており、年間二千人余りが減り続け、昨年はようやくにして前年比五百九十一人のマイナスに落ちついたという状況であります。一方、長計予測では、本年の県内人口は百九万五千人と推計されていたのでありますが、実態とは相当な開きがあると考えられます。当局ではこの乖離をどの程度と予測されておりますか、またこの一年間の人口増減の傾向はどうなっているのか、さらに将来の見通しについて県内人口の動向をどのように予想されているのか、長計に掲げられた数値と比較してお答えいただきたいと思います。
次に、長計に示された行財政の運営に関する県の投資的経費の見通しについてであります。
昭和六十一年から六十五年すなわち平成二年の本年まで、既に執行された分と本年度予算執行見込みを含め、この五年間での投資的経費は長計では五千三百二十億となっておりますが、実績としてどの程度の額となるのか、また目標年次の平成十二年まで、今後の見通しとして長計では一兆九千百六十億円と計画されておりますが、どう試算されておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
次に、質問を二番目の公共投資十箇年計画との関連についてに進めることにいたします。
昨年九月以来懸案であった日米間の構造協議が、去る六月二十八日夜ようやく最終報告がまとまり、閉幕しました。そして、最終報告に明示された日本側の改善策は臨時閣議において内容の了承がなされ、今後、我が国の政策に反映されていくことになる運びとなったのであります。
御承知のとおり、公共投資は十年間で総額四百三十兆円での決着となったのでありますが、その経緯からも明らかなように、二十一世紀の社会づくりの理念や方針が皆無であり、ただ数字だけがひとり歩きしているとの指摘がなされるところとなっております。しかし、ともあれ公共投資十箇年計画の内容が数字として提示されたのであり、資金配分に当たってはおくれている生活関連の社会資本の整備や教育施設整備に重点的配分を行うべきであり、同時に地価の抑制に強力な取り組みが必要とされ、あわせてインフレ回避に十分配慮すべきであります。翻って、これがもたらす本県への影響も大きなものとなってくると推察されるのであります。昨日、石田議員からも御質問がありましたが、地方自治体の最高責任者としての立場にある知事は、本県の長期総合計画の遂行に関してどうした問題が懸念されるとお考えか、御所見を承りたいと思います。
また、影響がすこぶる大きなものとなり、特に長計の最終年次の目標値の見直しが必要となった場合どのように対処されるのか、直截的に中期実施計画で目標値の修正をしていくのか、抜本的に最終目標値の上方修正を長計そのものに対して行うという措置をとるのか、基本的な方針をお示しいただきたいと思います。
次に、公共事業のうち特に住民生活に密着度が高く、しかも他府県に比べて整備のおくれが著しい下水道問題についてでありますが、これに関する質問は先般も行っておりますので、今回は公共投資十箇年計画に関連して端的にお尋ねをすることにいたします。
国の整備目標は現九○年度見込み四四%でありますが、これを二○○○年に七割程度とするとあります。それに比べて本県は、八九年度末すなわち本年の三月末時点で三%、言うまでもなく全国最下位であります。二○○○年での長計目標値が三九%、これが仮に完遂できたとしても全国平均より十年以上のおくれとなります。しかし現実には、現時点での中間目標が一一%と設定されておるのにそれさえクリアできず目標に遠く及ばないという極めて厳しい状況下にあり、文字どおり遅々として進まぬ下水道の実態であります。来年度の政府予算要望にも下水道整備の促進は確かに入れられてはおりますが、それとても昨年の要望よりも後退した内容となっております。土木部長より、この窮状をどう克服するのか、決意ではなく具体的な施策についての御説明をいただきたいと思います。
長計に関する質問の最後は、第二次中期実施計画の策定についてであります。
まず、国の公共事業五箇年計画との連動性についてお尋ねをいたします。
明年を五年度とする五箇年計画が、建設省関係では第五次都市公園整備計画、第六期住宅建設、第七次下水道整備計画等々があり、運輸省関係でも第五次海岸事業、第六次空港整備、第八次港湾整備の各五箇年計画がそれぞれ策定される運びになろうとしております。これらは、ちょうど本県の第二次実施計画の初年度と合致することになり、この際、これと連動させてはいかがかと思うのであります。それとともに、各五箇年計画を本県の第二次実施計画にそのまま取り入れて、平成三年から七年までの五カ年の中期実施計画として策定してはいかがかと考えます。もちろん財政フレームとの関係もあろうとは思いますが、本長計の末尾のところに「当面五か年程度の主要な事業と施策に関する中期実施計画を策定する」との記述もあることであり、ぜひ御一考をいただきたく、御答弁をお願いいたします。
次に、策定の進行状況であります。
既に第一次の期間も終わり、残りわずかとなった今、鋭意策定作業に取りかかっていると思いますが、その状況、また策定完了の予定時期等についてお知らせをいただきたいと思います。これは特に、長計の推進本部長であり実施計画の策定委員長でもある西口副知事より御答弁をお願いしたいと思います。
次に、二項目目の燦黒潮リゾート構想の推進についてお尋ねをしてまいります。
その一番、総合保養地域整備法すなわちリゾート法でありますが、これの承認見通しについてであります。
去る昭和六十二年制定のリゾート法施行以来、近年の好況の波に乗って全国各地でリゾート開発がブームとなった感があります。しかし、地価の高騰、人手不足、環境破壊等々の問題が惹起し、先走った地域では改めて計画の見直しを余儀なくされているところも出始めているという状況となっております。こうした中で本県も、待望のリゾート構想がいよいよ出番間近の気配が濃厚となってまいりました。昨年度行われた県民世論調査では、リゾート進出を是とする意見が否とする意見より大きく上回ったとのことであります。
そこで、まず知事にお尋ねをいたします。
この県民世論調査の結果を受けて、今後のリゾート政策の展開について知事はどのようなお考えを持たれているのか、お聞かせいただきたいと思います。
このほど、国土利用計画法に基づく監視区域の対象地域の拡大等の変更が県より発表され、リゾート法の承認を予定している県内七地域の重点整備地区のうち和歌山、海南、田辺、白浜の一部は既に指定されておりますが、残りもすべてが区域指定されました。燦黒潮リゾート構想の承認を見越して、地価の高騰を防止するための措置であります。
しかし、肝心の燦黒潮リゾート構想の方は一体どのような状態の中で承認待ちとなっているのか。昨年五月十九日、承認申請の前手続となっている基礎調査書がようやく国土庁へ提出されました。その後ちょうど一年を経過したのでありますが、これについては我が党の森本明雄議員からも先般質問がなされ、私も今日まで再三質問いたしておりますので、それらの答弁を踏まえてお尋ねすることにいたします。
基礎調査書提出の後、昨年六月十六日に各省庁合同の第一次ヒアリングがあり、その後十一月十六日に第二次合同ヒアリングが行われたとの報告があり、調査書の審査は進んでいるとも思われるのでありますけれども、私の手元にある国土庁の資料によれば、本年五月三十日現在で承認済みの構想は六十三年七月、トップに行われた三重県の構想以降、本年五月二十八日付の福井県まで二十一道府県、承認申請中が熊本、青森、愛媛の三県、そして基礎調査書提出が十六県、そのうち提出順で本県は三番目となっております。こうした状況の中、当局は承認の時期についてどのような見通しを立てておられますか、また今日に至った遅延の要因は何であったと考えておられますか、お答えいただきたい。
私は、本構想の審査の過程でウイークポイントとなるのは、構想の地域が本県の海岸沿いに南北に細長いという地形上の問題と、いまひとつは民間事業者の参入が明確となっていないのではないかという点に危惧を持つものであります。
国の承認に当たっての国土庁等六省庁の基本方針では、この民間事業者の参入という点についてはこう述べております。「当該地域において相当数の民間施設が現に整備されつつあり、または今後整備される見込みがあること」とあり、その見込みとは「施設の概要、実施時期等、民間事業者による具体的な整備計画が存在し、かつその実現性を担保するものとしての立地可能性調査、施設整備に関する意思の表明等が行われているかどうかによるものである」と規定しております。
そこで質問でありますが、参入民間事業者の概数と事業総額の概算見込み額はどの程度と試算されているのか、お教えいただきたい。ちなみに、承認済みの他府県の構想では、民間のみの事業費総額は大きい方では千葉県の九千五百億円をトップに、福岡県では五千億円、兵庫県──これは淡路島でありますが、面積は本県構想の十六万二千ヘクタールの約三分の一強の六万ヘクタールで、事業費は四千億円となっております。少ない方では埼玉県の九百億円、福井県、宮城県がそれぞれ一千百億円と発表されておりますが、本県も今の時点でおよその見込みは立てておられると思いますので、この際、お示しいただきたいと思います。
二番目の問題、承認構想の推進体制と諸問題についてであります。
まず、リゾート整備に何としても避けなければならないのは乱開発であり、無謀な自然破壊、環境破壊であります。こうした行為を防止しリゾート地を守るため、兵庫県では淡路島の良好な地域環境の形成に関する条例を制定しております。また、三重県ではリゾート地域における県税の特例措置条例で税優遇措置を制定しているとともに、中小企業者向けのリゾート振興資金融資要綱をつくって制度化融資を行うことになっております。京都府では府税条例の一部改正による措置等と各府県での対応はさまざまでありますが、本県では、秩序ある開発を行い、それとともにリゾート地域の地元産業の発展、中小企業の振興育成のためどのような措置を講じられようとしているのか、条例、要綱制定についての予定をお答えいただきたいと思います。
次の問題として、地価抑制策の監視区域の指定についてお尋ねをいたします。
前段申し上げましたが、去る六月二十九日、重点整備地区となる予定地がすべて監視区域に指定され、七月十六日から実施されることになりました。しかし、今後、仮に構想承認の段階で区域の変更があった場合どう対処されますか、お尋ねをしておきます。
また、この措置によって地価抑制の効果が上がるのかどうか。今回の変更すなわち強化措置の発表に対して、リゾート構想地域以外の一部の地域では反対の意見も出されているようでありますが、参考に現在までの届け出状況について、件数、土地利用審査会の審査対象、勧告の有無等を情勢判断とあわせて御報告いただきたいと思います。
また、六月二十七日、市町村への土地取引の届け出内容に新たに資金計画書の添付を義務化し、借入金がある場合は借入先、借入額、返済期日などの記載等を求めるとの通達が国土庁から出されましたが県はどう対処されましたか。いつからどのように実施するのか、予定等を含めて御説明いただきたいと思います。
次に、構想の推進体制についてであります。
このほど、県の素案概要が送られてまいりました。それによれば、重点整備地区ごとに推進連絡協議会を設けるとなっておりますが、関係地方公共団体、民間事業者に学識経験者等を加えた官民一体の構想地域全圏規模の推進機構の設置も望ましいのでありますがどう対応されますか、お答えいただきたいと思います。
次に、三点目のゴルフ場に対する行政の対応についてお尋ねをいたします。
燦黒潮リゾート構想の素案概要によれば、和歌山市加太、紀泉地区を初め七カ所の重点整備地区のそれぞれの主要施設として挙げられているのがゴルフ場であります。枯木灘地区以外の六地区すべてに予定されております。今は、確かに健全なスポーツとしてのゴルフの存在は大衆化し、需要度は非常な高まりを見せております。しかし、最近の傾向としては地元住民から歓迎される施設として受け入れられることが必ずしも容易なものではなくなり、その主たる原因は農薬散布による環境汚染の不安、そしてもう一つは森林開発に伴う形状変更による災害の不安であります。したがって、地域住民の不安を解消するためゴルフ場の農薬使用の現況を明確にし、住民生活の安全確保のための適切な対応が望まれるところとなっております。
そこで質問でありますが、現在、県内で営業中のゴルフ場と造成中、届け済みのもの及び事前協議の段階にあるもの等々、それぞれの箇所数をお教えいただきたい。また、現在までにゴルフ場にかかわる農薬使用による汚染状況の調査がなされていれば、その実態を御報告ください。
厚生省は、このほど農薬二十一種を対象に水道事業に関する取水口での暫定基準を設け、チェックを行う旨の通知を地方自治体に出されたのでありますが、当局はどう対処されましたか。
また、農薬汚染に関して、大阪府では指導要綱を設け今月から施行との報道がありましたし、熊本県では要綱でさらに総量半減に規制強化するとの報道もあったことは御案内のとおりであります。本県では、ゴルフ場での農薬規制については基本的にどのような方針で臨まれますか、また全ゴルフ場を対象とした実態調査についての考え方をお示しいただきたいと思います。
次に、ゴルフ場の造成についてであります。
林野庁は、六月十一日、ゴルフ場やスキー場、宿泊レジャー施設の建設などに伴って、森林が持っている土砂崩壊防止や水源涵養などの公益的機能が低下するのを防ぐため、現行の保安林制度と林地開発許可制度を見直し、森林の開発転用規制を強化することを決めた通知を出されたのであります。それによれば、ゴルフ場の開設においては、全体面積のうち森林率が現行の四○%から五○%に引き上げられ、周辺部及びホール間に配置する森林幅が現行の二十メートルから三十メートル以上にするとの規制が強められたのであります。これに対してどのような措置をとられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
四点目の、世界リゾート博の開催に当たってお尋ねをいたします。
「関西国際空港が開港する平成五年の夏を目途に開催する世界リゾート博」、主会場は和歌山マリーナシティ、会期は約七十日間、目標入場者数は百万人とする基本計画が決定と、「県民の友」六月号によって県下全域に大きくPRがなされました。本県の燦黒潮リゾート構想の推進に大きな役割を演じるものと、その成功を心から期待するのであります。
その大要については、過日配送されてきた基本計画書によって知ることができるのでありますが、今は基本計画の段階であり、今後、実施計画において綿密な作業に入っていくものと思われますが、先手必勝の気構えと行動で万事抜かりのない対応をお願いしておきます。そして、願わくはせっかくのこの博覧会イベントが大成功をおさめるよう、行政はもとより、地元住民、各産業界等、こぞって参画できる官民総ぐるみの開催となることを強く要望しておきます。
そこで、基本的な問題について二、三お聞きしておきたいと思います。
まず、開催の事業主体についてであります。
計画書には運営母体として仮称博覧会協会の設置とありますが、事業主体についての考え方が定かではなく、例えば事業主体は県で行い、運営万事を協会に委託して行おうとするのか、あるいは協会が事業すべての主体者となって運営を行うという方針なのか、明確にお示しいただきたいと思います。
また、世界リゾート博の展開としてプレキャンペーン、ポストキャンペーン事業が示されておりますが、リゾート博開催前後の事業もすべて同一の事業主体が行おうとするのかどうか、またこの期間は全期間を通じてどの程度と計画されておりますか。特に、ポストキャンペーンは平成五年以降と記されておりますが、責任の所在を明確にしておくべきだと思考いたします。
事業規模についてでありますが、開催事業費総額はどの程度と予定されておりますか、お聞かせいただきたいと思います。また今後のスケジュールでありますが、博覧会協会設立準備会の設置状況と協会設置までのプロセスを御説明願いたいと思います。
次に、最後の長寿社会総合福祉対策について質問を行うことにいたします。
まず、一番目の高齢者保健福祉推進十か年戦略に関してであります。
本年一月、高齢化社会に対応する県の長期ビジョン、長寿社会総合対策指針が発表されました。かねてより要望を続けてきた者の一人として、当局の御労苦に敬意を表する次第であります。
ところで昨年末、国の方でも高齢者の保健、福祉の分野で、今世紀中に実現を図るべき目標を掲げた高齢者保健福祉十か年戦略が発表されたのでありますが、まず知事にお尋ねをいたします。
「健康・福祉和歌山」を県政推進の三本柱の一つに立てられ、行政に大きな比重をかけられてきた知事として、この十か年戦略の戦略的価値についてどのような判断をなされておりますか、見解をお示し願いたいと思います。
次に、県の対策指針との整合性についてであります。
発表は政府の十か年戦略の翌月になったのでありますが、県の指針の策定は既に昨年九月末に決定されており、実質は国に先行したものとなっております。県の指針の中で示された目標は、ホームヘルパー、ショートステイ、デイ・サービス等は在宅三事業、三カ年緊急整備として目標値が掲げられておりますが、特養、保健施設は平成十二年の目標値、ケアハウスについては目標値が出されていないなど、若干の差異が見受けられるのであります。したがって、国の十カ年目標との整合性はどう図られていくのか、お聞かせください。
また、本県ではいち早く在宅三本柱のカード制の実施など、住民サービスの向上に特段の措置を講じられたことは、まことに時宜にかなったことであり、意を強くするものであります。さらにその拡充を図る意味から、未整備の市町村の整備目途についても、この際、お示しいただきたいと思います。
また、個人住宅の高齢者あるいは身障者用の改造について専門家の担当による相談窓口の設置が望まれます。さらに公営住宅の建設計画についても、明年からの建設五カ年計画の中に高齢者、身障者向け住宅の枠組みを導入し、建設の年次計画をぜひとも実現していただきたいのでありますが、あわせて御答弁を求めます。
二番目、地域福祉の充実について。
県の長計には、三層の福祉圏の設定として、小・中学校区を小域福祉圏、市町村域を基本福祉圏、そして郡・市域を広域福祉圏として記述されておりますが、老人福祉法の今回の改正により特養の入所決定権が市町村事務に移行ということなど、基本福祉圏の責務はますます重要となってまいります。また広域福祉圏については、市・郡とするのか県事務所単位とするのか、あるいは広域市町村圏をそのまま充てるのか、保健所のサービスエリアとの兼ね合いもあり、どう定義づけるかも明確にしなければなりません。こうした状況にかんがみ、三層の福祉圏の基本方針と整備の現況を御説明いただきたいと思います。
また、高齢者保健福祉計画の策定についてはどのように策定準備に当たれておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
さらに、ボランティア活動の市町村ごとの連絡協議会の設置状況と見通しについても、あわせてお示しいただきたいと思います。
三番目、総合福祉センター──仮称でありますが、これの建設について。
長寿社会の振興に伴い、高齢者対策は年々拡大され、内容も高度化、多角化してまいります。したがって、それらを統合し、機能的な活動、研究、開発の拠点として総合福祉センターの建設が必要とされるのであります。
先月末、和歌山市内の旧国鉄操車場駅跡地六・九ヘクタールの処分について、清算事業団に対して処分審議会の答申が出されました。これについては、今議会冒頭、知事からも報告がなされたのでありますが、答申では「県内各地の健康・福祉関係の核となる施設を整備する立地条件に恵まれている」とされております。具体的なことは後日の問題として、今回はその基本方針について御説明をいただいておきたいと思います。
質問が数多くなりましたが、どうかその趣旨を生かされ、当局は的確な御答弁をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村千晴君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村千晴議員にお答え申し上げます。
まず第一点、長期総合計画でございます。
現在進めておる第一次中期実施計画の最終年次になっておりますけれども、知事の所見と中期実施計画のフォローアップについてでございます。
お話ございましたように、今次の長計は四次長計でございますけれども、初めて中間的な中期計画を策定し、その進行管理を行っておるわけでございます。まだ一次の中期計画の実施段階中でございますので達成状況が明確ではございませんけれども、順調に進行しつつあると思っておるわけでございます。
この中でも、関西空港、高速道路の南伸、白浜空港、こうしたビッグプロジェクトが順調に進んでおるし、また新大阪乗り入れ、マリーナシティ等において和歌山県は明るい経済見通しがあると感じておるわけでございます。今後の県政において大きな飛躍が考えられるのではないかと存じておるわけでございます。
また、話ございましたように一九九○年代の初頭であり、これからが和歌山県にとって非常に重要なときでもございます。それゆえに、第二次の中期実施計画についても全力を注いでまいりたいと思います。また、第一次中期実施計画の進捗状況については何らかの形で示してまいりたいと思っております。
次に、長期総合計画と公共投資十箇年計画との関連の問題でございます。
昨日も石田議員にお答え申し上げたところでございますけれども、今後、国において生活環境、文化に重点を置いた推進方向が考えられると思います。そういう意味から、本県の社会資本の充実の面において大きなチャンスでもございますし、有利な状況が生まれてくるのではないかと思っております。その具体的な実施方法については、国の予算獲得の時期、また長期五カ年計画の策定時において、本県の各施策がその分野において十分採択されるように取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
なお、御指摘ございました長期計画の最終年次の目標値の見直しについては、今後、本県における社会資本の充実、社会環境等を十分勘案しつつ対処してまいりたいと存じておるところでございます。
次に、燦黒潮リゾート構想の推進に関してでございます。
県民世論調査の結果に基づいての県のリゾートに対する考え方ということでございます。
県民世論調査において、豊かな自然を生かしながら、スポーツやレクリエーション、文化施設を持ったリゾート開発についてどう思うかという調査を行いました。それに賛成が六二・三%、反対が二三・四%で、リゾート開発に対する高い関心度がうかがわれるわけでございます。
特に年齢別に見た場合、二十代の若者の七五%強の方々がリゾート整備を通じて魅力ある雇用の場が確保され、またスポーツ、レクリエーション施設や文化施設が整備された快適な町づくりに大きな期待を寄せていることがわかるわけでございます。若い人たちが、定住のためにもリゾート政策を積極的に推進してまいりたいと考えていることがうかがわれるわけでございます。
ただ、二割強の方々が反対と答えております。その内訳は、余り進めるべきではないが一八・三%、進めるべきではないが五・一%でございまして、その大半の皆さんがリゾート開発による自然破壊を懸念されているわけでございます。
和歌山県のリゾート開発というのは、本県のすばらしい自然を生かした特色が発揮できることを考えておりますので、こうした意味からもリゾート開発の推進に当たって、自然を尊重しながらの開発、自然環境が調和したリゾート整備を今後進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
それから、昨年末に高齢者保健福祉推進十か年戦略が発表されましたけれども、この価値についての考え方でございます。
日本は、世界の中でも高齢化社会が進んでおります。二十一世紀を間近に控えて、これから超高齢化社会になってくると思うんです。未踏の時代を迎えるわけですけれども、そうした際における保健福祉施設の充実、個人の生活、社会全体のあり方、こういうものが問題にされると思うのでございます。こうした時期に十か年戦略が出されました。個々の施策はもちろんでございますけれども、国民全体が高齢化問題を考える契機という意味においても高く評価するものでございます。
次に、長寿社会における総合福祉センターの建設でございます。
健康・福祉ということを、私はかねがね強く訴えてまいっておるわけでございます。中村議員から話ございましたように、国鉄操車場駅跡地における問題、また清算事業団の答申と関連して、現在この利用について保健と福祉、また婦人、少年関係等を兼ね合わせたセンターとして検討すべく、各方面の意見を承っていかなければならないと思っておるところでございます。
以上です。
○議長(門 三佐博君) 副知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 第二次中期実施計画の策定状況についての御質問であります。
第二次中計の策定に当たっての取り組み姿勢等については、去る十二月議会において御報告を申し上げたとおりでありますが、基本的には間近に控えた関西国際空港の開港、南紀白浜空港のジェット化整備、あるいは近畿自動車道の南伸等によるインパクトをでき得る限り生かした施策の展開を図っていくことが重要であろうと考えております。こういった基本的な姿勢に立って、去る五月二日に県長期総合計画推進本部会議を開催して具体的な作業をスタートさせたところでございます。
現在、庁内各部局から成る計画調整部会を中心として年度内に計画策定を完了すべく鋭意作業を進めているところでございます。また、市町村の計画との整合性を図るために六つの定住圏別の意見交換会を実施いたしまして、この六月に終了したところでございます。
平成三年度を初年度とする第二次中期実施計画の期間は、来るべき二十一世紀を展望したときに県勢を大きく飛躍させなければならない極めて重要な時期でもございまして、将来を見通した社会資本の整備、健康、福祉、教育、文化等、各般にわたる施策を効率的、計画的に推進して長期総合計画の目標達成のために努力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、県長期総合計画に関しての御質問にお答えを申し上げます。
第一点は、人口予測との乖離と今後の見通しについてでございます。
昭和四十年代からの高度成長期から安定成長期という全国的な推移の中において、本県人口は昭和五十七年度までは増加を続けてまいりましたが、その後の円高等の影響により本県の約七割を占める基礎資材型産業の構造不況から、五十七年度の百九万人をピークに減少傾向に転じたところでございます。しかしながら、近年、本県産業界の自助努力、並びに先端産業を中心に企業誘致に努めた結果、景気は回復基調に向かっておるところでございます。平成元年度鉱工業生産指数は、昭和六十年を一○○とした場合一○六・五で、対前年の伸び率では近畿の平均を上回った数値となってございます。
本県の人口は、長期総合計画における平成二年度の目標値百九万五千人に対し、平成元年度は百七万九千二百六十四人となってございますが、ただいま申し上げた諸状況を勘案すると、平成二年度においては増加に転じるのではないかと考えてございます。ちなみに、平成二年四月における対前年比では増加しているところでございます。
県政全体のトレンドについては、先ほど知事から答弁がございましたが、さらに本県が現在取り組んでいる地域産業の高度化に寄与することを目的とした頭脳立地構想や燦黒潮リゾート構想、さらには民間による大規模宅地開発などアメニティー高い職・住・遊近接型のふるさとづくりを推進していくことにより、今後の見通しとしては明るい方向で進むものと考えているところでございます。
第二点は、中期実施計画を五カ年計画にしてはどうかということについてでございます。
さきの十二月議会における議員の御提言を踏まえて、計画の期間については鋭意検討を重ねてきたところでございますが、当面は関西国際空港の開港を大きなターゲットとしての取り組みが重要であること、中期実施計画をより実効ある計画にするためには、二十六分野にわたる期間内の見通しの的確な把握が必要であること、本県を取り巻く社会経済情勢の変化に対応しての即応性、また計画期間内における最大限の投資的経費の的確な把握が必要であること等々の観点から、第一次中期実施計画同様に三カ年程度が適当ではないかと考えておるところでございます。
なお、議員の御提言の趣旨を十分踏まえて、国の住宅、下水道等の五カ年計画との整合性に留意しながら、第二次中期実施計画を実りあるものにすべく積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に、燦黒潮リゾート構想に関連した御質問のうち、第一点は総合保養地域整備法の承認見通しについてでございます。
リゾート法に基づく基本構想の承認申請についてでございますが、その事前手続として昨年五月に提出した基礎調査書は、本年五月八日におおむね妥当であるとの結論を得たところでございます。議員御指摘のとおり、国の承認手続がピークとなっているところでございますが、現在、本県を含め、三県が承認申請に当たっての最終の協議を進めているところでございます。今後とも、一日も早く承認が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
第二点は、民間事業者の概要等についてでございます。
参入民間事業者の概要については、既に公表されている松下興産、丸紅、東急不動産のほか、数多くの進出を希望する企業と現在、鋭意協議しているところでございます。
なお、燦黒潮リゾート構想の事業総額については、現在その事業内容等について国と調整中でございますが、他府県に比べても遜色のない規模、内容になるものと考えてございます。
第三点は、地元産業の振興、企業育成についてでございます。
本県には、梅、ミカン、野菜などの農産物、新鮮な魚介類、伝統的な地場産品など、本県のリゾートを特色づける資源が豊富にございます。こうした資源を活用し、リゾート客へのサービスの向上に努めるとともに、地域振興の効果をより高めるため、地域の農林水産業や商工業のリゾート産業への参画、新規リゾート産業との相互連携を積極的に促進することにより、地元産業の振興、中小企業の育成を図ってまいりたいと考えてございます。
なお、お話のありました融資制度については、事業者の意向を勘案しつつ、既存の制度との調整を図りながら検討してまいりたいと考えてございます。
第四点は、秩序ある開発の進展についてでございます。
本県のリゾート整備は、すぐれた自然環境のもとで初めて成り立つものでございますので、こうした意味においても開発と保全の調和に努め、自然環境に支障が生じないよう十分配慮してまいる所存でございます。
なおリゾート地の景観については、リゾート施設の景観に配慮するだけではなく、周辺の町並みもリゾート地にふさわしい景観を形成することが必要かと存じます。
そこで現在、県では先進地事例を収集し、リゾート地の景観のあり方について検討を深めるとともに、今後はこうした事例をもとに、地域住民の御理解、御協力をいただきながら、一体となってリゾート整備を進めてまいりたいと考えてございます。さらに開発規制の条例についても、今後の課題として研究してまいりたいと考えてございます。
第五点は、税優遇に関する条例についてでございます。
リゾート法に基づき税制上の特例措置が講じられるものとしては、国税では法人税、所得税、県税では不動産取得税、県固定資産税、市町村税では特別土地保有税、事業所税、固定資産税がございます。
特例措置を受けるためには、県税では不動産取得税、県固定資産税についての特別措置の条例制定が必要でございますので、本構想の推進を図っていく上から、承認後の条例制定に向けて検討を行っているところございます。また、市町村税では固定資産税についての特別措置の条例制定が必要でございますが、関係市町に協力を働きかけてまいりたいと考えてございます。
第六点は、構想の推進体制についてでございます。
承認後の推進体制についてでございますが、現在、各重点整備地区ごとにリゾート整備を推進し、地域の振興を図るための協議会の設置を進めているところでございます。また、リゾートに造詣の深い学識経験者を招き、講演会等を行ってきたところでございます。今後とも、学識経験者の協力も得ながら特色のあるリゾート整備を進めてまいりたいと存じます。
御指摘の推進組織については、今後の課題として受けとめさせていただきたいと存じます。
第七点は、国土法の監視区域との関連についてでございます。
リゾート開発関連で地価上昇のおそれのある地域については、国の運用指針により監視区域に指定したところでございます。リゾート法の承認については、現在、関係六省庁と基礎調査書等で十分調整を図り、構想案の最終協議の段階でございまして、地域の変更はないものと考えてございます。
次は、土地取引の届け出件数等についてでございます。
地価の監視区域については、昨年三月に和歌山市の商業地域を指定して以来、昨年九月、本年三月と三回の指定を行ってきたところでございます。この指定によりまして、届け出件数は昭和六十三年の六百四十四件に比べ平成元年は千四百三十件に増加するとともに、価格や利用目的についての指導件数も、昭和六十三年は四十三件で届け出件数の六・七%に比べ平成元年の指導件数は三百十六件、二二・一%に増加してございまして、監視区域制度の効果が発揮されたものと考えてございます。
なお、指導に従わない場合は、和歌山県土地利用審査会の意見を聞いて届け出者に取引を中止するよう勧告することになってございますが、現時点では行政指導に従わなかったケースはございません。今後、地価動向を十分見きわめながら、監視区域制度を厳正に運用してまいる所存でございます。
次は、土地取引の届け出制度に係る資金計画書の添付についてでございます。
平成二年三月二十日の国土利用計画法一部改正の施行により、監視区域内における一年に満たない短期間の転売については、投機的取引かどうかの判断に資するために事業計画等の添付を義務づけてございます。さらに、六月二十七日付の国土庁からの通達により、投機的な土地取引を金融面からより一層厳しくチェックするために資金計画の提出をあわせて求めるものでございます。県といたしましては、こうした通達に基づく制度を活用しながら投機的取引の抑制に努めてまいります。
次に、ゴルフ場についてでございます。
県下ゴルフ場の状況は、営業中が二十カ所、造成中のものが三カ所ございます。また、昭和六十三年十二月一日に届け出制度を開始する以前から各個別法で事前協議中のものが七カ所、その後の届け出制度により受理したものが九カ所、そのうち七カ所が事前協議中でございます。
最後に、世界リゾート博の開催に関連してお答えを申し上げます。
第一点は、開催の事業主体等についてでございます。
世界リゾート博は、行政だけでなく民間を初め県内各界の力を結集し、県、市町村、経済団体、各種団体等により構成する博覧会協会(仮称)を設置し、推進してまいりたいと考えてございます。
こうした考え方をもとにして近く準備会を発足させ、本年度末までに博覧会協会の事業内容、組織などを明らかにしてまいりたいと考えております。
第二点は、キャンペーンの事業主体等についてでございます。
この博覧会を促進し効果あるものにするために、開催前後のキャンペーン事業を官民一体となって盛り上げていくことが重要でございます。したがいまして、具体的な事業計画等については、本年度策定を予定している実施計画の中で博覧会協会みずから実施するキャンペーン事業、また関係機関等にお願いして実施していただく事業等を明確にして、より効果のあるものにしてまいりたいと考えてございます。
第三点の、地方博覧会における事業費でございますが、入場目標者数や博覧会の内容等によって左右される度合いが大きいため、今後、実施計画、実施設計を策定していく中で健全かつ効率的な財政計画を立ててまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 昭和六十一年に策定した第四次長期総合計画において、平成十二年度までの十五年間の投資的経費の見通しとしては一兆九千百六十億円を見込みまして、うち昭和六十一年度から平成二年度の五年間で五千三百二十億円を計画しておりましたが、各年度の予算編成・執行において県勢活性化のため投資的事業への財源の重点配分を行ってきたこともございまして、この間、平成二年度当初予算を含む五カ年度の実績としては六千三百八十七億円となっております。
また、先ごろ日米間で合意された公共投資十箇年計画のもとで、今後、投資的経費の増加が期待されることもございまして、真に県民のニーズに適合した事業への配分という観点から、より一層事業の重点化を図りながら、長期総合計画の着実な実行、効率的、計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
公共投資十箇年計画と関連して、おくれている下水道の整備への対応についてでございます。
県では、下水道の整備促進を図るため、昭和五十五年度から紀の川流域下水道事業に着手し、鋭意努力をしているところであります。また、和歌山市等、公共下水道事業に着手している都市においては既に相当額の投資を行っておりまして、今後はその効果が次第にあらわれるものと考えております。しかし、本県の市町村は下水道事業の着手がおくれていることは事実でございます。
このことから、昭和六十三年度から二カ年にわたり県全域における下水道の整備を計画的かつ効率的に進めるための指針となる下水道整備構想エリアマップを策定し、これに基づき市町村を積極的に指導しているところでございます。さらに、本年度から基本計画を策定する場合に、市町村に対し三分の一の県費補助を行っております。
今後、中小市町村における下水道を進めるために、整備手法のあり方、補助金、起債等の財政制度の改善、支援体制の充実等を国に対して強く求めていく必要があると考えております。
次に、長寿社会総合福祉対策の中での高齢者、身障者向け住宅の考え方についてでございます。
住宅建設計画については、現在、国において策定中の第六期住宅建設五カ年計画の施策体系のもとに、県民がゆとりある住生活を営むことができるよう良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成を図るとともに、高齢化社会への対応を基本目標に民間住宅建設の活性化と公的援助住宅の的確な供給を促進してまいりたいと存じます。
中でも、県が直接建設する住宅については、長寿社会を想定し、医療、福祉施策との連携のもと、高齢者や障害者が安心して住めるよう配慮した住宅を既存住宅の改善も含めて、関係部局と協議する中で必要戸数を計画的に確保してまいりたいと考えております。
なお、高齢者向け等の個人住宅に対する相談業務については、現在作成中の高齢者向け建築物設計指針の活用を図りながら十分対処できるよう検討してまいります。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
ゴルフ場での農薬規制についての基本的な対応でございます。
ゴルフ場での農薬使用については、昭和六十三年八月以降、農耕地での使用と同様に農薬取締法が適用され、この法令に基づく登録農薬を適正に使用することが基本となってございます。そのため、各ゴルフ場などに対し農薬の安全使用について指導通達を行うとともに、関係機関から成る県ゴルフ場農薬安全使用指導対策協議会の設置による指導体制の整備、またゴルフ場関係者等への研修会の開催やゴルフ場への立入調査等、その指導の徹底を図ってきたところでございます。
さらに、農薬の適正使用を徹底させるため、先般、既存の全ゴルフ場に対し、農薬の年間使用計画の作成、使用実績の記録、排水口における水質の自主点検実施などを内容とする通達を行ったところであり、これに基づき農薬使用実態を把握できると考えてございます。今後とも、農薬の適正使用に向け、立入検査を含めて厳しく指導してまいります。
なお、国において目下、ゴルフ場での農薬適正使用に関する指導要領策定指針──これは都道府県を指導するためのものでございますが──を検討しておりますので、その結果を踏まえ、関係部局と協議しながら対応してまいる所存でございます。
次に、ゴルフ場と森林の問題でございます。
森林におけるゴルフ場の造成については、平成二年六月十一日付をもって林地開発許可制度の許可基準の運用細則の一部改正が行われ、議員お話しのとおり、開発区域の残置森林率等の基準が改められました。今後、新たに出される開発計画については、新しい基準を適用して指導してまいる所存でございます。
なお、現在までに事前協議等により既に事業計画等を指導している案件もございますので、これらについては一定期間、経過的措置を講ずる必要があるものと考えております。
いずれにいたしましても、今後、森林の保全と森林の適切な土地利用を図っていくことがさらに必要となってくるものと考えられますので、許可に当たっては十分な指導を行ってまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) ゴルフ場の農薬使用についての御質問にお答えを申し上げます。
県下のゴルフ場周辺の水質調査については、平成元年に七カ所の周辺河川で水質調査を実施して公表いたしたところでございます。その結果は、三種類の農薬が検出されましたが、いずれもWHO(世界保健機関)の基準あるいは今回国が示した河川への暫定指針値を下回っており、問題のない状況でございます。
二番目に、御指摘の五月三十一付の厚生省の通知でございますが、「ゴルフ場使用農薬に係る水道水の安全対策について」の取り扱いについては、六月七日付で保健所を通じて市町村等、関係水道事業体に対してゴルフ場での使用農薬のモニタリング等、必要な措置を講ずるように指示したところでございます。
なお県といたしましては、昨年度に引き続き、水道事業体で行うモニタリング調査とは別に河川の農薬調査を実施することとしており、現在、既設のゴルフ場二十カ所を対象に調査地点の選定等を検討している段階でございます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず、高齢者保健福祉推進十か年戦略に関係してお答えをいたします。
十か年戦略と本県の総合対策指針との整合性についてでございます。
本県の総合対策指針については、広範多岐にわたる長寿社会対策の施策を総合的、計画的に推進していくための基本方向を明らかにしたものであり、具体的施策の実施に当たっては国の十か年戦略との整合性についても十分配慮してまいりたいと考えてございます。
次に、在宅福祉サービスの体制整備についてでございます。
県下全域でひとしく在宅サービスが実施できるよう、平成元年度より緊急に整備を進めているところでございます。デイ・サービスについては、未整備の市町村も約半数程度ございますので、引き続き市町村と鋭意協議を行い、早急に整備を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、個人住宅の改造に係る相談窓口の設置についてでございます。
個人住宅の改造相談についても、今後、需要が予想されるところでもございますので、財団法人いきいき長寿社会センター内のシルバー一一○番に専門相談員を設置することとし、現在その人選について関係機関と協議を行っているところでございます。
次に、地域福祉の充実に関連しての高齢者保健福祉計画の策定についてでございます。
今般の老人福祉法等の改正に伴う高齢者保健福祉計画は、平成五年四月施行とされてございます。本県においてもできる限り早い時期に作成できるよう、市町村との協議を初め各種基礎資料の収集・分析等の準備を進めてまいりたいと考えてございます。
次に、地域福祉の充実に関連しての三層の福祉圏についてでございます。
小域福祉圏については、民生児童委員総務が中心となり、ボランティアの協力を得ながら個別的援助活動の推進に努める一方、社会福祉施設の社会資源活用を図り、地域との連携のもと、きめ細かいデイ・サービス等の整備を図っているところでございます。
基本福祉圏については、地域における福祉の中核的存在である市町村社会福祉協議会推進体制の強化のため法人化に努めてまいりましたところ、達成率は九二%となってございます。さらに、長寿社会に対応できる保健医療部門とのネットワークづくりなどのサービス調整チームを組織し、在宅福祉の推進を図っていくものでございます。
広域福祉圏としては、福祉事務所機能の活用と各種団体の活動を通じ、広域にわたる福祉ネットワークづくりや老人保健施設等の施策推進に努めているところでございます。今後、広域福祉圏のあり方としては、在宅福祉サービスと施設福祉サービスを一元的に実施する体制を整え、生活、健康、生きがいなどの施策を基本に、総合的なサービス体制を整備するシステムづくりが重要となるものと考えております。今後、関係機関を含め、定義づけ等を検討してまいりたい。なお、三層福祉圏の一層の推進により二十一世紀にふさわしい長寿福祉社会の実現を図ってまいる所存でございます。
次に、市町村ボランティア連絡協議会の設置状況でございます。
平成元年十月一日現在の設置率は三十四カ所、六八%となっており、目標を超えた実績となってございますが、今後、引き続き設置について指導してまいりたいと考えてございます。
最後に、総合福祉センターの建設でございます。
知事からもお答えしてございますが、高齢化社会が進行する中で活力とゆとりのある福祉社会を形成していくためには、公的福祉施策の充実はもとより、県民の参加、協力による幅広い民間社会福祉活動の振興が望まれます。そのための条件整備が重要な課題となっているところでございます。
このような状況から、県民がいつでも気軽に活用できるようなコミュニティー活動やボランティア活動を初め、高齢者や婦人、青年、少年等、福祉団体活動の拠点として、健康で明るい、生きがいのある福祉社会を構築するための総合的な役割を担う中核施設と考えてございます。なお具体的には、本年度中に基本構想を策定し、早期実現を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
44番中村千晴君。
○中村千晴君 懇ろな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。再質問をしたいわけでありますが、質問の窓口がかなり広過ぎて時間が大分超過しております。次の質問者の関係もあろうと思いますので、再質問はいたしません。
ただ一点だけ、行政の面で今後いろいろな情勢に対応した人的配置において、当局は十分現状に即した配慮を行っていただきたい。それだけ特にお願いしまして、質問を終わります。
以上です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村千晴君の質問が終了いたしました。