平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 六 号
 
 三月 十四日 (水曜日) 午前 十時 四分 開議
  午後 二時五十八分 散会
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議 事 日 程 第六号
  平成二年三月十四日(水曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第一号から議案第七十号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(二名)
 26 番  那 須 秀 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開会
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第一号から議案第七十号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第四号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 18番宇治田栄蔵君。
 〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、情報公開制度についてお尋ねをいたします。
 情報公開制度につきましては既に先輩議員が何度か質問しておられますが、本県ではいまだ情報公開条例は制定されておりません。そこで私は、ここに改めてその必要性を主張するものでございます。
 情報公開制度につきましては、昭和五十年代前半にはこれに関心を持つ人が少なかったわけであります。しかしながら、昭和五十四年五月、神奈川県が制度化に向けて検討を開始、同年九月、自由人権協会が情報公開法要綱を発表し、翌昭和五十五年三月、情報公開法を求める市民運動が発足すると情報公開はにわかに脚光を浴び、その後の主要な政治課題と言われるようになったわけでございます。先進的自治体は情報公開制度を「住民に信頼される開かれた行政を実現するための制度」と位置づけ、制度化を積極的に推進したのでございます。
 昭和五十七年三月には全国のトップを切って山形県金山町が金山町公文書公開条例を成立させ、小さな町の大きな実験として全国を驚かせました。さらに同年九月に神奈川県が情報公開の制度化に踏み切り、この傾向はその後も拡大し、東京都、大阪府を初めとする多くの自治体が情報公開の制度化を行ったわけでございます。
 平成元年四月一日現在では三十一都道府県、八十四市、二十三町村、十九特別区、すなわち合計百五十七の自治体で情報公開条例等が制定され、制度が運用されるに至っております。自治体における制度化の流れは今後もとどまることはないものと見られます。
 一方、国の方の情勢を見ますと、情報公開法の制定については第二次臨時行政調査会で審議がなされたり野党法案が提出されたりしておりますが、いまだ法律の成立は見ていないのであります。
 このように、自治体では国に先駆けて情報公開の制度化が進行しております。それはなぜでしょうか。これについては次のような理由が考えられるわけであります。
 第一に、首長のリーダーリップが発揮しやすいということ、第二に、地方自治の分野では各種の直接請求、住民監査請求、住民訴訟等の直接参政制度が多く設けられており、住民参加の制度的経験があること、第三に、国のように防衛、外交等公開になじまない情報が少ないこと、第四に、情報量、文書量が比較的少ないため情報管理や文書管理の整備が容易であり、情報公開制度にスムーズに移行できること、第五に、国に比べ官僚制が強固でなく、住民も身近な問題として地方自治行政に関心を有すること、などの理由が挙げられるわけでございます。
 それでは、なぜこのような情報公開が要求されるようになったのでしょうか。その時代的背景を申し述べたいと思います。
 それは、行政情報を公開しなかったために惨禍を招く事例、すなわち薬害、食品公害、産業公害などの問題が多く発生してきたからでございます。
 そこで、薬害の典型的な事例としてサリドマイド事件を御紹介したいと思います。
 合成された化学物質であるサリドマイドが、これを服用した母親の胎内にいた胎児に異常をもたらしました。これについては、西ドイツのレンツ博士が一九六一年十一月十八日にサリドマイドの危険性を警告していたため、西ドイツ、北欧諸国、イギリス等では直ちに薬の回収がなされました。
 レンツ警告は、同年十二月六日、我が国の製薬会社から厚生省に報告されています。しかしながら厚生省はレンツ警告についての情報を一般国民に公表せず、製薬会社に動物実験や文献収集をさせるだけで、サリドマイドの発売停止と回収措置をとらなかったのです。厚生省が回収を指示したのはレンツ警告から十カ月後の六二年九月であり、新聞がサリドマイドの危険性を報道したことがきっかけとなったのであります。
 レンツ警告があってから厚生省が回収を指示するまで十カ月の情報非公開の期間は重大な意味を持ちます。我が国で生まれたサリドマイド児の約四八%は、その母親が、レンツ警告後に、警告を知らずにサリドマイドを服用し胎児に影響したと推定されるからであります。もし、厚生省がレンツ警告を入手した直後にサリドマイドの危険性を国民に公表していたならば、妊婦はサリドマイドを服用せず、被害も最小限に食いとめられたはずであります。このようなサリドマイド事件が引き起こされたにもかかわらず、その後もクロロキン網膜症など同種の問題が起きてきているわけでございます。
 現在のように情報社会が発展し、また行政権限が拡大してまいりますと、必然的に行政機関に大量の情報が集まってまいります。この行政情報をひとり行政機関だけが使用するのでなく、広く国民、住民が使い得るものとして行政情報の自由な流通を図ることが国民の健康の保持や社会経済の発展に必要となるのであります。
 そこで次に、今まで述べてまいりました情報公開制度の意義、また「知る権利」という権利が最近言われておりますが、これらの関係について申し上げたいと思います。
 情報公開制度とは、住民からの請求に応じて行政機関等がその保有する情報を開示することを義務づける制度を申します。この制度は、簡単に言えば行政機関等の情報を住民に知らせるという制度でございますが、ただ単に知らせればよいということに力点があるのではなくて、住民からの請求に応じて情報を提供することを行政機関に義務づける、この「義務づける」というところに重点があるわけでございます。
 そして、情報公開制度は国民の知る権利を保障する制度であると言われております。「情報なくして参加なし」と言われるように、憲法が保障する国民主権の原理や国民の参政権を実質的に保障するためには、主権者たる国民が国政について十分に知ることが必要だからであります。
 ここで、知る権利とは、情報を管理している者がその情報の開示を拒否している場合に、その拒否を乗り越えて情報の開示を要求する権利と言うことができます。この知る権利は、「知る権利は保障する」というように憲法上の規定として保障されてはおりませんが、国民の基本的人権として憲法上保障された人権であると考えます。その根拠は、国民主権の原理や個人の尊重、生命、自由及び幸福追求の権利に求めることができます。すなわち、主権者たる国民は政治過程に積極的に参加し自主的に判断を行わなければなりませんが、自主的判断の前提として、多様な情報が自由に獲得できるのでなければなりません。多様な情報の中から国民はみずからの判断を形成し、検証することが可能となるのであります。
 主権者によって監督されるべき国家が、何が国民に知らせるべき情報であり、何が国民から秘匿されるべき情報であるかを決定する権限を持つはずがない。したがって国家は、その保持する情報を国民に対して原則的に開示する義務を負うのであり、逆に国民は、国家がその保持する情報を秘匿するのに対し、その開示を要求する権利があります。
 国家権能のうち、憲法は国会の会議の公開、裁判の公開を原則的に要求していますが、その要求は当然に行政にまで及ぶべきものでなければなりません。また、人間が人間らしく生き、人格を形成するためには多様な情報を獲得できる状況でなければならないからであります。
 このように、知る権利は憲法上保障された基本的人権でありますが抽象的権利であり、これによって直ちに訴訟上の権利救済が得られるような、具体的な権利が認められるものではありません。具体的権利の実現には、法律または条例の制定が必要とされるのであります。そこで、情報公開条例を制定し、情報公開制度を確立することが必要となるのでございます。
 このような情報公開制度の導入により、次のような効果が認められるわけでございます。
 住民の側から見ますと、今まで以上に行政機関等の仕事の内容や仕事ぶりを一人一人の住民の視点から知るチャンスを得ることができるということでありますから、行政が身近なものとなり、真の住民自治を育てる契機となり得るわけでありますし、行政への住民参加が実りあるものとすることができるようになるということでございます。行政の側にとりましても、ともすれば秘密主義に陥りがちな今までの行政のあり方に反省を加え、開かれた民主的な行政を目指して、行政体質を情報化時代にふさわしい効率的なものとすることができるという効果が見られます。
 また、県が行政に関する情報を住民に積極的に公開し、住民の行政への参加を促進して行政をより住民の身近なものにする努力をすることにより県民の県政に対する理解を深め、県民と県との信頼関係をより一層増進することができるということでございます。
 以上述べてまいりましたように、県民の行政参加の促進、民主的で開かれた行政の確立、県民と県との信頼関係のより一層の充実のために情報公開条例の制定が必要であると考えるわけでございます。知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、情報の公開ということと関連いたしまして、公務員の守秘義務についてお伺いしたいと思います。
 過日の委員会審議におきまして、「この点については公務員の守秘義務の範囲内であるので答弁は差し控えさせていただきたい」という答弁がございました。また、行政上の事務について「行政の秘密に属することなので申し上げられません」というような答えはよく聞かれるところであります。しかしながら、私たちにとりましては、なぜ秘密にする必要があるのかという疑問を生じることがしばしばあるわけでございます。
 県の事務は、県民の信託を受けて、その監視と批判のもとに執行されることが民主主義国家における基本原則であり、したがって行政はできる限り公開され、いわゆるガラス張りの中で行われるべきもので、行政が秘密裏に執行されることは極力避けなければならないのであります。
 地方公務員法第三十四条には、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と規定されております。しかし、ここで「秘密」とはどういう意味を言うのでしょうか。
 秘密には、形式秘すなわち行政官庁が秘密にすべき必要があると判断し、指定権者を通じて秘密と指定したものと、実質秘すなわちその事実、内容を秘匿することが客観的に見て相当の利益があるものとがあります。ここに秘密とは実質秘を言うものと解釈しなければならないのでございます。
 判例を見ましても、「行政機関が、ある事項について形式的に秘扱いの指定をしただけでは足りず、ここに『秘密』とは非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものを言う」と判示してございます。
 そこで、総務部長にお尋ねをいたします。
 地方公務員法三十四条の秘密とは形式秘を言うのか、実質秘を言うのか、そして、後者であるとするなら実質秘の判定はいかなる基準をもってしているのか、また具体的処理についてはどのように取り扱っているかをお示しいただきたいと思います。
 また、情報公開条例が制定されていない本県におきましては、秘密の範囲をより限定的に解し、開かれた行政の確立に努めるべきだと考えますが、県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、和歌の浦の観光についてお伺いいたします。
 和歌の浦は万葉の時代から歌人に愛された名勝の地であり、今なお天然の海岸美を長く残し、海水の美しさは県内外に誇れるものがあります。観光地百選・海岸美全国第一位に選ばれ、観光地として隆盛を誇ったものであります。しかし、今の和歌の浦の現況はどうでありましょうか。
 最盛期には二十五軒あった旅館が、現在では十五軒に減少しているのでございます。特に、昨年、昭和天皇が和歌山に行幸された折にお泊まりになられたしにせの旅館が閉館し、ことしまた四月には和歌の浦で最大収容力を誇った旅館がその営業をやめるわけでございます。このように、和歌浦の旅館の経営は大変な危機に瀕しているわけであります。
 また、和歌浦における料飲税の納税額を見ましても、昭和五十七年には約二億五千九百万円、同六十年、約二億三千百万円、同六十三年、約二億一千三百万円というように年々減少しているわけであります。この間の国民一人当たりのレジャーの支出、また物価の上昇などを加味いたしますと、数字以上の落ち込みであることが推測されるわけでございます。
 このように和歌の浦が衰退してきた原因を考えますと、いろいろな要素がございます。そこで、その原因を例示してみたいと思います。
 まず第一に交通網、すなわち鉄道網、道路網、駐車場等の交通基盤の整備がおくれたということが挙げられます。南海電鉄の和歌の浦への乗り入れも、その実現は非常に困難な状況にあります。また、観光バスが交差できない道路事情の悪さもいまだに解消されておりません。第二に、観光宿泊客以外の大きな収入源であった結婚式、パーティー、各種団体の会合などの客が市の中心部にできたホテルなどに奪われたことが挙げられます。第三には自助努力の不足も挙げられましょう。しかし一番大きな原因は、観光客のニーズの変化に対応した魅力ある観光地づくりができなかったということにあると思われます。
 従来の観光形態は団体客の周遊観光が中心でありましたが、これからは若者やファミリー客、少人数の旅行などの個性化された観光が増加傾向にあり、これに対応して個性を明確にした施設の整備充実を図ることが必要であると思われます。
 若者向きであれば体育館、テニスコート等のスポーツ施設の整備が、老人向きであればゲートボール場の整備や温泉の提供が、ファミリー客向きには、ディズニーランドのような遊園地、パンダやコアラのいるような動物園などの施設を整備すること、またグルメの女性観光客が満足できる個性ある飲食、宿泊サービスを提供する体制を整備することも一考に値いたします。また、観光の動機づけを行うため、地域の特色あるイベントの開催を図ることも必要でしょう。例えば花火大会を開催するとか、花見ができるように桜の植樹をするとか、コスモスの公園をつくるなどのことも考えられます。
 和歌の浦は観光地百選・海岸美全国第一位になった景観を有する地でありますから、海を利用した観光地として再生を図ることも一案と思われます。例えば、琵琶湖で成功しているミシガンのような観光船を航行させるとか、和歌浦湾を周回する観光潜水艦を航行させるとか、須磨海岸のように海釣り公園をつくることなどが考えられます。
 官民一体となってこのような施設整備をなし、和歌浦を魅力ある観光地として再生させることが必要であると考えますが、県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
 和歌の浦に近接してマリーナシティの建設が、今、進行しております。マリーナシティは和歌浦湾を国際的な海洋レクリエーション基地と位置づけている県長期総合計画にのっとって企画されたものであり、リゾートの時代を迎え、和歌山県発展のためのビッグプロジェクトとして県民の期待するところ大なるものがあります。マリーナシティ建設により観光客の大幅増が見込まれ、観光和歌山の核となることが期待されます。このときに当たり、隣接観光地としての和歌の浦にどのような影響があるか考えておくことが必要であります。
 マリーナシティの建設によって観光客が増加し、パイが大きくなることによって和歌の浦も潤うことになり、これとともに発展する期待もありますが、反対にマリーナシティに客をとられてしまい、ますます衰退するかもしれないという危険もあるわけであります。だれもが前者であることを望むものであります。
 そこで、和歌の浦の観光旅館とマリーナシティが共存できる施策を今から考えておく必要があると考えますが、県当局のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、企業立地とその対応についてお伺いいたします。
 企業誘致については、本県が東京や大阪において企業立地説明会を初めて開催した三年前には、本県への誘致を説明しても和歌山県と奈良県の位置関係を取り違えられたり、交通の不便な場所、山と海だけのところといったイメージで企業立地の有力な候補地という回答が得られなかったと聞いております。しかし、関西国際空港の開港を平成五年に控え、また阪和間の交通網の整備という交通アクセスの進展、さらには好景気の持続という経済環境の好転のもと、毎年開催されている企業立地説明会や全国の企業に本県立地を呼びかける企業立地意向調査の実施、さらには各金融機関や各経済団体等への本県誘致施策の浸透等、県の誘致努力が実り和歌山県への企業進出が増加していることは本県経済活性化にとってまことに喜ばしい限りであり、県当局の努力に対し敬意を表するものであります。
 さて、昭和五十七年に企業立地対策室が設置されて以来、現在まで四十一企業の誘致実績と約千人の雇用増加を生み出しております。このような企業進出により、現在、県段階の企業用地については、今月六日に進出協定の行われた吉備工業団地をもって紀北ではすべて分譲済みとなり、また西牟婁郡上富田町で造成中の上富田企業団地についてもほとんど分譲内定していると聞いております。
 さらに本県への進出意向を持つ企業が増加しつつある中で、この千載一隅のチャンスを逃してはなりません。これらの企業を本県へ一つでも多く誘致しなければならないと考えるものでありますが、そのためには緊急の課題として用地の確保が必要でございます。当局はどのように対応しようとしているのか、商工労働部長にお伺いをいたします。
 次に、地場産業の育成についてお尋ねをいたします。
 地場産業の育成については現在まで種々の施策を展開されているところでありますが、今日における本県活性化のためには、企業誘致はもちろんのこと、機械、化学、繊維、皮革、木材等の地場産業のより一層の活性化が必要不可欠であります。そのためには、地場産業の集団化、協業化を促進し、生産体制の強化等を図るため適正な用地を確保・提供することが必要であると考えます。
 そこで、まずお尋ねいたします。
 本年より雑賀崎地区の一部を埋め立てて機械工業団地を建設することはまことに時宜を得たものと考えますが、この建設について、規模、完成時期を含めて全体計画はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、和歌山県の地場産業の主要なものである化学、繊維関係の企業についても、より協業化、工業団地化を進める努力をお願いしたいわけでございます。
 特にこれらの企業は、和歌山市周辺において、ほとんどが住宅地に近接しており、工場拡張等の計画を行うにしても現地開発は不可能な状態にありまして、現にある化学会社では用地確保が困難であるために和歌山県から出ていって他府県へ工場を建設したというような例もあるわけでございます。
 せっかく県内に育ったこれらの企業を今後も発展させるために、また県内に存続させるためには緊急に工業用地の確保、団地化の施策が必要であります。このような点について県当局はどのように取り組んでおられるのか、その見解をお伺いいたしたいと思います。
 以上、三点について質問を申し上げました。当局の答弁をお願いする次第でございます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 宇治田議員にお答え申し上げます。
 情報公開制度の制定についてでございます。
 宇治田議員から情報公開についての必要性の問題、国民の知る権利の問題、また効果の問題等について御意見を承ったわけでございますけれども、私も開かれた県政を推進する上においてなお一層努力すべきであると感じておりまして、これまでも庁内に情報公開調査研究会を設置し、情報公開に関する基本的な事項について調査研究に取り組んできたところでございます。また昨年の十一月に、制度化を推進するために、全庁的な体制として情報公開推進委員会を設置してまいったところでございます。
 情報公開の制度化に当たってまず第一に、基本方針の策定の問題、また文書管理の改善、充実等の基本的な前提条件を計画的に整備していくということが必要でございます。
 現在、情報公開制度に向けて積極的に取り組んでおりまして、その過程において条例制定ということを進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、和歌の浦の観光開発については後ほど部長から答弁いたしますけれども、お話ございましたように、私もその低迷状況について非常に関心を持っておりまして、是が非でも和歌の浦を魅力ある地域にしなければならないと考えております。
 片男波海水浴場の問題、和歌公園の問題、また雑賀崎から田の浦へ通ずる道の問題、そしてまた魚釣り公園の問題等々についても検討を進めているところでございます。
 企業誘致についても部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 地方公務員法第三十四条第一項では、職員が職務上知り得た秘密について、在職中はもちろん、退職後においても漏らしてはならないと規定されているところでございます。
 ここで秘密に当たる事項としましては、行政実例では、一般に知らされていない事実であって、それを一般に知らせることが一定の利害の侵害になると客観的に考えられるものとされているところでございます。
 行政上、秘密扱いが必要と考える例を具体的に申しますと、一つには、地方税法や統計法等で見られるような法律上の特別の規定によるもの、二番目に、生活保護の決定調書などのようにプライバシー保護のためのもの、三番目に、入札予定価格や入学試験の問題等に見られるような公益的観点から秘密を要する事項などが挙げられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、地方公務員法第三十四条の守秘義務を念頭に置きながら、一方では行政情報の原則公開という開かれた行政を推進するとの観点に立ち、個別具体的なケースごとに対処していく必要があると考えておるところでございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、和歌の浦の観光についてでございます。
 和歌の浦の旅館街につきましては、近年、低迷傾向にあり、憂慮いたしているところでございます。地元の旅館組合においてもこういった状況に対処するため、温泉の試掘、桜の苗木の植樹、モニュメントの設置などを行うこととしており、県としても助成するなど、和歌山市とともに協力しているところでございます。
 今後、交通基盤の整備により京阪神及び外国からの観光客の増加が期待でき、海浜リゾートとして各種施設の整備や和歌の浦の歴史的な観光資源の整備を図っていくことが必要だと考えております。
 ちなみに、最近、片男波海水浴場の開設により、観光客の増加もやや見受けられるところでございます。
 また、雑賀崎、田の浦漁港の整備とその一環としての連絡道路が新設されますが、その中で美観を考慮した橋梁や田の浦海水浴場、駐車場の設置等について、関係部局等も観光面に十分配慮した事業執行を行っているところでございます。
 議員御提言も含め、地元の観光関係者や和歌山市、また庁内関係各課室で組織している観光振興推進会議の場などを通じて調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、マリーナシティとの共存共栄の関係でございます。
 マリーナシティにつきましては、全国で初めての人工島による海洋性レクリエーション基地であり、このマリーナシティと新和歌浦とはわずか三・五キロの海上直線距離にあります。したがいまして、こうした至近距離にある和歌浦に一体化している両地域がそれぞれ特色を出し合い、共存共栄を図りつつマリーナシティに滞在する観光客の和歌の浦への誘致を図ることが必要であると考えてございます。
 特に、漁協とタイアップした新鮮な魚料理、心温まるサービス、桜祭りなどのイベントの積み重ねが大切であり、関係部局とも協議してまいりたいと考えております。
 以上の事柄につきましては、機会あるごとに和歌の浦観光協会、観光旅館組合の皆さんとも話し合い、検討しているところでもございます。
 次に、企業立地でございます。
 企業誘致につきましては、県の重要施策として推進しているところでありますが、お話のとおり、好景気の持続や交通アクセスの進展等、企業立地条件の向上と企業誘致施策の浸透により本県への立地希望を持つ企業が急速に増加しつつある中で、用地確保が重要かつ緊急な課題となっております。
 この対応として具体化しておりますものは、桃山町において企業局を事業主体とする桃山第二工業用地、打田町において県土地開発公社を事業主体とする北勢田工業団地が、いずれも平成二年度から造成に着工される予定でございます。
 また、市町村を事業主体とする企業用地につきましても、連絡を密にしながら、その事業化を強力に指導しているところでございます。
 しかし、最近の地価高騰により用地確保はますます困難となっておりますが、今後とも企業局、県土地開発公社等、県関係機関や各市町村と協力しながらこの課題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、地場産業の育成でございます。
 昭和六十年八月に策定した和歌山下津港港湾計画に基づいて雑賀崎地先の港湾施設の整備を図るとともに、その背後地に都市再開発用地を造成し、和歌山市内で操業中の機械金属製品製造業を集団で移転させ、地場産業の活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
 今回の計画は、埠頭用地として六ヘクタール、都市再開発用地として二十九ヘクタール、緑地として四ヘクタール、合計三十九ヘクタールを整備するもので、平成二年度から工事に着手し、平成七年度完成予定でございます。
 今後、商工労働部といたしましては、関係部局と一層の連携を図りつつ、周辺環境と調和した理想的な工場団地の建設を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、その他の地場産業用の工業用地の確保でございます。
 地域経済の担い手として大きな期待をかけられている地場産業の多くは主に和歌山市内に集積をしておりますが、工場敷地の狭隘化という問題に直面し、新たな設備投資が著しく制約されている状況でございます。このため、業界ぐるみの工業用地の確保と各分野にわたる共同化、協業化を図ることは産業の活性化を図る上で重要であると考えてございますので、今後、関係機関ともども十分連携をとりながら、工業団地の確保に向けて鋭意努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 開かれた行政に対する理解ある知事の答弁をいただきまして、まことに心強い感じがいたします。今後は、条例制定に向け、より一層積極的に取り組んでいただくことを要望いたしておきます。
 次に、総務部長の答弁について再質問させていただきたいと思います。
 部長の答弁を聞いておりますと、先ほど例を挙げた厚生省における秘密主義というものを私は感じたわけでございます。答弁の中では原則公開だということをおっしゃっていたのですが、何かそこのニュアンスの中には「原則秘密主義」というふうな感じを受けたわけでございます。ですから、もっと開かれた行政のためにも明確な基準、そしてより開かれた行政の実現のためにも、秘密主義、守秘義務というものをもっと限定されたような形でまず運用していくということが大事であると思います。その辺のところについてもう少し突っ込んだ御答弁をいただきたい、これをお願いいたします。
 次に和歌浦につきましては、答弁をお願いしたのは商工労働部長であったのでございますが、あえて知事も御発言いただきましたこと、知事の関心の深さというものについて敬意を表します。行政当局におかれても、和歌浦の現在の落ち込み状況について憂慮され、また取り組んでおられることがよくわかったわけでございます。
 今まで自助努力の不足ということもございますが、最近になってワカメ料理の提供、そしてこの四月から雑賀崎漁港とれとれシャコエビ祭りという企画もしております。そしてまた、温泉の試掘に乗り出そうというふうな自助努力もしているわけでございます。そういう中で、自助努力ということは大切なのでありますけれども、民間だけの力──特に中小企業でありますと、やはり力の限界があるわけでございます。行政、特に県、市の強力なバックアップを要請いたしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 先ほどは地方公務員の守秘義務の範囲について申し上げたわけでございますが、御指摘をまつまでもなく県行政は県民参加のもとの開かれた県政であるというのは、知事の答弁にもありましたように基本原則でございます。したがいまして、地方公務員法の行政上の秘密保持という問題があるわけでございますけれども、結局のところ、民主主義に基づく行政公開という一般原則と、社会公共の一定の範囲で利益を保護する、すなわち秘密を保護するという公共の福祉とその要請との調和、調整の問題であると思います。
 御指摘のように県政全体を開かれた県政として前進させるために、この趣旨を踏まえながら、情報公開の制度化の実施過程において各部局とも十分相談し、県民の知る権利についてできる限り実質的な体系ができ上がるよう努力してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 18番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 総務部長の若干進んだ答弁をいただいたわけでございますが、ただいまの答弁のように開かれた行政をより推進されることを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森本明雄君。
 〔森本明雄君、登壇〕(拍手)
○森本明雄君 順次、質問を進めてまいります。
 最初に、関西国際空港についてであります。
 運輸省は、関西国際空港開港時における関西圏の航空需要を国内外合わせて年間二千五百万人と予測し、関空でその需要は賄えないため開港時点での大阪空港の廃止は不可能と判断、したがって大阪空港は当分の間存続と方針を固めたことが報道されました。この運輸省の方針に対して、知事の所信をまずお伺いいたしたいと思います。
 運輸省では、航空需要予測、存廃による経済効果などの調査を昭和五十九年度から実施しており、五月には大阪空港の存廃調査の総合評価結果を公表、その後、遅くとも来年三月までには最終決定が示されるようであります。
 運輸省が五百キロ以内の国内便近距離路線空港として当分の間大阪空港存続の方針を固めたことは、最終決定ではないにしろ、大阪空港廃止を求めて運動を進めてきた和歌山県にとって、その運動のあり方について根本的に変更を余儀なくされ、今後はより厳しい対処を求められていると思うのであります。
 それにしても大阪空港は当分の間存続とは、期間を明示せず、極めてあいまいな表現であります。これを認めますと、存続方針の大阪府を初めとする大阪空港周辺自治体や民間団体の流れはさらに強さを増し、当初から大阪空港存続を考えている運輸省の意図とするところとなってしまいます。そして、大阪空港は国内便近距離路線の基幹空港として永久に存続となります。また運輸省は、大阪空港存廃決定のスケジュールを固めました。このことにより、和歌山県として今後数カ月が廃止への正念場となりました。
 運輸省の大阪空港存廃の見通し把握、廃止への具体的取り組みとそのスケジュールについてお伺いをいたします。
 収支採算性の前提になる航空需要でありますが、運輸省の予測では、関空開港時における関西圏での航空需要は国内旅客二千五百万人、国際旅客九百万人でありました。私は、国際旅客はまだ可能性があるものの、国内旅客二千五百万人は、国内景気の動向、新幹線時間短縮計画、長期的な航空輸送伸び率の逓減など勘案すると、関空開港による潜在需要が顕在しても下方修正せざるを得ないことを申し上げましたが、このたびの報道による需要予測は、関空は国際旅客を中心に一千二百万人、大阪空港は国内旅客一千三百万人、国内外合わせて二千五百万人であり、九百万人の見込み違いが生じております。この大幅な下方修正は、結果として空港利用率を低下させ、収支採算性を一層悪化させる要因となります。
 関空開港時点における運輸省の航空需要予測をどう判断していたのか、お伺いをいたします。
 運輸省が示す平成五年度の国内外輸送需要を想定する手法の変更数値が明確でないので国内外の比率はわかりませんが、関空開港時点での一千二百万人は、国際旅客、国内長距離旅客を除いた後、運輸省の示す数値で計算した場合、国内近距離路線の入り込む余地は余りありません。これでは国内便数が少なく、不評の第二成田空港になりかねないと思うのであります。
 また、長距離路線は重量の関係で騒音の被害が大きいこと、アクセスがもたらす需要への影響度が少ないこと、そういった観点から短距離路線は大阪空港、長距離路線は関空と路線選びがされる可能性を申し上げてまいりましたが、立地条件のみに配慮する路線選びは極めて公平を欠くものであります。
 日本の国内外線の基幹空港として、またアジア、さらに世界の本拠として完全空港の必要性に迫られている立場での観点に配慮すべきであると思うのでありますが、見解をお伺いいたします。
 関空は空港能力に対して投資が過大で非償却資産の総事業費に占める比率が高いことなどから、開港時年間発着十万回、国際旅客九百万人、国際旅客一千百万人は収支採算性の最低基準であったと思います。それが国内外合わせて一千二百万人ではますます採算性の悪い空港となり、単独黒字は開業後五年、配当開始は九年後という約束は大幅おくれとなり、実行不可能となるおそれもあります。
 収支採算性の最低基準を割り、採算性悪化の傾向に落ち込む可能性の見通しは、収支採算性を優先する国の全体構想実現への判断に大きな影響を与えるものと思うのでありますが、見解とその見通しについてお伺いいたします。
 運輸省は、関空開港時、関西圏での航空需要を新空港だけでは賄えないとの判断であります。時間制限が厳しく、欠陥空港の大阪空港ですら年間発着数約十三万回、国内外旅客合わせて約二千二百万人を受け入れているのであります。
 空港の能力は、滑走路の受け入れ能力とターミナルの受け入れ能力とが関係して、そのいずれか小さい方に制約されますが、開港時点における関空能力を把握されているのか、お伺いいたします。
 報道によりますと、関空会社は関空の埋立事業について、地盤沈下が当初の見通しより〇・八メートルも大幅に達している、最終的には予測を数メートル上回る見込みであることを明らかにしておりますが、運輸省では、諸般のボーリング、土質調査の結果を踏まえ比較的均一な土質と判断し、開港後の残留沈下を十年後までに〇・六メートル、二十年ないし三十年後においては一メートル程度と予測していたようであります。しかしながら、全体的な沈下予測については指摘もあり、懸念もされていたようであります。例えば、ポートアイランドは埋立工事完了後九年間で約三メーター、最終的には四メーター、六甲アイランドは十年間で約四メーターの沈下であります。
 もちろん、地盤や堆積物の違い、工法の違いによって一概には言えませんが、平成五年の開港時は地盤沈下の激しい時期に当たるのではないかと思いますが、どのように判断されているのか、お伺いいたします。
 なお、あわせて予測を超えた地盤沈下、それによる開港時期への影響、さらに不同沈下の予測について、空港会社の株主・和歌山県として確かな情報に基づく報告をお伺いいたします。
 次に、交通安全対策と救急医療体制の充実についてであります。
 昨年十一月、急増する交通死亡事故に政府の交通対策本部は初の非常事態宣言を出しました。改めて交通ルール、マナーを守るという交通安全教育の原点が強調され、特に効果的な若い世代からの安全教育の重要性が指摘されています。
 高校では三ない運動が徹底されていますが、法律では十六歳から免許が取れるのに学校が卒業まで免許を預かったり、隠れて免許を取った生徒を処罰する学校もあるようであります。教育するというよりも、むしろ禁止することに重点が置かれているようであります。
 これまで三ない運動については、問題を先送りしているだけだという批判がありましたが、最近、これを見直そうという動きが出てまいりました。
 昨年、政府の交通対策本部は、二輪車の事故防止に関する総合対策を決めました。その中で学校における交通安全教育の充実が打ち出されており、いわゆる三ない運動を行っている学校においても地域の実情に応じて、規制のあり方を含め、事故防止のための総合的な方策を検討することにより交通安全教育、指導の積極的な推進を図るとしています。
 また、文部省が示した新学習指導要領の保健体育の中にも、初めて交通安全という項目が入りました。文部省は、三ない運動一本やりの学校に方針の変更を促し始めたと言えます。そして、三ない運動は地域における現実的な対応の一つとしながらも、高校においてはこのような措置だけをもって交通安全対策とすることなしに、二輪車や自動車の特性、交通法規、交通事故の防止対策などの交通安全教育の徹底を図ることを求めているようであります。
 三ない運動が広がった原因は、事故の責任を親が学校に転嫁しようとしたことにあると言われています。法律に基づいて免許は与えられるのでありますから、事故の責任は本人にあるのが当然であります。しかし高校生は未成年でもあり、本来は家庭教育の中で、親と子の話し合いを通して免許を取るかどうかは決められるべきものであります。生徒にしても、高校に行っていない同年代の少年は自由に免許が取れるので、禁止の理由が理解できていません。車に乗って事故を起こすくらいなら、乗せて運転適性検査を伴った個別安全指導を行うなど、若い世代からの実際に即した安全教育が効果的であると思うのであります。
 今後の交通安全教育のあり方、三ない運動の見直しについて教育長にお伺いします。また警察本部長に、三ない運動のあり方と見直しについての見解をお伺いいたします。
 我が国で救急体制の基盤ができてから四半世紀が経過いたしました。日本の救急医療のシステムは、施設整備など量の面では世界の先進国と言われながら、とかく質の面では立ちおくれていると指摘されています。
 救急医療の目的は、言うまでもなく迅速に治療を施し、患者の生命を救うことにあります。しかし、欧米に比べて日本では通報から治療開始までの時間がかかり過ぎます。そのため、助かる命がみすみす失われることも少なくありません。
 その一つの要因は、医療機関に運ぶまでの医療の不備にあります。欧米では、医師と救急隊が同乗した救急車が現場に急行するというシステムが一般化しています。しかし我が国では、医師確保の面で困難もあり、ごく一部の自治体で実施されているだけであります。
 生命尊重の立場から、医師会や関係団体の協力を得て医師と救急隊が同乗した救急車の実現を図っていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 我が国では、救急隊員は医師法の規定により、災害や交通事故など救急現場においてほとんど医療行為はできません。わずかに緊急やむを得ないこととして、毛布での保温や酸素吸入、包帯を巻くなどの応急措置が認められているにすぎません。しかし、一刻を争う状況下で搬送中に死亡するケースも見られる中、救急医療機関に運ぶまでの医療の重要性が叫ばれるゆえんであります。
 例えば、英国では救急隊員が緊急医療行為を行うことが法的に認められています。米国の場合も同様に、特別救急医療士制度により医療行為が許された救急隊員が活躍しています。
 我が国においても救急隊員に何らかの教育と資格を付与して医療行為を認める方向を探るべきであり、国に対し実現を要望すべきであると思いますが、所見をお伺いいたします。
 昨年、交通事故死者が二年連続一万人を突破した日本でありますが、反対に交通事故死者数が最低を記録したのが西ドイツであります。
 交通事故数が史上最高の西独で、なぜこの奇跡が起きたのだろうか。それを紹介したテレビ番組によりますと、官民共同で事故のデータをコンピューターで分析し、なぜ死ぬのか、それを防ぐにはどうすればよいのかを研究し、それを徹底的に具体化したということであります。例えば、衝撃吸収構造の車を開発する、また全座席でシートベルトを締めることを義務づけ、それをせずに事故に遭ったときは保険金が大幅減額される制度、あるいは全運転者に応急手当てのマスター、救急セットの装置を義務づけるなど、次々に実施をいたしました。さらに、通報から十六分以内に医師が事故現場に到着するといったように救急医療体制の完備までやってのけております。救急車での医療行為さえ許されていない日本と大きな違いであります。この徹底した作戦で交通死者激減の奇跡が起きたわけであります。
 生命尊重などの言葉だけがあふれる日本の社会と徹底した実践と実現していく西独の違いを見せつけられましたが、問題点や課題を探し出し、そこまでやらなくてもというほど、それを一つずつ徹底してつぶしていく、やる以上は徹底してやり抜くことであります。それが奇跡的な結果を生むことをこの事実は教えてくれましたが、所感をお伺いいたします。
 今後、徹底した交通安全対策の取り組みといたしまして、交通安全思想の周知・啓蒙を図ること、原付免許にも実技検定を、交通安全教育、施設充実に特定財源の確保を、交通安全施設を実情に見合ったものに強化、乗用車の安全性向上をなど、ハード面、ソフト面の両面を充実させていかなければならないと思いますが、対応についてお伺いいたします。
 次に、国連麻薬乱用撲滅の十年についてであります。
 麻薬問題への国際社会の取り組み方を討議するため、去る二月二十日から国連本部で開かれていた初の国連麻薬特別総会は、最終日の二十三日、一九九一年から二〇〇〇年までの十年を「国連麻薬乱用撲滅の十年」とすることを宣言し、世界行動計画を採択いたしました。
 これまで供給国への批判が集中しがちだった国際世論が、需要国側への責任も明確にし、ともに協力を訴えたのが特徴でありました。こうした情勢を判断したとき、麻薬乱用撲滅へ行政の精力的な行動が迫られていると思うのでありますが、今後の取り組みについて知事にお伺いをいたします。
 麻薬問題は、今や環境問題と並ぶ地球規模の問題であると言われていますが、特に米国では深刻で、七千万人以上が少なくとも一度は麻薬を使った経験を持つと言われております。
 一方、日本人も、有名俳優がハワイで所持していた麻薬を発見され逮捕、また横浜市内の倉庫で見つかったコカインは二十四キロ、さらに大阪空港に台湾から到着した輸入マグロ入り段ボール箱の中に覚せい剤六十六キロ、こうした事件があったばかりでありますが、日本では米国ほど深刻ではないにしろ、大麻や覚せい剤のほか、コカインの密輸入が数年前から急増しており、暴力団や一部芸能人だけでなく学生やサラリーマン層にも広がる気配のあることが憂慮され、今は第二期覚せい剤乱用時代とも言われているのであります。
 麻薬は、人の心身をむしばみ、家庭、社会、国家を滅ぼす「魔薬」であります。しかも、一たび麻薬になじんだ人がそこから立ち直ることは至難なことであります。麻薬が唯一破らない法は需要供給の法則であると言われていますが、麻薬を欲する人がいる限り、その生産、販売はなくなりません。
 経済大国日本が世界の麻薬組織からねらわれている、そんな危惧が本当だとしたら大変なことであります。本腰を入れた麻薬、覚せい剤などの対策が緊要だと思うのでありますが、取り締まり状況の実態、今後の対策についてお伺いいたします。
 麻薬や覚せい剤に手を染めるきっかけは人それぞれだと思いますが、総じて言えることは、現実からの逃避を求める心がそこにあるということだと思います。薬の力をかりて一時でも苦痛や空虚さを忘れ、心の安らぎや充足を得たいとする願望であります。より根本的には、現代人が薬物にかりそめの充足を求める精神の脆弱さを脱し、たくましく生きる自律と自立の力を養うほかはないと思います。そのために、学校教育、社会教育、さらには再起を促す中で、いかに正しい人生観を確立し、生きる意欲を涌現させるか極めて重要でございますが、取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、健康和歌山についてであります。
 今月三日、健康文化をつくるシンポジウムが和歌山市民会館で行われ、健康、文化について数々の提言があったと聞きました。私は参加していませんので講演内容についてはわかりませんが、私なりの考え方を若干申し上げておきたいと思います。
 これまで医学においては、健康問題はすべて医学、医者に任せるべきだとされていましたが、専門医のところに行けば何もかも解決できるわけではございません。中川米造先生の言をかりるならば、これが意味しているのは、健康であるために、また病気を治すためには環境、ライフスタイルの方が大事である、しかもライフスタイルは環境の関数として出てくるということでございます。
 また、米国の厚生省が「健康な国民」と題するパンフレットを出しましたが、それによりますと、主な病気について、それが起こるのは不健康なライフスタイルによるものが五〇%、不健康な環境によるものが二〇%、体の中だけの理由によって起こるものが二〇%、不適切な医療によるものが一〇%となっています。この数字にどれほどの意味があるのかは別といたしまして、健康維持には環境とライフスタイルが関係しているとする意識が一般化してきているのは事実であります。
 また、病にはその人の生命の傾向性、宿命といったところに起因するものもありますが、現在さまざまな身の病、心の病に苦しみ悩んでいる方は、その病気に負けない強い心で挑戦しなくてはならないと思います。
 身の病を機縁にして心の病をもいやしていくこともできます。心の病との闘いの中で人間として大きくなっていくこともできます。大切なことは、病気を不幸への出発点とするか、より大いなる幸せの軌道へのスタートとするかであります。
 こうして考えてまいりますと、これまでの活動のあり方を抜本的に見直し、健康づくりの発想を転換し、環境や社会のあり方、人間関係やそれを取り巻く文化など、より広い視野からとらえ直すことこそ時宜にかなったものと考えるのであります。
 この際、健康文化県の提唱にぜひとも取り組んではと考えるのでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 健康を損なった場合に、必要かつ十分な治療を受けられる体制の確立とあわせ、従来の疾病治療を中心とした医療制度から保健、医療、福祉を有機的に結合させた健康の維持増進、疾病予防を目的とした健康医療システムの確立が必要であります。そのため、市町村を単位とした保健所を核に、医療、福祉、スポーツ、レクリエーション施設を連携した地域健康づくりネットワークを作成し、このネットワークを軸に地域に根づいた日常的な健康づくり事業の推進、あるいは県民全員が生涯にわたって定期的健康診断を受け、健康手帳制度に記録する生涯健康管理システムの採用、さらには市町村役場と健康診断をしている医療機関にコンピューターの端末装置を設置し、センターのコンピューターと結んで住民の各種健診データを蓄積、集中管理した上で活用する仕組みで県民一人一人の健康管理を行う地域住民健康支援システムの採用でありますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、紀の川護岸工事の影響による被害対策であります。
 報道により既に御承知と思いますが、建設省が進めている紀の川護岸工事の影響で生活用井戸や農業用井戸の水がかれて、和歌山市小豆島中州地区の住民が大変な迷惑をこうむっています。住民の大半が農家で占めている中州地区は、水質のよさ、水量が豊富なことから現在でも農業用水から生活用水に至るまで地下水を利用しています。
 護岸工事が進む中で、矢板を地下深く打ち込む工事と同時期から、地下水脈が断たれたのか、井戸の水位が急に下がり始め、使用できなくなってしまいました。建設省和歌山工事事務所では、事態に対処するため護岸工事を一時中断し、生活用水の井戸を優先して掘って急場をしのぎましたが、長期に工事の中断を行うと工期に間に合わないとの判断で農業用井戸と護岸工事を同時進行しています。しかしながら、農業用井戸の工事が農家の希望どおり進まないことから不満の声が強くなっています。農家にとって農業用水は命の水であります。すべてに優先して用水確保のための工事を進めるべきであります。
 建設省所管の工事でありますが、被害者は県民でもございます。農業用水確保のための工事やその他の問題も含め、遅滞なき対応を進めるようお願いを申し上げたいのであります。
 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの森本明雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森本議員にお答え申し上げます。
 第一点の問題、大阪空港存廃についての運輸省の方針の問題でございます。
 現在、国において存廃調査の取りまとめを行っており、その結果を関係自治体、関係住民に提示し、意見を聞いた上で決定されるものでございますが、なお現在、国において調査の取りまとめを行っておる段階であり、存廃についての結論は出されていない状況でございます。
 この問題は環境問題の根本でもありまして、鈴木議員にもお答え申し上げたとおり、国と関係自治体、関係住民との間で結論を出すべきだと認識しており、私も私なりに運輸省に主張してまいったところでございます。
 次に、関西空港における国内便の大幅確保の問題についてでございます。
 関西国際空港は、国において、我が国の国際線、国内線両用の基幹空港との位置づけがなされてございます。また私は、国内便の路線については、あくまでも東京を初めとする全国の主要都市と結ぶべきだと考えております。そのため、関西国際空港に国内便を大幅に確保するよう県選出の国会議員──特に県選出の国会議員の皆さんは各界において要職にございますので格段の御努力をいただき、また県会議員の御努力により、一丸となってこの運動をなお一層積極的に推進してまいりたいと存じております。
 次に、麻薬、覚せい剤等乱用撲滅への取り組みでございます。
 この問題については、話ございましたように国際的な広がりを見せており、また我が国においても乱用が大きな社会問題となっております。本県におきましても、薬物乱用対策推進本部を中心として警察に積極的な強力な取り締まりを行っていただくとともに、また関係機関や団体、乱用防止推進員の方々等の協力を得ながら乱用による弊害や恐ろしさを県民に周知徹底するための啓発活動を推進し、その防止に努めておるわけでございます。
 検挙数も、昭和五十九年をピークに年々減少しつつありますけれども、なお一層各関係者の協力を得ながら努力してまいる所存でございます。
 次に、健康和歌山についての健康文化のシンポジウムの関係において森本議員から御提言をいただいたわけでございます。
 健康文化のシンポジウムは、成人病撲滅県民会議と県の共同主催により開催したものでございます。お話ございましたように、ライフスタイルによる、また環境による病気から健康を守るということが非常に重要なことだと感じておりまして、心の病を治していく健康づくり対策を従来の健康対策の上に加えて、なお一層積極的に進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港についての御質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、大阪国際空港存廃問題の今後のスケジュールについてでございます。
 運輸省におきましては、本年五月ごろに関係自治体、関係住民に対してかねてから運輸省が行ってまいった存廃調査の結果を提示し、七月ごろまでにそれに対する回答を求めて、ことしじゅうに最終的な結論が出される予定になっていると聞いてございます。
 第二点は、航空需要予測と収支採算性についてでございます。
 近畿圏の長期航空需要予測は昭和六十一年に運輸省から発表されております。それによりますと、議員御指摘のとおり、関西国際空港開港時点では国際旅客九百万人、国内旅客二千五百万人になってございます。新しい航空需要予測につきましては、全体構想基礎調査の中で作業が進められておりますが、近年の航空需要の伸びを反映した需要予測がなされる可能性が高いと聞いてございます。
 そのような中で収支採算予測につきましては、航空需要の伸びとあわせ、関西国際空港株式会社において収入拡大のため複合管理棟の建設など最大限の努力がなされておりますので、当初予定どおりに実行されるものと考えてございます。
 第三点は、空港能力についてでございます。
 開港時点の関西国際空港の能力につきましては、年間十二万回程度の離着陸を予定してございます。先日発表された旅客ターミナル基本設計におきましても、開港時点では国内線一千万人、国際線一千万人の旅客に対応できる能力を有していると聞いております。
 また、現在の第一期計画は、最終的には離着陸回数十六万回で、国内線旅客一千三百万人、国際線旅客一千二百万人に対応できる計画になっております。さらに効率的な運用を行えば、旅客については三千万人程度まで対応できると聞いているところでございます。
 第四点は、空港島の地盤沈下についてでございます。
 現在、関西国際空港株式会社において、沈下観測をもとに調査分析を行っているところでございますが、埋立調査工区における現在までの沈下観測データによると沈下量が当初の予測値より〇・八メートル程度大きくなっているとの報告を受けており、この調査結果が確定次第、所要の措置を講ずると説明を受けてございます。また、このことにより開港がおくれることがない旨、あわせて説明を受けているところでございます。
 次に、交通安全対策についてお答えを申し上げます。
 県といたしましては、現在の交通事故情勢を厳しく受けとめ、県民一人一人の交通安全意識の高揚が大変重要であるとの観点から、交通安全母の会や交通指導員会など五十三団体で組織している交通事故をなくする県民運動推進協議会とともに、毎年、春や秋の全国交通安全運動、昭和六十三年から始めた高齢者交通安全旬間、さらに夏や年末年始の交通事故防止県民運動等を展開し、街頭啓発やラジオスポット放送、啓発物品の配布など、官民一体となった交通安全啓発活動を積極的に進めているところでございます。
 今後、議員御提言のあったことも踏まえまして、より一層、警察本部を初め道路管理者などの関係機関や各団体との連携を強化し、一体となって悲惨な交通事故をなくするための運動を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 救急自動車への医師搭乗システムいわゆるドクターカーにつきましては、医療関係への搬送中において早期に適切な救急医療処置を施すことを目的としたシステムで、救命率を高める上で有効なものであるとされてございます。
 このため、昭和六十二年、国において消防機関におけるドクターカーの導入及び管理運営に関する調査研究委員会が設置され、昨年、報告書がまとめられたところでございます。
 その報告書によりますと、消防機関がこれを導入するに当たっては、医療機関との連携方法、医師の確保、地域の特性等によりその条件に差があるので実情を勘案し、その必要性について十分検討するよう報告がなされているところでございます。
 また、救急隊員の資格については、消防法施行令により救急業務に関する講習課程を修了した者またはこれと同等以上の学識経験を有する者のいずれかに該当する消防職員をもって充てなければならないとされているところでございます。
 事故現場及び搬送途中における迅速かつ適切な応急手当てが救命上極めて重要なことから、昭和六十一年の消防法の一部改正により、救急隊員の行う応急手当てについて法的な根拠が明確にされたところであります。しかし、医師法等との関係において救急隊員の応急手当てには限界がございます。
 現在、国の方では、救急隊員のより一層高度な知識、技術の養成を図るため、救急隊長教育の実施が検討されているところでございます。
 本県としましても、今後、国とも十分協議を行い、ドクターカーの導入や救急隊員による救急処置の拡充等、救急医療体制の充実について消防及び救急医療関係機関との連携を含めて検討してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 健康和歌山に関する御質問についてお答えを申し上げます。
 県民の健康づくりのための基盤づくりには、保健、医療、福祉が連携を保ちつつシステムの確立をしていくことが必要であると考えております。このため、各保健所に保健所保健福祉サービス調整推進会議を設置して在宅ケアの支援体制を充実するなど、地域のネットワークづくりに努めているところでございますが、これを中心として健康づくりネットワークの形成に努めてまいりたいと考えております。
 また、保健医療情報システムの整備につきましても、関係方面の御理解を得ながら検討いたしておるところでございます。
 今後、県民へのきめ細かい保健医療サービスを提供していくために、開発すべきシステムづくりを検討していく中で、御提言いただいた点も踏まえ、県民の健康管理に役立つ保健医療情報システムの開発について検討してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 紀の川の護岸工事による小豆島地区の農業用井戸の水がれ問題につきまして、建設省は現在、農業用井戸六十四カ所のうち二十九カ所の井戸対策を完了しており、残りの井戸についても急ぐ箇所から順次対応していくよう鋭意努力しております。
 県といたしましても、残りの箇所について、今後の農作物の作付に支障が生じないよう、建設省に早期に対策を実施すべく申し入れてまいります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) まず、三ない運動についてであります。
 高校生の交通事故は、いわゆる三ない運動が実施された昭和五十五年以降大幅に減少しており、事故の未然防止の意味から効果があったことは認められるところであります。しかしながら、ここ数年はわずかながら増加傾向に転じているところであり、本年に入っても去る二月二十四日と三月五日、いずれも死亡事故が発生したところであります。
 また、昨年一年間の全交通死亡事故の約半数は若者が関係しているところから、これら若者ドライバー対策の見地からも、将来、車社会の一員となる高校生に対する交通安全教育は必要不可欠であると考えております。
 三ない運動そのものについては国や県の動向を踏まえていかなければなりませんが、警察といたしましては、既にこれまでも学校当局の要望等に応じて交通安全教育に協力しているところであり、今後とも積極的に協力してまいる所存であります。
 次に、昨年末の西ドイツの交通対策についての報道は警察としても学ぶところが多く、先般、警察庁も調査団を派遣したと聞いているところであります。そのポイントは、各種資料の収集、分析、提供、及びこれらを統括する総合的な体制づくりの問題にあると考えております。
 警察といたしましては、これまでもそのような観点から交通事故の分析資料を県、市町村初め道路管理者、救急医療機関、その他交通関係団体等に提供するとともに、高齢者対策、若者対策、運転者対策及び交通安全施設の整備等の面において、それぞれの関係機関、団体との連携、協力を強化しながら諸施策を講じてきたところであります。
 しかしながら、最近の交通事故の発生状況は第二次交通戦争とも言うべき極めて深刻な事態となっており、こうした事態に対しより強力な対策を推進するためには、議員御指摘のとおり、交通安全教育や交通安全施設の整備充実を図るための大幅な財源確保の問題、原付免許の実技試験の導入の問題、さらには車両構造に関する安全対策や事故が起きた場合の救急医療体制の整備等、総合的な見地からの対策が必要であり、今後、警察としても、これらのことについて国と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、薬物事犯に対する取り締まり状況の実態と対策についてであります。
 昨年中、覚せい剤事犯の検挙は三百二人、覚せい剤の押収量百八十七グラムとなっており、ほかに大麻事犯の検挙三人、大麻の押収量十六グラムとなっております。このように、薬物事犯のほとんどは覚せい剤事犯であります。その内訳を見ますと、暴力団百二十五人、女性四十四人、少年八人などとなっております。
 次に対策についてでありますが、昭和五十九年から覚せい剤犯罪の根絶を県警察の重点目標に掲げ、組織を挙げて徹底した取り締まりと広報啓発に取り組んでいるところであります。
 特に取り締まり面では、税関等の協力を得ながら、暴力団を中心とする密輸、密売事犯に対する取り締まり、末端乱用者の検挙の徹底などにより供給ルートの遮断と需要の根絶に努めているところであります。
 警察は、覚せい剤等薬物問題を治安上の重要な問題として受けとめ、その根絶に向けてこれらの諸対策を一層強力に推進していく所存であります。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、交通安全教育に係る三ない運動についての御質問でございます。
 御承知のように、若者の交通事故は全国的には増加の傾向となっておりますが、高校生に対する交通安全教育のあり方については非常に重要な課題であると認識をいたしてございます。
 県教育委員会におきましては、二輪車による交通事故からとうとい命を守るという観点に立ち、高校生の運転免許取得に係る指導として県高等学校PTA連合会が提唱したいわゆる三ない運動に歩調を合わせ、昭和五十五年度から全県的に実施をしてまいってきているところでございます。この結果、本県の高校生の二輪車による交通事故は減少をし、一定の成果を上げてまいったところでございます。
 県教育委員会といたしましては、さらに交通安全教育の充実を図るために、毎年、管理職及び指導者を対象とした研修会を開催するとともに、各種の通知、あるいはまた校長会等でその趣旨を図っているところでございます。
 さらに、学習指導要領の改訂に伴い、高等学校の保健の授業においても交通安全について取り扱うこととなっており、従前の指導に加え、一層深まりのある指導が推進されるものと考えているところでございます。
 今後につきましては、国及び他府県の動向を踏まえながら、三ない運動を含めたよりよいあり方について関係機関、団体と協議をし、総合的な交通安全教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。
 次に、麻薬や覚せい剤の乱用防止についてでございます。
 議員御指摘のように、この恐ろしさは単に乱用者自身の心身をむしばむことにとどまらず、憂慮すべき大きな社会問題として取り上げられており、教育の場においても重大な課題として考えているところでございます。そのため、覚せい剤についての正しい知識を与え、その恐ろしさを理解させるとともに、人間として自分自身を大切にするという考え方を育てることが肝要であると考えてございます。
 こうした観点に立ちまして、薬物乱用等については中学校、高等学校の保健の授業において健康問題として取り扱うことになっており、また特別活動の中においても啓発用映画の上映やパンフレットの配布、講演会等を開催してその指導に取り組んでいるところでございます。
 また、県が主催をしている覚せい剤乱用防止推進員講習会に学校長を初めとして市町村の教育委員会関係の職員なども積極的に参加するように呼びかけ、さらに一層の連携と協力を図っているところでございます。さらに社会教育の分野においても、PTAの研修会など、機会あるごとにその啓発に努めているところでございます。
 今後とも、学校教育並びに社会教育の両面にわたり、関係機関の御協力をいただきながらさらに啓発を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森本明雄君。
 〔森本明雄君、登壇〕
○森本明雄君 関空問題につきまして。
 国内便確保について質問をカットいたしましたが、御親切に御答弁をいただき、まことにありがとうございます。
 まず地盤沈下の問題でございますが、地盤沈下に伴う埋立土砂の増加ということになりますと、危ぶまれていた和歌山県の土砂搬出量の確保がさらに増大という思わぬメリットが考えられるわけでございます。
 ただ、予測を数メートル上回る──数メートルという根拠は何もわかりませんが、会社の幹部の発言が仮に事実とするならば、同時に不同沈下がどうあらわれてくるかの問題もあるわけでございます。
 運輸省の予測では、滑走路の水平距離二百メートルに対して最大五十ないし六十センチ。これは、滑走路の勾配の許容限度が一千分の八に対して一千分の二・五ないし三・〇に当たるわけでございますが。まあ予測を超えた地盤沈下というものは、同時に不同沈下も予測を超えたものにならないという保証はないわけでございます。
 また、地盤沈下に伴う工期の延長がもしありとするならば、開港のおくれと事業費増大というのはさらに収支採算性悪化の見通しとなり、土砂価格への影響は避けられない問題となってくると思うのであります。
 また、空港能力の問題でございますが、第一期の能力はアッパーリミットが十六万回の計画でございましたが、関空の滑走路とターミナルの受け入れ能力は、当初の計画どおり建設が進められていたならば、搬出による摩擦の問題だとか、さらに風の強さの問題等を加味しても、現段階において空港会社が運用している運用率というのは約九九%であります。
 こうした基準から計算していきますと、開港時点における二千五百万人というのは十分に受け入れのできる数でございます。しかしながら、空港、周辺自治体、さらに諸団体が存廃の最終結論を出していない段階での国内用ターミナル受け入れ能力の縮小計画変更というものには当初より大阪空港存続の運輸省の意図がありありとうかがえるのであります。
 最後に大阪空港存廃についてでありますが、大阪空港は補完空港として位置づけるべきであるとの先日来の知事の答弁には全く同感でございます。したがって、関空は国内会社の基幹空港として、また大阪空港は超短距離路線を中心として都市圏内のセカンドあるいは補助空港として位置づけることが最良の方法だと考えるわけでございます。
 以上、意見を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は御意見でありますので、以上で森本明雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十七分休憩
 ────────────────────
 午後一時六分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 私は、まず原発の安全性と県対応のあり方について次の事実を述べ、質問いたします。
 それは、英国北部のセラフィールド原子力施設周辺に白血病の子供が多いのは施設内部で働いている父親の遺伝子が放射線被曝により突然変異を起こしたためとの研究者の指摘に関連して、同施設を運営している英国核燃料公社のロジャー・ベリー保健部長が去る二月二十一日、記者会見をし、「従業員等が希望すれば個人的なカウンセリングを行い、ひどく心配しているなら『子供をつくるな』とアドバイスすることもあり得る」と、「こうしたケースが多くなることを望んでいるわけではない」と断りながらも述べられた由。また、この研究結果を公表されたマーチン・ガードナー英サウサンプトン大学教授も、「同施設で高い放射線を浴びた父親の子供は、他の地域の子供と比べて七倍白血病にかかりやすい」と指摘され、英国核燃料公社に対して、「これから子供をつくる若い従業員の被曝量を極力制限するよう働きかける」と話されたこととの具体的な事実報道は注目すべき内容と存じます。
 なお、同社はセラフィールド地域で核燃料再処理施設と出力六万キロワットの小型原発四基を運転しており、今回従業員被曝が問題化しているのはプルトニウムや高レベル廃棄物を取り扱っている再処理施設と見られるとのことです。
 私はこの報道に接し、言われている従業員、その他の日常的な被曝被害の具体的な一立証としてはもちろんですが、ひとり再処理施設だけではなく、原発従事者は申すまでもなく常時運転による周辺住民への被害も、たとえ低位とはいえ黙視できない報道と存じますに加えて、チェルノブイリ事故後の公的な実態報告とも申すべき昨年五月翻訳出版の「原発事故から一〇〇〇日目」、また「チェルノブイリ その過去と今後の展望」、加えてウクライナや白ロシアからの内部告発、その具体的な内容は省略いたしますが、それとともに国内における脱原発法制定運動の高まりとその背景。しかも、この機運はひとり我が国だけではなく、今や世界的な潮流となっています。
 にもかかわらず、今議会提案予算案に電源立地振興費二千六百万円を全額国庫補助とは申せ計上。しかもその中身は、重要電源すなわち原発立地による温排水影響調査と立地推進対策費。対象町村、その動き等の事実とも絡めて原発推進に手をかすことは必定と存じますゆえ、改めて安全性と県対応について、以下質問いたします。
 まず、その前提として、依然として続いている国内原発の事故、トラブルの実証たる本年一月中の経過を申し上げますと、二日には、調整運転中の福島第二原発一号炉で再循環ポンプ内の油だめ油面上昇警報が鳴り、原子炉を手動で停止した。これは油面検出器の誤操作によるとして、四日、再開の由でございます。
 五日には福島第二原発三号炉の全燃料取りかえのための原子炉設置許可変更申請を通産省が許可していますが、これは、一年前に再循環ポンプ内の水中軸受けリングが破損し、ポンプ内のあちらこちらを傷つけ、三十キロ以上の破損片が原子炉内に流入という、世界でも例を見ない、一歩誤れば取り返しのつかない大変な事態になりかねない事故によるもので、通産省内では事故調査委員会も昨年八月に中間発表はしたものの最終結論はまだの上、地元富岡町でも市民グループによる事故調査、そして許可後の十二日、その報告会の前になされた許可措置と伺っています。
 また、九日には伊方二号の定検が終了していますが、これも、この定検により、一九七〇年代に建設のコンクリート建造物の強度が大幅に低下している可能性があり、その原因は、強度を保つ珪酸カルシウム水和物が炭酸ガスにより分解のためであることが判明しています。
 さらに十六日には、日本原電と関西電力が敦賀二号、高浜一、二号の蒸気発生器細管の許容施栓率引き上げを通産省に申請。敦賀は一〇%、高浜は二五%に。また同時に福井県は関西電力に、現在の施栓率の維持と許容施栓率は二五%を上限にするように申し入れております。
 加えて十九日には、昨年十月からの定検で高浜三号の蒸気発生器細管二十三本に損傷が見つかった原因は冷却水の流速アップによるものと関西電力は福井県に連絡していますが、これについても以前は、細管と振れどめ金具とのすき間が大きいためにぶつかって損傷が起きた、それゆえすき間を小さくして、そのためにさびが沈殿したりしないよう冷却水の流速をアップしたと説明しています。ところが今度は、細管に微小振動が発生して金具との接触が繰り返されたためとのこと。これでは対策と新たな損傷のイタチごっこと申さざるを得ませんし、今回はすき間をなくすことで再発防止とのことですが、果たして防げるかどうか、結果が注目される次第です。
 以上に加えて、昨年末と今年初めの二度にわたって敦賀一号炉で続けざまに起こった機器の故障。昨年末のは、外部からの送電が停止した場合、緊急炉心冷却系など最低限必要な電力確保のため非常用のディーゼル発動機の自動停止であり、本年一月の事故は、三系統ある緊急炉心冷却装置の一つである高圧注水系のポンプ駆動用ディーゼル機関の自動停止事故でございます。この二件とも、毎月行われている機能試験の際起きたものなので事なきを得たものの、調査の結果、ディーゼル機関とポンプを結ぶ増速機の軸受けが脱落して歯が損傷し、破片が増速機内に飛び散っていたためと判明したという事実もあわせて御報告いたしたいと思います。
 私は、貴重な時間にもかかわらず、なぜこのような事実をるる申し述べるかと申しますと、原発に関しては何よりも大切であり、最大限留意し確保すべき安全性について、機器の安全性──これは当然のこと、この点についても若干の意見なきにしもあらずですが、それはしばらくおくとして、扱う企業側の対応の現状をつぶさに検討いたしますとき、官報に掲載の「原子力白書」の評価にもかかわらず、多分の憂慮を抱いている一人です。
 そこで、これらの点について、県独自の事故分析と安全性についてどのような御見解を持っておられるか、判断の根拠も含めてお示し願いたいと思います。
 もし中立的、独自的な立場をとっておられるのならば、伝えられる立地予定候補地と言われている日高町における町政の対応、その他、また住民サイドの取り組みをも含めてその内容、御承知のことゆえ省略いたしますが、どのように分析されての県対応なのか、その基本姿勢と、冒頭御指摘申し上げた「予算計上、全額国庫補助」とは申せ、その地域に与える影響を考えるとき重大この上もない措置だと考えますが、手続、意図等、県独自の立場からの御見解を明確にお答えいただきたいと思います。
 次に、紀南地方、特に私どもの海域における漁場問題について質問いたします。
 なお、この件については以前も実情を申し上げ、善処方要望いたしましたが、その後の経過を熟視するとき、事態改善は依然として進捗せず、このまま放置すれば不測の事態憂慮はもちろんですが、事、沿岸漁業の将来にも関係する重大性を秘めている問題点と考えるの余り、重ねて経過の概要と実情を述べて当局の御見解、対応について質問いたします。
 その前に、本県、特に私どもの紀南地方の漁業を取り巻く環境は、海岸線は長く、漁場に富んでいる上、漁業は農林業とともに一次産業とは申せ、観光とともに重要かつ中心的な経済の柱的存在にもかかわらず、二百海里問題あるいは魚介類の輸入外圧、その他により厳しさそのものの対応を余儀なくされていること、御承知のとおりでございます。
 しかも、捕鯨存続の問題もその一つでございますが、この件は別の機会に譲るとしても、この厳しさを克服して漁業振興策を確立するということは、関係者の自助努力はもちろんのこと、行政の立場からも緊急の重要課題だと思うわけでございます。そしてその方向は、極言すれば必要な魚介類を必要量だけ漁獲し提供する、いわゆる管理漁業志向の振興策に大きく依存せざるを得ない現状と考えております。
 もちろん、魚群の回遊を含めた魚介類の生息や生態、あるいは海洋環境の変化とそれに伴う魚介類等の生息や生態等々、まだまだ未解決の領域を残しておることは素人ながら承知しておりますが、それらの現状を踏まえながらも、なおかつ水産県としてのその振興を求めるため、管理漁業振興を目指した漁業秩序の確立は重要課題との認識に立ち、私どもの地方に視点を当て、当面の問題について以下質問いたします。
 私は、地域漁業振興の方途としての管理漁業推進基盤整備という立場から六十四億円余りの巨費を投入しての漁場造成の取り組みに対し住民の一人として心から敬意を表し、感謝申し上げている次第ですが、その完成を目の前にしての数年前からの操業の実情、なかんずくまき網漁業と一本釣り等小型船漁業及び免許漁業、定置綱漁業者との間で数々のトラブル発生の事実をかいま見、冒頭申し上げたとおり以前も実情を述べて質問申し上げましたが、重ねて当局の現状認識と対応について質問いたしたいと思います。
 加えて、この件に関する地域漁民の取り組みは、県要請に焦点を絞って経過を申し述べますと、昭和六十二年二月に上県、漁場調査陳情するも回答を得られず。再び同年十月、回答要求。不満の抗議書を提出しております。その後も上県、課長に陳情したが、不在で陳情伝達を依頼。また昨年一月には、関係四漁協の組合長連名で重ねて陳情書を提出しております。そして本年二月八日、中村県議、私も同道して代表者が上県し、関係六組合長の連署の陳情書を提出。そうして実情と要請の趣を述べ、緊急な御検討と対策、御回答をお願いしましたが、聞くところによると、いまだに回答なしとのことであります。
 私は、年度末を控えて当局の御繁忙は十分に承知しながらも、事、急を要する問題の上、切望しながら長年放置されたいら立ちの心情、先日も各代表より申し上げ、早急な回答をお願いしたにもかかわらず今日まで放任という事態を座視するに忍びず、以下数点質問し、明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
 まず、熊野灘海域総合開発事業実施については、漁場の調整を条件として、地元漁民の同意を得て着手した由聞いていますが、そのとおりかどうか。そのとおりとすれば、県当局はどのような対応をされ、また関係者に周知されたのか。
 次に、先ほど申し上げたこれら漁民の陳情要請に対してどのような御見解を持ち、どのように対応されたか。また、今後対処されるおつもりか。
 関連いたしまして、お隣の三重県では既にまき網漁業の操業規制、調整を行っている由伺っておりますが、それらをも参考にして県当局の御見解をお伺いいたします。
 最後に今後の具体的な対応について、調整はもちろんのことでございますが、その点についてはそれぞれの利害が相反する場合もあることを考えるとき、当然、当局の指導的な立場での決断が求められていると思いますので、その立場を踏まえて明確にお答え願います。
 以上で、私の第一回の質問を終了させていただきます。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜口矩一議員にお答え申し上げます。
 原子力発電所の安全性の問題でございますけれども、私もかねがね原子力発電所について三原則を基本としており、その中でも安全性を最重点に考えておりまして、国や電力会社に対して安全性の確保に万全を期するように必要な申し入れを行っているところでございます。
 また、日高町の問題につきましても、先日、尾崎議員にもお答えしたところでございますが、県としても、今後ともこうした地元の動向を見守ってまいりたいと考えておる次第でございます。
 細部については、企画部長から答弁申し上げます。
 また、熊野灘の問題については担当部長から答弁いたしますけれども、そうした点について私も非常に頭を痛めている段階でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 原子力発電所問題につきましてお答えを申し上げます。
 まず、安全性についてでございます。
 原子力発電所の安全性につきましては、安全上、余裕のある設計はもとより、国による厳格な規制、監督と電力会社の適切な運転管理によって支えられておりまして、また日常的な点検のほか、年一回、精密な定期検査を行って異常や故障、あるいはその原因となるような事象を早期に発見し、適切な対策を講ずることによって維持されているものであると考えてございます。
 我が国の原子力発電所は、こうした取り組みが円滑に機能してきた結果として大きな事故の発生に至っていないということは「原子力安全年報」でも認められているところでございます。
 県といたしましては、原子力発電所の立地に関して、安全性の確保が何にも増して重要であるという、これまでの姿勢を堅持してまいる所存でございます。
 次に、電源立地地域振興事業費の計上についてでございます。
 日高町におきましては、町長を初め町当局が住民の理解を得るべく努力されている状況であることは認識いたしているところでございます。
 日置漁協は、国からの補助金を直接受けて、平成元年度からイセエビやアワビの魚礁調査を実施中であると聞いてございます。
 また、平成二年度の県の予算といたしまして、県の事業費として四百万円、日高町の事業費として二千二百万円を計上しているところであり、全額、国から交付されるものでございます。これは、電源立地に伴う地域振興効果、環境、安全などに及ぼす影響、住民の正しい理解を得ること等が重要であるとの考えから本補助金を受け入れ、予算措置をしたものでございます。
 いずれにいたしましても、電源立地に関する県の考え方は、これまでもたびたびお答え申し上げておりますとおり、適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、対処してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 事業の実施と地元の同意の問題でございます。
 熊野灘海域総合開発事業は、この海域の持つ自然的、社会的特性を最大限に活用して漁業生産の増大を図り、地域の振興を図ることをねらいといたしております。
 事業の実施につきましては、地元の町からの早期実現の強い陳情を受け、地元十漁業協同組合の合意のもとに昭和五十七年に事業着手したものでございます。
 関係者に対する周知につきましては、関係組合ごとに全体計画の説明を開催してきたところでございます。
 次に、操業の現状と関係漁民の調整要請に対する県の対応についてでございます。
 一本釣り等小型漁船漁業とまき網漁業は同一漁場で操業するためトラブルが多く、互いに譲り合って円満な操業を実現することは漁業者みずからのために必要であると考えております。昭和五十四年に関係十一漁業協同組合で結ばれている操業協定の遵守について、これまでにも機会あるごとに漁業者を指導してまいりました。
 人工漁場等の事業の進展に伴い、議員お話しの漁場利用調整については、昨年の六月から小型船漁業者と今後の進め方を協議してまいりました。その際、まき網漁業者から指摘をされている小型船の発電機の問題をまず解決し、その後に漁場利用調整を進めることで意見の一致を見たところでございます。そのため、これまで発電機問題について、漁業調整規則等の問題で海区漁業調整委員会とも鋭意検討を重ねているところでございます。しかし現今、小型船の漁業者から漁場利用調整についても強い陳情要請がありましたので、近々、現地において小型船代表者と話し合いを行うため、具体的な日程の調整をいたしたところでございます。
 最後に操業規制調整につきまして、現状の認識と今後の取り組み方針の問題でございます。
 三重県との関連で申し上げますと、両県とも十五トン以上のまき網漁業については操業区域の規制がございます。この海域で操業している本県のまき網はいずれも十五トン未満であり、小型船漁業として同一漁場で操業ができることになってございますので、関係漁業者間の操業協定等によって漁場利用調整を進めてきたところでございます。
 今後の取り組みについてでございますが、これまでの経過もあり、また利害が全く相反するところに調整を図ることは大変な困難さがございます。しかし、何としても調整せねばならないので、今後、海域総合開発事業で新たに造成された人工魚礁の利用を中心に、新しい漁場利用について漁業調整委員会と協議をしてこの問題に対処する所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕
○浜口矩一君 原子力発電所の安全性については、ただいま企画部長から御答弁をいただきました。
 その御答弁は、設備機器の安全上、余裕のある設計や製造、あるいは国による厳格な規制と監督、適切な運転管理、また定検等による異常の早期発見等により安全であるというようなことでございますが、先ほど私が申し上げました具体的な実例からも、機器が安全であるかどうかということについては疑問がある。これはおわかりだと思います。
 また、昨年であったと思いますが、私たちと通産省との交渉──これには和歌山県からも代表の方が参加されました。そのときに、「原発は絶対安全だと言い切れますか」という質問に対して通産省の関係当局は、「絶対安全とは言い切れない。しかし、それに従事する運転員その他が安全性に万全の配慮をしておるから安全だと言えます」と、このように言うているんです。「機器が絶対安全だ」とは、そのことから言うても言えないと思いますし、そこに非常に大きな落とし穴というのか、安全確保上におけるところの一つの欠陥があるのと違うか、このように考えます。
 それから、先ほど私が提示した英国におけるところの具体例。これは、日常運転中でも放射能漏れの被害というのはあるという例です。国内でも数多くの従業員が被曝という形で指摘、告発されておる事実は御承知のとおりだと思います。ただ、この件については、医学的にどうだこうだという、それについてはなかなかはっきりしないので、「その疑いがある」云々という程度で問題視されておる現段階だと思いますが、これも各種の補償措置ということから考えれば、この事実は明らかだと思うんです。
 また、周辺に対する放射能漏れの問題にしても、ムラサキツユクサの試験の例、あるいはその他の探知機等による具体例、また学者のそれに対する実態調査、そういうようなものから明らかになっておるわけなんです。しかしこれらについては、「微量であるから人体に影響がないと思う」というようなことは政府や企業の言い分ですけれども、先ほども七倍という数字で申し上げたように、ずうっと後になってから問題化する。これはアメリカの例でもはっきりしているわけなんです。
 加えて、もう一つ申し上げたいと思います。企業対応についても、通産省が「企業対応は万全だ」と言われたわけなんですが、私が先ほど指摘した福島第二原発三号炉の事故も企業対応の問題です。一歩誤れば取り返しのつかない重大な事態になりかねない。しかも富岡町民も、この点を重大視して調査委員会をつくって調査しております。後ほど行われたその調査報告会で理化学研究所の槌田さんや市民事故調査委員の竹村さんなんかから、「重大な発言」という批判的な発言が出ているわけです。これについても、少なくとも関係者の皆さん方はよく承知しておられると思います。
 また、敦賀一号で続けざまに起こった、先ほども申し上げた機器の故障につきましても、「非常用のディーゼル発電機の二台のうち一台はとまったが、もう一台あるから大丈夫だ」というような企業側の説明ですけれども、もしその一台が停止したときに事故が起こったらどうなる。私は、少なくとも事命に関し、生存に関する安全性の問題については、そういう周到な観点というものが必要ではないかと考えるわけなんです。
 さらにもう一つ。これは、きょう、朝日新聞の報道で見たわけなんですが、高浜の四号機で蒸気発生器細管二十一本に損傷の事故発生の事実が報道されています。同機は、加圧小型軽水炉で多発している細管損傷を防ぐ対策をして、五年前に運転開始したばかりの新しい原発でございます。加えて、同じ対策をした三号機でも、昨年、二十三本に損傷が出ております。三号機、四号機とも、摩滅を防ぐために工夫したと言われておるところの金具部分に減肉という損傷が出ているわけなんです。こういうことから考えれば、新型の原発でも細管損傷防止は困難であるということが浮き彫りになったと朝日新聞は指摘しております。このような事実をどのように分析されて安全確保が万全であると言うのか。このことの御見解をお尋ねいたしたいと思います。
 政府がどうだとか、「原子力白書」でどうだとか、あるいは企業がどうだと、これだけでは県独自の見解と言えるのかどうか。特に原発立地県と言われている、また日高や日置川の問題を抱えておるところの本県の知事が先ほど「三原則のうちで安全性は最優先」と答弁された、そのとおりの立場から部長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、日高町におけるところの町の対応について県は、「町当局が住民の理解を得るべく努力されている状況」云々という答弁ですけれども、これも去る三月八日の新聞報道の見出しを見ても、「原発推進『地ならし』 日高町長 漁協組合員宅を訪問」という表現でございます。時間の都合で中身を省略いたしますが、これも新聞報道のとおり、推進の意図は明らかだと思うんです。
 海上調査の受け入れをめぐる日高町における昨年来の比井崎漁協の対応は、これも県は御承知のとおりだと思います。水協法の建前から言っても町長のこの行動は明らかに問題があると感じますが、県は中庸的な立場でこのことについてどのように評価をしておられるか。これについても御見解をお伺いいたしたいと思います。
 原発についての再質問は以上のとおりです。
 それから、漁業関係について若干申し上げたいと思います。
 御承知だと思いますけれども、まき網という漁法は根こそぎ魚をとる漁法です。しかもその漁具類は、網はもちろんのこと、魚群探知機なんかでも非常に性能が向上して、どんな魚がある、どれくらいの大きさだ、あるいは数量は大体どうだと、こういうようなことまで的確に把握できるという現状でございます。それから海上通信の問題にしても、通信機能というものが発達して情報キャッチもすこぶる容易であるという現状でございます。それゆえ、魚が回遊してきて魚礁に居つく、そうしてこれから操業という寸前に、まき網が来て、それこそ一網打尽にとってしまう。泣かされるのは地元の小型漁船、一本釣りや棒受けだけということになるのは火を見るよりも明らかだと思います。
 加えてもう一つ申し上げたいのは、定置網です。大敷網です。網の前に魚が来て、そうして網に入る寸前にごそっととられる。これでは、高い金を出して、また多くの従業員を抱えての定置網漁業は成り立たないということは当然だと思います。
 しかも、これらまき網をやっておる漁業者は、地元の漁民ではありません。同じ和歌山県であるけれども、よその漁協の漁民です。したがいまして、このようなことを考えたときに、地元漁民救済という立場からも熊野灘海洋牧場は非常に大きなウエートを占めている。そう思いますときに、規制とか調整というのは、当然のこととして行政の責務だと思うんです。
 また、先ほど言われた集魚灯の発電機の燭光オーバーの問題。この規制に非常に時を費やされたと言われておりますが、これの規制も大事なことなんです。しかし、だからまき網の漁場調整がおくれても構わんという理由にはならないと思います。
 もう一つ申し上げたいと思います。若者が紀南でどんどん流出してございます。それは、働く場がない、将来に展望を持てない、だから都会へ出ていくのです。また残って、いわゆる父祖伝来の家業である農業や林業、漁業を継がれても、非常に厳しい状態に置かれておることは御承知のとおりです。そういうような中でも、父や祖父の家業を継いで営々として漁業に従事する、そうして夜を日に継いで出漁しておる。これは、地場産業にも等しいところの、漁業を守るという立場だけでなしに過疎対策という上からも非常に大事なことである、大切にしなければならないものだと考えるわけでございます。そういう意味からしても、これらの要求にこたえてやるということは、過疎対策という立場からも緊急かつ重要な課題だと思うわけでございます。
 しきたりがどうだとか、あるいは決めても守れないとかいうような立場からの言いわけは理由にはならないのと違うか、このように考えます。だから、早急な対策というものがどうしても必要である。こういう考えを持っておるわけなんですが、この件については先ほどの部長の答弁で、今後早急に対策を立てるというような具体的な手だても伺いましたので、特にそのことだけは申し上げて、これは要望にしておきたいと思います。
 以上で、私の第二回の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 再度の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、安全性についての英国の場合でございますが、英国のセラフィールド再処理工場の周辺の住民に白血病などのがん発生率が高いという御指摘でございます。
 英国保健省が調査を行った結果、「セラフィールド近郊のシースケール村では若者の白血病が全国平均よりも高く発生しているものの、再処理施設の運転に関連づける明白な証拠はなかった」と報告されたと聞いてございます。
 しかし、県といたしましては、いついかなる場合にあっても周辺住民に放射線被害が及ぶようなことがあってはならないと考えており、今後もこの基本を堅持してまいる所存でございます。
 それから日高町の問題でございますが、日高町長は、原子力発電所の立地を町の将来の発展のために活用しようという立場から、住民の理解を得るべく対処されているものと認識いたしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 私が先ほど提示した数々の福島その他の事故例についての御答弁が、分析が一つもなされていない。だから、これについて、もしわかっていることがあったら御見解をお伺い申し上げたいと思います。
 セラフィールドだけの御答弁で、国内のやつは一つも言うてないから。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れがあるようでございますので、当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 大変失礼いたしました。
 御提示いただきました例のうち、我が国の場合でございます。
 我が国における事故・故障等は、異常の兆候を早期に発見して大事に至らぬよう措置したものや、点検中に異常の原因となる事象を発見して措置したものがほとんどであると聞いてございますが、議員御指摘の幾つかのトラブルのうち、例えば昨年一月に発生した福島第二発電所二号機のケースにつきましては、以前から損傷の可能性があるとされていた部品の改修時期をおくらせたために破損に至ったものであり、原子力安全委員会の委員長からも「安全の配慮に慎重さを欠いた」との指摘を受けたと聞いてございます。
 そういうことで、この事故に関して資源エネルギー庁は原子力発電技術顧問会の中に調査特別委員会を設置し、損傷の原因や事故発生時の対応、再発防止対策等について調査を続けておりましたが、ことしの二月二十二日にその結果が発表されたところでございます。
 東京電力株式会社に対しましては、機器の改善のほかに、運転マニュアルの見直しや異常の兆候等に対する対応の強化をも指示されてございます。他の電力会社にも同様の指示がなされたところでございます。
 それから、朝日新聞の本日の記事の問題でありますが、先日、資源エネルギー庁から、「関西電力株式会社高浜発電所の四号機では本年の二月二日から定期検査を実施していたが、蒸気発生器伝熱管の全数検査を行ったところ、一万百四十六本中二十一本に傷の兆候が認められた。このため、これら二十一本に栓をするとともに、傷の原因となった伝熱管振りどめ金具を改良型に取りかえることとした」という情報連絡を得ているところでございます。
 毎年の定期検査では全数を入念にチェックいたしまして、傷が小さいうちに栓をしたり、あるいはパイプの内側にスリーブを張りつけたりといった対策を講じていると聞いてございますが、定期検査は、異常の兆候やその原因となる事象を早期に発見し、事故や故障を未然に防止するために行うものでございまして、そういった意味から、今回の件についても適切な対策措置が講じられるべきものであると考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「日高町の対応に対しての県の分析」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れがあるようでございますので、当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 日高町の問題でございますけれども、先ほどお答え申し上げましたとおり、日高町長は原子力発電所の立地を町の将来の発展のために活用しようという立場から、住民の理解を得るべく対処されているものと認識いたしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 再々質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 簡単に申し上げたいと思います。
 今の企画部長の答弁は、「原子力白書」に言われているのと寸分変わらないような御答弁なんです。何かして──企業に対してこういうようなことの勧告をしてあるとか。勧告をしてあったら、それを守っていくと言っているその事実が大切だと思うんです。
 一番の例としては、先ほど申し上げたところの蒸気発生器の細管の問題。これを直しても、また次に故障が起こる。それを直したら、また次が出てくる。それで、私は先ほど「イタチごっこ」と申し上げたんです。そういうようなことがあってはならないんですよ。
 「企業側が対応してあるから」と言う。その対応がはっきりと安全確保に功を奏さなければならないんです。それを見届けるのが安全性に対する当局としての姿勢であり対応だと思う。
 こういうように考えるわけなんですけれども、このことについては、ひょっとしたらもう言い合いというような形になると思いますので、今後の討論の材料として申し上げて、また話し合いをいたしたいと思います。
 そういうようなことで、これはもう私の意見という形で申し上げて、質問を終了いたしたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は意見でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 先輩議員、同僚議員の御高配により登壇の機会を得ましたことを感謝申し上げます。
 昭和六十二年一月に県庁を去って三年余、時代は激しく変化してまいりました。東欧の社会主義国やソ連の民主化のうねり、日米経済摩擦を初めボーダーレスエコノミー諸問題の激化、未曾有の好景気のもとでの東京一極集中と地域格差の顕在化、そうした中で本県の相対的なおくれに対する屈折した焦りが積み重なってまいっておりましたが、本議会開会日における知事説明の力強さ、県勢浮揚にかける積極姿勢と意欲的な肉づけ予算、まことに頼もしく感じたのは私一人だけではなく、世論も大きく歓迎しているところであります。
 着々と進む関西国際空港の建設、高速道路の大阪府下及び紀南への延伸、南紀白浜空港のジェット化事業等、国土幹線軸との直結が間近となり、県内各地での企業進出や各種プロジェクトの進行が県経済に強力なインパクトを与えており、実感として明るい展望が開けてまいりました。そうしてこれから先、本県はどのように発展し変貌していくのであろうか、大変楽しみが持てる反面、順調に進展するかどうか、また心配される面も考えられるところであります。
 さて、仮谷知事は職員に対する訓示の中で、行政の果たす役割の中でも先見性、先導性、リーダーシップがとりわけ大切であると常々諭されており、うなずけるところでありますが、先見性つまり将来どうなっていくかを予測するのはまことに難しいものであります。
 ここで、一つの話の御紹介をお許しいただきたい。
 昭和五十五年秋のある日のこと、ある学者から知事はすごい講義を受けられた。関西国際空港建設に対して近畿の各府県がすべて賛成していない今から十年前のことであります。学者というのは、皆さんも御存じの今野修平・大阪産大教授であります。当時、国土庁計画官として三全総を中心にまとめられ、ちょうど福井医科大学の教授になられたばかりでラジカルな新進気鋭。お聞きしたのは二十一世紀の和歌山の姿であります。
 今野教授は、「先ごろ先進工業国を研究している学者仲間約二十人ほどが集まって一晩けんけんごうごう、二十一世紀には全国でどの府県が最も発展しているのか論じ合った。期せずして皆の意見が一致した。和歌山県だということであった。ただしその前提条件は、泉南沖に関西国際空港ができればということであった」と話されたそうです。
 簡潔にその理由を申し上げます。
 私は、先見性について、かねがね学者は偉いと思うのでありますが、その当時の昭和五十五年、「日本が今のまま世界じゅうへ日本の優秀な工業製品を集中豪雨的に輸出を続けると、早晩、必ず世界各国の企業が倒産し失業が続出して日本は恨まれ、そして日本商品は締め出されてしまう。これを回避するには、日本企業が世界各国に進出し、現地に工場を建てて現地採用し、その国で製品を販売するシステムをとらなければならない。そうしない限り日本は生き残れないだろう」と断言されました。
 十年後の今、まさにそのとおりに展開しております。しかも教授は、日本企業の世界進出も、行き過ぎるとまたリアクションが起こると指摘しております。各国から、日本ばかりが世界を制覇するという攻撃を受けるのであります。これを回避するにはどうするか。世界の優良企業を日本に積極的に受け入れる、進出環境を提供する。
 さて、そうなると外国企業は日本のどの地域に進出を希望するか。第一に国際空港のあるところ、第二に高速道路等交通基盤の整ったところ、第三に太陽の輝く暖かい地域、つまりサンベルトであります。
 アメリカで起こったサンベルト現象は、フロリダ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアなど、南部地域の巨大な国際空港のある都市近郊にハイテク産業を中心にして新産業地帯を形成し、こうしてできた都市群が衰退した東部や北部の産業地帯にかわってアメリカ経済の担い手として急成長を遂げております。そうした産業と人との南への民族移動現象は、米国のみならず西独やフランス、英国でも起こりつつあります。
 テキサスの巨大なダラスフォートワース国際空港がアメリカ東西交通の十字点にあり、広大な平地があって太陽と緑の快適環境に恵まれ、テキサス大学のノーベル賞教授陣がハイテクフィーバーの原動力を創出して、投資意欲を高めつつ世界有数のハイテク都市群をつくり上げてまいりました。そして当然、ハイウエーの周辺に企業が林立し、発展を続けているのであります。
 野村総研が以前「関西復権」のレポートを出しており、関西がなぜ戦後関東に追い抜かれたのかということの中で、その原因として、「関東への中枢機能の集中とか貿易機能の関東移転とか言われているが、結論的にはキャパシティーの差である。関西が三十年代の初頭に既に淀川に水がなくなり、工場用地が限界となったのに比べ、関東平野は日本じゅうから集まる人と企業をどんどんのみ込んで膨張を続けてきた。その差が結果的に出ただけである。今後関西が発展するにはヒンターランドの開発以外にない。琵琶湖平野、奈良盆地、紀の川平野の開発である。関西国際空港と高速交通網の整備が決め手となる」と書かれてございます。
 今野教授は、海外企業が進出を希望するとしたら、日本の中で和歌山県以外にないと断言しました。和歌山は関空に最も近く、南で暖かく、何よりも開発されていない。紀の川平野は、紀泉山脈をトンネルで掘り、太いパイプを三、四本抜けば一気に大阪と地続きになる。さらに和歌山市から海南市の丘陵部、有田川、御坊平野まで高速道路が完成すれば紀北・紀中はハイテク産業の一大ゾーンになる可能性が高い。関西国際空港が完成し外国のハイテク企業がどんどんやってくるようになると、国内のハイテク企業も和歌山に集まる。それは技術情報を求めるためであり、結果的に和歌山に技術集積が高まり、ますます発展を呼び起こすということであります。
 また、今野教授は、「紀北のこうしたハイテク産業地帯と同時に、紀南も二十一世紀に大きく発展する。それは、和歌山に進出した外国企業はバカンスを大切にし、必ずリゾートを求めるからだ。そうすると、地中海のコートダジュールに似た紀南は彼ら外国人のリゾート開発の最適地となり、さらに日本もバカンスとリゾートの時代に入り、紀南は日本有数のリゾート地に発展するだろう。このような検討の結果、二十一世紀には紀北、紀南とも大きく変貌し、和歌山県は全国でも最も発展した県になるだろう。もっとも、和歌山県が高速道路や企業用地などの受け皿づくりを積極的に進めることがキーポイントになる」とも言われております。
 学者たちの予測が必ずそうなるとは限りませんが、仮谷知事も深くうなずかれ、その結果、近畿で一番早く関空建設への賛成を表明されたものと私は推察いたしております。
 ちなみに、本県第四次長計のタイトルは「テクノ&リゾート」であります。
 長々とお話をしましたが、最近、東京において地域開発関係の学者や研究者の間で、「和歌山県がこれからおもしろい。関空と高速道路の南進で、とりわけ海南から御坊、印南あたりまでの間が注目される。仮にこれを『黒潮サンベルト』と名づけると、将来、この地帯が県開発のリーディングゾーンになっていくだろう。単に工業団地の造成だけでなく、あらゆる面からの可能性があり、それだけにここをどうデザインするか、今、大変重要な時期に来ており、その構想力が問われている。東京サイドから見てそれがわかるし、幾つかのナショナルプロジェクトも考えられ、またそれを取り込まないと大規模な開発や大きな発展は望めないだろう」と言っており、一部有志の間で検討を始めたと聞かされております。
 さて、こうした話を聞くまでもなく、我々もこの仮称「黒潮サンベルト」の発展の可能性は十分に知っているところであります。逆に言いますと、東京サイドは、最近の本県でのマリーナシティの進行、頭脳立地構想の指定、御坊テクノポリス、燦黒潮リゾート構想の推進、関空効果による立地企業の南進、また現在本県の発展を見込んで入り込んでいる開発デベロッパーの口コミによる本県のすばらしさがこうした学者等の動きになったものと私は考えますが、いずれにしても、黒潮サンベルトの発展可能性が県内外で論議が高まってまいったようであります。
 さて、去る昭和六十三年十二月議会において私は、地域産業の高度化に寄与する特定事業の促進に関する法律、通称「頭脳立地法」による地域指定に頑張ってほしいと要望いたしましたところ、早々と第二次指定を受け、全国三県の一つに本県が入りました。まことに喜ばしいことで、仮谷知事を初め当局の皆さんの御努力に深く感謝いたします。特に、事業主体が地域振興整備公団であり、海南インテリジェントパーク及び和歌山リサーチラボの完成の暁は二十一世紀の本県のリーディング産業地帯の核として期待が膨らんでまいったのであります。
 そこで、本県が今後ハイテクランドを構想する上で最も急がなければならない中核施設である大学と産業技術センターについてお尋ねします。
 和歌山大学に理工系学部を設置する運動が起こって十有余年、一向に展望が開けてこないが、設置についての現状と将来の見通しをお伺いします。
 さらに、提案として、本県発展百年の礎として県立の科学技術大学を検討していただきたいのであります。県立医大の移転という大事業を抱え、財政的に至難と思われますが、シリコンバレーを初め世界のハイテク産業都市の発展の源がハイレベルの工業大学にあることを教えられるとき、本県浮揚に不可欠であると思うからであります。
 次に、産業技術センターのリフレッシュに鋭意取り組み、新しい研究棟の予算を大幅に計上している当局に敬意を表するところでありますが、この際、新棟建設を現地再開発ではなく、環境、利用性、将来性を考えて他の適切なところに検討されてはいかがでありましょうか。
 自民党県議団の中でも声が上がっており、私見ではありますが、集積のメリットを生かすならば頭脳立地指定地内の海南インテリジェントパークの中が最適だと考えられます。この際、予算は繰り越してでもよいものをつくるべきで、同様に、集積を生かす趣旨から県立科学技術大学についてもインテリジェントパークに隣接する地が最適かと考えられますが、当局のお考えをお伺いいたします。
 さて、日本経済の絶好調を背景に関空効果を先取りした設備投資意欲が本県にも及び、企業進出が大きく伸びていることはまことに喜ばしいことであります。この陰には、当局において企業立地課を設け、有能な職員を投入して全国に関空効果をPRしての誘致戦略が成功したもので、その努力を高く評価するものであります。
 ところで、やる気満々の職員にとって決定的な悩みが二つあります。一つは、需要はどんどんあるのに得るべき企業用地の手持ちがない、いかんとも仕方がないということ。もう一つは、若い労働者が大変不足していること。これらについて庁内で連絡をとり、市町村ともタイアップしているが、きょう言ってあすにできる事柄でないだけに唇をかむ思いだとのことであります。
 ここ三、四年来の本県の企業誘致数は相当に伸び、特に去年、ことしと目覚ましいものがあります。にもかかわらず、本県の鉱工業生産指数や製造品出荷額が横ばいで、全国の成長率に追いつかないのはなぜか。その一つは、誘致間もないために成長率への寄与度が低い、もう一つは、本県のこの水準での誘致では全国水準に追いつけない、つまりスケール的に本県では経験していないもう少し多量の企業誘致が必要であるということであり、いかほど全国の成長率が高いかわかるのであります。
 例えば新潟県は、ここ三年間、全国ナンバーワンの企業立地件数で六百四十一件。ちなみに本県は百四件であります。新潟県が全国一の高速道路の延長を持ち、新幹線、新潟空港という交通基盤を生かして懸命に企業用地を造成してきたことが、東京日帰り圏という地の利もあって、すばらしい発展ぶりを見せたのであります。何と申しましても、受け皿である企業団地を造成しないことには企業進出が伸びないのであります。
 そこで、お尋ねいたします。
 まず、紀北、紀中における県関係の手持ち企業用地はどれほど残っているのか。同じく市町村の手持ち企業用地はどれほどか。
 二つ目、現在、県企業局、県土地開発公社、その他が造成中の企業用地は紀北、紀中でどれほどあるのか。市町村はどれほど造成中か。
 三つ目、現在計画中の桃山第二工業団地、雑賀崎地先埋め立てのほか、どれほどの面積を予定しているのか。
 四つ目、地域振興整備公団にもっと開発をお願いできないか。
 以上の四点をお伺いします。
 昭和六十二年の成田空港の取扱貨物量は全国港湾のナンバーワンで、全国の輸入総量の一四・二%を占めておりますが、これは大阪港、神戸港の二港分一三・四%を上回る驚くべき数字であり、関西国際空港が二十四時間空港になると乗客よりも物流量が想像以上にふえ、ヒンターランドの開発が急がれるとのことであります。
 アメリカのサンベルトのハイテク産業諸都市を見るとき、国際空港から伸びるハイウエーに沿って発展する工業群がそっくり同じパターンで関空から近畿自動車道紀勢線に沿って有田地方、御坊地方までハイテク企業が延びていくと予想され、景気の変動とは関係なしに長期間にわたり確実に展開されるであろうことが今野教授の予言どおりに実感されるようになってまいりました。つまり、申し上げたいのは、県がリーダーシップをとり、市町村ともども積極果敢に企業用地造成に取り組んでいただきたいのであります。
 先日の新聞によりますと、ソフト化経済センターは、二十一世紀の産業の基盤となる研究者やベンチャービジネスのための最良の環境を備えた国際先端頭脳都市ソフトコンビナートを日本に立地し、世界に広く知的生産の場を提供すべきだという提言をまとめてございます。
 大学、研究所、試作工場、リゾートなど、合わせて六千ヘクタール程度の全く新しい都市を二十年間程度で完成する計画で、総投資金額は約五兆円。ソフト化経済センターでは、研究環境が劣る日本からすぐれた研究者が米国などに頭脳流出する現象を解消し、日本だけでなくアジアなどの海外の人材にも開かれた研究環境を提供しようというもので、例えば米国のシリコンバレーなどに匹敵する研究所、事業環境を整えた先端都市を建設すべきであるという構想でございます。特にマリーナなどのリゾート施設やコンサートホールなどの文化施設、ショッピングセンター、外国人学校なども備えた国際都市とし、日本主導で創設する国際機関を置く構想で、自治体主導、民間企業の出資で開発を進める姿が描かれてございます。
 この提言に幾つかの自治体が関心を寄せている最中とのことでありますが、当局の御意見をお伺いします。
 私は、この記事を読んで想定したのが、海南から御坊、印南に至る仮称「黒潮サンベルト」であります。若干平地は少ないが、丘陵部の開発で対応できるでしょう。
 さて、こうしたナショナルプロジェクトの構想や東京サイドの学者が検討を始めたという仮称「黒潮サンベルト」が関西国際空港と高速道路を太い流れのベルトとして将来大きく伸びることを予測し、この際、一つの提案をいたしたいのであります。
 よその地域から関心を持たれるということは本県にとってありがたいことではありますが、仮称「黒潮サンベルト」を対象に、本県が独自にシリコンバレーのような開発可能性調査を行っていただきたいのであります。
 本県では第四次長期総合計画において地帯別に圏域内整備の方向が示されておりますが、時代の進展もあり、関空直結高速道路沿線地帯の概念で、圏域を超えた広域地帯の開発調査が必要と思われるのであります。こうした開発ポテンシャルの高い高速道の沿線は、大阪にも奈良にもありません。まさに和歌山県のみができるものであります。関西国際空港地域整備大綱のように国に認知されるような計画にまで高められれば、これにこしたことはないのであります。
 第四次長期総合計画に関し、若干のお伺いをいたします。先議会において先輩・中村千晴議員からもなされておりますので、重複を避けます。
 昭和六十一年十二月に進行した現第四次長計でありますが、その後、社会経済の急速な変化とそれらを背景とした新しいプロジェクト群がスタートしております。例えば、マリーナシティ、頭脳立地、田辺湾総合リゾート開発──丸紅と田辺市であります──燦黒潮リゾート構想等々であります。これらとこれらに伴う各種計画の四次長計本文への組み入れが課題となっておりますが、いかがでありましょうか。
 ところで、本県が将来展開する大プロジェクトと地域開発には、当然、公共事業の増大と財源問題が生じてまいります。昨年度、本年度と税収は好調となっており、単独事業が平成二年度に大きく伸びておりますが、いつまでも続きません。やはり国の公共事業を大きく伸ばさなければならない。ここで、国に対してぜひ一言物申していただきたいのであります。
 建設省が発行している「公共工事着工統計年度報」で、昭和五十八年から六十三年までの六年間の累計を見てみますと、本県は五千四十三億円で全国四十六位であります。人口六十一万の鳥取県でも五千二百十六億円。人口七十九万の島根県が八千九百億円と、べらぼうに高い。人口の似た滋賀県が七千三百五十億円、石川県が八千七百四億円と、人口同規模県に比べても和歌山県は平均二千億円少ないのであります。信じられないくらいであります。
 現在、中央でも公共事業の配分で論議が起こっております。日米構造協議でテーマに上がった公共事業の増額問題もさることながら、新行革審の国と地方の関係等に関する答申検討の中で公共事業の配分方法に問題が多く、配分シェアが硬直化しているとの論議に対し、大蔵省は適正配分で問題なしと反論しておりますけれども、一般論として、公共事業と言えば過去の実績や慣習をもとに固定的な予算配分をしている代表分野であります。例えば省庁配分枠、地域配分枠は不可侵領域でございます。対前年伸び率が均等化される結果、分母の大きい県の定率と分母の小さい県の定率との絶対額の開きが経年ごとに複利計算的に格差が開いていくのであります。
 六年間で二千億円も開く格差の事例を大蔵省に提出されたいのであります。本県財政と地域経済に及ぼす影響は極めて大きいと言わざるを得ません。
 そこで、総務部長にお尋ねします。
 逆転の発想といたしたいのでありますが、こうした公共事業費配分額が類似県に比べ著しく低い場合、落ち込み分をある程度交付税で補てんを求めていく道がないものかどうか。例えば、公共事業減収補てんのようなものであります。
 国が四全総でうたう地域の均等な発展を目指すなら、こうした地域間格差の是正をどこに求めていけばよいのか。中央に対し声を大にして、たびたび訴えてほしいのであります。特に国、公団、事業団の事業が本県では極めて少なく、国の機関の中にトータルな視点で公共事業費の配分を調整するところがないと本県の公共事業費はいつまでたっても最下位クラスにあり、したがって本県が新しい飛躍の時代を迎えながら開発は全く進まないという結果になりかねないのであります。
 ともあれ、これは私の予断ではありますけれども、関西国際空港完成後の和歌山─御坊間の高速道路の沿線は、インターを中心に、我々が想像する以上のテンポと規模で開発が進むと考えられます。関東近県の高速道路沿線の企業立地の進展は、日本の工業地図を大きく塗りかえつつあります。同じことが本県にも起こるでありましょう。
 確かに本県は平野が少なく、開発が進みにくいとする説がありますが、関東でも開発は丘陵部が多く、本県の有田地方、日高地方の低い里山は十分開発可能であります。先端科学技術都市として世界に有名なニース近郊のソフィアアンティポリスは地球の皮をはぐような開発をやめ、まず山に道をつけ、その道に面した必要な用地のみを企業用地とし、できる限り山の緑を残す自然保護の姿勢を貫きました。そうすることにより、緑の多い快適環境として研究者が集まるのであります。
 本県も、このような開発方式を研究していただきたい。企業用地の造成におくれをとると、県内企業すら県外へ流出するのは当然であります。フランスのラングドック・ルシヨンの成功は、理想を理想に終わらせることなく実現に努力して初めてなし得たものであるとのことであります。
 私の夢は、二十一世紀初頭には黒潮サンベルトの開発が大きく進み、海外の企業が進出して本県の海外駐在事務所がヨーロッパに、アメリカに、アジアに設けられ、本県文化の案内と企業誘致に活躍する職員がふえ、同じ形で海外事務所が本県に駐在して国際化が一段と前進する和歌山県の姿であります。
 次に、土木部長にお尋ねします。
 観光リゾート地として紀南はようやくフットライトを浴びてまいりました。くろしお特急新大阪乗り入れで観光客も相当増加し、紀伊半島に乗り入れる観光バスもひときわ多くなったようで、ことしは一段と期待が持てそうであります。
 一説によると、週休二日制の定着と広がり、リッチな退職者の旅行ブームが底辺を拡大しているとのことで、こうした紀南への旅行ブームの背景と南紀白浜空港のジェット化を見込んで関東のデベロッパーから紀南が大変注目を浴び始めました。この機会をとらえ、私も微力ではありますが、東京を中心にリゾートの誘致に頑張っているところであります。再々上京しては、とにかく現地を見てほしいと企業に来てもらっておりますが、地図の上に絵をかくのと違い、いざ進出となると厳しい採算制に立つためになかなか誘致は進みません。
 来県のたびに私は白浜空港から串本周辺までを自分の車で案内するのでありますが、必ず指摘されるのが、一つは道の悪さ、カーブの多さ、二つは、串本まで一時間三十分は遠過ぎる、せめて一時間にならないものか、バイパス等の国道整備はいつ完成するのかということであります。気候、風土、景観については抜群だと口をそろえて褒めてくれますが、最大の隘路は国道四十二号であります。そこで、直線化工事の見通しを建設省紀南工事事務所に伺うと、逆に陳情を受けます。現行予算に上積みをいただくと工事がはかどるのだがと、暗にプラスアルファを県から中央に要望してほしい様子であります。
 改良は白浜町─日置川町間で検討が進められているようでありますが、現況と今後の見通しをお伺いします。
 本県は公共事業費の配分が少ないことを逆手にとって国に訴え、国道四十二号白浜─串本間の改修を強く迫ってほしいのであります。観光県であり、リゾートを主要産業に位置づける本県に恥じない国道にしてほしいのであります。
 次に、農林水産部長にお尋ねします。
 活力ある山村づくり推進事業、通称「活山事業」でありますが、この県単補助制度ができた昭和五十七年度予算は三億七百万円であった。それから毎年シーリングのたびに二千万円ずつ削られ、平成元年には一億六千四百六十三万円にまで小さくなりました。平成二年は元年とほぼ同額だということであります。
 この活山事業は、活力ある山村づくりのため、国庫補助の対象とならない小規模な産業振興対策、人づくり対策、定住環境整備等の事業に補助され、中でもふるさと産品推進は非常に人気が高い。理由は、自分の地域に合った産地づくりを選択できるからで、既に例えば日置川のセンリョウとか、どこどこのシキビとかシイタケ等のように産地が立派に育ってまいりました。非常によい補助制度であります。半島振興過疎対策特別委員会の現地調査でも、必ず補助金の枠の増大を要望されます。地元でも、町村長さんや地域の有力者の皆さんから私どもはいつも要望を受けてございます。
 私が申し上げたいのは、これだけ実績の上がった要望の高い立派な補助金をなぜシーリングでカットをし続けてきたのかということです。過疎を食いとめる予算を削れば過疎を促進するようなものであります。過疎の実態を知っておれば、シーリングだからと言って机の上でばっさり切れないはずであります。マイナスシーリングの欠点は、すぐれたよい制度も、時代の要請にこたえた制度も、その支出の芽を摘んでしまうことであります。財政当局もその辺を十分に考えていただきたいのであります。
 平成三年度以降の活山事業の見通しをお伺いしたいのであります。
 次に、新しい果物の話であります。
 自治大学校時代の友人が山口県で議員をしており、先月、招かれて行ってまいりました。農業問題はいずこも同じ悩みが多く、高収益農業を目指し、一つは施設栽培の拡大、二つは新しい果物の発掘を行っており、そこでユニークな話を聞きました。
 山口県は山東省と姉妹県で、交流を高めるためにと門外不出の名果・肥城モモの苗を数年前に山東省から進呈され、去年初めて結実し、試食会を行ったとのことであります。楊貴妃が好んで食べたと言われ、一個三百五十グラムの大果で、糖度十七度と甘くてみずみずしく、香りも高いそうであります。同じ山東省と姉妹県である本県も、ぜひ進呈を受け、本県の特産品にと思うのでありますが、農林水産部長の考えをお聞きいたしたい。
 本県でも全国に先駆けてチェリモヤを開発しており、これの開発を担当した研究員は、さらに世界で最も値段の高いナッツ、マカデミアナッツを導入し、栽培に入っております。成功すればすばらしいことでありまして、農林水産部の努力に感謝するとともに、研究費等を惜しまず支援してやっていただきたいのであります。
 次に、ゴルフブームの到来とともに本県でも各地にゴルフ場開設の動きがありますが、昨今、全国各地でゴルフ場農薬使用に係るトラブルや事故が相次いでいるところであります。こうした中、千葉県では、このたび大英断でもって新設ゴルフ場に対し農薬使用禁止を決定し、現行ゴルフ場に対しても順次禁止を求めていく方針と新聞報道にありました。
 週刊誌「AERA」の今週号でも、無農薬ゴルフ場の特集を行っており、全国各地でもそうした動きが広がってまいりつつあります。農薬環境汚染の視点から若干人件費が高くついてもその方がベターであるとの考え方が定着しつつあり、先日も著名なゴルフ場設計家、テクノグリーンの本橋会長にお聞きしたところ、グリーンの消毒は欠かせないが、その他フェアウエー等、人力除草で十分できるのではないかとのことであります。
 本県における新設ゴルフ場及び既設ゴルフ場の農薬問題にどう対処される見通しか、お考えをお伺いします。
 総務部長にお尋ねします。
 ふるさと創生一億円事業は、東京一極集中が進む中で、地方の振興、地域おこし、ふるさと創生を進めるということで全国的に大変な関心と反響を呼びました。地方自治経営学会が全国の自治体に行ったアンケート調査の結果を見ますと、一番目には、各自治体が自主的、主体的に我が町づくりを考える起爆剤になった、二番目に、住民にも我が町を考え、町づくりへ参加するという意識が芽生えた、三番目には、マスコミ等にも大きく取り上げられて広く国民にも知れ渡り、自治体の町づくりによいPRになった、これほどまでに各方面から関心の目が向けられたことはかつてなかったことで、各市町村がみずからの施策力を示す絶好の機会となったと、高い評価がなされております。こうした人気を受けて自治省からふるさと創生一兆円構想が打ち出され、平成二年度も継続が決まっております。
 そこで、本県における一億円事業の実施状況とこの事業に対する評価、平成二年度の国の方針、制度の内容、そして都道府県に対する事業がどうなっているのか、お尋ねします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 通告が副知事ということでありますので、堀本議員に第四次長計にかかわる幾つかの課題についてお答えをいたしたいと思います。
 まず、和歌山大学の理工系学部の増設についてであります。
 このことにつきましては、従前から、県からも強く要望して大学当局においても検討が重ねられてまいったわけでありますが、その結果、本県の地域振興に寄与することを重視した学部として、応用分野を中心に据えた産業科学部とすることが昨年学内で決定されたところであります。
 現在、具体的なカリキュラム等について検討が進められていると聞いてございます。今後とも早期実現に向けて、和歌山大学総合大学化促進期成同盟会などと連携を図りながら、和歌山大学並びに文部省等国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
 また、ただいま御提言ございました県立科学技術大学についてでありますが、大学の設立に当たっては、御承知のように用地の選定、確保、あるいは施設の整備を初めとして財政的な問題、教育内容や教授陣の確保といった大変多岐にわたる検討が必要でございますので、長期的な視点から研究をさせていただきたいと思います。
 次に、工業技術センターについてであります。
 工業技術センターを地域産業の魅力ある中核的研究開発施設として再編整備をするために、センターの適地について種々検討を重ねてまいりました。その条件といたしましては、産業の集積地との距離、用地取得の可能性、アクセスの問題、またビッグプロジェクトとの関連性、さらには人材育成の場である高等技能学校との連携など、総合的に検討した結果、現在地での再開発といたした次第であります。
 今後、センターの再編整備推進に当たりましては、関係者の意向を十分に踏まえ、頭脳立地構想とも連携を図りながら幅広い技術支援体制を整備してまいりたいと考えております。
 次に、企業用地の開発についてであります。
 最近における好景気と関西国際空港あるいは高速道路等基盤整備が進む中で本県への企業進出意欲が高まりを見せておりますことは、お説のとおりでございます。このような状況の中で、受け皿である企業用地問題が御指摘のとおり最も大事な課題であろうかと思うわけであります。
 御質問の紀北、紀中における手持ち企業用地のうち県関係については、今月六日に三社と進出協定を締結した吉備工業用地をもって全く分譲済みとなったわけでございます。市町村段階につきましては、粗造成を含め十三万一千平方メートルを確保いたしておりますが、このほとんどが分譲内定あるいは特定の企業と折衝中の状況でございます。
 次に、造成中及び来年度造成予定の企業用地でございますが、県段階では、桃山工業団地及び北勢田工業用地、合わせて二十四万七千平方メートルの造成に着手をいたします。また市町村段階では、十三万平方メートルの造成を計画いたしておるところであります。平成三年度以降につきましては、県では和歌山市雑賀崎地先の埋立企業用地を初め約八十九万平方メートル、市町村段階では約六十二万平方メートルの造成を予定いたしております。
 昨今の用地買収の困難さはございますけれども、前段に申し上げた企業立地の絶好の機会を失うことのないように全力を傾注してまいりたいと考えております。
 地域振興整備公団の事業主体となる中核工業団地につきましては、おおむね百ヘクタールの開発面積と開発地域指定等の条件が要るわけであります。このほか、地元市町村の全面的な協力が必要となってまいります。
 今後、近畿通産局を通じまして、公団の本県での事業化の可能性について十分協議を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、第四次長期総合計画の今後の運用についてお答え申し上げます。
 議員御案内のとおり、海南から御坊、印南に至る地域は、交通基盤で見ますと、近畿自動車道紀勢線が既に吉備町まで開通し、吉備インター周辺に相当数の企業が進出しているところでございます。
 関西国際空港開港時には、大阪府吹田市までの全線が供用されます。また、御坊までの区間は既に事業化し、御坊から田辺までは、昨年、国において予定路線から基本計画路線への昇格がなされたところでございます。
 このように、県土の幹線大動脈となるべき近畿自動車道紀勢線の建設が急ピッチで進んでおりまして、まさに地域振興のための諸条件が着々と整い、開発の機運が高まってまいりつつございます。
 県といたしましても、近畿自動車道紀勢線の南進に伴うインパクトと特性を生かした新たな展開といたしまして、インターチェンジ周辺における産業の現況等や既存諸計画との整合性に留意し、立地が有望となる業種等々について第二次中期実施計画の策定の中で鋭意検討してまいる所存でございます。
 なお、議員御提案の黒潮サンベルト構想につきましては、研究課題とさせていただきたいと存じます。
 次に、四次長計策定後の状況変化への対応についてでございます。
広く県内各界の方々の御意見をいただき策定した第四次長期総合計画は、西暦二〇〇〇年を目標年次とした十五年間の長期計画であり、基本的な県勢発展の方向と目標を示したものでございます。この基本計画を推進するため昭和六十三年三月に中期実施計画を策定し、計画の進行管理を実施しているところでございます。
 この中期実施計画は、本県を取り巻く社会経済情勢の変動等を的確にとらまえ、効率的な行財政運営の推進に努め、重点的に実施すべき施策、事業を明確にすることにより、本県の行財政運営の基本としているものでございます。
 その後の社会経済環境の変化、あるいはまたその後の検討に基づくプロジェクト等につきましては、平成二年度に策定する第二次中期実施計画に盛り込んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 御指摘の公共事業の配分の問題につきましては、本県にとっても大変重要な問題であると考えておりまして、私どもとしても県レベルで種々分析をいたしているところでございます。
 例えば財政力、人口等の点で類似している県との比較をしますと、道路事業では若干多目の公共事業を実施している反面、街路等の都市計画事業ではかなり下回るというようなアンバランスがあることも事実でございます。また、大規模な水田が少なく、圃場整備事業が少ないことや、道路公団の事業が一時中断したという事情もあるわけでございます。
 いずれにせよ、公共事業についても県勢活性化にとって何が必要かという観点から十分検討するとともに、このような県の事情、実情を国に対しても強く訴えているところでございます。
 また、こういう公共事業をめぐる諸論議の中で、県の発展のために緊急に整備すべき道路等については半島振興道路やふるさとづくり特別対策道路といった手法を用い、県単独事業として大規模な事業に取り組んでおります。これらの事業につきましては、御指摘の趣旨にも沿って、その一部が地方交付税で措置されるということになっており、実質的に見て国の補助事業、公共事業を補完する形となっておるわけでございます。
 今後とも事業の効果について十分分析を行い、どのような方策によって県にとって必要な投資的事業を重点的に展開していくのか、御提言の趣旨も踏まえて研究してまいりたいと考えております。
 次に、ふるさと創生一億円事業でございます。
 県内市町村それぞれみずから考え、みずから行う事業という趣旨に沿ってアイデア募集等住民の参加を求めたところ、全市町村で百六の事業が決定され、それぞれ実施に移されているところでございます。
 各市町村は地域の特性を生かし、産業の振興や観光事業、また長期的視野に立った人材育成や国際化事業に積極的に取り組んでおりまして、これらの事業が契機となって主体的な地域づくりと地域の活性化の機運が一層高まり、活力ある県土の創生に結びついていくものと期待しているところでございます。
 また、平成二年度におきましても、ふるさと創生の一層の推進を図るため、国において総額一兆円を超える規模の支援策が講ぜられるものとされているところでございます。
 まず、新たな施策として一億円事業をフォローアップする地域づくり推進事業が創設されまして、五千三百億円──これは、ソフト事業、ハード事業の両方あるわけでございますが、これらに対する起債と交付税措置が行われるものとされております。
 また、昨年に引き続き、ふるさとづくり特別対策事業、あるいはふるさと財団関連融資、ふるさと市町村圏などの施策が充実強化されております。
 都道府県に対する措置としましては、市町村支援のための経費として引き続き一億円程度の交付税措置がされているほか、県が行うふるさとづくり特別対策事業、あるいはふるさと市町村圏への出資金等に対して昨年度と同様の財政措置が行われることとされております。
 県としましても、このような制度や、県単独事業として平成二年度に創設予定のさきがけ補助、さきがけ貸付、地域づくり推進事業を活用し、今後一層ふるさとづくりの推進に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 国道四十二号白浜町から串本町間の国道直線化工事の促進についてでございます。
 国道四十二号につきましては、交通の隘路となっている屈曲部、異常気象時における通行規制区間等の改良計画を策定するため、昭和六十三年度より建設省において白浜町─日置川町間の調査を行っております。
 県といたしましては、調査の促進と早期事業化が図られるよう国に対して強く要望しているところであります。
 また、白浜─串本間の改修につきましては、現在、日置川町塩野からすさみ町朝来の間三・五キロメートルが日置川道路として建設省において事業が進められております。このうち、塩野─伊古木間一・九キロは日置トンネル等の工事が順調に進んでおりまして、県としては平成三年度に供用ができるよう要望しているところであります。
 また、伊古木─朝来間一・六キロにつきましては、現在、用地買収の促進を図っておりますが、一部で交渉が難航している状況であります。
 白浜─串本間の残る区間につきましても、通行の隘路区間や異常気象時における通行規制区間の改良を国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 活力ある山村づくり推進事業は県単事業として五十七年度から実施をしておりまして、特に六十一年度からは産業振興、資源活用、人づくりを三本の柱として事業を推進しております。
 議員お話しのように、山村の地域づくりに幅広く対応できる効果的な事業として市町村、地域の方々から非常に多くの要望がありまして、大切な事業と考えてございます。
 山村振興をより効果あらしめるために、山村過疎対策についての国の補助事業の積極的な活用ともあわせて、可能な限り地域の要望にこたえてまいる所存でございます。
 次に、山東省の肥城モモの導入と新しい果実の研究費の問題でございます。
 本県でも友好提携を結んでいる中国山東省から魯西黄牛、ナスビ、白菜──特に白菜の原産地が山東省でございます──またアメリカからはチェリモヤ、ナッツ類を導入し、各試験場において適応性、産地化の可能性の研究を鋭意進めているところでございます。
 お話の肥城モモにつきましては、大型の桃で、肉質がかたい、日もちが良好な反面熟期が遅い、結実も不安定であるという、栽培上難しい点もあるようでございます。今後の取り組みにつきましては、関係機関と調整を図りながら検討してまいりたいと存じます。
 また現在、果樹園芸試験場で取り組んでいる新しい果実の開発研究は昨今の消費の多様化の中で大変重要と考えておりまして、チェリモヤ等の生産安定技術の確立、あるいは個性化商品の開発研究の強化のために予算を計上し、今議会にお願いをいたしておるところでございます。
 最後に、ゴルフ場と農薬の問題でございます。
 ゴルフ場での農薬の使用につきましては、六十三年の九月以降、農薬取締法に基づいて適正使用などの指導徹底に努めるとともに、昨年の六月には、関係する二十三市町村と県関係十七機関で構成をする県ゴルフ場農薬安全使用指導対策協議会において指導の強化を図っているところでございます。
 ゴルフ場の新規開発につきましては、農薬、肥料を含めた年間使用計画に基づく影響評価や、さらに開設後の水質検査の実施など、自主管理の徹底を強く指導しているところでございます。
 また、既存のゴルフ場につきましては、啓発、研修、立ち入り等の指導に加え、平成二年度からは芝の病害虫及び雑草の発生実態に応じた防除適期の解明や、周辺環境に影響を与えない散布技術の開発を目指した農薬安全指導取締対策事業の拡充予算を本議会にお願いいたしているところでございます。
 これらの成果を生かし、各地の先進事例をも調査しながら安全防除指針を策定し、必要最小限の防除が図れるよう今後とも総合的な取り組み強化を図ってまいる所存でございます。
 議員お話しの千葉県のゴルフ場の農薬禁止の件につきましては、三月九日の報道で知りました。直ちに千葉県にその事情を伺ったところでございます。この問題につきましては、関係部局ともども真剣に検討をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
17番堀本隆男君。
○堀本隆男君 御答弁ありがとうございました。二点について。
一点は、関空から直結して南へ延びる高速道路の沿線、海南─御坊間のサンベルトでございますが、東京では大きく注目を浴びております。各地域ごとではなく、連檐したこの地域全体を対象に二十一世紀に向けたハイテクランドとしての可能性調査をぜひ行っていただきたいのであります。
 二点は、よしあしは別として、リゾート産業を発展させるためにはスポーツ施設であるゴルフ場をつくらざるを得ません。ところで、本県でもゴルフ場設置に反対する住民がふえつつあります。反対する最たる理由の一つは農薬と健康問題であります。この問題が解決するとゴルフ場の建設は大きく前進するでしょう。農薬を使用しない場合、業者は若干人件費が高くなりますが、それくらいは十分対応できるとのことであります。当局の厳しい姿勢を決断していただきたいのであります。
 以上二点、要望といたします。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十八分散会

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