平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(岸本光造議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番岸本光造君。
 〔岸本光造君、登壇〕(拍手)
○岸本光造君 まず、農政の数点についてお伺いをいたします。
 今や本県県政は、関西新国際空港との何がしかのかかわりで論じられることが極めて多くなってまいりました。企業誘致、道路、産業、人口、そして農業など、県民生活の各般にわたってであります。
 本県農業と関空の関係も、多くが語られてまいりました。臨空農業の展開とそのためのプロジェクトづくり、空輸農業の実験、農業の国際化、バイテク農業の展開などなど、数えれば切りがありません。これらバラ色のスローガンがそのものずばりうまく成功するならば、本県の農業は大した活力を得ることになると思います。
 空港開港まであと三年と迫った今日、これらの実験的なスローガンをそろそろ集約して一定の成果をまとめ、残された時間になすべき方針を定めなければならない時期に今はあると考えます。例えば植栽の植木など和歌山県のものを売り込むとすれば、ことしがラストチャンスかもしれません。特に巨大な空港都市を満たす生鮮農産物と、ここから輸出する農産物との二つに分けて、最後の農業の指針を出すべき時期にいよいよ来ているだろうというふうに考えます。
 聞くところによりますと、県下の民間大手企業が前島に農産物の集出荷センター用の用地を確保したとか。まさに民活の力をかりてでも、この際、本県農業と関空のかかわりの展望をもっともっと具体的に持つべきでありましょう。新空港ができたら本当に農業もよくなるだろうかというのが現在の農家の実際の気持ちであります。バラ色のスローガンが余りにも華々しいだけに、それに見合った成果を切に望むものであります。
 関空がオープンしたら農業がもうかるかどうか、そして農業がそのように成り立つためには今何をなすべきか、知事並びに農林水産部長の考え方を求めるものであります。
 次に、オレンジの自由化関連で二、三点お伺いをいたします。
 いよいよ自由化の国内対策も二年目に入ります。ミカンの転園は順調であるように伺っていますが、中晩柑類の転作につきましては、全国枠が四千ヘクタールでは、ちょっとおさまらない勢いにあるように思います。特に本県にとって枠の不足は、現状を見れば既に明らかであります。我々議会も枠拡大には全力投球をしますが、当局はどう対応されるか、お伺いをしたいと思います。
 次に、ミカンは幾らだめだと言いましても、品質のいいものは依然として果物の王様であろうと私は信じます。味一ミカンなど、いいミカンづくりのために多くの施策について今般予算計上されておりますことは、うれしい限りであります。
 アメリカのオレンジが日本へやってくるのなら、品質や食べやすさで決して負けない温州ミカンをアメリカ、カナダ、ヨーロッパへどんどん輸出すべきであろうと私は考えます。
 この一月、県の配慮で那賀郡六町の農業協同組合の組合長らが、まさに敵国アメリカのオレンジ事情を視察に行ってまいりました。彼らの帰国報告によりますと、アメリカのオレンジづくりも、労働力の不足、地価の高騰などで大変苦しい状態にあると言います。これだったら温州ミカンが競争しても価格的にも決して負けない、どんどん攻めるべきであるという感触と自信を深めて帰ってきたようであります。農業は、「ミカンはあかん、あかん」ではなしに、立派なものをつくって攻めの農業を今や展開すべきであろうと思います。
 時あたかも、農水省には輸出対策室が設置されました。農産物自由化や経済、社会の国際化の進展に対応して我が国農林水産業の国際化を図るため、農林水産物の輸出に取り組む関係者に対する適切な情報の提供、指導等を図ることを目的で、平成二年度、対策室設置とともに、振興対策費として四億七千万円余が計上されています。農水省では四億七千万円余の予算を輸出対策で組むのは初めてで、その意気込みが感じられるわけであります。
 和歌山県にあっては、関空開港直前、厳しい面ではオレンジ自由化直前、そしてたまたま本県選出の東力代議士が農水省の政務次官に就任され、厳しさはあってもいろいろ有利な条件もございます。これらを大いに活用して、ミカン輸出に向かって攻めの農業を展開すべきであります。
 既に紀北筋では、来年をめどにアメリカへのミカン輸出を行うべく具体的に準備をし始めております。農水省からも視察に来られたと聞いております。これには国の指定が要るようですが、その枠取りにも知事を先頭に最大限の努力を願うものであります。
 次に、紀の川用水の問題についてお伺いをいたします。
 紀の川用水の受益者負担軽減につきましては、以前から格段の配慮をいただいているところであります。また、意見書を議決するなど、本県議会挙げて重ねて要望いたしておりましたが、今回、二月補正で二億円が貸付金として計上されております。全く感謝にたええない限りであります。
 二億円と言えば大金であります。この貸付金が農家負担の軽減に有効に生かされ、本問題の抜本的解決につながるように願うわけでありますが、今後の問題として、厳しい農業情勢の中で農業所得からの負担金捻出が非常に困難な状態にございます。放置すれば社会問題化するおそれさえあります。これらの状況にかんがみ、紀の川用水受益者農家の窮状を御理解いただき、平成二年度以降の対策についても、関係農家の期待には大なるものがありますので、これにこたえてやっていただきたいと思います。その見通しはいかがなものでありましょうか。
 農業問題の最後に、農業公社についてお伺いをいたします。
 農村における地価の高騰を抑えて優良農地を確保し、さらには農地の流動化を図って農山村を活性化しようという大変欲張りな目的で去年発足した農業公社でありますが、まず、この一年でどの程度の成果があったのか。さらに、組織はすべて兼務職員と聞いておりますが、現在、大阪方面からの紀北筋への土地投機あるいはミカン園廃園地の増加などにかんがみ組織の確立を急ぐとともに、今後、県下各地でどのような取り組みをするのか、その方針をお伺いしたいと思います。
 次に、道路問題についてお伺いをいたします。
 県勢の発展はまさに「道路網の整備にあり」といった感のある昨今ではあります。「活力ある和歌山」への離陸を目指し、今回、道路整備に五百十二億円余を集中投資することは極めて意義のあることであろうと思います。
 私は、紀の川筋の道路網の整備について申し上げたいと思います。
 紀の川平野は関空のインパクトを第一次的に受けとめる位置にあり、したがって企業誘致も今後ますます盛んになるであろうと予測されます。工業産品の出荷とあわせて、急を要する農産物の搬出も今後増加するでありましょう。
 紀の川筋の幹線道路と言いますと、右岸の国道二十四号線、左岸の県道和歌山橋本線の二本であります。この二本の動脈は、生活道路としても、あるいは産業道路としても極めて重要なものであります。動脈はスムーズに流れてこそ動脈としての価値と意義を持つものですが、現実は渋滞に次ぐ渋滞であります。
 朝夕のラッシュ時だけではなく、今や渋滞が通常になっています。渋滞に巻き込まれるといらいらしますし、その結果、事故も起こしやすくなります。普通一時間で走れるところ、渋滞のため一時間半も二時間もの時間がかかり、時間的な約束や予定が立たないこともしばしばであります。
 岩出橋付近あるいは打田町黒土から東部方面などは慢性的な渋滞であり、特に二十四号の黒土地点では、東方面行きが三車線から一車線に縮小されることもあって、混雑ぶりは大変なものであります。これでは企業誘致も二の足を踏むかもしれません。さらにまた、関空のさまざまなインパクトを有効に受けとめる位置にありながら、十分受けとめることができないかもしれません。それにも増して、黒土地点から橋本市までに約十二万の県民が生活しております。これは県人口の約一一・五%ですが、これら住民の毎日毎日の時間的ロスには巨大なものがあります。京奈和自動車道も近々には予定されますが、今差し迫って住民が望むことは、黒土から東へのバイパスと県道和歌山橋本線の整備の二つであります。
 県道和歌山橋本線につきましては、国道二十四号線の代替道路にもなるものであり、早急な全線改修が望まれますが、見通しはいかがなものでしょうか。
 また龍門橋でありますが、この橋は、国道二十四号線と県道和歌山橋本線の、つまり紀の川の右岸と左岸のバイパス的役割を果たすとともに龍門山山ろくの農産物の搬出を一手に担うもので、今やとても狭隘となり、したがって事故も多くなっております。
 一昨年でありましたか、龍門橋のかけかえについて調査もしていただいておりますし、知事にも二度ばかり親しく現場を御視察いただいております。ここに改めて龍門橋のかけかえを強く要望するものでありますが、見通しはいかがでございましょうか。
 次に、府県間道路の問題についてお願いをいたします。
 大阪府及び貝塚市の協力によって粉河から貝塚へ、山越えではありますが、今やバスとトラックが対向できるほどの車線を持つ、府県間道路にも匹敵する道路が完成をいたしております。粉河町役場から貝塚市の市役所まで、この山越えの道を車で走ると三十五分から三十八分ぐらいで着く道でございますけれども、誕生後、真新しいために地図の上ではまだ認知をされておりません。
 この粉河貝塚線のごくそばには近畿自動車道の貝塚インターがありますし、ふる特事業でただいま事業していただいている関連道路も完成をします。さらに、ことしには山上に関空を見おろす展望台が完成し、物産館なども誕生する予定でございます。これらができますと、大阪から葛城山に登ってまいる年間約十万人の人が、さらに十五万、二十万とふえるだろうと思われます。今後は、そういう意味でかなり重要な路線になってくるでありましょう。
 本路線を府県道に認定されるよう要望いたしますが、その見通しはいかがでありましょうか。
 さて最後に、一つお願いをいたします。
 この前に那賀郡の町村会、六町の町長さんらから陳情・要望が出されている件ですが、県道泉大津粉河線の国道昇格に際しては、那賀郡の起点を国道四百二十四号線に接続してほしいということであります。昇格整備については、那賀郡町村会の要望に特段の配慮をされますように、これは要望しておきます。
 次に、企画部行政についてお伺いをいたします。
 本県の当初予算が初めて四千億円台に乗ったということは、我々議員にとっても大変うれしいことであります。企業誘致が平成元年に十五件も進んだと言えば、よくなってきたなあ、県勢に少し弾みがついてきたなあと、これもまた非常にうれしいことであります。
 議員は、当局とは違った政治の立場で県勢浮上を願い、県民が少しでも住みやすくなるようにと願って日々活動をしているわけであります。ですから、議員には絶えず、県勢浮上、県民生活の安定という問題意識が念頭にあって、これが原点になってあれこれの問題解決に奔走をしておるわけであります。したがって、各方面から、和歌山県はどうしたらよくなるのか、いかにすれば県勢が浮上するかといったことをよく聞かされます。
 いろんな意見があります。道路の整備がおくれている、農産物、海産物などの出荷に際して統一マークをつけてもっと高く売り出すべきである、レジャーより産業を優先すべきではないか、若者の流出を防ぐために研究学園ゾーン構想を再検討すべきではないか、和歌山にはこれだというオリジナリティーがない、だから引きつける魅力に乏しい、物まねばかりではだめで、つまり補助金行政にどっぷりとつかり過ぎていては新しい考えや先見性に欠けてくるのではないかなどなど、県民や識者は、まあ厳しいというか、ある意味ではありのままに感じたことを教えてくれるわけであります。これらは、県民が三人寄れば出る意見のほんの一部であると思います。
 県会議員は、それぞれの選挙区にあって、日常茶飯事にこんな意見を聞かされているわけであります。聞いていると腹の立つこともありますし、とてもつらいこともあります。知事を先頭に、議員は立場が違っても一丸となって努力しても、きょう、あすにすべてが解決できる性格のものではありません。
 企画部は、これらの問題をまとめて総括をしながらパイオニア的に本県の長計を出し、十年、二十年先の活力ある本県の姿を展望する仕事をするところであろうと思います。そうして、そのために今いかなる施策をすべきなのか、どう対応しておけば十年後に活力が出るのかというようなことを検討して企画、計画するのが企画部であろうと思います。いわば、本県のシンクタンクであるだろうと思います。
 そこで、企画部長にお伺いをいたします。
 第四次の長計によりますと、平成二年の本県人口は百九万五千と書き込まれておりますが、実際は百七万九千人であります。その差が一万六千人もあります。この長計策定からわずか三、四年で一万六千もの人口の差がどうして生じたのか、お伺いをしたい。企画部のコンピューターに何か欠けていたのではないですか。社会情勢の変転を理由に挙げるなら、それを予想できなかったこと自体、先見性の欠如ということになりますが、いかがですか。
 また、この前、この議場でも申し上げましたが、東京ディズニーランドは今も若者のあこがれの的であり、幕張メッセも一躍国民的注視の的になりました。そこには、アイデアと人々を引きつけて離さない独創性があるからだと思います。
 今や、リゾートと万博は全国至るところにあふれ始めました。飛びっ切りの個性がなければ人々は集まらないでありましょう。和歌山のリゾート博や燦黒潮リゾート構想は国民を引きつけて離さない何か、和歌山はこれだという独自性があるのかどうか、和歌山のリゾートや万博は全国民を動員すべきいかなるオリジナリティーを持っているのか、御意見をお伺いしたいと存じます。
 さらに、本県は財政的に決して豊かな県ではありません。きのうも中村博議員が、これでは知事が余りにもかわいそうではないかと申し上げておりましたが、補助事業をうまく活用して少しでも前進しようと努力されている知事の姿勢には涙ぐましいものがあると思います。半島振興道路、ふる特事業の道づくりなど、数えれば切りがありません。
 今、企画部は、補助金のない事業について「ウーン」とうなるような何かを企画したことがあるでしょうか。補助事業に合ったものしか思考できないのではないか。これでは余りにも貧乏根性に取りつかれているとしか言いようがありません。
 国の補助金プラスアルファ、このアルファが個性というか独創性になると思いますが、企画部にはこのアルファの精神があるかどうか。
 新空港の衝撃には、はかり知れないものがあります。大阪府のこれへの投資も、我々から見れば天文学的数字であります。「ギブ・アンド・テーク」という哲学がありますが、投資には必ずや見返りがあります。今の状況で本県に何の見返りが予想されますか。「新空港、新空港」と言いながら、受け皿が極めて小さいのと違いますか。扇風機の裏側にならないために今一度空港対策を総点検する必要があろうと思いますが、企画部長、いかがでございましょうか。
 以上、企画部行政について日々感じておることの、あるいは人々から聞かされていることの幾つかを申し上げました。苦言的発言であったかと思いますが、それだけに、この和歌山県を何とかしてほしいという期待感も企画部に対して大きいわけであります。
 最後に、大阪湾ベイエリア開発等、広域行政についてお尋ねをいたします。
 関空ができます。神戸から大阪、大阪から関空までは湾岸道路が走ります。そこから南へ、つまり和歌山へはどうなるのか。
 三年前、仮谷知事が関経連に働きかけてできた大阪湾ベイエリア開発推進協議会で論議されていることとは思いますが、大きな成果を期待したいと思います。見通しはいかがでしょうか。
 また、紀淡海峡トンネル構想では、第二国土軸に係る関係十七府県の推進組織の設立に向けてことしじゅうにシンポの準備も進められていると聞いておりますが、大きなプロジェクト発想の中で多様な戦略も必要でありましょうし、時間もかかると思います。これら、何をねらいとするのか、どう独自性を出していくのか。大阪湾ベイエリア開発等広域行政に係る姿勢、取り組みについて企画部長の答弁を求めるものであります。
 御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの岸本光造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 岸本議員にお答え申し上げます。
 農業問題で、関西国際空港の開港を控えた本県農業の対応ということについて種々御意見も賜ったわけでございます。農業問題は非常に厳しい段階でございますし、特にまた和歌山県にとって重要な時期だと思います。
 そうした時期における関西国際空港と農業との関係については、私も岸本議員同様、重要な課題としてとらえており、和歌山県の将来の農業のあり方を考えて施設栽培の促進を軸とした各種の事業も行っておりますし、空輸出荷の実験もいろいろ重ねてまいったところでございます。
 今後におきましても、農家の自助努力は当然でございますけれども、生産者団体ともどもいろいろな知恵を出し合っていかなければなりませんし、また流通問題と生産問題が相関連した形でこれからの本県の農業立地を考えて、今後、収益性の高い農業を生み出していかなければならないと心に決めておるわけでございます。こうした点について、格段の御指導、御協力を賜りたいと思います。
 次に、紀の川用水の受益者負担の軽減でございます。
 これにつきましては、岸本議員初め多数の皆さんからいろいろ御意見がございました。
 従来も、関係市・町の協力を得ながら土地改良区に対して助成を行い、農家負担の軽減を図ってまいったところでございますし、また話ございましたように、国に対しては、県議会での地元負担金の軽減に関する意見書や、この要望を踏まえて軽減対策を強く訴えてまいったところでございます。
 平成二年度には、新たに国において土地改良負担金総合償還対策事業が創設されることになってございます。現在、この対策の運用について検討が重ねられており、紀の川地区についての対象問題が非常に重要な課題であるということから、国に対して積極的に進めていかなければなりません。
 幸い、東議員も政務次官になられましたので、そうした面において協力を得て積極的に進めていかなければならないと思っております。
 しかしながら、県としましても、負担金償還が農家にとって厳しい実情でございますので、今議会の補正予算で貸し付けによって当面の支援体制を提案している次第でございます。
 国の償還制度との絡みを勘案しながら、総合的な観点に立って解決策を講じてまいりたいと思っております。議会の皆さんの御指導、御支援を心からお願い申し上げます。
 他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 関西国際空港と農業の問題につきましては、ただいま基本的に知事から御答弁がございました。
 関西国際空港の立地に伴い、空輸農業の展開あるいは周辺地域の人口の増加によって需要の拡大が見込まれるところでございます。
 臨空農業に備えまして、特に紀の川流域を対象に、地域整備計画をもとに高収益農業の実現に向けて施設園芸タウンの育成に取り組み、これまでにも六十ヘクタールの施設化が既に進んでございます。また、バイオテクノロジー技術による品種改良や周年出荷を目標にした作型開発などの生産技術の研究推進を図ってきたところでございます。
 さらに、流通体制の整備が非常に重要なものでございまして、既に果実、野菜を中心とした特需センター並びに花卉流通センターを設置し、開港後に向けて機能の充実に努めているところでございます。
 今後とも、引き続き中核農家に焦点を当てながら、国際化時代に対応し、高付加価値出荷を目指した体制の整備や情報機能の充実強化等、総合的な施策を講じ、関係者が一体となって空港の立地を生かせる高収益農業の実現に向けて取り組んでまいらなければならないと考えてございます。
 次に、中晩柑類の枠の確保の問題でございます。
 お話ありましたように、中晩柑の転換目標面積は全国で四千ヘクタールでございまして、本県の配分枠としては、うち七百十ヘクタールが国から示されましたけれども、特に紀北の産地の大変強い御要望もあり、国に対して枠の拡大について強く働きかけた結果、全国の約三割に当たる千百五十ヘクタールが確保できたところでございます。
 こういった経過から、これ以上の面積の拡大は大変難しい情勢でございますので、県議会のお力添えをいただきながら、今後、引き続き国に対して枠の拡大を強く働きかけてまいりたいと存じてございます。
 次に、ミカンの輸出の問題でございます。
 果樹農業の振興を図る上から、本県にとって大変重要であると考えてございます。
 議員お話しのミカンの対米輸出につきましては、輸入自由化の決定に伴い、輸入解禁州が六州から三十八州へと拡大をされ、同時に検疫条件が一部緩和をされましたが、依然として緩衝地帯の設置など厳しい条件が付されているところでございます。しかし、本年産ミカンから新たに対米輸出に取り組む産地もあることから、現在、輸出ミカン生産地域の設定──これは国の事業として設定しなければならないということになっておりまして、既に県としてもその設定に具体的な指導を行っているところでございます。
 今後、県といたしましても、生産者団体と一体となり、輸出条件を満たすために果実の表面殺菌施設、熏蒸施設等の施設整備に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、農業公社の問題でございます。
 農業公社の活動状況につきましては、平成元年度は公社を設立した初年度でもございまして、県下市町村農業委員会に四十六名の協力員を設置して業務の推進体制の整備に努めてきたところでございます。これらから寄せられた情報をもとに、農地の実態、実施中のかんきつ園地再編対策における廃園等の動きもあわせて調査分析をいたしておるところでございます。
 ちなみに、近く農業公社事業としては、初めて二件、面積にして一ヘクタールの農地の流動化事業ができる見通しでございます。
 コンピューターを入れていただきましたので、今後、業務活動体制の強化に努め、本来の業務である中核農家の経営安定に資する優良農地の流動化を推進するとともに、さらに農業公社の持つ機能を十分活用し、企業用地の造成や公共事業促進のための農地の流動化等も推進をして農村地域の活性化に努めてまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 道路網の整備につきましてお答えいたします。
 打田町黒土から東の国道二十四号につきましては、交通渋滞が生じていることは御指摘のとおりであります。現在の道路状況を考えますと、将来整備される京奈和自動車道の整備効果を十分に発揮させるためにも、黒土以東の地域交通が円滑に処理できるような道路整備を検討していく必要があると考えております。
 このような考え方に立ちまして、昨年より、関係機関の協力のもと、行政レベルで那賀郡東部地域の幹線道路網計画を検討しているところであります。この中で、黒土以東の道路のあり方とともに、県道和歌山橋本線及び狭隘な龍門橋のかけかえについても検討してまいりたいと考えております。
 なお、和歌山橋本線の整備につきましては、現在事業中の区間の促進を図るとともに、未改良区間の中でも特に整備の急がれる隘路区間について早期に整備ができるよう、引き続き努力をしてまいります。
 次に、粉河─貝塚間の府県間道路の昇格につきましては、地方的な幹線道路網を構成するなど検討事項が数多くございますので、今後、大阪府との間で当路線の方向づけについて協議してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 先見性と独自性についての幾つかの御質のうち、まず第一点は第四次長計における人口の見通しとその乖離についてでございます。
 議員御指摘の人口見通しとその乖離につきましては、本県の約七割を占める主要産業である鉄鋼を初めとする基礎資材型産業の構造不況等、予想を上回る急激な社会経済情勢の変化及び人口の自然増の鈍化などによって本県の人口は減少してまいりました。
 しかしながら、本県産業界の自助努力並びに先端産業を中心とする企業誘致に努めた結果、鉄鋼、化学、機械などの回復、ここ数年にわたる数多くの新規企業の進出などによって本県の経済は、県民総生産において、対前年度比、昭和六十一年度一・五%に対して昭和六十二年度三・五%と拡大傾向にあり、また住宅開発や各種プロジェクトの進展により、ここ数年続いた二千人程度の人口の減少が平成元年度推計人口調査において五百九十一人と小幅にとどまり、平成二年度以降においては人口が増加に転じていくものと予測いたしているところでございます。
 第二点は、県政推進の先見性と独自性についてでございます。
 議員御指摘のとおり、先見性や独自性を持ちながら施策の企画立案に努めていかなければならないと常々考えておるところでございます。
 御承知のとおり、昭和六十一年十二月に各界の御意見、御協力を得て県第四次長期総合計画を策定し、その推進に努めているところでございますが、その中で、半島振興法による推進を初め、特急くろしお号の新大阪乗り入れ、和歌山マリーナシティの建設、南麓サイエンスパーク計画の推進、コスモパーク加太計画、さらには紀淡海峡トンネル構想や紀の川利水などの広域的行政による推進等々、県独自の発想や主体性に基づく施策の展開に努めているところでございます。しかしながら、やはり限りある本県の財政事情から、国等に対し、本県の施策へ取り入れられるものはできる限りお願いしているのも事実でございます。
 今後も、社会経済情勢の変化を的確にとらまえつつ、本県の特色を生かした、個性的かつ主体的な地域づくりを目指した施策の構築を図るとともに、二十一世紀を展望して中・長期的な観点から積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 第三点は、本県リゾート構想のオリジナリティーについてでございます。
 本県は、豊かな自然資源、歴史・文化資源に恵まれてございます。こうした特色のある観光資源を訪ね、現在でも多くの観光客を受け入れているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、燦黒潮リゾート構想において、温暖で利用期間も長く、水質も良好で全国的にも優位性を持つ「海」をテーマに、民間活力を導入しながらクルージングネットワークの形成や多様な需要にこたえられるリゾート施設を整備し、本県の独自性を十分に発揮できるリゾート整備を推進することとしてございます。
 例えば、こうしたすぐれた海洋資源を活用した日本初の人工島方式による和歌山マリーナシティや、リゾート先進国であるフランスの企業の参画も得た大規模な田辺湾総合リゾート開発計画など、日本でも有数のリゾート整備を推進しているところでございます。
 さらに、本県の特産であるミカンや梅、水産物、備長炭や花卉などを活用して地域産業との連携を図るとともに、歴史・文化資源である高野山や熊野三山などとのネットワークを形成し、本県の個性を生かした、質の高いリゾート整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 第四点は、博覧会についてでございます。
 平成五年の夏をめどに本県で開催する-ウェルネスWAKAYAMA-「世界リゾート博」は、燦黒潮リゾート構想と連携を保ちながら、関西国際空港の開港を契機に本県の魅力を国内外にアピールすることを目的に開催しようとするもので、リゾートをテーマにした地方博覧会としては日本で初めてのものでございます。
 今後、博覧会は、従来の展示、映像等を中心としたものから体験、参加型重視の傾向が進むものと考えられますので、今回の世界リゾート博においてはメーンテーマを「二十一世紀のリゾート体験」とし、和歌山県の持つリゾート環境を生かした未来志向のリゾートライフを体験していただくことを特徴といたしてございます。
 リゾートライフの体験は、主会場の和歌山マリーナシティを初め県域全体での広域的な展開を図り、県民はもとより、県外の方々にも多数参加していただける博覧会にしてまいりたいと考えてございます。
 今後とも、従来の地方博覧会にない、「和歌山ならでは」の特徴のあるものとするため、県議会を初め、県民の皆様方の御意見をいただきながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 第五点は、関西国際空港対策についてでございます。
 昭和六十年に国において、関西国際空港の空港機能の支援を第一義の目的として関西国際空港関連施設整備大綱が決定されました。国の主要施策として、近畿自動車道紀勢線、国道二十四号和歌山バイパスや泉佐野岩出線、泉大津粉河線を初めとする府県間道路等が整備大綱に位置づけられ、鋭意、事業の進展が図られているところでございます。
 本県におきましては、関西国際空港の立地に伴う波及効果を積極的に活用して県勢の活性化を図るため、紀の川テクノバレー計画、南麓サイエンスパーク計画等、七つのプロジェクトを展開するとともに、これらのプロジェクトを支える国土軸、空港軸、地域軸の三軸のネットワークを形成する関西国際空港関連地域整備計画を昭和六十一年に独自に策定いたしました。以来、関係部局において、計画の実現に向けて懸命の取り組みを行っているところでございます。
 そうした中で、既に那賀郡を中心とした数々の企業進出、近畿大学の誘致等、関西国際空港の立地に伴う成果があらわれてきてございますが、より一層波及効果を求めていかなければならないと考えてございます。
 今後、議員御指摘の趣旨を踏まえて地域整備計画の進捗をさらに図るとともに、関西国際空港の最大限の波及効果を導くため、関係部局とも十分連携し、懸命の努力をしてまいる考えでございます。
 最後に、大阪湾ベイエリア開発等、広域行政の取り組みについてでございます。
 まず、大阪湾ベイエリア開発の推進についての本県の取り組みでございますが、この協議会におきまして、大阪湾ベイエリアの対象地域は、単に狭義の大阪湾のみでなく、本県を含め、広くとらまえて展開すること、少なくとも本県では日ノ御埼に至る瀬戸内海地域までは対象地域として取り上げるべきであること、特定重要港湾としての和歌山下津港の位置づけと港湾機能の強化、大阪湾環状交通体系並びに瀬戸内環状交通体系、さらには第二国土軸の形成に不可欠な紀淡海峡トンネルの早期整備、人々に憩いと安らぎを与えるリフレッシュ空間となる自然と調和した魅力的な環境の形成等々、強く主張しているところでございます。
 また、広域行政の取り組みといたしましては、近畿圏の整備開発に関する計画や事業の促進を目的とした近畿開発促進協議会やすばる推進委員会、あるいは府県間にまたがる諸課題を協議する阪和開発連絡協議会等々において、今後とも積極的に、県益を図る立場から鋭意取り組んでいく所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番岸本光造君。
○岸本光造君 今の県政は、関空との絡み合いで進んでいるような感じが非常に強いわけですし、県民もそういうふうに考えていると思います。関空ができたら和歌山県はこうなる、関空ができたらこんなによくなる、そういうイメージで今は来ておるわけですけれども、例えば農林水産なら、農林水産部が関空とどうかかわり合うのかというような作業を進められておる。商工労働なら、商工労働部の方でそういう進め方をされておる。企業局なら、企業局で関空ができたらどうするかということで進められておる。
 たまたま、今、企画部長の言葉の中に、関係部局とも連絡を密にしたいというふうな言葉がございましたが、トータルな形で和歌山県関空をどうするのかというとらまえ方をどこかでしてほしいなと思います。
 農林だけで行ったら一の力、企画だけで行ったら一の力かもしれませんが、両方足して行くと三にも五にも力が出てきて、県勢浮上のための大きな起爆剤になってくる。だから、その辺を今後の課題として、力を合わせて県勢発展のために連携を密にしていただきたい。そのことを強く要望して、終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本光造君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十二日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十七分散会

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