平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(中村 博議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三十三分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 それでは、一般質問を申し上げてまいります。
 まず最初に、新不老橋の建設問題について質問を申し上げます。
 本問題は、和歌山県を代表する万葉ゆかりの名勝地・和歌浦の歴史的景観を破壊する暴挙であるとして、昨年夏以来、地元を初め学者、文化人などによる強い反対運動が起こり、これが全国規模にまで広がりを見せ、全国の著名な学者、文化人、宗教家などの多くの方々が反対署名を添え、県知事に和歌浦の歴史的景観保全のために新不老橋の建設中止を求める事態にまで発展してきたところでございますが、県当局におきましては、こうした地元を初め全国から寄せられました心ある訴えに対し、重大な問題点を残したまま、六月二十三日、小雨降る仏滅という日に工事着工を強行したのでございます。
 和歌山に生まれ育った者として、千数百年にわたって名勝の地としての歴史を刻み、往古よりこの地を訪れ、和歌の浦の景観を心にとどめられました数え切れない人々のあったことに思いをいたすとき、まさに断腸のきわみでざいます。知事としての行政責任の重いことを、まず強調しておきたいと思います。
 かかる事態に立ち至った以上、愚行としか思えない新不老橋建設によって名勝・和歌の浦の歴史的景観が根本から破壊される行政行為に対し、後世まで歴史的景観を残したいと熱望される余り、反対運動に立ち上がってこられた皆さん方が、やむにやまれず、法廷での争いも辞さないとして去る九月二十七日、六十三名の住民の皆さんが地方自治法二百四十二条による住民監査請求に踏み切られたのではないかと思料いたしているところであります。
 行政の立場からいたしますと、行政そのものに違法性、不当性があるとして住民から監査請求を受けることがあってはなりません。地方自治法施行以来四十数年を経過している我が県政におきまして、過去二回、請求行為があったようでございますが、仮谷県政としては初めての請求を受け、今後において、千数百年の歴史の重みを否定する立場で法廷での争いに挑まなければならないのであります。
 かかる事態を考えますと、知事として決して名誉なこととは考えられません。今回の住民監査請求は地方自治法二百四十二条の二、「住民訴訟」を前提に置いた請求であると聞き及んでおりますが、知事として、みずからの行政執行において住民監査請求を受け、法廷にまで争いが及ぶ事態に至ったことについていかなる認識を持たれているのか、この請求をどう受けとめておられるのか、まずお答えをいただきたいと存じます。
 代表監査委員にお尋ねをいたします。
 前段で申し上げてまいりました住民監査請求につきましては、申し上げるまでもなく、地方自治法二百四十二条の規定による手続等の書式が適合しているかどうか、また違法な行為、不当な行為があるかどうか、関係法令に基づいて厳正な監査が行われることになろうかと存じます。
 そこで、まずお答えを願いますことは、九月二十七日に請求書を受け付けされてから本日まで九日間経過しておりますが、正式受理に至っているのかどうか。至っていないのならば、その理由についてお答えを願います。
 監査は六十日以内に完結しなければなりませんが、この請求の要旨は、文化財との関係による違法性、不当性の問題、都市計画法等に基づく利害関係者との手続の問題、交通渋滞を増す問題であるように聞き及んでいますが、いずれにおいても、監査に当たっては独立機関として厳正公正に監査される立場にあることに異論がないと存じますが、この点についての認識のほどをお伺い申し上げます。
 なお、監査の結果につきましては、正否いずれの場合においても、法制度の上から整合性のあるもので、請求人はもとより、県民にも納得できる結果でなければならないと思いますが、この点での見解をお示し願いたいと存じます。
 土木部長にお尋ねを申し上げます。
 今回の九月補正予算案によりますと、住民監査請求のあった新不老橋建設に関連する和歌浦廻線道路整備工事において三億四千九百万円の債務負担行為が提案されていますが、債務負担としなければならない理由及び事業内容について、また新不老橋の完成までに要する予算額はどの程度になるのか、以上の点についてお答えを願います。
 私は、今日まで三たび本問題で質問をいたし、当局からそれぞれの答弁をいただいてまいりましたが、この際、答弁を整理して改めてお尋ねをしたいと思います。
 答弁の要旨について申し上げますと、和歌浦廻線は和歌公園へのアクセス道路とあわせ和歌浦地区より通過交通を排除するための循環道路となるものである、しかし、昭和四十八年、漁港整備の関係で漁港と港湾区域の境界付近で計画がとめられた現状で、現在、新和歌浦交差点までの間のルート調査を行っており、昭和六十四年度中に都市計画変更を行う予定である、完成まで十年七カ月は長いということだが、用地に係る人たちの理解を得て完成するまでには、通常、計画より十年ぐらいかかるのが常識である、和歌公園とマリーナシティとの接続については和歌浦全体構想計画の中でそうした案も検討している、不老橋より片男波に至る間の道路計画は、現在の幅員が八メートル程度で拡幅する必要がある、この道路は散策路ともなるため、幅広い歩道とこの間の階段護岸を設置したい、現在、構造等の検討をしている、この間はルート調査中であり、平成元年度中に都市計画変更を行いたい、手続については地元説明会、計画案の縦覧、和歌山市及び県の都市計画審議会を経て都市計画変更される、計画変更に際しては地元説明会等により地元住民の方々等の御意見を十分お聞きしたい、公有水面埋立法との関係については、階段式護岸を計画している区間は新不老橋完成後の平成三年度に事業着手したい、この間の具体的な形状等が決まり事業化する段階で法手続が必要となれば所要の手続をとる、以上が答弁の要旨でございます。
 そこで、これらの答弁についてお尋ねを申し上げてまいります。
 和歌浦廻線は、昭和二十二年に計画決定がなされながら、答弁にもありましたように、二カ所において計画変更がなされなければならないという事態にあること、しかも完成まで十年の歳月を要するのは常識であるという当局の姿勢からいたしますと、和歌浦地区より通過交通を排除するための環状道路としての役割が十年間果たせないことになるのではないでしょうか。こうした矛盾した答弁では決して関係地元住民は納得しないと思いますが、これらの矛盾点について当局の忌憚のない御答弁をお願い申し上げたいと存じます。
 十年間環状道路とならない中で急ぎ新不老橋を建設したために、夏場、海水浴場に集中する車が片男波一帯にあふれ、住環境に与える影響が実に大きいばかりでなく、津屋交差点、玉津島神社前交差点では大変な交通渋滞になることは必至であります。予想されるこうした事態について、当局としてはどのように判断をされているのか。なお、このような事態を招く新不老橋の建設そのものが都市計画のあり方からも整合性に欠けるものだと考えておりますが、お答えをいただきたいと存じます。
 答弁されておりますように、計画変更について、不老橋から片男波の間では公有水面埋立法による手続が必要となることは必至であります。また、新和歌浦交差点までの間では、御承知のように十数戸の立ち退き問題も絡んでまいります。したがいまして、計画変更のための法手続を進めるに当たっても相当難航するのではないかと見ていますが、当局はどのように判断されているのか、お答えをいただきたいと思います。
 なお、これらの計画変更はいずれも昭和六十四年、つまり平成元年度内で計画変更ができるとお答えになっておりますが、できるのかどうか。公有水面埋立法との関係についても具体的にお答えを願いたいと存じます。
 和歌公園、和歌浦廻線とマリーナシティとの接続について、答弁では和歌浦全体構想計画の中で接続案も検討しているとのことでありますが、和歌浦全体構想計画というものはどういう具体的な内容を持つ計画であるのか、またその接続案のねらいというのはどこにあるのか、構想案が将来具体的に計画されていくことにはならないのかどうか、以上の点にわたってお答えを願います。
 なお、答弁の中でも明確にされておりますように、和歌浦廻線そのものについて、当初の計画決定から四十余年たった今、改めて二カ所にわたる計画変更を行う事態に至ったことで、利害関係者の方々が大変なことになるという不安を持たれていることは事実であります。四十余年を経過した今日における唐突な計画変更は、行政の怠慢のそしりは免れません。当局はこうした事態に至っていることについていかに認識されているのか、お答えを願いたいと思います。
 以上の質問事項は監査請求内容とも関連してまいる点もございますので、答弁は具体的に正確にお答えいただくよう重ねて申し上げておきます。
 第二の問題に移ってまいります。
 医科大学の移転問題でお尋ねをいたします。
 長年の懸案でありましたが、さまざまな経過を経まして、六十三年度予算で基本構想、基本計画策定などに要する予算として一億円が措置され、また昨年十二月には、用地選定問題で知事が選定委員会の答申案を覆して紀三井寺競馬場跡地に移転する旨の決定が発表されました。そして今日まで約九カ月の期間を経ておりますが、いまだ用地買収に当たっての具体的な手だて等について全く不明の状態にありますので、この機会に、用地買収問題を初め、医科大学の基本計画等についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 和歌山市における売却に向けての対応について調査してまいりましたので、実態について申し上げてみたいと思います。
 厩舎を管理してまいりました方々の中で、競馬場内に居住しておられる四世帯、場外居住者一名の方々の補償問題が非常に難航しており、九月解決が十二月までずれ込むということであります。
 また、場内にあるため池が周辺農地の排水及び調整池の役割を果たしている関係から、このため池を埋め立てた場合、排水ができないとして、これらの対策について農業関係者などから要望が出されており、和歌山市ではまだ抜本的な対策が決まっていないようでございます。また、市の意見の中には「こうした排水対策の問題は県の方で行うべきでないのか」という意見もございます。したがって、この競馬場の抱える排水対策問題は非常に難しい問題になっていることは確かであります。
 競馬場全体の測量につきましては、現在のところ、仮測量が終わり、和歌山地建との境界明示ができ次第本測量に入り、十月末までには完了できるということであります。競馬場内の建物及び工作物の撤去につきましては、未解決の厩舎を除き、すべてのものが今撤去作業中で、十一月末までに完了できる見込みのようでございます。
 以上のようなことで大体順調に進んでいるようでありますが、先ほども申し上げましたように、一番大きい問題は多額の予算が伴う排水対策の問題であります。
 そこで、まず総務部長にお尋ねをいたしますが、前段で私が申し上げてまいりました和歌山市の対応策について、当局としては現状をどのように把握されているのか、お尋ねを申し上げます。
 和歌山市との用地の売買価格の折衝問題でありますが、これはまだ和歌山市との間では具体的な折衝になっていないようです。市の担当課の話を少し紹介しておきますと、売買契約は、御承知のとおり事件決議となりますので、当然、市議会には正規の不動産鑑定評価をとって提出しなければならない、また、国道四十二号線に沿って本県が買収予定しているK銀行の用地問題の売買価格も当然参考にしなければならない、したがって、価格そのものは、議会は無論のこと市民の皆さん方にも納得していただける価格にならないといけないと思います、というようなことでありました。
 こうした市の話からいたしますと、買収価格の決定に至るまで、膨大な市財政の赤字を抱えている現状とも絡んで相当難航するんではないか、こう私は見ておりますが、当局としてこれらの事情についてどのように認識されているのか、また紀三井寺競馬場跡地を医大用地として何年度で予算措置し、買収を完了されるのか、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
 なお、こうした用地買収についての資金の手当てでありますが、現在、医科大学整備基金として約百億円程度積立金を持っておりますが、これらを取り崩す考えがあるのか、ないとすればどのような財源を用地買収に充てるのか、お答えを願いたいと存じます。
 医科大学の現状からいたしますと、一日も早い統合移転を完了させなければなりません。当初、十五年という案が出されましたが、少なくとも平成十年までには完了すべきだと考えています。当局の考えはどうか。
 なお、基本構想、基本計画の策定につきましては六十三年度予算でありましたが、事情により平成元年に繰り越されているようでございます。これらの策定状況について、どうなっているのか、お尋ねをいたします。
 なお、策定された後におきましては、私ども県議会にも提出をいただきまして、私どもが県民の立場から医大統合整備について前向きの論議ができるような対応をぜひとられたい、こう思っておりますが、当局はどのように考えるのか。また、議会に提出をいただく時期はいつになるのか。
 いろいろ細かい点にもわたりましたが、そういう点で総務部長からお答えをいただきたいと存じます。
 最後に、補正予算案に関連いたしまして、若干、財政問題の見通しについてお尋ねを申し上げておきたいと思います。
 今回の補正予算で、一般会計の歳入におきまして、県税で法人県民税一億二千五百万、法人事業税で十六億三百万円、あわせて十七億二千八百万円の追加計上がなされております。こうした経緯から考えまして、平成元年度の県税の収入見込みは、見通しとしては明るい状況にあるのではないかと注目をいたしたところでございます。
 昨年の十二月議会で質問を申し上げました際に、本県の財政の厳しい現状の反映として全国都道府県における税収の伸びで本県が最下位にとどまっていることを引用したことがございましたが、今回お聞きしたところによりますと、七月度における全国都道府県での税収の伸び状況で、意外にも全国一位に至っているとのことでございます。したがいまして、県税収入の見込みについて明るい見通しが持てたのではないか、こう申し上げたのでございますが、こうした全国一位になった要因というのは一体何なのか、具体的にその内容についてまず総務部長から御説明をいただきたいと存じます。
 最近の経済動向が堅調であると言われてございますが、本県における税収の状況から見まして、県下の中小企業、地場産業における経済動向はどういう状況にあるのか。なお、本県の厳しい財政環境の一つの側面として鉄鋼、石油という重化学工業に偏重した産業構造があるとして、産業構造の転換を図る上からも新たな企業立地策がとられてまいりましたが、これらの施策の結果、税収面からそれなりの成果が得られているのかどうか、この機会にお尋ねをしておきたいと存じます。
 前段で申し上げてまいりましたように、県税収入の面で一定の明るさも見えてきているように思われますが、何しろ予算の構成比で税収が二〇%程度、この状況には大きな変化がないと思います。したがって依然として本県財政は厳しい環境にあると判断いたしておりますが、当局はどのように見ておられるのか。
 なお、平成二年度の予算編成について若干お尋ねを申し上げておきますが、国との関係で今日まで重大な問題として何度も提起してまいりました行革に伴う補助金、負担金の大幅な削減問題でございます。これは、今の状況からいたしますと、到底、緩和される兆しはないように見ているのでありますが、こうした動向はどうなのか。
 なお、消費税問題の動向いかんによりましては、地方財政問題にも大きく影響を来してまいります。このような国の動向についてはまだ非常に不確定な要素が大きいのでありますが、予算編成という差し控えた問題の関係から、当局においてはこうした問題についてどのように事態を把握しているのか。また、これは地方公共団体としての言い分というのはあると思います。そういう点にも触れ、お答えをいただければと存じます。
 消費税問題で我が党の村岡議員も御質問申し上げましたが、全国知事会での政府への要望決議がございました。これについては、この機会にもう一度、具体的な内容を総務部長の方から御説明していただければと、こう存じます。
 以上で、まず第一回の私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 新不老橋建設の住民監査請求についてでございます。
 新不老橋の建設につきましては、これまでもいろいろな方の御意見をお聞きし、また、県議会での予算の議決、建設促進の請願の採択等を踏まえまして、建設を進めておるわけでございます。
 提出あった住民監査請求につきましては、監査委員において十分検討し、処理されるものと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 新不老橋建設に係る御質問でございます。
 まず、債務負担行為を行う理由と完成までの予算額であります。
 新不老橋は、現在、橋梁本体の工事を行っておりますが、引き続いて欄干、石張り、舗装、照明等の橋の外装工事及び橋の取りつけ道路の工事を行う必要があります。これらの工事は一体的な工事であり、また工期の短縮を図るためにも、平成元年度、二年度にわたる債務負担行為の承認をいただき、和歌公園が一部供用開始される平成二年度末に新不老橋の完成を図るものであります。
 なお、新不老橋完成に要する予算は約七億円でございます。
 次に、都市計画の整合性についてでございます。
 片男波地区は、現在、夏場は海水浴場に向かう車で渋滞を起こしており、片男波海岸や和歌公園の整備が進む中、駐車場とアクセス道路の整備は緊急の課題となっておりますが、新不老橋は和歌浦に整備される駐車場に至る重要なアクセス道路となります。新不老橋の建設を行い、あわせ津屋、和歌浦口交差点の整備等を行うことにより、現在の渋滞は大幅に緩和されるものと考えられます。
 なお、新不老橋の建設は和歌浦廻線の整備の一環であり、和歌浦廻線の早期完成につながるものであります。
 次に、和歌浦廻線の計画変更のことでございます。
 都市計画道路については見直しが必要になった時点で随時見直しを行ってきておりますが、和歌浦廻線については、地元説明会等の場で、和歌浦にふさわしい多くの人々に親しまれる道路づくりを目指してほしいとの意見を多数いただき、見直し作業を行っています。
 現在、地元関係者等と都市計画変更の協議中でありますが、関係者の方々の御理解を得て、できるだけ早い時期に都市計画変更を行いたいと考えております。
 なお、新不老橋と和歌公園の区間については、新不老橋の建設に引き続き平成三年度より整備を進めていきたいと考えていますが、事業化の段階で公有水面埋め立てについての法的手続が必要となれば所要の手続を行っていきたいと考えています。
 最後に、マリーナシティとの関連でございます。
 和歌浦湾については、県のリゾート構想である燦黒潮リゾート構想において海洋都市型リゾート空間としての整備を図るとの位置づけがなされているところであります。和歌浦廻線とマリーナシティとの接続については現在具体的な計画はなく、和歌浦の全体構想の検討の中で案の一つとして検討した経緯はありますが、現在、構想としてもまとまったものはございません。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 多岐にわたって御質問いただいたわけでございますが、最初に医科大学の用地問題についてでございます。
 用地取得の時期についてでございますが、現在、和歌山市では売却に向けて境界明示やスタンド等の建築物の撤去作業を急いでいるところでございます。これらの推移を見守りながら、できるだけ早く取得できるよう努力してまいりたいと考えております。
 取得価格については、県立医科大学というまとまった公共施設の用地であり、また県民医療の中核施設を和歌山市に設置するという観点から見て、県、市、協議する中でおのずから適切な水準が見出せるものと考えております。
 用地取得費の財源についても、起債及び整備基金の活用を検討し、できるだけ早く取得できるよう努力してまいりたいと考えております。
 その次の競馬場とその周辺の排水問題については、基本的な検討が必要であると認識しております。しかし、行政の責任分野等について互いに協議を行う中で、適切な分担についておのずから理解し合えるものと考えております。
 次に、移転整備計画については、ことしの一月、医科大学移転整備協議会を部内に設置して、まず基本構想の前提となる基本的な事項について県当局と医科大学で検討協議を重ねているところでございます。医大の現状から見て早い時期に移転ができるのが望ましいと考えておりますが、附属病院等大規模な施設でございますので、関係者と協議を行うなど、計画段階で十分検討を行う時間も必要であると考えております。
 基本構想、基本計画策定の予算については、本年度予算に計上しているところでございますので、その具体化に向かってさらに努力してまいりたいと考えております。また、必要に応じて各方面からの御意見をいただくことも必要であると考えております。
 次に、財政の問題でございます。
 平成元年七月末現在、都道府県別の県税の調定状況によりますと、本県は県税全体で前年比一〇九・五%と全国平均一〇四・〇%を上回り、今のところ全国一位の伸びとなっております。全国的に低い伸びの中で、本県にあっては鉄鋼関連法人等の業績が好調に推移したことにより法人二税が大幅に伸びたことが主な要因と考えており、予算額は確保できるものと考えております。
 また、地場産業に係る税収については、前年度は大幅な落ち込みを見たところでございますが、今年度は現在までのところ、一部製材業とかニット製造業とか厳しい産業もございますが、地場産業全体としては上昇をしております。
 本県の財政力の強化を図っていくためには、産業構造の高度化が必要でございます。特に、現在、加工組み立て型産業の割合が本県は八%でございまして、全国の四〇%と比べて低い状況にございます。この点を強化することにより税源の涵養を図っていくことが重要であると考えております。
 本県へ進出を決定した企業は三十三社ございますが、そのほとんどが操業間もないところで、操業初期における多額の設備投資の償却費等がかさむこともあって、現在のところ税収に大きく反映するまでには至っていないのが現状でございますが、今後これらの企業の経営が軌道に乗ることにより、税収面さらには雇用面において寄与するものと期待しているところでございます。
 また、来年度の予算編成と国との関係については、平成元年度予算編成において最終決着のなかった公共事業費等の投資的経費に係る補助負担率引き下げ問題は、二カ年ということで平成三年度に検討されることになっておりますが、平成二年度の財源措置としては、地方財政対策の中で所要の措置が講じられるものと考えております。
 また、地方にとっても重要な財源である消費税の見直しについては、一般的になじみが薄いこと等から国民の間にこの税に対するもろもろの不満と疑問が生じておりますので、国民の理解と協力を得ながらこの税の仕組み並びに運用について見直しを行うよう、全国知事会を通じて要望したところでございます。地方財政の運営に支障が生じることのないよう、今後とも国に対して強く要望してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、平成二年度予算を取り巻く環境は依然として不確定な要素もありますので、今後、国の動向等を十分見きわめながら慎重に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 代表監査委員宮本政昭君。
 〔宮本政昭君、登壇〕
○代表監査委員(宮本政昭君) 住民監査請求の処理の状況並びに監査を実施するに当たっての三点の御質問について、お答えを申し上げます。
 まず、正式に受理をしたのかとの御質問でありますが、九月二十七日に請求書類を受け付けると同時に、地方自治法に定められている要件を満たしているか否か、また請求内容についても受理できるものであるのかどうかを判断するために、現在、必要な資料の調査を行っているところであります。今後、早い時期に全委員の合議を経て受理・不受理の決定をいたしたいと存じております。
 次に、監査委員の立場については、公平中立の機関として厳正公正な監査の必要なことは日ごろから強く認識をしているところでございます。
 最後に、監査に当たりましては、地方公共団体の違法・不当な財務執行の防止とその是正を目的とする地方自治法第二百四十二条の定めに従い、慎重かつ公正な判断を示さなければならない、このように考えてございます。
 以上であります。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 まず知事に申し上げますが、私は質問の中で、自治法が施行されて四十年余経過した我が県政において、住民から地方自治法に基づく監査請求を受けた例を申し上げたわけです。今回を含めまして三件出されているということです。これは、事務執行の最高の責任者といたしまして、みずからの行政の不当性あるいは違法性について住民から直接監査請求を受けるということ自体あるべきことではないと、こう私は強調したつもりなんです。この姿勢が絶えず私は大事であろうと思う。つまり、事務執行は厳正、正確に行わなければならない、この立場でございます。
 そういう点から、まず今回の問題について知事の所見をただしましたところ、知事は大略、意見を十分聞いた、あるいは予算の議決もいただいた、請願の採択もいただいた、その上で執行したんだ、したがって監査委員会では十分検討されると思うと、まあこういう答弁であります。
 私は、前段申し上げましたように、長として事務の執行について厳正公正にやらなければならないという基本的な立場というものは、やはり知事として絶えずお持ちではないか、こういう立場からもあえて強調したのでございますが、そうした知事の長としての事務執行に当たっての決意というのはちょっと届きませんので、もう一度重ねて、この事態と今申し上げた問題との関連におきまして、私たちにも理解のできるような御答弁をお願い申し上げたいと存じます。
 土木部長にお尋ねをいたします。
 土木部長、これはあんた、答弁になっておらん。これは答弁になっておらんじゃないの。
 例えば、具体的に申し上げますと、今までいただいてまいりました答弁の中では、この和歌浦廻線そのものは二カ所の計画変更がされなければならないんです。そして、例えば新和歌浦交差点に至るまでの間について、十二月の議会では昭和六十四年度に変更したい、変更するという答弁が出ているんです。また、片男波─不老橋の間については平成元年に計画変更を行うと、はっきり具体的に出ているんです。
 新しくあなたがこの和歌山に来られて、初めて土木部長のいすに座られて、大事な問題の御答弁をいただきましたが、あなたの答弁は、今申し上げた計画変更については「できるだけ早い時期にやる」と。何ですか、これ。今までの部長が答弁してきたものをあなたは薄めるんですか。ごまかすんですか。
 これは何を意味するか。廻線というものは、当局も説明しておりますように、つまり環状道路として和歌浦地区から通過交通を排除するということでございましょう。その排除をするためには、今申し上げた二カ所の計画変更がなければならない。それをなぜ後退した答弁になるんですか。はっきりしてください。
 そして、廻線としてこれが計画変更されるに当たりまして──非常に難しいだろう、四十数年経過して、もうこれはやらんだろうと住民は思っているんです。全国探しましても、都市計画街路の決定をして四十何年全然手つかずで放置しているところは数少ない。少しは手がけている。ところが、これは全然手がつけられてない。そして唐突に出されてきた。住民はどう思うか。利害関係者はどう思うのか。
 したがって、あなたたちは法的手続をとらなきゃいかん。告知・縦覧、説明会、県市の都市計画審議会の議を経るということ。そういう過程を通じても非常に困難ではないか──ひとつも答えてないじゃないか。どんな認識を持ってるんだ、あなたは。はっきりしてください。
 それから、今申し上げたような都市計画法というのは──これは道路でありますから、その一部だけをかじってやるというものではないんですよ。町づくりの基本はやはり都市計画でありますから、これはあくまでも、それは法の上からも整合性というものがきちっとなけりゃならないんです。そういう前提に立って、廻線として、環状線として計画段階がまだ済んでいないもの、しかも十年もかかるものでなぜ不老橋を急ぐんだ。車があふれてしまうじゃないか。駐車場があるから大丈夫──駐車場は入れません。見てごらんなさい。今でも付近の皆さんは夏場に大変な苦情なんです。答弁になってないんですよ。
 でありますから、皆さんがそういう点で都市計画法の整合性に欠ける問題だということで監査請求の対象としてこれらの問題を挙げたと思うんです。土木部長の答弁はなってないんです。だから、そういう点について重ねて、私が納得のできるような答弁をしていただきたいと思います。
 それから、マリーナシティと和歌公園の接続の問題でございますが、あなたの答弁は、これ、今までにない答弁が出てきた。つまり、和歌浦全体構想というものは何か。本県が計画する燦黒潮リゾート計画の中で和歌浦が海洋リゾートとして位置づけされている。ところが、海洋リゾートとして位置づけされながら、構想段階ではマリーナシティと和歌公園とを接続するというのは出ているが、これはまだ具体的に何もしていなんだと。私が尋ねているのは、具体的に進めることがあるのかないのかどうだ、こう聞いているんですよ。議員の質問を何と心得ているんですか。ちゃんと質問している要旨に沿って答えてください。
 でありますから、きょうは初めてあなたの答弁をいただきましたが、非常に不誠実そのもののように思う。歴代土木部長でなかったような気がしてならん。まだあと三分ありますが、まあこう申し上げておきましょう。お答えください。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 新不老橋の監査請求についてでございますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、監査委員に監査請求を出されておる、だから私は私見を差し挟むべきではない、かように思って述べたわけです。
 中村議員がおっしゃるのに、過去三件あったと。その三件とも不受理でございますけれども、それを仮谷知事が受けるということは恥になるような話し方であったような気もするわけでございます。しかし、地方自治法二百四十二条によってだれでも監査請求ができるわけでございまして、私が要らないことを申し上げることは提出者に失礼になると、かように存じておる次第でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 和歌浦廻線の都市計画変更のことでございますが、このことについては、現在、地元関係者等と道路の構造、デザイン等について協議を進めております。和歌浦にふさわしい道路づくりに対するいろんな御意見をいただいておりますので、それを受けて道路の構造等、慎重に検討しているところでございます。
 新不老橋と和歌公園までの間は、新不老橋建設後の平成三年度に事業化を予定しており、地元の方々の御意向を十分踏まえた上で、できるだけ早い時期に都市計画変更を行いたいと考えております。
 それから、マリーナシティとの連絡道路のことにつきましては、和歌浦湾全体の将来道路網計画の中での位置づけの問題、あるいは歴史的な景観、自然景観との調和の問題、漁業関係者等との調整、河川断面減少による治水上の問題など、難しい問題があり、慎重に行っていく必要があると考えております。
 それから、和歌浦廻線の建設と新不老橋の建設との整合性のことでございます。
 まず、全線が一度にできるものではございません。そういう中で、片男波地区への駐車場アクセス道路としての緊急性の観点から、まず新不老橋の建設に着手したものであります。そういうことが、今後の和歌浦廻線の早期完成につながっていくものと考えております。
 終わります。
○副議長(宗 正彦君) 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 先ほど発言した点で、ちょっと訂正させていただきたいと思います。
 「過去三回」と申し上げましたのは、今回を含めて三回でございまして、そしてうち二回が不受理になっておるということでございますので、訂正させていただきます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。
 〔「あります」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) それでは、答弁漏れの箇所を御指摘願います。
○中村 博君 新不老橋の件の計画変更、どうなったの。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 都市計画変更の時期についての御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、現在、地元関係者と事業調整中でございます。できるだけ早い時期に都市計画変更を行います。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再々質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 土木部長、よく聞いておいてほしいんですよ。質問の原稿も二日前に必ずお渡ししているんです。
 そこで、あなたは不老橋─片男波間の問題については今住民と話し合い中で、平成三年度に事業化するので、できるだけ早くするという答弁であったんです。しかし、その答弁は、前回のときには平成元年で設計を計画変更したいということを前土木部長はお答えになっているんです。そういうことであるならば、あなたになって前土木部長の答弁をこの議場で覆すんですかと申し上げているんです。いいですか。これは重大な問題でありますから、それはきちっと答えてほしい。
 同時にまた、新和歌浦に至る間の計画変更につきましては昭和六十四年度中にやりたいと言っているんです。ここは十数戸の立ち退き予定者がございますので、これらの皆さん方にはまさに唐突なことであって、これは大変な不安を持っていられるだろう。しかし、あなたたちは六十四年度中にやるということでありましたから、その点を重ねてお尋ねしたわけです。ところが、あなたは「できるだけ早い」という抽象的な答弁で逃げようとするから、そうはまいりませんぞよと。それらの問題を残しながら、和歌浦廻線としての環状道路にならないということなんです。ならないんであります。
 先に橋をこしらえまして、駐車場があるといったって、もう本当に少ないんです。あふれてしまうんですよ。町の中は大変なことになるでありましょう。でありますから、こういうような事業計画の進め方は都市計画法から見て整合性に欠けるんじゃないでしょうかと申し上げているんです。それをあなたが整合性に欠けないと言うのならば、具体的に法どおりの問題として手順を追って、「こういう問題でありますから決して整合性に欠けるものではない」というような十分わかるような答弁をしていただかないと。監査請求の対象になってこれから法廷でも争われる問題になりますので、きちっとした答弁をしていただきたい、こういうことをお願いしているんです。
 でありますから、意を酌んでいただきまして、再度もうたださんでいいようにしていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 都市計画変更の時期につきましては、先ほども申し上げましたように、現在、地元の皆様方と協議中でございます。その協議が調い次第、変更を行っていきたいと考えております。
 それから、和歌浦廻線全体の整合性はどうかということでございますが、これも先ほど申し上げましたように、全体の構想の中で、急ぐところから、やれるところからやっていくということでございます。今回は特に駐車場へのアクセスということで、この新不老橋の区間を急ぎ建設したものでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──以上で中村博君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十七分散会

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