平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(藤沢弘太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 通告に従いまして、質問をさせていただきます。
 まず最初に、和歌山マリーナシティ計画にかかわってお尋ねをいたします。
 関西新空港の護岸工事用埋立土砂の供給をめぐりまして、海上埋立土砂建設協会いわゆる海土協加盟六社の談合疑惑問題が明らかになって、公正取引委員会は独占禁止法の競争の実質的な制限違反として再発防止の措置をとるように勧告いたしました。
 和歌山県では八日、海土協加盟の八社を指名停止する方針をとりまして、同日、鹿島建設は、和歌山マリーナシティ建設に関して落札していた毛見一号線に係る橋の橋脚工事などを辞退せざるを得なくなったわけであります。
 また九月二十二日には、加太漁業協同組合がマリーナ建設に伴うプレジャーボートによる漁船の操業妨害について企業局長らとの交渉を行ったと聞いております。席上、企業局長は、プレジャーボートの現状調査と対策について、和歌浦湾安全対策協議会の中で新しい海上のルールづくりやプレジャーボートによる釣りの禁止などについて協議をしている、このように述べられていることが報道をされております。
 昨年九月の県議会におけるマリーナに関する私の質問に対して当時の土木部長は、昭和六十年度におけるプレジャーボートの現存隻数は約千六百隻あること、また漁業操業と航行の安全について、和歌浦湾安全対策協議会を発足させたので、今後、関係者の協力を得て必要な対策を講じたい、このように答弁をしておられます。
 この問題とも関連して、今回の加太漁協との協議内容について、また双方が合意に達しているのかどうかについて、関係部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、漁業補償問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山マリーナシティ建設計画の経緯は、昨年八月十日の公有水面埋立法に基づく埋立免許出願に続き、本年一月六日に埋立免許、同五月二十六日工事着手として今日に至っております。何代にもわたって漁業で生計を立ててきた漁業者にとって、漁業権の消滅は後継者の将来の問題をも含めて極めて重大なことであります。それだけに、埋立予定海域に漁業権を持つ和歌山市の毛見浦、海南市の冷水浦の両漁協組合員の方々の漁場消滅などに対する補償問題がどれほど深刻なものであったかが推察できるわけであります。刺し網の漁業者は、カニ、コチ、カレイなどの主漁場が奪われ、出漁した日は一夜で三万円以上の水揚げがあったものが壊滅状態なり、「米びつをつぶされるのと同じや」、そういう悲痛な叫びを上げておられます。
 ところで、この二漁協の補償交渉は、昨年八月十日、埋立免許の出願までに県当局との間で一致を見たとされ、八月十一日の各新聞には毛見浦漁協が五億二千万円、冷水浦漁協が四億七百万円で漁業権放棄に同意したと報道されております。
 そこで、知事及び企業局長にお尋ねをいたします。
 補償交渉における契約の当事者は、県当局においては埋立権者である知事であり、漁業協同組合の当事者は組合長もしくはこれにかわる代表者だと思うわけでありますが、後ほどお尋ねいたしたい問題との関係もありますので、改めて補償交渉における双方の当事者はだれか、また補償金額の内容について御答弁をお願いいたします。あわせて、補償金がいつ、どこの金融機関に、どのような方法で支払われたのかについても、具体的にお答えを願います。
 私は、ある漁業協同組合員の方から、両漁協との交渉について県当局には誠意が見られなかった、聞くところによると、二回に分けて補償金支払いが行われたようだという話を聞きました。埋立権者の知事が、同じ漁協と二度も契約をすることはないはずであります。
 そこで、当該する一漁協である冷水浦漁協の組合員の方にいろいろお尋ねをしたところ、想像も及ばないようなことを聞かされたのであります。
 以下、その概要について述べてみますと、県当局いわゆる企業局と漁業協同組合の組合長と交渉委員二十四人との第一回交渉は昨年六月十五日に冷水浦漁協で行われましたが、このとき県から提示されたのは一億八百万円でありました。漁協側はこのような額では話にならないと突っぱね、物別れになったということであります。ところが、第二回目に行われた七月二十四日の冷水浦漁協での交渉では四億七百万円の金額が県から提示されたと言われます。
 さきにも述べたように、漁業権の消滅が漁業者にとって死活の問題であるだけに、このような駆け引き的とも見られる行為が事実とするならば、県当局の不誠意な態度を許すことはできません。補償額が多くなったのだからよいではないかというような問題ではありません。最初から、漁業権消滅などに対する漁業者の立場に立つという誠意が見られなかったのであります。この交渉には企業局が当たっておりますが、埋立権者の知事がこうした交渉の状況を十分把握された上、契約書を交わされたのかどうか、具体的にお答えをいただきたいのであります。同時に、企業局長から交渉の経過についてお答えを願います。
 しかし、問題はこれだけにとどまったのではありませんでした。四億七百万円が県から提示された一週間後の七月三十一日、同じく冷水浦漁協で行われた最終交渉では、再度補償金が追加され、妥結に至ったとのことであります。そうとするなら、八月十日の公表された四億七百万円とのかかわりはどのように考えればよいのでしょうか。漁業権にかかわる問題は商業上の取引ではありません。これらの経過と七月三十一日に行われた交渉内容について、企業局長から明確な答弁をいただきたいと思います。
 同時に、この補償金の内容として、漁業組合長などに対する別枠的なものが県当局から加味されているかどうかについても、明確にお答え願います。
 次いで、補償交渉の対象となっている和歌山市、下津町に及ぶ九漁協と底びき網、船ひき網関係の三連合会の補償交渉に関してお尋ねをいたします。
 これらの漁協や漁業関係者にとりましても、漁場問題は重大問題であります。この経過と現時点における到達状況、今後の解決の見通しについて、企業局長から答弁をお願いいたします。当局の答弁に基づいて、再度、具体的に質問をさせていただきたいと思います。
 第二に、岩出町で行われている採石問題についてお尋ねをいたします。
 本年九月の秋雨前線と台風二十二号による県下の雨量は八百二十四・五ミリを記録、過去、最高だった一九五六年(昭和三十一年)の六百九・四ミリを二百ミリ以上も上回り、年間平均雨量約千五百ミリの半分以上に相当する雨量となりました。この豪雨に対処するため、数日に及ぶ徹夜警戒を初め、緊急態勢の先頭に立たれた関係者の方々の御苦労に心から感謝を申し上げるとともに、これを教訓として県民の生命と財産を守るために、また県土の荒廃を防ぐための県当局の確固とした姿勢を強く要望し、この立場から、以下、質問をいたしたいと思います。
 若干日時がさかのぼりますが、去る三月十四日、県道泉佐野岩出線の岩出町大字根来字洞尾二二七五番地付近での保安林からの落石事故により同県道が一時通行どめになりました。同月二十七日、我が党県議団と岩出町議員団が現地調査を行いました。那賀県事務所、岩出土木事務所、さらには岩出町役場でも事情を聞いたわけであります。
 さて、きのう、きょうの質問にも九月の秋雨前線による被害問題が示されておりましたが、九月七日、有田市糸我町の国道四十二号線に巨岩が落下してガソリンスタンドの屋根を直撃、幸い死傷者はなかったものの、一カ月たった現在、なお完全な復旧はされておりません。大惨事を未然に防止するためにも、岩出町の落石事故は重大問題を含んでいると思われます。
 問題の第一は、岩出町大字根来字洞尾二二七五番地の一の保安林は、岩出町の所有、和歌山市の第一石産株式会社管理で、保安林解除がなされておりません。落石事故のときこの保安林の立ち木が伐採されていたことが判明し、これが事故の要因とも見られております。事故当時、だれがこの伐採をやったのか不明ということでありましたが、その後の調査で第一石産が伐採したことが明らかになり、てんまつ書の提出を求めたとのことであります。この保安林の隣接地は第一石産の風吹峠採石場になっておりますが、採石場の隣接地との間に設けるべき保全区域いわゆる残置森林の立ち木まで伐採されていると言われております。
 そこで、まず農林水産部長にお尋ねをいたします。
 保安林における制限を規定した森林法第三十四条二項は、「保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉若しくは落枝を採取し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない」としております。落ち葉や落ちた枝まで拾ってはならないと規定しているのであります。まして、立ち木の伐採などは考えられないことであります。
 まず、この保安林の立ち木伐採について、森林法に基づく知事の許可を受けたのかどうか、お尋ねをいたします。
 また、保安林の落石事故の原因をどのように把握しておられるのか、無断伐採とすれば全く無謀な行為であり、第一石産の責任者からてんまつ書が提出されたと聞いておりますが、会社は無断伐採の理由をどのように述べているのかについてお答えをいただきたい。あわせて、県当局としてこの問題にどのように対処されてきたのか、指導も含めてお答えを下さい。
 森林法によれば原形復帰が基本とされているが、どのような措置が行われたのでありますか。さらに、今後、森林法に基づき全県的に保安林を守るためにどのような具体的対処をとられるのか、以上についてお答えをいただきたいのであります。
 次に、採石問題についてお伺いします。
 採石法は、第一章第一条で、「災害を防止し、岩石の採取の事業の健全な発展を図る」と、その目的を示しています。この目的のために第三章では採取計画の認可について、認可の基準と条件などとともに、採石法三十三条の八項では、認可を受けた採取計画に従って事業の実施をしなければならないと採取計画の遵守義務を明確にし、同条十二項では、認可の取り消しまたは事業停止のあることを示しています。さらに同条九項は、認可した採取計画では、災害の発生を防止することができなくなったと認められるときは、知事が採石業者に対し採取計画の変更を命ずることができる、このようになっております。
 具体的問題に移りますが、私たちが落石調査を行っている最中の約十五分間ぐらいに、保安林に隣接している側の切り立った壁面の土砂が、最大推定高さ約十五メートル、幅約二十メートルにわたって崩壊する場面に三回ほど直面いたしました。私は、保安林の無断伐採の事態に照らして、業者の採石方法と県当局の指導監督がどのように行われていたのか、この際、明らかにすべきではないかと考えるわけであります。
 まず第一に、採取方法についてお尋ねをいたします。
 採石場所は、垂直を通り越して、えぐられた形状でありました。採石者である第一石産に対して、昭和六十三年五月三十日付で認可された指令書にも、採取方法は露天掘り、階段採取法とされています。また、掘削面の傾斜角度は六十度以下とするとなっております。
 土木部長は、着任早々で現地をごらんになっておられないと思いますが、採取方法についての県の指示内容とともに、採取方法に従って採石が行われているとお考えなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
 なお、六月の岩出町議会で、我が党議員の質問に対して町当局者は、採石方法は階段掘り、すなわちベンチ工法で計画どおり施行されていると県土木から聞いていると答弁していますが、そのような見解を示されたのかどうか、あわせてお答えを願います。
 第二に、表土の除去方法は、隣接地である保安林との境界から保全区域として少なくとも五メートル以上離すこととしており、保全区域に接する面は四十度以下の勾配と定められております。県当局は、現場の実態の上に立って、保全区域が崩れていないかどうか、また勾配が守られているとお考えなのでしょうか、さらに保全区域の立ち木伐採の実態はどうなのか、あわせてお答えいただきたいのであります。
 第三に、調査当時、境界を示すくいがだれかによって抜かれていたということでありましたが、この問題での調査の状態と現状についてお答えをいただきたいと思います。
 以上で、私の第一回の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 和歌山マリーナシティ計画の漁業補償の件でございます。
 マリーナシティ建設事業は、現在、順調に進んでおります。このことについては、和歌浦湾を中心とする漁業の実態からして、漁業関係者の御理解に大変感謝しているところでございます。漁業操業の実態は、私も深い関心を持っておりますし、またお話のように、漁民の方々が父祖伝来の生業として、また海というものに対し、あるいは操業の地先ということについて並み並みならぬ愛着を持って毎日仕事をしている、その気持ちはよくわかっておるわけでございまして、職員においても補償交渉に当たっては漁民の気持ちをよく理解して話を進めるように指示しておるわけでございます。また、そのように報告を受けている状況でございます。
 ただ、補償というのは、漁民の方々が地先漁業権を祖先伝来の財産と考えている点、また将来起こるであろう漁労障害等について、これを金銭として数字にすることでは、それぞれの実態に応じて具体的な話し合いによって合意等に達することが必要でございます。本件につきましても、組合の総会において合意されたものであり、組合員の理解を得られたものと考えているところでございます。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 まず、プレジャーボート問題での加太漁協との協議内容についてでございますが、加太漁協からマリーナシティ建設に伴い、加太の漁場におけるプレジャーボートや遊漁船等による漁業操業上の障害が増大することの対策を強く求められているものでございます。
 これが対策につきましては、プレジャーボート等の現状を把握するとともに、昨年設置いたしました和歌浦湾安全対策協議会において、漁業者の代表の方々、プレジャーボート関係者、船舶関係者、海上保安署等、行政関係者が相寄りまして、具体的なルールづくりや事故対策の確立などを検討していただくこととなっております。加えて、マリーナ管理者には、これを徹底して遵守するよう周知し、教育し、指導されるよう要請する所存であります。
 なお、今後も加太漁協の皆様方とは、漁業に与える影響等について具体的な御意見を聞きながら話し合いを進めてまいる所存であります。
 次に、漁業補償交渉における当事者と補償額及び支払い方法についてお答えを申し上げます。
 埋立地先に漁業権を有する漁協との補償交渉における当事者、補償金額、支払い時期等についてでございますが、当事者は知事と冷水浦漁業協同組合及び毛見浦漁業協同組合の二組合でございまして、冷水浦漁業協同組合については四億七百万円を昭和六十三年九月二十日に、毛見浦漁業協同組合については五億二千万円を昭和六十三年九月二十日に、いずれも当該組合の指定により、和歌山県信用漁業協同組合連合会のそれぞれの組合口座に振り込みをいたしております。
 なお、同意に当たっては、それぞれの組合総会において議決を得ております。
 三点目でございますが、漁協との補償交渉の経過状況と契約書についてであります。
 補償交渉の経過についてでありますが、冷水浦漁業協同組合とは、埋立予定地に直接漁業権を有する権利者として一昨年十一月に港湾審議会でマリーナシティに係る港湾計画の一部変更の議を経たのに伴い、具体的な交渉に入りまして、組合側と県との間で延べ三十四回の話し合いを行ったものでございます。この間、組合において選ばれた二十四名の交渉委員との交渉、組合役員との交渉、全組合員との交渉と、それぞれの段階に応じて話し合いを進めてまいりました。
 交渉内容としては、かつての海南港の公有水面埋立の補償の経緯、漁業者の操業の実態と県の対応、また今回の埋立造成に伴う具体的影響と事業完成後の漁船とプレジャーボートとの関係でありました。
 補償内容といたしましては、まず、漁業権の消滅補償、工事に伴う濁りの発生等の影響補償、工事中における船舶禁止区域の設置など、漁業操業海域の制限に対する補償、工事関係船舶の航行に伴う影響や同海域における魚卵稚仔の生育域の減少、その他、人工島完成後のプレジャーボートの航行に伴う漁業操業への影響に対する補償でございます。
 次に、交渉内容等でございます。七月三十一日の交渉内容についてでありますが、提示額、補償基準、漁業権の消滅等について、再度具体的な話し合いを持った上、最終的に同意をいただいたものでございます。これが、最後の漁業交渉日でございます。
 また、補償金のうち、漁業組合長などに対する別枠といったものは全くございません。ただ、補償金として組合員で全額をお互いに配分するか、組合として一部留保して今後の漁業振興資金等に充てるかの意見があったところでありますが、いずれも、その処置については組合員の総意によるものと思料いたしてございます。
 最後に、制限区域等の補償交渉についてでございます。
 地先漁業権を有する漁業協同組合以外の組合との補償交渉につきましては、埋立地である和歌浦湾内に漁業権のある雑賀崎から下津までの九組合に対して、先ほど御答弁申し上げました漁獲並びに漁業操業に及ぼす影響について、個々の組合ごとに具体的な実態に応じた交渉を重ねてきたところであります。同時に、和歌浦湾内で操業権を有する許可漁業の和歌浦湾及び湯浅湾の二つの機船船びき網漁業連合会並びに紀伊水道小型機船底びき網連合会の三連合会についても交渉を重ねてまいりました。現在、この九組合及び三連合会については、本事業に対する理解と協力を得て、本年八月に合意に達してございます。
 なお、マリーナ施設の供用が開始された後、操業海域での帆走、遊漁による操業への影響、安全対策上の諸問題について、現在、加太漁業協同組合を含め関係漁協との話し合いを行っております。今後とも、御理解と御協力を得るよう努力してまいる所存であります。
 以上であります。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答えを申し上げます。
 保安林の伐採に知事の許可があったのかということでございます。
 採石を行っている場所につきましては、昭和六十年に森林法に基づき保安林の解除をいたしてございますが、これに隣接している議員御指摘の保安林については無断伐採であると判断をいたしております。
 落石事故の原因についてでございますが、採石業者の無断伐採が行われたため、その後の降雨により亀裂が拡大し崩壊を助長したことが原因であると把握いたしております。
 てんまつ書の内容と無断伐採の理由、また県当局のその後の対処と指導の問題でございます。採石業者から提出されておりますてんまつ書の内容については、保安林上部の山腹に亀裂を発見したため立木の伐採を行ったとのことでございますが、県といたしましては、無断伐採であるために植栽等による原形復旧を指示し、厳しく対処したところでございます。
 また、崩壊後の不安定土砂の除去、道路のための落石防止さくの施工等については、土木事務所と協議をしながら指導し、施工させているところございます。
 保安林保護のための具体的な対処の問題でございますが、保安林の保護については極めて重要なことでございますので、保安林の標識等による境界の明確化と、あわせ保安林の公益的機能の重要性を開発業者に強く認識するよう指導しているところでございます。今後は、保安林に隣接して開発を行う場合も、かかる事故のないよう再発防止に努めるとともに、さらに保安林保護の指導の徹底に鋭意努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 岩出町における採石問題についてでございますが、御質問の採石場については、採石法第三十三条により岩石の採取計画内容等に基づいて認可されたものであり、期間は昭和六十三年五月から平成三年五月までであります。
 まず第一に、この区域の採取に際しましては、岩石採取計画の作成を義務づけて保全区域を確保し、階段掘り工法として実施するよう指導しているところであります。しかしながら、当採石場における今までの岩石採取段階においては階段掘り施工がなされていないと判断しております。このような現状に対し、速やかに緑地に復元するよう指導しております。
 第二の保全区域については、隣接保安林が崩壊する前は確保されておりましたが、当該隣接地が崩壊したことから、上部の危険土砂除去のため保全区域を含めて作業をしております。そのため部分的に保全区域はなくなっておりますが、この工事が完了次第、関係機関とも協議をして復元するよう指導してまいります。
 第三の境界ぐいにつきましては、当時、調査したところ、明示ぐいが数本しか残っておりませんでしたので、五月三十日に境界明示ぐいを設置し、復元させております。
 以上、御指摘の件につきましては、採石業者に対し、岩石採取計画を遵守させ、認可条件に適合した工法をとるよう一層指導強化をしていく所存でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問に移ります。
 農林水産部長、土木部長に申し上げます。
 まず、農林水産部長から、森林法に基づきこれを確実に実施していくということで、今までの対応あるいは今後の方向についての明確な御答弁をいただきました。このような点について、具体的な施策と同時に全県的な保安林の保全のために、より一層の指導と対処を強めていただくことを要望いたしたいと思います。
 次に、土木部長に。
 先ほどから災害の問題も出ておりましたが、県土の保全については、各部ともそうでありますが、特に土木部の果たしていく役割は非常に大きいわけであります。その重要性から考えまして、以下、三点にわたって再質問をいたしたいと思います。
 その一つ、先ほど第一回の質問の中で申し上げましたけれども、採石法の三十三条の八項では、認可を受けた採取計画に従って事業の実施をしなければならない、これが採取計画の遵守義務であります。これが明確にされている。また、同条十二項では認可の取り消しあるいはまた事業停止のあることをも示しておりますし、同条九項は、認可した採取計画では災害が防げないと認めたときには知事が採石業者に対して採取計画の変更を命ずることができると規定されているわけであります。
 私は、この立場を断固として貫いてもらうことが大事だと思います。私どもも現場を見ましたが、長年にわたって採石がやられておるわけであります。当然、採石の初め、途中、それが完了した時点においては、採石法に決められた階段式にこれが保存されなければならないわけでありますが、部長も指摘されましたように、階段掘りというのはされていない。これは採石法上違反をしているし、安全の点から見ても大変な問題であります。したがって、部長がおっしゃいましたように、この立場を何としても貫いていく、そしてそのような事態があった場合には、今申しました採石法の三十三条のそれぞれの項目に基づいて直ちに厳重な対処をしていくことが大事かと思いますので、この問題についての土木部長の再度の答弁をお願いしたいと思います。
 第二点の問題であります。
 現在行われている六十三年五月からの採石でありますが、この採石場が開始されたのは六十年であります。したがって、ことしで四年目に入っておる採石場だと理解いたしておりますが、ここにおいても私が見た段階では採石法に基づく階段掘りがされておらない。したがって、階段掘りをやっていくということについて、これはきちっとすべきだと思います。六十年から開始され六十三年からの三年更新で行われておる今の採石場について階段掘りを進めていく──表土剥離の問題もありますから。そういった点から見て、大体見通しはいつごろになるのかについてもお答えいただきたいと思います。
 最後に、全県的に採石場が採石法に基づいて厳正に行われているのかどうか、土木部長から答弁をお願いいたしたいと思います。
 さて、マリーナ建設にかかわる補償問題についてであります。
 この問題につきまして、まず企業局長を中心に質問をしてまいりたいと思います。
 私の質問した中で、七月三十一日に再度補償金額が追加されてここで妥結したのかということについて、企業局長は明確な答弁を避けておられます。最終的同意を得たものということだけであります。私は、この漁場を失っていくことに対する漁民の生活上の問題、あるいは漁業権全体の問題について本当に県が真剣にどのように考えていくかということ、これを基本にしてお尋ねしたわけであります。特に、漁業権の喪失ということが与える影響について述べられていたとは思いますけれども、私はこの漁業権補償交渉の問題が県民に対して非常に不鮮明だと思うわけであります。したがって、この内容について具体的に示していきたいと思いますので、明確な答弁を再度要請して質問に入ります。
 ここに私が入手いたしました、知事と漁協が行いました契約書があります。また、同じく覚書があります。そして、これはまた吉井企業局長と冷水浦の組合長との間で交わされた覚書と確認書があります。
 この知事との契約書によりますと、「契約の主旨」として、甲いわゆる漁業組合でありますけれども、「甲は、別添対象区域一において、乙及び運輸省の実施する事業に同意するものとする」、この二項に「乙は、事業に伴う漁業権等に対する一切の損失補償金の総額として、頭書の金額を甲に支払うものとする」、この金額は頭書に四億七百万円という数字が明記されております。
 ところが、私が先ほど指摘し、企業局長も、七月三十一日の再度交渉いわゆる最終的交渉の中で同意を得たと言われましたが、この同意は何によって得られたのかということが企業局長の答弁から抜けておる。私は、それをこの覚書に基づいて率直に申し上げたい。この覚書は、甲・冷水浦漁業協同組合組合長理事川端進、乙・和歌山県企業局長吉井清純、もちろんそれぞれの公印が押してあります。平成元年三月二十八日、この中で「冷水浦漁業協同組合(以下『甲』という)と和歌山県(以下『乙』という)とは、和歌山マリーナシティ建設事業の実施に関して、次のとおり覚書を交換するものとする。 一 乙は、和歌山マリーナシティ建設事業に伴う甲の漁業権の消滅(海南港への出入港水路を含む)、海域利用上の障害により生じる損失の補償及び漁業振興を図るための資金として、金三億一千三百万円を甲に支払うように措置するものとする」。
 このように、知事との契約書が交わされた以後において──しかも知事との契約書が交わされたのは七月二十四日であります。わずか一週間後、今度は企業局長がこのような覚書で金額を明示したのを交わしておる。先ほど申しましたように、埋立認可がおりた後でありますけれども、それ以前でありますから八月十日に発表されたと思います。先ほど紹介いたしました八月十一日の新聞各紙には、毛見浦漁協とは五億二千万円、また冷水浦漁協とは四億七百万円、この金額で公表されておりますけれども、公表された以外の金額が支出されておる。一体これはどういうことなのか。
 先ほど知事や企業局長からも答弁がありましたけれども、これの契約の双方というのは、確認されたように知事であり、相手の漁業協同組合であります。その中で、知事でなくて企業局長がこの覚書の一つの相手側になっておる。しかも三億一千三百万円。一体これはどういうことなのか、このような問題が認められるのであるかどうか。これは知事にひとつお聞きをしたい。
 それから、知事と企業局長と別々に補償をしないといけない理由があるのでしょうか、この問題についても知事からお答えをいただきたいと思います。
 同時に、このような別途補償が行われているのは冷水浦漁協だけなのかどうか、企業局長にお尋ねをいたしたいと思います。
 このような補償のあり方というのは、まさに県民に対して不鮮明であります。私が質問の中でも行いましたように、漁業権を失う、あるいは制限をされる、そのような漁民に対して何か隠し金を渡すようなことに、もしもとられているとするならば、これは大変なことだと思うのであります。漁場を失う──知事あたりが言っておりますように、マリーナシティ建設についての抱負とは裏腹の問題ではないかというように私は考えます。必要なものは必要として出していく、県民本位かどうかの姿勢が今このマリーナ建設の問題を通じて問われていると思いますので、この点についての再答弁をお願い申し上げます。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答えします。
 企業局の補償の支払い金については企業局長から答弁いたします。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 改めて三点の御質問を受けたわけでございますが、第一点目につきましては、工場への立入検査を行う等、指導の強化を図ってまいる所存でございます。
 第二点目につきましては、現在、県道の通行安全確保のため、上部隣接地の危険土砂の除去、及び場内の危険な表土の除去作業を先行しておりますが、この一連の作業が完了した後、速やかに認可どおりの方法で実施するよう強く指導してまいります。
 三点目でございますが、県下において認可されている採石場は十五カ所であります。これらの採石業者に対しては、従来より採石法及び取扱基準により指導を実施してきたところでありますが、より健全な運営及び災害防止等について一層の指導に努めてまいります。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) お答えをいたしたいと思います。
 冷水浦漁業協同組合との交渉過程では、かつての県事業に伴う未解決の問題や地先漁業権消滅に伴う漁業振興問題等の提起があり、これが同時に解決するよう求められたわけでありますが、今回のマリーナ建設に係る漁業補償の対象としては非常になじみにくい点もあり、解決に苦慮したという経過もありますが、マリーナ建設に伴う漁業補償金としては四億七百万でございます。
 なお、覚書につきましては、ただいま調査中でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
 〔「43番、議事進行」と呼ぶ〕
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。
 〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 質問中でございますので、質問者から……
 〔「議事進行やないか」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れ、ありませんか。
 〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 質問者にお願いいたします。
 議事進行の発言がございますけれども、再々質問をお願いして、後刻……
 〔「休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(宗 正彦君) 暫時休憩いたします。
 午後二時一分休憩
 ──────────────────────
 午後三時四十七分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) この際、申し上げます。
 当局は、議員の質問に対し、的確なる答弁を行うよう要請いたします。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 内容等については企業局長から答弁申し上げますけれども、お話ございましたように、漁業交渉というのは非常に難しい問題でございまして、相手の同意を得なければならないわけでございます。
 話ございましたように、冷水浦は一部漁業権を失うわけでございますけれども、先ほども企業局長が申し上げましたとおり、さきの県事業で行った点で積み残しといいますか、未処理の問題があるということで非常に苦労しておるということは聞いておったわけでございます。
 また、補償につきましても、公共補償でやれる点は限定されておるわけでございます。いろいろ企業局で苦労したわけでございますけれども、交渉の経過も私は知っておるわけでございまして、そうした点から覚書になったと存ずる次第でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) まず、私の答弁のまずさ、不勉強さのために議会を中断せしめ、議員各位に御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわびを申し上げます。
 お答えをいたします。
 七月三十一日の交渉内容は、さきに答弁をいたしたところでありますが、ただいま知事も申し上げましたように、その交渉過程では、以前に施行いたしました県事業に伴う未解決の問題や地先漁業権消滅に伴う漁業振興問題、建設後のマリーナ運営に対する協力など幾つかの課題が提起され、これが同時に解決するよう求められたわけであります。しかし、今回のマリーナ建設に係る漁業補償については国の基準などになじまない点がございまして、そこで漁業補償としては四億七百万円でとにかく御理解をいただくよう交渉を重ね、妥結に至りましたが、前段申し上げました諸問題の処理については事務的にも別途協議することとし、平成元年三月二十八日に至って議員御指摘の覚書を交わしたものでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再々質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 再々質問を行います。
 今、知事また企業局長から再答弁をいただいたわけでありますけれども、今の答弁を聞いておりまして、なぜ知事と局長と別に補償をしなければならないかという理由が、まだ私にはすこっと落ちないんです。県民にこの問題がわかるようにしてほしいと思います。それが一点。
 それから、別途補償の問題が出ております。冷水浦には別途補償だということは、今、知事も局長も認められたわけですけれども、それは冷水浦だけなのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。他の漁協にも措置をしているのかどうか、それはどこなのかということ。
 というのは、私は先ほども質問の中で申し上げましたように、漁業権を失うとか漁場が奪われるというようなことに対して、それに対する十分な補償をしていく、これが県民に対する県政の姿勢であるという立場から申し上げてきたわけでありますので、そういった点では公然と必要なところには必要な額を出していく、このことが今回の問題において一つの契機としても非常に重要なことだと思うわけであります。
 そこで、第三点の問題として、それではこの財源が一体どこから出ているのかということであります。
 この問題について局長の方からも何か話は出ておったようでありますが、この財源の問題については明らかになっておりませんので、この点をきちっと──例えば、こういう問題が推測できるわけであります。
 一つは、これは県の財源から出すのか、出すとすれば一体どういうような形になるのか、あるいは松下から出るのと違うかというような話も聞きますので、この点は県の立場から明確にしていただきたい、このように思うわけであります。
 それから、これは要望にしますが、知事の先ほどの答弁の中では「局長に答弁をさせます」ということで──今回の再答弁の中ではきちっとしてもらいましたけれども、やっぱりこういう場合、契約者が知事でありますから、私はそういう意味で知事に質問をしたのに対して、答弁は局長だというようなことでなく、先ほどの答弁のように、今後、知事としても心されたい、このように思います。
 それから、もう一つ、企業局長にであります。
 企業局長は、「不勉強だ」というようにおっしゃいました。言葉じりをとらえるわけではないんですけれども、私は、それは不勉強ではなしに「不誠実」だと思うんです。私が指摘しましたように、自分の名前が出ている覚書なんです。それを、最初は「ない」と言われた。二回目には、「一回それは調査をする」と言われた。これは、私は「不誠実」だと思うわけであります。したがって、この問題についてきちっとした対応、対処をされるべきではないかと考えます。
 今回の問題を通じて、いろいろな問題はあろうとは思います。しかし、県民に対して、隠すということではなくて、本当に公正、ガラス張りの財政的な支出がされるべきだと思います。要は、県民の金でありますし、このマリーナにしても県民の四百億円に上る金が支出をされているというような問題について、この点はきちっとした対処がされるようすべきだと思います。この点で、当局の答弁を求めたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 覚書と契約書との問題でございますけれども、契約を結んで覚書を結ぶ場合が多々ございます。
 ただ、先ほど申しましたように、契約をする場合において公共事業で認められにくい補償の金額があるわけでございます。そのような点から勘案いたしまして、国に申請いたします公共事業でございますので、そうした契約をいたした次第でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) お答えをいたします。
 まず、別途補償ということでございますが、補償基準にのっとって補償するものを「補償」と私たちは呼んでおります。しかし、補償基準に非常になじみにくいものにつきましては、「補償金」と言わないで「協力費」というような呼び方をいたしてございます。
 他の漁協に同じように処置しているかという問題についてでございますが、いたしてございません。
 三点目の財源でございますが、松下興産株式会社に仮払金として支払いをお願いいたしております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。

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