平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会九月定例会会議録 第 三 号
 
 十月 四日 (水曜日) 午前 十時 四分 開議
  午後 四時四十二分 散会
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議 事 日 程 第三号
  平成元年十月四日(水曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第百三号から議案第百二十号まで及び報第十号(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第百三号から議案第百二十号まで及び報第十号(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(三名)
 7 番 岡 本 保 君
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
 岩 崎 正 夫 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 築 野 政 次 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第百三号から議案第百二十号まで並びに知事専決処分報告報第十号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 おはようございます。万雷の拍手の中で、一般質問をさせていただきます。
 六月定例会に引き続きまして、関西国際空港に関する諸問題について質問をいたしたいと思います。
 関西国際空港の建設につきましては、昨年末に空港等の護岸が完成し、現在、数ヘクタールの陸地も海面上に姿をあらわしているところであります。このように、平成五年春の開港を目指して建設工事が着々と進んでいるのは、空港建設を担当している関西国際空港株式会社、加太の土砂採取事業を担当している県土地開発公社を初めとする関係者の懸命の御努力のたまものであり、私もその努力に対しまして最大限の敬意を表する次第であります。
 しかし、関西国際空港問題については、全体構想の具体化、大阪国際空港の存廃問題など、今、本県にとっての新たな山場に差しかかったのではないかと私は考えております。
 そこで、私なりに、昭和四十九年の航空審議会答申以来の関西国際空港と本県のかかわり合いについて、振り返りながら質問をしてまいりたいと思います。
 私は、昭和四十六年に県議会に初当選したわけでございますが、その年の十月に運輸大臣が、航空審議会に関西国際空港の規模及び位置についての諮問をなされております。その諮問を受けて昭和四十九年八月に航空審議会の答申がなされたわけですが、これが本県にとっての最初の山場となったわけであります。
 私はこの答申について、その年の九月議会で当時の大橋知事に審議会のオブザーバーとして本県が含まれていないことについて質問したわけですが、そのとき大橋知事は「本県を無視しての空港建設はさせない」との答弁をなされ、私も大変心強く思った次第でございます。
 そして翌年、私の質問に対する大橋知事の重大決意表明を受けて、当時の木村睦男運輸大臣が飛行場部長を伴い、関係三府県の歴訪のトップを切って来県され、大橋知事と面談されたわけでございます。その場で、和歌山県が関西国際空港関係府県であると国に明確に位置づけさせるため、関西国際空港と本県のかかわりについての資料作成を要求するとともに、本県は空港問題について警戒的白紙で臨む旨表明されたのは周知の事実でございます。
 しかし、この年の十月に大橋知事は志半ばにして急逝されたわけでございますが、この大橋知事の強い申し入れを受けて、運輸省から翌昭和五十一年に「和歌山県の合意なしに関西国際空港の計画は決定しない」との回答が得られたわけでございます。その後、運輸省において二回の実機飛行調査を初めとする種々の調査が進められ、昭和五十六年五月に「関西国際空港の計画案」「関西国際空港の環境影響評価案」「関西国際空港の立地に伴う地域整備の考え方」のいわゆる三案が和歌山県、大阪府、兵庫県の関係三府県に提示されたわけでございます。
 第二回目の山場は、その翌年に起こってまいりました。関西国際空港問題に神戸方面から暗雲が垂れ込めてまいったのでございます。昭和五十七年に、突如として兵庫県、神戸市の政財界から神戸沖空港案が急浮上してまいったのであります。
 当時の坂井兵庫県知事は、大阪モノレール建設事業などの大阪国際空港の存続の動きをとらえ、「泉州沖答申は現空港の廃止を前提としており、存続なら前提が変わる」として、泉州沖答申の見直しを求める考えを示したのでありました。また、宮崎神戸市長も神戸沖空港の独自案をまとめ、当時の小坂運輸大臣に検討を要請したのであります。神戸から垂れ込めてきた暗雲が、大阪湾にあらしを呼んだのであります。
 このような中、兵庫県、神戸市の反発から開催が危ぶまれていた大阪府、兵庫県、和歌山県の三府県知事と大阪、神戸、和歌山の三市長による関西国際空港計画の推進を図るための湾岸サミットが、仮谷知事の御尽力や担当者の不眠不休の調整作業により、その年の六月七日に和歌山市において開催されたのであります。
 この会議において、ホスト役の仮谷知事の精力的な調整により、関西国際空港についての早期結論に関係者が努力することの合意がなされ、関西国際空港建設に向けての大きな一歩が踏み出されたのであります。この合意に基づき、大阪府は七月六日に「計画の具体化を進めるべき」との見解をまとめて運輸省に回答を行い、本県も、国内線の機能の十分な確保、騒音問題を初めとする環境への配慮、積極的な漁業対策などの意見を付して、八月三十一日に「計画の早期具体化を図るべき」との回答を行ったのであります。しかしながら、兵庫県は一年以上もおくれ、昭和五十九年二月十日に回答がなされ、運輸省の三案提示以降二年八カ月ぶりに三府県が計画に合意をしたのであります。
 また、昭和五十九年度政府予算で関西国際空港株式会社への出資金が計上され、航空審議会の答申以来十年の歳月を経過して、関西国際空港の実現に向けて動き出したのでございます。
 そして、この年の十月の関西国際空港会社設立に当たり、本県は関係府県としての取り組み姿勢を示すとともに会社に対する発言権を確保するため、亡くなられました井上統二氏を監査役として送り出し、県職員も出向させ、また、今議会において追加出資の予算案が計上されておりますが、大阪府、大阪市に次いで兵庫県と並ぶ出資金を決定したのであります。そして、昭和六十二年一月に空港建設工事が着工され、本年五月には加太からの土砂搬出が開始されたのでございます。
 今振り返りましたように、関西国際空港問題は、昭和四十六年の航空審議会への諮問から今年で十八年の年月が経過したわけですが、その間、私も議員の一人としてこの問題に取り組んでまいったわけでございます。そして今、さきの六月定例会で申し上げましたとおり、過去二回の山場にまさるとも劣らない山場を迎えようとしているのであります。それは、二月定例会で要望決議されました関西国際空港の全体構想と、六月定例会で要望決議されました大阪国際空港の廃止問題であります。この問題は、和歌山県の県勢発展に深くかかわる問題でありますので、六月定例会に引き続いて再度質問をさせていただくわけでございます。
 大阪空港の廃止問題につきましては、昭和三十九年に大阪空港周辺市から成る大阪国際空港騒音対策協議会が設立され、大阪国際空港の撤去を運動方針とし、地元住民の裁判闘争と相まって、昭和四十六年の航空審議会の答申時期には空港廃止を強く求めております。そして国においても、その経緯を踏まえ、欠陥空港との認識から民家の移転工事、防音工事を行ってきたのではないでしょうか。
 このような情勢を受けて、昭和四十六年の航空審議会において、大阪国際空港の廃止を前提として関西国際空港の建設を進めるべき旨の答申がなされたわけであります。
 しかるに、関西国際空港の建設が着手された昭和六十一年に、その協議会の運動方針から「空港撤去」の文字が削除され、「存続について種々の意見があるが」として事実上の存続への方針転換がなされたのは、当初から関西国際空港問題にかかわってきた私にとっては、まさに裏切り行為としか思えないのであります。
 さらに、去る九月五日のこの協議会の総会において、あろうことか、「存廃」を「将来のあり方」に置きかえるとともに、冒頭に「国際化・情報化が進展していく中」とうたい、国際空港としての存続を求めるまでになってきております。また、その総会において、水田飛行場部長が「平成二年十二月から平成三年三月までに大阪国際空港のあり方の結論を出す」との説明をされたとの新聞報道がございました。
 そこで、このような関西国際空港を取り巻く新たな動きに対する知事の御所見を伺いたいのでございます。また、県において現在把握されている存廃調査の今後のスケジュール及び発表時期について、企画部長からも御説明をいただきたいと思います。
 次に、もう一つの重要な課題である関西国際空港の全体構想の問題でございます。
 関西国際空港は、現在建設されている滑走路一本しかなければ、その滑走路が使用できない不測の事態が発生したときは離発着ができなくなります。また、冬場には横風が強いと聞いておりますが、このようなときには横風用の滑走路がなければ飛行機の離発着ができないことになります。
 このような事態が起これば、昼間はともかく、夜間には大問題が発生すると私は危惧しております。なぜならば、夜間に飛んで来た飛行機は、国内の他の空港が夜間の着陸制限を受けているため、日本におりることができないのであります。そのようなときは、二十四時間空港である韓国の金浦空港や台湾の台北空港などにおりなければなりません。このような事態が多発すれば、関西国際空港は名ばかりの二十四時間空港であるとの批判を諸外国から受けることになりますし、アジアの拠点空港としての機能も果たせないばかりか、金浦空港や台北空港にアジアの拠点空港の地位を奪われかねません。名実ともに関西国際空港がアジアの拠点空港となるためには、全体構想の実現はぜひとも必要であります。
 この問題については、先月二十二日に江藤運輸大臣が来阪され開催されました「一日運輸省」の席上で、近畿ブロック知事会長として仮谷知事が関西国際空港の全体構想について要望されたと聞いてございますが、そのとき運輸大臣がどのような回答をなされたのか、また、現大阪空港存廃の問題についてどのようなニュアンスの発言をなされ、それに対して知事はどのような受けとめ方をされたのか、率直に感じられたままをお聞かせ願いたいわけでございます。
 第一回目の質問を以上で終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの渡辺勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港について、昭和四十六年の諮問以来の十八年間の歩みをお話しいただいたわけでございますけれども、私もまた感慨ひとしおのものがございます。絶えず御指導いただいた議員並びに県会の皆さんに対して、心から感謝申し上げる次第でございます。
 今、また大きな山場にかかっておる、それは大阪空港の存廃問題だというお話でございます。
 存廃問題については最近いろいろな動きがあるわけでございまして、私も非常な関心を持ってございます。さきの議会でも答弁申し上げましたけれども、この問題の原点は、やはり環境問題だと思うわけでございます。ただ、私は、従来の経過を踏まえまして、第一義的には関係者である国、大阪府、兵庫県、地元市、地元住民の間で結論を出すべき問題であると思っておるわけでございます。
 しかし、この問題が関西国際空港の国内便の確保の問題や全体構想の実現に影響を与えるものとなるならば、関西国際空港の関係府県の一知事として、毅然たる態度で臨む所存でございます。
 次に、「一日運輸省」における知事の全体構想についての質問に対する大臣の発言はどうかということでございます。
 私は国内便の確保と全体構想の実現についてお願いを申し上げたのでございますけれども、運輸大臣からは、「我が国の航空政策に三つの柱がある。一つ目は国内の拠点空港としての羽田の沖合展開である。二つ目は成田の二期工事の完成である。当初千三百万人の予定が今は千八百万人が利用している。また、航空貨物については世界一であり、日本の航空貨物の八割を取り扱っている。現在、三十七カ国四十八社の新規乗り入れ希望があり、この成田の完成に運輸省は総力を挙げて取り組んでいる。三つ目は、関西国際空港が大事である。平成四年度末に何が何でも開港させなければならない。しかしながら、滑走路一本の国際空港は世界のどこにもなく、また東京一極集中を是正するためにも関西国際空港の全体計画を完成させる必要がある。平成三年度から始まる第六次空港整備五カ年計画の中で明らかにしたい」との回答をいただきました。
 私は、関西国際空港の全体構想の実現を進めている者の一人として、我が国の国内・国際の基幹空港であり、また二十四時間世界に開かれた滑走路三本を備えた完全空港の実現について、より一層積極的に進めていかなければならないのではないか、簡単な問題ではないなと、決意を新たにしたところでございます。
 今後、県議会の皆さんを初め、県民の皆さんの御協力を得ながら、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 伊丹空港存廃調査の今後のスケジュール及び発表時期につきまして、お答えを申し上げます。
 大阪国際空港のあり方に関する調査については、公害等調整委員会による調停条項等に基づき、昭和五十九年度から調査が開始され、昨年度で個別調査はおおむね完了し、本年度は総合評価調査が行われているところでございます。
 今後は、総合評価調査の完了後、大阪国際空港騒音調停団並びに地元地方公共団体との協議を行い、平成三年度から始まる予定である第六次空港整備五カ年計画の決定時までに結論が出されるものと聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 46番渡辺 勲君。
○渡辺 勲君 一つ、答弁漏れというよりも、運輸大臣の来阪に伴う問題で、全体構想だけではなしに伊丹空港の存廃問題について運輸大臣は、奈良、京都の方々の立場から見ると伊丹空港の存続は必要というふうな意味の発言をなされておりました。その件について質問をしているうちに気がつきましたので、ちょっと通告なしに入れさせていただいたんですが。
 そのときに、伊丹空港存廃問題に対するそのような運輸大臣の発言に対して、知事は和歌山県として何か意見を申し述べたのか、あるいはアピールされたことがあるのか。その場の場合と後刻の場合、時間的なずれはあるけれども、何かなされたことがあればお聞きをしておきたいと思います。
 関西国際空港問題を取り巻く諸情勢の問題でございますけれども、いわゆる泉南沖空港建設の原点、これは知事も御答弁されておったように、環境問題でございます。そして、伊丹空港の廃止がこの前提にございます。このことについて、第一義的には関係者である国、大阪府、兵庫県、地元市、地元住民の間で結論を出すべき問題であると考えていると御答弁なさったわけでございますけれども、知事は関係者がこれから出されようとしておる結論を待たれるわけですか。いつまで待たれるわけですか。
 私は、結論が出てしまったときには、もはや後の祭りになるのではないかという危惧をするわけでございます。関西の経済団体や運輸省や大阪府の巨大な力にこの小さな和歌山県が、結論が出た後に対抗しても、もはや和歌山県の存在を小さくしか見ません。
 実は私、先月の二十六日に大阪へ行ってきました。そして、複数の大阪府出身の国会議員さんや府会議員さんと率直に話し合ってきました。どなたの口からも、「近畿に国際空港が二つあるのはいいことだ。和歌山もこれでよくなるんじゃないでしょうか」と。和歌山のそれなりの固有の事情を説明しても、歯牙にもかけていない、頭の片隅にも和歌山県の県益や立場などは置いていないというふうな実感を受けました。
 結論が出たときには、もう遅い。今なぜ和歌山は攻めようとしないのか。有効な対抗手段を出さないのか。ここが私の一つのいら立ちでございます。
 また、いよいよ伊丹空港存続、そして国全体から見たときに成田や羽田の問題もある。とてもとても、関西国際空港の全体構想まで着手するのは難しいですよ。伊丹空港と二つあれば、当面、最終目標なしに第一期計画だけで御辛抱願いたい、こんな形になることは目に見えているんじゃないでしょうか。そうしますと、先ほど申し上げたように、滑走路一本で、結局、二十四時間空港でありますから、伊丹空港からはみ出た九時以降の国際便だけが乗り入れられて国内便はカットされ、まさに和歌山県は扇風機の裏側になるんではないかという心配が目の当たりに想像できる事態に立ち至っておるのではないかと思うんです。
 ですから、お聞きいたします。「毅然たる態度をとります」──結論が出て「毅然たる態度」をとっても遅いんですけれども、知事がおっしゃる「毅然たる態度」とは一体、具体的にどのような態度を今お考えになっておられるのか。場合によっては強固な手段も必要ではないかと私は思うわけでございます。県政の正念場にこそ政治家・仮谷志良知事の真骨頂を示すべきではないか、今そのときが来ているんではないかと私は申し上げたいんでございますけれども、再答弁を願いたいのでございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 お話ございましたように、「一日運輸省」の際に運輸大臣から、やはり関西の利便性、奈良や京都の立場を考えた場合、関西に複数の空港があってもよい旨の発言があったことは事実でございます。しかしながら、その過程において、大阪国際空港周辺の住民及び地元公共団体と国が議論し、そうした段階を踏んで国が結論を出すということも申しておるわけでございます。
 大阪国際空港の存廃問題につきましては、一番の問題点は何であったか。先ほども申し上げましたように、やはり環境問題でございました。伊丹市並びに周辺市町村の協議会の問題でございまして、お話のあったとおりでございます。
 当初から、近畿の知事会においても、この伊丹空港の存廃問題をテレビで討論した際にも、私だけが伊丹空港廃止ということを申し上げてまいったわけでございまして、他の知事は、やはり伊丹の方が便利だという意見が大勢であったわけでございます。このように、問題点は地元の環境問題であるという感じでございます。それが大阪府、兵庫の態度であったのでございます。
 「毅然たる態度」の問題でございますけれども、先ほども申しましたように、私は国内便の確保と全体構想の実現に全力を挙げて進めてまいりたいと思っております。渡辺議員がおっしゃったように、いろいろな作戦はあろうかと思うわけでございますし、県議会において廃止決議をしていただいておるということも十分かみしめておるわけでございます。そうした意味において、今後のあり方につきまして私も積極的に努力してまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 46番渡辺 勲君。
○渡辺 勲君 運輸大臣の伊丹存続を示唆するような発言については、段階を踏んで地元の出す結論を待つというような意味の受けとめ方をされておるようでございますけれども、きょうの各紙を見てみましても、いわゆる立地の市である伊丹市議会が昭和四十八年に空港撤去決議をされているわけです。そして五十六年に、空港の撤去とともに代替の関西国際空港の早期建設を市の第二次構想の柱にしているわけです。
 ところが、今度の新たなる第三次総合計画の基本構想の中では、「さまざまな情勢の変化を考え、市民の生活と利益を守る立場から改めて市民の合意を求める」ということで、撤去と関西国際空港推進、それから宣言、すべてを取り除いて存続の方向で、立地の市自体において存続への結論を出す前提の準備作業が進められておる。
 もちろん、他の自治体へ我々和歌山県が介入していくということはできませんけれども、和歌山県の立場を大きくここでアピールしなければ、だまし討ちに遭っているような和歌山県の立場になってしまう。何がために、県民の厳しい疑念の中で「警戒的白紙」の旗を「積極的関与」の旗にかけ直し、大阪分水を決断してきたのか。関西国際空港の建設に対して、和歌山県は和歌山県なりに重大な決意をしてきたんじゃないでしょうか。
 どうですか、知事。当初の原点が崩れ、周辺が大きく和歌山県を無視した態度に固まりつつある状況の中で、もう一度我々も原点にさかのぼって、大阪分水を初めとするもろもろの関空建設推進の上での約束事を見直すべきときもあるかもしれないというぐらいの対抗手段で、当局も議会も一致してやろうじゃありませんか。その点について知事はどのようにお考えになっておりますか。御答弁していただければ、お願いをいたしたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 関西国際空港について種々御意見をいただきました。
 ただ、私が思いますのは、関西空港については近畿の各府県も和歌山県に協力してやってくれておると思うわけです。その過程において、兵庫県が一時、お話ございましたような時期がございましたけれども、兵庫県も、奈良県、京都府、滋賀県も、知事会議において関西空港の問題については積極的にやっていただいて、そのために現在進みつつあると私は思うんです。
 ただしかし、渡辺議員がおっしゃいます存廃問題については、先ほども申しましたように国が決定することです。地元で決定するわけです。和歌山県の意見を言えということでございますが、議会の議決を得たわけでございますし、いろいろな問題等について議会と十分相談させていただいて対処してまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、渡辺勲君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番尾崎要二君。
 〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 お許しをいただきましたので、一般質問を始めさせていただきたいと思います。
 今回の私の質問は、県内各地に大きな傷跡を残した九月の豪雨災害に対する対応、農山村地域の現状と今後の取り組み、県勢の浮上をかけている関西新空港開港に向かっての県の地域整備計画の進捗状況について、以上の三点であります。
 今回、我が和歌山県に大きな被害を及ぼした、九月二日から七日にかけての秋雨前線による集中豪雨と、九月十九日の台風二十二号の被害の対応についてであります。
 まず、台風二十二号による大雨のために授業が打ち切りとなり、帰宅途中の和歌山市安原小学校五年生の児童が増水した用水路に転落し、とうとい命が犠牲となられました。心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。その他、県内各地で土砂崩れによる家屋の損傷、床上・床下浸水、道路など交通網の寸断、また農業関連等、被害を受けられた皆様に対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 また県においても、和歌山土木、海草県事務所の職員が、雨も降りやまぬ中で、睡眠もほとんどとらず災害の対応のため各地域へ出向き熱心に活躍してくれたことに対し、高い評価をしたいと思います。御苦労さまでございました。
 雨が降ると不安で眠れない夜を過ごさなければならない災害箇所もあり、一刻も早く対応して県民の不安を取り除くことが肝心であると思われますので、当局のなお一層の配慮を求め、これに対する所見をお伺いしたいと思います。
 今回の土砂崩れの現場を私も何十カ所か回らせていただきましたが、ふだんよりの水路の管理が災害予防のために特に重要であると感じました。しかし、小さな水路まですべて県や市町村で管理していくのは不可能であると考えますので、この際、「県民の友」などを通じて広く県民の理解・協力を求めてはどうかと思います。あわせて当局の答弁を求めます。
 そして、要望でありますが、県内の危険箇所の一斉点検と、悲劇を繰り返さないためにも、通学路にある県道で冠水の可能性が高い箇所については、水路側にガードレールやそれにかわる目印になるポール等を早急に設置していただきたいと思います。
 それから、教育長にお尋ねをいたします。児童生徒を警報下において緊急下校させる時間の決断が大変難しいように思いますが、教育委員会としてどのような指導をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次は、農山村地域の現状と今後の取り組みについてであります。
 本県は総面積の八六%が森林及び農地で占められ、農林業、畜産など第一次産業の振興こそ、県勢発展のための最大課題であると考えます。しかし、牛肉、オレンジ等の輸入自由化や国内における産地間での競合により、本県の農山村地域では若者による人口流出のため深刻な過疎化が進み、大変厳しい状況が続いています。現在の都市部に集中する人の流れを食いとめ、県土のバランスある発展と、そして県民の皆さんがそれぞれの市町村を愛し、親と子、おじいさん、おばあさんが自分に合った役割を担いながら、自然の中で自信と誇りを持って農林業に従事していくことができる地域づくりを推進することが、本州最南端に位置し、半島である本県における今日的課題であると思います。
 本県の総面積の中で、標高二百メートル以下の地域の面積は約四割であります。この標高二百メートル以下の四割の土地については、宅地や企業誘致についても可能性が高く、農業においてもハウスなどの施設栽培や露地栽培にも比較的簡単に取り組むことができるわけであります。
 例えば、果樹の栽培について調べてみますと、ミカンの適地については標高二百メートル以下となっており、柿の平核が三百メートル、富有柿が二百メートル、梅も二百メートル以下であり、桃、スモモ、ブドウについては百五十メートル以下が適地と言われております。このことからも、かんきつ再編対策において不適地と農家が判断した多くの果樹園が標高二百メートル以上のところであり、他作物に転換することにも不安を抱きながら悩んでいるのが現実であります。
 これらのことから、県土全体の六割を占める標高二百メートル以上の地域における農林業やその他の産業が問題となってまいります。特に、今後、県土の六割にも及ぶ土地の有効利用について真剣に取り組まなければ、高齢化が進み行く過疎地域、農山村地域の活性化はなお一層厳しくなっていくと言わざるを得ません。
 飲む水がまずく、空気も汚れ、騒音の激しい大都市に人が集中していき、その反面、空気がきれいで、緑が多く、騒音もない清流の町や村から人が出ていく。まだまだすばらしい自然が残っている地域が過疎になり、自然の姿が見受けられないほど開発された地域において特に人口がふえていく。そのような大都市に好んで住む人が、たまに地方に出向いてきてまで開発より自然環境の保護について声を張り上げ、そのすばらしさを叫んでみても、それに背を向けて若者が出ていく現実を見るたびに、政治に携わる一人として深く考えさせられるような次第であります。これらについて、知事の感想を求めたいと思います。
 当局におかれても農道・林道整備や各種の事業について熱心に取り組んでいることはよく承知をしているところでありますが、今なお現実に進んでいく過疎の姿に「何かの方法を考えていかなければ」と思うのは、私一人ではないと思います。
 これから幾つかの例を挙げながら、農山村の現状とそれに対する県行政の対応について、私なりに感想も含めて質問を続けたいと思います。
 果樹の中で、本県において生産量一位である温州ミカンについても、オレンジ果汁等の輸入自由化を迎え、味一和歌山果実ブランドの確立やミカン園等再編整備推進に県も力を入れてくれておりますので、今後の目標は、標高二百メートル以上の地域に合った新品種に力を入れてほしいと思います。
 また、国のかんきつ再編対策の中に「廃園」という対応があります。廃園についてよく考えれば、急に他作物にかえていくといってもすぐには見つからない、それならばとりあえず切ってしまえという考え方であり、余りにも無策であります。ミカン畑の中にある農家に生まれ、ミカンのおかげで育ってきた私にとっても、「廃園」という文字は大変つらい言葉であります。
 野菜については、高原野菜や消費者が望んでいる無農薬栽培にも取り組むよう、また花については既に紀南のカスミソウが全国一位であり、今後、スプレー菊も有力であると聞いていますが、どちらも市場に安定供給できるよう産地化をしていかなければ臨空農業の推進など、とてもおぼつかないと考えます。
 林業センター、畜産試験場、山村産業試験場においても、海布丸太、熊野牛、サンショウの研究など、それぞれ成果を上げつつあります。これまでの実績を踏まえつつも、また今日までの概念にとらわれず、失敗を恐れず、最大限の努力をし、チャレンジしていくことが県の行政姿勢、また市町村、農家などにも必要であると思うようなわけであります。
 今まで、農山村における県の施策について感想などを述べてまいりましたので、ここで私なりに新しい試み、村おこしについて二つの提案をさせていただきたいと思います。
 まず第一番目は、ササユリについてであります。
 この花については、以前より関心があり、私も好きな花であります。小さいころから「ヤマユリ」と呼んでいたもので、六月の中旬から七月中旬にかけて梅雨のころ咲く大変香りのよい花で、優雅で清楚な感じのする花であります。万葉の歌にも「夏の野の百合引き植えて咲く花を出で見るごとに」と詠まれ、都にいる美しい妻に例えられている花であります。
 海草郡においては、野上町の農家で一軒、自生している傾斜地を整備し、熱心に取り組んでいます。人工的な栽培は大変難しく、まだ産地化されたところがないと見られています。六月ごろの市場における市況が一本百円程度となり、今後の研究で人工的な栽培が可能になり出荷時期も調整できれば、山村の大きな収入源にもなると考えられます。
 紀南地方のストックは海の青さとマッチしている姿が大変すばらしいように、オランダで有名ですが、チューリップの球根栽培などにも取り組めば、農業の花づくりと観光の両立にも結びつくように思われます。また、実りの秋になり、先般より観光クリ園、ブドウ狩り、これからのミカン狩りなど、山村農業とリゾートの連携にもつながっていくと思われますので、余り分散しないで一つの地域に集約して考えれば効果も出てくると思います。
 二番目は、シカ牧場においてシカなどを飼育してはどうかと思います。
 シカを飼育するということについて、私も県議会議員になる前、海草県事務所の林務課へ相談に行ったことがあるのですが、一笑に付されてしまい、まともに取り合ってもらえず、苦い経験をしたようなわけです。そのときの担当職員の顔は、「何と変わったことを」と今にも言い出しそうでありました。
 確かに、シカを飼って何をするのかと思われる人が多いと思いますが、今では既に長野県の南アルプスの長谷村や大鹿村においても地域振興対策として昭和六十年度より取り組み、信州大学農学部の協力を得てシカ牧場を開設しており、長崎県口之津町においては畜産農家の八木高人さんという人が既に約六百頭を飼育しています。また、福島県で一カ所、岩手県で三カ所、北海道で四カ所、熊本県においても飼育されています。
 我が県のように標高二百メートルを超える面積が県土の六割にも達し、傾斜地の多いところにおいて、傾斜地を苦にせず有効利用できる方法の一つがシカなどの飼育であります。シカの飼育の長所は多くあり、傾斜面であっても比較的簡易な施設で対応でき、病気の発生率は極めて低く、えさについても草を主体に残飯やミカンの皮でも食べ、ふんについても今までの家畜と違って悪臭もなく公害の危険性も少なく、肉は淡白で刺身、ステーキ、煮物などになり、そして低コレステロールで消化がよく、小売でキログラム当たり一万円程度になります。角も、柔らかいうちは「鹿耳」と言われ、貴重な漢方薬になり、皮もなめしにして利用できると聞いています。短所については、一年に一頭しか生まれず、素シカの確保が難しいこと、人間になれにくく神経質であることなどがあります。
 既に、美里町の若い人たちが六月末に長野県長谷村を訪れ、飼育について検討していると聞いています。これからも、観光立地などを含めて考えると大きな可能性があるように思われます。
 以上、ササユリ、シカの二点が私の提案であります。
 農山村を取り巻く環境は非常に厳しい状況ではありますが、一番重要な課題は、単なる自然保護だけでなく、やはり働く場であり、安心して生活できる所得の確保であります。特に、農山村地域の産業振興につきましては、大変難しく、地域の取り組む意欲の問題、販売の問題、安定的・継続的な供給の問題、作目選定の問題など、多くの課題があります。
 私が先ほど提案した高原シカ牧場のような方法もあれば、その他いろいろ考えられると思いますが、要は、広く先進事例や技術、ノーハウなどの情報収集、分析、また、将来を見きわめ地域の特性を生かした考え方が必要であり、既成の概念にとらわれず、斬新な発想をすることにより、限りない本県農山村の発展を願うものであります。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 農山村の今後の取り組みについて、農林関係の各試験場の研究内容の充実について、私の二点の提案に対するお考えについて、以上三点についての答弁を求めます。あわせて、観光も含みますので、私の提案について商工労働部長にもお願いします。
 次は、第三番目の質問である関西国際空港の立地を活用するための本県の地域整備計画についてであります。
 ただいま、先輩・渡辺議員より熱意あふれる質問があったところでありますが、私は、まず県内における地域整備計画についてただしたいと思います。
 関西国際空港の建設は、近畿圏のみならず、県勢発展のために極めて重要なプロジェクトであり、そのために大綱が発表されて丸一年、昭和六十一年十二月には空港開港をにらんだ本県の地域整備計画が発表され、多くの県民に大きな夢と希望を与えたものでありました。
 この計画は、関西国際空港の立地に伴う関連施設の整備に関する国の大綱を踏まえつつ、空港立地の波及効果を県勢の活性化に積極的に活用するため、県において精力的に策定されたものであります。地域整備計画の内容は、紀の川テクノバレー計画、コスモパーク加太計画等、七プロジェクトと国土軸、空港軸、地域軸の三軸を基本とした交通体系の積極的な整備についてであります。
 昭和六十一年末に計画が発表されてからことしの暮れで丸三年になり、平成五年に開港予定でありますので、ちょうど中間点にもなっておりますし、この地域整備計画の進捗状況が県勢浮上のかぎともなりますので、具体的に取り上げて質問を進めたいと思います。
 まず、七プロジェクトの中で、紀の川テクノバレー計画についてであります。
 産業基盤の整備を掲げ、企業立地の受け皿となる産業用地の確保に特段の配慮をされた結果、那賀工業用地にデュプロ製造が進出を決定し、ことしの二月より操業を開始していると聞きます。桃山工業団地には樋上敷物、バンドー化学、打田工業用地には松下電池、長田中工業団地にも永橋染織、ハバジット日本、三菱電機関連四社など、その他のところへも着々と企業誘致が決定していき、大きな成果が上がっていることについて、当局並びに関係者の皆さんの労をねぎらいたいと思うと同時に、大きな期待をしているところであります。
 この流れを今後も強力に推し進めるに当たり、一つ気にかかることがあります。それは雇用の問題であります。
 先般、経済警察委員会の県内調査で中紀のある会社を訪問させていただいたときお聞きした話の中に、「高校卒業予定者の女子について、四十名ぐらい採用したいと考えているんですが、実際の応募は十名ぐらいしかありません」とのことでありました。確かに、ことしの就職戦線は景気の上昇によって例年になく広き門であると言われておりましたが、実際に人が集まらない話を聞かせていただくと、今後の企業誘致に一抹の不安を感じずにはおられなかったわけであります。
 紀の川テクノバレー計画の中にも労働力の確保について述べられておりますが、現在、那賀郡内の高等学校においては工業科もない状況であります。計画にある労働力の確保と研究開発機関の充実について、今後どのような進め方をされていくのか、関係部長にお尋ねしたいと思います。
 続きまして、コスモパーク加太計画についてであります。
 この計画は、関西国際空港の至近にあって自然環境に恵まれた加太地域において、関西国際空港建設の土砂採取事業と相まって、周辺環境と調和のとれた複合的大規模市街地の整備を目的とするとあり、私も最も期待している計画であります。
 ことしの四月七日、県土地開発公社が空港本島の埋め立て用土砂を搬出予定していたところ、関西空港会社と大阪府漁連との調整のおくれによって搬出作業、記念式典も断念せざるを得なくなり、私も残念で、やるせない気持ちになったものでありました。その直後から県当局、県議会一丸となって対応した結果、一カ月おくれで搬出することができ、五月十五日には六千五百万立方メートルの搬出が確約され、一安心したようなわけです。
 この十月三日の新聞報道の件もありますが、六千五百万立方メートルの土砂が和歌山県の責任において、おくれることのないよう、また県民の納得できる価格で進められるように最大限の努力を求め、担当部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。
 先般、六月議会中に先輩・下川議員と二人、早朝より大川の積み出し桟橋や土砂採取の現場を見学に行き、百三十六トンダンプが走り回るさまを見、全体のスケールの大きさに大きな感動を覚えたような次第です。そして、その跡地に新しい町ができることを想像したときに、跡地利用がスムーズに進められるよう、一刻も早く事業化が行えるよう求めたいと思います。
 この計画の中に推進機構の設立ということが書かれておりますので、今の状況と今後の見通しについて、担当部長の答弁を求めます。残りの五計画については、次の機会において質問させていただきます。
 地域整備計画において述べられている国土軸など三軸の整備について、本県は関西国際空港から約三十分の臨空に位置することを踏まえ、空港立地に伴う波及効果を積極的に導入するため、交通体系の積極的な整備をうたっております。その中で、国土軸との時間距離を短縮するため、関係各位の努力の結果、既に「くろしお」が新大阪へ乗り入れることができるようになり、県民の念願がかなったわけですが、これからは、本数が多くなっていくよう格段の努力をしていかなければならないと考えています。
 空港軸の第二阪和国道についてでありますが、この国道は空港関連道路としてはもとより、紀の川渡岸の交通渋滞を大きく緩和するとともに、和歌山市中心部の南北幹線軸として、今後の地域開発、発展になくてはならない幹線道路であります。
 この道路は、鉄道高架や移転家屋の多さなどから、今後、地元調整、用地買収の面で他に類を見ない難しさが予想されると思いますので、用地買収等について格段の努力が必要であります。第二阪和国道の事業の現況と今後の見通しについて、土木部長にお尋ねしたいと思います。
 二点目は、空港軸に取り上げられている府県道路泉佐野岩出線についてであります。
 既に昭和五十九年より関係する市や町において府県道路泉佐野岩出線等整備促進既成同盟会が結成され、ことしの総会において大阪府の岸和田土木事務所長が話されるには、「大阪府側の計画では、近畿自動車道より和歌山県県境までの三千八百メートルについて四車線化に着手するのは平成五年より先になり、平成十年までに完成するのはとても難しい」とのことであり、一体いつになったら完成するのか、気が遠くなるようなことでした。
 和歌山県も、岩出町において四車線化に向かって現道の拡幅、一部バイパス化も考えているようですが、これも完成年度のメドがつきにくいようなので、まず大阪府に対しては、紀の川分水の協定の中にも含まれる路線でありますので、強く促進を呼びかけ、和歌山県側についても一日も早い完成を目指してほしいと思います。このことについても当局の答弁を求めます。
 最後に、海南・和歌山両市を結ぶ動脈、国道四十二号線の毛見トンネルについても、地域整備計画の地域軸として取り上げられておりますが、和歌山マリーナシティの建設も進められており、これまで以上に交通量がふえるのは必至であり、早急な改善が望まれております。
 和歌山側から海南に向かっては二車線化しておりますが、海南側から和歌山市に向かってはトンネルとその前後だけが一車線のままであり、このことが先般、大手新聞にも取り上げられ、そのタイトルは「十八年間宙に浮くトンネル工事」「用地買収が難航」であります。関係市町村においても早期着工を望む声が強く、今後、県としてもなお一層、建設省に対して促進を働きかけ、用地交渉においても協力をしていってもらいたいと要望いたします。
 県民の多くが期待をしているプロジェクトについても、用地買収の難航により計画がおくれていくケースがよくあるわけです。このことからも、関西国際空港に対する県の地域整備計画につきましても、ちょうどことしが開港までの中間地点になりますので、すべての計画について詳しく取りまとめ、点検をする必要があると思います。この計画については、最初にも申し上げましたが、県勢発展のための極めて重要なプロジェクトでありますので、一度取りまとめてから、毎年すべての進捗状況について検討を加えていくべきであると思いますので、これについて企画部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 これで、一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 第一点は、九月の豪雨に対する災害対策でございます。
 ことしの災害は、雨量が非常に多かったということは事実でございます。災害被害額は百億でございまして、金額から言ったらそれほどでないんですけれども、今度の災害の特色は、和歌山市、紀北、また海岸部、有田・御坊地方で非常に大きな災害があったと、これが現実の姿でございます。
 災害の復旧は早急にやれ、そうしないとまた二次災害が出るじゃないかということ、お話のとおりでございます。これが行政にとりましても、政治にとりましても非常に重要な問題でございます。そうした面からも、積極的に進めてまいりたいと思います。
 私も、議会の冒頭で説明申し上げたんでございますけれども、応急工事をすぐにやる、そしてその後で、災害査定も緊急にやってもらうというふうにして災害復旧をさらに進めていくよう関係担当部局を督励いたしまして、なお一層努力してまいりたいと思います。
 それから、地域活性化と開発の問題について、るるお話しいただいたわけでございます。私もその話を聞きながら、過疎対策を進めている過程でございますので、また感慨ひとしおのものがあったわけでございます。
 終戦後におきまして、特に薪炭林──薪も使わず、また炭もおこさないということで、エネルギー革命によって我々の生活が変わった。だから、薪炭林がたくさん山に残っておるのが現状でございます。これはすばらしい自然景観だと思うわけでございますけれども、それらと共存していく形、調和のとれた形、生活との結びつきという点について、特に尾崎議員から話がございました。私も同感でございまして、そうしたすばらしい自然との調和の中で生活できるような郷土づくり、村づくり、県づくりを今後進めていかなきゃならない。
 しかし、そのためには、やはり産業基盤の問題、また交通基盤が非常に大事でございます。また、御提言ございましたいろいろの産業振興対策等々を踏まえてこれからの和歌山県の未来づくりをしていくべきではないか、そしてまた、今その時期ではないかと思っておるわけでございます。そうした趣旨を踏まえまして、今後とも郷土の発展のために努力してまいりたいと思っております。
 他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 九月の豪雨災害に対する対応についてでございます。
 災害復旧事業は、議員御承知のとおり、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づいて実施しております。
 着工までの手順は、被災箇所の現地調査、災害報告、査定設計書の作成、災害査定など、かなりの日時を要するのが実情でございますが、緊急に施行を要する箇所については、応急工事の制度を活用してできるだけ速やかに実施してございます。応急工事以外の被災箇所についても、査定後、速やかに復旧するよう努めておりますが、今後ともなお一層、早期着工に努めてまいります。
 次に、関西国際空港関連地域整備計画の進捗状況でございます。
 第二阪和国道については、建設省において今年度測量調査等を終え、ほぼ設計原案がまとまったと聞いております。今後の予定としては、十月末から現地説明会を開催し、詳細な構造等について協議を行い、地元の協力が得られれば年度内に一部用地測量、用地買収に取りかかりたいとしております。
 また、用地買収及び関連事業については、市が第二阪和国道関連建設事務所を設置して主体的に取り組んでいるところであり、県としても、建設省、和歌山市とも密接な連携をとりつつ、事業の促進に努めてまいります。
 府県道泉佐野岩出線については、紀の川利水に関する協定書に従って的確に整備が進められるよう、大阪府と協議を重ねているところであります。
 和歌山県側については、今年度じゅうに都市計画決定を行うべく地元調整を行っておりますが、一部地域でルートについて同意が得られていない状況であります。今後とも、岩出町、地元関係者の方々の御協力を得ながら、早期に都市計画決定がなされ事業が促進されるよう努力してまいります。
 なお、国道四十二号の毛見トンネルについては、県としても建設省と密接に連携をとりながら事業の促進を図ってまいります。
○議長(門 三佐博君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 防災意識の啓発につきましては、従来から「県民の友」あるいはテレビ、ラジオなどを通じて行ってきたわけでございますけれども、議員お話しございました災害予防のための日常的な点検、管理の必要性という点についても、災害シーズンを迎える時期に行う防災啓発の機会をとらえ、県民の意識の啓発、理解協力が得られるよう効果的な啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 議員言われるように、農山村の地域は県土の大変大きな部分を占めてございます。その広大な森林や温暖な気候等、自然の資源に恵まれ、今後の県勢浮揚の重要な、しかも新たな役割を担っているものと考えてございます。
 この地域の発展のために積極的に諸施策を推進して、特に議員お話しの産業振興については、可能な限り国庫補助事業を導入し、足らざるところは県単独の事業など諸事業により、基盤整備、生産加工施設、集出荷所、産品直売所等の整備、また軽企業誘致などを推進してまいりました。今日、ふるさと産品が各地域で定着しつつございまして、相当の成果を上げているところでございます。
 今後、議員お話しの御趣旨を十分踏まえ、高冷地野菜、花卉花木、特用林産物等、産業振興への取り組みについて、関係機関と力を合わせ、道路網の整備等と相まって、さらに産地化形成を目指して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、農林水産関係各試験場の研究内容の充実の問題でございます。
 本県の農林水産業の振興にとって、その果たす役割は極めて大きいものと考えます。チェリモヤ等の新しい作物の栽培試験、熊野牛等の肉用牛の受精卵移植技術の開発、木材加工や県産材の高付加価値化の技術、アユの染色体操作による全雌アユ生産技術等、新技術の開発に取り組んでいるところでございます。
 また、特に昨年、果樹園芸試験場において近赤外線による果実の非破壊検査技術の確立、さらに本年度、農業試験場で高度環境制御温室の設置による優良種苗の育成に取り組むなど、新しい発想での研究開発に努めているところでございます。
 今後とも、バイオテクノロジー等、革新技術の導入や情報収集、さらに各試験場との有機的な連携を図り、積極的に研究内容の充実に努めてまいりたいと存じてございます。
 次に、御提案のございました二つの問題に対する部長の考え方でございます。
 一つには、ササユリでの村おこしということでございます。
 ササユリについては、東海地方から近畿地方の山野に自生する香りの高い優雅な花でございまして、本県では六月ごろに紀北・紀中地域にかけて山どり出荷され、消費者からこれが好評を得ているところでございます。
 議員御提案のササユリの栽培化については、お話のとおり、繁殖や肥培管理上、大変技術的に難しい問題がございます。このようなことから、まず暖地園芸総合指導センターにおいて、中山間地域における産地化に向けて、バイオテクノロジー技術による球根の繁殖技術の開発、安定栽培などの技術開発に鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、御提案の二つ目のシカ牧場の問題でございます。
 本県の高地における畜産の状況は、大中家畜を合わせて三十六戸、千八百頭で、全体の約一割を占めてございます。議員仰せのとおり、シカは、高地でしかも急傾斜地でも十分飼育できるものと考えます。また、御提案にもございますシカ牧場は、新しい試みとして私も非常に関心を持ってただいま聞かせていただいたところでございますので、地域より具体的なお話等がございましたら、先進地の調査等を行い、家畜保健衛生所とも連携をとりながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、二つの御提案でございます。
 観光産業は、御承知のとおり、第一次産業から第三次産業まで関係する総合的なすそ野の広い産業でございます。議員から御提言のございました、自然の豊かさを生かした農山村資源の活用としてのササユリやチューリップの花栽培、またシカ牧場など、観光農業の面での新たな掘り起こしは重要な課題でございますので、今後、関係部局とも十分協議をしてまいりたいと存じております。
 次に、労働力の確保と研究開発機能の充実でございます。
 最近では、業種によっては技術・技能労働者を中心に人手不足の状況も見られ、特に新規学校卒業者を中心とする若年労働力の確保については厳しい状況にあるものと認識をしてございます。このため県としては、新規学卒者について、各学校との連携を深め、最近立地したなじみの薄い企業をも含め、県内企業の求人情報提供の充実を図るなど、県内就職の促進に努力しているところでございます。
 また、公共職業安定所をコンピューターネットワークで結ぶ総合的雇用情報システムの活用や、求人の年齢要件の緩和による中高年齢者の活用により、求人充足率を高めるよう指導しているところでございます。
 また、産業の高度化等、技術革新の進展に対応できる人材を育成するため、和歌山高等技能学校に情報理工学科を本年度開設するとともに、工業技術センター等、公的研究機関については、従来からも新鋭機器の導入を図るなど充実に努めているところでございますが、今後、施設の拡充整備についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 企業誘致も進んでいる現在、今後、労働力確保は大変重要な課題でございますので、その効果的な確保対策について、関係部局ともより一層協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港関連の四点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、地域整備関連の研究開発機能の充実と労働力の確保についてでございます。
 紀の川テクノバレー計画を実現させるためには、研究開発機能の充実、労働力の確保は、議員御指摘のとおり、ぜひとも必要でございます。研究開発機能の充実については、本年度から和歌山大学において教育学部に生産科学課程が新設され、また近畿大学の用地についても造成工事が始まるなど、着実に進展をしているところでございます。
 今後は、さらに研究開発機能、人材育成機能のより一層の充実を図るために、和歌山大学の産業科学部構想の実現、近畿大学の理工系学部及び総合研究所の設置などについて、国、近畿大学等に従前にも増して積極的に働きかけてまいる所存でございます。
 第二点は、土砂採取事業の今後の進め方についてでございます。
 本年五月から土砂搬出を開始して以来、徐々に搬出量をふやしながら稼働しており、九月末現在においては約四百七十五万立方メートルの土砂を搬出しておりますが、諸般の理由もございまして、計画搬出土量より下回っている現況でございます。
 今後は、六千五百万立方メートル全量を搬出できるよう、配船、作業時間の延長等について、関西国際空港株式会社等に強く要請を行うなど、懸命の努力をいたす所存でございます。
 また、土砂単価の問題でございますが、現在、関空会社と早期決着を目指して鋭意交渉を進めているところでございます。価格決定要因については、生産原価、市況価格、その他特殊事情を踏まえ協議しているところでございますが、本県としては生産原価を主体とするよう強く主張しているところでございまして、今後とも懸命の努力を重ねてまいる所存でございます。
 第三点は、加太の土取りの今後の進め方とコスモパーク加太計画に伴う推進機構の問題等についてでございます。
 コスモパーク加太に先立つ事業である土砂採取事業の第二期工事については、跡地造成工事にできるだけ手戻りがないよう配慮しながら、円滑、効率的に行ってまいりたいと考えてございます。
 コスモパーク加太計画については、民間の開発ノーハウ等を生かす企業の参加も含めた推進組織を検討するなど、事業化に向けてその推進を図っているところでございます。
 第四点は、地域整備計画の進行管理についてでございます。
 関西国際空港関連地域整備計画については、昭和六十一年の計画策定以降、それぞれの事業についてその推進が図られているところでございます。第四次長期総合計画、中期実施計画の主要プロジェクトでもございますので、議員御指摘のとおり、地域整備計画の個々の事業について詳しい進捗状況、問題点等、地域整備計画の進行管理を行っているところでございます。今後は、この進行管理に基づき、関連事業のより一層の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 二点につきまして、お答えを申し上げたいと思います。
 まず、児童生徒のいわゆる下校時における、特に警報発令下の問題につきましてお答えをいたしたいと思います。
 去る九月十九日、大雨洪水警報発令下において、和歌山市内の小学生が緊急下校をする際にそのとうとい命を失われましたこと、心から哀悼の意を申し述べさせていただきたいと存じます。
 このような警報発令下の児童生徒の指導については、非常災害緊急時における生徒の措置の問題、あるいはまた出水期における防災態勢の強化について、各市町村教育委員会、さらにまた各学校に対して従前から指導をしてまいったところでございます。
 その内容でございますが、学校が人命の保護を第一義として、正確な情報の収集、迅速な伝達、そして避難態勢の強化等に適正を期することがその中心となってございます。この指導に基づき、各学校においては地域の状態に応じてその措置を講じているところでございます。
 県教育委員会としては、今回の事故を教訓として、従前から開催している学校における管理職を対象とした学校安全講習会の充実をさらに図り、児童生徒の安全の確保について、市町村教育委員会並びに各学校に対してさらに指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次は、企業誘致と労働力の確保に関して、教育委員会としてのお答えを申し述べさしていただきたいと思います。
 企業誘致といわゆる人材確保についてでございますが、御承知のように、生徒の急減期が進んでおる中で、時代の進歩と社会の要請にこたえた高校の職業教育の充実、そして地域の実情を踏まえた特色のある学校づくりの推進等を行うとともに、優秀な教員の確保を図りながら、有為な人材の育成と確保に努めることが極めて肝要であると考えてございます。
 お話のございましたように、那賀地方を初めとして、各地域における学科編成は、職業教育を含む県下全体の状況等を考慮しながら、学科改編を含めて総合的に検討をさらに行ってまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番尾崎要二君。
○尾崎要二君 まず、加太の土取りについてでありますが、本年の四月に一度、諸般の事情により土砂搬出が中断された。また、その後、五月十五日に県と空港会社との間で覚書が調印されて、その時点でやっと一安心をしたようなわけでありますが、それもつかの間、十月二日の県土地開発公社の土砂搬出状況の発表ということの中で、今、物理的に量を確保するのが大変難しい、厳しいというような見方で、新聞には悲観的であるとまで記されているようなわけであります。
 実際に減少することが確実ならば、これは大変な問題であると考えます。特に、この後のコスモパーク加太の計画について、開発面積の縮小や土砂販売において売上金の減少につながっていくというような結果になるからであります。
 このことについてどう考えておられるのか。すなわち、土砂搬出量とコスモパーク加太計画の問題について、さらに、今課題となっている土砂販売単価をも絡めた土砂売上金とこの土砂採取事業の採算性について、詳しく再度企画部長にお聞かせをいただきたいと思います。
 その他につきましては、今、知事の方からも災害復旧における強い決意を聞かしていただき、大変心強く感じるようなわけであります。
 また、教育長の方からも、生徒児童の警報下における緊急下校についての御説明がありました。これは、私もいつも感じることでありまして、相手が自然ということで、間違いのない正確な情報を収集するのは大変難しいようには思いますけれども、最終的には各学校において校長先生の判断で下校時間を決めるというように私も理解しているところでありますので、校長先生並びに学校側が正確な情報を収集し、またそれを助けるためにも県教育委員会、県消防防災課、そして気象台と常に緊密な連絡を取り合って、できましたら、今一時間に一回ぐらいの情報収集を三十分に一回ぐらいずつ何とか情報を得られないものかと考えるようなわけであります。その点で、またひとつ格段の努力をしていただきたいことを要望させていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 土取り問題についての再質問にお答えを申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、本県の搬出計画土量は六千五百万立方メートルでございますが、遺憾ながら、九月末累計では当初計画より約百二十万立方メートルの減となっている現況でございます。
 平成三年十二月末までの期間内に全量搬出するためには、関空会社による配船計画の整備、作業時間の延長などが必要と考えてございますが、とりあえず効率的配船計画等によりこのおくれを取り戻し、全量搬出に努めてまいりたいと考えてございます。
 したがって、コスモパーク加太計画への影響も来さないよう対策を講じてまいる所存でございます。
 なお、土砂販売収入については、現在、鋭意、関空会社と土砂単価について交渉中でございますが、議員御指摘のとおり、事業採算がとれるよう、今後とも懸命の努力をいたす決意でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 25番尾崎要二君。
○尾崎要二君 今、企画部長の方からお答えを賜ったわけでありますが、このペースで少しずつおくれていって、最終的に六千五百万立米の土砂について計画量の搬出の確保が難しいという事態になりますと、これは大変な県の損失というような形になってあらわれてくると思いますので、この点を十分心して、計画量の確保に最大限の努力をしてほしいということを要望申し上げ、そして、我々議員もこのことについて全面的に協力をしていきたい、私自身もその考えであるということを最後に申し添えて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十九分休憩
 ──────────────────── 
 午後一時四分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 通告に従いまして、質問をさせていただきます。
 まず最初に、和歌山マリーナシティ計画にかかわってお尋ねをいたします。
 関西新空港の護岸工事用埋立土砂の供給をめぐりまして、海上埋立土砂建設協会いわゆる海土協加盟六社の談合疑惑問題が明らかになって、公正取引委員会は独占禁止法の競争の実質的な制限違反として再発防止の措置をとるように勧告いたしました。
 和歌山県では八日、海土協加盟の八社を指名停止する方針をとりまして、同日、鹿島建設は、和歌山マリーナシティ建設に関して落札していた毛見一号線に係る橋の橋脚工事などを辞退せざるを得なくなったわけであります。
 また九月二十二日には、加太漁業協同組合がマリーナ建設に伴うプレジャーボートによる漁船の操業妨害について企業局長らとの交渉を行ったと聞いております。席上、企業局長は、プレジャーボートの現状調査と対策について、和歌浦湾安全対策協議会の中で新しい海上のルールづくりやプレジャーボートによる釣りの禁止などについて協議をしている、このように述べられていることが報道をされております。
 昨年九月の県議会におけるマリーナに関する私の質問に対して当時の土木部長は、昭和六十年度におけるプレジャーボートの現存隻数は約千六百隻あること、また漁業操業と航行の安全について、和歌浦湾安全対策協議会を発足させたので、今後、関係者の協力を得て必要な対策を講じたい、このように答弁をしておられます。
 この問題とも関連して、今回の加太漁協との協議内容について、また双方が合意に達しているのかどうかについて、関係部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、漁業補償問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山マリーナシティ建設計画の経緯は、昨年八月十日の公有水面埋立法に基づく埋立免許出願に続き、本年一月六日に埋立免許、同五月二十六日工事着手として今日に至っております。何代にもわたって漁業で生計を立ててきた漁業者にとって、漁業権の消滅は後継者の将来の問題をも含めて極めて重大なことであります。それだけに、埋立予定海域に漁業権を持つ和歌山市の毛見浦、海南市の冷水浦の両漁協組合員の方々の漁場消滅などに対する補償問題がどれほど深刻なものであったかが推察できるわけであります。刺し網の漁業者は、カニ、コチ、カレイなどの主漁場が奪われ、出漁した日は一夜で三万円以上の水揚げがあったものが壊滅状態なり、「米びつをつぶされるのと同じや」、そういう悲痛な叫びを上げておられます。
 ところで、この二漁協の補償交渉は、昨年八月十日、埋立免許の出願までに県当局との間で一致を見たとされ、八月十一日の各新聞には毛見浦漁協が五億二千万円、冷水浦漁協が四億七百万円で漁業権放棄に同意したと報道されております。
 そこで、知事及び企業局長にお尋ねをいたします。
 補償交渉における契約の当事者は、県当局においては埋立権者である知事であり、漁業協同組合の当事者は組合長もしくはこれにかわる代表者だと思うわけでありますが、後ほどお尋ねいたしたい問題との関係もありますので、改めて補償交渉における双方の当事者はだれか、また補償金額の内容について御答弁をお願いいたします。あわせて、補償金がいつ、どこの金融機関に、どのような方法で支払われたのかについても、具体的にお答えを願います。
 私は、ある漁業協同組合員の方から、両漁協との交渉について県当局には誠意が見られなかった、聞くところによると、二回に分けて補償金支払いが行われたようだという話を聞きました。埋立権者の知事が、同じ漁協と二度も契約をすることはないはずであります。
 そこで、当該する一漁協である冷水浦漁協の組合員の方にいろいろお尋ねをしたところ、想像も及ばないようなことを聞かされたのであります。
 以下、その概要について述べてみますと、県当局いわゆる企業局と漁業協同組合の組合長と交渉委員二十四人との第一回交渉は昨年六月十五日に冷水浦漁協で行われましたが、このとき県から提示されたのは一億八百万円でありました。漁協側はこのような額では話にならないと突っぱね、物別れになったということであります。ところが、第二回目に行われた七月二十四日の冷水浦漁協での交渉では四億七百万円の金額が県から提示されたと言われます。
 さきにも述べたように、漁業権の消滅が漁業者にとって死活の問題であるだけに、このような駆け引き的とも見られる行為が事実とするならば、県当局の不誠意な態度を許すことはできません。補償額が多くなったのだからよいではないかというような問題ではありません。最初から、漁業権消滅などに対する漁業者の立場に立つという誠意が見られなかったのであります。この交渉には企業局が当たっておりますが、埋立権者の知事がこうした交渉の状況を十分把握された上、契約書を交わされたのかどうか、具体的にお答えをいただきたいのであります。同時に、企業局長から交渉の経過についてお答えを願います。
 しかし、問題はこれだけにとどまったのではありませんでした。四億七百万円が県から提示された一週間後の七月三十一日、同じく冷水浦漁協で行われた最終交渉では、再度補償金が追加され、妥結に至ったとのことであります。そうとするなら、八月十日の公表された四億七百万円とのかかわりはどのように考えればよいのでしょうか。漁業権にかかわる問題は商業上の取引ではありません。これらの経過と七月三十一日に行われた交渉内容について、企業局長から明確な答弁をいただきたいと思います。
 同時に、この補償金の内容として、漁業組合長などに対する別枠的なものが県当局から加味されているかどうかについても、明確にお答え願います。
 次いで、補償交渉の対象となっている和歌山市、下津町に及ぶ九漁協と底びき網、船ひき網関係の三連合会の補償交渉に関してお尋ねをいたします。
 これらの漁協や漁業関係者にとりましても、漁場問題は重大問題であります。この経過と現時点における到達状況、今後の解決の見通しについて、企業局長から答弁をお願いいたします。当局の答弁に基づいて、再度、具体的に質問をさせていただきたいと思います。
 第二に、岩出町で行われている採石問題についてお尋ねをいたします。
 本年九月の秋雨前線と台風二十二号による県下の雨量は八百二十四・五ミリを記録、過去、最高だった一九五六年(昭和三十一年)の六百九・四ミリを二百ミリ以上も上回り、年間平均雨量約千五百ミリの半分以上に相当する雨量となりました。この豪雨に対処するため、数日に及ぶ徹夜警戒を初め、緊急態勢の先頭に立たれた関係者の方々の御苦労に心から感謝を申し上げるとともに、これを教訓として県民の生命と財産を守るために、また県土の荒廃を防ぐための県当局の確固とした姿勢を強く要望し、この立場から、以下、質問をいたしたいと思います。
 若干日時がさかのぼりますが、去る三月十四日、県道泉佐野岩出線の岩出町大字根来字洞尾二二七五番地付近での保安林からの落石事故により同県道が一時通行どめになりました。同月二十七日、我が党県議団と岩出町議員団が現地調査を行いました。那賀県事務所、岩出土木事務所、さらには岩出町役場でも事情を聞いたわけであります。
 さて、きのう、きょうの質問にも九月の秋雨前線による被害問題が示されておりましたが、九月七日、有田市糸我町の国道四十二号線に巨岩が落下してガソリンスタンドの屋根を直撃、幸い死傷者はなかったものの、一カ月たった現在、なお完全な復旧はされておりません。大惨事を未然に防止するためにも、岩出町の落石事故は重大問題を含んでいると思われます。
 問題の第一は、岩出町大字根来字洞尾二二七五番地の一の保安林は、岩出町の所有、和歌山市の第一石産株式会社管理で、保安林解除がなされておりません。落石事故のときこの保安林の立ち木が伐採されていたことが判明し、これが事故の要因とも見られております。事故当時、だれがこの伐採をやったのか不明ということでありましたが、その後の調査で第一石産が伐採したことが明らかになり、てんまつ書の提出を求めたとのことであります。この保安林の隣接地は第一石産の風吹峠採石場になっておりますが、採石場の隣接地との間に設けるべき保全区域いわゆる残置森林の立ち木まで伐採されていると言われております。
 そこで、まず農林水産部長にお尋ねをいたします。
 保安林における制限を規定した森林法第三十四条二項は、「保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉若しくは落枝を採取し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない」としております。落ち葉や落ちた枝まで拾ってはならないと規定しているのであります。まして、立ち木の伐採などは考えられないことであります。
 まず、この保安林の立ち木伐採について、森林法に基づく知事の許可を受けたのかどうか、お尋ねをいたします。
 また、保安林の落石事故の原因をどのように把握しておられるのか、無断伐採とすれば全く無謀な行為であり、第一石産の責任者からてんまつ書が提出されたと聞いておりますが、会社は無断伐採の理由をどのように述べているのかについてお答えをいただきたい。あわせて、県当局としてこの問題にどのように対処されてきたのか、指導も含めてお答えを下さい。
 森林法によれば原形復帰が基本とされているが、どのような措置が行われたのでありますか。さらに、今後、森林法に基づき全県的に保安林を守るためにどのような具体的対処をとられるのか、以上についてお答えをいただきたいのであります。
 次に、採石問題についてお伺いします。
 採石法は、第一章第一条で、「災害を防止し、岩石の採取の事業の健全な発展を図る」と、その目的を示しています。この目的のために第三章では採取計画の認可について、認可の基準と条件などとともに、採石法三十三条の八項では、認可を受けた採取計画に従って事業の実施をしなければならないと採取計画の遵守義務を明確にし、同条十二項では、認可の取り消しまたは事業停止のあることを示しています。さらに同条九項は、認可した採取計画では、災害の発生を防止することができなくなったと認められるときは、知事が採石業者に対し採取計画の変更を命ずることができる、このようになっております。
 具体的問題に移りますが、私たちが落石調査を行っている最中の約十五分間ぐらいに、保安林に隣接している側の切り立った壁面の土砂が、最大推定高さ約十五メートル、幅約二十メートルにわたって崩壊する場面に三回ほど直面いたしました。私は、保安林の無断伐採の事態に照らして、業者の採石方法と県当局の指導監督がどのように行われていたのか、この際、明らかにすべきではないかと考えるわけであります。
 まず第一に、採取方法についてお尋ねをいたします。
 採石場所は、垂直を通り越して、えぐられた形状でありました。採石者である第一石産に対して、昭和六十三年五月三十日付で認可された指令書にも、採取方法は露天掘り、階段採取法とされています。また、掘削面の傾斜角度は六十度以下とするとなっております。
 土木部長は、着任早々で現地をごらんになっておられないと思いますが、採取方法についての県の指示内容とともに、採取方法に従って採石が行われているとお考えなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
 なお、六月の岩出町議会で、我が党議員の質問に対して町当局者は、採石方法は階段掘り、すなわちベンチ工法で計画どおり施行されていると県土木から聞いていると答弁していますが、そのような見解を示されたのかどうか、あわせてお答えを願います。
 第二に、表土の除去方法は、隣接地である保安林との境界から保全区域として少なくとも五メートル以上離すこととしており、保全区域に接する面は四十度以下の勾配と定められております。県当局は、現場の実態の上に立って、保全区域が崩れていないかどうか、また勾配が守られているとお考えなのでしょうか、さらに保全区域の立ち木伐採の実態はどうなのか、あわせてお答えいただきたいのであります。
 第三に、調査当時、境界を示すくいがだれかによって抜かれていたということでありましたが、この問題での調査の状態と現状についてお答えをいただきたいと思います。
 以上で、私の第一回の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 和歌山マリーナシティ計画の漁業補償の件でございます。
 マリーナシティ建設事業は、現在、順調に進んでおります。このことについては、和歌浦湾を中心とする漁業の実態からして、漁業関係者の御理解に大変感謝しているところでございます。漁業操業の実態は、私も深い関心を持っておりますし、またお話のように、漁民の方々が父祖伝来の生業として、また海というものに対し、あるいは操業の地先ということについて並み並みならぬ愛着を持って毎日仕事をしている、その気持ちはよくわかっておるわけでございまして、職員においても補償交渉に当たっては漁民の気持ちをよく理解して話を進めるように指示しておるわけでございます。また、そのように報告を受けている状況でございます。
 ただ、補償というのは、漁民の方々が地先漁業権を祖先伝来の財産と考えている点、また将来起こるであろう漁労障害等について、これを金銭として数字にすることでは、それぞれの実態に応じて具体的な話し合いによって合意等に達することが必要でございます。本件につきましても、組合の総会において合意されたものであり、組合員の理解を得られたものと考えているところでございます。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 まず、プレジャーボート問題での加太漁協との協議内容についてでございますが、加太漁協からマリーナシティ建設に伴い、加太の漁場におけるプレジャーボートや遊漁船等による漁業操業上の障害が増大することの対策を強く求められているものでございます。
 これが対策につきましては、プレジャーボート等の現状を把握するとともに、昨年設置いたしました和歌浦湾安全対策協議会において、漁業者の代表の方々、プレジャーボート関係者、船舶関係者、海上保安署等、行政関係者が相寄りまして、具体的なルールづくりや事故対策の確立などを検討していただくこととなっております。加えて、マリーナ管理者には、これを徹底して遵守するよう周知し、教育し、指導されるよう要請する所存であります。
 なお、今後も加太漁協の皆様方とは、漁業に与える影響等について具体的な御意見を聞きながら話し合いを進めてまいる所存であります。
 次に、漁業補償交渉における当事者と補償額及び支払い方法についてお答えを申し上げます。
 埋立地先に漁業権を有する漁協との補償交渉における当事者、補償金額、支払い時期等についてでございますが、当事者は知事と冷水浦漁業協同組合及び毛見浦漁業協同組合の二組合でございまして、冷水浦漁業協同組合については四億七百万円を昭和六十三年九月二十日に、毛見浦漁業協同組合については五億二千万円を昭和六十三年九月二十日に、いずれも当該組合の指定により、和歌山県信用漁業協同組合連合会のそれぞれの組合口座に振り込みをいたしております。
 なお、同意に当たっては、それぞれの組合総会において議決を得ております。
 三点目でございますが、漁協との補償交渉の経過状況と契約書についてであります。
 補償交渉の経過についてでありますが、冷水浦漁業協同組合とは、埋立予定地に直接漁業権を有する権利者として一昨年十一月に港湾審議会でマリーナシティに係る港湾計画の一部変更の議を経たのに伴い、具体的な交渉に入りまして、組合側と県との間で延べ三十四回の話し合いを行ったものでございます。この間、組合において選ばれた二十四名の交渉委員との交渉、組合役員との交渉、全組合員との交渉と、それぞれの段階に応じて話し合いを進めてまいりました。
 交渉内容としては、かつての海南港の公有水面埋立の補償の経緯、漁業者の操業の実態と県の対応、また今回の埋立造成に伴う具体的影響と事業完成後の漁船とプレジャーボートとの関係でありました。
 補償内容といたしましては、まず、漁業権の消滅補償、工事に伴う濁りの発生等の影響補償、工事中における船舶禁止区域の設置など、漁業操業海域の制限に対する補償、工事関係船舶の航行に伴う影響や同海域における魚卵稚仔の生育域の減少、その他、人工島完成後のプレジャーボートの航行に伴う漁業操業への影響に対する補償でございます。
 次に、交渉内容等でございます。七月三十一日の交渉内容についてでありますが、提示額、補償基準、漁業権の消滅等について、再度具体的な話し合いを持った上、最終的に同意をいただいたものでございます。これが、最後の漁業交渉日でございます。
 また、補償金のうち、漁業組合長などに対する別枠といったものは全くございません。ただ、補償金として組合員で全額をお互いに配分するか、組合として一部留保して今後の漁業振興資金等に充てるかの意見があったところでありますが、いずれも、その処置については組合員の総意によるものと思料いたしてございます。
 最後に、制限区域等の補償交渉についてでございます。
 地先漁業権を有する漁業協同組合以外の組合との補償交渉につきましては、埋立地である和歌浦湾内に漁業権のある雑賀崎から下津までの九組合に対して、先ほど御答弁申し上げました漁獲並びに漁業操業に及ぼす影響について、個々の組合ごとに具体的な実態に応じた交渉を重ねてきたところであります。同時に、和歌浦湾内で操業権を有する許可漁業の和歌浦湾及び湯浅湾の二つの機船船びき網漁業連合会並びに紀伊水道小型機船底びき網連合会の三連合会についても交渉を重ねてまいりました。現在、この九組合及び三連合会については、本事業に対する理解と協力を得て、本年八月に合意に達してございます。
 なお、マリーナ施設の供用が開始された後、操業海域での帆走、遊漁による操業への影響、安全対策上の諸問題について、現在、加太漁業協同組合を含め関係漁協との話し合いを行っております。今後とも、御理解と御協力を得るよう努力してまいる所存であります。
 以上であります。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答えを申し上げます。
 保安林の伐採に知事の許可があったのかということでございます。
 採石を行っている場所につきましては、昭和六十年に森林法に基づき保安林の解除をいたしてございますが、これに隣接している議員御指摘の保安林については無断伐採であると判断をいたしております。
 落石事故の原因についてでございますが、採石業者の無断伐採が行われたため、その後の降雨により亀裂が拡大し崩壊を助長したことが原因であると把握いたしております。
 てんまつ書の内容と無断伐採の理由、また県当局のその後の対処と指導の問題でございます。採石業者から提出されておりますてんまつ書の内容については、保安林上部の山腹に亀裂を発見したため立木の伐採を行ったとのことでございますが、県といたしましては、無断伐採であるために植栽等による原形復旧を指示し、厳しく対処したところでございます。
 また、崩壊後の不安定土砂の除去、道路のための落石防止さくの施工等については、土木事務所と協議をしながら指導し、施工させているところございます。
 保安林保護のための具体的な対処の問題でございますが、保安林の保護については極めて重要なことでございますので、保安林の標識等による境界の明確化と、あわせ保安林の公益的機能の重要性を開発業者に強く認識するよう指導しているところでございます。今後は、保安林に隣接して開発を行う場合も、かかる事故のないよう再発防止に努めるとともに、さらに保安林保護の指導の徹底に鋭意努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 岩出町における採石問題についてでございますが、御質問の採石場については、採石法第三十三条により岩石の採取計画内容等に基づいて認可されたものであり、期間は昭和六十三年五月から平成三年五月までであります。
 まず第一に、この区域の採取に際しましては、岩石採取計画の作成を義務づけて保全区域を確保し、階段掘り工法として実施するよう指導しているところであります。しかしながら、当採石場における今までの岩石採取段階においては階段掘り施工がなされていないと判断しております。このような現状に対し、速やかに緑地に復元するよう指導しております。
 第二の保全区域については、隣接保安林が崩壊する前は確保されておりましたが、当該隣接地が崩壊したことから、上部の危険土砂除去のため保全区域を含めて作業をしております。そのため部分的に保全区域はなくなっておりますが、この工事が完了次第、関係機関とも協議をして復元するよう指導してまいります。
 第三の境界ぐいにつきましては、当時、調査したところ、明示ぐいが数本しか残っておりませんでしたので、五月三十日に境界明示ぐいを設置し、復元させております。
 以上、御指摘の件につきましては、採石業者に対し、岩石採取計画を遵守させ、認可条件に適合した工法をとるよう一層指導強化をしていく所存でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問に移ります。
 農林水産部長、土木部長に申し上げます。
 まず、農林水産部長から、森林法に基づきこれを確実に実施していくということで、今までの対応あるいは今後の方向についての明確な御答弁をいただきました。このような点について、具体的な施策と同時に全県的な保安林の保全のために、より一層の指導と対処を強めていただくことを要望いたしたいと思います。
 次に、土木部長に。
 先ほどから災害の問題も出ておりましたが、県土の保全については、各部ともそうでありますが、特に土木部の果たしていく役割は非常に大きいわけであります。その重要性から考えまして、以下、三点にわたって再質問をいたしたいと思います。
 その一つ、先ほど第一回の質問の中で申し上げましたけれども、採石法の三十三条の八項では、認可を受けた採取計画に従って事業の実施をしなければならない、これが採取計画の遵守義務であります。これが明確にされている。また、同条十二項では認可の取り消しあるいはまた事業停止のあることをも示しておりますし、同条九項は、認可した採取計画では災害が防げないと認めたときには知事が採石業者に対して採取計画の変更を命ずることができると規定されているわけであります。
 私は、この立場を断固として貫いてもらうことが大事だと思います。私どもも現場を見ましたが、長年にわたって採石がやられておるわけであります。当然、採石の初め、途中、それが完了した時点においては、採石法に決められた階段式にこれが保存されなければならないわけでありますが、部長も指摘されましたように、階段掘りというのはされていない。これは採石法上違反をしているし、安全の点から見ても大変な問題であります。したがって、部長がおっしゃいましたように、この立場を何としても貫いていく、そしてそのような事態があった場合には、今申しました採石法の三十三条のそれぞれの項目に基づいて直ちに厳重な対処をしていくことが大事かと思いますので、この問題についての土木部長の再度の答弁をお願いしたいと思います。
 第二点の問題であります。
 現在行われている六十三年五月からの採石でありますが、この採石場が開始されたのは六十年であります。したがって、ことしで四年目に入っておる採石場だと理解いたしておりますが、ここにおいても私が見た段階では採石法に基づく階段掘りがされておらない。したがって、階段掘りをやっていくということについて、これはきちっとすべきだと思います。六十年から開始され六十三年からの三年更新で行われておる今の採石場について階段掘りを進めていく──表土剥離の問題もありますから。そういった点から見て、大体見通しはいつごろになるのかについてもお答えいただきたいと思います。
 最後に、全県的に採石場が採石法に基づいて厳正に行われているのかどうか、土木部長から答弁をお願いいたしたいと思います。
 さて、マリーナ建設にかかわる補償問題についてであります。
 この問題につきまして、まず企業局長を中心に質問をしてまいりたいと思います。
 私の質問した中で、七月三十一日に再度補償金額が追加されてここで妥結したのかということについて、企業局長は明確な答弁を避けておられます。最終的同意を得たものということだけであります。私は、この漁場を失っていくことに対する漁民の生活上の問題、あるいは漁業権全体の問題について本当に県が真剣にどのように考えていくかということ、これを基本にしてお尋ねしたわけであります。特に、漁業権の喪失ということが与える影響について述べられていたとは思いますけれども、私はこの漁業権補償交渉の問題が県民に対して非常に不鮮明だと思うわけであります。したがって、この内容について具体的に示していきたいと思いますので、明確な答弁を再度要請して質問に入ります。
 ここに私が入手いたしました、知事と漁協が行いました契約書があります。また、同じく覚書があります。そして、これはまた吉井企業局長と冷水浦の組合長との間で交わされた覚書と確認書があります。
 この知事との契約書によりますと、「契約の主旨」として、甲いわゆる漁業組合でありますけれども、「甲は、別添対象区域一において、乙及び運輸省の実施する事業に同意するものとする」、この二項に「乙は、事業に伴う漁業権等に対する一切の損失補償金の総額として、頭書の金額を甲に支払うものとする」、この金額は頭書に四億七百万円という数字が明記されております。
 ところが、私が先ほど指摘し、企業局長も、七月三十一日の再度交渉いわゆる最終的交渉の中で同意を得たと言われましたが、この同意は何によって得られたのかということが企業局長の答弁から抜けておる。私は、それをこの覚書に基づいて率直に申し上げたい。この覚書は、甲・冷水浦漁業協同組合組合長理事川端進、乙・和歌山県企業局長吉井清純、もちろんそれぞれの公印が押してあります。平成元年三月二十八日、この中で「冷水浦漁業協同組合(以下『甲』という)と和歌山県(以下『乙』という)とは、和歌山マリーナシティ建設事業の実施に関して、次のとおり覚書を交換するものとする。 一 乙は、和歌山マリーナシティ建設事業に伴う甲の漁業権の消滅(海南港への出入港水路を含む)、海域利用上の障害により生じる損失の補償及び漁業振興を図るための資金として、金三億一千三百万円を甲に支払うように措置するものとする」。
 このように、知事との契約書が交わされた以後において──しかも知事との契約書が交わされたのは七月二十四日であります。わずか一週間後、今度は企業局長がこのような覚書で金額を明示したのを交わしておる。先ほど申しましたように、埋立認可がおりた後でありますけれども、それ以前でありますから八月十日に発表されたと思います。先ほど紹介いたしました八月十一日の新聞各紙には、毛見浦漁協とは五億二千万円、また冷水浦漁協とは四億七百万円、この金額で公表されておりますけれども、公表された以外の金額が支出されておる。一体これはどういうことなのか。
 先ほど知事や企業局長からも答弁がありましたけれども、これの契約の双方というのは、確認されたように知事であり、相手の漁業協同組合であります。その中で、知事でなくて企業局長がこの覚書の一つの相手側になっておる。しかも三億一千三百万円。一体これはどういうことなのか、このような問題が認められるのであるかどうか。これは知事にひとつお聞きをしたい。
 それから、知事と企業局長と別々に補償をしないといけない理由があるのでしょうか、この問題についても知事からお答えをいただきたいと思います。
 同時に、このような別途補償が行われているのは冷水浦漁協だけなのかどうか、企業局長にお尋ねをいたしたいと思います。
 このような補償のあり方というのは、まさに県民に対して不鮮明であります。私が質問の中でも行いましたように、漁業権を失う、あるいは制限をされる、そのような漁民に対して何か隠し金を渡すようなことに、もしもとられているとするならば、これは大変なことだと思うのであります。漁場を失う──知事あたりが言っておりますように、マリーナシティ建設についての抱負とは裏腹の問題ではないかというように私は考えます。必要なものは必要として出していく、県民本位かどうかの姿勢が今このマリーナ建設の問題を通じて問われていると思いますので、この点についての再答弁をお願い申し上げます。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答えします。
 企業局の補償の支払い金については企業局長から答弁いたします。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 改めて三点の御質問を受けたわけでございますが、第一点目につきましては、工場への立入検査を行う等、指導の強化を図ってまいる所存でございます。
 第二点目につきましては、現在、県道の通行安全確保のため、上部隣接地の危険土砂の除去、及び場内の危険な表土の除去作業を先行しておりますが、この一連の作業が完了した後、速やかに認可どおりの方法で実施するよう強く指導してまいります。
 三点目でございますが、県下において認可されている採石場は十五カ所であります。これらの採石業者に対しては、従来より採石法及び取扱基準により指導を実施してきたところでありますが、より健全な運営及び災害防止等について一層の指導に努めてまいります。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) お答えをいたしたいと思います。
 冷水浦漁業協同組合との交渉過程では、かつての県事業に伴う未解決の問題や地先漁業権消滅に伴う漁業振興問題等の提起があり、これが同時に解決するよう求められたわけでありますが、今回のマリーナ建設に係る漁業補償の対象としては非常になじみにくい点もあり、解決に苦慮したという経過もありますが、マリーナ建設に伴う漁業補償金としては四億七百万でございます。
 なお、覚書につきましては、ただいま調査中でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
 〔「43番、議事進行」と呼ぶ〕
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。
 〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 質問中でございますので、質問者から……
 〔「議事進行やないか」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れ、ありませんか。
 〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 質問者にお願いいたします。
 議事進行の発言がございますけれども、再々質問をお願いして、後刻……
 〔「休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(宗 正彦君) 暫時休憩いたします。
 午後二時一分休憩
 ──────────────────────
 午後三時四十七分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) この際、申し上げます。
 当局は、議員の質問に対し、的確なる答弁を行うよう要請いたします。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 内容等については企業局長から答弁申し上げますけれども、お話ございましたように、漁業交渉というのは非常に難しい問題でございまして、相手の同意を得なければならないわけでございます。
 話ございましたように、冷水浦は一部漁業権を失うわけでございますけれども、先ほども企業局長が申し上げましたとおり、さきの県事業で行った点で積み残しといいますか、未処理の問題があるということで非常に苦労しておるということは聞いておったわけでございます。
 また、補償につきましても、公共補償でやれる点は限定されておるわけでございます。いろいろ企業局で苦労したわけでございますけれども、交渉の経過も私は知っておるわけでございまして、そうした点から覚書になったと存ずる次第でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) まず、私の答弁のまずさ、不勉強さのために議会を中断せしめ、議員各位に御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわびを申し上げます。
 お答えをいたします。
 七月三十一日の交渉内容は、さきに答弁をいたしたところでありますが、ただいま知事も申し上げましたように、その交渉過程では、以前に施行いたしました県事業に伴う未解決の問題や地先漁業権消滅に伴う漁業振興問題、建設後のマリーナ運営に対する協力など幾つかの課題が提起され、これが同時に解決するよう求められたわけであります。しかし、今回のマリーナ建設に係る漁業補償については国の基準などになじまない点がございまして、そこで漁業補償としては四億七百万円でとにかく御理解をいただくよう交渉を重ね、妥結に至りましたが、前段申し上げました諸問題の処理については事務的にも別途協議することとし、平成元年三月二十八日に至って議員御指摘の覚書を交わしたものでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再々質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 再々質問を行います。
 今、知事また企業局長から再答弁をいただいたわけでありますけれども、今の答弁を聞いておりまして、なぜ知事と局長と別に補償をしなければならないかという理由が、まだ私にはすこっと落ちないんです。県民にこの問題がわかるようにしてほしいと思います。それが一点。
 それから、別途補償の問題が出ております。冷水浦には別途補償だということは、今、知事も局長も認められたわけですけれども、それは冷水浦だけなのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。他の漁協にも措置をしているのかどうか、それはどこなのかということ。
 というのは、私は先ほども質問の中で申し上げましたように、漁業権を失うとか漁場が奪われるというようなことに対して、それに対する十分な補償をしていく、これが県民に対する県政の姿勢であるという立場から申し上げてきたわけでありますので、そういった点では公然と必要なところには必要な額を出していく、このことが今回の問題において一つの契機としても非常に重要なことだと思うわけであります。
 そこで、第三点の問題として、それではこの財源が一体どこから出ているのかということであります。
 この問題について局長の方からも何か話は出ておったようでありますが、この財源の問題については明らかになっておりませんので、この点をきちっと──例えば、こういう問題が推測できるわけであります。
 一つは、これは県の財源から出すのか、出すとすれば一体どういうような形になるのか、あるいは松下から出るのと違うかというような話も聞きますので、この点は県の立場から明確にしていただきたい、このように思うわけであります。
 それから、これは要望にしますが、知事の先ほどの答弁の中では「局長に答弁をさせます」ということで──今回の再答弁の中ではきちっとしてもらいましたけれども、やっぱりこういう場合、契約者が知事でありますから、私はそういう意味で知事に質問をしたのに対して、答弁は局長だというようなことでなく、先ほどの答弁のように、今後、知事としても心されたい、このように思います。
 それから、もう一つ、企業局長にであります。
 企業局長は、「不勉強だ」というようにおっしゃいました。言葉じりをとらえるわけではないんですけれども、私は、それは不勉強ではなしに「不誠実」だと思うんです。私が指摘しましたように、自分の名前が出ている覚書なんです。それを、最初は「ない」と言われた。二回目には、「一回それは調査をする」と言われた。これは、私は「不誠実」だと思うわけであります。したがって、この問題についてきちっとした対応、対処をされるべきではないかと考えます。
 今回の問題を通じて、いろいろな問題はあろうとは思います。しかし、県民に対して、隠すということではなくて、本当に公正、ガラス張りの財政的な支出がされるべきだと思います。要は、県民の金でありますし、このマリーナにしても県民の四百億円に上る金が支出をされているというような問題について、この点はきちっとした対処がされるようすべきだと思います。この点で、当局の答弁を求めたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 覚書と契約書との問題でございますけれども、契約を結んで覚書を結ぶ場合が多々ございます。
 ただ、先ほど申しましたように、契約をする場合において公共事業で認められにくい補償の金額があるわけでございます。そのような点から勘案いたしまして、国に申請いたします公共事業でございますので、そうした契約をいたした次第でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) お答えをいたします。
 まず、別途補償ということでございますが、補償基準にのっとって補償するものを「補償」と私たちは呼んでおります。しかし、補償基準に非常になじみにくいものにつきましては、「補償金」と言わないで「協力費」というような呼び方をいたしてございます。
 他の漁協に同じように処置しているかという問題についてでございますが、いたしてございません。
 三点目の財源でございますが、松下興産株式会社に仮払金として支払いをお願いいたしております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 ちょっと時間が超過いたしましたが、質問をさせていただきたいと思います。
 私は、原発問題についてこれまで、一般質問のたびごとと申しても過言でないくらい質問を重ね、御所見を伺ってまいりましたが、全国的な「反原発」「脱原発」を求める層の広がりとその高まり、また事故被害の深刻かつ広範さ、被害影響の長年月さ、それに特異性等々より、今や国民ひとしく注視の重要課題となっているとの観点から、きのう同僚・森議員の質問もございましたが、日高町における現状と町政の動き、それに日置川町における現状等々、将来を憂うるの余り、重複を避け、以下、質問いたします。
 原発を語る場合、何よりも大切なのは安全性の問題ですが、その安全性考察の場における一つの中心項目たる事故分析考察に関連して。
 我が国では、依然として事故続発の現状であります。それらの事故検討判断の具体的なよりどころの事実とも申すべき、その後明らかにされているチェルノブイリ事故の実情は、将来を考える場合、教訓とも申すべき重大性を秘めていると考える一人ですが、結論的には破局的な災害の実相を示しているという事実認識の具体的な立証であります。
 具体的事例として、当初、被害は三十キロの範囲と言われておったのが、その後のプラウダ報道によると、自然放射能の七十倍以上に及ぶ放射能汚染は三十キロを優に超えて相当広範囲に及んでいる。例えば、髪の毛が抜けた女の人がいるという事実の示す汚染の広さは、チェルノブイリ事故報告の三倍ぐらいの被害実態である。加えて、一年ぐらい居住すると被曝は倍増するとも言われています。また牛乳の汚染についても、報告は過小評価であり、実態は報告の三倍ぐらいにふえることは確実と見られております。その上、死亡の実相についても、いわゆる外部被曝による死亡は約六千人、内部被曝による死亡は三万四千人の見込みと言われていますが、これも十万人ぐらいの被曝死と見るべきである。その根拠は、被曝後三十七年ぐらいががん死のピークとの事実を現状より類推しての積算結果とのことであります。
 これら、日を追うに従って深刻化している周辺地域の被害の実情に加えて、国境を超えた地球規模とも言える災害との事実。すなわち、直後の四月二十九日にはスウェーデンを襲い、その後南進。これは御承知のとおりであります。事故により外部に放出された放射能の量についても、ソ連の発表では四%ぐらいと言われていますが、これも全放射能の一〇%ぐらいと積算されております。それが大きな影響を与えているわけであります。しかも、これは定説であると私は聞き及んでおる次第でございます。
 次に、このようないわゆる想定不適当事故が相次いで出現したという事実についての考察であります。
 すなわち、一九七九年にスリーマイル島原発で炉心溶融事故、続いて一九八六年にチェルノブイリ原発で原子炉暴走事故が発生した。この二つの大事故発生により、「発生確率が一千万年に一回以下の事故は想定不適当とする」との事故考察についての前提は完全に崩壊しただけでなく、免れない事故の法則として、一、大事故は思いがけない形で発生・進行し、多重防護の壁ももろく崩れて重大事態に至ること、二、一九八七年五月のチェルノブイリ事故についての見解公表──これは、我が国での「このような事故は起こり得ない」との言い分の根拠とされている由、伺っております。また、この見解に関連してハインリッヒの法則、すなわち大事故の前には「その寸前」といった事故が幾つかあり、またその背後には多くの目立たない小事故がある。したがって、大事故が起こった後には、またそうした事故が起こっても当然ということになり、いわゆる共通モード事故が心配されます。この場合、すべてを取りかえるか稼働をとめる以外に道がないことを如実に立証していると考えますとともに、これらの事実認識と関連して、大事故の背景には経済優先と安全過信を招く経済的、社会的要因のあることを憂慮する一人であります。これは過剰な憂慮なのか、その分析をも含めて当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、これらの事故考察と関連して、ソ連チェルノブイリ原発事故に関する我が国原子力安全委員会の見解公表直後から実に十五件に及ぶ、ぞっとするような事故が多発している事実について、安全性確保の観点から事故の概要とその原因について大要を提示し、当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 まず、多発の状況を申し述べますと、第一は、一九八七年七月、高浜一号で原子炉冷却水循環ポンプが異常振動。その原因は、定期検査短縮の違法工事のため。
 第二は、同年十月、敦賀一号で原子炉出力が異常上昇。原因は、運転手順書にない操作のため。
 第三は、同十月から判明した、美浜二号ほかの制御棒の損傷。原因は、予想より早い老朽化によるとか。
 第四は、翌八八年二月、浜岡一号で発生の、無停電電源の停電による再循環ポンプ停止。これも、予想より早い老朽化が原因とか言われております。
 第五は、同年三月より判明の、大飯一号ほかの原子炉冷却水循環ポンプのボルトのひび割れ。原因は、設計ミスと過信。
 第六は、同年六月発生の、伊方一、二号の原子炉から約一キロの地点に米軍大型ヘリ墜落。これは、米軍の飛行制限無視によるとのこと。
 第七は、同年六月の、玄海一号における大口径原子炉配管にひび、蒸気漏れ。原因は、設計、検査の不備。
 第八は、その後六月発生の、伊方一、二号からわずか一・五キロの地点に米軍ヘリコプターの墜落事故発生。原因は、米軍の飛行制限無視とか。
 第九は、続く八月判明の、高浜二号における蒸気発生器内の伝熱用配管の多数が損傷。これは原因不明。
 第十は、翌九月発生の、浜岡一号における原子炉底部貫通配管にひび割れ、漏水。原因は、溶接管理の不備と老朽化。
 第十一は、翌十月、大飯一号で判明の、前々回の高浜二号と同じく蒸気発生器内の伝熱用配管の多数が損傷。これも原因不明。
 第十二は、今年一月発生の、福島第二、三号炉の原子炉冷却水再循環ポンプの大破損事故。原因は不明だが、原子炉の運転継続の優先が事故を拡大したとのことであります。
 第十三は、本年三月、福島第一、五号炉で再循環ポンプの回転軸にひび。原因は、温度差による熱応力。
 第十四は、続く翌四月発生の、島根二号での再循環ポンプの回転数急低下。原因は、制御回路リレーに砂粒。
 第十五は、同月発生の、玄海一号における蒸気発生器内の伝熱用配管の多数が損傷。これも原因は不明です。
 以上のとおりでございますが、考えなければならないそれらの事故の特徴として、第一に、予期しない事故の発生であること。その上、第二点として、同型炉に共通の事故であること。このような観点から申し上げますと、無理な運転が事故原因の例としての福島第二、三号、同様事故寸前の敦賀一号の事例も注目に値すると思います。加えて第三点として、予想以上の老朽化の進行が事故原因と見られるものが三件あるということでございます。
 私は、これらと関連して、一九八八年八月、米原子力規制委員会ロジャース委員の原発の老朽化に関するシンポジウムにおける発言に見られる、同規制委員会の憂慮事項とも解されかねない内容について、前述の事故・故障の事実検討と絡め、問題視の要ありと考えますので、若干時間をいただき、発言内容を申し述べたいと思います。
 それは、「原発の重要な安全系は単一故障に対応するよう設計されており、プラント全体を高水準品質の部品でつくってある。しかし、原発のプラントの劣化や老化の進行で一つの出来事が多数のつまずきを同時に引き起こす、いわゆる共通モード故障・事故のことを案じている。この種の事故は、同一部品の多数、例えば蒸気発生器細管が同じように劣化していて、そろって突然に破損するといった場合に起こる。劣化によって安全余裕が減少しているから、我々が弾丸を詰めた銃を持ち歩いているように、事故が突然起こるのを待っている状況である」云々との言であります。
 私は、この考え方に立って、先ほどの十五件に及ぶ国内事故を考えたとき、言われる「今度の大事故は日本」との国際的な発言とも絡めて、重大事の到来を──これは国際的に言われていることであります──真剣に考えなければいけないという思いとともに、当然の措置である、すべての部品を取りかえるか稼働をとめることの必要の緊急性を痛感する次第でありますが、現にすべてが稼働しており、部品取りかえの措置も、遺憾ながら聞いておりません。これらの現状認識について、県当局はどのように考えておられるか。あわせて、以上の事故続発にもかかわらず、それでも言われる「我が国原発の安全性は確立されている」との現状把握であれば、その判断の具体的な根拠をも含めてお答え願いたいと思います。
 次に、関連する国内関係機関、電力会社等の対応の実例として、現在、欠陥明白で後続同型炉でも採用されていないものを「それなりに安全」として放置している一例を挙げれば、中性子照射による脆化を受けやすいとされている原子炉圧力容器をそのまま使用している美浜一号炉、また原子炉格納容器の小型化のために一次冷却材喪失事故時の耐圧性が低いと指摘されながらそのままの沸騰水型十九基中十二基と、加圧水型では大飯一、二号炉、緊急炉心冷却装置関係では、硼酸析出のため不作動の危険性指摘の美浜一、二号、玄海一号と二号の三、伊方一、二号炉等々、関係学者や専門家が指摘しておるとおり、これが「常識化の放置」の実例であります。この件に関しては今後の対応に注目することといたしたいと思います。
 最後に、県内における原発立地をめぐる日高町町政の場での対応、また日置川町での一部推進側の動き等の問題について。
 きのう同僚・森議員の質問ですべてが尽きたと考えるわけでございますが、なおかつ伝えられる報道のとおりの事実であるとすれば、住民の思想・信条の自由と町政とのかかわり、また水協法に基づく漁協の取り組みとの関連等々、民主主義の基本にもかかわりかねない問題点を含む重大事である。それゆえ、県民からの話し合いの要請、拒否の件も含めて、当然のこととして県対応が求められるべきと存じますが、もしこれについての県の御見解があれば、あえてお尋ねいたしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 私から浜口議員に、日高町における原発立地海上事前調査の受け入れをめぐる町政への対応について説明させていただきます。
 原子力発電所につきましては、かねてから申し上げておりますように、適地性・安全性・地元の同意の三原則を堅持していることは御承知のとおりでございまして、このたびの日高町の件に関しても、この原則に基づいて今後対処してまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 原子力発電所問題に関する五点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、ソ連チェルノブイリ原発事故被害の実態についてでございます。
 昭和六十二年五月二十八日付、原子力安全委員会・ソ連原子力発電所事故調査特別委員会発行のソ連原子力発電所事故調査報告書によりますと、一九八六年四月二十六日の事故発生により、二百三名が急性放射線障害で入院、うち二十九名が死亡、ほかにやけど、行方不明等を合わせて死者三十一名、避難した人々は発電所周辺三十キロメートル圏内の住民十三万五千人、西ヨーロッパ諸国では飛散した放射能の影響から植物摂取制限等の防護対策がとられた等の概要報告がなされてございます。
 なお、その後の影響等については政府としても注目をいたしてございまして、既に電力会社と合同で現地調査を行うなど、その成り行きに大きな関心を寄せていると聞いてございます。
 県といたしましても、こうした政府の取り組みを見守りつつ、調査結果等、情報収集に努めてまいりたいと考える次第でございます。
 第二点は、想定不適当の事故の考え方についてでございます。
 大事故は起きないと言われていたにもかかわらず、チェルノブイリ事故とスリーマイル島事故が起きたじゃないかという御質問でございます。
 スリーマイル島事故は、万一の事故の際に原子炉を冷やすために設けられている非常用炉心冷却装置が作動したにもかかわらず、運転員の誤った判断により切られてしまったために発生した、主として運転員の規則違反が原因の事故であります。
 チェルノブイリ事故は、安全設計上の基本的な欠陥に加え、意図的に重大な運転規則違反が行われたことによるものであるとされてございます。
 いずれも、我が国では起こり得ない事故であるとされてございますが、さらにこれらの事故を教訓として生かす意味から、スリーマイル島事故の際には国内の原子力発電所の総点検が行われ、新たに五十二項目にわたる安全審査上の事項が摘出され、現在までにほとんど措置されてございます。また、チェルノブイリ事故の際には、人と機械とのかかわりや事故時における通報連絡などの防災計画の重要性が再認識されてございます。それぞれが我が国の原子力発電所に着実に反映された結果、安全性の向上が一層図られたと聞いてございます。
 県といたしましては、このような想定し得ない事故が、我が国はもとより世界じゅうにあってはならないと考えてございますので、政府の対応、国際的な動向を注意深く見守りながら安全の確保を強く求めているところでございます。
 こうした考え方に基づきまして、昨年八月二十二日に資源エネルギー庁長官及び関西電力株式会社社長に対し、より一層の安全確保を申し入れたところでございます。今後も、引き続きこの姿勢で対処してまいりたいと考えてございます。
 第三点は、免れない事故の法則についてでございます。
 一つの事故は、同時に同様の事故を引き起こし、結果として大事故につながるという「免れない事故の法則」についてどう考えるかとの御質問でございますが、特に我が国の場合、初期段階における事故・トラブルについても、これが発生した段階にあっては技術的に適切な対策を講じ、事故防止のために万全を期すことになってございますので、必ずしも大事故につながることはないとされてございます。また、こうした際には、いささかなりとも経済性を優先させることなく、安全性の追求を最優先して対処すべきものと考える次第でございます。
 第四点は、我が国における続発する事故の分析と安全性についてでございます。
 我が国では、原子力発電所が事故を起こさないようにするために、まず第一に、設計において、機器の故障・破損といった事故の原因となるような異常を極力防止するための対策が講じられてございます。運転を開始した後においては、定期的に機器の分解点検を行ってございます。異常が発生した場合のため、自動監視装置や原子炉緊急停止装置が設置されてございます。万一、事故が発生した場合には、多重防護措置等により、周辺の人々に影響を及ぼすような大事故に至ることはないとされてございます。
 最後に第五点は、日高町における海上事前調査をめぐる町政の対応についてでございます。
 原発立地に関する県の基本姿勢については先ほどの知事答弁のとおりでございますが、日高町の意識調査につきましては、昨日、知事が森議員にお答え申し上げましたように、実施に際し、住民の基本的人権は守られるべきであると考えてございます。
 また、比井崎漁協への事前調査の申し入れにつきましては、町長が町の将来を考え、また地元からの要望を受けてのことであると考えてございます。
 なお、県の対応につきましても、昨日、森議員にお答えいたしましたように、日高町の独自の判断でなされたことでありますので、県としては、その間の状況に応じた対応をしがたいと御説明を申し上げたところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 まず、チェルノブイリ事故の被害実態についてでございます。
 昭和六十二年五月二十八日付の被害の概要報告によると死者三十一名云々、その後の調査あるいはまた情報収集を待って慎重に検討を加えておるというような企画部長の答弁でございますが、被害が非常に広範囲にわたっている。例えば、先ほども申し上げたように、毛の抜けた女の人の事実から考えても、常識的に報告の三倍ぐらいの被害ではないか。さらに、一年ぐらい居住すると被害は倍増する。また死亡の実相についても、今後ますますふえていくということ。これは、がん死のピークを見てもわかると思います。
 そういうようなことを考えますと、非常に膨大な数に上ることは必至だと私は自信を持って考えるわけでございますけれども、この問題は重要な問題でございますので、今後より一層注意深く見守り、御検討を要望したいという形で、今後の課題といたしたいと思います。
 次に想定不適当の事故の考え方についても、大事故であるスリーマイル島、チェルノブイリでの事故原因、またスリーマイル島事故後の五十二項目にわたる措置、チェルノブイリ事故後の安全確保対策が着実に施行されているに加えて、これら二つの事故はあってはならない事故との考え方に立って政府が対応しておる、また国際的な動向をも注意深く見守っているとともにそれぞれ一層の確保を申し入れた旨、さらに今後も引き続いて安全確保に向かって対処していきたいとの御答弁でございます。私は、そのことは一応認めるといたしましても、想定不適当の事故が起きているという現実、その認識に立っての周到な対応が必要であり、またそれゆえに二度とこういう事故を起こしてはならないという認識に立った対応が何物にも優先しなければならないと考えますが、これも将来の問題でございますので、県の対応を注目いたしながら要望といたしたいと思います。
 第三番目の免れない事故の法則については、我が国では初期段階の事故・トラブルも発生の段階で技術的な対策等万全を期しているので必ずしも大事故につながらないとのことですが、国外の事故例を見ても、既にハインリッヒの法則が立証されている。私は、これを重視すべきだと思います。この問題についても、前の問題と同じように将来の課題としたいと思います。
 あわせて、経済性よりも安全性優先とのお考え、これは評価いたしますが、このことについて、ぜひ政府なり企業側に十分な対応を要望していただくよう、お願い申し上げたいと思います。
 続いての、我が国における続発事故の分析と安全性の質問については、機器の設計や運転員の定検、異常発生の場合の各種の措置等々で事故には至らないとの御答弁ですが、私が先ほど提示した十五件の特例、これも提示申し上げたと思いますけれども、その中には無理な運転で三件の事故例がある。予想以上の老朽化も三件。これが現実に指摘されておるんです。これも、欠陥は明白にかかわらず「安全」として放置されている実情であります。さらに、配管溶接部の応力腐食とか旧式格納容器の欠陥。加えて、老朽化が著しく実質耐用年度を超過し、現実に廃炉要求が高まっておるところの高浜一号、美浜一号、玄海一号。これに関連しての安全過信の実情。それに法的な廃炉基準の問題等々。
 もう一つ申し上げます。これはアメリカの例でございますけれども、御承知のスリーマイル島大事故の一年半前に、同じ型のデービスベッセ原発でスリーマイル島とそっくりの事故が起こっております。しかし、これをただバルブの故障によるものとして見過ごした結果、スリーマイル島大事故が起こったんだと。これも学者の常識でございます。
 こういうようなことを考えましたときに、これらをどのように検討した中で「大事故の危険性がなし」と結論づけたのかお伺いいたしたいと思いますが、これも時間の都合もありますので、もし御答弁がございましたらお願い申し上げ、残余のことについては将来の課題にいたしたいと思います。
 最後に、日高町における県の対応については、知事は、三原則を堅持、この原則に基づいて対処する、また企画部長も、きのうの森議員に対する答弁と同じような御答弁ですが、行政論における立場論だけでは済まされない、重大問題に発展するおそれがある。例えば、廃案の問題その他について。これは、森議員も、思想・信条の自由の侵害というような形で指摘しておりました。私は、今後の成り行きについて、ただ日高町のことだから対応に注目しているということでなしに、それに従うところの、対応するところの周到な県の措置というものをぜひお願い申し上げたい。これも要望にとどめて、一点だけ、もしあったらお願い申し上げたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 事故に対する認識の問題についてでございます。
 我が国の原子力発電所で発生している事故・故障は、幾つかの分類がされると思います。一つは、運転員が異常を見つけ、点検のために原子炉を手動停止したもの、また一つは、異常信号をキャッチして自動停止したもの、あるいは定期点検中に異常な兆候を見つけて修理したもの等々ございます。しかし、大事故に至るものではないとされてございます。
 また、定期検査の際、劣化等の兆候が発見された場合や、国内外の事故・故障の情報に基づいて予防保全の措置が必要であると判断された場合は、部品を取りかえるなど、常に健全な状態に修復していると聞いてございます。
 しかし、安全性は何にも増して重要と存じますので、昨年、資源エネルギー庁長官、関電社長にも申し入れたところでありますが、今後とも引き続き、こういう安全重視の姿勢で対応してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再々質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 御答弁によると、我が国の原発での事故は、異常をキャッチして自動停止したとか原子炉を手動で停止した、あるいは定期点検中で見つけたとか、それで大事故に至るものでないとされているということでございます。しかし、アメリカで起こりソ連で起きた、次は日本だと、これは世界の原発を考える人たちの常識とも言える言であると、私はそのように聞いている。
 それから、先ほど申し上げたような事故、あるいはこれまで私が逐一申し上げた事故については、原因不明とか老化によるというようなものもあるし、あるいは手順書にない運転操作というのがある。
 もう一つ申し上げます。昨年夏の反原発行動で、私たち代表がそれぞれ関係官庁と交渉を持ちました。通産省に参った県の代表、名前も申し上げましょう、汐見氏の奥さんが通産省との交渉で、「皆さんは原発は絶対安全だと思いますか」とお尋ねしたところが、「絶対安全だと思わないけれども、運転員その他、安全に配慮しておるから安全が保たれると思います」と、このように答えられているんです。その運転員が誤操作をしているんです。あるいは、老朽化とわかっておりながら、これも先ほど申し上げたのでもう申し上げませんが、わかっておりながらそのままにしているんです。そういうような事実をもって、果たして事故が起こらないと結論づけられるのかどうか。
 皆、事故が起こると思って今までやってきたんじゃないんですよ。事故が起こらないと思ってやってきたんだけれども、大事故が起こった。しかも、国際的な世論としては、もう申し上げませんが、スウェーデン、オーストリア、その他の西欧諸国、あるいはアメリカでも、「脱原発」の方向に動いているという事実もあるわけなんです。それは、いわゆるエネルギー提供の費用の問題ではなしに、やはり安全性の問題からである。そういうようなことを考えたときに私は非常に心配するわけなんですが、それでも絶対に大事故は起こらないと確信していらっしゃるのかどうか。もし御見解があれば、お答えいただきたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 先ほど御答弁申し上げましたように、ソ連、アメリカで大きな事故がございましたが、そういう反省のもとにいろいろ反映した結果、我が国の原子力発電所は一層安全性の向上が図られたというふうに聞いてございます。しかし、県といたしましては、想定し得ない事故が、我が国はもとより世界のどこでもあってはならないと考えてございますので、政府の対応、国際的な動向など注意深く見守りながら、安全性の確保を強く求めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──以上で、浜口矩一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後四時四十二分散会

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