平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時五分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
41番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 質問に入ります前に、去る九月十九日、台風二十二号による大雨で水の悲しい犠牲になられた安原小学校の前村有美ちゃんの御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、浸水被害に遭われた皆さんに、この場をおかりいたしまして心からお見舞いを申し上げたいと思います。大切な子供たちの安全な通学路が確保されるよう、早急な対策を心から強く要望しておきたいと思います。
まず、消費税問題についてお尋ねをいたします。
さきの参議院選挙は自民党の大敗に終わり、戦後の日本の政治史に新しい局面を開きました。和歌山県でも、選挙区の自民党候補が前回の得票を大きく下げ、大きく後退いたしました。こうした後退は、かつてないことであります。このことは、公約違反の大型間接税である消費税を国民の圧倒的多数の反対の声を押し切って実施したことに対し、国民が明確な審判を下したと言えます。この間、知事は、消費税の導入問題について一貫して支持する立場を貫かれてまいりました。
一円が足りないためお菓子が買えなくて店先で泣いた子供、買い物をするたびにレシートの消費税に見入り、家計のやりくりに悩む主婦、税務署にかわっての税金集めは御免だと怒る業者の方々、知事はこうした県民の生の声を聞いたことがあるでしょうか。余りにも国民の消費税に対する批判が厳しいために、現在、政府・自民党は消費税見直し作業を進めているようでございまして、今、修正の内容として浮上しているのは、一つは税額表示の内税への一本化、二つ目は非課税品目の拡大、そして三つ目に福祉目的税化などが挙げられておりますが、これらのどれをとってみても消費税の基本点をあくまで堅持し、部分修正で目先を変えて定着をねらったものであります。全くの焦点そらしにほかなりません。国民は、さきの参議院選挙で消費税廃止の審判を下したのであります。もう、消費税は廃止する以外にはないわけです。今また、全国各地で消費税廃止を求める署名運動や全国的規模の集会が開かれ、大きな国民的運動のうねりが広がり始めていることは承知のとおりです。
今、代替財源が論議されているようでありますが、我が党は、そんな心配をしなくても大企業や大資産家に対する不公平税制を是正し、軍事費などの不要不急の経費を整理すれば消費税の財源を十分賄うことができることを明らかにしております。消費税にかわる財源とセットでなければ廃止すべきでないという国民の声はないわけですから、代替財源など心配する必要もないわけです。総務庁の家計調査によりましても、消費税実施後、実質消費支出は四月、五月の二カ月連続で前年同月比マイナスを記録し、六月にプラスに転じたものの、七月には再び減少と、低迷を続けております。また、特に消費税の導入で個人消費は一・三%減と大きく落ち込んでおり、県民生活もますます苦しくなっているのであります。
そこで、知事にお伺いをいたします。
さきの参議院選挙の結果をどのように受けとめられたのか、またこの結果を踏まえて、知事は消費税に対する認識を改められる考えをお持ちかどうか、お聞かせください。
次に、公共料金への消費税転嫁の問題について質問いたします。
この問題については、我が党は二月及び六月議会でも取り上げてまいりましたが、県民生活に大きく影響し、情勢の新しい局面も開かれていますので、三たび取り上げたいと思います。
消費税導入直前の二月議会でも公共料金に対して全面的に消費税の転嫁を決めたのは、近畿では我が和歌山県だけでした。全く県民の願いに逆行した姿勢であり、県民にとっては大変不幸なことでもあります。参議院選挙後は全国のあちこちで公共料金への消費税の転嫁が見送られ、また既に転嫁しているところでも撤回する自治体が出てきているのであります。
例えば横浜市では、この九月議会に細郷道一横浜市長から提案された消費税関連転嫁条例撤回議案が、自民党を除く賛成多数で可決をいたしました。我が党の議員が質問に立ち、「撤回」は消費税廃止を求める広範な市民世論の勝利であり、当然であると主張しています。消費税廃止を求める意見書が全国の議会で相次いで上げられていることから見ましても、まさにこれが現在の国民の声であり願いでありましょう。県内でも、一般会計と公営企業会計両方に消費税を転嫁していないところが白浜町、太地町と、二つあります。
そこで知事に伺いますが、このような全国的な動きをどうとらえておられますか。また、この消費税の転嫁を今こそ撤回することが県民の願いに沿うものであると思うのです。知事の御所見をお聞かせください。
次に、去る七月二十日に開かれた全国知事会について質問を申し上げます。
この全国知事会では、政府に対して消費税の見直し、政治改革の断行、地方自治体への権限委譲などを要望することを緊急決議しました。全国知事会での緊急決議は極めて異例のことでもあります。この決議である「消費税の見直しに関する要望」によりますと、「消費税は新しい方式の間接税であるため、一般的になじみが薄いことなどから、国民の間にこの税に対するもろもろの不満と疑問が生じている」とし、「積極的に必要な見直しを行い、その適正化を図れるよう要望する」となっております。
そこで知事、国民にもろもろの不満と疑問が生じているということについて、具体的にどのように認識しておられるのか、ここで言う「見直し」の中身は、消費税が欠陥税であることから公共料金への転嫁の見直しという意味も含まれているのかどうか、お答えください。
次に、教育長にお尋ねをいたします。
国税庁が全国の小学六年、中学三年、高校一年を対象に、税の仕組みや消費税を柱とした税制改革について説明した副教材用パンフレットを四百四十万部配付していることが明らかになりました。中でも、特に中学三年、高校一年のパンフレットの中身を見てみますと、中学三年生向けのパンフレットでは、「税制改革」について、大まかに言うと云々、直接税の税金を軽くして云々、消費に広く薄く公平に負担してもらう消費税ができたんだとし、時代の変化に合った公平な税制にしたわけなんだと消費税の公平性を殊さら強調し、また高校一年生向けのパンフレットでは、「国税の内訳」の中で消費税について言及し、「だれでも使ったお金の大きさに応じて公平に負担を求める消費税が導入されました」など、政府・自民党の言い分に沿った言い方で、一方的に見解を述べているのであります。
国民の厳しい批判を受けている消費税を一方的な立場から教育の副教材として配付することは学校教育の政治利用であり、余りにも無神経きわまることとして批判の声が上がっているのです。
そこで、教育長にお聞きいたします。
県としてこの問題にどのようにかかわってこられたのか、このようなパンフレットは配付を中止させるべきであったと考えますが、教育長の御所見を伺いたいと思います。
次に、リゾート開発問題についてお尋ねいたします。
このリゾートについては、これまで毎議会、多くの同僚議員や我が党も質問を重ねてまいったところです。法成立後、リゾートフィーバーに一層拍車がかけられ、リゾート本来のあり方が国や大資本企業によってねじ曲げられているという念を強く抱くのです。「バスに乗りおくれてはならない」、「今や遅し」とばかり、日本列島はリゾート開発ブームが巻き起こされております。
八六年六月施行の総合保養地域整備法に基づく大規模リゾート基地構想は全国三十四道府県でつくられており、既に国に基本構想の承認を得たところは十四道県に上っております。ほか全国すべての都道府県でリゾート開発計画が検討されており、重点整備の対象とされる特定地域の面積は、発表されている主要四十地域だけで六百四十万九千ヘクタール、日本の総面積の約一七%、総事業費は公表されている二十地域だけで何と五兆九千億円という規模に達していると、野村総合研究所出版の「二○○○年のリゾート産業」は言っております。しかし、リゾート法適用地域以外でも、ホテル、リゾートマンション、ゴルフ場を初め、さまざまなリゾート関連開発の波が押し寄せている現状から、今後これらを合わせたリゾート開発は全国土の三○%に及ぶとさえ言われているのです。
リゾート法第一条の、リゾート基地が国民の要求にこたえて、全国民が利用しやすい条件、すなわち低料金でだれでも気軽に利用できる公共施設で、しかも自然と文化環境が保全されているものとして全国的に整備提供されるならば、国民の生活にとって、また日本社会発展のための不可欠な構成部分として喜ばれることでありましょう。私どもも大いに歓迎し得るものであります。
ところが、今日のリゾート開発ブームは、このような国民の要求や願いに沿った国家的事業として出発しているのではなく、専ら民間能力の活用、内需拡大と銘打った大企業の金余り現象から来る過剰資本の新市場開拓を目指す投資戦略として始められているところに最大の問題点があることを、まず指摘せねばなりません。かつて、高度成長期の大企業本位の地域開発が行われた経験が私たちに本質的な教訓を与えてくれました。この経験は、住友金属などの横暴なやり方に見られたように、知事にも痛いほどおわかりのはずであります。私はこの点、殊さら住金労働者の家族としても肌身をもって感じているわけです。再び大企業に頼る地域振興とリゾート開発に求めるならば、ますます地元の産業や経済の発展は望めない状況をつくり出す結果になりましょう。リゾート開発の危険性を再考する必要があろうかとも思うのであります。
ここでもう一度、リゾート法に基づく開発は私たち国民に何をもたらすのかを見てみたいと思うのです。
第一に、大規模な自然破壊と環境悪化であります。リゾート開発という目的からすれば、辛うじて残された良好な自然環境に重大な影響を及ぼし、採算性確保上、各種規制を緩和したことからも明らかです。特に今、リゾートの主要事業であるゴルフ場開発による自然破壊や農薬公害、二次災害が社会問題になっているように、各地で建設反対の住民運動が起きているのが何よりもその証拠であります。
第二は、再び土地買い占めや地価上昇を招かざるを得ないことです。本リゾート法では、地価の安定ということが配慮事項となっておりますが、その前に確実に進行するでありましょう土地の買い占めに対して全く無力ではないかということです。
第三に、関係自治体に多大な財政負担を押しつけ、現在でさえ困難な地方財政をより深刻なものとすることです。言わずとも知れたこのリゾートは大規模な土地開発なのですから、道路や上下水道などの公共施設整備を必要とするものであります。しかも、対象地域の多くが財政力の乏しい自治体であることが十分予想されるにもかかわらず、このことについて国の特別な財政援助が全く定められておりません。片や企業に対しては、税制上の特別措置を初め援助策も十分過ぎるほど定められているのであります。まさに、徹頭徹尾、民間大企業のもうけを国と自治体の奉仕で増大させるものであることが十分過ぎるほど理解できましょう。
同時に、我が国の良好な自然条件が重大な破壊の脅威に直面することは明白であります。利用する労働者は長時間労働で年休もとれず、過密労働などによる過労死の増加、週休二日制は遅々として進まず、農業や中小商工業者の経営もますます深刻の度を加えています。観光地のホテルや保養所、公共施設の国民宿舎などの運営も四苦八苦の状態ではありませんか。こうした問題は、既に承認された多くの地域で現実のものとなりつつあるのです。
具体例を申し上げますと、成功例と言われている北海道の占冠村トマムでは、村の町並みを統一する景観条例に基づき景観形成基準が設けられ、ホテルアルファトマムが使用しているれんが、タイル焼きつけの茶褐色のアルファグリック色一色に統一、そのため小学校や中学校、その上、役場の増改築にまで他の色、他の材料は使用できません。そして、一平方メートル当たり一万円以上もの割高な値段になっているのであります。また、周辺農家と連携して計画された北海道特産のジャガイモの選別貯蔵施設も、リゾート景観になじまないと企業側が一方的に強引に中止をさせているのです。
沖縄県の宮古島下地町では、ホテルやリゾート施設で税収は伸びたものの、国からの交付税も差し引かれ、期待したほどの増収にならず、最も地元が期待していた地元農産物のホテルへの納入も、高級品をと言うホテル側の注文で、宮古産の納入はわずかに七・六%という状況なのです。
あの川端康成の小説「雪国」の舞台になった新潟県湯沢温泉町では、人口九千人のところにリゾートマンション八十棟、二万戸に達し、町の税収は大きく膨れ上がったものの、地下水の枯渇、マンションの排水による水質汚染、交通混雑、し尿・ごみ処理、高層ビルに届くほどのはしご消防車の欠如、そして地価高騰と、多くの難問が生じております。地元の旧旅館、民宿の廃業と、数千万円から一億円にも上ると言われる借金や離郷が続いているのであります。まさに「企業栄えて民滅ぶ」という言葉がぴったりです。
また、ゴルフ場開発に絡んだ利権、汚職の横行、子供たちの非行などへの影響があらわれてきています。こうした事例からも、リゾート開発の地域にもたらす多大な危険性は十分おわかりいただけたと思うのであります。本県のリゾート計画がこのようなことになってはいけないと、大変心配をいたしております。
燦黒潮リゾート基本構想推進のため熱意を傾けておられる関係職員のひたむきな仕事ぶりには敬意を示したいと思うのでありますが、ここで一緒にちょっと考えていただきたいのであります。
知事に、お尋ねをしてまいりたいと思います。
知事、あなたは、燦黒潮リゾート基本構想そのものが県民生活に密着した、県民の願いにこたえた計画であると確信をお持ちかどうか、お答えください。
十六万二千ヘクタールというスケールの大きい、パンフレットから知る範囲では、華々しくバラ色の幻想を与えています。県民の現実と余りにもかけ離れたものになっているように思えて仕方がないのです。この構想の中からは、県民の日々の暮らしや願いなど、どこを探してもその姿が見えてこないのです。こんな構想は、マリーナシティにしても大きな需要予測のもとに確信を持って計画されていると思うわけでありますが、莫大な県民の税金を投資する以上、実際に利用する県民が気軽に施設を利用し、余暇を楽しめねばなりません。果たしてそうなるかどうか、非常に疑問に思うところです。御答弁をお願いいたします。
商工労働部長にお尋ねをいたします。
労働者の権利としての余暇保障でありますから、当然、需要予測を立てるに当たって、労働者あるいは県民の労働条件の実情や余暇の確保の状況、そしてその余暇利用をどのように望んでいるのかを調査され、構想に盛り込まれてまいりましたか。県民のためのリゾート構想という限りは、その前提として少なくとも基礎調査を十分に行い、把握されていなければならないはずです。いつ、どのような形で調査をされたのか、そしてどんな結果が得られたのかを明確にお答えください。
二つ目は、環境問題について、二次災害等を含め、保健環境部長にお尋ねをいたします。
本県は、全国的にも自然環境に恵まれた県の一つでありますから、それは本県の最大の魅力でもあります。このすばらしさをさらに生かすべきであって、リゾートブームに乗った乱開発で自然を破壊するようなことがあってはなりません。ところが和歌山県は、新空港にあわせて開発構想が先行し、環境行政が後手に回り、軽視される傾向にあるように感じているんです。
例えば、大規模な山林開発にしても、アセスメントを義務づけるような条例も要綱もありません。公有水面の埋め立てならば五十ヘクタール以上はそれなりのアセスメントが義務づけられているのに、これでは乱開発を見て見ぬふりをしているということになりかねません。
例えば、和歌山市の和泉山脈に見られるように、二万人を超える人々が生活する新興住宅地の真上に、和興開発や東急建設によって三百二十五ヘクタールに及ぶゴルフ場を含む大規模なリゾート関連開発が計画されているではありませんか。開発による地すべりや雨による鉄砲水が平地での水害を起こします。こういった二次災害。さらには、ゴルフ場の農薬公害などの不安が広がっているにもかかわらず、適正な環境アセスメントを義務づけるような法律も条例もないのです。これでは、関係住民はたまったものではありません。
最近、多くの府県でゴルフ場開発の総量規制条例やゴルフ場開発指導要綱などが、不十分な内容でありながらも作成が進められています。本県の場合、いまだに規制措置の具体策が示されていないのです。リゾートだ開発だと言う前に、本県の恵まれた自然環境を積極的に守り、住民を二次災害の危険から守る、具体的でかつ実行力ある適正な環境アセスメントを義務づける条例が、リゾート計画を含むあらゆる開発についてぜひとも必要であり、急がれなければなりません。保健環境部長、お答え願います。
次に、こうした開発と大きくかかわる問題として、特に下排水、浸水問題についてお尋ねしたいと思います。
例えば、私の住む有功、楠見地区でありますが、先ほどもお答えがありましたように、せんだっての水害で大きな被害を受けました。十数年前から紀泉山脈一帯に宅地造成が続き、その開発面積も約百九十二・九ヘクタール、住宅だけで四千七百八十四戸、ほかに小・中学校、高校、短大合わせて五校が建設され、紀の川に並行して走る東西の幹線道路、県道粉河加太線の南側は、かつて田畑であった農地がミニ宅地開発化されて、さらに住宅建設が今も進められているのです。まさに、ベッドタウンの様相を呈しているのであります。
道路は、朝夕の通勤ラッシュの混雑、渋滞はそれはひどいものです。ここ十数年、集中的に、しかも短期間の雨でさえ決まって浸水するオークワ六十谷店前周辺は、店を閉め、シャッターをおろして雨水のくみ出しをする作業が続いているのです。店をあけていようものなら、車の通行で増水はますますひどくなり、被害は甚大です。平常時でさえも、このように浸水する実情であります。今回のように一たび大洪水になりますと、県道粉河加太線沿線は至るところで交通遮断や農業用用水路からのはんらんによる床上・床下浸水が起き、山林開発による高台の新興住宅地から流れ落ちる大量の雨は容赦なく平地に流れてくるのです。昔ながらの農業用水路の許容量をはるかに超えた排水量で、満潮時とも重なると、紀の川の流排水は困難をきわめます。平地におきましても、今まで遊水地の役割を果たしていた田畑が消え、水の逃げ場がなくなって、すべて小さな農業用水路に集中してたまってしまうことが被害地域を広げているとも言えるのではないでしょうか。
今回の大雨は和歌山市全域に大きな被害をもたらしました。私たちの有功・楠見地区は、ここ数年間経験しなかった浸水被害の状況でもありました。こうした被害の原因は、現在、民間開発に対し適正な開発規制指導要綱のないままミニ造成開発を進めてきたことや、市街化区域でありながらも都市基盤整備の道路、下水計画のおくれなどが無秩序の中で、開発だけを先行させてきた結果、引き起こされたものであります。まさに人災であり、行政の責任が問われなければなりません。適切な改善が行われていたならば、冒頭申し上げた前村有美ちゃんの悲しい事故は防げていたのではないでしょうか。
こうした現状を素直に見詰めて、住民生活に身近な都市基盤整備にも力を注ぐべきであります。都市下水や道路整備は基本的には市町村になりますが、開発許可は県知事の仕事であり、しかも基盤整備は広域的な性格を帯びておりますから、市町村にゆだねるばかりでなく、指導性を発揮して積極的に取り組んでほしいものであります。
そこで、こうした問題にかかわり、具体的にお尋ねいたします。
有功地区を流域面積とする鳴滝川、千手川が排水機能を十分果たしているのかどうか、また、今回の水害の状況から見て両河川の改修計画が急がれるべきと考えます。具体的な計画そのものを土木部長の方からお答え願います。
ところで、私は、浸水問題について私の住む和歌山市の一地域に限定した話をしてまいりましたが、こうした状況は、多かれ少なかれ全県的にも共通する問題も少なくないと考えます。
そこで、総務部長及び関係部長にお尋ねいたします。
過日の大雨による県下の水害状況はいかがでしたか。当局としては、こうした被害を生む原因はどのようにお考えでしょうか。さらに、今後どのような対策をお考えなのでしょう、御所見をお聞かせ願います。
最後に、リゾート開発ブームの中で開発が先行しますと、土地買い占めが非常に進み、地価も上昇していることをリアルに把握し、監視を強める必要があります。そして、買い占めや地価高騰を抑制するための具体策も当然必要です。もはや、和歌山市では地価高騰で労働者はマイホームを求めようにも求められず、貴志川など周辺部に求めざるを得なくなっております。リゾートブームはさらに追い打ちをかけるでありましょう。開発業者から不動産業者、そしてさらに不動産業者へと売買されるたびに値はつり上げられ、結果的に労働者が買うときにはびっくりするほどの値段で手が出せない実態があると聞いています。一般的な監視ではなく、あわせて抑制策が必要と思います。当局の具体的方策をお聞かせください。企画部長の答弁をお願いいたします。
以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員に答弁申し上げます。
まず最初に、参議院選挙結果についての受けとめ方の問題でございますけれども、リクルート不信の問題、消費税の問題等についての厳しい反発というものをひしひしと感じております。
消費税の問題でございますけれども、日常的な税負担感や納税計算事務等の点から、県民に種々の戸惑いや疑問が生じておると存じておるわけでございます。国は、参議院選挙や最近の世論調査の結果を踏まえて見直しの作業に取り組んでおるわけでございまして、現在開かれている国会において検討中でございます。私としましては、県民生活への影響や地方財政の安定等の見地から、国における動きを注意深く見守りつつ対処してまいりたいと思っております。お話ございましたように、先般も全国知事会を通じて、国民の理解と協力を得ながら、この税の仕組み並びに運用について積極的に必要な見直しを行うように要望しているところでございます。
また、消費税の公共料金への転嫁につきましては、制度の趣旨に沿って実施したところであり、利用者等の皆さんにも御理解をお願いしているところでございます。
次に、リゾート開発問題でございます。
本県の燦黒潮リゾート構想は、県民の置かれている状況や暮らしの願いに根差した計画であるかどうかという点でございます。
本県におけるリゾート整備は、恵まれた自然景観、文化資源、伝統等を活用することが、私はまず第一に基本であると考えておるわけです。そして、その構想を策定していく過程におきましては、地元市町、地元関係団体の代表から成る協議会を設置いたしまして、連絡調整に努めながら構想をつくり、国の承認を目指しているところでございます。
こうしたリゾート整備には、県民の皆さんの豊かな暮らしに資することが最も重要な問題でございまして、民間事業者の活力を活用しつつ、地元の皆さんの参画を得ながら、地域の農林業、地場産業などを活性化し、地域の振興を図ることとしておるわけでございます。また同時に、若者が定着できる雇用の場の拡大、そしてまた県民が楽しめる文化活動やスポーツ、レクリエーション活動の施設の整備を行いまして、潤いと安らぎのある生活ができるよう目指しているところでございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、労働時間の問題でございます。
昭和六十三年の県内企業対象の調査によりますと、過去三年間に労働時間を短縮した企業が二六・五%あります。そのうち、週休二日制の実施による時間短縮のケースが最も多くございます。現在、県内企業の四七・四%が何らかの形で週休二日制を導入しております。
また、県民がリゾートについてどのような意識を持っているか、昭和六十二年に無作為抽出による調査を実施しておりますが、その結果を見ますと、約七割強の人々が欧米型リゾート時代の到来を予測しておりまして、半数以上の人々がリゾートとして望ましい場所としては海浜、海洋地帯を挙げております。また、リゾートとして望ましい基本活動の型は、保養、休養を主体にというのが半数以上を占める調査結果が出ております。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 環境アセスメントの制度化についての御質問にお答え申し上げます。
大規模な開発事業の実施に当たって環境影響評価を実施することは、公害の防止及び自然環境の保全のために重要であると認識いたしております。現在、公有水面埋立法などの個別法や国の環境影響評価実施要綱に基づきまして、既に環境アセスメントを実施しているところでございます。また、これらの対象事業以外につきましても、大規模開発計画調整協議会などの事前協議の段階で、規模に応じて環境アセスメントの実施を指導いたしているところでございます。
県としての制度化につきましては、現在、庁内関係課室による検討会を設け、その必要性、対象事業、手続等を鋭意検討しているところでございまして、今年度中を目途にできるだけ早くその検討の取りまとめを行いたいと考えております。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
有功地区の早急な浸水対策、とりわけ鳴滝川、千手川の河川改修についてでございます。
先ほど橋本議員にお答え申し上げたとおり、鳴滝川につきましては、用地取得の面で地元の方々の全面的な協力を得ながら天井川の解消を図るべく、おおむね五カ年で紀の川の合流点より千二百メーターを完了する予定としております。
千手川につきましては、人家連檐地区を含む県管理区間の改修は昭和六十二年に完了したところでございます。この九月の集中豪雨による出水状況から見ましても、その効果は相当あったものと考えております。
それから、八月末から九月にかけての県下の水害状況は、後ほど総務部長より申し上げます。
その対策でございますが、公共土木施設の被災箇所につきましては早急に災害査定を受け、二次災害を受けないよう速やかに復旧してまいります。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) このたびの秋雨前線は局地的に豪雨をもたらしまして、九月の月間総雨量が和歌山市で過去最高の八百ミリ以上を記録し、県下各地に多大の被害をもたらしました。
人的被害としては、和歌山市で児童が下校中に転落するという痛ましい事故が発生したことはまことに残念なことでございます。また住宅被害は、全壊二棟、一部破損三棟、床上浸水約七百棟、床下浸水約一万二千棟を数えるに至りました。農林施設は約四千二百カ所で六十五億九千万円余、土木施設は約千七百カ所で八十二億円余、そのほか農林水産物は二億七千万円余の被害が見込まれております。
今後は、この豪雨を教訓といたしまして、関係各部局と連携をとりまして、防災対策により一層努力してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答えを申し上げます。
農林水産関係の被害でございますが、農作物関係二億七千万、農地・農業用施設関係で五十六億八千万、林地・林道関係で九億一千万、合計六十八億六千万円となってございます。
その対策につきましては、緊急を要するもの、細かく言いますと被災件数にして約四千三百件が対象となってございますが、応急工事を実施するとともに、災害復旧事業計画の作成に鋭意努めているところでございます。準備が整った箇所から既に国の災害査定に入っておりまして、早期復旧に向けて精いっぱいの努力をいたしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾート開発問題に関連いたしまして、地価抑制対策についてお答えを申し上げます。
土地の投機的取引や地価の高騰を抑制いたしまして、乱開発などを未然に防ぐために国土利用計画法第二十三条の規定に基づきまして、一定面積以上の土地取引については価格及び利用目的を知事に届け出ることになってございますが、最近の地価上昇に伴う対策の一つといたしまして、本年の三月一日から和歌山市の商業地、さらに九月十六日からは和歌山市、貴志川町、岩出町の全区域について、そして田辺市、打田町、白浜町については都市計画区域内を、それぞれ監視区域に指定いたしたところでございます。
リゾート法に基づく重点整備地区につきましても、こうした制度を十分活用いたしまして、地価の安定と土地の有効利用が図れるよう対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 国税庁発行に伴う税制改革関連の学校へのパンフレットにつきましてお答えを申し上げます。
税に関するパンフレットは、国税庁が納税の義務の理解に役立てるため、全国社会科研究協議会等の協力を得て、学習指導要領に準拠して作成し、既に二十数年前から税務署を通じて全国の小・中・高等学校に対して、社会科の授業の参考資料として配付をされてきたものでございます。
租税の意義と役割について、学習指導要領では児童生徒の発達段階に応じて指導することになっておりまして、県教育委員会といたしましてはこれらの資料が租税学習を進める上での参考資料となるものと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、知事及び各関係部長から御答弁をいただいたわけですけれども、知事の答弁はもう一貫して、今後も県民の皆さんのために続けていくといったことで、まさしく県民の願いに逆行する立場を貫かれるということでありまして、知事会での緊急決議にも劣るような答弁であったような感を私は強く抱きます。
見直しそのものが、今、本当に問われています。国民の願いは廃止であると、もう審判が下っている。そこに対して何ら反省の気持ちがないということに、私は厳しく批判をしておきたいと思います。
リゾート問題についてお尋ねをいたします。協議会なるものができているというふうに今答弁をいただきましたけれども、この協議会の性格そのものは一体何を示しているのかということをお聞きしたいと思います。そして、その協議会に加わるメンバーはどういった人たちなのかをお聞かせいただきたいと思います。
商工労働部長にお尋ねいたしますけれども、アンケートをとった結果を見てみると週休二日制について県内企業の四七・四%がもう何らかの形で実施をしていると報告されました。こういったことで時間短縮が図られていると理解するわけですけれども、和歌山県内で週休二日制が実現できるところというのは本当に少ないと思うわけです。四七・四%の週休二日制、二六・五%の時間短縮、これは県庁を初めとして行われていると思いますが、従業者が一人から四人のところというのが和歌山県は大変多いわけですね。全国で第四番目ですから、いかに中小の零細企業が多いかということを物語っていると思うんです。こういった一人から四人の従業者で頑張っているところの時間短縮や労働条件、休暇のとり方は一体どうなっておりますか、わかれば教えてください。
それから、アンケートの結果から、こういうリゾートを非常に喜んでいると言われました。どんなものを望むかというと、海洋型がいいということですけれども、今、労働者の願いがそうであったとしても、それを整えるための環境整備をどういうふうにつくられようとしているのか、具体的に説明をしてください。
そこで、具体的にお尋ねをいたしますけれども、例えば県庁の職員がリゾート地へ連続して一週間の休養をとりに行きたいと言ったときにこれは可能なのかどうか。現在、夏休みが一週間あると聞いております。しかし、これも連続してとれているのかどうか非常に危惧をいたすところですが、その実態はどうなのか、そして県庁の職員が連続してとっている年休の実態はどうなのか、これもお聞かせください。
保健環境部長から、現在、できるだけ早急に環境アセスをつくるべく各関係部局との連携をやっているというお答えをいただきました。これから、リゾートあるいはそれに関連する開発が進むであろうと思います。既に三つのゴルフ場が造成を始めていますし、新たに八つか九つの事前協議が行われているわけですけれども、こういったところに民間企業が進出してきて、そこに環境アセスが今適用されていない。これは非常に急がなければなりません。
そういった点で、本当に効力あるものを一日も早くつくっていただくように、そしてできれば来年の二月議会あるいは六月議会には提案できるように頑張っていただきたいと要請をいたしておきます。
土木部長。鳴滝川の改修の問題ですけれども。
質問の中では触れませんでしたけれども、昨日、知事や土木部長、公室長、出納長に対して、有功地区連合自治会を初めとして六十谷、園部、各自治会長、水利組合等の各種団体の皆さんから、市長とともに陳情があったとお聞きいたしました。私も地元の人たちから、きょうの議会でこの問題について積極的に対応をしていただきたいという要望もされてまいりました。
今、土木部長から非常に大まかな、しかも簡潔過ぎるほどの答弁をいただいたわけですけれども、既にあの水害対策について激甚何とか事業というのに県は取り組みを始めていて、そしてあしたですか、和歌山市長あるいは知事を含めて建設省へ陳情にお行きになるということまで私は聞いております。にもかかわらず、その具体例が示されない、どういうふうな方向で解決しようかということ自体が報告されないということは非常に不満であります。その部分について、具体的にお答えください。
以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
消費税の見直しの問題でございます。
知事会で緊急提言があったのにという話でございましたけれども、私も知事会の幹部でございまして、選挙前の二十日に見直しの提言を行ったところでございます。先ほども申しましたように、現在、国において見直しを審議中でございます。その結果を踏まえて、今後とも対処してまいりたいと思っております。
それから、リゾートの協議会の性格ですけれども、これは各地域ごとにリゾート構想を推進して地域の発展を図るということでつくっておるわけでございます。内容等については、部長から答弁させていただきます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾート構想推進協議会についての基本的な性格につきましては、ただいま知事答弁のとおりでございますが、若干詳しく申し上げさせていただきます。
燦黒潮リゾート構想を推進し、もって地域の振興発展を図ることを目的といたしてございます。メンバーにつきましては、地元の自治会、労働界、婦人団体を初めといたしまして、農業、漁業、観光業、商工業等々、各界の代表者をもって構成いたしているものでございます。
以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 労働時間等の実態調査につきましては、常用の従業員三十人以上の企業、約千二百五十社を対象に三年ごとに実施しております。三十人未満の企業につきましては、現在、調査の資料がございません。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 県職員の年次休暇でございますが、事務に支障がない範囲で年次有給休暇の消化に努めているところでございますが、職場によっては連続してとれない場合もあるというのも実態でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 鳴滝川の今回考えている改修でございますが、ただいまお示しありましたように、激特事業ということで特別の枠をいただいて事業をしようと考えておりまして、現在、国へ向けて要望をしている最中でございます。
中身につきましては、計画の規模を五十年確率で計画しておりまして、それに合うような河道計画をしていきたい、それと河床の切り下げをやるということで、約五年ほどの期間でし遂げたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 総務部長。これは要望ですが、職場によっては職務上の関係でとれないときもある──「ときもある」ですね。これは、一週間連続してとれているというふうに理解をいたしますが、後でその実際の消化状況を教えてください。私は、決してとれているというふうには思えないのであります。
それから、土木部長。鳴滝川の問題について努力をしていただくわけですけれども、地域の人たちが一日も早く本当に安心して暮らせるように、やっぱり暮らしと命を守っていただきたいと思うわけです。
その中で、和歌山市が行うポンプアップの問題も出てくるでありましょう。今、鳴滝川や千手川の流域面積で十分にはけるというふうにおっしゃいましたけれども、今度の水害そのものは全くそこへ流れ出ないようなところから出てきていますので、その部分をポンプアップするなり、農業用水路を十分活用できるようなものに改修していかないと大変な事態になると思うんです。
そういった点から見ても、県の仕事じゃありませんけれども、広域的事業として積極的に財政の確保のためにも努力をしていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
以上です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。