平成元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(那須秀雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕(拍手)
○那須秀雄君 本日、この時間、本来ならば先輩・田中実三郎議員が登壇し、県勢浮揚にかける数々の提言を行っているところであります。
 既に質問通告をされ、原稿も書き上げられた上で、不幸にして病気のため欠席のやむなきに至ったのであります。幸い、検査入院でありますから、九月議会には元気に登壇され、相変わらず辛らつな県政への提言をなさることと思います。ベテラン議員であり、また高齢でもあられる田中先生は、毎回、精力的に一般質問を行ってこられました。県政への提言をなされている先生の心境をおもんぱかるに、まことに残念なことだと思うのであります。
 昨日、病院に参った私をまくら元に呼びまして、「那須君、おれの机の上に原稿を置いてあるんや。一度読んでみてくれよ。そしてよかったら、おまえ、やってくれ。自分たちが今取り組んでいる田辺駅前アオイ通りの再開発にも関連することやし。今やっておいてほしいんや」ということでありました。田中先生の県政にかける熱意に常々敬服しております郷里の後輩として、病院にありながらも県政を思う熱情に胸打たれ、党派・会派を超越して、田中議員が書かれた原稿の一端をそのまま私をして代弁さしていただくことをお許し願いたいと思います。
 公共用地確保の問題であります。
 公共事業を実施するに当たって種々な要件を検討することはその事業完遂のために極めて重要であるということは、言をまたないところであります。何物にも増して事業に要する敷地の確保、つまりつぶれ地の入手の可否が最重要事項であることは従来言いならわされてきたことであります。俗に、用地交渉が成功すれば当該事業の八割九割はできたものだと言われていることは、技術面での進歩が著しい今日、まさにそのとおりだと言わなくてはなりません。
 本年度当初予算審議の前回県議会における建設常任委員会でもこのことが論議されまして、用地問題の解決は県勢活性化の大きな柱であると定義づけ、予算編成時の箇所づけの際における配慮事項にまで取り入れるべきで、県挙げて、制度改正も含めて強く運動することと結論を出しております。したがって、過去においては、これと密接な関連がある未登記処理の問題に対して副知事を委員長とする対策委員会を設けられたこと、これまた周知の事実であります。
 首題の件に関しましては、単に土木部、農林水産部、企画部等々一部局の問題として手法的配慮だけでなく、県政上の大きな課題の柱として中央における各種法改正に取り組まなくてはならん問題と愚考いたします。
 そこで総務部長に、次の具体的な問題点を提起しながら質問をいたします。
 第一点、相続税の基礎評価と目される税務署の県下主要都市における基準価格について、調査課から税務署へ問い合わせたのでありますが、税務署は教えてくれなかったそうであります。したがって、地域振興課において調査した県下の主要都市の単価は次のとおりであります。
 坪単価で申し上げます。住宅地では、和歌山市平均四十万三千円、海南市三十六万円、橋本市十八万二千円、有田市二十三万九千円、御坊市十七万円、田辺市二十七万九千円、新宮市三十八万円──これは高いです。もう一つ、商業地の平均単価でありますが、和歌山市は百八十五万三千円、海南市は五十九万四千円、橋本市八十七万五千円、有田市六十一万一千円、御坊市四十七万五千円、田辺市五十一万二千円、新宮市七十七万二千円──これも高いです。こういう形でございます。
 このような単価でございますから、今の所得課税額に対する免除上限三千万円がいかにも実情に適さないのは明らかな事実であります。
 たしか、都市再開発事業に係る特別措置は別途講ぜられているとも聞き及ぶのでありますが、いずれにしても、市街地における公共事業の推進・促進のためにも、課税対象税額、暫定五千万円への引き上げについて今までどのような運動を進めてきたのか、あるいは今後さらに上乗せをするためにどのような運動をするのか、お答え願いたいと思います。
 第二点、農地法に関連するものについて質問いたします。
 農地法第三条第二項第五号によって、農地保有五十アール(田辺)、二十アール(串本・白浜等)以下の者は農地取得を禁じられていることは御承知のことと思いますが、今、仮に公共用地として一部買収されると、残余農地が五反、二反の制限を下回って、再び農家として農地取得ができなくなるのであります。もちろん、いっとき制限面積取得については認められておるのでありますが、そう簡単に代替用地の適地があるわけはなく、少量ずつ復元を図ろうとしても、その道は閉ざされておるということになるのであります。
 あるいは、農協法第十二条に見られる正組合員、準組合員の選別にも抵触してくるのであります。これは一人一反以上でありますが、正組合員の資格を喪失することとなる等が現地における用地取得の大きな障害になっております。
 農地法や農協法の改正なり緩和規定なりを早急に検討すべきと思うが、こうした面で検討はなされておるのか。検討されておるとするならば、それらの対応はどうなっているのか、お聞かせを願いたいと思います。
 第三点、代替地売却に対する所得税の措置についてであります。
 第一点、第二点の問題を解決するためには、代替地の提供者が当然必要となってくると思われるのであります。現行法では、原則として代替地の問題について自治体は関与しないことになっているため、地域の方々の好意に頼って解決を図っている実情であるが、その都度一番問題になって解決を阻むものは、代替地提供者に対する所得税の減免措置が十分でないということに起因することが多いのであります。当然、代替地提供者にも、せめて売却による所得税の減免措置があってしかるべきと考えるが、県当局はどう判断しているのか。
 以上、三点について愚見を述べ、質問といたしましたので、御回答を願いたい。
 なお、今日まで県勢推進のための大きな課題として議論されているこの種の問題について、県当局は現場の意見をどのようにとらまえ、またこれら解決のためにどのような手段をとられているのか。私の取り上げた三つの問題点以外に、集約され改正された諸点があれば、あわせて開陳を願いたい。
 以上が、二人がかりの一般質問であります。心して御答弁をお願いしたいと思います。
 ただいまから、自前でまいります。
 「紀州木の国ミカンの国」と言われてきたそのミカンは、連日の一般質問でも論議されているとおり、自由化というよりも、むしろアメリカの押しつけ輸出により大きく揺れ動いているのであります。
 もともと果樹農家は、資本主義社会の中で、自由競争経済の中で生きていく一匹オオカミ的性格の強いものであります。しかるに戦後の農業政策は、選択的拡大と銘打って、パイロット事業等では果樹の自由選択を許さず、ミカンの植栽を強引に進めてきたのであります。
 ミカンは十年で成木となります。今、成木園となったミカン畑を、今度は再編成計画の名のもとに、いわゆるミカン減らしのために割り当てによるカットが行われているのでございます。しかも、一千四十億円という膨大な予算すなわち国民の税を使ってでありますから、国民的には農家過保護のそしりを受け、しかも農家からも首尾一貫しない農政に極めて大きい不信を抱かせながらであります。
 先般からの参議院選挙、相次ぐ自民党の敗北は、世間で言われているとおり三点セット、すなわちリクルート事件、消費税問題に起因することは論をまたないのでありますが、私は、その最大要因は農家の政治不信にあると考えるのであります。今までも幾たびか断崖の危機に立たされた自民党でありましたが、そのたびごとにじわっと支えてきたのは、自由社会の中で自由経済を選んで生きてきた農林漁業者でありました。その最後のとりでが、今、崩されようとしておるのであります。大変な危機であります。
 今度は、本県にとっては梅であります。梅はミカンよりもさらにサイクルが速く、五年から七年で成木になるのであります。梅の植栽は農家個人の選択によるものが多く、ミカンとは趣を異にいたしております。しかし、これとてミカン再編成計画のあおりを大きく受けているのも、また事実であります。ミカンの二の舞をせぬよう今から対策が望まれるのでありますが、本日は、このサイクルの短いミカン・梅を捨てて、五十年という長い歳月をかけ、子のため、孫の代にと植林され育林されてまいった林業の将来展望に絞って一般質問をしたいと思います。
 我が国の森林状態でありますが、戦時中は戦争用材として切り出され、戦後は戦災復興のために乱伐され、一時期、本県も木材景気で沸いた時代もありました。その後、農林省、特に林野庁の進める補助事業や融資制度を積極的に取り入れた林業関係者の努力により植林・育林が進められ、日本は世界の中でも森林が増加している数少ない国になったのであります。中でも本県は、全国でも有数な森林県であります。
 先般からの一般質問で、ワースト幾つワースト幾つと、悪い話ばかり聞きましたが、ここでは「ベスト」ということで言わせていただきます。
 昭和二十五、六年ごろから始まった植林事業は、三十年をピークに、大変な勢いでありました。その結果、森林資源は漸次増加し、人工林は全国ベスト第五位の蓄積を有しておるのであります。中でもヒノキは全国で第一位の蓄積、すなわち資源を有しているのであります。しかし一方では、伐採適齢期の森林構成比は、戦後の乱伐もあって、わずかに七%であります。したがって、この間、県下の製材工場は輸入材にその活路を見出したのであります。現に田辺木協管内における製材率を見てみると八対二、すなわち八割が外材というように高い数値を示しておるのであります。その間に、山に働く人々の仕事がなく、人々は仕事を求めて町に出て、山村は過疎となり、山林労働者の高齢化に拍車をかける結果となったのであります。しかし、全国一のヒノキは、昭和三十年の植栽をピークとすると、現在、樹齢三十五年であります。あと十五年もいたしますと、現在の五、六倍の適伐期いわゆる伐採適齢期の樹木を抱えることになるのであります。今から確かな林業政策を打ち立てておかないと、せっかくの資源を山に眠らせる結果になりはしないかと非常に心配するものであります。
 そこで、まず総括的に、知事に林業の将来展望についてお伺いをいたしたいと思います。
 農林水産部長にお伺いいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、林業の労働力確保については、各製材業者や林業家も頭を痛めているわけであります。
 ここに、井硲林産の社長からいただいた資料があります。
 この方は、自分の会社で働いていただいておる社員の年齢構成をパーセンテージであらわしております。これによりますと、六十歳代の方が一三%、五十歳代の方が六二%、四十歳代の方が二〇%、三十歳代になると、何と五%しかない。二十歳代はゼロであります。このままの状態で手を打たなかったら十年先には私の事業は進められない、こういうことでございます。
 もう一つあります。過疎と申し上げましたが、それでは山林が分布する各地域で一体どのくらいの人が減っていったのかということであります。大塔村の前の川筋というところでは、昭和三十年に二千百一人おられましたが、昭和六十年の国勢調査によるとわずか二百六十六人と、十分の一近くになっておるのであります。事ほどさように、将来に向かって各企業・林業家は既に研究をやられておるのであります。
 先般、林業の先進地スウェーデンへ視察に行かれ、ヨーロッパの森林作業や大型機械による伐採、玉切り等の作業をビデオテープにおさめられたのを見せていただいたのでありますが、私の林業伐採作業等のイメージとは全くかけ離れたものであり、そこで働く人々は大型機械の専門化されたオペレーターという印象を強く受けたのであります。
 和歌山県の山林は地形的に極めて急峻であり、ヨーロッパやアメリカのように大型機械の導入は非常に困難とは思いますが、そこは日本人であります。世界一の知恵者であります。改良された機械の導入を図るなど、振動病障害におびえながらチェーンソーを操作する前近代的な林業を若者にも魅力のある職場へと変えていく努力を怠ってはならないと思うのであります。
 そこで、お尋ねします。
 上富田町生馬には林業センターがございますが、今日まで、育苗・植林・育林指導や森林保護等、大きな役割を果たしてまいりました。また、職員たちも非常に熱心で、森林資源の蓄積にも大きく貢献してまいったのでありますが、これからは、この蓄積された資源を地場産業として有効活用するためにアドバイザーとしての役割を果たさなければならないと思います。
 林業センターをさらに充実して、オペレーターの養成や機械化の研究等に取り組むよう、提言をいたします。
 次に、国産材製材工場の展望について伺います。
 川下に当たる田辺、上富田、白浜には約二十五工場が操業しており、約五万立米の製品を出荷し、重要な地場産業として地域経済を支えてまいりました。
 そこで、先ほどから述べてまいりましたように、大量の木材が生産されたとき、現在の田辺地方の製材工場で対応し切れるかどうか。工場の主力が既に外材向きにつくりかえられている現状にかんがみ、いささか疑問でありますが、素材生産地の出荷が予測どおり進むことになり、国産材工場が昔日の活気を取り戻すことになりますと、雇用の安定と増加が進み、再び田辺地方は地場産業として脚光を浴びることになると思いますが、農林水産部長の見解を求めたいと思います。
 本県の林業地帯は、高野町から高野龍神スカイラインに沿った地域と、中辺路町を中心とした大塔村、日置川町、すさみ町や東牟婁郡の奥熊野地域が主産地となっており、西牟婁郡はそれぞれの地域と尾根筋で結ばれております。言いかえれば、これらの尾根筋は国道、県道等の主要幹線道路の開設を妨げ、林業地域と川下にある集荷・加工地域をネットワーク的に結んでいくのが難しい現状にあります。
 現在の本県の木材集荷地すなわち川下は、熊野川河口の新宮市周辺地域、さらに日高川河口に当たる御坊市周辺地域、そして外材港を併設し、背後に広大な森林地域を有している田辺市周辺地域であります。
 高野龍神スカイライン沿いの町村及び中辺路町を中心とした林業地域は、ちょうど扇を広げた形になっており、そのかなめは田辺周辺になっておると私は認識をしております。
 そこで、この扇状のかなめにおいて木材の流れをスムーズにするため、国道、県道の幹線道路はもちろん、林道網のより一層の整備促進を図ることが川上から川下までの林業木材業等地域産業の発展にとって重要であると確信し、提言いたすものであります。林道網の進捗状況について農林水産部長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
 さらに、こうして一カ所に集められました木材──これからは積み出し港の必要に迫られると思うのであります。港湾ということになりますと、田辺は外材輸入港湾でございます。非常に大きな問題を抱えておりますので、これは次回の質問に譲りたいと思います。
 以上、林業の将来について、極めて断片的にではありますが、述べてまいりました。要は、本県は長い年月、行政努力を重ねながら造林・育林に邁進して、今や全国有数の森林資源県となったわけでありますが、今、行政も製材業者も林業家も一体となり、二十一世紀の林業に向かって環境整備、すなわち林道の整備、熊野連山に合った機械の開発等を図っていかないと、せっかくの日本一の森林資源が山の中で眠ってしまうのではないでしょうか。
 例えば、山林地帯にモノレールを敷設するとか、若者の定着を図るため、労働条件の改善や退職金制度の導入、また社会保険制度など整備できる制度の樹立等、企業も山林家も行政も一体となり、若者に魅力ある林業として後継者の育成を図るべきときだと思うのであります。
 最後に、知事に提言をいたします。
 国道四十二号線の海岸線は、和歌山県の顔であります。熊野連山の山林は、紀伊半島の背骨であります。先ほども申し上げましたとおり、国道三百十一号線を中心に森林地帯が分布しておるのであります。高野山から新宮までは、背中を通れば意外に近いのであります。
 先般も北山村へいかだ下りに行ってまいりました。朝、いかだの出発点に参りますと、田辺から大勢来られている。「いつ来たのか」「けさから来たんや。割に早いで」と──大体、木下さんの支持者が多かったですが。すなわち、国道三百十一号沿線は林業のメッカであります。だからこそ、上富田町朝来に全国にも珍しい熊野林業学校が立地したのであります。現実に、上富田町生馬に林業センターが設置されており、大きな役割を果たしております。山村産業試験場は、古座川町に設置されておるのであります。
 目を海に転じてみましょう。漁港事務所は田辺であります。水産増殖試験場、これまた田辺であります。水産試験場、これは串本です。栽培漁業センター、勝浦であります。このように、農林水産部に係る施設は紀南に、必要だから多く分布しておるのであります。
 知事は、これこそが多極分散政策のあらわれだと言われるかもしれませんが、この際、県庁田辺移転の先駆けとして、農林水産部の田辺移転を考えられてはいかがでしょうか。
 せめて、現在の林業センターを拡大充実して、林業事務所への格上げを早急に決断されるようお願い申し上げまして、御答弁を待たさしていただきます。
 以上、第一回目の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの那須秀雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 那須議員にお答え申し上げます。
 公共用地の問題は、担当部長から答弁いたします。
 本県の林業の将来展望でございます。
 お話ございましたように、和歌山県は杉・ヒノキにおいて全国に誇る蓄積量を持っておりまして、これが十年後には伐採期になり、供給力が相当進んでくると思います。
 しからば需要の問題はどうかと申しますと、将来展望を眺めてみると、最近特に地球規模での環境保全の問題が強く叫ばれており、また木材輸出国の自然保護ということも急速に高まっております。そうした中での将来の需要予測ということは非常に難しい問題でございまして、国においても今慎重に検討を進めておるのではないかと思っております。しかし、現在、需要が伸びており、将来に希望が持てるのではないかと存じております。
 和歌山県は主要生産県でございますけれども、よその主要生産県においても産地づくりが非常に進んでおり、産地間競争というものがますます激しくなってくるのではないかと思っております。そうした意味において、従来から木材の安定供給体制ということを林業の主体として取り上げてまいりましたけれども、これからはなお一層、つくり育てる林業から、機械力を活用したり道を整備するなど、低コストの生産を進めて林業の展開を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、本庁の農林水産部を田辺市へ移転してはという話でございます。
 本庁の機能そのものを分散させるということは、効率的に総合的に、行政運営を行うという点から申し上げて適当でないと考えております。
 また、林業センターの問題につきましては、林業試験場がかつて東牟婁にあったのを上富田に持ってきたいろいろな経過もあるわけでございまして、現在、現行組織のもとで進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 公共事業における用地取得の円滑な促進を図るための特別措置としまして、公共事業の用に供する土地を提供した場合に、その譲渡所得の計算上、三千万円の特別控除が認められてきたところでございますが、平成元年度の税制改正において、昭和六十四年一月一日から平成元年十二月三十一日までの間、つまりこの一年間は土地を提供された者に係る特別控除額が三千万円から五千万円に引き上げられたところでございます。
 また、この場合において、代替不動産を取得するときは、特別控除にかえまして、代替資産を取得した場合の課税の特例を受けることができることとなってございます。
 公共事業の促進を図るためには、その用地の円滑な確保が欠かせないものでございます。このことから、全国知事会等を通じて国に対し、特別措置の拡充について強く要望してきたところでございますが、今後ともその拡充について努力してまいりたいと存じております。
 また、代替地の売却に対する租税の特別措置でございますが、代替地提供者に対しましては、買い取られる土地の譲渡所得の計算上、千五百万円の特別控除が認められておりますが、この特別控除の拡充についても、今後とも全国知事会等を通じて国に強く働きかけてまいりたいと存じております。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 用地取得体制の強化に対する県の考え方、租税特別措置法及び代替地に対する租税措置についてお答えいたします。
 公共事業に係る用地取得問題については、地価の高騰、権利者意識の高揚などによって、最近、特に困難の度を増してきております。このため、県といたしましても、その解決のため最大の努力を払っているところでございます。
 まず、組織人事につきましては、監理課に収用調整班を設置するなど、充実強化を図ってきたところでございます。
 また、用地職員の質の向上を図るため、それに必要な研修を実施しており、さらに用地取得難航箇所の対策につきましては、土木部全体の中で検討、判断、そして指示ができる体制をとっております。
 一方、土地収用制度の活用を図るため、早期に事業認定の作業を進め、建設省と密接な連絡をとりながら、重要かつ緊急を要する事業の用地対策を最重点課題として取り組んでいるところでございます。今後、用地取得の問題解決に向けて一層の努力をしてまいります。
 また、租税特別措置法関連につきましては、今後とも関係機関に用地現場の実情をよく説明し、理解を求めてまいりたいと思います。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農地法において、農地の一部を公共用地等に買収された農家が新たに農地を取得する場合に、取得後の耕作面積が下限面積を満たさなければ農地を取得することができないことになっていることは、ただいま議員御指摘のとおりでございます。したがいまして、このような場合に農用地利用増進法の積極的な適用によって対処することも考えられますので、農業委員会と連携をしながら指導してまいりたいと存じます。
 次に、農業協同組合の組合員資格に関する問題についてでございますが、組合員資格は各単位農協の定款で定められることとなってございます。
 国が示す模範定款例によりますと、正組合員は十アール以上の土地を耕作する農民となってございますが、現実に県下五十農協の定款では、一アール以上という組合もあれば、十アール以上からという組合もございまして、組合によって異なってございます。したがいまして、組合員の総意に基づく定款の変更等で対処できるものと考えてございます。
 次に、林業の問題でございます。
 林業労働力との関係で、議員御提言の大型機械導入の問題につきましては、林業労働力の減少、高齢化に対応し、各種作業の効率化、労働環境の改善、また魅力ある林業の確立を図る上からも特に重要な今日的課題でございます。
 本県の林業地帯は地形的に大変厳しい条件下にございますが、林道等の整備とあわせ、現場地形に適した各種の大型林業機械の導入を積極的に検討していく必要があると考えてございます。現在、国におきましても、大型機械の開発を行っているところでございます。
 議員御提言のオペレーターの養成等につきましては、本県も林業センターの施設を活用して積極的に取り組めるように検討してまいる所存でございます。
 次に、今後の国産材製材工場の展望の問題でございます。
 議員御提言の、森林資源を有効に活用して県経済の一翼を担うためには、本県森林が主伐期に達したときに予想される外材や他産地との競合に優位に対抗できることが最も重要と考えます。このためには、流域を単位として、生産者である林業家と加工者である製材業者が一体となり、適正な森林施業による優良材の生産、市場ニーズに対応した製品の加工・流通に必要な施設の充実、優良材による紀州材ブランドの確立など、将来に希望の持てる地域林業の活性化に向けて取り組むことが重要であると考えてございます。
 最後に、林業地域をネットワークする道路整備の問題でございます。
 本県では、急峻な山岳地帯を広域的に結ぶ基幹林道の整備を重点に、基幹林道に接続する支線林道など、十五年後における林道密度一ヘクタール当たり七・三メートルの目標達成を目指して早期整備に鋭意取り組んでいるところでございます。
 今後、二十一世紀の初頭に向かって、各河川の上流域を中心に県産材の主要な供給基地が形成されていく中で、こうした供給基地と木材市場や製材加工場の立地する沿岸の集荷・加工基地を効率的に結ぶ輸送ルートの開発整備が重要となってくるものと考えてございます。
 このため、議員御提言の趣旨を十分踏まえながら、林道網整備を産業基盤の整備と相まった道路整備の一環として、より一層進めなければならないと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番那須秀雄君。
○那須秀雄君 第一点、公共用地確保の問題でございますが、私、代理質問でございます。田中先輩なら、一回で「よっしゃ」と言わんと思います。再々質問ぐらいされると思いますが、私、代理でございますので、この辺で遠慮さしていただきたいと思います。
 ただ一点、農地法の問題ですが、農地法で決められているからあきませんということではないと思う。私も、農業委員をしておりました。各市町村において農業委員会の特別あっせんということがあるので、農林水産部と土木部の間で、こういう事実がありますから農地の方ではこうやってくださいという横の連絡をすればできるということを申し添えておきます。
 林道網の整備。これはもう農林水産部長、優等生の答弁であります。
 七十五億の巨費を投じて水上栃谷線という立派な林道がつくわけですが、まあ骨ができてきたら小骨が要ると、こういうことであります。和歌山県の林道率というのは林地に比べて低いと言われておりますが、これは、国道とか県道、また市町村道が奥地に非常に発達しているためであって、したがって林道網だけでは言えない。立派な林道政策をやっておられると評価いたしますが、できるだけこれからは小骨をつけていっていただきたいということをあわせお願いいたします。
 それから知事さん、私は、県庁を田辺へ移そうということを前から言うておりますが、その前提として、先に農林水産部を持ってこないかと、こういう話であります。
 知事は、このことについては割に冷たい。冷たい答弁であります。これはまあ仕方がない。気長くやります。ここに議席がある限り気長くやっていこうと、きょうは覚悟を決めました。
 そこで、林業事務所への昇格ですが、農林水産部長、他県にもこういう例があるはずです。林業のメッカの地帯には林業事務所というかなり充実した施設があるという実例──今度は実例を持ってきます。そのぐらいいかなんだら、林業問題は二十一世紀には大変なことになる。今のミカン以上や。五十年という気の長いサイクルでやってきて、せっかく立派になったが、あかんということになると──ミカン十年桃クリ三年柿八年と言いますが、そういう短いサイクルの作物だったら辛抱する。自分で植えて、自分で取るんやから。ところが、おじいさんの怨念、お父さんの怨念がこもってあるから、これは今からしっかりやっておかないとあかんということで、林業事務所の開設については重ねてここから強く要望いたしまして、終わらせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で那須秀雄君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(西本長浩君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(西本長浩君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(西本長浩君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(西本長浩君) 次に、お諮りいたします。明三十日は常任委員会審査のため、七月一日は議事の都合により、それぞれ休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(西本長浩君) 御異議なしと認めます。よって、六月三十日及び七月一日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(西本長浩君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
 ────────────────────
 総務委員会 第 五 委 員 会 室
 厚生委員会 第 六 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 二 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 一 委 員 会 室
 建設委員会 第 三 委 員 会 室
 文教委員会 第 四 委 員 会 室
 ────────────────────
○議長(西本長浩君) 次会は、七月三日再開いたします。
○議長(西本長浩君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後零時五分散会

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