平成元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
平成元年 和歌山県議会六月定例会会議録 第 二 号
六月二十六日 (月曜日) 午前 十時 七分 開議
午後 三時 十二分 散会
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議 事 日 程 第二号
平成元年六月二十六日(月曜日)
午前十時開議
第一 議案第九十八号及び議案第九十九号(知事説明・質疑)
第二 議案第八十六号から議案第九十七号まで並びに報第三号から報第九号まで(質疑)
第三 一般質問
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本日の会議に付した事件
第一 議案第九十八号及び議案第九十九号(知事説明・質疑)
第二 議案第八十六号から議案第九十七号まで並びに報第三号から報第九号まで(質疑)
第三 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
1 番 井 出 益 弘 君
2 番 和 田 正 一 君
3 番 町 田 亘 君
4 番 中 村 利 男 君
5 番 山 本 一 君
6 番 宗 正 彦 君
7 番 岡 本 保 君
8 番 鈴 木 俊 男 君
9 番 阪 部 菊 雄 君
10 番 部 矢 忠 雄 君
11 番 平 越 孝 哉 君
12 番 大 江 康 弘 君
13 番 中 西 雄 幸 君
14 番 橋 本 進 君
15 番 古 田 新 蔵 君
16 番 浦 武 雄 君
17 番 堀 本 隆 男 君
18 番 宇治田 栄 蔵 君
19 番 下 川 俊 樹 君
20 番 石 田 真 敏 君
21 番 木 下 秀 男 君
22 番 中 村 隆 行 君
23 番 藁 科 義 清 君
24 番 門 三佐博 君
25 番 尾 崎 要 二 君
26 番 那 須 秀 雄 君
27 番 木 下 義 夫 君
28 番 上野山 親 主 君
30 番 尾 崎 吉 弘 君
31 番 西 本 長 浩 君
32 番 岸 本 光 造 君
34 番 浜 本 収 君
35 番 和 田 正 人 君
36 番 浜 口 矩 一 君
37 番 山 崎 幹 雄 君
38 番 貴 志 八 郎 君
40 番 森 利 一 君
41 番 村 岡 キミ子 君
42 番 森 本 明 雄 君
43 番 中 村 博 君
44 番 中 村 千 晴 君
45 番 小 林 史 郎 君
46 番 渡 辺 勲 君
47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(三名)
29 番 平 木 繁 実 君
33 番 松 本 貞 次 君
39 番 田 中 実三郎 君
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説明のため出席した者
知 事 仮 谷 志 良 君
副知事 西 口 勇 君
出納長 梅 田 善 彦 君
知事公室長 市 川 龍 雄 君
総務部長 斉 藤 恒 孝 君
企画部長 川 端 秀 和 君
民生部長 高 瀬 芳 彦 君
保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
商工労働部長 天 谷 一 郎 君
農林水産部長 安 田 重 行 君
土木部長 松 永 安 生 君
企業局長 吉 井 清 純 君
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員長
上 野 寛 君
教育長 高 垣 修 三 君
以下教育次長
公安委員会委員長
築 野 政 次 君
警察本部長 井 野 忠 彦 君
以下各部長
人事委員会委員長
寒 川 定 男 君
人事委員会事務局長
代表監査委員 宮 本 政 昭 君
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長
稲 住 義 之 君
選挙管理委員会書記長
地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 山 本 恒 男
次 長 倉 本 辰 美
議事課長 栗 本 貞 信
議事課副課長 中 西 俊 二
議事班長 高 瀬 武 治
議事課主任 松 谷 秋 男
議事課主事 石 井 卓
総務課長 神 谷 雅 巳
調査課長 阪 上 明 男
(速記担当者)
議事課主査 吉 川 欽 二
議事課速記技師 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時七分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) この際、報告いたします。
過日提出のあった議案第八十七号から議案第八十九号まで及び議案第九十二号から議案第九十四号までについては、職員に関する条例の制定及び改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
職員に回答文を朗読させます。
〔職員朗読〕
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和人委第81号
平成元年6月21日
和歌山県議会議長 西 本 長 浩 殿
和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
職員に関する条例の制定に係る意見について
平成元年6月20日付け和議会第75号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
記
議案第87号 和歌山県の休日を定める条例
議案第88号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第89号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第92号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第93号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
議案第94号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
(意 見)
上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(西本長浩君) 次に、報告いたします。
知事から、議案の追加提出がありました。
職員に公文を朗読させます。
〔職員朗読〕
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財第49号
平成元年6月26日
和歌山県議会議長 西 本 長 浩 殿
和歌山県知事 仮 谷 志 良
和歌山県議会平成元年6月定例会追加議案の提出について
地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
記
議案第98号 選挙長、選挙分会長、審査分会長、選挙立会人及び審査分会立会人の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
議案第99号 投票管理者、開票管理者、投票立会人及び開票立会人の報酬及び費用弁償の額の基準を定める条例の一部を改正する条例
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○議長(西本長浩君) 日程第一、ただいま報告の議案第九十八号及び議案第九十九号を議題といたします。
議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案につきまして、御説明申し上げます。
今回追加提案いたしました議案第九十八号及び第九十九号は、去る六月二十二日に成立いたしました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部改正に伴い、選挙長、選挙分会長等の報酬額及び投票管理者、開票管理者等の報酬額の基準をそれぞれ改正しようとする条例案件であります。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(西本長浩君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(西本長浩君) 次に日程第二、議案第八十六号から議案第九十七号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第九号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
21番木下秀男君。
〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成元年六月議会において、一般質問の先陣を与えていただきました先輩並びに同僚諸兄に感謝申し上げます。
動乱の国会と言われた第百十四予算国会もようやく閉会いたしましたが、昭和時代の終幕から平成時代の幕あけにかけて、政財官界を巻き込んだ大疑獄事件・リクルート事件が発生し、全国民に疑惑を持たせ、政治不信を募らせた国会でもありました。政治に携わる者すべてが反省し、原点を見直し、心身清新にして疑惑解明と政治不信の回復に努力するとともに、県勢の発展に取り組まなければならないと、決意を新たにしたところでございます。
まず、通告に従いまして教育長に質問いたします。
学習指導要領についてでありますが、この質問をするに際しまして、臨時教育審議会が三年間にわたって調査、審議した答申を読みました。
「学制百年史」によりますと、我が国の教育の歴史は、明治五年の学制公布以降の近代教育制度の創始期、整備期、拡充期、戦時統制下の軍国主義による画一主義教育の時期──いわゆる戦時教育でありますが──の四つに区分してございます。
そして、戦後教育の改革が昭和二十二年に行われ、軍国主義及び極端な国家主義を排除し、教育の機会均等の理念のもとに、自由、民主、平等の実現を期し、心身ともに健全な国民の育成を図ることを目的として教育基本法が制定されたのであります。この基本法のもとで教育の普及、量的拡大と維持向上が図られ、それが今日の社会経済の発展と生活文化の向上に大きく寄与したことは万人の認めるところであります。まさに「教育は国の基本なり」であります。
反面、時代の急速な進展、科学技術の進歩、生活文化の変動等々、さまざまな問題が指摘され、これから迎える二十一世紀社会に向けて教育がいかにあるべきかを示したのが「教育改革に関する答申」だと思います。そして、この答申をもとに策定されたものが、文部省告示第二十四号「学習指導要領」であると思うのであります。
そこで、学習指導要領の改訂に関してお尋ね申し上げます。
今回の改訂は、今日までの改訂の中で最大のものと言われ、二十一世紀を目指し、社会の変化にみずから対応できる心豊かな人間の育成を図ることがねらいとされていると聞いております。学習指導要領は、公教育の一定の水準を保つため、国の責任において定められるものと思います。今後、この指導要領の趣旨が各学校において生かされていくものと思うのでありますが、その趣旨の周知徹底について教育委員会はどのように考えているか、また、その改訂の基本方針、改善内容の特徴的な点を含めて御説明をお願いいたします。
次に、国旗・国歌についてお尋ねいたします。
この問題につきましては、今日までさまざまなトラブルの起こったこともあり、それぞれの受けとめ方や理解の違いもありますけれども、今回ははっきりと文章化されてございます。国歌「君が代」として明示されたこの三十二文字の意義について、教育長はどう理解しているのかをお伺いいたします。
私は、外国旅行をした折、国旗「日の丸」を掲げ、国歌「君が代」を演奏して温かく出迎えていただいたこと、異国で見る「日の丸」、異国で聞く「君が代」は、日本人であることを自覚し、言葉では表現しにくい、何か胸の内が熱くなるような、じんとくるような思いをしたことが忘れられないのであります。また、公共施設や学校、民家にもその国の国旗が翻り、愛国心と自国への誇りが高いのに感服したものであります。
今日、国際化の進展が著しい我が国において、教育の場で国歌や国旗を大切にする態度や心情を育成することが、国際社会の中で尊敬され信頼される日本人として成長していくために最も重要なことであると考えます。
また、新聞等によりますと、文部省は国歌「君が代」を象徴天皇を持つ日本国の繁栄を祈念したものとしております。私も、時代の変遷の中でそうした解釈が国民の間に定着しているものと考えるところであります。
国際社会の中で、今日、我が国は経済的にも繁栄し、世界の平和に貢献していると考えています。国旗・国歌が日本国憲法で規定する主権在民の原則のもとに平和国家の象徴として愛され、定着するよう指導するとともに、他国の国旗・国歌を尊敬する心情を育てることも大切だと考えるものであります。
教育長の見解をお伺いいたします。
続いて、農林関係でございます。
農政審議会が策定いたしました「二十一世紀に向けての農政の方向」の近畿版「近畿農政の基本方向」によりますと、近畿地方の農業の役割として、生鮮農産物の供給、消費者ニーズに対して速やかに生産に取り組む先駆性、都市住民への快適な緑空間の提供、高齢者、中年婦人への安定的就業機会の提供等が挙げられてございます。方向づけといたしましては、集落営農方式の推進や中核農業の育成、都市近郊農業地帯での野菜、花卉等を中心とした専業的経営の推進、多品目・少量産地の育成が挙げられてございます。
中でも注目しなければならない点は、全国の高速道路網、瀬戸大橋の完成、関西新空港及び地方空港等、近畿を中心とする総合交通体系の整備進展に伴い、他地域からの生鮮農産物の供給能力が急速に高まり、近畿地域と他地域、伝統的産地と新興産地との競争の激化への対応が迫られていることであります。
国際化への対応として、オレンジ等の輸入自由化でミカン等、かんきつ類の産地は大きな打撃を受けるため、品種改良や施設栽培などの高付加価値型生産への転換、管理作業の省力化によるコスト削減が挙げられ、生産効率化の徹底が求められています。農業の国際化は世界的な方向としてとらえ、我が国の高度な技術水準を生かした技術集約的な輸出農産物の開発等により、農産物の輸出拡大を図り、計画的対応を進めるべきであるとしてございます。この方向づけと農産物自由化の中の果実を主として、以下、具体的に質問いたします。
昨年の昭和六十三年五月、日米間で牛肉等の輸入自由化交渉が決裂し、我が国がガット(関税貿易一般協定)に提訴し、ジュネーブにおける審議に移り、我々県民挙げて自由化阻止に取り組んだその願いもむなしく、七月に調印されたことは記憶に新しい出来事でございます。あれから一年たちました。その間、当局初め関係団体は、英知を集める中でいろいろと真剣に取り組み、対策を講じてきたことであろうと思うのであります。
我々県議会におきましては、全会派連名で提案の「オレンジ・果汁・牛肉等の輸入自由化に伴う産地の体質強化対策についての意見書」を昨年の六月議会において全議員一致で可決・採択し、政府並びに関係省庁へ申し入れたところであります。さらに七月には、ミカン生産府県に呼びかけ、二十三府県の加盟を得る中で「全国みかん生産府県議会議員対策協議会」を組織して、政府初め農林水産省、外務省、大蔵省、自民党等へ強力に働きかけ、補正予算に緊急対策として予算措置を求めてきたところであります。協議を重ねる中で各生産地の要望を具体的にまとめ、当初予算に計上されるべく取り組んでまいったところでございます。
その後、国においては輸入自由化に伴う国内対策が打ち出されましたが、それを受けて県農林水産部としてどのように具体化しつつあるのか、今日までの取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
オレンジ、牛肉等の自由化が目前に迫り、二年後の平成三年には生果が、三年後には果汁が入ってくることは確実でございます。この事実は、御承知のとおり、生産農家はもちろん関係業界に及ぼす影響ははかり知れず、我が和歌山県経済に及ぼす影響の大なることを憂慮するものであります。
耕地面積の少ない和歌山県は、全国第二位のミカン生産県であり、果実生産額が生産額の約四六%を占めるという果実依存の農業形態でございます。この現実を見るとき、早急な施策を講じなければならないと思うのであります。
私たち全国みかん生産府県議会議員対策協議会のまとめたものとして、次の三項目がございます。その第一点は生産対策であり、第二点は流通加工対策であり、第三点は消費拡大対策でありますが、これについてお伺いいたします。
まず、廃園と転換対策についてであります。
国の方針転換によって、ミカン農家が厳しい国際競争に勝ち残るため二万二千ヘクタールの廃園を計画し、十アール当たり三十万円の補助金を支払うというのが今回の施策の大きな一つの柱でありますが、和歌山県にもこの減反割り当ての大きな数字が来たのであります。一年を経た今日の状況と、平成三年までの残された二年間の計画をお伺いするものであります。
「廃園」というのは抜根するか枯死させることでありますが、その後の転換対策が問題であります。何に転作しているか、県としては何を指導・奨励しているのか、この点についてもお伺いいたします。
ミカン農業については、自由化問題をまつまでもなく、生産過剰で減反の必要に迫られていたこの実情を十分に認識し、今後の指導と対策をすべきであります。国際競争と国内産地間競争に勝ち残るためにも、あらゆる情報と先を見通した判断が求められているのであります。
次に、園地改良と整備事業であります。
ミカン園の廃園、転作のでき得る畑であれば今回の対策事業を受け入れることもできるのでありますが、高いところの小規模の畑や急傾斜の畑、狭隘な畑、再編のできない山畑等を持つミカン農家は、何を作付すべきか品目選定に大変苦労されていると聞くのであります。ミカン農家でほかに耕地を持たない人々に対する減反割り当てというのは、大変難しい、無理なことであります。
一方、ミカン専業でなく水田を持つ農家は、この際、品目の一本化ということもあって、廃園と水田転作により落葉果樹──これは主として梅でございますが──に転換している地域も多く見かけるのであります。ブルドーザーやユンボで水田を耕し、客土をして樹園地としていますが、山畑のように配水がよくないため、用配水路や農道整備いわゆる生産基盤の整備が必要となり、この取り組みも急がなければならないと思うのであります。
次に、農業経営の安定対策であります。
減反、転作、施設栽培等によって、一定期間の収益の減収、設備投資の資金捻出等、新しい事態の起きることが必定でありますが、制度資金や合理化資金等、金銭面での貸付条件の緩和と対象の拡大等、抜本的な改善を図るべきであると思うのであります。
現に、このような事態に当たり、面倒だから売り払ったという話も聞くし、ミカン園の売り物が多くあると耳にするのであります。県内各地では施設栽培が急増しており、品目も多品目にわたっておりますが、制度融資を申請しても、予定枠が終わったから次年度に回してくれというようなことを再三聞かされるのであります。この際、県としても十二分な資金枠を確保し、スムーズに対応できるようにすべきであると考えるものでございます。
次に、流通加工対策であります。
消費者の食物に対する嗜好の変化と供給の多様化によって、食料品の消費構造は大変化を来していると言われてございます。食生活の高度化により、量や価格よりも食品の安全性や鮮度、本物への関心が高まり、さらに周年供給が要求されてきている現実を認識し、高度な食文化を持った京阪神の大消費地の消費者ニーズをより早く的確に把握するよう情報収集に取り組み、生産農家との連携を強める必要があると思うのであります。
生産技術の向上と消費者ニーズの多様化に対応して個性化商品が開発されてまいりましたが、これらの生産物を価値あらしめるためには、出荷体制や選別に厳しく当たるとともに、高性能選果施設の整備充実を図ることも重要なことであります。
特に、ミカンは関東、東北方面へも市場を広げている現状から、国内競争に勝ち残るためにはこれらのことが最も大事であります。自由化に向けてこれらについて早急に指導・点検することが必要かと思うのでございます。
続いて、販路拡大対策であります。
前にも述べましたが、農業部門にも「国際化」という言葉が定着してまいりました。しかしこれは、国内農業の生産量、基本的な食料の安定供給力の不足、消費者ニーズへの対応等々を考え合わせますと、自給力のない我が国としては輸入に頼らざるを得ないというのが実情であります。輸出国との相互信頼関係を醸成しながら安定輸入を図るべきであり、この現状は世界的な方向としてとらえるべきであって、対応をおくらせることがあってはならないと思うのであります。
農産物自由化によって輸入食料と国内生産物とのバランスに狂いの生じることは間違いないのでありますが、ただ生産量が少ないからとか生産コストが高くつくからと言っていたのでは伸びないのであって、私はこの自由化を逆手にとって、海外輸出に向けて積極的な取り組みをすべきだと考えるものであります。
オランダのチューリップが東京銀座の花店で売られ、アメリカ西海岸から輸入されたサクランボが和歌山市内の店頭で売られている実情であります。農産物の輸出は国際経済変動の影響を受けやすいと言われますけれども、生産過剰で国内消費が飽和状態になっている現況から、海外輸出に向けて、特に対米輸出の緩和について、外務省を通じて強力に働きかけるべきであります。
アメリカは輸入解禁州を三十八州にまで広げておりますけれども、無病地区設定や表面殺菌等の条件が大変厳しく、輸出拡大のネックとなっているようであります。これらの撤廃を強く求め、アメリカに販路を求めてはと考えるのであります。
さらに、カナダに向けてでありますが、御承知のように、太平洋岸のバンクーバーを中心に、日系人やアジア系移民の多くいる国であります。
昨年の十月、美浜町三尾地区でカナダ移民百年記念の諸行事が催されました。カナダ移住者の代表百余名の出席のもと盛大に行われましたが、そのときに懇談する機会を得たのであります。
年配者の方々は、ふるさとの発展ぶりに目をみはり、往時をしのんでおられましたけれども、「子供のころ食べた紀州ミカンの味が忘れられない。今の国際自由化の中、カナダへ送って──これは輸出の意味でございますが──もらえないものだろうか」という話を聞かされたのでございます。私はこのとき、このふるさとを離れて異国に生活する方々の願いをかなえる努力をしたいと、誓ったものであります。
来る九月には、バンクーバーで和歌山県人会主催の百年記念の式典が催されるそうで、その催しに知事も出席予定と伺っております。知事は、みかん生産府県知事会議の会長として今日まで日本のミカン生産に先頭を切って努力されてまいりましたが、この機会にカナダ政府と交渉してみられたらと思うのであります。その所見をお伺いいたします。
次に、減反と転作対策であります。
自由化に伴う減反面積が全国で二万二千ヘクタール、和歌山県への割り当ては、ミカンが二千四百二十ヘクタール、中晩柑が千百五十ヘクタール、合計三千五百七十ヘクタールとなってございます。和歌山県のミカン生産全盛期と言われた昭和五十五年ごろと比較してみますと、約三分の一弱の一万二千ヘクタールと大幅な落ち込みを見てございます。
ミカン農家として、つくりたくても減反割り当てがあり、つくっても収益が上がらないこの悩みと、さすれば減反後に何を作付すれば農業経営が成り立つかという作目選択に迷っているのが、今のかんきつ農家の現状であります。
一方、農産物自由化に伴う転作目として、梅がミカンにかわって全国各地に植栽されているようであります。関東から中部、北陸、九州と生産地がありますが、特に九州方面と、新しく四国にもふえつつある現状と伺っております。
県内の状況を見ますと、主産地の中紀地方はもちろん、紀北、紀南でも大幅に植栽されたと聞くのであります。ここ一年間の苗木の動向を調べてみますと、県内だけで十五万本が出荷されてございます。自然食品だ、健康食品だと、今、大変なブームで好況を博してございますけれども、前段申し上げましたように、このように増植してふえ続ければ、ミカン生産の二の舞となるのではないかと懸念するものでございます。
今の県当局の指導体制を見ますと、ミカンや花卉、野菜等の技術者は多く見受けられるのでありますが、落葉果樹、特に梅に関する権威者が皆無と言っていいほど少ないように見受けられるのであります。県下の農業作目が大きく転換しつつあるとき、早急な対応をすべきではなかろうかと思うのであります。
私は、この際、県下の各種試験場、農業改良普及所の体制の見直し、高度な技術者と加工面の研究者の養成を図るべきであると提言申し上げるものであります。
南部郷や田辺地方の梅の歴史は古く、生産技術は高く、販路も広く、意欲も高いのでありますけれども、産地が紀北から紀南までと分布し、食文化の向上と消費者の嗜好が多様化している今、加工面でさまざまな工夫をすることが大事であると考えるのであります。
大手メーカーの食品研究所や飲料メーカーの醸造研究所等と提携する形で、消費量を伸ばす努力が必要かと思います。アメリカでは日本食ブームで、日本酒の輸出がふえ、しょうゆなどは日本企業が進出し、現地で製造している今、梅の外国人向けの加工開発を急ぎ、輸出品にするまで取り組んではと考えるものであります。
県農林水産部は、昭和六十二年に「21世紀につなぐ『明日の和歌山県農林業』基本計画」を立ててございますが、昨今のように減反・転作がふえ続きますと、かんきつ農業から落葉果樹農業へと基幹作目が変換してしまいそうな勢いであります。この際、この計画も大きく見直さなければならないと思うのでありますが、いかがお考えでございますか、お伺いするものであります。
次に、施設栽培とその対策についてでございます。
農業形態の変化が厳しく、機械化が進み、化学や科学の知識が必要となり、バイオテクノロジーによる品種改良や新品種の創造など、高度な技術が要求される近代農業へと急速な変化をしています。これらを取り入れることによって、想像もできなかった品種が生まれ、予想もできなかった量の収穫を得、しゅん外れの果物をつくれるという農業に移行してまいりました。「施設栽培」であります。さらに、国際的に視野を広め、各地の情報を収集して作付をしていかなければならない時代となりました。
今回の自由化に伴ってこれらのことが一層強まり、施設栽培が一層広まると思うのであります。また、施設栽培を取り入れなかったらこれからの農業は成り立たず、競争に打ちかっていけないとも思うのであります。
最近は、施設栽培のハウスが県下各地に建ち並び、多くの花卉、野菜がつくられ、樹園地にもビニールハウスが見られるようになりました。耕地面積が少なくなりましたが、生産高が上がり、増収につながっていることはまことに喜ばしい限りであります。しかし、設備するには多額の資金が要ります。この問題に対処することも急がなければなりません。
そして、施設栽培で問題になるのは廃ビニールの処理の問題であります。このまま放置すると、漁業にも大きく影響を及ぼすおそれがあります。海に流れ込んで海底に沈んだ場合、海藻の生育や産卵に大きな影響を及ぼすと言われております。国の施策に補助事業がないからと手をこまねいていては、大問題になることは必定であります。生産者や農協、製造メーカーとの連携をとりながら対策を急ぐべきであると思うのでありますが、お考えをお伺いいたします。
最後に、「シーサイドロード」──私がつけた名前でございますが、リゾートに関する道路整備について、土木部長に伺います。
本県は、全国的に類を見ない非常に変化に富んだ美しい海岸を多く有しております。ただいま、全国的には週休二日制が定着化しつつあり、余暇の時代が急速に進んでいるときに、この海岸美を利用せずにほうっておくことはないと思うのでございます。
幸い、県当局におかれましても、本格的な余暇時代の到来を見越したリゾート開発を進めようとしており、県は本年度中に総合保養地域整備法の適用申請を行うこととして、適用地域は沿岸市町村域となってございます。これを受けて各市町村が工夫を凝らして種々検討中でありますが、私はここで提言を申し上げます。
海岸美を誇る有田市千田から湯浅、広川、由良、日高、美浜、煙樹海岸の区間を結ぶリアス式海岸道路、名づけて私は「シーサイドロード」としたのでございますが、高速自動車道湯浅御坊道路と一体となったネットワークが必要かと考えるのであります。
このルートは、砂浜あり、磯あり、なぎさあり、奇岩あり、絶壁ありと、大変バラエティーに富んだ海岸が続き、紀州ミカンの産地でもあり、魚釣りのメッカでもあります。各地区の観光地、漁港、キャンプ場等々、各拠点を連絡し、余暇を生かして家族ともども海水浴をしたり、キャンプ、魚釣り、磯遊び、ミカン狩り等々、楽しみながら観光できるようなネットワークを強化すれば、観光客の誘致を飛躍的に増大させることができると考えるものであります。ただ単にリゾートやレジャーだけでなく、沿道の農産物、海産物の集出荷等、地域の振興発展に大きく寄与することとなると思うのでございます。
一部、農林水産省、国土庁の関係で漁免道路の計画もされてございます。あわせて、リゾート開発だ、観光客誘致だとよく聞かされますが、まず受け入れ態勢の整備ができなくては客の受け入れができないのであります。
幸い、湯浅御坊道路建設も今月十二日、工事が着工され、広川町インターチェンジ付近から郡境の広川町唐尾地区に向けて農免道路の建設が計画されており、高速道路との連結もできると思うのでありますが、土木部長の御意見をお伺いいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
かんきつ自由化決定後の取り組みについて、いろいろの質問なり御提言があったわけでございます。
担当の農林水産部長から答弁いたしますけれども、お話ございましたように、和歌山県ではミカンが農業生産の四六%というような実情でございまして、非常に重要な問題でございます。また、農業も非常に厳しい現況でございますので、全力を挙げて取り組む覚悟でございます。
それから、販路拡大対策につきまして、私から説明させていただきたいと思います。
お話ございましたように、果樹農業の振興、その中でも海外市場の開拓ということは非常に重要なことでございまして、現在の貿易事情を逆手にとって、攻めの農業政策を進めなければならないということ、同感でございます。
本県としても、東南アジア、カナダへのミカンを初め、千五百トンの果実を輸出してございますけれども、最近の円高傾向、流通コストの高騰などで厳しい現状にございます。
しかしながら、アメリカやカナダへのミカン輸出については、先人の皆さんの努力があるわけでございまして、あらゆる機会を通じて十分研究して努力せよということ、ごもっともでございます。特にカナダについては、なお一層努力してまいりたいと思います。
シーサイドロードの問題については部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
私に対する質問は、七点でございます。
まず、農産物の自由化が決定をしたけれども、農林水産部として今日までどのように具体的に取り組んできたかということでございます。
今回のミカン園の再編対策は、自由化を目前に控えて適地適産と需給の安定調整を図るものでございますので、県としても、国の基本方針に沿って、かんきつ産地対策推進本部の設置を初め、その組織体制の確立が非常に重要だと考え、整備を図るとともに、基本指針の策定や三カ年計画の取りまとめ等、かんきつ園地再編対策の円滑な推進に努め、初年度の転換等を実施したところでございます。
参加農家は、今日、一万三千戸、件数にして四万件を優に超えるものでございまして、現在、現地の確認を終わっておりますが、助成金交付のための書類チェックを行っておる最中でございます。
また、県単独の予算措置としては、議会の全面的な御協力をいただき、昭和六十三年度十二月補正予算において、再編対策助成補助金への県費の上乗せ措置、あるいは加工原料柑への価格補てんに係る県費の負担、県独自の事業として、ミカン優良品種の系統への更新事業、地域特産果実の種苗母樹園の設置事業等、総額三億円に上る自由化対策を講じたところでございます。
さらに、平成元年度当初予算においても、これら事業を継続実施するに加え、新たにかんきつ産地の緊急対策事業、果樹産地活性化推進事業を創設するなど、県単で総額六億六千万円、前年度対比一五〇%に及ぶ関連事業予算を計上し、ただいま生産者団体、市町村と一体となってかんきつ産地の体質強化に取り組んでいるところでございます。
次に、廃園と転換の問題でございます。
かんきつ園地の再編対策は、適地適産と需給安定を基本に、昭和六十三年度を初年度として三カ年で実施するものであることはただいま申したとおりでございますが、生産者団体及び関係機関が一体となって推進をしてございます。
転換先の品目については、さきに県が地域別、地帯別の転換先品目指標を具体的に示しておるわけでございますが、これによって農家が選択導入することといたしてございます。
昭和六十三年度の実績についてその概要を申し上げますと、温州ミカンについては、三カ年の目標面積として、和歌山県では二千四百二十ヘクタールという一応の割り当てが国からございまして、初年度ではこれの約五〇%の千二百ヘクタール、また、ハッサクを初め中晩柑では初年度で予想を上回る七百八十ヘクタールが既に実施されているところでございます。
これを態様別に見ますと、温州ミカンと中晩柑を合わせて、他の落葉果樹等への転作は全体の五五%と最も多くなってございます。次いで廃園が三一%、他作物へは九%、植林へは四%の順となってございます。
次に、転換先品目でございます。
紀の川流域では落葉果樹の柿が一位、次いで梅、桃への転換が主で、有田地域については、転換面積が少ないながらも、梅、野菜、花卉、紀南地域では梅を主体に野菜、花卉となってございます。
今後は、全国的な再編整備事業の実施の状況あるいは生産者の意向を十分踏まえ、本対策の円滑な推進に努めてまいりたいと存じてございます。
次に、園地改良と整備事業でございます。
議員御指摘のとおり、近年、水田転換により、梅等の落葉果樹への転作が進んでございます。今後、関係市町村、農家等の意向を十分聞いて、議員お話しの趣旨を十分踏まえ、かんがい排水、農道等の基盤整備事業にきめ細かく努めてまいる所存でございます。
次に、農業経営の安定対策ということで、特に、議員の言われる融資の関係でございます。
農業経営の安定対策に係る制度融資、制度資金については、本年度は融資枠の拡大を図って農家の要望に対処することといたしてございます。ハウス等の施設農業への資金の対応につきましては、特に、オレンジの自由化対策の一つとして無利子の資金枠の拡大を図ったところでございます。
議員お話しの制度資金の貸付条件の改善等については、国に対してさらに強く要望をしてまいりたいと考えてございます。
次に、流通加工対策でございます。
最近の高級・多様化する消費者ニーズに対応して、全国に先駆けてブランド化した本県独自の味一ミカンは、御承知のように、市場で高い評価を得てございますが、厳しい品質基準等もございまして、まだまだ量的には大変少ない現状でございます。
輸入自由化を控えて、今回のかんきつ園地再編対策を実施する過程において、高品質生産に対する生産者の意識も急激に高まってまいりました。今後、厳しい産地間競争、消費者の実態を十分に踏まえながら、高品質果実生産の拡大に向けて、生産者を中心に関係機関が一体となって、地域での取り組みを進めてまいる必要があると考えてございます。
また、加工研究分野については、農産物の加工研究者や梅加工開発センターを初め、関係機関において、現在、新しい製品の研究開発に努めてございますが、今後とも、予想される加工需要の増大に対応して、梅を初め地域特産品の商品開発に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に、施設栽培、特に廃プラスチック問題でございます。
関空立地、あるいは南紀白浜空港の整備等をインパクトに、フライト農業の推進やかんきつ園地の再編対策による施設化の推進など、施設栽培面積の大幅な増加が見込まれる中で、廃プラスチック対策は極めて重要な課題であると受けとめてございます。
その処理については、基本的には排出者みずからが適正に処理することとなってございますが、県としても、施設園芸の振興上、これまで適正処理に向けての啓発推進や他府県における処理状況の調査を行うとともに、助成事業の創設を強く国に働きかけてまいったところでございます。
処理施設の設置については、既に設置している施設栽培先進県である千葉、山梨、茨城等、他県の例に見られるように、回収方法やその後のランニングコスト等、管理運営面に大きな問題があり、赤字を抱えて休止、縮小のやむなきに至っておる事例が多く発生をしていることも事実でございまして、慎重に検討する必要があると考えてございます。
今後、さらに施設園芸協会を中心にした組織づくりを行い、まず回収体制の整備などについて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
一方、最近の新しい動きとして、民間企業による広域的な廃プラスチックの再生利用の話もございまして、こうした面の活用も含めて、市町村、生産者団体ともども、総合的に検討をしてまいる所存でございます。
最後に、減反と転作の対策でございます。
再編対策の実施については、先ほども申し上げたように、地域別、地帯別の転換先品目指標に基づいて農家が選択導入したものでございますが、本県では、梅、柿、桃などの落葉果樹の大幅な伸びが予想されることから、主産地において専門普及員を重点的に配置し、技術指導を行うべく積極的に取り組んでいるところでございます。
今後も、資質向上のための研修や試験研究機関、関係団体と密接な連携のもとに現地での指導体制を強化し、産地の要望にこたえてまいる所存でございます。
また、生産振興計画の見直しの問題でございますが、議員御承知のように、果振法に基づく果樹農業振興計画は中長期的な展望に立った計画でございます。オレンジ、果汁等、輸入自由化の決定に伴い、緊急対策として現在取り組んでいるかんきつ園地の再編対策を初め、消費動向の急激な変化等を踏まえて、現在、国では長期的な需給安定等を内容とする果樹農業の振興基本方針を一年前倒しして本年度中に策定、公表される見通しでございます。
県としては、それを受けて果樹農業振興計画の見直しをすることとしてございます。本県の地域特性を最大限に生かすことのできるよう十分留意して、本県果樹農業の健全な発展に取り組んでまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 有田から美浜町にかけての、いわゆるシーサイドロードについてお答えいたします。
有田から御坊にかけての沿岸は、白崎や日ノ御埼に代表されるように、リアス式海岸のすぐれた景観を有し、県立自然公園にも指定されており、また海水浴場、キャンプ場、釣り場としてもすぐれた観光資源を有する地域でございます。
今後、関連する道路を整備することなどによって多くの人々がこの地域を訪れやすくすることは、地域の活性化のみならず、本県振興の観点からも有効であると考えます。
しかしながら、この海岸線の道路は総延長が六十キロを超え、しかも急峻な地形のところを通過することもあって、全線を抜本的に改善するには莫大な費用を要します。
このことから、交通の隘路となる幅員狭小部分や線型不良箇所から重点的に改良しているところでございますが、今後もその推進に努めてまいりたいと存じます。
また、湯浅御坊道路とのネットワーク化についても、現国道四十二号を生かしつつ、その整備を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) せんだって告示されました新しい学習指導要領についての四点について、お答えをいたします。
御指摘のように、学習指導要領というものは、公教育の普遍性を確保するために国が全体として一定の基準を設けたものでございます。
お尋ねの新しい学習指導要領の基本方針でございますが、これは、大まかに言って四つの柱から成り立ってございます。その一つは、心の教育の充実でございます。二つ目には、基礎・基本の重視と個性教育の推進が挙げられてございます。三つ目には、自己教育力の育成であります。そして四つ目には、文化と伝統の尊重と国際理解の推進でございます。この四つが柱となってございます。
改訂内容においては、まず小学校においては生活科の新設が挙げられてございますし、中学校、高等学校においては選択履修の幅の拡大など、多くの面において基本方針の具体化が図られているところでございます。
新学習指導要領のこれからの趣旨の徹底については、文部省が実施をする中央研修会を受け、本年度から本格実施までの期間中に県内各地において、すべての教員を対象とする伝達講習会を開催する所存でございます。
次に、国旗・国歌についてでございます。
御指摘のように、児童生徒が自国や他の国の国旗・国歌を大切にする気持ちを育成することについては、学校教育の中で指導するということが非常に重要なことであると考えてございます。
また、国歌「君が代」の解釈に係る件についてでございますが、文部省が説明をしておりますように、日本国民統合の象徴としての天皇を持つ我が国が永遠に平和で繁栄することを祈念するものであると考えてございます。
こうした認識に立ちまして、国歌が、日本国憲法の規定する主権在民の原則のもとに平和国家の象徴として愛され、定着するよう、指導することが極めて肝要であると考えてございます。
以上のとおりでございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
21番木下秀男君。
○木下秀男君 大変丁重な御答弁、ありがとうございました。あと、時間がございませんので、要望にかえたいと思いますが。
農林水産部長でありますが、大変きめ細かく御答弁をいただきました。ただ、おしまいの方に「国の方針を一年間前倒し」という御答弁がございましたが、国の方針も必要でございましょうけれども、事、果樹生産にかけては、和歌山県は国に指導するぐらいの立場にあるほどの先進県であると私は思っております。
そういう面で、和歌山県が「かくあるべきだ」と、いろいろの地域の状況を集約するものを国に突きつけて、これを実施の中に十二分に反映してほしいというふうな形をとることが本当の取り組みであろうと思います。ただ単に国の基本方針を待って県が受けるということでは、いつまでたっても受け身の形であるので、その生産地──特に和歌山県は江戸の時代からミカンの産地と言われておって、よその府県にまねられることはあってもまねることのないミカン産地として、今日まで来たと思うのであります。そういう面で、もっと積極的な取り組みをされるように要望しておきます。
それから、教育長でございます。
私が質問いたしました点、これから、国というか文部省を中心に、全国各地でその内容の徹底をするための講習会というか研修会が開かれる計画もあることは承知しておりますけれども、だれしも国の繁栄を願うのは同じでございます。この方針を全県下にくまなく徹底されまして、将来を託す青少年の、また今度の場合は幼児教育も新たに含まれておるということを聞いておりますので、その点を十分認識の上で、先頭に立ってその新しい取り組みに対する理解を求めるべく努力されるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
38番貴志八郎君。
〔貴志八郎君、登壇〕(拍手)
○貴志八郎君 まず、消費税の問題について質問をいたします。
消費税が四月一日より実施されましてから、はや三カ月が過ぎようといたしております。私は、二月定例議会におきましても、逆進性の大衆課税となる消費税の矛盾点をつき、さらに自民党の公約違反あるいは消費税そのものの抱える多くの欠陥について指摘を申し上げるとともに、それがゆえに県当局が提案した当初予算における消費税転嫁をやめるよう強く迫ったのであります。
しかし、残念ながらこの消費税転嫁は、当局によって修正されることもなく、また、本会議では野党四派の強い反対にもかかわらず、可決・決定を見たのであります。
そこで、私は以下、消費税実施後三カ月を経た現在、県当局の見解をただしておかなければならない数点にわたって質問しておきたいと思います。
第一番目は、昨今の消費税反対とこれが是正に関する国民世論の趨勢をどのように受けとめておられるかということであります。
新聞などの世論調査では、消費税に不満を持つ者は実に九〇%、さらに、廃止・見直しを求める者の声は何と全体の九四%、ほとんど全員と言っていいほどの数字を示し、世論の趨勢はまさに圧倒的に「消費税ノー」という結論を出しておるのであります。本県内の世論の動向は一体どのようになっているのか、お調べになったことがあるか。おそらく、県民世論の動向も全国的趨勢とほとんど変わるところはないと思うのであります。
こういう世論を聞きながらも、なお、この消費税に対する従来の考え方を変更するお考えはないのかどうか、お尋ねしておきたいと思うのであります。
次に、具体的な問題として質問をいたします。それは、消費税実施後の物価の動向であります。
四月以降今日までの消費者物価の動きを、昨年同期と比較しながらお答えをいただきたいのであります。また、心配されている便乗値上げについては、ちらほら私どもも耳にするのでありますけれども、そういったことが県の監視制度の網にどの程度かかっているのか。その監視制度が全きものであるならば、当然に幾ばくかの件数、内容といったものが把握されておると思うのでありますが、その内容と監視の結果についてお答えをいただきたいと思います。
二番目に、県下の市町村の消費税転嫁実施状況について報告をいただきたいと思います。
聞くところによりますと、県財政当局は、県下市町村の段階においても県における実施に歩調を合わせて実施するよう、かなり強力な行政指導を行ったというふうなことをお聞きいたしております。それは事実かどうか。また、事実であるとすれば、この種の件に関して各地方団体の独自性を認めないということになりはしないか。そしてそれは、先ほど申し上げた国民世論に反してでも押しつけていかなければならないほど県が指導性を発揮すべき事項であるのか、その辺の見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
第三番目に、消費税に関する県民相談について申し上げてみたいと思うのであります。
実施前後の三月末から四月初旬にかけての話でありますけれども、県民が電話をかけて消費税の問題について質問をしようと思ったけれども、「ああ、そのことについては税務署に聞いてください。何なら税務署の電話番号を教えてあげます」ということで、便乗値上げの問題などについても相談したかったけれども、結局、相談に乗ってもらえなかった、市役所では交換台の段階で電話を切られてしまったなどとの訴えがございました。
私は、消費税が国税であることはもちろん、国がその守備範囲になっていることについては疑いを差し挟みませんが、県民がどのような疑問や注文を持っているか、ちゃんと分類して親切に対応する必要があると思います。特に、特別地方消費税の創設を初め、税制改革による消費税の転嫁といったものを含めまして、かなり広い分野にわたって県行政とのかかわりがあるわけでありますから、そういった分野を含めてまで回答のできる窓口というものを強化していただかなければならんと思うのであります。現に窓口ができておるようでありますけれども、その窓口の存在と幅の広さというものを検討しなければならないのではないかと思いますが、いかがでありますか。
それから、この問題の最後になりますが、この税が実施されて体験した中でまず取り上げられることは、ずっしりとした不公平感であると思うのであります。
具体的に申しますと、今回の税制改革では、庶民大衆が親しむアルコール類の中で、しょうちゅうや二級酒は値上がりをし、どちらかといえば高額所得者がたしなむ高級な特級酒などが酒税の見直しで値下がりをした、こういうことに相なっております。
料理飲食等消費税にいたしましても、これは廃止をされまして、特別地方消費税と改称され、その税率は一〇%から三%へと減額されておりますが、結局は、従来課税されていなかったそば代や弁当、パンに至るまで、一回五千円までの飲食に対しては漏れなく三%の課税がされることになってきた。逆に、五千円以上のぜいたくな料理飲食については一〇%から三%、消費税を入れても六%に減額をされることに相なるのであります。
物品税の関係で、高級車が値下がりをし、軽自動車や庶民のバイクは値上がりをする、こういう大衆の不公平感がかなり高まっておる、このように理解をしなければならないと思うのであります。高級車に乗り、高級酒を飲み、高級料亭を利用する人には恩恵がある今回の税制改革、これはまさに庶民を愚弄し、庶民を敵に回す税制であったということは既に明確になっておるわけであります。
特に、昨日開票が行われました新潟県の参議院補欠選挙における結果は、一般の予想をはるかに上回り、我が党候補の圧倒的勝利に終わったわけであります。まさに劇的な幕切れと言わなければなりません。消費税やリクルートに対する国民の怒りや非難の声が、この新潟県における参議院補欠選挙にすべて凝縮されておる、私はそのように見るのであります。
このような結果を目の当たりにしながらも、なお消費税に対する県当局の考え方は、消費税転嫁の姿勢をいささかも修正されず、また国に対して強い意見を申し述べていくという姿勢を持つことができないのかどうか、私は強くお尋ねをしておきたいと思うのであります。
次に、観点を変えた課題について申し上げてみたいと思います。
政治倫理問題が、現在、国においてもかまびすしく論議をされておるところでありますが、これは地方団体においても当然取り上げられるべき問題であります。
この六月定例会招集の際に開かれた議会運営委員会におきまして、今問題の政治改革の一環として、議員活動の中で最も金のかかるとされておる冠婚葬祭等での虚礼を廃止すべきである、このような観点から全会一致で意見がまとまり、今会期中に厳しい内容でそれを決定しようということで決まったことは、既に御案内のとおりであります。
私ども和歌山市選出の県会議員では、たしか昭和五十年ごろからだったと思いますが、既に年賀状、暑中見舞い、あるいは葬儀のときのシキミ、供花のたぐいについては一切自粛することを申し合わせており、これが完全に実施されております。私どもはそのようにみずから自覚をいたしまして、それを定着させてまいりました。
しかしながら、一方では、新生活運動を標榜しながらも、冠婚葬祭や各団体等への心づけや御祝儀、お祝いなどといった虚礼は、姿を消すどころか、ある意味では過熱する傾向すらなかったとは言えないと思います。まあ、私自身も含めまして、こういった点に対する反省が非常に大事であると思います。
あたかも国会では、こうした問題を含めて、今度のリクルート疑惑に端を発し、政治家の政治姿勢について、冠婚葬祭等での虚礼の自粛といった問題がかなり表面に出て、選挙法の改正や政治改革の実施について論議が交わされておるところであります。
ところが、肝心の自民党では、派閥解消はおろか、このさなかにあってパーティーを開かれるなどの無神経さで、一体いつになったら政治家が襟を正して政治改革に乗り出すか、霧の中といった感じがいたすわけでありますけれども、幸いなことに、本県の議会におきましては、野党各派はもちろんのこと、中央の手ぬるい対策にしびれを切らしたのでしょうか、与党・自民党県議団も積極的に虚礼廃止の方向を提言されることは、本県の政界浄化のためには大変結構なことであると思うのでございます。
そこで、お尋ねをいたします。
県議会ではこのように一歩も二歩も進んでやろうという態勢でありますが、それに対して県御当局も同じような考えに立って、虚礼廃止等、本当の意味における浄化のために一歩前進をされるお考えはないかということを申し上げたいのであります。
このところ、お葬式なんかに参加をさせていただきますと、時々、知事の花輪が出ておる場合がございます。また、時として三役の花輪も出ておる場合があるわけでございます。これは一方的にけしからんというわけにもいかない、逆に県民の側からそれを出してくれというかなり強い要望があってこたえざるを得ないというケースも間々あるんではないかというふうにも思いますけれども、それでは、決して県議会のこれから行うであろうところの決定に沿った形とは言えないのであります。
あえて細かいことまで言おうとは思いませんが、それらの供花代は果たして公費なのか、個人のものなのか、個人の後援会のものなのか、そういったことについても当然の疑問が出てくるわけであります。
行政の立場から言うと、当然のこととして生活改善、虚礼廃止といったことにはリーダーとしてやってもらわなければならないはずでありまして、県下市町村でも県がやればそれに右へならえという傾向があるわけでありますから、県の思い切った率先垂範の態度というものがこの際必要ではないかというふうに思います。
それだけではございません。具体的に、例えば年賀状、暑中見舞いであります。和歌山市の県会議員はそれを全廃いたしました。既に十数年の実績を持ちまして、そのことによるトラブルなんかはもう今日ございません。県会議員が暑中見舞いや年賀状を出さない、このことが実施されまして、今日どこからも文句は言われません。これは今後、和歌山市の議員だけではなく県下の議員にも広まってくれるであろうと思いますが、当局もやっぱり同じように、他府県やどうしても出さなければならない礼儀上の問題はありましょうけれども、県内でお互いにやる分ぐらいはお互いにきしっとしてはどうかというふうに思うわけです。
また、知事や県の各部長に至るまで、いろんな団体の長をされている場合があります。我々の手元にもそれぞれの団体の名前で来るわけでありますが、その長は同じ人というのが一シーズンに何枚もあるわけです。むだなことじゃないですか。そんなことをひとつ整理していくということも、具体的な課題として私は提言をし、どう対処するかということを聞いておきたいと思うのであります。
仮に県当局の指導部がはっきりとした態度を打ち出せれば、県の末端職員に至るまで、上司に対する年賀状や暑中見舞いといったものもやはり上に従って全廃をされていく方向を生み出すのではないか、それが大事な問題ではないかということを私は申し上げたいのであります。知事初め各幹部が姿勢を正し、県民にそれを呼びかけていく、そういう意欲をお持ちになっておるならば具体的な形でお答えをいただきたいと思うのであります。
最後の課題といたしまして、県勢浮揚にかかわる県内産業の育成という問題の中で、きょうは土木の問題を中心にしながら質問をいたしてみたいと思うのでございます。
私は、過去何回か、和歌山の経済不況とこれに対して実効ある施策の確立を求めて発言をいたしてまいりました。現状のままでは和歌山は経済的に沈没するしかない、県都和歌山市の人口減がその象徴であるとまで申し上げてまいりました。事実、現在まで四十万人を超えておりました和歌山市の人口が、このところ減少が続きまして、ことしの四月には三十九万八千二百六十二人にまで減ってしまったわけであります。
一方、本県の鉱工業生産指数が、昭和五十五年を一〇〇として対比いたしますと、昭和六十一年でようやく八一・七とマイナス成長を示しており、全国水準の一二一・四に比較いたしますと、残念ながら三一・七も立ちおくれておる、平均から三割以上も立ちおくれておるということになり、全国順位は当然ながらワーストワンということに相なっておるのであります。
さらに、六十年を一〇〇として昭和六十二年を見てみましても、やはりマイナスで、九二・一と相変わらず全国四十七都道府県中ワーストワン、四十七位ということであります。
参考までに、この六十年から六十二年までの間の最高水準をいくのは同じ近畿の滋賀県でございまして、六十年を一〇〇として一四四・六という高い数字を示しておるのであります。驚くなかれ、本県との落差は実に五〇%に達しようといたしておるのであります。
その原因はさまざまあるでしょう。大阪経済圏との道路問題や地場産業の育成あるいは企業誘致のおくれ、若者の流出、大学の問題、数え挙げれば切りがございません。本県としては、この鉱工業産指数全国ワーストワンからいかにして脱出するか、なりふり構わずはい上がっていかなければならないほどの危機感を持って対応と努力をしていかなければならん、このように思います。
そこで私は、先ほど申し上げたように、本日のところは地場産業の育成という課題の中で、一つの課題として土木工事の発注姿勢について問題を指摘しながら、本県の地元業者育成にどれほどの意欲をお持ちになっておるのかということを確かめてまいりたい、このように思うわけでございます。
まず、私が最近のデータとして当局からお示しをいただきたいのは、六十二年度及び六十三年度の両年度にわたって議会に報告された知事専決処分による土木工事の発注、あるいは議会議決を行いました三億円以上の土木関係、港湾関係の工事契約の内容についてでございます。これらについて、この際、公表を願っておきたいと思うのでございます。
事前に通告の中で漏れておりましたのであれでございますが、農林関係や通信設備の関係などを入れるとこれ以外にもたくさんあると思うのですが、きょうのところは土木部関係に絞ってまず出していただきたいと思うのであります。
そういう資料をお知らせいただければ、おのずから質問をすべき内容が明確になってくると思うのでございます。いかに県内業者がこういった部門でも立ちおくれているか、極めて明快になってくると思うのであります。答弁の後に、これらの問題について若干詰めてみたいと思うのであります。
続いて、私は具体的な課題として申し上げますが、企業局が先般行いました、仮谷県政が県勢浮上をかけた最大のプロジェクトとも言うべきマリーナシティの人工島造成の入札状況は一体どのようなことであったか、その結果はどのようなことになっておるのかを御報告いただきたいと思うのであります。
私の手元にある資料によりますと、企業局関係では三つのジョイントベンチャー(JV)、港湾課関係では「マリコン」と呼ばれる大手業者の落札となっておるようでありまして、ここでも本県内業者は一名も顔を出していないのであります。
そこで、ちょっと申し上げてお聞きをしたいのでありますが、同じ近畿の兵庫県では、県内の工事入札に当たって、五百万円以上の納税、営業所の確固とした実態、県への貢献度、地元業者との協調などが県外業者を指名に入れる絶対条件と、かなり厳しくその条件の線を引いておるというふうにお伺いをいたしておりますけれども、本県の場合はどのような原則を確立し、どのような運営をなされておるのか。この場合、私は企業局というよりも土木部が一体どういうふうな姿勢をもって臨んでおるのかということについて、しかとお聞きをしておきたいと思うのであります。
また、もし原則があるとするならばその運用について、監視やチェック機能はちゃんと果たされているのか、こういうこともぜひ明確にお答えをいただかなければなりません。
ここまで申し上げてまいりますと、本県経済の低迷を嘆く以前に、今申し上げたように、本県の発注する工事、すなわち県民の税金の使途が大手企業にかなり吸い取られておる、このことに注目をしなければならんということにお気づきをいただいておると思います。何が原因で、そして今日まで地元業者育成のために何をやってきたか。その結果、県内業者は近府県と比較してどれほど成長したとお考えになるか。まあ、数字を挙げてそれを言えといってもなかなか具体的にはまいりませんでしょうが、本県の関係業者が近畿各府県の業者の実態に比べてかなり低レベルで泣いておるということぐらいは知ってもらわなければならんと思うのであります。
次に、今度はまたマリーナシティの問題に移ります。
聞くところによりますと、このマリーナシティの造成に対して、県内業者のうち九社と、なぜか県外業者一社を、先ほど申し上げた三つの元請業者に対して推薦をしたということであります。この下請業者推薦の基準、さらに十業者の工事金額の配分について一体どなたがお決めになったのか、その内訳はどうなっているのか、お知らせをいただきたいと思うのであります。そして、推薦から外れた県内業者や工事配分の極端な落差は、和歌山県挙げてのこのプロジェクトに暗い影を落とすことになりはしないかということについて質問をいたします。
さらに、いわゆる「海土協」──聞きなれない言葉でありますが、このところ新聞をにぎわしております。この海土協が談合によるやみカルテルを認めて自主解散したとの報道があったわけでありますが、本県ではこれに対してどのような対応をしておるのか。さきに述べたマリーナシティ人工島に関する受注企業がこの中に何社含まれておるのかも、お答えをいただきたいと思います。
この海土協の問題についてはお答えをいただいた後にさらに詰めてまいりたい問題があることを申し添えまして、私の第一回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの貴志八郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 貴志議員にお答え申し上げます。
消費税の問題でございます。
消費税についての県民の声、世論に対する知事の見解等でございます。
お話ございましたように、消費税が実施されて三カ月になるわけでございますが、直接税減税との関連等について説明の普及が足らない点もありますし、また、直接税の減税が実感を覚えない、幅広くかつ薄い負担を重点にした消費税についてなじみが薄いということもございまして、負担感、ひいては不満、不安が消費者や事業者の皆さんの中にあるものと受けとめておるわけでございます。
政府におきましても、税制調査会等において検討するということを言明しているわけでございます。県としても、物価の問題など、県民の皆さんにとって身近で切実な事情、御意見をいろいろなチャンネルを通じてお聞きしているわけでございまして、十分反映してまいる所存でございます。
次に、虚礼廃止に対する県当局の姿勢でございます。
お話ございましたように、県議会において虚礼廃止について検討していただいておるわけでございます。私たちも、信頼される行政を確立するため、虚礼廃止になお真剣に取り組まなければならない。従来のやり方について、やはり反省すべき点も多々あるわけでございまして、現在、検討を重ねているところでございます。
議会の取り組みと歩調を合わせて、私たちも虚礼廃止について努力してまいりたいし、また綱紀粛正の問題については、職員に対して副知事通達や部長会等において絶えず注意しているところでございます。
他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 消費税実施後の消費者物価の動向等について、お答えを申し上げます。
まず、四月の消費者物価指数は、総合では昭和六十年を一〇〇として一〇三・〇となりまして、前月比二・一%、前年同月比二・三%の上昇となってございます。
例年、四月は年度がわりのため上昇する傾向にございまして、昨年四月は前月比〇・八%の上昇となってございます。本年一月から三月の前年同月比が一・〇から一・三%の上昇となっていることなどから、本年四月の前月比二・一%、前年同月比二・三%のうち、一・〇%から一・三%程度が消費税の影響によるものと推測いたしてございます。
なお、経済企画庁の試算によると、その影響は一・二%程度となってございました。また、五月の消費者物価指数は総合で一〇三・二%で、前月比〇・二%、前年同月比二・二%の上昇でございますので、物価はおおむね安定状況にあると考えてございます。
次に、県が消費者からの相談窓口として設置した物価ダイヤルには、四月百七十七件、五月二十三件、合計で二百件の相談が寄せられました。その内容は、便乗値上げ関係で七十七件、税の仕組み関係で四十六件、端数処理関係で十六件等でございました。
傾向としては四月下旬から少なくなってございまして、六月に入りますと、六月二十四日現在で三件というふうに少なくなってございます。
相談のあった事項については、早速、事実確認等を行い、その結果を回答いたしてございます。その中で便乗値上げと疑われるものについて調査した結果、全体的にはほぼ適正に転嫁されているものと受けとめてございます。
なお、県としては、消費者からの相談内容や意見を国へ報告し、国の施策に反映できるよう対応するとともに、便乗値上げが行われないよう、関係部局を通じ、所管業界への要請をしてきたところでございます。
なお、生活関連物資についての便乗値上げを監視するため、物価モニターの増員及び調査の品目や回数の増加を実施し、物価上昇の抑制に努力をしてまいりましたが、現在のところ、特に物価モニターから「問題がある」との報告はございませんでした。
最後に、消費者物価に関する相談窓口については、生活交通課、消費生活センター、同紀南支所の三カ所に物価ダイヤルを設置して対応するとともに、テレビ、ラジオ、「県民の友」を通じて広く県民に広報をしてまいりました。
なお、寄せられた相談については、事情を調査して回答するとともに、適正な転嫁がなされるよう努めてきたところでございます。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 本県市町村の現時点における消費税の転嫁状況でございますが、普通会計の使用料等については四十八市町村が転嫁を決定し、また、公営企業会計の料金等については、該当団体四十八市町村中、四十四市町村が転嫁を決定しているところでございます。
市町村の財政運営については、県としても各団体の自主性を尊重しながら、健全化、合理化のための助言、指導を行っているところでございますが、今回の消費税導入に際しても、消費税法上、地方公共団体は納税義務者の一人であり事業者として適正に転嫁すべき立場にあること、また、税制改革法においても税制改革の趣旨の周知を図りその円滑な推進のための環境整備を行う責務があることなどについて、説明を行っているところでございます。
言うまでもなく、市町村における転嫁についての決定は各団体において自主的に決定されるものであると考えております。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 和歌山県の土木事業と県勢浮揚に関連いたしまして、まず最近の土木工事の発注状況の県内外の別、件数等についてお答えいたします。
建設工事の発注については従来から県内業者優先の方針をとっており、土木工事の発注は、昭和六十二年度の発注件数四千六百二十六件のうち、県内業者は四千五百六十一件で九八・六%、県外業者は六十五件の一・四%となっております。また発注の金額では、約四百六十九億円のうち、県内業者は三百八十八億円で八二・六%、県外業者は八十一億円で一七・四%となっております。
昭和六十三年度では、発注件数四千九百件のうち、県内業者は四千八百三十七件で九八・七%、県外業者は六十三件で一・三%となっております。また発注金額では、三百九十四億円のうち、県内業者は三百六十億円で九一・四%、県外業者は約三十四億円で八・六%となっております。
土木部における知事専決処分は、昭和六十三年度は一件で、もとの契約金額七億二千四百三十万円を五百七十二万二千円増額して七億三千二万二千円に変更する契約であり、相手方は県内業者でございます。
なお、昭和六十二年度は知事専決処分はございませんでした。
また、昭和六十二年度、六十三年度に議決していただいた工事請負契約は四件で、二十一億五千九百万円、もとの契約を増額したものが四件で増額金額は一億三千六万五千円、合計八件の二十二億八千九百六万五千円となっております。
これらの契約の請負業者は、県外業者または県外業者で構成する共同企業体でございます。
次に、マリーナシティの人工島の入札はどのような方法で行われ、どのような結果に終わっているかということでございます。
港湾工事における指名については、特殊な工事であり、その内容に合った特殊船舶の保有、港湾工事の施工技術等を勘案して決定しております。
現在までのマリーナシティでの工事の発注件数は四件で、その内訳は、特殊技術の必要な工事について県外業者一件と県内業者三件となっております。
次に、県外業者の指名基準があるかということでございます。
特に指名基準は作成しておりませんが、建設業の許可を得た県内に営業所を持った者、特殊な技術等を要する工事でその施工技術力を有した者、過去において本県の振興に協力的であったかどうかなどを総合的に考慮しながら選定しております。
県内業者育成について何をやってきたかという御質問でございますが、建設工事の発注に際しては、地元業者の発注機会を確保するため、できるだけ分離発注し、発注後の対策として前払い金に対する前払い率等の改正を行い、地元業者育成に努めてまいったところでございます。
最後に、海土協のやみカルテル報道に対する本県の対応でございますが、公正取引委員会の調査結果を見た上で対処してまいりたいと存じております。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企業局長吉井清純君。
〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 貴志議員にお答えをいたしたいと思います。
マリーナシティ造成事業に係る入札の執行状況でございますが、企業局における入札の執行については、県建設工事等指名競争入札執行要領及び発注基準に基づき実施いたしてございます。
まず、昭和六十三年度において護岸用ケーソンブロック等の製作工事として六件、金額にして五億九千四百万円を発注してございますが、指名業者はすべて県内業者でございます。
また、平成元年度で執行した主なものとしては、護岸工事二件、地盤改良工事一件、その他附帯工事三件の総額二十二億五千三百万円でございます。
なお、護岸工事及び地盤改良工事三件の発注に当たっては、それぞれ大規模工事であり、かつ特殊な地盤改良工事、捨て石、大型ケーソン据えつけ等の多岐にわたる技術的難度の高い工事であるため、特殊作業船の所有状況及び技術力等を考慮し、県内外業者二十四社を選定し、二企業構成による十二共同企業体により入札を実施いたしました。
なお、今回の請負業者の中に海上埋立土砂建設協会いわゆる海土協でございますが、これに加盟しているのは四業者でございます。
続いて、下請業者についての御質問でございます。
県内業者を育成するという観点から、下請業者の選定に当たっては県内業者を積極的に採用するよう、口頭ではございますが強く要請を行ったところでございますけれども、議員御指摘のように、特定の業者、受注金額等については誤解を生ずるおそれもあるという気持ちから、この問題について深く関与すべきではないという観点に立ち、一切行ってございません。
なお、元請・下請業者の正常な関係の確立についても、今後とも十分留意してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
38番貴志八郎君。
○貴志八郎君 まず、知事の消費税に対する答弁がありましたが、ついに立場を超えた答弁をいただくことができなかったような感じでありますけれども、県民が受けとめておるこの消費税に対する重圧感、不満、怒りといったものについては、やはり県知事として的確な把握をされ、国に対しても要求すべきは要求していく、そういう立場をとってもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。
虚礼廃止あるいは信頼される行政という課題につきましては、知事の積極的な意思表明をいただきました。それを信頼して、実施の速やかに進められることをお願いしておきたいと思います。
企画部長から答弁をいただきました。せっかく物価ダイヤルを設置したのに最近は相談が少ないと、相談の減少をかこっていらっしゃるようでありますが、それは一体どういうところに原因があるのか。もう幾ら言うてもあかんとあきらめたのかどうかわかりませんが、あるいは、この消費税実施後、まあ自分がさきに仕入れたやつにはもうかけないでおこうと。しかし、三カ月以上経過してまいりますと、これから先もそれを業者自身が負担するということが困難になってくる、どうしても転嫁させなければならんということで、数字合わせのために便乗値上げが行われていく可能性が極めて大きい時期に入ってくると思いますので、そういった点をぜひひとつ考慮に入れて、特に物価監視の制度を機能させるように努力をいただきたいと思うんです。
先ほどの部長答弁では余り便乗値上げがなかったようなお答えをいただいておりますが、一般の消費者の中では、確かに便乗値上げがあったという実感がかなり強いのであります。果たして企画部が設置をいたしました物価モニターによる監視制度が十分機能しておるのかどうか、もう一遍点検をしてもらう必要があるのではないかというふうなことを感じとして持ちますので、その点はぜひ点検をして機能するようにやっていただきたいということを注文しておきたいと思います。
総務部長から答弁がありましたが、よく聞いておりますと、適正転嫁の責務についてきちんと説明をしたまでだということであります。しかし、私どもから言わすと、それはかなり強力に「このとおりやってもらわなければならん」という行政指導をやられたというふうに聞こえますし、事実、有田郡のある町などは、最初考えていた転嫁取りやめの方向が転嫁をさせられたというふうなうわさすら耳にするのであります。この辺のところは見解の相違もありましょうが、やはり地方自治団体の自主性を尊重するというところに重点を置くのか、決まったんだからそれは実施しなければならんとする法に重点を置くのかというのが、これからの論議の的になっていくだろうと思います。
土木部長に再質問をいたします。
まず、お答えの中にありましたが、大きな工事、要するに議会議決を行ったものが、六十二年度、六十三年度の合計で八件あるわけでありますが、その中で、私が調べたところでは和歌山県内に本社を持つ企業は一つもございません。数字の上でいろいろと和歌山に重点を置いているんだと言われておりますけれども、大きな工事については特にそういうことであります。
そこで、具体的な再質問をするわけですが、共同企業体であります。大手同士の共同企業体が目につくのでありますが、本県内の企業と県外業者との共同企業体の組み合わせ、かつてはあったんですね。龍神スカイラインの当時だとか。よかれあしかれあったわけですが、それがどうも今はないような感じがする。
それから、海土協について。極めてさらりとやられましたが、海土協は大変問題があって、きのうの新聞ですか、何か関空臨海タウンの六つの工区について全部海土協で仕事を独占してしまった問題が報道されております。
公正取引委員会から注意を受けたのはきのうきょうではなしに、昨年の話だというじゃありませんか。なぜこれを呼び出して事情を聞くぐらいの神経を持たないのか、そこら辺が私どもが最も憂慮をする点でありまして、県外業者には甘いという風評をここらあたりでぴしっと断ち切るだけのことがなければならんと思いますが、いかがでありますか。
それから、大手の工事の中でもトンネル工事などは全部県外業者でやります。県内の業者に新しく開発された機械を持たせるように、幾組かの団体をこしらえて協業化をさせてそこで機械を持たすとか、技術者を派遣させて技術者の養成をさせるとか、そういう具体的な取り組みをやって和歌山県内の業者を少しでも育成をして、トンネル工事も大手でなければできんというふうな常識を破らせるというようなことをなぜやろうとしないのか、こういうことを私は強く申し上げておきたいと思うのであります。そのことに対するお答えもいただきたいと思うのであります。
それから、県内企業で落札させて県外企業へ下請させるというふうな手もあるではないかと私は思うのでありますけれども、そういったことについてお考えを持ったことがないのかどうか。中央官庁からの要請などがあって、こういう大手を特に採用しなければならんというふうな事情もあるのかどうか、そういった点についてもお答えをいただきたいと思います。
以上。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 最初の方、ダブってお答えさせていただきたいと思います。
大規模工事でかつ技術難度の高い特定建設工事においては、直面する多くの課題があるわけですが、これを解決しつつ円滑に進めていく必要がございます。そのために、工事を施工するための企画から施工管理、さらに安全管理まで、一貫して高度な技術力あるいは下請に対する指導力が要求されるわけでございます。
こうした中、技術力の差が大きく開いた者が共同したり、あるいは御提案ありました下請と元請を逆転するというような発注にいたしますと、技術者の適正配置の問題から、県民が求めるだけの立派な公共物として成果物が上がるかどうかという問題がございます。
また、技術者を大手業者と下請業者がダブって勉強のために配置するということになりますと、採算の面から業者がそういうことを行わなくて、実態としてはペーパー企業の発生を引き起こすことにもなりかねないという問題があるわけでございます。そういうことから慎重に対処する必要があろうかと考えております。
こうした中、土木部としては可能な限りの分離・分割発注に努めてまいりました。一方で、企業自体としての技術力の向上に努めてもらい、共同化さらには企業合同へと馴致していただくというふうな、技術的により高度な工事への施工能力を上げてもらうということが必要かと思いますが、そのために一層の業者の指導育成に努めてまいりたいと考えております。
やみカルテルにつきましては、まだ公正取引委員会の結論が出ておりませんので、出次第、対処したいと考えます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で貴志八郎君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
午後零時十四分休憩
────────────────────
午後一時六分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
47番藤沢弘太郎君。
〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 まず最初に、消費税実施による県民生活への影響についてお尋ねをいたします。
四月一日から、消費税が国民の強力な反対を押し切って強行されました。使用料、手数料などにかかる消費税を住民に全面負担転嫁する条例や予算案を議会に提出した自治体は、都道府県段階では和歌山県を含め二十三県、全都道府県の半分にとどまっています。また、政令指定都市及び県庁所在都市段階では四十八市中わずか九市であり、都道府県と合わせて九十五自治体中、三十二自治体の全面転嫁にすぎませんでした。このことは、自治体当局が消費税反対の世論を考慮せざるを得なかったことを示しております。
自民党は、この全自治体で消費税の住民転嫁に賛成、廃止意見書ないし請願、陳情の採択に反対、不採択に賛成し、消費税反対の住民要求に正面から立ちはだかりました。消費税実施後の情勢は、政府・自民党を中心としたリクルート疑惑に加え、消費税の悪評も実施すれば落ちつくだろうとの希望的観測に反して怒りが燃え広がり、四月十三、十四日に共同通信が行った世論調査では、「廃止」六五%、「修正」三〇%、それらの要求が合計九五%に及び、「続けた方がよい」というのはわずか三%でありました。
和歌山県内でも、日本生協連の「全国生協組合員百万人のアンケート」にわかやま市民生協が取り組みました。その発表によりますと、二千六人からの回収のうち、「消費税はすぐ廃止をすべきだ」という意見が四七・七%、「できれば廃止してほしい」が四六・二%で、計九三・九%に達しました。一方、「よいことなので続けるべきだ」と答えた人は三人で〇・一%、「やむを得ない」が三・四%という状態であります。
同時に、組合員の一週間の「ミニミニ家計簿」が千二十二件集められましたけれども、この集計の結果、一週間には四万九千六百十九円の平均支出に対し、外税分だけの平均消費税額は八百二十円、組合員Aさんの四月一カ月の消費税負担は、外税分だけで三千二百五十五円、年間平均三万九千六十円となっており、商品代に組み込まれている内税分を含めると、はるかに負担は上回ると述べられております。
県の生活交通課がまとめた四月の百五十店四十五品目を対象にした生活関連物資調査では、先月より値上がりしたもの四十品目、値下がりしたもの四品目、値動きなし一品目。仕入れ価格でも、前月と比較して高くなったもの二〇・四%、安くなったもの九・九%となっております。また、午前中の企画部長の答弁にもありましたが、生活交通課と県下二カ所の消費生活センターのまとめた物価ダイヤルでは、二百件のうち便乗値上げに関するもの七十七件、税の仕組み四十六件と、圧倒的な数字を示しております。さらに、県統計課の四月の物価指数の動きを見てみますと、対前月比二・一%の上昇で、十大費目では、被服・履物五・五%、教育費四%、食料費三・三%など九品目が上昇、下落したのは光熱・水道の〇・六%だけとなっております。
こうした実態の中で、今まで税金を払う必要のなかった年金生活のお年寄りや重度障害者など弱い立場にある人々は、消費税のしわ寄せをもろに受けております。
業者の場合、スーパーや百貨店などは事務的に全部転嫁をしておりますけれども、商店は客離れのおそれから、非課税業者だけでなく課税業者も転嫁ができないというのが実態であります。事務も非常に煩雑であり、ある米屋さんでは今までの一年分の伝票がこの消費税が強行されてからわずか二カ月でなくなってしまうなど、数え切れない悩みを抱えております。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
以上、ほんの一例でありますけれども、私がとらえた県民生活の実態であります。知事は消費税実施に積極的対処をしてこられましたが、こうした実態に対してどのように責任を感じておられるのか。それとも、消費税は県民にとって幸せであると考えておられるのか、明確にお答えいただきたいのであります。
次に、総務部長にお伺いをします。
端的に申し上げますが、総務部が発行されました「私たちの暮らしと新税制」というリーフレット、これです。(現物を示す)これは自治会などを通じて全戸に配られたようでありますけれども、私は実際これを見たときに、税務署からの配布だと思ったんです。なぜかと言いますと、税務署の代弁のようなリーフレットなんです。なぜこれを総務部が発行されたのか。私は、この点は全くけしからん、このように思います。
同時に、ごらんになった方も多いと思いますが、表紙の下の方に「増減税差し引きで二兆六千億円の減税です」と書いているんです。この数字が県民の暮らしとどのようにかかわっているのか、全く理解できません。どのような意図でこれを出されたのか、明確にこの点もお答えいただきたいと思います。
続いて、お尋ねをいたします。
政府は、消費税導入の理由を高齢化社会のためと言ってまいりました。しかし、消費税を強行した翌日、年金を受ける資格を六十歳から六十五歳にまで引き延ばすという法案をセットで提案してきております。
ところで、本年二月の本会議において、我が党の中村博議員が最悪の大衆課税である消費税に対する認識について質問をしたのに対し、知事は、消費税は基本的には将来の福祉社会を安定的に維持するために必要である、そうした税制改革の一環として導入されたのだというように答弁をされました。ところが、昨年四月二十一日、当時の自民党政調会長の渡辺美智雄氏は、間接税の導入が必要なのは大企業のための内需拡大、軍事費の増額、経済援助の拡大、大企業の国際競争力強化のための減税が必要だからだと述べたという趣旨が「THIS IS」の六月号に掲載をされております。
消費税が実施をされ、これが盛り込まれた本年度の国の予算での軍事費は前年比五・九%アップの三兆九千億円、軍事費支出では世界第三位の軍事大国となっております。アメリカのブッシュ大統領は日本に対して、軍事費と対外経済援助との合計をGNPの三%にせよという要求をしてきております。現在はGNPの一・三%であります。これを三%にせよということになると、財源である消費税が三%から五%、一〇%に引き上げられることは火を見るよりも明らかであると思います。我が党は、軍事費を削って暮らし、福祉、教育に回せ、このことを一貫して主張してまいりました。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
知事の二月県議会における答弁と先ほど紹介をいたしました自民党・渡辺元政調会長の講演の内容に大きな相違があると見受けられますが、知事が本当に福祉に使われると言うのなら、納得のできる根拠を示す明確な答弁をお願いいたします。
この問題の最後に、知事にお尋ねをいたします。
消費税をめぐる対決点は、廃止かそれとも手直しか、この二つの方向が問われております。消費税廃止は、さきに述べたアンケートなどにも示されておりますように、圧倒的多数の国民、県民の要求であります。消費税の廃止を政府に要請されるべきと思われますが、いかがでありましょうか。同時に、県民に対する消費税の転嫁をやめるべきと考えます。具体的に見解をお示しいただきたいのであります。
次に、和歌山県経済の活性化についてお尋ねをいたします。
知事は、本会議開会日の説明で、県勢の活性化は関空、マリーナシティ、高速道、県空港などの大型プロジェクト重点について述べられております。果たして、大型プロジェクトが今日の和歌山県の活性化にとってのかなめであるのかどうか。高速道路の整備や県営空港が和歌山県の地理的条件などから見て必要であることを否定するものではありません。しかし、全体として、県民要求から見ても、地域経済の活性化から見ても、後ほど述べてまいりますけれども、生活密着型の公共投資が大変重要なのであります。同時に、本県の活性化の柱として重視をすべき問題は、県経済の基本となってきた地場産業、あるいは基幹産業としての農業を初め林業、水産業などに系統的、重点的な施策を進めてつり合いのとれた産業の発展を図ることが大切であります。
現在、和歌山県が置かれている位置を知る一つとして、総務庁統計局が本年一月にまとめた四百項目の「統計でみる県のすがた」と、県統計課の「一〇〇の指標からみた和歌山」とがあります。その中から暮らし、健康、教育などの特徴点を挙げてみますと、まず人口の増加率は全国四十二位、最近の五年間の増加率を見てみますとゼロであります。人口は百八万人で低迷、昨年十月には百七万人台に落ち込んでおります。また、ゼロ歳から十四歳のいわゆる年少者の人口割合は全国四十二位、六十五歳以上は十二位、社会増加率は転出が転入を大きく上回っております。このことは、県外流出の多いことを示していると見られるのであります。
教育面では、児童生徒数が小学校では四十五位、中学校では四十六位、高校では三十一位。乳児死亡率はワースト九位。交通事故発生件数はワースト八位、同死亡者数はワースト十一位であります。
商業関係では、商業販売額は全国四十四位、また従業員一人から四人の事業所数は四位、一人から四人の事業所の従業員数は全国一位、小売店数は全国四位、同時に、小売店は一方で大きく減少しているのであります。また、百貨店、総合スーパー数は全国一位であります。
基幹産業である農業では、農業粗生産額は三十八位、生産農業所得は一戸当たりで三十一位、農外所得を含む農家所得では三十九位となっております。
また、住居環境面では、都市公園面積と公共下水道の普及率はそれぞれ最下位となっているのであります。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
以上、特徴的に取り上げた指標は、本県の活性化にとって最も基本的な内容のものであろうと思います。知事はこの指標に示された本県の置かれている位置と県行政の責任をどうとらえておられるのか、この原因がどこにあるとお考えになるのか、お答えをいただきたいと思います。
また、メリヤスなどの繊維や木材・木工、皮革、漆器、和雑貨や化学関係を初めとする地場産業振興を県政の重点に据えるとともに、大型スーパーの規制を強化して商店の営業を守る具体的施策の確立に取り組むということ、また公共事業も、大手建設業者のもうけのためではなくて、生活道路、低家賃の公営住宅、福祉施設の強化を初め、さきに指標で取り上げました環境づくりなど、県民の暮らしと安全に役立つ事業に向けるならば、中小の建設関連業者や中小企業の受注の拡大、売り上げの上昇、地方経済の活性化につながることは明らかであります。大企業中心ではなく中小商工業者が潤う活性化対策について、関係部長からお答えをいただきたいと思います。
次に、地場産業振興に大きな役割を果たしてきた工業試験場が工業技術センターに改組され内容の充実が図られたことは、長年にわたって地場産業の振興に携わってこられた業者やそこで働く労働者、また、すぐれた技術を持つ工業試験場の職員や行政の努力によるものでもあります。こうした内容の充実をより一層図るとともに、これに見合った新しいセンターの建設が必要と思われます。この点につきまして商工労働部長の答弁をお願いいたします。
第三に、去る五月二十八日、県防衛協会主催の「防衛・防災フェア''89」についてお伺いをいたします。
このフェアが開催されたのは、和歌山港中埠頭の第五岸壁の野積み場の県有地であります。二十九日の朝日新聞社会面によりますと、「展示された対空ミサイル(ホーク)や戦車などに乗ってはしゃぐ子供たち」のサブタイトルで写真が掲載されております。内容を若干紹介いたしますと、「展示兵器は陸自第三師団(司令部・兵庫県伊丹市)の61式戦車、ホークミサイルなど車両六種六台、銃砲類十種など二十七品目。このほか偵察隊のバイク走行や迫撃砲の設置、砲撃の模擬訓練があった。同協会によると約三千人が来場。戦車やミサイルを積んだ車両には小学生や園児らが群がり、砲にまたがったり操縦席に入り込んだりし、銃の展示コーナーでは隊員が中学生ぐらいの男子に機関銃の構え方を教える光景も見られた。 防衛庁陸幕広報室によると、今回のように駐屯地の敷地外で兵器などを展示した例は、最近では北海道北見市や静岡県御殿場市、栃木県小山市の三カ所であった。関西では、第三師団によると、極めて珍しい」、このように書かれております。また、同協会の雑賀会長の談話として「『自衛隊の兵器は国の予算でつくられており、それがどのようなものかを見てもらうのは当然。子供に軍事思想を普及しようというわけでもない。それに、子供はおもちゃ程度にしか見ていないのではないか』と話している」、このように書かれております。
私は、この談話の最後の、こうした兵器の展示について「子供はおもちゃ程度にしか見ていないのではないか」との表現に、事実、恐怖と怒りを感じたのであります。
自衛隊は、これまでもさまざまな形で県民へのPRを行ってきております。一九八〇年八月には隊友会海南支部が海南市のスーパーであるジャスコ・ココ前で武器展示会を行ったほか、新宮市では三輪崎の新宮港に海上自衛隊の護衛艦がたびたび入港をいたしております。今は中止されている和歌山市の和歌祭にも、自衛隊員が参加をしております。このような背景とともに、今回の武器展示が県有地で行われたということであります。
自衛隊については、その基本的性格として、憲法第九条には戦争の永久放棄の目的を達するために「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記をされており、憲法違反の軍隊であります。
こうした自衛隊の武器展示の県有地での許可はすべきではなく、不当ではないか。このいきさつと使用許可を行ったことについて、土木部長から詳細にお答えをいただきたいと思います。
知事、子供を兵器に親しませることがよいことだ、このようにお考えですか。知事から、現憲法に照らしてどう考えるかについてもはっきりとお答えをいただきたいのであります。
最後に、非核三原則と、三たび被爆者援護法制定についてお尋ねをいたします。
一九六五年十二月五日、米空母タイコンデロガの水爆積載艦載機が日本近海で水没したことが明るみに出されたことは、日本国民に大きなショックを与えました。「沖縄タイムス」五月二十二日付には、「軍事機密に隠されたまま、二十四年間、沖縄の住民は核をまくらに生活をしていたことになる」、このように書かれております。この事件によって、我が国の平和と安全にとって次の三つの危険が浮き彫りにされたと考えます。
第一は、日本近海の海底に水没した水爆があるという危険、第二は、自民党政府の一貫した否定とアメリカ政府の秘密政策にもかかわらず、実際に日本に核兵器が持ち込まれてきていたことの危険、第三に、必要な場合はいつでもアメリカが核兵器を使用する体制をとっているという危険であります。
タイコンデロガの航海日誌を初めとする資料によって、ベトナム戦争にこの空母が深くかかわっていたこと、事故の後の二日後の十二月七日には横須賀に寄港している事実、その後すぐまたベトナムに戻り、翌年の二月にも再びベトナムから日本に向かい、一九六六年二月十一日から二日間、佐世保に寄港をしております。
知事、私がなぜこの問題を今議会で取り上げたか、おわかりですか。最近二年間だけでも、私は、六十二年九月、六十三年二月議会で非核自治体宣言の問題で質問をしてまいりました。知事はその都度、「政府は非核三原則を堅持している」と答弁をされてきました。今回の事件は、三原則の「持ち込ませず」が無視をされてきている確かな証拠となって、日本国民の上にのしかかってきているのであります。
最近、六月十七日に、人間の健康と生命を守る医師の立場から、核戦争阻止、核兵器の廃絶に取り組もうと、和歌山県で内藤行雄・和歌山赤十字病院名誉院長、半田順俊・県立医大名誉教授、池田隆・前県医師会長、朝比奈靖司・和歌山生協病院長、福幸吉・県保険医師会理事長の呼びかけで、六十八人の医師が発起人となり「核戦争防止県医師の会」が結成をされました。県下の五七・四%に上る六十二万人近い県民が核兵器全面禁止署名を行うなど、非核の世論の高い和歌山県の知事に、改めてこの事故に対する非核三原則の厳守についての明確な見解のお示しを願いたいのであります。
次に、被爆者援護法についてであります。
来年は被爆四十五年であります。半世紀近い歳月の中で、被爆者の高齢化が進み、健康や生活の問題が一層深刻になっております。
知事は、昨年二月の議会で「なお一層積極的に国に対して被爆者の援護対策の充実強化を図っていく努力をしたい」と述べられましたが、「来年の被爆四十五年には何としても援護法を」との被爆者の運動を支持し、国家補償の原則に立った、次のような内容を持った被爆者援護法が重要だと考えます。
その一つは、被爆者の健康管理と治療、療養をすべて国の責任で行うこと。二つ目、被爆者全員に被爆者年金の支給。三つ目に、死没者の遺族に弔意を示すこと。
そこで、知事にお尋ねをします。
知事は、国に対して被爆者救援の充実強化のためにどのような要望をされたのか、お伺いします。また、私は被爆者援護法の内容を今申し上げましたけれども、この問題に対して知事並びに保健環境部長が実現に向けて力を尽くしていただけるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
以上で、私の第一回の質問を終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
消費税についてでございます。
この県民の受けとめ方等については先ほど貴志議員にお答え申し上げたとおりでございまして、消費税は直接税との関連で行われたけれども、直接税の減税についての実感がなく、また説明等の普及徹底が足らない点もございました。特に、消費税が広く薄い課税だということで消費者や事業者が不安や戸惑いを感じている、これは事実でございます。
そのために、現在、政府においても税制調査会において検討をすると聞いてございますし、県としても、物価の問題や企業経営の問題等を含め、県民の皆さんの御事情なり御意見をお聞きしているわけでございます。
私が「消費税は福祉、高齢者のためにやるんだ」と言ったということでございますけれども、そういう意味でやったんだと国で言っておるということで認識しておるわけでございまして、そうした意味において、私も将来の展望を考えての国の施策だと感じているところでございます。
なお、消費税の公共料金への転嫁については、制度の趣旨に沿い、本年二月の県議会において使用料等の改定を議決いただいたところでございまして、利用者等の皆さんにもなお一層の御理解と御協力をお願いいたしているところでございます。
それから、「統計でみる県のすがた」についての、和歌山県の位置とその原因等についてでございます。
昭和六十一年度の数字ではございますが、教育環境や社会福祉面では全国でも上位に位置しているものがあるわけでございます。ただ、社会資本や経済などの面では厳しい現況でもございます。
この原因についてでございますが、私は絶えず言っておるんですけれども、和歌山県は国土軸から離れた半島に位置しており、山間部が多くて可住地面積が非常に少ない。また、オイルショックを契機に我が国の経済が高度成長から安定成長へ移行する中で、本県の産業構造は鉄鋼・石油など臨海型の産業が多かった、そうした影響もあるわけでございます。また、円高が急速に進行したこと、ミカンや米などの需要の停滞、木材不況の外的環境の悪化などが本県の重要な産業である地場産業や農林水産業に大きな影響を与えた、これが主たる原因であると考えておるわけでございます。
こうした社会経済情勢を踏まえ、和歌山県の長期総合計画を六十一年十二月に策定いたしました。将来のふるさとのあり方を目指して、活力あるふるさとづくりに向かって、社会資本の充実、産業の振興、県民生活の向上などに懸命に取り組んでおる次第でございまして、最近は、総合交通体系の整備等により企業立地やリゾート開発の進展が見られるなど、明るい展望が開けているところでございます。
次に、和歌山港での防衛協会による自衛隊の武器展示の問題でございます。
子供に見せてという問題ですけれども、私は、自衛隊というのは、日本国憲法のもとで、我が国の平和と独立を守り国の安全を保つため、自衛隊法に基づいて存在しているものだと認識しているものでございます。過日のテレビにおいても天安門における戦車の姿は絶えず放映されておるし、世界のそうした状況も絶えず放映されているのが現状でございます。
次に、被爆者と遺族の生活と健康を守るための援護法制定の問題でございます。
この問題については、さきにも藤沢議員から御質問がございましたが、私たちも全国知事会を通じ、国家補償の精神に基づいて被爆者に対する制度の改善を図り、被爆者及び家族の実態に即した援護措置を確立するよう絶えず働きかけを行っているところであるし、今後も引き続き、国に対して要請してまいりたいと思います。
次に、日本近海での水爆搭載機の水没事故と非核三原則についてでございます。
お話ございましたように、我が国は史上唯一の被爆国でございます。二度とあのような被爆の惨禍を繰り返さないよう核兵器の廃絶を訴えて世界平和を希求していくことは、人類共通の念願でございます。
水爆搭載機の水没事故に関して、この艦載機の空母が核を積んで日本に寄港したかどうかにつきましては、基本的には私は政府において責任を持って対処すべき問題だと思っておるわけでございます。政府においては、事前協議がなかった以上、核の持ち込みはなかったというふうな答弁があったと承っております。
○副議長(山本 一君) 総務部長斉藤恒孝君。
〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) リーフレット「私たちの暮らしと新税制」を全戸に配布したことにつきましては、今般の税制改正はシャウプ税制以来の税制見直しであり、国及び地方を通じての抜本的改正でございましたので、県としても県民の生活や中小企業者の事業活動に混乱が生じないよう、国、地方を通ずる税制改正の内容、消費税の適正な転嫁、消費税導入に伴う中小企業者に対する支援等について周知徹底を図ることが必要であると考え、作成・配布したものでございます。
リーフレットにおいて増減税の総額を示したのは、税制改正の全体像について県民にわかりやすく示すためでございます。
○副議長(山本 一君) 商工労働部長天谷一郎君。
〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 地場産業の振興についてでございます。
県下の製造業全体に占める地場産業のウエートは、事業所数で約七一%、従業者数で約四九%、出荷額では約二六%に及んでおり、本県地域経済の最大の担い手として大きな期待を寄せ、従来からその振興を積極的に図ってきたところでございます。
特に本年度においては、ただいまございます地場産業振興ビジョンを見直し、時代を先取りした新しい振興策を策定するとともに、今後の課題と進むべき方向を明らかにし、なお一層の振興を図ってまいりたいと存じております。また、地場産品の公共事業への活用についても、関係先へ働きかけ、受注の拡大に努めてまいりたいと存じます。
次に、大型スーパーについてでございます。
中小小売事業活動の機会の適正な確保を図るとともに、営業活動の自由及び消費者利益の保護に配慮しつつ、いわゆる大店法の趣旨に沿い、大型店と中小小売店がそれぞれの特性を生かして共存共栄が図られるよう調整してまいりたいと考えてございます。
したがって、小売店には金融施策の充実や商店街の近代化、並びに商店街の行う各種イベントの開催を支援するなど、その振興をより一層図っていく所存でございます。
最後に、工業技術センターの設備の整備でございます。
これについては、今年度、研究開発機能の充実、開放的施設づくり、産・官協力体制の強化を三本柱とした基本計画を策定することとしてございます。したがって、策定の後はこの基本計画により、地域産業の中核的研究開発施設としての充実強化に努めてまいる所存であります。
以上でございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) まず、中小の建設関連業者の受注拡大でございます。
建設工事の発注に際しては、極力、分離・分割発注を基本として、県内の中小建設関連業の受注機会の確保に努めているところでございます。
次に「防衛・防災フェア''89」開催について、県有地の使用許可は誤りではなかったかという御質問でございます。
港湾施設の使用については、県港湾施設管理条例の規定に照らして許可しております。今回の港湾施設の使用については、港湾施設の本来の用途が阻害されないこと、公の秩序に反しないことと判断し、許可したものでございます。
○副議長(山本 一君) 保健環境部長尾嵜新平君。
〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 援護法に関する御質問にお答え申し上げます。
現在、県下には五百二十七名の被爆者の方々が居住されていらっしゃいます。被爆者の健康管理等については、現行の原爆二法に基づく各種手当の支給、あるいはがん検診をも含めた健康診断を実施いたしておるところでございます。
被爆者の方々が高齢化しておるところから、県としても、先ほど知事がお答え申し上げましたように、知事会あるいは全国衛生部長会を通じてその対策の充実を要望しているところでございます。
今後も、国家補償の精神に基づく施策の充実を要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
47番藤沢弘太郎君。
〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
知事からの答弁の一つで、消費税について、これは県民の受けとめ方にあるということと、広く薄い課税であるということを、午前に引き続いて今の私の質問にも答弁されたわけでありますけれども、知事、「広く薄い課税」というのはだれに対して「薄い」課税なのか。もう一度、これを答弁してもらいたいと思うんです。
私たちが日常の中で物を買う──例えば、こんな例があるんです。子供たちがおばあちゃんに百円もらった。「おばあちゃん、これでは物は買えやんので、もう三円くれ」と、こういうような問題。先ほど貴志議員も言っておりましたけれども、酒でも高級なものには減税されて、我々庶民の親しむしょうちゅうとか二級酒には多く課税されるという問題。また、先ほども申しましたが、今まで生活保護を受けたり老齢年金で生活をしている人の場合にも、例えば寝たきりの人が使う紙おむつ、これにも全部かかってくるんですよ、消費税が。ところが、その年金はふえないんです。
こんな点を見てみますと、本当に庶民の暮らし、また弱い立場に置かれた人たち、こういう人たちには「厚い」んだ。何が「薄い」か。知事が「広く薄い課税」と言っておられますけれども、実は、それは上に薄く、そして私たち庶民には厚いんだ。そういうところから、多くの人たちの中でこの反対の運動が起きているわけであります。
また、「消費税は福祉のために」と言ったことにつきまして、「国がそのようなことを言っておるということの認識である」と言われましたけれども、それじゃ知事、現在どうなんですか。今、実施をされて三カ月ですけれども、その三カ月間の状況、今の県民あるいは国民の状況から見て一体どのように考えておられるのか。
そこで、私はもう一度具体的に──これは政府の問題ではありません。先ほども申し上げましたように、自民党の当時の政調会長の話でありますけれども、四月二十一日に行われた講演で、「この数年間、アメリカ経済の立ち直りができるまでは、多少、無理をしても内需拡大の政策はとっていかなければならない」「それからまた、日本は防衛費を減らすということもなかなかできないでしょう。……昭和六十五年度までは年々五・四%ずつ、実質的に防衛費を伸ばすというお約束がございますので、これは続けていかなければならない」──聞いてないな、知事。「また、海外経済協力費というものも年々七~八%伸ばしてまいっておりますが、これも少なくするというわけにはまいりません」「日本の経済は国際化しておりますから、法人税をアメリカ、イギリスが減税すれば日本も減税しないと困る」「そうするとますます財源は足らなくなるわけでありますから、どうするかということになってまいります。……やはり間接税というものをもう少し重視したらどうなんだという議論が出てくるのも当然のことでございます」。これは、そのままの引用であります。
ですから、今はどうなのか。知事がどのように考えておられるのか。福祉のためという認識をされておった、また政府がそう言っておるということでありますけれども、事態の進展という事実に基づいて、知事の御答弁を改めてお願いをしたい、このように思うわけであります。
それから、私が取り上げました、総務庁統計局や和歌山県の統計課が出している「一〇〇の指標からみた和歌山」などについてでありますけれども、私はつり合いのとれた経済の発展を図ることが大事だということを言ってきておるわけでございます。
地場産業の振興について、知事、地場産業の振興に本当に力を入れていくというのであるならば、こうした地場産業に思い切った金をつぎ込むことが当然だと思うわけであります。
松下興産が行うあのマリーナシティについては、県が四百億円の金を出しておる。もっと地場産業にそのような金をつぎ込むことが、真に地場産業に対する県政の姿勢を示す問題ではないか。この点から見てみましても、つり合いのとれた産業の発展というのは、そうした今の和歌山県経済の柱である地場産業、農林漁業といったところにもっと金をつぎ込んでいくということであって、この本当の姿勢が示されないと空文化してしまうのではないか、私はこのように考えるわけであります。
和歌山港の問題での自衛隊法の問題、これはまたいろいろ論議したいところでありますけれども、知事、自衛隊法はありますが、やっぱり憲法がその柱なんですよ。だから、憲法第九条に基づいて一体どうなのかということが私はこの問題の中心であろうと思いますので、この問題は今の見解に対して私の見解を述べておきたい、このように思います。
同時に、この問題に関連して土木部長にお尋ねをしたいんですけれども、「施設の本来の用途」というのはどういうことなのでしょうか。和歌山県港湾施設管理条例に基づいて、三条あるいは四条、六条がありますが、今部長が言われた点では、港湾施設を棄損し、またはそのおそれがある行為をすることではないと、翻して言えばそういう問題だと思うわけでありますけれども、それでは第六条の使用制限の中で、第二項に爆発又は燃焼のおそれのあるものというような内容があるんです。こういったことについて、今回の兵器の問題についてそういうおそれがないと判断された根拠は何なのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
最後に、被爆者援護法制定の問題であります。
皆さん、この被爆者援護法がなぜ実施をされないのかということで見てみますと、これは、やっぱり政府がこの被爆者援護法の制定について難色を示している、というよりも拒否の態度をとっているところにあります。
経過を挙げて見ますと、一九五六年八月に日本原水爆被害者団体協議会が結成されまして、被爆十二年目に原爆医療法、二十三年目に原爆特別措置法が制定され、医療給付と諸手当の支給が行われるようになったわけであります。しかし、被爆者と遺族の苦しみを償い、生活と医療を全面的に保障するには極めて不十分なものであったわけであります。
被爆者は、国家補償に基づく被爆者援護法の制定を、核兵器廃絶とともに要求し続けてまいったのであります。このような中で、八〇年の十二月に厚生大臣の私的諮問機関である原爆被爆者対策基本問題懇談会が、原爆の投下は戦争終結への直接的契機ともなったとして、およそ戦争という国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、国民が何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、すべての国民がひとしく受忍、いわゆる我慢をしなければならないというようなところから、この援護法の制定を拒否してきているということなんです。
私は、この問題は非常に重大だと思うのであります。ですから、知事、この問題につきまして、政府がそういう拒否の立場をとっているという姿勢に対して、援護法制定の問題が行き詰まっている根源を明らかにしていくという立場からも、改めて知事からこの点についての答弁をお願いしたいと思います。
それから、大手スーパーの進出に対する問題であります。
六月十五日の新聞によりますと、田辺の商店街では中型店舗の進出に規制をしてくれということが出ておりますが、この大型スーパーに対する進出規制の強化については、商工労働部長、より一層の強化を図る上でどのようなお考えを持っておられるのか、ぜひひとつもう一度聞かしていただきたい、このように思います。
最後に、技術センターの問題であります。
商工労働部長は三本柱ということを言われましたが、この三本柱の中にある「開放的な施設」ということに技術センターの建設が入っていると思うわけでありますけれども、この「開放的な施設」、早い建設を強く要望いたしたいと思います。
以上で、質問を終わります。
○副議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
消費税の問題については、先ほども申しましたように、国の問題でございます。だから、私は国会の場において十分論議すべきだと思うわけでございまして、問題にされた点を国会で十分論議されるべきであったし、またされなければならないと思っておる次第でございます。
県にいただいた情報等の問題は先ほど企画部長が述べたとおりでございまして、そうした問題については国に対しても強く訴えてまいっておる次第でございます。
それから、地場産業の振興についてでございます。
これについては、私も全力を尽くして頑張っておるつもりでございまして、農業や林業の問題など、非常に厳しい本県の実情の中でございますけれども、努力しておるわけでございます。また、中小企業対策についても、中小企業センター等、融資などのあらゆる面において、県においてなし得べき問題、国においてなし得べき問題等についても十分配慮して、中小企業、地場産業の振興ということを最重点に取り上げ、公共事業などあらゆる多角的、総合的な立場で県勢発展に努めてまいっておるところでございます。
それから、援護法の問題でございます。
保健環境部長も言いましたように、原爆被爆者の方々の高齢化が進んでおりまして、健康管理とか生活の安定等について援護対策のなお一層の充実が望まれるわけでございまして、これに対して積極的に努力しておるわけでございます。
法の制定については、国では、他の戦争被災者、遺族等との間に不均衡を生ずることから、非常に難しいと聞いておるわけでございます。しかし、私たちとしては、国家補償に基づく被爆者対策の一層の充実ということを、常々、知事会等を通じて行っているところでございます。
○副議長(山本 一君) 商工労働部長天谷一郎君。
〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大型スーパーについてでございますけれども、いわゆる大店法の趣旨にのっとり、適正にこれが運用されるよう今後とも努力してまいりたいと思っております。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 港湾施設管理条例の六条に違反するのではないかという御質問でございます。
許可に先立ち、事前に協会長と港湾管理者とで誓約書を取り交わしております。その中で関係の項目を挙げますと、「火薬類等危険物の持ち込み、危険を伴う展示は行わない」、「その他一般市民、周辺の民家等に迷惑をかける行為を行わない」という項目がございまして、その後、確かめたところ、武器等の実弾等の危険物は持ち込んでいないというふうに確認しており、報告を受けております。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎 時間がありませんので、簡単に申し上げます。
知事、「国会で十分審議がされる」ということですが、その審議がなかったんです。消費税問題は消費税国会で強行され、それが現実に我々の今の暮らしの中に入ってきておるわけであります。
そういう面で、我々が今受けている問題についてどうなのか、私は知事に対して、県民の立場に立つ、そのような政治の問題を主張してきたのであります。見解の違いであります。
それから、土木部長。
ミサイルというのは兵器でしょう。火薬が入ってないんですか。あれは模擬弾だけだったんですか。そういう内容まで確認をされておるのかどうか、その点について土木部長からお答えをいただきたいと思います。
○副議長(山本 一君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 模擬弾を展示したという報告を受けております。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
44番中村千晴君。
〔中村千晴君、登壇〕(拍手)
○中村千晴君 順番が回ってまいりましたので、一般質問を行います。初日、四番目でお疲れのことと存じますが、いましばらくの間、御辛抱をお願いいたします。
昨年四月、和歌山県リゾート開発基本構想が策定・発表されました。御案内のとおり、昭和六十年以来、現在進行中の本県の第四次長計では、二十一世紀へ向けての県土開発の方向としては「テクノ&リゾート」と決定されており、県土発展の基幹的な施策としてリゾート開発が位置づけされております。
しかし、近年の時流に沿ったリゾートブームにあふられるのではなく、県内随所に存在し、日夜営々とたゆまぬ努力を続け、地域経済を維持し、ひいては県全体の経済基盤を支えている農林水産業、地域地場産業の振興、活性化に必ず連動させる、総合的戦略として取り組まねばならないことは申すまでもありません。
そこで、まず知事にお尋ねをいたします。
知事、あなたは本年を本県のリゾート元年とすると宣言されたのでありますが、既に年半ばとなった現在、前半を振り返ってどうした所感をお持ちになっておりますか、また、今後についてどのような展望を抱かれているのか、お聞きしたいと思います。
次に、燦黒潮リゾート構想の推進についてであります。
総合保養地域整備法いわゆるリゾート法に基づく承認については、今回まで再々、本議場において質問をしておりますので、それを踏まえて質問をいたします。
申すまでもなく、国内的にはリゾート開発がブーム化し、全国各道府県もリゾート法による基本構想の承認にしのぎを削っているのが現状であります。
ちなみに、国土庁において扱われている現況を見ますと、本年四月時点で既に国の承認を受けたのは、まずお隣・三重県の三重サンベルトゾーン構想、これは、国土庁等六省庁が決定した承認に関する基本方針が発表されてからわずか五十日後の六十二年十二月三日に早くも基礎調査書が提出され、七カ月後の六十三年七月九日、第一号としての承認を受けております。
同じ日に承認となったのは、宮崎県の日南海岸リゾート構想、それから福島県の会津フレッシュリゾート構想の計三件。次いで六十三年十月には、これもお隣の兵庫県淡路島リゾート構想と栃木県の日光・那須リゾートライン構想。以下、昨年から本年の四月十八日までに、煩わしいのでリゾート構想名は省略いたしますが、新潟、群馬、埼玉、秋田、岩手、千葉、長崎及び北海道の十三道県が承認済み、四月現在で申請中が広島県一県のみ、さらに、申請の前手続である基礎調査書が提出されているのが福岡、大分、京都、滋賀、香川、愛媛、福井など十二府県、計二十六道府県が承認または手続中となっております。
翻って、本県の状況はどうなっているか。昨年七月、燦黒潮リゾートゾーン構想として大要が発表され、九月定例会での質問に対して、年内にも基礎調査書を出していきたい旨の答弁がございました。しかし、その後に至ってもその気配が見受けられず、本年二月の当初議会での冒頭知事説明の中で、「現在、『燦黒潮リゾート構想』のもと、いわゆるリゾート法に基づく国の承認に向けて関係省庁と協議を進めておりますが、元年中に承認を得、民間活力の導入等、本構想の普及啓発に一層尽力してまいる所存であります」と知事は述べられております。
一方、このほど出されました平成二年度政府予算等に関する要望書では、リゾート開発推進の要望事項として「総合保養地域整備法に基づく基本構想の承認に当たって地域の実情に応じた弾力的な運用を図ること」とあります。県では、果たして本年中、少なくとも平成元年度中に承認を受ける目途が立っているのかどうか。甚だ心もとなく憂慮にたえないところでございますが、基礎調査書の提出時期等、承認決定までをどのようにスケジュールされておりますか、承りたいと思います。
次に、承認を求める構想の概要について。
まず、特定地域の面積、対象市町村については、原案では和歌山市初め六市十五町とされておりましたが、変更はないのかどうか。また、重点整備地区の設定について、先般の発表では「整備推進地区」という表現でありましたが、加太、和歌浦湾、田辺・白浜及び勝浦・太地の四カ所を挙げられており、串本地区等については、今後、複合的なリゾート整備の熟度が整えば他地区とともに重点整備地区として対応するとの答弁がございました。
整備法の基本方針では数カ所程度とされており、さきに挙げました他県の構想では、重点整備地区の設定数は、群馬県では十三地区、千葉県が十一地区、その他はおおむね九ないし七地区となっております。兵庫県では淡路島全域がリゾート構想地域ということで、その面積は約六万ヘクタール、本県の構想の約二・五分の一の面積で、重点整備地区は九カ所となっております。
そこで質問でありますが、本県の場合は何カ所を、またどの方面を重点整備地区とされているか。
次に、構想における事業費についてであります。
各県の構想には、民間のみの事業費として概算総額が発表されております。前述の兵庫県淡路島では四千億円、三重県は三千五百億円、新潟県二千九百億円、群馬県二千八百億円、それぞれ民間のみの投資額となっております。もちろん概算でありますが、この整備法の主眼は民活であり、民間投資が確実視されるところとなっているため、いずれも企業進出・投資が担保されていると思料されます。本県でも、田辺方面で丸紅の進出、そしてこのほど東急不動産が二百億のリゾート関連施設建設の発表となっております。これらを含めて、民間企業の進出予定状況と事業費の概算額はどの程度と予測されているのか、御報告を賜りたいと思います。
次に、複合リゾートカントリー整備計画との整合性についてであります。
昨年十一月、建設省の指定を受けて田辺・御坊両市と日高郡の一部を除く七カ町村、及び西牟婁郡全域の七カ町村の計十六市町村、十七万ヘクタール余の地域を対象として、紀南地域複合リゾートカントリー整備計画を策定するための調査委員会が設置されました。居住機能、生活機能を持つ広域的なリゾート地域を「複合リゾートカントリー」と名づけて整備計画をまとめる建設省の補助事業となっておりますが、質問の第一点は、燦黒潮リゾート構想との整合性についてであります。
当該地域は、本県のリゾート開発基本構想で設定された圏域区分とも異なっております。燦黒潮構想の地域とは一部が重複しておりますが、完全な一致は見ておりません。また長計の定住圏区分とも相違しており、地域の性格がいまひとつ定かでありません。したがって、地域設定の理由と決定に至った経緯等を明らかにしていただきたい。また、燦黒潮リゾートゾーン構想との整合性をどう持たせるのか。
第二点、整備計画によるメリットであります。
リゾート法では課税の特例、地方公共団体による助成等が規定されておりますが、財政、民間投資等に対する優遇措置はこの場合どのような扱いがあるのか、お聞かせください。
第三点、整備計画の目標年次など、どのように設定されるのか、また策定の完成はいつごろとされるのか、お示しいただきたいと思います。
次に、温泉フォーラムの開催について。
本年十月に本県において「健康と温泉フォーラム」が開催される旨の発表がありました。六十一年二月定例会の一般質問で、世界温泉会議の開催を提案したことがございます。その後、厚生省、環境庁などのバックアップで、温泉と健康の結びつきを取り上げ、温泉の効用を見直し、その普及を目的としたフォーラムの開催が毎年一回、国内の有名温泉地で行われることになりました。
六十一年十一月には愛媛県の松山市で第一回が開催、本年、ようやくにして第四回、昨年の大分県別府市に続いて本県への誘致が決定したのであります。これは、大いに歓迎するものであります。特に、今回はテーマを「リゾート開発と温泉─温泉保養地と施設のあり方」とされるなど、まことにタイムリーなものと関係各位に敬意を表するものであります。
そこで、これをぜひとも成功させていただきたいとの期待を込めて、以下、二、三の点、質問をいたします。
第一点、このフォーラムを一過性の催し物とせず、本県のリゾート発展と連動させるためのどのような工夫がなされておりますか、お答えをいただきたいと思います。
第二点、国際化時代にふさわしく、外国の方々の参加も望まれるのでありますが、内容、規模、参加メンバー等をお示しいただきたいと思います。
第三点、主催は実行委員会のほか県も名を連ねているのでありますが、行政の立場でどのような対応をされるのか、お聞かせください。
リゾート構想に関する五番目の、サミットについての質問に移ります。
先月二十四日、三重県紀伊長島町で三年ぶりの紀伊半島知事会議が開かれ、仮谷知事は田川三重県知事、上田奈良県知事とひざを交えての鼎談をなされました。第五回目の会議でありましたが、半島振興法の制定・施行以来の顔合わせであり、前回以降、四全総の決定、リゾート法の施行など客観的状況の変化は非常に大きく、勢い、紀伊半島振興にかける会議の内容もかつてなく盛り上がりがあったものと推察いたします。
そこで、まず仮谷知事にお伺いいたします。
半島三県サミットの成果と今後の展望を交えての御報告を承りたいと思います。
次に、新サミットの開催についてお尋ねをいたします。
紀伊半島三県サミットは確かに着実な成果を上げており、今後の発展も大いに期待されるところであります。まさに、対立は連帯に、競合は協調・協力にと、見事な転換を遂げたのであります。
そこで、さらに東から西に、山から海に発想を転換し、新三県サミットとして海に接する三県、すなわち兵庫県、徳島県、そして和歌山県の三県の紀伊水道三県サミットの開催を仮谷知事が呼びかけてはいかがかと思うのであります。
既に、今日的課題としてウォーターフロント計画が全国的にクローズアップされている時代であります。また、二十一世紀を目指す四全総の中にも、「圏域間交流の新たな展開」と題して、「関西圏と中国、四国ブロックとの接点に当たる東瀬戸、大阪湾・紀伊水道水域においては、既に本州四国連絡橋をはじめとするプロジェクトが進行中であり、今後更にこの地域における交流がより活発化することが期待される」と明記されております。
兵庫県とは本県の将来の大きな夢を開く紀淡トンネルによって結ばれることになっており、国においても昭和五十八年度から毎年一億円の調査費が予算化され、既に七億円が充てられ、鉄建公団によってその調査が行われておりますが、さらに、大阪湾環状交通体系の不可欠なルートとしても、将来を見越して兵庫県とは強力な連携が必要とされます。
一方、徳島県も第二国土軸としての東海南海連絡道の四国の玄関口となります。現在でも、徳島の小松島港と和歌山港との間には毎日フェリーが十二往復、高速船は同じく徳島港に八往復の便が就航し、人、物の往来がそれこそ昼夜を分かたず頻繁に行われております。言うなれば、既に紀伊水道で結ばれている共通の経済圏であります。
新三県サミットは、海をテーマとした燦黒潮リゾート構想の水かさを上げる効果を必ず招来するものであるとの観点から、ぜひ御一考を煩わしたいと思います。大阪への気配りもさることながら、知事の勇断を求めます。
新サミットとして、次に船上サミットについてお伺いをいたします。
来る七月十八日、参院選の真っただ中でありますが、瀬戸内船上サミットが開催される運びとのことであります。メンバーは、仮谷知事初め大阪府の岸知事、大分県の平松知事、兵庫県の貝原知事など、瀬戸内海に面する重立った各自治体のトップと、財界からは近畿の和歌山、大阪、京都、兵庫、奈良を初め中国・四国の全県と九州の福岡、大分の両県を含め、各府県に所在する百七十一の商工会議所の会頭が集い、席上、仮谷知事も講演する予定と承っております。まさに、近代にない西日本政財界の首脳が集まっての大デモンストレーションとなると考えられますが、仮谷知事はそこで何を語り、何を主張しようとされるのか、構想の一端をお示しいただきたいと思います。
次に、高齢者対策について質問をします。
半世紀近く、戦後四十四年を迎える今日、我が国の国民生活の形態は、人生五十年型から人生八十年型へと急速に移行しつつあります。平均寿命が六十二年調査で男性七十五・六歳、女性は八十一・四歳、今や我が国は世界一の長寿国となり、空前の長寿社会を迎えたのであります。
六十五歳以上の老年人口も、六十一年十月の総務庁人口推計で全国平均一〇・六%、和歌山県は一三・五%と高齢化しており、六十二年十月では全国一〇・九%、本県は一三・八%と、この一年間で〇・三ポイントも進んでおり、遠からずして男女平均して八十年時代に入るものと予測されております。
ここで少しく申し上げますが、一口に「八十年時代」と申しましても、それは五十年時代よりも一・六倍長生きするといった単純なことでは決してありません。押しなべて、人の一生の期間のうち二十歳までは、選挙権もなく未成年として社会的責任も軽く扱われております。言うなれば人生の基礎づくりの期間、これは八十年時代の人も五十年時代の人も変わりはありません。法律的にも社会的にも責任と義務を持ち、社会的に全面的なかかわりを持つのは二十歳以上と見なければなりません。
その観点からするなれば、人生の基礎部分を除いた五十年時代の社会人生は三十年間、八十年代時代のそれは六十年間、つまり八十年時代は五十年時代に比較してまさに社会人生の期間倍増の時代に入ったと言えるのであります。加えて、著しい社会変動期を経た今日は価値観が多様化し、国民のニーズにこたえていく行政の対応も、二十一世紀へ向けて必然的に従来の発想を大きく転換させなければなりません。
私ども公明党では、新しい福祉文化の創造として「生活創造の世紀へ」と題した二十一世紀トータルプランを策定いたしました。これは、今までの我が国がかつて経験したことのない、欧米を超越する高齢化時代となったこの長寿社会を、ゆとりある人間社会へと構築するための総合政策であります。
そこで、それを踏まえて本題の質問に入ってまいりたいと思います。
第一番目の高齢者施策の基本方針についてでありますが、まず、知事は本県における高齢者対策のあり方について基本的にどのような方針を持たれているのか、お聞かせいただきたいと思います。
さらに、かねてから要望を重ねてまいりました高齢者施策の総合計画でありますが、策定完了と発表の時期はいつごろとなるのか、進捗状況、計画のメーンテーマ、構成内容のフレーム等について御説明をいただきたいと思います。
二番目、行政組織の拡充整備について。
現在、高齢者行政は民生部の老人福祉課の所管とされております。しかし、高齢者対策は、就労、医療、教育、文化、スポーツ等々、広範な分野にわたるものであり、これらを総括調整する機構の必要に迫られております。さらに、総合計画が決定し、その実施の段階では、事業の企画立案と実施する市町村への指導の問題が生じてまいります。したがって、これを掌握し計画の進行管理を担当する行政課として、現在の老人福祉課を発展的に改組し、仮称でございますが、高齢者総合対策課としての新しい出発を促し、それを設置して事業内容の充実とイメージアップを図ってはいかがかと思料いたします。知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
三番目の、高齢者家庭の実態把握についてであります。
去る五十七年度に引き続きまして、昨年六十三年度にも高齢者の生活と意識に関する調査を行いました。これは昨年の調査でありますが、これが仮に本年であった場合、そして消費税に関してのアンケート調査も入れておけば、恐らくは高齢者のすべての方が消費税反対の回答であったことと思われます。無論、私ども公明党も徹頭徹尾、断じて消費税には反対であり、その撤廃を強く主張するものであります。
それはそれとして、冊子にまとめられた今回の調査報告書をいただきました。既に皆さんもごらんいただいたと思いますが、前回の分と比べてみて、強く、またいたく感じたことがございます。それは、高齢者の方々に生活不安が増大しているということであります。
アンケート調査の中で、「今後の生活で不安を感じていますか」との問いに「特に不安なし」とした回答が、五十七年度では二一・七%であったのが今回は一六・三%と、五・四ポイントも減少しており、不安の理由として、生活費等の経済的なことを挙げている人が一一・五%から一五・五%まで上昇いたしております。
これは、とりもなおさず高齢者の生活が経済的にますます苦しくなっていることを示すものと判断するのでありますが、当局はどう受けとめられておりますか。また、その他六年間の変化の特徴的なもの二、三の例を示し、どう対処されるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
実態把握という立場から、痴呆性老人についても、この方々を抱える家庭の悩みも極めて深刻化いたしておりますが、どのように対応されておりますか。五十九年に引き続き、再度実態調査の要があろうと思われますが、どのようなお考えを持たれておりますか、お答えいただきたいと思います。
四番目、在宅福祉の充実について質問を続けます。
さきに挙げました県の調査の結果から見ても、最近は在宅福祉を望む傾向が強くなっております。そこで、在宅福祉サービス体制を確立するため、福祉コミュニティーの拠点として、ほぼ中学校区に一カ所程度、地域福祉保健センターというような機能を持ったデイ・サービスセンターの設置が望まれるのであります。厚生省も、将来的にはおおむねそのようなことを考えているということでありますが、当局はどう対処されますか。デイ・サービスの現状と見通しについてお答えをいただきたいと思います。さらに、在宅福祉として老人緊急通報システムについてもお伺いをいたします。今後の普及方策など、御答弁をいただきたい。
高齢者対策の最後の第五番目、ゴールデンタウン構想について。 第四次長計では、本県の基本的課題と今後の方向として、生きがいづくりの項にゴールデンタウン構想を推進すると記述されております。しかし、中期実施計画では触れられてはおりません。この取り扱いについては今後どう対処されるのか、お答えいただきたいと思います。
質問最後の置県百二十周年への取り組みについて、お伺いをいたします。
一九九一年、再来年は置県百二十周年となります。今議会にふるさと記念日としての条例制定が上程されておりますが、十一月二十二日は本県にとって誕生の日と、まことに記念すべき日であります。それとともに、来る平成三年は置県百二十周年を迎える意義ある年ともなります。
明治四年の廃藩置県、そして同年十一月二十二日、和歌山、田辺、新宮の三県を合併して和歌山県が新発足、以来、明治、大正、昭和、そして平成と、四時代にわたり一世紀余の歩みを続けてきた本県にあって、今日まで営々と築き上げてこられた多くの先人たちの功績への敬意と御労苦に感謝の意を表するとともに、次代に引き継ぐ今の私たちの責任と決意をあらわす意義を込めて、一つの区切り、節目を正すことも重要なことであります。こうした意味合いから、この年何を行うか、何をもってその意義づけとするかなどのプランを練る企画グループの設置が必要と考えられるのであります。
したがって、質問の第一番目は、置県百二十周年のためのプロジェクトチームの編成についてどういうようにお考えになられておりますか。行政組織の検討委員会の委員長ということから、少し趣旨が違うかもしれませんが、副知事に御答弁をお願いしたいと思います。
第二番目、記念イベントの開催についてであります。
去る五月十五日、「和歌山地方博」の基本計画を検討する準備委員会の初会合が持たれました。知事にお尋ねをいたします。知事も先年、世界温泉博の構想を表明し、学識経験者四人の方々を委員とした大規模イベント基本構想策定準備会を設置し、方向づけを検討してきたのでありますが、今回新たに設置された準備委員会は、いよいよ実施に向けて本格的な基本計画の検討を行うものと理解するものであります。
今、準備委員会で鋭意検討がなされているのでありますが、知事はどのような目的、特性をこの大型イベントに持たせようとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。さらに、テーマ、開催時期などについてどのように企画されておりますか。この委員会の設置の経緯、方向性など、あわせて委員会会長の西口副知事からも御答弁をいただきたいと思います。
記念イベントについて、一案を申し上げます。次の十年後、つまり置県百三十周年は二十一世紀の初年に当たります。また、本県第四次長計の目標年次でもあります。そこで、第四次長計で設定され整備が進められている六つの定住圏を、行政的にはもちろんのこと、圏域内の住民の方々の連帯意識を高めるために、それぞれの特色を持った定住圏ごとのイベントの開催を百二十周年から百三十周年を目指す十年間の企画としてはいかがかと思います。ぜひ御一考を煩わしたいと思います。
第三番目、記念事業としての意義づけについてであります。
これは、先ほどの第一番目の質問と関連いたしますが、県では、このところ各種の建設、建築事業が多く予定されておりますけれども、百二十周年記念事業として意義づけることに極めてふさわしい事業もあろうかと考えます。この機会にぜひ御検討をいただきたいと思います。
また、四十七年度より取りかかっている県史編さんの大事業が、関係者各位の御努力で着々と積み重ねられているのでありますが、その御労苦は大変なものと拝察いたします。ようやくにして完成間近とも聞いておりますが、その完結を百二十周年記念として位置づけてはいかがかとも考えます。時期的な問題もあろうかとは思いますが、ぜひそのお考えをお示しいただきたいと思います。さらに、集大成された完結をもって、ダイジェスト版の作成も強く要望されるところであります。あわせて御答弁をいただきたいと思います。
第四番目、時代は物の豊かさから心の豊かさへと移行し、二十一世紀は精神文明の世紀となるとも言われております。この新しい世紀を目指す和歌山県民はこうあるべきだとの県民の意思をまとめた、仮称でございますが、「和歌山憲章」を制定、宣言を行ってはいかがかと提案いたします。
昨今の我が国内外の社会情勢を見るとき、また、やがて直面する本格的な国際化時代に思いをいたすとき、何よりも平和をとうとび、差別をなくし、世界に貢献する和歌山県人としての指標と誇りを宣揚することは置県百二十周年にふさわしい事業になると信じるものであります。それも、官製の憲章ではなく、今から時間をかけて、広く県民の各界各層の英知を集めた有意義な憲章の制定を願うものであります。
以上で、私の第一回目の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
○副議長(山本 一君) ただいまの中村千晴君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
第一は、リゾート元年に当たっての知事の所感と展望でございます。
議会の皆さんのおかげをもちまして、ことしの一月に近畿自動車道の御坊─田辺間が国土開発幹線自動車道の基本計画路線として決定を見ましたし、また、この夏には紀勢本線の新大阪、京都への乗り入れや、南紀白浜空港の増便が実現されるなど、国土幹線軸との接続が現実のものとなってきておるということ、非常にうれしいわけでございますし、また、加太の土取り場の問題、マリーナシティの着工など、リゾート時代を迎えたという実感がひしひしとするわけでございます。
リゾート開発は、雇用の拡大はもちろんでございますけれども、農業や水産業の地場産業あるいは観光産業の振興に大きな影響を与えるものでございますし、また、これからの国際化や余暇時代を迎え、地域の振興対策としても極めて重要な施策であると確信しておりまして、リゾート計画をなお一層積極的に進めなければならないと思っております。
なお、お話ございました燦黒潮リゾート構想の早期承認の問題について、早く承認をいただくよう、私もなお一層積極的に督励してまいりたい、そしてリゾート元年にふさわしい年になるようにしたいと思っておるわけでございます。
それから、温泉フォーラムの開催でございます。
これについては、お話ございましたように、一過性のものにしてはならないということ、またこれを一つの契機にして、温泉資源を利用したリゾート開発をなお一層積極的に進めていかなければならないとも思っておるわけでございます。
今度の開催に当たっては海外五カ国から参加していただくなど、国際色も豊かなものになってございまして、県としてもこのフォーラムが積極的に推進されるよう努力してまいりたいと思っております。
それから、リゾート開発に関連いたしまして、三県サミット会議の成果でございます。三年ぶりに開催したわけでございますけれども、おかげをもちまして、半島振興法の制定もできた、また近畿自動車道紀勢線の四全総への位置づけなど、大きな成果がございますし、またお互いの観光の共同宣伝という面においても大きな意義があったと思うわけでございます。
今回の会議においては、特に総合交通体系の整備をするということ、国際的なリゾートゾーン、滞在型のリゾートゾーンとしての問題、また、この三県においては熊野地域に伝統、文化が埋没しておりますので、そうしたものを発掘して、お互いに協力し合って立派な地域にしてまいりたいと思っておるわけでございます。
また、ただいま御提言ございました、徳島、兵庫等との新サミットの提言でございます。
現在、瀬戸内海の環境会議というのをやっておりますし、また湾岸地域のサミット会議も行われておるわけでございまして、四全総での位置づけや関西国際空港等、今日の情勢変化に対応してそうしたものも検討してみなきゃならないんじゃないかとも思っておるわけでございまして、そうした事態において検討させていただきたいと思っております。
ただ、七月に予定されている船上サミットでございますけれども、これは西日本の行政機関や経済界のトップが集まる絶好の機会でございますので、私も紀淡海底トンネルを含め、瀬戸内の環状交通網と経済圏の形成の問題、また紀淡トンネルを通じての東海南海連絡道、紀淡トンネルだけではなしに豊後水道から大分、九州へ渡る問題等、また、関西国際空港の開港を控え、自然を生かした本県の今後の果たすべき役割等について主張してまいりたいと考えておるわけでございます。今後とも、こうした広域圏の問題は非常に重要でございますので、相連携して努力してまいりたいと思っております。
それから、高齢者施策についての基本的な考えでございます。
私は、健康で楽しく、愉快で活力に満ちた老人社会を形成してまいりたいと思っておるわけでございます。単に福祉だけではなしに、人生八十年時代にふさわしい社会全体のあり方をにらみながら、総合的な対策を講じてまいりたいと考えてございまして、現在、それについて検討を進めておるわけでございます。
なお、こうした高齢者対策についての組織の問題でございますけれども、本年四月、県庁の体制を強化する意味で、副知事を中心とする長寿社会対策推進本部というのを設置いたしまして、今後の総合対策のあり方について議論を進めているところでございます。
御指摘の行政組織の整備については、現在、推進本部を中心にして諸施策を実効ある形で進めてまいりたいと考えておりますが、御提言については今後の問題として考えさせていただきたいと思っております。
それから、置県百二十周年への取り組みの問題に関連いたしまして、大規模イベントの問題でございます。
これについては、中村議員からもかねてから話がございました。本県のイメージアップを図るために、また地域の活性化に弾みをつけるために、本県の豊かな自然を、また歴史、文化を生かした大規模イベントの開催について、従来、検討を重ねてきたところでございます。本年度は、基本構想等の策定をお願いするために、有識者の方々による和歌山地方博覧会準備委員会を設置したところでございます。今後は、当準備委員会の審議結果を踏まえながら、博覧会の開催について積極的に対処してまいりたいと考えております。
また、置県百三十周年へ向けての記念事業については、趣旨を踏まえ、将来の課題として承ってまいりたいと思います。
次に、和歌山憲章をつくったらどうか、物の豊かさから心の豊かさという時代になっておるんだからということでございました。ごもっともでございまして、県民の総意をまとめた取り組みを示すものとして、重要な提言だと存じます。置県百二十周年を迎える中で、質問の趣旨を踏まえながら検討してまいりたいと、かように思っております。
○副議長(山本 一君) 副知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 置県百二十周年に対するプロジェクトチームの編成などについての御質問であります。
議員御指摘のように、来る平成三年は置県百二十周年という節目に当たる、極めて意義のある年であると認識をいたしており、今議会に十一月二十二日をふるさと誕生日とする県条例の制定もお願いしておるところでございます。
県としても、このふるさと誕生日を中心とした行事を初めとして、ただいま議員御提言の百二十周年にふさわしい事業なども含め、部長会議など全庁的な立場で協議をいたしたいと思います。なお、必要があればプロジェクトチームの編成などについても考えてまいりたいと思います。
次に、大規模イベントについてでございます。
ただいま知事から答弁申し上げたとおりでありますが、基本構想あるいは基本計画を策定するため、本年四月に二十名の委員から成る和歌山地方博覧会準備委員会なるものを設置し、五月十五日に第一回の準備委員会を開催したところでございます。
これを受けて、現在、庁内の推進連絡会議あるいは専門家によるプロジェクトチームなどにおいて、その基本構想、基本計画などの案について鋭意作業をしておるところでございます。来る七月二十五日に開催を予定している第二回の準備委員会において、開催の時期、開催の場所、テーマなどの基本的な事項について御審議をいただく予定にいたしております。
以上でございます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、燦黒潮リゾート構想の推進につきましてお答え申し上げます。
第一点は、リゾート法に基づく基本構想の承認スケジュールについてでございます。
昨年来、基礎調査書を作成し、国の地方関係機関である近畿農政局、近畿地方建設局、第三港湾建設局など九つの出先機関と調整を重ねてまいりまして、去る五月十九日、正式に国に提出をしたところでございます。
現在、リゾート関連の六つの省庁の合同ヒアリングを受けるなど協議を進めてございまして、今後、関係部局の協力も得ながら、できるだけ早期に承認が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
第二点は、特定地域等、内容についてでございます。
国に提出している基礎調査書については、さきに公表している燦黒潮リゾート構想に沿い、海岸を有する六市十五町を特定地域とし、また四つの整備推進地区と三つのコーストゾーンをあわせて重点整備地区に設定し、現在、六省庁のさまざまな指導を受けながら鋭意協議を重ねているところでございます。
また、民間事業者については、既に公表されている松下興産、丸紅、東急不動産のほかにも民間事業者の進出が予定されており、議員御紹介の他府県の事業規模に匹敵するリゾート整備を進めてまいりたいと考えてございます。
次は、温泉フォーラムの開催についてでございます。
第一点は、先ほどの知事答弁にございましたように、フォーラムへ参加される外国の方々については、温泉リゾート保養地として有名なフランスのエクスレバン市の市長やマリオーズ温泉研究所長を初め、西ドイツ、スイス、ペルー、東欧の各国から専門家が十名程度参加されると聞いてございます。
第二点のフォーラムの企画管理については、健康と温泉フォーラム実行委員会によって行われることとなってございますが、県としては、開催地の白浜町、本宮町と連携をとりながら、運営面等で積極的に協力してまいりたいと考えてございます。
次は、紀伊半島三県サミットの成果と新サミットについてでございます。
第一点の、第五回紀伊半島知事会議については、去る五月二十四日、三重県紀伊長島町で開かれたところでございます。この会議においては、紀伊半島における最大の課題である交通体系の整備について、紀伊半島を縦断し横断し周遊する高規格幹線道路網、いわゆるアンカールートの整備促進、ヘリコプターや海上交通による広域的なネットワークの構築など、陸海空にわたる総合交通体系の一層の整備促進を図ることで合意を見るとともに、紀伊半島における国際的なリゾートゾーンの形成及び観光振興を図るために、リゾートのネットワーク化の検討、TAP90''s観光立県推進地方会議の誘
致、国に対する余暇促進の要望など、三県にとって共通の課題を強固な連携のもとに積極的に推進していくこととしたところでございます。
第二点の、瀬戸内船上サミットについてでございますが、これは来る七月十八日、近畿、中国、四国、九州の行政、経済界のトップが大阪湾の船上において、今後、瀬戸内海に臨む各地域が連携を深め一体的な発展を図っていくために何をなすべきかということについて協議するものでございます。
当日は、大阪湾の重要プロジェクトである関西国際空港や紀淡海峡を視察していただくことになってございますので、紀淡海峡トンネル構想を初め、本県のプロジェクト等について御理解をいただく絶好の機会としてとらえ、対応してまいりたいと考えてございます。
最後に、ゴールデンタウン構想の今後の進め方についてでございます。
ゴールデンタウン構想については、本県の持つ自然環境等の資源を活用し、また人生八十年時代を迎え、高齢者の方々が生きがいを持って豊かな人生を送れるような高齢者ニュータウンを紀南地方に整備し、地域の活性化を図ろうというものでございます。
現在、関係部局において具体化に向けて検討していただいているところでございます。
以上でございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 複合リゾートカントリー整備計画の地域設定の理由、経緯、燦黒潮構想との整合性についてお答え申し上げます。
複合リゾートカントリー整備計画調査は、広域的なリゾート地における総合的な基盤整備を進めるため、昭和六十二年度に建設省において制度化された国費補助調査でございます。
本県の場合での地域設定の理由及び経緯としては、昭和六十二年度に南紀白浜空港のジェット化のインパクトを地域整備に最大に生かすための構想である南紀JET計画を策定いたしましたが、この構想をより具体的な計画とするため、本調査が建設省より認められたものでございます。本計画は燦黒潮リゾート構想を上位計画とし、これを支える広域的な基盤整備のあり方を検討しているものでございます。
次に、本整備計画に対する優遇措置等はどんなものかということでございますが、本整備計画はさまざまな開発計画とも整合のとれた総合的な公共施設の整備プログラムを策定するものであり、したがってリゾート法のような税制上の優遇措置等はございません。
次に、整備計画の目標年次及び策定の完成目途でございます。
本計画の目標年次は県の長期総合計画の目標年次である西暦二〇〇〇年を考えておりますが、その検討に当たっては、さらに超長期的にも踏まえた中で計画を立て、一方、短期計画についてはできるだけ具体的な整備プログラムを策定しているところでございます。そして、その完成の時期は平成二年三月を予定しております。
以上でございます。
○副議長(山本 一君) 民生部長高瀬芳彦君。
〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 高齢者対策についてお答えいたします。
まず、長寿社会をにらんだ総合的な指針策定の進捗状況でありますが、本年四月以降、副知事を中心とする長寿社会対策推進本部において詰めの論議を行っているところでございます。できるだけ早くまとめ、できれば秋の発表を目指して考えてございます。
この指針においては、ただ単に高齢者対策のみを検討するということではなく、社会全体としてのあり方を模索するという観点から、一つとして生き生きとして活力ある社会づくり、二つとして安心して老後を迎えられる社会づくり、三つとして安全で快適な生活ができる社会づくりという柱のもとに、雇用、福祉、医療、教育など、さまざまな分野において総合的な対策のあり方を打ち出したいと考えております。
次に、高齢者家庭の実態の把握でございます。
昨年八月に実施した高齢者の生活と意識に関する調査についてでありますが、確かに、御指摘のとおり、老後の生活不安を感じる者がふえているのは事実であります。この点については、さきにお答え申し上げたとおり、関係各部局とも十分議論を進め、県としての指針を策定、お示しすることによって、不安のないよう対応してまいりたいと存じます。
また、前回調査との比較でありますが、例えば「健康である」と考える者の比率が上昇してございますし、健康診査の受診率が上がっておるなど、健康への関心が相当高まっているのが伺えます。
また、生活費の中で年金、恩給の占める比率が高まっていること、同居志向はほぼ横ばいであるものの、常時家族との行き来を前提として別居を容認する者がふえていること等の傾向が見られるところでございます。
なお、痴呆性老人の実態調査については、関係部局とも相談しながら検討してまいりたいと考えております。
最後に、在宅福祉の整備の問題でございます。
デイ・サービスについては、現在、三施設で実施してございます。国において、今後三年間で緊急整備を図ることとされ、その初年度分として所要の予算が計上されているところでございます。本県としても、在宅福祉の充実は緊急の課題であり、国及び市町村とも協議し、整備に努めてまいりたいと存じます。
また、緊急通報装置については、日常生活用具給付事業の品目に加えており、その活用・普及について市町村を指導してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○副議長(山本 一君) 知事公室長市川龍雄君。
〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 置県百二十年の記念事業としての県史編さん事業の位置づけでございます。
置県百年記念として昭和四十七年より開始した県史編さん事業は、刊行予定の大半を終え、郷土の歴史を知る上で多くの成果をおさめてまいったわけでございます。残りの巻についても、発刊に向けて鋭意努力を続けているところでございます。
お話のとおり、平成三年は置県百二十年にも当たりますので、この年をもって完了するよう努力したいとも考えてございます。
なお、ダイジェスト版の発刊については、郷土の歴史をよりわかりよく、また簡潔に県民の皆様方に知っていただくために必要とも考えてございますので、刊行については今後検討してまいりたいと考えてございます。
また、和歌山憲章の制定でございますが、本県では昭和六十年から紀州ふるさと運動を提唱し、「笑顔であいさつふれあいづくり」「みんなの力でむらおこし」「グリーン・クリーンまちづくり」「たくましく地域を担う人づくり」をスローガンに、地域に住む一人一人が自信と誇りを持って住める町をともに築くための運動を推進してまいったところでございます。
本年は、この運動を始めてから五年目の節目の年でもあり、この運動の趣旨を踏まえ、広く県民の皆さんとともにより豊かな郷土を築き上げることを期する日として、ふるさと誕生日条例の制定をお願いしているところでございます。
御提案の、県民の総意をまとめた和歌山憲章の制定については、置県百二十周年を迎える中で、議員御提案の趣旨も踏まえながら検討することとしたいと考えてございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
44番中村千晴君。
○中村千晴君 ただいまは、知事初め各部局から懇切な御答弁をいただきまして、再質問をいたしましても恐らく新しい答えは出ないと思いますので、要望ということで二、三、申し上げたいと思います。
一つは、燦黒潮リゾート構想の承認の問題でございます。
知事もリゾート元年で何とか本年中にという意欲を持たれているようでありますが、先ほど第一回の質問で申し上げたとおり、今の状態では甚だ、よほど力を入れない限りは、時間的な問題がございましてそう簡単にはまいらないと思うのであります。
先ほど質問で申し上げましたとおり、第一号の三重県は七カ月で基礎調査から承認にこぎつけたのでありますが、その後の承認済みの状況を見ましても、秋田県、埼玉県などは基礎調査書の提出から一年かかっております。そのほか、新潟県や岩手県で九カ月、そして兵庫県の淡路島、あのようなまとまったところでさえ八カ月、群馬県の元首相のおるところでさえも八カ月と、こういうような状況でございますし、今のところ、国土庁では基礎調査書提出のラッシュというような形になるんではなかろうかと思います。
そうしますと、よほど力を入れないことには、残された今年度中の承認決定も危ぶまれるということもあろうと思います。関係者が大変努力をされていることは今承ってよくわかりましたので、あとはひとつ知事を先頭に力を入れていただきたいことをお願いしておきます。
それから、三県サミットの成果、新サミットの方向も、今の御答弁で、今のところはもうそれ以上のものは出ないと思います。
ただ、紀淡トンネルでございます。
確かに、これは知事の夢ということで出発しました。先ほども申し上げましたとおり、調査費も年々つけられ、具体化されていくための歩みがかなり進んでいるようですが、御存じのとおり、紀淡トンネルの発想の原点は、四国新幹線に向けての一つのルート設定というのが基盤でございまして、そのために鉄建公団でそれの基礎調査という形で進められておるわけでございます。
ところが、四国新幹線はおろか、今のところ我が国全体では整備新幹線の方向に集中しておりますので、四国新幹線はいつのことかわかりません。したがって、先ほど知事が言われました、東海南海連絡道の一環として豊後水道を渡ってと、この構想をひとつ強く進めていかないことには紀淡トンネルの実現性は危ういと思うのであります。
そのためにも、兵庫県、ここはやがて明石大橋がつきますと、明石─鳴門を通って豊後水道というコースも考えられます。したがって、紀淡トンネルを通して淡路島を横断するという、当初の東海南海連絡道の完成へ向けて意思を集中させるためにも、徳島、兵庫とともに力を合わせていかなければならないと思うのであります。そういった点も、よく御存じだと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
高齢化対策についても、民生部長からいろいろお話がございましたが、抽象的なことではなく具体的な目標を立てて、ひとつ着実な充実施策を進めていただきたいことをお願いしておきます。
置県百二十周年の大型記念イベントについて、これにどのような性格を持たすか、いつにするかは別として、今、全国各地では地方博ばやりであります。ちょうど本年は市制百周年を迎えるところが多いという関係もありまして、メジロ押しに各地で催されております。ですから、そういった中をくぐり抜けて地方博を成功させるには、やはり事前の準備が非常に大事だと思うんです。
それと、どこと言うことは失礼ですから申し上げませんが、地方博を開いたけれども大きな赤字を抱えて悩んでいる自治体もあることは御案内のとおりでありまして、そうした誤りのない対応をひとつしっかりとやっていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村千晴君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後三時十二分散会