平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤沢弘太郎議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
47番藤沢弘太郎君。
〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 通告に基づきまして、質問をいたします。
最初に、教育問題についてお伺いをいたします。
二月十日、文部省は重大な内容を持つ幼稚園の教育要領、小・中・高校の学習指導要領の改訂案を公表、三月十五日、告示すると見られます。この「告示」という手続で教育現場、研究者、父母といった人たちとの討議なしに新教育指導要領が強行されるということは、まさに教育の反動化と言うほかはないと思います。
この学習指導要領の改訂がつくられてきた背景には、自民党・中曽根前首相が「戦後政治の総決算」を呼号して一九八四年八月につくった臨時教育審議会、すなわち臨教審があります。臨教審は、現場の教師、父母の意向を反映する気はなく、財界や大企業、アメリカに追随する政府の意向を受けて、憲法、教育基本法の原則に反した答申を出しました。
昨年の臨時国会で消費税法案が竹下内閣によって強行されましたが、この国会で臨教審答申を実行するために出された六法案のうち、教育公務員特例法、教育職員免許法、学校教育法、国立学校設置法の四法案が成立をいたしました。これらの法案は、民主教育の原点に反し、日本の教育や学術研究体制を財界や政府の思うままに支配することをねらった日米軍事同盟の人づくりとして、一方では消費税法案がその財源づくりとして出されてきたものであります。
学習指導要領改訂の骨子は、道徳教育の強化、小学六年の社会科で東郷平八郎ら四十二人の人物を指定、小学社会科で天皇、国旗、国歌への敬愛の強要、入学式などでの国旗、国歌の強要など、八項目にわたるものであります。
さて、一般質問初日の自民党鈴木議員の新学習指導要領案の質問に対して教育長は、「学習指導要領に準拠して、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導してまいる所存であります」というように答弁をされましたが、かつての天皇制や軍国主義の象徴でもあった日の丸・「君が代」を教育の現場に強制的に持ち込むことは、教育基本法の根本的な理念に反するものであり、断じて容認するわけにはまいりません。
したがって、学習指導要領の改訂が公表された直後の二月十二日の全国紙は、きのう森利一議員が紹介をされていましたように、その社説で日の丸・「君が代」問題への提起をしております。森議員との重複を避けまして、私は読売新聞の社説を紹介したいと思います。
それによりますと、「(前略)今回の改訂で目を引くのは、国旗・国歌の扱いを明確にしたことだ。(中略)問題は『入学式などで掲揚、斉唱するよう指導するものとする』としたことだ。現行の『望ましい』からさらに踏み出したわけだが、国旗や国歌に対する国民の合意は、まだ十分でない面がある。一律に強制して、教育上のマイナスや混乱を招くことのないよう弾力的な運用を望みたい」としております。
日の丸・「君が代」問題をめぐっては、今日でも国民の世論は分かれております。このように国民世論が分かれている問題を公教育の場に持ち込むことは正しくありません。教育は、国民全体に直接責任を負い、子供の成長を助け、人格形成を目指すものであります。
去る六十年九月県議会において故中川昭・前教育長が、日の丸・「君が代」の問題については「強制、命令ではなく、納得させ理解させて」と答弁をされましたが、この答弁で大切なことは、強制、命令に反対の意思を表明されたことであります。したがって、法的根拠を持たず、しかも国民世論の大きく分かれている日の丸・「君が代」を強要すべきでないと考えますが、教育長の答弁をお願いいたします。
次いで、学習指導要領の性格について考えてみたいと思います。
教育基本法第一条の「教育の目的」にありますように、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と明記をしているところであります。
したがって、学校の教員は全体の奉仕者であって、その教育内容の決定も学校や教員が子供や地域の実情に即して自主的、主体的につくり上げていくものであって、これは教員の権利と責任にかかわるものであります。よって、学校教育が行政などからの不当な支配のもとに置かれることのないように、学校の自主性や専門職としての教員の身分の尊重、教育活動の自由が認められているのであります。すなわち、教育行政は教育内容に関与しないという原則が法律によって打ち立てられているのであります。こうした立場からも、日の丸・「君が代」を強要できないと考えますが、教育長の見解を伺いたいのであります。
次に、今回の学習指導要領改訂とリクルート疑惑とのかかわりの問題であります。
臨教審の推進者である中曽根前首相の二人の秘書を初め、臨教審の委員、専門委員ら多数がリクルート株の譲渡に名を連ねておりますし、コスモス株一万株を譲り受けた高石邦男・前文部事務次官は、教育課程審議会や指導要領作成に深くかかわり、リクルート社の江副浩正元会長自身、学校法人運営調査委員、教育課程審議会委員、大学審議会委員と、教育関係の三つのポストを手に入れております。三月七日の新聞報道によりますと、江副に教育課程審議会委員への就任を直接働きかけていたのが高石前文部事務次官であったと報じております。
本議会の初日の質問で我が党の中村博議員が指摘いたしましたように、本県でもリクルート社による学生の進路にかかわる情報資料の提供問題が明らかにされてまいりました。まさに臨教審そのものが政・官・財ぐるみの温床となっている現状を直視するならば、彼らに子供の未来と日本の将来にかかわる教育の方向について語る資格はないのであります。このような臨教審による学習指導要領の改訂を許すことはできません。
以上の基本的立場とともに、以下、具体的な内容三点についてお尋ねをしてまいります。
第一に、初任者研修についてであります。
初任者研修制度は、教育公務員特例法を改悪し、教員の自主的研修権を否定することをねらって出されてきたものと考えます。しかし、初任者研修をも含め、教員の研修については、本来、憲法や教育基本法に基づいて、教育の専門家にふさわしい力量向上の保障である自覚的、自主的なあり方が基本と考えますが、教育長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に、今次学習指導要領改訂による差別と選別のより一層の強化の問題と関連をしまして、中途退学者問題についてお尋ねをいたします。
六十二年度県立高校の中途退学者は、全日制で五百三十二人、在籍生徒数の一・三%、定時制で百四十七人、在籍生徒数の九・三%にもなっております。今度の学習指導要領改訂によって、詰め込み教育は一層強まろうと思います。しかし、義務教育段階の詰め込み教育できちんとした基礎学力が身についていない子供が学校での教育を理解することは困難であり、これが中途退学者増大の一つの原因でもあると考えます。
さらに、学区制と高校間格差がこれに一層拍車をかけると思います。高校間格差は、さきの臨時国会で強行された学校教育法「改正」により定時制・通信制高校を四年制から三年制へと低水準に落とすことによって広がり、また、単位制高校をつくることによってより広がるものと考えます。
教育長は、このように中途退学者の多い原因がどこにあると考えておられるのか、お示しいただきたいのであります。
第三に、少年非行といじめの問題についてであります。
六十三年における県下の少年非行の概況によりますと、非行の低年齢化が引き続き進行しておりまして、十五歳以下が九百十五人で、十九歳以下の全体から見て五六%にも達しております。また、児童生徒が非行の七〇・五%を占めるというゆゆしき事態にあります。
非行やいじめは、子供たちが本来備えている力を信頼し、学校、教師、父母、地域の力を集めれば一定克服できるものと思います。しかし、非行やいじめがふえる一端として今の教育のあり方が厳しく問われており、詰め込み教育や進学競争をなくすことが何よりも重要と考えます。学習指導要領改訂はますますそれを助長していくのではないかと考えますが、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
続いて、知事と総務部長にお尋ねをいたします。
二月定例会に、私立高等学校新設補助として国際海洋高校の和歌山校新設に対する補助二億五千万円が計上されております。この高校の開校予定は来年四月で、生徒総定員は三百六十名予定となっております。設立予定の日高郡川辺町では地域活性化につながるとして歓迎をされているようでありますし、町では予算計上も行われているやに聞き及んでおります。
ここに学校案内がありますが、この学校の基本となるべき「教育の目的」については、次のように書かれております。「三恩十徳の精神に学べ 人間やる気だ ガッツだ 根性だ 海のように大きく育て そして世に一つの光を与えよ」、これが教育の目的であります。
端的にお尋ねをいたしますが、この学校の位置づけをどのようにして二億五千万円の補助金を決められたのか、この二億五千万円の補助がどういう内訳を持っているのか、知事並びに総務部長からお聞かせをいただきたいと思います。
この学校法人の役員、顧問には、和歌山県選出の一区、二区の衆議院議員一名ずつが就任をしておられます。私が特に重大問題と考えますのは、この顧問の中にリクルート疑惑の渦中にあると言われている人々、すなわち、この「学校法人役員」という名簿から見てみますと、竹下登、愛知和男、小渕恵三、加藤紘一、羽田孜、山口敏夫、小沢一郎各氏らの名前が連ねられていることであります。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
予算案の知事査定のときには、既にリクルート疑惑は大きく広がり、特定の名前も挙げられていたはずであります。この経過などについて明確にお答えをいただきたいと思います。また、この学校新設に当たって、だれの紹介で県へ申請があったのか、あわせてお答えいただきたいのであります。
第二に、紀伊丹生川ダムについてお尋ねをいたします。
この問題については、我が党の中村博議員が再々の質問を行い、特に昨年九月本会議におきまして、本県と大阪府の間で交わされた紀の川利水に関する協定書を初め、地元対策などについてただしてまいっております。また、大阪分水と関連して、多くの議員からの質問も出されております。私は、こうした経過を踏まえながら、今回は地元住民の立場から切実な問題についてただしてまいりたいと思います。
まず紀伊丹生川ダム計画についてでありますが、建設省案によりますと、予備調査から実施計画調査に四ないし六年、ダム建設に五ないし六年、補償交渉に二ないし三年かかるということであり、西暦二〇〇〇年に完成という計画と聞いております。
建設省は、昭和六十一年度と六十二年度において九度山町柿平で予備調査としての六カ所のボーリングを行い、六十三年度も引き続いてこの調査を行っております。建設省が一九八九年度予算案に一億円を計上したことと関連をいたしまして、本年度県予算案に紀伊丹生川ダム水源地域整備計画構想策定事業として三百六十万余円の予算計上を行っております。説明によると、この策定事業はダム建設促進のための周辺地域の生活環境、産業基盤等の整備による地域活性化の方策を検討するために要する経費となっております。
そこで、まず土木部長と企画部長から、その予算案内容について、また今後の計画と見通しについて、できる限り詳しくお答えをいただきたいのであります。
次に、紀伊丹生川ダムが建設された場合、湖底に沈むと言われている九度山町北又の刀祢智枝満さんほか四千八百十三人による「紀伊丹生川ダムの設置に反対する請願書」が昨年九月の九度山町議会に提出をされ、継続審査になっております。この請願書には、ダム予定地にある玉川峡が県立自然公園地域内にあり、九度山町町民憲章にも「緑ふかく水きよい」等々とうたわれていること、ダム建設工事が住民にあまたの犠牲を強いるものであり断じて容認できないなど、五項目の理由が挙げられております。
また、昨年十一月十二日、「紀伊丹生川ダム設置計画の実情調査に関する請願」が刀祢智枝満さんほか三十八人から衆参両院に提出をされております。請願書には、「行政当局から水没予定の地域住民に対して何らの具体的な説明もないまま」にダム設置計画が進行し、和歌山・大阪両府県知事が大阪分水の公式調印を行っているが、「これは水源地域の地元住民の基本的人権、生存権、環境権、財産権を無視した不当な行為であり、このような住民不在のやり方は法治国家日本の法制下では考えられないことであり、民主主義をないがしろにするものと思われる」として、国政による実情調査の請願となっております。
そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
県当局が、今までの議会答弁で繰り返し、「昭和六十一年度から地元関係者の理解と協力をいただき、ボーリング等の地質調査を中心に建設省が予備調査を行っています」とか、「ダム事業は地域に及ぼす影響が大きく、関係住民の方々の御心配の状況も承知しているところでございます」とか、「関係部局と連携を密にしながら、地元の理解と協力が得られるよう努めてまいります」等と述べておりますが、水没予想地域の住民に対して一度も説明をされていないと聞き及んでおります。なぜ、水没地域の住民の人たちに説明がなされていなかったのか、お答えをいただきたいのであります。このことは、橋本市の水没が予想される宿地域についても同様、お答えいただきたいと思います。
以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
まず第一点の、和歌山国際海洋高校についてでございます。
現在、静岡県において高等学校を設置し運営しておる学校法人の国際海洋学園が本県へ二番目の高校を設置する計画がございまして、地域の活性化の見地から川辺町が積極的に誘致を図り、県へも協力要請があったわけでございます。県といたしましても、地域の活性化、また教育の問題等から、一部助成を行うことを県議会にお願いしている次第でございます。
この学校法人の理事、顧問の中には、新聞社社長、大学教授、医学博士のほか、多数の国会議員が含まれていると承知している次第でございます。
次に、紀伊丹生川ダムについてでございます。
紀伊丹生川ダムは、かねてから申し上げておりますように、治水対策、そしてまた水資源の活用を図る上で必要な事業でございます。
この事業につきましては、建設省が施行するダムでございますけれども、県政を担当する者として地元の意見を十分拝聴することは、藤沢議員御指摘のとおり、当然でございます。私も、九度山町議会の皆さんと二回にわたり懇談して、地元の意見を伺っておる次第でございます。
今後、地元地域の発展についていかにすべきかという問題、また県勢の発展、活性化を図っていくため、関係の皆さんの御理解、御協力を得るように対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 和歌山国際海洋高等学校の教育の目的につきましては、全寮制による知・徳・体三育の調和のとれた全人教育を行い、日本人としての深い自覚を持ち、豊かな国際性を身につけた人材を養成しようとするものであると承知いたしております。
このたびの学校建設に約十二億円の費用が見込まれておりまして、その一部を助成することといたしたところでございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 紀伊丹生川ダムについての二点の御質問にお答えを申し上げます。
まず第一点は、水源地域整備計画構想策定事業についてでございます。
紀伊丹生川ダム水源地域整備計画構想策定事業につきましては、昭和六十三年度より関係の市や町と協議検討を重ねているところでございまして、平成元年度においても、水源地域の活性化を図るため、基本となる整備構想を国、地元市町と協議しながら調査検討することとして、予算をお願いしているところでございます。
今後、平成元年度から着手される予定の紀伊丹生川ダム実施計画調査の進捗に合わせ、先ほど申し上げた構想に基づく地域整備計画の策定に取り組んでまいりたいと考えてございます。
第二点は、関係地域住民に対しての説明等の対処についてでございます。
ダムの建設については、先ほどの知事答弁にもございましたように、地元関係者の理解と協力をいただくことが基本であると考えてございます。
企画部としては、建設省及び関係部局とともに、地元関係者の御理解をいただくべく努めてまいったところでございますが、今後とも、地元の意向を踏まえた水源地域整備計画構想策定事業を進める中で、地元関係地域の方々に御理解いただくよう、なお一層努力してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 紀伊丹生川ダムにつきまして、二件お答え申し上げます。
紀伊丹生川ダムについての建設省調査についてでございますが、建設省における平成元年度政府予算案で、予備調査のときの次の段階となる実施計画調査が認められました。
国の予算が決定してなくて、その調査内容についてはまだ具体的な説明がありませんが、実施調査の一年目の調査として、予備調査の精度を上げるための地質調査、測量、概略設計等が行われるものと思われます。今後の調査が具体化することによって、地元により具体的な説明ができることになると考えております。
次に、関係住民への説明についてでございます。
計画が定まっていない時点では的確に対応できない面もございますが、予備調査に際し、昭和六十一年五月の丹生川ダム建設促進協議会発足を皮切りに、最近では昭和六十三年十二月以来、建設省は県の協力を得て丹生川ダム建設対策協議会、橋本市議会全員協議会、九度山町丹生川ダム調査特別委員会、丹生川ダム情報連絡会等に調査概要、ダムの仕組み等を説明してまいりました。実施計画調査になれば、調査の進捗に合わせて関係住民へ建設省から説明されることになります。
土木部といたしましては、関係地元公共団体等と連携を密にして、関係住民と建設省の間の意思疎通が図られるよう努力してまいります。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、国旗、国歌についての御質問でございますが、自国の国旗、国歌を大切にする態度を養うということは、また諸外国の国旗、国歌を尊重することにもつながるわけでございます。
日の丸が国旗であり「君が代」が国歌であるということは、国民の間に慣習として定着してきているものと理解をいたしてございます。
今回の学習指導要領案では、従前の「望ましい」ということから「指導するものとする」と改められてございます。この学習指導要領は、法にのっとって公教育の普遍性を確保するために一定の基準を設け、ある限度において国全体として統一性を保つために定められたものでございます。
本県といたしましても、この指導要領に準拠して指導してまいる所存でございます。
次に教員の研修についてでございますが、教員には、その職務を果たすため、教育者としての高い理念、専門的知識に基づく実践的な指導力、さらにまた、教育に対する使命感などが求められてございます。こうした観点から、教員は自覚を持って日々研さんに努めなければならないものと考えてございます。
次に、中途退学についてでございます。
中途退学の主な原因は、学校生活になじめないこと、また学業についていけないこと、さらにまた、目的意識のないことなどから進路変更をするというふうなことになってございます。
こうした問題を解決するために、中学校と高等学校の連携による適切な進路指導はもとより、生徒の心を揺さぶる指導方法の工夫や魅力ある学校づくりを行ってまいる必要があると考えてございます。
また、定時制・通信制課程の修学年限の短縮や単位制高等学校につきましては、生涯学習の観点から、高校教育の機会を保障することはもちろん、多様化している生徒に弾力的に対応すべきものと受けとめてございます。
最後に、少年非行といじめの問題についてでございますが、その原因、背景としては、家庭、地域における教育力の低下、物質的な豊かさの中での心の荒廃、さらにまた高学歴志向の風潮等が見られるところでございます。
こうしたことから、学校においては一人一人の個性、特性を伸ばし、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を図ることが必要でございますので、この実現のために、家庭、学校及び地域社会がそれぞれの機能を十分果たす中で相互の連携を一層密にしていくことが大切であると考えてございます。
以上のとおりでございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
47番藤沢弘太郎君。
〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
まず、知事に。
知事、私が質問をいたしましたのは、先ほど申しましたように、国際海洋高校の建設について、いわゆる「教育の目的」の問題からこの学校の位置づけをどのようにされたのかということを尋ねてきたわけでありますが、それは川辺町からの積極的な誘致による云々だということだけでありました。このような教育目的で、いわゆる学校法人として二億五千万円という補助が出される、こういう問題について一体知事はどのように考えておられるのかということも尋ねたわけでありますが、この御答弁がありませんでしたので、重ねて答弁を求めます。
それから、知事はこの役員や顧問などにつきまして、学者や文化人、大学の云々とか国会議員とか、いろいろ言われました。私がそこで尋ねたのは、こういうことであります。改めてもう一回申し上げます。
「この顧問の問題について私が特に重大な問題だと考えますのは、この顧問の中にいわゆるリクルート疑惑の渦中にあると言われている人々がおられる。そこで、知事にお尋ねいたします。予算案の知事査定時には、既にリクルート疑惑は大きく広がり、特定の名前も挙げられていたはずであります。この経過などについて明確にお答えください」、このように言っているんです。
知事、予算を組んでいく上で、このような疑惑のある人たちが学校法人の顧問の中に入っている、そういうことについて知事は査定の中で検討をされておったのか、あるいはされておらなかったのか。もしも検討された上でこの高校への補助を予算計上されたということになってくると、これはまた問題が違ってまいりますので、この点、改めて──と申しますよりも、知事から私の質問に対する具体的、的確な答弁をいただいておりませんので、この問題についてお答えをいただきたい。
それから、この学校の新設に当たって、だれの紹介で県へ申請があったのかということもお尋ねしておりますけれども、これは、あったもなかったも、知事、お答えになってないんです。あったなら「あった」、どなたからあったのか、なかったなら「なかった」、このようにはっきりお答えいただきたいのでありますが、その答弁もされておりませんので、あわせてこの問題について知事から答弁をいただきたいと思います。
次に、企画部長と土木部長から紀伊丹生川ダムの答弁をいただきました。
私は、三月二日、紀伊丹生川ダムの水没地域と言われます九度山の北又地区、橋本市の宿地区へ行きまして、住民の方々と懇談をさせていただいてまいりました。
そこで、企画部長や土木部長は、「地域住民のなお一層の御理解をいただくために努力をしてまいりたい」とか、あるいは土木部長は、「計画が定まっていない時点で」ということを前置きしながら、それでも、地域の協議会発足を皮切りに、市とか九度山町といったところについてはダムの仕組みというような問題を伝えてまいったと言っておるわけです。
私は、この前の紀の川大堰の問題のときにも、企画部長や土木部長と「住民合意」とは一体どういうことなのかということで大分論戦をしてまいりました。しかし、そのときにも、いわゆる「住民」の問題については、市町村当局とかこういった問題でつくられている協議会とかいうような域を出ていないんです。今回もそうであります。これは、根本的に「住民合意」、「住民」という位置づけが違う。
例えば、私が北又地域へ行った中で、こういうお話があるんです。これは、土木部長、企画部長から明確にお答えいただきたいと思うんでありますが。
先ほど私が紹介をいたしました国会に対する請願が出された後、昨年は臨時国会が年末ぎりぎりまで行われましたが、私が聞くところによりますと、年末ぎりぎりの十二月二十三日ごろ、土木部、企画部──私は名前を聞いておりますが、申し上げません。皆さん方の胸にあることだと思いますけれども──そういった幹部の方々が七、八人、北又地域へ行かれておるんです。しかも、そこでどんな話をされたのか。どんな話をされましたか。
住民の方によりますと──この国会請願についての話でありました。夜、何の予告もなしに、その北又の地域へ幹部が来た。そして、どんなことを言ったか。「ダムの問題についてどうでありますか」というようなことと違うんです。だしぬけであります。こんなことを言っている。「国への請願を取り下げていただきたい」──もってのほかじゃないですか。こういう問題で「住民合意」とか「住民の意見を聞く」とかいうようなことを言っておりますが、全くの詭弁じゃないですか、それは。明確な答弁を土木部長、企画部長からいただきたい。それによりまして、私はさらに住民の方からの意見も聞いておりますので、この問題の徹底した追及をやっていきたい、このように思います。
しかも、橋本の宿でもそうであります。宿地域の水没がありますけれども、そこの住民にも何ら聞きに行ってないじゃないですか。こういうような問題で何の住民合意がとれるか。しかも、「計画が定まっていない時点でありますので」と。何を言うんです。それならばそれとして、なぜ行政当局とかそういった協議会へ行って話をしておるんですか。水没の問題で祖先伝来の土地を手放すかどうかというところに迫られている肝心の住民に対してそのことを言わずに行政に対して言う。このことは「知らしむべからず、よらしむべし」、こういった昔からの考え方そのものではないですか。住民に対する考え方、これが全くやられていない。これが行政の姿ですか。この問題について厳しく私は追及をしたいし、明確な答弁をいただきたい、このように思います。(「あんまり興奮したらあかんぞ」と呼ぶ者あり)──大丈夫。怒っておるんです。
次に、教育長にお尋ねをしてまいりたいと思います。
教育関係の方々がこの学習指導要領などの問題についていろいろな対処をされておるということを聞いておりますけれども、教育長、学習指導要領とか、日の丸・「君が代」といったような問題は、いわゆる心や意識の問題です。こういった、その個々人の心や意識の問題を拘束すること自体おかしいんです。だから、憲法で思想や信条の自由を保障しているのであります。未発達の状態にある子供に日の丸・「君が代」を認めよというような教育の強制力を持たすことは、絶対あってはならないのであります。
道徳教育を口にする者が、皆さん──先ほど、私はリクルート問題でも紹介いたしました。教育の中枢的な分野に入ってきているんです。そしてあの一大疑獄が行われておる。道徳教育の問題を口にする者が一番大きなうそをついておる。何千万円もの金を、ぬれ手でアワをつかむようにポッポへ入れておる。文部官僚や臨教審などの教育関係の重要な役割を担う者が、リクルート問題の渦中にあるんです。これらの人たちの言うことをそのまま子供たちに強制するのですか。この問題についても教育長の見解をお尋ねしたいと思います。
私は、先ほど紹介をいたしました中川前教育長の答弁について、教育理論から言っても、前教育長の見解は非常に大事であると思うんです。現在、その見解が変わっているのか変わっていないのか。中川前教育長の言ったことを信頼して、教育の現場では教育がやられているわけであります。それを変えるのは一体どういうことなのか。県民に対する教育の責任者としての立場からどのように考えられるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
それから、天皇の葬儀をめぐって国際的な批判が起こったことは御承知のとおりであります。私は今、改めてここで言うつもりはございません。しかし、天皇の戦争責任や日本が侵略戦争をやったんだというようなことの国際的な批判が多く出ておったじゃないですか。竹下首相も、当初は「あの戦争は侵略ではありません」ということを言っておりましたが、国際的な世論に押されて侵略であるということを認めざるを得なかった。これは歴史の事実であります。
その中で、戦時中、日本のシンボルが日の丸であり「君が代」であった。これによってむしろ、日本の教育に対する批判が出たのであります。日の丸や「君が代」は、今日、国民の合意がなく、国際的にも批判の中にある。国際社会において信頼されるようにというような教育長の答弁、私はおかしいと思うんです。
公教育とは、政治的中立であるべきであります。世論を二分する日の丸や「君が代」を公教育の場に持ち込むことは誤りだ、これは政治的中立を侵すものだと思いますので、この点につきましても教育長の答弁をお願いいたしたいと思います。
以上で、再質問を終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
海洋高校の件でございますけれども、この学校の目的でございます。
先ほど、総務部長が答弁申し上げました。全寮制による知・徳・体三者の調和のとれた全人教育を行い、日本人としての深い自覚を持ち、豊かな国際性を身につけた人材を養成しようとするものであるということを申しておるところでございます。
私も、学校教育、高校教育におきまして、私立学校が和歌山県にとって重要であるということをかねてから申してきておるわけでございます。また、県立高校の卒業者が、和歌山県は全国の中でも沖縄、徳島に次いで三番目でございます。そうした意味において、皆さん方の御支援をいただいて、私立学校についても努力させていただいておるところでございます。
補助を出した理由ということでございますが、これも先ほど総務部長が答弁させていただきました。
また、申請をするのにだれが紹介したかということです。先ほども申しましたように、この問題につきましては川辺町が非常に熱心でございまして、土地等の提供等もございました。そうした形で、校長も参りましたが、地元の町長並びに議員の皆さんもついて参ったわけでございます。地元が土地を形成しないところではできないわけでございます。そうした意味において、申請を承ったわけでございます。
顧問の問題につきましても、多数の人がおるわけでございます。
この学校は、静岡県において認知された私立学校でございます。だから、先ほど申しましたように、この高校に補助すべきかどうか、その目的がどうか、内容はどういうことをやっておるかということについても、総務学事課が静岡へ行って状況等について調査してまいっております。
以上です。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 地元への説明の問題でございます。
昭和六十一年から何回かにわたり、建設省や関係部局とともに、ダム事業あるいは予備調査、その内容等について御説明をしてきたところでございます。
御指摘の請願の問題につきましては、国会に対して「紀伊丹生川ダム設置計画の実情調査に関する請願」が提出されている事実については承知いたしているところでございます。
そういうことも踏まえ、今後とも、建設省や関係部局ともども地元の御理解、御協力が得られるよう努力してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 請願の取り下げの問題でございます。
地元でどういう話し合いがあったかは、私、正確には承知しておりませんが、内容といたしまして、まだ予備調査の段階であり、したがってダムの実態が不明確な段階である状態の中で、請願を出す時期ではないじゃないかということだろうと判断しております。
実施計画調査費がつき、具体的にダムについて地元の住民の方々と話し合いができるようになって、それが済んだ後でそういった請願の問題が議論されるんじゃないかというふうに考えます。
それで、まず平成元年に実施計画調査費をつけてもらって、話し合える具体的な調査を行うということが先決であるということで、そういった話があったんじゃないかというふうに考えます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学習指導要領は、御承知のように、教育基本法に基づいて学校教育法が制定され、そして、これに基づいて文部大臣に委任をされてつくられたものでございます。したがって、この学習指導要領は、法的に確立をされたものと考えてございます。
したがって、今回の改訂によりまして、県教育委員会としてはその線に沿って指導を進めていきたい、このように考えてございます。お話がございましたが、そのことが教育基本法の第十条の精神には反しないものと考えてございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎君 自席から質問をいたします。
まず、知事に。
知事、この高校は全寮制なんですよね。そういったものができることによって、全寮制ということで、野菜とか、いろいろと活性化に通じるんじゃないかという期待を地元の住民の皆さんが持っておられる。これは、その地域の実情としてそれなりのことがあると思います。
ところが、私は目を一歩転じまして、全寮制ということで思い出すのは、あの戸塚ヨットスクールの問題であります。戸塚ヨットスクールで、ありましたね。あの問題であります。しかも、私どもも静岡の方へ実情を聞きましたが、今度のこの学校の基本方針の柱は、やっぱりスパルタ教育なんです。
それだけに、この高校の問題につきましては、教育の目的に「ガッツ」というようなことだけで──それだけではありませんが、そういったことが教育の目標に掲げられている、このような学校の問題については、私はもっと検討を深くしなければならないという立場から先ほど申し上げたわけであります。
こういったような問題で、今、知事や総務部長から答弁をいただきましたけれども、私は疑問が残ったままでありますので、この点については調査検討をする必要がある、こういう意見だけ申し上げておきたい、このように思います。
それから、企画部長と土木部長であります。
私が質問をした問題について、まだお二方ともスコンと入ってないんじゃないかというように思うんです。何というんですか、住民合意という問題の柱が違うんですね。私は、お二方の話はやっぱり「知らしむべからず、よらしむべし」ということが行政の柱になっておるように思うんです。
それならば、その北又の地域へ行かれた方、なぜ請願を出したのか、これがおわかりですか。皆さん、行かれた方はおわかりなんですか。自分の住んできた土地が埋没するかもわからない、この土地を離れなければならないかもわからないという切実な問題のもとで、こういった請願をやむなく出しておるんです。なぜ国会へ調査の請願を出さないかんのか。それは、県当局や建設省あたりが来てないからなんですよ。市とか町の行政の方へ行くよりも、まずその地元の住民の皆さんに、例えば、「あなたのところはこういったことで水没になりますよ。具体的な状況はまだわかりませんけれども、この問題については私たちも極力、皆さん方の意見を聞きながらこうやります」、こう言うたら、地元の皆さんというのは一定の納得をされると思うんです。
そういうような一番基本の問題を踏んでいない。そこに、今の県当局自身の対処に問題があるんだ、私はこのように指摘しているんです。この点がまだ今の再答弁の中ではおわかりになっていないように思いますので、代表してというとなにですが、主にこの問題はもう建設省関係に入っておりますので、土木部長から改めて答弁をいただきたいと思います。
それから、教育長に。
やっぱり私は、こうした新学習指導要領の問題に対する見解というのは違うと思います。これはまた、私、委員会にも所属をしておりますので、そこらあたりでまた具体的にこの問題の討論をやっていきたい。時間的な関係もありますので、この問題は教育長には要望だけにとどめておきたい、このように思います。
終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長松永安生君。
〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 今後、元年度から実施計画調査が始まりますので、具体的に住民の方と話し合いができるようになると思います。
県としては、こういった住民合意に対して最大の努力をしてまいります。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。