平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号
平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録
第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)
◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。
質疑及び一般質問を続行いたします。
16番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 平成30年9月定例会、私が最後の登壇者となりました。しばらくおつき合いいただきたいと思います。
このたびの台風20号、21号で被災されました県民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。今回の二つの台風は、近年経験しなかった大きな爪跡を本県に残していきました。私は、直後から御坊市内を巡回しましたが、特に台風21号は強風と高潮で市内各所がびっくりするほど傷んでおりました。
最初に気づいた交通信号機の停電は市内各所に及んでおり、被害の大きさを予感させました。屋根や看板が飛散した道路などでは解体除去作業が始まっていました。
塩屋漁港では漁船が転覆し、隣の漁船に乗り上げるありさまで、物揚げ場の瓦れき、製氷施設の損傷状況などから、とんでもない強風と高潮、大波が押し寄せたことが容易に想像できました。
議場配付させていただきました写真の1、2は、御坊市名田町のかべご海岸で、国道42号と民家に打ち寄せる大波の様子であります。このかべご海岸や写真3から5の楠井海岸など自然海岸が残る箇所では、海産物直売所やビニールハウスの足元近くまで洗掘され、大量の流木が打ち上げられました。
また、パラペットが施工された防潮堤海岸でも陸閘がないため、写真6のように高波が民家の基礎や庭先を洗いました。
第2問で取り上げる日高港小型船だまりは、平時は写真8のような状態ですが、当日、風が弱まった午後2時40分ごろでさえ、写真9のように桟橋への通路が波浪により空中に舞い上がっている始末です。
また、停電についてはまことに深刻で、特養では非常用電源では賄えない貯水槽へのくみ上げやエレベーター、空調が使用できず、職員が対応に走り回っていました。
農業集落排水の終末処理場では非常用電源が漏電のためポンプが作動せず、衛生会社の社員が徹夜でバキュームカーによりくみ取りを行いました。
水利組合ではろ過機が停止して、長時間使用すればポンプや給水装置は目詰まりを起こす心配もありました。
災害を免れたハウスでは、換気設備が作動せず、作物が高温でなえる寸前でした。
以上は、私が当日見た状況ですが、その後の報道を見るにつけ、被害の大きさに驚くばかりです。どうか県においては、台風被害対策に全力で取り組んでいただくとともに、ぜひ南海地震を含む今後の災害への教訓にしていただきたいと思います。
そこで第1問は、台風被害への支援と今後の対策について質問します。
台風21号では、近年にない長時間の広域的停電が発生し、県民生活初め産業界にも休業や食品の廃棄など大きな被害が発生しました。電気のありがたさを実感するとともに、関西電力の対応には大きな問題がありました。
以前は、御坊市に関電の営業所があり、日ごろから地域ともつながり、何でも対応してくれましたが、技術サービスセンターになって、市民からは連絡もできません。今回は、いつ復旧するのかわからない中、市民から私たちにも停電の苦情が寄せられました。ようやく6日夕方になって関西電力が市内放送により当日中の復旧を通知したことで、市民は留飲を下げました。しかし、御坊市内全域が復旧したのは翌日の昼前でした。
今回は停電箇所が多過ぎて停電情報システムがダウンしたと聞きますが、南海地震ではこの比ではなく、この程度のシステムしか用意してなかったとすれば、防災計画の他の分野も推して知るべしです。
関西電力は会見で役員が謝罪や復旧状況の説明を行いましたが、余り要領を得ませんでした。今後は、検証委員会を設置し、年末までに利用者への対応や自治体との連携などの課題をまとめるとのことです。私は、ぜひとも早くやっていただきたいと思います。なぜなら、南海地震は待ってくれません。
ぜひとも関電には、今回の停電の被害の実態、原因究明、今後の南海地震を含めた対策の見直しを求めたいと思いますが、県の考えはいかがか。
また一方で、県民や事業者に対しても、自家発電の準備や強化、停電に耐える生活、事業継続計画などの停電対策を促すべきと思いますが、県の考えはいかがか、あわせて危機管理監に伺います。
○議長(藤山将材君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
危機管理監藤川 崇君。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 関西電力は、今回の台風第21号により広範囲かつ長期間にわたる停電を発生させたことから、議員御指摘のとおり、岩根社長を委員長とする台風21号対応検証委員会を今後の大規模災害時において的確な対応を図るために設置し、早期復旧、顧客対応、自治体との連携などの課題について改善策の検討を行うとのことです。
県といたしましては、当該委員会の検証過程において、早急に今回の停電の原因究明や被害の実態把握を行うとともに、台風だけではなく南海トラフ地震への対応も見据えた改善策となるよう、本県の意見を述べる機会を設けるよう強く申し入れてまいります。
次に、県民の皆さんへの停電対策の促進については、これまでも県政おはなし講座などで懐中電灯やラジオなどの非常時持ち出し品の準備や電池やろうそく等、災害時に自給自足できる備蓄を呼びかけるとともに、自主防災組織の発電機を含めた資機材の整備について、わかやま防災力パワーアップ補助金により積極的に支援してきたところです。
また、県内事業所の事業継続計画の策定につきましては、和歌山県BCPステップアップ・ガイドを作成するとともに、経済団体等と連携して毎年研修会を開催する等、その普及、策定に取り組んでいます。
一方、病院や社会福祉施設等においては、議員御指摘のとおり、自家発電機が未整備であったり、整備されているにもかかわらず燃料確保が十分でないところもあると認識しております。このため、自家発電機の整備など停電対策がしっかり進むよう、関係部局と一緒になって積極的に働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、住宅被害について。
現在、各地ではブルーシートの屋根が目立ち、工務店などの話を聞くと、40~50件待ちで、見積もりをする間もなく屋根にブルーシートを置いて回ったというふうに聞いております。専門店や職人が減少する中、何カ月もかかるのではと心配しております。
しかし、空き家となると、壊れていても心配すらしません。近所に迷惑のかけっ放しでも、不可抗力のため被害者は泣き寝入りです。
本来、住宅は私有財産で個人が管理すべきものですが、今回の被害状況を見たとき、住宅の保全はまことに大切で、火災保険の加入も含め、県民に対して住宅施策として何かできないものでしょうか。県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 住宅被害に関するお尋ねがございました。
今回の台風によりまして住宅の被害に遭われました方々への支援といたしましては、まず、住宅が半壊するなどにより居住することが困難となられた方に対しましては、公営住宅を一時的な仮住まいとして提供しております。
次に、住宅の修理に関しましては、災害救助法による住宅の応急修理制度の適用に至らなかったため、独立行政法人住宅金融支援機構による災害復興住宅融資制度の活用につきまして、市町村を通じて被災されました方に周知を行っております。
さらに、住宅の修理などに関する県民からの相談への対応につきましては、県から建築士関係団体に対しまして依頼をし、対応していただいているところでございます。
県では、住宅被害に対してこうした支援を実施しておりますが、中村議員御指摘のとおり、日ごろからの住宅の保全や保険等の加入による災害への備えが非常に大切であるというふうに考えております。
県といたしましては、住宅所有者に対しまして、万一被災した場合にも被害を軽減できるよう適切な維持管理を行うことや、円滑な住宅再建が果たせるよう保険等の加入により自然災害リスクに備えておくことの重要性について啓発してまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目は、農林水産被害についてであります。
農林水産業は、自然と調和する本県らしいすばらしい産業ですが、台風などの自然災害をまともに受ける大変な仕事です。今回の二つの台風では、ビニールハウスの損壊や強風による倒木、塩害、漁港施設など大きな被害が出ました。
幸い、知事初め農林水産部にはいち早く対応していただき、お礼を申し上げるとともに、その対応策について農林水産部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員お話しのとおり、先般の台風20号、21号により、県内の農林水産業において甚大な被害が発生しました。今回の台風は、猛烈な風が吹き、特に農産物やハウスなどの施設に大きな被害をもたらしました。
こうしたことから、パイプハウスや果樹棚等の復旧を支援する県単独事業の野菜花き産地総合支援事業、果樹産地競争力強化総合支援事業の予算増額を今議会にお願いするとともに、市町村やJAとの連携による県独自の無利子、緊急融資を実施することとしております。
また、過日、知事を先頭に国や国会議員に対し、農業用ハウスや果樹棚、防風ネット等の復旧が円滑に進むよう、被災農業者向け経営体育成支援事業と強い農業づくり交付金について今回の被害を対象とするとともに、必要な財源の確保を、また、果樹の改植について今年度の果樹経営支援対策事業で実施できるよう財源確保を要望したところです。
さらに、園芸施設共済における被覆資材の被害面積は、園芸施設共済評価要領に基づき修復に必要な面積をもとに算定されていますが、屋根面の一部が損壊した場合でも屋根面全体を張りかえる農家が多いことから、国に対し損害評価方法の検討を要望してまいりました。
林業関係においては、林道施設、山腹崩壊、風倒木等の被害が発生しました。国の採択要件に満たない小規模な山腹崩壊等の復旧については、県単独の県土防災対策治山事業予算の増額を今議会にお願いしているところです。また、国に対しては、これら林業関係被害の復旧が円滑に進むよう林道施設災害復旧事業、治山施設災害復旧事業、災害関連緊急治山事業、森林環境保全整備事業の財源確保を要望したところです。
水産関係においては、漁港施設などに被害が出ており、国に対しては、復旧が円滑に進むよう公共土木施設災害復旧事業の財源確保を要望したところです。
今後、共済や保険制度に加え、補助事業や融資制度等を活用し、被災された農林漁業者の支援に努め、一日も早い復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今回の台風では、被災をいたしました商工業者の皆さんにも、建物、設備について、県のほうで10%の支援をされるということであります。この話を御坊市内の商売をなさっている人なんかに言いますと、大変すばらしいと、みんな喜んでくれております。しかし、残念ながら知らない人が多いので、ぜひPRをしていただければいいんではないかというふうに思います。
昨日、秋月議員と議論をいたしておりますと、商工関係者の人の中には、被災したときに保険に入っておりますけども、保険はもう今、査定するのにもずっと順番待ちというふうに言われております。実際に保険がおりてもずっと先になるので、短期の融資、できたら無利子のようなものがあればいいんじゃないかという、私は商売したことがありませんので、秋月議員が言われてました。
同じように、やっぱり御坊の商売なさってる人に言ったら、それはすばらしい方法だというようなことがありましたので、ぜひ今後、御検討いただければ幸いでございます。
次、4番目は、観光産業への影響であります。
連続した台風の襲来で、近畿各地では長期停電、公共交通機関、高速道路の不通により観光産業に大きな被害が生じました。とりわけ関西空港の機能停止は、訪日観光客を中心に大きな影響があり、被災直後から9月末ごろまでの予約がキャンセルされたと聞きます。本日より全便が回復したとの報道がありましたが、繁忙期の10月初旬の国慶節にも客足は回復せず、香港自体の台風被害もあり、見通しは立っていません。私が事情を聞いた観光会社では、数日間で数千万円のキャンセルが発生し、業界全体ではまことに深刻な状態であります。
一刻も早く回復するようPRや営業活動に努力すべきと考えますが、観光産業における台風被害の状況や県の支援策について、商工観光労働部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 台風20号では、紀南地方を中心に浸水被害が発生し、特に本宮の川湯温泉の旅館、ホテルにおいて平成23年の紀伊半島大水害を上回る甚大な被害を受け、現在、2軒は営業を再開したものの、残りの施設はいまだ復旧に向けて取り組んでいるところです。
また、熊野古道中辺路でも参詣道の崩落や倒木が多数発生したことを受け、発災直後に職員を現地に派遣し、被害状況を詳細に把握した上で優先順位をつけ復旧を進めた結果、多くのお客様が歩かれる滝尻王子から熊野本宮大社間は早期に通行可能となりましたが、いまだ潮見峠や赤木越などは通行を制限している状況です。
一方、台風21号では、紀北、紀中地方を中心に暴風や高潮、高波により和歌浦の旅館、ホテル、白崎海洋公園などが被害を受けたほか、高野参詣道において多数の倒木が発生し、関係者と協議を進めているところですが、現在も通行どめとなっております。
これらの被害を受けた施設に対しては、一刻も早く通常の営業を再開できるよう、議員、今お話をいただきました融資制度も御用意してございます。融資制度や今議会で提案させていただいております補助制度を活用したきめ細やかな支援を行ってまいります。
また、関西国際空港の被災につきましては、国内外から誘客に大きな影響がありましたが、鉄道線については18日、ターミナルについては本日、それぞれ全面復旧し、旅客機の運航についても本日には国際線、国内線を合わせ、災害前のほぼ100%に回復すると聞いております。
県としましては、これまでの取り組みの中で関係を築いてきた国内のメディア、旅行会社はもとより、海外26カ国の関係者を含めた約1000の観光関係事業者に対して、逐次メールにより、関西国際空港や和歌山の観光が元気であることを迅速かつ正確に伝え、和歌山へのより多くの送客を強く働きかけているところです。
特にインバウンドにつきましては、本日発表された観光庁の関西インバウンド観光リバイバルプランとも連携しながら、今年度予定している海外プロモーションを拡充、強化してまいります。
さらに、今後、県観光連盟が発行する観光情報誌「紀州浪漫」による特集や、メディア及び旅行会社を対象としたファムツアーを随時実施するなど、国内外の誘客を図る取り組みを迅速に進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 メール等で連絡をしていただいてるということでありますけども、香港なんかも台風で困ってるという話も聞きます。
やっぱり、私はこんなときこそ訪問をして、こちらの厳しい状況を言うだけじゃなくて相手の意見も聞いて、どんなことをすればいいか、私はやっぱりそういう丁寧な対応をすべきだというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。また、関係業界の人たちの声を聞くということもすごく大事だと思いますので、あわせてお願いをしておきます。
次、行きます。5番目は、海岸の保全について要望します。
先ほど御坊市内の被害状況を報告しましたが、海岸保全事業が実施されている場所はびくともしておりません。やはり防災においてハード事業の大切さを実感しました。どうか、未整備箇所での海岸保全事業の早期実施や陸閘の設置をこの機会に強く要望しておきます。
さて、以上のように、二つの台風は、幸い人的被害は少なかったにもかかわらず、近年にない種類の大きな被害を残していきました。
そこで、知事は今回の台風を経験して、また、来るべき南海地震への教訓としていかにお考えか、御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南海トラフ地震においては、地震・津波により甚大な被害がさまざまな分野で発生することが予想されますが、議員御質問の今回の台風第20号、21号を経験した上での南海地震への教訓ということであれば、今回は特に電力、通信の早期復旧対策であるなあというふうに思います。
紀伊半島大水害時も大規模な停電が発生いたしましたけども、復旧のスピードは目覚ましかったもんですから、JRとはもめたのですが、今回も、関西電力に任せておけばまあ大丈夫かなあというふうに思っておったんですが、それは少し過信であったと今は反省しております。
南海地震発生時には、その被害が西日本全体の広範囲に及ぶことが予想されます。紀伊半島大水害時のように、全国から救援がたくさん来てくれるということは期待できないと思います。まずは現有戦力でいかに早く対応するかということを考えないといけないということだと思います。
今回の台風において関西電力は、当初、和歌山エリアが中心の376人、91班の体制で対応しておりまして、他府県からの応援はなく、その上、山間部で電柱への倒木が多数発生して関西電力の復旧部隊がその対応に苦慮しているということが判明したため、恐らく日本史上初めてと思われますけれども、倒木等の撤去作業に県の土木部隊を投入したところであります。
ついては、今回極めて異例の措置として、そのときに行った県の支援体制を今度は常設化しておきまして、速やかな復旧作業を行うために関西電力とあらかじめ約束事をしといたらいいんじゃないか、そんなふうに思っております。
さらに、政府の協力も得て、早期に全国の電力会社の応援を確保し、できるだけ多くの復旧部隊を本県に派遣していただくことも重要であると考えております。
次に、今回の台風においては、言いにくいことなんでございますが、関西電力の指揮命令系統があんまり機能していませんでした。全体で部隊展開がどうなっておるか、被害がどこでどうなってるかというようなことを、支社の中枢部がほとんど把握できない、できていないということだったんだろうと思います。
また、県民からの苦情が関西電力に殺到し、処理できなかったことから、県、市町村も協力して苦情を受けとめる体制整備を検討する必要があるというふうに思っております。
つきましては、関西電力の指揮命令系統や相談体制の強化を図ってもらうため、今回の経験を踏まえ、具体的な改善点をリストアップして、関西電力に対して申し入れを行ったり協議していきたいと思っております。
その他、電力以外でも、今回の教訓を生かし、改善しなければならない点がないか、さらに検討を行い、すべきところ、準備、備えなければならないところは早急に対応していきたいと思います。
これは地震・津波で申し上げましたが、台風や水害の場合でも同様でございますので、いろいろ全面的に反省をして、改善をどんどんしていきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、今回の停電を経験して、電気は安いほうがいいんですが、やっぱり安定供給ということが大切だなというふうに思いました。
次に行きます。第2問は、小型船の転覆についてです。
台風20号は8月23日、近畿や四国を暴風域に巻き込みながら北上し、強い勢力を保ったまま21時ごろ徳島県南部に上陸しました。
日高港小型船だまりでは、小型船が1そう転覆しました。その船は、85歳の老人が所有する船外機つきの遊漁船ですが、長年日高川に係留していたところ、県が進める放置艇対策のあっせんにいち早く応じ、抽せんにより、ことし1月に日高港小型船だまりに移動したばかりでした。
ところが、最初の台風で転覆したのです。今回の両台風でも、違法といえども無料で静穏性が高い日高川に係留した遊漁船は、写真10のように何の影響もありませんでした。たま丸は、この船は県のあっせんに率先して応募し、日高港で経験する最初の台風で転覆しました。まさに正直者がばかを見るようなてんまつに、これを聞いてまことに気の毒に思いました。
そもそも、日高港小型船だまりは小型船が係留できるような静穏性が確保されているのか、県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 日高港の静穏性につきましての御質問をいただきました。
日高港の小型船舶係留施設の整備水域における静穏度につきましては、国が平成14年度に30年確率の波を用いて解析を行っております。
その結果では、整備水域の波高は異常気象時で31センチメートルであり、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」などに記載されている基準値、50センチメートル以下を満たしていることから当該水域で整備することといたしまして、平成27年1月に日高港港湾計画の変更を行いました。
なお、同施設は、平成28年度に完成して、平成29年4月1日に供用を開始したところでございます。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 先ほど写真で提供いたしましたように、21号台風は20号よりも確かに大きい台風でしたが、桟橋に行く通路がもう空中に舞い上がるほど荒波が押し寄せる日高港でございます。明らかに西川だとか由良湾とは違う気がいたします。
日高港は、全体計画のうち、早く施工するために1期、2期と分けまして、関電寄りの1期を先に施工いたしました。その過程で海の静穏性を確保するのにいろいろ工夫をしまして施工をしてくれたんですが、できた直後の台風では、港湾計画に基づいて、王子川という川が日高港へ注いでおりますけども、ここを河口を開削しました。すると高潮が押し寄せて、上流1キロぐらいのところの田んぼとか農協の倉庫が浸水したということがありました。
県のほうで慌ててその後、河口を塞いで、消波ブロックを二重に置いてくれました。その後は事なきを得てますけども、その隣接する小型船だまりは、特に何か手を施したという、そういう形跡はないので、私は十分できてないんじゃないかというふうに思ってます。
日高港では、今、御坊市や地元の振興団体が、客船を含めて振興のためにポートセールスをやろうというふうにしております。そういう振興の観点からも、一度、静穏性がどの程度あるのか、ぜひ調査していただきたいというふうに要望しておきます。
次に行きます。次にといってもまだ2番目ですが、県では、数年前から日高川の係留船を日高港、西川、由良にあっせんしていますが、係留場所の静穏性は船を係留する上で最も重要な情報です。津波や台風など異常時にどんな取り扱いをするのか、利用者に説明をしているんでしょうか。また、この転覆した船の所有者にも説明をしたのか、県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 静穏性や異常時の取り扱いの説明につきまして、お尋ねをいただきました。
県は、このたま丸を所有されている方を含め、小型船舶係留施設の使用希望者に対しまして、申込書の送付の際に、使用者の遵守事項をまとめた「小型船舶係留施設使用上の注意事項等」という文書を送付させていただいております。
この中では、船舶の係留や管理に関する安全確保等については、使用者の自己責任及び自己管理であるということを明記しております。さらに、これに加えまして、風水害が予想されるときは、事前に係船ロープの増し締めなど十分注意すること、使用者の責任により、気象情報等を収集し、波浪等により船舶に被害が及ぶことが予想されるときは、使用者の責任と負担により船舶の安全措置を講じることなどについても明記させていただいております。
その上で、使用許可申請の際には、使用希望者から、風水害等による避難についても自己の責任かつ自己の負担により行うことを書面により誓約していただいております。
なお、静穏度につきましては確保ができているという前提でございますので、また、風水害等が予想されるときは自己の責任で対策を講じていただくことから、「小型船舶係留施設使用上の注意事項等」への記載はしておりません。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 質問を数々用意しておりますが、時間がなさそうなので、省略しながら行きたいと思っております。
県では、申し込みに当たり、船名、船舶の長さ、幅、深さなど船の特徴を申告させています。この沈没した船は長さが約6メートルしかなく、船外機つきのプレジャーボートです。写真7のように、私は転覆した船を見て、こんなに小さい船だったら転覆するのは無理はないなというふうに思いました。
由良港や西川に比べて静穏性が明らかに低い日高港について、長年日高港を管理した経験があって、しかも土木工学の知識がある港湾管理者である県が、ちょっと小さい、係留に不適切な船舶としてなぜ断ってくれなかったのか、係留許可に当たり適切な審査が行われたのか、県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) あっせんの適切性についてお尋ねをいただきました。
今般、日高港塩屋地区における不法係留対策といたしまして県が整備いたしました塩屋小型船舶係留施設におきましては、あきがあったことから、日高川に不法に係留されていた船舶を対象に公募したところでございます。
議員御指摘のたま丸につきましては、日高川に不法に係留されていたことから、当該施設に申請がありましたことからあっせんしたものでございます。
その使用許可申請につきましては、船舶検査証書等によりまして船舶の長さや幅などを把握し、使用を希望する小型船舶係留施設に収容できるかを確認した上で許可を行ったところでございます。
なお、中村議員より御指摘いただきました船舶の係留時の安定性についてでございますけれども、船の大きさにはもちろん関係いたしますが、船の大きさ以外に波の周期ですとか、係船索、いわゆるその船を係留するロープの張力など、あるいはその結び方などさまざまな要素が関係しておりますので、船舶の大きさのみに関係しているとは言えないというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は造船工学の専門家ではありませんけども、先ほどからお配りしました写真の波を見たら、やっぱり小さいということは、いろんな要素の中でも一番転覆するのにかかわってるんじゃないかというふうに思います。
先ほどから部長の答弁の中で、私も言いましたけど、不法、不法係留と。だけど、和歌山に住んでて家の近くに船を所有して、20分ぐらい行ったらすばらしい漁場があって、いつもおいしい魚が食べられるというのは、和歌山県民の特権だというふうに思うんです。置くとこをつくらんと船持った人はみんな不法やと。私は、船を置くような施設を整備することは県政の大きな課題の一つだというふうに思いますので、今、和歌山、海南、有田、そして日高のほうでも調査中というふうに聞いておりますので、ぜひ整備をしていただきたい、要望をしたいと思います。
しかし、さっきから申し上げておりますように、船を持ってるといっても日高川にしか置いたことがなければ、海のことはやっぱりよくわかりません。港をつくるすばらしい土木工学の知識を持って、しかもできてもう10年以上たつ、管理をしてる県が、本当に県民に置かせてやってるみたいなことで、事故があったら自己責任と。私は、本当に不親切なやり方だというふうに申し上げておきます。
次に行きます。第3問は、空き家という視点に立って、防災対策について3問質問をいたします。
今回の台風では住宅被害が多発しましたが、特に空き家は日ごろの管理不足から、屋根の飛散や壁の崩壊で近所の住宅や自動車に多くの被害が発生しました。
しかし、本当に恐ろしいのは南海地震であり、空き家は倒壊して避難路を塞ぎ、火災の延焼を拡大する超危険因子として放置できません。現在、空き家法が施行され、何となく進んでいるような印象を持ってましたが、台風後、市内を回って、こんな調子ではとても県民の命は守れないというのが私の感想です。
そんな迷惑な近所の空き家に関して、御坊市内の自治会長から2件の相談がありました。
1件は、空き家の所有者が取り壊しを希望し、業者も決め、市に補助金を申請しているのに、返事がないというものです。
御坊市に問い合わせると、「5件の予算に対して17件の応募があり、現在は申し込み順としているが、優先順位をつけるとしても絶対的に予算が不足している。さらに今回の台風で希望者が増加する」との説明でした。
御坊市は、上限80万円まで国と市で補助するという制度ですが、市内の空き家事情や申し込み状況から、国の予算が許す限り対応したいという意向でした。
空き家率18%で全国ワースト3位の本県において、空き家対策は市町村事業などと言ってると、生活排水同様、全国から取り残されてしまいます。ぜひとも県も主体的に取り組むべきですが、まずは予算不足に対していかに取り組むのか。
もう1件は、所有者が孤独死した空き家で、相続人は相続を放棄すると言っています。市では相続人に対して、相続を放棄しても一定の管理責任があることを説明していますが、対策が講じられていません。
空き家対策では、利害関係者が存在しない特定空き家に対しては市町村が利害関係人となって、空き家の取り壊し、清算ができることになっています。
しかし、御坊市のように地価が現在でも下落傾向にある自治体では、土地を売却しても清算できないばかりか、土地が売れない可能性があります。また、地上権だけの場合もあります。それでは市町村が空き家対策を真面目にやればやるほど財政負担が重くなります。
そもそも不動産価値が低く、空き家が増加している過疎の市町村が積極的に空き家対策に取り組めるよう、国や県においてもさらなる財政支援ができないか、あわせて知事に御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 適切に管理されていない空き家は、防災や衛生あるいは景観上、地域住民の生活環境に大きな影響を及ぼすとともに、土地の流動化を図り、地域の活性化を進める上でも大きな阻害要因となり得ることから、空き家対策は喫緊の課題であると認識しておりまして、特に和歌山においては多いもんですから、これは切実な問題だということでございます。
そのため、まだ空き家法がないころでございますが、県は、平成24年から国に先駆けて建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例をつくり、行政代執行を実施するなど廃墟対策に取り組んできたところでございます。
この先駆的な対策を踏まえて空き家法ができまして、今は使うべき手段はそちらに移っております。そういう意味では市町村が主役ということに現在なっておりますけれども、県も一体となって各種の取り組みを進める必要があると考え、県、市町村、学識経験者等で組織する和歌山県空家等対策推進協議会を設立し、三つありますが、「どんどん使う」、「そのままキープ」、「新しく使う」をキーワードに、空き家の状態に応じた対策を総合的に推進しております。
一つ目で御指摘の予算不足に関しては、必要となる国費の確保や補助金を活用するための計画策定について、事業主体である市町村がもちろん活動しなきゃいけませんけれども、我々はよりリーチが長い、あるいはお願いをする力が強いというふうに思いますので、それはもう全力を挙げて協力をしていかないといけないというふうに思っております。
二つ目で御指摘の所有者不明等の場合の支援に関しては、調査や手続が非常に複雑になることから、市町村が共通の考え方に基づき積極的に取り組んだらいいということで、県と市町村で協議会をつくりまして、いろんなことを共通に申し合わせをしております。
例えば、どういう程度の空き家を具体的に手をつけていくかとか、あるいは所有者等を確知できない場合に市町村がとり得る略式代執行や財産管理制度等の手続や注意点を取りまとめてマニュアルを策定したとか、あるいは技術的な助言や事例の共有など、市町村の取り組みを支援さしていただいてるところでございます。
こうしたマニュアル等を活用しても、なお所有者不明の特定空き家等の処理を進めるためには、跡地の活用とか処分とか、あるいは予算の確保など、個々の事案ごとにさまざまな課題があると思います。
これらの課題に関しましては、これまでの県独自の条例の施行とか、あるいはそのほか協議会で活動したこととか、そのほかたくさんの取り組みや経験を生かして、市町村が抱える多様な問題に対して効率的な手法を提案するなど、適切に相談に応じてまいりたい、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 空き家対策は、究極のところ、誰も利用しない、それについてずうっと突き詰めていくと、やっぱりお金で清算をしないといけないというところがあると思いますので、ぜひお考えをいただきたいというふうに要望しておきます。
時間がなくなってきたので、もう質問を、考えたよりもうんと短くしてやってるんですが、答弁につきましても、済みませんが、核心のとこだけ答えてください。
次は、住宅の耐震化であります。
私は肌で感じて、実際に今、県の住宅の耐震化は75%、御坊市でも74.3%というふうに言われてるんですけども、本当にそんなにあるのか。今回の台風の後を見たら、もう絶対ないなというふうに思ってるんです。実際に耐震化率は推計ですから、私は1軒ずつ本当に調査したらいいんじゃないかと。
知事が「1人の県民の命も失わない」というふうに方針を出されてます。もう私、すごくすばらしい方向性、知事が言うべき、指し示す方向性だというふうに思います。
しかし、これなかなか実際にそれを実現するのは難しいんですが、そういう趣旨でやるなら、推計というんじゃなくて1軒ずつやるような、本当に地についた確実行政をやる必要があると思いますけども、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 住宅耐震化についてのお尋ねをいただきました。
住宅の耐震化につきましては、中村議員御指摘のとおり、非常に私どもも重要なことだと考えておりまして、県におきましても、これまで住宅耐震化促進事業の制度創設以来、さまざまな制度拡充を行いまして、全国的にも手厚い補助制度を用意し、住宅耐震化の促進に努めてきたところでございます。
また、「災害による犠牲者ゼロ」を実現するための大変重要な防災・減災対策の一つとして、県の長期総合計画にも位置づけ、住宅耐震化率100%を目標に取り組みを進めているところでございます。
住宅耐震化率につきましては、5年に一度実施される住宅・土地統計調査の数値をもとに県が推計してございます。今年度は調査実施の年度となっており、来年度中には新しい耐震化率が示せる予定となっております。
中村議員御質問の耐震化の全戸の実態調査につきましては、行政コストや所有者の意向の問題等があり県においては実施してございませんが、県では、耐震性が不足する可能性のある住宅を対象に、現在23の市町村において建築士会とも協力して戸別に訪問を実施させていただいているところでございます。そして、住宅所有者に直接、耐震診断やその結果に基づく耐震改修の実施を働きかけているところでございます。
この戸別訪問の実施に当たっては、市町村が事前に個々の住宅の建築年等を調査いたしまして、訪問対象となる住宅をリストアップした上で実施することとしております。
県といたしましては、この事前に整理したデータと戸別訪問の結果などによりまして、進捗状況のより適正な把握に努めつつ、より一層の住宅耐震化の促進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に行きます。
県では、災害時の避難用アプリとして「和歌山県防災ナビ」を配信しています。災害時に自分がいる場所から安全な場所への最短避難ルートを表示してくれるほか、災害情報や家族の安否の通知、訓練の記録などができる大変便利なツールです。そのため、9月15日現在で1万7078件のダウンロードがあったそうです。
しかし、現在のところ、避難路沿道には空き家など未耐震の住宅が存在するため、また、今回の台風のように電柱や看板なども障害物となり、せっかく最短ルートで避難しても通行不能の場合があります。そのときは、どこかの地点に戻り、新たなルートを探すことになります。
最初に通る人は仕方がないにしても、現在のシステムでは2人目以降の人もわざわざ通行不能箇所まで行って通行不能を確認して戻ってこなければなりません。避難時には秒単位の時間が生死を分けることから、短時間で避難できるよう、2人目以降の人には通行不能箇所は初めから通らないルートの表示ができないものでしょうか。
平成26年の広島土砂災害では、隣人のツイッター情報により危険箇所を回避して生き延びた話を聞きました。災害時には、現場の生きた情報が避難者の生死を決定します。
例えば、避難達成者が実際に通過した避難ルートを探知、解析することにより、最短避難ルートを判定してルート検索に反映する方法が考えられます。さらに、無事避難したルートの情報が集積すると──蓄積かな──避難ルートの安全性ランクが判明し、単なる最短避難ルートを表示するだけではなく、確実性が高いルート情報が提供できます。
このようなデータ解析こそ本県が誘致した統計データ利活用センターの得意分野であり、大いに活用すべきではないでしょうか。
また、防災や地図製作の研修を受けた資格者により、災害時に安全な避難場所へ避難した後に、通行不能箇所や危険箇所、有効な避難ルートをアプリに反映させるマッピングの方法も考えられます。
和歌山県防災アプリの改良について、危機管理監に伺います。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 防災ポータルアプリ「和歌山県防災ナビ」は、南海トラフ地震等の大規模災害時に的確な避難ができるよう、全国に先駆けて本県独自に開発したものでございます。
このアプリは、議員御指摘のとおり、多くの災害時の避難に確実に役立つ機能を搭載しております。多くの方々にこのアプリを活用していただけるよう、議員御提案のAIを用いたビッグデータの解析等の最新技術や利用者からの意見を参考にしながら、実現可能なものについては、できる限り機能の改良に努めてまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後は、クリスパー・キャスナインというゲノム編集技術について伺います。
県のセミナーで、卵のアレルギーのもとをゲノム編集で取った卵があるというのを聞きました。産総研の関西センターに大石先生という方がいらっしゃるので、行ってお話を聞いてきました。
もともと、卵自身を守るためにアレルゲンがあるんですが、子供たちには卵アレルギーという子供が多くいます。栄養のことや食事のことを考えると、アレルゲンがない卵がすごく便利だというふうに思います。
この卵を開発したのが、うまくできるようになったのが、クリスパー・キャスナインというゲノム編集の方法で、この編集方法を発明した人はノーベル賞候補というふうに言われております。世界中で今この技術で、農業や、それから医学で技術的研究が進んでるというふうに思います。
和歌山県も将来やっぱり発展していくために、こういう新しい技術を取り込んで県の発展を目指していくべきというふうに考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 実は、告白いたしますと、中村議員の質問をいただく前は、このクリスパー・キャスナインという概念、用語を知りませんでした。
しかし、お話をお聞きして、これは将来大変なことになるなあというふうに思ってる次第でございますけれども、まだまだでき上がりつつあるばっかりの、しかも巨大な技術だと思います。
我々は、それを自分で全部できるというほど、最小最適規模の問題とか、あるいはコストパフォーマンスとかそういうことがございますので、すぐには無理かもしれませんが、こういう新しいものについてはいつも注意をして、せっかくの御指摘でございますので、フォローしながら必要に応じて対応していきたい、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、知事に県立医大薬学部をつくるときにも申し上げました。過去100年間足りなかったから今の衰退があるというふうに思います。これからの100年を考えましたら、今、私たちが努力をする、特に、ふるさとで生まれ育った子供たちが和歌山で勉強する、そしてまた和歌山で働けるようにする、これはもう和歌山県が目指すべき最大の方向だというふうに思っております。
私は、ぜひ知事に夢を語っていただくような県政をお願いしたいと思いますが、この議会、もう私が最後の質問となりました。知事も任期を迎えられようとしておりますが、そういう意味で感想があれば一言お聞かせください。
○議長(藤山将材君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、知事の仕事として、情熱を持って県民を幸せにする、あるいは県の勢いを盛んにするということが使命だと思いますが、その際には、県民の方々が夢を持ってみずから頑張っていただくというモチベーションを高める、そういうことも大事だと思います。そういう意味で、私の立場として、御指摘のように夢を語らないといけないというふうに思っております。
また、今回の災害でも明らかなんですが、和歌山県の災害対策ってとっても進んでおるんでございますけど、やっぱり100点というわけではございません。反省をしては改善をしていくということを常にやっていかないといけないし、また、そのクリスパー・キャスナインのように新しい要素についてもおくれないように、頭を鍛えてフォローしていかないといけない。それを全て動員して県勢を盛んにし、県民を幸せにしてまいりたいと考えております。(「知事、頑張れ」と呼ぶ者あり)(拍手)
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞ知事、頑張っていただきたい。心から思いまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第117号から議案第133号まで及び議案第136号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号は所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。9月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、9月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時54分散会