平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第117号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 5番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、おはようございます。
 質問に先立ちまして、さきの台風20号、21号でお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様にも心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を願うものでございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、以下6項目にわたって質問をさしていただきます。
 まず最初に、ロケット発射場誘致の進捗状況、経済効果についてでございます。昨年12月の和歌山県議会においても一般質問させていただいた、串本町への小型ロケット発射場の誘致についてお伺いをいたします。
 本年1月27日の「日本経済新聞」朝刊1面では、「民間初ロケット発射場 キヤノン系など 和歌山に21年」という見出しで、串本町での発射場建設の検討を進めることが記事となりました。
 従来の宇宙開発は、国家主導で進められてきた大型プロジェクトによらなければならないものでしたが、技術の進歩の中で小型ロケットが実用化され、民間でも取り組み得る事業となってきました。アメリカなどでは、民間ベンチャーによる宇宙ビジネスが本格化しようとしており、小型衛星を活用した宇宙ビジネスは、21世紀の最先端産業の一つになるものと思います。
 こうした中で、キヤノン系企業などによる新たなロケット企業の誕生は、我が国の宇宙産業を牽引する貴重な礎になるものと思いますし、その活動の中核となる発射場が我々のふるさとにできれば、串本町、そして和歌山県が日本の宇宙産業の一大拠点となり得るものと、大きく期待をしております。
 本格的に誘致活動を開始してから1年余りがたとうとしていますが、串本町への小型ロケット発射場誘致の進捗状況はいかがでしょうか。
 また、昨年12月の議会の一般質問でも述べたとおり、誘致が実現すれば、観光客の増加も含め、地域に大きな経済効果を生むものと期待しております。県としては、小型ロケット発射場を誘致した場合にどのような経済効果があると見込んでいるのか、商工観光労働部長にあわせてお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘のとおり、県では、昨年より、キヤノン電子を初めとする4社が出資して立ち上げたスペースワン株式会社が計画する小型ロケット射場の誘致に取り組んでおります。
 誘致を行う中で、先方から、立地場所を決定するに当たっては、地元との関係では、一つ目として、現地での測量等の技術的な調査を行い、当該土地が射場建設にふさわしい土地であることが確認できるか、二つ目は、土地の取得見通しが立つか、三つ目として、地元関係者の理解が得られるか、この三つの要素を見きわめる必要があるとの話を聞いておりましたので、これまで主に同社と地元との関係構築のための支援を行ってまいりました。具体的には、地元で地権者等の直接事業に関係する方々を対象とした説明会を5回開催したほか、地元自治体、漁協、自治会等の方々を御紹介するなど、先方が事業化判断を行うために必要な情報収集への協力を、きめ細かく行ってきたところです。
 こうした取り組みの成果もあり、本年1月には、同社より、串本町は射場建設地の有力な候補地の一つとの評価をもらうまでに至っております。
 また、同社は、もともと資本金1億円の会社としてスタートしたのですが、本年7月には増資をし、事業化に向けた検討を本格化させていると承知しております。
 これらのことから、事業は着実に前に向かって進んでいるものと考えておりますが、一方で、和歌山県への射場の立地実現については、現時点で、同社から、既存の射場の活用も含め、他の選択肢との比較考量を行いながらあらゆる可能性を検討している段階であると言われており、なお予断を許さない状況であると認識しております。
 こうした状況にあることから、県としては、気を緩めることなく、可能な限り早期に当県への立地が実現するよう、引き続き積極的な誘致活動を行ってまいりたいと考えています。
 次に、小型ロケット射場の立地が実現した場合の県内への経済波及効果についてでございますが、県で独自に行った試算では、建設投資による経済波及効果が28億円、射場運営による経済波及効果が年51億円、観光消費による経済波及効果が年13億円と見込んでおり、単純にこれらの数字を積み上げますと、10年間で670億円程度の経済波及効果があるのではないかと見込んでおります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。
 大変大きな経済効果があることが、数字を示していただけると、本当に心に響いてきます。どうか頑張ってくれるようお願いします。
 それを受けまして、積極的な誘致策についてお伺いをいたします。
 新たなビッグプロジェクトには、また大きな困難も伴います。ロケット発射場ともなれば広大な敷地を必要とし、その確保だけでも大変な労力が必要となると思います。
 これまで県の取り組みについて答弁がありましたが、地元である串本町においても、本年3月、旧古座町役場である古座分庁舎内に民間ロケット射場誘致推進室を開設し、町役場のOB2名を臨時職員として配置するなど、用地交渉を中心に、全力で事業者をサポートしています。
 これまでの取り組みは大いに評価いたしますが、引き続き地元の人たちとも協力し、小型ロケット射場の誘致実現に向け、全力で取り組んでほしいと思います。
 一方、事業者は、串本町はあくまで有力な候補地の一つであり、他の選択肢との比較考量を行いながらあらゆる可能性を検討しているとのスタンスであるとのお話がありました。一部報道では、北海道、鹿児島県も民間ロケット発射場の誘致に取り組んでいるとの情報もあります。宇宙産業は、今後の日本経済を牽引する有力な産業の一つであり、10年で670億円という大きな経済効果を生む事業ということであれば、全国の地方自治体も黙って見ていないのではないかと心配をしております。
 本年6月議会で坂本議員も述べておられましたが、経済産業省出身の知事は、個人的なネットワークも生かしながら、本県の産業振興、とりわけ企業誘致に積極的に取り組んでこられ、就任以降198件の企業誘致に成功しているなど、着実に成果を上げていることを評価しています。
 一方で、私の住む串本町を初めとする紀南地域においては、企業誘致実績が乏しいことも事実であります。都市部からの物理的な距離が離れているため、不利な状況に置かれてきた紀南地域にとって、本件は千載一遇のチャンスであります。ライバルとなる他の地域に打ち勝ち、何としても和歌山、串本への小型ロケット射場の立地を実現していきたいと思っています。そのためにはこれまで以上に積極的な誘致策を展開すべきであると考えますが、県としてはどのように考えているのか、知事にお答えをお願いします。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、鹿児島県や北海道などで民間ロケット射場を誘致する動きがあるとの報道があることは県としても承知しており、本県への立地が実現するかは、なお予断を許さない状況だと考えております。
 こうした状況の中、一層強力に当県への誘致を働きかけるため、先方に資金面での支援を行うことを提案していきたいと思っております。
 具体的には、これまで企業誘致のために設けてきたわかやま版PFI制度という仕組みの一部を見直し、誘致対象企業が行う土地の造成等に係る費用の一部に充てるため、県から無利子、長期の資金を貸し付けることを考えてるわけでございます。いわば、もともとのPFI制度──わかやま版でございます。わかやま版というのは、世の中と逆になっとるんでございますけども、これについては、現物でそういうのを用意をしますがどうですかというようなことでございましたが、今度はお金でそれもできるんじゃないかということで、その可能性も開きたいと思ってるわけでございます。
 こうした取り組みを行うことについては、お金の貸し借りでございますから、貸し倒れの懸念などがあるといかんというふうに思っとるわけであります。このため、わかやま版PFI制度では、支援の決定を行う前に、法律や金融の専門家による第三者委員会の意見を聞き、確実な返済が担保されていると認められるかどうかといった一定の条件を満たした場合に、支援を行うことをルール化しようと思っております。
 県といたしましては、この支援を行うことによって、いわゆる事業に参加して事業リスクを負うということとか、あるいは、割と過去には多かったんですが、第三セクター的に一緒にやるということではない。そういうことを考えているわけでは、全くございません。ルールに基づき、支援を行うかどうかをしっかり見きわめていこうと考えております。
 実際に支援を行うかどうかは、事業者からの申請内容を精査してからでないと明確なことは申し上げられませんが、このような支援策があるということを先方に伝えることができれば、当県への立地を働きかけるための強力な手段になるというふうに考えております。
 これまで企業誘致が進んでこなかった紀南地域における千載一遇のチャンスであるということは、議員の御指摘のとおりでございまして、県全体の発展に大きく寄与することが期待できる本件、この案件の実現のために、議会の皆様にも、ぜひ御理解、御支援をいただきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。知事の本気度が伝わってまいりましたが、具体的には、最大でどのくらいの規模の支援策となる可能性があるのでしょうか。お答えをお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、実際の支援規模については、事業者からの申請を待った上で、その内容を精査してみないとわかりませんが、融資の対象となる土地の取得、造成費は、県独自の試算として、最大で50億円程度になるんじゃないかと想定しております。
 もちろん県としても、この全額をどうぞどうぞと言って支援をすることは考えておりませんで、相手に自分で調達してもらうというのが基本ですから、相手がある交渉事のため、現時点での見通しを正確に申し上げることは難しいんでございますが、最小限の負担で射場立地の実現という最大限の効果を上げるべく、支援額については先方とよく議論をしていきたいと思っております。
 その上で、今後事業者から支援の申請があった場合には、その内容をしっかり精査し、必要な予算については改めて議会にお諮りしたい、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 今、知事から力強い答弁をいただいて大変うれしく思いましたが、やはりこの事業は串本町だけではなく、本当にオール和歌山、それで取り組まなくちゃならない事案だと思いますので、私たちも全員頑張りますが、議会の皆様もどうかよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、南紀ジオパークについて質問をさせていただきます。
 南紀ジオパークについては、独特の地形で従来から観光地として人気のあった一枚岩なども地形の成り立ちなどの観点から再度魅力が発信されており、また、これまでスポットが当たっていなかったものの、世界的にも珍しい地形を誇るジオサイトが新たに紹介されるなど、ラムサールの海や高野・熊野の世界遺産と並んで、熊野観光の魅力の一つの柱となってきております。
 そのような中、南紀熊野ジオパークの拠点施設として南紀熊野ジオパークセンターが串本町潮岬に建設されるということで、平成28年12月議会で質問させていただきました。その際には、環境生活部長から、地域の魅力を幅広く発信する拠点として、観光客、地元、学校など幅広い分野の方々に利用してもらえる施設を考えているという趣旨の答弁をいただきました。
 あれから2年弱たち、来年夏の完成まで1年を切ってきましたので、施設の建設計画は、より具体的に進んでいることと思います。地域の方々も、南紀観光の一つの拠点にもなる施設として期待をしております。建設計画は順調に進捗しているのか、どのような施設になるのか、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) まず、ジオパークセンターの建設状況についてでございますが、来年7月のオープンを目標に、現在、順調に進捗しております。
 次に、施設の内容についてでございますが、ジオパークセンターは、プロジェクションマッピングによる迫力ある映像や、手動により大地の動きやでき方を再現する体験装置、スタッフによる津波や河川の実験など、ジオパークの魅力や大地の成り立ちをわかりやすく学び、楽しむことのできる観光学習施設でございます。また、英語や中国語にも対応し、世界に向けて南紀熊野の魅力を発信するとともに、専門家が常駐する調査研究機能や、ジオパーク関係者が集う地域活動育成機能を備えた施設でございます。
 さらに、このジオパークセンターは、各ジオサイトを双方向のネットワークで結ぶ拠点施設とするとともに、エリア内の観光や各種イベントなどの情報も備え、観光客、地元、学校などさまざまな方に利用していただく、南紀熊野全体の地域振興に寄与する施設にしていこうと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。でも、話をいろいろ聞いても、言われるだけでは、映像とかそういうのを見ないと、でき上がってみないとやっぱりわからないもんだなあと思いましたけど、知事を初め和歌山県紀南の観光の拠点になるようにやるというんで、それを信じて完成を待ちます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 次に、ジオサイトまでのアクセスについてでございます。
 拠点施設が整備されれば、センターを基点としつつ、より多くの方がジオサイトを訪れることが期待されます。
 南紀熊野ジオパークは、プレートの沈み込みにより生み出された付加体、前弧海盆堆積体、火成岩体という3種類の大地を見ることができる、全国的にも貴重な地域であります。せっかく紀南の地まで足を運んでいただいた方には、それらの大地をできるだけ多く間近に見ていただき、何千万年もの時間をかけてつくられた大地の歴史を感じて帰っていただきたいと思います。
 そのためには、観光に来られた土地カンがない方でもスムーズにジオサイトを訪問することができるように、標識の設置や歩道の整備などが重要となると考えます。そのような目で主要なジオサイトを見ていきますと、一枚岩や橋杭岩、千畳敷などはアクセスもよく、休日などには多くの観光客が訪れているようです。
 一方で、気になっているのが、すさみ町のフェニックス褶曲へのアクセスです。このフェニックス褶曲は、砂岩層が折り畳まれた様子がよくわかる世界的にも有名なものであり、ぜひ見て帰っていただきたいものですが、現状では、観光客の方が気軽に訪れることは難しい状況です。歩道の整備等も必要と考えますが、いかがでしょうか。環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 世界的にも有名なすさみ町のフェニックス褶曲へのアクセスにつきましては、途中が急な崖地になっており、また一部のいそ場は干潮時にしか渡れないなど、議員御指摘のとおり、観光客の方が気軽に訪れることは難しい状況です。
 このような中、海路からのアプローチとして渡船によるフェニックスツアーが可能となっており、例えば、すさみ町観光協会による「枯木灘海岸満喫!ジオクルージング」なども実施されております。
 陸路につきましては、すさみ町が民有地を買い上げ、現在、環境省が現地の自然環境に適したアクセス歩道の整備に向けての準備を進めているところでございます。
 地形などの制約がある中で、安全にアクセスできる仕組みづくりを含め、すさみ町、環境省、県の3者で知恵を出し合い、できるだけ早急に整備ができるよう努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁をいただきました。やはりフェニックス褶曲は、写真で見ましても、近くで見たいですよね、さわってみたいですよね。船で遠くから眺めるもんじゃなしに、やはり近くで歴史を感じたいと思うんですよね。船で見た人も、多分、あれちょっと近くへ行きたいなと思うはずです。ぜひ3者が力を合わせて、歩いて行けるように、そういう歩道をつくっていただけるように要望しておきます。
 次に、日本ジオパーク再認定の見込みについてお伺いをします。
 地形的な制約もあることと思いますが、すばらしいジオサイトを多く見に来ていただけるよう、整備を進めていただくようお願いします。
 最後に、ジオパークについては、4年前に初めて日本ジオパークの認定を受けたところですが、日本ジオパークは、4年に1度の再認定をクリアしないと認定が取り消されてしまうと聞いております。
 世界ジオパークを目指すための重要なステップとして日本ジオパーク認定を受けるのですから、再認定は確実にクリアする必要があると考えますが、再認定の見込みについて、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 日本ジオパークの再認定の見込みについてでございますが、議員御指摘のとおり、南紀熊野ジオパークにとって今回が初めての再認定審査であり、11月の現地審査を経て、来年1月の日本ジオパーク委員会で審査結果が公表される予定となってございます。
 南紀熊野ジオパークでは、この4年間、ジオパークによる持続可能な地域づくりのため、100名を超えるジオパークガイドの育成や、ガイドブック、ホームページ、SNSなどによる情報発信、解説看板の整備などに努めるとともに、研究助成事業の創設、県内全ての中学1年生への学習用ハンドブックの配布、国内外のジオパークとの連携や交流など、積極的にジオパーク活動に取り組んでまいりました。
 これらの活動実績が評価され、再認定されるものと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。
 日本ジオパークの再認定については、昨年の山陰海岸ジオパークの審査では、「ジオパーク内のあらゆるレベルでの連携を欠いており、持続的な運営形態になっているとは言いがたい」などの厳しいコメントが並ぶなど、条件つき再認定となり、また、過去には、茨城県北ジオパークが認定を取り消しになった例もございます。
 和歌山県ではそのようなことはないと思いますが、油断せずに準備していただいてぜひ今回の再認定をクリアしていただき、次の世界ジオパークの認定に向けて頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に入ります。修学旅行の誘致についてでございますが、県内への修学旅行の誘致の実績について、お伺いをしたいと思います。
 修学旅行の誘致については、平成21年ごろから、漁家民泊などの制度を活用し、地元の家庭に修学旅行生を受け入れるという取り組みが行われており、地元の串本町でも活発に受け入れが始まりましたので、そのころから関心を持ち、制度の構築などにもかかわってまいりました。
 和歌山県では、世界遺産に認定された寺社、仏閣、参詣道を含む歴史に彩られた文化遺産があり、また、美しい海や山、川など豊かな自然を生かした体験型観光のメニューも充実しており、地元の方との触れ合いを感じることのできる民泊なども含めて、豊富なコースをそろえて、県内への修学旅行に多くの生徒に来ていただけるよう、全国の学校に対して旅行誘致の働きかけを進めていると思います。
 漁家民泊を始めたころから考えると10年程度たってきましたが、これまでの旅行誘致の働きかけの状況や、最近の修学旅行に来られている実績などについて、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 修学旅行等教育旅行につきましては、平成22年度より、宿泊施設や市町村、県及び県観光連盟等から構成される和歌山県体験型教育旅行誘致協議会を設立し、官民一体で国内外からの教育旅行の誘致に取り組んでいるところです。
 国内の教育旅行につきましては、協議会メンバーで他府県の学校及び旅行会社を年間約120カ所訪問し、本県のPRを行うとともに、各学校のニーズに沿った提案を行う等、誘致活動を行っております。
 訪日教育旅行につきましては、今年度より教育旅行コーディネーターを配置し、来県する生徒と県内生徒がともに異文化に触れる絶好の機会である学校交流のマッチングを行うとともに、台湾、香港、オーストラリア等現地に赴き、プロモーション活動を実施しているところです。
 また、教育旅行誘致の実績につきましては、昨年度は国内66校、海外22校の計88校、本年度につきましては、9月20日現在、予定を含みまして国内51校、海外29校、計80校となっており、平成21年度以降、順調に推移しています。
 今後とも、和歌山ならではの資源を活用した教育的効果の高い九つのテーマ別学習プログラムや、地域の人と交流する民泊体験など、和歌山だからこそできる教育旅行プログラムをセールスポイントとして誘致に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 すばらしい成果に驚きました。ましてや、日本だけではなしにインバウンドまでもやっていただいてるという、本当にありがとうございます。ぜひ、これからも頑張って続けていただきたいなと思います。
 それで、一つ提案なんですけれど、クルーズ船、我々の県では、和歌山下津港、日高港、新宮港においてクルーズ船を呼び込むことができるよう、港湾設備の整備、改良が進められておりますので、最近では、その新宮港にもよく入ったという話も伺いますが、その教育旅行へクルーズ船を使うということは考えられないのでしょうか。そういうのがあれば、ちょっとお答えを願います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) クルーズ船を活用した教育旅行につきましては、東京の私立の小学校が過去に来県していただいておりますが、全国的に採用している学校は、まだまだ少ないと承知しております。
 教育旅行は、将来和歌山県を再訪する潜在的なお客様である県外の児童生徒が、和歌山の魅力に触れる絶好の機会であると言えます。今後とも、未来の和歌山ファンをふやすために、和歌山ならではの教育的効果の高い旅行プランを提案するとともに、来県方法につきましても、クルーズ船や飛行機、新幹線利用など各学校の要望に沿って提案を行い、公立学校はもとより、私立学校の教育旅行誘致にもさらに努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。1校でもあったというのは、ちょっと質問した僕もびっくりしたんですけど、学生の教育旅行は非常に少ないようなんですけれど、企業の新入社員とか企業教育の中で、非常に今クルーズ船が使われているという話もございますので、ちょっと教育のほうと違いますけど、それを要望しておきます。それのほうを一生懸命頑張っていただければと思います。
 次に、コミュニティ・スクールについてお伺いをいたします。
 コミュニティ・スクールについては、平成24年9月議会、また平成28年12月議会でも質問をさせていただき、教育長から御答弁をいただきました。
 平成24年9月議会時点では、新宮市立光洋中学校1校での導入ということで、慎重に検討を進めていくという御答弁であり、平成28年12月議会の答弁では、市町村教育委員会とも連携して、コミュニティ・スクールの小・中・高等学校での導入について、平成29年度から推進していく旨の答弁をいただきました。
 十分な検討がなされて、いよいよ積極的に進められているのだと理解しましたが、その後、県内でのコミュニティ・スクールの導入は順調に進んでいるのでしょうか。8月23日には、コミュニティ・スクールの全国フォーラムを県民文化会館で開催し、盛り上がったとも聞いております。また、きのくにコミュニティスクールを形式だけ導入するのではなく、地域と保護者、学校の職員が一体となり、子供たちのためにさまざまな活動を行っていくという実のあるものにしていく必要があると考えます。
 導入の進捗状況と、コミュニティ・スクールの導入によりどのような効果を見込んでいるのか、あわせて教育長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) きのくにコミュニティスクールにつきましては、県教育委員会では、市町村教育委員会とともに、平成29年度からの3年間で県内全ての公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に導入するよう取り組みを進めているところです。現在、小中学校では68%、県立学校では100%の学校で設置しております。
 学校と保護者、地域住民が目標を共有し、一体となって子供たちを育んでいくことは、子供の豊かな育ちを確保するとともに、そこにかかわる大人や地域のきずなを深め、地域づくりの担い手を育てていくことにもつながります。既にコミュニティ・スクールを進めている県内の学校からは、学校と家庭や地域が連携した取り組みとして、通学路における安全確保や、家庭における読書習慣の定着、高校生による小学生への学習支援、伝統行事への参加、地元産品を使った商品の開発等が報告されております。また、学科改編を含めた学校の長期ビジョンについて議論をした高等学校もございます。
 このような取り組みを通して、子供たちは地域の実情や課題に気づき、地域の一員であるという意識が高まるとともに、大人も地域を改めて見詰め直す機会となってございます。これは、コミュニティ・スクールの大きな成果であると考えております。
 本県の取り組みは全国的にも評価され、去る8月23日に文部科学省主催のコミュニティ・スクールの全国フォーラムが本県で開催され、本県の各学校の取り組みが紹介されたところです。また、県内からも多くの参加者があり、コミュニティ・スクールの意義を共有するとともに、機運の醸成を図ることができたと考えております。
 コミュニティ・スクールでは、学力やいじめ、不登校、家庭教育、また現在課題となっている部活動や教職員の多忙化、さらに将来に向けての学校や地域のあり方など、各学校のさまざまな課題について具体的に協議し、学校、家庭、地域が一体となって実践されていくものと考えております。
 県教育委員会といたしましても、コミュニティ・スクールが形骸化することのないよう、市町村教育委員会とともに、地域が人を育み、人が地域をつくる取り組みを推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 次に、学校の職員についてお聞きをいたします。
 学校には、教員や事務職員を初めさまざまな職員がいます。学校のあり方も変わってきている中、各学校において、どのような体制でそれぞれの役割を果たしていくのでしょうか。
 また、平成29年3月には学校教育法が一部改正され、事務職員の職務内容が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に改正されております。この改正によりどのように職務が変わってきているのでしょうか、あわせて教育長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供たちを取り巻く課題は複雑化、多様化しており、その解決のためには、学校が組織的に教育活動に取り組む体制を整備するとともに、専門スタッフと連携、協力する体制を整備し、チームとしての学校の機能を強化していくことが重要となっております。
 県教育委員会では、さまざまな課題に対応するため、教職員に加えてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員、部活動指導員等、多様な専門性を持つ職員を配置しております。各学校においては、校長のリーダーシップのもと、教職員とこれらの職員が一丸となって、一人一人の子供へのきめ細かな対応や教育活動を充実させているところです。
 議員御質問の学校事務職員につきましては、平成29年4月1日に学校教育法第37条第14項の事務職員の規定について、「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に改正されました。今回の改正は、教育指導面や保護者対応等により、学校組織マネジメントの中核となる校長、教頭等の負担の増加や、教員が子供の指導以外の多種多様な業務に携わっている状況がある中、総務、財務等に通じる専門職である事務職員が管理職を補佐し、教員の事務処理を軽減する役割を担うことが求められております。具体的には、地域や外部と連携するための会議の事務処理について、管理職の指示のもと、文書の作成や発送、管理職が立案した議案の作成、会場準備などのことも考えられます。
 県教育委員会としましては、校長のリーダーシップのもと、多様な人材がそれぞれの専門性を発揮し、チームとしての学校の機能が一層高まり、学校運営が円滑に行われるよう各学校を指導してまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。コミュニティ・スクールの導入が進んでいることがよくわかりました。また、事務職員のかかわりについても、より積極的なものに変わってきているということがわかりました。
 このように、地域一体で支えるチーム学校という考え方に学校運営が転換していく中、学校が地域と連携しながら一つのチームとして機能するためには、校長のリーダーシップのもと、学校にかかわる全ての職員がチームの一員としての意識を持って、新たな学校運営にかかわっていくことが必要になってくると思います。
 また、コミュニティ・スクールの主な機能として、学校運営の基本方針を承認すること、学校運営について教育委員会または校長に意見を述べることなどがありますが、学校運営協議会の各委員がそれぞれの知見を生かして、より効果的に学校運営にかかわっていただくためには、学校は学校運営協議会の情報をしっかりと公開に努めるとともに、地域の方々がコミュニティ・スクールについての認識を深め、学校運営に関する理解を高めることも必要だと思います。
 文科省では、地域住民などを対象に研修会や制度説明会を行うコミュニティ・スクール推進員の派遣なども行っているとお聞きしておりますので、さまざまな制度を活用し、研修の場を設けることなども有効ではないかと思います。
 現場の各学校、市町村教育委員会ともに連携し、チーム学校という流れが和歌山県において有効に機能するよう進めていただくようお願いを申し上げます。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、串本古座高校での生徒の全国募集についてお伺いをいたします。
 串本古座高校での生徒全国募集も3年目を迎えます。来年の募集に向けては、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが全国から生徒を募集する公立高校の合同説明会、地域みらい留学フェスタ2018を全国4カ所で初めて開催し、串本古座高校も、6月23日の大阪会場、6月24日の東京会場、6月30日の名古屋会場と3回の説明会に参加したとお聞きしております。
 参加してみた際の感触やその後の学校への問い合わせなど、手応えはあったのでしょうか。教育長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 串本古座高校は、平成29年度に、グローバルな視点から地元の豊富な学習資源を活用し、地域に貢献する人材の育成を目指すグローカルコースを新設すると同時に、全国募集を開始いたしました。
 全国募集を進めるため、昨年度までは学校単独で他県で説明会を開催しておりましたが、今年度は、他県への進学を希望する生徒がより多く集まることが見込まれる一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが主催する合同説明会に参加いたしました。
 6月に大阪、東京、名古屋で行われたこの合同説明会では、串本古座高校のコーナーに69名という多くの中学生や保護者が訪れ、校長からは、学校の特色や魅力を十分説明できたと報告を受けております。また、この合同説明会に参加したことで、夏季休業中に実際に串本古座高校を見学に訪れた生徒もいました。
 串本古座高校は、今年度が創立100周年ということもあり、「101回目の出発」をキャッチフレーズとしたポスターの制作、ホームページ及びSNSの活用、さらには学校紹介動画の作成など、工夫を凝らした広報活動を行っております。こうしたことにより、例年に比べ資料請求や電話等による問い合わせも多く、学校は、全国募集に関する手応えを感じているとのことです。
 現在、全国募集枠で入学しているのは、1年生4名、2年生3名、計7名の生徒ですが、他の生徒とともに勉学やクラブ活動に励み、充実した学校生活を送っております。また、地域の方々からは温かいさまざまなサポートをいただき、生徒からは、地域の人はみんな優しく親しみやすいという声も聞かれてございます。
 教育委員会といたしましては、今後とも、さまざまな機会に学校や地域の魅力を伝えるとともに、学校の取り組みを支援してまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。今度は確かな手応えがありそうだなと、答弁を聞いててもそのように思いました。
 この串本のグローカルコースは、串本古座高校が存続するかどうかの、本当にそれによってどうなるかわからないと思っていますので、ぜひ教育長、期待しております。よろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、最後に、10月から11月にかけて開催される「世界津波の日」2018高校生サミットin和歌山について質問をいたします。
 11月5日の世界津波の日は、皆さん御承知のとおり、津波の脅威と対策について理解と関心を深めることを目的に、2015年12月の国連総会において全会一致で採択されたものであり、安政元年(1854年)11月5日、安政南海地震による津波が現在の広川町を襲った際、濱口梧陵が稲むらに火をつけ、津波から逃げおくれた村人を高台へ導き、多くの命を救った「稲むらの火」の故事にちなんだものです。
 「世界津波の日」高校生サミットは、一昨年の高知県、昨年の沖縄県に引き続き、今回で3回目の開催となりますが、今回は世界48カ国、国内からは49校、過去最多となる約400名もの高校生がここ和歌山に集まり、災害から命を守るため自分たちに何ができるかを議論し、ともに学ぶということで、大変すばらしい取り組みであると思います。
 8月22日には、主催者である仁坂知事、西岡広川町長、また、世界津波の日の提唱者である二階自由民主党幹事長、さらに、サミットの進行を務める日高高校3年生の中井さん、串本古座高校2年生の伊森さんが、東京で記者会見を行ったとお聞きしております。
 開催を間近に控え、改めてサミットの開催内容や本県で開催する意義について、知事にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 「世界津波の日」高校生サミットは、地震・津波などの自然災害から国民の生命、財産等を守る国土強靱化を担う将来のリーダーを育成することを目的に創設されました。
 「稲むらの火」発祥の地である和歌山に世界各国の高校生たちを招き、このサミットを開催することで、世界津波の日制定の由来となった濱口梧陵の精神を全世界に発信することは、大変意義深いものと考えております。
 11月5日が何ゆえ世界津波の日になったか、あるいはなるべきかということかもしれませんが、ある本によりますと、この世界津波の日の提言者の二階代議士は、国連総会で、この日は人類史上初めて人間が津波と闘って、部分的ではありましょうけれども、勝利した日だと。だから、アチェの震災に遭った日とか、チリの大地震の日ではなくて、この日がいいんだというようなことをおっしゃったそうであります。
 自然災害は必ず来るけれども、備えをしっかりして、そして、起こったら適切な行動と対策をとるということが大事なことだと思います。このことを世界の次代の指導者である高校生に学んでもらえれば、大変いいというふうに思います。
 日本は、濱口梧陵さんのひそみに倣って、国土強靱化に今乗り出しておりますし、和歌山では、特に世界有数の防災対策を備えつつあるわけでございます。こういうことをこの高校生たちが学んで、そして、次の時代には彼らが人々を守るリーダーになっていくわけですから、そういう意義がこのサミットにはあると思っております。
 サミットは、10月31日と11月1日の2日間、和歌山ビッグホエールで開催し、参加高校生は、災害について知識を得る、2番目に、災害に備え意識を高める、3番目に、災害から生き抜くの各テーマについて議論し、その成果を宣言文に取りまとめる予定でございます。
 なお、サミットの開催に先立ちまして、海外の高校生は10月28日に広川町で稲むらの火祭りに参加をしてもらう。それから、10月の29日と30日には、日ごろから防災活動に取り組んでいる耐久高校、日高高校、串本古座高校の生徒たちと一緒に防災学習を行うということになっております。
 サミットの開催を契機として、世界各国の若い世代の皆さんがお互いの交流を深め、サミットでの経験を生かして、将来それぞれの国における防災対策の指導者として大いに活躍していただくことを心から期待しております。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 やはり防災というのは大変大事だと思いますので、ぜひこれが途切れることなく続けていってほしいなあと思いますし、今、新聞をちょっと見たんですけど、小学校の運動会なんかでも、父兄が防災の訓練を競技にしてるような、そういうところもあるらしくて、棒を二つ置いて、洋服の袖にその棒を通して、その父兄を乗せてと、そういう運動会に取り入れているというような話もございますので、これからそういうのも少し教育長のほうなんかいろいろ考えていただいて、防災というのを皆さんで盛り上げていってほしいなと、そのように思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。

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