平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆様、こんにちは。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、大項目1、統合型リゾート(IR)について、小項目1、IR誘致に向けた知事の意気込みについてお尋ねいたします。
 カジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRの導入について、知事は就任当初から積極的に研究、検討され、平成19年には和歌山県カジノ・エンターテイメント研究会を、平成22年には神奈川県、沖縄県とともに3県カジノ・エンターテイメント研究会を発足されるなど、意欲的に取り組んでこられました。
 去る7月20日に、我が国へのIR導入を認める特定複合観光施設区域整備法が参議院本会議で可決・成立したところです。知事におかれましては、長年の取り組みが実を結び、喜びもひとしおのことだと思料いたします。
 しかしながら、状況を考えますと、喜んでばかりはおれないというのが率直なお気持ちではないでしょうか。と申しますのは、区域認定数が3カ所となったことで、今後、自治体間の誘致合戦がいよいよ本格化することになると思われるからです。
 現在、和歌山県を初め、北海道、大阪、長崎の4道府県が誘致に意欲を示しており、また、その他の自治体でも誘致に向けた動きがあると聞いております。我々は、その中で三つの中に勝ち残らなければならない大変厳しい状況にあります。
 これまでも和歌山県は、県、県議会、経済界が一体となってIR誘致に取り組んでまいりましたが、今後はより一層の連携を図り、ぜひとも区域認定をかち取ることができるよう協力していかなければなりません。
 さて、このような中、9月3日の記者会見において、知事は、翌4日付で企画総務課内にIR推進室を新設することや、IR誘致を全庁一体となって推進するため、知事部局に加え、教育委員会、警察本部を含む関係20課による庁内横断の和歌山県IR誘致推進プロジェクトチームを設置し、誘致に向けた取り組みを強化、加速させることを発表されました。
 知事のIR誘致に向けた並々ならぬ熱意を感じ取った次第ですが、この機に、改めて知事からIR誘致に向けた意気込みを表明いただきます。よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御発言のとおり、特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法が成立し、認定申請までのスキーム等が示されました。
 確かに、区域認定数が3となったことで、今後自治体間の競争となるわけでございますが、和歌山は候補地として事業者から大変人気が高く、法律が目的とする国際観光の振興に資するよい区域整備計画を作成して選定されるようにしたいと考えております。
 先般行ったRFI──これは投資意向調査というもんでございますが──においても、海外事業者7社、国内事業者26社、計33社の事業者から提案があり、本県IRに対する関心の高さを改めて感じた次第でございます。
 今般のIR推進室の設置につきましては、法律が成立したことを受けまして、基本構想の改訂、それから実施方針の策定、区域整備計画の作成に向けた動きを加速するため、推進体制を整備したものでございます。
 また、和歌山県IR誘致推進プロジェクトチームにつきましては、ギャンブル依存症対策や反社会的勢力の排除、青少年の健全育成、交通インフラの整備などといったIR誘致に係る課題等に対する専門分野からの知見も集約し、その解決に向けた施策を効率的に立案する目的で設置したものでございます。また、例えば地元産品の調達とか、あるいは他の観光施設との連携とか、運輸企業なんかとの関係とか、そういうものについても全体的な視野からこれを推進していく必要があると思っておりまして、このプロジェクトチームの諸君には期待をしてるわけでございます。
 IRの導入は、地域の活性化に有効な方策であり、その雇用創出や経済成長、これに伴う人口減少抑制などの効果が大きいと思っております。「和歌山も、暮らしていけるんだから、IRなどというもんに手を出さないでも、このままいけるんと違うんか」という意見をお持ちの方も結構いらっしゃるんです。しかし、このまま何もしなければ、すなわち新しい要素を追加していかなければ、一般的に経済はずるずると後退していくもんでございます。このことは、和歌山が近年たどってきた歴史から明らかであります。
 例えば、高速道路なんかなくても大丈夫や、あるいは地場産業があるから、これ栄えておりましたんで、新しいもんに来てもらわんでも大丈夫やというようなことが一般的であったかもしれませんが、その結果、時代から取り残されたものもあるんじゃないかというふうに思います。
 今どきの日本で、あの大きさの投資可能性はないと言ってもいいと思います。したがって、成長戦略の一つとしてIRという新たな要素を取り入れることは、将来の和歌山に対する我々の責任ではないか、そんなふうに思っております。
 ただし、成長に資するからといって、副作用的な弊害をないがしろにするようではいけないと私は思っております。弊害には必要な手当てを施し、それを除去しながら、将来の和歌山県の発展のために誘致活動に取り組んでいくということでございまして、それがちゃんとできそうだから推進してるわけでございます。
 県としては、国に認定されるように、よい区域整備計画を作成することに全力を挙げる所存でございます。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま、知事より熱い答弁をいただきました。それを受けまして、次の質問に入らせていただきます。
 小項目2、地域への恩恵についてお尋ねいたします。
 知事は、以前からIRを誘致することによる経済振興及び観光振興効果、雇用創出効果などについて御発言されております。
 しかしながら、和歌山市のマリーナシティにIRを誘致して、県内全域にどのようにして恩恵をもたらすのでしょうか。橋本市でIRの誘致のお話をさせていただいても、少し関心が薄いように私は感じ取っております。
 まだ法律が成立したところですので、まだまだ具体的には固まっていないとは思いますが、考えている方策などがあればお聞かせください。企画部長、よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) IRは、裾野の広いさまざまな産業により運営される複合観光施設であり、誘致によりもたらされる経済効果、雇用効果はこれまでにない規模となります。その効果はIR施設内にとどまるものではなく、施設外の商業や飲食サービス業、宿泊業等にも波及し、県全体に大きな波及効果をもたらします。
 県内に波及する効果を最大化するために、建設時においては可能な限り建築資材や建設工事の地元優先調達に努め、運営時にはIR内で消費する食材や資材に地元調達率を、雇用面では地元雇用率を設定するなどして、県内の隅々までその恩恵が行き渡る仕組みの構築をIR事業者に求めてまいります。
 また、訪問する多くの観光客を施設内に囲い込むのではなく、IRを広域観光のハブとして位置づけ、県内外の観光地に送り出す新たな人の流れを生み出すことが重要だと考えております。
 IR整備法においても、国内における観光旅行を促進する目的で、IR内に送客施設の設置が義務づけられているところです。本県でも、IRに訪れる多くの観光客を、この送客施設を通じて、県内であれば高野・熊野、白浜などを初めとする各観光地に送り出し、観光客をふやす仕組みを設けてまいります。
 加えて、IR施設内での消費額に応じてたまるポイントをIR施設外で使用できるクーポンとして利用し、訪れる各地域で使っていただけるようにするなど、県内各観光地を訪れるインセンティブを与える手法についても検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 我々県議会も、昨年度、国に対して「地方創生を重視した特定複合観光施設区域の選定を求める意見書」を提出するなど、本県へのIR誘致をサポートしています。さらに、経済界も県、和歌山市と協働して和歌山IR推進協議会を設立し、誘致活動に取り組んできております。それだけ皆さん、期待しています。
 今、企画部長から「IRの恩恵が県内くまなく行き渡る仕組みづくりを検討している」と御答弁をいただきました。また、いわゆる社会的リスクに対する備えも、5月に発表された和歌山県IR基本構想で、本県独自のギャンブル依存症対策として利用上限額を設定できるIRカードを導入するなど、他の自治体に比べて厚いものとなっています。
 このようなアイデア、方策をブラッシュアップし、ぜひとも他の自治体に負けないすばらしい計画をつくって、誘致競争を勝ち抜いていただきたいと思います。そのためにも、和歌山県全体にIR誘致の機運を高めていただきたいと思います。IR誘致に向け、頑張りましょう。エールを送らせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。
 大項目2、伊都中央高校の取り組みについてお尋ねいたします。
 現在、和歌山市において大学誘致が順調に進められているところです。
 1校目は、学校法人青葉学園が東京医療保健大学和歌山看護学部看護学科を収容定員360人、1学年当たり90人でことし4月に開学しました。
 2校目は、学校法人和歌山信愛女学院が男女共学の和歌山信愛大学教育学部子ども教育学科を収容定員320人、1学年当たり80人で来年4月に開学されます。
 3校目は、公立大学法人和歌山県立医科大学が和歌山県立医科大学薬学部を収容定員600人、1学年当たり100人で2021年4月に開学されます。
 また、4校目として、学校法人平成医療学園の宝塚医療大学が理学療法士と作業療法士を養成する学部を収容定員400人、1学年当たり100人で再来年4月の開学を目指されているところです。
 和歌山市では、ここ4年のうちに、看護師、教員、薬剤師、理学療法士・作業療法士を養成する四つの大学が開学される見通しとなっており、非常に活気づいています。
 一方で、橋本・伊都地域を見てみますと、大阪府と奈良県に隣接する和歌山県の東北部の玄関口として、世界遺産である高野山や、一昨年の大河ドラマ「真田丸」でも取り上げられた九度山町などに県外から多くの観光客が来られるようになりました。これは、県が管理する道路の整備を着実に進めていただいていることに加え、京奈和自動車道が県内で全線開通したことも大きな要因となっています。また、新紀見トンネルの工事が着工され、今後ますます交通の利便性がよくなることが期待されています。
 このようにハード面での整備は順調に進んでいますが、市街地の活性化はどうかといいますと、景気がよかった以前のような活気は残念ながら感じられません。橋本市では、地場産業の紀州へら竿やパイル織物が、いずれも日本一の生産量を誇っています。紀州へら竿は、その高い技術力により芸術品とまで言われる地位を築き、一定の根強い需要はあるものの、市場規模そのものは小さく、近年は後継者不足に悩んでいる状況となっております。
 パイル織物に関しましては、近年の需要の低迷に加え、海外低価格品との競争の激化や消費者ニーズの多様化による市場の変化等により工業出荷額は最盛期に比べて大幅に減少しており、下請業者を中心に廃業が後を絶たない状況になっています。
 また、雇用の受け皿を確保するために企業誘致や起業家支援に精力的に取り組んでいますが、大阪都市圏内に位置することから若年者を中心に都市部への流出が深刻化しており、来るべき少子高齢化による地域活力のますますの低下も懸念されているところです。
 この地域に和歌山市のように大学を誘致してもらいたいという気持ちもありますが、まずは高校教育においてこの地域を活気づけ、経済の活性化に寄与する人材の育成に期待したいと思っております。
 現在、紀北農芸高校や紀北工業高校、また、商業に関する学科を持つ笠田高校などでは、職業教育に精力的に取り組んでいただいており、学科の特性に応じた専門性の高い地場産業の担い手を育ててくれています。特に、紀北工業高校は、全国大会であるソーラーカーレース鈴鹿2018の大学・高校生部門で優勝するなどの活躍を見せています。そうした頑張りを頼もしく感じており、また、平成27年4月に開校した伊都中央高校にも大きな期待を寄せているところです。
 この伊都中央高校の2年生である四十住さくらさんが、ことし8月にインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会で、東京オリンピックの新競技、スケートボードの女子パークにおいて、見事金メダルを獲得しました。パークは、おわんを幾つも組み合わせたような複雑な形のコースで技を競う種目で、四十住選手は、おわんのような構造物の最上部で板の先端だけで体を支えたまま静止する得意のノーズブラントなどを決めるなど別格の滑りを見せ、2位に大差をつけて圧勝したということです。
 偶然にも、本日、四十住選手が知事を表敬訪問されると聞き及びましたので、ぜひとも今回の頑張りを褒めたたえてあげていただければと思います。四十住選手は、世界で活躍しながら伊都中央高校で学んでおり、多くの仲間の応援をもらっています。
 そこで、現在、伊都中央高校ではどのような教育を展開しておられるのか、その特色ある取り組みや期待について、教育長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 伊都中央高校は、平成27年4月に、多様な生徒たちが個々に応じた学び方のできる学校として開校し、今年度4年目に入り、定時制課程、通信課程ともに全ての学年がそろいました。
 現在、伊都中央高校では、定時制課程において、午前に授業を行う昼間部と夕刻から授業を行う夜間部の間に、昼間部、夜間部に在籍する双方の生徒が教科、科目などを自由に選択できる時間を設けております。その時間では、進学、就職に向けた科目や生涯スポーツを取り入れた科目など約30の特色ある科目を開講しており、自分の興味・関心、進路に応じた科目を選択できるとともに、部活動やボランティアを中心とした地域活動など、生徒個々の多様なニーズに応じた活動ができるようになっております。
 また、地域の課題でもある介護人材の不足を補うため、県社会福祉協議会や地域の介護事業所等の支援を受けながら、介護職員初任者研修の資格取得を目指す講座も開講しております。
 また、中学校時に不登校の経験がある生徒も積極的に受け入れ、学び直しの科目も取り入れながら、個々の課題に応じた丁寧な指導も行っております。
 さらに、公民館等が行う文化活動やボランティア活動などに生徒が参加するとともに、学校で開講している教科、科目を社会人の方が科目履修生として受講できるなど、学校を地域の活動、学びの場としても開放しており、生涯学習の場としての役割も担っております。
 県教育委員会といたしましても、今後も伊都中央高校の教育を一層充実させ、生徒一人一人の夢が実現できる、また、地域とともにある学校づくりを進め、地域の活性化に貢献できる学校となることを期待してございます。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、教育長から、伊都中央高校は、高校教育を受けようとする生徒の多様なニーズとともに、地域社会の期待に応える人材育成をすべく、特色ある取り組みを進めているとの答弁をいただきました。今後も、同校の特色、魅力化を進め、学ぼうとする生徒の頑張りを支え、地域社会でたくましく生きていく人材の育成と輩出に努めていただきますようよろしくお願いいたします。
 次の質問に入らせていただきます。
 大項目3、ブロック塀対策を踏まえた紀州材の利用についてお尋ねいたします。
 6月18日午前7時58分ごろに発生した大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震では、5人が死亡、400人を超える方が負傷し、住宅被害は3万棟を超えるなど、甚大な被害が発生しました。
 今月6日未明に起きた北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震では、41人が死亡されています。この場をおかりして、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、大阪府北部を震源とする地震において、高槻市にある小学校では、プールサイドの高さ3.5メートルの塀のうち1.6メートルのブロック塀の部分が延長約40メートルにわたって倒壊し、通学してきた小学4年生の9歳の女児が倒壊した重いブロック塀の下敷きになり亡くなるという痛ましい事故が起こりました。
 また、大阪市東淀川区でも、民家の外壁が崩れ、近くに住む80歳の男性が下敷きになり亡くなりましたが、この男性は近くの小学校の見守り隊をしており、この日も小学校に向かう途中だったということで、やり切れない思いでいっぱいになりました。
 現在の建築基準法の施行令では、ブロック塀の高さは2.2メートル以下、直径9ミリ以上の鉄筋を入れること、補強材・控え壁を設置することなどの基準が定められていますが、高槻市のブロック塀はその基準を満たしていませんでした。
 今回のブロック塀倒壊の事故を受け、ブロック塀の耐震対策や安全点検が喫緊の課題となっているところですが、和歌山県ではいち早く県有施設におけるブロック塀の安全点検を実施し、基準に不適合または詳細な調査が必要な157施設のうち、地震発生時に歩行者の安全確保や緊急車両の通行に支障を来すおそれがある早期の対応が必要な76施設について、3億1700万円の補正予算を専決処分し、対応しておられます。
 東京都では、7月20日の小池百合子知事の定例会見において、大阪府北部地震を受けて行った調査で判明した建築基準法に適合していないブロック塀を設置していた都立高校3校と都有の2施設について、法令に適合しないブロック塀にかえて、東京・多摩地方の木材を使った塀を導入するとの発表があり、今後、都庁でプロジェクトチームをつくり、地域産の木材による塀の設置費用や耐久性を検討するとのことです。
 和歌山県におきましても、法令に適合しないブロック塀を撤去し、新たに設置する計画を進めておられるところですが、一方で、本県の森林は面積の約77%を占め、県土の保全や水源の涵養、環境の保全や木材の生産といった森林の持つ多面的機能を発揮させることで、県民が安全で安心して暮らせる社会や低炭素社会、循環型社会の形成に大きく寄与しています。
 本県では、このような森林の多面的機能を発揮させる上で木材の有効利用は重要な要素であるとして、公共建築物における木材の利用の促進に関する法律に基づき、公共施設等の木造木質化を推進しておられますが、紀州材を活用した塀の設置についてどのようにお考えになっておられるのか、農林水産部長の見解をお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県では、これまで紀州材の利用拡大の観点から、木の国プロジェクト推進会議の設置や木材利用方針の策定など、県内の公共施設での木造木質化に取り組んできたところです。
 議員御指摘のとおり、ことし6月に発生した大阪府北部地震の被害を踏まえ、法令に適合しない重いブロック塀にかえて木材を使った板塀を設置することは、紀州材の需要拡大に一定の効果があると考えています。
 現在、県では、公共工事における木造木質化に係るコスト増については1割増しまでを許容としております。しかしながら、木材を使った塀のほうが3割から5割のコスト高となる上、塀は風雨にさらされ、ブロック塀に比べ耐久性に劣ることもあるため、全ての塀を木質化することは難しいと考えております。
 一方、ガードレールについては、景観に配慮の必要な箇所において木製としており、議員御提言の塀についても、木製ガードレールの設置基準に倣って紀州材の使用を進めてまいります。また、市町村に対しても木製の塀の設置について働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、部長より前向きな御答弁いただきました。ありがとうございます。
 本当に、これまでも紀州材の活用に、県として熱心に取り組んでこられたことは承知しております。木の国わかやまの財産でもある紀州材を今後もさまざまな場所や用途で御活用いただけるよう、より一層尽力賜りますようよろしくお願いいたします。
 次の質問に入らせてもらいます。最後の項目に入らせていただきます。
 大項目4、紀の川の浸水対策についてお尋ねいたします。
 ことし7月には、西日本豪雨により多くのとうとい命が失われました。また、河川の氾濫や土砂崩れなどで住家などにも甚大な被害を受けています。もはや想定外では済まされないほどの甚大な災害が頻繁に発生している状況です。
 西日本豪雨では、和歌山県は幸いにして被害は少なかったですが、県外では死者223人、行方不明者9人という大災害となりました。
 8月23日の台風20号では、熊野川が氾濫し、新宮市日足地区を含む464世帯、857人に避難指示が出されたほか、川湯温泉の宿泊施設11軒が全て浸水するなどの被害が発生しました。また、その直後に到来した9月4日の台風21号では、猛烈な風が吹き荒れ、県内の多くの地域で屋根瓦が飛ばされる、樹木や電柱が倒れるなどの被害が多発し、その後、長期的な停電が続いたため、県民のライフラインにも多大な影響をもたらしました。この場をおかりして、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 さて、昨年の台風21号では、紀の川本川の水位が上昇し、内水の排水機能が低下したことにより、紀の川沿岸の多くの地区において浸水が発生し、橋本市学文路地区も広範囲で浸水被害を受けました。このことを受け、内水被害の軽減に向けて、国に対する関係国会議員からの働きかけを初め、当県議会からの意見書の提出や、県や関係市町による積極的な要望活動がなされました。
 これらの動きを踏まえ、国土交通省においては、紀の川沿岸の各地域における浸水被害に関する情報共有や今後の浸水対策について、効果的かつ効率的な整備につなげることを目的として、国、和歌山県、奈良県、和歌山市、岩出市、紀の川市、橋本市、かつらぎ町、九度山町の県内6市町と奈良県五條市を合わせた7市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会が発足し、ことし1月26日に初会合が開かれました。
 出席した市町からは、「雨水幹線の整備や雨水ポンプ場の建設には多額の費用と長い時間が必要で、住民ニーズに対し整備が追いついていない」、「市町村レベルでは限界がある。紀の川の抜本対策として、水位を下げる堆砂除去や樹木伐採、狭窄部対策を図ってほしい」、「国で内水対策の交付金の要綱を緩和してほしい」などの意見が出され、国は今後、出された意見を踏まえて、より具体的な治水対策を検討していくとのことだったと聞いております。
 その後、現在までの活動状況及び県における今後の取り組みについてはどうでしょうか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 紀の川の浸水対策についての御質問をいただきました。
 平成29年10月の台風第21号に起因する出水によりまして、紀の川沿川の各地域で発生いたしました内水被害の軽減に向けた対策については、中本議員御指摘のとおり、国土交通省において、効果的かつ効率的な整備につなげることを目的といたしまして、国、県、関係市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会が本年1月に設置されたところでございます。この検討会におきましては、これまで各市町の担当者で構成するワーキングを実施しており、引き続き、国、県、関係市町の連携のもと、浸水被害の軽減に資する具体的な対応策についての検討が進められているところでございます。
 県といたしましても、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去につきまして、強く国に働きかけることはもとより、当該検討会の結果を踏まえ、必要に応じてさらなる支援を国に働きかけるとともに、市町に対して所要の助言や支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 国における紀の川の抜本対策として、土砂堆積等による流下能力不足箇所の対策や農業用の取水堰、岩出頭首工、藤崎頭首工、小田頭首工の存在を踏まえ、狭窄部対策を実施し、浸水被害を軽減する紀の川直轄河川改修事業に取り組んでいただいております。狭窄部対策は現在、最も下流にある岩出狭窄部の対策工事に取り組まれているところであり、最上流部の小田狭窄部への対策工事は10年以上も先になる計画となっています。近隣の住民は、今後も長い間、台風が来るたびに、大雨が降るたびに不安な日々を過ごさなければなりません。
 紀の川の氾濫を防ぐため、大雨増水時の安全な流下に支障となっている河道掘削や中州の樹木伐採を早期に実施するよう既に国に対して要望しているところですが、今回の西日本豪雨においても、中州の樹木が氾濫の一因となったことが土木学会や国土交通省の調査でも報告されております。
 学文路地区の住民の皆様からも早急に工事を進めてほしいとの要望も出ていることから、優先箇所等を設定していただき、国に対する働きかけをより一層強めていただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。

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